JP7832439B2 - H形断面部材及び支持構造 - Google Patents
H形断面部材及び支持構造Info
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Description
H形断面部材は、2枚のフランジと、それらを繋ぐウェブと、で構成されている。曲げを受けるH形断面部材では、一方のフランジが圧縮力を負担し、もう一方のフランジが引張力を負担する。通常、それらの圧縮力の大きさと引張力の大きさとは互いに等しいため、2枚のフランジは、幅が互いに等しく、厚さが互いに等しい断面形状とするのが一般的である。このため、一般的なH形断面部材は、H形断面部材の材軸方向に見たときに、ウェブに直交する軸に対して対称の断面となる。さらに、2枚のフランジの幅の中央にウェブがそれぞれ接合している場合は、H形断面部材の前記断面は、2軸対称の形状となる。
しかし、このようにH形断面部材に作用する応力の一部を板状部材(面材)に負担させようとした場合、耐力負担が可能な1枚の板状部材が、H形断面部材の材軸方向に切れ目なく設置されている必要がある。しかし、薄鋼板による折板屋根等(複数の板状部材)では、耐力負担が期待できない。
H形断面部材では、強軸まわりの断面性能に優れるものの、弱軸まわりの断面性能は低い。このため、H形断面部材の横座屈(H形断面部材が捩れながら、面外方向へ移動する変形を生じつつ座屈すること)が問題となる。横座屈が生じると、急激な耐力劣化が生じ、H形断面部材の挙動が不安定になる。従って、横座屈が生じないように、H形断面部材を設計する必要がある。
具体的には、「平成13年国土交通省告示第1024号 特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件」において、曲げ材の座屈の許容応力度が規定されている。この告示では、横座屈が生じ得る部材長さが長い場合等には、許容応力度を低減することとしている。
また、横座屈による許容応力度の低下を防ぐ方法として、H形断面部材に横座屈防止用の補剛材を設置する場合もある。この場合、十分な数の補剛材が設けられていれば許容応力度の低下は生じないが、補剛材の加工や施工による手間やコストが生じてしまい、非経済的である。
本発明のH形断面部材は、第1フランジと、第2フランジと、前記第1フランジ及び前記第2フランジを互いに接合するウェブと、を備える鋼製のH形断面部材であって、前記第1フランジを間に挟んで前記ウェブの反対側に配置されるとともに前記H形断面部材の材軸方向に並べられた複数の板状部材が、直接又は仕口部材を介して前記第1フランジにそれぞれ取り付けられ、前記第2フランジの幅は、前記第1フランジの幅よりも広いことを特徴としている。
この発明では、発明者等は鋭意検討の結果、耐力負担が期待できない複数の板状部材に第1フランジが取り付けられている場合でも、例えば両フランジの材軸方向に直交する断面積の合計が一定の時に、両フランジの幅が互いに等しい場合に比べて、第2フランジの幅が第1フランジの幅よりも広い、本発明のH形断面部材の弾性座屈耐力が大きくなることを見出した。
従って、第2フランジの幅が第1フランジの幅よりも広くてH形断面部材の弾性座屈耐力が大きくなることにより、H形断面部材の断面形状を合理的に構成することができる。
この発明では、発明者等は鋭意検討の結果、耐力負担が期待できない複数の板状部材に第1フランジが取り付けられている場合でも、例えば両フランジの材軸方向に直交する断面積の合計が一定の時に、両フランジの厚さが互いに等しい場合に比べて、第2フランジの厚さが第1フランジの厚さよりも厚い、本発明のH形断面部材の弾性座屈耐力が大きくなることを見出した。
従って、第2フランジの厚さが第1フランジの厚さよりも厚くてH形断面部材の弾性座屈耐力が大きくなることにより、H形断面部材の断面形状を合理的に構成することができる。
この発明では、屋根葺材に直接又は仕口部材を介して第1フランジが取り付けられることにより、H形断面部材で屋根葺材を支持することができる。
この発明では、外壁材に直接又は仕口部材を介して第1フランジが取り付けられることにより、H形断面部材で外壁材を支持することができる。
この発明では、溶接軽量H形鋼によりH形断面部材を比較的軽く構成することができる。
この発明では、断面形状を合理的に構成したH形断面部材を用いて支持構造を構成することができる。
本実施形態の後述するH形断面部材15,25及び支持構造46,47は、図1に示す建築物1に用いられている。建築物1は、複数の柱10と、複数の大梁である第1H形断面部材(H形断面部材)15と、複数の小梁である第2H形断面部材(H形断面部材)25と、折板屋根35と、を備えている。
柱10は、上下方向に沿って延びている。複数の柱10は、互いに間隔を開けて配置されている。柱10は、鋼製、RC(Reinforced Concrete)製、SRC(Steel Reinforced Concrete)製等である。
第1H形断面部材15は、第1フランジ16と、第2フランジ17と、ウェブ18と、を備えている。第1フランジ16、第2フランジ17、及びウェブ18は、それぞれ鋼板により形成されている。第1フランジ16及び第2フランジ17は、それぞれ水平面に沿うように配置され、互いに上下方向に対向している。第1フランジ16は、第2フランジ17よりも上方に配置されている。
ウェブ18は、第1フランジ16と第2フランジ17との間に配置されている。ウェブ18は、第1フランジ16の幅方向の中心及び第2フランジ17の幅方向の中心を互いに接合している。
第1H形断面部材15は、隣り合う柱10の間にかけ渡され、水平面に沿う方向に延びている。第1H形断面部材15の両端部は、柱10に溶接等でそれぞれ接合されている。
ウェブ28は、第1フランジ26と第2フランジ27との間に配置されている。ウェブ28は、第1フランジ26の幅方向の中心及び第2フランジ27の幅方向の中心を互いに接合している。
H形断面部材15,25の材軸方向に直交する断面形状は、それぞれH形状である。
なお、H形断面部材15,25が配置される向きは、これに限定されない。第2H形断面部材25及び第1H形断面部材15は、圧延H形鋼であってもよいし、溶接組立H形鋼であってもよい。
第1フランジ26の幅を、B1(mm)とする。第1フランジ26の厚さを、tf1(mm)とする。第2フランジ27の幅を、B2(mm)とする。第2フランジ27の厚さを、tf2(mm)とする。ウェブ28の厚さを、tw(mm)とする。第2H形断面部材25の高さ(せい)を、H(mm)とする。
第2H形断面部材25における、第2H形断面部材25の材軸方向に直交する断面積を、A(mm2)とする。
図2に示すように、第2H形断面部材25の長さを、L(mm)とする。
波形部材36は、底板37と、第1傾斜板38と、天板39と、第2傾斜板40と、を有している。底板37、第1傾斜板38、天板39、及び第2傾斜板40は、それぞれ板状部材(面材)である。
第1傾斜板38は、底板37における第2水平方向Vの第1側V1の端部から、第1側V1に向かうに従い漸次、上方に向かうように傾斜している。
天板39は、第1傾斜板38における第1側V1の端部から、第1側V1に向かって延びている。第2傾斜板40は、天板39の第1側V1の端部から、第1側V1に向かうに従い漸次、下方に向かうように傾斜している。第2傾斜板40は、第1側V1に隣り合う波形部材36の底板37における、第2水平方向Vのうち第1側V1とは反対側の第2側V2の端部に連なっている。
折板屋根35の底板37、第1傾斜板38、天板39、及び第2傾斜板40は、第2H形断面部材25において、第1フランジ26を間に挟んでウェブ28の反対側(上方)に配置されるとともに、第2H形断面部材25の材軸方向である第2水平方向Vに並べられている。
折板屋根35の底板37は、第1H形断面部材15の第1フランジ16及び第2H形断面部材25の第1フランジ16に、底板37の下方から支持されている。この例では、折板屋根35の底板37、第1傾斜板38、天板39、及び第2傾斜板40は、公知の金具及び締結部材等の仕口部材(不図示)を介して、H形断面部材15,25の第1フランジ16,26にそれぞれ取り付けられている。
折板屋根35の底板37、第1傾斜板38、天板39、及び第2傾斜板40は、H形断面部材15,25の第1フランジ16,26にそれぞれ直接取り付けられていてもよい。
フランジ26,27の幅が互いに等しい第2H形断面部材25(以下、単にH形断面部材25とも言う)の横座屈性状、及びフランジ26,27の幅が互いに異なるH形断面部材25の横座屈性状について、FEM(Finite Element Method。有限要素法)を用いて検討を行った。
図2に、H形断面部材25の解析モデルを示す。解析モデルでは、H形断面部材25を4節点シェル要素によって構成している。H形断面部材25の材軸方向に、x軸を規定した。フランジ26,27が対向する方向にy軸を規定し、ウェブ28の厚さ方向に、z軸を規定した。
また、H形断面部材25の材軸方向の両端は、H形断面部材25のねじれに対して固定端、フランジ26,27の反りに関しては自由端とした。すなわち、H形断面部材25の材軸方向の第1端25aにおいて、dx=0,dy=0,dz=0,rotx(x軸回りの回転)=0とした。H形断面部材25の材軸方向における第1端25aとは反対の第2端25bにおいて、dy=0,dz=0,rotx=0とした。
なお、第1フランジ26は第2フランジ27の下方に配置されてもよいし、フランジ26,27が水平面に沿って並べて配置されてもよい。すなわち、H形断面部材25が配置される向きは、これに限定されない。
ここでは、JIS規格で定められたH形鋼である、断面寸法がH-400x200x8x13であるH形鋼(以下、H-400と言う)と、断面寸法H-900x300x16x28(以下、H-900と言う)を基準に、フランジ26,27の幅を変更させる形でパラメータを振っている。表1に解析対象のケースの一覧を示す。なお、フランジ26,27の厚さは、互いに等しい。
なお、第2フランジ27の幅を広げた場合は、第2フランジ27の拡幅分だけ第1フランジ26の幅を狭めている。第2フランジ27の幅を狭めた場合は、その分だけ第1フランジ26の幅を広げている。すなわち、フランジ26,27の幅を変更した場合についても、H形断面部材25の断面積Aは、基準とするフランジ26,27の幅が互いに等しいケースa200,b300の断面積Aと同等である。H形断面部材25の単位長さ当たりの質量も、ケース200a,b300の単位長さ当たりの質量と同等となる。
各ケースについて、地震時を想定した逆対称の曲げモーメント、常用時を想定した積載荷重による曲げモーメント、の2種類の曲げモーメントが作用する場合について、H形断面部材25の高さHに対する長さLの比(L/H)が6~50の範囲で、長さLを変更して解析を行った。
図4及び図5において、横軸は、H形断面部材25の材軸方向の無次元化座標を表し、縦軸は、H形断面部材25に作用する無次元化曲げモーメントを表す。無次元化座標は、長さLに対する、H形断面部材25の材軸方向の座標(x座標)の比である。無次元化曲げモーメントは、H形断面部材25に作用する曲げモーメントの絶対値の最大値に対する、H形断面部材25の材軸方向の各位置に作用する曲げモーメントの比である。
以降に示す図においては、縦軸は、固有値解析による弾性座屈耐力を表し、横軸は、H形断面部材25の高さHに対するH形断面部材25の長さLの比(L/H)を表す。
一方で、図8、図9、図12、及び図13に示す第1フランジ26の横移動が拘束されている場合においては、地震時及び常用時の荷重条件に係わらず、第2フランジ27の幅を広げて第1フランジ26の幅を狭めた場合は、フランジ26,27の幅が互いに等しい場合よりも弾性座屈耐力が大きくなる。第2フランジ27の幅を狭めて第1フランジ26の幅を広げた場合は、フランジ26,27の幅が互いに等しい場合よりも弾性座屈耐力が小さくなる。
この傾向はH-400とH-900でH形断面部材25の断面寸法が変わっても同様の傾向を示しており、あらゆるH形断面部材25について同様の傾向を示すと考えられる。
すなわち、第1フランジ26の横移動が拘束される条件下においては、第2フランジ27の幅が第1フランジ26の幅よりも広い非対称のH形断面部材25を用いる方が、フランジ26,27の幅が互いに等しい場合に比べてある横座屈耐力を発揮する上で必要な鋼材量を少なくすることができ、効率的な設計が可能となる。
一方で、フランジ26,27が極端に薄い場合には、局部座屈が問題になる可能性が想定される。このため、フランジ26,27の幅厚比は、告示昭55建告第1792号第3による梁部材の種別FCの規定値である、15.5√(235/F)以下とするのが好ましい。ただし、Fは、H形断面部材25の基準強度である。
次に、フランジ26,27の厚さを変数とした弾性座屈解析の解析ケースについて述べる。ここでは、H-400x200x8x13の断面寸法を基準にフランジ26,27の厚さを変更する形でパラメータを振っている。表2に解析対象のケースの一覧を示す。なお、フランジ26,27の幅は、互いに等しい。
すなわち、フランジ26,27の厚さを変更した場合についても、H形断面部材25の断面積Aは、基準とするフランジ26,27の厚さが互いに等しいケースc13の断面積Aと同等である。H形断面部材25の単位長さ当たりの質量も、ケースc13の単位長さ当たりの質量と同等となる。
各ケースについて、地震時を想定した逆対称の曲げモーメント、常用時を想定した積載荷重による曲げモーメント、の2種類の曲げモーメントが作用する場合について、(L/H)の値が6~50の範囲で、長さLを変更して解析を行った。
図16及び図17に、常用時を想定した積載荷重による曲げモーメントが作用する場合の固有値解析結果を示す。図16は、第1フランジ26が拘束されていない場合であり、図17は、第1フランジ26の横移動が拘束されている場合である。
一方で図15及び図17に示す地震時及び常用時において第1フランジ26の横移動が拘束されている場合においては、第2フランジ27の厚さを厚くして第1フランジ26の厚さを薄くした場合は、フランジ26,27の厚さが互いに等しい場合よりも弾性座屈耐力が大きくなる。第2フランジ27の厚さを薄くして第1フランジ26の厚さを厚くした場合は、フランジ26,27の厚さが互いに等しい場合よりも弾性座屈耐力が小さくなる。
一方で、フランジ26,27が極端に薄い場合には、局部座屈が問題になる可能性が想定される。このため、フランジ26,27の幅厚比は、告示昭55建告第1792号第3による梁部材の種別FCの規定値である15.5√(235/F)以下とするのが好ましい。
これまでの検討は、H形断面部材25の材軸方向の端のフランジ26,27の反りに関して自由端とし、これら材軸方向の端にはz軸回りの曲げモーメントを作用させたモデルについての検討であった。以下では、表1のH-400についての5ケースを対象に、H形断面部材25の材軸方向の端の固定度や曲げモーメント分布が異なる条件についても検討する。
図18に、材軸方向の端におけるフランジ26,27の反りが固定された場合に、地震時を想定した逆対称の曲げモーメントが作用した場合の解析結果を示す。図19に、材軸方向の端がそれぞれピン接合されたとして、材軸方向の端におけるz軸回りの曲げモーメントが作用せずに第1フランジ26に風荷重による負圧を想定したy軸方向の分布荷重のみが作用する場合の解析結果を示す。図18及び図19のいずれにおいても、第1フランジ26の横移動が拘束されているとした。
なお、風荷重による負圧を想定した曲げモーメントの一例を、図20に示す。
よって、本発明では、材軸方向の端の固定度や曲げモーメント分布が異なる条件においても、同様の効果が期待できる。
図21及び図22に、図8、図9、図12、及び図13に示した第1フランジ26の横移動拘束された場合の弾性座屈解析結果のうち、(L/H)の値が20の場合を対象に第2フランジ27の幅と断面効率の関係を示す。図21及び図22において、縦軸は、断面効率(弾性座屈耐力をH形断面部材25の単位長さ当たりの質量で除した値)を表し、横軸は、第2フランジ27の幅を表す。
図21及び図22より、第2フランジ27の幅が広がるほど縦軸の値が大きくなり、鋼材質量に対する弾性座屈耐力が大きくなることが分かった。よって、弾性座屈耐力の観点からは、第1フランジ26の横移動拘束された場合については、第1フランジ26の幅を極力減らし第2フランジ27の幅を極力広げたほうが断面効率の大幅な向上が期待できる。
また、H形断面部材25では、強軸回りの断面効率の観点から、フランジ26,27の幅はH形断面部材25の高さHと同等以下とするのが一般的である。フランジ26,27の幅が互いに異なる場合においても、第2フランジ27の幅は、高さH以下であることが好ましい。
次に、第1フランジ26の横移動を弾性バネ拘束した場合の弾性座屈解析を行う。
これまでの解析結果では、第1フランジ26の横移動を完全に拘束していた。しかし、実際には、第1フランジ26に取り付けられる板状部材の剛性に応じた弾性バネ拘束となる。
図23に、横座屈が生じるH形断面部材25に対する、板状部材50による補剛効果の模式図を示す。なお、図23では、板状部材50を二点鎖線で示している。以下では、横座屈が生じる対象とするH形断面部材25を、H形断面部材25Aとも言う。図23中に、H形断面部材25Aが横座屈変形した形状を、二点鎖線L1で示す。
H形断面部材25は、母屋にも相当する。
ここでは、板状部材50の一例として折板屋根を想定してバネ剛性を略算し、解析条件に設定する。折板屋根には様々なタイプがあるが、ここでは折板屋根としては、比較的薄い0.6mmの鋼板1枚で構成された簡易なものを想定する。折板屋根の山谷形状を無視して、折板屋根を平鋼板として考える。そして、折板屋根による補剛剛性Kを、(1)式にて略算的に評価する。
例えば、長さlpは、隣接する部材までの距離、すなわちH形断面部材25A,25B間の距離である。
長さlpを2.5mと仮定すると、厚さtpが0.6mmであることから、(1)式により、折板屋根のH形断面部材25に対して直交方向の変形に対する補剛剛性Kは、98.4N/mm2となる。以下では、この補剛剛性Kを100N/mm2と近似して扱う。
以上の5種類のバネ剛性による第1フランジ26の拘束条件に対して、検討を行った。
図24から図27より、バネ剛性を100N/mm2とした結果は、第1フランジ26の横移動を完全に拘束した結果とほぼ同等の断面効率となっている。このため、板状部材50による拘束は、横移動拘束と見なすことができる。
また、バネ剛性を1/10である10N/mm2とした場合についても、横移動を完全に拘束した場合に比べて断面効率の低下は限定的である。取り付けられる板状部材の剛性が多少低い場合にも変わらずに、第2フランジ27の幅を広げることによって横座屈に対して断面効率の良いH形断面部材25とすることができる。
以上説明したように、本実施形態のH形断面部材25では、第2フランジ27の幅が第1フランジ26の幅よりも広い場合がある。
一般的に、鋼製のH形断面部材の第1フランジに、第1フランジを間に挟んでウェブの反対側に配置されるとともに材軸方向に並べられた複数の板状部材が直接又は仕口部材を介して取り付けられていても、これら複数の板状部材では、H形断面部材に要求される程度の面内の曲げ耐力の負担が期待できないと考えられる。
発明者等は鋭意検討の結果、耐力負担が期待できない折板屋根35に第1フランジ26が取り付けられている場合でも、例えば両フランジ26,27の材軸方向に直交する断面積の合計が一定の時に、両フランジ26,27の幅が互いに等しい場合に比べて、第2フランジ27の幅が第1フランジ26の幅よりも広い、本実施形態のH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることを見出した。
従って、第2フランジ27の幅が第1フランジ26の幅よりも広くてH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることにより、H形断面部材25の断面形状を合理的に構成することができる。
発明者等は鋭意検討の結果、耐力負担が期待できない折板屋根35に第1フランジ26が取り付けられている場合でも、例えば両フランジ26,27の材軸方向に直交する断面積の合計が一定の時に、両フランジ26,27の厚さが互いに等しい場合に比べて、第2フランジ27の厚さが第1フランジ26の厚さよりも厚い、本実施形態のH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることを見出した。
従って、第2フランジ27の厚さが第1フランジ26の厚さよりも厚くてH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることにより、H形断面部材25の断面形状を合理的に構成することができる。
また、本実施形態の支持構造46,47では、断面形状を合理的に構成したH形断面部材15,25を用いて支持構造46,47を構成することができる。
前記H形断面部材25の効果は、第1H形断面部材15についても当てはまる。
本実施形態のH形断面部材25及び支持構造46,47は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
板状部材は、床スラブを除く部材であれば、特に限定されない。一般的に、床スラブであれば、建設現場でコンクリートを打設してH形断面部材の全長にわたって一枚の面材を構築するので、H形断面部材に要求される程度の面内の曲げ耐力の負担が期待できる。一方で、床スラブを除く部材では、一般的に工場で製作された規格寸法の板状部材を建設現場でH形断面部材の材軸方向に複数並べて面を構築する。このため、鋼製のH形断面部材の第1フランジに、床スラブを除く板状部材であって、第1フランジを間に挟んでウェブの反対側に配置された板状部材が直接又は仕口部材を介して取り付けられていても、この板状部材では、H形断面部材に要求される程度の耐力負担が期待できないと考えられる。この場合、板状部材は、第1フランジ26を間に挟んでウェブ28の反対側に配置される。
例えば、第2フランジ27の幅は第1フランジ26の幅よりも広い。
発明者等は鋭意検討の結果、耐力負担が期待できない板状部材に第1フランジ26が取り付けられている場合でも、例えば両フランジ26,27の材軸方向に直交する断面積の合計が一定の時に、両フランジ26,27の幅が互いに等しい場合に比べて、第2フランジ27の幅が第1フランジ26の幅よりも広いH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることを見出した。
従って、第2フランジ27の幅が第1フランジ26の幅よりも広くてH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることにより、H形断面部材25の断面形状を合理的に構成することができる。
発明者等は鋭意検討の結果、耐力負担が期待できない板状部材に第1フランジ26が取り付けられている場合でも、例えば両フランジ26,27の材軸方向に直交する断面積の合計が一定の時に、両フランジ26,27の厚さが互いに等しい場合に比べて、第2フランジ27の厚さが第1フランジ26の厚さよりも厚いH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることを見出した。
従って、第2フランジ27の厚さが第1フランジ26の厚さよりも厚くてH形断面部材25の弾性座屈耐力が大きくなることにより、H形断面部材25の断面形状を合理的に構成することができる。
さらに、柱10に、胴縁である第2H形断面部材25が固定され、この第2H形断面部材25に、外壁材55が仕口部材(不図示)を介して取り付けられている。なお、第2H形断面部材25及び外壁材55で、支持構造57が構成される。
例えば、外壁材55は、複数のサイディングボード(板状部材)56を有している。各サイディングボード56は、セメント製であり、上下方向に沿って延びている。複数のサイディングボード56は、第2H形断面部材25の材軸方向に並べられている。複数のサイディングボード56は、第1フランジ26を間に挟んでウェブ28の反対側に配置されるとともに、仕口部材(不図示)を介して第1フランジ26にそれぞれ取り付けられている。
例えば、外壁材60は、複数のサイディングボード61を有している。各サイディングボード61は、水平面に沿って延びている。複数のサイディングボード61は、第2H形断面部材25の材軸方向に並べられている。複数のサイディングボード61は、第1フランジ26を間に挟んでウェブ28の反対側に配置されるとともに、仕口部材を介して第1フランジ26にそれぞれ取り付けられている。
また、第1フランジ26又は第2フランジ27が、材軸方向に直交する断面内で折れ曲がっている場合についても、同様の効果は期待できる。しかし、製造面や施工面を考えると、フランジ26,27はそれぞれ平板状であるのが好ましい。
この場合、溶接軽量H形鋼によりH形断面部材25を比較的軽く構成することができる。
H形断面部材25は、一般的なH形鋼であってもよい。
15 第1H形断面部材(H形断面部材)
16,26 第1フランジ
17,27 第2フランジ
18,28 ウェブ
25 第2H形断面部材(H形断面部材)
35 折板屋根
36 波形部材
37 底板(板状部材)
38 第1傾斜板(板状部材)
39 天板(板状部材)
40 第2傾斜板(板状部材)
46,47,57,62 支持構造
50 板状部材
55,60 外壁材
56,61 サイディングボード(板状部材)
Claims (6)
- 第1フランジと、
第2フランジと、
前記第1フランジ及び前記第2フランジを互いに接合するウェブと、を備える鋼製のH形断面部材であって、
前記第1フランジを間に挟んで前記ウェブの反対側に配置されるとともに前記H形断面部材の材軸方向に並べられた複数の板状部材が、コンクリートにより一枚の面材に構築されておらず、直接又は仕口部材を介して前記第1フランジにそれぞれ取り付けられ、
前記第2フランジの幅は、前記第1フランジの幅よりも広い、H形断面部材。 - 第1フランジと、
第2フランジと、
前記第1フランジ及び前記第2フランジを互いに接合するウェブと、を備える鋼製のH形断面部材であって、
前記第1フランジを間に挟んで前記ウェブの反対側に配置されるとともに前記H形断面部材の材軸方向に並べられた複数の板状部材が、コンクリートにより一枚の面材に構築されておらず、直接又は仕口部材を介して前記第1フランジにそれぞれ取り付けられ、
前記第2フランジの厚さは、前記第1フランジの厚さよりも厚い、H形断面部材。 - 前記複数の板状部材は屋根葺材を構成する、請求項1又は2に記載のH形断面部材。
- 前記複数の板状部材は外壁材を構成する、請求項1又は2に記載のH形断面部材。
- 溶接軽量H形鋼である、請求項1から4のいずれか一項に記載のH形断面部材。
- 請求項1から5のいずれか一項に記載のH形断面部材と、
前記複数の板状部材と、
を備える、支持構造。
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