JP7844112B2 - レンズユニット及び車載カメラ - Google Patents
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Description
本件発明に係るレンズユニットは、光軸に沿って並べられた複数枚の光学素子と、複数枚の光学素子を保持する鏡筒とを備え、鏡筒は、少なくとも1枚の光学素子を配置するための縮径部を備えている。そして、少なくとも1枚の光学素子の物体側、または結像側のいずれか一方の非光学有効部は、縮径部との間に、熱可塑性エラストマーを主成分とする封止材を介挿し、かつ、一方の非光学有効部とは異なる他方の非光学有効部への付勢力によって、少なくとも1枚の光学素子の光軸方向の位置を固定する構造を有している。ここで、本件発明においては、光学素子には、ガラスレンズや樹脂レンズのほか、IRカットフィルタやバンドパスフィルタなどの光学フィルタ、及び、カバーガラスなども含まれる。
本件発明に係る実施形態のレンズユニット1の断面模式図を図1に示す。鏡筒10aは、光学素子を配置するための縮径部11aと縮径部13とを備えている。このとき、鏡筒10aの形状および構造は、物体側および結像側の開口部以外の開口部を有さず、本件発明に係る封止によって、高いガスバリア性を保つことができる限り、どのような形状、及び構造のものであっても構わない。特に、以下で説明するレンズユニットに制限されず、例えば光路折り曲げ光学系等、どのようなものであっても構わない。
鏡筒の縮径部との間に封止材を介挿する光学素子の非光学有効部において、封止材を介挿する領域以外の領域は、縮径部と、光軸に沿って隣接する光学部材との少なくともいずれか一方に当接することによって、鏡筒の縮径部との間に封止材を介挿する光学素子の光軸方向の位置決めをすることが好ましい。熱可塑性エラストマーを主成分とする封止材は、高温環境下では圧縮永久ひずみが大きく、また、ハードセグメントのガラス転移温度以上の温度下では明らかに伸長流動を生じる。そのため、封止材のみによって光学素子の光軸方向の位置決めをする構造の場合、封止材を介挿する光学素子の光軸方向の位置を維持することが困難だからである。
レンズユニット1は、ガラスレンズ20の結像側の非光学有効部と縮径部11aとの間の配置面12aに、熱可塑性エラストマーを主成分とする封止材50aを介挿し、かつ、ガラスレンズ20の物体側の非光学有効部へ、押さえ環40を用いて付勢力を加えることによって、ガラスレンズ20の光軸方向の位置を固定している。そして、レンズユニット1は、押さえ環40の付勢力により、ガラスレンズ21~ガラスレンズ23、樹脂レンズ24、樹脂レンズ25についても、その光軸方向の位置を固定している。
レンズユニット1の封止材50a及び封止材51は、熱可塑性エラストマーを主成分とすることが好ましい。そして、当該熱可塑性エラストマーの脆化温度は、-40℃以下が好ましく、-50℃以下がより好ましい。さらに、当該熱可塑性エラストマーは、粘着物性に優れるスチレン系エラストマーであることが好ましい。封止材の主成分をスチレン系エラストマーとすることで、接面の密着性が高く、低温から高温まで温度変化が大きい使用環境下、例えば、封止材が、常温環境から100℃を超える高温環境におかれ塑性変形した後、-40℃の低温環境におかれる等の過酷な環境下であっても、接面の剥離が起こりにくい。
気体分子の高分子化合物への透過速度はArrheniusの式に従う温度依存性を示すため、温度上昇に伴うガス透過係数の増大は避けられない。そのため、封止材にスチレン系エラストマーのみを用いる場合、高温環境におけるガス透過係数が十分に小さいとはいえない。このため、スチレン系エラストマーとガスバリア性樹脂材料とのアロイ化、または、ナノフィラーとのコンポジット化が好ましい。この、アロイ化に用いるガスバリア性樹脂は、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)および、ブテンジオール-ビニルアルコール共重合体等のカスバリア性に優れたポリビニルアルコール系樹脂が挙げられる。すなわち、封止材は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有したものであることが好ましい。
封止材がPVOH系樹脂を含有する場合、PVOH系樹脂のドメインによる吸湿が発生し、防湿性を含めたガスバリア性の低下が懸念される場合がある。この場合、防湿のための「第二の封止材」をPVOH系樹脂含有の封止材の設置箇所よりも外気に近い箇所に介挿し防湿してもよい。この封止材にはOリング等の加硫ゴムを用いても良いが、スチレン系エラストマーとポリオレフィンのアロイ材を主成分とする封止材を用いることが好ましい。なお、この場合のポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-4-メチルペンテン、脂環式ポリオレフィンが挙げられるが、耐熱老化性、耐寒性、および水蒸気バリア性が良好なポリエチレンが好ましい。
上述した封止材のM法(中硬さ用マイクロサイズ試験)による国際ゴム硬さ(IRHD)は、55IRHD以上95IRHD以下であることが好ましい。封止材の国際ゴム硬さが55IRHD未満であると、配置面と光学素子との間に介挿して光学素子を押圧した際、封止材の変形が大きくなって、光学素子の光学有効領域に干渉する恐れがあることから好ましくない。封止材の国際ゴム硬さが95IRHDを超えると、配置面と光学素子との間に介挿して光学素子を押圧した際、封止材の変形が少なく、光学素子や配置面の形状、うねり、及び粗さに十分にフィットせず、密着性が低下する恐れがあることから好ましくない。
本件発明に係る封止材は、次のようにして調製・製造できる。一例として、SIBSと、エチレン含有量が27モル%のEVOHとを、質量比で8.5:1.5として混合(ドライブレンド)した後に、二軸スクリュー押し出し機によって所定の厚さの樹脂シートに成形することができる。その後、得られたシートを所定の形状にカッティングすることにより、光学素子の接着に用いるシート状封止材とする。但し、上述の混合割合や製造方法は一例であり、これに限定されるものではない。
封止材の形状は、ガスバリアを達成できるものであれば、円形、方形、または不定形のリング状であってもよい。さらに、封止材を介挿した状態で光学素子の全周の密着を達成するように封止材を敷設できる場合、その封止材の形状は、帯状であってもよい。そして、配置面12aに収まる寸法とすれば良い。
鏡筒10aの材質は、非鉄金属としてアルミニウム合金、マグネシウム合金等が挙げられる。一方で、樹脂材料としては、ポリ(エステル)カーボネート、ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、および液晶ポリマーのうちのいずれか1種、もしくは2種以上のアロイ材が好ましい。特に、ガスバリア性の観点から、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、および液晶ポリマーを主成分とするのが好ましい。これらをガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、およびその他の充填剤等とのコンパウンドしたものでもよく、さらには、マイカ、タルク、カオリン、モンモリロナイト等の無機層状化合物を有機化前処理したものを添加したものを使用してもよい。
次に、上述したレンズユニット1~レンズユニット3に含まれる光学素子について説明する。当該光学素子に関しては、特段の限定はなく、用途に応じて適宜選択使用すれば足りる。例えば、上述の車載カメラや監視カメラに搭載されるレンズユニットは、設置環境や使用環境にもよるが、外気に曝された状態になる。そのため、最も物体側に配置される対物レンズは、対擦傷性を考慮して無機ガラスを採用することが好ましい。
本件発明に係る車載カメラは、上述の本件発明に係るレンズユニットを備えている。当該レンズユニットは、光学素子の非光学有効部と縮径部との間に、熱可塑性エラストマーを主成分とする封止材を介挿し、非光学有効部への付勢力によって、複数枚の光学素子の光軸方向の位置を固定している。
実施例1から実施例10のレンズユニット、及び比較例の試験片107を、大気が満たされ温度125℃に保持した恒温槽内に500時間放置した。この試験実施後、実施例1から実施例10のレンズユニットを分解して試験片107を取り出した。その後、実施例1から実施例10及び比較例の試験片107について、分光光度計U-4100(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて、波長400nmにおける光線透過率を測定した。
実施例3及び実施例6から実施例9のレンズユニット、及び比較例の試験片107に対して、「-40℃を30分、125℃を30分」を500回繰り返す試験条件の、冷熱衝撃試験を行った。冷熱衝撃装置は、装置名:TSE-12(エスペック株式会社製)を用いた。なお、冷熱衝撃装置内は、空気雰囲気である。上述の試験実施後、実施例3及び実施例6から実施例9のレンズユニットを分解して試験片107を取り出した。その後、実施例3、実施例6から実施例9及び比較例の試験片107について、分光光度計U-4100(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて、波長400nmにおける光線透過率を測定した。
2 レンズユニット
3 レンズユニット
10a 鏡筒
11a 縮径部
12a 配置面
10b 鏡筒
11b 縮径部
12b 配置面
10c 鏡筒
11c 縮径部
12c 配置面
13 縮径部
14 配置面
20 ガラスレンズ
21 ガラスレンズ
21b 樹脂レンズ
21c ガラスレンズ
22 ガラスレンズ
22b 樹脂レンズ
22c ガラスレンズ
23 ガラスレンズ
23b 樹脂レンズ
23c 樹脂レンズ
24 樹脂レンズ
25 樹脂レンズ
26 IRカットフィルタ
30 間隔環
31 固定絞り
40 押さえ環
41 押さえ環
50a 封止材
50b 封止材
50c 封止材
51 封止材
101 レンズユニット
102 模擬鏡筒
102a 対物側の開口部
102b 筒状部
102c 当接面
102d 内周面
102e 底面
102f 雄ネジ部
102g 配置面
103 ガラスレンズ
103a 光学面
103b 光学面
104 封止材
105 押さえ環
105a 雌ネジ部
106 封止空間
107 試験片
Claims (14)
- 車載カメラに用いられるレンズユニットであって、
光軸に沿って並べられた複数枚の光学素子と、前記複数枚の光学素子を保持する鏡筒とを備え、
前記鏡筒は、少なくとも1枚の光学素子を配置するための縮径部を備え、
前記少なくとも1枚の光学素子の物体側、または結像側のいずれか一方の非光学有効部は、前記縮径部との間に、熱可塑性エラストマーを主成分とし、かつ、前記非光学有効部及び前記縮径部との接面における高い粘着性を有する封止材が圧縮応力に依らない状態で介挿され、
前記一方の非光学有効部とは異なる他方の非光学有効部への付勢力によって、前記少なくとも1枚の光学素子の前記光軸方向の位置が固定され、
前記鏡筒と、前記少なくとも1枚の光学素子と、前記封止材とを用いて封止された空間に、少なくとも1枚の樹脂レンズが配置されることを特徴とするレンズユニット。 - 前記いずれか一方の非光学有効部の前記封止材を介挿する領域以外の領域は、前記縮径部と、前記光軸に沿って隣接する光学部材との少なくともいずれか一方に当接する請求項1に記載のレンズユニット。
- 前記少なくとも1枚の光学素子は無機ガラスである請求項1又は請求項2に記載のレンズユニット。
- 前記付勢力は、前記鏡筒へ螺着可能な押さえ環によるものである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記付勢力は、前記鏡筒の仮締めによるものである請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記鏡筒と、前記少なくとも1枚の光学素子と、前記封止材とを用いて封止された空間に、窒素を封入した請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記熱可塑性エラストマーは、スチレン系エラストマー、水添スチレン系エラストマー、及びイソブチレン系ブロック共重合体のうち一種以上を含有する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記イソブチレン系ブロック共重合体は、スチレン-イソブチレンブロック共重合体、及びスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体のうち1種以上を含有する請求項7に記載のレンズユニット。
- 前記封止材は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有したものである請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記ポリビニルアルコール系樹脂は、エチレン-ビニルアルコール共重合体であって、前記エチレン-ビニルアルコール共重合体におけるビニルアルコール単位の成分含有量は、混合する前記封止材の材料の合計重量を100重量部としたとき、5重量部以上60重量部以下である請求項9に記載のレンズユニット。
- 前記封止材は、ポリオレフィンを含有したものである請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記封止材は、有機化前処理を行った無機層状化合物を含有したものである請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 前記封止材の国際ゴム硬さIRHDは、55IRHD以上、95IRHD以下である請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のレンズユニット。
- 請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のレンズユニットを備えることを特徴とする車載カメラ。
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