JP7848608B2 - 溶融凝固成形用Fe基合金及び金属粉末 - Google Patents
溶融凝固成形用Fe基合金及び金属粉末Info
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Description
近年、積層造形技術の発達により、これらの難加工材を完成品に近い状態で造形することが可能になってきた。そのため、積層造形用の金属粉末に関し、従来から種々の提案がなされている。
同文献には、このような組成を有する合金粉末を用いて積層造形を行った後、400℃から700℃で造形物を時効処理すると、耐摩耗部材として必要な硬さが得られる点が記載されている。
所定量のCo、Mo、W、及び、Nを含み、残部がFeからなる合金粉末(カーボンフリー析出硬化型Fe-Co-Mo/W-N合金粉末)をHIP処理することにより得られる本体と、
前記本体の表面にPVD法又はCVD法により形成されたコーティングと
を備えた工具(コーティングされた金属製品)が開示されている。
同文献には、本体部を粉末冶金法を用いて作製すると、各相が微細に分散している組織が得られる点が記載されている。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、このような溶融凝固成形用Fe基合金と同等の平均組成を有する金属粉末を提供することにある。
18.0≦Co<25.0mass%、
12.0≦Mo+W/2≦20.0mass%、
0.2≦Mn≦5.0mass%、及び、
0.5≦Ni≦10.0mass%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
次の式(1)及び式(2)を満たすことを要旨とする。
A/B≧1.6 …(2)
但し、
A=Co+Ni+3Mn、
B=Mo+W/2+Si、
Mo、Si及び/又はWを含まない時は、式(1)及び/又は式(2)において、Mo=0、Si=0、及び/又は、W=0として計算する。
(a)オーステナイト相安定化元素としての機能と、
(b)時効処理時に、マトリックス中にFe-Co-Mo系化合物(μ相)からなる微粒子を析出させる機能と
を備えている。
そのため、Fe基合金の低コスト化を図るために単にCo量を減少させると、析出強化相としてのμ相の析出量が少なくなるだけでなく、凝固時にフェライト相が析出しやすくなる。このようなFe基合金を積層造形に適用した場合において、造形物にフェライト相が析出した時には、冷却後にマルテンサイト組織が得られないために結晶粒が粗くなる。その結果、造形物に割れが発生しやすくなる。
[1. 溶融凝固成形用Fe基合金]
[1.1. 成分]
本発明に係る溶融凝固成形用Fe基合金(以下、単に「Fe基合金」ともいう)は、以下のような元素を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる。添加元素の種類、その成分範囲、及びその限定理由は、以下の通りである。
(1)18.0≦Co<25.0mass%:
Coは、強化相であるμ相の析出を促進させる機能と、高温でのオーステナイトの安定度を高める機能とがある。そのため、Co含有量が少なくなりすぎると、μ相の析出量が不足し、硬さが著しく低下する。従って、Co含有量は、18.0mass%以上である必要がある。Co含有量は、好ましくは、20.0mass%以上、さらに好ましくは、22.0mass%以上である。
一方、Co含有量が過剰になると、硬さ増加の効果が飽和するだけでなく、製造コストが増加する。従って、Co含有量は、25.0mass%未満である必要がある。
Mo及びWは、それぞれ、Coと同様に、強化相であるμ相の析出を促進させる機能と、高温でのオーステナイトの安定度を高める機能とがある。また、Wの原子量はMoの約2倍であるため、Moの全部又は一部をMoの2倍の量のWで置き換えても同様の効果が得られる。しかしながら、(Mo+W/2)量が少なくなりすぎると、μ相の析出量が不足し、高硬度な造形物が得られない場合がある。従って、(Mo+W/2)量は、12.0mass%以上である必要がある。(Mo+W/2)量は、好ましくは、14.0mass%以上である。
一方、(Mo+W/2)量が過剰になると、μ相の体積率が大きくなりすぎ、造形物の靱性が低下する場合がある。従って、(Mo+W/2)量は、20.0mass%以下である必要がある。(Mo+W/2)量は、好ましくは、16.0mass%以下である。
Mnは、脱酸材としての機能と、フェライトの形成を抑制する機能とがある。そのため、Mn含有量が少なくなりすぎると、このような粉末を溶融凝固成形に適用した時に、造形時にフェライト相が析出し、造形物に割れが発生しやすくなる。従って、Mn含有量は、0.2mass%以上である必要がある。Mn含有量は、好ましくは、0.5mass%以上、さらに好ましくは、0.7mass%以上である。
一方、Mn含有量が過剰になると、造形物に含まれる残留オーステナイトが増加し、硬さが不足する場合がある。従って、Mn含有量は、5.0mass%以下である必要がある。Mn含有量は、好ましくは、3.0mass%以下、さらに好ましくは、1.0mass%以下である。
Niは、フェライトの形成を抑制する機能がある。そのため、Ni含有量が少なくなりすぎると、このような粉末を溶融凝固成形に適用した時に、造形時にフェライト相が析出し、造形物に割れが発生しやすくなる。従って、Ni含有量は、0.5mass%以上である必要がある。Ni含有量は、好ましくは、0.8mass%以上、さらに好ましくは、1.0mass%以上である。
一方、Ni含有量が過剰になると、造形物に含まれる残留オーステナイトが増加し、硬さが不足する場合がある。従って、Ni含有量は、10.0mass%以下である必要がある。
本発明に係るFe基合金は、上述した元素に加えて、以下のような1種又は2種以上の元素をさらに含んでいても良い。添加元素の種類、その成分範囲、及びその限定理由は、以下の通りである。
Siは、脱酸材としての機能と、μ相の析出を促進する機能とがあり、必要に応じて添加することができる。
しかしながら、Si含有量が過剰になると、μ相の析出が過度に促進され、液相からμ相が晶出しやすくなる。その結果、造形物の靱性が劣化する場合がある。従って、Si含有量は、1.0mass%以下が好ましい。Si含有量は、さらに好ましくは、0.5mass%以下、さらに好ましくは、0.3mass%以下である。
上述したように、Wは、Moと同様に、強化相であるμ相の析出を促進させる機能と、高温でのオーステナイトの安定度を高める機能とがあるため、Moの全部又は一部をWに置き換えることができる。しかしながら、W含有量が過剰になると、μ相の体積率が大きくなりすぎ、造形物の靱性が低下する場合がある。従って、W含有量は、20.0mass%以下が好ましい。W含有量は、さらに好ましくは、15.0mass%以下である。
上述したように、Moは、Wと同様に、強化相であるμ相の析出を促進させる機能と、高温でのオーステナイトの安定度を高める機能とがあるため、Wの全部又は一部をMoに置き換えることができる。しかしながら、Mo含有量が少なくなりすぎると、μ相の析出量が不足し、高硬度が得られない場合がある。従って、Mo含有量は、10.0mass%以上が好ましい。Mo含有量は、さらに好ましくは、12.0mass%以上、さらに好ましくは、14.0mass%以上である。
一方、Mo含有量が過剰になると、μ相の体積率が大きくなりすぎ、靱性が低下する場合がある。従って、Mo含有量は、20.0mass%以下が好ましい。Mo含有量は、さらに好ましくは、16.0mass%以下である。
Pは、製造時に混入する不可避的不純物である。Pは、結晶粒界に偏析し、造形物の靱性を低下させる。そのため、P含有量は、0.05mass%以下が好ましい。P含有量は、さらに好ましくは、0.03mass%以下である。P含有量は、少ないほど良い。
Sは、製造時に混入する不可避的不純物である。Sは、結晶粒界に偏析し、造形物の靱性を低下させる。そのため、S含有量は、0.05mass%以下が好ましい。S含有量は、さらに好ましくは、0.03mass%以下である。S含有量は、少ないほど良い。
本発明に係るFe基合金において、以下に示す成分が以下に示す量で含まれる場合がある。このような場合、本発明においては、これらの成分を不可避的不純物として扱う。
Cr≦0.5mass%、C≦0.1mass%、
Cu≦0.5mass%、Al≦0.2mass%、N≦0.1mass%、
O≦0.1mass%、Sn≦0.05mass%、Nb≦0.05mass%、
Ta≦0.05mass%、Ti≦0.5mass%、Zr≦0.05mass%、
B≦0.02mass%、Ca≦0.01mass%、Se≦0.03mass%、
Te≦0.03mass%、Bi≦0.03mass%、Pb≦0.05mass%、
Mg≦0.02mass%、REM≦0.01mass%。
本発明に係るFe基合金は、次の式(1)及び式(2)を満たしている必要がある。
58≦Co+3(Mo+W/2)≦95 …(1)
A/B≧1.6 …(2)
但し、
A=Co+Ni+3Mn、
B=Mo+W/2+Si、
Mo、Si及び/又はWを含まない時は、式(1)及び/又は式(2)において、Mo=0、Si=0、及び/又は、W=0として計算する。
「Co+3(Mo+W/2)」は、μ相の析出量の指標(以下、これを「指標C」ともいう)となる。指標Cが小さくなりすぎると、高硬度が得られない。従って、指標Cは、58以上である必要がある。指標Cは、好ましくは、61以上、さらに好ましくは、64以上である。
一方、指標Cが大きくなりすぎると、μ相の体積率が大きくなりすぎ、造形物の靱性が著しく劣化する場合がある。従って、指標Cは、95以下である必要がある。指標Cは、好ましくは、85以下、さらに好ましくは、80以下である。
式(2)の「A」は、オーステナイト相安定化元素の当量を表す。
式(2)の「B」は、フェライト相安定化元素の当量を表す。
さらに、式(2)の「A/B」(以下、これを「当量比」ともいう)は、フェライト相安定化元素の当量に対するオーステナイト相安定化元素の当量の比を表す。
一方、当量比が大きくなりすぎると、残留オーステナイトが増加して硬さが低下する場合がある。従って、当量比は、2.4未満が好ましい。当量比は、さらに好ましくは、2.2以下である。
本発明において、Fe基合金の形状は特に限定されない。Fe基合金の形状としては、塊、棒、管、線、粉末などがある。特に、粉末は溶融凝固成形の原料として好適である。
本発明に係る金属粉末は、平均組成が本発明に係る溶融凝固成形用Fe基合金と同等であるものからなる。金属粉末は、平均粒子径が10μm以上300μm以下であるものが好ましい。
「平均組成が溶融凝固成形用Fe基合金と同等である」とは、
(a)金属粉末が同一の組成を有する1種類の金属粒子の集合体からなり、かつ、個々の金属粒子が上述した組成範囲内にあること、
(b)金属粉末が異なる組成を有する2種以上の金属粒子の混合物からなり、かつ、個々の金属粒子がそれぞれ上述した成分範囲内にあること、又は、
(c)金属粉末が異なる組成を有する2種以上の金属粒子の混合物からなり、かつ、1種又は2種以上の金属粒子が上述した成分範囲内にはないが、金属粉末全体の組成の平均値が上述した成分範囲内にあること、
をいう。
金属粉末の組成(平均組成)の詳細については、上述したFe基合金と同様であるので、説明を省略する。
「平均粒径」とは、個数頻度D50(μm)、すなわち、粉末の累積50個数%粒子径(メディアン径)をいう。D50の測定方法としては、例えば、
(a)レーザー回折・散乱法に基づく粒子分布測定装置を用いて測定する方法、
(b)粒子画像分析装置を用いて測定する方法、
(c)コールターカウンターを用いて測定する方法、
などがある。
本発明において、「D50」というときは、レーザー回折・散乱法に基づく粒子分布測定装置により測定されたメディアン径をいう。
金属粉末の平均粒径及び粒度分布は、金属粉末の製造条件、及び、金属粉末の分級条件により制御することができる。
金属粉末に含まれる個々の金属粒子の粒子形状は、特に限定されない。金属粒子は、球状粒子でも良く、あるいは、不規則形状粒子でも良い。高い流動性を得るには、金属粒子は、球状粒子が好ましい。
金属粒子は、表面がナノ粒子で被覆されていても良い。「ナノ粒子」とは、直径が1nm以上100nm以下である無機化合物の粒子をいう。
金属粒子の表面をある種のナノ粒子で被覆すると、金属粒子の凝集を抑制することができる場合がある。金属粒子の凝集を抑制する作用があるナノ粒子としては、例えば、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、酸化マンガン(MnO)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)などの金属酸化物がある。
一方、ナノ粒子の被覆量が過剰になると、ナノ粒子が介在物となり、溶融凝固成形を行った時に造形物の強度及び/又は靱性が低下する場合がある。従って、ナノ粒子の含有量は、0.05mass%以下が好ましい。
本発明に係る金属粉末は、溶融凝固成形用の原料粉末として用いることができる。
ここで、「溶融凝固成形法」とは、種々の熱源を用いて金属粉末を溶融させ、溶融した金属粉末を凝固及び堆積させることにより造形物の全部又は一部を形成する方法をいう。
「造形物の全部を形成する」とは、金属粉末の溶融、凝固及び堆積のみによって、造形物の全体を形成することをいう。
「造形物の一部を形成する」とは、造形物の一部を構成する基材の表面に、金属粉末の溶融、凝固及び堆積により造形物の他の一部を構成する新たな層を積層すること(例えば、金型の補修)をいう。
(a)指向性エネルギー堆積(Direct Energy Deposition、DED)法、
(b)粉末床溶融法、
(c)プラズマ肉盛溶接法、
などがある。
「プラズマ肉盛溶接法」とは、電極と基材との間にプラズマアークを発生させ、この中に金属粉末を投入して金属粉末を溶融させ、基材表面に金属を盛り上げる方法をいう。
本発明に係る金属粉末は、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、プラズマアトマイズ法、プラズマ回転電極法、遠心力アトマイズ法などの方法を用いて製造することができる。あるいは、このようにして得られた粉末に対して、還元性熱プラズマによる球状化処理を組み合わせてもよい。
さらに、必要に応じて組成の異なる2種以上の金属粉末を混合し、成分調整を行っても良い。
Fe-Co-Mo系合金において、Coは、
(a)オーステナイト相安定化元素としての機能と、
(b)時効処理時に、マトリックス中にFe-Co-Mo系化合物(μ相)からなる微粒子を析出させる機能と
を備えている。
そのため、Fe基合金の低コスト化を図るために単にCo量を減少させると、析出強化相としてのμ相の析出量が少なくなるだけでなく、凝固時にフェライト相が析出しやすくなる。このようなFe基合金を積層造形に適用した場合において、造形物にフェライト相が析出した時には、冷却後にマルテンサイト組織が得られないために結晶粒が粗くなる。その結果、造形物に割れが発生しやすくなる。
[1. 試料の作製]
[1.1. 金属粉末の作製]
ガスアトマイズ法を用いて、表1に示す17種類の金属粉末を作製した。なお、表中に記載されていない元素が不純物として規定された量の範囲内で含まれる場合がある。
作製した金属粉末及びDED方式のレーザー金属積層造形装置(金属3Dプリンタ)を用いて硬さ及び組織を確認するための造形物を作製した。基板には、SKD61の平板(50×70×10mm)を用いた。また、造形時の条件は、以下の通りである。なお、造形条件は、98%以上の密度が得られるように適宜調節した。
レーザー出力: 1500~2000W
粉末流量: 5~10g/min
送り速度: 100~1000mm/min
造形物の寸法: 高さ5~10mm×幅10~12mm×長さ60~70mm
[2.1. 割れ]
造形物に対して浸透探傷試験を実施し、造形物及び基板界面における割れの有無を確認した。
造形物を5mm厚に切断し、断面を研磨紙により研磨した。造形部の断面中央部においてロックウェル硬さ(JIS Z2245)を測定した。
造形物を5mm厚に切断した。切断された試料を600℃に加熱した大気炉に挿入し、30分保持した後、空冷した。以下、これを「時効処理」ともいう。空冷後の試料の酸化被膜を研磨紙により除去したのち、造形物の断面中央部においてロックウェル硬さ(JIS Z2245)を測定した。
表2に結果を示す。表2より、以下のことが分かる。
(1)比較例1、6、7は、造形物に割れが見られた。これは、A/Bが1.6未満であるために、フェライト粒の界面で割れが発生したためと考えられる。
(2)比較例2は、割れが見られず、硬さも高かった。しかし、Co添加量が多いため、製造コストが高い。
(3)比較例3、4は、時効処理後の硬さ(硬さ2)が低い。これは、Co+3(Mo+W/2)が58未満であり、μ相の析出量が不足したためと考えられる。
(4)比較例5は、時効処理後の硬さ(硬さ2)が低い。これは、Mn量が過剰であるために、組織に軟質な残留オーステナイトが多いためと考えられる。
(5)実施例1~10は、いずれも、割れが生じず、かつ、時効処理後の硬さ(硬さ2)も高くなった。
[1. 試料の作製]
真空誘導溶解炉にて、表3に示す組成を有する5kgの鋼塊を作製した。鋼塊を1200℃において5Hr加熱した後、断面寸法が30mm×30mmとなるように鍛造した。鍛造した鋼片からφ1.6mmの丸棒をワイヤ放電加工にて切り出し、溶接試験用の溶接棒とした。
溶接電流: 100A程度
ワイヤ挿入方向: 前方
ガス流量: 5~10L/min(Ar)程度
溶接長: 50mm
溶接回数: 幅方向3パス/1層×高さ方向5層
パス間オーバーラップ率: 50%狙い
各層間の冷却: n層目(1≦n≦4)の肉盛り溶接が終了し、肉盛り部の温度が150℃以下になった後、(n+1)層の肉盛りを実施
予熱: なし
ウィービング: なし
溶接長方向に対して垂直に切断した肉盛り品を樹脂に埋め込み、鏡面となるまで機械研磨した。次いで、鏡面研磨面に対し、ビッカース硬さ試験を行った。
図1に、実施例11で得られた肉盛り溶接部の溶接長方向に対して垂直な断面の写真を示す。図1中、左側の領域、中央の領域、及び、右側の領域が、それぞれ、1パス目、2パス目、及び、3パス目の肉盛り溶接領域に対応している。ビッカース硬さは、溶接高さ方向の半分の位置(図1の破線で示した位置)において、溶接幅方向(図1の破線の方向)に0.5mm間隔で測定した。
図2に、実施例11及び比較例8で得られた肉盛り溶接部の幅方向の位置と硬さとの関係を示す。なお、図2の横軸の「位置=ゼロmm」は、図1の破線の左端の位置に対応する。比較例8は、熱影響部(位置が0~5mmの領域)の硬さが高くなり、硬さが800Hvを超える領域が出現した。これは、1パス目の肉盛り溶接でマルテンサイトが生成した領域が、2パス目の肉盛り溶接時に再加熱され、時効硬化したためと考えられる。
なお、実施例11及び比較例8のいずれも、5~10mmの位置における硬さは600Hv以下であった。これは、最終の5層目、3パス目に対応する部分であり、肉盛り後、熱影響を受けないために時効硬化が発生しなかったためと考えられる。
また、本発明は、その特性上、溶接または積層造形用のワイヤーとして用いるのにも好適である。
Claims (3)
- 18.0≦Co<25.0mass%、
12.0≦Mo+W/2≦20.0mass%、
0.2≦Mn≦5.0mass%、及び、
0.5≦Ni≦10.0mass%
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなり、
次の式(1)及び式(2)を満たす溶融凝固成形用Fe基合金。
58≦Co+3(Mo+W/2)≦95 …(1)
A/B≧1.6 …(2)
但し、
A=Co+Ni+3Mn、
B=Mo+W/2+Si、
Mo、Si及び/又はWを含まない時は、式(1)及び/又は式(2)において、Mo=0、Si=0、及び/又は、W=0として計算する。 - 0≦Si≦1.0mass%、及び/又は、
0≦W≦20.0mass%
をさらに含む請求項1に記載の溶融凝固成形用Fe基合金。 - 平均組成が請求項1又は2に記載の溶融凝固成形用Fe基合金と同等である金属粉末。
但し、前記「平均組成が溶融凝固成形用Fe基合金と同等である」とは、
(a)前記金属粉末が同一の組成を有する1種類の金属粒子の集合体からなり、かつ、個々の前記金属粒子が請求項1又は2に記載の組成範囲内にあること、
(b)前記金属粉末が異なる組成を有する2種以上の金属粒子の混合物からなり、かつ、個々の前記金属粒子がそれぞれ請求項1又は2に記載の組成範囲内にあること、又は、
(c)前記金属粉末が異なる組成を有する2種以上の金属粒子の混合物からなり、かつ、1種又は2種以上の前記金属粒子が請求項1又は2に記載の組成範囲内にはないが、前記金属粉末全体の組成の平均値が請求項1又は2に記載の組成範囲内にあること、
をいう。
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