ところが、上記特許文献に開示の水素発生装置には、以下のような解決すべき問題点が存在する。
具体的には、上記特許文献に開示の水素発生装置では、電解セルに給水する純水を貯水する給水槽において電解セルから酸素と共に排出される水分を酸素から分離させると共に、電解セルから水素と共に排出される水分を水分離部において水素から分離させる構成が採用されている。この場合、この水素発生装置では、給水槽および水分離部が別個独立して設置されている。このため、この水素発生装置では、給水槽の設置スペース、および水分離部の設置スペースをそれぞれ確保する必要があり、これに起因して、装置の小型化が困難となっているという問題点が存在する。
また、この種の装置によって水素を供給する供給対象のなかには、水素と共に液相の水分(水滴)が大量に供給されないことが好ましいとしつつも、適度に気相の水分を含んだ状態の水素(好適な湿度の水素)が供給されることが好ましいとしているものがある。一例として、水素と酸素とを反応させて電力を発生させる燃料電池においては、水素と共に液相の水分(水滴)が大量に供給されたときに、水素流路内に流入した水滴の存在に起因して水素の通過抵抗が大きくなり、必要とされる発電量に応じた水素を反応させることができなくなるため、水素と共に液相の水分(水滴)が大量に供給されるのを回避する必要がある。その一方で、低湿度の水素が供給されたときには、MEA(膜電極接合体)のドライアップに起因して発電効率の低下を招くため、適度な気相の水分を含んだ状態の水素(好適な湿度の水素)が供給される必要がある。
この場合、上記の水素発生装置では、水分離部において、電解セルから水素と共に排出される液相の水分が分離されると共に、この水分離部に貯水されている水中を通過させられることで、ある程度の量の気相の水分が水素に含まれた状態となる。しかしながら、水分離部から排出される水素の湿度を十分に高めるには、水素が通過させられる水分離部内の水や、水中を通過させられる水素を十分に温度上昇させる必要がある。このため、上記の水素発生装置の構成では、好適な湿度に調整された水素を供給しようとしたときに、水分離部内の水、およびこれを通過させられる水素の少なくとも一方を加熱する電気ヒータ等を別途配設する必要があり、これに起因して、装置の製造コストやランニングコストが高騰するという問題点が存在する
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、小型化を図りつつ、好適な湿度に調整された水素を低コストで供給可能とする処理装置および燃料供給システムを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の処理装置は、外側筒状部材と、前記外側筒状部材内に配設された内側筒状部材と、前記外側筒状部材の一端側開口部および前記内側筒状部材の一端側開口部を閉塞する第1の閉塞部材と、前記外側筒状部材の他端側開口部および前記内側筒状部材の他端側開口部を閉塞する第2の閉塞部材とを備え、前記第1の閉塞部材が前記第2の閉塞部材よりも下方に位置するように設置した状態において、前記外側筒状部材と前記内側筒状部材との間の第1の空間および当該内側筒状部材内の第2の空間のいずれか一方の空間が、原料の水を電気分解して水素を発生させる水素発生装置から酸素と共に排出される水を当該酸素から分離させて貯水する第1の分離槽として機能し、かつ当該第1の空間および当該第2の空間のいずれか他方の空間が、当該水素発生装置から当該水素と共に排出される水を当該水素から分離させて貯水する第2の分離槽として機能するように構成されると共に、当該第1の分離槽内の水と当該第2の分離槽内の水とが当該内側筒状部材を介して熱交換可能に構成され、前記第1の分離槽は、貯水した水を前記原料の水として前記水素発生装置に給水する給水用配管を接続可能に構成され、前記第2の分離槽は、貯水した水のなかを当該水素が浮上するように構成されている。
請求項2記載の処理装置は、請求項1記載の処理装置において、前記第1の空間が前記第1の分離槽として機能すると共に、前記第2の空間が前記第2の分離槽として機能するように構成されている。
請求項3記載の処理装置は、請求項1記載の処理装置において、前記第2の分離槽に貯水された水を前記第1の分離槽に送水可能な送水路を備えている。
請求項4記載の燃料供給システムは、請求項1から3のいずれかに記載の処理装置と、前記水素発生装置とを備え、前記水素発生装置から排出されて前記処理装置における前記第2の分離槽を通過させた前記水素を供給対象に対して供給可能に構成されている。
請求項1記載の処理装置では、外側筒状部材と、外側筒状部材内に配設された内側筒状部材と、外側筒状部材の一端側開口部および内側筒状部材の一端側開口部を閉塞する第1の閉塞部材と、外側筒状部材の他端側開口部および内側筒状部材の他端側開口部を閉塞する第2の閉塞部材とを備え、第1の閉塞部材が第2の閉塞部材よりも下方に位置するように設置した状態において、外側筒状部材と内側筒状部材との間の第1の空間および内側筒状部材内の第2の空間のいずれか一方の空間が水素発生装置から酸素と共に排出される水を酸素から分離させて貯水する第1の分離槽として機能し、かつ第1の空間および第2の空間のいずれか他方の空間が水素発生装置から水素と共に排出される水を水素から分離させて貯水する第2の分離槽として機能するように構成されると共に、第1の分離槽内の水と第2の分離槽内の水とが内側筒状部材を介して熱交換可能に構成され、第1の分離槽が、貯水した水を原料の水として水素発生装置に給水する給水用配管を接続可能に構成され、第2の分離槽が、貯水した水のなかを水素が浮上するように構成されている。
また、請求項4記載の燃料供給システムでは、上記の処理装置と、水素発生装置とを備え、水素発生装置から排出されて処理装置における第2の分離槽を通過させた水素を供給対象に対して供給可能に構成されている。
したがって、請求項1記載の処理装置、および請求項4記載の燃料供給システムによれば、水素発生装置に給水する水を貯水する容器および水素発生装置から酸素と共に排出される水を分離させる分離槽(前述の特許文献に開示の構成における給水槽)と、水素発生装置から水素と共に排出される水を水素から分離させる分離槽(前述の特許文献に開示の構成における水分離部)とを別個に配設した構成と比較して、二重管構造によって形成された第1の空間および第2の空間を第1の分離槽や第2の分離槽として機能させることで、両分離槽による占有スペースを小さくして燃料供給システムを十分に小型化することができる。また、水素を加湿するための第2の分離槽内の水を、電気ヒータ等の加熱源を使用せずに、第1の分離槽内の水との熱交換によって加熱することができるため、燃料供給システムの製造コストおよび運用コストを十分に低減しつつ、好適な湿度の水素を供給対象に対して供給することができる。
また、請求項2記載の処理装置では、第1の空間が第1の分離槽として機能すると共に、第2の空間が第2の分離槽として機能するように構成されている。したがって、請求項2記載の処理装置、およびそのような処理装置を備えた燃料供給システムによれば、第2の分離槽の周囲全体が第1の分離槽で囲まれた状態となっていることで、第1の分離槽内の水と第2の分離槽内の水とを好適に熱交換することができる。これにより、第2の分離槽内の水の温度を十分に上昇させることができる結果、供給対象に対して供給する水素の湿度を確実に好適な湿度まで高めることができる。また、第1の分離槽内の水が有する熱を、外側筒状部材を介して大気中に放熱させることができるため、水素発生装置に給水する水の温度が過剰に高くなる事態を回避して、水素発生装置による水素の生成効率の低下を好適に回避することができる。
さらに、請求項3記載の処理装置では、第2の分離槽に貯水された水を第1の分離槽に送水可能な送水路を備えている。したがって、請求項3記載の処理装置、およびそのような処理装置を備えた燃料供給システムによれば、水素発生装置から酸素と共に排出される水だけでなく、水素発生装置から水素と共に排出される水についても、水素発生装置における電気分解の原料として有効利用することができる。
以下、添付図面を参照して、処理装置および燃料供給システムの実施の形態について説明する。
図1に示す水素供給システム1は、「燃料供給システム」の一例であって、「供給対象」の一例である燃料電池ユニットXに対して水素ガス(水素)Gを供給可能に構成されている。この水素供給システム1は、水素発生装置2、処理装置3、後処理装置4、配管5,6a,6b,7a,7b、開閉弁8a,8bおよび制御装置9を備えている。
この場合、配管5は、「給水用配管」の一例であって、後述するように、処理装置3に貯水された水Wを「電気分解によって水素を発生させる原料の水」として水素発生装置2に給水可能に接続されている。また、配管6aは、水素発生装置2から水W1を含んで排出される酸素Oを処理装置3に流入させ、配管6bは、処理装置3から排出される酸素Oを後処理装置4に流入させるようにそれぞれ接続されている。また、配管7aは、水素発生装置2から水W2を含んで排出される水素ガスGを処理装置3に流入させ、配管7bは、処理装置3から排出される水素ガスGを燃料電池ユニットXに供給可能にそれぞれ接続されている。
一方、水素発生装置2は、「原料の水を電気分解して水素を発生させる水素発生装置」の一例であって、前述の特許文献に開示の水素発生装置における電解セルと同様にして、処理装置3から配管5を介して給水された水W(純水)を電気分解処理して水素ガスGを発生させることができるように構成されている。なお、水素発生装置2の構成および電解処理の手順等については、前述の電解セルなどの公知の構成およびその処理手順と同様のため、詳細な説明を省略する。なお、水素発生装置2が原料として使用する水Wの温度が高過ぎると電気分解の効率が低下して水素ガスGの生成効率が低下するため、後述するように処理装置3から水素発生装置2に水Wを給水する配管5については、通過する水Wの温度を低下させることができるように高熱伝導率素材(放熱性が高い素材)で形成するのが好ましい。
処理装置3は、「処理装置」の一例であって、後述するようにして、水素発生装置2から排出される水素ガスGや酸素Oを処理して、水素ガスGを燃料電池ユニットXに供給し、かつ酸素Oを後処理装置4に排出する構成が採用されている。この処理装置3は、図2に示すように、外側筒状部材11、内側筒状部材12、下方閉塞部材13、上方閉塞部材14、水位センサ15、配管16および開閉弁17を備えている。
外側筒状部材11は、「外側筒状部材」に相当し、一例として、円筒状に形成されている。また、内側筒状部材12は、「内側筒状部材」に相当し、一例として、外側筒状部材11よりも小径の円筒状に形成されて、外側筒状部材11内に配設されている。この場合、本例の処理装置3では、外側筒状部材11および内側筒状部材12の双方が金属(一例として、表面処理を施したアルミニウム)などの高熱伝導率素材によって形成されている。また、本例の処理装置3では、外側筒状部材11における内面および外面の少なくとも一方(一例として、双方)に凸部(フィン:図示せず)が設けられて表面積が拡大されると共に、内側筒状部材12における内面および外面の少なくとも一方(一例として、双方)に凸部(フィン:図示せず)が設けられて表面積が拡大されている。
また、下方閉塞部材13は、「第1の閉塞部材」の一例であって、外側筒状部材11の一端部(下端部)および内側筒状部材12の一端部(下端部)を閉塞可能に構成されている。また、上方閉塞部材14は、「第2の閉塞部材」の一例であって、外側筒状部材11の他端部(上端部)および内側筒状部材12の他端部(上端部)を閉塞可能に構成されている。この場合、本例の処理装置3では、下方閉塞部材13および上方閉塞部材14の双方が樹脂材料(一例として、アクリル樹脂、または塩化ビニル樹脂)などの低熱伝導率素材(放熱性が低い素材:外側筒状部材11や内側筒状部材12を構成する素材よりも熱伝導率が低い素材)によって形成されている。
この場合、本例の処理装置3では、下方閉塞部材13が上方閉塞部材14よりも下方に位置するように設置した状態(一例として、外側筒状部材11および内側筒状部材12の筒長方向が垂直方向と一致するよう直立させた状態)で、外側筒状部材11と内側筒状部材12との間の外側空間S1(「第1の空間」の一例)において、水素発生装置2から酸素Oと共に排出される水W1を酸素Oから分離させる構成が採用されている(「第1の空間および第2の空間のいずれか一方の空間」としての「第1の空間」が「第1の分離槽」として機能する構成の一例)。また、本例の処理装置3では、内側筒状部材12内の内側空間S2(「第2の空間」の一例)において、水素発生装置2から水素ガスGと共に排出される水W2を水素ガスGから分離させる構成が採用されている(「第1の空間および第2の空間のいずれか他方の空間」としての「第2の空間」が「第2の分離槽」として機能する構成の一例)。
また、本例の処理装置3では、水素発生装置2に対して給水する電気分解用の水Wを外側空間S1内に貯水可能に構成されると共に、この外側空間S1内に貯水した水Wを水素発生装置2に給水するための上記の配管5が接続されている。また、本例の処理装置3では、水素ガスGから分離させた水W2を内側空間S2内に貯水可能に構成されると共に、この内側空間S2内に貯水した水W2のなかを水素ガスGが浮上するように構成されている。また、外側空間S1と内側空間S2とが内側筒状部材12だけで隔てられている本例の処理装置3では、内側筒状部材12を介して、外側空間S1内の水W1と内側空間S2内の水W2とを相互に熱交換させることが可能となっている(「第1の分離槽内の水と第2の分離槽内の水とが内側筒状部材を介して熱交換可能に構成されている」との構成の一例)。
水位センサ15は、内側空間S2に貯水された水W2の貯水量を検出し、検出信号を制御装置9に出力する。この場合本例の処理装置3では、一例として、水位センサ15がフロートセンサで構成されており、水W2の貯水量が予め規定された量に達したときに、制御装置9に対して検出信号を出力する構成が採用されている。配管16は、「第2の分離槽に貯水された水を第1の分離槽に送水可能な送水路」を構成する配管であって、その一端部が内側空間S2に連通させられ、かつ他端部が外側空間S1に連通させられると共に、制御装置9によって開閉制御される開閉弁17が配設されている。
後処理装置4は、一例として、処理装置3から排出される酸素Oを大気と混合させることで予め規定された酸素濃度まで希釈して大気中に放出する処理を実行可能に構成されている。なお、大気中への酸素Oの直接放出が許容される環境下においては、この後処理装置4を不要とすることもできる。また、この後処理装置4に代えて、水素発生装置2から排出される酸素Oを燃料として燃料電池ユニットXに対して供給する構成を採用することもできる。開閉弁8aは、制御装置9によって開閉制御されることで処理装置3から水素発生装置2への水Wの給水を許容/規制する。開閉弁8bは、制御装置9によって開閉制御されることで処理装置3から燃料電池ユニットXへの水素ガスGの供給を許容/規制する。
制御装置9は、水素供給システム1を総括的に制御する。具体的には、制御装置9は、水素発生装置2による水素ガスGの生成(水Wの電気分解)、開閉弁8aの開閉制御による水素発生装置2への水Wの給水、開閉弁8bの開閉制御による燃料電池ユニットXへの水素ガスGの供給、および水位センサ15からの検出信号に基づく開閉弁17の開閉制御による内側空間S2から外側空間S1への水W2の送水などを制御する。
この水素供給システム1による燃料電池ユニットXに対する水素ガスGの供給に際しては、図2に示すように、水素発生装置2における電気分解の原料として給水する十分な量の水Wを外側空間S1に貯水させると共に、水素ガスGの加湿に必要な少量の水Wを内側空間S2に貯水させる。この状態において、制御装置9が開閉弁8a,8bをそれぞれ閉状態から開状態に移行させると共に、水素発生装置2を制御して水素ガスGの生成を開始させる。これにより、処理装置3の外側空間S1から配管5を介して水素発生装置2に原料の水Wが給水され、この水Wが水素発生装置2において電気分解されることで水素発生装置2から水素ガスGおよび酸素Oが排出される。
この際に、水素発生装置2から排出される酸素Oを処理装置3に案内する配管6aには、酸素Oと共に水W1が排出される。この酸素Oと水W1との気液混合流体は、処理装置3の下方閉塞部材13に接続されている配管6aから外側空間S1内に流入させられ、処理装置3の上方閉塞部材14に接続されている配管6bに向かって外側空間S1内を上昇させられる際に酸素Oと水W1とに分離される。また、分離された酸素Oは、外側空間S1から配管6bに排出されて後処理装置4に流入させられる。これにより、前述したように、後処理装置4において予め規定された酸素濃度となるように大気と混合させられた酸素Oが大気に放出される。また、分離された水W1は、原料として水素発生装置2に給水可能に外側空間S1内に貯水され、配管5を介して水素発生装置2に給水されて電気分解される。
また、水素発生装置2から排出される水素ガスGを処理装置3に案内する配管7aには、水素ガスGと共に水W2が排出される。この水素ガスGと水W2との気液混合流体は、処理装置3の下方閉塞部材13に接続されている配管7aから内側空間S2内に流入させられ、処理装置3の上方閉塞部材14に接続されている配管7bに向かって内側空間S2内を上昇させられる際に水素ガスGと水W2とに分離される。また、分離された水素ガスGは、内側空間S2から配管7bに排出されて燃料電池ユニットXに供給される。これにより、燃料電池ユニットXにおいて、水素供給システム1から供給された水素ガスGと大気(酸素)とが反応させられて発電される。また、分離された水W2は、内側空間S2内に貯水される。
この場合、上記のように水素発生装置2から排出されて配管6aを介して外側空間S1に流入させられる酸素Oと水W1との気液混合流体は、水素発生装置2から排出されて配管7aを介して内側空間S2に流入させられる水素ガスGと水W2との気液混合流体よりも高温となっている。また、水素発生装置2による水素ガスGの生成に際しては、酸素Oと共に排出される水W1の単位時間あたりの排出量が、水素ガスGと共に排出される水W2の単位時間あたりの排出量よりも多量となっている。また、前述したように、本例の処理装置3では、外側空間S1と内側空間S2とが内側筒状部材12だけで隔てられており、外側空間S1内の水W(水W1)と、内側空間S2内の水W(水W2)とが内側筒状部材12を介して相互に熱交換させられる構成が採用されている。
したがって、上記のように酸素Oと水W1との気液混合流体が外側空間S1に流入させられ、かつ水素ガスGと水W2との気液混合流体が内側空間S2に流入させられている状態が継続されているときには、内側空間S2内の水W2が、外側空間S1内の水W1との熱交換によって十分に加熱された状態となる。この場合、本例の処理装置3では、前述したように、内側筒状部材12が高熱伝導率素材で形成されると共に、その内面および外面の双方に凸部(フィン)が設けられて内側筒状部材12の表面積が拡大されている。したがって、この内側筒状部材12によって隔てられた外側空間S1内の水W1と内側空間S2内の水W2とが好適に熱交換されて、内側空間S2内の水W2が十分に温度上昇させられる。これにより、内側空間S2に貯水されている水W2内を浮上させられる水素ガスGが十分な気相の水分を含んで十分な湿度となり、その状態において配管7bを介して燃料電池ユニットXに供給されることで、MEAのドライアップが生じる事態が確実に回避される。
なお、上記のように内側空間S2内(水W2内)を浮上させられる水素ガスGを好適な湿度に加湿するには、内側空間S2内に流入する前に水素ガスGや水W2の温度が過剰に低下するのを回避するのが好ましい。したがって、水素発生装置2から処理装置3に水素ガスGおよび水W2を流入させる配管7aについては、低熱伝導率素材(放熱性が低い素材)で形成するのが好ましい。また、処理装置3において十分に加湿された水素ガスGが燃料電池ユニットXに供給される前にその温度が低下したときには、水素ガスGに含まれる気相の水分が液相に変化し、水滴となって燃料電池ユニットXに流入することとなる。このような状態では、液相の水分(水滴)が水素ガスGの通過抵抗となるおそれがあるため、処理装置3から燃料電池ユニットXに水素ガスGを供給する配管7bについても、低熱伝導率素材(放熱性が低い素材)で形成するのが好ましい。
一方、上記のように燃料電池ユニットXに対する水素ガスGの供給を継続したときには、水素発生装置2から水素ガスGと共に排出されて内側空間S2において分離された水W2の貯水量が徐々に増加する。また、水位センサ15が、内側空間S2に対する水W2の貯水量が予め規定された量に達したことを検出したときには、制御装置9に対して検出信号を出力する。これに応じて、制御装置9は、開閉弁17を閉状態から開状態に移行させる。この際には、内側空間S2内の水W2が配管16を介して外側空間S1に送水され、水素発生装置2に対して給水する水Wの一部として外側空間S1に貯水される。なお、内側空間S2から外側空間S1への水W2の送水については、水素ガスG等が流入させられることで内側空間S2に加わっている内圧を利用して液送する構成や、図示しない液相ポンプによって強制的に液送する構成を採用することができる。これにより、水素発生装置2から酸素Oと共に排出される水W1だけでなく、水素ガスGと共に排出される水W2についても原料の水Wとして有効利用することが可能となっている。
この場合、前述したように、水素発生装置2による水素ガスGの生成に際して原料として使用される水Wの温度が高過ぎると、その水Wの電気分解の効率が低下して水素ガスGの生成効率が低下する。しかしながら、本例の水素供給システム1では、高温の水W1が、水W1よりも低温の水W2との熱交換によって十分に温度低下している。また、本例の水素供給システム1では、上記のように、外側空間S1内の水W1に対して内側空間S2から送水した水W2を合流させた後に水素発生装置2に供給する構成が採用されている。したがって、本例の水素供給システム1では、外側空間S1内の水W1だけを内側空間S2内の水W2と熱交換させずに水素ガスG生成用の原料として使用する構成とは異なり、電気分解の効率が低下するような過剰に高い温度の水W(水W1,W2)が水素発生装置2に対して給水される事態が好適に回避されている。
また、本例の処理装置3では、前述したように、外側筒状部材11が高熱伝導率素材で形成されると共に、その内面および外面の双方に凸部(フィン)が設けられて外側筒状部材11の表面積が拡大されている。したがって、この外側筒状部材11によって隔てられた外側空間S1内の水W1と処理装置3の周囲の大気とが好適に熱交換されて、外側空間S1内の水W1が過剰に高い温度となる事態が回避され、これにより、水素発生装置2に対して過剰に高い温度の水W(水W1,W2)が給水される事態が確実に回避されている。
また、燃料電池ユニットXによる発電を停止させるとき、すなわち、燃料電池ユニットXに対する水素ガスGの供給が不要となったときに、制御装置9は、開閉弁8a,8bを開状態から閉状態に移行させる。この際には、配管5を介しての処理装置3(外側空間S1)から水素発生装置2への水Wの給水が停止すると共に、配管7bを介しての処理装置3(内側空間S2)から燃料電池ユニットXへの水素ガスGの供給が停止する。また、開閉弁8bが閉状態に移行させられた状態においては、処理装置3(内側空間S2)内の水W2が揮発して配管7bを介して燃料電池ユニットXに流入する事態が阻止される。これにより、水素ガスGの加湿や、水素発生装置2による電気分解の原料として使用される水W2の不要な消費を回避することが可能となる。
このように、この処理装置3では、外側筒状部材11と、外側筒状部材11内に配設された内側筒状部材12と、外側筒状部材11の一端側(下端側)開口部および内側筒状部材12の一端側(下端側)開口部を閉塞する下方閉塞部材13と、外側筒状部材11の他端側(上端側)開口部および内側筒状部材12の他端側(上端側)開口部を閉塞する上方閉塞部材14とを備え、下方閉塞部材13が上方閉塞部材14よりも下方に位置するように設置した状態において、外側筒状部材11と内側筒状部材12との間の外側空間S1(第1の空間)および内側筒状部材12内の内側空間S2(第2の空間)のいずれか一方の空間(本例では、外側空間S1)が水素発生装置2から酸素Oと共に排出される水W1を酸素Oから分離させて貯水する「第1の分離槽」として機能し、かつ外側空間S1および内側空間S2のいずれか他方の空間(本例では、内側空間S2)が水素発生装置2から水素ガスGと共に排出される水W2を水素ガスGから分離させて貯水する「第2の分離槽」として機能するように構成されると共に、「第1の分離槽」内の水W1と「第2の分離槽」内の水W2とが内側筒状部材12を介して熱交換可能に構成され、「第1の分離槽」が、貯水した水W1を「原料の水」として水素発生装置2に給水する配管5を接続可能に構成され、「第2の分離槽」が、貯水した水W2のなかを水素ガスGが浮上するように構成されている。
したがって、この処理装置3および水素供給システム1によれば、水素発生装置2に給水する水Wを貯水する容器および水素発生装置2から酸素Oと共に排出される水W1を分離させる分離槽(前述の特許文献に開示の構成における給水槽)と、水素発生装置2から水素ガスGと共に排出される水W1を水素ガスGから分離させる分離槽(前述の特許文献に開示の構成における水分離部)とを別個に配設した構成と比較して、二重管構造によって形成された外側空間S1および内側空間S2を「第1の分離槽」や「第2の分離槽」として機能させることで、両分離槽による占有スペースを小さくして水素供給システム1を十分に小型化することができる。また、水素ガスGを加湿するための内側空間S2内の水W2を、電気ヒータ等の加熱源を使用せずに、外側空間S1内の水W1との熱交換によって加熱することができるため、水素供給システム1の製造コストおよび運用コストを十分に低減しつつ、好適な湿度の水素ガスGを燃料電池ユニットXに対して供給することができる。
また、この処理装置3では、外側空間S1が「第1の分離槽」として機能すると共に、内側空間S2が「第2の分離槽」として機能するように構成されている。したがって、この処理装置3および水素供給システム1によれば、内側空間S2(第2の分離槽)の周囲全体が外側空間S1(第1の分離槽)で囲まれた状態となっていることで、外側空間S1内の水Wと内側空間S2内の水Wとを好適に熱交換することができる。これにより、内側空間S2内の水Wの温度を十分に上昇させることができる結果、燃料電池ユニットXに対して供給する水素ガスGの湿度を確実に好適な湿度まで高めることができる。また、「第1の分離槽」内の水W1が有する熱を、外側筒状部材11を介して大気中に放熱させることができるため、水素発生装置2に給水する水W(水W1,W2)の温度が過剰に高くなる事態を回避して、水素発生装置2による水素ガスGの生成効率の低下を好適に回避することができる。
さらに、この処理装置3では、「第2の分離槽」に貯水された水W2を「第1の分離槽」に送水可能な「送水路(本例では、配管16)」を備えている。したがって、この処理装置3および水素供給システム1によれば、水素発生装置2から酸素Oと共に排出される水W1だけでなく、水素発生装置2から水素ガスGと共に排出される水W2についても、水素発生装置2における電気分解の原料として有効利用することができる。
なお、「処理装置」および「燃料供給システム」の構成は、上記の処理装置3および水素供給システム1の構成の例に限定されない。
例えば、外側筒状部材11および内側筒状部材12の筒長方向が垂直方向と一致するように処理装置3を直立させて設置した例について説明したが、「下方閉塞部材13が上方閉塞部材14よりも下方に位置する」との条件を満たす範囲内で処理装置3を斜めに傾けて設置することもできる。このような設置姿勢で設置した処理装置3においても、内側空間S2に流入させられる水素ガスGが水W2内を浮上させられる際にその湿度を十分に高めることができる。また、内側空間S2において水素ガスGから分離させた水W2を、配管16を介して外側空間S1に送水して、外側空間S1から水素発生装置2に「原料の水」として給水する構成を例に挙げて説明したが、内側空間S2内に規定量の水W2が貯水されたときに、この水W2を内側空間S2から水素発生装置2に直接給水する構成を採用することもできる(「送水路」を備えない構成の例:図示せず)。
さらに、外側空間S1を「第1の分離槽」として機能させると共に、内側空間S2を「第2の分離槽」として機能させる構成の処理装置3を例に挙げて説明したが、内側空間S2(第2の空間)を「第1の分離槽」として機能させると共に、外側空間S1(第1の空間)を「第2の分離槽」として機能させる構成を採用することもできる(図示せず)。加えて、燃料電池ユニットXに対して水素ガスGを供給する構成を例に挙げて説明したが、「供給対象」は、「燃料電池ユニット」に限定されず、例えば、「水素燃焼エンジン」などに対して、液送の水分を含まず、かつその湿度が十分に高められた水素ガスGを供給することもできる。