JP7843378B2 - 百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置及び方法 - Google Patents

百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置及び方法

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Description

本発明は、製錬工業の技術分野に関し、特に、百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置及び方法に関する。
使用済み核燃料は、照射済核燃料とも呼ばれ、一般的に、原子力発電所原子炉でウラン含有量が所定のレベルまで低下しているため核反応を維持できなくなる核燃料を指す。使用済み核燃料は放射性元素を大量に含有しているため、環境に非常に有害であり、また、半減期が長いことから、適切に処理しなければならない。その処理プロセスは、貯蔵、輸送、再処理、深地層処分などのプロセスを含み、使用済み核燃料貯蔵・輸送装置は当該処理プロセスの貯蔵・輸送容器である。2021年までで、中国には運転中又は建設中の原子力発電所が22基あり、使用済み核燃料の処理も日増しに必要になってきている。使用済み核燃料の特殊性から、その貯蔵・輸送装置に非常に高い技術基準が求められ、技術要件が高く、価格も非常に高いため、当面、当該貯蔵・輸送装置は主に外国からの輸入に頼っており、国産の代替品はまだない。これらの事情から、これが高付加価値の「首絞め」プロジェクトだと言える。
従来技術では、ダクタイル鋳鉄鋳物は主にキューポラ又は誘導炉を用いて原料溶鉄を生産し、球状化接種処理後、鋳造成形を行い、さらに型ばらし、洗浄、熱処理など一連の工程で得られたものである。一度に提供可能な溶鉄量は熔錬炉体の公称容量の制限で、数トンないし数十トンが殆どであり、その成分は原料及び熔錬プロセスの制限により、大きく変動しており、誘導加熱方式だけでは過程中のプロセス温度の制御性が悪く、介在物除去プロセスも欠いているため、原料溶鉄の全体的な冶金品質について品質管理を行うことが難しい。
貯蔵・輸送用キャスク装置は単位重量でも百トン級以上あり、技術基準が厳しく、鋳造プロセスも特殊であるため、誘導炉製錬装置だけでは、溶鉄量、化学成分、プロセス温度、純度、均一性などの冶金品質要件を同時に満たすことができない。
上記の記述により、本発明の実施例は、誘導炉製錬装置だけでは単位重量百トン級以上の貯蔵・輸送用キャスク装置の溶鉄量、化学成分、プロセス温度、溶鉄純度、均質化、精密化を同時に満たすことができないこと、完成品の金属組織の黒鉛形状制御が難しいなど従来技術の課題の少なくとも1つを解決するために、百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置及び方法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、主に、以下の技術的解決手段により達成される。
本発明は、百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置を提供し、前記装置は、
第1ステーションと、第2ステーションとを含み、溶鉄を粗製錬し、第1ステーション粗製錬溶鉄及び第2ステーション粗製錬溶鉄を得るために用いられる誘導炉と、
第1取鍋精錬炉であって、第1ステーション粗製錬溶鉄が前記第1取鍋精錬炉に入って一次精錬を行って、一次精錬溶鉄を得る第1取鍋精錬炉と、
第2取鍋精錬炉であって、前記一次精錬溶鉄、前記第2ステーション粗製錬溶鉄が第2取鍋精錬炉に順次入って二次精錬を行って、二次精錬溶鉄を得る第2取鍋精錬炉と、
分配設備であって、二次精錬溶鉄が前記分配設備の中で分配及び移送される分配設備と、
球状化設備であって、分配及び移送された溶鉄に対して前記球状化設備で球状化処理を行う球状化設備とを含む。
本発明は、また、前記装置を用いる溶鉄製錬方法を提供し、前記方法は、
誘導炉による粗製錬であって、冷間鋼材、鋳物用銑鉄、ニッケル合金板、黒鉛粉末を第1ステーションに加えて粗製錬して、第1ステーション粗製錬溶鉄を得て、鋳物用銑鉄、黒鉛粉末を第2ステーションに加えて粗製錬して、第2ステーション粗製錬溶鉄を得ることを含むステップ(1)と、
取鍋精錬炉による二次精錬であって、前記第1ステーション粗製錬溶鉄を第1取鍋精錬炉に加えて一次精錬して、一次精錬溶鉄を得て、前記一次精錬溶鉄、第2ステーション粗製錬溶鉄を第2取鍋精錬炉に順次加えて二次精錬して、二次精錬溶鉄を得るステップ(2)と、
二次精錬溶鉄を分配設備で順次移送及び分配して、球状化処理設備で球状化処理を行うステップ(3)とを含む。
さらに、溶鉄生産原料中の冷間鋼材の質量が冷間鋼材、銑鉄及びニッケル合金板の総質量の15~20%を占めるように厳密に限定する。
さらに、前記鋼材は、アーク炉粗製錬による脱リン・脱炭、取鍋炉精錬による炭素調整・脱硫、大気環境下での鋳型によるビレット鋳造により得られる。
さらに、ステップ(1)に記載の冷間鋼材は、質量パーセント基準で、0.25~0.45%のC、0.01%以下のSi、0.05%以下のMn、0.005%以下のP、0.005%以下のS、0.05%以下のCr、0.05%以下のMo、痕跡量のSb、W、V、Pb、As、Sn、Zrを含む。
さらに、ステップ(1)で、鋳物用銑鉄は、質量パーセント基準で、4.50~4.70%のC、0.40~0.60%のSi、0.100%以下のMn、0.030%以下のP、0.025%以下のS、0.010%以下のCr、0.10%以下のNi、0.010%以下のMo、0.050%以下のTiを含む。
さらに、ステップ(1)で、ニッケル合金板中のNiの質量分率は99.5%を超える。
さらに、ステップ(1)で溶鉄の第1ステーション粗製錬及び第2ステーション粗製錬は、プロセス温度がいずれも1550℃以下であり、且つ、いずれも装入物が全て清浄化した後、1500~1520℃で5~20分間保温してから出銑する。
さらに、ステップ(2)では、一次精錬及び二次精錬で過程全体にわたって取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで撹拌する方式を採用する。
さらに、ステップ(2)では、一次精錬及び二次精錬でいずれもスラグ形成処理を行い、一次精錬でスラグ形成材は冶金用石灰、蛍石であり、冶金用石灰と蛍石の質量比は4:1であり、二次精錬でスラグ形成材は蛍石を採用する。
さらに、ステップ(2)で溶鉄の一次精錬及び二次精錬のプロセス温度は1550℃以下である。
さらに、ステップ(2)では、一次精錬過程で溶鉄の質量、成分の重みを調整するために、さらに冷間鋼材及び鋳物用銑鉄を加える。
さらに、ステップ(3)で球状化処理前に、取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで溶鉄の温度を均一にすることにより、球状化処理温度を1350~1450℃にする。
さらに、ステップ(3)は、さらに、球状化処理後の溶鉄を鋳造工程に移送して最後の接種、スラグ除去及び注湯作業を行うことを含む。
従来技術に比べ、本発明は、少なくとも以下の有益な効果の1つを実現できる。
(1)本発明の装置は、従来のダクタイル鋳鉄溶鉄製造装置と比べると、熔錬に誘導炉だけを用いる従来の装置と溶鉄製造プロセスは、溶鉄の成分、温度についての精密制御、球状化用原料溶鉄の成分温度の均一化、同一化などができないという難題を解決しており、本発明は2つの取鍋精錬炉を採用し、誘導炉による粗製錬と取鍋精錬炉による二次精錬を採用することで、溶鉄中のC、P、Sなどの主要な合金成分の精密制御を実現する。二次精錬溶鉄が分配設備によって分配され、さらに球状化処理設備に移送されて球状化処理を行うことで、キャスク鋳物の全体的な成分同一性、均質化レベルを保証する。本発明の装置は、大型専門設備がない場合に、通常の製錬設備を利用してもよく、プロセス及び技術経路イノベーションにより、高度に均質化された百トン級球状化用原料溶鉄を一度に提供できるだけでなく、製品の品質は厳しい技術基準を満たしており、百トン級使用済み核燃料貯蔵・輸送用のダクタイル鋳鉄キャスク装置用溶鉄の単一炉熔錬という難題を解決しており、完成品の物理化学的性状試験で各技術指標項目がいずれも製品要綱の設計要件より優れている。
(2)本発明では、冷間鋼材、鋳物用銑鉄、ニッケル合金板の他に、プロセス中に合金を加えて溶鉄の目標成分を調整することはせず、合金を加えると残留元素が増加し、溶鉄の純度に影響を与え、製品の金属組織の黒鉛形状の最終評価が下がることを避け、特に、溶鉄製造の二次精錬工程で、専用の合金設計成分制御プロセスを厳密に実行しなければならない。
(3)本発明の溶鉄製錬方法は、科学的なスラグ形成プロセスでスラグ成分を制御することにより、硫黄分を規制するとともに溶鉄の浄化処理を実現し、溶鉄中の内生系及び外来系介在物の含有量を大幅に低減させ、大トン数取鍋精錬炉による二次精錬プロセスを採用することにより、溶鉄は、設計成分の精密制御、高純度化と少量の介在物、成分と温度の高い均一性、百トン級製品の一度だけの単一炉製錬に関する特殊な技術基準を同時に満たすことができ、新しい技術経路と技術理念であり、明らかな技術進歩性を有し、これにより、各性能指標項目の優れたダクタイル鋳鉄製品を得る。
(4)リン含有量の高い溶鉄は結晶粒界でリン共晶現象が起きることで、完成品鋳物の母相組織の劣化、機械的性質の低下を招くため、球状化用原料溶鉄にはPが0.020%以下であることが求められ、従来の溶鉄熔錬プロセス(誘導炉溶解+炉外処理)はこの技術基準に到達することができず、その主な原因は、当面国産の鋳物用銑鉄のリン含有量は基本的に0.025%以上であり、誘導炉だけで溶解する場合に、P元素を目標成分範囲に限定できないことである。そのため、本発明の方法で採用された冷間鋼材は、アーク炉による一次粗製錬、取鍋精錬炉による二次精錬を経て、最後に、大気環境下での鋳型によるビレット鋳造により得られたもので、特殊なプロセスにより冷間鋼材のPを0.001%以下に限定することにより、最終の球状化用原料溶鉄のPの重みが0.020%以下であることを実現し、誘導炉で溶鉄を熔錬する場合に脱リン(P)ができないというプロセス上の制限を解消する。
(5)本発明では、球状化処理用原料溶鉄中のCは3.50~4.00%であり、誘導炉熔錬、出銑、移し替え、混合、取鍋炉出銑、分配、球状化処理プロセスで、高温高炭素溶鉄にはいずれもある程度、炭素の燃焼損失又は炭素の流失が発生することから、製品の目標炭素(C)を保証するために、誘導炉熔錬プロセスで黒鉛粉末での復炭作業が必要であり、且つ、誘導炉の出銑中の炭素(C)成分値は精錬工程の最終の炭素の重み値を満たす必要があり、本発明は、原料の精密測定、補助材料の設計、経験による過程炭素損失により、炭素変動の影響要因を最小の範囲に限定することで、製錬過程における炭素の精密制御を実現する。
(6)本発明では、溶鉄の粗製錬及び精錬のプロセス温度を限定し、プロセス設計では、二次精錬の出銑温度で後の移送、分配、待機過程の溶鉄の温度低下を補償することを既に考慮に入れており、これにより、溶鉄の球状化処理に必要な最適なプロセス温度要件を精密に実現する。
(7)本発明の方法は、精錬中に取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで撹拌する方式で溶鉄の温度、成分を高度に均一にさせ、スラグ形成を併用して溶鉄中の内生系及び外来系介在物が浮上して冶金スラグによって吸着除去されることを促進し、従来の溶鉄製造プロセスでは到達できない溶鉄の高純度化、成分と温度の高い均一性、球状化処理の最適なプロセス温度の精密制御を実現する。高圧アルゴンガスは撹拌により非常に大きな運動エネルギーが付与されているため、溶鉄が底部から湯面に行く物質移動過程が促進され、取鍋の底部のポーラスブリックから発生した微細な高純度アルゴンガス気泡が無数の微小な真空室に相当し、浮上するアルゴンガス気泡は溶鉄の静水圧が低減するにつれて体積が増加する過程で、溶鉄中の水素ガスと窒素ガスがアルゴンガス気泡に入り、様々な介在物も、アルゴンガス気泡の表面と衝突する間に吸着されて鉄-スラグ間界面に来て、塩基性スラグによって吸着除去される。本発明の方法は、球状化用溶鉄中のSを0.004~0.009%に限定することにより、球状化接種の効果を明らかに向上させ、鋳物の金属組織の黒鉛形状を改善することができる。
本発明では、上記の各技術的解決手段を互いに組み合わせて、より多くの好ましい組み合わせ解決手段を実現することができる。本発明の他の特徴と利点は以下の明細書の記載において述べられ、また、一部の利点は明細書から明らかなものになり、又は本発明の実施で知られるようになる。本発明の目的と他の利点は、明細書及び図面で取り立てて記載されている内容によって実現され、得られると考えられる。
図面は、具体的な実施例の目的を示すためのものに過ぎず、本発明に対する制限と見なされず、全図面において、同じ符号は同じ部品を表す。
本発明の百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置及びプロセスフローの模式図である。 本発明の実施例2で調製されたダクタイル鋳鉄素材から作られた使用済み核燃料の貯蔵・輸送用キャスクに係る、キャスク腐食後の金属組織図(縮尺50μm)である。 本発明の実施例2で調製されたダクタイル鋳鉄素材から作られた使用済み核燃料の貯蔵・輸送用キャスクに係る、キャスク腐食前の金属組織図(縮尺200μm)である。 本発明の実施例2のダクタイル鋳鉄素材から作られた使用済み核燃料の貯蔵・輸送用キャスクの中仕上げ加工後の加工物の現場実物図である。
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施例を具体的に記述し、ここで、図面は、本願を構成する部分として、本発明の実施例と共に本発明の原理の説明に供するが、本発明の範囲を限定するためのものではない。
本発明の具体的な実施例として、図1に示すように、本発明は、百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置を提供し、前記装置は、
第1ステーションと、第2ステーションとを含み、溶鉄を粗製錬し、第1ステーション粗製錬溶鉄及び第2ステーション粗製錬溶鉄を得るために用いられる誘導炉と、
第1取鍋精錬炉であって、第1ステーション粗製錬溶鉄が前記第1取鍋精錬炉に入って一次精錬を行って、一次精錬溶鉄を得る第1取鍋精錬炉と、
第2取鍋精錬炉であって、前記一次精錬溶鉄、前記第2ステーション粗製錬溶鉄が第2取鍋精錬炉に順次入って二次精錬を行って、二次精錬溶鉄を得る第2取鍋精錬炉と、
分配設備であって、二次精錬溶鉄が前記分配設備の中で分配及び移送される分配設備と、
球状化設備であって、分配及び移送された溶鉄に対して前記球状化設備で球状化処理を行う球状化設備とを含む。
実施するにあたり、前記装置の動作原理は次のとおりである。原料をそれぞれ、誘導炉の第1ステーション、第2ステーションで粗製錬し、第1ステーション粗製錬溶鉄が第1取鍋精錬炉に入って一次精錬を行い、一次精錬後の溶鉄が第2取鍋精錬炉に入り、さらに第2ステーション粗製錬溶鉄を第2取鍋精錬炉に加えて二次精錬を行い、二次精錬溶鉄が分配設備によって分配された後、球状化処理設備に入って球状化処理を行う。
従来技術に比べると、本実施例の装置は、熔錬に誘導炉だけを用いる従来のプロセスと異なるものであり、本発明は2つの取鍋精錬炉を採用し、誘導炉による粗製錬と取鍋精錬炉による二次精錬を採用することで、溶鉄中のC、P、Sなどの主要な合金成分の精密制御を実現する。二次精錬溶鉄が分配設備によって分配され、さらに球状化処理設備に移送されて球状化処理を行うことで、キャスク鋳物の全体的な成分同一性、均質化レベルを保証する。本発明の装置は、大型専門設備がない場合に、通常の製錬設備を利用し、プロセス及び技術経路イノベーションにより、高度に均質化された百トン級球状化用原料溶鉄を一度に提供できるだけでなく、製品の品質は厳しい技術基準を満たしており、百トン級使用済み核燃料貯蔵・輸送用のダクタイル鋳鉄キャスク装置用溶鉄の単一炉熔錬という難題を解決しており、完成品の物理化学的性状試験で各技術指標項目がいずれも製品要綱の設計要件より優れている。
本発明は、また、前記装置を用いる溶鉄製錬方法を提供し、前記方法は、
誘導炉による粗製錬であって、冷間鋼材、鋳物用銑鉄、ニッケル合金板、黒鉛粉末を第1ステーションに加えて粗製錬して、第1ステーション粗製錬溶鉄を得て、鋳物用銑鉄、黒鉛粉末を第2ステーションに加えて粗製錬して、第2ステーション粗製錬溶鉄を得ることを含むステップ(1)と、
取鍋精錬炉による二次精錬であって、前記第1ステーション粗製錬溶鉄を第1取鍋精錬炉に加えて一次精錬して、一次精錬溶鉄を得て、前記一次精錬溶鉄、第2ステーション粗製錬溶鉄を第2取鍋精錬炉に順次加えて二次精錬して、二次精錬溶鉄を得るステップ(2)と、
二次精錬溶鉄を分配設備で順次移送及び分配して、球状化処理設備で球状化処理を行うステップ(3)とを含む。
本実施例に係るダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄は、使用済み核燃料貯蔵キャスクだけではなく、その他の貯蔵・輸送用キャスク装置の製造に用いることもでき、その技術経路及びプロセスフローは、同じ又は似ている品質、成分、温度要件が求められる溶鉄製造プロセスに適している。
なお、溶鉄は、粗製錬、出銑及び注入過程でいずれも一定のC元素損失が発生し、プロセスでは経験的なパラメータで修正するが、具体的な数値は製錬時間、溶鉄成分、出銑方式及び出銑温度に関係している。
本実施例では、冷間鋼材、鋳物用銑鉄、ニッケル合金板の他に、プロセス中に合金を加えて溶鉄の目標成分を調整することはせず、合金を加えると残留元素が増加し、溶鉄の純度に影響を与え、製品の金属組織の黒鉛形状の最終評価が下がることを避け、特に、溶鉄製造の二次精錬工程で、専用の合金設計成分制御プロセスを厳密に実行しなければならない。なお、補助材料は黒鉛粉末、冶金用石灰、蛍石であり、誘導炉による粗製錬工程では黒鉛粉末で復炭し、ニッケル板でニッケルを調整し、精錬工程では冷間鋼材、鋳物用銑鉄で溶鉄量及び溶鉄成分を調整し、必要に応じて冶金用石灰、蛍石を添加してスラグを形成させる以外に、他の原料と補助材料が不要である。
なお、取鍋炉による二次精錬過程で、冷間鋼材及び鋳物用銑鉄を除き、当該工程で溶鉄の化学成分Cを調整する時には黒鉛電極粉末や、炭素粉末などの形態で炭素単体を溶鉄に加えてはならず、これは高温溶鉄の主要な成分Cが炭素単体の収率、測定検査機器の誤差の影響を受け、最終の完成品の化学成分の測定と判断が狂うことを避けるためである。
また、第2取鍋精錬炉については160トンのものを例に挙げて解釈及び説明をし、160トン取鍋炉で精錬した合計145トンの溶鉄が出銑した後、分配ステーションに移送して溶鉄の分配及び移送処理を行う必要があり、分配の順番は、まず60トンをタンディッシュに注ぎ、その後、80トンをタンディッシュに注ぐことで、移送の順番は、まず60トンのタンディッシュを移送し、その後、80トンのタンディッシュを移送することである。分配後に測温し、タンディッシュ内の溶鉄の温度は1440~1460℃である。溶鉄の温度低下が非常に大きいため二次加熱処理が必要となることを避けるために、出銑後の溶鉄の移送、分配と球状化処理との時間間隔を30~60分間に厳密に限定しなければならず、タンディッシュが球状化処理ステーションに到達した時に、使い捨て熱電対の測温接点を溶鉄の液面以下少なくとも200mmの深さに挿入し、温度が非常に低い場合に、精錬ステーションに折り返して加熱し、温度が非常に高い場合に、底部からアルゴンガスを吹き込む方式で溶鉄の冷却処理を行う。
球状化接種及び注湯であって、鋳造プロセスとして、145トンの溶鉄を60トン、80トンの溶鉄に分配し、球状化処理、スラグ除去、シリコンフローティング接種を経て、一定の時間間隔でまた異なる位置の専用の湯だまりから鋳物のキャビティに注湯し、溶鉄液面の浮上速度を保証するために、両方の注湯を同時に終了する必要がある。プロセスの球状化処理温度は1350~1450℃であり、実際の球状化温度は1405℃である。キャビティ内の溶鉄の純度基準を満たすために、分配後に精錬取鍋内の溶鉄残量は3トン以上ある必要があり、実際に測定したところ5トンである。
具体的には、溶鉄生産原料中の冷間鋼材の質量は冷間鋼材、銑鉄及びニッケル合金板の総質量の15~20%を占めることが求められる。前記冷間鋼材は、アーク炉粗製錬による脱リン・脱炭、取鍋炉精錬による炭素調整・脱硫、大気環境下での鋳型によるビレット鋳造により得られる。
具体的な実施形態では、ステップ(1)に記載の冷間鋼材は、質量パーセント基準で、0.25~0.45%のC、0.01%以下のSi、0.05%以下のMn、0.005%以下のP、0.005%以下のS、0.05%以下のCr、0.05%以下のMo、痕跡量のSb、W、V、Pb、As、Sn、Zrを含む。
なお、本実施例で冷間鋼材は上記の方法を採用して調製されたものであり、1塊あたりの重量は250~6000kgであり、鋼材中の成分比率を限定し、好ましくは、化学分析による主な成分は、C 0.25%、Si 0.01%以下、P 0.001%以下、S 0.002%以下であり、このように設定するのは、後の溶鉄の熔錬品質、成分の重みなど一連の技術基準制限要件を満たすためである。
具体的には、ステップ(1)で、鋳物用銑鉄は、質量パーセント基準で、4.50~4.70%のC、0.40~0.60%のSi、0.100%以下のMn、0.030%以下のP、0.025%以下のS、0.010%以下のCr、0.10%以下のNi、0.010%以下のMo、0.050%以下のTiを含み、鋳物用銑鉄の1塊あたりの重量は5kgである。
具体的には、ステップ(1)で、ニッケル合金板中のNiの質量分率は99.5%を超え、本実施例でニッケル合金板のグレードはNi9950である。
なお、本実施例で黒鉛粉末は、炭素含有率が99%を超え、粒径が1mm未満である。
具体的には、ステップ(1)で第1ステーション粗製錬及び第2ステーション粗製錬は、いずれも温度が1550℃以下であり、且つ、いずれも装入物が全て清浄化した後、1500~1520℃で5~20分間保温してから出銑する。
具体的には、ステップ(2)では、一次精錬及び二次精錬で過程全体にわたって取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで撹拌する方式を採用する。
なお、取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで撹拌する方式で溶鉄の温度、成分を高度に均一にさせ、スラグ形成を併用して溶鉄中の内生系及び外来系介在物が浮上して冶金スラグによって吸着除去されることを促進し、従来の溶鉄製造プロセスでは到達できない溶鉄の高純度化、成分と温度の高い均一性、球状化処理の最適なプロセス温度の精密制御を実現する。
具体的には、ステップ(2)では、一次精錬及び二次精錬でいずれもスラグ形成処理を行い、一次精錬でスラグ形成材は冶金用石灰、蛍石であり、冶金用石灰と蛍石の質量比は4:1であり、二次精錬でスラグ形成材は蛍石を採用する。
なお、本実施例ではクラス1の冶金用石灰を選択し、質量パーセント基準で、主な技術指標は、CaO 90%以上、MgO 5.0%以下、SiO 2.0%以下、S 0.03%以下、苛性ソーダ4%以下、活性度320以上(活性度4mol/L、40℃±1℃ 10分間)、ランピネス(lumpiness)20~100mmであり、蛍石鉱石は、グレードがFL-85であり、主な技術指標は、CaF 85%以上、SiO 14.3%以下、P 0.06%以下、S 0.10%以下、ランピネス(lumpiness)5~100mmである。使用する原料と補助材料はいずれも清潔な乾燥品で、表示が明確なものであり、大塊金属切断材は単位重量を具体的に表示する必要がある。
本実施例では第1取鍋精錬炉及び第2取鍋精錬炉はいずれも新設の円筒状取鍋炉を使用し、作業層の耐火物レンガはマグネシア・カーボン質であり、当該耐火レンガは、マグネシアクリンカー、鱗片状黒鉛、有機バインダー及び酸化防止剤に対する常温圧縮成形で得られたもので、初めて使用する時には専用の加熱曲線を実行して24時間加熱する必要があり、エネルギー媒体は天然ガス又は産業ガスであり、加熱停止後、内側壁部の1/2深さでの赤外放射測温温度は1000℃を超え、加熱が30分間停止した後、内側底部は赤熱状態と視認され、内側壁部の1/2深さでの赤外放射測温は750℃以上であり、外側壁部の1/2深さでの赤外放射測温は150℃以上であり、これにより、新設取鍋炉が徹底的に加熱され、ほぼ熱飽和状態であることを保証し、耐火レンガに湿ったガス又は結晶水が残留せず製錬過程の安全性を保証するとともに、熔錬過程で環境要因により溶鉄の[H]が増加することがないことを保証する。
なお、本実施例では、冷間鋼材及び鋳物用銑鉄で溶鉄の質量、成分の重みを調整し、冶金用石灰、蛍石でスラグを形成させ、スラグ系の配合比はCaO:CaF=4:1であり、黒鉛電極を加熱して脱硫処理を行い、第2ステーション粗製錬溶鉄の熔錬が完了した後、第2取鍋精錬炉に加え、混合が完了した後、また第2取鍋精錬炉に蛍石を加えてスラグを形成させてアーク加熱し、底部からアルゴンガスを吹き込んで撹拌することにより成分温度を均一にし、サンプリングして成分温度が適切であれば出銑し、後の溶鉄分配及び球状化接種処理に移行することができる。
具体的には、ステップ(2)で一次精錬及び二次精錬の温度は1550℃以下である。
具体的には、ステップ(2)では、一次精錬過程で溶鉄の質量、成分の重みを調整するために、さらに冷間鋼材及び鋳物用銑鉄を加える。
なお、取鍋炉精錬では、(1)冷間鋼材及び鋳物用銑鉄を加えると同時に、スラグ形成材を添加する必要があり、これにより、黒鉛電極をアーク加熱し、スラグを脱硫して溶鉄の様々な内生系及び外来系介在物を吸着除去する。従来の誘導炉による溶鉄熔錬過程では、溶融プールの湯面上に浮遊するスラグは、主に、溶鉄中の鋳物用銑鉄原料中の原生脈石に由来している酸性SiOであり、CaOを主とするアルカリ性スラグに比べ、当該酸性スラグは、脱硫することができず、介在物の吸着能力が低い。(2)高炭素溶鉄に対して炭素粉末で復炭する場合に未溶解の黒鉛粒子が鋳造キャビティに入りやすく、且つ炭素粉末の収率は様々な要因の影響で大きく変動しているため、誘導炉による粗製錬段階で溶鉄の炭素(C)成分の重みを規格の下限に調整し、精錬工程では炭素調整作業に鋳物用銑鉄及び冷間鋼材だけを使用する。(3)取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで溶鉄を撹拌する方式は、溶鉄の温度均一化、均質化及び介在物除去過程を大幅に短縮させ、溶鉄の純度と均一性を向上させることができ、従来のプロセスでは比べ物にならないほどの技術的優位性を有している。高圧アルゴンガスが撹拌により非常に大きな運動エネルギーが付与されているため、溶鉄が底部から湯面に行く物質移動過程が促進され、取鍋の底部のポーラスブリックから発生した微細な高純度アルゴンガス気泡が無数の微小な真空室に相当し、浮上するアルゴンガス気泡は溶鉄の静水圧が低減するにつれて体積が増加する過程で、溶鉄中の水素(H)ガス、窒素(N)ガスがアルゴンガス気泡に入り、様々な介在物も、アルゴンガス気泡の表面と衝突する間に吸着されて鉄-スラグ間界面に来て、塩基性スラグによって吸着除去される。そのプロセスパラメータは次のとおりである。取鍋底部アルゴンガス吹き込み型角状ブリックであり、ガス供給穴は2つであり、1/2半径では、流量が150~300NL/分であり、アルゴンガス純度は99.99%を超えており、実際の作業ではスラグの上面の隆起が200mm×200mm以下が適切であり、完全な温度均一化と均質化サイクルとしては取鍋内の溶鉄の高さによって10~15分間である。(4)精錬工程で溶鉄は成分が設計要件を満たすだけでなく、その温度のほうも、後の移送、分配、待機過程における溶鉄の温度低下への補償を考慮に入れる必要があり、これにより、最終の溶鉄球状化処理の最適なプロセス温度を実現する。実際の作業で、移送中の温度低下速度の経験式は次のとおりである。移送時間がt=20~30分間であれば、温度低下速度はΔT/t≒1.5℃/分であり、移送時間がt=30~45分間であれば、温度低下速度はΔT/t≒1.0℃/分である。プロセス設計では、二次精錬の出銑温度はT=1480~1520℃である。
具体的には、ステップ(3)では、質量パーセント基準で、球状化処理用溶鉄中C 3.50~4.00%、Si 0.30~0.40%、P 0.020%以下、S 0.004~0.009%、Ni 0.55~0.65%となっている。
具体的には、ステップ(3)で球状化処理前に、取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで溶鉄の温度を均一にすることにより、球状化処理温度を1350~1450℃にする。
なお、プロセスの球状化温度は、第2取鍋精錬炉の出銑温度を基準温度とし、経験式によって溶鉄の移送、分配、待機過程における冷却速度を決定し、且つ取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込む作業で球状化処理の最適なプロセス温度範囲を精密制御するものである。
具体的には、ステップ(3)は、さらに、球状化処理後の溶鉄を鋳造工程に移送して最後の接種、スラグ除去及び注湯作業を行うことを含む。
具体的には、溶鉄用の取鍋、溶鉄取鍋は、使用前にいずれも専用の加熱曲線で加熱し、溶鉄移送装置の耐火物がほぼ熱飽和であり、溶鉄移送工程の温度低下速度が安定的になることにより、溶鉄の球状化処理温度の精密制御を実現する。
本発明では、球状化処理用溶鉄中のCは3.50~4.00%であり、誘導炉による粗製錬、出銑、移し替え、混合、取鍋炉出銑、分配、球状化処理プロセスで、高温高炭素溶鉄にはいずれもある程度、炭素の燃焼損失又は炭素の流失が発生することから、製品の目標炭素(C)を保証するために、誘導炉熔錬プロセスで黒鉛粉末での復炭作業が必要であり、且つ、誘導炉の出銑中の炭素(C)成分値は精錬工程の最終の炭素の重み値を満たす必要がある。
なお、溶鉄中のC元素の過程中精密制御は、溶鉄製造プロセス全体で最も主要な技術上の難題であり、C元素はキャスク完成品の金属組織と機械的性質に最も影響を与える元素であるため、本発明で採用する技術経路ではプロセス設計が殆ど過程中のその精密制御に立脚している。溶鉄製造のプロセス全体において、炭素損失が発生する部分が多く、変動幅が大きいため、黒鉛粉末での復炭方式は最終の完成品溶鉄中のC元素の精密制御が難しく、本発明者は、試験を繰り返したところ、プロセスの技術経路をさらに最適化し、原料の精密測定、補助材料の設計、経験による過程炭素損失により、炭素変動の影響要因を最小の範囲に限定することで、製錬過程の精密制御を実現する。
次に、黒鉛粉末による炭素調整では不正確な炭素収率により球状化処理後にキャスクの金属組織に黒鉛浮上、スラグの巻き込みなどのプロセス欠陥がしばしば発生し、且つ生産製造のプロセス全体にわたって高炭素溶鉄の炭素流失が起きている。具体的な炭素損失経験値は次のとおりである。配合炭素(C)が2.50~3.50%であれば、炭素損失ΔCは0.15%であり、配合炭素(C)が4.50~5.50%であれば、炭素損失ΔCは0.20%である。
また、球状化接種の効果向上と鋳物の金属組織の黒鉛形状改善の観点から、球状化原料溶鉄内部のSを0.004~0.009%に限定することが求められ、目標S含有量は0.006%であり、当該プロセスパラメータの値はこれまでの複数回のパイロットテストで得た試験データ、金属組織の測定結果を分析した上で得られたもので、具体的には、溶鉄の球状化接種のプロセス効果及び鋳物金属組織の黒鉛形状の評価に関係している。プロセスで当該元素を制御する上で難しいところは、主に、取鍋精錬炉による精錬過程では、製錬過程が進むにつれて、S元素の除去量は制御できない状態になることにあり、プロセスルート設計、様々な成分のスラグ系の選択、精錬時間の合理的な限定により、原料溶鉄中のS元素についての最適なプロセスパラメータの値を得る。
リン含有量の高い溶鉄は結晶粒界でリン共晶現象が起きることで、完成品鋳物の母相組織の劣化、機械的性質の低下を招くため、球状化用原料溶鉄にはPが0.020%以下であることが求められ、従来の溶鉄熔錬プロセス(誘導炉溶解+炉外処理)はこの技術基準に到達することができず、その主な原因は、当面国産の鋳物用銑鉄のリン含有量は基本的に0.025%以上であり、誘導炉だけで溶解する場合に、P元素を目標成分範囲に限定できないことである。そのため、本発明の方法で採用された冷間鋼材は、アーク炉熔錬、取鍋炉精錬を経て、最後に、大気環境下での鋳型によるビレット鋳造により得られたもので、Pを0.001%以下に限定することにより、Pの重みが0.020%以下であることを実現し、誘導炉で溶鉄を熔錬する場合に脱リン(P)ができないというプロセス上の制限を解消する。
(実施例1)
図1に示すように、本実施例は、百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置であり、前記装置は、
第1ステーションと、第2ステーションとを含み、溶鉄を粗製錬し、第1ステーション粗製錬溶鉄及び第2ステーション粗製錬溶鉄を得るために用いられる誘導炉と、
第1取鍋精錬炉であって、第1ステーション粗製錬溶鉄が前記第1取鍋精錬炉に入って一次精錬を行って、一次精錬溶鉄を得る第1取鍋精錬炉と、
第2取鍋精錬炉であって、前記一次精錬溶鉄、前記第2ステーション粗製錬溶鉄が第2取鍋精錬炉に順次入って二次精錬を行って、二次精錬溶鉄を得る第2取鍋精錬炉と、
分配設備であって、二次精錬溶鉄が前記分配設備の中で分配及び移送される分配設備と、
球状化設備であって、分配及び移送された溶鉄に対して前記球状化設備で球状化処理を行う球状化設備とを含む。
(実施例2)
本実施例では、ダクタイル鋳鉄素材がQT400-18ALで、球状化溶鉄の総量が140トンであるものを例に挙げて解釈及び説明をする。
1.技術基準
キャスク材料の評価に関する技術基準(熔錬と完成品)(wt.%)は表1を参照する。
ダクタイル鋳鉄専用鋼材に関する技術基準(wt.%)は表2を参照する。
ダクタイル鋳鉄専用超純銑鉄に関する技術基準(wt.%)は表3を参照する。
表1:キャスク材料の評価に関する技術基準(熔錬と完成品)(wt.%)
表2:ダクタイル鋳鉄専用鋼材に関する技術基準(wt.%)
表3:ダクタイル鋳鉄専用超純銑鉄に関する技術基準(wt.%)
2.主な設備
公称40トンのEBT(偏心炉底出鋼方式、樋出鋼方式よりも出鋼時のスラグ流出量の効果的な制御が可能)アーク炉1基であって、本実施例で冷間鋼材を粗製錬するために用いる。公称60トンのダブルステーション中周波誘導炉1基であって、溶鉄の予備熔錬に用いる。マグネシア・カーボン質レンガで建設された円筒状取鍋4個であって、それぞれ、公称160トン、公称130トン、公称90トン、公称40トンであり、溶鉄の精錬及び移送用の冶金容器として用いる。160トン、130トンの精錬ステーション各1つであって、給電昇温、アルゴンガス吹き込み・撹拌、スラグ形成と脱硫、保温待機などの冶金機能を実現できる。80トン、60トンの円筒状溶鉄取鍋各1つであって、溶鉄球状化処理及び注湯用の冶金容器として用いる。
3.設備チェックと状態要件
(1)アーク炉の装入バスケットについて、装入前にバスケットをチェックし、混入防止のために、前の炉の残留廃棄鋼材が付着してはならない。
(2)アーク炉の炉体について、前の炉から製鋼スラグを完全に排出させることが求められ、寿命後期であれば製錬不可であり、且つ前の炉の鋼種の残留成分でMo含有量は0.20%未満である。
(3)誘導炉の炉体について、前の炉から加熱後の製鋼スラグを徹底的に排出し、出鋼樋、炉壁、炉底には粘稠な状態の鋼とスラグがたまっていると視認されない。
(4)精錬取鍋について、新設取鍋であり、加熱後に熱状態が良好であり、アルゴンガス吹き込みを試みて底部のポーラスブリックの通気性能をチェックする。
(5)ペラン法取鍋について、加熱後に取鍋の熱状態が良好であり、底部と口縁部に鋼とスラグが残留せず、且つ前の炉の製錬鋼種のスラグがCaO、SiOを主とする粉末状スラグ系である精錬取鍋である。
(6)タンディッシュについて、新設取鍋であり、レンガを積み終えた後、出銑側の口縁部の状態をチェックする。新しい取鍋用加熱プロセスを実行し、加熱時間は24時間を超えており、溶鉄注入前に測温し、壁部ライニングの中部は750℃を超えていることが求められ、加熱後に、内部の加熱後耐火物剥離物を吸引除去する。
(7)溶鉄取鍋について、加熱温度は500~800℃であり、新しい取鍋の場合に加熱時間は24時間を超え、古い取鍋の場合に加熱時間は12時間を超え、湿気が多い天候であれば適宜延長させ、球状化処理前に溶鉄取鍋の温度を測定し、ライニングの中部温度は150~300℃であり、取鍋の外殻の中部温度は100℃を超えることが求められる。
4.原料と補助材料の用意
鋼材32t、鋳物用銑鉄125t、クラス1の冶金用石灰2000kg、蛍石1000kg、ニッケル合金板1000kg、黒鉛粉末300kgである。前記原料と補助材料はどれも合金成分の化学分析結果を提供し、使用前に現場で再び検査及び確認をしてから使用する。精密に秤量された、表示が明確である、清潔な乾燥品であり、混在は禁じられ、大塊鋼材の場合は、さらに、質量を具体的に表示する必要がある。
本実施例に係る鋼材はいずれも自製されたもので、具体的な方法は、次のとおりである。アーク炉熔錬、取鍋炉精錬を経て、最後に、大気環境下での鋳型によるビレット鋳造で得られ、質量パーセント基準で、前記鋼材は、0.25%のC、0.01%以下のSi、0.001%以下のP、0.002%以下のSを含む。
前記鋳物用銑鉄は、4.50%のC、0.40%のSi、0.100%以下のMn、0.030%以下のP、0.025%以下のS、0.010%以下のCr、0.10%以下のNi、0.010%以下のMo、0.050%以下のTiを含む。
前記ニッケル合金板中のNiは、99.50%を超えており、グレードがNi9950である。
前記黒鉛粉末中のCは、99%を超えており、且つ黒鉛粉末の粒径が1mm未満であり、クラス1の冶金用石灰の主な技術指標は、CaO 90%以上、MgO 5.0%以下、SiO 2.0%以下、S 0.03%以下、苛性ソーダ4%以下、活性度320以上(活性度4mol/L、40℃±1℃ 10分間)であり、ランピネス(lumpiness)は20~100mmである。
蛍石は、グレードがFL-85であり、主な技術指標は、CaF 85%以上、SiO 14.3%以下、P 0.06%以下、S 0.10%以下、ランピネス(lumpiness)5~100mmである。
本実施例は、実施例1に記載の装置を用いる溶鉄製錬方法であり、以下のステップを含む。
(1)誘導炉による粗製錬であって、鋼材25t、鋳物用銑鉄35t、ニッケル合金板800kg、黒鉛粉末75kg、2.75%の配合炭素を、誘導炉の第1ステーションで粗製錬し、清浄化後、サンプリングして全分析し、熔錬過程全体にわたって溶鉄の温度は1550℃以下であり、装入物が全て清浄化した後、1500~1520℃で5~20分間保温して第1保温処理を行うと、出銑して、第1ステーション粗製錬溶鉄を得ることができ、熔錬過程でスラグ量が異常に大きい(目視では200kgを超えている)場合に、移し替えてスラグ流出量を厳密に測定し又はスラグ除去作業を実行する必要がある。
鋳物用銑鉄61t、黒鉛粉末125kg、4.85%の配合炭素を、誘導炉の第2ステーションに加えて粗製錬し、清浄化後、サンプリングして全分析し、熔錬過程全体にわたって溶鉄の温度は1550℃以下であり、装入物が全て清浄化した後、1500~1520℃で5~20分間保温して第2保温処理を行うと、出銑して、第2ステーション粗製錬溶鉄を得ることができる。
(2)第1取鍋精錬炉の容量は130トンを選択し、プロセス制御上のポイントは次のとおりである。取鍋のノズルの穴径Φは100mmであり、加熱温度は1000℃を超えており、溶鉄の温度は900℃を超えており、熱状態が良好であり、溶鉄の温度低下は50℃未満である。前記第1ステーション粗製錬溶鉄を第1取鍋精錬炉に注入した後、サンプリングし、スラグを形成させ、スラグ形成材は冶金用石灰1000kg、蛍石250kgであり、製錬過程でスラグの流動性によって適量の蛍石を補充し、精錬過程全体にわたって溶鉄の温度は1550℃を超えてはならず、中圧レベル電圧で給電して均一に昇温させ、1500~1520℃に昇温させて保温作業を5~20分間実行する。過程全体にわたって底部からアルゴンガスを吹き込み、保温プロセスを実行する時に、アルゴンガスの流量は溶鉄液面にスラグ層が露出しないように調整し、給電昇温と、鋳物用銑鉄、鋼材を加える時には物質移動に伴う溶鉄の熱輸送過程を促進するためにアルゴンガスの流量を適宜上げてもよく、鋼材及び鋳物用銑鉄を加えることにより成分及び溶鉄量を調整し、出銑温度は1500~1520℃であり、溶鉄中のCは3.05~3.15%であり、Siは0.40%以下であり、Pは0.020%以下であり、Sは0.002%以下であり、Niは1.00~1.05%であり、溶鉄量を81~85tに限定し、炭素粉末による復炭をしてはならず、一次精錬溶鉄を得る。
第2取鍋精錬炉の容量は160トンを選択し、プロセス制御上のポイントは次のとおりである。取鍋ノズルの穴径Φは100mmであり、加熱温度は1000℃を超えており、溶鉄の温度は900℃を超えており、熱状態が良好であり、溶鉄の温度低下は50℃未満である。ここ、一次精錬溶鉄を第2取鍋精錬炉に注入し、さらに誘導炉の第2ステーション粗製錬溶鉄を注入する。混合後、サンプリングし、スラグを形成させ、スラグ形成材は第1ロットの蛍石750kgであり、化学成分結果が出たら、S含有量によって適量の冶金用石灰を補充して引き続き脱硫することで規格管理を行い、冶金用石灰を加える溶鉄の温度は1500~1520℃であり、精錬過程全体にわたって溶鉄の温度は1550℃を超えてはならず、中圧レベル電圧で給電して均一に昇温させ、1500~1520℃に昇温させて保温作業を5~20分間実行し、過程全体にわたって底部からアルゴンガスを吹き込み、保温プロセスを実行する時に、アルゴンガスの流量は溶鉄液面にスラグ層が露出しないように調整し、給電昇温時には物質移動に伴う溶鉄の熱輸送過程を促進するためにアルゴンガスの流量を適宜上げてもよい。製錬時間は60~120分間であり、出銑温度Tは1480~1520℃であり、溶鉄の最適な成分範囲は、C 3.70~3.80%、Si 0.30~0.40%、P 0.020%以下、S 0.004~0.009%、Ni 0.55~0.65%であり、溶鉄量を140~145tに限定し、炭素粉末による復炭をしてはならず、二次精錬溶鉄を得る。
(3)溶鉄の移送及び分配プロセスの制御に関するポイントは、次のとおりである。予め秤量設備、天井クレーン設備、油圧システム、モーターシステムなど各機械設備をチェックし、どちらも正常に動作する状態であることを保証する。二次精錬溶鉄分配の30分間前にタンディッシュのライニングの中部温度を測定し、赤熱と視認され、温度は900℃を超えていることが求められ、これをタンディッシュがほぼ熱飽和状態であると見なしてもよく、移送過程中の溶鉄の温度低下経験式は適用される。分配溶鉄量は、順次80t、60tであり、分配後、タンディッシュ内の溶鉄の温度を測定し、サンプリングする。球状化処理温度は1395~1405℃であり、取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込む方式で溶鉄の球状化温度を精密制御し、1つのガス供給穴あたりのアルゴンガスの流量は30~50NL/分であり、溶鉄の温度低下速度は1.5~2.0℃/分であり、大流量のアルゴンガスでの溶鉄冷却作業はしてはならない。分配完了から球状化処理開始まで、過程全体の時間は30~45分間に限定される。本実施例の140トンの球状化用溶鉄は、160トン取鍋炉で二次精錬し、成分と温度を調整し、温度均一化と均質化をしてから分配し、球状化処理を行うようにする必要がある。現場では各工程の作業にいずれも責任者を配置し、現場安全作業手順を厳密に実行し、予め安全対策と、事故発生時の応急対策を講じる。球状化処理が完了すると、溶鉄取鍋を鋳造工程に移送して最後の接種、スラグ除去及び注湯作業を行う。
(I)本実施例の方法を採用して製錬された溶鉄は、球状化接種処理後、主な成分は、具体的には、
C 3.77%、 Si 1.53%、Mn 0.11%、P 0.015%、 S 0.005%、Ni 0.61%、Cr 0.04%、Mo 0.03%、H 1.6ppm、O 10ppm、N 33ppmである。これにより、本発明の方法を採用して製錬された溶鉄純度は、従来の技術経路で製造されたものより純度が高いことが分かる。
(II)本実施例で調製されたダクタイル鋳鉄素材QT400-18ALで使用済み核燃料の貯蔵・輸送用キャスクを作り、キャスクからサンプリングして腐食した後の金属組織図(縮尺50μm)は、図2に示すとおりである。図2から分かるように、鋳物の黒鉛組織は形状がほぼ円形であり、結晶粒界に沿って析出した後に均一に分布し、サイズが30~50μmであり、後の性能試験は、当該鋳物は従来の鋳物にない高度な均一性、純度といった品質を有していることを明らかにしている。キャスク腐食前の金属組織図(縮尺200μm)は、図3に示すとおりである。使用済み核燃料での腐食前後の金属組織はさほど変わっていないことが分かる。
(III)本実施例のダクタイル鋳鉄素材から作られた使用済み核燃料の貯蔵・輸送用キャスクの中仕上げ加工後の加工物の現場実物図は、図4に示すとおりである。後の非破壊検査の結果は、当該鋳物は設計要綱に定めた技術基準を完全に満たしていることを明らかにしている。
(実施例3)
本実施例は、実施例2と同じ方法を採用して溶鉄を製錬し、ただし、原料中の鋼材の質量は鋼材、銑鉄及びニッケル合金板の総質量の15%を占め、鋼材中のCは0.35%であり、鋳物用銑鉄中のCは4.60%であり、Siは0.50%であることで異なっている。
(実施例4)
本実施例は、実施例2と同じ方法を採用して溶鉄を製錬し、ただし、原料中の鋼材の質量は鋼材、銑鉄及びニッケル合金板の総質量の17.5%を占め、鋼材中のCは0.45%であり、鋳物用銑鉄中のCは4.70%であり、Siは0.60%であることで異なっている。
上述したのは、本発明の好ましい具体的な実施形態で、本発明の保護範囲がこれに限定されない。当業者が、本発明で開示されている技術範囲内において容易に相当している変形又は置換であれば、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。

Claims (13)

  1. 百トン級ダクタイル鋳鉄キャスク用高純度鋳造溶鉄の製錬装置を用いる溶鉄製錬方法であって、
    前記製錬装置は、
    第1ステーションと、第2ステーションとを含み、溶鉄を粗製錬し、第1ステーション粗製錬溶鉄及び第2ステーション粗製錬溶鉄を得るために用いられる誘導炉と、
    第1取鍋精錬炉であって、第1ステーション粗製錬溶鉄が前記第1取鍋精錬炉に入って一次精錬を行って、一次精錬溶鉄を得る第1取鍋精錬炉と、
    第2取鍋精錬炉であって、前記一次精錬溶鉄、前記第2ステーション粗製錬溶鉄が第2取鍋精錬炉に順次入って二次精錬を行って、二次精錬溶鉄を得る第2取鍋精錬炉と、
    分配設備であって、二次精錬溶鉄が前記分配設備の中で分配及び移送される分配設備と、
    球状化設備であって、分配及び移送された溶鉄に対して前記球状化設備で球状化処理を行う球状化設備とを含み、
    溶鉄製錬方法は、
    誘導炉による粗製錬であって、冷間鋼材、鋳物用銑鉄、ニッケル合金板、黒鉛粉末を第1ステーションに加えて粗製錬して、第1ステーション粗製錬溶鉄を得て、鋳物用銑鉄、黒鉛粉末を第2ステーションに加えて粗製錬して、第2ステーション粗製錬溶鉄を得ることを含むステップ(1)と、
    取鍋精錬炉による二次精錬であって、前記第1ステーション粗製錬溶鉄を第1取鍋精錬炉に加えて一次精錬して、一次精錬溶鉄を得て、前記一次精錬溶鉄、第2ステーション粗製錬溶鉄を第2取鍋精錬炉に順次加えて二次精錬して、二次精錬溶鉄を得るステップ(2)と、
    二次精錬溶鉄を分配設備で順次移送及び分配して、球状化処理設備で球状化処理を行うステップ(3)とを含む、
    ことを特徴とす溶鉄製錬方法。
  2. 溶鉄生産原料中の冷間鋼材の質量が冷間鋼材、銑鉄及びニッケル合金板の総質量の15~20%を占める、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  3. 前記冷間鋼材が、アーク炉粗製錬による脱リン・脱炭、取鍋炉精錬による炭素調整・脱硫、大気環境下での鋳型によるビレット鋳造により得られる、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  4. ステップ(1)に記載の冷間鋼材が、質量パーセント基準で、0.25~0.45%のC、0.01%以下のSi、0.05%以下のMn、0.005%以下のP、0.005%以下のS、0.05%以下のCr、0.05%以下のMo、残部Fe及び不可避不純物
    よりなる
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  5. ステップ(1)で、鋳物用銑鉄が、質量パーセント基準で、4.50~4.70%のC、0.40~0.60%のSi、0.100%以下のMn、0.030%以下のP、0.025%以下のS、0.010%以下のCr、0.10%以下のNi、0.010%以下のMo、0.050%以下のTi、残部Fe及び不可避不純物よりなる
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  6. ステップ(1)で、ニッケル合金板中のNiの質量分率は99.5%を超える、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  7. ステップ(1)で溶鉄の第1ステーション粗製錬及び第2ステーション粗製錬は、プロセス温度がいずれも1550℃以下であり、且つ、いずれも装入物が全て清浄化した後、1500~1520℃で5~20分間保温してから出銑する、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  8. ステップ(2)では、一次精錬及び二次精錬で過程全体にわたって取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで撹拌する方式を採用する、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  9. ステップ(2)では、一次精錬及び二次精錬でいずれもスラグ形成処理を行い、具体的には、スラグ系の成分要件は、一次精錬でスラグ形成材は冶金用石灰、蛍石であり、冶金用石灰と蛍石の質量比は4:1であり、二次精錬でスラグ形成材は蛍石を採用することである、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  10. ステップ(2)で溶鉄の一次精錬及び二次精錬のプロセス温度は1550℃以下である、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  11. ステップ(2)では、一次精錬過程で溶鉄の質量、成分の重みを調整するために、さらに冷間鋼材及び鋳物用銑鉄を加える、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
  12. ステップ(3)で球状化処理前に、取鍋の底部からアルゴンガスを吹き込んで溶鉄の温度を均一にすることにより、球状化処理温度を1350~1450℃にする、
    ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の溶鉄製錬方法。
  13. ステップ(3)が、さらに、球状化処理後の溶鉄を鋳造工程に移送して最後の接種、スラグ除去及び注湯作業を行うことを含む、
    ことを特徴とする請求項に記載の溶鉄製錬方法。
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