以下、図面を参照して本願の開示に係る実施形態を説明する。実施形態は、図面も含めて本願を説明するための例示である。実施形態では、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がされている。特に限定しない限り、実施形態の構成要素は単数でも複数でもよい。また、ある実施形態と他の実施形態を組み合わせた形態も、本願に係る実施形態に含まれる。
同一又は類似の構成要素には、同一の符号を付与し、既出に対する後出の実施形態での説明を省略する、又は差分を中心とした説明のみを行う場合がある。また、同一又は類似の構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
(実施形態に係るビル管理システムの目的)
リモートワーク、出社勤務、サテライトオフィスでの勤務、シェアリングオフィスでの勤務等の新たな働き方に対応する自由かつフレキシブルな執務場所を提供するオフィスビルが登場してきている。このようなオフィスは、利用者の自由な働き方のため、日々のフロア人数が変動しやすい状況にある。ビル管理システムは、かかる状況でも空調や照明等の設備の省エネルギー化を適応的に実現し、かつ利用者のQoL(Quality of Life)/QoW(Quality of Work)も維持することが目的である。
ここで課題となるのが、座席の密集と分散によるビルの省エネルギーとオフィスの利用者の快適さとのトレードオフの関係である。フリーアドレスやABW(Activity Based Working)のような自由に座席を使えるオフィスフロアにおいて、座席の利用が分散するとフロア全体の設備を稼働せねばならず、省エネルギーにならない。一方省エネルギーを目的として座席の利用を密集させると、利用者の不快度合いが増すことになる。このため、エネルギー使用量の抑制と不快度の低減を適切にバランス化させる座席の割り当て法の具体策が重要となる。
その解決のアプローチとして、空調や照明を制御/操作する区画の単位となる「座席エリア」に着目し、座席エリアの数∝空調・照明のエネルギー使用量、座席エリア内の使用している座席数(人数)∝利用者の密集度合い(不快度合い)と考える。当日の利用人数の予測値から「利用人数=座席エリア数×座席エリア内利用可能人数」となる関係を基に、利用人数に対してのエネルギー使用量と密集度のトレードオフ関係を関数で定量化する。この関数を基に、省エネと快適性とを適切にバランスを取るような座席エリア数と座席エリア内の利用可能な座席数(利用人数)を選定する。
この考えに基づいて、選定した座席エリア数と座席エリア内の利用可能な座席数から、利用者に推奨する座席エリアの場所を定めて、座席エリアの場所、座席エリア内での利用可能な座席数を利用者に情報提供する。これにより、フロア内で、設備の省エネ化と利用者の快適性のバランスを取った座席の利用が可能になる。
さらにもう一点、実施形態に係るビル管理システムの重要なポイントがある。すなわち対象フロアの座席の利用者に対して、執務するフロアに入った最初に省エネルギーと密集度の観点で適切な座席エリアを事前に決定して、その座席エリアを案内し、適切な座席に座ってもらうことで、後からの座席の移動を無くすことにある。フリーアドレスやABWのような固定席ではないオフィスでも、利用者は一度座席に座ってパソコンや書類等を配置すると、退勤までその状況を継続することを望むため、後になって省エネルギー化のため等の理由で座席の変更を促しても従わせることは難しい。このため、最初に座席に座る時点で、その日の人数や温度分布の予測情報を基に、適切な座席エリアを決定して案内することがさらなるポイントになる。
[実施形態1]
(実施形態1に係るビル管理システム1の構成)
図1は、実施形態1に係るビル管理システム1の構成の一例を示す図である。ビル管理システム1は、対象とするビルの各種設備、エネルギー、利用者の執務空間を管理するシステムである。ビルの各フロア、フロア内の区域の設備や利用者の執務環境を、日々状況に応じて管理・制御・情報出力している。
ビル管理システム1は、利用者状態情報入力部2を介して利用者によって入力された利用者の活動状態・執務時間の情報(後述のテナントカレンダー情報13(図2)を含む)を受け付ける。利用者の活動状態・執務時間の情報は、座席エリアの属性を決める時に用いられる。また利用者の活動状態・執務時間の情報は、必須ではなく省略可能である。
ビル管理システム1は、利用人数計測部3を介して、日々の利用人数の計測データが入力される。日々の利用人数の計測データの入力は、リアルタイムでもオフラインでもよい。例えば、5分毎、30分毎、60分毎のフロアの利用人数の計測データが入力される。日々の利用人数の計測データは、フロアの利用人数の予測値算出に用いられる。
フロア・フロア内区域情報データベース101は、フロア・フロア内区域の地図情報、座席情報、座席エリア情報、利用人数情報、及び利用者情報を格納する。地図情報は、対象フロアもしくはフロア内の区域のレイアウトに関する情報である。座席情報は、対象とするフロアもしくはフロア内の区域のそれぞれに配置される座席に関する情報である。座席エリア情報は、近接する所定数の座席で構成される区画(“島”)に該当する座席エリアに関する情報である。利用人数情報は、対象フロアを利用する組織に在籍する利用者の総数や、対象フロアの利用者の日々の計測人数等である。利用者情報は、利用者の属性や活動状態、勤務時間等の入力情報である。これらのデータは、対象フロアの日々の利用者の予測人数、利用者に推奨する座席エリア数やエリア内の利用人数の算出、座席エリアの場所の決定等に利用される。
利用者数予測部102は、利用人数計測部3によって計測された利用人数データ、利用人数の過去データ、対象フロアを利用するテナント企業のカレンダー情報等(これらを「利用者によるフロアの利用に関する統計情報」と呼ぶ)を基に、対象日の利用者数を予測する。これは、例えば過去のデータからの統計的特徴(例えば相関性等)、カレンダーの曜日の統計的特徴等から予測する。対象フロアでは、フレキシブルな働き方、シェアオフィスのような多様な働き方が実施されている。このため、フロア人数の変動が大きく、フロア毎の人数の変化の特徴に応じて、日々適切な推奨される座席利用情報(座席エリアの数、座席エリア内の人数)を算出することが可能となる。
座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、対象フロアの利用者に推奨する座席エリア数と各座席エリア内の利用可能人数を算出する。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、設備の省エネルギーと利用者の快適性とをバランスさせる座席エリア数と座席エリア内の利用可能人数を算出する。
座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103の入力データには、利用者数予測部102によって算出された予測利用人者数がある。また入力データには、フロア・フロア内区域情報データベース101から読み出された座席エリア数、座席エリア内席数、及び利用人数総数がある。また入力データには、バランス解選定条件データベース104から読み出された座席エリア数と座席エリア内利用可能人数とのバランス解条件データ(図6を参照して後述する)がある。
座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、図3を参照して後述する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数を用いて、予測利用人者数を基に、適切な座席エリア数と座席エリア内の利用可能人数を算出する。
バランス解選定条件データベース104は、座席エリア数と座席エリア内利用可能人数とのバランス解を選定するための条件データが格納されている。図7、図8等を参照して後述するが、座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数は、反比例型の関数となっている。すなわち省エネルギーと快適性は、トレードオフの関係にある。バランス解選定条件データベース104には、このトレードオフの関係から適切なバランスを取った解を求めるための条件と処理法の情報が格納されている。ビルオーナー、テナント、利用者等が、省エネと快適性のどちらをまず優先するかの方針を定めることで、その方針に従った解を選定する条件と処理法がデータベースより選定される。
推奨座席エリア位置決定部105は、利用者に推奨する座席エリアの位置を決定する。推奨座席エリア位置決定部105は、上述のように算出された座席エリア数、座席エリア内の利用可能人数、さらにフロア・フロア内区域情報データベース101から読み出された座席エリア配置情報、後述するフロア・フロア区域内の温度分布・照度分布(対象日の予測値)を基に、利用者に推奨する座席エリアの位置を決定する。座席エリアの位置の決定は、算出した座席エリアの数に対応して、フロアの座席エリアの配置情報から、どの座席エリアの位置が良いか、具体的な座席エリアの場所を選定する処理となる。
温度分布・照度分布予測部106は、フロア・フロア内区域における温度分布・照度分布の予測値を算出する。温度分布・照度分布予測部106は、過去のフロア・フロア内区域に対する温度及び照度分布データと、外部から取得したフロアの地図情報と天気及び気温の予測データとに基づいて、対象日のフロア・フロア内区域における温度と照度の分布の予測値を算出する。温度分布・照度分布は、図9を参照して後述するが、フロアの空間内の温度と照度の分布データであり、このデータに基づいて、空調や照明のエネルギー使用量をできるだけ抑制するような座席エリアの位置が決定される。
例えば、空調の場合、夏季は窓際から離れた位置(より温度が低い位置)、逆に冬期は窓際に近い位置(より温度が高い位置)等に座席エリアが決定される。照明の場合は、窓からの外光による照度を適切に利用できるような場所に座席エリアが決定される。このような決定によって、省エネルギー効果をより高めることが可能になる。また温度分布や照度分布は、過去の同様の天気や外気温のデータ、利用人数のデータ(人やOA機器による熱負荷の影響のため)、フロアに設置されているサーバ設備等の熱を発生する設備の作用、フロアの形状・内部のレイアウト(戸棚やラック等の影響)や換気設備による空気の流れ等も考慮して、より高い確度の情報が算出される。
座席エリア属性設定部108は、推奨座席エリア位置決定部105よって決定された各座席エリアに対する属性を設定する。座席エリア属性設定部108は、利用者の活動状態や執務時間等の情報、利用者の所属組織の情報、座席エリア属性カテゴリーデータベース109に格納されている過去の座席エリアの属性データ等に基づいて、利用者がより快適に執務ができるような座席エリアの属性を設定する。例えば、活動状態の場合、集中して仕事をしたい利用者向けの座席エリア(静かな座席エリア)、座席でリモート会議や他の人の会話をする等の利用者向けの座席エリア(音がする座席エリア)等に分け、利用者の活動状態に合った座席エリアを設ける。これにより利用者は、仕事をより快適に実施できる環境を整えることが可能となる。
執務時間の場合は、出社や帰社時間が同じ時間帯の人を同じ座席エリアに割り当てることで、空調や照明の運転時間を調整して、よりエネルギー使用量を抑制することが可能となる。
座席エリア属性設定部108は、対象日の各活動状態や各執務時間に該当する利用者数を、利用者状態情報入力部2を介して入力されたデータや過去のデータに基づいて推定する。座席エリア属性設定部108は、その推定人数に応じて既に位置が決定している座席エリアに対して座席エリアの属性を割り当てる。
座席情報出力部110は、推奨座席エリア位置決定部105により推定された推奨する座席エリアの位置情報、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103により算出された座席エリア内の利用可能人数、座席エリア属性設定部108により設定された各座席エリアの属性情報等の情報を、利用者向けに推奨する座席情報として出力する。これらの情報は、スマートフォン、携帯端末、ノートPC(Personal Computer)のような利用者が個別に所持している利用者の情報機器4、フロアやフロア内の区域に設置されている情報表示機器5等に出力される。情報表示機器5は、例えばディスプレイ、デジタルサイネージ(電子看板)である。このように省エネルギーと快適性のバランスを考慮した座席の推奨情報を利用者に提供することで、利用者は推奨座席への着座が促され、該当のフロアで省エネルギーと快適性の適度なバランスを保った状況の実現が可能になる。
機器制御部111は、推奨座席エリア位置決定部105により決定された推奨する座席エリアの位置情報及び/又は座席エリア属性設定部108により設定された属性情報に基づいて、該当する座席エリアのみ、もしくは該当する座席エリアを主にした空調、照明の稼働制御を実施する。これによって、空調、照明の稼働台数や、必要エネルギー量が減少するため、エネルギー使用量を抑制することができる。この可動制御の制御指令は、フロア・フロア内区域の空調制御システム6(図2)、フロア・フロア内区域の照明制御システム7(図2)に送信されることで、対象フロア、フロア内区域の空調や照明の稼働台数(オン又はオフ)や運転出力が制御される。
以上のような機能ブロック図の作用によって、対象フロアにおける対象日の利用人数に合わせて、フロア内の座席エリア数と座席エリア内利用可能人数が定まり、座席エリアの位置と属性が定まる。これらの情報が、推奨する座席情報として利用者に出力され、さらに照明や空調機器が座席エリアの利用状況に合わせて制御される。
この結果、多様な働き方を実施しているオフィスビルの各フロアに対して、フロアの利用人数が変動するような状況であっても、空調や照明等の設備の省エネ化と利用者の快適性維持とを適切にバランスさせたビルの管理・運用が可能となる。
(実施形態1に係るビル管理システム1と周辺システムの関係)
図2は、実施形態1に係るビル管理システム1と周辺システムの関係の一例を示す図である。
図2のビル管理システム1の左側に、ビル管理システム1への情報の入力元を示す。
図2に示すエレベーター制御装置8、入退室管理システム9、座席センサ10、室温センサ11、ビルエネルギーマネジメントシステム12、テナントカレンダー情報13、外気温情報14、及びテナント就業者属性データベース15は、ビル管理システム1に対して情報を入力する装置、又は提供される情報である。
エレベーター制御装置8は、対象フロアを有するビルの階床間を移動するエレベーターを制御する。入退室管理システム9は、利用者の対象フロアへの入室及び対象フロアからの退室を管理する。エレベーター制御装置8及び入退室管理システム9は、フロアやフロア内の区域に対する利用人数(滞在人数、在室人数)に関するデータを提供する。この利用人数は、センサで直接に計測してもよいし、エレベーターの乗り降りの人数や入退室の人数から算出してもよい。
座席センサ10は、対象フロアの各座席に設けられ、利用者の着座を利用者が所持するIC(Integral Circuit)タグの読み取り等によって、フロア内の座席の使用状況をモニタリングする。座席センサ10のモニタリング情報は、利用者に推奨する座席情報を出力する際に、その時の座席の使用状況として利用者に示される。
室温センサ11は、対象フロアの室温を検知し、フロアの温度分布を算出する際の実績データ(過去データ)を提供する。ビルエネルギーマネジメントシステム12は、対象フロアを有するビルの運営に必要な電力エネルギー等の供給及び消費を管理し、対象フロアもしくはフロア内の区域のエネルギー使用量のデータ、空調の使用熱量のデータ、空調や照明等の各機器の稼働状態に関するデータや情報を提供する。テナントカレンダー情報13は、対象フロアの利用者であるテナント及びその従業員の稼働日及び稼働時間の予定情報である。
ビル管理システム1は、上述のデータを基に、座席の推奨によって得られる省エネルギー効果の予測や実績等を算出する。
図2のビル管理システム1の右側に、ビル管理システム1からの情報の出力先を示す。
空調制御システム6及び照明制御システム7は、推奨する座席エリアの位置や属性の情報に応じた各機器の制御信号を、ビル管理システム1から受信する。ビル内サイネージ管理システム16、ビル内テナント向け情報提供管理システム17、及びビル内就業者向けアプリ管理システム18は、推奨する座席の情報提供のための出力先となる。ここでは推奨される座席エリアの位置、座席エリア内の利用可能な席の数(推奨される席の数)、座席エリアの属性等の情報が出力される。
図3は、実施形態1に係るビル管理システムの座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103(図1)の構成の一例を示す図である。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、関数算出部1031、及びバランス解決定部1032を有する。
関数算出部1031は、日々変化するフロアもしくはフロア内の区域の予測利用人者数、座席エリア内利用可能人数(フロア毎)、座席エリア数(フロア毎)が満たすべき関係を表す式(1)の関数を導出する。式(1)の関数は、予測利用人者数、座席エリア内利用可能人数、及び座席エリア数の関係を定量的に表す。
予測利用人者数=座席エリア内利用可能人数×座席エリア数…(1)
次にバランス解決定部1032は、関数算出部1031により導出された関数と、バランス解選定条件データベース104から読み出されたバランス解選定条件データとから、ビル設備の省エネと利用者の快適性との適切なバランスを考慮した解を選定する。ここで、空調及び照明のエネルギー使用量は、座席エリア数に比例する。また利用者の不快度は、座席エリア内の密集度すなわち座席エリア内利用可能人数に比例する。よってエネルギー使用量と利用者の不快適度は、比例する。言い換えると、エネルギー使用量と利用者の快適度は、反比例する。バランス解決定部1032は、エネルギー使用量と利用者の快適度の反比例関係(トレードオフ関係)のグラフから、バランス解選定条件データを用いて、エネルギー使用量と利用者の快適度のバランス解を選定する。バランス解の選定方法は、図11~図13を参照して後述する。
上述のように選定されたバランス解によって、利用者に推奨する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数が決定する。
図4は、利用者の分布状態に応じた省エネルギーと快適性とのバランスのイメージを表すグラフを示す図である。図4に示すグラフは、横軸C1にフロア内での利用者の分布状態の指標を表し、左側の縦軸C2にエネルギー使用量、右側の縦軸C3に利用者の不快度合いの指標を表す。直線C4は、フロア内での利用者の分布状態に対するエネルギー使用量の特性を表す。直線C5は、利用者の不快度合いの特性を表す。
エネルギーの使用量の特性(直線C4)は、利用者の分布が点在状態(密集度が低い)の場合に多数の座席エリアの空調や照明等の機器を稼働させるため、エネルギー使用量が大きくなる。逆に、密集状態の場合に少数の座席エリアの空調や照明等の機器を稼働させるため、エネルギー使用量が小さくなる。
利用者の不快度合いの特性(直線C5)は、利用者の分布が密集状態の場合は不快度合いが高く、逆に点在状態の場合は不快度合いが低くなる。
このようにフロア内での利用者の分布状態に応じて、エネルギー使用量と利用者の不快度合いはトレードオフの関係にある。このため、省エネルギーと快適性がバランスされた領域C6の範囲内となる利用者の分布状態を、その時の利用人数等のフロアの状況に応じて見出し、座席を割当て、利用者を座席に案内することが重要となる。具体的手順として、定量的な関数を用いて実現させるのが、図1、図3で述べた処理になる。以下、さらに図5A~図19を参照して説明する。
図5A~図6Bを参照して、本実施形態に係るビル管理システム1が対象とするフロア、フロア内の区域、座席エリア、及び座席エリア内の座席数(利用人数)を説明する。
図5Aは、実施形態1に係るビル管理システム1が対象とするフロアとフロア内区域の一例を示し、図5Bは別例を示す図である。
図5Aは、フロアに区域が設けられていないワンフロアに1つのテナントが入居しているフロア形態を表している。この場合、ビルにおける対象階床は、フロア19、階段20、エレベーター21、及びトイレ・給湯室・ごみ捨て場22を含んで構成されている。
一方図5Bは、フロアに区域が設けられ、複数の区域のそれぞれにテナントが入居しているフロア形態になる。図5Bの例では、フロア19が4つの区域19A,19B,19C,19Dに分かれた別例である。
以上のように、図5A及び図5Bに示すようなフロアの形態があり、何れの場合でも、本実施形態のビル管理システム1の適用対象のフロアとなる。図5Aの場合は、フロア全体がフリーアドレス型もしくはABW型であり、図5Bの場合は、区域19A,19B,19C,19Dの少なくとも何れかフリーアドレス型もしくはABW型となる。図5Aの場合はフロア全体を本実施形態のビル管理システム1の適用対象とし、図5Bの場合は区域単位で本実施形態のビル管理システム1の適用対象とすればよい。
図6Aは、実施形態1に係るビル管理システムが対象とするフロア19における座席エリア191と座席エリア191内の座席数の一例を示す図である。
座席エリア191の数と座席エリア191内で使用可能な座席192の数に着眼することで、図4を参照して説明したように、省エネルギーと快適性がバランスされた領域を定量的な関係式から求めることが可能となる。
図6Aにおいて、フロア19は、フリーアドレス型もしくはABW型の利用者が利用の都度座席を自由に選んで執務できるオフィスフロアである。各座席エリア191は、近接する所定数の座席を単位とした島(グループ)である。座席エリア191毎に、空調や照明が設置され制御及び操作が実施される。各座席エリア191内には、利用者が自由に使える所定数の座席192がある。
図6Aの例では、対象のフロア19における座席エリア191の総数は12で、座席エリア191あたりの座席192の数は16である。またフロア19における座席192の総数は16×12=192である。
またフロア19には、窓193、フロア入退出用のドア194(3カ所)、フロア19内のドア194の付近にそれぞれ情報表示機器5が配置されている。情報表示機器5は、利用者が当日に利用が推奨される座席エリア191の位置と座席エリア191内の利用可能な座席192の数が表示される。利用者は、情報表示機器5に表示された推奨座席に座る仕組みである。
図6Bは、実施形態1に係るビル管理システム1が対象とする座席エリア191と座席エリア191を担当する空調機器195の一例を示す図である。
座席エリア191は、空調機器や照明機器の担当エリア(空調と照明の受け持ちエリア)に対応する。例えば、図6Bの例では、座席エリア191毎に空調機器195が設けられている。空調は、遠隔又は手動の操作で運転制御できる。また図示していないが、天井に設置された照明も座席エリア191毎に設けられ、空調と同様に遠隔又は手動で運転制御される。このように座席エリア毎に空調や照明の担当エリアが定まっているため、利用される座席エリア数を調整することで、空調や照明の運転台数もしくは運転出力を調整することができ、エネルギー使用量を調整することができる。このため、利用人数に応じて適切に座席エリア数を定めることで、設備の省エネルギー化が可能になる。
図7は、実施形態1に係るビル管理システム1における予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数の一例を示す図である。図7に示すように、省エネルギーと快適さのトレードオフ関係を定量化した関数によって表すことができるため、対象のフロアでのバランス解選定条件を定めることで、省エネルギーと快適さのバランスを取る解を選定することができる。以下、図7を説明する。
図7において、グラフG1は、座席エリア191内の座席使用比率と座席エリア使用比率の関係を表す。ここで、横軸の座席エリア内座席使用比率G2は、式(8)に示すように、座席エリア内利用可能人数又は座席エリア内の利用可能な座席数を座席エリア内の座席総数で正規化した値となる。
座席エリア内座席使用比率
=座席エリア内利用可能人数/座席エリア内の座席総数
=座席エリア内の利用可能な座席数/座席エリア内の座席総数・・・(2)
また縦軸の座席エリア使用比率G3は、式(3)に示すように、推奨される座席エリア数を座席エリア総数で正規化した値となる。
座席エリア使用比率=推奨される座席エリア数/座席エリア総数・・・(3)
図1等では、座席エリア数と座席エリア内利用可能人数として、説明してきた。以下のグラフではそれぞれを正規化することで、他のフロアや他のビルの異なる条件下でも共通化できるため、正規化した座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の指標を用いて説明する。
先ずグラフG1において、横軸は座席エリア内座席使用比率G2を表し、縦軸は座席エリア使用比率G3を表す。ここで、横軸の座席エリア内座席使用比率G2は、既に述べたように密集度=利用者の不快度合いに対応しており、例えば、密集度が小さいと快適であり、密集度が大きいと不快となる。また縦軸の座席エリア使用比率G3は、エネルギー使用量に対応している。
グラフG1中の出社率毎の各曲線が利用人数に対する座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関数を表している。ここで、対象フロアの予測利用者数も、式(4)で表される出社率として正規化した指標で表す。
出社率(%)=予測利用者数/対象フロアの最大利用人数・・・(4)
もしくは
出社率(%)=予測利用者数/対象フロアの座席総数・・・(5)
例えば、出社率20%における座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関数が曲線G4で表されている。この関数の曲線は式(1)を変形した式(6)により算出できる。
座席エリア数=係数×予測利用人者数/座席エリア内利用可能人数・・・(6)
式(6)の各因数を正規化することで、式(7)のように表すことができる。これが図7で示した関数の各曲線になる。
座席エリア使用比率=係数×出社率/座席エリア内座席使用比率・・・(7)
すなわち座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関数は、座席エリア内利用可能人数と座席エリア数の関数でもある。
図7に示す座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関数の特徴より、座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率は反比例の関係にあり、両者がトレードオフの関係にあることが分かる。従って、省エネ化と快適度合いはトレードオフの関係にある。例えば、密集度を小さくして快適度合いを上げようとすると、グラフの曲線より、エネルギー使用量が大きくなり、省エネ効果は小さくなる。逆にエネルギー使用量を下げようとすると、グラフの曲線より、密集度が大きくなり不快度合いが増加することになる。
以上のような関係を式(6)や式(7)の関数によって、定量的な関係として表すことで、定量的に省エネルギー化と快適度合いを満たす座席の解を選定することが可能となる。またこのような関係式を導くことができるのは、図6A及び図6Bで示した対象のフロアについて、座席エリアと座席エリア内の座席数の関係に着目したことによる。
図8は、実施形態1に係るビル管理システム1における予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数に対する省エネルギーと快適性の関係の一例を示す図である。
図8は、図7と同様の考え方であり、省エネルギー(縦軸)と快適性(横軸)の大小で分類している。破線G5は、省エネルギー効果の大小を分ける境界線であり、破線G5より下側が省エネルギー効果大、破線G5より上側が省エネルギー効果小である。また破線G6は、快適性の大小を分ける境界線であり、破線G6より左側が快適性大、破線G6より右側が快適性小になる。
図8に示すように、破線G5と破線G6で区切られたグラフの4つの領域に対して、ターゲットとすべきは省エネルギーと快適性が共に大きい領域G7である。座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関数(座席エリア内利用可能人数に対する座席エリア数の関数と同様)を表す各曲線(図7)に対して、領域G7内にある曲線の座標点の中から、省エネルギー効果が大きくかつ快適性も大きくなる座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の値を定めることができる。
なお図7及び図8では、出社率は20%、30%、40%、50%に対応する各曲線を例示したが、これら以外の出社率に対応する各曲線も予め用意されている。または、代表的な出社率に対応する各曲線が予め用意されており、代表的以外の出社率に対応する各曲線又は各曲線上の点は、代表的な出社率に対応する各曲線上の各点を補完することで求めてもよい。
図9は、実施形態1に係るビル管理システム1の事前処理の一例を示すフローチャートである。事前処理は、ビル管理システム1が、利用者による対象フロアの利用までに、利用者に推奨する座席エリア及び座席エリアの属性を決定しておく処理である。すなわち本事前処理は、当日の最初の利用者が出勤し対象フロアに入室する前までに実施される。
先ずステップS11では、利用者数予測部102(図1)は、対象日における対象フロアもしくは対象フロア内区域の利用人数を予測する。次にステップS12では、温度分布・照度分布予測部106(図1)は、対象フロアもしくは対象フロア内区域の室内の温度分布・照度分布を予測する。
次にステップS13では、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103(図1)は、ステップS11で予測した対象フロアもしくは対照フロア内区域の利用人数等に基づいて、対象フロアの利用者に推奨する座席エリア数と各座席エリア内の利用可能人数を算出する(座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理)。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理(ステップS13)の詳細は、図10を参照して後述する。
次にステップS14では、推奨座席エリア位置決定部105及び座席エリア属性設定部108(図1)は、推奨する座席エリアの位置決定及び属性設定処理を実行する。推奨する座席エリアの位置決定及び属性設定処理では、推奨座席エリア位置決定部105は、ステップS13で予測した温度分布及び照度分布の何れか一方又は両方に基づいて、対象フロア内において利用者に推奨する座席エリアを決定する。また推奨する座席エリアの位置決定及び属性設定処理では、座席エリア属性設定部108は、利用者の活動状態や執務時間等の情報(利用者のフロアの利用予定に応じた属性情報)に基づいて、決定した各座席エリアに属性(座席の利用形態等)を設定する。推奨する座席エリアの位置決定及び属性設定処理の詳細は、図13を参照して後述する。
図10は、実施形態1に係るビル管理システム1の座席エリア数・座席エリア内利用可能人数決定処理(ステップS13(図9))の一例を示すフローチャートである。
先ずステップS13aでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103(図1)は、対象のある利用者に座席を推奨する際に「利用者の快適性」及び「省エネルギー」の何れを重視して座席エリア数及び座席エリア内利用可能人数を決定する方針であるかを判定する。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、「利用者の快適性重視」である場合にステップS13bに処理を移し、「省エネルギー重視」である場合にステップS13jに処理を移す。
ステップS13b~S13gは、対象フロアでの利用者の快適性を重視して座席エリア数及び座席エリア内利用可能人数を決定する第1の座席エリア算出処理である。すなわち座席エリア毎の利用可能人数(座席エリア内座席使用比率)及び座席エリアの数(座席エリア使用比率)が所定基準を充足しかつ座席エリア毎の利用可能人数が最少となるように座席エリア数及び座席エリア内利用可能人数を決定する。
ステップS13bでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア内座席使用比率の基準値に快適性重視の値を設定する。利用者の快適性を重視する場合は、利用者の密集度を緩和することで快適性が確保されるという観点から、座席エリア内座席使用比率の基準値を適正値(密集度を緩和する値、例えば0.5等)に設定する。
次にステップS13cでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア用比率の上限値に快適性重視の値を設定する。利用者の快適性確保を優先しつつもエネルギー使用量には上限を設ける必要があるため、座席エリア使用比率の上限値に例えば0.8を設定する。
次にステップS13dでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、想定する出社率に対応する予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数(図7)において、ステップS13bで設定した座席エリア内座席使用比率の基準値に対応する座席エリア使用比率を求める。
次にステップS13eでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13dで求めた座席エリア使用比率が、座席エリア使用比率≦上限値となるかを判定する。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア使用比率≦上限値となる場合(ステップS13eYES)にステップS13iに処理を移す。一方座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア使用比率>上限値となる場合(ステップS13eNO)にステップS13fに処理を移す。座席エリア使用比率≦上限値となるのは、快適性を確保しかつエネルギー使用量の上限条件を充足するバランス解が選定された場合である。
ステップS13fでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、現在設定されている座席エリア内座席使用比率の基準値を緩和(例えば0.1増加)させて快適性の条件を緩和させる。
次にステップS13gでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13fで緩和後の座席エリア内座席使用比率の基準値>上限値となるかを判定する。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13fで緩和後の座席エリア内座席使用比率の基準値>上限値となる場合(ステップS13gYES)にステップS13hに処理を移す。一方座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13fで緩和後の座席エリア内座席使用比率の基準値≦上限値となる場合(ステップS13gNO)にステップS13dに処理を戻す。
ステップS13gから処理を移されたステップS13hでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、バランス解選定条件を充足する解が存在しないため、該当の利用者に対して快適性の確保を重視する観点で推奨する座席はなしと出力する。
座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13gから処理を移されたステップS13hが終了すると、本座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理を終了してビル管理システムの事前処理のステップS14に処理を移す(図9)。あるいは座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、該当の利用者についてステップS13j~13oを未だ実行していない場合にはステップS13jに処理を移してもよい。
ステップS13j~S13oは、対象フロアでの省エネルギーを重視して座席エリア数・座席エリア内利用可能人数を決定する第2の座席エリア算出処理である。すなわち座席エリア毎の利用可能人数(座席エリア内座席使用比率)及び座席エリアの数(座席エリア使用比率)が所定基準を充足しかつ座席エリアの数が最少となるように座席エリア数及び座席エリア内利用可能人数を決定する処理である。
ステップS13jでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア用比率の基準値に省エネルギー重視の値を設定する。対象フロアの省エネルギーを重視する場合は、対象フロアにおいて使用する座席エリアを集約(座席エリア使用比率を一定程度抑制)することでエネルギー使用量が低減されるという観点から、座席エリア使用比率の基準値を適正値(座席エリアを集約する値、例えば0.5等)に設定する。
次にステップS13kでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア内座席使用比率の上限値に省エネルギー重視の値を設定する。省エネルギーを優先しつつも利用者の座席エリア内の不快度合いには許容限度があり上限を設ける必要があるため、座席エリア内座席使用比率の上限値に例えば0.6を設定する。
次にステップS13lでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、想定する出社率に対応する予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数(図8)において、ステップS13jで設定した座席エリア使用比率の基準値に対応する座席エリア内座席使用比率を求める。
次にステップS13mでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13lで求めた座席エリア内座席使用比率が、座席エリア内座席使用比率≦上限値となるかを判定する。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア内座席使用比率≦上限値となる場合(ステップS13mYES)にステップS13iに処理を移す。一方座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、座席エリア内座席使用比率>上限値となる場合(ステップS13mNO)にステップS13nに処理を移す。座席エリア内座席使用比率≦上限値となるのは、対象フロアの省エネルギーを充足しつつ該当の利用者の不快度合いの上限を充足するバランス解が選定された場合である。
ステップS13nでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、現在設定されている座席エリア使用比率の基準値を緩和(例えば0.1増加)させて省エネルギーの条件を緩和させる。
次にステップS13oでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13nで緩和後の座席エリア使用比率の基準値>上限値となるかを判定する。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13nで緩和後の座席エリア使用比率の基準値>上限値となる場合(ステップS13oYES)にステップS13hに処理を移す。一方座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13nで緩和後の座席エリア使用比率の基準値≦上限値となる場合(ステップS13oNO)にステップS13lに処理を戻す。
ステップS13oから処理を移されたステップS13hでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、バランス解選定条件を充足する解が存在しないため、該当の利用者に対して快適性の確保を重視する観点で推奨する座席はなしと出力する。
座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13oから処理を移されたステップS13hが終了すると、本座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理を終了してビル管理システムの事前処理のステップS14に処理を移す(図9)。あるいは座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、該当の利用者についてステップS13b~13gを未だ実行していない場合にはステップS13bに処理を移してもよい。
一方ステップS13iでは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13d又はS13lで利用者の快適性と対象フロアの省エネルギーを両立するバランス解が選定されたため、本座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理を終了する。
なお座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103は、ステップS13b~13gとS13j~13oの何れを実行してもバランス解が選定できない場合は、デフォルト値として設定されている第1の所定値を座席エリアの数とし、第2の所定値を座席エリア毎の利用可能人数として出力する。
本座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理によって、対象フロアの省エネルギー化と、対象フロアの利用者の快適性とのバランスを両立できる座席エリア数及び座席エリア内利用可能人数を決定することができる。
図11は、実施形態1に係るビル管理システム1の座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の決定の一例を示す図であり、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理(図10)のステップS13b~S13gの処理に該当する。
図11は、図7及び図8に示したグラフと同様に、座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関係を表すグラフG1を示す。対象フロアの出社率が30%である場合に曲線G8が該当する関数である。
(1)先ず利用者の快適性確保(密集度の緩和)の観点から、座席エリア内座席使用比率の基準値を設定する(図10のステップS13b)。図11の例では、座席エリア内座席使用比率の基準値G9が0.5に設定されている。
(2)次にエネルギー使用量の上限の観点から、座席エリア使用比率の上限値を設定する(図10のステップS13c)。図11の例では、上限値G10が0.8に設定されている。
(3)さらに予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数から、座席エリア内座席使用比率の基準値に対する座席エリア使用比率を求める(図10のステップS13d)。図11の例では、座標G11((座席エリア内座席使用比率,座席エリア使用比率)=(0.5,0.6))が求められる。
(4)座席エリア使用比率=0.6は、先に定めた座席エリア使用比率の上限値G10=0.8よりも小さいため、座標G11が省エネルギーと快適性のバランス条件を満たす解として選定される。
以上のように、利用者の快適性確保(利用者の密集度合いを抑えた)を重視した観点での省エネルギーと快適性のバランス解を選定することができる。
図12は、実施形態1に係るビル管理システム1の座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の決定の一例を示す図であり、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理(図10)のステップS13j~S13oの処理に該当する。
図12は、図7及び図8に示したグラフと同様に、座席エリア内座席使用比率と座席エリア使用比率の関係を表すグラフG1を示す。対象フロアの出社率が30%である場合に曲線G8が該当する関数である。
(1)先ずエネルギー使用量低減の(座席エリアを集約)の観点から、座席エリア使用比率の基準値を設定する(図10のステップS13j)。図12の例では、座席エリア使用比率の基準値G12が0.5に設定されている。
(2)次に座席エリア内の不快度合い(密集度)に対する上限の観点から、座席エリア内座席使用比率の上限値を設定する(図10のステップS13k)。図12の例では、上限値G13が0.65に設定されている。
(3)さらに予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数から、座席エリア使用比率の基準値に対する座席エリア内座席使用比率を求める(図10のステップS13l)。図12の例では、座標G14((座席エリア内座席使用比率,座席エリア使用比率)=(0.6,0.5))が求められる。
(4)座席エリア内座席使用比率=0.6は、先に定めた座席エリア内座席使用比率の上限値G13=0.65よりも小さいため、座標G14が省エネルギーと快適性のバランス条件を満たす解として選定される。
図13は、実施形態1に係るビル管理システム1の推奨する座席エリアの位置決定及び属性設定処理(ステップS14(図9))の一例を示すフローチャートである。
推奨する座席エリアの位置決定及び属性設定処理では、省エネルギーと快適性の観点で推奨する座席エリアの位置と属性を、フロアマップ、座席マップのような表示方法でフロアの利用者に案内し得るように、予め準備しておく処理である。
先ずステップS14aでは、推奨座席エリア位置決定部105(図1)は、ステップS13(図9)で算出された座席エリア数を基に、座席エリア数に対応する利用者に推奨する座席エリア(具体的な座席エリアの場所)を決定する。ステップS14aでは、以下のプロセスが実行される。
(1)天気・気温の予報、過去の温度計測データ等に基づく対象フロアの温度分布の推定(ステップS12(図9))の結果から、対象フロアの予測温度分布と空調の設定温度の偏差の絶対値が小さい順序で各座席エリアを座席エリア候補として並べる。
(2)座席エリア候補の上位から、ステップS13で算出された座席エリア数だけの座席エリアを決定する。これによって、利用者に推奨する座席エリアの場所が定まる。
このような座席エリアの位置の決定によって、空調機器からの必要な出力熱量(=エネルギー使用量)がより小さい座席エリアを決定することができる。例えば、夏季であれば窓際の座席エリアは太陽光の熱射でそのエリアの温度が高いと予測されるため、窓際の座席エリアは避けてより温度の低い方の座席エリアを優先的に決定する。これにより、より温度が低い場所に利用者を誘導することができ、空調機器の冷房によるエネルギー使用量をより減らすことができる。
次にステップS14bでは、座席エリア属性設定部108(図1)は、ステップS14aで決定した座席エリアの位置に対して属性を設定する。ステップS14bでは、以下のプロセスが実行される。
(1)先ず以下の観点で利用者をグルーピングする。
(観点1)当日の利用者の活動状態(ワークスタイル)が(A)会議・会話主体(会話重視)、(B)静穏な作業主体(集中重視)、の何れかにグルーピング
(観点2)滞在時間(例:(イ)残業有、(ロ)残業無)に合わせてグルーピング
(2)上記(1)で実行したグルーピングに合わせて、座席エリアの属性を設定する。例えば、「集中重視で残業無の利用者の座席エリア」等の属性を設定する。
ステップS14bの処理によって、活動状態が近い利用者を同じ座席エリアに割り当て、また滞在時間も近い利用者を割り当てることで、より快適に仕事ができ、かつ空調・照明稼働時間も抑制することが可能になる。座席エリア属性設定部108は、ステップS14bが終了すると、ビル管理システム1の事前処理(図9)に処理を戻す。
ステップS14aで決定された座席エリアの位置情報、及び、ステップS14bで設定された座席エリアの属性は、所定の記憶領域に格納される。座席エリアの情報及び属性は、座席情報出力部110及び機器制御部111によって、必要に応じて所定の記憶領域から読み出される。
図14は、実施形態1に係るビル管理システム1における温度分布に基づく座席エリア位置の選定結果の一例(夏季のケース)を示す図である。夏季の場合、フロアの窓193から日射光が入り、また日光が壁を熱することで室内に伝わる輻射熱により、日射が当たる側は高い温度分布となっている。このため、推奨する座席エリアは窓193側を避けて、境界線17Aに対して、窓193側とは逆側の座席エリア191群を、推奨する座席エリアに決定している。この結果、より温度が低い場所に利用者を誘導することができ、空調機器の冷房によるエネルギー使用量をより減らし、省エネルギー化することが可能になる。
図15は、実施形態1に係るビル管理システム1における温度分布に基づく座席エリア位置の決定結果の一例(冬季のケース)を示す図である。冬季の場合、フロアの窓193から日射光が入り、また弱いながら日光が壁を熱することで室内に伝わる輻射熱により、日中では日射が当たる側がより高い温度分布になる。このため、推奨する座席エリアは、窓193側を優先して、境界線17Bに対して、窓193側の座席エリア191群を推奨する座席エリアに決定している。この結果、より温度が高い場所に利用者を誘導することができ、エネルギー使用量を減少させ、省エネルギー化することが可能になる。
図16は、実施形態1に係るビル管理システム1の推奨座席エリア情報提示処理の一例を示すフローチャートである。推奨座席提示処理は、ビル管理システム1が、利用者による対象フロアの利用時に、利用者に対して推奨する座席エリアを提示する処理である。本推奨座席提示処理は、当日の最初の利用者が出勤し対象フロアに入室した以降に実施される。
先ずステップS21では、座席情報出力部110(図1)は、利用者が対象フロアへ入出したかを判定する。ビル管理システム1は、対象のフロア19において情報表示機器5の近くに備えられたカメラや画像センサ、IC(Integral Circuit)タグ読み取り装置等の検知手段により利用者の入室を検知する。座席情報出力部110は、利用者が対象フロアへ入出した場合にステップS22に処理を移し、入出していない場合にステップS21を繰り返す。
ステップS22では、座席情報出力部110は、利用者に推奨する座席エリア内の各座席の使用状態をセンサ(不図示)で検出する。センサは、例えば赤外光や熱検知のセンサ、画像センサ、座席に設置された圧力センサ、座席のコンセントの電力使用量のセンサや、スマートフォン等の無線電波通信情報機器、ICタグの読み取りセンサ等、利用者が座席を使用していることを検出する検出手段である。センサは、座席毎に限らず、座席エリア単位で設けられてもよい。
次にステップS23では、座席情報出力部110は、ステップS21で入室を検知した利用者に、推奨する座席エリアの位置情報、利用可能人数の情報、属性情報等を所定の記憶領域から読み出し、ステップS22で検知した各座席の使用状態と共に、情報機器4又は情報表示機器5に出力する。
このように、利用者に対して、当日はじめて対象エリアに入室した際に、推奨する座席エリア、座席の空き状況、座席エリアの空き状況、フロア人数の状況等の情報を提示する。これにより、利用者に、推奨する座席を案内し、座席の使用状況に応じて省エネルギーかつ快適性の観点でより適切な座席を、当日はじめて対象エリアに入室した際に選択させ、着席後の座席変更の無駄を行わせないようにできる。
次にステップS24では、座席情報出力部110は、本推奨座席提示処理を終了するかを判定し、終了する場合(ステップS24YES)に本推奨座席提示処理を終了し、終了しない場合(ステップS24NO)にステップS22に処理を戻す。本推奨座席提示処理は、当日が終了し、最後の利用者が対象エリアから退出するまで実行される。
図17は、実施形態1に係るビル管理システム1の推奨座席エリア情報提示画面500の一例を示す図である。推奨座席エリア情報提示画面500は、ステップS23(図16)で、情報機器4及び情報表示機器5の表示画面に表示される。
推奨座席エリア情報提示画面500は、情報機器4又は情報表示機器5に表示される。推奨座席エリア情報提示画面500において、当日の推奨座席の場所に関するメッセージ501が表示され、画面上の座席のマップ上に推奨する座席エリアが表示される。図17では、領域517がその日の推奨する座席エリア群となる。この推奨する座席エリアは、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103(図1)で算出された座席エリア数を基に、推奨座席エリア位置決定部105(図1)によって決定された座席エリアである。
図17において、推奨される座席エリア数、座席エリア内の利用可能な席数、座席エリアの位置等が算出及び決定された結果、領域517内が推奨される座席エリアとされている。推奨される座席エリア数は“7”(座席エリアの総数12に対して)と、座席エリア内の利用可能な座席数は“8”(座席エリア内の座席数16に対して)となっている。
推奨座席エリア情報提示画面500は、さらにその座席エリア内で推奨される座席の利用率502を表示する。図17の例では、座席エリア内の推奨される席の利用率は50%である。この利用率は、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103(図1)によって算出された座席エリア内利用可能人数の結果を用いて算出されたものである。
推奨座席エリア情報提示画面500に表示されるフロアの座席マップ519には、座席エリア5191と座席エリア5191内の各座席5192の使用状況が表示されている。凡例520の区別に従って、既に使用中の座席は黒色表示5193で表示され、空きの座席は白色表示5194で表示されている。新たにフロアに入室した利用者は、推奨座席エリア情報提示画面500を見て、推奨された座席エリアの中で希望する空きの席を選択できる。また図17では図示されていないが、各座席エリアの属性を表示(ステップS23(図16))するように、利用者の活動状態(ワークスタイル)や滞在時間に合わせた座席エリアの案内を表示してもよい。
座席エリアの推奨に従って利用者が着席していく状況では、空調や照明も座席エリア数と同じ稼働台数で運転できるため、省エネルギー化となる。さらに座席エリア内も密集度合いが適度なため、快適に作業ができる。すなわち、省エネルギーと利用者の快適さとのバランス化が実現されている。
また推奨座席エリア情報提示画面500には、フロア利用状況521が表示される。フロア利用状況521は、現在の利用人数522、本日の予測利用人者数523、期待される省エネルギー効果524等の情報を含む。利用者は、これらの情報から、当日の対象フロアの利用人数がどの位で、今はどの位の人数が利用しているかを知ることができる。
また、今の利用状況から推奨座席の中のどの席を選定するかの参考にすることができる。また期待される省エネルギー効果524から、環境への貢献等の動機付けを行い、積極的に推奨座席に着席するように促進することができる。また期待される省エネルギー効果524から、推奨座席に着席することの省エネルギー効果を実感することができる。
図18は、実施形態1に係るビル管理システム1の機器制御処理の一例を示すフローチャートである。機器制御処理は、周期的又は特定のイベントを契機として実行される。
先ずステップS31では、機器制御部111(図1)は、ステップS14a(図13)で決定した座席エリアを担当する空調機器と照明機器を制御する。例えば、利用を推奨された座席エリアでない場合は、空調の運転や照明の点灯をオフにしたり出力を抑制したりする。逆に推奨された座席エリアの場合は、空調や照明を稼働させたり出力をより高くしたりする。
また利用者の座席エリアの滞在時間に応じて空調機器と照明機器を制御する。例えば、残業なしのグループの座席エリアの場合や、利用者の勤務時間外となった座席エリアの場合は、空調や照明をオフにする。このように座席エリアの数に合わせて空調や照明の稼働台数が限定され、不要な空調の運転や照明の使用を抑制するので、エネルギー使用量を低減し、省エネルギー効果を上げることができる。このように、決定した座席エリア数に基づいて座席エリアの位置を決定し、座席エリアの属性を設定することで、座席エリアの位置と属性に応じて、空調機器と照明機器を適切に稼働させることができる。
なおステップS31では、利用者に対して推奨した座席エリアの情報に基づいて担当する空調機器と照明機器を制御する。これにより、仮に利用者が推奨に従わずに推奨以外の他の座席エリアを選択して着席していたとしても、空調機器と照明機器の制御に応じて、利用者が他の座席エリアから推奨した本来の座席エリアに移動することが期待され、結果として省エネルギー効果を得ることができる。
次にステップS32では、機器制御部111は、本機器制御処理を終了するかを判定し、終了する場合(ステップS32YES)に本機器制御処理を終了し、終了しない場合(ステップS32NO)にステップS31に処理を戻す。本機器制御処理は、当日が終了し、最後の利用者が対象エリアから退出するまで実行される。
(実施形態1の効果)
実施形態1によれば、ビルのカーボンニュートラル実現に向けて、ビル設備の省エネルギー化を図りつつ、ビルの利用者の快適性が維持及び向上するようにビル管理を実施できる。
[実施形態2]
実施形態1では、図4に示す省エネルギーと快適性がバランスされた領域C6において、省エネルギーと利用者の快適さとのバランスを図りつつも、省エネルギー又は利用者の快適さの何れかに重視が偏る傾向がある。実施形態2では、実施形態1と比較して、さらに省エネルギーと利用者の快適さとのバランスを図るため、座席エリア数と座席エリア内利用可能人数として、所定の基準に最も近い解を選定する。
実施形態2では、実施形態1との差分を説明し、実施形態1と同様の構成及び処理の説明を省略する。
図19は、実施形態2に係るビル管理システム1B(図1)の座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の決定の一例を示す図である。実施形態2では、図19に示すグラフG1B中の直線G15が、座席エリア数と座席エリア内利用可能人数に対する理想のバランス解を表す基準線であり、曲線G8から、基準線に最も近い解を選定する。
予測利用人者数に対する座席エリア数(図19ではグラフG1Bの縦軸を表す座席エリア使用比率G3)と座席エリア内利用可能人数(図19ではグラフG1Bの横軸を表す座席エリア内座席使用比率G2)の関数が曲線G8に対応し、推奨する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の基準線(省エネルギーと快適性の理想のバランス解となる基準線)が直線G15になる。
直線G15は、座席エリア使用比率と座席エリア内座席使用比率の値が等しい条件を理想のバランス条件とした場合の基準線になる。曲線G8上で実際に取り得る座標点の集合から、直線G15に最も距離が近い座標点が座標G16((座席エリア内座席使用比率,座席エリア使用比率)=(0.5,0.6))になる。
図19のケースでは、座標G16を省エネルギーと快適性のバランス解として選定する。座標G16は、座席エリア内座席使用比率が0.5、座席エリア使用比率が0.6であり、これらの値を式(2)、式(3)に代入することで、利用者に推奨する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数を決定することができる。
このようにして、省エネルギーと快適性のバランスを最も考慮した適正な解を選定することができる。
図20は、実施形態2に係るビル管理システム1Bの座席エリア数・座席エリア内利用可能人数決定処理の一例を示すフローチャートである。実施形態2では、実施形態1と比較して、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出処理(図10)に代えて、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数決定処理(図20)が実行される。
先ずステップS41では、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103B(図1)は、予測利用人者数に対する座席エリアの使用数(エネルギー使用量に対応)と座席エリア内利用可能人数(密集度=不快度に対応)の関数に対して、推奨する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の基準線(省エネと快適性の理想のバランス解となる基準線)を設定する。「理想のバランス解となる基準」は、直線に限らず、理想のバランス解となる条件を充足する半直線、曲線、もしくは領域でもよい。
基準線の例として、例えば、予測利用人者数に対する座席エリアの使用数を式(3)で定めた「座席エリア使用比率」として正規した値で表し、同様に座席エリア内利用可能人数を式(2)で定めた「座席エリア内座席使用比率」として正規化した値で表した場合を考える。図19に示す直線G15のように、両者がバランスする理想のバランス解となる基準線として、両者の値が等しい条件を満たす直線に定めることができる。
次にステップS42では、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103Bは、ステップS41で基準線を設定した後、予測利用人者数に対する座席エリア数(座席エリア使用比率)と座席エリア内利用可能人数(座席エリア内座席使用比率)の関数上の座標をバランス解候補として抽出する。例えば、人数、座席エリア数、座席数が整数となるため、バランス解候補の座標値は離散値となり、関数値も曲線上の離散値となるためである。
次にステップS43では、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103Bは、ステップS42で抽出したバランス解候補の座標点の中からバランス解の基準線との距離(基準線上におろした垂線の距離)が最小となる座標点を、省エネルギーと快適性を両立するバランス解として選定する。すなわち座席エリア数(座席エリア使用比率)と座席エリア内利用可能人数(座席エリア内座席使用比率)との比が所定基準に最も近い座標点が選択される。
次にステップS44では、座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103Bは、ステップS43で選定したバランス解の座標点の座標の値に基づいて、利用者に推奨する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数を決定する。
以上のように、実施形態2によれば、省エネルギーと快適性のバランスを考慮した適正な解を選定することができる。
[実施形態3]
実施形態1及び2では、対象のフロア19に設置されている座席192は、所定数を1つのグループとした座席エリア191毎にグループ分けされている。そして推奨する座席エリア数と各座席エリア内利用可能人数に基づいて、座席エリア単位で利用者に対して推奨の可否が判断され、座席が推奨されるとした。しかし座席192のグループは、座席エリアに限らない。
実施形態3では、実施形態1及び2との差分を説明し、実施形態1又は2と同様の構成及び処理の説明を省略する。
図21は、実施形態3に係るビル管理システム1Cが対象とするフロアのレイアウトの一例を示す図である。図22は、実施形態3に係るビル管理システム1Cにおける予測利用人者数に対するフロアにおける利用可能な領域の面積と単位領域内利用可能人数の関数の一例を示す図である。
実施形態3では、図21に示すように、座席エリア191を設けない。座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103C(図1)は、グラフG1C(図22)を用いて、対象フロアの予測利用者数を基に、対象フロア内のフロア全体の面積に対する利用可能な領域の面積の比率(あるいは利用可能な領域の面積)と、この利用可能な領域における単位領域あたりの座席使用比率(あるいは利用可能な領域における単位領域あたりの利用可能な人数もしくは座席数)を算出する。グラフG1Cは、予測利用人者数に対する単位領域内座席使用比率と利用可能な領域のフロア面積に対する面積比率の関数を表す。「単位領域」とは、所定の面積の領域を指し、例えば“1平方メートル”等である。
グラフG1C(図22)は、グラフG1(予測利用人者数に対する座席エリア数と座席エリア内利用可能人数の関数(図7))に代わるものである。グラフG1Cでは、グラフG1の横軸“座席エリア内座席使用比率G2”を横軸「利用可能領域の単位領域あたりの人数(もしくは座席数)G2C」に読み替え、縦軸“座席エリア使用比率G3”を縦軸「利用可能領域の面積G3C」に読み替えている。
すなわち座席エリア数・座席エリア内利用可能人数算出部103Cは、利用可能な座席を、座席エリア191ではなく「利用可能な座席の領域」で把握し、対象フロアの予測利用人者数を基に、利用可能な座席の領域の面積と、利用可能な座席の領域における単位領域あたりの利用可能な人数(もしくは座席数)を算出する。そして推奨座席エリア位置決定部105C(図1)は、利用可能な座席の領域の位置を決定する。また座席エリア属性設定部108C(図1)は、利用可能な座席の領域の属性を設定する。
実施形態3では、機器制御処理(図18)は、上述の利用可能な座席の領域の気温及び湿度を制御可能な空調機器と、利用可能な座席の領域の照度を制御可能な照明機器を制御対象として実行される。
このように座席エリア191の概念を設けなくても、対象フロアの省エネルギー化と、対象フロアの利用者の快適性とのバランスを両立できる座席の領域及びこの座席の領域内の利用人数を決定することができる。
(ビル管理システム1のハードウェア構成)
図23は、ビル管理システム1のハードウェア構成の一例を示す図である。ビル管理システム1は、バス等の内部通信線1009を介して相互に接続されたCPUをはじめとするプロセッサ1001、主記憶装置1002、補助記憶装置1003、ネットワークインタフェース1004、入力装置1005、及び出力装置1006を含んで構成されるコンピュータである。
プロセッサ1001は、ビル管理システム1全体の動作制御を司る。また主記憶装置1002は、例えば揮発性の半導体メモリから構成され、プロセッサ1001のワークメモリとして利用される。補助記憶装置1003は、非一時的記憶媒体の一例であり、ハードディスク装置、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等の大容量の不揮発性の記憶装置から構成され、各種プログラムやデータを長期間保持するために利用される。
補助記憶装置1003に格納された実行可能プログラム1100がビル管理システム1の起動時や必要時に主記憶装置1002にロードされ、主記憶装置1002にロードされた実行可能プログラム1100をプロセッサ1001が実行する。これにより、各種処理を実行するシステムや各機能部が実現される。
なお実行可能プログラム1100は、非一時的記録媒体に記録され、媒体読み取り装置によって非一時的記録媒体から読み出されて、主記憶装置1002にロードされてもよい。または、実行可能プログラム1100は、ネットワークを介して外部のコンピュータから取得されて、主記憶装置1002にロードされてもよい。
ネットワークインタフェース1004は、ビル管理システム1をシステム内の各ネットワークに接続する、あるいは他のコンピュータと通信するためのインタフェース装置である。ネットワークインタフェース1004は、例えば有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等のNIC(Network Interface Card)から構成される。
入力装置1005は、キーボードや、マウス等のポインティングデバイス等から構成され、ユーザがビル管理システム1に各種指示や情報を入力するために利用される。出力装置1006は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置から構成され、必要時に必要な情報をユーザに提示するために利用される。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えてもよい。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えてもよい。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、又は置換をしてもよい。
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよい。あるいは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の非一時的記録媒体に格納することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。