JP7841164B1 - 水系塗料組成物キット、水系塗料組成物、塗膜、塗装品、および塗装品の製造方法 - Google Patents
水系塗料組成物キット、水系塗料組成物、塗膜、塗装品、および塗装品の製造方法Info
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Abstract
【解決手段】非水性エポキシ化合物(A1)およびシリケート化合物(B)を含有する第1剤と、アミン化合物(C)および水を含有する第2剤とを有する、水系塗料組成物キット。
【選択図】なし
Description
例えば、エポキシ-アミン硬化系等の塗料組成物として、特許文献1には、エポキシ樹脂、アミン系硬化剤、シランカップリング剤、水および顔料を含有する塗料組成物が開示されている。また、特許文献2には、非水性エポキシ化合物を含む第1剤と、アミン化合物を含有する水希釈成分およびアミン化合物を含有する非水性成分を含む第2剤と、を含有する防食塗料組成物用キットが開示されている。
本開示の水系塗料組成物キットの一態様(以下「本キット1」ともいう。)は、第1剤と第2剤とを有し、前記第1剤が、非水性エポキシ化合物(A1)およびシリケート化合物(B)を含有し、前記第2剤が、アミン化合物(C)および水を含有する。
本開示の水系塗料組成物キットの一態様(以下「本キット2」ともいう。)は、第1剤と第2剤と第3剤とを有し、前記第1剤が、水性エポキシ化合物(A2)および水を含有し、前記第2剤が、アミン化合物(C)を含有し、前記第3剤が、シリケート化合物(B)を含有する。
以下、本キット1および本キット2を総称して、「本キット」ともいう。
なお、本開示において、「水系塗料組成物」とは、水または水を含む媒体(以下「水性媒体」ともいう。)に、エポキシ化合物、アミン化合物およびシリケート化合物等の成分を分散および/または溶解させた塗料組成物のことをいう。
水性媒体には、水以外の常圧下での沸点が180℃未満の媒体が含まれていてもよい。
該水以外の常圧下での沸点が180℃未満の媒体としては、例えば、アセトン、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、および、エチレングリコールモノプロピルエーテルが挙げられる。これらは1種であってもよく、2種以上であってもよい。
本キット1の第1剤は、非水性エポキシ化合物(A1)を含有する。
非水性エポキシ化合物(A1)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
上記エポキシ化合物は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有することが好ましい。
なお、エポキシ当量は、JIS K 7236:2001に基づいて算出される。
上記アルキル基(アルキル)の好適例としては、炭素数3~15のアルキル基が挙げられ、具体的には、ネオペンチル基および2-エチルヘキシル基などのアルキル基が挙げられる。
非水性エポキシ化合物(A1)の含有量が上記範囲にあると、基材との付着性、耐油性、耐溶剤性、耐薬品性および防食性等に優れる塗膜を容易に形成できる等の点から好ましい。
本キット2の第1剤は、水性エポキシ化合物(A2)を含有する。
水性エポキシ化合物(A2)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
水性エポキシ化合物(A2)は、水または水を主な溶媒もしくは分散媒とするエポキシ化合物、または、水と混合可能(水で希釈可能)なエポキシ化合物であり、より具体的には、水分散型エポキシ化合物、水溶性エポキシ化合物および自己乳化性エポキシ化合物等が挙げられる。なお、上記水と混合可能(水で希釈可能)なエポキシ化合物とは、水と混合した際に著しい粘度上昇を示さないエポキシ化合物のことをいう。
なお、エポキシ化合物エマルションとしては、例えば、エポキシ化合物を含む油滴を水性媒体に均一に分散した乳濁液が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、形成する塗膜の耐水性等を考慮し、上記乳化剤の使用量の低減等の点から、変性エポキシ化合物であってもよい。該変性としては、例えば、エポキシ化合物と1種または2種以上の他の化合物とを結合させることによって、乳化力のあるセグメントを分子中に導入して自己乳化型エポキシ化合物に変性することが挙げられ、より具体的には、ポリオキシアルキレン鎖、水酸基、アミノ基およびカルボキシ基等から選ばれる少なくとも1種をエポキシ化合物に導入することが挙げられる。なお、これらの変性エポキシ化合物は、1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記アルキル基(アルキル)の好適例としては、炭素数3~15のアルキル基が挙げられ、具体的には、ネオペンチル基および2-エチルヘキシル基などのアルキル基が挙げられる。
なお、エポキシ当量は、JIS K 7236:2001に基づいて算出される。
水性エポキシ化合物(A2)の含有量が上記範囲にあると、防食性および基材に対する付着性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から好ましい。
本キットは、シリケート化合物(B)を含有する剤を有する。例えば、本キット1の第1剤はシリケート化合物(B)をさらに含有し、本キット2の第3剤はシリケート化合物(B)を含有する。
シリケート化合物(B)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
高湿度または低温下での塗膜の乾燥時には、塗膜中からの水の蒸発速度が遅く、塗膜がウェットな状態が長いため、非水性の成分が水を嫌って塗膜表面に浮き上がることによってタックが生じる要因となる。また、アミン化合物とエポキシ化合物とが偏在することによって、硬化遅延が生じる。
一方、本組成物においては、シリケート化合物(B)の加水分解物が核となってアミン化合物とエポキシ化合物との硬化反応を促進していると考えられる。また、シリケート化合物(B)が乾燥途中の塗膜表面に浮き上がることによって非水性の成分が浮き上がることを抑制していると考えられる。塗膜表面に浮き上がったシリケート化合物(B)は、シリケート化合物(B)同士が縮合するのと同時に、エポキシ化合物、アミン化合物等との反応も進行する。以上のようなことから、上記各成分とともにシリケート化合物(B)を含有する本組成物を用いることによって、上記効果が発現したと推測される。
また、シリケート化合物(B)を用いることにより、本組成物から形成される塗膜は、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性)にも優れる。
アルキルアルコキシシランとしては、例えば、アルキルトリアルコキシシランが挙げられる。アルキルトリアルコキシシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシラン等のメチルトリアルコキシシラン;エチルトリメトキシシランおよびエチルトリエトキシシランなどのエチルトリアルコキシシランが挙げられる。
アルコキシシランに含まれるアルコキシ基の炭素数は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3である。アルキルアルコキシシランに含まれるアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5、より好ましくは1~3である。
X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1~5以下のアルキル基である。
nは繰り返し数を示す。
上記アルキル基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。また、上記アルキル基は、直鎖構造であってもよく、分枝鎖構造であってもよい。
本開示の一実施形態において、テトラエトキシシランまたはその低縮合物であるシリケート化合物(B-a)と、テトラメトキシシランまたはその低縮合物、テトラ-n-プロポキシシラン、および、テトラ-n-ブトキシシランから選ばれる少なくとも1種のシリケート化合物(B-b)とを併用することがより好ましい。
硬化速度に優れ、可使時間(ポットライフ)が長い塗料組成物を得ることができるという点から、上記シリケート化合物(B-b)の含有量は、シリケート化合物(B-a)100質量部に対して、好ましくは1~100質量部、より好ましくは5~90質量部、さらに好ましくは15~80質量部である。
上記Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定される。GPC法によって得られる値は、ポリスチレンを標準物質として作成された検量線を使用して求めた値(ポリスチレン換算値)である。
本キットの第2剤は、アミン化合物(C)を含有する。
アミン化合物(C)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、例えば、水希釈性アミン化合物を用いる場合、水希釈性アミン化合物は、例えば、第2剤中に含まれ得る他の成分と混合した後において、水希釈性であったか否かを判断できない場合があるが、このような場合であっても、第2剤等を調製する際の原料として水希釈性アミン化合物を用いる場合には、第2剤等は水希釈性アミン化合物を含有するという。非水性アミン化合物についても同様である。
この芳香族系アミン化合物の具体例としては、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,4’-ジアミノビフェニル、2,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、および、ジエチルメチルベンゼンジアミンが挙げられる。
上記式(1)における「アミン化合物(C)に対して反応性を有する成分」および「エポキシ化合物に対して反応性を有する成分」としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。
上記シランカップリング剤としては、反応性基としてアミノ基やエポキシ基を有するシランカップリング剤を使用できるため、該反応性基の種類によって、該シランカップリング剤がアミン化合物(C)に対して反応性を有するのか、エポキシ化合物に対して反応性を有するのかを判断し、反応比を算出する必要がある。
アミン化合物(C)の含有量が上記範囲にあると、防食性および乾燥性に優れる塗膜を容易に形成できる。
本キット1の第2剤が水希釈性アミン化合物と非水性アミン化合物とを含有する場合、水希釈性アミン化合物の固形分の含有量は、非水性アミン化合物の固形分100質量部に対して、好ましくは5~200質量部、より好ましくは10~100質量部、さらに好ましくは20~60質量部である。
本キットの第2剤における水の含有量は、第2剤100質量%に対して、好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。
本組成物の調製をより容易にし、該組成物の貯蔵安定性を向上させる等の点から、本組成物は、さらに水を含有する。具体的には、本キット1の第2剤は水を含有し、本キット2の第1剤は水を含有する。
上記水としては特に制限されず、水道水等を用いてもよいが、イオン交換水等を用いることが好ましい。
本組成物は、上述した各成分以外の成分(以下「その他の成分」ともいう。)をさらに含有してもよい。特に言及しない限り、本キットにおける各剤も、その他の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、非反応性希釈剤、シランカップリング剤、顔料、(顔料)分散剤、消泡剤、粘性調整剤(タレ止め剤、沈降防止剤、揺変剤)、フラッシュラスト抑制剤、硬化促進剤、脱水剤、2価以上の多価カルボン酸および造膜助剤が挙げられる。
その他の成分はそれぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本組成物は、非反応性希釈剤を含有していてもよい。得られる塗膜の柔軟性を向上させることができる等の点からは、本組成物は、非反応性希釈剤を含有していることが好ましい。なお、非反応性希釈剤とは、エポキシ基またはアミノ基に対して反応性を有する官能基を有さない化合物のことをいう。
上記フェノール変性炭化水素樹脂としては、例えば、特開平9-268209号公報、特開平7-196793号公報等にも記載されている、石油や石炭の分解油留分に含まれるジオレフィン、モノオレフィン類やα-メチルスチレンと、フェノール類(フェノール化合物)とを用いて得られた樹脂が挙げられる。
有機溶媒としては、常圧下での沸点が180℃未満の有機溶媒であることが好ましく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系溶媒、ブチルセロソルブ等のエーテル系溶媒、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、n-ブタノール、メトキシプロパノール等のアルコール系溶媒、n-ヘキサン、n-オクタン、2,2,2-トリメチルペンタン、イソオクタン、n-ノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられる。
本キット1の第1剤は、有機溶媒を含む溶媒系の剤であるか、無溶媒型の剤であることが好ましい。有機溶媒を含有する第1剤を調製する場合、該有機溶媒の含有量が、第1剤100質量%に対して、好ましくは12質量%以下、より好ましくは10質量%以下、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、例えば、1~12質量%となるように有機溶媒を用いることが好ましい。
非反応性希釈剤の含有量が上記範囲にあると、可使時間(ポットライフ)の長い塗料組成物を容易に得ることができる。
本組成物は、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シランカップリング剤を用いることで、低粘度である塗料組成物を容易に得ることができ、得られる塗膜の基材への付着性をさらに向上させることができるのみならず、得られる塗膜の耐水性、耐塩水性等の防食性および耐熱性をも向上させることができる。
また、アミノ基含有シランカップリング剤等の、エポキシ化合物(非水性エポキシ化合物(A1)または水性エポキシ化合物(A2))に対して反応性を有するシランカップリング剤を用いる場合、該シランカップリング剤は、第2剤に配合することが好ましい。
シランカップリング剤の含有量が上記範囲にあると、本組成物の粘度を低減できるため、低粘度であり、塗装作業性に優れる塗料組成物を容易に得ることができ、また、得られる塗膜の基材に対する付着性、防食性および耐熱性が向上する。
本組成物は、顔料(後述のフラッシュラスト抑制剤を除く)を含有してもよい。
上記顔料としては、体質顔料、着色顔料および防錆顔料等が挙げられる。
上記PWCとは、本組成物中の固形分の質量に対する、顔料の合計の質量の百分率を指し、次の式(2)で表される。
PWC[%]=本組成物中の全ての顔料の質量合計/本組成物中の固形分の質量×100・・・(2)
PVC[%]=本組成物中の全ての顔料の体積合計×100/本組成物中の固形分の体積・・・式(3)
上記顔料の体積は、用いた顔料の質量および真密度から算出することができる。上記顔料の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。例えば、本組成物の固形分より顔料と他の成分とを分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで算出することができる。
体質顔料としては特に制限されないが、下記着色顔料および防錆顔料以外の顔料である。
上記体質顔料としては、例えば、従来公知の、タルク、マイカ、硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウムや簸性硫酸バリウムを含む)、(カリ)長石、カオリン、アルミナホワイト、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、および、シリカが挙げられる。これらの中でも、タルク、マイカ、硫酸バリウム、および(カリ)長石が好ましい。
着色顔料としては、特に制限されないが、下記防錆顔料以外の顔料である。
上記着色顔料としては、例えば、従来公知の、カーボンブラック、二酸化チタン(チタン白)、酸化鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、群青等の無機顔料、シアニンブルー、シアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これらの中でも、チタン白、カーボンブラック、および弁柄が好ましい。
防錆顔料としては、例えば、亜鉛粉末、亜鉛合金粉末、リン酸亜鉛系化合物、リン酸カルシウム系化合物、リン酸アルミニウム系化合物、リン酸マグネシウム系化合物、亜リン酸亜鉛系化合物、亜リン酸カルシウム系化合物、亜リン酸アルミニウム系化合物、亜リン酸ストロンチウム系化合物、トリポリリン酸アルミニウム系化合物、モリブデン酸塩系化合物、シアナミド亜鉛系化合物、ホウ酸塩化合物、ニトロ化合物、および複合酸化物が挙げられる。これらの中でも、リン酸アルミニウム系化合物が好ましい。
(顔料)分散剤としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、リン酸基、アミノ基、これらの塩の基、アンモニウム塩基等の顔料吸着基(顔料親和性基)を有し、脂肪酸、ポリアミノ、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート等の相溶性鎖を有する共重合体等の各種分散剤が挙げられる。
本組成物の調製時や塗装時に泡の発生を抑える、または、本組成物中に発生した泡を破泡させ、所望の物性の塗膜を形成する等の目的で、本組成物には必要に応じて消泡剤を配合してもよい。
粘性調整剤としては特に制限されないが、本組成物中の顔料等の沈降を抑制し、その貯蔵安定性を向上させることができる材料、または、塗装時や塗装後の本組成物のタレ止め性を向上させることができる材料であることが好ましい。
粘性調整剤の含有量が上記範囲にあると、塗装作業性に優れる塗料組成物を容易に得ることができる。
フラッシュラスト抑制剤としては、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸アンモニウムなどの亜硝酸塩;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アンモニウムなどの安息香酸塩;フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウムなどのフィチン酸塩;セバシン酸、ドデカン酸などの脂肪酸の塩;アルキルリン酸、ポリリン酸などのリン酸誘導体;タンニン酸塩;スルホン酸金属塩;N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、これらのアルカリ金属塩などのアミン系キレート剤;4-メチル-γ-オキソ-ベンゼンブタン酸とN-エチルモルホリンとを用いて得られた付加反応物;モノアルキルアミン、ポリアミン、および/または、第四級アンモニウムイオンなどをトリポリリン酸二水素アルミニウムなどの層状リン酸塩にインターカレートしてなる層間化合物;ヒドラジド化合物、セミカルバジド化合物、ヒドラゾン化合物などのヒドラジン誘導体が挙げられる。
2価以上の多価カルボン酸は、1分子中に2つ以上のカルボキシ基を有する有機酸である。
可使時間(ポットライフ)の長い塗料組成物を容易に得ることができ、防食性に優れる塗膜を容易に形成することができる等の点から、第2剤は2価以上の多価カルボン酸を含有することが好ましい。
本組成物は、水を含有することに起因し、冬季等に該組成物が凍結することがあるため、また、低温下における成膜性や得られる塗膜の仕上がり外観を向上させる等の点から、造膜助剤を含有していてもよい。
各原材料の固形分含有量および配合量から算出される本組成物の固形分の含有量は、好ましくは60~85質量%、より好ましくは65~82質量%、さらに好ましくは70~80質量%である。
本組成物1は、非水性エポキシ化合物(A1)およびシリケート化合物(B)を含有する第1剤と、アミン化合物(C)および水を含有する第2剤とを混合(混練)することで調製することができる。本組成物2は、水性エポキシ化合物(A2)および水を含有する第1剤と、アミン化合物(C)を含有する第2剤と、シリケート化合物(B)を含有する第3剤とを混合(混練)することで調製することができる。
上記混合(混練)の際には、従来公知の混合機、分散機、撹拌機等の装置を使用でき、該装置としては、例えば、ディスパー、混合・分散ミル、モルタルミキサー、ロール、ペイントシェーカー、ホモジナイザーが挙げられる。なお、上記混合(混練)の際には、季節、環境等に応じて加温、冷却等しながら行ってもよい。
本開示の塗膜(以下「本塗膜」ともいう。)は、本組成物を用いて形成され、具体的には、本組成物を乾燥(硬化)させることで形成することができ、通常、基材上に形成される。
本開示の塗装品は、基材と本塗膜とを含む。
また、上記基材として、例えば、マイルドスチール(SS400等)を用いる場合、必要により、グリットブラスト等で基材表面を研磨するなど、素地調整(例:算術平均粗さ(Ra)が30~75μm程度になるよう調整)しておくことが望ましい。
上記基材は、さらに、基材に付着した錆、汚れ、塗料(旧塗膜)等を落とす洗浄処理やブラスト処理等の前処理を行った基材であってもよい。
従来の水系塗料組成物では、水の蒸発速度が遅いため、上記のような大きな膜厚とすることは困難であった。一方、本組成物を用いることで上記のような大きな膜厚とした場合に、硬化遅延が生じず、タックが生じにくい塗膜を形成できる。
工程[1]:本組成物を基材に塗装する工程、および
工程[2]:塗装された本組成物を乾燥させて塗膜を形成する工程
を含む。
工程[1]における塗装方法としては、特に制限されず、例えば、エアレススプレー塗装、エアースプレー塗装等のスプレー塗装、はけ塗り、ローラー塗りなどの従来公知の方法が挙げられる。これらの中でも、上記構造物などの大面積の基材を容易に塗装できる等の点から、スプレー塗装が好ましい。
このような塗装の際には、得られる塗膜の乾燥膜厚が上記範囲となるように塗装することが好ましい。
この場合、各塗装方法に適した塗料粘度となるように希釈剤を用いることが好ましく、例えば、エアレススプレー塗装する場合、本組成物100質量部に対する希釈剤の使用量は、好ましくは1~30質量部である。
工程[2]における乾燥条件としては、特に制限されず、塗膜の形成方法、基材の種類、用途、塗装環境等に応じて適宜設定すればよい。
一方、乾燥時間は、塗膜の乾燥方法によって異なり、上記温度範囲内で乾燥する場合、通常1時間~7日、好ましくは1日~3日であり、強制乾燥の場合、通常5分~60分、好ましくは10分~30分である。
本開示は、例えば以下の<1>~<8>に関する。
<1>
非水性エポキシ化合物(A1)およびシリケート化合物(B)を含有する第1剤と、
アミン化合物(C)および水を含有する第2剤と、
を有する、水系塗料組成物キット。
<2>
前記第1剤中のシリケート化合物(B)の含有量が、前記非水性エポキシ化合物(A1)の固形分100質量部に対して1~50質量部である、<1>に記載の水系塗料組成物キット。
<3>
水性エポキシ化合物(A2)および水を含有する第1剤と、
アミン化合物(C)を含有する第2剤と、
シリケート化合物(B)を含有する第3剤と、
を有する、水系塗料組成物キット。
<4>
前記第2剤が、水をさらに含む、
<3>に記載の水系塗料組成物キット。
<1>もしくは<2>に記載の水系塗料組成物キットにおける第1剤と第2剤とを混合することにより、または<3>もしくは<4>に記載の水系塗料組成物キットにおける第1剤と第2剤と第3剤とを混合することにより得られる、水系塗料組成物。
<5>に記載の水系塗料組成物より形成された塗膜。
<7>
基材と<6>に記載の塗膜とを含む、塗装品。
基材に、<5>に記載の水系塗料組成物を塗装する工程[1]、および前記基材上に塗装された前記水系塗料組成物を乾燥させて、塗膜を形成する工程[2]
を含む、塗装品の製造方法。
容器に、表1および表2の第1剤の欄に記載の各成分を、表1および表2に記載の量(数値、質量部)で入れ、ハイスピードディスパーを用いて室温(23℃)で30分間撹拌することで、第1剤を調製した。
また、別の容器に、表1および表2の第2剤の欄に記載の各成分を、表1および表2に記載の量(数値、質量部)で入れ、ハイスピードディスパーを用いて45~50℃になるまで撹拌することで、第2剤を調製した。
調製した第1剤、第2剤および必要により用いられる表2の第3剤の欄に記載の第3剤を、表1および表2に記載の混合比(質量%)で混合し、合計量が表1および表2の水系塗料組成物を調製した。
表1および表2に記載の各成分の説明を表3に示す。
調製した水系塗料組成物中の固形分の含有量(組成物100質量%中の固形分の量)は、各原材料の固形分含有量、および配合量から算出した。結果を表1および表2に示す。
調製した水系塗料組成物中の顔料質量濃度(PWC)は、上記式(2)に基づいて算出した。結果を表1および表2に示す。
調製した水系塗料組成物中の顔料体積濃度(PVC)は、上記式(3)に基づいて算出した。結果を表1および表2に示す。
調製した水系塗料組成物における反応比は、上記式(1)に基づいて算出した。結果を表1および表2に示す。
調製した水系塗料組成物を、348mm×25mm×2mm(厚)のガラス板に、それぞれ乾燥塗膜厚が150μmになるようにフィルムアプリケータで塗布した。5℃、相対湿度70%RHの条件下でRC型ドライングタイムレコーダー(コーティングテスター(株)製)を用い、塗膜上で、RC型ドライングタイムレコーダーの試験針を一定の速度(測定時間を24時間とする速度)でゆっくりと移動させることにより、試験針の通った跡から塗膜の状態を判断し、塗膜の形成直後から、塗膜が半硬化するまでの時間(半硬化時間)を判断した。結果を表1および2に示す。
なお、半硬化時間とは、具体的には以下の通りである。
図1に、塗膜1が形成されたガラス板2を、塗膜1側の上方から見下ろした概略平面図(概略説明図)を示す。
位置aは、ガラス板2上に形成された塗膜1に接して試験針を配置し、該試験針を移動開始させた位置である。位置bは、塗膜1が形成されたガラス板2を、塗膜1側の上方から見下ろした際に、ガラス板2が(塗膜1により)見えなくなった位置であり、位置cは、試験針が塗膜1の表面を滑り、塗膜1の表面に試験針の跡が完全につかなくなった位置である。
位置aから位置bまで試験針が移動するのに要した時間を半硬化時間とした(位置aから位置cまで試験針が移動するのに要した時間は完全硬化時間である)。
ブリキ板(150mm×70mm×0.3mm(厚み))に、調製した水系塗料組成物を、それぞれ乾燥膜厚が200μmになるようにアプリケーターで塗布し、5℃、相対湿度70%RHの条件で静置し、24時間および48時間経過後に、試験片の塗膜の表面を指で押さえ、粘着性(タック)の有無を評価した。評価基準は以下の通りである。
5:粘着性を感じない。
4:やや粘着性を感じるが、塗膜表面に指で触った跡が残らない。
3:粘着性があり、指を試験片から離そうとした際に試験片は持ち上がらないが、塗膜表面に指で触った跡が残る。
2:粘着性があり、指を試験片から離そうとした際に試験片がやや持ち上がった後に、指から離れる。
1:粘着性があり、指を試験片から離そうとした際に試験片が持ち上がり、指から離れない。
150mm×70mm×2.3mm(厚)のSS400のサンドブラスト鋼板(算術平均粗さ(Ra):30~75μm)を用意した。この鋼板表面に、調製した水系塗料組成物を、アプリケーターを用いて、それぞれ乾燥膜厚が200μmになるように塗装した。
各水系塗料組成物を塗装した直後の鋼板を、温度5℃、相対湿度70%RHの条件下で24時間および48時間乾燥させた。
各乾燥時間後に試験片を靴で踏みつけ、靴の踵でねじった後の塗膜表面の状態を評価した。評価基準は以下の通りである。
5:塗膜にダメージが無く、塗膜表面に汚れの付着も無い。
4:塗膜にダメージは無いが、塗膜表面に汚れの付着がみられる。
3:塗膜の剥がれは無いが、塗膜表面に僅かに擦れた跡が残る。
2:塗膜の剥がれは無いが、塗膜がねじれたダメージ跡が残る。
1:塗膜が剥がれ、下地のサンドブラスト鋼板の表面が露出している。
実施例1~12および比較例1で調製した直後の水系塗料組成物300gを容器に量り取り、各水系塗料組成物の23℃における粘度(リオン粘度計:VT-04F、リオン(株)製)が2,000mPa・sとなるように、水で調整した。次いで、5℃の恒温槽中、30分間および60分間保持した後の粘度(5℃)を測定した。結果を表1に示す。
150mm×70mm×2.3mm(厚)のSS400のサンドブラスト鋼板(算術平均粗さ(Ra):30~75μm)に、調製した水系塗料組成物を、それぞれ乾燥膜厚が150μmになるようにエアースプレーを用いて塗布し、23℃で7日間乾燥させることで試験板を作製した。
試験板を、5%硫酸および5%水酸化ナトリウム水溶液の各種薬品に、23℃で30日間浸漬した。浸漬後の試験板の評価基準は以下の通りである。
なお、耐薬品性試験は、評価が2以上であれば実用上問題ないといえる。
3:鋼板に錆の発生がなく、塗膜に鋼板からの剥離、フクレ、ワレ、および軟化がない。
2:鋼板に錆の発生がなく、塗膜に鋼板からの剥離、フクレ、およびワレがないが、僅かに軟化がみられる。
1:鋼板に錆の発生、塗膜に鋼板からの剥離、フクレ、またはワレのいずれかが生じた。
2:ガラス板
3:試験針が通った跡
a:試験針の移動開始位置
b:ガラス板が見えなくなった位置
c:試験針が塗膜表面を滑り、塗膜表面に試験針の跡が完全につかなくなった位置
Claims (8)
- 非水性エポキシ化合物(A1)およびシリケート化合物(B)を含有し、前記シリケート化合物(B)が、アルコキシシラン、および前記アルコキシシランの縮合度が2~20である低縮合物から選択される少なくとも1種であり、前記アルコキシシランが、テトラアルコキシシランおよびアルキルアルコキシシランから選択される少なくとも1種であり、前記アルキルアルコキシシランに含まれるアルキル基の炭素数が1~5である、第1剤と、
アミン化合物(C)および水を含有する第2剤と、
を有する、水系塗料組成物キット。 - 前記第1剤中のシリケート化合物(B)の含有量が、前記非水性エポキシ化合物(A1)の固形分100質量部に対して1~50質量部である、請求項1に記載の水系塗料組成物キット。
- 水性エポキシ化合物(A2)および水を含有する第1剤と、
アミン化合物(C)を含有する第2剤と、
シリケート化合物(B)を含有し、前記シリケート化合物(B)が、アルコキシシラン、および前記アルコキシシランの縮合度が2~20である低縮合物から選択される少なくとも1種であり、前記アルコキシシランが、テトラアルコキシシランおよびアルキルアルコキシシランから選択される少なくとも1種であり、前記アルキルアルコキシシランに含まれるアルキル基の炭素数が1~5である、第3剤と、
を有する、水系塗料組成物キット。 - 前記第2剤が、水をさらに含む、
請求項3に記載の水系塗料組成物キット。 - 請求項1もしくは2に記載の水系塗料組成物キットにおける第1剤と第2剤とを混合することにより、または請求項3もしくは4に記載の水系塗料組成物キットにおける第1剤と第2剤と第3剤とを混合することにより得られる、水系塗料組成物。
- 請求項5に記載の水系塗料組成物より形成された塗膜。
- 基材と請求項6に記載の塗膜とを含む、塗装品。
- 基材に、請求項5に記載の水系塗料組成物を塗装する工程[1]、および前記基材上に塗装された前記水系塗料組成物を乾燥させて、塗膜を形成する工程[2]
を含む、塗装品の製造方法。
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| JP2022154829A (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-13 | 中国塗料株式会社 | 防食塗料組成物の製造方法 |
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