JP7841868B2 - 油中水型乳化油脂組成物 - Google Patents

油中水型乳化油脂組成物

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Description

本発明は、油中水型乳化油脂組成物に関する。
近年、乳アレルゲンや卵アレルゲンなどの動物アレルゲンを含まない食品や、菜食主義者(ベジタリアン)や完全菜食主義者(ビーガン)であっても食することが可能な食品の開発が求められる場面が多々見られるようになっており、バターやマーガリンなどの油中水型乳化油脂組成物についてもその傾向が見られるようになってきた。
しかし、バターは乳製品そのものであり、マーガリンについても油脂は植物油を使用したものであっても乳風味の付与のために脱脂粉乳や蛋白質濃縮ホエイパウダー、WPC、MPC、TMPなど、乳蛋白質を含有するのが普通である。
バター等の乳製品が高価であることなどを考慮して、従来より、乳蛋白質等の乳成分の量を制限しながら良好な乳風味を付与する方法として、ナトリウムとカリウムのバランスによる方法(例えば特許文献1参照)、遊離アミノ酸を使用する方法(例えば特許文献2参照)、乳清ミネラルを使用する方法(例えば特許文献3参照)などが提案されている。
一方、大豆たんぱく質、エンドウ豆たんぱく質、小麦たんぱく質、米たんぱく質などの植物由来たんぱく素材を使用したり、豆乳、ライスミルク、アーモンドミルクなどの植物ミルクをマーガリンに使用することも多くみられるようになってきた。
しかし、植物由来蛋白質は乳蛋白質と違って水への溶解度が低く、植物由来たんぱく素材にはザラが生じやすい問題、さらには、乳風味とは異なる風味、とくに大豆由来蛋白質では青臭い風味がするなど、風味面で乳蛋白質に遠く及ぶものではなかった。
また、植物ミルクについても植物由来たんぱく素材と同様の風味面の問題があることに加え、得られる油中水型乳化油脂組成物にコク味が不足するという問題があった。
以上の理由から、植物ミルクや植物由来たんぱく素材を含有する油中水型乳化油脂組成物において、良好な物性及び良好な乳風味を付与するための方法が求められていた。
しかしながら、上記従来技術において、当該課題は検討されていない。
特開2003-284489号公報 WO2009/101972 特開2014-050336号公報
従って、本発明の課題は、乳蛋白質に代えて植物ミルクや植物由来たんぱく素材を使用した場合に、ザラが抑制され、且つ植物ミルクや植物由来たんぱく素材の異風味が抑制され、コクのある良好な乳風味を呈する、油中水型乳化油脂組成物を提供することである。
本発明者等は、上記課題を達成すべく種々検討した結果、ナトリウムとカリウムを一定量以上となるようにナトリウム及びカリウムを添加し、その質量比を特定の範囲内とした場合、上記目的が達成可能であることを見出した。
すなわち本発明は、植物ミルク及び/又は植物由来たんぱく素材を含有し、ナトリウムとカリウムを合計して0.05質量%以上含有し、ナトリウムとカリウムとの質量比(Na:K)が1:0.1~10である油中水型乳化油脂組成物を提供するものである。
本発明によれば、乳蛋白質に代えて植物ミルクや植物由来たんぱく素材を使用した場合に、ザラが抑制され、植物ミルクや該植物由来たんぱく素材の異風味が抑制され、コクのある良好な乳風味を呈する、油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
以下、本発明の油中水型乳化油脂組成物について詳細に説明する。本明細書において「乳風味」とは、バター様の風味をいう。
本発明の油中水型乳化油脂組成物は、植物ミルク及び/又は植物由来たんぱく素材を含有する。
上記植物ミルクとは、ナッツ類、豆類若しくは穀類の抽出液、搾汁、摩砕液又は粉砕液であり、牛乳の代替品として最近注目を集めているものである。植物ミルクは通常25℃で液状である。抽出液の場合、溶媒は水であり、ナッツ類、豆類や穀類に加水し、混合後に裏ごししたり、磨砕若しくは粉砕した後に固液分離するなどして得られる。また摩砕液及び粉砕液は、ナッツ類、豆類や穀類に対し、摩砕若しくは粉砕並びに加水を行うことで得ることができ、この場合は摩砕若しくは粉砕と、加水とは、どちらが先であってもよい。
植物ミルクの原料となるナッツ類としては、ヘーゼルナッツ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ココナッツ、ゴマ、クルミ等が挙げられる。また豆類としては、大豆、小豆、緑豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆、落花生等が挙げられる。さらに穀類としては、米、大麦、小麦、ハト麦、オーツ麦等が挙げられる。本発明においては、アーモンド、米、大豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆、米、オーツ麦からなる群から選ばれる1種又は2種以上の植物ミルクを用いることが異風味の抑制やコクのある乳風味が得られる点から好ましく、特に好ましくは米又はオーツ麦である。
なお、上記植物ミルクとして、該植物ミルクの濃縮液や、酵素処理や微生物発酵処理、加熱処理、酸処理などの加工液を使用することができる。また、市販品を使用することもできる。
植物ミルク中の油分含量は例えば0.1~10質量%であることが好適であり、1~5質量%であることがより好適である。また植物ミルク中の蛋白質含量は0.1~10質量%であることが好適であり、0.2~5質量%であることがより好適である。
本発明の油中水型乳化油脂組成物は、植物ミルクを使用する場合、0.1~45質量%含有することが好ましい。油中水型乳化油脂組成物中、0.1質量%以上であることで乳風味を向上させやすく、45質量%以下であることで油中水型乳化油脂組成物を製造しやすい点や植物ミルクに含まれる穀物、ナッツ、豆などの独特な風味を抑制しやすい。植物ミルクに含まれる穀物、ナッツ、豆などの独特な風味を特に抑制しやすい点からより好ましくは、より好ましくは0.1~20質量%であり、更に好ましくは0.2~5質量%である。
上記と同様の点から、油中水型乳化油脂組成物は、植物ミルクを使用する場合、植物ミルク量が、油中水型乳化油脂組成物中、蛋白質純分にて、0.0002~2質量%であることが好ましく、0.001~1質量%であることがより好ましく、0.001~0.5質量%であることがとくに好ましい。
植物由来たんぱく素材としては、ヘーゼルナッツ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ココナッツ、ゴマ、クルミ等のナッツ類由来のたんぱく素材や、大豆、小豆、緑豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆、落花生等の豆類由来のたんぱく素材や、米、大麦、小麦、ハト麦、オーツ麦等の穀類由来のたんぱく素材が挙げられる。
本発明では植物由来たんぱく素材として、ナッツ類、豆類、穀類から蛋白質を分離操作して得られた分離蛋白質(例えば分離大豆蛋白質等)を用いる事が好ましく、蛋白質純分の含量が20質量%以上、好ましくは50質量%以上となるように蛋白質を分離操作して得られた分離蛋白質を用いる事が好ましい。たとえば分離操作には、例えば脱脂大豆から水抽出した大豆蛋白質を等電点沈殿し、必要に応じて中和、乾燥させる操作等が含まれる。油中水型乳化油脂組成物に用いる植物由来たんぱく素材等の植物ミルク中の蛋白質以外の植物由来蛋白質としては、粉末状であることが使用容易性の点、風味発現性(コクのある乳風味を感じやすい)の点から好ましい。更に言えば植物由来たんぱく素材として、蛋白質純分含量が20質量%以上の粉末を用いることが好ましく、蛋白質含量が50質量%以上の粉末を用いることがより好ましい。
なお油中水型乳化油脂組成物は、穀類、ナッツ類又は豆類であっても、小麦粉、大豆粉、きな粉、アーモンド粉、ピーナッツ粒等といった穀類、ナッツ類、豆類に由来する、蛋白質含量を20質量%以上とする分離操作が施されていない粉体や粒体を含有していてもよい。このような粉体や粒体の量は、蛋白質純分として、蛋白質含量を30質量%以上とする分離操作を経て得られた分離蛋白質における蛋白質純分の量よりも少ないことが好ましく、上記の分離蛋白質における蛋白質純分の量100質量部に対し30質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが特に好ましい。
特に、本発明の油中水型乳化油脂組成物は、上記植物由来たんぱく素材を使用する場合、特に良好な乳風味を得る点から、蛋白質純分として0.01~5質量%含有することが好ましく、より好ましくは0.03~2質量%であり、特に好ましくは0.05~2質量%である。
なお、植物ミルク及び植物由来たんぱく素材を共に含有する場合、その配合比は質量比で1:99~99:1の範囲内で適宜選択することができる。
本発明の油中水型乳化油脂組成物は、植物由来蛋白質以外の蛋白質を含有することができる。該蛋白質としては乳由来蛋白質(「乳蛋白質」ともいう)をはじめ、卵由来蛋白質、畜肉由来蛋白質、魚肉由来蛋白質などの動物由来蛋白質、微生物由来の蛋白質、及びそれらを含有するたんぱく素材や食品原料を挙げることができる。
本発明の油中水型乳化油脂組成物における蛋白質含量は好ましくは、良好な乳風味の油中水型乳化油脂組成物とすることができる点で0.001~5質量%、より好ましくは0.03~2質量%、特に好ましくは0.05~2質量%である。
なお、本発明では、植物由来蛋白質を使用することが好ましいところ、油中水型乳化油脂組成物における植物由来蛋白質の量(例えば植物由来蛋白質全体の量)が上記の蛋白質の各好ましい(又はより好ましい、更に好ましい、特に好ましい)、下限以上の量、上限以下の量であることも好ましい。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物は、下述のように植物ミルク及び/又は植物由来たんぱく素材を含有し、ナトリウムとカリウムを合計して0.05質量%以上含有し、ナトリウムとカリウムの質量比が1:0.1~10であることにより、乳蛋白質を含まずとも良好な乳風味を呈する。そのため、本発明では、乳蛋白質をはじめ、動物由来蛋白質を含有しないことが好ましい。この観点から、油中水型乳化油脂組成物が蛋白質を含有する場合は、その90質量%以上が植物由来蛋白質であることが好ましく、95質量%以上が植物由来蛋白質であることがより好ましく、99質量%以上が植物由来蛋白質であることが特に好ましい。
さらに本発明の油中水型乳化油脂組成物は、ナトリウムとカリウムの合計量が0.05質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.05~5質量%、より好ましくは0.1~1.8質量%、特に好ましくは0.1~1.1質量%である。該合計量が0.05質量%未満であると本発明の効果、とくに植物ミルクや植物由来たんぱく素材の異風味の抑制効果が得られず、油中水型乳化油脂組成物の風味が乳やバターの風味とは異質なものとなる。また、5質量%以下であることで塩味や苦味が強くなりすぎることを防止できるため好ましい。本明細書において、ナトリウム量はナトリウム元素基準の量であり、カリウム量はカリウム元素基準の量である。
なお、ナトリウムとカリウムの合計量が0.3質量%以上、とくに0.5質量%以上となると、油中水型乳化油脂組成物は塩味を感じるようになるため、ベーカリー製品練り込み用やロールイン用、調理用など、直接喫食せず、塩味を必要としない油脂組成物とする場合は、ナトリウムとカリウムの合計量が0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満とすることが好ましい。
なお、塩味を必要としない油脂組成物とする場合は、さらに、ナトリウム含有量を0.2質量%以下とすることが好ましい。
さらに本発明の油中水型乳化油脂組成物は、ナトリウムとカリウムの質量比が1:0.1~10、好ましくは1:0.1~8、さらに好ましくは1:0.1~4とする。該質量比が1:0.1~10の範囲外であると油中水型乳化油脂組成物の風味が乳やバターの風味とは異質なものとなる。
なお、上記ナトリウムとカリウムの質量比は、本発明の油中水型乳化油脂組成物のナトリウム含量により、さらに好ましい範囲が異なる。
すなわち、本発明の油中水型乳化油脂組成物のナトリウム含量が0.2質量%以上である場合、上記ナトリウムとカリウムとの質量比は好ましくは1:0.1~2.0、より好ましくは1:0.1~1.0、更に好ましくは1:0.1~0.8である。ナトリウム含量が0.2質量%以上である場合において、ナトリウムとカリウムとの質量比が0.1未満であると本発明の効果、とくに乳風味が得られにくく、2.0超であると苦味が感じられてしまいやすい。なお、ナトリウム含量の上限は、塩味が強くなりすぎない点で油中水型乳化油脂組成物中、2.5質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがさらに好ましく、さらに好ましくは1.2質量%以下である。
また、本発明の油中水型乳化油脂組成物のナトリウム含量が0.2質量%未満である場合、上記ナトリウムとカリウムとの質量比は好ましくは1:0.36~10、さらに好ましくは1:0.9~8、さらに好ましくは1:1~4である。ナトリウム含量が0.2質量%未満である場合において、ナトリウムとカリウムとの質量比が0.36未満であると本発明の効果が得られにくく、10超であると苦味が感じられてしまいやすい。なお、ナトリウム含量の下限は、乳風味が得られる点で油中水型乳化油脂組成物中、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、更に好ましくは0.015質量%以上である。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物に含まれるナトリウム源となる配合材料としては、クエン酸ナトリウム、リン酸2ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸4ナトリウム、塩化ナトリウムなどのナトリウム塩や、ナトリウムを多く含む食品や食品添加物が挙げられるが、良好な風味の油中水型乳化油脂組成物とするために、油中水型乳化油脂組成物中のナトリウム含量が0.2質量%以上である場合は少なくとも塩化ナトリウムを用いることが好ましい。
本発明の油中水型乳化油脂組成物に含まれるカリウム源となる配合材料としては、クエン酸カリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、しゅう酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、塩化カリウム等のカリウム塩や、粗製海水塩化カリウム等の海洋由来のカリウム塩、乳清ミネラル、カゼインカリウム等のカリウムを多く含有する食品や食品添加物が挙げられる。
なかでも本発明では、まろやかなコクのある乳風味が得られる点で海洋由来のカリウム塩を使用することが好ましい。
上記海洋由来カリウム塩は、海水から食塩製造のためにナトリウムを除去したマグネシウムを主体とする、にがりと呼ばれる粗製塩化マグネシウム溶液から、さらにマグネシウム等の塩類を除去して得られる塩化カリウムを主体とする溶液から得られる塩類である。
本発明で使用する海洋由来カリウム塩としては、塩化カリウム含量が固形分中51質量%以上であればよく、より好ましくは65質量%以上のものを使用し、更に好ましくは70質量%以上のものを使用する。上限については固形分中99.9質量%以下であることが好ましく、より好ましくは99.7質量%以下であることが特に好ましい。
該海洋由来カリウム塩を使用することにより「自然でまろやかな風味」「良好なコク味・後味」が得られる。このような海洋由来カリウム塩としては「オーシャンカリ」(エフシー化学製)や、「カリベース」(エフシー化学製)が挙げられる。
油中水型乳化油脂組成物中の全カリウムに占める上記海洋由来カリウム塩由来のカリウム分は、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上とする。
上記の油中水型乳化油脂組成物の油脂の含量は35~99質量%であることが好ましく、55~99質量%であることがより好ましく、60~95質量%であることがさらに好ましい。35質量%未満であると油中水型乳化油脂組成物の安定性が悪化する。
上記の油中水型乳化油脂組成物に用いる油脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物をビーガン食品として使用する場合は牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の動物油脂を使用しないことが必要となる。
本発明では、極度硬化油以外の硬化油を含有しないことがトランス脂肪酸量を低減するほか、風味発現性(コクのある乳風味を感じやすい)の点から好ましい。この観点から、極度硬化油以外の硬化油は、油中水型乳化油脂組成物に用いる全油脂中、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、使用しないことが最も好ましい。
本発明では、ランダムエステル交換油脂を用いることが風味発現性(コクのある乳風味を感じやすい)の点で好ましく、ランダムエステル交換油脂を含有する場合、ランダムエステル交換油脂の量が、油中水型乳化油脂組成物に用いる全油脂中、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明の油中水型乳化油脂組成物は、水の含量が、好ましくは0.2~60質量%、更に好ましくは0.2~50質量%、さらに好ましくは4~35質量%である。
なお上記油脂含量及び水の含量には、下記のその他の成分に含まれる油分や水分を加算して算出するものとする。
本発明の油中水型乳化油脂組成物は最外相が油相になっていればよいため、油中水中油型乳化物などの多重乳化系をも含むものである。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物は、飲食品への使用適性、例えばベーカリー製品における練り込みや折り込み、クリーミングなどの作業性や機能性に優れている点で、ショートニング、マーガリン、ファットスプレッド等の可塑性油脂組成物であることが好ましい。
上記の油中水型乳化油脂組成物は、糖類を含むものであってもよい。
該糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ショ糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、シクロデキストリン、酵素糖化水飴、酸糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、異性化液糖、ショ糖結合水飴、キャラメル、かえで糖、オリゴ糖、キシロース、トレハロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、アラビノース、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ヘミセルロース、モラセス、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、カップリングシュガー、ラフィノース、ラクチュロース、テアンデオリゴ糖及びゲンチオリゴ糖等が挙げられる。
糖類を含有する場合、その使用量は用途によって異なるが一般に、例えば油中水型乳化油脂組成物中、固形分として5~60質量%が好ましく挙げられ、10~50質量%がより好適である。用途によっては糖類は多く使用しない若しくは使用せず、その場合、糖類量は例えば油中水型乳化油脂組成物中、20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、4質量%以下又は1質量%以下であってもよい。
ただし、本発明の油中水型乳化油脂組成物をビーガン食品として使用する場合は乳糖及びその加工糖は含有しないことが必要となる。
上記の油中水型乳化油脂組成物には、乳化剤を含有していてもよい。乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、サポニン類等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
乳化剤の量は用途によって異なり、例えば油中水型乳化油脂組成物中、0.01~30質量%とすることができるが、油中水型乳化油脂組成物中、0.01~5質量%であることが、乳化安定性および風味の点から好ましく、0.01~2質量%であることがより好ましい。なお、ここでいう乳化剤の量には、植物由来たんぱく質素材の量は含めないものとする。
上記の油中水型乳化油脂組成物は、本発明の効果に影響のない範囲において、カリウム塩、植物ミルク、植物由来たんぱく素材、油脂、水、食塩、糖類及び乳化剤以外の、その他の成分を含むものであってもよい。
上記の油中水型乳化油脂組成物は、上記成分以外のその他の成分を含有する場合がある。該その他の成分としては、例えば、でんぷん類、増粘安定剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、卵及び各種卵加工品、着香料、乳や乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実又は果汁、コーヒー、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、菜類、肉類及び魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。
その他の成分は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、本発明の油中水型乳化油脂組成物中合計で、20質量%以下、より好ましくは10質量%以下となる範囲で使用する。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物をビーガン食品として使用する場合は乳や乳製品、肉類及び魚介類等の動物由来の食品素材や食品添加物は含有しないことが必要となる。
次に、上記の油中水型乳化油脂組成物の製造方法を説明する。
本発明の油中水型乳化油脂組成物は、その製造方法が特に制限されるものではなく、油相を溶解し、冷却し、結晶化して油脂組成物とする際に、上記植物ミルク及び/又は植物由来たんぱく素材を使用し、ナトリウムとカリウムとの合計量が0.05質量%以上、且つ、ナトリウムとカリウムとの質量比が1:0.1~10とすることによって製造することが可能である。
なお、植物ミルクを含有する場合は、水相に添加してもよく、油相に添加してもよいが、好ましくは水相に添加する。
また、上記植物由来たんぱく素材を含有する場合は、水相に添加してもよく、油相に添加してもよいが、好ましくは水相に添加する。
具体的には、まず、油脂に、必要によりその他の成分を添加し分散または溶解した油相を溶解し、必要により水相を混合乳化する。そして次に、殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法はタンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、油相を冷却し、結晶化させる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは-0.5℃/分以上、更に好ましくは-5℃/分以上とする。この際、徐冷却より急速冷却の方が好ましい。
冷却する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えばボテーター、コンピネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターの組み合わせが挙げられる。
また、上記の油中水型乳化油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
本発明の油中水型乳化油脂組成物の用途としては、ベーカリー用練り込み用油脂組成物、ロールイン用油脂組成物、フィリング用油脂組成物、サンド用油脂組成物、トッピング用油脂組成物、スプレッド用油脂組成物、スプレー用油脂組成物、コーティング用油脂組成物、フライ用油脂組成物、クリーム用油脂組成物が挙げられる。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物のナトリウム含量が0.2質量%以上の場合は、上記の用途のなかでもフィリング用油脂組成物、サンド用油脂組成物、トッピング用油脂組成物、スプレッド用油脂組成物のいずれかであることが好ましく、ナトリウム含量が0.2質量%未満の場合は、ベーカリー用練り込み用油脂組成物、ロールイン用油脂組成物、クリーム用油脂組成物のいずれかであることが好ましい。
なお、本発明の油中水型乳化油脂組成物の上記用途における使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
また、本発明の油中水型乳化油脂組成物は、乳脂や乳蛋白質の量に左右されずに、さらには乳脂や乳蛋白質を含有しない場合であっても良好な乳風味を呈するため、動物由来原料を使用しない、ビーガン食品として好適に使用することができる。
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
なお、表1・表4・表7に記載の原料の詳細は以下のとおりである。
・鉱物由来塩化カリウム(※1):「(シルビン:オルガノフードテック製)(カリウム含量52.4質量%、ナトリウム含量0質量%)」
・海洋由来カリウム塩(1)(※2):「オーシャンカリ:エフシー化学製)(カリウム含量52.2質量%、ナトリウム含量0質量%)」
・海洋由来カリウム塩(2)(※3):「(カリベース:エフシー化学製)(カリウム含量39.2質量%、マグネシウム含量1質量%以下、ナトリウム含量8.3質量%)」
・植物由来たんぱく素材(1)(※4):「(フジプロF:不二製油製)(蛋白質含量85.8質量%、カリウム含量0.2質量%、ナトリウム含量1.2質量%)」
・植物ミルク(1)(※5):オーツミルク(油分含量1.24質量%、蛋白質含量0.95質量%、カリウム含量0.026質量%、ナトリウム含量0.036質量%):配合・製法は下記参照
(オーツミルクの製造)
水90.76質量部を60℃に昇温し、攪拌しながらαアミラーゼ BAN 480L(ノボザイムズ製)0.05質量部、グルコアミラーゼ アミラーゼAG(ノボザイムズ製)0.1質量部、オーツ麦粉末(グランビア製)(油分含量3.0質量%、蛋白質含量11.9質量%)を8.0質量部加えて、3時間保持して酵素反応させた。そして90℃15分で失活処理した後、5℃冷却してオーツ麦糖化物を作製した。これにヒマワリ油1質量部、食塩0.09質量部を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却し、オーツミルクを得た。
・植物ミルク(2)(※6):市販豆乳(油分含量2質量%、蛋白質含量3.6質量%、カリウム含量0.09質量%、ナトリウム含量0.002質量%)
・植物ミルク(3)(※7):アーモンドミルク(アーモンドブリーズ砂糖不使用:ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社)(油分含量1.2質量%、蛋白質含量0.6質量%、カリウム含量0.052質量%、ナトリウム含量0.071質量%)
・植物ミルク(4)(※8):マカダミアミルク(マカダミアミルク砂糖不使用:キッコーマン飲料製)(油分含量2.6質量%、蛋白質含量0.3質量%、カリウム含量0.011質量%、ナトリウム含量0.055質量%)
・植物ミルク(5)(※9):ライスミルク(油分含量1質量%、蛋白質含量0.3質量%、カリウム含量0.039質量%、ナトリウム含量0.027質量%)
<油中水型乳化油脂組成物の製造1>
下記に示す表1の配合となるように、下記の手順に基づき、油中水型乳化油脂組成物A~Jを製造した。
まず、パーム核油及びパーム極度硬化油を75対25の質量比率で混合した油脂配合物のランダムエステル交換油脂A40質量部、ヨウ素価60のパーム分別軟部油40質量部、パームステアリン10質量部、大豆液状油10質量部からなる混合油脂を60℃に加熱して溶解し、ここに表1に記載のその他の油相原料であるレシチンを混合・分散させ、これを油相とした。一方、表1の水相原料を混合・分散させた水相を調製した。調製した油相と水相とを混合・乳化して油中水型乳化物とし、急冷可塑化工程(冷却速度-20℃/分)で練り合わせながら冷却し、可塑性油脂組成物である油中水型乳化油脂組成物A~Jを得た。
得られた油中水型乳化油脂組成物A~Jの(1)蛋白質含量、(2)Na含量、(3)NaとKの合計した含有量、(4)ナトリウムとカリウムの質量比については表2に記載した。
<風味評価>
得られた油中水型乳化油脂組成物A~Jについて、23人のパネラーにより風味評価試験(乳風味の感じ方・異風味・塩味・苦味)及び食感評価試験を行った。尚、上記評価試験においては、乳風味の感じ方、異風味、塩味、苦味、食感を下記評価基準に従い4段階で評価し、一番多かったものをその評価とし、結果を表3に記載した。
(乳風味の感じ方評価基準)
◎ 自然でまろやかなコクのある乳風味が持続して感じられ、大変良好である。
○ 自然でまろやかなコクのある乳風味が感じられ、良好である。
○- ややコク味が弱いが、自然でまろやかな良好な乳風味である。
△ 乳風味にコク味が感じられず、やや不良である。
× 乳風味が弱く、不良である。
(異風味の評価基準)
◎ 異風味が全く感じられず、大変良好である。
○ 異風味がほとんど感じられず、良好である。
△ 異風味が感じられ、やや不良である。
× 異風味が強く、不良である。
(塩味の評価基準)
◎ 塩味が全く感じられない。
○ 塩味がわずかに感じられる。
△ 塩味がやや感じられる。
× 塩味がはっきりと感じられる。
(苦味の評価基準)
◎ 苦味が全く感じられず、大変良好である。
○ 苦味がほとんど感じられず、良好である。
△ 苦味がやや感じられ、やや不良である。
× 苦味がはっきりと感じられ、不良である
(食感の評価基準)
◎ ザラが全く感じられず、滑らかな食感で、大変良好である。
○ ザラがほとんど感じられず、滑らかな食感で、良好である。
△ ザラが感じられ、やや不良である。
× ザラが強く、不良である。
表3は、各実施例のNa量が0.2質量%未満である例である。植物由来たんぱく質素材を含有し、NaとKの合計含有量を0.05質量%以上、質量比(Na:K)が1:0.1~10とする各実施例では、Na+Kが0.05質量%未満であるか、Na:Kが1:0.1~10の範囲外である比較例1及び2に比して、植物由来たんぱく質素材の異風味が抑制され、乳風味が良好であり、且つザラが抑制されている。
<油中水型乳化油脂組成物の製造2>
下記に示す表4の配合とした以外は上記油中水型乳化油脂組成物の製造1と同様にして、可塑性油脂組成物である油中水型乳化油脂組成物K~Uを製造した。
得られた油中水型乳化油脂組成物K~Uの(1)蛋白質含量、(2)Na含量、(3)NaとKの合計した含有量、(4)ナトリウムとカリウムの質量比について表5に記載した。
得られた油中水型乳化油脂組成物K~Uについて、上記油中水型乳化油脂組成物の製造1と同様に風味評価試験(乳風味の感じ方・異風味・塩味・苦味)及び食感評価試験を行い、結果を表6に記載した。尚、評価基準については、塩味のみは下記の評価基準を用いた以外は、上記油中水型乳化油脂組成物の製造1と同一の評価基準を用いた。
(塩味の評価基準)
◎ 自然でまろやかな塩味が感じられた。
○ やや鋭い塩味を感じた。
△ 塩味がぼけた感じである。
× 塩味が鋭すぎである
表6は各実施例のNa量が0.2質量%以上である場合の例である。この場合でも、植物由来たんぱく質素材を含有し、NaとKの合計含有量を0.05質量%以上、質量比(Na:K)が1:0.1~10とする各実施例では、Na:Kが1:0.1~10の範囲外である比較例3に比して、植物由来たんぱく質素材の異風味が抑制され、乳風味が良好である。
<油中水型乳化油脂組成物の製造3>
下記に示す表7の配合とした以外は上記油中水型乳化油脂組成物の製造1と同様にして、可塑性油脂組成物である油中水型乳化油脂組成物V~ACを製造した。
なお、表7に記載の原料の詳細は上記のとおりである。
得られた油中水型乳化油脂組成物V~ACの(1)植物ミルク含量、(2)Na含量、(3)NaとKの合計した含有量、(4)ナトリウムとカリウムの質量比、(5)植物ミルク含量について表8に記載した。
得られた油中水型乳化油脂組成物V~ACについて、上記油中水型乳化油脂組成物の製造2と同様の風味評価試験を行い、結果を表9に記載した。
表9の通り、植物由来たんぱく素材の代わりに植物ミルクを用いる場合でも、NaとKの合計含有量を0.05質量%以上、質量比(Na:K)が1:0.1~10とする各実施例では、Na:Kが1:0.1~10の範囲外である比較例4に比して、植物ミルクの異風味が抑制され、乳風味が良好である。

Claims (4)

  1. 植物ミルク、及び/又は、植物たんぱく素材を含有し、
    前記植物ミルクを油中水型乳化油脂組成物中に0.1~5質量%含有するか、
    且つ/又は、前記植物たんぱく素材が分離蛋白質であり、蛋白質純分として当該植物たんぱく素材を0.01~5質量%含有し、
    ナトリウムとカリウムを合計して0.05質量%以上含有し、
    ナトリウムとカリウムとの質量比(Na:K)が1:0.1~10である、油中水型乳化油脂組成物。
  2. 下記の(1)又は(2)を満たす請求項1記載の油中水型乳化油脂組成物。
    (1)ナトリウムを0.2質量%以上含有し、且つ、ナトリウムとカリウムとの質量比(Na:K)が1:0.1~2.0である。
    (2)ナトリウムが0.2質量%未満であり、ナトリウムとカリウムとの質量比(Na:K)が1:0.36~10である。
  3. 動物由来蛋白質を含有しない請求項1又は2記載の油中水型乳化油脂組成物。
  4. 海洋由来カリウム塩を含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の油中水型乳化油脂組成物。
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