JP7840040B2 - コンクリート構造物の強度評価方法及びコンクリートを用いた建築物の建造方法 - Google Patents
コンクリート構造物の強度評価方法及びコンクリートを用いた建築物の建造方法Info
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Description
これに対し、破壊検査は、評価対象物から直接サンプルを採取し、試験・分析することによって、評価対象物そのものの強度を測定できるという点で精度が高い方法である。しかし、評価対象物の損傷を避けられない問題がある。
また、微破壊検査も同様に、微破壊といえども、損傷された箇所に補修が必要となり、試験サンプル数が増えるほど上述の破壊検査と同様の問題が生じ得る。
さらに、非破壊検査は、評価対象物を壊さずに広範囲に強度を測定できる利点がある。しかし、測定精度が十分とはいえず、確立された評価方法とはいえない。
また、コンクリートの硬化反応に基づく強度検査においては、コンクリートに含まれる粗骨材そのものの強度の影響を排除することが合理的である。すなわち、モルタル部分の強度を高精度に測定することが、コンクリートの硬化反応の程度を評価する上で重要である。
工期の厳守ないし短縮に対する社会的要請は強い。例えば、商業施設の建造では、店舗の開業が1日遅れれば、その分の売上が減り損害が生じる。商業施設の規模が大きければ、損害額は甚大なものとなる。また、住居の建造では、学校の新学期や会社等の事業年度に合わせて入居日を予定する場合が多く、工期の遅延は居住者の社会生活に大きく影響し得る。
型枠内の若材齢コンクリートの強度を、現場で、非破壊で簡便に、精度よく測定し、目的の強度に到達した時点で素早く型枠を取り外すことを可能とする技術の確立は、建築業界等において喫緊の課題である。
[1]
厚み方向に貫通する貫通孔を有する型枠内に生コンクリートを打設することにより前記貫通孔にモルタルを充填し、前記モルタルに対する貫入深さを、ピン貫入試験により測定することを含む、コンクリート構造物の強度評価方法。
[2]
前記のモルタルを充填する貫通孔の平面視径が5~20mmである、[1]に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[3]
前記のモルタルを充填する貫通孔がパイプにより形成されている、[1]又は[2]に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[4]
前記パイプは、前記型枠の外面から突出する突出部を有し、
前記ピン貫入試験では、前記突出部に前記ピン貫入試験を行う貫入試験機を掛止させる、[3]に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[5]
前記のモルタルを充填する貫通孔の形状が、型枠にセパレーターを配設するための貫通孔の形状に対応する、[1]~[4]のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[6]
前記のモルタルを充填する貫通孔の生コンクリートが打設される側には、生コンクリート中の粗骨材の前記貫通孔内への侵入を防ぐ侵入阻害部が設けられる、[1]~[5]のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[7]
前記ピン貫入試験において、ピンの打ち込みエネルギーが0.6~60Jである、[1]~[6]のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[8]
前記型枠が前記のモルタルを充填する貫通孔を複数有し、前記複数の各貫通孔においてピン貫入試験を実施する、[1]~[7]のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[9]
前記のモルタルを充填する貫通孔の形状が、平面視において円形である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
[10]
[1]~[9]のいずれか1つに記載のコンクリート構造物の強度評価方法により、前記型枠内のコンクリート構造物の強度を評価し、前記評価に基づき型枠を外すタイミングを決定することを含む、コンクリートを用いた建築物の建造方法。
図1は、本発明のコンクリート構造物の強度評価方法の手順を含むフローチャートである。当該強度評価方法は、打設工程(ステップSt01)と、養生工程(ステップSt02)と、測定工程(ステップSt03)と、脱型判定工程(ステップSt04)と、を有する。以下、上記各工程の詳細について、図1を適宜参照しながら説明する。
ステップSt01では、例えば、生コンクリートミキサー車から圧送車へ生コンクリートを移し、圧送車からポンプを介して生コンクリートを型枠10内に流し込む。次いで、型枠10内に流し込まれた生コンクリートを、例えばバイブレータ等を用いて締め固めを行う。これにより、生コンクリートが型枠10内の隅々に行き渡り、生コンクリートが硬化するのに余計な空気や水分が排出される。続いて、締め固められた生コンクリートの表面を、コテなどを使用して平滑に仕上げる。これにより、当該表面にひび割れが生じることが防がれる。
型枠10には、図2~4に示されるように、複数の貫通孔11が設けられる。複数の貫通孔11は、型枠10の内部空間Eを画定する複数の側壁部12の各々に設けられ、内部空間Eに連通する。即ち、複数の貫通孔11は、型枠10の正面、背面及び側面の四方に設けられ、格子状に配される。
複数の貫通孔11は、例えば、ドリル等により型枠10を穿孔することにより形成された貫通孔である。この場合、貫通孔11の直径D2(図5参照)が、セパレーター(型枠の幅を一定にし、型枠に強度を持たせる金具)配設用の貫通孔の直径(通常は9mm)と合致することが好ましい。セパレーター配設用の貫通孔の直径と貫通孔11の直径D2とが合致することにより、特別な工具等を準備することなく、セパレーター配設用の工具を用いて、現場で簡便に貫通孔11を型枠10に形成することができる。従って、後述するピン貫入試験を実施する上での利便性が向上する。
あるいは、複数の貫通孔11は、セパレーターを配設するために型枠10に予め設けられている貫通孔であってもよい。貫通孔11がセパレーターを配設するための貫通孔であることにより、型枠10に別途貫通孔を設ける工程を省略できるため、後述する貫入深さを手間なく簡便に測定することができる。
なお、本発明において型枠10に設けられる貫通孔11の数は、図2~4に示される数に限定されず、実際には、例えば20~30個ほど設けられる。また、貫通孔11の配置も、図2~4に示される配置に何ら限定されるものではない。
ステップSt02では、先のステップSt01において型枠10内に打設された生コンクリートが所定の材齢(所定の初期強度)となるまで、当該生コンクリートを所定日数養生させ、硬化反応を進行させる。当該日数は、生コンクリートの材質等に応じて適宜に決定されるが、例えば半日以上14日以下とするのが好ましい。
ステップSt03では、型枠10に設けられた貫通孔11について、ピン貫入試験を実施する。ピン貫入試験は、貫通孔11の1つについて実施してもよい。貫通孔11内に粗骨材が排除されたモルタルが隙間なく充填されていれば、貫通孔11の1つについてピン貫入試験を実施するだけでも、ある程度の測定精度を達成することが可能である。また、複数の貫通孔11について、ピン貫入試験を実施し、平均化することにより、測定精度をより高めることができる。
ここで、本発明において「型枠がモルタルを充填する貫通孔を複数有し、前記複数の各貫通孔においてピン貫入試験を実施する」という場合、型枠が有する複数の貫通孔のうち、2つ以上の貫通孔についてピン貫入試験を実施することを意味する。つまり、型枠が有する複数の貫通孔のすべてについてピン貫入試験を実施する形態に加え、型枠が有する複数の貫通孔のうち、一部の貫通孔(2つ以上の貫通孔)についてピン貫入試験を実施する形態を包含する意味である。
ピン貫入試験は、貫通孔11に充填されたモルタルに貫入試験機40のピンPを貫入させてピンPの貫入深さ(表面42SとピンPの先端との間の最短距離)[mm]を計測する試験であり、この貫入深さから、当該モルタルの圧縮強度σ[MPa]を算出する。モルタルをピン貫入試験に付したとき、貫入深さ(貫入抵抗)とモルタルの圧縮強度との間に相関があることは広く知られている(例えば、コンクリート工学年次論文集,2004年、第26巻,第1号,p.1833-1838を参照)。貫入試験機40としては、パイプ20内に入り込むモルタルに対するピンの打ち込みエネルギーが例えば0.6~60J、好ましくは3~12J、より好ましくは4~8Jである貫入試験機が用いられる。また、ピン貫入試験において、ピンPの貫入深さが型枠10の厚さを超えないように、ピンPの打ち込みエネルギーが制御される。
Nは測定数であり、kは複数の貫通孔11のうちモルタルの欠損率が20%以上である貫通孔11の数である。欠損率とは、貫通孔11の平面視における面積(S1)に対する、当該貫通孔11に入り込むモルタルの平面視における面積(S2)の百分率((S2/S1)×100)である。
s,tは定数である。
ステップSt04では、先のステップSt03において算出された圧縮強度σが脱型基準強度以上であるか否かが判断される。脱型基準強度は、型枠10を脱型(型枠10を取り外すこと)するか否かを判断する上での指標であり、例えば、5~15MPaである。圧縮強度σが脱型基準強度以上である場合(ステップSt04のYES)、型枠10内に打設されたコンクリート構造物の強度が型枠10を取り外すのに十分な強度であると判断され、型枠10が操作者により脱型される(ステップSt05)。一方、圧縮強度σが脱型基準強度未満である場合(ステップSt04のNO)、型枠10内に打設されたコンクリート構造物を型枠10が脱型可能となるまでさらに養生(硬化)させる。なお、ステップSt04と上述の図8に示すステップStn3(n=2~5)は、操作者により実行されてもよく、コンピュータ等の情報処理装置により実行されてもよい。
即ち、本発明に係るコンクリート構造物の強度評価方法によれば、現場で、非破壊で、簡便且つ高精度に型枠10内に打設されたコンクリート構造物の初期強度を評価することができる。このため、従来の方法よりも当該強度が型枠10を脱型可能な強度に到達しているか否かを判断する上での利便性が向上し、型枠10を、より適切な時期に、早期に脱型することが可能となり、工期短縮に寄与するものである。
図9は、モルタルが充填される貫通孔がパイプにより形成されている状態を拡大して模試的に示す断面図である。以降の説明では、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略する。
パイプ20による貫通孔24の形成のために、型枠10には予め、パイプ20の外径D3に対応する貫通孔11を形成し、この貫通孔11にパイプ20を挿通して、モルタルが充填する貫通孔24を形成する。貫通孔24の平面視における形状は典型的には円形である。貫通孔24の平面視形状が円形であることにより、円形とは異なる形状である場合よりも、貫通孔24内にモルタルが効率的に充填される。なお、貫通孔24の平面視形状は円形に限定されず、円形とは異なる形状であってもよい。以下、貫通孔24の平面視形状が円形の場合について説明する。
第2実施形態に係るステップSt01では、パイプ20に侵入阻害部30が設けられることによって、型枠10内に生コンクリートが打設される際に、生コンクリートに含まれる粗骨材がパイプ20内に入り込むことがより確実に阻害され、生コンクリートから粗骨材が除去されたモルタルのみがパイプ20内に入りこむ。即ち、型枠10内に生コンクリートを打設するステップSt01が実行されることによって、生コンクリートから粗骨材が除去されたモルタルのみがパイプ20内に入り込み、貫通孔24内にモルタルが充填される。
図12は、充填工程を説明するための説明図である。第2実施形態では、打設工程(ステップSt01)と養生工程(ステップSt02)との間に、パイプ20内に充填されたモルタルの空隙Hを無くす充填工程が実施されてもよい。この工程では、パイプ20内にモルタルが密に詰まった状態となるように、例えばバイブレータ等の加振機によりパイプ20に振動が与えられる。
第2実施形態に係るステップSt03では、第1実施形態において、モルタルが充填された貫通孔11の各々について実行されたピン貫入試験と同様に、モルタルが充填された貫通孔24についてピン貫入試験を実行する。次いで、第1実施形態と同様に、貫入深さdから圧縮強度σを算出する。
以上、本発明の好ましい実施形態の一例について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の規定を超えない範囲で種々の変更を加え得る。前述の態様に付与され得る具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合してもよい。なお、本発明は、本発明で規定すること以外は、下記の変形例にも何ら限定されるものではない。
上記実施形態では、型枠10に複数の貫通孔11が設けられるがこれに限られず、1つだけ設けられる態様であってもよい。
上記第2実施形態では、典型的には複数の貫通孔11の全てにパイプ20が挿通されるがこれに限られず、複数の貫通孔11のうち一部の貫通孔11のみにパイプ20が挿通される態様であってもよい。
ピン貫入試験を行う貫入試験機は、上記実施形態で例示した貫入試験機40に限定されず、例えば、ウィンザーピン装置又は空気圧を用いた貫入試験機等が用いられてもよい。すなわち、所望のサイズのピンを、所望の打ち込みエネルギーで打ち込むことができる限り、ピン貫入試験を行う貫入試験機の種類に制限はない。
侵入阻害部30は、上記実施形態で例示した態様に限定されない。例えば、侵入阻害部30は、パイプ20の入口21に交差するように型枠10の内周面に打ち込まれた針(杭)などであってもよい。
Claims (10)
- 厚み方向に貫通する貫通孔を有する型枠内に生コンクリートを打設することにより前記貫通孔にモルタルを充填し、前記型枠を脱型せずに、前記モルタルに対する貫入深さを、ピン貫入試験により測定することを含む、コンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記のモルタルを充填する貫通孔の平面視径が5~20mmである、請求項1に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記のモルタルを充填する貫通孔がパイプにより形成されている、請求項1又は2に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記パイプは、前記型枠の外面から突出する突出部を有し、
前記ピン貫入試験では、前記突出部に前記ピン貫入試験を行う貫入試験機を掛止させる、請求項3に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。 - 前記のモルタルを充填する貫通孔の形状が、型枠にセパレーターを配設するための貫通孔の形状に対応する、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記のモルタルを充填する貫通孔の生コンクリートが打設される側には、生コンクリート中の粗骨材の前記貫通孔内への侵入を防ぐ侵入阻害部が設けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記ピン貫入試験において、ピンの打ち込みエネルギーが0.6~60Jである、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記型枠が前記のモルタルを充填する貫通孔を複数有し、前記複数の各貫通孔においてピン貫入試験を実施する、請求項1~7のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 前記のモルタルを充填する貫通孔の形状が、平面視において円形である、請求項1~8のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の強度評価方法。
- 請求項1~9のいずれか1項に記載のコンクリート構造物の強度評価方法により、前記型枠内のコンクリート構造物の強度を評価し、前記評価に基づき型枠を外すタイミングを決定することを含む、コンクリートを用いた建築物の建造方法。
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-
2022
- 2022-03-10 JP JP2022037409A patent/JP7840040B2/ja active Active
Patent Citations (4)
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| 高杉文也,ピン貫入試験機を用いた脱型前の若材齢コンクリートの圧縮強度推定方法に関する基礎的研究,日本建築学会大会学術講演梗概集・建築デザイン発表梗概集,2022年07月20日,Vol.2022,Page.ROMBUNNO.1156 |
Also Published As
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