JP7836765B2 - 電極付き硬化樹脂シートの製造方法、電極付き硬化樹脂シート、および熱硬化性樹脂シート - Google Patents

電極付き硬化樹脂シートの製造方法、電極付き硬化樹脂シート、および熱硬化性樹脂シート

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Description

本発明は、電極付き硬化樹脂シートの製造方法、電極付き硬化樹脂シート、および熱硬化性樹脂シートに関する。
半導体パッケージなどの電子部品パッケージの製造過程では、実装基板など基材の上に電子部品が実装された後、当該電子部品を被覆する硬化樹脂部が形成されて、電子部品が封止される。基材に対して電子部品がフェイスアップ実装される場合、電子部品における基材とは反対側(電子部品の上面側)にある端子と、基材の端子とが、ボンディングワイヤを介して電気的に接続される。基材に対して電子部品がフェイスダウン実装される場合、従来、電子部品における基材側にある端子と、基材の端子とが、バンプなどの電極を介して電気的に接続される。電子部品パッケージの製造に関する技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。
特開2001-189415号公報
上述のフェイスアップ実装の場合、電子部品を封止する硬化樹脂部は、電子部品の上面側から延び出ているボンディングワイヤが電子部品とともに硬化樹脂部内に埋め込まれる程度の厚さで、形成される。上述のフェイスダウン実装の場合、硬化樹脂部は、基材に対して電極を介して実装された高さにある電子部品が硬化樹脂部内に埋め込まれる程度の厚さで、形成される。そのため、従来、用途に適った充分な薄さの電子部品パッケージを製造できない場合がある。
本発明は、薄い電子部品パッケージを製造するのに適した電極付き硬化樹脂シートの製造方法、電極付き硬化樹脂シート、および、当該シートの製造に用いられる熱硬化性樹脂シートを提供する。
本発明[1]は、仮固定面を有する仮固定基材の前記仮固定面上に複数の電子部品用電極を配置する第1工程と、第1面と当該第1面とは反対側の第2面とを有する熱硬化性樹脂シートの前記第1面を、当該熱硬化性樹脂シートによって前記複数の電子部品用電極を包埋しつつ、前記仮固定基材の前記仮固定面に貼り合わせる、第2工程と、前記熱硬化性樹脂シートを熱硬化させて硬化樹脂シートを形成する第3工程と、前記硬化樹脂シートから前記仮固定基材を離す第4工程と、前記硬化樹脂シートの前記第2面側を研削して、当該第2面側において前記電子部品用電極を露出させる、第5工程とを含む、電極付き実装基板の製造方法を含む。
本方法によると、電極付き硬化樹脂シートが製造される。このシートは、シート状の硬化樹脂部と、当該硬化樹脂部に保持された複数の電子部品用電極とを備える。複数の電極のそれぞれは、シートの厚さ方向の一方面にて露出する第1電極面と、他方面にて露出する第2電極面とを有する。複数の電極は、実装予定の電子部品の種類および数に応じた位置に設けられる。このような電極付き硬化樹脂シートは、次のように、薄い電子部品パッケージを製造するのに適する。
まず、電極付き硬化樹脂シートの片面に電子部品をフェイスダウン実装する。このフェイスダウン実装では、電極付き硬化樹脂シート表面と電子部品表面とが接する状態で、同シートの電極と電子部品表面の端子とを一対一で接合する。次に、半硬化状態の封止用樹脂組成物を、電極付き硬化樹脂シート上に、電子部品を覆うように供給する。次に、電子部品を覆う封止用樹脂組成物を、加熱によって硬化させる。これにより、電極付き硬化樹脂シート上の電子部品まわりに硬化樹脂部が形成される。その後、必要に応じて電子部品パッケージへと個片化する。こうして得られる電子部品パッケージにおいて、電子部品は、電極付き硬化樹脂シートの電極を介して外部接続可能な状態で、同シートの硬化樹脂部と、封止用樹脂組成物から形成された硬化樹脂部とによって、封止されている。このような電子部品パッケージは、電子部品が基材に接する状態で当該基材に対してフェイスダウン実装されているため、従来のフェイスアップ型の電子部品パッケージおよびフェイスダウン型の電子部品パッケージよりも、薄型化するのに適する。すなわち、本発明の製造方法によって得られる電極付き硬化樹脂シートは、薄い電子部品パッケージを製造するのに適する。
本発明[2]は、前記熱硬化性樹脂シートが、硬化後に、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有する、上記[1]に記載の電極付き硬化樹脂シートの製造方法を含む。
このような構成は、上記第4工程において、硬化樹脂シートに塑性変形および割れが生じるのを抑制しつつ、当該硬化樹脂シートから仮固定基材を離すのに適する。
本発明[3]は、第1面、および、当該第1面とは反対側の第2面を有する、硬化樹脂シートと、前記硬化樹脂シート内に配置された複数の電子部品用電極であって、それぞれが、前記第1面側に露出する第1電極面と、前記第2面側に露出する第2電極面とを有する、複数の電子部品用電極と、を備える電極付き硬化樹脂シートを含む。
このような構成の電極付き硬化樹脂シートは、上述の製造方法によって製造でき、薄い電子部品パッケージを製造するのに適する。
本発明[4]は、電極付き硬化樹脂シート製造用の熱硬化性樹脂シートであって、硬化後に、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有する、熱硬化性樹脂シートを含む。
このような熱硬化性樹脂シートは、上述のような電極付き硬化樹脂シート製造方法の第4工程において、硬化樹脂シートに塑性変形および割れが生じるのを抑制しつつ、当該硬化樹脂シートから仮固定基材を離すのに適する。したがって、本熱硬化性樹脂シートは、薄い電子部品パッケージを製造するのに適する電極付き硬化樹脂シートの製造に、用いるのに適する。
本発明[5]は、90℃において3kPa・s以上100kPa・s以下の粘度を有する、上記[4]に記載の熱硬化性樹脂シートを含む。
このような構成は、上述のような電極付き硬化樹脂シート製造方法の第2工程において、90℃およびその近傍の温度条件で、熱硬化性樹脂シートと電極との間に空隙が形成されるのを抑制しつつ、同シートによって電極を包埋するのに適する。
本発明[6]は、150℃で1時間の加熱処理、および、その後の25℃および相対湿度40%の条件での1時間の第1の静置の後、質量W1を有し、前記第1の静置後の、85℃および相対湿度85%の条件での168時間の第2の静置の後、質量W2を有し、[(W2-W1)/W1]×100で表される吸湿率が0.3質量%以下である、上記[4]または[5]に記載の熱硬化性樹脂シートを含む。
このような構成は、熱硬化性樹脂シートから形成される硬化樹脂部の封止信頼性を確保するのに好ましい。
本発明[7]は、10GHzにおいて4.2以下の比誘電率を有する、上記[4]から[6]のいずれか一つに記載の熱硬化性樹脂シートを含む。
このような構成は、熱硬化性樹脂シートから形成される硬化樹脂部を通過する高周波信号の伝送損失を、低減するのに好ましい。
本発明の電極付き硬化樹脂シートの製造方法の一実施形態の工程図である。図1Aは電極配置工程を表し、図1Bは貼合せ工程を表し、図1Cは硬化工程を表し、図1Dは剥離工程を表し、図1Eは研削工程を表す。 本発明の熱硬化性樹脂シートの一実施形態の断面模式図である。 電極付き硬化樹脂シートの使用方法の一例を表す。図3Aは、電極付き硬化樹脂シートに電子部品を実装する工程を表し、図3Bは、電子部品を封止するための熱硬化性組成物を供給する工程を表し、図3Cは熱硬化性組成物を硬化させる工程を表す。
図1Aから図1Eは、本発明の電極付き硬化樹脂シートの製造方法の一実施形態の工程図である。本製造方法は、第1工程としての電極配置工程(図1A)と、第2工程としての貼合せ工程(図1B)と、第3工程としての硬化工程(図1C)と、第4工程としての剥離工程(図1D)と、第5工程としての研削工程(図1E)とを含む。具体的には、以下のとおりである。
まず、電極配置工程では、図1Aに示すように、仮固定基材10上に電極20を配置する。仮固定基材10は、厚さ方向Tの一方側に、粘着力を有する仮固定面11を有する。
本工程では、具体的には、電子部品用の複数の電極20(電子部品用電極)を、仮固定基材10の仮固定面11上に配置する。
仮固定基材10は、例えば、支持基材と、当該支持基材上に配置されて仮固定面11を形成する粘着剤層とを備える。支持基材としては、例えば、樹脂基材および金属基材が挙げられる。樹脂基材としては、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムが挙げられる。金属基材の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、およびニッケルが挙げられる。粘着剤層は、感圧接着剤から形成されている。粘着剤層は、粘着力が事後的に低下可能な粘着剤層であってもよい。そのような粘着剤層としては、例えば、紫外線照射によって硬化して粘着力が低下可能な粘着剤層が挙げられる。
電極20は、半導体チップなど電子部品の電極である。電極20は、本実施形態では、第1部分21と第2部分22とを有する。厚さ方向Tと直交する面方向において、第1部分21は相対的に細く、第2部分22は相対的に太い。第1部分21および第2部分22の平面視形状は、それぞれ、円形であってもよし、正方形などの矩形であってもよい。第1部分21の幅(面方向における最大長さ)は、例えば20~100μmである。第2部分22の幅(面方向における最大長さ)は、第1部分21の幅より大きい限りにおいて、例えば40~300μmである。本実施形態では、電極20の第1部分21側が、仮固定面11に仮固定されている。仮固定面11上に配置される電極20の高さ(厚さ方向Tの長さ)は、例えば20~100μmである。また、複数の電極20は、仮固定面11上において、面方向に互いに間隔を空けて配置されている。隣り合う電極20の間隔は、例えば100~500μmである。複数の電極20は、本製造方法によって製造される電極付き硬化樹脂シートX(図1Eに示す)に対して実装予定の電子部品の種類および数に応じた位置に、設けられる。電極20の材料としては、例えば、銅、銀、ニッケル、および金が挙げられる。
次に、貼合せ工程では、図1Bに示すように、仮固定基材10に対して熱硬化性樹脂シート30を貼り合わせる。本工程で用いられる熱硬化性樹脂シート30は、図2に示すように、第1面31と、当該第1面31とは反対側の第2面32とを有し、厚さ方向Tと直交する方向に延びる。熱硬化性樹脂シート30は、後述するように、熱硬化性樹脂と、無機充填材とを含む。また、熱硬化性樹脂シート30は、半硬化状態(Bステージの状態)にある。
本工程では、具体的には、仮固定基材10の仮固定面11上の複数の電極20を熱硬化性樹脂シート30によって包埋しつつ、熱硬化性樹脂シート30の第1面31を仮固定面11に貼り合わせる。貼り合わせには、真空プレス機を使用できる。好ましくは、貼り合わせの前に、熱硬化性樹脂シート30を加熱によって軟化させる。本工程での加熱温度(軟化温度)は、例えば40℃以上であり、好ましくは60℃以上である。当該加熱温度は、熱硬化性樹脂シート30の硬化温度未満であって、例えば100℃未満であり、好ましくは90℃以下である。
次に、硬化工程では、図1Cに示すように、熱硬化性樹脂シート30を熱硬化させて硬化樹脂シート30Aを形成する。加熱温度(硬化温度)は、上述の軟化温度より高く、例えば100℃以上、好ましくは120℃以上である。加熱温度(硬化温度)は、例えば200℃以下、好ましくは180℃以下である。加熱時間は、例えば10分以上、好ましくは30分以上である。加熱時間は、例えば180分以下、好ましくは120分以下である。
次に、剥離工程では、図1Dに示すように、硬化樹脂シート30Aから仮固定基材10を離す。仮固定基材10の仮固定面11が、紫外線照射によって粘着力が低下可能な粘着剤層から形成されている場合、紫外線照射によって粘着剤層の粘着力を低下させた後に、硬化樹脂シート30Aから仮固定基材10を離す。これにより、仮固定面11と接触していた、硬化樹脂シート30Aの第1面31と、電極20の第1部分21の端面(後述の第1電極面20a)とが、露出する。
次に、研削工程では、図1Eに示すように、硬化樹脂シート30A(硬化した熱硬化性樹脂シート30)の第2面側32を研削して、第2面32側において電極20の第2部分22の端面(後述の第2電極面20b)を露出させる。本工程では、硬化樹脂シート30Aとともに電極20が研削されてもよい。研削加工には、例えば、研削砥石を備えるバックグラインド装置を使用する。研削後の硬化樹脂シート30Aの厚さは、例えば80μm以上であり、また、例えば500μm以下である。研削前の電極20の高さ(厚さ方向Tの長さ)に対する、研削後の電極20の高さの比率は、例えば0.8~1である。
以上のようにして、電極付き硬化樹脂シートXが製造される。電極付き硬化樹脂シートXは、シート状の硬化樹脂部としての硬化樹脂シート30Aと、硬化樹脂シート30A内に配置された複数の電極20とを備える。硬化樹脂シート30Aは、第1面31と、当該第1面31とは反対側の第2面32とを有し、硬化樹脂シート30A内に配置されて保持された各電極20は、第1面31側に露出する第1電極面20aと、第2面32側に露出する第2電極面20bとを有する。複数の電極20は、電極付き硬化樹脂シートXに実装予定の電子部品の種類および数に応じた位置に設けられている。
図3は、電極付き硬化樹脂シートXの使用方法の一例として、半導体パッケージの製造方法を表す。
まず、図3Aに示すように、電極付き硬化樹脂シートXの第2面Xbに、半導体チップ50をフェイスダウン実装する。半導体チップ50は、本実施形態では、無線通信用の半導体チップである。半導体チップ50の動作周波数は、例えば0.01~100GHzである。また、半導体チップ50は、主面51および側面52を有する。主面51には、外部接続用の端子(図示せず)が設けられている。本工程のフェイスダウン実装では、電極付き硬化樹脂シートXの第2面Xbと半導体チップ50の主面51とが接する状態で、電極20の第2電極面20bと主面51における端子とを一対一で接合する。接合方法としては、例えば、超音波接合およびハンダ接合が挙げられる。
次に、図3Bに示すように、電極付き硬化樹脂シートX上に、半硬化状態の封止用樹脂組成物60を、半導体チップ50を覆うように供給する。封止用樹脂組成物60は、例えば、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性の樹脂組成物である。
次に、図3Cに示すように、半導体チップ50を覆う封止用樹脂組成物60を、加熱によって硬化させ、電極付き硬化樹脂シートX上の半導体チップ50まわりに硬化樹脂部60Aを形成する。加熱温度は、例えば100℃~200℃である。
この後、例えばブレードダイシングにより、電極付き硬化樹脂シートXおよび硬化樹脂部60Aが所定の切断予定ラインに沿って切断されて、半導体パッケージへの個片化がなされる。こうして得られる半導体パッケージにおいて、半導体チップ50は、電極付き硬化樹脂シートXの電極20を介して外部接続可能な状態で、電極付き硬化樹脂シートXの硬化樹脂部としての硬化樹脂シート30Aと、封止用樹脂組成物60から形成された硬化樹脂部60Aとによって、封止されている。このような半導体パッケージは、半導体チップ50が電極付き硬化樹脂シートXに接する状態で電極付き硬化樹脂シートXに対してフェイスダウン実装されているため、従来のフェイスアップ型の半導体パッケージおよびフェイスダウン型の半導体パッケージよりも、薄型化するのに適する。すなわち、図1を参照して上述した本発明の製造方法によって得られる電極付き硬化樹脂シートXは、薄い半導体パッケージを製造するのに適する。
図2に示す熱硬化性樹脂シート30は、本発明の熱硬化性樹脂シートの一実施形態であり、熱硬化性組成物から形成されている。熱硬化性組成物は、本実施形態では、熱硬化性樹脂と、無機充填材とを含む。また、熱硬化性樹脂シート30は、半硬化状態(Bステージの状態)にある。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂が挙げられる。これら熱硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。熱硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有割合は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上である。熱硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有割合は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
熱硬化性樹脂は、好ましくは、エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂としては、例えば、2官能エポキシ樹脂、および、3官能以上の多官能エポキシ樹脂が挙げられる。2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびビフェニル型エポキシ樹脂が挙げられる。3官能以上の多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。エポキシ樹脂としては、好ましくは、2官能エポキシ樹脂および/または上記多官能エポキシ樹脂が用いられ、より好ましくはビスフェノールF型エポキシが用いられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは10g/eq以上、より好ましくは50g/eq以上、更に好ましくは100g/eq以上である。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは500g/eq以下、より好ましくは450g/eq以下、更に好ましくは400g/eq以下である。熱硬化性樹脂が複数のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ当量は、複数のエポキシ樹脂の加重平均エポキシ当量である。
エポキシ樹脂が用いられる場合、熱硬化性樹脂は、好ましくは、エポキシ樹脂用の硬化剤としてのフェノール樹脂を含む。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30が硬化後に高い耐熱性と高い耐薬品性を示すのに適し、従って、封止信頼性に優れた硬化樹脂部を熱硬化性樹脂シート30から形成するのに適する。フェノール樹脂としては、好ましくは、ノボラック型フェノール樹脂および/またはトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が用いられる。ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタンノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、およびノニルフェノールノボラック樹脂が挙げられる。トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。これらフェノール樹脂は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
熱硬化性組成物において、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対する、フェノール樹脂中の水酸基量は、好ましくは0.7当量以上、より好ましくは0.9当量以上である。熱硬化性組成物において、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対する、フェノール樹脂中の水酸基量は、好ましくは1.5当量以下、より好ましくは1.2当量以下である。また、エポキシ樹脂100質量部に対するフェノール樹脂の配合量は、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。エポキシ樹脂100質量部に対する硬化剤としてのフェノール樹脂の配合量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下である。
無機充填材としては、例えば、中実構造を有する無機粒子(中実無機粒子)、および、中空構造の無機粒子(中空無機粒子)が挙げられる。
中実無機粒子の材料としては、例えば、シリカ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化セシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、および炭化ケイ素が挙げられる。中実無機粒子は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。中実無機粒子としては、好ましくは中実シリカフィラーが用いられる。
中実無機粒子の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。同平均粒子径は、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。これら構成は、上述の貼合せ工程(図1B)の熱硬化性樹脂シート30において、良好な粘度を確保して、電極形状追従性を確保するのに好ましい。中実無機粒子の平均粒子径は、体積基準の粒度分布におけるメジアン径(小径側から体積累積頻度が50%に達する粒径)であり、例えば、レーザー回析・散乱法によって得られる粒度分布に基づいて求められる(他の無機充填材の平均粒子径についても同様である)。
熱硬化性組成物における中実無機粒子の含有割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30において、温度変化による膨張収縮を抑制するのに適する。同含有割合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30において、上述の貼合せ工程(図1B)での流動性を確保するのに適する。
中実無機粒子の材料としては、層状ケイ酸塩化合物も挙げられる。熱硬化性組成物中の層状ケイ酸塩化合物の粒子は、当該熱硬化性組成物にチキソトロピック性を発現させつつ、熱硬化性組成物を増粘させる成分である。層状ケイ酸塩化合物としては、例えば、スメクタイト、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、およびマイカが挙げられる。スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、およびスチーブンサイトが挙げられる。層状ケイ酸塩化合物としては、熱硬化性樹脂と混合しやすいことから、好ましくはスメクタイトが用いられ、より好ましくはモンモリロナイトが用いられる。
層状ケイ酸塩化合物は、表面が変性されていない未変性物でもよく、また、表面が有機成分により変性された変性物でもよい。例えば第1熱硬化性樹脂との親和性の観点からは、好ましくは、表面が有機成分により変性された層状ケイ酸塩化合物が用いられ、より好ましくは、表面が有機成分で変性された有機化スメクタイトが用いられ、更に好ましくは、表面が有機成分で変性された有機化ベントナイトが用いられる。
有機成分としては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウム、フォスフォニウムなどの有機カチオン(オニウムイオン)が挙げられる。アンモニウムとしては、例えば、ジメチルジステアリルアンモニウム、ジステアリルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、2-ヘキシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、およびトリオクチルアンモニウムが挙げられる。イミダゾリウムとしては、例えば、メチルステアリルイミダゾリウム、ジステアリルイミダゾリウム、メチルヘキシルイミダゾリウム、ジヘキシルイミダゾリウム、メチルオクチルイミダゾリウム、ジオクチルイミダゾリウム、メチルドデシルイミダゾリウム、およびジドデシルイミダゾリウムが挙げられる。ピリジニウムとしては、例えば、ステアリルピリジニウム、ヘキシルピリジニウム、オクチルピリジニウム、およびドデシルピリジニウムが挙げられる。フォスフォニウムとしては、例えば、ジメチルジステアリルフォスフォニウム、ジステアリルフォスフォニウム、オクタデシルフォスフォニウム、ヘキシルフォスフォニウム、オクチルフォスフォニウム、2-ヘキシルフォスフォニウム、ドデシルフォスフォニウム、およびトリオクチルフォスフォニウムが挙げられる。有機カチオンは、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。有機カチオンとしては、好ましくはアンモニウムが用いられ、より好ましくはジメチルジステアリルアンモニウムが用いられる。
有機化層状ケイ酸塩化合物としては、好ましくは、表面がアンモニウムで変性された有機化スメクタイトが用いられ、より好ましくは、表面がジメチルジステアリルアンモニウムで変性された有機化ベントナイトが用いられる。
層状ケイ酸塩化合物の平均粒子径は、好ましくは1nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは10nm以上である。層状ケイ酸塩化合物の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
熱硬化性組成物における層状ケイ酸塩化合物の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.4質量%以上である。このような構成は、熱硬化性組成物を増粘させつつ、当該熱硬化性組成物において、押圧力を受けるときには受けないときより低粘度化するチキソトロピック性を発現させるのに適する。このようなチキソトロピック性は、上述の貼合せ工程(図1B)の熱硬化性樹脂シート30において、良好な電極形状追従性を確保するのに好ましい。熱硬化性組成物の過度の増粘を避ける観点から、熱硬化性組成物における層状ケイ酸塩化合物の含有割合は、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
中空無機粒子としては、好ましくは、中空セラミックスフィラーが用いられる。中空セラミックスフィラーは、焼成された無機材料よりなる中空フィラーである。中空セラミックスフィラーの材料としては、例えば、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックス、およびガラスセラミックスが挙げられる。酸化物セラミックスとしては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化セシウムが挙げられる。窒化物セラミックスとしては、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン、および窒化アルミニウムが挙げられる。炭化物セラミックスとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化チタン、および炭化タングステンが挙げられる。ガラスセラミックスとしては、例えば、アルミノ硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、鉛硼珪酸ガラス、亜鉛硼珪酸ガラスが挙げられる。中空セラミックスフィラーとしては、好ましくはガラスセラミックスが用いられ、より好ましくはアルミノ硼珪酸ガラスが用いられる。
中空セラミックスフィラーの平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。同平均粒子径は、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。
中空セラミックスフィラーの粒子密度は、好ましくは0.3g/cm以上、より好ましくは0.5g/cm以上であり、また、好ましくは0.9g/cm以下、より好ましくは0.8g/cm以下である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30から形成される上述の硬化樹脂シート30A(硬化樹脂部)を低誘電率化するのに好ましく、従って、上述の半導体パッケージにおいて当該硬化樹脂部を通過する高周波信号の伝送損失を低減するのに好ましい。
熱硬化性組成物における中空セラミックスフィラーの含有割合は、上述の伝送損失低減の観点からは、好ましくは15体積%以上、より好ましくは50体積%以上、より一層好ましくは60体積%以上、更に好ましくは65体積%以上、殊更に好ましくは70体積%以上、特に好ましくは75体積%以上である。上述の伝送損失低減の観点からは、無機充填材における中空セラミックスフィラーの割合は、好ましくは20体積%以上、より好ましくは50体積%以上、更に好ましくは80体積%以上、特に好ましくは100体積%である。また、熱硬化性組成物における中空セラミックスフィラーの含有割合は、好ましくは85体積%以下、より好ましくは82体積%以下、更に好ましくは80体積%以下である。熱硬化性組成物における中空セラミックスフィラーの含有割合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30において、上述の貼合せ工程(図1B)での流動性を確保するのに適する。
熱硬化性組成物における無機充填材の含有割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30において、温度変化による膨張収縮を抑制するのに適する。同含有割合は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30において、上述の貼合せ工程(図1B)での流動性を確保するのに適する。
熱硬化性組成物は、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、顔料、およびシランカップリング剤が挙げられる。
硬化促進剤は、加熱によって熱硬化性樹脂の硬化を促進する触媒(熱硬化触媒)である。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物および有機リン化合物が挙げられる。イミダゾール化合物としては、例えば、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、および2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。有機リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、およびメチルジフェニルホスフィンが挙げられる。硬化促進剤としては、好ましくはイミダゾール化合物が用いられ、より好ましくは2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールが用いられる。熱硬化性樹脂100質量部に対する硬化促進剤の配合量は、例えば0.05質量部以上であり、また、例えば5質量部以下である。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂(PETなど)、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、およびスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体が挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、二種類以上が併用されてもよい。
熱可塑性樹脂としては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との相溶性を確保する観点から、好ましくはアクリル樹脂が用いられる。アクリル樹脂としては、例えば、直鎖または分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、その他のモノマー(共重合性モノマー)とを含むモノマー成分の重合物としての(メタ)アクリルポリマーが挙げられる。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-70℃以上である。同ガラス転移温度は、好ましくは0℃以下、より好ましくは-5℃以下である。ポリマーのガラス転移温度(Tg)については、下記のFoxの式に基づき求められるガラス転移温度(理論値)を用いることができる。Foxの式は、ポリマーのガラス転移温度Tgと、当該ポリマーを構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。下記のFoxの式において、Tgはポリマーのガラス転移温度(℃)を表し、Wiは当該ポリマーを構成するモノマーiの重量分率を表し、Tgiは、モノマーiから形成されるホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。ホモポリマーのガラス転移温度については文献値を用いることができ、例えば、「Polymer Handbook」(第4版,John Wiley & Sons,Inc., 1999年)および「新高分子文庫7 塗料用合成樹脂入門」(北岡協三著,高分子刊行会,1995年)には、各種のホモポリマーのガラス転移温度が挙げられている。一方、モノマーのホモポリマーのガラス転移温度については、特開2007-51271号公報に具体的に記載されている方法によって求めることも可能である。
Foxの式 1/(273+Tg)=Σ[Wi/(273+Tgi)]
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10万以上、好ましくは30万以上である。熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下である。樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトフラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値に基づいて測定される。
熱硬化性組成物における熱可塑性樹脂の含有割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上である。同含有割合は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
顔料としては、例えば、カーボンブラックなどの黒色顔料が挙げられる。顔料の粒子径は、例えば0.001μm以上であり、また、例えば1μm以下である。顔料の粒子径は、顔料を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。また、熱硬化性組成物における顔料の含有割合は、例えば0.1質量%以上であり、また、例えば2質量%以下である。
シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基を含有するシランカップリング剤が挙げられる。エポキシ基含有のシランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシジアルキルジアルコキシシラン、および3-グリシドキシアルキルトリアルコキシシランが挙げられる。3-グリシドキシジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、および3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。3-グリシドキシアルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、および3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。シランカップリング剤としては、好ましくは3-グリシドキシアルキルトリアルコキシシランが用いられ、より好ましくは3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが用いられる。熱硬化性組成物におけるシランカップリング剤の含有割合は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上である。同含有割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
熱硬化性樹脂シート30は、例えば次のようにして製造できる。
まず、熱硬化性組成物に関して上記した各成分と溶媒とを混錬して、熱硬化性組成物のワニスを調製する。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、およびトルエンが挙げられる。次に、剥離フィルムなどの基材の上に、前記ワニスを塗布して塗膜を形成した後、当該塗膜を加熱によって乾燥させる。これにより、半硬化状態にある所定厚さの組成物膜を熱硬化性樹脂シート30として形成できる(図2では、仮想線で示す剥離フィルムL上に熱硬化性樹脂シート30が配置されている)。剥離フィルムとしては、例えば、可撓性を有するプラスチックフィルムが挙げられる。当該プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムが挙げられる。剥離フィルムの厚さは、例えば3μm以上であり、また、例えば200μm以下である。剥離フィルムの表面は、好ましくは離型処理されている。
分厚い熱硬化性樹脂シート30を製造する場合には、複数枚の組成物膜を、加熱条件下で貼り合わせて一体化させてもよい。加熱温度は、例えば70℃~90℃である。
以上のようにして、所定厚さの熱硬化性樹脂シート30を作製できる。熱硬化性樹脂シート30の厚さは、例えば10μm以上であり、好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上である。熱硬化性樹脂シート30の厚さは、例えば3000μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、更に好ましくは300μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
熱硬化性樹脂シート30は、150℃で1時間の加熱によって硬化された後、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有する。このような構成は、上述の剥離工程(図1D)において、硬化樹脂シート30Aに塑性変形および割れが生じるのを抑制しつつ、硬化樹脂シート30Aから仮固定基材10を離すのに適する。このような熱硬化性樹脂シート30は、上述の電極付き硬化樹脂シートXの製造に用いるのに適する。上記塑性変形および割れの抑制の観点から、熱硬化性樹脂シート30の上記貯蔵弾性率は、好ましくは5GPa以上、より好ましくは7GPa以上であり、また、好ましくは16GPa以下、より好ましくは12GPa以下である。引張貯蔵弾性率は、実施例に関して後述する方法によって測定できる。
熱硬化性樹脂シート30は、90℃において3kPa・s以上100kPa・s以下の粘度を有する。このような構成は、上述の剥離工程(図1B)において、90℃およびその近傍の温度条件で、熱硬化性樹脂シート30と電極20との間に空隙が形成されるのを抑制しつつ、熱硬化性樹脂シート30によって電極20を包埋するのに適する。このような包埋性の観点から、熱硬化性樹脂シート30の90℃での粘度は、好ましくは5kPa・s以上、より好ましくは6kPa・s以上であり、また、90kPa・s以下、80kPa・s以下である。90℃での粘度は、実施例に関して後述する測定方法によって求めることができる。
熱硬化性樹脂シート30は、150℃で1時間の加熱処理、および、その後の25℃および相対湿度40%の条件での1時間の第1の静置の後、質量W1を有する。熱硬化性樹脂シート30は、第1の静置後の、85℃および相対湿度85%の条件での168時間の第2の静置の後、質量W2を有する。そして、熱硬化性樹脂シート30は、[(W2-W1)/W1]×100で表される吸湿率が、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30から形成される硬化樹脂部の封止信頼性を確保するのに好ましい。
熱硬化性樹脂シート30は、150℃で1時間の加熱によって硬化された後、10GHzでの比誘電率が、好ましくは4.2以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下である。このような構成は、熱硬化性樹脂シート30から形成される硬化樹脂部を通過する高周波信号の伝送損失を低減するのに好ましい。比誘電率は、例えば1以上である。比誘電率は、実施例に関して後述する方法によって測定できる。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明する。本発明は、実施例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合量(含有量)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合量(含有量)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」または「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」または「超える」として定義されている数値)に代替できる。
〔実施例1~4および比較例1,2〕
表1に示す配合処方で各成分を混合し、組成物のワニスを調製した(表1において、組成を表す各数値の単位は、相対的な「質量部」である)。次に、表面がシリコーン離型処理されているポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)上に、ワニスを塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、120℃で2分間、加熱乾燥し、PETフィルム上に厚さ65μmの組成物膜を作製した(形成された組成物膜はBステージの状態にある)。次に、4枚の組成物膜を80℃で貼り合わせて、厚さ260μmの熱硬化性樹脂シートを作製した(形成された熱硬化性樹脂シートはBステージの状態にある)。
〈熱硬化性樹脂シートの粘度〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、90℃での粘度を測定した。本測定では、レオメーター(商品名「HAAKE MARS III」,Thermo Fisher Scientific社製)を使用し、同装置における加熱用の熱プレートと、当該熱プレートに対して平行に配置されるパラレルプレート(直径8mm)との間に、熱硬化性樹脂シートから採取した試料を挟み、プレート間のギャップを1mmとした。そして、周波数1Hz、歪み値0.005%、測定温度範囲50℃~90℃、および昇温速度30℃/分の条件で、粘度を測定した。90℃での粘度(kPa・s)を表1に示す。
〈引張貯蔵弾性率〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、次のようにして、硬化後の引張貯蔵弾性率を測定した。まず、熱硬化性樹脂シートを、150℃で1時間の加熱によって硬化させた。次に、硬化後の熱硬化性樹脂シートから測定用のサンプル片(幅3mm×長さ40mm×厚さ260μm)を切り出した。次に、動的粘弾性測定装置(商品名「RSA-G2」,TAインスツルメンツ社製)を使用して、-10℃~260℃の温度範囲で引張貯蔵弾性率を測定した。本測定においては、試料片保持用チャックの初期チャック間距離を22.5mmとし、測定モードを引張りモードとし、昇温速度を10℃/分とし、周波数を1Hzとし、動的ひずみを0.05%とした。25℃での引張貯蔵弾性率(GPa)を表1に示す。
〈吸湿率〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、次のようにして吸湿率を調べた。まず、熱硬化性樹脂シートを、150℃で1時間の加熱によって硬化させた。次に、硬化後の熱硬化性樹脂シートから測定用のサンプル片(幅50mm×長さ50mm×厚さ260μm)を切り出した。次に、サンプル片を、25℃および相対湿度40%の条件で、1時間、静置した。次に、サンプル片の質量(質量W1)を測定した。次に、当該サンプル片を、85℃および相対湿度85%の条件で、168時間、静置した。次に、当該サンプル片の質量(質量W2)を測定した。そして、下記式で表される吸湿率を算出した。その値(%)を表1に示す。
吸湿率(%)=[(W2-W1)/W1]×100
〈比誘電率〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、次のようにして、硬化後の10GHzでの比誘電率を測定した。まず、熱硬化性樹脂シートを、150℃で1時間の加熱によって硬化させた。次に、硬化後の熱硬化性樹脂シートから測定用のサンプル片(幅30mm×長さ30mm×厚さ260μm)を切り出した。次に、PNAネットワークアナライザー(アジレント・テクノロジー社製)とSPDR(Split post dielectric resonators)共振器とにより、サンプル片の10GHzでの比誘電率を測定した。
測定結果を表1に示す。
〈反りの評価〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、硬化後の反りの程度を調べた。具体的には、まず、90mm×90mm×厚さ150μmのサイズの42アロイ板と、当該42アロイ板の厚さ方向一方面の全体に貼り合わされた熱硬化性樹脂シートとを備える積層体サンプルを、150℃で1時間加熱し、その後、25℃で1時間静置した。そして、積層体サンプルの42アロイ板を下側にして積層体サンプルが載置される載置面と、積層体サンプルの縁端との間の距離の最大値を、反り量(mm)として測定した。その結果を表1に示す。
〈耐変形・割れ性〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、電極付き硬化樹脂シートを作製する過程での変形および割れの有無を調べた。具体的には、まず、仮固定面上に複数の電極が配置された仮固定基材の仮固定面に対し、複数の電極を熱硬化性樹脂シートによって包埋しつつ、熱硬化性樹脂シートを貼り合わせた(図1B)。仮固定基材は、厚さ100μmのSUS製基材である。電極は、銅からなり、円柱形状の第1部分(高さ30μm)と、より大径の円柱形状の第2部分(高さ20μm)とを有する。隣り合う電極間の距離は、100~150μm程度とした。また、貼り合わせには、真空プレス機(品名「真空加圧装置VS008-1515」,ミカドテクノス社製)を使用した。貼り合わせにおいては、温度90℃、プレス圧0.1MPaおよびプレス時間40秒の条件で、真空度2000Pa以下で封止を実施して、貼り合わせ体を得た。次に、貼り合わせ体(仮固定基材,電極,熱硬化性樹脂シート)を、150℃で1時間加熱した(図1C)。これにより、熱硬化性樹脂シートを硬化させて、電極を保持する硬化樹脂シートを形成した。次に、貼り合わせ体を、25℃で1時間、静置した。次に、貼り合わせ体について、電極付き硬化樹脂シートから仮固定基材を剥離した(図1D)。剥離においては、剥離角度を90°~145°とし、剥離速度を300mm/秒程度とした。その後、電極付き硬化樹脂シートの目視観察により、変形の有無およびクラックの有無を確認した。硬化後の熱硬化性樹脂シートの耐変形・割れ性について、変形も割れも生じていない場合を“良”と評価し、変形および/または割れが生じている場合を“不良”と評価した。その結果を表1に示す。
〈電極の埋まり込み性〉
実施例1~4および比較例1,2の各熱硬化性樹脂シートについて、電極付き硬化樹脂シートを作製する過程での電極の埋まり込み性を調べた。具体的には、まず、上述の耐変形・割れ性の評価に供した電極付き硬化樹脂シートを厚さ方向に裁断し、所定の電極と当該電極まわりの硬化樹脂部との断面を、切り出した。次に、光学顕微鏡を使用して前記断面を観察した。硬化後の熱硬化性樹脂シートにおける電極の埋まり込み性について、電極と硬化樹脂部との間に空隙が生じていない場合を“良”と評価し、空隙が生じている場合を“不良”と評価した。その結果を表1に示す。
実施例および比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
第1エポキシ樹脂:新日鐵化学社製の「YSLV-80XY」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂,高分子量エポキシ樹脂,エポキシ当量191g/eq,常温で固体,軟化点80℃)
第2エポキシ樹脂:日本化薬社製の「EPPN-501HY」(多官能エポキシ樹脂,エポキシ当量169g/eq,常温で固体,軟化点60℃)
第1フェノール樹脂:群栄化学社製の「LVR-8210DL」(ノボラック型フェノール樹脂,潜在性硬化剤,水酸基当量104g/eq,常温で固体,軟化点60℃)
第2フェノール樹脂:群栄化学社製の「TPM-100」(トリフェニルメタン型フェノール樹脂,潜在性硬化剤,水酸基当量98g/eq,常温で固体,軟化点108.2℃)
アクリル樹脂(アクリルポリマー):根上工業社製の「HME-2006M」(カルボキシル基含有のアクリル樹脂,酸価32mgKOH/g,重量平均分子量129万,ガラス転移温度(Tg)-13.9℃,固形分濃度20質量%のメチルエチルケトン溶液)
第1シリカフィラー:デンカ株式会社製の「FB-8SM」(球状シリカ粒子、平均粒子径7.0μm,表面処理なし)
第2シリカフィラー:アドマテックス社製の「SC220G-SMJ」(球状シリカ粒子,平均粒径0.5μm)を3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製の「KBM-503」)で表面処理したもの(表面処理に用いたシランカップリング剤は、シリカ粒子100質量部に対して1質量部)
中空セラミックスフィラー:太平洋セメント社製の「セルスフィアーズ」(アルミノホウケイ酸ガラス,中空構造の球状粒子,平均粒子径4.0μm,粒子密度0.6g/cm
層状ケイ酸塩化合物:ホージュン社製の「エスベンNX」(表面がジメチルジステアリルアンモニウムで変性された有機化ベントナイト)
硬化促進剤:四国化成工業社製の「2PHZ-PW」(2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール)
シランカップリング剤:信越化学社製の「KBM-403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
顔料:三菱化学社製の「カーボンブラック#20」(平均粒子径50nm)
溶媒:メチルエチルケトン(MEK)
本発明は、電極付き硬化樹脂シートの製造方法、電極付き硬化樹脂シート、および熱硬化性樹脂シートに関する。
上述の実施形態は本発明の例示であり、当該実施形態によって本発明を限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記の請求の範囲に含まれる。
本発明の本発明は、電極付き硬化樹脂シートの製造方法、電極付き硬化樹脂シート、および熱硬化性樹脂シートは、半導体パッケージなどの電子部品パッケージの製造に用いることができる。
X 電極付き硬化樹脂シート
T 厚さ方向
10 仮固定基材
11 仮固定面
20 電極(電子部品用電極)
20a 第1電極面
20b 第2電極面
21 第1部分
22 第2部分
30 熱硬化性樹脂シート
31 第1面
32 第2面
30A 硬化樹脂シート

Claims (6)

  1. 仮固定面を有する仮固定基材の前記仮固定面上に複数の電子部品用電極を配置する第1工程と、
    第1面と当該第1面とは反対側の第2面とを有する熱硬化性樹脂シートの前記第1面を、当該熱硬化性樹脂シートによって前記複数の電子部品用電極を包埋しつつ、前記仮固定基材の前記仮固定面に貼り合わせる、第2工程と、
    前記熱硬化性樹脂シートを熱硬化させて硬化樹脂シートを形成する第3工程と、
    前記硬化樹脂シートから前記仮固定基材を離す第4工程と、
    前記硬化樹脂シートの前記第2面側を研削して、当該第2面側において前記電子部品用電極を露出させる、第5工程とを含む、電極付き硬化樹脂シートの製造方法。
  2. 前記熱硬化性樹脂シートが、硬化後に、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有する、請求項1に記載の電極付き硬化樹脂シートの製造方法。
  3. 第1面、および、当該第1面とは反対側の第2面を有する、硬化樹脂シートと、
    前記硬化樹脂シート内に配置された複数の電子部品用電極であって、それぞれが、前記第1面側に露出する第1電極面と、前記第2面側に露出する第2電極面とを有する、複数の電子部品用電極と、を備え、
    前記硬化樹脂シートは、熱硬化性樹脂シートにより形成され、
    前記熱硬化性樹脂シートは、10GHzにおいて4.2以下の比誘電率を有する、電極付き硬化樹脂シート。
  4. 電極付き硬化樹脂シート製造用の熱硬化性樹脂シートであって、
    硬化後に、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有し、
    10GHzにおいて4.2以下の比誘電率を有する、熱硬化性樹脂シート。
  5. 電極付き硬化樹脂シート製造用の熱硬化性樹脂シートであって、
    硬化後に、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有し、
    90℃において3kPa・s以上100kPa・s以下の粘度を有する、熱硬化性樹脂シート。
  6. 電極付き硬化樹脂シート製造用の熱硬化性樹脂シートであって、
    硬化後に、25℃において、2GPa以上18GPa以下の引張貯蔵弾性率を有し、
    150℃で1時間の加熱処理、および、その後の25℃および相対湿度40%の条件での1時間の第1の静置の後、質量W1を有し、
    前記第1の静置後の、85℃および相対湿度85%の条件での168時間の第2の静置の後、質量W2を有し、
    [(W2-W1)/W1]×100で表される吸湿率が0.3質量%以下である、熱硬化性樹脂シート。
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