JP7840323B2 - アキシャルギャップモータ、及びアキシャルギャップモータの製造方法 - Google Patents

アキシャルギャップモータ、及びアキシャルギャップモータの製造方法

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Description

本開示は、アキシャルギャップモータ、及びアキシャルギャップモータの製造方法に関する。
本出願は、2021年05月21日付の日本国出願の特願2021-086466に基づく優先権を主張し、前記日本国出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
特許文献1のアキシャルギャップ型の回転電機は、特許文献1の図10に示すように、ケースとステータとロータとシャフトと軸受とを備える。ケースは、円筒状の周壁部と、一対の円板状のプレートとを備える。一対のプレートは、周壁部の両端に取り付けられている。一対のプレートの中央には、貫通孔が形成されている。貫通孔には、シャフトが設けられている。ステータとロータとは、ケース内でシャフトの軸方向に向かい合って配置されている。ステータは、プレートに配置されている。ロータは、ステータとギャップを開けて設けられている。シャフトは、ロータの回転軸である。軸受は、シャフトを回転自在に支持している。
特開2020-108323号公報
本開示のアキシャルギャップモータは、
ロータと、
前記ロータの回転軸方向に設計長さのギャップを開けて配置されているステータと、
前記ロータの回転軸であるシャフトと、
前記シャフトを回転自在に支持している第一ベアリングと、
前記ステータが載置される第一平面を有するケースと、
前記第一ベアリングを支持している調整部材と、を備え、
前記調整部材は、前記ケースにねじ結合されているねじ山を有し、
前記第一ベアリングは、前記調整部材の回転によって前記シャフトの軸方向に移動する。
本開示のアキシャルギャップモータの製造方法は、
アキシャルギャップモータのパーツを準備する工程と、
前記パーツを組み立てる工程を備え、
前記パーツは、
ロータと、
ステータと、
前記ロータの回転軸であるシャフトと、
前記シャフトを回転自在に支持するベアリングと、
前記ステータが載置される第一平面を有するケースと、
前記ケースにねじ結合されることで前記ベアリングを支持する調整部材と、を含み、
前記ステータは、
ヨーク及び複数のティースを有するステータコアと、
前記複数のティースの各々に配置されているコイルと、を有し、
前記パーツを組み立てる工程では、前記調整部材を前記ケースに対して回転させて前記ベアリングを介して前記シャフトを昇降させることで、前記ロータと前記ステータとの間のギャップの長さを設計長さとし、
前記調整部材の回転量は、前記コイルに生じる誘起電圧値に基づいて決定される。
図1は、実施形態1に係るアキシャルギャップモータの概略を示す断面模式図である。 図2は、図1の領域Aを拡大して示す断面模式図である。 図3は、図1の領域Aの別例を拡大して示す断面模式図である。 図4は、図1の領域Bを拡大して示す断面模式図である。 図5は、図2及び図3の領域Cを拡大して示す断面模式図である。 図6は、実施形態1に係るアキシャルギャップモータの製造方法を説明する断面模式図である。 図7は、誘起電圧値の推移を示すグラフを示す図である。 図8は、誘起電圧値の推移を示すグラフを示す図である。 図9は、変形例に係るアキシャルギャップモータの製造方法を説明する断面模式図である。 図10は、回路基板の概略を示す平面模式図である。 図11は、実施形態2に係るアキシャルギャップモータの一部を拡大して示す断面模式図である。
[本開示が解決しようとする課題]
組み立て精度に優れるアキシャルギャップモータの製造性を向上することが望まれている。
本開示は、組み立て精度に優れるアキシャルギャップモータを提供することを目的の一つとする。本開示は、上記アキシャルギャップモータの製造性に優れるアキシャルギャップモータの製造方法を提供することを他の目的の一つとする。
[本開示の効果]
本開示のアキシャルギャップモータは、組み立て精度に優れる。
本開示のアキシャルギャップモータの製造方法は、本開示のアキシャルギャップモータの製造性に優れる。
《本開示の実施形態の説明》
アキシャルギャップモータは、例えば、アキシャルギャップモータのパーツの仮組みと本組みの2回の組み立て工程を経て製造される。パーツを仮組みする理由は、パーツの組み立て回数が1回では、ステータとロータとの間のギャップの長さを設計長さとすることが困難だからである。ギャップの設計長さとは、アキシャルギャップモータの仕様に基づいて決定された設計上のギャップの長さの目標値である。そこで、仮組みして作製されたアキシャルギャップモータのギャップの長さを測定する。測定により求められたギャップの測定長さとギャップの設計長さとの差を求める。ギャップの測定長さを求めた後、アキシャルギャップモータを分解する。
上記差と同じ厚さを有するシムを用いて、パーツを本組みする。シムは、ベアリングとプレートとの間に配置される。シムが配置されることによって、ベアリングの位置がシムの厚さの分だけプレートから離れる。ベアリングの位置が離れることによって、ベアリングに支持されているシャフトがシャフトの軸方向にずれる。シャフトがずれることによって、ロータがステータから離れる。ロータが離れることによって、ギャップの長さが測定長さよりも長くなる。即ち、シムの厚さの分だけ、ギャップの長さが測定長さよりも長くなる。シムの厚さが上記差と同じであることで、ギャップの長さを設計長さとすることができる。
上述した製造方法では、パーツの組み立て回数が2回であるため、製造作業が煩雑になる。その上、上述した製造方法では、シムの分だけ、パーツの数が増える。また、シムを用いれば、ベアリングの予圧が増えることで機械的損失が増えるおそれがある。
本発明者らは、シムを用いないアキシャルギャップモータの製造方法を鋭意検討した。その結果、本発明者らは、パーツを1回組み立てるだけで、ステータとロータとの間のギャップの長さを設計長さと実質的に同じにすることができる製造方法を開発するに至った。最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の一態様に係るアキシャルギャップモータは、
ロータと、
前記ロータの回転軸方向に設計長さのギャップを開けて配置されているステータと、
前記ロータの回転軸であるシャフトと、
前記シャフトを回転自在に支持している第一ベアリングと、
前記ステータが載置される第一平面を有するケースと、
前記第一ベアリングを支持している調整部材と、を備え、
前記調整部材は、前記ケースにねじ結合されているねじ山を有し、
前記第一ベアリングは、前記調整部材の回転によって前記シャフトの軸方向に移動する。
上記アキシャルギャップモータは、組み立て精度に優れる。製造過程において調整部材をケースに対して回転させれば、シャフトの軸方向に第一ベアリングを移動させられる。シャフトは第一ベアリングに支持されているため、第一ベアリングの上記軸方向への移動によってシャフトを上記軸方向に移動させられる。シャフトはロータの回転軸であるため、シャフトの上記軸方向への移動によってロータを上記軸方向に移動させられる。即ち、ギャップの長さが設計長さとなる位置にロータの位置を容易に移動させられる。調整部材とケースとはねじ結合されているため、調整部材を回転させなければ、ロータが上記軸方向へ移動しない。そのため、ギャップの長さが設計長さとなる位置にロータが位置決めされる。
上記アキシャルギャップモータは、シムを備えていないため、部品点数の増加を抑制できる。その上、上記アキシャルギャップモータは、第一ベアリングの予圧の増加を抑制できるため、機械的損失の増加を抑制できる。
(2)上記(1)のアキシャルギャップモータにおいて、
前記調整部材の前記ねじ山のピッチは、2.5mm以下であってもよい。
上記アキシャルギャップモータは、調整部材によってギャップ長さを細かく調整し易いため、組み立て精度に優れる。
(3)上記(1)または上記(2)のアキシャルギャップモータにおいて、
前記シャフトを回転自在に支持し、前記ロータを挟んで前記第一ベアリングに向かい合って配置されている第二ベアリングと、
前記第二ベアリングを前記第一ベアリングに向けて押圧する弾性部材と、を備えていてもよい。
上記アキシャルギャップモータは、ケースと調整部材とのねじ結合された部分のがたつきを抑制し易い。
(4)上記(1)から上記(3)のいずれかのアキシャルギャップモータにおいて、
前記第一ベアリングは、インナーレース及びアウターレースを有するラジアルベアリングであり、
前記調整部材は、前記インナーレースに接することなく前記アウターレースを支持していてもよい。
上記アキシャルギャッ型モータは、機械的損失の増加を抑制できる。調整部材がインナーレースに接していないため、摩擦が増加しないからである。
(5)上記(4)のアキシャルギャップモータにおいて、
前記アウターレースと前記調整部材との間に配置される座金を有していてもよい。
上記アキシャルギャップモータは、座金がアウターレースと調整部材との間に配置されていることで、調整部材によってベアリングを支持し易い。また、上記アキシャルギャップモータは、調整部材を中実体で構成することもできる。調整部材が中実体で構成されていても、座金によって調整部材とインナーレースとの接触を防止できるからである。よって、上記アキシャルギャップモータは、調整部材が中実体で構成されていても、機械的損失の増加を抑制できる。
(6)上記(1)から上記(5)のいずれかのアキシャルギャップモータにおいて、
前記ステータは、
円環板状に構成されたヨーク、及び前記ヨークから突出するように設けられた複数のティースを有するステータコアと、
前記複数のティースの各々に配置されているコイルと、を有し、
前記ステータコアは、前記第一平面に固定されていてもよい。
上記アキシャルギャップモータは、ダブルステータ・シングルロータ型、又はシングルステータ・シングルロータ型のモータの組み立て精度に優れる。
(7)上記(6)のアキシャルギャップモータにおいて、
前記ステータコアは、圧粉成形体で構成されていてもよい。
上記アキシャルギャップモータは、電磁鋼板のステータコアよりも寸法精度の低い圧粉成形体で構成されるステータコアを備える場合であっても、組み立て精度に優れる。
(8)上記(1)から上記(6)のいずれかのアキシャルギャップモータにおいて、
前記ステータの数と前記ロータの数とが1つずつであってもよい。
上記アキシャルギャップモータは、シングルステータ・シングルロータ型である。上記アキシャルギャップモータは、組み立て精度に優れる。
(9)本開示の一態様に係るアキシャルギャップモータの製造方法は、
アキシャルギャップモータのパーツを準備する工程と、
前記パーツを組み立てる工程を備え、
前記パーツは、
ロータと、
ステータと、
前記ロータの回転軸であるシャフトと、
前記シャフトを回転自在に支持するベアリングと、
前記ステータが載置される第一平面を有するケースと、
前記ケースにねじ結合されることで前記ベアリングを支持する調整部材と、を含み、
前記ステータは、
ヨーク及び複数のティースを有するステータコアと、
前記複数のティースの各々に配置されているコイルと、を有し、
前記パーツを組み立てる工程では、前記調整部材を前記ケースに対して回転させて前記ベアリングを介して前記シャフトを昇降させることで、前記ロータと前記ステータとの間のギャップの長さを設計長さとし、
前記調整部材の回転量は、前記コイルに生じる誘起電圧値に基づいて決定される。
上記アキシャルギャップモータの製造方法は、調整部材によってシャフトを昇降させられるため、ロータの位置を調整できる。そのため、上記アキシャルギャップモータの製造方法は、パーツを1回組み立てるだけで、ギャップの長さを設計長さとすることができる。よって、上記アキシャルギャップモータの製造方法は、シムを用いなくても、組み立て精度に優れるアキシャルギャップモータの製造性に優れる。
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の実施形態の詳細を、以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
《実施形態1》
〔アキシャルギャップモータ〕
図1から図5を参照して、実施形態1のアキシャルギャップモータ1を説明する。図1は、アキシャルギャップモータ1をシャフト4の軸方向に平行な平面で切断した断面図である。図1は、シングルステータ・シングルロータ型のアキシャルギャップモータ1を例示している。シングルステータ・シングルロータ型のアキシャルギャップモータ1とは、ステータ2の数とロータ3の数とが1つずつのモータである。アキシャルギャップモータ1とは、ステータ2とロータ3とがシャフト4の軸方向にギャップをあけて向かい合っているモータである。
本実施形態のアキシャルギャップモータ1は、ステータ2とロータ3とシャフト4と第一ベアリング51とケース7とを備える。アキシャルギャップモータ1は、ステータ2とロータ3とシャフト4とがケース7内に収納されている。ケース7内のステータ2とロータ3とは、シャフト4の軸方向にギャップをあけて向かい合っている。このギャップの上記軸方向に沿った長さは、設計長さG1を満たす。設計長さG1とは、アキシャルギャップモータ1の仕様に基づいて決定された設計上のギャップの長さの目標値である。設計長さG1は、一定の許容幅を有する。本実施形態のアキシャルギャップモータ1の特徴の一つは、ケース7にねじ結合されている調整部材6を備えることにある。
[ステータ]
ステータ2は、図1に示すように、ケース7の第一平面71fに配置されている。ステータ2は、図1に示すように、ステータコア21と複数のコイル25とを備えている。
(ステータコア)
ステータコア21は、円環板状のヨーク22と柱状の複数のティース23とを備えている。
〈ヨーク〉
ヨーク22は、ヨーク22の周方向に並ぶティース23のうち、隣り合っているティース23同士を磁気的に結合する。ヨーク22は、図2に示すように、平面状の第一面22fと平面状の第二面22sと外周面と内周面とを有している。第一面22f及び第二面22sは、外周面と内周面とをつないでいる面である。第一面22fは、第一平面71fに接している。第二面22sは、ティース23の側面につながっている面である。
〈ティース〉
ティース23は、図1に示すように、コイル25が設けられている。ティース23の数は複数である。各ティース23は、ヨーク22の周方向に所定の間隔をあけて配置されている。各ティース23は、図2に示すヨーク22の第二面22sに直交するように突出している。本実施形態の各ティース23とヨーク22とは一体の圧粉成形体で構成されている。各ティース23の形状及び大きさは同一である。各ティース23の形状は、角柱状又は円柱状である。各ティース23は、側面と端面23aとを有する。側面は、ヨーク22の第二面22sにつながっている面である。端面23aは、側面につながっている面である。端面23aは、後述するロータ3の磁石35に向かい合っている。
〈穴部〉
ステータコア21は、図1に示すように、穴部を有している。この穴部には、締結部材91が設けられている。締結部材91は、ステータコア21を第一平面71fに固定する。締結部材91によって、ステータ2と第一平面71fとの位置ずれが抑制される。締結部材91の一例は、ねじ又はボルトである。穴部は、第一面22fからティース23の途中にわたって形成されている。穴部の数は、ティース23の数よりも少なくてもよいし、ティース23の数と同数であってもよい。
〈構成材料〉
ステータコア21を構成する圧粉成形体は、図4に示す複数の被覆粒子24の集合体で構成されている。被覆粒子24は、金属粒子241と絶縁被覆242とを有する。
・金属粒子
金属粒子241は、軟磁性材料で構成されている。軟磁性材料は、純鉄又は鉄基合金である。
純鉄とは、純度が99%以上である。即ち、純鉄とは、鉄(Fe)の含有量が99質量%以上のものである。純鉄の飽和磁束密度は鉄基合金よりも高い。そのため、圧粉成形体の金属粒子241が純鉄で構成されていれば、圧粉成形体の飽和磁束密度が向上し易い。また、純鉄の成形性は鉄基合金よりも優れる。そのため、圧粉成形体の金属粒子241が純鉄で構成されていれば、圧粉成形体の相対密度が高くなり易い。
鉄基合金とは、添加元素を含み、残部がFe及び不可避不純物からなるものである。鉄基合金は、Feを最も多く含む。鉄基合金は、例えば、Fe-Si(ケイ素)系合金、Fe-Al(アルミニウム)系合金、Fe-Si-Al系合金、及びFe-Ni(ニッケル)系合金からなる群より選択される少なくとも一種である。Fe-Si系合金の一例は、ケイ素鋼である。Fe-Si-Al系合金の一例は、センダストである。Fe-Ni系合金の一例は、パーマロイである。鉄基合金の電気抵抗は、純鉄よりも大きい。そのため、鉄基合金は、渦電流損等の鉄損を低減し易い。よって、圧粉成形体の金属粒子241が鉄基合金で構成されていれば、圧粉成形体の損失が低減し易い。圧粉成形体は、純鉄で構成される金属粒子241と鉄基合金で構成される金属粒子241との双方を含んでいてもよい。
・絶縁被覆
絶縁被覆242は、金属粒子241を覆う。絶縁被覆242は、渦電流損等の鉄損を低減できる。絶縁被覆242を備える圧粉成形体は、損失を低減し易い。絶縁被覆242の材質は、例えば、酸化物である。酸化物の一例は、リン酸塩、シリカ、酸化マグネシウム、又は酸化アルミニウムである。リン酸塩は、金属粒子241との密着性に優れる上に、変形性にも優れる。そのため、絶縁被覆242がリン酸塩で構成されていれば、圧粉成形体の作製過程において、絶縁被覆242は上述の金属粒子241の変形に追従して変形し易い。よって、絶縁被覆242は損傷し難い。絶縁被覆242が損傷し難いため、圧粉成形体の損失が低減し易い。
〈相対密度〉
圧粉成形体の相対密度は、90%以上であってもよい。相対密度が90%以上の圧粉成形体は、飽和磁束密度を向上し易い。相対密度が90%以上の圧粉成形体は、強度等の機械的特性を向上し易い。相対密度は、93%以上、更に95%以上であってもよい。相対密度は、99%以下であってもよい。相対密度が99%の圧粉成形体は、後述する製造方法において、測定される誘起電圧値が安定し易い。
「圧粉成形体の相対密度」は、圧粉成形体の真密度に対する実際の圧粉成形体の密度の比率(%)をいう。即ち、圧粉成形体の相対密度は、[(実際の圧粉成形体の密度/圧粉成形体の真密度)×100]によって求められる。実際の圧粉成形体の密度は、圧粉成形体を油中に浸漬して圧粉成形体に油を含浸させ、[含油密度×(含油前の圧粉成形体の質量/含油後の圧粉成形体の質量)]によって求めることができる。含油密度は、(含油後の圧粉成形体の質量/含油後の圧粉成形体の体積)である。即ち、実際の圧粉成形体の密度は、(含油前の圧粉成形体の質量/含油後の圧粉成形体の体積)で求めることができる。含油後の圧粉成形体の体積は、代表的には液体置換法によって測定することができる。圧粉成形体の真密度とは、内部に空隙が含まれていないとしたときの理論密度のことである。
(コイル)
各コイル25は、筒状部を備えている。筒状部は、巻線を螺旋状に巻回して構成されている。本実施形態のコイル25は、エッジワイズ巻きコイルである。コイル25の巻線には、被覆平角線が用いられている。各コイル25は、ティース23の側面の外周に配置されている。各コイル25における筒状部の横断面形状は、例えば、ティース23の横断面形状に対応した形状である。筒状部の軸方向の長さは、ティース23の長さよりも若干短い。なお、図1では、筒状部のみを示し、巻線の両端部は図示を省略している。
[ロータ]
ロータ3は、ステータ2とギャップをあけて設けられている。ロータ3は、ロータ本体31と、少なくとも1つの磁石35とを備えている。
(ロータ本体)
ロータ本体31は、シャフト4によってケース7に対して回転可能に支持されている。ロータ本体31は、円環状の部材である。ロータ本体31は、中央に貫通孔が設けられている。この貫通孔には、後述するシャフト4の第三軸部43が設けられている。本実施形態では、貫通孔にシャフト4が圧入されることで、ロータ本体31とシャフト4とが組み合わされている。圧入されていることで、ロータ3の振れが小さくなり易い。シャフト4の軸方向に沿ったロータ本体31の位置は、後述する第二軸部42の第二端面42sにロータ本体31が当止されることで位置決めされている。
ロータ本体31は、図2に示すように、第一面31fと第二面31sと内周面と外周面とを有している。第一面31fと第二面31sは、内周面と外周面とをつないでいる。第一面31fは、ステータ2に向かい合う面である。第二面31sは、図1に示す第二ベアリング55に向かい合う面である。第二ベアリング55は後述する。本実施形態の第一面31fには、凹部32が設けられている。凹部32は、ステータ2に向かって開口している。凹部32の底面32aには、磁石35が固定されている。ロータ本体31の内周面は、シャフト4の第三軸部43に接している。ロータ本体31の外周面は、図1に示すように、ケース7の周壁部73の内周面と接していない。ロータ本体31の外周面とケース7の周壁部73の内周面との間には間隔が設けられている。
(磁石)
磁石35は、ロータ本体31に固定されている。磁石35の固定には、図2に示すように、接着剤38を用いる。磁石35の数は、1枚でもよいし、複数でもよい。磁石35の数が1枚であれば、磁石35の数が複数である場合に比較して、部品点数が少なく、ロータ3を作製し易い。そのため、アキシャルギャップモータ1の製造性を向上し易い。その上、組み立て精度に優れるアキシャルギャップモータ1を製造し易い。
磁石35の数が1枚である場合、磁石35の形状は円環状である。1枚の磁石35は、S極とN極とが周方向に交互に配置されている。磁石35の数が複数である場合、具体的な磁石35の数はティース23の数と同数とする。複数の磁石35は、ロータ本体31の周方向に等間隔に配置されている。各磁石35の形状は、例えば、平板状である。各磁石35の平面形状は、例えば、ティース23の端面23aの平面形状と同じである。各磁石35は、ロータ3の回転軸の軸方向に着磁される。ロータ本体31の周方向に隣り合っている磁石35の磁化方向は互いに逆である。ステータ2で発生される回転磁界によって磁石35が各ティース23に対して吸引と反発とを繰り返すことでロータ3が回転する。
磁石35は、永久磁石である。永久磁石の具体例は、フェライト磁石、ネオジム磁石、サマリウムコバルト磁石、又はボンド磁石である。特に、ネオジム磁石とサマリウムコバルト磁石は、磁力が強い。
[シャフト]
シャフト4は、ロータ3の回転軸である。シャフト4は、中実の丸棒状体で構成されている。シャフト4は、図1に示すように、外径の異なる複数の軸部を有している。複数の軸部は、一体に構成されている。本実施形態のシャフト4は、ケース7の第一プレート部71から第二プレート部72に向かう方向に順に、第一軸部41、第二軸部42、第三軸部43、第四軸部44、及び第五軸部45を有している。
第一軸部41は、図1に示すように、第一ベアリング51内に設けられている。第一軸部41の外周面は、図2に示すように、第一ベアリング51のインナーレース52の内周面に接している。
第二軸部42は、図1に示すように、第一軸部41の直径よりも大きな直径を有している。第二軸部42は、図2に示すように、第一端面42fと第二端面42sとを有している。第一端面42fは、インナーレース52の第一端面52fに接している。第一端面42fは、第一ベアリング51のアウターレース53に接していない。第二端面42sは、第一面31fに接している。
第三軸部43は、図1に示すように、ロータ本体31の貫通孔に設けられている。第三軸部43の外周面は、図2に示すように、ロータ本体31の内周面に接している。第三軸部43は、図1に示すように、第二軸部42の直径よりも小さな直径を有している。第三軸部43は、図2に示すように、端面43aを有する。端面43aは、第二ベアリング55のインナーレース56の第一端面に接している。
第四軸部44は、図1に示すように、第二ベアリング55内に設けられている。第四軸部44の外周面は、インナーレース56の内周面に接している。第四軸部44は、第三軸部43の直径よりも小さな直径を有している。
第五軸部45は、貫通孔72h内に設けられている。貫通孔72hは、後述する第二プレート部72に設けられている。第五軸部45の外周面は、第二プレート部72の内周面と接していない。第五軸部45は、第四軸部44の直径よりも小さな直径を有している。
[第一ベアリング・第二ベアリング]
第一ベアリング51及び第二ベアリング55は、シャフト4を回転自在に支持している。第一ベアリング51は、第一軸部41に装着されている。第二ベアリング55は、第四軸部44に装着されている。第一ベアリング51及び第二ベアリング55の構成は、互いに同じ構成でもよいし、互いに異なる構成であってもよい。
第一ベアリング51は、図2、図3に示すように、インナーレース52とアウターレース53とを有するラジアルベアリングである。本実施形態のラジアルベアリングは、インナーレース52とアウターレース53との間にボール54が配置されるボールベアリングである。インナーレース52の内周面は、第一軸部41の外周面に接している。アウターレース53の外周面は、後述する第一突出部71aに接している。
インナーレース52は、第一端面52fと第二端面52sとを有している。アウターレース53は、第一端面53fと第二端面53sとを有している。第一端面52fは、第一端面42fに接している。第二端面52sは、ケース7及び後述する調整部材6に接していない。本実施形態では、第二端面52sは、図示を省略する固定部材に接している。この固定部材は、第一ベアリング51と第一軸部41とを機械的に固定する。この固定部材の一例は、止め輪又は軸用ナットである。固定部材に軸用ナットを用いる場合、第一軸部41の外周面にねじ部を形成しておくとよい。この固定部材は用いられなくてもよい。その場合、インナーレース52と第一軸部41とは嵌め合わせることで固定される。第一端面53fは、シャフト4に接していない。第二端面53sは、調整部材6に接している。
図2には、第一端面52fと第一端面53fとが第一ベアリング51の軸方向に沿ってずれていない例を示している。図3には、第一端面52fと第一端面53fとが第一ベアリング51の軸方向に沿ってずれている例を示している。第一端面52fと第一端面53fとが第一ベアリング51の軸方向に沿ってずれることもある。
第一端面52fと第一端面53fとのずれは、シャフト4及びロータ3の自重によってインナーレース52に作用する荷重、及び磁石35のステータ2への吸引力によってインナーレース52に作用する荷重によって生じる。上記ずれは、更に、第二ベアリング55の自重によってインナーレース52に作用する荷重、及び弾性部材8による第二ベアリング55を第一ベアリング51に向かって押圧する押圧力によってインナーレース52に作用する荷重によって生じる。
インナーレース52には、主として、シャフト4及びロータ3の自重による荷重と、磁石35のステータ2への吸引力による荷重とが作用する。インナーレース52には、更に、第二ベアリング55の自重による荷重、及び弾性部材8が第二ベアリング55を第一ベアリング51に向かって押圧する押圧力による荷重、の少なくとも一方が作用する。上記荷重の大きさによっては、第一端面53fに対して第一端面52fがずれる。特に、第一端面52fのずれは、磁石35の吸引力による影響が大きい。即ち、磁石35の磁力が強いほど、第一端面52fがずれる。
第二ベアリング55の構成は、第一ベアリング51と同じ構成である。即ち、第二ベアリング55は、図2,図3に示すように、インナーレース56とアウターレース57とを有するラジアルベアリングである。インナーレース56の内周面は、第四軸部44の外周面に接している。アウターレース57の外周面は、凹部72aの内周面に接している。凹部72aは、第二プレート部72に設けられている。インナーレース56及びアウターレース57の各々は、第一端面と第二端面とを有している。インナーレース56の第一端面は、端面43aに接している。インナーレース56の第二端面は、後述する弾性部材8及びケース7に接していない。インナーレース56の第二端面は、第一ベアリング51と同様の固定部材に接していてもよいし、固定部材に接していなくてもよい。弾性部材8によってアウターレース57がロータ3に向かう方向に押圧されているからである。アウターレース57の第一端面は、ロータ3及びシャフト4に接していない。アウターレース57の第二端面は、図1に示す弾性部材8に接している。
本実施形態とは異なり、第一ベアリング51及び第二ベアリング55の少なくとも一方は、アンギュラボールベアリングでもよい。
[弾性部材]
弾性部材8は、第二ベアリング55をロータ3に向かう方向に押圧する。弾性部材8によって、第二突出部71bと調整部材6とのがたつきを抑制し易い。弾性部材8は、アウターレース57と凹部72aの底部との間に配置されている。弾性部材8の一例は、ばね座金、皿ばね座金、波形座金、又はゴム製のOリングである。
[ケース]
ケース7は、ステータ2、ロータ3、シャフト4の一部、第一ベアリング51、及び第二ベアリング55を内部に収納している。ケース7は、第一プレート部71と第二プレート部72と周壁部73とを備えている。
本実施形態の周壁部73と第二プレート部72とは、一体に構成されている。本実施形態の周壁部73と第一プレート部71とは、別体に構成されている。本実施形態とは異なり、周壁部73と第一プレート部71とは、一体に構成されていて、周壁部73と第二プレート部72とは、別体に構成されていてもよい。また、本実施形態とは異なり、周壁部73と第一プレート部71と第二プレート部72とは、別体に構成されていてもよい。本実施形態の周壁部73と第一プレート部71とは、締結部材92によって互いに固定されている。締結部材92の一例は、締結部材91と同様、ねじ又はボルトである。
周壁部73は、ステータ2及びロータ3の外周を囲む。周壁部73の端面には、穴部が設けられている。この穴部には、締結部材92が設けられている。
第一プレート部71は、第一平面71fと第二平面71sと第一突出部71aと第二突出部71bと第一貫通孔と第二貫通孔と第三貫通孔を有している。
第一平面71fは、ケース7の内側に設けられている。第一平面71fは、ステータ2が配置されている。第二平面71sは、ケース7の外側に設けられている。第二平面71sは、第一平面71fとは反対側に設けられている。
第一突出部71aは、ステータ2と第一ベアリング51との間に設けられている。第一突出部71aの形状は、例えば円筒状である。第一突出部71aは、第一平面71fにつながっている。第一突出部71aの外周面は、ヨーク22の内周面に接していてもよいし、接していなくてもよい。第一突出部71aの内周面は、第二突出部71bの内周面につながっている。第一突出部71aの内周面は、アウターレース53の外周面に接している。第一突出部71aは、第一ベアリング51の位置決めに利用できる。
第二突出部71bの形状は、円筒状である。第二突出部71bの外周面は、第二平面71sにつながっている。第二突出部71bの内周面は、第一突出部71aの内周面につながっている。第二突出部71bの内周面には、図5に示すように、ねじ部711が設けられている。第二突出部71bの内周面には、調整部材6がねじ結合されている。
第一貫通孔には、第一軸部41の一部が設けられている。第二貫通孔には、締結部材91が設けられている。第二貫通孔は、ステータコア21の上記穴部に対応する箇所に設けられている。第三貫通孔には、締結部材92が設けられている。第三貫通孔は、周壁部73の上記穴部に対応する箇所に設けられている。
第二プレート部72は、中央に凹部72aを有している。凹部72aの底部には、貫通孔72hが設けられている。貫通孔72h内には、第五軸部45が設けられている。貫通孔72hの内径は、第五軸部45の外径よりも大きい。そのため、貫通孔72hの内周面と第四軸部44と接触することなく、シャフト4が回転する。
[調整部材]
調整部材6は、第一ベアリング51を支持している。本実施形態の調整部材6の形状は、円筒状である。本実施形態の調整部材6の内寸は、インナーレース52の外径超、アウターレース53の内径以下である。内寸とは、調整部材6の内周面の内接円の直径である。
調整部材6は、第一端面61fと第二端面61sと内周面と外周面とを有する。第一端面61fは、第二端面53sに直接接している。第一端面61fは、第二端面52sに接していない。そのため、機械的損失の増加を抑制できる。調整部材6がインナーレース52に接していないため、摩擦が増加しないからである。第二端面61sは、第一端面61fと第一プレート部71に接していない。
調整部材6の外周面には、ねじ部611が設けられている。調整部材6の外周面は、第二突出部71bの内周面にねじ結合されている。ねじ部611のねじ山のピッチは、適宜選択できる。ピッチが小さいほど、製造過程において、調整部材6によってギャップ長さを細かく調整し易い。ピッチは、例えば、2.5mm以下であってもよい。ピッチは、更に、1.5mm以下、特に1.0mm以下であってもよい。ピッチの下限値は、例えば、0.5mmであってもよい。即ち、ピッチは、0.5mm以上2.5mm以下、更に0.5mm以上1.5mm以下、特に0.5mm以上1.0mm以下であってもよい。
調整部材6の内周面には、工具がはめ込まれる。工具は、製造過程で調整部材6を回転させる。調整部材6の内周面は、多角形状に構成されている。調整部材6の内周面が例えば六角形状に構成されている場合、工具には、六角棒スパナが利用できる。
本実施形態のアキシャルギャップモータ1は、組み立て精度に優れる。製造過程において調整部材6を第二突出部71bに対して回転させれば、シャフト4の軸方向に第一ベアリング51を移動させられる。第一端面52fと第一端面42fとが接しているため、第一ベアリング51の上記軸方向への移動によってシャフト4を上記軸方向に移動させられる。第二端面42sと第一面31fとが接しているため、シャフト4の上記軸方向への移動によってロータ3を上記軸方向に移動させられる。即ち、ギャップの長さが設計長さとなる位置にロータ3の位置を容易に移動させられる。調整部材6と第二突出部71bとはねじ結合されているため、調整部材6を回転させなければ、ロータ3が上記軸方向へ移動しない。そのため、ギャップの長さが設計長さG1となる位置にロータ3が位置決めされる。
〔アキシャルギャップモータの製造方法〕
主に図6から図8を参照して、実施形態1のアキシャルギャップモータの製造方法を説明する。本実施形態のアキシャルギャップモータの製造方法は、工程Aと工程Bとを備える。
工程Aは、アキシャルギャップモータのパーツを準備する。
工程Bは、パーツを組み立てる。
[工程A]
工程Aで準備するパーツは、図1を参照して上述したアキシャルギャップモータ1のパーツである。本実施形態では、パーツは、ステータ2、ロータ3、シャフト4、第一ベアリング51、第二ベアリング55、調整部材6、ケース7、弾性部材8、締結部材91、及び締結部材92を含む。
[工程B]
パーツを組み立てる工程Bでは、各部材を所定の位置に固定する。工程Bを経ることによって、図1に示すようなアキシャルギャップモータ1が製造される。パーツを組み立てる順番は、例えば、以下の工程B1から工程B7を順に経る。
工程B1では、第一プレート部71の第二突出部71bと調整部材6とをねじ結合させる。調整部材6を第二突出部71bに対して回転させることで、調整部材6の第一端面61fの位置をどの位置に配置するか調整できる。第一端面61fの位置をどの位置に配置するかは後述する。
工程B2では、第一プレート部71とステータ2との固定、及び第一ベアリング51の配置とを行う。上記固定と上記配置の順序は問わない。上記固定は、次のようにして行う。第一プレート部71の第一平面71fにステータ2を配置する。次に、締結部材91を第一プレート部71の第二貫通孔とステータ2の穴部とに締め付ける。上記配置は、次のようにして行う。第一プレート部71の第一突出部71a内に第一ベアリング51を嵌める。そして、図2に示すように、第一ベアリング51のアウターレース53の第二端面53sを調整部材6の第一端面61fに接触させる。
工程B3では、シャフト4の第一軸部41を第一ベアリング51内に配置する。予め、ロータ3とシャフト4とを組み合わせたロータアッシーを準備しておく。工程B3では、ロータアッシーの第一軸部41を第一ベアリング51内に配置する。その場合、工程B31を経ずに工程B4を経る。ロータアッシーを準備せず、組み合わされていないロータ3とシャフト4とを準備する場合、工程B4前に工程B31を経る。工程B31は、第一軸部41が第一ベアリング51内に配置された状態のシャフト4にロータ3を嵌める。
工程B4では、シャフト4の第四軸部44に第二ベアリング55を嵌める。
工程B5では、弾性部材8を第二ベアリング55の上に配置する。
工程B6では、シャフト4の第五軸部45に第二プレート部72の貫通孔72hを嵌めて、周壁部73の端面と第一プレート部71とを突き合わせる。そして、締結部材92によって第一プレート部71と周壁部73とを固定する。締結部材92は、第一プレート部71の第三貫通孔と周壁部73の上記穴部とに設けられる。
工程B1では、工程B6を経た際に「ギャップ長さ>設計長さG1」又は「ギャップ長さ<設計長さG1」となるように調整部材6の第一端面61fの位置を配置しておく。図6では、調整部材6の位置がギャップ長さ>設計長さG1となる位置に配置された状態を示している。
工程B7では、ギャップの長さを設計長さG1にする。工程B7では、手順1と手順2とを順に行う。
手順1は、調整部材6を第二突出部71bに対して回転させる。図示しない工具が調整部材6内に嵌められる。工具が回転させられる。図6の円弧状の白抜き矢印に示すように、工具の回転によって調整部材6が第二突出部71bに対して回転させられる。図2に示すように、第一端面61fと第二端面53sとが接していることで、調整部材6の回転によって、第一ベアリング51がシャフト4の軸方向に移動させられる。第一端面52fと第一端面42fとが接していることで、第一ベアリング51の上記軸方向への移動によって、シャフト4がシャフト4の軸方向に移動させられる。第一面31fと第二端面42sとが接していることで、シャフト4の上記軸方向への移動によって、ロータ3がシャフト4の軸方向に移動させられる。ロータ3の上記軸方向への移動によって、端面23aと第一端面35fとの間のギャップ長さが変わる。手順1における調整部材6の回転量は、適宜選択できる。
調整部材6の回転量は、コイル25に発生する誘起電圧値に基づいて決定する。誘起電圧値は、電圧計110によって測定できる。誘起電圧値は、ギャップの長さが長いほど小さくなり、ギャップの長さが短いほど大きくなる。アキシャルギャップモータ1の仕様に基づいて決定された設計上の誘起電圧値の目標値を設計電圧値とする。設計電圧値は、一定の許容幅を有する。この設計電圧値に基づくギャップ長さが設計長さG1である。即ち、測定された誘起電圧値が設計電圧値を満たせば、ギャップ長さが設計長さG1を満たしていることがわかる。
手順2は、誘起電圧値を測定する。誘起電圧値の測定は、調整部材6が回転し終わった後に行ってもよいし、調整部材6を回転させながら行ってもよい。誘起電圧値は、コイル25を励磁せずに測定する。
手順1と手順2とは、測定した誘起電圧値が設計電圧値を満たすまで繰り返される。
図7、図8のグラフは、手順1と手順2とを4回行った例を示している。図7、図8の左側の縦軸の誘起電圧値(V)とは、手順1によってロータ3を所定の位置まで移動させたときの誘起電圧値である。図7、図8の右側の縦軸のギャップの長さとは、手順1によってロータ3を所定の位置まで移動させたときのギャップの長さである。図7、図8の横軸の回数とは、手順1及び手順2を行った回数である。図7は、図6に示すように調整部材6の位置が「ギャップ長さ>設計長さG1」となる位置に配置された状態から手順1と手順2とを繰り返し、ギャップ長さを徐々に短くして設計長さG1とした例を示す。図8は、図示は省略しているものの、調整部材6の位置が「ギャップ長さ<設計長さG1」となる位置に配置された状態から手順1と手順2とを繰り返し、ギャップ長さを徐々に長くして設計長さG1とした例を示す。
図7では、手順1を行う回数が増えるごとに測定した誘起電圧値が大きくなっている。これは、ギャップ長さが徐々に短くなっているからである。一方、図8では、手順1を行う回数が増えるごとに測定した誘起電圧値が小さくなっている。これは、ギャップ長さが徐々に長くなっているからである。図7及び図8に示すように、手順1と手順2とを行う回数が1回から3回では、誘起電圧値が設計電圧値の範囲を満たしていない。4回目の手順1と手順2とを行ったことで、誘起電圧値が設計電圧値の範囲を満たしている。即ち、図7及び図8に示す例では、手順1と手順2とを4回行ったことで、ギャップ長さが設計長さG1になる。
調整部材6を回転させながら誘起電圧値を測定する場合、誘起電圧値は、図7又は図8のように段階的に上昇又は下降するのではなく、連続的に上昇又は下降する。
工程B7は、工程B4と工程B5との間に行ってもよい。
本実施形態のアキシャルギャップモータの製造方法は、パーツを組み立てた後に調整部材6によってロータ3の位置を調整できる。或いは、本実施形態のアキシャルギャップモータの製造方法は、パーツを組み立てながら調整部材6によってロータ3の位置を調整できる。そのため、本実施形態のアキシャルギャップモータの製造方法は、パーツを1回組み立てるだけで、ギャップの長さを設計長さG1とすることができる。よって、本実施形態のアキシャルギャップモータの製造方法は、シムを用いなくても、組み立て精度に優れるアキシャルギャップモータ1の製造性に優れる。
《変形例》
図9及び図10を参照して、変形例のアキシャルギャップモータを説明する。本例のアキシャルギャップモータは、図9に示すように、回路基板120と、センサ130と、磁石140と、カバー160とを用いる。
回路基板120は、アキシャルギャップモータの使用時に各コイル25に対して適切なタイミングで適切な大きさの電流を流すためのものである。回路基板120は、第二平面71sに取り付けられている。回路基板120の形状は、円環状である。回路基板120は、図10に示すように、波形変換素子群121と波形制御IC(Integrated Circuit)122と位相検出回路123とを有する。
波形変換素子群121は、図示しない電源と図9に示すコイル25とにつながっている。波形変換素子群121は、電源の波形を任意の駆動波形に変換する。駆動波形の例は、三相の正弦・方形・全波・半波波形である。電源は、直流電源又は単相交流電源である。波形制御IC122は、外部機器からロータ3の回転数やアキシャルギャップモータ1のトルクを指示する信号を取り込み、コイル25へ流れる電流もしくは電圧の波形の振幅や周波数をコントロールする。外部機器の例は、レゾルバ、ホールセンサ、ロータリーエンコーダである。波形制御IC122は、波形変換素子群121と位相検出回路123とにつながっている。位相検出回路123は、ロータ3の回転位置を検出しコイル25へ流れる電流もしくは電圧の波形の位相タイミングをコントロールする。位相検出回路123は、センサ130につながっている。
センサ130は、磁石140に向かい合うように設けられている。センサ130の種類の一例は、ホールセンサである。
磁石140は、治具141の外周面に取り付けられている。治具141は、第一軸部41の端面に取り付けられている。そのため、シャフト4が回転すると、治具141は回転する。治具141の形状は、円柱状である。磁石140の形状は、円筒状である、磁石140は、周方向にS極とN極とが交互に配置されている。
カバー160は、回路基板120を保護する。カバー160は、プレート部161と周壁部162とを備える。プレート部161と周壁部162とは一体に構成されている。プレート部161は、回路基板120を挟んで第二平面71sと向かい合って配置されている。プレート部161は、回路基板120を覆っている。プレート部161の形状は、円環板状である。プレート部161の中央には、貫通孔が設けられている。プレート部161の内径は、調整部材6の内径超である。そのため、工具をプレート部161の貫通孔に差し込み易い。よって、工具によって調整部材6を回転させ易い。周壁部162の形状は、円筒状である。周壁部162は、回路基板120の外周面の外側に設けられている。周壁部162は、第二平面71sに取り付けられている。
本例のアキシャルギャップモータは、実施形態1と同様、シムを用いなくても、組み立て精度に優れる。
《実施形態2》
実施形態2のアキシャルギャップモータは、図11に示すように、座金65を有する。座金65は、第二端面53sと第一端面61fとの間に配置される。座金65の内径は、インナーレース52の外径超、アウターレース53の内径以下である。座金65は、調整部材6によってアウターレース53を支持し易くすることができる。座金65の種類の一例は、平座金又は皿ばね座金である。平座金は、第二端面53sと第一端面61fとのなじみを良くする。皿ばね座金は、調整部材6の第二突出部71bに対するゆるみを防止し易い。
本実施形態の調整部材6の形状は、実施形態1と同様、円筒状である。円筒状の調整部材6の内寸の下限は、インナーレース52の内径以上、インナーレース52の外径以下とすることもできる。座金65によって調整部材6とインナーレース52との接触が防止されるからである。よって、本実施形態のアキシャルギャップモータは、調整部材6の内寸がインナーレース52の内径以上、インナーレース52の外径以下であっても、機械的損失の増加を抑制できる。
本実施形態とは異なり、調整部材6の形状は、円柱状とすることもできる。座金65によって、円柱状のような中実体である調整部材6とインナーレース52との接触が防止されるからである。よって、本実施形態のアキシャルギャップモータは、調整部材6の形状が円柱状であっても、機械的損失の増加を抑制できる。円柱状の調整部材6は、第一凹部を有する。第一凹部は、工具がはめ込まれる。第一凹部は、調整部材6の第二端面に設けられている。図11に示すように、第一軸部41が第二端面52sよりも突出している場合、円柱状の調整部材6は、第二凹部を有する。第二凹部は、第一軸部41が配置される。第二凹部は、調整部材6の第一端面に設けられている。第二凹部の内寸は、第二凹部の内周面と第一軸部41の外周面とが接触しない程度の大きさである。内寸とは、第二凹部の内周面の内接円の直径である。第二凹部の深さは、第二凹部の底部と第一軸部41の端面とが接触しない程度の深さである。第一軸部41の端面と第二端面52sとが実質的に面一であり、第一軸部41と円柱状の調整部材6とが接触しないのであれば、第二凹部はなくてよい。
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、ヨークは、扇板状の複数のヨーク片を円環状につなぎ合わせて構成されていてもよい。各ヨーク片につながっているティースの数は、一つでもよいし複数でもよい。
また、アキシャルギャップモータは、ダブルステータ・シングルロータ型のアキシャルギャップモータであってもよい。ダブルステータ・シングルロータ型のアキシャルギャップモータとは、ステータの数が2つであり、ロータの数が1つのモータである。ダブルステータ・シングルロータ型のアキシャルギャップモータでは、二つのステータで一つのロータが挟まれるように組み付けられる。
1 アキシャルギャップモータ
2 ステータ
21 ステータコア
22 ヨーク、22f 第一面、22s 第二面
23 ティース、23a 端面
24 被覆粒子、241 金属粒子 242 絶縁被覆
25 コイル
3 ロータ
31 ロータ本体、31f 第一面、31s 第二面
32 凹部、32a 底面
35 磁石、35f 第一端面
38 接着剤
4 シャフト
41 第一軸部
42 第二軸部、42f 第一端面、42s 第二端面
43 第三軸部、43a 端面
44 第四軸部、45 第五軸部
51 第一ベアリング
52 インナーレース、52f 第一端面、52s 第二端面
53 アウターレース、53f 第一端面、53s 第二端面
54 ボール
55 第二ベアリング
56 インナーレース、57 アウターレース
6 調整部材
61f 第一端面、61s 第二端面、611 ねじ部
65 座金
7 ケース
71 第一プレート部、71f 第一平面、71s 第二平面
71a 第一突出部、71b 第二突出部、711 ねじ部
72 第二プレート部、72a 凹部、72h 貫通孔
73 周壁部
8 弾性部材
91、92 締結部材
110 電圧計
120 回路基板
121 波形変換素子群、122 波形制御IC、123 位相検出回路
130 センサ、140 磁石、141 治具
160 カバー、161 プレート部、162 周壁部
A、B、C 領域
G1 設計長さ

Claims (9)

  1. ロータと、
    前記ロータの回転軸方向に設計長さのギャップを開けて配置されているステータと、
    前記ロータの回転軸であるシャフトと、
    前記シャフトを回転自在に支持している第一ベアリングと、
    前記シャフトを回転自在に支持し、前記ロータを挟んで前記第一ベアリングに向かい合って配置されている第二ベアリングと、
    前記ステータが載置される第一平面を有するケースと、
    前記第一ベアリングを支持しており、前記ギャップの長さを調整するための調整部材と、を備え、
    前記調整部材は、前記ケースにねじ結合されているねじ山を有し、
    前記第一ベアリングは、前記調整部材の回転によって前記シャフトの軸方向に移動する、
    アキシャルギャップモータ。
  2. 前記調整部材の前記ねじ山のピッチは、2.5mm以下である、請求項1に記載のアキシャルギャップモータ。
  3. 記第二ベアリングを前記第一ベアリングに向けて押圧する弾性部材を備える、請求項1または請求項2に記載のアキシャルギャップモータ。
  4. 前記第一ベアリングは、インナーレースおよびアウターレースを有するラジアルベアリングであり、
    前記調整部材は、前記インナーレースに接することなく前記アウターレースを支持している、請求項1または請求項2に記載のアキシャルギャップモータ。
  5. 前記アウターレースと前記調整部材との間に配置される座金を有する、請求項4に記載のアキシャルギャップモータ。
  6. 前記ステータは、
    円環板状に構成されたヨーク、および前記ヨークから突出するように設けられた複数のティースを有するステータコアと、
    前記複数のティースの各々に配置されているコイルと、を有し、
    前記ステータコアは、前記第一平面に固定されている、請求項1または請求項2に記載のアキシャルギャップモータ。
  7. 前記ステータコアは、圧粉成形体で構成されている、請求項6に記載のアキシャルギャップモータ。
  8. 前記ステータの数と前記ロータの数とが1つずつである、請求項1または請求項2に記載のアキシャルギャップモータ。
  9. アキシャルギャップモータのパーツを準備する工程と、
    前記パーツを組み立てる工程と、を備え、
    前記パーツは、
    ロータと、
    ステータと、
    前記ロータの回転軸であるシャフトと、
    前記シャフトを回転自在に支持するベアリングと、
    前記ステータが載置される第一平面を有するケースと、
    前記ケースにねじ結合されることで前記ベアリングを支持する調整部材と、を含み、
    前記ステータは、
    ヨークおよび複数のティースを有するステータコアと、
    前記複数のティースの各々に配置されているコイルと、を有し、
    前記パーツを組み立てる工程では、前記調整部材を前記ケースに対して回転させて前記ベアリングを介して前記シャフトを昇降させることで、前記ロータと前記ステータとの間のギャップの長さを設計長さとし、
    前記調整部材の回転量は、前記コイルに生じる誘起電圧値に基づいて決定される、
    アキシャルギャップモータの製造方法。
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