JP7835190B2 - 二次電池及びその製造方法 - Google Patents

二次電池及びその製造方法

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Description

本願は二次電池及びその製造方法を開示する。
特許文献1には、全固体電池であって、正極、固体電解質層、負極集電体、及び、充電によって前記固体電解質層と前記負極集電体との間に析出するLi-Mg合金、を備えるものが開示されている。特許文献2には、全固体リチウム二次電池であって、正極、固体電解質層、負極、及び、前記固体電解質層と前記負極との間に形成された所定の金属層、を備えるものが開示されている。
特開2020-184513号公報 国際公開第2013/141241号
析出型の金属リチウム負極を備える二次電池は、充放電後の抵抗に関して改善の余地がある。
本願は上記課題を解決するための手段として、以下の複数の態様を開示する。
<態様1>
二次電池であって、正極、固体電解質層、保護層、負極集電体、及び、充電によって前記固体電解質層と前記負極集電体との間に析出する金属リチウム、を備え、
前記固体電解質層が、硫化物固体電解質を含み、
前記保護層が、前記固体電解質層と前記負極集電体との間に存在し、
前記保護層が、構成元素として、Li、P及びOを含む、
二次電池。
<態様2>
態様1の二次電池であって、
前記保護層が、構成元素として、Li、P、O及びNを含む、
二次電池。
<態様3>
態様1又は2の二次電池であって、
前記保護層が、10-7S/cm超のリチウムイオン伝導度を有する、
二次電池。
<態様4>
態様1~3のいずれかの二次電池であって、
前記負極集電体が、金属箔と、前記金属箔の表面に設けられたMg含有層とを有し、
前記Mg含有層が、前記保護層と前記金属箔との間に存在する、
二次電池。
<態様5>
二次電池の製造方法であって、
負極集電体及び固体電解質層のうちの一方又は両方の表面を保護層で被覆して、被覆物を得ること、
前記被覆物を用いて、正極、固体電解質層、保護層及び負極集電体をこの順に有する積層体を得ること、並びに、
前記積層体を充電して、前記固体電解質層と前記負極集電体との間に金属リチウムを析出させること、を含み、
前記固体電解質層が、硫化物固体電解質を含み、
前記保護層が、Li、P及びOを含む、
製造方法。
本開示の二次電池は、析出型の金属リチウム負極を備え、かつ、低い抵抗を有する。
二次電池100の充電後又は放電後の構成を概略的に示している。 二次電池100の製造方法の流れの一例を概略的に示している。 LiPONコートMg蒸着集電体のLiPON膜表面についてのSEM二次電子像及びEDXマッピングを示している。 評価セルの充放電曲線を示している。 初回充電後のセルインピーダンスの評価結果を示している。 初回充放電後のセルインピーダンスの評価結果を示している。 上限カットオフ電位4.2Vまでの充電後に、開回路で60℃保存試験を行った際のセル1s抵抗の経時変化を示している。 60℃充電後のLiPONコートMg負極-固体電解質層界面における断面SEM二次電子像及びEDXマッピングを示している。
1.二次電池
以下、図面を参照しつつ実施形態に係る二次電池について説明するが、本開示の技術は以下の実施形態に限定されるものではない。図1に一実施形態に係る二次電池100の構成を示す。図1に示されるように、二次電池100は、正極10、固体電解質層20、保護層30、負極集電体41、及び、充電によって前記固体電解質層20と前記負極集電体41との間に析出する金属リチウム42、を備える。前記固体電解質層20は、硫化物固体電解質を含む。前記保護層30は、前記固体電解質層20と前記負極集電体41との間に存在する。前記保護層30は、構成元素として、Li、P及びOを含む。
1.1 正極
正極10は少なくとも正極活物質を含む。二次電池100の充電時には、当該正極活物質から放出されたリチウムイオンが、固体電解質層20を介して固体電解質層20と負極集電体41との間に到達し、電子を受け取って金属リチウム42として析出する。また、電池の放電時には、固体電解質層20と負極集電体41との間の金属リチウム42が溶解(イオン化)して、正極10へと戻される。正極10の形態は、二次電池の正極として公知の形態のいずれであってもよい。例えば、図1に示されるように、正極10は、正極集電体11と正極活物質層12とを備えるものであってもよい。
正極集電体11は、二次電池の正極集電体として機能し得るものをいずれも採用可能である。正極集電体11は、金属箔又は金属メッシュであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。正極集電体11は、複数枚の金属箔からなっていてもよい。正極集電体11を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、酸化耐性を確保する観点から、正極集電体11がAlを含むものであってもよい。正極集電体11は、その表面に、抵抗を調整すること等を目的として、何らかのコート層を有していてもよい。また、正極集電体11が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔間に何らかの層を有していてもよい。正極集電体11の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
正極活物質層12は、正極活物質を含み、さらに任意に、電解質、導電助剤、バインダー等を含んでいてもよい。正極活物質層12における正極活物質、電解質、導電助剤及びバインダー等の各々の含有量は、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。正極活物質層12の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略平面を有するシート状であってもよい。正極活物質層12の厚みは、目的とする電池性能に応じて適宜決定されればよい。
正極活物質は、二次電池の正極活物質として公知のものであって、充電時に負極側にリチウムを供給可能なものが採用されればよい。例えば、正極活物質として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、スピネル系リチウム化合物等の各種のリチウム含有酸化物を用いることができる。或いは、正極活物質として、硫黄にリチウムを吸蔵させたものを用いることもできる。特に正極10が、正極活物質としてのリチウム含有酸化物を含む場合に、充電時に正極活物質から負極側に適切にリチウムイオンを供給でき、かつ、充放電時の正極活物質の膨張・収縮が少なく、高い性能が得られ易い。正極活物質は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。正極活物質は、例えば、粒子状であってもよく、その大きさは特に限定されるものではない。正極活物質の表面は、イオン伝導性酸化物によって被覆されていてもよい。これにより、正極物活物質と他の電池材料(例えば、後述の硫化物固体電解質等)との反応等が抑制され易くなる。正極活物質の表面を被覆するイオン伝導性酸化物は、例えば、LiBO、LiBO、LiCO、LiAlO、LiSiO、LiSiO、LiPO、LiSO、LiTiO、LiTi12、LiTi、LiZrO、LiNbO、LiMoO、LiWOから選ばれる少なくとも1種であってもよい。正極活物質の表面に対するイオン伝導性酸化物の被覆率(面積率)は、例えば、70%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよい。イオン伝導性酸化物の層の厚さは、例えば、0.1nm以上又は1nm以上であってもよく、100nm以下又は20nm以下であってもよい。
正極活物質層12に含まれ得る電解質は、固体電解質であってもよく、液体電解質(電解液)であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。特に、正極活物質層12が、固体電解質を含む場合に、本開示の技術による一層高い効果が期待できる。固体電解質は、二次電池の固体電解質として公知のものを用いればよい。固体電解質は無機固体電解質であっても、有機ポリマー電解質であってもよい。特に、無機固体電解質は、イオン伝導性及び耐熱性に優れる。無機固体電解質としては、例えば、酸化物固体電解質や硫化物固体電解質が挙げられる。無機固体電解質の中でも、特に、硫化物固体電解質、さらにその中でも構成元素として少なくともLi、S及びPを含む硫化物固体電解質の性能が高い。硫化物固体電解質の詳細については後述する。固体電解質は、非晶質であってもよいし、結晶であってもよい。固体電解質は粒子状であってもよい。固体電解質は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
正極活物質層12に含まれ得る導電助剤としては、例えば、気相法炭素繊維(VGCF)やアセチレンブラック(AB)やケッチェンブラック(KB)やカーボンナノチューブ(CNT)やカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料;ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。導電助剤は、例えば、粒子状又は繊維状であってもよく、その大きさは特に限定されるものではない。導電助剤は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
正極活物質層12に含まれ得るバインダーとしては、例えば、ブタジエンゴム(BR)系バインダー、ブチレンゴム(IIR)系バインダー、アクリレートブタジエンゴム(ABR)系バインダー、スチレンブタジエンゴム(SBR)系バインダー、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系バインダー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系バインダー、ポリイミド(PI)系バインダー、ポリアクリル酸系バインダー等が挙げられる。バインダーは1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
1.2 固体電解質層
固体電解質層20は少なくとも硫化物固体電解質を含む。固体電解質層20に含まれる硫化物固体電解質は、上述の正極活物質層12に含まれ得る硫化物固体電解質と同じ種類であっても異なる種類であってもよい。固体電解質層20は、硫化物固体電解質とともに、その他の電解質を含んでいてもよい。その他の電解質は、固体電解質であってもよいし電解液であってもよい。固体電解質層20は、さらに任意にバインダーや各種添加剤等を含んでいてもよい。固体電解質層20に含まれ得るバインダーは、上述の正極活物質層12に含まれ得るバインダーと同じ種類であっても異なる種類であってもよい。固体電解質層20において、電解質やバインダーは、各々、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。固体電解質層20は、その全体が固体によって形成されていてもよいし、或いは、固体電解質と液体とを含むものであってもよい。固体電解質層20における固体電解質とバインダー等との含有量は特に限定されない。例えば、固体電解質層20全体(固形分全体)を100質量%として、固体電解質の含有量が50質量%以上、60質量%以上又は70質量%以上であってもよく、100質量%以下又は90質量%以下であってもよい。固体電解質層20の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、2mm以下又は1mm以下であってもよい。
硫化物固体電解質は、ガラス系硫化物固体電解質(硫化物ガラス)であってもよく、ガラスセラミックス系硫化物固体電解質であってもよく、結晶系硫化物固体電解質であってもよい。硫化物固体電解質が結晶相を有する場合、結晶相としては、例えば、Thio-LISICON型結晶相、LGPS型結晶相、アルジロダイト型結晶相が挙げられる。硫化物固体電解質は、例えば、Li元素、X元素(Xは、P、As、Sb、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、Inの少なくとも一種である)、及び、S元素を含有するものであってもよい。また、硫化物固体電解質は、O元素およびハロゲン元素の少なくとも一方をさらに含有していてもよい。また、硫化物固体電解質は、S元素をアニオン元素の主成分として含有するものであってもよい。硫化物固体電解質は、例えば、LiS-P、LiS-P-LiI、LiS-P-GeS、LiS-P-LiO、LiS-P-LiO-LiI、LiS-P-LiI-LiBr、LiS-SiS、LiS-SiS-LiI、LiS-SiS-LiBr、LiS-SiS-LiCl、LiS-SiS-B-LiI、LiS-SiS-P-LiI、LiS-B、LiS-P-ZmSn(ただし、m、nは正の数。Zは、Ge、Zn、Gaのいずれか。)、LiS-GeS、LiS-SiS-LiPO、LiS-SiS-LiMO(ただし、x、yは正の数。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga、Inのいずれか。)から選ばれる少なくとも1種であってもよい。硫化物固体電解質の組成は、特に限定されないが、例えば、xLiS・(100-x)P(70≦x≦80)、yLiI・zLiBr・(100-y-z)(xLiS・(1-x)P)(0.7≦x≦0.8、0≦y≦30、0≦z≦30)等が挙げられる。或いは、硫化物固体電解質は、一般式:Li4-xGe1-x(0<x<1)で表される組成を有していてもよい。上記一般式において、Geの少なくとも一部は、Sb、Si、Sn、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V及びNbの少なくとも一つで置換されていてもよい。上記一般式において、Pの少なくとも一部は、Sb、Si、Sn、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V及びNbの少なくとも一つで置換されていてもよい。上記一般式において、Liの一部は、Na、K、Mg、Ca及びZnの少なくとも一つで置換されていてもよい。上記一般式において、Sの一部は、ハロゲン(F、Cl、Br及びIの少なくとも一つ)で置換されていてもよい。或いは、硫化物固体電解質は、Li7-aPS6-a(Xは、Cl、Br及びIの少なくとも一種であり、aは、0以上、2以下の数である)で表される組成を有していてもよい。aは、0であってもよく、0より大きくてもよい。後者の場合、aは、0.1以上であってもよく、0.5以上であってもよく、1以上であってもよい。また、aは、1.8以下であってもよく、1.5以下であってもよい。
1.3 保護層
図1に示されるように、保護層30は、固体電解質層20と負極集電体41との間に存在する。本発明者の知見によると、従来の二次電池は、固体電解質層と負極集電体との間において金属リチウムの析出及び溶解を繰り返した際に、金属リチウムと固体電解質層に含まれる硫化物固体電解質とが反応し、硫化物固体電解質が還元分解するなどして、抵抗が増加し易い。これに対し、本開示の二次電池100においては、固体電解質層20と負極集電体41との間に保護層30が存在することにより、金属リチウム42の析出時に固体電解質層20と金属リチウム42との直接的な接触が抑制され、固体電解質層20に含まれる硫化物固体電解質と金属リチウム42との反応が抑制され易い。また、保護層30が下記構成元素を含むことで、保護層30においてリチウムイオン伝導性が確保される。結果として、二次電池100によれば、充放電後の抵抗の増加を抑制することができる。
保護層30は、構成元素として、Li、P及びOを含む。保護層30は、構成元素として、Li、P、O及びNを含むものであってもよい。構成元素としてLi、P及びOを含む保護層30は、優れたリチウムイオン伝導性を有する。保護層30は、例えば、10-7S/cm超のリチウムイオン伝導度を有するものであってもよい。保護層30に含まれるLi、P及びOは、リン酸化合物に由来するものであってよい。言い換えれば、保護層30は、Li、P及びOを含むリン酸化合物を含んでいてもよい。保護層30は、Sを含まなくてよい。保護層30におけるLi、P、O及びNの比率は特に限定されるものではない。保護層30の表面をXPSで分析した場合におけるLiとPとの元素比率Li/Pは、例えば、0超5.0以下であってもよく、元素比率O/Pは、例えば、0超5.0以下であってもよく、元素比率N/Pは、例えば、0以上2.0以下であってもよい。
保護層30は、例えば、固体電解質層20の負極集電体41側の表面の少なくとも一部(例えば、固体電解質層20の表面の50面積%以上100面積%以下、75面積%以上100面積%以下、又は、90面積%以上100面積%以下)を被覆していてもよいし、負極集電体41の固体電解質層20側の表面の少なくとも一部(例えば、負極集電体41の表面の50面積%以上100面積%以下、75面積%以上100面積%以下、又は、90面積%以上100面積%以下)を被覆していてもよい。いずれの場合も、充電時に保護層30と負極集電体41との間に金属リチウム42が析出し得る。保護層30の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、5nm以上500μm以下、10nm以上50μm以下、又は、50nm以上1μm以下であってもよい。二次電池100は、保護層30を1層のみ備えていてもよく、2層以上備えていてもよい。
1.4 負極集電体
負極集電体41は、二次電池の負極集電体として機能し得るものをいずれも採用可能である。負極集電体41は、金属箔又は金属メッシュであってもよく、或いは、カーボンシートであってもよい。特に、金属箔が取扱い性等に優れる。負極集電体41は、複数枚の金属箔やシートからなっていてもよい。負極集電体41を構成する金属としては、Cu、Ni、Cr、Au、Pt、Ag、Al、Fe、Ti、Zn、Co、ステンレス鋼等が挙げられる。特に、還元耐性を確保する観点及びリチウムと合金化し難い観点から、負極集電体41は、Cu、Ni及びステンレス鋼から選ばれる少なくとも1種の金属を含むもの、中でもNi及びステンレス鋼のうちの少なくとも一方の金属を含むものであってもよい。負極集電体41は、その表面に、何らかのコート層を有していてもよい。また、負極集電体41が複数枚の金属箔からなる場合、当該複数枚の金属箔の間に何らかの層を有していてもよい。負極集電体41の厚みは特に限定されるものではない。例えば、0.1μm以上又は1μm以上であってもよく、1mm以下又は100μm以下であってもよい。
図1に示されるように、負極集電体41は、金属箔41aと、当該金属箔41aの表面に設けられたMg含有層41bと、を有するものであってもよく、当該Mg含有層41bが、上記の保護層30と金属箔41aとの間に存在していてもよい。負極集電体41がMg含有層41bを有することにより、負極集電体41の表面におけるLiの拡散が促進されるとともに、負極集電体41に対する金属リチウム42の親和性が高まり、負極集電体41と金属リチウム42との間の空隙が抑制され、負極集電体41の表面に金属リチウム42がより均一に析出するものと考えられる。Mg含有層41bは、その全ての構成元素において、Mgのモル比が最も多い層であってもよい。Mg含有層41b全体に占めるMgのモル比は、例えば、50mol%以上100mol%以下であってもよく、70mol%以上、80mol%以上又は90mol%以上であってもよい。Mg含有層41bは、例えば、Mgを含有する金属薄膜(例えば蒸着膜)、又は、Mg粒子を含む層のうちの一方であってもよい。Mgを含有する金属薄膜は、Mg又はMg合金から構成され得る。また、Mg粒子は、Mg単体の粒子であってもよく、MgとMg以外の元素とを含有する粒子であってもよい。Mg以外の元素としては、例えば、各種の金属元素や半金属元素や非金属元素が挙げられる。例えば、Mg粒子は、Mgと、Mg以外の金属と、を含有する合金粒子(Mg合金粒子)であってもよい。Mg合金粒子は、Mgを主成分として含有する合金(全構成元素の50モル%以上がMgである合金)であってもよい。Mg合金粒子は、Mg以外の金属Mとして、例えば、Li、Au、Al及びNiのうちの少なくとも1種を含んでいてもよい。Mg合金粒子は、Liを含有していてもよく、含有していなくてもよい。Mg合金粒子は、Li及びMgのβ単相の合金を含んでいてもよい。或いは、Mg粒子は、Mg及びOを含有する酸化物粒子(Mg酸化物粒子)であってもよい。Mg粒子は、一次粒子であってもよく、一次粒子が凝集した二次粒子であってもよい。Mg粒子の平均粒子径(D50)は、例えば、10nm以上100μm以下であってもよい。Mg含有層41bの厚みは、例えば、10nm以上100μm以下であってもよく、50nm以上又は100nm以上であってもよく、50μm以下、10μm以下又は5μm以下であってもよい。Mg含有層41bは、例えば、負極集電体41を構成する上記の金属箔41aの表面に成膜され得る。或いは、負極集電体41の表面においてMg粒子をプレスすることで、Mg含有層41bが形成されてもよい。金属箔41aの表面にMg含有層41bを成膜する方法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法等のPVD法;電解めっき法、無電解めっき法等のめっき法;スラリーを用いた塗工法等が採用され得る。
1.5 負極活物質としての金属リチウム
二次電池100は、リチウム析出型の負極を備える。具体的には、図1に示されるように、充電によって、固体電解質層20と負極集電体41との間(特に、保護層30と負極集電体41との間)に金属リチウム42が析出する。固体電解質層20と負極集電体41との間に析出した金属リチウム42は、放電時に溶解(イオン化)し、正極10へと戻される。尚、本願において、「金属リチウム」とは、リチウム単体のほかリチウム合金も含む概念である。リチウム合金は、Li-Au、Li-Mg、Li-Sn、Li-Al、Li-B、Li-C、Li-Ca、Li-Ga、Li-Ge、Li-As、Li-Se、Li-Ru、Li-Rh、Li-Pd、Li-Ag、Li-Cd、Li-In、Li-Sb、Li-Ir、Li-Pt、Li-Hg、Li-Pb、Li-Bi、Li-Zn、Li-Tl、Li-Te及びLi-Atから選ばれる少なくとも1種であってもよい。固体電解質層20と負極集電体41との間における金属リチウム42の析出量は、特に限定されるものではなく、目的とする電池性能に応じて適宜調整されればよい。
1.6 その他の構成
二次電池100は、上記構成に加えてその他の構成を有していてもよい。例えば、二次電池100は、上記の各構成に接続されたタブや端子を有していてもよく、上記の各構成を収容する外装体を有していてもよく、上記の各構成が樹脂によって封止されていてもよく、上記の各構成を厚み方向に拘束するための拘束部材を有していてもよい。
2.二次電池の製造方法
本開示の二次電池100は、例えば、以下のようにして製造することができる。すなわち、図2に示されるように、一実施形態に係る二次電池100の製造方法は、負極集電体41及び固体電解質層20のうちの一方又は両方の表面を保護層30で被覆して、被覆物50を得ること、前記被覆物50を用いて、正極10、固体電解質層20、保護層30及び負極集電体41をこの順に有する積層体60を得ること、並びに、前記積層体60を充電して、前記固体電解質層20と前記負極集電体41との間に金属リチウム42を析出させること、を含むものであってよい。ここで、前記固体電解質層20が、硫化物固体電解質を含み、前記保護層30が、Li、P及びOを含む。
2.1 被覆
本実施形態に係る製造方法においては、負極集電体41及び固体電解質層20のうちの一方又は両方の表面を保護層30で被覆して、被覆物50を得る。負極集電体41や固体電解質層20の表面を保護層30で被覆する方法については、特に限定されない。例えば、溶液やスラリーを用いた塗工法によって、負極集電体41や固体電解質層20の表面が保護層30によって被覆され得る。或いは、保護層30からなる層が基材上に形成された転写材を得たうえで、当該転写材から負極集電体41や固体電解質層20の表面へと保護層30を転写してもよい。或いは、スパッタリング等によって負極集電体41や固体電解質層20の表面に保護層30を成膜してもよい。
2.2 積層体の作製
本実施形態に係る製造方法においては、上述の被覆物50を用いて、正極10、固体電解質層20、保護層30及び負極集電体41をこの順に有する積層体60を得る。積層体60は、例えば、上述の各材料を塗工したり、転写したり、接着又は圧着したりすること等によって、当該各材料を成形及び積層することで、容易に得られる。積層体60は、上述の正極集電体11と正極活物質層12と固体電解質層20と保護層30と負極集電体41との積層単位を少なくとも1つ備える。積層体60においては、複数の積層単位が互いに電気的に直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよいし、電気的に接続されていなくてもよい。当該積層体60を得る前、又は、得た後において、上記の各層又は積層体60に対して、厚み方向(積層方向)に圧力を加えてもよい。各層又は積層体60は公知の手段にて加圧され得る。各層又は積層体60に印加される積層方向への圧力の大きさは、目的とする電池の性能に応じて適宜決定され得る。当該圧力は100MPa以上、150MPa以上、200MPa以上、250MPa以上、300MPa以上又は350MPa以上であってもよい。各層又は積層体60の加圧時間や加圧温度は特に限定されるものではない。
2.3 充電
本実施形態に係る製造方法においては、上述の積層体60に対して充電を行い、固体電解質層20と負極集電体41との間に金属リチウム42を析出させる。積層体60を充電することで、正極活物質層12に含まれる正極活物質から固体電解質層20を介して負極集電体41側へとリチウムイオンが伝導し、固体電解質層20と負極集電体41との間において、当該リチウムイオンが電子を受け取り、金属リチウム42となって析出する。積層体60は一般的な電池の充電方法と同様の方法によって充電されればよい。例えば、正極集電体11及び負極集電体41に外部電源を接続して充電を行う。
2.4 その他の工程
本実施形態に係る製造方法は、上述した各工程に加えて、二次電池を製造するための一般的な工程を含んでいてもよい。例えば、積層体60を外装体の内部に収容する工程や、積層体60にタブを接続する工程等である。
以上の通り、本開示の技術の一実施形態について説明したが、本開示の技術は、その要旨を逸脱しない範囲で上記の実施形態以外に種々変更が可能である。以下、実施例を示しつつ、本開示の技術についてさらに詳細に説明するが、本開示の技術は以下の実施例に限定されるものではない。
1.負極集電体の作製
SUS箔の表面にMgを蒸着し、Mg蒸着集電体を得た。Mg蒸着膜の厚みは1.0μmである。
2.保護層による被覆
Mg蒸着集電体のMg上に、保護層としてのLiPONをスパッタリング成膜して、LiPONコートMg蒸着集電体を得た。LiPON膜の厚みは100nmである。
3.正極の作製
溶媒としての酪酸ブチルに、正極活物質(NCA):硫化物固体電解質(LiS-P-LiI-LiBr):バインダー(PVdF):導電助剤(AB)=84.7:13.4:0.6:1.27の質量比となるように各成分を添加し、正極スラリーを得た。Al箔上に正極スラリーを塗工ギャップ225μmで塗工し、60℃で仮乾燥、165℃で1時間本乾燥させることで、正極を得た。正極における合材の目付は18.7mg/cm、設計容量は3.0mAh/cmである。
4.固体電解質層の作製
溶媒としての酪酸ブチルに、硫化物固体電解質(同上):バインダー(同上)=92.6:7.4の質量比となるように各成分を添加して、固体電解質スラリーを得た。離型フィルム上に固体電解質スラリーを塗工ギャップ325μmで塗工し、室温で3時間仮乾燥、165℃で1時間本乾燥させた。乾燥後の塗工フィルムをφ14.5mmで2枚打ち抜き、塗工面を重ね合わせて7tでプレスした。プレス後に離型フィルムを剥離し、固体電解質層を得た。
5.評価用セルの作製
5.1 実施例
上記の正極をφ11.28mmで、上記のLiPONコートMg蒸着集電体をφ14.5mmでそれぞれ打ち抜き、上記のφ14.5mmの固体電解質層を、正極とLiPONコートMg蒸着集電体(負極)との間に配置し、正極タブにAl、負極タブにNiをそれぞれ用いて、ラミネートフィルム内に真空封止した。封止したセルに対してCIP(冷間等方プレス)を用いて392MPaで等方プレスし、ラミネートセルを作製した。セルの体積変化によらず拘束圧が一定となるよう、バネを挿入した定圧治具を用いて、作製したセルを1MPaで拘束し、Al箔/NCA正極合材層/固体電解質層/LiPON保護層/Mg層/SUS箔の構成を備える評価用セルを得た。
上記の評価セルとは別に、負極と固体電解質層との反応性の評価に用いるセルを以下の通りに作製した。定寸セルに100mgの硫化物固体電解質を投入し、1tでプレス後、φ11.28mmで打ち抜いたLiPONコートMg蒸着集電体を硫化物固体電解質層に取り付けて、6tでプレスして積層体を得て、当該積層体を2N・mで拘束した。
5.2 比較例
LiPONコートMg蒸着集電体に替えて、Mg蒸着集電体(LiPONなし)を用いたこと以外は、実施例と同様である。
6.電気化学測定
カットオフ電圧4.2V-3.0Vの範囲で、定電流(電流密度:0.15mA/cm、0.05C相当)-定電圧(カットオフ電流密度:0.03mA/cm、0.01C相当)にて、60℃にて、拘束したセルの初回充放電を行った。また上限及び下限カットオフ電圧において開回路で1時間静置した後、交流インピーダンス法によって振幅10mV、周波数1MHz-10mHzの範囲で、60℃での初回充電後・充放電後のセルインピーダンスを各々測定した。
負極と固体電解質層との反応性の評価、及び、充電状態でのエイジング評価として、上記のセル作製後、及び、定電流(電流密度:0.15mA/cm、0.05C相当)-定電圧(カットオフ電流密度:0.03mA/cm、0.01C相当)での上限カットオフ電圧4.2Vまでの充電後の各々において、60℃で開回路にて保持し、交流インピーダンス法によって振幅10mV、周波数1MHz-10mHzの範囲で、60℃でのセルインピーダンスを測定した。
7.SEM-EDXによる評価
LiPONコートMg蒸着集電体のLiPON膜表面、及び、初回充電後の断面について、印加電圧5kVにて、二次電子像でのSEM観察及びEDXマッピングを行った。
8.評価結果
8.1 SEM観察及びEDXマッピング
図3に、LiPONコートMg蒸着集電体のLiPON膜表面のSEM二次電子像及びEDXマッピングを示す。EDXマッピングから明らかなように、表面に均一なP、O及びNの分布がみられた。このことから、Mg蒸着膜の表面にLiPON膜が均一にコートされていることが示唆された。
7.2 充放電曲線
図4に60℃、電流密度0.15mA/cm(~C/20)での、評価セルの初回充放電曲線を示す。充電容量・放電容量はそれぞれ正極活物質基準で、実施例は214mAh/g・201mAh/g、比較例は205mAh/g・188mAh/gであった。LiPONコートの有無による充放電曲線の挙動に特異的な違いがみられない一方で、特に放電容量について、LiPONコートありの実施例では増加がみられた。このことから、LiPONコートにより充放電サイクルの可逆性が改善していることが分かった。
7.3 抵抗
下記表1、図5及び図6に、初回充電後及び初回充放電後のセルインピーダンスとセル1s抵抗とを示す。表1及び図5に示されるように、初回充電後のセルインピーダンスについては、LiPONコートの有無にかかわらずほぼ同じ挙動を示し、セル1s抵抗においてもほぼ変化がみられなかった。これより、LiPONコートの存在が充電時のLi析出において悪影響を及ぼさないことが分かった。一方、表1及び図6に示されるように、初回充放電後のセルインピーダンスについては、界面抵抗由来の半円が、比較例と比べて実施例において顕著に低減し、セル1s抵抗が34%減少した。
以上の通り負極集電体に対してLiPONをコートすることにより、初回放電時の可逆容量の増加と、セル抵抗の減少が同時に確認された。LiPONコートにより、充放電中の析出Liによる硫化物固体電解質の還元分解が抑制され、固体電解質層と析出Li又は負極集電体との界面が維持されたものと推察される。また、LiPONやLiPON/析出Li界面での生成物は、リチウム伝導性を有するものと考えられ、これにより、充放電後もリチウム伝導パスが維持されたものと推察される。
60℃でのLiPONコートの安定性について確認した。下記表2に示されるように、固体電解質層及び負極のみで構成されたセルにおいて、60℃で5日間の保存試験の後に、セル1s抵抗を測定したところ、比較例と実施例とで有意な差はみられなかった。このことから、LiPONコートはMgとも硫化物固体電解質とも、自発的な化学反応によって抵抗増加を引き起こさないことが分かった。また、図7に、上限カットオフ電位4.2Vまでの充電後に、開回路で60℃にて保存試験を行った際のセル1s抵抗の経時変化を示す。表2及び図7に示されるように、実施例の60℃充電状態でのセル1s抵抗は、比較例のそれと比べて53%程度であり、また保存試験開始後の経時変化でのセル1s抵抗の増加分で比べると、いずれも時間の平方根に比例し、その傾きは、比較例よりも実施例のほうが小さかった。つまり、LiPONコートによって、セル1s抵抗の絶対値と増加速度ともに抑えられることが分かる。さらに、図8に、60℃で充電後におけるLiPONコートMg蒸着集電体と固体電解質層との界面の断面SEM二次電子像及びEDXマッピングを示す。図8に示されるように、集電体と固体電解質層との間に、これらとは異なる形態の層が存在し、この層においてP、O及びNが集中して観察される。つまり、充電状態においても、LiPONが集電体と固体電解質層との界面に存在していると推察される。以上の通り、充電状態でのLiPONコートの存在が自発的な化学反応による抵抗増加に寄与しないことを考慮すると、充電時の集電体-固体電解質層界面において、析出Liによる硫化物固体電解質の還元分解によって起こる界面抵抗やセル抵抗の増大が、保護層として機能するLiPONコートによって抑制されるものと考えられる。
10:正極 11:正極集電体 12:正極活物質層 20:固体電解質層 30:保護層 41:負極集電体 42:金属リチウム 50:被覆物 60:積層体 100:二次電池

Claims (2)

  1. 二次電池であって、正極、固体電解質層、保護層、負極集電体、及び、充電によって前記固体電解質層と前記負極集電体との間に析出する金属リチウム、を備え、
    前記固体電解質層が、硫化物固体電解質を含み、
    前記保護層が、前記固体電解質層と前記負極集電体との間に存在し、
    前記保護層が、構成元素として、Li、P及びNを含
    前記負極集電体が、金属箔と、前記金属箔の表面に設けられたMg含有層とを有し、
    前記Mg含有層が、前記保護層と前記金属箔との間に存在する、
    二次電池。
  2. 二次電池の製造方法であって、
    負極集電体及び固体電解質層のうちの一方又は両方の表面を保護層で被覆して、被覆物を得ること、
    前記被覆物を用いて、正極、固体電解質層、保護層及び負極集電体をこの順に有する積層体を得ること、並びに、
    前記積層体を充電して、前記固体電解質層と前記負極集電体との間に金属リチウムを析出させること、を含み、
    前記固体電解質層が、硫化物固体電解質を含み、
    前記保護層が、Li、P及びNを含
    前記負極集電体が、金属箔と、前記金属箔の表面に設けられたMg含有層とを有し、
    前記Mg含有層が、前記保護層と前記金属箔との間に存在する、
    製造方法。
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