本発明は、全体として、ゲノミクスに関する。一部の実施形態は、配列空間においてハイスループットにより、ゲノムまたはゲノムの部分の3D構成をイメージングすることを対象とする。一部の実施形態は、転写活性および核構造に関して、ゲノムまたはゲノムの部分の3D構成をイメージングすることを対象とする。加えて、ある特定の実施形態は、クロマチン構造、3Dクロマチン構成、染色体トランス相互作用、およびクロマチン-核構造相互作用、ならびにそれらの転写との関係性などを対象とする。加えて、多様な実施形態は、核構造および転写活性に関して、ゲノムまたはゲノムの部分の3D構成のマッピングを可能にするイメージング法を対象とする。一部の実施形態は、染色体またはゲノムスケールにおいてクロマチン遺伝子座および/または新生RNA転写物をイメージングするための大規模マルチプレックス化蛍光インサイチューハイブリダイゼーション法を対象とする。一部の場合、数百のゲノム遺伝子座の同時イメージングを行うことができる。一部の場合、約1000ゲノム遺伝子座および/またはこれらの遺伝子座内の約1000の遺伝子の転写活性の、多様な核構造を伴う同時イメージングを行うことができる。ある特定の場合には、クロマチンドメインおよび区画を観察することができる。ある特定の場合には、転写と相関する様式において活性クロマチン相互作用について富化された広範囲の染色体トランス相互作用を観察することができる。一部の場合、ゲノムにわたる核スペックルおよび核ラミナとの転写依存性クロマチン相互作用を観察することができる。
クロマチンの三次元(3D)構成は、多くのゲノム機能を制御する。3Dゲノム構成の理解は、染色体スケールおよびゲノムスケールにおけるクロマチン構成のそのネイティブ環境下における直接的可視化を可能にするツールがないために妨げられている。したがって、ある特定の実施形態において、例えば各ラウンドが1色または2色または3色イメージングを使用して1つまたは2つまたは3つのゲノム遺伝子座を標的化するような、多数のハイブリダイゼーションラウンドにわたる逐次的イメージングによるマルチプレックス化FISH手法が説明される。他の実施形態において、多くのクロマチン遺伝子座が各ラウンドにおいて同時にイメージングされ、遺伝子座が出現するラウンドの組合せに基づき遺伝子座の別個の識別が決定される、コンビナトリアルのFISH手法が説明される。これは、全体として、例えば、各々が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、「Systems and Methods for Determining Nucleic Acids」と題された国際特許出願公開第WO2016/018960号;および「Probe Library Construction」と題された国際特許出願公開第WO2016/018963号において論じられるような、MERFISHおよび他の手法に基づく。手法、例えば本明細書において論じられる手法は、単一の細胞内の別個のクロマチン遺伝子座をイメージングするために使用してもよく、クロマチン構造、それらの転写との関係性、核タンパク質との相互作用などへの洞察を提供するために使用してもよい。
一部の態様は、全体として、例えば細胞において、染色体またはクロマチンをイメージングするために、本明細書において説明される技法を含む、マルチプレックス化FISHまたは他の技法を使用する、一部の場合にはMERFISHを使用するシステムおよび方法を対象とする。加えて、ある特定の実施形態は、全体として、単一の細胞内の少なくとも100の別個のゲノム遺伝子座、少なくとも500の別個のゲノム遺伝子座、または少なくとも1,000の別個のゲノム遺伝子座などをイメージングおよび/または決定するシステムおよび方法を対象とする。一部の場合、細胞の他の部分または核、例えば核内に存在するRNA、例えば新生RNA、核スペックル、核小体、核ラミナ、他の核構造またはタンパク質などが決定されうる。非限定例として、細胞の核について、染色体もしくはクロマチン、新生RNA、核スペックル、核小体、および/または核ラミナの位置が決定されうる。
ある特定の実施形態は、細胞培養物、細胞の懸濁液、生物組織、生検、生物などを含みうる試料を決定することを対象とする。試料はまた、無細胞でもありうるが、これにもかかわらず、場合によって核酸を含有する。試料が細胞を含有する場合、細胞は、ヒト細胞または他の任意の適切な細胞、例えば、哺乳動物細胞、魚類細胞、昆虫細胞、植物細胞などであってもよい。場合によって、1つを超える細胞が存在する場合もある。
試料中において、決定される標的は、核酸、タンパク質などを含みうる。例えば、これらは、試料中の細胞の核内に存在しうる。ある特定の実施形態において、細胞内のクロマチンが、例えば、核スペックル、核小体、核ラミナ、または核構造もしくは核タンパク質を含む細胞の核構造に対して決定されうる。一部の場合、クロマチン遺伝子座および/またはRNA転写物が、細胞内において、例えば染色体またはゲノムスケールにおいて決定されうる。
そのような方法の一例をここで論じる。しかしながら、この方法は例として示され、限定ではないことを理解すべきである;また、他の態様および実施形態が、本明細書において論じられる。実施形態の1つのセットにおいて、細胞内の、例えば細胞の核内の、核酸が決定されるべきである。これらは典型的に、DNA(例えば、クロマチンの形態において、例えばヒストンなどのタンパク質と共にパッケージングされたクロマチンの形態において、存在しうるゲノムDNA)およびRNA(例えば、DNAがRNAへと転写される転写相の開始におけるRNA;核内のこのRNAは新生RNAと言及されることがある)を含む。細胞内のどこにでも存在しうるRNAを検出する技法とは対照的に、DNAは細胞の核内に高度に圧縮されており、そのためその構造を決定することが実質的により困難である。例えば、DNAは、染色体またはクロマチンとして細胞内において圧縮されていることがあり、そのようなDNAは多くの場合、核内において緊密にまとまって、からまっているかまたは圧縮されていることがある。したがって、ある特定の実施形態において、DNA標的は、空間的に隔てられているように選択されうる。
一部の場合、試料は、核酸プローブとの複数ラウンドのハイブリダイゼーションに供され、ここで1ラウンドまたは複数ラウンドのラウンドは、1つまたは複数の標的核酸を単色または多色イメージングにより標的化する。一部の場合、標的核酸の識別は、それらがイメージングされるのはどのラウンドおよび/またはどの色チャネルかに基づいて決定される。一部の場合、標的核酸の位置が決定される。一部の場合、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、または少なくとも10,000の標的核酸が決定される。一部の場合、標的核酸は、ゲノム遺伝子座である。一部の場合、標的核酸は、ゲノム遺伝子座および/または新生RNA転写物である。一部の場合、ゲノム遺伝子座の位置は、細胞内のクロマチンの三次元構成またはゲノムの三次元構成を決定するために使用される。
一部の場合、細胞内の、例えば細胞の核内の、核酸を標的化することが可能な一次核酸プローブが設計される。プローブの各々は、標的核酸のうちの1つに結合する標的配列を含有する。また、プローブは、一次核酸プローブの識別および位置を決定するために使用されうる1つまたは複数の「リードアウト配列」を含む部分を含有しうる。一部の実施形態において、一次核酸プローブは、複数のリードアウト配列を含有しうる。これらは、一次核酸プローブのリードアウト配列に結合しうる、リードアウトプローブと称される1ラウンドまたは複数ラウンドの二次核酸プローブを使用して個々に読むことができる。また、リードアウトプローブは、例えば多様な顕微鏡検査技法を使用して決定されうるシグナル発生実体、例えば蛍光実体を含有してもよい。一部の場合、複数ラウンドのリードアウトプローブを、1種類のリードアウトプローブが試料に適用され、試料中の蛍光が決定され、その後リードアウトプローブまたはリードアウトプローブ上のシグナル発生実体が不活性化または除去され、次の種類のリードアウトプローブが適用されるように、逐次的に適用してもよい。一部の場合、試料中の位置を、複数のリードアウトプローブと関連付けてもよく、この情報は分析のために数値化されうる。
一部の場合、複数ラウンドのリードアウトプローブを、1種類を超えるリードアウトプローブが各ラウンドにおいて試料に適用され、かつ/または試料中の蛍光が多色イメージングを使用して決定され、その後リードアウトプローブおよび/またはリードアウトプローブ上のシグナル発生実体が不活性化または除去され、2種類以上のリードアウトプローブの次のセットが適用されるように、逐次的に適用してもよい。一部の場合、試料中の位置を、複数のリードアウトプローブと関連付けてもよく、この情報は分析のために数値化されうる。
一部の場合、一次核酸プローブおよび標的核酸の位置は、1ラウンドまたは複数ラウンドのリードアウトプローブを使用して決定されうる。例えば、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1000ラウンドなどのリードアウトプローブが存在しうる。したがって、一部の場合、試料を、複数ラウンドの適用するリードアウトプローブへと曝露し、試料中のプローブを決定し(例えば本明細書において説明されるようにシグナル発生実体を使用して)、二次核酸プローブを除去または不活性化してもよい。
加えて、リードアウトプローブは全てが異なっている必要はないことを理解すべきである。一部の場合、対照などとして、複数ラウンドの核酸または他の化学物質を供給した効果のために、例えば任意の分解および/または移動が試料中において、例えば経時的に、起こったかどうかを決定するために、1ラウンドを超える同一のリードアウトプローブを使用してもよい。
一部の場合、試料は、核酸プローブとの複数ラウンドのハイブリダイゼーションに供され、各ラウンドは、単色または多色イメージングに供される。一部の場合、標的核酸の識別は、それらがイメージングされるのはラウンドおよび/または色チャネルのどの組合せかに基づき決定される。一部の場合、標的核酸の位置が決定される。一部の場合、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、または少なくとも10,000の標的核酸が決定される。一部の場合、標的核酸は、ゲノム遺伝子座である。一部の場合、標的核酸は、ゲノム遺伝子座および/または新生RNA転写物である。一部の場合、ゲノム遺伝子座の位置は、細胞内のクロマチンの三次元構成またはゲノムの三次元構成を決定するために使用される。
一部の場合、細胞内の、例えば細胞の核内の、核酸を標的化することが可能な一次核酸プローブ(符号化プローブとも称される)が設計される。プローブの各々は、標的核酸のうちの1つに結合する標的配列を含む。また、プローブは、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブの識別および位置を決定するために使用されうる1つまたは複数の「リードアウト配列」を含む部分を含有しうる。一部の実施形態において、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブは、複数のリードアウト配列を含有しうる。これらは、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブのリードアウト配列に結合しうる、1ラウンドまたは複数ラウンドのリードアウトプローブを使用して個々に読むことができる。また、リードアウトプローブは、例えば多様な顕微鏡検査技法を使用して決定されうるシグナル発生実体、例えば蛍光実体を含有してもよい。一部の場合、複数ラウンドのリードアウトプローブを、1種類のリードアウトプローブが試料に適用され、試料中の蛍光が決定され、その後リードアウトプローブまたはリードアウトプローブ上のシグナル発生実体が不活性化または除去され、次の種類のリードアウトプローブが適用されるように、逐次的に適用してもよい。一部の場合、試料中の位置を、複数のリードアウトプローブと関連付けてもよく、この情報は分析のために数値化されうる。一部の場合、複数ラウンドのリードアウトプローブを、1種類を超えるリードアウトプローブが各ラウンドにおいて試料に適用され、試料中の蛍光が多色イメージングを使用して決定され、その後リードアウトプローブまたはリードアウトプローブ上のシグナル発生実体が不活性化または除去され、1種類を超えるリードアウトプローブの次のセットが適用されるように、逐次的に適用してもよい。一部の場合、試料中の位置を、複数のリードアウトプローブと関連付けてもよく、この情報は分析のために数値化されうる。
一部の場合、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブおよび標的核酸の位置は、1ラウンドまたは複数ラウンドのリードアウトプローブを使用して決定されうる。例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも12、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも600、少なくとも700、少なくとも800、少なくとも900、少なくとも1,000ラウンドなどのリードアウトプローブが存在しうる。したがって、一部の場合、試料を、複数ラウンドの適用するリードアウトプローブへと曝露し、試料中のプローブを決定し(例えば本明細書において説明されるようにシグナル発生実体を使用して)、二次核酸プローブを除去または不活性化してもよい。
一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブは、一部の実施形態において、リードアウト配列の各々が独特であることを必ずしも必要とすることなく、試料中の様々な標的がリードアウト配列の様々な組合せを使用して決定可能であるように、設計されうる。非限定例として、4つの可能なリードアウト配列である、A、B、C、およびDにより、各核酸標的を標的化する一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブのセットが2つのリードアウト配列のみを含有する場合、例えば、AB、AD、CB、CD、AC、およびDBに対応する最高で6つの異なる標的が同定されうる。
しかしながら、一部の実施形態において、リードアウト配列の可能な組合せの全てが使用されるわけではない。その代わりに、組合せのうちの一部は、核内の任意の標的に割り当てられなくてもよく、例えば、それらの組合せを有する一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブは使用されない場合がある。一部の場合、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブにおいて使用されるリードアウト配列の有効な組合せは、エラーチェックおよび/またはエラー補正符号空間を形成するために配置されうる。そのような方法を使用して、有効な一次核酸プローブに対応しない、試料中のリードアウト配列の決定は、エラーチェックを使用してエラー内にあると決定される場合があり、一部の場合、例えば有効な一次核酸プローブに対応するように、エラー補正を使用してさらに補正してもよい。
そのような方法は、以前に、例えば「Systems and Methods for Determining Nucleic Acids」と題された国際特許出願公開第WO2016/018960号;および「Probe Library Construction」と題された国際特許出願公開第WO2016/018963号において説明されているが、そのような方法は、細胞の核内のより制約された環境においてDNAをイメージングすることに適用されなかった。言及される通り、細胞の残りの部分とは異なり、細胞の核は、細胞のゲノムDNAのほとんど全てを含む非常に大部分の核酸、および典型的に高濃度のRNA(例えば新生RNA)を含有する。
したがって、細胞の核内のDNAにアクセスするために、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブの標的は、核内における結合が空間的に隔てられた様式において起こるように選択されうる。例えば、標的は、それらがゲノム空間において隔てられている、例えばゲノム内において少なくとも10,000bp、少なくとも30,000bp、少なくとも100,000bp、少なくとも300,000bp、少なくとも1,000,000bp隔てられているように、またはゲノム空間が100を超えない、200を超えない、300を超えない、500を超えない、1000を超えない、5000を超えない、10,000を超えない、50,000を超えない、100,000を超えない核酸標的を含有するように選択されうる。一部の場合、また、例えば核内においてより多くの標的が決定されることを可能にするために、1種類を超える蛍光プローブまたは「色」を使用してもよい。
一部の実施形態において、また、細胞および/または核は、そのようなプローブが細胞および/または核の中の核酸に到達することを可能にするように改変されうる。例えば、細胞は、核酸プローブの進入を可能にするために透過処理または「固定」されうる。加えて、DNAは、一部の実施形態において、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブによるDNAへのより容易なアクセスを可能にするために、例えば熱を適用することにより、変性されうる。DNAが通常、二本鎖である一方で、RNAは一本鎖であるので、これはRNA決定には典型的には行われない。加えて、ある特定の実施形態において、DNAを研究しうる前に、例えばDNAを標的化するプローブがRNAに結合することを防ぐために、核内のRNAを除去および/または不活性化しなければならない。一部の場合、例えば、RNアーゼなどの酵素は、RNAがDNA決定と干渉することを防ぐために核へと適用されうる。
加えて、ある特定の実施形態において、核内のRNAもまた決定されうることに留意すべきである。これは、例えば核内のDNAおよびRNAの空間的位置、ならびにそれらがどのように互いに関連するかを研究する場合に、特に有益でありうる。したがって、実施形態の1つのセットにおいて、核内のRNAは、上記に説明されるRNAの除去または不活性化前に、例えばゲノムDNAについて上記に説明されることに類似して、決定されうる。
加えて、ある特定の実施形態において、細胞内の、例えば細胞の核内の、タンパク質もまた決定されうる。例として、核スペックル、核小体(nucleolis)、またはヒストンタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質を決定するための多様な方法を使用することができる。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、免疫蛍光アッセイが使用されうる。実施形態の別のセットにおいて、「サンドイッチアッセイ」を使用してもよく、ここで、核タンパク質に特異的に結合することが可能な一次抗体が適用され、その後、一次抗体に特異的に結合することが可能な二次抗体が使用され、二次抗体は蛍光実体などのシグナル発生実体を含有する。そのようなタンパク質の決定は、例えば核内の核酸の決定前または後に、上記と同じ試料または同じ核について行ってもよい。したがって、一部の場合、細胞の核内のタンパク質および核酸は、例えば空間的に、決定されうる。
上記の議論は、細胞の核内においてゲノムDNAおよび/または新生RNAなどの核酸を決定するために使用されうる一実施形態の非限定例である。しかしながら、他の実施形態もまた可能である。したがって、より全体として、多様な態様は、核酸のための多様なシステムおよび方法を対象とする。
言及される通り、ある特定の実施形態において、細胞内の、例えば細胞の核内の、DNA、RNA、およびタンパク質のうちの1つ、2つ、またはそれ以上が決定されうる。決定されるべき核内の核酸は、例えば、DNA(例えばゲノムDNA)、RNA、または細胞(もしくは他の試料)内に存在する他の核酸を含んでもよい。核酸は、細胞に内因性の場合もあり、細胞へと付加される場合もある。例えば、核酸は、ウイルス性の場合もあり、人工的に創出される場合もある。場合によって、決定される核酸は、細胞により発現されうる。一部の実施形態において、核酸は、RNAである。RNAは、コードRNA(coding RNA)および/または非コードRNAの場合がある。例えば、RNAは、タンパク質をコードしうる。細胞内において研究されうるRNAの非限定例は、mRNA、siRNA、rRNA、miRNA、tRNA、lncRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、piRNAなどを含む。
実施形態の1つのセットにおいて、細胞のゲノムの全てまたは少なくともかなりの部分が決定されうる。決定されたゲノムセグメントは、ゲノム上で、連続であるか、または中断される場合がある。例えば、場合によって、細胞内の、少なくとも4つのゲノムセグメントが決定され、場合によって、細胞内の、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも22、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも50、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも72、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも127、少なくとも128、少なくとも140、少なくとも255、少なくとも256、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも7,500、少なくとも10,000、少なくとも12,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも40,000、少なくとも50,000、少なくとも75,000、または少なくとも100,000のゲノムセグメントが決定されうる。
場合によって、細胞の全ゲノムが決定されうる。ゲノムは、全般的に、染色体DNAだけではなく、細胞内において産生される、全てのDNA分子を包含することを理解されたい。したがって、例えば、ゲノムはまた、場合によって、例えば、染色体DNAに加えて(または染色体DNAではなく)、ミトコンドリアDNA、クロロプラストDNA、プラスミドDNAなども含みうる。一部の実施形態において、細胞のゲノムの少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または100%が決定されうる。
加えて、一部の実施形態において、細胞内の、または細胞の核内の、核酸のかなりの部分が研究されうる。例えば、一部の場合、核内のRNA、例えば新生RNAが決定されうる。加えて、一部の場合、細胞内に存在するRNAの十分量が、細胞の部分または完全トランスクリプトームを産生するために決定されうる。一部の場合、少なくとも4種類のRNA(例えば、mRNA、新生RNAなど)が、細胞内において、または細胞の核内において決定され、一部の場合、少なくとも3種類、少なくとも4種類、少なくとも7種類、少なくとも8種類、少なくとも12種類、少なくとも14種類、少なくとも15種類、少なくとも16種類、少なくとも20種類、少なくとも22種類、少なくとも30種類、少なくとも31種類、少なくとも32種類、少なくとも50種類、少なくとも63種類、少なくとも64種類、少なくとも72種類、少なくとも75種類、少なくとも100種類、少なくとも127種類、少なくとも128種類、少なくとも140種類、少なくとも255種類、少なくとも256種類、少なくとも500種類、少なくとも1,000種類、少なくとも1,500種類、少なくとも2,000種類、少なくとも2,500種類、少なくとも3,000種類、少なくとも4,000種類、少なくとも5,000種類、少なくとも7,500種類、少なくとも10,000種類、少なくとも12,000種類、少なくとも15,000種類、少なくとも20,000種類、少なくとも25,000種類、少なくとも30,000種類、少なくとも40,000種類、少なくとも50,000種類、少なくとも75,000種類、または少なくとも100,000種類のRNAが、細胞内において、または細胞の核内において決定されうる。
場合によって、細胞のトランスクリプトームが決定されうる。トランスクリプトームは、全般的に、mRNAだけではなく、細胞内において産生される、全てのRNA分子を包含することを理解されたい。したがって、例えば、トランスクリプトームはまた、ある特定の場合には、rRNA、tRNA、siRNAなども含みうる。一部の実施形態において、細胞のトランスクリプトームの少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が決定されうる。加えて、一部の場合、細胞の核のトランスクリプトームが決定されうる。
さらに、一部の実施形態において、決定される他の標的は、核酸、タンパク質などへと連結されている標的を含みうる。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、標的を認識することが可能な結合性実体は、核酸プローブへとコンジュゲートされていてもよい。結合性実体は、標的を、例えば、特異的に、または非特異的に認識しうる、任意の実体でありうる。非限定例は、酵素、抗体、受容体、相補性核酸鎖、アプタマーなどを含む。例えば、オリゴヌクレオチドへと連結された抗体は、標的を決定するのに使用されうる。標的は、オリゴヌクレオチドへと連結された抗体に結合することが可能であり、オリゴヌクレオチドは、本明細書において論じられる通りに決定されうる。
細胞内または他の試料中の核酸などの標的の決定は、定性的および/または定量的な場合がある。加えて、決定は、空間的であることが可能であり、例えば、細胞内または他の試料中の、核酸または他の標的の位置が、二次元または三次元において決定されうる。一部の実施形態において、細胞内または他の試料中の、核酸または他の標的の、位置、数、および/または濃度が決定されうる。
言及される通り、実施形態の1つのセットにおいて、細胞の核内のDNA、例えば細胞のゲノムDNAは、例えばエラー検出符号および/またはエラー補正符号による逐次的イメージングを使用することまたはコンビナトリアルのイメージングを使用することを含む、例えば本明細書において論じられるような核酸プローブを使用して、研究されうる。
ある特定の実施形態において、細胞内の、または細胞の核内の、DNA標的またはDNA標的と関連付けられる符号は、標的がイメージングの各ラウンドにおいて、例えば染色体の、小さくまとまった領域へと構成されるなどのクロマチン構成の知識に基づき、例えばゲノム空間においてまたは物理的空間において、空間的に隔てられるように選択されうる。これは、例えば本明細書において論じられる技法などの技法を使用して、例えば細胞の核の細胞内の様々な標的を同定することを可能にするために有用でありうる。
ゲノム空間内の標的を、任意の適切な技法を使用して、例えばランダムに、または実質的に均一な確率分布などを有して選択してもよい。ある特定の実施形態において、標的は、空間分離を確実にするように個々に選択されうる。加えて、一部の実施形態において、標的は、例えば特定の研究のための、ゲノム内の目的の標的であるように選択されうる。
例えば、一部の実施形態において、標的は、ゲノム空間内において、核がある特定の数を超えない核酸標的を有するように選択されうる。例えば、標的は、ゲノム空間が、100,000を超えない、10,000を超えない、8,000を超えない、6,000を超えない、5,000を超えない、4,000を超えない、3,000を超えない、2,000を超えない、1,500を超えない、1,000を超えない、900を超えない、800を超えない、700を超えない、600を超えない、500を超えない、400を超えない、300を超えない、200を超えない、100を超えない核酸標的、30を超えない核酸標的、または10を超えない核酸標的を含有するように選択されうる。加えて、一部の実施形態において、標的は、ゲノム空間が、少なくとも10、少なくとも30、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも3,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも100,000などの核酸標的を含有するように選択されうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、ある特定の実施形態において可能であり、例えば、30~100、3,000~5,000、500~1,500などの核酸標的が存在しうる。そのような標的は、本明細書において論じられる通り、例えば選択的に、ランダムになど、選択されうる。
別の例として、一部の実施形態において、標的は、ゲノム内の染色体がある特定の数を超えない核酸標的(例えばゲノム遺伝子座)を有するように選択されうる。例えば、標的は、各染色体が、10,000を超えない、1000を超えない、500を超えない、400を超えない、300を超えない、200を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、90を超えない、80を超えない、70を超えない、60を超えない、50を超えない、40を超えない、30を超えない、20を超えない、または10を超えない核酸標的を有するように選択されうる。一部の場合、標的は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも1,000、少なくとも10,000などの核酸標的を有するように選択されうる。一部の場合、これらの組合せを選択してもよく、例えば、染色体は、30~50、40~100、50~60、30~80などの核酸標的を有しうる。加えて、異なる染色体は、例えば本明細書において説明される範囲を含む、同じまたは異なる数の核酸標的を独立的に有しうる。
そのような標的は、例えば本明細書において論じられる通り、例えば選択的に、ランダムになど、選択されうる。非限定例として、ゲノム内の核酸標的は、特定の構造または機能特性、例えば、特定の核アーキテクチャタンパク質が結合しているプロモーター、エンハンサー、および遺伝子座を有するように選択されうる。一部の場合、核酸標的の一部または全ては、それらの各々の染色体に独特である核酸標的でありうる。
また別の実施形態において、標的は、例えば空間的に隔てられた標的の分布を促進するために、最小のある特定の数のヌクレオチド隔てられているように選択されうる。例えば、標的は、ゲノム内において、どの標的も少なくとも1,000、少なくとも3,000、少なくとも5,000、少なくとも10,000、少なくとも30,000、少なくとも50,000、少なくとも100,000、少なくとも300,000、少なくとも500,000、少なくとも1,000,000、少なくとも3,000,000、少なくとも5,000,000、少なくとも10,000,000ヌクレオチドなど隔てられているように選択されうる。加えて、ある特定の実施形態において、標的は、ゲノム内において、どの標的も10,000,000ヌクレオチドを超えない、5,000,000ヌクレオチドを超えない、3,000,000ヌクレオチドを超えない、1,000,000ヌクレオチドを超えない、500,000ヌクレオチドを超えない、300,000ヌクレオチドを超えない、100,000ヌクレオチドを超えない、50,000ヌクレオチドを超えない、30,000ヌクレオチドを超えない、10,000ヌクレオチドを超えないだけ隔てられているように選択されうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、ある特定の実施形態において可能であり、例えば、標的は、30,000~100,000、3,000,000~5,000,000、500,000~1,000,000ヌクレオチドなど隔てられている場合がある。そのような標的は、本明細書において論じられる通り、例えば選択的に、ランダムになど、選択されうる。
加えて、実施形態の1つのセットにおいて、細胞の核内のRNA、例えば細胞の新生RNAが、例えば上記に説明される核内のDNAの代わりにまたはそれに加えて、研究されうる。一部の場合、例えば、核内のRNAが決定されることがあり、その後、核内のDNAが決定されうる。
一部の場合、RNAを決定した後、RNAは、DNAを決定する前に除去または不活性化されうる。こうすることにより、例えば、DNA決定を複雑化しうるRNAシグナルは存在しないので、DNAおよびRNA決定の分離を促進しうる。RNAを除去または不活性化する方法の例は、エンドリボヌクレアーゼまたはエキソリボヌクレアーゼなどのRNアーゼの使用を含む。特定の非限定例として、RNアーゼA、RNアーゼH、RNアーゼIII、RNアーゼL、RNアーゼP、RNアーゼPhyM、RNアーゼT1、RNアーゼT2、RNアーゼU2、RNアーゼV、PNPアーゼ、RNアーゼPH、RNアーゼR、RNアーゼD、RNアーゼT、オリゴリボヌクレアーゼ、エキソリボヌクレアーゼI、エキソリボヌクレアーゼIIその他が挙げられる。
しかしながら、他の実施形態において、DNAがRNAの前に決定されてもよく、かつ/または両方が同時に決定されてもよいことを理解すべきである。例えば、DNAは、エキソデオキシリボヌクレアーゼまたはエンドデオキシリボヌクレアーゼなどのDNアーゼを使用して、決定後に除去または不活性化されうる。例として、デオキシリボヌクレアーゼI(DNアーゼI)、デオキシリボヌクレアーゼII(DNアーゼII)、DNアーゼIV、UvrABCエンドヌクレアーゼその他が挙げられるが、これらに限定されない。別の例として、DNAは、制限エンドヌクレアーゼへの曝露により分解されうる。多くのそのようなヌクレアーゼは、市販されている。
核内のRNAは、任意の適切な技法を使用して決定することができ、核内のDNAを決定するために使用されるのと同じまたは異なる技法を使用して決定されうる。一実施形態において、RNAは、MERFISHを使用して決定することができる。例えば、各々が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、「Systems and Methods for Determining Nucleic Acids」と題された国際特許出願公開第WO2016/018960号;および「Probe Library Construction」と題された国際特許出願公開第WO2016/018963号を参照されたい。別の実施形態において、RNAは、例えば本明細書において論じられる通り、複数の核酸プローブを使用して決定されうる。例えば、一部の実施形態において、RNAは、以下に説明される通り、符号化核酸プローブ、一次増幅核酸、二次増幅核酸などの核酸を使用して決定されうる。一部の場合、核酸プローブは、例えば本明細書において論じられる通り、エラー検出および/またはエラー補正符号を規定しうる。
一部の実施形態において、ゲノムDNAなどのDNAは、本明細書において説明される通り、符号化核酸プローブ、一次増幅核酸、二次増幅核酸などの核酸を使用して決定されうる。一部の場合、核酸プローブは、例えば本明細書において論じられる通り、エラー検出および/またはエラー補正符号を規定しうる。
加えて、実施形態の1つのセットにおいて、細胞の核内のタンパク質は、例えば核内に存在する核酸に加えて、上記に説明される技法などの技法を使用して研究されうる。研究されうるタンパク質の例として、核スペックル、核小体、核ラミナ、またはヒストンタンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない。スペックルは、プレメッセンジャーRNAスプライシング因子が富化されており、哺乳動物細胞の核細胞質のクロマチン間領域に位置しうる構造である。核小体は、リボソームRNA(rRNA)をコードする頻繁に転写されるゲノム遺伝子座の周りに形成される構造であり、rRNAおよびそれと会合する転写装置について富化されている場合がある。各ラミナは、核内膜に伴うタンパク質構造であり、中間径フィラメント(ラミン)および転写的に不活性であるクロマチンについて富化されている場合がある。ヒストンは、核内においてDNAを包んでまたは折り畳んで、より小さくまとまった複合体にし、クロマチンを形成するために、使用されるタンパク質である。
タンパク質を決定するための多様な方法を使用することができる。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、免疫蛍光アッセイが使用されうる。実施形態の別のセットにおいて、「サンドイッチアッセイ」を使用してもよく、ここで、核タンパク質に特異的に結合することが可能な一次抗体が適用され、その後、一次抗体に特異的に結合することが可能な二次抗体が使用され、二次抗体は蛍光実体などのシグナル発生実体、または例えば蛍光実体に連結される相補的オリゴヌクレオチドを使用して検出されうるオリゴヌクレオチドを含有する。そのようなタンパク質の決定は、例えば核内の核酸の決定前または後に、上記と同じ試料または同じ核について行ってもよい。したがって、一部の場合、細胞の核内のタンパク質および核酸は、例えば空間的に、決定されうる。
言及される通り、本明細書において説明される実施形態などの多様な実施形態において、多様な核酸プローブは、細胞または他の試料中の、例えば細胞の核内の1つまたは複数の標的を決定するために使用することができる。プローブは、核酸(または核酸に、例えば特異的に、ハイブリダイズすることができる実体)、例えばDNA、RNA、LNA(ロックド核酸)、PNA(ペプチド核酸)、および/またはそれらの組合せを含みうる。核酸プローブの例として、各々が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、「Systems and Methods for Determining Nucleic Acids」と題された国際特許出願公開第WO2016/018960号;および「Probe Library Construction」と題された国際特許出願公開第WO2016/018963号が挙げられるが、これらに限定されない。場合によって、例えば、本明細書において論じられる通り、核酸プローブ内には、さらなる構成要素もまた、存在しうる。加えて、任意の適切な方法を使用して、核酸プローブを細胞へと導入する、例えば細胞の核を標的化することができる。
例えば、一部の実施形態において、細胞は、例えば、細胞内の、例えば核内の、核酸または他の標的の位置を保存するために、核酸プローブを導入する前に固定される。細胞を固定するための技法は、当業者に公知である。非限定例として述べると、細胞は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸などの化学物質を使用して固定されうる。一実施形態において、細胞は、Hepes-グルタミン酸緩衝液媒介有機溶媒(HOPE)を使用して固定されうる。
加えて、一部の場合、細胞(または他の試料)は、例えば比較的長い実験の間、1回を超えて固定してもよい。例として、試料は、実験開始後、例えば細胞の核を複数の核酸プローブへと曝露した後に、再固定されうる。例えば、細胞または他の試料は、少なくとも7日毎に1回、少なくとも4日毎に1回、少なくとも2日毎に1回、少なくとも毎日1回、少なくとも12時間毎に1回、少なくとも6時間毎に1回、少なくとも3時間毎に1回など固定されうる。一部の場合、これは、例えば核酸プローブ(例えば一次または二次核酸プローブ)への曝露などの、多様なラウンドの間において行われうる。一部の場合、試料は、ある特定の回数、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10回、または他の任意の適切な回数固定されうる。多数回の固定が行われる場合、これらは、同じまたは異なる固定技法を独立的に使用しうる。
核酸プローブは、任意の適切な方法を使用して細胞(または他の試料)へと導入されうる。場合によって、細胞は、核酸プローブが、細胞の近傍に核酸プローブを含有する流体により、細胞へと導入されうるように、十分に透過処理されうる。場合によって、細胞は、固定工程の一部として、十分に透過処理される場合もあり、他の実施形態において、細胞は、エタノール、メタノール、Tritonなど、ある特定の化学物質への曝露により透過処理されうる。加えて、一部の実施形態において、電気穿孔またはマイクロインジェクションなどの技法を使用して、核酸プローブを細胞または他の試料へと導入することができる。
したがって、ある特定の態様は、全般的に、細胞(または他の試料)へと導入される核酸プローブを対象とする。プローブは、適用に応じて、典型的に、ワトソン-クリック型の塩基対合により、DNA、RNA、LNA、PNAなどの核酸と、ハイブリダイズしうる、様々な実体のうちのいずれかを含みうる。核酸プローブは、典型的に、標的、例えば、標的核酸の、少なくとも一部に結合することが可能な標的配列を含有する。場合によって、結合は、特異的結合(例えば、相補的結合を介する)でありうる。細胞または他のシステムへと導入されると、標的配列は、特異的標的(例えば、新生RNA、ゲノムDNA、mRNAまたは本明細書において論じられる他の核酸)に結合することが可能でありうる。核酸プローブはまた、下記において論じられる、1個または複数個のリードアウト配列も含有しうる。
場合によって、1種類を超える核酸プローブは、試料へと、例えば、逐次的に適用される場合もあり、同時に適用される場合もある。例えば、試料へと、例えば細胞の核を標的化するために細胞へと、適用される、少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも25個、少なくとも50個、少なくとも75個、少なくとも100個、少なくとも300個、少なくとも1,000個、少なくとも3,000個、少なくとも10,000個、少なくとも30,000個、少なくとも100,000個、少なくとも300,000個、少なくとも1,000,000個の識別可能な核酸プローブが存在しうる。場合によって、核酸プローブは、逐次的に添加されうる。しかし、場合によって、1つを超える核酸プローブは、同時に添加されうる。
核酸プローブは、核酸プローブ内の任意の場所に配置されうる、1つまたは複数の標的配列を含みうる。標的配列は、核内に存在しうる標的、例えば標的核酸の一部に実質的に相補的である領域を含有しうる。例えば、場合によって、部分は、例えば、特異的結合をもたらすように、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補性でありうる。典型的に、相補性は、ワトソン-クリック型のヌクレオチド塩基対合に基づき決定される。
場合によって、標的配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。場合によって、標的配列は、500を超えない、450を超えない、400を超えない、350を超えない、300を超えない、250を超えない、200を超えない、175を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、75を超えない、60を超えない、65を超えない、60を超えない、55を超えない、50を超えない、45を超えない、40を超えない、35を超えない、30を超えない、20を超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、可能でありうる、例えば、標的配列は、10~30ヌクレオチドの間、20~40ヌクレオチドの間、5~50ヌクレオチドの間、10~200ヌクレオチドの間、または25~35ヌクレオチドの間、10~300ヌクレオチドの間などの長さを有しうる。
一部の実施形態において、細胞または細胞の核内の核酸標的または核酸標的と関連付けられる符号は、標的がイメージングの各ラウンドにおいて、染色体の、小さくまとまった領域へと構成されるなどの以前のクロマチン構成の知識に基づき、例えばゲノム空間においてまたは物理的空間において、空間的に隔てられるように選択されうる。
加えて、一部の場合、核酸プローブの標的配列は、細胞または他の試料中に、例えば細胞の核内に、存在すると思われる標的を参照して決定されうる。例えば、タンパク質に対する標的核酸(例えば、核スペックル、核ラミナなど)は、例えば、タンパク質を形成するように発現される核酸を決定することにより、タンパク質の配列を使用して決定されうる。場合によって、例えば、上記において論じられた長さを有するタンパク質をコードする核酸の一部だけが使用される。
ある特定の実施形態に従って、特定の標的を同定するために使用されうる1つを超える標的配列を使用してもよい。例えば、同じ標的の、同じまたは異なる領域に、逐次的に、かつ/もしくは同時に結合しうるか、またはこれと、逐次的に、かつ/もしくは同時にハイブリダイズしうる、複数のプローブが使用されうる。ハイブリダイゼーションとは、典型的に、相補性の一本鎖核酸が、ワトソン-クリック型のヌクレオチド塩基対合(例えば、グアニン-シトシン間およびアデニン-チミン間の水素結合)を介して会合して、二本鎖核酸を形成する、アニーリング工程を指す。
一部の実施形態において、核酸プローブはまた、1つまたは複数の「リードアウト」配列も含みうる。リードアウト配列は、例えば、下記において論じられる、シグナル発生実体との会合を介して、核酸プローブを同定するのに使用されうる。一部の実施形態において、核酸プローブは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個またはこれを超える、20個またはこれを超える、24個またはこれを超える、32個またはこれを超える、40個またはこれを超える、48個またはこれを超える、50個またはこれを超える、64個またはこれを超える、75個またはこれを超える、100個またはこれを超える、128個またはこれを超えるリードアウト配列を含みうる。リードアウト配列は、核酸プローブ内の任意の場所に配置されうる。1つを超えるリードアウト配列が存在する場合、リードアウト配列は、互いと隣り合わせて配置される場合もあり、かつ/または他の配列により中断される場合もある。
リードアウト配列は、任意の長さでありうる。1つを超えるリードアウト配列が使用される場合、リードアウト配列は、独立に、同じまたは異なる場合がある。例えば、リードアウト配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。場合によって、リードアウト配列は、500を超えない、450を超えない、400を超えない、350を超えない、300を超えない、250を超えない、200を超えない、175を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、75を超えない、60を超えない、65を超えない、60を超えない、55を超えない、50を超えない、45を超えない、40を超えない、35を超えない、30を超えない、20を超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、可能でありうる、例えば、リードアウト配列は、10~30ヌクレオチドの間、20~40ヌクレオチドの間、5~50ヌクレオチドの間、10~200ヌクレオチドの間、または25~35ヌクレオチドの間、10~300ヌクレオチドの間などの長さを有しうる。
一部の実施形態において、リードアウト配列は、任意またはランダムでありうる。ある特定の場合に、リードアウト配列は、細胞または他の試料の、他の成分との相同性を低減するか、または最小化するように、例えば、リードアウト配列自体が、細胞内または他の試料中に存在すると思われる他の核酸と結合したり、ハイブリダイズしたりしないように選び出される。場合によって、相同性は、10%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満でありうる。場合によって、20塩基対未満、18塩基対未満、15塩基対未満、14塩基対未満、13塩基対未満、12塩基対未満、11塩基対未満、または10塩基対未満の相同性が存在する場合もある。場合によって、このような塩基対は、連続的である。
加えて、一部の実施形態において、リードアウト配列の一部または全ては、それらが互いへのおよび/または試料中に存在すると思われるゲノムもしくは他の核酸への特異的結合を呈しないように選択されうる。例えば、リードアウト配列の集団は、特異的結合または相補性について「ブラストされる(blasted)」かまたは試験されうる。一部の場合、リードアウト配列は、互いへの特異的結合を呈しない場合があり、かつ/またはそのため、リードアウト配列の集団内のリードアウト配列のいずれも、リードアウト配列の集団内の別のリードアウト配列への5、6、7、8、9、10ヌクレオチドなどを超える相補性を有しない。
実施形態の1つのセットにおいて、核酸プローブの集団は、試料中において決定されるべき核酸標的の数と同じでありうる、ある特定の数のリードアウト配列を含有する場合があり、例えば、各独特なリードアウト配列は独特な標的に対応する。実施形態の別のセットにおいて、核酸プローブの集団は、試料中において決定されるべき核酸標的の数未満でありうる、ある特定の数のリードアウト配列を含有しうる。当業者は、1つのシグナル発生実体と、nのリードアウト配列が存在する場合、一般に、2n-1の異なる核酸標的が、固有に同定されうることを承知するであろう。しかし、全ての可能な組合せが使用される必要はない。例えば、核酸プローブ集団は、12の異なる核酸標的をターゲティングしうるが、8個を超えないリードアウト配列を含有しうる。別の例として述べると、核酸プローブ集団は、140の異なる核酸標的をターゲティングしうるが、16個を超えないリードアウト配列を含有しうる。各プローブ内のリードアウト配列の、異なる組合せを使用することにより、異なる核酸標的が、個別に同定されうる。例えば、核酸プローブの集団は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16などまたはそれよりも多くのリードアウト配列を含有しうる。場合によって、核酸プローブ集団は、各々、同じ数のリードアウト配列を含有しうるが、他の場合には、多様なプローブ上に、異なる数のリードアウト配列が存在しうる。
非限定例として述べると、第1の核酸プローブは、第1の標的配列、第1のリードアウト配列、および第2のリードアウト配列を含有しうるが、第2の、異なる核酸プローブは、第2の標的配列、同じ第1のリードアウト配列を含有しうるが、第2のリードアウト配列ではなく、第3のリードアウト配列を含有しうる。このようなプローブは、こうして、本明細書において論じられる通り、所与のプローブまたは位置に存在するか、またはこれと会合した、多様なリードアウト配列を決定することにより識別されうる。例えば、プローブは、下記において論じられる、「符号語」を使用して、逐次的に同定され、符号化されうる。符号語はまた、エラーの検出および/または補正にかけられてもよい。
別の非限定例として、核酸プローブの第1の集団は、第1の標的配列、第1のリードアウト配列、および第2のリードアウト配列を含有する場合があり、一方で、核酸プローブの第2の異なる集団は、第2の標的配列、同じ第1のリードアウト配列を含有するが、第2のリードアウト配列の代わりに第3のリードアウト配列を含有する場合がある。そのようなプローブは、それによって、本明細書において論じられる通り、所与のプローブまたは位置に存在するかまたはそれと会合する多様なリードアウト配列を決定することによって区別されうる。例えば、プローブの集団は、以下に論じられる通り、「符号語」を使用して逐次的に同定および符号化することができる。また、適宜、符号語は、エラー検出および/または補正に供してもよい。
加えて、ある特定の実施形態において、核酸プローブ集団は、プローブ集団内の、全ての「G」を除外するか、または「C」の全てを除外するなど、4つの天然に存在するヌクレオチド塩基のうちの、2つだけまたは3つだけを使用して作られうる。ある特定の実施形態において、「G」または「C」を欠く配列は、二次構造をほとんど形成せず、より均質で、迅速なハイブリダイゼーションに寄与しうる。したがって、場合によって、核酸プローブは、A、T、およびGだけ;A、T、およびCだけ;A、C、およびGだけ;またはT、C、およびGだけを含有しうる。
一態様において、核酸プローブ上のリードアウト配列は、対応する一次増幅核酸上の認識配列に結合する(例えば、特異的に)ことが可能でありうる。したがって、核酸プローブが、生物学的試料中の標的、例えば、DNAまたはRNA標的を認識する場合、一次増幅核酸はまた、核酸プローブのリードアウト配列と、対応する、一次増幅核酸上の認識配列との相互作用、例えば、相補性結合により、核酸プローブを介して、標的と会合することも可能である。例えば、認識配列は、標的リードアウト配列を認識することが可能でありうるが、他の非標的リードアウト配列を、実質的に認識しないか、またはこれらに実質的に結合しない。一次増幅核酸はまた、適用に応じて、核酸、例えば、DNA、RNA、LNA、および/またはPNAなどとハイブリダイズすることが可能な、様々な実体のうちのいずれかも含みうる。例えば、このような実体は、認識配列の一部または全部を形成しうる。
場合によって、認識配列は、標的リードアウト配列に対して、実質的に相補性でありうる。場合によって、配列は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補性でありうる。典型的に、相補性は、ワトソン-クリック型のヌクレオチド塩基対合に基づき決定される。標的リードアウト配列の構造は、既に記載されている構造を含みうる。
場合によって、認識配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。場合によって、認識配列は、500、450を超えない、400を超えない、350を超えない、300を超えない、250を超えない、200を超えない、175を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、75を超えない、60を超えない、65を超えない、60を超えない、55を超えない、50を超えない、45を超えない、40を超えない、35を超えない、30を超えない、20を超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、可能でありうる、例えば、認識配列は、10~30ヌクレオチドの間、20~40ヌクレオチドの間、5~50ヌクレオチドの間、10~200ヌクレオチドの間、または25~35ヌクレオチドの間、10~300ヌクレオチドの間などの長さを有しうる。
一部の実施形態において、一次増幅核酸はまた、下記において論じられる、二次増幅核酸に結合することが可能な、1個または複数個のリードアウト配列も含みうる。例えば、一次増幅核酸は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個またはこれを超える、20個またはこれを超える、32個またはこれを超える、40個またはこれを超える、50個またはこれを超える、64個またはこれを超える、75個またはこれを超える、100個またはこれを超える、128個またはこれを超えるリードアウト配列を含みうる。リードアウト配列は、一次増幅核酸内の任意の場所に配置されうる。1つを超えるリードアウト配列が存在する場合、リードアウト配列は、互いと隣り合わせて配置される場合もあり、かつ/または他の配列により中断される場合もある。一実施形態において、一次増幅核酸は、第1の末端において、認識配列を含み、第2の末端において、複数個のリードアウト配列を含む。
場合によって、一次増幅核酸内のリードアウト配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。場合によって、リードアウト配列は、500を超えない、450を超えない、400を超えない、350を超えない、300を超えない、250を超えない、200を超えない、175を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、75を超えない、60を超えない、65を超えない、60を超えない、55を超えない、50を超えない、45を超えない、40を超えない、35を超えない、30を超えない、20を超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、可能でありうる、例えば、リードアウト配列は、10~20ヌクレオチドの間、10~30ヌクレオチドの間、20~40ヌクレオチドの間、5~50ヌクレオチドの間、10~200ヌクレオチドの間、または25~35ヌクレオチドの間、10~300ヌクレオチドの間などの長さを有しうる。
一次増幅核酸内には、任意の数のリードアウト配列が存在しうる。例えば、一次増幅核酸内には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはこれを超えるリードアウト配列が存在しうる。一次増幅核酸内に、1つを超えるリードアウト配列が存在する場合、リードアウト配列は、同じまたは異なる場合がある。場合によって、例えば、リードアウト配列は、全て、同一でありうる。
一部の実施形態において、一次増幅核酸の集団は、核酸集団内の、全ての「G」を除外するか、または「C」の全てを除外するなど、4つの天然に存在するヌクレオチド塩基のうちの、2つだけまたは3つだけを使用して作られうる。ある特定の実施形態において、「G」または「C」を欠く配列は、二次構造をほとんど形成せず、より均質で、迅速なハイブリダイゼーションに寄与しうる。したがって、場合によって、一次増幅核酸は、A、T、およびGだけ;A、T、およびCだけ;A、C、およびGだけ;またはT、C、およびGだけを含有しうる。
場合によって、1種類を超える一次増幅核酸は、試料へと、例えば、逐次的にまたは同時に適用される場合がある。例えば、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも300、少なくとも1,000、少なくとも3,000、少なくとも10,000、または少なくとも30,000の識別可能な一次増幅核酸が、試料へと適用されうる。場合によって、一次増幅核酸は、逐次的に添加されうる。しかし、場合によって、1つを超える一次増幅核酸は、同時に添加されうる。
実施形態の1つのセットにおいて、一次増幅核酸上のリードアウト配列は、対応する二次増幅核酸上の認識配列に結合する(例えば、特異的に)ことが可能でありうる。したがって、核酸プローブが、生物学的試料中の標的、例えば、DNAまたはRNA標的を認識する場合、二次増幅核酸はまた、一次増幅核酸のリードアウト配列と、対応する二次増幅核酸増幅核酸上の認識配列との相互作用、例えば、相補性結合により、一次増幅核酸を介して、標的と会合することも可能である。例えば、二次増幅核酸上の認識配列は、一次増幅核酸上のリードアウト配列を認識することが可能でありうるが、他の非標的リードアウト配列を、実質的に認識しないか、またはこれらに実質的に結合しない。二次増幅核酸はまた、適用に応じて、核酸、例えば、DNA、RNA、LNA、および/またはPNAなどとハイブリダイズすることが可能な、様々な実体のうちのいずれかも含みうる。例えば、このような実体は、認識配列の一部または全部を形成しうる。
場合によって、二次増幅核酸上の認識配列は、一次増幅核酸上のリードアウト配列に対して、実質的に相補性でありうる。場合によって、配列は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%相補性でありうる。
場合によって、二次増幅核酸上の認識配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。場合によって、認識配列は、500を超えない、450を超えない、400を超えない、350を超えない、300を超えない、250を超えない、200を超えない、175を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、75を超えない、60を超えない、65を超えない、60を超えない、55を超えない、50を超えない、45を超えない、40を超えない、35を超えない、30を超えない、20を超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、可能でありうる、例えば、認識配列は、10~30ヌクレオチドの間、20~40ヌクレオチドの間、5~50ヌクレオチドの間、10~200ヌクレオチドの間、または25~35ヌクレオチドの間、10~300ヌクレオチドの間などの長さを有しうる。
一部の実施形態において、二次増幅核酸は、本明細書において論じられる通り、シグナル発生実体を含む場合があり、かつ/またはシグナル発生実体に結合することが可能な1つもしくは複数のリードアウト配列を含む場合がある。例えば、二次増幅核酸は、シグナル発生実体に結合することが可能な、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個またはこれを超える、20個またはこれを超える、32個またはこれを超える、40個またはこれを超える、50個またはこれを超える、64個またはこれを超える、75個またはこれを超える、100個またはこれを超える、128個またはこれを超えるリードアウト配列を含みうる。リードアウト配列は、二次増幅核酸内の任意の場所に配置されうる。1つを超えるリードアウト配列が存在する場合、リードアウト配列は、互いと隣り合わせて配置される場合もあり、かつ/または他の配列により中断される場合もある。一実施形態において、二次増幅核酸は、第1の末端において、認識配列を含み、第2の末端において、複数個のリードアウト配列を含む。この構造はまた、一次増幅核酸の構造と、同じまたは異なる場合がある。
場合によって、二次増幅核酸内のリードアウト配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。場合によって、リードアウト配列は、500を超えない、450を超えない、400を超えない、350を超えない、300を超えない、250を超えない、200を超えない、175を超えない、150を超えない、125を超えない、100を超えない、75を超えない、60を超えない、65を超えない、60を超えない、55を超えない、50を超えない、45を超えない、40を超えない、35を超えない、30を超えない、20を超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれかの組合せもまた、可能でありうる、例えば、二次増幅核酸内のリードアウト配列は、10~20ヌクレオチドの間、10~30ヌクレオチドの間、20~40ヌクレオチドの間、5~50ヌクレオチドの間、10~200ヌクレオチドの間、または25~35ヌクレオチドの間、10~300ヌクレオチドの間などの長さを有しうる。
二次増幅核酸内には、任意の数のリードアウト配列が存在しうる。例えば、二次増幅核酸内には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個、またはこれを超えるリードアウト配列が存在しうる。二次増幅核酸内に、1つを超えるリードアウト配列が存在する場合、リードアウト配列は、同じまたは異なる場合がある。場合によって、例えば、リードアウト配列は、全て、同一でありうる。加えて、一次増幅核酸内および二次増幅核酸内には、独立に、同じまたは異なる数のリードアウト配列が存在する場合がある。
ある特定の実施形態において、二次増幅核酸の集団は、核酸集団内の、全ての「G」を除外するか、または「C」の全てを除外するなど、4つの天然に存在するヌクレオチド塩基のうちの、2つだけまたは3つだけを使用して作られうる。ある特定の実施形態において、「G」または「C」を欠く配列は、二次構造をほとんど形成せず、より均質で、迅速なハイブリダイゼーションに寄与しうる。したがって、場合によって、二次増幅核酸は、A、T、およびGだけ;A、T、およびCだけ;A、C、およびGだけ;またはT、C、およびGだけを含有しうる。
場合によって、1種類を超える二次増幅核酸は、試料へと、例えば、逐次的にまたは同時に適用される場合がある。例えば、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも300、少なくとも1,000、少なくとも3,000、少なくとも10,000、または少なくとも30,000の識別可能な二次増幅核酸が、試料へと適用されうる。場合によって、二次増幅核酸は、逐次的に添加されうる。しかし、場合によって、1つを超える二次増幅核酸は、同時に添加されうる。
加えて、代わりに、ある特定の実施形態において、このパターンが、上記の議論と同様に、例えば、三次増幅核酸、四次増幅核酸などにより、シグナル発生実体の前に繰り返される。したがって、シグナル発生実体は、最終増幅核酸に結合されうる。したがって、非限定例として述べると、標的に、符号化核酸プローブが結合され、これに、一次増幅核酸が結合され、これに、二次増幅核酸が結合され、これに、三次増幅核酸が結合され、これに、シグナル発生実体が結合される場合もあり、または、標的に、符号化核酸プローブが結合され、これに、一次増幅核酸が結合され、これに、二次増幅核酸が結合され、これに、三次増幅核酸が結合され、これに、四次増幅核酸が結合され、これに、シグナル発生実体が結合される場合もあるなどである。したがって、全ての実施形態において、最終増幅核酸は、必ずしも、二次増幅核酸である必要がない。
そのようなシステムの非限定例を図5に例示する。図5A~5Eは、可飽和システムの創出を示す。図5Aは、符号化核酸プローブの一例を示し、符号化核酸プローブ15は標的RNAに結合している。図5Bは、ある特定の実施形態に従う、使用される一次増幅核酸を示す。図5Cは、一次増幅核酸に結合しうる二次増幅核酸を示す。図5Dは、複数のシグナル発生実体が二次増幅核酸のリードアウト配列に結合したことを示す。図5Eは、増幅が適用されない場合、核酸プローブが、シグナル発生実体を含有する適切な二次核酸プローブへと曝露されうることを示す。
また、ある特定の場合、他の構成要素も、核酸プローブまたは増幅核酸内に存在しうる。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、例えば、酵素による増幅を容易とするように、1つまたは複数のプライマー配列が存在しうる。当業者は、増幅(例えば、PCRまたは他の適切な技法を使用して)などの適用に適するプライマー配列について承知しているであろう。多くのこのようなプライマー配列は、市販されている。一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブ内に存在しうる配列の他の例として、プロモーター配列、オペロン、同定配列、ナンセンス配列その他が挙げられるが、これらに限定されない。
典型的に、プライマーは、核酸合成のための出発点として用いられ、核酸ポリメラーゼなどのポリメラーゼ酵素が、プライマーを伸長させ、相補鎖を複製することを可能とする、一本鎖または部分的に二本鎖の核酸(例えば、DNA)である。プライマーは、標的核酸に対して相補性であり、これとハイブリダイズする(例えば、これに対して相補性であり、これとハイブリダイズするようにデザインされる)。一部の実施形態において、プライマーは、合成プライマーである。一部の実施形態において、プライマーは、天然に存在しないプライマーである。プライマーは、典型的に、10~50ヌクレオチドの長さを有する。例えば、プライマーは、10~40、10~30、10~20、25~50、15~40、15~30、20~50、20~40、または20~30ヌクレオチドの長さを有しうる。一部の実施形態において、プライマーは、18~24ヌクレオチドの長さを有する。
一部の態様において、以前に議論される通り、ある特定の実施形態は、多様な結合事象を符号化し、適宜エラー検出および/または補正を使用して核酸プローブのそれらの標的への結合を決定することができる符号空間を使用する。一部の場合、核酸プローブの集団は、上記に議論される通り、ある特定の増幅核酸に結合しうるある特定の「リードアウト配列」を含有する場合があり、核酸プローブまたは標的の位置は、例えば本明細書において議論される通り、例えばある特定の符号空間内において、増幅核酸と会合するシグナル発生実体を使用して試料中において決定することができる。また、各々が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第WO2016/018960号および同第WO2016/018963号も参照されたい。一部の場合、核酸プローブ内のリードアウト配列の集団は、本明細書において議論される通り、例えば比較的少数のリードアウト配列を使用して、比較的多数の異なる核酸プローブを決定することができるように、多様な組合せにおいて組み合わせることができる。
したがって、一部の場合、核酸プローブの集団は、各々ある特定の数のリードアウト配列を含有する場合があり、そのうちの一部は、核酸プローブの集団全体がある特定の数のリードアウト配列を含有しうるように、異なる核酸プローブ間において共有される。核酸プローブの集団は、任意の適切な数のリードアウト配列を有しうる。例えば、核酸プローブ集団は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個などのリードアウト配列を有しうる。一部の実施形態において、20を超えるリードアウト配列もまた、可能でありうる。加えて、一部の場合、核酸プローブの集団は、全部で、存在する可能なリードアウト配列のうちの1つまたはそれよりも多く、2つまたはそれよりも多く、3つまたはそれよりも多く、4つまたはそれよりも多く、5つまたはそれよりも多く、6つまたはそれよりも多く、7つまたはそれよりも多く、8つまたはそれよりも多く、9つまたはそれよりも多く、10またはそれよりも多く、11またはそれよりも多く、12またはそれよりも多く、13またはそれよりも多く、14またはそれよりも多く、15またはそれよりも多く、16またはそれよりも多く、20またはそれよりも多く、24またはそれよりも多く、32またはそれよりも多く、40またはそれよりも多く、50またはそれよりも多く、60またはそれよりも多く、64またはそれよりも多く、100またはそれよりも多く、128またはそれよりも多くなどを有しうるが、プローブの一部または全ては、本明細書において議論される通り、各々1つを超えるリードアウト配列を含有しうる。加えて、一部の実施形態において、核酸プローブの集団は、100を超えない、80を超えない、64を超えない、60を超えない、50を超えない、40を超えない、32を超えない、24を超えない、20を超えない、16を超えない、15を超えない、14を超えない、13を超えない、12を超えない、11を超えない、10を超えない、9つを超えない、8つを超えない、7つを超えない、6つを超えない、5つを超えない、4つを超えない、3つを超えない、または2つを超えない存在するリードアウト配列を有しうる。また、これらのうちのいずれの組合せも可能であり、例えば核酸プローブの集団は、全部で10~15のリードアウト配列を含みうる。
核酸プローブ内に含有される比較的少数のリードアウト配列から比較的多数の核酸プローブをコンビナトリアルにより同定することへの手法の非限定例として、6つの異なる種類の核酸プローブの集団または6つの異なる核酸プローブ群(例えば、各プローブ群は核酸標的に結合する)であって、核酸プローブの各種類または群が1つまたは複数のリードアウト配列を含む、集団または群において、集団内のリードアウト配列の総数は、4を超えない場合がある。説明を容易にするために4つのリードアウト配列がこの例において使用されるが、他の実施形態において、多数の核酸プローブが、例えば5、8、10、16、32などもしくはそれよりも多くのリードアウト配列、または適用によって本明細書において説明される他の任意の適切な数のリードアウト配列を使用して実現されうることを理解すべきである。例えば、核酸プローブの各々、または核酸プローブの各群が2つの異なるリードアウト配列を含有する場合、4つのそのようなリード配列(A、B、C、およびD)を使用することにより、最大で6つのプローブまたは6つのプローブ群が別々に同定されうる。この例において、核酸プローブまたは核酸プローブ群におけるリードアウト配列の順序は本質的ではない、すなわち、「AB」と「BA」とは、同義であるとして処理されうることに留意すべきである(他の実施形態において、リード配列の順序は本質的である場合があり、「AB」と「BA」とは必ずしも同義ではない場合があるが)。同様に、核酸プローブの集団において5つのリードアウト配列が使用される場合(A、B、C、D、およびE)、最大で10個のプローブまたは10個のプローブ群が別々に同定されうる(例えば、AB、AC、AD、AE、BC、BD、BE、CD、CE、DE)。例えば、各プローブまたは各群の群(each group of groups)におけるn個のリードアウト配列を有する集団中のk個のリードアウト配列について、リードアウト配列の順序が本質的でないと推定して、最大で
個の異なるプローブが産生される場合があり;なぜなら、プローブの全てまたはプローブ群の全てが同じ数のリードアウト配列を有する必要はなく、かつリードアウト配列の全ての組合せがあらゆる実施形態において使用される必要はなく、また、この数よりも多いかまたは少ない異なるプローブがある特定の実施形態において使用されうることを当業者は理解しうる。加えて、また、各プローブまたは各プローブ群におけるリードアウト配列の数は、一部の実施形態において同一である必要はないことを理解すべきである。例えば、一部のプローブまたは一部のプローブ群は、2つのリード配列を含有しうる一方で、他のプローブまたは他のプローブ群は3つのリード配列を含有しうる。一部の実施形態において、各プローブ群は核酸標的に結合する。
一部の態様において、試料中の核酸プローブの、リードアウト配列および/または結合パターンは、例えば、核酸の誤認またはエラーを低減または防止するように、エラー検出および/またはエラー補正符号を規定するのに使用されうる。したがって、例えば、結合が指し示される(例えば、シグナル発生実体を使用して決定される)場合、位置は、「1」により同定される場合があり;逆に、結合が指し示されない場合、位置は、「0」により同定されうる(または、場合によって、逆も成り立つ)。その後、例えばリードアウト配列に相補的な様々なリードアウトプローブを使用した、複数ラウンドの結合決定を使用して、例えばその空間的位置についての、「符号語」を創出することができる。一部の実施形態において、符号語は、エラー検出および/または補正に供されうる。例えば、符号語は、核酸プローブのリードアウト配列または結合パターンの所与のセットについてマッチが見出されない場合、マッチがエラーとして同定される場合があり、かつ適宜、エラー補正が配列へと適用されて核酸プローブについての正確な標的を決定しうるように構成されうる。一部の場合、符号語は、符号語により符号化される核酸の総数よりも少ない「文字」または位置を有する場合があり、例えばここで各符号語は異なる核酸を符号化する。
このようなエラー検出および/またはエラー補正符号は、様々な形態を取りうる。ゴレイ符号またはハミング符号など、様々なこのような符号は、遠隔通信業界など、他の文脈において、既に開発されている。実施形態の1つのセットにおいて、核酸プローブのリードアウト配列または結合パターンは、あらゆる可能な組合せが割り当てられるとは限らないように割り当てられる。
例えば、4つのリードアウト配列が可能であり、核酸プローブまたは核酸プローブ群が2つのリードアウト配列を含有する場合、最大で6個の核酸プローブまたは6つの核酸プローブ群(例えば、各核酸プローブ群が核酸標的に結合するように)が同定されうる;しかし、使用される核酸プローブの数または核酸プローブ群の数は、6未満でありうる。同様に、各核酸プローブまたは各核酸プローブ群におけるn個のリードアウト配列を有する集団中のk個のリードアウト配列について、
個の異なるプローブまたは異なるプローブ群が産生される場合があるが、使用される核酸プローブの数または核酸プローブ群の数は、
個よりも多いかまたは少ない任意の数でありうる。加えて、これらは、ランダムに割り当てられるか、またはエラーを検出および/または補正する能力を増大させる、特異的な形において割り当てられる場合がある。
別の例として、複数ラウンドの核酸プローブ(例えば、そのため一次プローブまたは符号化プローブ上のリードアウト配列に結合しうる複数ラウンドのリードアウトプローブ)が使用される場合、ラウンド数は任意に選択されうる。各ラウンド内において、各標的が、検出ありまたは検出なしなど、2つの可能なアウトカムをもたらしうる場合、nラウンドのプローブについて、最大において、2n個の異なる標的が可能でありうるが、実際に使用される標的の数は、2n未満の任意の数でありうる。例えば、各ラウンド内において、各標的が、異なる色チャネル内の検出ありなど、2つを超える、可能なアウトカムをもたらしうる場合、nラウンドのプローブについて、2n個を超える(例えば、3n、4n、・・・個の)異なる標的が可能でありうる。場合によって、実際に使用される標的の数は、この数未満の任意の数でありうる。加えて、これらは、ランダムに割り当てられるか、またはエラーを検出および/または補正する能力を増大させる、特異的な形において割り当てられる場合がある。
符号語は、多様な符号空間を規定するのに使用されうる。各核酸標的は、符号語と関連付けられる。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、符号語は、割当てが、符号語または関連付けられる核酸標的が、異なる、正当な符号語または核酸標的として誤解釈される原因となる、所与のパターン内の、不正確な「リード」の数を測定するハミング距離(Hamming distance)だけ隔てられるように、符号空間内に割り当てられうる。ある特定の場合に、ハミング距離は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6などでありうる。加えて、実施形態の1つのセットにおいて、割当ては、ハミング符号、例えば、ハミング(7,4)符号、ハミング(15,11)符号、ハミング(31,26)符号、ハミング(63,57)符号、ハミング(127,120)符号などとして形成されうる。実施形態の別のセットにおいて、割当ては、SECDED符号、例えば、SECDED(8,4)符号、SECDED(16,4)符号、SECDED(16,11)符号、SECDED(22,16)符号、SECDED(39,32)符号、SECDED(72,64)符号などを形成しうる。実施形態のさらに別のセットにおいて、割当ては、拡張二元ゴレイ符号、完全二元ゴレイ符号、または三元ゴレイ符号を形成しうる。実施形態の別のセットにおいて、割当ては、上記において記載した符号のうちのいずれかから取られた、可能な値のサブセットを表しうる。
例えば、エラー補正符号は、固定数または一定数の「1」ビット(または「0」ビット)を含有する二進ワードだけを使用して、標的を符号化することにより形成されうる。例えば、符号空間は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16などの「1」ビット(または「0」ビット)だけを含みうる、例えば、符号の全ては、同じ数の「1」ビットまたは「0」ビットなどを有する。実施形態の別のセットにおいて、割当ては、非対称のリードアウトエラーに対処する目的のために、上記において記載した符号のうちのいずれかから取られた、可能な値のサブセットを表しうる。例えば、場合によって、「1」ビットの数が、使用される全ての二進ワードについて固定されうる符号は、「0」ビットが、「1」として測定される割合、または「1」ビットが、「0」として測定される割合が異なる場合に、異なる数の「1」による、ワードのバイアス測定を消失させうる。
したがって、一部の実施形態において、符号語が決定されると(例えば本明細書において議論される通り)、符号語は、有効な核酸符号語と比較されうる。マッチが見出される場合、核酸標的は、同定または決定されうる。マッチが見出されない場合、符号語の読取りにおけるエラーが同定されうる。場合によって、適正な符号語を決定し、これにより、核酸標的の適正な識別を結果としてもたらすように、エラー補正もまた適用されうる。場合によって、符号語は、1つのエラーだけが存在すると仮定すると、1つの可能であり適正な符号語だけが利用可能であり、これにより、核酸標的の、1つの適正な識別だけが可能となるように選択されうる。場合によって、これはまた、より大きな符号語間隔またはハミング距離へも一般化される場合があり;例えば、符号語は、2つ、3つ、または4つのエラー(または、場合によって、これを超えるエラー)が存在する場合、1つの可能であり適正な符号語だけが利用可能であり、これにより、核酸標的の、1つの適正な識別だけが可能となるように選択されうる。
エラー補正符号は、二進法のエラー補正符号の場合もあり、他の番号付けシステム、例えば、三進法または四進法のエラー補正符号に基づく場合もある。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、1種類を超えるシグナル発生実体が使用され、エラー補正符号内の異なる数へと割り当てられうる。したがって、非限定例として述べると、第1のシグナル発生実体(または、場合によって、1つを超えるシグナル発生実体)は、「1」として割り当てられ、第2のシグナル発生実体(または、場合によって、1つを超えるシグナル発生実体)は、「2」として割り当てられ(「0」は、シグナル発生実体が存在しないことを指し示す)、符号語は、三進法のエラー補正符号を規定するように分布している。同様に、加えて、四進法のエラー補正符号を作るように、第3のシグナル発生実体が、「3」として割り当てられる場合もあるなどである。
実施形態の1つのセットにおいて、試料中の核酸標的は、符号語に各々割り当てられる。例えば、これらの符号語は、本明細書において説明される符号空間のうちの1つから選択されうる。一部の場合、符号語は、エラー検出および/またはエラー補正符号を形成する。試料は、一部の場合、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブの集団へのハイブリダイゼーションに供されうる。一次プローブまたは符号化プローブの一部または全ては、核酸標的のうちの1つに結合しうる標的配列を含む場合があり、かつ/または1つもしくは複数のリードアウト配列を含む場合もある。各核酸標的に結合する一次プローブまたは符号化プローブの集合におけるリードアウト配列は、核酸標的に割り当てられた符号語に対応する独特な符号語を形成しうる。その後、試料は、リードアウトプローブとの1ラウンドまたは複数ラウンドのハイブリダイゼーションに供される。リードアウトプローブは、リードアウト配列に結合することが可能である場合があり、かつ/またはシグナル発生実体と会合する場合がある。リードアウト配列の集合は、核酸標的と会合する場合があり、それゆえ、核酸標的に割り当てられる符号語は、例えばリードアウトプローブの結合を通して、同定することができる。
一部の場合、多色イメージングを各ラウンドにおいて使用して、異なるシグナル発生実体と会合する多数のリードアウトプローブの同時イメージングおよび同時決定を可能にすることができる。一部の場合、核酸標的の位置が決定される。一部の場合、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも5000、または少なくとも10,000の核酸標的が、このようにして決定される。一部の場合、標的核酸は、ゲノム遺伝子座である。一部の場合、標的核酸は、ゲノム遺伝子座および/または新生RNA転写物である。一部の場合、ゲノム遺伝子座の位置は、細胞内のクロマチンの三次元構成またはゲノムの三次元構成を決定するために使用される。一部の場合、一次増幅核酸および/または二次増幅核酸および/または三次増幅核酸および/または四次増幅核酸が、各リードアウト配列からシグナルを増幅するために使用される。一部の場合、アダプターは、以下に説明される通りに使用される。
一態様において、複数個のアダプターを使用して試料中の標的の検出を促進することができる。そのようなアダプターは、例えば比較的少数の識別可能なシグナル発生実体が使用されることを可能にする一方で、それでも比較的多数の標的が試料中において決定されることを可能にすることにおいて有用でありうる。例えば、少数のシグナル発生実体、例えば、20を超えない、15を超えない、10を超えない、5つを超えない、4つを超えない、3つを超えない、または2つを超えないシグナル発生実体を使用する一方で、試料中の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも50、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも72、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも127、少なくとも128、少なくとも140、少なくとも255、少なくとも256、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも7,500、少なくとも10,000、少なくとも12,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも40,000、少なくとも50,000、少なくとも75,000、または少なくとも100,000などの標的が決定されうる。
実施形態の1つのセットにおいて、複数個のアダプターが使用されうる。アダプターは、核酸プローブ(例えば一次核酸プローブ)上の1つまたは複数のリードアウト配列に実質的に相補的な第1の部分と、1つまたは複数の同定配列を含む第2の部分とを含みうる。したがって、アダプター配列は、試料中の標的に結合しうる特異的核酸プローブに結合することが可能である。その後、同定配列は、例えば本明細書において論じられるプローブなどのリードアウトプローブまたは二次核酸プローブを介して、結合のために使用可能である。したがって、一部の場合、アダプターは、一次核酸プローブと二次核酸プローブとの間に存在しうる。このことの非限定的な一例を、図24Aに示す。
一部の場合、アダプターは、上記に示される通り、比較的少数のシグナル発生実体が使用されることを可能にするように選択されうる。例えば、同定配列は、二次核酸プローブが結合することが可能であるリードアウト配列として作用しうる。1ラウンドの検出において、例えばシグナル発生実体および同定配列のうちの1つに実質的に相補的な配列を含有する、比較的少数の二次核酸プローブが使用される場合があり、シグナル発生実体は、例えば本明細書において論じられる通りに、決定される。その後、二次核酸プローブは、次の検出ラウンドの前に、例えば本明細書において説明される通りに、除去および/または非活性化してもよい。次のおよび後続のラウンドは、例えば異なる同定配列に実質的に相補的な配列を含有する二次核酸プローブ上の、同じまたは異なるシグナル発生実体を使用してもよい。
加えて、一部の実施形態において、コンタミネーションまたは「クロストーク(cross-talk)」を低減するために、以前のラウンドにおいて使用されたアダプターは、一部の様式において非活性化してもよい。例えば、以前の同定配列に実質的に相補的な配列を含有する遮断核酸プローブを、遮断核酸プローブが以前のアダプターに結合することが可能であるように添加してもよく、なぜなら、それらは一般的にシグナル発生実体の存在なしでは検出可能でないためである。したがって、後続の検出ラウンドにおいて、以前のラウンドのためのシグナルは最小限にされうる。
したがって、一部の場合、比較的少数を超えないシグナル発生実体を使用して、比較的多数の同定配列が決定されうる。例えば、20を超えない、15を超えない、10を超えない、5つを超えない、4つを超えない、3つを超えない、または2つを超えないシグナル発生実体を使用して、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも12、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも50、少なくとも63、少なくとも64、少なくとも72、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも127、少なくとも128、少なくとも140、少なくとも255、少なくとも256、少なくとも500、少なくとも1,000、少なくとも1,500、少なくとも2,000、少なくとも2,500、少なくとも3,000、少なくとも4,000、少なくとも5,000、少なくとも7,500、少なくとも10,000、少なくとも12,000、少なくとも15,000、少なくとも20,000、少なくとも25,000、少なくとも30,000、少なくとも40,000、少なくとも50,000、少なくとも75,000、または少なくとも100,000などの同定配列が決定されうる。
同定配列は任意の長さの同定配列でありうる。1つを超える同定配列が使用される場合、同定配列は、同じまたは異なる長さを独立的に有しうる。例えば、同定配列は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、または少なくとも450ヌクレオチドの長さでありうる。一部の場合、同定配列は、500ヌクレオチドを超えない、450ヌクレオチドを超えない、400ヌクレオチドを超えない、350ヌクレオチドを超えない、300ヌクレオチドを超えない、250ヌクレオチドを超えない、200ヌクレオチドを超えない、175ヌクレオチドを超えない、150ヌクレオチドを超えない、125ヌクレオチドを超えない、100ヌクレオチドを超えない、75ヌクレオチドを超えない、60ヌクレオチドを超えない、65ヌクレオチドを超えない、60ヌクレオチドを超えない、55ヌクレオチドを超えない、50ヌクレオチドを超えない、45ヌクレオチドを超えない、40ヌクレオチドを超えない、35ヌクレオチドを超えない、30ヌクレオチドを超えない、20ヌクレオチドを超えない、または10ヌクレオチドを超えない長さでありうる。これらのうちのいずれの組合せもまた可能であり、例えば、同定配列は、10~30ヌクレオチド、20~40ヌクレオチド、5~50ヌクレオチド、10~200ヌクレオチド、または25~35ヌクレオチド、10~300ヌクレオチドなどの長さを有しうる。
同定配列は、一部の実施形態において、任意またはランダムでありうる。ある特定の場合、例えば同定配列が、細胞または他の試料中に存在すると思われる他の核酸にそれ自体、結合またはハイブリダイズしないように、同定配列は、細胞または他の試料の他の構成要素との相同性を低減または最小限にするように選択される。一部の場合、相同性は、10%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満でありうる。一部の場合、20塩基対未満、18塩基対未満、15塩基対未満、14塩基対未満、13塩基対未満、12塩基対未満、11塩基対未満、または10塩基対未満の相同性が存在しうる。一部の場合、そのような塩基対は、逐次的である。
加えて、一部の実施形態において、同定配列の一部または全ては、それらが互いへのおよび/または試料中に存在すると思われるゲノムもしくは他の核酸、例えばリードアウト配列への特異的結合を呈しないように選択されうる。例えば、同定配列の集団は、特異的結合または相補性について「ブラストされる」かまたは試験されうる。一部の場合、同定配列は、互いへの特異的結合を呈しない場合があり、かつ/またはそのため、同定配列の集団内の同定配列のいずれも、同定配列の集団内のおよび/もしくはリードアウト配列の集団内の別の配列への5、6、7、8、9、10ヌクレオチドなどを超える相補性を有しない。
一部の実施形態において、試料は最初に、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブの集団へのハイブリダイゼーションに供される。一次プローブまたは符号化プローブのうちの1個または複数個は、核酸標的のうちの1つに結合しうる標的配列を含み、また1つまたは複数のリードアウト配列を含みうる。その後、試料は、アダプタープローブおよびリードアウトプローブとの複数ラウンドのハイブリダイゼーションに供される。アダプタープローブは、リードアウト配列に結合しうる配列を含む場合があり、また1つまたは複数の同定配列を含む。リードアウトプローブは、同定配列に結合することが可能である場合があり、またシグナル発生実体と会合する。一部の場合、多色イメージングを各ラウンドにおいて使用して、異なるシグナル発生実体と会合する多数のリードアウトプローブの同時イメージングおよび同時決定を可能にすることができる。
本明細書において論じられる通り、ある特定の態様において、シグナル発生実体は、例えば、イメージングして、核酸プローブを決定し、かつ/または符号語を創出することにより決定される。シグナル発生実体の例は、本明細書において論じられるシグナル発生実体を含む。場合によって、試料中のシグナル発生実体は、様々な技法を使用して、例えば、空間的に決定されうる。一部の実施形態において、シグナル発生実体は、蛍光であることが可能であり、蛍光顕微鏡法または共焦点顕微鏡法など、試料中の蛍光を決定するための技法は、細胞内のシグナル発生実体の位置を、空間的に同定するのに使用されうる。場合によって、試料中の実体の位置は、二次元なおまたは三次元において決定される場合もある。加えて、一部の実施形態において、1つを超えるシグナル発生実体は、同時に(例えば、異なる色または発光を伴う、シグナル発生実体)決定される場合もあり、かつ/または逐次的に決定される場合もある。
加えて、一部の実施形態において、同定された標的、例えば核酸標的についての信頼水準が決定されうる。例えば、信頼水準は、正確なマッチの数の、1つまたは複数の1ビットエラーを有するマッチの数に対する比を使用して決定されうる。場合によって、ある特定の値を超える信頼比を有するマッチだけが使用されうる。例えば、ある特定の実施形態において、マッチは、マッチについての信頼比が、約0.01を超える、約0.03を超える、約0.05を超える、約0.1を超える、約0.3を超える、約0.5を超える、約1を超える、約3を超える、約5を超える、約10を超える、約30を超える、約50を超える、約100を超える、約300を超える、約500を超える、約1000を超えるか、または他の任意の適切な値である場合に限り許容されうる。加えて、一部の実施形態において、マッチは、標的についての信頼比が、内部標準または偽陽性対照を、約0.01、約0.03、約0.05、約0.1、約0.3、約0.5、約1、約3、約5、約10、約30、約50、約100、約300、約500、約1000、または他の任意の適切な値を超える場合に限り許容されうる。加えて、一部の実施形態において、マッチは、同定された標的についての信頼比が、内部標準または偽陽性対照を、約0.01、約0.03、約0.05、約0.1、約0.3、約0.5、約1、約3、約5、約10、約30、約50、約100、約300、約500、約1000、または他の任意の適切な値超える場合に限り許容されうる。
一部の実施形態において、実体(および、したがって、実体に会合している可能性がある核酸プローブ)の空間的位置は、比較的高分解能において決定されうる。例えば、位置は、約100マイクロメーターを超える、約30マイクロメーターを超える、約10マイクロメーターを超える、約3マイクロメーターを超える、約1マイクロメーターを超える、約800nmを超える、約600nmを超える、約500nmを超える、約400nmを超える、約300nmを超える、約200nmを超える、約100nmを超える、約90nmを超える、約80nmを超える、約70nmを超える、約60nmを超える、約50nmを超える、約40nmを超える、約30nmを超える、約20nmを超える、または約10nmを超えるなどの空間的分解能において決定されうる。
例えば、蛍光顕微鏡法を使用して、実体の空間的位置を、光学的に決定するか、またはイメージングすることが可能な様々な技法が存在する。一部の実施形態においては、1つを超える色が使用されうる。一部の場合、空間的位置は、超高分解能において、または、光の波長もしくは回折限界を超える分解能において決定される場合がある。非限定例は、STORM(stochastic optical reconstruction microscopy)、STED(stimulated emission depletion microscopy)、NSOM(Near-field Scanning Optical Microscopy)、4Pi顕微鏡法、SIM(Structured Illumination Microscopy)、SMI(Spatially Modulated Illumination)顕微鏡法、RESOLFT(Reversible Saturable Optically Linear Fluorescence Transition Microscopy)、GSD(Ground State Depletion Microscopy)、SSIM(Saturated Structured-Illumination Microscopy)、SPDM(Spectral Precision Distance Microscopy)、光活性化局在性顕微鏡法(PALM)、蛍光光活性化局在性顕微鏡法(FPALM)、LIMON(3D Light Microscopical Nanosizing Microscopy)、SOFI(Super-resolution optical fluctuation imaging)、エクスパンション顕微鏡法その他を含む。例えば、各々が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、2010年11月23日において交付され、「Sub-Diffraction Limit Image Resolution and Other Imaging Techniques」と題された、Zhuangらによる、2013年10月22日において交付され、「Sub-diffraction Limit Image Resolution in Three Dimensions」と題された、Zhuangらによる、米国特許第7,838,302号;米国特許第8,564,792号;または2013年6月20日において公開され、「High Resolution Dual-Objective Microscopy」と題された、Zhuangらによる、国際特許出願公開第WO2013/090360号を参照されたい。
例示的な非限定例として述べると、実施形態の1つのセットにおいて、試料は、高開口数であり、拡大率を100倍とする、油浸対物レンズと、電子増倍型CCDカメラ上に集められた光とによりイメージングされうる。別の例において、試料は、高開口数であり、拡大率を40倍とする、油浸対物レンズと、広視野学術用CMOSカメラにより集められた光とによりイメージングされうるであろう。多様な非限定的実施形態において、対物レンズと、カメラとの異なる組合せにより、単一の視野は、1×1ミクロン、10×10ミクロン、40×40ミクロン、80×80ミクロン、120×120ミクロン、240×240ミクロン、340×340ミクロン、または500×500ミクロンなどを超えない視野に対応しうる。同様に、一部の実施形態において、単一のカメラピクセルは、10×10nm、20×20nm、40×40nm、80×80nm、120×120nm、160×160nm、240×240nm、または300×300nmなどを超えない試料領域に対応しうる。別の例において、試料は、低開口数であり、拡大率を10倍とするエアレンズと、sCMOSカメラにより集められた光とによりイメージングされうる。さらなる実施形態において、試料は、単一のまたは複数のピンホールを通して集光され、走査ミラーまたは回転ディスクにより生成される、単回または複数回の走査による回折限界の焦点光を介してこれを照射することにより、光学的に分割されうる。別の実施形態において、試料はまた、当業者に公知の、複数の方法のうちの任意の1つを介して生成される、光の薄板を介して照射される場合もある。
一実施形態において、試料は、単一ガウスモードのレーザー光線により照射されうる。一部の実施形態において、照射プロファイル(profiled)は、これらのレーザー光線を、圧電手段または他の機械的手段を介して振動させられた、多重モードファイバーに通すことにより、平板化されうる。一部の実施形態において、照射プロファイルは、単一モードのガウスビームを、πシェイパーなど、様々な屈折ビームシェイパーまたは一連の積層型パウエルレンズに通すことにより、平板化されうる。実施形態のさらに別のセットにおいて、ガウスビームは、場合によって、残留レーザースペックルを除去するように、高速度においてスピニングされうる、グラウンドガラスまたは工学用散光器など、様々な異なる散光要素に通される場合もある。さらに別の実施形態において、レーザー照射は、平板性の照射野を近似する、重複照射画像をもたらすように、一連の小型レンズアレイに通される場合もある。
一部の実施形態において、実体の空間的位置の重心が決定されうる。例えば、シグナル発生実体の重心は、当業者に公知の画像解析アルゴリズムを使用して、画像内において、または一連の画像内において決定されうる。場合によって、アルゴリズムは、試料中の、非重複単一エミッターおよび/または部分重複単一エミッターを決定するように選択されうる。適切な技法の非限定例は、最大尤度アルゴリズム、最小二乗アルゴリズム、ベイズアルゴリズム、圧縮センシングアルゴリズムなどを含む。場合によって、これらの技法の組合せもまた、使用されうる。
一部の実施形態において、1つまたは複数のシグナル発生実体が決定されうる。例えば、シグナル発生実体は、リードアウトプローブ、または二次増幅核酸(または他の符号化増幅核酸)上の認識実体へと結合されうる。シグナル発生実体の非限定例は、例えば、本明細書において論じられる、蛍光実体(フルオロフォア)またはリン光実体を含む。次いで、シグナル発生実体は、例えば、核酸プローブまたは標的を決定するように決定されうる。場合によって、決定は、空間的であることが可能であり、例えば、二または三次元における決定でありうる。加えて、場合によって、決定は、定量的でありうる、例えば、シグナル発生実体および/または標的の、量または濃度が決定されうる。
実施形態の1つのセットにおいて、シグナル発生実体は、二次増幅核酸(または他の最終増幅核酸)へと接合されうる。シグナル発生実体は、試料中の標的への、二次増幅核酸の会合の前に、またはこの後において、二次増幅核酸(または他の最終増幅核酸)へと接合されうる。例えば、シグナル発生実体は、二次増幅核酸へと、最初に接合される場合もあり、二次増幅核酸が、試料へと適用された後において接合される場合もある。場合によって、シグナル発生実体が添加され、次いで、それらを、増幅核酸へと接合するように反応させられる。
実施形態の1つのセットにおいて、シグナル発生実体は、シグナル発生実体を放出するように切断されうる結合を介して、ヌクレオチド配列へと接合されうる。例えば、試料中の核酸プローブの分布を決定した後、シグナル発生実体は、核酸プローブおよび/または増幅核酸の別のラウンドの前に、放出または不活性化されうる。したがって、一部の実施形態において、結合は、ジスルフィド結合または光切断型結合など、切断可能な結合でありうる。光切断型結合の例については、本明細書において、詳細に論じられる。場合によって、このような結合は、例えば、還元剤または光(例えば、紫外光)へと曝露されると切断されうる。さらなる詳細については、下記を参照されたい。一部の場合、シグナル発生実体は、光退色させることにより非活性化される。シグナル発生実体を不活化し、かつ/または除去するためのシステムおよび方法の他の例については、本明細書において、詳細に論じられる。
ある特定の実施形態において、一次および二次増幅核酸の使用は、所与の核酸プローブに結合されうるシグナル発生実体の最大数を創出するために使用されうる。例えば、有限数の二次増幅核酸に結合することが可能なシグナル発生実体を有するリードアウトプローブの最大数に起因して、有限数の一次増幅核酸に結合することが可能な二次増幅核酸の最大数に起因して、かつ/または核酸プローブ上の有限数のリード配列に結合することが可能な一次増幅核酸の最大数に起因して、例えば、核酸プローブに結合することが可能なシグナル発生実体には、最大数が存在しうる。各潜在的位置は、シグナル発生実体により、実際に充填される必要はないが、この構造は、それを越えて、偶然に存在しうる、任意のさらなるシグナル発生実体が、核酸プローブまたはその標的と会合することは不可能である、シグナル発生実体の飽和限界が存在することを示唆する。
したがって、ある特定の実施形態は、全般的に、可飽和である、すなわち、どれほどのシグナル発生実体が、核酸プローブまたはその標的と会合しうるのかについての上限である、飽和限界が存在するような、核酸プローブまたはその標的を指し示すシグナルを増幅する、システムおよび方法を対象とする。典型的に、この数は、1を超える。例えば、シグナル発生実体の上限は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも400、少なくとも500などでありうる。場合によって、上限は、500未満、400未満、300未満、250未満、200未満、175未満、150未満、125未満、100未満、75未満、50未満、40未満、30未満、25未満、20未満、15未満、10未満、5未満などでありうる。場合によって、上限は、標的に結合する核酸プローブに結合しうる一次増幅核酸の最大数を乗じられた、一次増幅核酸に結合しうる二次増幅核酸の最大数を乗じられた、二次増幅核酸に結合しうるシグナル発生実体の最大数として決定されうる。これに対し、ローリングサークル増幅またはヘアピンアンフォールディングなどの技法は、制御されない形における、シグナルの増幅を可能とする、すなわち、十分な試薬が存在する場合、増幅は、所定の終点または飽和限界を伴わずに持続しうる。したがって、このような技法は、核酸プローブまたはその標的と会合しうるシグナル発生実体の数に関して、理論的上限を有さない。
しかし、核酸プローブまたはその標的に実際に結合したシグナル発生実体の平均数が、実際に、その上限と同じである必要はない、すなわち、シグナル発生実体は、実際には、完全飽和しない場合がある(完全飽和することは可能であるが)ことを理解されたい。例えば、飽和量(または結合しうる最大数と比べた、結合したシグナル発生実体の数)は、97%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満など、および/または少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%などでありうる。場合によって、結合が生じるための時間を与えること、および/または試薬の濃度を増大させることは、飽和量を増大させうる。
核酸プローブまたはその標的に、実際に結合したシグナル発生実体の数についての潜在的上限のために、試料中に、例えば、空間的に分布した結合イベントは、上記において論じられた制御されない増幅など、制御されない増幅とは対照的に、実質的に均一のサイズおよび/または輝度を提示しうる。例えば、一次増幅核酸に結合しうる、二次増幅核酸の特異的数に起因して、二次増幅核酸は、結合を指し示す、「スポットサイズ」、またはシグナル発生実体からの蛍光の直径を限界づけうる、核酸プローブまたはその標的からの固定距離を超えては見出されえない。
ある特定の実施形態において、結合イベントのうちの、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%は、結合イベントを、非特異的結合、ノイズなど、他のイベントと識別することを容易としうる、実質的に同じ輝度、サイズ(例えば、見かけの直径)、色などを呈しうる。
加えて、場合によって、シグナル発生実体は、不活化されうる。例えば、一部の実施形態において、シグナル発生実体と会合しうる(例えば、増幅核酸を使用する)、第1の二次核酸プローブまたはリードアウトプローブであって、第1のリードアウト配列(例えば、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブ上の)を認識しうる、プローブを、試料へと適用することができ、次いで、例えば、シグナル発生実体と会合しうる(例えば、増幅核酸を使用する)、第2の二次核酸プローブまたはリードアウトプローブが、試料へと適用される前に、シグナル発生実体を不活化することができる。複数のシグナル発生実体が使用される場合、シグナル発生実体を不活化するのに、同じまたは異なる技法が使用される場合があり、複数のシグナル発生実体の一部または全部が、例えば、逐次的にまたは同時に不活化される場合がある。
不活化は、シグナル発生実体の除去(例えば、試料からのまたは核酸プローブからの除去など)により引き起こされる場合もあり、かつ/またはシグナル発生実体を、何らかの形において、化学的に変更することにより引き起こされる場合もある(例えば、シグナル発生実体を光退色させることによるか、シグナル発生実体を退色させることによるか、シグナル発生実体の構造を、例えば、還元により、化学的に変更することなどによる)。例えば、実施形態の1つのセットにおいて、蛍光シグナル発生実体は、酸化、光退色、化学退色(chemically bleaching)などの、化学的もしくは光学的技法、厳密な洗浄、または酵素による消化もしくは酵素への曝露による反応、シグナル発生実体を、他の構成要素(例えば、プローブ)から解離させること、シグナル発生実体の化学反応(例えば、シグナル発生実体の構造を変更することが可能な反応物)などにより、不活化されうる。例えば、酸素、還元剤への曝露により、退色が生じる場合もあり、シグナル発生実体が、核酸プローブから、化学的に切断され、流体流を介して洗い流される場合もある。
一部の実施形態において、例えば、本明細書において論じられる増幅核酸を使用して、多様な核酸プローブを、1つまたは複数のシグナル発生実体と会合させうる。1個を超える核酸プローブ(または二次核酸プローブもしくはリードアウトプローブ)が使用される場合、シグナル発生実体は、各々、同じまたは異なる場合がある。ある特定の実施形態において、シグナル発生実体は、発光することが可能な任意の実体である。例えば、一実施形態において、シグナル発生実体は、蛍光実体である。他の実施形態において、シグナル発生実体は、リン光実体、放射性実体、吸光性実体などでありうる。場合によって、シグナル発生実体は、試料中において、比較的高分解能において、例えば、可視光の波長または回折限界を超える分解能において決定されうる、任意の実体である。シグナル発生実体は、例えば、色素、低分子、ペプチド、またはタンパク質などでありうる。シグナル発生実体は、場合によって、単一の分子でありうる。複数の二次核酸プローブまたはリードアウトプローブが使用される場合、核酸プローブは、同じまたは異なる発生実体と会合する場合がある。
シグナル発生実体の非限定例は、蛍光実体(フルオロフォア)またはリン光実体、例えば、シアニン色素(例えば、Cy2、Cy3、Cy3B、Cy5、Cy5.5、Cy7など)、Alexa Fluor色素、Atto色素、光切替え可能型色素、光活性化型色素、蛍光色素、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、もしくは「量子ドット」を含む。
実施形態の1つのセットにおいて、シグナル発生実体は、シグナル発生実体を放出するように切断されうる結合を介して、オリゴヌクレオチド配列へと接合されうる。実施形態の1つのセットにおいて、フルオロフォアは、光切断型結合など、切断可能な結合を介して、オリゴヌクレオチドへとコンジュゲートされうる。光切断型結合の非限定例は、1-(2-ニトロフェニル)エチル、2-ニトロベンジル、ビオチンホスホルアミダイト、アクリルホスホルアミダイト、ジエチルアミノクマリン、1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)エチル、シクロドデシル(ジメトキシ-2-ニトロフェニル)エチル、4-アミノメチル-3-ニトロベンジル、[4-ニトロ-3-(1-クロロカルボニルオキシエチル)フェニル]メチル-S-アセチルチオ酸エステル、[4-ニトロ-3-(1-クロロカルボニルオキシエチル)フェニル]メチル-3-(2-ピリジルジチオプロピオン酸)エステル[(4-nitro-3-(1-thlorocarbonyloxyethyl)phenyl)methyl-3-(2-pyridyldithiopropionic acid)ester]、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1,3-ジオール-[2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト、1-[2-ニトロ-5-(6-トリフルオロアセチルカプロアミドメチル)フェニル]-エチル-[2-シアノ-エチル-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト、1-[2-ニトロ-5-(6-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)ブチルアミドメチル)フェニル]-エチル-[2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト、1-[2-ニトロ-5-(6-(N-(4,4’-ジメトキシトリチル))-ビオチンアミドカプロアミド-メチル)フェニル]-エチル-[2-シアノエチル-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホルアミダイト、または同様のリンカーを含むがこれらに限定されない。オリゴヌクレオチド配列は、例えば、本明細書において論じられる増幅核酸など、一次または二次(または他の)増幅核酸でありうる。
実施形態の別のセットにおいて、フルオロフォアは、ジスルフィド結合を介して、オリゴヌクレオチドへとコンジュゲートされうる。ジスルフィド結合は、ジチオトレイトール、ジチオエリトリトール、ベータ-メルカプトエタノール、ナトリウムホウ化水素、チオレドキシン、グルタルレドキシン、トリプシノーゲン、ヒドラジン、水素化ジイソブチルアルミニウム、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、リン酸、塩化スズ、グルタチオン、チオグリコール酸塩、2,3-ジメルカプトプロパノール、2-メルカプトエチルアミン、2-アミノエタノール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、ビス(2-メルカプトエチル)スルホン、N,N’-ジメチル-N,N’-ビス(メルカプトアセチル)ヒドラジン、3-メルカプトプロピオン酸塩、ジメチルホルムアミド、チオプロピルアガロース、トリ-n-ブチルホスフィン、システイン、硫酸鉄、亜硫酸ナトリウム、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、ホスホロチオエートなど、および/またはこれらのうちのいずれかの組合せなどであるがこれらに限定されない、様々な還元剤により切断されうる。オリゴヌクレオチドは、例えば、本明細書において論じられるプローブなどの、一次核酸プローブ、符号化核酸プローブ、リードアウトプローブ、一次もしくは二次(または他の)増幅核酸でありうる。
別の実施形態において、フルオロフォアは、硫黄修飾が、架橋酸素および/または非架橋酸素を置き換える、1つまたは複数のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを介して、オリゴヌクレオチドへとコンジュゲートされうる。ある特定の実施形態において、フルオロフォアは、エタノール中に混合されたヨウ素である、ヨードエタノール、硝酸銀、または塩化水銀などであるがこれらに限定されない化合物の添加を介して、オリゴヌクレオチドから切断されうる。実施形態のさらに別のセットにおいて、シグナル発生実体は、還元または酸化を介して、化学的に不活化されうる。例えば、一実施形態において、Cy5またはCy7などの発色団は、ホウ化水素ナトリウムを使用して、安定的な、非蛍光状態へと還元されうる。実施形態のなおも別のセットにおいて、フルオロフォアは、アゾ結合を介して、オリゴヌクレオチドへとコンジュゲートされる可能性があり、アゾ結合は、2-[(2-N-アリールアミノ)フェニルアゾ]ピリジンにより切断されうる。実施形態のさらに別のセットにおいて、フルオロフォアは、DNアーゼ、例えば、エクソデオキシリボヌクレアーゼまたはエンドデオキシリボヌクレアーゼへと、適切に曝露されると切断されうる、適切な核酸セグメントを介して、オリゴヌクレオチドへとコンジュゲートされうる。例は、デオキシリボヌクレアーゼIまたはデオキシリボヌクレアーゼIIを含むがこれらに限定されない。実施形態の1つのセットにおいて、切断は、制限エンドヌクレアーゼを介して生じうる。潜在的に適切な制限エンドヌクレアーゼの非限定例は、BamHI、BsrI、NotI、XmaI、PspAI、DpnI、MboI、MnlI、Eco57I、Ksp632I、DraIII、AhaII、SmaI、MluI、HpaI、ApaI、BclI、BstEII、TaqI、EcoRI、SacI、HindII、HaeII、DraII、Tsp509I、Sau3AI、PacIなどを含む。3000を超える制限酵素について、詳細に研究されており、これらのうちの600を超える制限酵素が市販されている。実施形態のさらに別のセットにおいて、フルオロフォアは、ビオチンへとコンジュゲートされる場合があり、オリゴヌクレオチドは、アビジンまたはストレプトアビジンへとコンジュゲートされうる。ビオチンと、アビジンまたはストレプトアビジンとの相互作用は、フルオロフォアを、オリゴヌクレオチドへと結合する一方で、過剰な添加への十分な曝露がなされると、遊離ビオチンは、連結を「凌駕」し、これにより、フルオロフォアのオリゴヌクレオチドからの解離を生じさせうるであろう。加えて、実施形態の別のセットにおいて、プローブは、二次プローブまたはリードアウトプローブと同じ配列のほか、一次プローブまたは符号化プローブに対する相同性を有する、余分な数の塩基(例えば、1つ~20の余分な塩基、例えば、5つの余分な塩基)を含む、対応する「トーホールドプローブ(toe-hold-probe)」を使用して除去されうる。これらのプローブは、鎖置換相互作用を介して、標識付けされた二次プローブまたはリードアウトプローブを除去しうる。オリゴヌクレオチドは、例えば、本明細書において論じられるプローブなどの、一次核酸プローブ、符号化核酸プローブ、リードアウトプローブ、一次もしくは二次(または他の)増幅核酸でありうる。
本明細書において使用される、「光」という用語は、全般的に、任意の適切な波長(または、同義に、周波数)を有する、電磁放射線を指す。例えば、一部の実施形態において、光は、光学的または目視可能な範囲の波長(例えば、約400nm~約700nmの間の波長を有する光、すなわち、「可視光」)、赤外波長(例えば、約300マイクロメーター~700nmの間の波長を有する光)、紫外波長(例えば、約400nm~約10nmの間の波長を有する光)などを含みうる。ある特定の場合に、本明細書において論じられる通り、1つを超える実体、すなわち、化学的に異なるまたは顕著に、例えば、構造的に異なる実体が使用されうる。しかし、他の場合に、実体は、化学的に同一であるか、または少なくとも実質的に、化学的に同一でありうる。
実施形態の1つのセットにおいて、シグナル発生実体は、「切替え可能型」である、すなわち、実体は、それらのうちの少なくとも1つが、所望の波長を有する光を発する、2つまたはこれを超える状態の間において切り替えられうる。他の状態(複数可)において、実体は、光を発しない場合もあり、異なる波長の光を発する場合もある。例えば、実体は、所望の波長を有する光をもたらすことが可能な、第1の状態へと「活性化」され、同じ波長の光を発することが可能ではない、第2の状態へと「不活化」されうる。実体は、適切な波長の入射光により活性化される場合、「光活性化型」である。非限定例として述べると、Cy5またはAlexa647は、異なる波長の光により、制御された可逆的な形において、蛍光状態と、無光状態との間において切り替えられうる、すなわち、633nm(または642nm、647nm、656nm)の赤色光が、Cy5またはAlexa647を、安定的な無光状態へと切り替えるか、または不活化しうるのに対し、405nmの緑色光は、Cy5またはAlexa647を、蛍光状態へと切り替えるか、または戻して活性化させうる。場合によって、実体は、例えば、適正な刺激へと曝露されると、2つまたはこれを超える状態の間において可逆的に切り替えられうる。例えば、第1の刺激(例えば、第1の波長の光)が、切替え可能型実体を活性化させるのに使用されうるのに対し、第2の刺激(例えば、第2の波長の光)は、切替え可能型実体を、例えば、非発光状態へと不活化するのに使用されうる。任意の適切な方法が、実体を活性化させるのに使用されうる。例えば、一実施形態において、適切な波長の入射光は、実体を活性化させて、発光させるのに使用されうる、すなわち、実体は、「光切替え可能型」である。したがって、光切替え可能型実体は、例えば、異なる波長の入射光により、異なる発光状態または非発光状態の間において切り替えられうる。光は、単色(例えば、レーザーを使用してもたらされる)の場合もあり、多色の場合もある。別の実施形態において、実体は、電界および/または磁界により刺激されると活性化されうる。他の実施形態において、実体は、例えば、pHを調整すること、または実体に関与する、可逆的な化学反応を誘導することなどにより、適切な化学的環境へと曝露されると活性化されうる。同様に、任意の適切な方法が、実体を不活化するのに使用される場合があり、実体を活性化させる方法と、実体を不活化する方法とは、同じである必要がない。例えば、実体は、適切な波長の入射光へと曝露されると、不活化される場合もあり、実体は、十分な時間にわたり待機することにより不活化される場合もある。
典型的に、「切替え可能型」実体は、第1の状態にある実体が、励起波長へと曝露されると、その条件下において発光しうる条件を決定し、実体を、第1の状態から、第2の状態へと切り替え、例えば、波長を切り替えた光へと曝露し、次いで、実体が、第2の状態にある場合、励起波長へと曝露されても、もはや発光しない(または強度を低減した光を発する)ことを示すことにより、当業者により同定されうる。
論じられる通り、実施形態の1つのセットにおいて、切替え可能型実体は、光へと曝露されると切り替えられうる。場合によって、切替え可能型実体を活性化させるのに使用される光は、外部の光源、例えば、レーザー光源などの光源、切替え可能型実体に近接する別の発光実体などに由来しうる。場合によって、第2の発光実体は、蛍光実体であることが可能であり、ある特定の実施形態において、第2の発光実体もまた、それ自体、切替え可能型実体でありうる。
一部の実施形態において、切替え可能型実体は、第1の発光部分(例えば、フルオロフォア)と、第1の部分を活性化させるか、または「切り替える」第2の部分とを含む。例えば、光へと曝露されると、切替え可能型実体の第2の部分は、第1の部分を活性化させ、第1の部分に発光させうる。活性化剤部分の例は、Alexa Fluor 405(Invitrogen)、Alexa Fluor 488(Invitrogen)、Cy2(GE Healthcare)、Cy3(GE Healthcare)、Cy3B(GE Healthcare)、Cy3.5(GE Healthcare)、または他の適切な色素を含むがこれらに限定されない。発光部分の例は、Cy3B(GE Healthcare)、Cy5、Cy5.5(GE Healthcare)、Cy7(GE Healthcare)、Alexa Fluor 647(Invitrogen)、Alexa Fluor 680(Invitrogen)、Alexa Fluor 700(Invitrogen)、Alexa Fluor 750(Invitrogen)、Alexa Fluor 790(Invitrogen)、DiD、DiR、YOYO-3(Invitrogen)、YO-PRO-3(Invitrogen)、TOT-3(Invitrogen)、TO-PRO-3(Invitrogen)、または他の適切な色素を含むがこれらに限定されない。例えば、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第7,838,302号を参照されたい。場合によって、第1の発光部分は、その後、任意の適切な技法により、不活化されうる(例えば、647nm赤色光を、分子のうちのCy5部分へと方向付けることにより)。
一部の実施形態において、異なる配列を有する複数の核酸プローブが使用され、核酸プローブの各々の分布が逐次的に分析され、核酸プローブの各々の結合パターンに基づき、各位置についての「符号語」を創出するために使用される。適切な符号空間を規定する核酸プローブを選択することにより、観察される結合パターンにおける明らかなエラーを同定および/または棄却および/または補正して、正確な符号語を同定することができ、したがって試料中の核酸プローブの正確な標的を同定することができる。このエラーに対するロバストネスおよびエラー補正システムは、MERFISH(multiplexed error-robust fluorescence in situ hybridization)について最初に導入され、次いで多様な関連技法において使用されてきた。例えば、各々が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2016/018960号および第WO2016/018963号を参照されたい。
言及される通り、ある特定の実施形態において、そのような技法は、例えばMERFISHまたは他の同様の技法において使用されるように、エラー補正と組み合わせてもよい。例えば、符号語は、一次核酸プローブまたは符号化核酸プローブ上のリードアウト配列に結合しうる複数個のリードアウトプローブの結合(または非結合)に基づく場合があり、一部の場合、符号語は、核酸プローブの誤認を低減または防止するのを補助するためのエラー補正符号を規定しうる。一部の場合、例えば多様なコンビナトリアルの手法を使用することにより、比較的少数のリードアウトプローブを使用して比較的多数の異なる標的が同定されうる。蛍光顕微鏡、広視野蛍光顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、または光シート顕微鏡は、画像取得に使用することができる。また、STORMまたは他の超解像度イメージング法などの画像取得技法は、そのような試料をイメージングし、核酸プローブの決定を促進するために使用されうる。MERFISHなどの技法に関するさらなる詳細については、例えば、各々が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第9,712,805号もしくは同第10,073,035号、または国際特許出願公開第WO2008/091296号もしくは同第WO2009/085218号を参照されたい。一部の場合、また、試料がイメージング前に拡張されるエクスパンション顕微鏡法を使用してもよい。例えば、各々が参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、「Matrix Imprinting and Clearing」と題された国際特許出願公開第WO2018/089445号、または「Multiplexed Imaging Using MERFISH and Expansion Microscopy」と題された国際特許出願公開第WO2018/089438号を参照されたい。
別の態様は、コンピュータ実装法を対象とする。例えば、本明細書において記載される方法のうちのいずれかを、自動的に、かつ/または反復的に実施することが可能な、コンピュータおよび/または自動式システムが提供されうる。本明細書において使用される、「自動式」デバイスとは、ヒトの指示を伴わずに作動することが可能なデバイスを指す、すなわち、自動式デバイスは、任意のヒトが、例えば、工程を開始するための命令を、コンピュータへと入力することにより、機能を推し進めるための任意の措置を取ることを終えた後の時間において、機能を果たしうる。典型的に、自動式装置は、この時点の後に、反復的機能を果たしうる。場合によって、処理工程はまた、コンピュータ読取り型メディアへも記録されうる。
例えば、一部の場合、例えば蛍光顕微鏡、広視野蛍光顕微鏡、落射蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、光シート顕微鏡、回折限界光学顕微鏡、STORM、または本明細書において説明される技法などの他の超解像度技法を使用する、試料のイメージングを制御するために、コンピュータを使用してもよい。場合によって、コンピュータはまた、画像解析における、ドリフト補正、物理的登録、ハイブリダイゼーション、およびクラスターの位置合わせ、クラスターの復号(例えば、蛍光クラスターの復号)、エラーの検出または補正(例えば、本明細書において論じられる)、ノイズの低減、フォアグラウンド特徴の、バックグラウンド特徴(画像内のノイズまたはデブリなど)からの識別などの操作も制御しうる。一例として、試料中のシグナル発生実体の活性化および/もしくは励起および/もしくは非活性化、ならびに/またはシグナル発生実体の画像の取得を制御するために、コンピュータを使用してもよい。実施形態の1つのセットにおいて、試料は、多様な波長および/または強度を有する光を使用して励起される場合があり、コンピュータを使用すると、試料を励起するのに使用される光の波長のシーケンスは、シグナル発生実体を含有する試料について収集される画像と相関しうる。例えば、コンピュータは、目的の各領域内の、異なるシグナル発生実体の平均数(例えば、位置1つ当たり1つの活性化実体、位置1つ当たり2つの活性化実体など)をもたらすように、多様な波長および/または強度を有する光を、試料へと当てうる。場合によって、この情報は、場合によって、上記において言及された通り、高分解能において、シグナル発生実体についての画像を構築し、かつ/またはシグナル発生実体の位置を決定するのに使用されうる。
一部の態様において、試料は、顕微鏡上に置かれる。一部の場合、顕微鏡は、流体を、試料へとまたは試料から、方向付けるかまたは制御する、流体チャネルまたはマイクロ流体チャネルなどの1つまたは複数のチャネルを含有しうる。例えば、一実施形態において、本明細書において論じられる核酸プローブなどの核酸プローブは、1つまたは複数のチャネルを介して、流体により、試料へと、または試料から、導入および/または除去されうる。場合によって、また、流体を保持するための、例えば、チャネルおよび/または試料と流体連絡した、1つまたは複数のチャンバーまたはレザバーも存在しうる。当業者は、流体を、試料へと、または試料から動かすための、流体またはマイクロ流体チャネルを含むチャネルについて精通しているであろう。
以下の文献:「Systems and Methods for High-Throughput Image-Based Screening」と題された、国際特許出願公開第WO2018/218150号;「Systems and Methods for Determining Nucleic Acids」と題された、国際特許出願公開第WO2016/018960号;「Probe Library Construction」と題された、国際特許出願公開第WO2016/018963号;「Matrix Imprinting and Clearing」と題された、国際特許出願公開第WO2018/089445号;「Multiplexed Imaging Using MERFISH and Expansion Microscopy」と題された、国際特許出願公開第WO2018/089438号;ならびに「Imaging-Based Pooled CRISPR Screening」と題された、米国特許出願第62/836,578号および「Amplification Methods and Systems for MERFISH and Other Applications」と題された、米国特許出願第62/779,333号は、参照により本明細書に組み込まれる。また、以下の文献:米国特許第2017/0220733号および同第2017/0212986号は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる。
加えて、「Genome-Scale Imaging of the 3D Organization and Transcriptional Activity of Chromatin」と題された、米国特許出願公開第62/954,720号および「Genome-Scale Imaging of the 3D Organization and Transcriptional Activity of Chromatin」と題された、米国特許出願公開第63/060,947号は、各々参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
以下の例は、本発明のある特定の実施形態を例示することを意図するものであり、本発明の全範囲を例示するものではない。
[実施例1]
以下の実施例は、単一細胞中のゲノムスケールでのクロマチンの3D構成をイメージングするための大規模多重化FISH法を示し、両方ともゲノムスケールでのクロマチンおよび新生転写物イメージングと、核構造同定とを組み合わせることによって3Dゲノム構成をその天然の構造的および機能的文脈に置く能力をさらに証明する。
この第1の実施例は、単一細胞中でのクロマチン構成のゲノムスケールのイメージングを可能にする大規模多重化FISH手法を報告する。この手法を使用して、単一細胞中のヒトゲノムにわたる1,000個を超える異なるゲノム遺伝子座(染色体の相同対を総計する約2,000個のクロマチン遺伝子座)のイメージングおよび同定が示された。さらに、これらのゲノム遺伝子座の同時的イメージングを、核スペックル、核小体および核ラミナを含む、種々の核構造の文脈においてこれらの遺伝子座に存在する1,000個を超える遺伝子の新生RNA転写物を用いて示した。この手法を使用して、単一細胞中でのクロマチン構成、転写活性、および核の文脈の間の関係を探索した。
ゲノムスケールのクロマチンイメージングを達成するために、トランスクリプトームイメージングのために以前に開発された多重化されたエラーロバストFISH法によって着想されたが、クロマチンのポリマー性質(すなわち、ゲノム配列中の隣接する遺伝子座が空間的に近い)と、染色体の領域的構成(すなわち、異なる染色体が別々の空間領域を占有する傾向がある)との両方を考慮することによって、クロマチンイメージングのために具体的にデザインされた大きな改変を含むコンビナトリアルFISH手法を考案した。例えば、それぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Systems and Methods for Determining Nucleic Acids」という表題のWO2016/018960;「Probe Library Construction」という表題のWO2016/018963を参照されたい。コンビナトリアルイメージングを可能とするために、それぞれのゲノム遺伝子座に、2のハミング重みを有するユニークな100ビットの二進コードを割り当てた。すなわち、それぞれのバーコードは、2個の「1」ビットを含有し、98個の「0」ビットを含有する(図1A)。これらのバーコード中のビット値は、逐次的イメージングラウンドにわたって各遺伝子座に関するシグナルの存在(1)または非存在(0)を決定した。これらの100ビットのハミング重み2のバーコードから、同じビットで同時に空間的に近いクロマチン領域をイメージングするのを回避するために、標的ゲノム遺伝子座を符号化するようにサブセットをさらに選択して、同じバーコード位置における「1」ビットを有する遺伝子座がゲノム空間中で最大に隔てられるように、これらのバーコードの割当てを最適化した。この戦略により、近隣のクロマチン遺伝子座に由来する重複シグナルによって引き起こされる検出エラーを最小化することができた。さらに、ありうる100ビットの二進コードの大多数は無効であった(すなわち、いかなる標的遺伝子座にも割り当てられなかった)ため、このデザインにより、検出エラーを同定および廃棄することができ、さらに、測定精度を改善した。
バーコードを、それぞれ、標的遺伝子座の1つに結合するための40ntの標的領域と、100の予めデザインされたリードアウト配列から選択される20ntのリードアウト配列とを含有する、符号化プローブの高多様性ライブラリーを使用して標的ゲノム遺伝子座上に物理的にインプリントした(図1A)。それぞれのリードアウト配列は、100ビットの1つに対応し、それぞれのゲノム遺伝子座の符号化プローブセット(遺伝子座あたり約400のプローブ)は、ただ2つの異なるリードアウト配列を含有し、その遺伝子座に割り当てられたバーコードにおいて「1」として読まれる2つのビットに対応する。符号化プローブ結合の後、クロマチン遺伝子座上にインプリントされたバーコードを、100のリードアウト配列の1つとそれぞれ相補的な、蛍光標識されたリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーションによって検出した(図1A)。ハイブリダイゼーションラウンドあたり2つの異なるリードアウトプローブを導入し、50ラウンドのハイブリダイゼーション後に、全部で約1000個のゲノム遺伝子座がイメージングおよび同定されるように、2色チャネルでイメージングした(図1A~1C)。対照的に、1000個のゲノム遺伝子座をイメージングするための直線的逐次的手法はその代わりに、2色イメージングと共に500ラウンドのハイブリダイゼーションを必要としたであろう。2倍体細胞中の各染色体は2つのホモログを有していたため、イメージングされる遺伝子座のホモログ識別を、それぞれの核において異なる領域を占有する染色体の傾向を活用する、クラスタリングアルゴリズムを使用してさらに割り当てた。
本実施例では、ヒト肺線維芽細胞(IMR90)中の、22の常染色体およびX染色体を均一に包含する、それぞれ約30kbのサイズの、1,041個のゲノム遺伝子座をイメージングのために選択した。また、それぞれの染色体は、少なくとも30の標的遺伝子座を含有し、したがって、染色体ホモログあたりのイメージングされる遺伝子座の数は、染色体の長さに応じて、30~80の範囲であることも必要であった。5つの生物学的反復にわたる約5,400の個々の細胞中のこれらの1,041個のゲノム遺伝子座を、それぞれの遺伝子座について約80%の検出効率でイメージングしたところ、染色体あたり2つのホモログを考慮して、それぞれの細胞中で約1700のクロマチン遺伝子座が検出された(図1D~1E)。
それぞれの細胞中での、クロマチン構成の集団平均された図を得るために、イメージングされたクロマチン遺伝子座の全ての対の間の空間距離を算出した後、距離の中央値と、遺伝子座の全ての対の間の接触頻度との両方を、全てのイメージングされた細胞にわたって決定した(図1Fおよび図6A)。イメージングデータから決定された同じ染色体内のクロマチン遺伝子座の対の間の接触頻度は、アンサンブルHi-Cによって検出された接触頻度との高い相関を示し、Pearson相関係数は0.91であった(図6B)。イメージングデータは、領域中での染色体の構成(図1Fおよび図6A)から、染色体アーム内でのAおよびBコンパートメントの形成(図7A)までの、複数のスケールでクロマチン構造を捕捉し、アンサンブルHi-C測定によって同定されたコンパートメントとも良好に一致していた(図7B~7C)。さらに、イメージングの結果は、独立した生物学的反復間で高い再現性を示した(図8)。
個々の細胞中でのクロマチン構成を探索することによって、染色体は、それぞれの細胞内の異なる領域を占有しながら(図1F~1G)、互いに実質的な重複も示した(図1G~1H)。任意の所与の染色体によって占有された、平均で約80%の凸包体積が、同じ細胞中の他の染色体と共有され(図1I)、高い程度のtrans染色体相互作用を示唆していた。これらの相互作用は十分に探索されていなかったため、以下の分析は、これらのtrans染色体相互作用に焦点を当てた。
図1A~1Iは、ゲノムスケールのクロマチンイメージングを示す。図1Aは、イメージングスキームを示す。標的ゲノム遺伝子座に、エラーロバストバーコード、例えば、2のハミング重みを有する、100ビットの二進バーコードを割り当てた(すなわち、100ビットのうちの2つが「1」と読む)。バーコードを、遺伝子座を認識し、2つの異なるリードアウト配列を各遺伝子座と関連付け、遺伝子座に割り当てられたバーコード中で「1」として読まれる2つのビットに対応する符号化オリゴヌクレオチドプローブを用いてゲノム遺伝子座上にインプリントした。各遺伝子座を、合計400の符号化プローブによって標識したが、4つのみが示される。リードアウト配列と相補的な蛍光リードアウトプローブを逐次添加し、イメージングしたところ、各遺伝子座で「1」として読まれるビットおよびしたがって、その遺伝子座のバーコード識別を決定することができた。約1000個のゲノム遺伝子座をイメージングした。図1Bは、単一細胞の核内での複数のイメージングラウンドからの代表画像を示す。リードアウトプローブからのクロマチン遺伝子座の蛍光シグナルを、明るい方の影で示したが、核マーカーとして使用された、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)のシグナルを、暗い方の影で示す。スケールバーは5マイクロメートルである。図1Cは、全てのイメージングラウンドにわたる1つのクロマチン遺伝子座を中心とする小さい空間領域(図1Bにおける囲み)の拡大画像である。遺伝子座の識別を、シグナルを与えた2つのリードアウトプローブ(1および13)に基づいて決定した。スケールバーは300nmである。図1Dは、それらが属する染色体に従ってグレイスケールで示された、単一細胞中の全ての検出されたクロマチン遺伝子座の3Dレンダリングである。ゲノム配列中の隣接する遺伝子座は、薄い線で接続される。図1Eは、図1Dにおけるのと同じ細胞のクロマチン遺伝子座を示すが、示された染色体の2つのホモログが、他の全ての遺伝子座とは異なるグレイスケールで示される。図1Fは、約5,400個の単一細胞から計算された距離中央値マトリックスである。遺伝子座のそれぞれの対について、遺伝子座間の全ての観察された3D空間距離の中央値が提示される。図1Gは、単一細胞中での複数の染色体領域の位置を示す例示的画像を示す。影付きの領域は、それぞれの染色体の周囲の凸包を表し、これは、染色体領域の操作的定義として使用された。図1Hは、図1Gに示された同じ細胞に関する距離マトリックスを示す。クロマチン遺伝子座のそれぞれの対の間の空間距離が示される。染色体の順序はヒートマップの下に示される通りであり、それぞれの染色体の2つのホモログが別々に示される。図1Iは、同じ細胞中で少なくとも1つの他の染色体によって共有されるそれぞれの染色体領域の体積の割合の定量である。中央値(中心線)、25~75パーセンタイル(囲み)および5~95パーセンタイル(ひげ)が示される。n=10,910コピーの染色体である(5,455個の細胞およびそれぞれの染色体について細胞あたり2つの相同コピー)。
図6A~6Bは、ゲノムスケールのイメージングに由来する接触頻度マトリックスおよびアンサンブルHi-Cデータとの比較を示す。図6Aは、本実施例においてイメージングされた全部で1041個のゲノム遺伝子座に関する接触頻度マトリックスを示す。遺伝子座の対の間の接触頻度を、遺伝子座間の測定距離が500nmよりも短い発生の数を、2つの遺伝子座間の測定距離の総数で除したものとして算出した。図6Bは、500kbでビンし、標的遺伝子座を中心とする、イメージングデータに由来する染色体内の遺伝子座の対と、アンサンブルHi-C実験に由来するものとの間の接触頻度に関する相関プロットを示す。Pearson相関係数は0.91であった。
図7A~図7Cは、ゲノムスケールのイメージングに由来するサブ染色体構造およびアンサンブルHi-Cデータとの比較を示す。図7Aは、第22染色体の一方のアームに関するイメージングデータから生成される接触頻度マトリックスを示す。このマトリックスに基づくAまたはBコンパートメントへの各遺伝子座の割当ては、マトリックスの下のバーに示される。図7Bは、500kbでビンし、標的遺伝子座を中心とする、Hi-Cデータから計算された、第22染色体の同じアームの接触頻度マトリックスを示す。マトリックスの下のバーは、図7Aと同じ手順を使用して割り当てられた、このマトリックスに基づく各遺伝子座のAおよびBコンパートメントへの割当てを示す。イメージングデータおよびHi-Cデータに由来するA/Bコンパートメント割当ては同一である。図7Cは、イメージングデータに由来する第22染色体中の遺伝子座対と、アンサンブルHi-C実験に由来するものとの間の接触頻度に関する相関プロットを示す。Pearson相関係数は0.91であった。
図8は、反復間のクロマチンイメージング実験の再現性を示す。プロットに示されるのは、1041個のゲノム遺伝子座のイメージング実験の2つの独立した生物学的反復において観察されたクロマチン遺伝子座間のペアワイズ距離の相関である。反復間のPearson相関係数は、0.98であった。右上の雲は、trans染色体のペアワイズ距離を表し、左下の雲は、染色体内のペアワイズ距離を表す。
[実施例2]
trans染色体相互作用がクロマチンのエピジェネティック特性にどのように依存するかを、本実施例において試験した。クロマチンが、それぞれ、活性クロマチンおよび不活性クロマチンで強化された、AおよびBコンパートメントに分離されることが、Hi-Cおよびイメージング分析によって以前に示された。異なるメカニズムが、HP1媒介性ヘテロクロマチン凝縮ならびに転写因子およびコファクター媒介性活性クロマチン凝縮などの、活性-活性および不活性-不活性クロマチン相互作用を媒介しうる。本実施例では、それぞれのイメージングされたゲノム遺伝子座を、公開されたアンサンブルHi-Cデータに基づく確立されたコーリング法を使用して、コンパートメントAおよびBに分類した。イメージングされた遺伝子座の38%は、コンパートメントAに属し、相対的に遺伝子に富み、H3K27Acなどの活性クロマチンマーカーで強化される傾向があったが、62%はコンパートメントBに属し、H3K9me3などの不活性クロマチンマーカーで強化される傾向があった。trans染色体相互作用の程度が活性および不活性クロマチンについて異なるかどうかを検査するために、ゲノム遺伝子座をtrans染色体接触頻度マトリックス中で順序付け、全てのA遺伝子座を互いに隣に置き、同様に全てのB遺伝子座を一緒に置いた。このマトリックスは、コンパートメントA遺伝子座が、コンパートメントB遺伝子座よりもコンパートメントA遺伝子座とtrans染色体的に相互作用する実質的により強い傾向を有することを示した(図2A~2B)。対照的に、コンパートメントB遺伝子座は、互いに向かって類似するtrans染色体親和性を示さなかったが、その代わりに、コンパートメントAクロマチンとtrans染色体的に相互作用するわずかに高い確率を示した(図2A~2B)。換言すれば、trans染色体A-A相互作用は、A-B相互作用よりも実質的に強い傾向で現れ、次いで、B-B相互作用よりもわずかに強い傾向で現れた。これは、同じ染色体内でのcis相互作用と著しく対照的であり、AおよびBコンパートメントは、凝縮する傾向があり、A-B相互作用よりもA-AとB-B相互作用の両方のエンリッチメントをもたらした。
次に、trans染色体相互作用のエピジェネティック依存性を、単一細胞レベルで検査した。個々の細胞中で、コンパートメントAおよびコンパートメントB遺伝子座は、異なる空間分布を採用し、A遺伝子座は、核においてB遺伝子座よりも中心に局在する傾向を示した(図2Cおよび図9A~9B)。また、A遺伝子座とB遺伝子座との間に実質的な程度の混合もあった(図2Cおよび図9A~9B)。それぞれの染色体中のそれぞれのイメージングされた遺伝子座について、他の全ての染色体に由来するA遺伝子座およびB遺伝子座のその局部密度を算出し、これらの2つの密度の比を決定した(本明細書では以後、trans染色体A/B密度比と称する)(図2C)。この量は、遺伝子座の近くでのtrans染色体活性クロマチンの局部エンリッチメントの尺度を提供した。大部分(62%)のイメージングされた遺伝子座は、コンパートメントBに属し、A/B比に関する全体的な偏りは、1よりも小さかった。この偏りについて制御するために、A遺伝子座およびB遺伝子座について観察されたtrans染色体A/B密度比の分布を、AおよびB遺伝子座の数を未変化のまま保持しながら、イメージングされた遺伝子座のAおよびB識別がイメージングされた遺伝子座間で無作為にシャッフルされる無作為化対照において得られた分布と比較した。とりわけ、A遺伝子座について観察されたtrans染色体A/B密度比は、B遺伝子座について観察された値よりも実質的に高く、次いで、無作為化対照に由来する値よりも高く(図2D)、この傾向は多くの単一細胞中で観察された(図2E)。これらの単一細胞分析は再度、trans染色体相互作用が活性クロマチン間の相互作用について優先的に強化されるという見解を支持した。
図2A~2Eは、trans染色体接触が、活性クロマチン間の相互作用について優先的に強化されることを示す。図2Aは、正規化されたtrans染色体接触頻度マトリックスを示す。それぞれのtrans染色体遺伝子座対(異なる染色体上の遺伝子座の対)の間の接触頻度が示される。コンパートメントAの遺伝子座が最初に出現し、次いで、コンパートメントBの遺伝子座が出現するように遺伝子座を並べ替え、したがって、左上のブロックは、A遺伝子座の対の間の相互作用を表し、右下はB遺伝子座の対の間の相互作用を表す。マトリックス中のそれぞれのエントリーを、染色体の対の間の相互作用の変化する基本レベルを構成する染色体の同じ対を起源とする全ての遺伝子座対の接触頻度中央値によって正規化する。図2Bは、図2Aに示されたマトリックスに由来する、A遺伝子座の対(AA、右;n=72,771の遺伝子座対)、B遺伝子座の対(BB、左;n=193,753の遺伝子座対)、および1つのAと1つのB遺伝子座を含む対(AB、n=237,986の遺伝子座対)に関するtrans染色体接触頻度の分布を示す。分布は、ヒストグラムとして上パネルに表され、箱ひげ図として下パネルに表され、中央値(中心線)、25~75パーセンタイル(囲み)および5~95パーセンタイル(ひげ)を示す。図2Cは、単一細胞中でのコンパートメントAおよびコンパートメントB遺伝子座の分布を示す。左パネルは、単一の核における単一のz平面内の全ての検出された遺伝子座の位置を表す。コンパートメントA遺伝子座はスケールの上に示されるが、コンパートメントB遺伝子座は下に示される。右パネルにおいて、それぞれの遺伝子座の影は、右に示される影のスケールバーに従う、trans染色体AおよびB遺伝子座の局部密度の比を表す。図2Dは、イメージングされたゲノム遺伝子座に関する局部trans染色体A/B密度比の分布を示す。それぞれの遺伝子座について、全ての細胞にわたるA/B密度比中央値を決定し、異なる遺伝子座の分布を、Aコンパートメントの遺伝子座(n=382の遺伝子座)およびBコンパートメントの遺伝子座(n=623の遺伝子座)と共に示す。1041のイメージングされた遺伝子座のうちの36は、この試験において使用された異なるバージョンのゲノムアセンブリーおよびコンパートメントコーリングのために使用されたHi-Cデータセットのため、A/B識別を割り当てられなかった。暗灰色のヒストグラムは、A遺伝子座の総数およびB遺伝子座の総数を未変化のまま保持しながら、AおよびBコンパートメントの識別が無作為にシャッフルされる無作為化対照を表す。図2Eは、無作為化対照と比較したtrans染色体A/B密度比のエンリッチメントの分布を示す。それぞれのイメージングされた細胞について、全てのA遺伝子座にわたるA/B密度比中央値を、図2Dに記載のように、無作為化対照のA/B密度比中央値で除算し、全てのイメージングされた細胞にわたるこの値の分布を提示する(n=5,455個の細胞)。B遺伝子座について同じエンリッチメントの分布を示す(n=5,455個の細胞)。線は、1の値、すなわち、エンリッチメントなしをマークする。
図9A~9Bは、コンパートメントAおよびコンパートメントBの遺伝子座が、単一細胞中で異なる空間分布を示すことを示す。図9Aの左パネルは、単一細胞の単一のz平面におけるコンパートメントA遺伝子座およびコンパートメントB遺伝子座を示す例示的画像を示す。右パネルは、これらの単一細胞中でのコンパートメントA遺伝子座およびコンパートメントB遺伝子座に関する核周縁部までの距離の分布を示す。核周縁部は、全ての検出されたクロマチン遺伝子座の周囲の凸包として同定される。ヒストグラムは、検出されたクロマチン遺伝子座の周囲の凸包内で均一にサンプリングされた点に関する核周縁部からの距離の分布を示す。図9Bは、コンパートメントA遺伝子座およびコンパートメントB遺伝子座に関する核周縁部までの距離の集団平均分布を示す。n=382のA遺伝子座;n=623のB遺伝子座である。
[実施例3]
クロマチンの3D構成を、その機能的活性および他の核構造の文脈に置くために、本実施例においてイメージング法を拡張して、いくつかのゲノム遺伝子座ならびに核内のランドマーク構造の転写活性と一緒のクロマチン構成の同時的測定を可能にした。具体的には、1,041個のゲノム遺伝子座を、これらの遺伝子座に位置する1,137個の遺伝子のそれぞれから転写される新生RNAと一緒に、また、核スペックルおよび核小体を含む重要な核構造と同時にイメージングした(図3A)。
同じ細胞内でのDNA、RNAおよび核構造のイメージングを可能にするために、クロマチンについての上記のものと類似するコンビナトリアルイメージング戦略を採用することによって、1,137個の遺伝子のイントロンRNAの多重化イメージングを実施した(図3A)。全ての遺伝子がそれぞれ個々の細胞中で転写されないこと、したがって、転写焦点の密度がクロマチン遺伝子座のものと同じ高さになるはずはないことを考慮して、RNAを54ビットのハミング重み2コードで符号化し、クロマチンイメージングのためのバーコードを選択して、同じビット中の空間的に近い遺伝子をイメージングする機会を最小化する方法と同様の方法で、遺伝子を符号化する、1,137のありうるバーコードを選択した。RNAイメージングが完了した後、RNA転写物を酵素的に消化し(本発明者らの単一モードクロマチンイメージング実験においても実行される工程)、多重化DNA FISHを上記のように実施して、1,041個のゲノム遺伝子座をイメージングした(図3A)。ゲノム遺伝子座および新生RNA転写物の復号化を、それらが存在するゲノム遺伝子座と共局在する転写物に関する追加の制約の下、概ね独立に実施した。この手順は、RNAを転写するための検出精度をさらに改善し、それぞれのゲノム遺伝子座での転写バーストの検出効率(約90%)の見積もりを可能にした。最後に、核スペックルおよび核小体を、これらの構造の公知の分子成分に対する免疫蛍光を使用してイメージングした(図3A)。全てのイメージングされたゲノム遺伝子座を包含する凸包を計算し、凸包の境界を決定することによって、核ラミナの位置を推定した。同時に、これらの多モード測定は、3Dゲノム構造、転写活性および核構成の統合された単一細胞ビューを可能にした(図3B)。これらの多モードイメージング実験を、2回の生物学的反復において、約3700個の個々の細胞上で実施した。これらの多モード実験からのクロマチンイメージングデータも、3Dゲノム構成分析のために上記の5回反復(約5,400個の細胞)に含有させた。
これらの多モード実験の新生RNA転写物測定から、遺伝子を活発に転写する細胞の比率としての転写バースト頻度(図3C)と、RNAイントロンシグナルの明るさに由来するバーストサイズ中央値(図3D)との両方を、それぞれの遺伝子について定量した。これらの尺度は、反復実験にわたって高い相関を示した(図10A~10B)。バースト頻度は、二様式の挙動を示し、高いバースト頻度の遺伝子は、主にコンパートメントAに存在し、低いバースト頻度の遺伝子は両方のコンパートメントに存在していた(図3C)。さらに、250nmのカットオフ空間距離を使用して、特定のクロマチン遺伝子座が、核内構造体と会合するかどうかを推定したところ、コンパートメントB遺伝子座と核ラミナとの会合頻度がより高く(図11)、コンパートメントA遺伝子座と核スペックルとの会合頻度がより高い(図12)ことが見出された。これらの結果は、それぞれ、ラミナおよび核スペックルとの、不活性および活性クロマチンの優先的会合の以前の観察と一致していた。個々の遺伝子座について、その局部trans染色体A/B密度比は、ラミナ会合頻度との負の相関を示し(図3E)、核スペックル会合頻度との正の相関を示した(図3F)。最後に、核小体は、セントロメア、ある特定の染色体のテロメア、およびリボソームをコードする遺伝子を含有する染色体との優先的会合を示した(図3G)。これらの生物学的結果は、多モード測定に対するさらなる正当性を提供した。
とりわけ、本質的に全てのイメージングされた遺伝子座について、ラミナ会合は観察される転写活性を低下させたが(図3H)、核スペックル会合は多くのイメージングされた遺伝子座について、より高い転写活性と相関していた(図3H)。加えて、転写を阻害するためのアルファ-アマニチンによる処理時に、ラミナとの会合率は、ほぼ全ての遺伝子座について全体的に増大したが、核スペックルとの会合率は全体的に減少した(図13A~13C)。これらの結果は、転写活性化または阻害時の単一の、またはいくつかのゲノム領域の核再配置に関する以前のイメージング試験から発展し、転写活性と、核構造との相互作用との関係のゲノムスケールでのビューを提供した。
図3A~図3Hは、核構造の文脈におけるクロマチンおよび転写活性のゲノムスケールのイメージングを示す。図3Aは、核構造および機能的活性の文脈におけるクロマチン構成の統合ビューを生成するためのクロマチン(左パネル)、新生RNA転写物(中央パネル)および核内構造体(右パネル)のイメージングを組み合わせる多モードイメージングスキームの図である。約1000個のゲノム遺伝子座、標的遺伝子座中の約1100個の遺伝子の新生RNA転写物、および2つの型の核内構造体(核スペックルおよび核小体)がイメージングされる。以下は、それぞれのイメージングモダリティーに関する代表的な生画像である。複数のイメージングラウンドにわたるクロマチン遺伝子座(左)、複数のイメージングラウンドにわたる新生RNA転写物(中央)および核内構造体(右:核スペックル;左:核小体)。スケールバーは5マイクロメートルである。図3Bは、単一細胞中でのクロマチン遺伝子座、転写バーストおよび核内構造体の3Dレンダリングである。左:全ての検出されたクロマチン遺伝子座は、染色体によってグレイスケールで示される(以下に示される染色体指数に基づく)。中央:全ての検出されたイントロンRNAは球体として示され、影は、イメージングされた遺伝子の識別を示し、球体のサイズは転写バーストのサイズを表す。クロマチン遺伝子座はバックグラウンドに示される。右:検出された核内構造体の体積充填表示。核小体および核スペックルは、異なる影付きで示される。核ラミナは、全ての検出されたクロマチン遺伝子座の周囲の凸包の表面として同定される。図3C~3Dは、コンパートメントA遺伝子座(n=494個の遺伝子)およびコンパートメントB遺伝子座(n=625個の遺伝子)中に存在する遺伝子に関する、転写バースト頻度の分布(図3C)およびバーストサイズ(図3D)である。図3E~3Fは、遺伝子座が核ラミナ(図3E)および核スペックル(図3F)と会合すると見出される頻度の関数としてのそれぞれのイメージングされたゲノム遺伝子座に関する局部trans染色体A/B密度比の散布図である。遺伝子座は、核構造までのその測定距離が250nmよりも小さい場合、その構造と会合していると考えられる。プロットに示されるtrans染色体A/B密度比の値は、全てのイメージングされた細胞にわたる中央値である。図3Gは、ゲノム位置によって順序付けられた、全てのイメージングされたゲノム遺伝子座に関する核小体との会合頻度を示す。縦の線は、セントロメアの位置であり、括弧はリボソームをコードする遺伝子(rDNA)を含有する染色体を強調する。図3Hは、転写に対する核構造会合の効果を示す。丸は、遺伝子座がラミナと会合する/ラミナと会合しない(左)と、スペックルと会合する/スペックルと会合しない(右)との細胞の集団を比較する場合の各遺伝子座に関する転写バースト頻度の倍数変化である。点線は、変化なしを強調し、実線は、それぞれの場合における倍数変化中央値を表す。
図10A~10Bは、反復間の新生RNA転写イメージング実験の再現性を示す。図10A~10Bは、それぞれの遺伝子のバースト頻度(図10A)およびバーストサイズ(図10B)に関するRNAイメージングの反復間の相関を示す。Pearson相関係数は、それぞれ、0.94および0.81であった。
図11は、コンパートメントB遺伝子座と核ラミナとの優先的会合を示す。コンパートメントA遺伝子座(n=382の遺伝子座)およびコンパートメントB遺伝子座(n=623の遺伝子座)と核ラミナとの会合率の分布が示される。遺伝子座は、核周縁部までのその距離が250nmよりも小さい場合、ラミナと会合していると操作的に定義される。
図12は、コンパートメントA遺伝子座と核スペックルとの優先的会合を示す。コンパートメントA遺伝子座(n=382の遺伝子座)およびコンパートメントB遺伝子座(n=623の遺伝子座)と核スペックルとの会合率の分布が示される。遺伝子座は、最も近いスペックルまでのその距離が250nmよりも小さい場合、スペックルと会合していると操作的に定義される。
図13A~図13Cは、転写阻害時の核ラミナと核スペックルとの会合の変化を示す。図13A~13Bは、未処理の細胞(図13A)および転写阻害剤であるアルファ-アマニチンで処理した細胞(図13B)について示される、イメージングされたクロマチン遺伝子座、核小体、および核スペックルを含む個々の核の代表画像を示す。図13Cは、アルファ-アマニチンによる転写阻害時の各遺伝子座と、ラミナ(左)および核スペックル(右)との会合の率の倍数変化を示す。それぞれのゲノム遺伝子座に関するデータ点を丸で示し、実線はそれぞれの場合における全ての遺伝子座の倍数変化中央値であり、点線は変化なしを表す。
[実施例4]
本実施例では、これらの多モード単一細胞測定を使用して、転写活性および核構造の文脈におけるtrans染色体相互作用をさらに特徴付けた。trans染色体相互作用がコンパートメントA遺伝子座間の相互作用について優先的に強化されたという観察を考慮して、これらの相互作用がクロマチンの転写活性と相関するかどうかを試験した。このために、他の染色体に由来するAおよびBクロマチンの局部密度ならびにtrans染色体A/B密度比を、それぞれの細胞中のそれぞれの遺伝子座について算出し、細胞の2つの集団:(i)検討中の遺伝子座が転写活性(すなわち、RNAバーストシグナル)を示す細胞、および(ii)遺伝子座が少なくとも一瞬、転写的にサイレントに見える細胞に関するこれらの量の中央値を決定した(図4A)。とりわけ、コンパートメントA遺伝子座がコンパートメントB遺伝子座よりも高い局部trans染色体A/B密度比を示した観察に加えて(図2D~2E)、遺伝子座が活発に転写される場合、同じ遺伝子座についても、より高いtrans染色体A密度およびA/B密度比について一貫した傾向が観察された(図4Bおよび図14)。転写活性とtrans染色体相互作用との間で観察されたこの相関は、以下の解釈の両方:クロマチン遺伝子座のより高いエピジェネティックもしくは転写活性がtrans染色体相互作用のその率を増大させること、または活性クロマチンで強化された環境中での遺伝子座の配置がその転写活性を増強することと一致していた。
図4A~4Fは、活性クロマチン間の優先的なtrans染色体相互作用が、転写と相関し、凝縮物形成を乱す処理時に破壊されることを示す。図4Aは、クロマチン遺伝子座および転写活性の単一細胞画像である。左:単一の核に由来する単一のz平面における全てのイメージングされたコンパートメントA(スケールの上部)およびB(下部)遺伝子座の位置。中央:グレイスケールのスケールバーに基づく、同じ遺伝子座に関する局部trans染色体A/B密度比。右:中央パネルと同じであり、検出された転写バーストを重ね合わせ、丸印として示した。図4Bは、転写状態とサイレント状態でのそれぞれの遺伝子座に関する局部trans染色体A/B密度比の比較を示す。少なくとも1つのイメージングされた遺伝子を含有するそれぞれのゲノム遺伝子座について、trans染色体A/B密度比を、それが活発に転写される細胞(転写と指定される)およびそれが転写されない細胞(サイレントと指定される)について算出した。細胞にわたる中央値を、それぞれの状態について示す。サイレント状態でのそのA/B密度比によって遺伝子座を順序付け、A/B密度比をサイレント状態と転写状態との両方についてプロットした。図4Cは、転写を阻害するためにアルファ-アマニチンで処理された細胞に関する正規化されたtrans染色体接触頻度マトリックスを示す。マトリックスを順序付け、図2Aに記載されるように正規化する。図4Dは、図2Bに記載されるような、箱ひげ図として示されるAA、BBおよびAB接触頻度の分布を示す。AAについてはn=72,771の遺伝子座対、BBについてはn=193,753の遺伝子座対、およびABについてはn=237,986の遺伝子座対である。図4E~4Fは、図4C~4Dと同じであるが、1,6-ヘキサンジオールで処理した細胞に関するものである。
図14は、遺伝子座が活発な転写状態またはサイレント状態にある場合のそれぞれのイメージングされた遺伝子座の近くのtrans染色体A遺伝子座の局部密度を示す。それぞれの遺伝子座について、遺伝子座が活発に転写されるか、またはサイレントであるかどうかに応じて、細胞を2つの群に分けた。A遺伝子座の局部密度中央値を、これらの2群の細胞(転写およびサイレント)について示す。遺伝子座は、サイレント状態でのその局部trans染色体A遺伝子座密度に基づいて順序付けられる。
核スペックルは、活発に転写される遺伝子座を集中させる最も顕著な核内構造体の1つであるため、核スペックルとの会合は、trans染色体的な活性-活性クロマチン相互作用の観察される優先的発生のための単純な説明を提供しうる。興味深いことに、分析が核スペックルと会合していない遺伝子座に限定された場合、trans染色体接触間のA-BおよびB-B相互作用と比較したA-Aのエンリッチメントに関する同じ傾向(図15A)ならびにサイレントな遺伝子座と比較して高い局部A/B密度比を示す活発に転写する遺伝子座に関する同じ傾向(図15B)が観察された。顕著には、これらの傾向は、ラミナと会合し、かくして、コンパートメントBのクロマチンで強化された環境中にある遺伝子座のみを考慮した場合にも観察された(図16A~16B)。この後者の結果はまた、活性-活性trans染色体相互作用に関する観察されたエンリッチメントが、単に、活性クロマチンが核の中心に向かってより集中するという事実によって構成されえないことも示していた。
図15A~15Bは、核スペックルと会合していないクロマチン遺伝子座間の活性-活性trans染色体相互作用のエンリッチメントを示す。図15Aは、両方の遺伝子座が核スペックルと会合していない細胞のみを考慮する、A遺伝子座対(AA)、B遺伝子座対(BB)、および1つのAと1つのB遺伝子座を含む対(AB)の間のtrans染色体接触頻度を示す。接触頻度を、図2Aについて記載されたように正規化した。分布は、図2Bに記載されたように、箱ひげ図として表される。AAについてはn=72,771の遺伝子座対(左)、BBについてはn=193,753の遺伝子座対(右)、およびABについてはn=237,986の遺伝子座対(中央)である。比較のために、スペックル会合状態とは関係なく、全データの中央値を三角として示す。図15Bは、核スペックルと会合していない遺伝子座に関する転写状態とサイレント状態との間の局部trans染色体A/B密度比の倍数変化を示す。それぞれのゲノム遺伝子座について、遺伝子座が核スペックルと会合していない細胞のみを考慮して、遺伝子座の転写状態とサイレント状態との間の局部trans染色体A/B密度比の倍数変化を計算した。それぞれの状態(転写またはサイレント)におけるA/B密度比中央値を、それぞれの遺伝子座について決定し、2つの状態の間の倍数変化を、左に示す(それぞれの丸はゲノム遺伝子座に対応する)。遺伝子座の核スペックル会合状態とは関係なく全データに由来する対応する倍数変化を、比較のために右に示す。いずれの場合も、点線は、変化なしを表し、実線は、全ての遺伝子座にわたる倍数変化中央値を表す。
図16A~16Bは、核ラミナと会合したクロマチン遺伝子座間の活性-活性trans染色体相互作用のエンリッチメントを示す。図16Aは、ラミナと会合した(250nm以内)遺伝子座の対のみを考慮した、A遺伝子座対(AA)、B遺伝子座対(BB)、および1つのAと1つのB遺伝子座とを含む対(AB)の間のtrans染色体接触頻度を示す。接触頻度を、図2Aについて記載されたように正規化した。分布を、図2Bに記載されたように、箱ひげ図として表す。AAについてはn=72,771の遺伝子座対(左)、BBについてはn=193,753の遺伝子座対(右)、およびABについてはn=237,986の遺伝子座対(中央)である。比較のために、ラミナ会合状態とは関係なく、全データの中央値を三角として示す。比較的小さい比率の遺伝子座のみがラミナと会合するため、これらの場合において分散は比較的大きいが、それにも拘わらず、異なる型の対AA、BBおよびABの間の差異は統計的に有意である(P値<10-10)。図16Bは、核ラミナと会合した遺伝子座に関する転写状態とサイレント状態との間の局部trans染色体A/B密度比の倍数変化を示す。それぞれのゲノム遺伝子座について、遺伝子座が核ラミナと会合した細胞のみを考慮して、遺伝子座の転写状態とサイレント状態との間の局部trans染色体A/B密度比の倍数変化を計算した。それぞれの状態(転写またはサイレント)におけるA/B密度比中央値を、それぞれの遺伝子座について決定し、2つの状態の間の倍数変化を、左に示す(それぞれの丸は遺伝子座に対応する)。外れ値(提示されたスケールの上の33の遺伝子座および下の18の遺伝子座)を省略して、倍数変化中央値のより明確な可視化を可能にした。ラミナ会合状態に関係なく、全データに由来する倍数変化を、比較のために右に示す。いずれの場合も、点線は、倍数変化なしを表し、実線は、全ての遺伝子座にわたる倍数変化中央値を表す。
結果は、trans染色体相互作用が活性クロマチン遺伝子座間で優先的に起こること、およびこの挙動が複数の異なる核環境にわたって一貫して観察されることを示していた。次に探索されたのは、何がこの優先的な、幅広い活性-活性クロマチン相互作用を潜在的に引き起こしうるのかであった。RNAポリメラーゼII(Pol II)は低複雑度ドメイン(LCD)を含有し、凝縮物を形成しうるため、PolIIの解離および分解を引き起こす転写阻害薬であるアルファ-アマニチンを使用することによって、Pol IIによる転写がこれらの優先的なtrans染色体相互作用を担いうるかどうかを試験した。転写を無効化し、核構造およびクロマチンとのその会合を変更させるにも拘わらず(図13A~13C)、アルファ-アマニチンによる処理は、活性クロマチン間の優先的なtrans染色体相互作用を実質的に減少させなかった(図4C~4D)が、これは、さらなる、または他の活性クロマチン結合因子がこれらのtrans染色体相互作用に関与したことを示唆している。活性クロマチンと会合した複数の他のタンパク質は、凝縮物形成を潜在的に媒介しうるLCDを含有することが示された。したがって、目的は、より一般的には、LCD間の疎水性相互作用を破壊することが知られる薬物である1,6-ヘキサンジオールを使用することによって凝縮物形成を乱すことであった。とりわけ、trans染色体接触における活性クロマチン相互作用に関する優先的エンリッチメントは、2%の1,6-ヘキサンジオールで45分間の細胞の処理時に大きく無効化されたが(図4E~4F)、これは、これらの相互作用の確立または維持における凝縮物形成の潜在的な役割を示唆している。
まとめると、これらの実施例は、単一細胞中のゲノムスケールでのクロマチンの3D構成をイメージングするための大規模多重化FISH法を開発し、両方ともゲノムスケールでのクロマチンおよび新生転写物イメージングと、核構造同定とを組み合わせることによって3Dゲノム構成をその天然の構造的および機能的文脈に置く能力をさらに証明した。これは、単一細胞中での核構成の統合ビューを提供する。ここで全ての染色体にわたって均一に標的遺伝子座を選択して、全体の3Dゲノム構成の偏りのないビューを提供したが、この方法を使用して、プロモーター、エンハンサー、および特定の核構造タンパク質が結合している遺伝子座などの、特定の構造的および機能的特性を有するゲノム遺伝子座を標的とし、これらの遺伝子座間の相互作用ならびに転写および他のクロマチン機能とのその関係を試験することもできる。ゲノム構成と関連する様々な疑問へのこの手法の幅広い適用は、クロマチン構成を支配するメカニズムと、ゲノム機能の調節におけるクロマチン構造の役割との両方を明らかにすることができる。
[実施例5]
本実施例は、上記実施例において使用可能な種々の材料および方法を例示する。
標的ゲノム領域。クロマチンイメージングのために、ゲノム遺伝子座を以下の方法でのイメージングのために選択した。それぞれのヒト常染色体およびX染色体について、約3Mb毎の間隔の30kbのセグメントを選択した。この間隔により、所与の染色体上で30未満の選択された遺伝子座が得られた場合、全ての染色体が少なくとも30の選択された遺伝子座を有するまで、その染色体について間隔を減少させた。これは、イメージングのために合計1,041個の標的ゲノム遺伝子座をもたらし、個々の染色体における遺伝子座の数は30~80の範囲であった。次いで、コンビナトリアルFISHイメージングのために、それぞれの30kbセグメントのために符号化プローブをデザインした(約400のオリゴヌクレオチドプローブ)。
新生RNA転写物のイメージングのために、標的ゲノム遺伝子座と完全または部分的に重複する全てのイントロン含有遺伝子を選択した。次いで、それぞれのRNAが約20の符号化プローブを有し、符号化プローブのターゲティング配列が転写開始部位(TSS)の可能な限り近くに保持されるように、全てのこれらのRNAのイントロンのための符号化プローブをデザインした。合計1,137個の遺伝子を標的とした。
コンビナトリアルFISHイメージングのためのバーコードデザイン。1,041のゲノム遺伝子座をイメージングするための二進バーコードを、以下の様式で選択した。最初に、2のハミング重みを有する全てのありうる100ビットの二進バーコード(すなわち、それぞれのバーコードは、2の「1」ビットおよび98の「0」ビットを含有する)を生成し、この一覧から1,041のバーコードを無作為に選択した。次いで、選択されたバーコードを、最初に1041のゲノム遺伝子座に任意に割り当てた。次に、使用されたコードプールと使用されなかったコードプールとの間、ならびに異なる染色体に由来する遺伝子座の間で、バーコードを無作為に交換して、それぞれの染色体について、異なるビットにわたって出現する(すなわち、「1」として読まれる)遺伝子座の数の分散を最小化した。これにより、それぞれの染色体についてビットあたりにイメージングされるほぼ等しい数の遺伝子座が得られた。それぞれの染色体内の遺伝子座へのバーコードの関連付けを最適化するために、同じ染色体内の遺伝子座をバーコード交換させ、同じコード位置で「1」として読まれるバーコードを有する遺伝子座間の最大の最小ゲノム距離について最適化した。同一の最小ゲノム距離のコード割当てを比較する場合、ゲノム距離の変動の係数を最小化したものを選択した(ゲノム距離が、より大きい平均と、より小さい標準偏差との両方を有するように)。
1,137個の遺伝子の新生RNA転写物をイメージングするためのバーコードを、同様だが、100ビットの、ハミング距離2のコードの代わりに、54ビットの、ハミング距離2のコードを使用して選択した。
符号化プローブのデザイン。クロマチンイメージングのための符号化プローブを、Twist Biosciencesから購入したオリゴヌクレオチドのプールから合成した。このプール中の各オリゴは、以下のサブ配列を使用した(5’から3’に向かって):
1.PCR増幅および逆転写(RT)のための20ヌクレオチド(nt)のフォワードプライミング領域
2.プローブによって標的化されるゲノム遺伝子座がイメージングされるビットの1つに対応する20ntのリードアウト配列
3.単一の標的ゲノム遺伝子座にユニークに結合するようにデザインされた、40ntの標的配列
4.上記の20ntのリードアウト配列のさらなるコピー
5.PCR増幅のための20ntのリバースプライミング配列。
フォワードおよびリバースプライミング配列を、PCRのために最適化された無作為の20nt配列の以前に生成された一覧から選択した。
リードアウト配列を、以下のプロセスにより選択した。最初に、ヒトゲノムとの最小限の相同性を示す30ntの配列の一覧を創出した。次いで、これらの配列のサブセットを、観察されたシグナルノイズ比(SNR)によって順位付け、上位100個を、DNAリードアウトプローブとして選択した。最後に、これらの配列のそれぞれの最後の20ntを逆補完することによって、リードアウト配列を選択した。
40ntの標的配列を同様に選択した。略述すると、目的のそれぞれのゲノム領域について、以下の手順を繰り返した(上の「標的ゲノム領域」の議論を参照されたい)。最初に、目的のゲノム領域と相補的な全ての40ntの配列の一覧を創出した(標的領域中のそれぞれのありうる塩基で開始する)。次いで、それらが融点およびGC含量の規定の範囲内にあることを要求することによって、配列をフィルタリングした。次いで、ヒトゲノム、ヒトトランスクリプトームおよび反復配列を含有するデータベースとの相同性の許容される程度を制限することによって、残りの配列をさらにフィルタリングした。全てのありうる17ntの配列およびそれらが標的データベース(例えば、ヒトゲノム、ヒトトランスクリプトーム)中に出現する回数の表を創出し、所与の候補配列がそれと共に有する正確な17ntのマッチの総数を算出することによって、相同性を決定した。最後に、ゲノム重複が標的配列の任意の対の間で存在しないような最後のフィルタリング工程の後、残りの配列から標的配列を選択した。
完全長プローブを生成するために、それぞれの標的ゲノム遺伝子座に関する選択された40ntの標的配列のそれぞれを、全標的遺伝子座に及ぶ2つの群に交互に割り当てた。これらの群のそれぞれを、遺伝子座がイメージングされる2つのビットのうちの1つに対応する単一のリードアウト配列と関連付けた。次いで、それぞれの標的配列を、その群に割り当てられた2つの同一のコピーのリードアウト配列に連結した後、フォワードおよびリバースPCRプライマーに連結した。
RNAイメージングのためのプローブが、1つは標的領域の5’末端の、2つは3’末端の、プローブ毎に3コピーの同一のリードアウト配列を含有することを除いて、それらを同様にデザインした。RNAイメージングのためのリードアウト配列は、DNAイメージングのために使用されるものと直交し、試験したリードアウト配列の同じ順位付けられた一覧から選択された。
符号化プローブ合成。符号化プローブを、上記の鋳型ライブラリーから増幅した(上の「符号化プローブデザイン」を参照されたい)。これを、以下の工程を含む増幅プロトコールを使用して行った:
1.初期のオリゴプールを、約20サイクルにわたる限定サイクルPCRを使用して拡大した。この工程において使用されたリバースプライマーはまた、プライマー伸長によってT7プロモーター配列を導入した。
2.得られた生成物は、カラム精製によって精製され、高収率インビトロ(in vitro)転写反応によってさらに増幅およびRNAへの変換を受けた。
3.RNA生成物を、逆転写反応によって一本鎖DNAに変換し戻した。
4.以前の工程の生成物を、アルカリ加水分解にかけ(残留するRNAおよびプライマーDNAを除去するため)、カラム精製した。
5.必要に応じて、以前の工程の生成物を、減圧下で乾燥し、水中に再懸濁して、所望の濃度の一次プローブを達成した。
全てのプライマーは、Integrated DNA Technologies(IDT)から購入した。
細胞培養および符号化プローブのハイブリダイゼーション。細胞の調製を以下のように行った。IMR-90細胞を、American Type Culture Collection(ATCC、CCL-186)から購入し、推奨されたプロトコールに従って増殖させた。クロマチン構造の潜在的な変更を回避するために、この試験における全ての細胞を、以下に特定される密度で培養開始の6週間以内に播種した。
DNAイメージングについて準備するために、細胞を、40mmの丸い#1.5のカバースリップ(Bioptechs、0420-0323-2)上に、カバースリップあたり約500,000個の密度で播種した。細胞を、37℃および5%CO2で集密まで約2日間増殖させた。転写阻害実験において、細胞培地を、細胞固定の6時間前に、100マイクログラム/mLのアルファ-アマニチン(Sigma-Aldrich、A2263)を含有する新鮮な培地と交換した。1,6-ヘキサンジオール(Sigma-Aldrich、240117)を用いた実験のために、細胞播種の前に10マイクログラム/mLのフィブロネクチン(Sigma-Aldrich、F1141)でカバースリップを被覆し、培地を、45分にわたって2%w/vの1,6-ヘキサンジオールを含有する新鮮な培地と交換した。次いで、培養物を、室温で10分間、PBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)を使用して固定し、PBS中で2~3回洗浄した。次いで、細胞を2つの工程で透過処理した:最初に、それらを室温で10分間、PBS中の0.5%v/vのTriton-X(Sigma-Aldrich、T8787)で処理した。次いで、細胞を、室温で5分間、0.1M塩酸(HCl)で処理し、PBS中で2~3回洗浄した。HCl処理後、細胞を、37℃で30~45分間、PBS中に溶解した0.1mg/mLのRNase A(ThermoFisher、EN0531)の溶液で処理して、RNAへのオフターゲット結合の潜在的な供給源を除去した。この処理の後、細胞を、2x塩水-クエン酸ナトリウム緩衝剤(SSC;Ambion、AM9763)および50%ホルムアミド(Ambion、AM9342)からなるプレハイブリダイゼーション緩衝剤中で約10分間インキュベートした。次に、細胞カバースリップを反転させ、60mmのペトリ皿中、50マイクロリットルのハイブリダイゼーション緩衝剤(10マイクログラムのヒトCot-1 DNA(ThermoFisher、15279011)を含む、または含まない約25マイクロモルの合計濃度で符号化プローブの混合物を含有する、2xSSC、50%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン(Sigma-Aldrich、D8906))の液滴上に置いた。皿を、約90℃で3分間、水浴中に部分的に浸し、加湿チャンバー中、16~36時間にわたって47℃でインキュベートした。符号化プローブと共にインキュベートした後、試料を2xSSCおよび40%ホルムアミド中で30分間洗浄し、室温で10分間、2xSSC中の4%PFAで後固定した。次いで、試料を、2xSSC中の標準ビーズ(ThermoFisher F8805またはThermoFisher F8792のいずれか)と共に2~3分間インキュベートし、5~10分間、2xSSC中の1マイクロモルの4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI;ThermoFisher D1306)で染色した後、イメージングまで2xSSC中で保存した。
RNAイメージングを含む実験のために、全ての緩衝剤は、RNAse阻害剤(NEB M0314またはFisher Scientific N2615のいずれか)の1:10~1:1,000希釈液を含有する細胞を固定した点から使用した。RNA染色のための処理は、HClを用いた処理まで上記のプロトコールと同一であった。この工程の後、細胞を、プレハイブリダイゼーション緩衝剤中で10分間インキュベートした後、細胞カバースリップを反転させ、DNA染色について記載されたように、約1マイクロモルの合計濃度でRNAイントロンを標的とする符号化プローブを含有するハイブリダイゼーション緩衝剤の液滴上に置いた。この場合、しかしながら、90℃の熱変性を実施せず、細胞を、加湿チャンバー中、16~36時間にわたって47℃ですぐにインキュベートした。符号化プローブと共にインキュベートした後、試料を、ホルムアミド溶液中で洗浄し、上でDNAについて記載されたようにPFAで後固定した。次いで、それを標準ビーズと共にインキュベートし、1マイクロモルのDAPIで染色した後、イメージングまで2xSSC中で保存した。RNAイメージング後、試料を顕微鏡から取り出し、細胞をRNase Aで処理した後、RNAイメージングを用いずにDNAイメージングについて上に記載されたのと同じ様式でDNAハイブリダイゼーションを開始した。
FISHイメージングのためのリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーション。プロトコールのこの部分における全ての液体交換を、FCS2フローチャンバー(Bioptechs、060319-2)中にマウントされたカバースリップと共に、特注の流体システムの使用によって達成した。流体システムは、3~4個のコンピュータ制御された八方弁(Hamilton、MVPおよびHVXM8-5)およびコンピュータ制御された蠕動ポンプ(Gilson、MINIPLUS3)を使用した。まとめると、これらの構成要素は、任意の所与の時間での流体流動の速度と、流体流動の種類との両方の制御を可能にした。
各ラウンドのハイブリダイゼーションは、以下の工程を使用した:
1.以下に記載されるような、各ラウンドに特異的なオリゴヌクレオチドプローブのセットと共にハイブリダイゼーション緩衝剤中で流す
2.室温で10分間インキュベートする
3.洗浄緩衝剤を流す
4.約200秒間インキュベートする
5.イメージング緩衝剤を流す。
60mMのTris pH8.0、10%w/vのグルコース、1%のグルコースオキシダーゼ酸素スカベンジャー溶液(約100mg/mLのグルコースオキシダーゼ(Sigma-Aldrich、G2133)およびカタラーゼ(Sigma-Aldrich、C3155)の1:3希釈液を含有する)、0.5mg/mLの6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox;Sigma-Aldrich、238813)および50マイクロモルのTrolox Quinone(Trolox溶液のUV照射によって生成される)を含むイメージング緩衝剤を調製した。Troloxを、メタノールに溶解した後、溶液に添加した。調製後、イメージング緩衝剤を、約0.5cmの厚さの鉱物油層によって被覆して、酸素への曝露を防止した。
ハイブリダイゼーション緩衝剤および洗浄緩衝剤は、それぞれ、2xSSC中、35%および30%のホルムアミドから構成され、ハイブリダイゼーション緩衝剤はまた、0.01%v/vのTriton-Xを含有していた。ハイブリダイゼーション緩衝剤は、それぞれのハイブリダイゼーションラウンドのために別々に保持され、2または3(それぞれ、DNAおよびRNAイメージングのため)セットのリードアウトプローブを含有した。蛍光シグナルを2つの方法のうちの1つで導入した:
1.DNAイメージングのために、各ラウンドのハイブリダイゼーション緩衝剤は、一方はCy5またはAlexa647で標識され、他方はAlexa750で標識された、2つの蛍光リードアウトプローブを含んでいた。蛍光リードアウトプローブは、1)100nMの濃度で添加された、所与のビット中でイメージングされた全ての符号化プローブに共通するリードアウト配列と相補的な蛍光標識されたオリゴ、または2)全てのアダプターに共通し(より正確には、それぞれのカラーチャネル中の全てのアダプターに共通する)、他の全ての使用されるリードアウト配列と直交する、さらなるリードアウト配列(二次リードアウト配列と称される)に連結された、リードアウト配列と相補的な配列を有するアダプターオリゴと、この二次リードアウト配列と相補的な蛍光標識されたオリゴプローブとの組合せのいずれかを使用した。アダプターおよび二次リードアウトプローブを、1:1.5の比で予め混合し、約100nMの最終濃度で添加した。いくつかの実験について、アダプターとリードアウトプローブとを、逐次的に試料にハイブリダイズさせた。これは、より低濃度のより高価な二次リードアウトプローブの使用を可能にした。
2.RNAイメージングのために、それぞれのラウンドのハイブリダイゼーション緩衝剤は、それぞれ、異なるリードアウト配列に結合し、それぞれ、さらなる二次リードアウト配列を含有する、3つのアダプターオリゴ(3つの異なるカラーチャネルで検出される)を含有していた。同じカラーチャネルに対応する全てのアダプターは、同じ二次リードアウト配列を共有した。各ラウンドは、2つの個別のハイブリダイゼーション工程を含んでいた:最初に、アダプターを、ハイブリダイズさせて流し、過剰の材料を洗浄した。次いで、それぞれ、Cy3、Cy5、およびAlexa750で標識された、アダプター上の二次リードアウト配列と相補的な、3つの蛍光リードアウトプローブを、逐次的に流した。RNAイメージングのために使用された蛍光リードアウトプローブは、フルオロフォアを二次オリゴに連結するジスルフィド結合を含有し、ラウンド間のシグナルの効率的な除去を可能にした。蛍光リードアウトをハイブリダイズさせた後、イメージング緩衝剤を流し、シグナルを収集した。
次のラウンドのリードアウトプローブまたはアダプタープローブハイブリダイゼーションの前に、現在のラウンドにおけるリードアウトプローブまたは二次リードアウトプローブからの蛍光シグナルを、以下の「ハイブリダイゼーションラウンド間のシグナル除去」に記載されるように除去した。
第1ラウンドのハイブリダイゼーションの前に、イメージングのラウンドを実施して、DAPIシグナルを獲得し、核境界を同定した。次いで、1,041のゲノム遺伝子座の全セットを、50ラウンドのハイブリダイゼーションおよびラウンドあたり2のカラーチャネルにおいてイメージングした。各ラウンドにおいて、ゲノム遺伝子座を、z次元にステージをステップすることによって3Dでイメージングした。1,137個の遺伝子に関する新生RNA転写物を同様に、3色で18ラウンドにおいて3Dでイメージングした。さらなるラウンドを使用して、ゲノム遺伝子座のセットを再標識し、カラーチャネル間の色収差および裏抜けを評価した。合計約1,000~2,000個の細胞を含有する約60の視野のイメージングには、約3日かかった。
3~4つの弁のシステムは、最大で20~30の異なるハイブリダイゼーション溶液のローディングを可能にした。結果として、全ての流体システムのチャネルを使い果たした後、試料チャンバーをバイパスし、ハイブリダイゼーションのために使用された全てのチャネルを、水中の30%ホルムアミドで洗浄した。次に、チャンバーを再接続して、次のセットのハイブリダイゼーションおよびイメージングラウンドを実施した。
抗体の標識化およびイメージング。抗体イメージングを、RNAまたはDNAイメージングの直後に実施した。上記のプロトコールによるイメージングの完了後、試料は以下の工程を受けた:
1.試料を、ブロッキング溶液(0.1%v/vのTween-20(Sigma-Aldrich P9416)および1%w/vのウシ血清アルブミン(BSA;Jackson Immunoresearch 001-000-162)を含むPBS)と共に、30分間インキュベートした。
2.試料を、ブロッキング溶液中に希釈した一次抗体と共に、1時間インキュベートした。
3.試料を、0.1%のTween-20を含むPBS中で3回、それぞれ5分間洗浄した。
4.蛍光タグ付き二次抗体のために、工程2および3を繰り返した。
全ての緩衝液交換を、上記のマイクロ流体システムを使用して、顕微鏡上で行った。Cy5カラーチャネルをイメージングのために使用し、光退色を使用して逐次的抗体標識化間のシグナルを消滅させた。
一次および二次抗体の以下のセットを使用した:
1.核スペックルをイメージングするために、ストックからの1:200の希釈率の、核スペックルのマーカーとして一般的に使用されるスプライシング因子であるSC35に対する一次抗体(Abcam、ab11826)およびストック濃度から1:1,000に希釈されたCy5色素によって標識されたロバ抗マウス二次抗体(Jackson Immunoresearch、715-175-150)を使用した。
2.核小体をイメージングするために、ストックからの1:200の希釈率の抗フィブリラリン抗体(Abcam、ab5821)、およびストック濃度から1:1,000に希釈された、Alexa657色素によって標識されたロバ抗ウサギ二次抗体(Jackson Immunoresearch、711-605-152)を使用した。
ハイブリダイゼーションラウンド間のシグナル除去。各ラウンドのイメージングの前に、前のラウンドからのシグナル(または第1ラウンドの場合、内因性バックグラウンド)を消滅させた。これを、シグナルの光退色によって達成した。緩衝剤を2xSSCに変更し、647および750のレーザーの最大利用可能出力(ならびにRNAをイメージングする場合、560のレーザー)でそれぞれの視野を10秒間照射することによって、光退色を実施した。RNAイメージング実験において、退色のために使用された緩衝剤はまた、フルオロフォアをリードアウトプローブに接続するジスルフィド結合を切断するために、50mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP;Sigma-Aldrich、C4706)も含有した。ハイブリダイゼーションおよび洗浄緩衝剤中の高いホルムアミド濃度の結果として、DAPIシグナルは消滅した。
画像獲得。特注の顕微鏡システムを使用して、画像獲得を実施した。Nikon Ti-U顕微鏡本体を中心に、開口数を1.4とする、Nikon CFI Plan Apo Lambda 60倍油浸対物レンズと共に、システムを構築した。照射は、2つの選択肢のうちの1つに基づくものであった:
1.以下の波長:405nm(Coherent、Obis 405nm LX 200mW)、560nm(MPB Communications、2RU-VFL-P-2000-560-B1R)、647nm(MPB Communication、2RU-VFL-P-1500-647-B1R)および750nm(MPB Communication、2RU-VFL-P-500-750-B1R)を有する固体状態の単一モードレーザー。この場合、560nm、647nmおよび750nmのレーザーの出力は、音響光学チューナブルフィルター(AOTF)によって制御したが、405nmのレーザーは、そのレーザー制御ボックスによって直接制御した。特注ダイクロイックフィルター(Chroma、zy405/488/561/647/752RP-UF1)および発光フィルター(Chroma、ZET405/488/461/647-656/752m)を使用して、励起照射と放出照射とを分離した。
2.以下の波長:405nm、446nm、477nm、520nm、546nm、638nmおよび749nmを有するLumencor CELESTA光エンジン(繊維に結合した固体状態のレーザーベースの照射システム)。このシステムを、ペンタバンドパスダイクロイック(IDEX、FF421/491/567/659/776-Di01-25x36)およびペンタバンドバスフィルター(IDEX、FF01-441/511/593/684/817-25)と共に使用した。
学術用CMOSカメラ(単一分子のイメージングのために工場で較正した、Hamamatsu FLASH4.0またはHamamatsu C13440)を、画像獲得のために使用した。三次元における試料位置を、XYZステージ(Ludl)を使用して制御した。特注のオートフォーカスシステムを使用して、長時間にわたって一定の焦点面を維持した。これを、ガラス-液体界面から反射した2つのIRレーザー(Thorlabs、LP980-SF15)ビームの相対位置を比較することによって達成し、別々のCMOSカメラ(Thorlabs、uc480)上でイメージングした。
それぞれの実験について、細胞がまばらである領域を避けて、イメージングのために約60の視野(FOV)を選択した(本発明者らは、典型的には、FOVあたり10~50個の細胞を同定した)。それぞれのカメラのFOVは、イメージング面におけるそれぞれの次元において153nmに対応するカメラピクセルを有する、1,000x1,000ピクセル、またはイメージング面におけるそれぞれの次元において108nmに対応するカメラピクセルを有する、2048x2048ピクセルを有していた。
各ラウンドのハイブリダイゼーション後(上の「FISHイメージングのためのリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーション」を参照されたい)、それぞれのFOVのzスタック画像を、3または4色で獲得した:647nmおよび750nmの照射(またはDNAとRNAイメージングとを組み合わせる場合、RNAイメージングのために560nm、647nm、および750nmの照射)を使用して、FISH画像を獲得し、560nmの照射(またはRNAとDNAイメージングとを組み合わせる場合、405nmの照射)を使用して、標準ビーズをイメージングした。第1ラウンドのイメージングのために、405nmの照射を使用して、DAPIシグナルをイメージングしたが、抗体イメージングのためには、647nmの励起チャネルを、RNAまたはDNAイメージング後に使用した。連続z切片を、全てのイメージングされた細胞の全ての核体積を包含する、85、100または150nmにより分離した。それぞれのz位置で、画像を全てのチャネルで獲得した後、ステージを動かし、画像を約10Hzの速度で獲得した。
画像分析ならびにDNAおよびRNAイメージングのためのスポット適合化。以下の分析パイプラインを、それぞれのイメージングされたFOVに適用して、目的の全ての遺伝子座の三次元(3D)位置を得た:
1.基準を、全てのラウンドのイメージングにおいて適合させ、画像の整列のために使用した。
2.第1のイメージングラウンド(第1ラウンドのハイブリダイゼーションに先行する)において、個々の核の境界を同定するために、ならびにRNAとDNAイメージングとの間の画像登録のために、DAPIシグナルを使用した。
3.それぞれの同定された核内の回折限定スポットを、3Dガウス関数に適合させて、局部バックグラウンドを超える質量および明るさのその中心を同定した。
4.適合されたスポットを、全ラウンドのハイブリダイゼーションにわたって同じ核内の他の局在と比較して、特注アルゴリズムおよびソフトウェア(「適合させたDNAスポットのための復号化アルゴリズム」および「適合させたRNAスポットのための復号化アルゴリズム」の節に詳細に記載されている)を使用して、それらが生じた遺伝子座を同定した。
DNAおよびRNAイメージングのためのスポット適合化。個々のFISHイメージングラウンドからのシグナルを、3Dガウス分布を使用して適合させた。分析をより管理可能にするために、125に復号化するために保持される画像あたりの適合されたスポットの数を固定した(ノイズがないと予想される異なる遺伝子座の数よりも約3倍多い)。
ドリフト補正。標準ビーズスポット適合化を、上記と同じように実施した。次いで、標準ビーズ位置のセットを、ハイブリダイゼーションラウンド間で比較し、厳正な形質転換を適用して、ビーズの相対位置の平方差の和を最小化した。
色効果の補正。多色イメージングに関する裏抜けおよび色収差を、それぞれのイメージングチャネル中の同じセットのゲノム遺伝子座を独立に標識化し、それぞれ、異なるチャネル中の同じ遺伝子座のシグナルを比較することによって実施した。
核のセグメント化。第1ラウンドのイメージングからのDAPI画像を使用して、個々の核の体積を同定し、細胞セグメント化を可能にした。これを、畳み込みニューラルネットワークにより達成し、構築および訓練し、インプットとしてのxy平面上へのDAPI画像の最大投射を取った。
さらなる画像分析:DNAイメージングとRNAイメージングとの間の画像登録。DNAとRNAとの両方のイメージングを含む実験において、2D画像補正により2セットの画像にわたる大まかな画像登録(カメラピクセル精度への)のために、最初にDAPIシグナルを使用した(それぞれのセット内の全画像を、標準ビーズを使用してDAPI画像に対して整列させた)。RNA復号化の初期ラウンドを行った後(以下の「適合されたRNAスポットのための復号化アルゴリズム」を参照されたい)、新生RNA局在と、それらが存在するDNA遺伝子座との変位が、ある視野中の全てのイメージングされた遺伝子および細胞にわたって考慮した場合、平均でゼロになるはずであると仮定することによって、より微細なアラインメントを算出した。したがって、さらなる厳正な形質転換を算出して、イメージングされた新生RNAと、その対応するDNA遺伝子座との平均変位を最小化し、これを最終的なアラインメントとして使用した。
免疫蛍光イメージングからの核内構造体の同定。核内構造体(核スペックルおよび核小体)の位置を、免疫蛍光シグナルの強度に対して閾値を適用し、高い免疫蛍光シグナルを同定するピクセル化されたマスクを得ることによって、免疫蛍光シグナルから抽出した。次いで、これを、核内構造体を「含有」するピクセル化されたセットの位置として処理した。
適合されたDNAスポットのための復号化アルゴリズム。それぞれのゲノム遺伝子座の同定および3D局在特定を、以下の工程によって達成した:
1.各ラウンドのイメージングにおいて全ての同定されたスポットのドリフト補正および収差補正された位置について、一覧を生成した。
2.全てのイメージングラウンドにおけるそれぞれの検出されたスポットについて、他のラウンドに由来する全てのスポットが、その位置からの設定されたカットオフ距離(x、yおよびzにおいて約150nm)内にあることが見出された。スポット対によって産生されたバーコード(それらが出現するラウンドおよびカラーチャネルに基づく)が、正当なバーコード(ゲノム遺伝子座に割り当てられたバーコード)に対応するかどうかに関係なく、全てのそのようなスポット対を、さらなる分析のために保持した。
3.それぞれのスポット対について、3つの品質測定基準を算出した:
A.2つのスポットの3D局在間の変位
B.2つのスポット間の明るさの差異
C.2つのスポットの明るさの平均。
それぞれのスポットの明るさを、対応するビット中の全スポットの明るさの中央値によって正規化した。
4.次いで、スポット対を、それらが正当なバーコード(したがって、潜在的には、ゲノム遺伝子座)に対応するかどうかに基づいて、2つの群に分離した。各群内で、品質測定基準の分布を算出した。便宜上、無効なバーコードからのスポット対品質測定基準の分布を、「無効な分布」と称し、全ての正当なバーコードからのものを「正当な分布」と称した。
5.それぞれのスポット対について、工程3における3つの品質測定基準を、工程4における「正当な分布」に対する全ての候補スポット対に関する合わせたFisherのp値を算出することによって、単一の尺度に合わせた。これを、それぞれのスポット対の全体的な品質スコアと考え、以下のように対あたりで算出した:3つの測定基準のそれぞれについて、「正当な分布」における他のスポット対の比率を、より低い品質測定基準を用いて算出し、これらの比率を一緒に乗算した。次いで、期待値最大化手順を使用して、それぞれの標的化されたクロマチン遺伝子座に対応する最も高い品質スコアを有する2つのスポット対を逐次的に選択し、「正当な分布」を再アップデートし、この最適化手順を収束まで繰り返した。収束後、それぞれクロマチン遺伝子座に対応する、最後のセットのスポット対を使用して、遺伝子座の3D空間位置を決定した。
6.工程5の後、改変型K平均アルゴリズムを使用して、同じ染色体に属するクロマチン遺伝子座を2つのホモログに分離した。点を2つの群に分け、各群内の回転半径を最小化する標準的なK平均クラスタリングアルゴリズムとは反対に、点を、群間で進行的に切り替えて、最初にそれぞれのホモログ中の割り当てられた点の比率を最大化した後、それぞれのホモログの回転半径を最小化した。
7.2つのホモログを分離した後、工程2からのそれぞれのスポット対のその質量中心および距離を、その親染色体の質量中心に対して算出した。染色体中心までの距離を、工程3において考慮した3つの測定基準に加えて別の品質測定基準として加え、工程3~6を繰り返した。
8.最後に、工程7からのスポット対をフィルタリングして、品質スコアが「無効な分布」と依然として類似する対を除去した。
工程8後の残りのスポット対を使用して、クロマチン遺伝子座の最終的な位置を決定し、クロマチン構造を追跡した。
適合されたRNAスポットのための復号化アルゴリズム。RNAイメージングラウンドからのシグナルを、以下の手順を使用して復号化した。
1.各ラウンドのイメージングにおいて全ての同定されたスポットのドリフト補正および収差補正された位置について、一覧を生成した。
2.全てのイメージングラウンドにおけるそれぞれの検出されたスポットについて、他のラウンドからの全てのスポットが、その位置からの設定されたカットオフ距離内にあることが見出され、これらのスポット対を、それらが正当なバーコードを形成した場合、候補RNAバーストとして保持した。
3.次いで、これらの候補RNAバーストのそれぞれの位置を、初期の画像登録(DAPI画像に基づく)ならびにドリフト補正および収差補正後に、関連遺伝子を有するDNA遺伝子座の位置と比較し、それらが設定された閾値距離内にある場合、保持した。
4.DNAイメージングとRNAイメージングとの間の登録を、上の「DNAイメージングとRNAイメージングとの間の画像登録」の節に記載されたように、初期の復号化されたRNA局在(工程3からの)と、それらを有するDNA遺伝子座の位置との間の変位に基づいて精緻化した。
5.全ての候補RNAバーストの位置を、今回、精緻化された画像登録を用いて、それらが復号化する遺伝子を有するDNA遺伝子座の位置と再度比較した。新生RNA局在がこの段階でそれが存在するDNA遺伝子座からのカットオフ距離内にあった場合、それを、検出された転写バーストと考えた。
さらなる分析:核ラミナの同定。所与の細胞中の全ての復号化されたクロマチン遺伝子座の位置の周囲に最小の3D凸包を生成することによって(Pythonのscipyパッケージを使用する)、核ラミナの位置を推定した。
空間距離。任意の遺伝子座対間の空間距離を、物理的距離に対するカメラピクセルおよびzステップに関する適切な比率を乗じた、その適合された3Dガウス分布中心間のユークリッド距離として単純に算出した。核内構造体までの距離の場合、全ての同定された核内構造体の「位置」までの最小ユークリッド距離または核ラミナを規定する凸包の表面までの最小距離を算出した。
イメージングからの接触頻度マトリックス。任意の所与の対の遺伝子座間の接触頻度を算出するために、設定された閾値よりも小さいその遺伝子座対間の測定距離の数を計数した。次いで、この数を、その遺伝子座対について測定された距離の総数で除算した。
局部密度分析。それぞれの復号化された位置でのコンパートメントAおよびコンパートメントB遺伝子座のtrans染色体局部密度を算出するために、それぞれの細胞に関するクロマチン遺伝子座のそれぞれの対の間の空間距離を算出した。それぞれの遺伝子座について、局部A/B密度比を、以下のように算出した:
1.それぞれの他の遺伝子座の密度の寄与を、2つの遺伝子座間の距離で500nm(細胞サイズの変動を説明するように調整される)の標準偏差を用いてガウス関数値を評価することによって、異なる染色体から算出した。
2.次いで、遺伝子座での合計A密度を、全てのtrans染色体A遺伝子座にガウス関数値の和として計算し、合計B密度を同様の方法で計算した。
3.trans染色体コンパートメントA遺伝子座の合計密度を、trans染色体コンパートメントB遺伝子座の密度で除算して、その遺伝子座でのA/B密度比を見出した。
多重化RNAイメージングにおける検出効率の推定。転写バースト事象の検出効率の推定を、以下のように実施した:
1.RNAイントロンがイメージングされる遺伝子を有する全ての標的ゲノム遺伝子座を考慮した。これらのゲノム遺伝子座のいずれかについて、その対応するRNAシグナルは、遺伝子が転写される場合に2つの予め定義されたビットで出現した。これらの2つのビットのそれぞれが検出されない率(p)を知ることは、RNAの検出効率の誘導を可能にした。その対応する遺伝子の2つの予想されるビットのうちの少なくとも1つにRNAシグナルと共に局在する(約150nm以内)ゲノム遺伝子座のセットを同定した。
2.工程1で同定されたクロマチン遺伝子座の合計セットから、その遺伝子の対応するビット(両方のビットではない)の正確に1つから、RNAシグナルと共局在する遺伝子座の比率(f)を決定した。
に等しいはずである、測定されたf(8.4%)から、p(4.4%)が推定された。
3.両方のビットにおける共局在シグナルを検出するための全体的な検出効率を、式:
を使用して算出したところ、約92%であることがわかった。
Hi-Cデータ分析。IMR-90細胞に関するHi-Cデータを入手し、strawを使用してロードした。個々の染色体におけるA/Bコンパートメントの同定のために、確立され公開されたプロトコールに従った。イメージングデータに由来する接触頻度のHi-Cとの比較のために、標的領域を中心とするビンを創出し、これらのビンに関するHi-Cデータを、より高い分解能のHi-Cデータにおけるリード数を合計することによって入手した。
[実施例6]
クロマチンの三次元(3D)構成は、多くのゲノム機能を調節する。しかしながら、3Dゲノム構成の理解は、その天然の文脈でクロマチンコンフォメーションを直接的に視覚化するための手段がないことによって妨げられる。本明細書で報告されるのは、高いゲノムスループットで単一細胞中で複数のスケールにわたってクロマチン構成を視覚化するためのイメージングプラットフォームである。最初に、逐次的ハイブリダイゼーションによって数百個のゲノム遺伝子座の多重化イメージングを示し、全染色体の高分解能コンフォメーショントレーシングを可能にした。次に、ゲノムスケールのクロマチントレーシングのためのコンビナトリアルイメージング方法を開発し、ランドマーク核構造と一緒に、1000を超えるゲノム遺伝子座および1000を超える遺伝子の新生転写物の同時的イメージングを示した。このプラットフォームを使用して、単一細胞中でのクロマチンドメイン、コンパートメント、およびtrans染色体相互作用、および転写とのその関係を特徴付けた。その天然の構造的および機能的文脈においてクロマチン構成の統合ビューを提供する、この高効率、マルチスケールおよび多モードのイメージング技法の幅広い適用がある。
ゲノムの3D構成は、遺伝子発現からDNA複製に及ぶ多くの必須の細胞機能を調節する。生化学的測定およびイメージング測定は、様々な規模にわたって複雑なクロマチン構造を解明してきた。特に、Hi-Cおよび他のシーケンシングベースの方法などの、高効率染色体コンフォメーション捕捉法は、ゲノムワイドビューと共に、ドメインおよびコンパートメントなどのクロマチン構造を明らかにしてきた。とりわけ、クロマチンは、Hi-C接触マップ上でブロック様構造として出現する、トポロジカル関連ドメイン(TAD)と呼ばれる、自己相互作用が増強されたゲノム領域に分割される。サイズが数百キロベース(kb)から数メガベース(Mb)の範囲のこれらのTADは、同時に調節される遺伝子を有することが多く、調節エピジェネティックエレメントと一致する境界を有する。より大きな規模では、クロマチンは、クロマチンの遺伝子が多い、および遺伝子が少ないセグメントが空間的に分離する傾向があるという以前のイメージングベースの観察と一致して、Hi-Cマップにおける交互の「格子縞」パターンによって示されるように、それぞれ、活性クロマチンおよび不活性クロマチンについて強化される、AおよびBコンパートメントと呼ばれる2つの主要なコンパートメントに分割される。最近のイメージング実験は、コンパートメントAおよびコンパートメントBのクロマチンが実際に、単一細胞中で空間的に分離する傾向があることを示している。A/Bコンパートメント化の生理学的意義は、開発中の、および細胞型間のその変化によって暗示される。
全体として、高効率のシーケンシングベースの手法は、3Dゲノム構成の知識を大きく強化してきた。それにも拘わらず、これらの強力な手法はまた、制限も有する。例えば、これらの方法は、クロマチン遺伝子座の対に関する接触情報を提供するが、これらの遺伝子座に関する直接的な空間位置情報は提供しない。さらに、クロマチン構成に関する多くの洞察は、数百万個の細胞にわたって集団平均化された接触マップ上で構築される。単一細胞Hi-C法の継続的な改善にも拘わらず、単一細胞中でのクロマチン接触の捕捉効率および/またはこれらの方法の細胞スループットは依然として低いままであり、したがって、単一細胞中での3Dゲノム構成の精査は依然として課題の多い仕事である。さらに、例えば、相互作用タンパク質、核構造、またはDNA改変の文脈におけるクロマチン接触の特徴付けを提供するために、Hi-Cと他の測定モダリティーとを組み合わせる方法が出現したが、シーケンシングによる多モード測定は依然として課題が多い。とりわけ、同じ細胞中でクロマチン構成と転写活性との両方のゲノムスケールでの測定を可能にする方法は、クロマチン構成がどのように転写を調節するか、次いで、転写がどのようにクロマチン構成に影響するかをさらに理解するためのそのような方法に関する要求にも拘わらず、出現していない。
他方で、イメージングベースの手法は、高い検出効率と共に、個々の細胞中のクロマチン遺伝子座の空間位置の直接的な尺度を提供する。特に、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)は、固定された細胞中のクロマチン遺伝子座の非常に特異的な検出を可能にし、より最近では、CRISPR(clustered regularly interspersed short palindromic repeat)システムは、生きた細胞中で特定のクロマチン遺伝子座をイメージングする能力を実質的に増強した。また、クロマチンイメージングを、RNAおよびタンパク質イメージングと組み合わせて、クロマチン構成と、転写活性または相互作用タンパク質因子との相互作用を精査することもできる。しかしながら、現在のイメージング方法は、ゲノム(配列)空間におけるスループットを制限し、伝統的には、一度にほんのわずかな異なるゲノム遺伝子座の試験を可能にする。それぞれのラウンドが、1色または2色イメージングを使用して1つまたは2つのゲノム遺伝子座を標的とする、逐次的ラウンドのFISHイメージングによるクロマチントレーシング手法が、最近開発された。この手法は、単一細胞中での数十個の異なるクロマチン遺伝子座のイメージングを可能にし、クロマチン構造および転写とのその関係における洞察を提供するために使用されてきた。しかしながら、個々の細胞中で同時にイメージングすることができるゲノム遺伝子座の数は依然として限られているため、個々の細胞中でのクロマチン構成のゲノムスケールでのビューは言うまでもなく、単一細胞中での全染色体の高分解能ビューも依然として得られていない。
単一細胞中で様々な分解能およびゲノムカバレッジで数百個から1,000個を超える異なるゲノム遺伝子座の同時的イメージングを可能にするマルチスケールの多重化されたFISHイメージングプラットフォームが、本明細書で報告される。最初に、逐次的イメージング手法を実質的に進化させて、数百個のゲノム遺伝子座のイメージングを可能にし、この方法を適用して、全染色体の高分解能ビューを提供し、単一細胞中でのクロマチンドメインおよびコンパートメント構造、互いとのその関係、ならびにクロマチン構成と転写との関係を解明した。次に、大規模多重化FISH手法を、はるかに少ないハイブリダイゼーションラウンドを用いてより多くのゲノム遺伝子座をイメージングすることができる、コンビナトリアル標識化およびイメージングに基づいて開発した。この手法を使用して、個々の細胞中での1,000個を超えるゲノム遺伝子座の同時的イメージング、ならびにこれらの遺伝子座および核スペックルおよび核小体を含む、ランドマーク核構造に存在する1,000個を超える遺伝子の新生RNA転写物と一緒のこれらのゲノム遺伝子座の同時的イメージングを示し、クロマチン構成を、その天然の構造的および機能的文脈に置くのを可能にした。この手法を使用して、単一細胞中でのtrans染色体相互作用、転写活性および核構造の間の関係を探索した。
複数のスケールにわたるクロマチン構造の体系的なビューを可能にするために、特注の顕微鏡および流体工学設定(実施例19を参照されたい)を使用する、イメージングプラットフォームを、ゲノムスケールまでの、配列空間において例外的に高効率でのクロマチンの直接的視覚化のために開発した。このプラットフォームは、2つの相補的な手法を含んでいた(図17A)。第1に、そこに含まれる異なる遺伝子座が、任意の単一の画像中で分解するのが困難であるような、比較的小さいものであったクロマチン構造のイメージングのために、以前に報告された逐次的イメージング戦略を拡大して、単一細胞中での数百個のクロマチン遺伝子座のトレーシングを可能にした。この手法では、クロマチンを、多くのイメージングラウンドにわたって、一度に1個の遺伝子座(または2~3色のイメージングを用いて一度に2~3個の遺伝子座)についてイメージングした(図17A、左)。この手法は、それを使用して、高分解能で単一の細胞中で全染色体のコンフォメーションを追跡することによって実証された。第2に、核全体にわたって広がる構造などの、回折限界分解能よりも実質的に大きい領域にわたって分散したクロマチン構造をイメージングするために、多くのクロマチン遺伝子座がそれぞれのラウンドにおいて同時にイメージングされ、その異なる識別が、それらが出現する異なる組合せのラウンドに基づいて決定される、より効率的な、コンビナトリアル戦略を開発した(図17A、右)。この後者の手法により、はるかにより少ないイメージングラウンドでの多数のゲノム遺伝子座のイメージングが可能になった。この手法を使用して、単一細胞中での、転写活性および重要な核構造の文脈におけるクロマチン構造のゲノムスケールでのビューを提供した。
図17A~図17Mは、単一細胞中でのクロマチンドメインの逐次的ハイブリダイゼーションおよび特性評価による高分解能全染色体トレーシングを示す。図17Aは、マルチスケールでのクロマチントレーシングプラットフォームの概略図を示す。左:逐次的ハイブリダイゼーションおよびイメージングによる全染色体のクロマチントレーシングの概略図。標的クロマチン構造が、回折限界分解能と同等であるか、またはそれよりも小さい場合、単一のクロマチン遺伝子座は、イメージングラウンドあたりそれぞれのカラーチャネルにおいてイメージングされる。イメージングの全ラウンド後、クロマチントレースを、標的染色体の各コピーについて3Dで生成することができる。右:コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのイメージングの概略図。遺伝子座が核全体に分散している場合など、標的遺伝子座が、回折限界分解能よりも実質的に大きい空間中に広がっていると予想される場合、それぞれのラウンドにおいて複数の遺伝子座をイメージングおよび分解することができ、各遺伝子座の識別を、遺伝子座が検出されるイメージングラウンドの組合せに基づくバーコードから誘導することができる。この手法は、逐次的イメージング手法と比較して、同じ数の遺伝子座をイメージングするのに必要とされるラウンド数を有意に減少させる。
[実施例7]
全染色体の高分解能クロマチントレーシング。この節では、逐次的イメージング手法による高分解能全染色体トレーシングが記載される(図17A、左;図24A)。ヒト第21染色体(Chr21)に最初に焦点を合わせ、染色体の非繰り返し部分(Chr21:10.4~46.7Mb)を、それぞれ50kbの長さの、600個を超える連続セグメント(すなわち、600個を超えるゲノム遺伝子座)に分割した。染色体にハイブリダイズするための可変標的配列および50kbの遺伝子座のそれぞれにとってユニークであるリードアウト配列をそれぞれ含有する、一次オリゴヌクレオチドプローブのライブラリーをデザインした(図24A)。特定の50kbの遺伝子座に結合した全ての一次プローブは、同じリードアウト配列を共有し、したがって、そのリードアウト配列を使用して、蛍光色素で標識された相補的リードアウトプローブのハイブリダイゼーションによってそれぞれの遺伝子座を同定することができた(図24A)。しかしながら、600個を超える異なる蛍光リードアウトプローブを用いたこれらのゲノム遺伝子座の同定は、色素標識されたオリゴヌクレオチドの高い費用のため、法外に高価である。この課題を克服するために、それぞれの遺伝子座特異的リードアウト配列を、3つの共通のリードアウト配列のうちの1つに変換する非標識アダプタープローブによって媒介される、3つの色素標識されたオリゴヌクレオチドプローブ(リードアウトプローブと呼ばれ、それぞれのカラーチャネルについて1つのリードアウトプローブである)の共通のセットを用いて異なるリードアウト配列を検出する2工程の標識化戦略を考案した(図24A)。この戦略を使用して、ヒト肺線維芽細胞(IMR-90)中のChr21中の600個を超えるクロマチン遺伝子座を、それぞれのラウンドにおける3色イメージングと共にアダプターおよびリードアウトプローブの200ラウンドを超えるハイブリダイゼーションを使用して、逐次的にイメージングした。そのような多数のハイブリダイゼーションラウンドにわたる安定なイメージングを可能とするために、イメージングプロトコールを、以下のようにさらに最適化した:(i)試料の完全性および一次プローブの結合安定性を維持するために、イメージングの過程中に定期的に試料をホルムアルデヒドで再固定した;(ii)それぞれのイメージングラウンド後の蛍光シグナルの完全な除去を確保し、数百回の標識化ラウンドにわたる残留シグナルの蓄積を最小化するために、化学的切断と光退色化手法との組合せを使用して、リードアウトプローブの蛍光シグナルを除去し、未標識のリードアウトプローブを添加して、それぞれのラウンドのイメージング後にアダプタープローブ上の占有されていない結合部位を遮断した;(iii)摂動および実験時間を最小化するために、それぞれのハイブリダイゼーションラウンドの持続期間および流体システムの流速を最適化した。
イメージング後、それぞれのクロマチン遺伝子座の質量中心位置を3Dで決定し、それぞれの細胞中のChr21のそれぞれの相同なコピーのコンフォメーションを再構築した(図17B)。多くのハイブリダイゼーションラウンドにわたって試料およびイメージング機器がどれぐらい安定であったのかを推定するために、異なる数のハイブリダイゼーション/イメージングラウンド後に、同じクロマチン遺伝子座を再イメージングし、元の遺伝子座の位置と、対応する再イメージングされた遺伝子座のものとの変位を、測定精度の尺度として使用した。元の遺伝子座と再イメージングされた遺伝子座との間の変位中央値は、11ラウンドのハイブリダイゼーションが2つのイメージング例を分離した場合の約70nmから、初期および再イメージング例を約250ラウンドのハイブリダイゼーションにより分離した場合の約120nmまで増大し(図24B~24C)、再イメージングの際により大きい変位を示した遺伝子座は、より低い蛍光シグナル強度をも有していた(図24D)。変位エラー中央値は、250を超えるラウンドのハイブリダイゼーション後であっても、近隣のクロマチン遺伝子座の間の距離中央値(約250nm)よりも実質的に小さかったことがわかった(図24B)。さらに、イメージングされた遺伝子座間のペアワイズ距離中央値は、生物学的反復間で高度に再現性があった(図24E)。これらの実験におけるクロマチン遺伝子座の検出効率は、90%を超えていた(すなわち、90%を超える標的クロマチン遺伝子座がそれぞれの染色体中で検出された)。
Chr21のクロマチンコンフォメーションの集団平均ビューを得るために、イメージングされた遺伝子座間のペアワイズ相互作用を、約3,500個のイメージングされた細胞にわたって、その空間距離中央値および遺伝子座が近くに来る確率を算出することによって定量した(図17Cおよび図24F~24I)。Chr21中に存在する全ての長さ規模にわたって、イメージングデータからのペアワイズ距離中央値と、以前に公開されたHi-Cデータとの高い相関(0.89のPearson相関;図24F~24G)が観察され、より短いゲノム距離について特に高いことと一致していた(0.97のPearson相関;図24H~24I)。2つの遺伝子座が近接していると考えられたものより下のカットオフ距離を選択するために、カットオフ距離の範囲にわたって、Hi-Cデータと、イメージングデータに由来する接近頻度(すなわち、2つの遺伝子が近接している例の比率)との間のPearson相関係数を算出した。Pearson相関係数は、幅広いカットオフ距離について高いままであったが、カットオフ距離が約400~500nmであった場合、0.88でピークに達した(図24J)。かくして、この作業を通して接近頻度マップを生成するために、カットオフ距離として500nmを選択した(カットオフ距離の選択に関するより詳細な根拠については、実施例19を参照されたい)。
距離中央値と接近頻度マップとの両方とも、ブロック様TAD構造を示した(図17Cおよび図24Fおよび図24H)。イメージングデータからの距離と接近頻度マップとの両方から同定されたTAD境界は、アンサンブルHi-Cデータから決定されたものと非常に類似していた(図24K)。さらに、クロマチントレースにおける遺伝子座局在特定エラー(約100nm)は、ドメイン境界の同定およびその精度に対する効果がほとんどないことが確認された(図24K)。
図17Bは、逐次的ハイブリダイゼーション手法によってイメージングされた、単一のIMR90細胞中での2コピーのChr21の3D構造レンダリングおよび空間距離マトリックスを示す。左:単一細胞中の2コピーのChr21を、核のDAPI画像上に重ね合わせる。スケールバーは5マイクロメートルである。右上:染色体間のそのゲノム候補による2つのChr21コピーにおける全ての検出されたクロマチン遺伝子座(球体)の3Dレンダリング(ゲノム位置を右に示す)。可撓性の線は隣接するクロマチン遺伝子座を接続する。スケールバーは1マイクロメートルである。右下:上に示された染色体コピーに対応するペアワイズ空間距離マトリックス(適切な参照ゲノムを含まない、または高度に反復性の配列を含有するゲノム領域はイメージングされない)。
図17Cは、Chr21のアンサンブル接近頻度マトリックスおよびCTCF/RAD21結合部位での単一細胞ドメイン境界の優先的配置を示す。上:イメージングデータに由来するChr21の接近頻度マトリックス。それぞれのマトリックスエレメントは、遺伝子座対間の測定距離が500nmのカットオフ距離よりも短い頻度と定義される。中央:Chr21の10Mb部分に関する接近頻度マトリックスのズームインバージョン。下:イメージングされた50kbのゲノムセグメントのそれぞれでの単一細胞ドメイン境界形成の確率。三角形は、CTCFおよびRAD21のChIP-seqピークを示す。
図24A~図24Nは、逐次的ハイブリダイゼーションによる高分解能全染色体トレーシング、およびHi-Cと比較した、Chr21構造特性のアンサンブル統計を示す。図24Aは、アダプタープローブとの逐次的ハイブリダイゼーションのための標識化およびイメージングスキームを示す。第1に、標的ゲノム遺伝子座への特異的結合を可能にする標的配列およびリードアウト配列をそれぞれ含有する、試料を、一次プローブとハイブリダイズさせる。それぞれの遺伝子座を、合計350~500の一次プローブによって標識するが、1つのみを示す。それぞれの標的ゲノム遺伝子座に、遺伝子座に結合する全ての一次プローブに共通のユニークなリードアウト配列(種々の色で示される)を割り当てる。次いで、逐次的ラウンドのハイブリダイゼーションを使用して、リードアウト配列を検出する。それぞれのラウンドのハイブリダイゼーション中に、標的遺伝子座に対応するリードアウト配列(3つのカラーチャネル、Alexa750、Alexa647、およびCy3のそれぞれについて1つ)を、それぞれ2つの部分:遺伝子座特異的リードアウト配列と相補的なセグメントおよびカラーチャネル特異的な共通のリードアウト配列を含有するセグメントからなるオリゴヌクレオチドアダプタープローブで標識する。それぞれのカラーチャネルは、同じカラーチャネルで視覚化された全てのアダプターによって共有されるユニークな共通リードアウト配列を含有する。次いで、共通リードアウト配列を、対応するカラーチャネルにおいて色素コンジュゲートされた相補的リードアウトプローブにハイブリダイズさせる。この手順により、それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションの間に3つのカラーチャネルにおいて3つのゲノム遺伝子座をイメージングすることができる。それぞれのラウンドのイメージングの後、ジスルフィド結合によってリードアウトプローブに接続される蛍光色素を、TCEPによって共通リードアウトプローブから切断し、アダプター上の占有されていないリードアウト配列を、未標識の共通リードアウトプローブで遮断して、ハイブリダイゼーションラウンド間のクロストークを防止する。このプロセスを、全てのリードアウト配列、したがって、全てのゲノム遺伝子座の検出が完了するまで数百ラウンドにわたって反復する。
図24Bは、単一の実験の過程にわたる遺伝子座の変位を示す。Chr21中の900kbの領域内の連続する50kbのセグメント(chr21:32.45~33.35Mb)を、250ラウンドを超えるハイブリダイゼーションによって分けられた、実験の開始時および終了時の両方においてイメージングした。再イメージングされたスポットと、その元のイメージングされた対応物との間の変位の分布を示す。比較のために、元のイメージングラウンドにおいて測定された同じ900kbの領域中の隣接する50kbのセグメント間の距離の分布を示す。
図24Cは、異なる数のハイブリダイゼーションラウンドによって分けられた、元のイメージングラウンドと、再イメージングラウンドとの間のクロマチン遺伝子座の変位の箱ひげ図を示す。 中央値(中心線)、25~75パーセンタイル(囲み)および10~90パーセンタイル(ひげ)が示される。
図24Dは、250ラウンドを超えるハイブリダイゼーションによって分けられた、元のイメージングと再イメージング実験との間で低い(500nm未満)および高い(500nmを超える)変位エラーを示すクロマチン遺伝子座の蛍光シグナルの箱ひげ図を示す。中央値(中心線)、25~75パーセンタイル(囲み)および10~90パーセンタイル(ひげ)が示される。
図24Eは、2つの反復実験間の遺伝子座間空間距離中央値の比較を示す。イメージングされたクロマチン遺伝子座の対の間の空間距離中央値を、Chr21の2つの生物学的反復実験のために別々に算出し、互いに対してプロットした。2回反復において測定したデータ間のPearson相関係数は、ρ=0.98である。
図24Fは、イメージングに由来する空間距離中央値マトリックス(左)、イメージングに由来する接近頻度マトリックス(中央)、およびChr21に関するアンサンブルHi-C接触マトリックス(右)の比較を示す。イメージングデータのために、2つのクロマチン遺伝子座は、2つの遺伝子座間の空間距離が500nmのカットオフ距離よりも小さい場合、近接していると考えられる。Hi-C接触マトリックスは、50kbでビンされ、標的領域を中心とする。
図24Gは、アンサンブルHi-Cに由来する接触回数およびクロマチン遺伝子座の個々の対に関するイメージングに由来するペアワイズ距離中央値の対数-対数散布図を示す。直線は、データの線形回帰を表す(勾配=-4.43)。イメージングと、Hi-Cデータとの間のPearson相関係数は、ρ=0.89である。
図24Hは、図24Fと同じであるが、Chr21中の3Mbの領域についてのものである(chr21:30.30~33.38Mb)。TAD境界は、直線でマーキングされる。
図24Iは、図24Hと同じであるが、(H)に示される3Mbの領域についてのものである。勾配=-4.51、ρ=0.97である。
図24Jは、Hi-C接触マップと、変化するカットオフ距離を用いて生成されたイメージング由来接近頻度マップとの間のPearson相関を示す。接近頻度マップを生成するために、カットオフ距離を選択し、このカットオフ値よりも小さい距離を有する2つの遺伝子座を、近接していると考える。次いで、遺伝子座の対の間の接近頻度を、遺伝子座間の測定距離がカットオフ距離よりも短い発生の数を2つの遺伝子座間の測定距離の総数で除したものとして算出した。
図24Kは、1)イメージングからのペアワイズ距離中央値(上)、2)イメージングからの接近頻度(中央)、および3)Hi-C接触リード(下)から算出されたChr21上のゲノム位置の関数としての正規化された絶縁スコアを示す。絶縁スコアを算出するために、目的の位置の上流の固定された長さ(250kb)のゲノムセグメントおよび下流の同じ長さのセグメントを最初に選択した。次いで、正規化された絶縁スコアを、セグメント間ペアワイズ距離中央値とセグメント内ペアワイズ距離中央値との差異をこれらの2つの距離中央値の和によって正規化したものと定義する。TAD境界は、標準的なピークコーリングアルゴリズムによって同定された、染色体に沿った正規化された絶縁スコアの局部最大値と定義される(実施例19を参照されたい)。縦の点線は、Hi-CデータからコーリングされたアンサンブルTAD境界である。また、推定された局在測定エラーと同等の、100nmの標準偏差を示す3Dガウスノイズ項で遺伝子座の位置を乱した後、距離中央値(黒線、上パネル)および接近頻度(黒線、中央パネル)を、上および中央のパネルに示す。
図24Lは、2つの例示的な単一細胞中のChr21の10Mb領域(chr21:28.2~38.1Mb)中のクロマチンドメインを示す。単一細胞中のChr21の2つの個々のコピーからのペアワイズ距離(上、中央)を、全てのイメージングされた細胞に由来する集団ペアワイズ距離中央値(下)と一緒に示す。
[実施例8]
単一の染色体中のクロマチンドメイン。単一細胞レベルで、染色体は単一細胞空間距離マトリックス中にブロック様特性として現れるドメインに分割されることが観察された(図24L)。これらのドメインおよび遺伝子座間距離は、単一細胞Hi-Cデータにおいて観察されるクロマチン接触における実質的な細胞間変動性と一致して、細胞間で高い変動性を示した(図24L~24M)。類似する分解能で染色体の小さい(約2Mb)の領域をイメージングする場合、単一細胞中の類似するドメイン構造が以前に観察された。しかしながら、これらの以前に測定された小さい領域内で、かなり多い比率の細胞は、明確な単一細胞ドメイン境界を示さず、ドメインがこれらの細胞内で形成するかどうか、または全てのイメージングされた領域が単一ドメイン内にあるかどうかは依然として不明確であった。さらに、これらの以前にイメージングされた領域のサイズが小さいため、多くのドメインは、イメージングされたゲノム領域の末端で人工的にトランケートされ、かくして、その物理的サイズおよびゲノムサイズなどの、ある特定の基本的なドメイン特性の正確な特徴付けを妨げた。この試験における高いゲノムスループットは、これらの単一細胞ドメイン構造の全染色体ビューを提供し、本質的には全てのイメージングされた細胞において全染色体にわたってその顕著な存在を示し、かくして、より体系的な様式でその特性の特徴付けを可能にした。
これらの単一細胞ドメインの境界のゲノム位置を最初に同定し、それぞれ50kbのゲノム遺伝子座での境界形成の確率を定量した。境界形成の非ゼロ確率は全てのイメージングされたゲノム遺伝子座で観察されたが、ドメイン境界は、CTCFおよびコヘシンの結合部位の近くに優先的に配置された(図17C~17D)。
ドメイン境界の位置における細胞間変動に加えて、ドメインの物理的サイズから、ドメイン間の絶縁または相互作用の程度までに及ぶ、これらの単一細胞ドメインの他の特徴における実質的な異種性が観察された(図17E~17H)。具体的には、単一細胞ドメインは、そのゲノムサイズ(図17I)と、回転半径によって測定されるその物理的サイズ(図17Eおよび図17J)との両方において可変的であることが観察された。これらのドメインのゲノムサイズの分布も、物理的サイズの分布も、約100nmの推定遺伝子座局在特定エラーに対して感受性ではなかった(図17I~17J)。とりわけ、同じゲノム領域が境界となっている、または同じゲノムサイズを有するドメインは、細胞間でのその物理的サイズにおいてかなり変動した(図17Eおよび図24N)。興味深いことに、相互作用するCTCF/コヘシン結合部位が境界となっているドメインは、そのようなゲノム遺伝子座が境界となっていないドメインよりも物理的サイズにおいて小さい傾向があった(図17K)。加えて、近隣のドメイン間の物理的分離の程度も、実質的に変化し(図17Fおよび図17L)、いくつかの近隣のドメインは、完全に分離され、リンカー領域によって接続されるに過ぎなかったが、その他は部分的な重複およびあまり鮮明でない境界を示した(図17F)。さらに、その近隣のドメインから完全に分離されたドメインであっても、空間中で部分的に重複することができたが、非近隣のドメインは、小さい、または大きいゲノム距離によって隔てられた(図17G)。最後に、これらの単一細胞ドメインの末端の2つのクロマチン遺伝子座も、互いに変動する距離を示し、ドメインがCTCF/コヘシン結合部位が境界となっているかどうかに関係なく、ドメインの内部における類似するゲノム距離によって隔てられたクロマチン遺伝子座と比較して、互いにより近くになる傾向を示さなかったことが観察された(図17Hおよび図17M)。
図17Dは、CTCF/Rad21結合部位またはアンサンブルTAD境界(灰色)を中心とするゲノム位置での単一細胞中でのドメイン境界形成の確率を平均したものである。
図17Eは、物理的空間において大きい(上)または小さい(下)体積を占有する、同一のゲノム配位を有する2つの単一細胞クロマチンドメインの例である。左:クロマチンドメインの3Dレンダリングであり、緑色の球はドメイン内のイメージングされたゲノム遺伝子座を表し、可撓性リンカーはゲノム配列中の隣接する遺伝子座を接続する。灰色のスポットは、残りの染色体中のイメージングされた遺伝子座を表す。スケールバーは1マイクロメートルである。右:隣接領域と共に、左に示されたクロマチンドメインのペアワイズ距離マトリックス(線でマーキングされる)である。
図17Fは、高い(上)および低い(下)絶縁スコアを有するクロマチンドメインの2つの対の例を示す。左:図17Eと同様の、クロマチンドメインの3Dレンダリングである。スケールバーは250nmである。右:対応する色でマーキングされたレンダリングされたドメインと共に、左に示されたクロマチンドメインのペアワイズ距離マトリックスである。
図17Gは、部分的に重複する体積を有するクロマチンドメイン間の長距離接触の2つの例を示す。左:(E)と同様の、クロマチンドメインの3Dレンダリングである。影は異なるドメインを表す。スケールバーは250nmである。右:対応する色でマーキングされたレンダリングされたドメインと共に、クロマチンドメインのペアワイズ距離マトリックスである。灰色の空間は、22.85Mbのゲノム距離におけるギャップを示す。
図17Hは、CTCF結合部位によって挟まれたクロマチンドメインの例を示し、CTCF部位間の小さい(上)および大きい(下)距離を示す。左:(E)と同様であるが、ドメインの末端にCTCT部位の遺伝子座を有する、クロマチンドメインの3Dレンダリングである。スケールバーは250nmである。右:ドメインおよびそれに応じてマーキングされた境界CTCFを有するクロマチンドメインのペアワイズ距離マトリックスである。
図17Iは、単一細胞中のChr21におけるクロマチンドメインの測定されたゲノムサイズの分布を示す。100nmの局在特定エラーを考慮するシミュレートされたデータに由来する、単一細胞中のChr21におけるクロマチンドメインのゲノムサイズの分布が、黒色の線で示される。このシミュレーションでは、イメージングされた遺伝子座の位置は、本発明者らの測定エラーと同様、100nmの標準偏差を有する3Dガウスノイズで乱される。
図17Jは、単一細胞中のChr21におけるクロマチンドメインの、回転半径により定義される、測定された物理的サイズの分布を示す。図17Iと同様、100nmの局在特定エラーを考慮するシミュレートされたデータに由来する、単一細胞中のChr21におけるクロマチンドメインの物理的サイズの分布が、黒色の線で示される。
図17Kは、相互作用CTCF/Rad21部位を含有する境界遺伝子座を含む、およびCTCF/Rad21部位を含有する境界遺伝子座を含まない、クロマチンドメインのゲノムサイズの関数としての回転半径中央値を示す。エラーバーは、再サンプリングによって誘導された95%信頼区間を示す。
図17Lは、CTCF/Rad21結合部位および非CTCF/Rad21結合部位に存在するドメイン境界を有する近隣ドメイン間の絶縁スコアの分布を示す。
図17Mは、相互作用CTCF/Rad21部位を含有する境界遺伝子座を含む、およびCTCF/Rad21部位を含有する境界遺伝子座を含まない、クロマチンドメインのゲノムサイズの関数としてのドメインの正規化された末端間距離の中央値を示す。正規化された末端間距離は、同じゲノム距離によって隔てられたが、単一ドメインの内部にある同様の遺伝子座対の間の距離中央値で除算した、ドメインの末端間距離と定義される。エラーバーは、再サンプリングによって誘導された95%信頼区間を示す。
図24Mは、Chr21に関する遺伝子座間空間距離の標準偏差マトリックスを示す。領域のそれぞれの対について、全ての単一の染色体コピー中の対応する遺伝子座対間の距離の標準偏差が示される。
図24Nは、回転半径によって測定された、Chr21における異なるゲノムサイズのクロマチンドメインの物理的サイズの箱ひげ図を示す。それぞれのゲノムサイズについて、中央値(中心線)、25~75パーセンタイル(囲み)および10~90パーセンタイル(ひげ)が示される。
[実施例9]
単一の染色体中のクロマチンコンパートメント。次に、全染色体の高分解能ビューを使用して、AおよびBコンパートメント中のクロマチン遺伝子座が単一細胞中でどのように配置されるかを検査した。第1に、以前に記載されたアルゴリズム(図18A;図25A)を使用して、イメージングデータから誘導された、Chr21に関する接近頻度マップのPearson補正マトリックスの主成分分析(PCA)を使用して、アンサンブルA/Bコンパートメント境界を決定した。イメージングデータから得られたコンパートメント境界は、以前に公開されたアンサンブルHi-Cデータから決定されたものと非常に類似していた(図25A)。以下では、アンサンブル接近頻度マップから得られたコンパートメント境界を使用して、個々の細胞中の個々の遺伝子座についてA/B識別を割り当てた。
以前の試験と比較した分解能の10倍を超える増大は、単一の染色体におけるコンパートメントA遺伝子座およびコンパートメントB遺伝子座の構成の詳細なビューを可能にした。AおよびB遺伝子座の配置の高い程度の変動が、細胞間で個々の染色体コピー間で観察された(図18B)。一部の染色体においては、AおよびB遺伝子座は、本質的には非重複空間領域中に分離されたが、他の染色体は、A遺伝子座とB遺伝子座との間で実質的な空間重複を示した。興味深いことに、同じ染色体中のコンパートメントA遺伝子座が、複数の「マイクロコンパートメント」に分離されることもあった(図18B)。
個々の染色体におけるAおよびB遺伝子座の空間的分離の程度を定量するために、局部密度に基づく手法を考案し、それぞれのイメージングされた遺伝子座について、他のAおよびB遺伝子座の局部密度を計算した(図25B)。予想通り、コンパートメントA遺伝子座は、平均して、A遺伝子座によって囲まれる傾向があり、同じことはB遺伝子座にも当てはまった(図25C)。A/B分離スコアを、AまたはB遺伝子座の大部分を有する空間体積中で観察された遺伝子座の純度に基づいて、それぞれ個々の染色体についてさらに定義した(図18C)。AおよびB遺伝子座の完全な物理的分離は、1の分離スコアをもたらし、AおよびB遺伝子座の完全な混合は、0.5の分離スコアをもたらすと予想された(実施例19を参照されたい)。細胞中のChr21コピーの大部分について、分離スコアは、0.5を中心とする無作為化対照のスコア(コンパートメントサイズを未変化のまま保持しながらゲノム軸に沿ってコンパートメント境界を無作為にシフトさせることによって得られる)よりもかなり高いことが観察されたが(図18C)、これは、AおよびB遺伝子座が単一細胞中で空間的に分離する傾向を示している。また、AおよびB遺伝子座の空間的分離が不完全であることが多かったことも注目に値する(図18C)。これは、活性および不活性クロマチンの不完全な空間的分離を潜在的に反映したが、部分的には、アンサンブルA/Bコンパートメント識別を、単一細胞中での活性/不活性クロマチン描写に関する不完全な代理にしうる、エピジェネティック改変の細胞間変動性によっても引き起こされうる。とりわけ、A/B分離の程度は、細胞周期依存的であることがわかった:A/B分離は、G1期の細胞と比較して、G2/S期の細胞についてより強力であり(図25D)、細胞周期の間のA/Bコンパートメントの段階的確立の以前の知見と一致していた。
Chr21は、最も小さい染色体の1つであり、そのサイズはわずかに約48Mbであり、少数の連続するAおよびB領域のみに分割されることが知られていた。この知見をより大きい染色体に拡張し、それらがどれぐらい一般的であるかを精査するために、そのゲノム配列に沿ってAおよびBコンパートメントの間で多数の遷移(約50の遷移)を示す、最も大きい染色体の1つである第2染色体(Chr2)をイメージングした。具体的には、そのゲノム配列に沿って250kbの間隔で50kbのセグメントを標識およびイメージングすることによって、Chr2を追跡した。上記と同じ手法を使用して、イメージングデータに基づいて染色体のpおよびqアーム中にAおよびBコンパートメントをコールし(図18D;図25E)、以前に公開されたアンサンブルHi-Cデータから決定されたAおよびBコンパートメントとの定量的一致を観察した(図25F~25G)。単一染色体レベルで、AおよびB遺伝子座の間のほぼ完全な空間的分離から、実質的な空間的重複に及ぶ、AおよびB遺伝子座の様々な空間配置を再度観察した(図18E)。興味深いことに、一部の染色体は、おそらく、B遺伝子座と、細胞核の上および下の近くの核ラミナとの優先的会合に起因して、A遺伝子座が2層のB遺伝子座の間に配置される「サンドイッチ」形状を示した。定量的には、Chr2の個々のコピーにわたるA/B分離スコア分布は再度、無作為化対照と比較して、AおよびB遺伝子座が個々の染色体において分離する全体的傾向を示した(図18F)。空間的分離の程度は、Chr21よりもChr2においてより小さいように見えた(図18Cおよび図18F)。
図18A~図18Iは、単一染色体中のコンパートメント構造および転写活性と局部クロマチン含量との関係を示す。図18Aは、本発明者らのイメージングデータに由来するChr21のゲノム距離で正規化された接近頻度に関するPearson相関マトリックスを示す。2つの遺伝子座は、その距離が500nmのカットオフ距離よりも小さい場合、近接していると考えられる。下の2つのバーは、接近頻度マトリックス(AコンパートメントおよびBコンパートメントについて示される)および染色体中のそれぞれのゲノム遺伝子座のGバンディングに由来するA/Bコーリングを示す。
図18Bは、単一細胞中でのChr21の個々のコピーの3Dレンダリングを示し、AおよびB遺伝子座は球として示される。可撓性の線は、ゲノム配列中の隣接する遺伝子座を接続する。下にあるバーは、接近頻度マトリックスに由来する染色体中のそれぞれのゲノム遺伝子座のA/Bコーリングを示す。スケールバーは1マイクロメートルである。
図18Cは、Chr21の個々のコピーのA/B分離スコアの分布を示す。A/B分離スコアを算出するために、A(またはB)遺伝子座の2/3が体積内に含まれるように局部A(またはB)密度を閾値化することによって、A(またはB)高密度体積をそれぞれの染色体について定義する(AおよびB高密度体積はAおよびB遺伝子座の間で空間的重複を示す染色体について重複してもよいことに留意されたい)。染色体のA(またはB)高密度体積中の遺伝子座の純度を、体積内の全遺伝子座がA(またはB)遺伝子座である比率と定義し、染色体コピーのA/B分離スコアを、AおよびB体積の平均純度と定義した。ヒストグラムは、無作為化対照に関するA/B分離スコアの分布を表し、ここで、連続するAおよびB領域の間の境界は、AおよびB領域の数およびサイズを未変化のまま保持しながら、ゲノム配列に沿って無作為にシフトする。n=約7,500の染色体である。
図18Dは、図18Aと同様の、本発明者らのイメージングデータに由来するChr2のpおよびqアームに関するゲノム距離で正規化された接近頻度のPearson相関マトリックス、ならびに対応するA/BコーリングおよびGバンディングを示す。
図18Eは、図18Bと同様の、Chr2の個々のコピーの3Dレンダリングを示す。 スケールバーは1マイクロメートルである。
図18Fは、図18Cと同様の、単一細胞中のChr2に関するA/B分離スコアの分布を示す。n=約3,100の染色体である。
図25A~25Gは、Chr21およびChr2に関するアンサンブルA/Bコンパートメント分析を示す。図25Aは、Chr21に関する主成分分析に基づくコンパートメントコーリングを示す。イメージング(上)およびアンサンブルHi-C(下)実験に由来するゲノム距離で正規化された接近頻度からPearson相関マトリックスのために算出された第1の主成分(PC1)を示し、0より大きいPC1値は、コンパートメントAに対応し、0より小さいPC1値はコンパートメントBに対応する。
図25Bは、コンパートメントA遺伝子座(A遺伝子座)およびコンパートメントB遺伝子座(B遺伝子座)の3Dレンダリング、ならびにChr21の単一コピー中のA/B密度比を示す。左:Chr21の代表的なコピーのAおよびB遺伝子座である。イメージングに由来するアンサンブル接近頻度マップからのAおよびBコンパートメントコーリングを、下のバーに示す。右:同じ染色体であるが、それぞれの遺伝子座がその局部A/B密度比で色付けされる。
図25Cは、全てのイメージングされた細胞にわたって平均化されたChr21中のそれぞれのイメージングされた遺伝子座に関する平均AおよびB密度スコアを示す。下パネルは、イメージングに由来する接近頻度マップからのそれぞれの遺伝子座のAまたはBコンパートメントコーリングを表す。
図25Dは、細胞周期のG1およびG2/S期における細胞中のChr21の個々のコピーに関するA/B分離スコアの分布のヒストグラムを示す。
図25Eは、Chr2に関する、イメージングに由来する接近頻度マトリックス(左)およびアンサンブルHi-C接触マトリックス(右)を示す。Hi-C接触マトリックスは50kbでビンされるが、イメージングされたセグメントからの接触のみ(250kb間隔で選択される)が示される。
図25Fは、図25Aと同様の同じPC分析を示すが、Chr2のpアーム(上)およびqアーム(下)に関するものである。
図25Gは、図25Cと同様の同じ平均AおよびB密度分析を示すが、Chr2に関するものである。
[実施例10]
転写と、局部A/Bクロマチン含量との関係。クロマチンコンパートメント化が単一の染色体における活発な転写と相関するかどうかを試験するために、Chr21中に存在する86個の遺伝子の最初のイントロンを標的とするオリゴヌクレオチドプローブをデザインし、逐次的ラウンドのハイブリダイゼーションを行って、これらの遺伝子の新生RNA転写物をイメージングした後、クロマチントレーシングを行った。さらに、遺伝子の空間位置をより正確に検出するために、それぞれの標的遺伝子の転写開始部位(TSS)を中心とする5kbのゲノム遺伝子座をイメージングした。RNAプローブがゲノムDNAに結合する、およびその逆を防止するために、RNAプローブのハイブリダイゼーションを、二本鎖ゲノムを熱変性することなく行った後、クロマチントレーシングを行う前に、RNase処理(クロマチンをイメージングする場合にも単独で含まれる工程)を使用してRNA分子を消化した。RNAシグナルとDNAシグナルとのクロストークは、この戦略を使用する場合、無視できる程度であることが確認された(図26A~26J)。
典型的には、イメージングされた遺伝子のサブセットは、任意の個々の細胞中で転写活性を示した(図18G)。転写活性がどのように局部クロマチン環境と相関するかを検査した。局部A/Bクロマチン含量を特徴付けるために、AおよびB遺伝子座の近くでの局部密度を、それぞれの遺伝子について算出し、その比(本明細書では以後、A/B密度比と称する)を、活性クロマチンの局部エンリッチメントのための測定基準として使用した。試験した遺伝子の約80%について、遺伝子が活発に転写している場合、そのTSSでの局部A/B密度比は、遺伝子が発火していない場合よりも高いことが見出された(図18H)。当然の結果として、遺伝子の発火率もまた、遺伝子のTSSがより高い局部A/B密度比を有していた場合の細胞中よりも高い傾向があった(図18I)。これらの結果は、同じ遺伝子が、その遺伝子の近隣において、より高いA遺伝子座のエンリッチメントおよび/またはB遺伝子座の脱エンリッチメントを示す細胞中でより高い転写活性を有する傾向があることを示していた。転写活性のこの増大は、転写機構の局部エンリッチメントおよび/またはサイレンシング因子の脱エンリッチメントに潜在的に起因しうる。あるいは、転写機構と会合した、活発に転写するクロマチンは、転写機構およびコファクターが凝縮物を形成しうることを考慮すると、他の活性クロマチンと相互作用するより強い傾向を有することもあり得た。これらの2つのありうるメカニズムは相互に排他的ではないが、協調的に動作して互いに強化しうることがわかった。
図18Gは、測定された遺伝子の転写バーストと一緒に示される単一コピーのChr21の3Dレンダリングを示す。球は、この染色体における全ての検出された新生RNAバーストを表す。スケールバーは500nmである。
図18Hは、活発に発火している状態と、発火していない状態との間のイメージングされた遺伝子の転写開始部位(TSS)でのA/B密度比の変化(対数差で測定される)を示す。各遺伝子について、遺伝子が発火している染色体およびそれが発火していない染色体中のそのTSSで、A/B密度比中央値を計算する。Chr21上でイメージングされた84個の遺伝子に関するこれらの値の対数差を、そのA/B密度比中央値の変化の規模に従って順位付ける。イメージングされた遺伝子の79%が、発火していない場合と比較して、それらが活発に発火している場合にA/B密度比の増加を示した。
図18Iは、遺伝子のTSSの局部環境が低い(下位四分の一)A/B密度比から高い(上位四分の一)A/B密度比へと変化する時の、イメージングされた遺伝子の発火率の変化(対数差として測定される)を示す。Chr21上のイメージングされた84個の遺伝子に関する発火率の対数差を、発火率の規模に従って順位付ける。イメージングされた遺伝子の79%は、そのTSSが、A/B密度比の、下位四分の一と比較して、上位四分の一にある場合、より高い発火率を示した。
図26A~26Jは、RNAおよびDNA FISHプローブクロストークに関する測定を示す。図26Aは、例示的な細胞と、DAPIによってマーキングされたその核(上)および遺伝子(BRWD1)の新生RNAを標的とするFISHプローブの蛍光シグナル(下)を示す。
図26Bは、図26Aと同じであるが、異なる遺伝子(SCAF4)に関するものである。図26Aおよび図26Bの染色は、実施例19の「細胞培養物の調製および一次/符号化プローブハイブリダイゼーション」の節に記載されるRNA FISHプロトコールに記載されるプロトコールに従う。
図26Cおよび図26Dは、RNA FISHプロトコールを、追加のRNase処理工程を含むように改変して、FISHプローブの添加前に細胞RNAを除去したことを除いて、それぞれ、図26Aおよび図26Bと同じである。図26Cおよび図26Dにおける細胞を、図26Aおよび図26Bと同様の照射条件下でイメージングしたが、その蛍光シグナルを、図26Aおよび図26Bと同じコントラストで表示する。
図26Eは、5つの測定された遺伝子にわたる未処理の細胞およびRNase処理された細胞に関する3を超えるシグナルノイズ比を有する細胞あたりのスポット数を示す。
図26Fは、例示的な細胞と、DAPIによってマーキングされたその核(上)およびゲノム遺伝子座(chr21:15.2Mb-15.25Mb)を標的とするプローブの蛍光シグナル(下)を示す。
図26Gは、図26Fと同じであるが、異なる遺伝子座(chr21:14.95Mb-15Mb)に関するものである。図26Fおよび図26Gの染色は、実施例19の「細胞培養物の調製および一次/符号化プローブハイブリダイゼーション」の節に記載されるDNA FISHプロトコールに記載されるプロトコールに従う。
図26Hおよび図26Iは、DNA FISHプロトコールを、熱変性工程を省略し、したがって、接近可能なゲノムDNA部位を除去するように改変したことを除いて、それぞれ、図26Fおよび図26Gと同じである。図26Hおよび図26Iにおける細胞を、図26Fおよび図26Gと同様の照射条件下でイメージングし、その蛍光シグナルを、図26Hおよび図26Iと同じコントラストで表示する。
図26Jは、熱変性工程で処理した細胞およびこの工程を省略した細胞に関する、3を超えるシグナルノイズ比を有する細胞あたりのスポット数を示す。
[実施例11]
単一の染色体中でのクロマチンドメインとコンパートメントとの関係。次に、単一細胞クロマチンドメイン間の相互作用およびこれらの相互作用がコンパートメント識別とどのように相関するかを精査した。Chr2のサイズは大きく、その中のコンパートメントの分割の数が大きいため、Chr2上での分析は、より多くの洞察を提供することが予想され、かくして、この染色体に焦点を合わせた。
Ch2中の単一細胞ドメインの大部分は、AまたはB遺伝子座のいずれかの全部を含む「純粋な」ドメインであったが、実質的な比率の単一細胞ドメインは、アンサンブルA/B境界を横断し、A遺伝子座とB遺伝子座との両方を含んでいた(図19A~図19C)。これらの「混合」ドメインの存在は、単一細胞中でのドメイン形成は、コンパートメント識別を決定するクロマチン特性と強く関連しないが、エピジェネティック改変の細胞間変動性が一部の単一細胞中で活性/不活性クロマチン境界のシフトを引き起こすこともありうることを示唆していた。
次に、ドメイン間相互作用がどのようにドメインのAおよびB組成、ならびにドメイン間のゲノム距離に依存するかに焦点を合わせて、ドメインがどのように互いに相互作用するかを検査した。ドメインは、短いゲノム分離と長いゲノム分離との両方で接触し、そのような接触は、個々の染色体の空間距離マップにおける非対角ボックス特徴として現れた。そのような接触パターンは、実質的に細胞間で異なっていた(図19D)。この異種性にも拘わらず、ドメイン-ドメイン相互作用は、その基礎となるクロマチンのA/B組成によってモジュレートされると考えられた(図19E):主にB遺伝子座を含有するドメイン間の接触頻度は、平均すると、主にA遺伝子座を含有するドメイン間のものよりも高く、次いで、異なるA/B識別のクロマチンに偏っているドメイン間の接触頻度よりも高かった。この平均写真は、Hi-Cによって測定されたA/Bコンパートメント化のクロマチン構造モデリングならびにイメージングによって測定されたAおよびB遺伝子座の全体的配置に基づいて最近提唱されたAおよびBクロマチン相互作用強度のヒエラルキーと一致していた。
ゲノム距離の関数としてのドメイン接触頻度のさらなる検査は、より複雑な写真を示した。簡単にするために、単一のコンパートメント識別の遺伝子座を含有する「純粋な」Aおよび「純粋な」Bドメインに焦点を合わせた。予想通り、接触頻度は、全ての組成物のドメイン対に関するゲノム距離と共に低下した(図19F)。しかしながら、Bドメイン対(B-B)間の接触頻度は、より短いゲノム距離(Chr2について最大で約75Mb)ではAドメイン対(A-A)間のものよりも高かったが、A-Aドメインの接触は、より大きいゲノム分離ではB-Bドメインの接触よりも優位であった(図19F)。この結果は、最近のアンサンブルHi-C試験において報告されたA-AとB-Bクロマチン相互作用間のゲノム距離依存性と一致しており、単一細胞ドメイン間の優先的相互作用がどのようにこれらのアンサンブル傾向を生じうるかに関するさらなる洞察を提供した。とりわけ、比較的大きいゲノム距離では、B-Bドメイン接触確率は、AドメインとBドメインとの間(A-B)の接触確率と同様のレベルまで低下したが、A-Aドメイン接触確率は、大きいゲノム分離であってもA-Bドメイン接触確率よりも依然として高かった(図19F)。これは、大きいゲノム距離でのA-Aドメイン相互作用の明確な優位をもたらした(図19G)。加えて、接触ドメイン対はまた、異なる程度の空間的重複を示し、一部のドメイン対は、比較的表面的な接触を示したが(図19Fの差し込み図)、他の対は強力な混合を示した(図19Hの差し込み図)。興味深いことに、A-Aドメイン対と比較して、B-Bドメインは、そのような混ざり合った小球を形成する、実質的により強い傾向を示した(図19H)。
全体として、これらの結果は、優先的なA-AおよびB-Bドメイン相互作用が、クロマチンコンパートメントの空間的分離を生じさせること、ならびにA-AおよびB-Bドメイン相互作用の性質が異なることを示唆していた。これらの相互作用の性質における差異は、A-AおよびB-B会合に関与する異なる分子的因子に起因しうる。例えば、HP1などのヘテロクロマチン因子は、B-B相互作用に関与すると考えられるが、転写活性化因子またはBRD4およびMediatorなどのコアクチベーターは、活性クロマチン相互作用に関与しうる。これらの異なる分子的因子が、A-AおよびB-Bドメイン相互作用間のゲノム距離依存性における観察された差異および混合するその傾向の原因となるかどうかは、さらなる精査を待っている。
図19A~図19Hは、そのA/B組成およびゲノム距離へのドメイン間相互作用の依存性を示す。図19A、左は、単一細胞中のChr2のコピーにおけるB遺伝子座のみを含む「純粋な」ドメインによって挟まれた、A遺伝子座とB遺伝子座との両方を含有する「混合」クロマチンドメインの3Dレンダリングである。スケールバーは500nmである。右:同じ領域のペアワイズ距離マトリックスを左に示した。下のバーおよびマトリックスの左は、遺伝子座のAおよびBコーリングを示し、輪郭線はクロマチンドメインの境界を強調する。A/Bコーリングは、Chr2のアンサンブル接近頻度マップから決定される。
図19Bは、図19Aと同じであるが、混合ドメインの代わりに、1つが完全にA遺伝子座を含み、1つが完全にB遺伝子座を含む、2つの純粋なドメインに関するものである。
図19Cは、Chr2中の単一細胞クロマチンドメインにおいて遺伝子座がA遺伝子座である比率の分布である。
図19Dは、Chr2の2つの例示的コピーの単一細胞空間距離マトリックスである。第1および第3のパネルは、2つの全染色体に関するマトリックスを示すが、第2および最後のパネルは、それぞれ、第1および第3のパネルにおいて黄色で強調された領域に関する拡大されたマトリックスを示す。サイドバーは、アンサンブル接近頻度マップに由来するA/Bコンパートメントコーリングを示す。
図19Eは、Chr2中の異なるA/B組成のドメインに関するドメイン接触確率を示す。XおよびY軸は、ドメイン内の遺伝子座がA遺伝子座である比率を表す(0%は純粋なBドメインに対応し、100%は純粋なAドメインに対応する)。2つのドメインは、その絶縁スコアが2未満である場合、接触していると定義される。絶縁スコアの算出については、実施例19を参照されたい。
図19Fは、2つの相互作用ドメイン間のゲノム距離の関数としてプロットした、Chr2中での、2つの純粋なAドメイン(A-A)間、2つの純粋なBドメイン(B-B)間、および1つの純粋なAドメインと1つの純粋なBドメイン(A-B)との間のドメイン接触確率を示す。差し込み図は、絶縁スコア=2を有する長距離相互作用を示す例示的なドメイン対の3Dレンダリングを含む。スケールバーは500nmである。
図19Gは、図19Eと同じであるが、80Mbよりも大きいゲノム距離を有するドメイン対に関するものである。
図19Hは、図19Fと同じであるが、高い程度の混合を示すドメイン対(1未満の低い絶縁スコアによって定義される)に限定されたものである。差し込み図は、高い程度の混合(絶縁スコア=1)を有する長距離相互作用を示す例示的なドメイン対の3Dレンダリングを含む。スケールバーは500nmである。
[実施例12]
ゲノムスケールでのクロマチンイメージング。上記の逐次的イメージング手法により、個々の染色体中でのクロマチンの高分解能ビューを得ることが可能になった。この直線的逐次的イメージング手法は、回折限界分解と同等であるか、またはそれよりも小さいクロマチン構造をイメージングするのに非常に適している。しかしながら、イメージングされたゲノム遺伝子座の数は、この手法におけるイメージングラウンドの数と共に直線的にのみ増加した。ゲノムスケールでのクロマチンイメージングについては、多くのゲノム遺伝子座が同時に分解され、核中に局在特定されうるため、イメージングラウンドの数と共にイメージングされた遺伝子座の数のはるかにより効率的な、非線形的なスケーリングが可能であろうと推論された。
この目標を達成するために、トランスクリプトームイメージングのために以前に開発された多重化されたエラーロバストFISH法によって着想されたが、クロマチンのポリマー性質(すなわち、ゲノム配列中の隣接する遺伝子座が空間的に近い)と、染色体の領域的構成(すなわち、異なる染色体が別々の空間領域を占有する傾向がある)との両方を考慮することによって、クロマチンイメージングのために具体的にデザインされた大きな改変を含む、コンビナトリアルFISH手法を考案した。コンビナトリアルイメージングを可能とするために、それぞれのゲノム遺伝子座に、2のハミング重みを有するユニークな100ビットの二進バーコードを割り当てた。すなわち、それぞれのバーコードは、2個の「1」ビットを含有し、98個の「0」ビットを含有する(図20A)。これらのバーコード中のビット値(「1」または「0」)は、逐次的イメージングラウンドにわたって各遺伝子座に関するシグナルの存在または非存在を決定した。これらの100ビットのハミング重み2のバーコードから、同じビットで同時に空間的に近いクロマチン領域をイメージングするのを回避するために、標的ゲノム遺伝子座を符号化するようにサブセットをさらに選択して、同じバーコード位置における「1」ビットを有する遺伝子座がゲノム空間中で最大に隔てられるように、バーコードの割当てを最適化した(実施例19を参照されたい)。この戦略により、近隣のクロマチン遺伝子座に由来する重複シグナルによって引き起こされる検出エラーを最小化することができた。さらに、ありうる100ビットの二進コードの大多数は無効であった(すなわち、いかなる標的遺伝子座にも割り当てられなかった)ため、このデザインにより、検出エラーを同定および廃棄し、測定精度をさらに改善することができた。
バーコードを、それぞれ、標的遺伝子座の1つに結合するための標的領域と、100の予めデザインされたリードアウト配列から選択されるリードアウト配列とを含有する、符号化プローブの高多様性ライブラリーを使用して標的ゲノム遺伝子座上に物理的にインプリントした(図20A)。それぞれのリードアウト配列は、100ビットの1つに対応し、それぞれのゲノム遺伝子座の符号化プローブセット(遺伝子座あたり約400のプローブ)は、ただ2つの異なるリードアウト配列を含有し、その遺伝子座に割り当てられたバーコードにおいて「1」として読まれる2つのビットに対応する。符号化プローブ結合の後、クロマチン遺伝子座上にインプリントされたバーコードを、100のリードアウト配列の1つとそれぞれ相補的な、蛍光標識されたリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーションによって検出した(図20A)。一部の場合、高分解能全染色体トレーシングについて記載されたアダプタープローブ戦略を、ここでも使用した。ハイブリダイゼーションラウンドあたり2つの異なるアダプター/リードアウトプローブを導入し、2ビットがそれぞれのハイブリダイゼーションラウンドにおいて読み出されるように、2つのカラーチャネルでイメージングした。これにより、わずか50ラウンドのハイブリダイゼーションを用いて、約1000のゲノム遺伝子座をイメージングし、同定することができた(図20A~図20C)。これは、同じ数のカラーチャネルを用いた同じ数の遺伝子座の逐次的イメージングと比較して、約10分の1のハイブリダイゼーションラウンド、かくして、10分の1の短い実験時間を表していた。2倍体細胞中の各染色体は2つのホモログを有するため、イメージングされる遺伝子座のホモログ識別を、それぞれの核において異なる領域を占有する染色体の傾向を活用する、クラスタリングアルゴリズムを使用してさらに割り当てた。
この作業では、IMR-90細胞中の、22の常染色体およびX染色体を均一に包含する、それぞれ約30kbのサイズの、1,041個のゲノム遺伝子座をイメージングのために選択した。別の要件は、それぞれの染色体が、少なくとも30の標的遺伝子座を含有し、したがって、染色体ホモログあたりのイメージングされる遺伝子座の数が、染色体の長さに応じて、30~80の範囲であることであった。5つの生物学的反復にわたる約5,400の個々の細胞中のこれらの1,041個のゲノム遺伝子座を、それぞれの遺伝子座について約80%の検出効率でイメージングしたところ、それぞれの細胞中で約1700のクロマチン遺伝子座が検出された(図20D~図20E)。コンビナトリアルイメージングプロセスの終わりに、小さいサブセットのゲノム遺伝子座について、一度に1つの遺伝子座を逐次的イメージングを用いて再イメージングした。コンビナトリアルイメージングによって決定された遺伝子座の位置と、逐次的イメージングによって決定された再イメージングされた位置との間の変位は、わずか約50nmであったが(図27A)、これは、コンビナトリアルイメージング手法の高い復号化精度と、イメージングの過程中の最小限の試料分解/変形との両方を示す。
クロマチン構成の集団平均ビューを得るために、イメージングされたクロマチン遺伝子座の対毎の間の空間距離をそれぞれの細胞において算出した後、全てのイメージングされた細胞にわたって遺伝子座の対毎の距離中央値と、接近頻度との両方を決定した(図20F;図27B)。イメージングデータから決定された同じ染色体内のクロマチン遺伝子座の対の間の接近頻度は、アンサンブルHi-Cによって検出された接触頻度との高い相関を示し、Pearson相関係数は0.89であった(図27C)。さらに、イメージングの結果は、独立した生物学的反復間で高い再現性を示した(図27D)。
個々の細胞中でのクロマチン構成を探索することによって、染色体は、各細胞内で異なる領域を占有する傾向を有するが(図20F~図20G)、互いに実質的な重複も示すことがわかった(図20G~図20H)。これらの結果は、より早いイメージング試験からの観察と一致し、それから発展した。この観察は、高い程度のtrans染色体相互作用を示唆したため、さらなる分析を、それらの探索に焦点を合わせた。
図20A~図20Hは、大規模多重化コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのクロマチンイメージングを示す。図20Aは、イメージングスキームを示す。標的ゲノム遺伝子座に、エラーロバストバーコード、例えば、2のハミング重みを有する、100ビットの二進バーコードのサブセットを割り当てた(すなわち、100ビットのうちの2つが「1」と読む)。バーコードを、遺伝子座を認識し、2つの異なるリードアウト配列を各遺伝子座と関連付け、遺伝子座に割り当てられたバーコード中で「1」として読まれる2つのビットに対応する符号化オリゴヌクレオチドプローブを用いてゲノム遺伝子座上にインプリントする。それぞれのビットは、リードアウト配列をユニークに割り当てられる。各遺伝子座を、合計400の符号化プローブによって標識するが、4つのみが示される。リードアウト配列と相補的な蛍光リードアウトプローブを逐次添加し、イメージングしたところ、各遺伝子座で「1」として読まれるビットおよびしたがって、その遺伝子座のバーコード識別を決定することができる。
図20Bは、単一細胞の核内での複数のイメージングラウンドからの代表画像を示す。リードアウトプローブからのクロマチン遺伝子座の蛍光シグナルおよび核マーカーとして使用される、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)のシグナルを示す。スケールバーは5マイクロメートルである。
図20Cは、全てのイメージングラウンドにわたる1つのクロマチン遺伝子座を中心とする小さい領域の拡大画像(Bにおける白い囲み)を示す。遺伝子座の識別を、シグナルを与える2つのリードアウトプローブ(1および13)に基づいて決定する。スケールバーは300nmである。
図20Dは、それらが属する染色体に従って色分けされた、単一のIMR-90細胞中の全ての検出されたクロマチン遺伝子座(球体)の3Dレンダリングである(染色体に関する指標を画像の下に示す)。ゲノム配列中の隣接する遺伝子座は、可撓性の線で接続される。約1000個のゲノム遺伝子座をイメージングする。
図20Eは、図20Dと同じ細胞のクロマチン遺伝子座を示すが、示された染色体の2つのホモログを強調する。
図20Fは、約5,400個の単一細胞から計算された距離中央値マトリックスを示す。遺伝子座のそれぞれの対について、全ての細胞にわたる遺伝子座間の観察された3D空間距離の中央値が提示される。
図20Gは、単一細胞中での複数の染色体領域の位置を示す例示的画像を示す。染色体は示されるように符号化され、影付きの領域は全てのイメージングされた遺伝子座の周囲の凸包を表す。明確にするために、染色体あたりただ1つのホモログが示される。
図20Hは、図20Gに示された同じ細胞に関する空間距離マトリックスを示す。クロマチン遺伝子座のそれぞれの対の間の空間距離が示される。染色体の順序はマトリックスの下に示される通りであり、それぞれの染色体の2つのホモログが別々に示される。
図27A~図27Jは、コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのイメージング:局在特定エラー、再現性、およびHi-Cとの比較を示す。図27Aは、コンビナトリアルイメージング実行において測定されたゲノム遺伝子座の局在と、コンビナトリアルイメージングを完了した後の逐次的ハイブリダイゼーションを使用して個別に再イメージングされた同じ遺伝子座のものとの変位の分布を示す。Chr6中の10個のゲノム領域を、約2000個の細胞にわたって再イメージングした。変位中央値は約50nmである。
図27Bは、コンビナトリアルFISHによってイメージングされた全部で1,041個のゲノム遺伝子座に関する接近頻度マトリックスを示す。遺伝子座の対の間の接近頻度を、遺伝子座間の測定距離が500nmのカットオフ距離よりも小さい発生の数を、2つの遺伝子座間の測定距離の総数で除したものとして算出した。
図27Cは、500kbでビンし、標的遺伝子座を中心とする、本発明者らのイメージングデータに由来する染色体内の遺伝子座の対と、アンサンブルHi-C実験に由来する接触の数との間の接近頻度に関する相関プロットを示す。Pearson相関係数は0.91である。IMR90細胞に関する利用可能なHi-Cデータは、trans染色体接触に関してわずかであり、本発明者らのイメージングデータと、Hi-Cデータとの間のtrans染色体相互作用の信頼できる比較を不可能にする。
図27Dは、ゲノムスケールでのイメージング実験の2つの独立した生物学的反復において観察されたクロマチン遺伝子座間のペアワイズ距離の相関を示す。反復間のPearson相関係数は、0.98である。右上の雲は、trans染色体のペアワイズ距離を表し、左下の雲は、染色体内のペアワイズ距離を表す。
[実施例13]
trans染色体A-A相互作用のエンリッチメント。次に、trans染色体相互作用がどのようにクロマチンのA/Bコンパートメント識別に依存したかを試験した。イメージングされたゲノム遺伝子座のそれぞれを、公開されたアンサンブルHi-Cデータに基づいてコンパートメントAおよびBに分類した。ゲノムスケールでのイメージングデータはまた、かなり正確なA/Bコンパートメントコーリングを可能にし、Hi-Cデータに基づくコーリングと約80%一致していたが(図27E)、アンサンブルHi-Cデータのゲノム分解能がより高いため、イメージングされた遺伝子座のA/Bコンパートメント識別を分類するために、Hi-Cコーリングを使用した。38%のイメージングされた遺伝子座がコンパートメントAに属していたが、62%がコンパートメントBに属していた。trans染色体相互作用の程度が活性および不活性クロマチンについて異なるかどうかを検査するために、trans染色体接近頻度マトリックス中のゲノム遺伝子座を再配置し、全てのA遺伝子座を互いに隣に置き、次いで、全てのB遺伝子座を置いた。このマトリックスは、コンパートメントA遺伝子座が、個々のコンパートメントB遺伝子座よりも、別のコンパートメントA遺伝子座とtrans染色体的に相互作用する傾向が平均してより強いことを示し(図21A~図21B)、活性クロマチン間のtrans染色体相互作用の以前の観察と一致していた。対照的に、コンパートメントB遺伝子座は、コンパートメントA遺伝子座に対してよりも、互いに対して、同等か、またはより低いtrans染色体親和性を示した(図21A~図21B)。換言すれば、trans染色体A-A相互作用は、A-B相互作用よりも実質的に強い傾向で現れ、次いで、B-B相互作用よりもわずかに強い傾向で現れた。接近頻度マップを構築するために使用される様々なカットオフ距離についても同様の傾向が観察されたが、但し、十分な数の細胞が分析に含まれていた(図27F~図27H)。とりわけ、これは、同じ染色体内でのcis相互作用に関する全体的なヒエラルキーとは著しく対照的であり、B-B相互作用は、A-A相互作用よりも形成される傾向がより強く、次いで、A-B相互作用よりも形成される傾向がより強かった(図19E)。しかしながら、興味深いことに、trans染色体相互作用に関する観察された傾向(A-A>A-B≒B-B)は、高分解能のChr2データにおいて大きいゲノム距離でcis染色体相互作用について観察されたものと同様であった(図19F~図19G)。この傾向はまた、全てのイメージングされた染色体にわたって合計された、ゲノムスケールでのデータにおける長距離cis染色体相互作用についても観察された(図21C)。
次に、単一細胞レベルでのtrans染色体相互作用と、クロマチンコンパートメント識別との関係を検査した。個々の細胞中で、AおよびB遺伝子座は、異なる空間分布を採用し、A遺伝子座は、予想通り、核においてB遺伝子座よりも中心に局在する傾向を示した(図21D;図28)。クロマチン相互作用をtransにさらに特徴付けるために、trans染色体相互作用のみをここで考慮したことを除いて、以前に提示されたものと同様の密度ベースの手法を、高分解能全染色体トレーシングのために採用した。略述すると、それぞれの染色体中のそれぞれのイメージングされた遺伝子座について、同じ細胞中の他の全ての染色体に由来するA遺伝子座およびB遺伝子座の局部密度を算出し、これらの2つの密度の比を決定した(本明細書では以後、trans A/B密度比と称する)(図21D~図21E)。この量は、遺伝子座の近くでのtrans染色体活性クロマチンの局部エンリッチメントの尺度を提供した。大部分(62%)のイメージングされた遺伝子座は、コンパートメントBに属し、A/B比に関する全体的な偏りは、1よりも小さいことがわかった。この偏りについて制御するために、A遺伝子座およびB遺伝子座について観察されたtrans A/B密度比の分布を、AおよびB遺伝子座の数を未変化のまま保持しながら、イメージングされた遺伝子座のAおよびB識別がイメージングされた遺伝子座間で無作為にシャッフルされる無作為化対照において得られた分布と比較した。とりわけ、A遺伝子座について観察されたtrans A/B密度比は、B遺伝子座について観察された値よりも実質的に高く、次いで、無作為化対照に由来する値よりも高かった(図21E)。これらの単一細胞分析はさらに、trans染色体相互作用が活性クロマチン間の相互作用について優先的に強化されるという見解を支持した。
trans染色体A-A相互作用のエンリッチメントが転写を必要するかどうかをさらに問うた。これに対処するために、アルファ-アマニチン処理によって転写を阻害したところ、この処理がtrans染色体A-A相互作用についてのエンリッチメントの実質的な低減をもたらさないことが見出された(図29A~図29C)。この観察は以前の試験と一致し、それから発展し、活性化されたベータグロビン遺伝子座と、他の活性クロマチン遺伝子座との長距離およびtrans染色体相互作用が転写阻害によって阻害されないことを示していた。
図21A~図21Eは、trans染色体相互作用における活性-活性クロマチン相互作用のエンリッチメントを示す。図21Aは、正規化されたtrans染色体接近頻度マトリックスを示す。それぞれのtrans染色体遺伝子座対(異なる染色体上の遺伝子座対)の間の接近頻度を示し、その距離が500nmのカットオフ距離よりも小さい場合、遺伝子座対は接近していると考えられる。コンパートメントAの遺伝子座が最初に出現し、次いで、コンパートメントBの遺伝子座が出現するように遺伝子座を並べ替え、したがって、左上のブロックは、A遺伝子座の対の間の相互作用を表し、右下はB遺伝子座の対の間の相互作用を表す。マトリックス中のそれぞれのエントリーを、染色体の対の間の相互作用の変化する基本レベルを構成する染色体の同じ対を起源とする全ての遺伝子座対の接近頻度中央値によって正規化する。
図21Bは、図21Aに示されたマトリックスに由来する、A遺伝子座の対(A-A;n=72,771の遺伝子座対)、B遺伝子座の対(B-B;n=193,753の遺伝子座対)、および1つのAと1つのB遺伝子座を含む対(A-B;n=237,986の遺伝子座対)に関するtrans染色体接近頻度の分布を示す。分布は、ヒストグラムとして上パネルに表され、箱ひげ図として下パネルに表され、中央値(中心線)、25~75パーセンタイル(囲み)および5~95パーセンタイル(ひげ)を示す。
図21Cは、全染色体にわたって同じゲノム距離によって分離された遺伝子座の対について平均化された、そのゲノム距離の関数としての同じ染色体内のクロマチン遺伝子座の対の間の接近頻度中央値を示す。接触頻度中央値を、A遺伝子座の対(A-A)、B遺伝子座の対(B-B)およびA遺伝子座とB遺伝子座との混合対(A-B)について示す。
図21Dは、2個の単一細胞中でのコンパートメントAおよびコンパートメントB遺伝子座の分布を示す。左パネルは、単一の核における単一のz平面内の全ての検出された遺伝子座の位置を、コンパートメントA遺伝子座およびコンパートメントB遺伝子座と共に表す。右パネルにおいて、それぞれの遺伝子座の影は、右に示されるスケールバーに従う、trans染色体AおよびB遺伝子座の局部密度の比、すなわち、trans A/B密度比を表す。
図21Eは、イメージングされたゲノム遺伝子座に関する局部trans A/B密度比の分布を示す。それぞれの遺伝子座について、全細胞にわたるtrans A/B密度比中央値を決定したが、A遺伝子座についてのtrans A/B密度比を示し(n=382の遺伝子座)、B遺伝子座についてのものを示す(n=623の遺伝子座)。1041のイメージングされた遺伝子座のうちの36は、この試験において使用された異なるバージョンのゲノムアセンブリーおよびコンパートメントコーリングのために使用されたHi-Cデータセットのため、A/B識別を割り当てられなかった。暗灰色のヒストグラムは、A遺伝子座の総数およびB遺伝子座の総数を未変化のまま保持しながら、AおよびBコンパートメントの識別が無作為にシャッフルされる無作為化対照を表す。
図27Eは、A/Bコンパートメント割当てが、それぞれのヒト常染色体に関するゲノムスケールでのイメージングデータと、Hi-Cデータとの間で一致する遺伝子座のパーセンテージに関する棒グラフである。平均で、それぞれの染色体中の約81%の遺伝子座が、本発明者らのイメージングデータと、Hi-Cデータとの間のA/B割当てにおいて一致を示した。
図27Fは、接近性を評価するために使用されるカットオフ距離の関数としての、正規化されたtrans染色体A-A、A-B、およびB-B接近頻度中央値(図21Aおよび図21Bと同様に定義される)を示す。正規化された接近性は、約5,400個のIMR-90細胞から算出される。また、図27Aに示されるような、推定局在測定エラーと同等の、50nmの標準偏差を有する3Dガウスノイズ項を用いて遺伝子座の位置を乱した後の正規化されたtrans染色体A-A、A-B、およびB-B接近頻度中央値も示される。
図27Gは、図27Fと同じであるが、アルファ-アマニチン処理された細胞に由来する追加データを未処理の細胞と共にプールする場合のものである(合計約9,500個の細胞について)。アルファ-アマニチン処理された細胞は、A-BおよびB-B接近頻度を超えるtrans染色体A-Aの、未処理の細胞と類似するエンリッチメントを示した(図29A、図29B)。このプール化の結果は、図27Fにおけるより低いカットオフ距離で観察されたA-A相互作用に関するより低いエンリッチメントが、おそらく、より少ない細胞数についてのより乏しい統計量の結果であることを示唆する。
図27Hは、分析に含まれた細胞数の関数としての、正規化されたtrans染色体A-A、A-B、およびB-B接近頻度中央値を示す。細胞を、イメージングされた約5,400個の未処理のIMR-90細胞から無作為にサブサンプリングし、接近カットオフ距離を500nmに固定した。
図29A~図29Fは、trans染色体クロマチン相互作用に対する転写阻害の効果およびクロマチン遺伝子座の核内構造体会合率を示す。図29Aは、図21Aと同様、正規化されたtrans染色体接近頻度マトリックスを示すが、転写を阻害するためにアルファ-アマニチンで処理した細胞に関するものである。
図29Bは、図21Bと同様、箱ひげ図として示される正規化されたtrans染色体A-A、B-BおよびA-B接近頻度の分布を示すが、アルファ-アマニチンで処理した細胞に関するものである。比較のために、図21Bに由来する未処理の細胞に関する正規化されたtrans染色体A-A、B-BおよびA-B接近頻度がここで再現される。
図29Cは、図21Eと同様、イメージングされたAおよびB遺伝子座にわたる局部trans A/B密度比の分布を示すが、アルファ-アマニチンで処理した細胞に関するものである。ヒストグラムは、A遺伝子座の総数およびB遺伝子座の総数を未変化のまま保持しながら、AおよびBコンパートメントの識別が無作為にシャッフルされる無作為化対照を表す。
[実施例14]
クロマチン、新生RNAおよび核構造の多モードイメージング。クロマチンの3D構成をその機能的活性および他の核構造の文脈に置くために、コンビナトリアルイメージング法を拡大して、イメージングされたゲノム遺伝子座の転写活性、ならびに単一細胞中での核ランドマークと共に、クロマチン構成の同時的測定を可能にした。具体的には、上記の1,041個のゲノム遺伝子座を、これらの遺伝子座に位置する1,137個の遺伝子のそれぞれから転写される新生RNAと一緒に、また、核スペックルおよび核小体を含む重要な核構造と同時にイメージングした(図22A)。
同じ細胞内でのDNA、RNAおよび核構造のイメージングを可能にするために、クロマチンについての上記のものと類似するコンビナトリアルイメージング戦略を採用することによって、1,137個の遺伝子のイントロンRNAの多重化イメージングを実施した(図22A)。全ての遺伝子がそれぞれ個々の細胞中で転写されないこと、したがって、転写焦点の密度がクロマチン遺伝子座のものと同じ高さになるはずなないことを考慮して、RNAを54ビットのハミング重み2コードで符号化し、クロマチンイメージングのためのバーコードを選択して、同じビット中の空間的に近い遺伝子をイメージングする機会を最小化する方法と同様の方法で、遺伝子を符号化する、1,137のありうるバーコードを選択した。RNAイメージングが完了した後、RNA転写物を酵素的に消化し(単一モードクロマチンイメージング実験においても実行される工程)、多重化DNA FISHを上記のように実施して、1,041個のゲノム遺伝子座をイメージングした(図22A)。ゲノム遺伝子座および新生RNA転写物の復号化を、それらが存在するゲノム遺伝子座と共局在する転写物に関する追加の制約の下、概ね独立に実施した(実施例19を参照されたい)。この手順はさらに、RNA転写物に関する検出精度を改善し、それぞれのゲノム遺伝子座での転写バーストの検出効率(約90%)の推定を可能にした(実施例19を参照されたい)。最後に、核スペックルおよび核小体を、これらの構造の公知の分子成分に対する免疫蛍光を使用してイメージングした(図22A)。核スペックルおよび核小体に関する蛍光シグナルは、免疫蛍光染色をDNA FISH後に実施した場合であっても、高いシグナルノイズ比(25を超える)を示した。核ラミナの位置を、全てのイメージングされたゲノム遺伝子座を包含する凸包表面を計算することによって推定した。同時に、これらの多モード測定は、3Dゲノム構造、転写活性および核構成の統合された単一細胞ビューを可能にした(図22B)。これらの多モードイメージング実験を、2回の生物学的反復において、約3700個の個々の細胞上で実施した。これらの多モード実験からのクロマチンイメージングデータも、3Dゲノム構成分析のために上記の5回反復および約5,400個の細胞に含有させた。
これらの多モード実験の新生RNA転写物測定から、遺伝子を活発に転写する細胞の比率としての転写バースト頻度(図22C)と、RNAイントロンシグナルの明るさに由来するバーストサイズ中央値(図22D)との両方を、それぞれの遺伝子について定量した。これらの尺度は、反復実験にわたって高い相関を示した(図27I~図27J)。バースト頻度は、二様式の挙動を示し、高いバースト頻度の遺伝子は、主にコンパートメントAに存在し、低いバースト頻度の遺伝子は両方のコンパートメントに存在していた(図22C)。さらに、250nmの空間距離カットオフを使用して、特定のクロマチン遺伝子座が核内構造体と会合するかどうかを推定したところ、B遺伝子座と核ラミナとの会合頻度がより高く(図22E)、A遺伝子座と核スペックルとの会合頻度がより高いことが観察された(図22F)。これらの結果は、それぞれ、ラミナおよび核スペックルとの、不活性および活性クロマチンの優先的会合の以前の観察と一致していた。個々の遺伝子座について、その局部trans A/B密度比中央値は、ラミナ会合頻度との負の相関を示し(図22G)、核スペックル会合頻度との正の相関を示した(図22H)。核小体はさらに、以前に示されたように、セントロメア、ある特定の染色体のテロメア、およびリボソームをコードする遺伝子を含有する染色体との優先的会合を示した(図22I)。これらの生物学的結果は、多モード測定に対するさらなる正当性を提供した。
とりわけ、多くのイメージングされた遺伝子座について、ラミナ会合はより低い転写活性と相関したが、核スペックル会合はより高い転写活性と相関した(図22J)。これらの結果は、最近の単一細胞シーケンシング試験と一致したが、ラミナ会合が単一細胞中での遺伝子発現と負に相関することを示している。さらに、転写阻害剤であるアルファ-アマニチンを用いた処理は、イメージングされた遺伝子座の、核スペックルを乱し、核スペックル会合率を低下させ、ラミナ会合率を増大させることが観察された(図29D~図29F)。まとめると、これらの結果は、転写活性化または阻害時の単一の、またはいくつかのゲノム遺伝子座の核再配置に関する以前のイメージング試験から発展し、転写活性と、核構造との相互作用との関係のゲノムスケールでのビューを提供した。
図22A~図22Jは、核構造の文脈におけるクロマチンおよび転写活性の多モードのゲノムスケールのイメージングを示す。図22A、上:核構造および機能的活性の文脈におけるクロマチン構成の統合ビューを生成するためのクロマチン(左パネル)、新生RNA転写物(中央パネル)および核内構造体(右パネル)のイメージングを組み合わせる多モードイメージングスキームの図である。約1000個のゲノム遺伝子座、標的遺伝子座中の約1100個の遺伝子の新生RNA転写物、および2つの型の核内構造体(核スペックルおよび核小体)がイメージングされる。下:それぞれのイメージングモダリティーに関する代表的な生画像-複数のイメージングラウンドにわたるクロマチン遺伝子座(左)、複数のイメージングラウンドにわたる新生RNA転写物(中央)および核内構造体(右:抗SC35抗体を使用してイメージングされた核スペックル;および抗フィブリラリン抗体を使用してイメージングされた核小体)。スケールバーは5マイクロメートルである。
図22Bは、単一細胞中でのクロマチン遺伝子座、転写バーストおよび核内構造体の3Dレンダリングである。左:染色体によって符号化された、全ての検出されたクロマチン遺伝子座(以下に示される染色体指数に基づく)。中央:全ての検出されたイントロンRNAは色付きの球体として示され、影は、イメージングされた遺伝子の識別を示し、球体のサイズは転写バーストのサイズを表す。右:検出された核内構造体の体積充填表示。核ラミナは、全ての検出されたクロマチン遺伝子座の周囲の凸包の表面として同定される(影付きの灰色の領域)。
図22Cおよび図22Dは、イメージングされたコンパートメントA遺伝子座(n=558個の遺伝子)およびコンパートメントB遺伝子座(n=569個の遺伝子)中に存在する遺伝子に関する、転写バースト頻度の分布(図22C)およびバーストサイズ(図22D)を示す。
図22Eおよび図22Fは、A遺伝子座(n=382の遺伝子座)およびB遺伝子座(n=623の遺伝子座)と、核ラミナ(図22E)および核スペックル(図22F)との会合率の分布を示す。クロマチン遺伝子座は、核周縁部または最も近いスペックルまでの遺伝子座の距離が250nm未満である場合、核ラミナまたは核スペックルと会合していると考えられる。
図22Gおよび図22Hは、遺伝子座が核ラミナ(図22G、Pearson相関係数=-0.87)および核スペックル(図22H、Pearson相関係数=0.66)と会合していると見出される頻度の関数としての、それぞれのイメージングされたゲノム遺伝子座の局部trans A/B密度比の散布図を示す。示されるtrans A/B密度比の値は、全てのイメージングされた細胞にわたる中央値である。
図22Iは、ゲノム位置によって順序付けられた、全てのイメージングされたゲノム遺伝子座に関する核小体との会合頻度を示す。黒色の縦の線は、セントロメアの位置であり、括弧はリボソームをコードする遺伝子(rDNA)を含有する染色体を強調する。
図22Jは、転写と、核構造会合との相関を示す。丸は、遺伝子座がラミナと会合する/ラミナと会合しない(左)と、スペックルと会合する/スペックルと会合しない(右)との細胞の集団を比較する場合の個々のゲノム遺伝子座に関する転写バースト頻度の倍数変化である。点線は、変化なしを強調し、実線は、それぞれの場合における倍数変化中央値を表す。
図27Iおよび図27Jは、それぞれの遺伝子のバースト頻度(図27I)およびバーストサイズ(図27J)に関するRNAイメージングの反復間の相関を示す。Pearson相関係数は、それぞれ、0.94および0.81である。
図29Dおよび図29Eは、未処理の細胞(図29D)およびアルファ-アマニチンで処理された細胞(図29E)について示される、クロマチン遺伝子座、核小体、および核スペックルがイメージングされた個々の核の代表画像を示す。
図29Fは、アルファ-アマニチン処理時のそれぞれの遺伝子座と、ラミナ(左)および核スペックル(右)との会合の率の倍数変化を示す。それぞれのゲノム遺伝子座に関するデータ点を丸で示し、実線はそれぞれの場合における全ての遺伝子座の倍数変化中央値であり、点線は変化なしを表す。核体積および核スペックルのサイズおよび数はまた、アルファ-アマニチンを用いた処理時に変化し、これらのものは核内構造体会合の変化に部分的に寄与しうることがわかる。
[実施例15]
種々の核内容物におけるtrans染色体相互作用の検査。同じ細胞中でのクロマチン構成とランドマーク核構造との同時的イメージングにより、trans染色体A-A相互作用に関する観察されるエンリッチメントがどのように核内容物に依存するかの検査がさらに可能になった。核スペックルは活発に転写される遺伝子座に集中する最も顕著な核内構造体の1つであるため、trans染色体A-A相互作用に関する観察されたエンリッチメントが、単に核スペックルでのこの局部的収集の結果であるのかどうかを推測した。この疑問に対処するために、分析を、核スペックルと会合していない遺伝子座に限定した。すなわち、それぞれの遺伝子座対について、いずれの遺伝子座も核スペックルと会合していない細胞のみを考慮した。興味深いことに、同じ傾向は、この制約の下でのA-BおよびB-B相互作用を超えたtrans染色体A-A相互作用のエンリッチメントについてさらに観察されたが(図30A~図30B)、核スペックルとの会合が、trans染色体A-A相互作用の観察されたエンリッチメントを説明するには不十分なものであったことを示している。
次に、局部集中効果に起因する相対的に取るに足りないシナリオを考慮した:コンパートメントA遺伝子座は、ラミナから枯渇し、核の内部領域により集中していたため(図28A~図28B)、trans染色体A-A相互作用のエンリッチメントが単に、核内部におけるコンパートメントAクロマチンの局部エンリッチメントによって引き起こされるかどうかを推測した。これを試験するために、両方の遺伝子座が核ラミナと会合していた細胞のみを、それぞれの遺伝子座対について考慮した。とりわけ、A-BおよびB-B相互作用を超えたtrans染色体A-A相互作用のエンリッチメントは、ラミナが不活性のコンパートメントBのクロマチンについて強化された環境であるという事実にも拘わらず、これらのラミナと会合した遺伝子座についても観察された(図30C~図30D)。
全体として、これらの結果は、活性クロマチン間の観察されたtrans染色体相互作用に関する取るに足りないものではない分子メカニズムを示唆していた。以前に記載した通り、A-BおよびB-B相互作用を超えたA-Aに関するエンリッチメントはまた、大きいゲノム距離でのcis染色体相互作用についても観察された(図19F~図19Gおよび図21C)。長距離cisA-A相互作用は、trans染色体A-A相互作用のものと共通の基礎となるメカニズムを有することがありうる。どの分子的因子がこれらの活性クロマチン相互作用を生じさせるかは、依然として未解決の問題である。
図28A~図28Bは、コンパートメントAおよびコンパートメントBの遺伝子座が、核において異なる空間分布を示すことを示す。図28Aにおいて、左パネルは、単一細胞の単一のz平面におけるA遺伝子座およびB遺伝子座を示す例示的画像を示す。右パネルは、これらの単一細胞中でのA遺伝子座およびB遺伝子座に関する核周縁部までの距離の分布を示す。核周縁部は、全ての検出されたクロマチン遺伝子座の周囲の凸包として同定される。
図28Bは、A遺伝子座(n=382)およびB遺伝子座(n=623)に関する核周縁部までの距離のp平均分布を示す。
図30A~図30Dは、異なる核環境におけるtrans染色体活性クロマチン相互作用のエンリッチメントを示す。図30Aは、図21Aと同様、正規化されたtrans染色体接近頻度マトリックスを示すが、核スペックルと会合していない遺伝子座のみを考慮したものである。それぞれの遺伝子座対について、いずれの遺伝子座も核スペックルと会合していない細胞のみが考慮される。
図30Bは、図21 5Bと同様、A遺伝子座の対(A-A)、B遺伝子座の対(B-B)、および1つのA遺伝子座と1つのB遺伝子座とを含む対(A-B)に関するtrans染色体接近頻度を示すが、いずれの遺伝子も核スペックルと会合していない細胞のみを考慮したものである。
図30Cは、図30Aと同じであるが、ラミナと会合した遺伝子座の対に関するものである。それぞれの遺伝子座対について、両方の遺伝子座が核ラミナと会合している細胞のみが考慮される。
図30Dは、図30Bと同じであるが、ラミナと会合した遺伝子座の対に関するものである。それぞれの遺伝子座対について、両方の遺伝子座が核ラミナと会合している細胞のみが考慮される。
[実施例16]
trans染色体相互作用と、転写活性との相関。次に、これらの多モード単一細胞測定を使用して、個々のクロマチン遺伝子座の転写活性と、trans染色体寄与によって定義されるその局部クロマチン環境との関係を特徴付けた。この目的のために、trans A/B密度比を算出し、この量の中央値を、2つの細胞集団:(i)検討中の遺伝子座が転写活性を示した細胞、および(ii)遺伝子座が転写的にサイレントに見える細胞について決定した(それぞれのゲノム遺伝子座について独立に決定した)(図23A)。とりわけ、遺伝子座が活発に転写された場合、より高いtrans A/B密度比に関する一貫した傾向が観察された:86%のイメージングされた遺伝子座が、サイレント状態と比較して、活発に転写している状態にある場合、より高いtrans A/B密度比を示した(図23B);同様に、89%の遺伝子座が、より高いtrans A/B密度比を有する場合、より高い転写発火率を示した(図23C)。転写活性と、局部コンパートメントAクロマチンエンリッチメントとのこの正の相関は、相関がスペックルと会合した遺伝子座についてより弱かったが、核スペックルと会合した遺伝子座、核ラミナと会合した遺伝子座、および核スペックルまたはラミナのいずれかと会合していない遺伝子座の場合を含む、複数の異なる核環境にわたって観察された(図23D)。
これらの観察は、染色体内での転写活性と、cis A/B密度比との関係に関する上記の結果から発展し(図18G~図18I)、同時に、その局部環境における遺伝子の転写活性と、活性クロマチンのエンリッチメントとの幅広い正の相関を示した。
図23A~図23Dは、trans染色体活性クロマチンの転写活性と局部エンリッチメントとの相関を示す。図23Aは、クロマチン遺伝子座および転写活性の単一細胞画像を示す。左:単一の核に由来する単一のz平面における全てのイメージングされたAおよびB遺伝子座の位置。中央:スケールバーに基づいて符号化された、同じ遺伝子座に関する局部trans A/B密度比。右:中央パネルと同じであり、検出された転写バーストを重ね合わせ、丸印として示した。スケールバーは3マイクロメートルである。
図23Bは、活発に発火している状態と、発火していない状態との間のそれぞれのイメージングされた遺伝子座のtrans A/B密度比の変化(対数差で測定される)を示す。少なくとも1つのイメージングされた遺伝子を含有するそれぞれのゲノム遺伝子座について、trans A/B密度比を、ゲノム遺伝子座が活発に転写される細胞(転写と指定される)およびそれが転写されない細胞(サイレントと指定される)について算出した。それぞれのイメージングされた遺伝子座のこれらの値の中央値の対数差を、変化の規模に従って順位付けた。イメージングされた遺伝子の86%が、発火していない場合と比較して、それらが活発に発火している場合にA/B密度比の増加を示した。
図23Cは、遺伝子を有する遺伝子座でのtrans A/B密度比が、低いもの(下位四分の一)および高いもの(上位四分の一)から変化する細胞間の、イメージングされた遺伝子の発火率の変化(対数差で測定される)を示す。イメージングされた全ての遺伝子に関する発火率の対数差を、発火率の規模に従って順位付けた。イメージングされた遺伝子の89%は、それらが存在する遺伝子座が、trans A/B密度比の、下位四分の一と比較して、上位四分の一にある場合、より高い発火率を示した。
図23Dは、核内構造体会合状態に関して条件付けた、イメージングされた遺伝子含有遺伝子座に関する転写状態とサイレント状態との間の局部trans A/B密度比の倍数変化を示すスウォームプロットを示す。それぞれのゲノム遺伝子座について、それぞれ、左から右に向かって、全ての細胞、遺伝子座が核スペックルと会合している細胞のみ、遺伝子座がラミナと会合している細胞のみ、および遺伝子座が核スペックルとも、ラミナとも会合していない細胞のみ(空の丸印)を考慮して、遺伝子座の転写状態と、サイレント状態とのtrans A/B密度比における倍数変化を計算した。それぞれの状態(転写またはサイレント)におけるtrans A/B密度比中央値を、それぞれの遺伝子座およびそれぞれの会合状態について決定し、2つの状態の間の倍数変化のlog2を示す。いずれの場合も、点線は、変化なしを表し、実線は、全ての遺伝子座にわたる倍数変化中央値を表す。一部の外れ値を省略して、倍数変化中央値の明確な視覚化を可能にした(スペックル会合データについては提示されるスケールの上の5個の遺伝子座および下の9個の遺伝子座、ラミナ会合データについては上の37個の遺伝子座および下の17個の遺伝子座ならびに非ラミナ会合および非スペックル会合データについては上の1個の遺伝子および下の2個の遺伝子)。
[実施例17]
染色体ワイドおよびゲノムスケールでのクロマチンイメージング。単一細胞中での複数の規模のゲノム構成にわたってクロマチンの3Dコンフォメーションを決定するための大規模多重化クロマチンイメージングが、本明細書で報告される。数千個の個々の細胞中で1000個を超えるゲノム遺伝子座をイメージングする能力が証明された。さらに、この手法によって、クロマチントレーシングと、新生転写物および核構造イメージングとを組み合わせることによって、3Dクロマチン構成を、その天然の機能的および構造的文脈に置くことが可能になり、1000個を超えるゲノム遺伝子座、これらの遺伝子座に存在する1000個を超える遺伝子の転写活性、ならびに核スペックルおよび核小体を含むランドマーク核構造を同時にイメージングする能力が証明された。
具体的には、高効率クロマチントレーシングのための2つの補完的戦略が証明された。第1に、逐次的ハイブリダイゼーションに基づく以前に報告された多重化FISH技法の能力が拡大され、数百ラウンドのハイブリダイゼーションおよび多色イメージングを用いた数百個のゲノム遺伝子座のイメージングが示された。この手法の能力は、全染色体のコンフォメーションの高分解能ビュー、ならびにクロマチンドメイン、コンパートメントおよび単一細胞中での転写とクロマチン構成との関係の体系的特徴付けを提供することによって証明された。第2に、回折限界分解能よりも実質的に大きい、したがって、それぞれのイメージングラウンドにおいて多くの遺伝子座を分解することができる空間に広がる構造について、イメージングラウンドの数と共にイメージングされた遺伝子座の数のはるかにより迅速な、非直線的な増加を可能にするクロマチンイメージングのためのコンビナトリアル標識化戦略が開発された。この後者の手法の力は、わずか数十回のハイブリダイゼーションラウンドを用いて、個々の細胞中で1000個を超えるゲノム遺伝子座および1000個を超える遺伝子の新生転写物を同時にイメージングする、クロマチン構成と転写との両方のゲノムスケールでのイメージングを実施することによって証明された。これらのデータは、ゲノムワイドのtrans染色体相互作用、ならびに核構造および転写とのその関係を示した。このコンビナトリアルイメージング手法を、数百ラウンドのハイブリダイゼーションおよびイメージングを実施する証明された能力と結びつけると、単一細胞中でのクロマチン構造の高分解能全ゲノムビューを提供するために10,000個を超えるゲノム遺伝子座を同時にイメージングすることが可能なはずである。
[実施例18]
本実施例で示される高効率イメージング技法は、クロマチン構成を試験するためのいくつかの利点を有する。第1に、クロマチン構造を推測するために接近情報に依拠する高効率シーケンシングベースの手法と比較して、この方法は、クロマチン構成の直接的視覚化、ならびに核の文脈での個々のイメージングされた遺伝子座の空間位置およびイメージングされた遺伝子対の間の物理的距離の直接的測定を提供する。第2に、方法は、本質的には単一細胞手法であり、個々の細胞中での詳細なクロマチン構造を示すことができる。イメージング方法による個々のクロマチン遺伝子座の高い(ほぼ100%)検出効率は、ペアワイズクロマチン相互作用の高い捕捉率を可能にし、単一細胞中でのクロマチン構造の高解像度ビューを提供することができる。前記方法によって測定される多数の細胞は、細胞にわたる共通の構造的構成ならびに細胞間変動のロバストな統計分析を可能にする。第3に、クロマチントレーシング技法は、他のイメージングモダリティーと容易に組み合わせることができる。これは、この試験において証明されるような多重化された転写イメージングおよび核構造イメージングを含むが、エピジェネティック改変のイメージングまたはクロマチン近接性の程度などの他のモダリティーを含むようにさらに拡大させることもできる。そのような多モードイメージングは、クロマチン構造、核構成、および転写活性の間の関係における重要な洞察を提供することができる。
本明細書で報告される高効率クロマチンイメージング法の多くのありうる適用が存在する。現在の作業では、全体的な3D染色体およびゲノム構成の偏りのないビューを提供するために遺伝子座を染色体にわたって均一に標的化したが、この方法を使用して、特定の構造的および機能的特性を有するゲノム遺伝子座を標的とすることもできる。興味深い目標は、特定の遺伝子もしくは調節配列を含有するか、またはCTCFもしくはコヘシンなどの特定の核構造タンパク質が結合している遺伝子座を標的として、これらの遺伝子座間の相互作用および転写とのその関係を試験することである。より具体的な例として、大きいセットの潜在的なプロモーターおよびエンハンサーを標的とし、同じ細胞中でプロモーターによって支配される遺伝子の転写活性を同時にイメージングしながら、それらの相互作用を試験することができる。これは、どのエンハンサーがどのプロモーターを制御するかを推測するのを可能にし、プロモーターとエンハンサーのネットワークがどのように示差的に相互作用して、転写を調節するかを支配する規則を示す。別の目標では、非コードRNAと共に、多くの転写因子および関連タンパク質が、核内でクロマチンを構成する物理的凝縮物に参加し、次いで、遺伝子発現調節にとって重要でありうると報告された。これらの因子によって、また、転写アウトプットと一緒に形成される構造と同時にクロマチン構成をイメージングすることは、クロマチン構造、多成分アセンブリー、凝縮物形成および転写調節の間の関係を解読するための有望な手段を提供するであろう。さらに、異なる細胞型は、部分的には、3Dゲノム構成によって調節されうる異なる遺伝子発現プロファイルを示す。かくして、組織中の個々の細胞の遺伝子発現プロファイルと一緒にクロマチン構成をイメージングすることは、細胞型特異的遺伝子発現パターンにとって重要であるクロマチン構成における重要な洞察を提供するのに有望である。
[実施例19]
本実施例は、上記実施例の一部において使用されたある特定の実験モデルおよび対象の詳細を例示する。
分析において使用された細胞培養物および細胞株。細胞を、以前の試験と同様に調製した。IMR-90細胞を、American Type Culture Collection(ATCC、CCL-186)から購入し、推奨されたプロトコールに従って増殖させた。
オリゴヌクレオチドプローブのデザイン:標的ゲノム領域の選択。逐次的ハイブリダイゼーションによる高分解能全染色体イメージングのために、標的染色体を最初に50kbのセグメントに分割した。50kbのセグメントあたり100個未満のユニークなプローブをデザインすることができる反復エレメントおよび領域をスクリーニングした後、合計651個の標的ゲノム遺伝子座を、Chr21のために保持し、4,500個の標的ゲノム遺伝子座をChr2のために保持した。次いで、一次プローブを、それぞれの50kbのセグメントのためにデザインし(約500個のオリゴヌクレオチドプローブ)、セグメントあたり350個の最も中心に位置するプローブを、逐次的イメージングのために保持した。Chr21のイメージングのために、651個全てのゲノム遺伝子座をイメージングした。Chr2のイメージングのために、250kbのゲノム分解能を目的とし、したがって、5つの50kbセグメント毎に1つの一次プローブのみをデザインした。
Chr21上で新生RNA転写物をイメージングするために、50個を超える一次プローブ(以下の「一次/符号化プローブデザイン」の節を参照されたい)を、Chr21上の全てのタンパク質コード遺伝子からその最初のイントロン上でデザインすることができる遺伝子を選択した。Chr21にわたって散在する合計86個の遺伝子を選択した。転写開始事象の空間位置の正確な検出を容易にするために、それぞれの遺伝子の転写開始部位(TSS)の周囲の5kbセグメントのDNAを標的とするプローブをデザインした。
コンビナトリアルイメージング戦略によるゲノムスケールでのクロマチンイメージングのために、以下の方法でのイメージングのためにゲノム遺伝子座を選択した。それぞれのヒト染色体(Y染色体を除く)について、約3Mb毎の間隔の30kbのセグメントを選択した。この間隔により、所与の染色体上で30未満の選択された遺伝子座が得られた場合、全ての染色体が少なくとも30の選択された遺伝子座を有するまで、その染色体について間隔を減少させた。これは、イメージングのために合計1,041個の標的ゲノム遺伝子座をもたらし、個々の染色体における遺伝子座の数は30~80の範囲であった。次いで、コンビナトリアルFISHイメージングのために、それぞれの30kbセグメントのために符号化プローブをデザインした(約400のオリゴヌクレオチドプローブ)。
ゲノムスケールでのイメージングにおける新生RNA転写物のイメージングのために、1,041個の標的ゲノム遺伝子座と完全に、または部分的に重複する全てのイントロン含有遺伝子を選択した。それぞれのRNAが約20の符号化プローブを有し、符号化プローブのターゲティング配列が転写開始部位の可能な限り近くに保持されるように、全てのこれらのRNAのイントロンのための符号化プローブを選択した。合計1,137個の遺伝子を標的とした。
コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのイメージングのためのバーコードデザイン。1,041のゲノム遺伝子座をイメージングするための二進バーコードを、以下の様式で選択した。最初に、2のハミング重みを有する全てのありうる100ビットの二進バーコード(すなわち、それぞれのバーコードは、2の「1」ビットおよび98の「0」ビットを含有する)を生成し、この一覧から1,041のバーコードを無作為に選択した。次いで、選択されたバーコードを、最初に1041のゲノム遺伝子座に任意に割り当てた。次に、使用されたコードプールと使用されなかったコードプールとの間、ならびに異なる染色体に由来する遺伝子座の間で、バーコードを無作為に交換して、それぞれの染色体について、異なるビットにわたって出現する(すなわち、「1」として読まれる)遺伝子座の数の分散を最小化した。これにより、それぞれの染色体についてビットあたりにイメージングされるほぼ等しい数の遺伝子座が得られた。それぞれの染色体内の遺伝子座へのバーコードの関連付けを最適化するために、同じ染色体内の遺伝子座をバーコード交換させ、同じコード位置で「1」として読まれるバーコードを有する遺伝子座間の最大の最小ゲノム距離を最適化した。同一の最小ゲノム距離のコード割当てを比較する場合、ゲノム距離の変動の係数を最小化したものを選択した(ゲノム距離が、より大きい平均と、より小さい標準偏差との両方を有するように)。
1,137個の遺伝子の新生RNA転写物をイメージングするためのバーコードを、同様だが、100ビットの、ハミング距離2のコードの代わりに、54ビットの、ハミング距離2のコードを使用して選択した。
一次/符号化プローブのデザイン。クロマチンイメージングのための一次/符号化プローブを、Twist Biosciencesから購入したオリゴヌクレオチドのプールから合成した。このプールにおけるそれぞれのオリゴは、以下のサブ配列(5’から3’に向かって)を使用した:PCR増幅および逆転写(RT)のための20ヌクレオチド(nt)または19ntのフォワードプライミング領域、逐次的イメージングの場合のプローブまたはコンビナトリアルイメージングの場合にプローブによって標的とされるゲノム遺伝子座がイメージングされるビットの1つによって標的とされるゲノム遺伝子座に対応する20ntのリードアウト配列、単一の標的ゲノム遺伝子座に対してユニークに結合するようにデザインされた、42ntまたは40ntの標的配列(それぞれ、逐次的イメージングまたはコンビナトリアルイメージングのための)、さらに1~2コピーの上記の20ntのリードアウト配列、およびPCR増幅のための20ntまたは19ntのリバースプライミング配列。
新生RNAイメージングのためには、少し改変した同様のデザインを使用した。フォワードおよびリバースプライミング配列を、以前に記載されたように、PCRのために最適化された無作為の20nt配列の以前に生成された一覧から選択した。
リードアウト配列を、以下のプロセスにより選択した。最初に、以前に記載されたように、ヒトゲノムとの最小限の相同性を示す30ntの配列の一覧を創出した。次いで、これらの配列のサブセットを、観察されたシグナルノイズ比(SNR)によって順位付け、上位100個を、DNAリードアウトプローブとして選択した。逐次的イメージングのためには、より多い数のハイブリダイゼーションラウンドに起因して、実質的により多くのリードアウト配列が必要であった。したがって、以前に概略された同じ手順に従って、約1,200個の候補リードアウト配列を選択した。次いで、これらの候補をフィルタリングして、40~60%のGC含量および57~67℃の融点を確保した。リードアウト配列が17より大きい、またはそれに等しいHSPスコアを有するヒットを有しないように、BLASTを使用してこれらの配列をさらにフィルタリングした。最後に、これらの配列のそれぞれの最後の20ntを逆補完することによって、リードアウト配列を選択した。
42ntまたは40ntの標的配列を、以前に記載された手順と同様に選択した。略述すると、目的のそれぞれのゲノム領域について、以下の手順を繰り返した(上の「標的ゲノム領域」の節を参照されたい)。最初に、目的のゲノム領域と相補的な全ての42ntまたは40ntの配列の一覧を創出した(標的領域中のそれぞれのありうる塩基で開始する)。次いで、それらが融点およびGC含量の規定の範囲内にあることを要求することによって、配列をフィルタリングした。次いで、以前と同じ手順を使用して、ヒトゲノム、ヒトトランスクリプトームおよび反復配列を含有するデータベースとの相同性の許容される程度を制限することによって、残りの配列をさらにフィルタリングした。逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのために使用された配列は、それぞれの標的配列が意図されるゲノム遺伝子座と確実にユニークにマッチするBLASTを使用する追加のフィルタリング工程を有していた。最後に、ゲノム重複が標的配列の任意の対の間で存在しないような最後のフィルタリング工程の後、残りの配列から標的配列を選択した。
逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのために、それぞれの標的ゲノム遺伝子座に関する42nt標的配列の全部を、その遺伝子座と会合するユニークなリードアウト配列とマッチさせた。一次プローブ配列を生成するために、それぞれの標的配列を、割り当てられた2つの同一コピーのリードアウト配列に連結した後、フォワードおよびリバースPCRプライマーに連結した。コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのイメージングのための完全長符号化プローブを生成するために、それぞれの標的ゲノム遺伝子座について選択された40ntの標的配列のそれぞれを、標的遺伝子座全体に及ぶ2つの群に交互に割り当てた。これらの群のそれぞれを、遺伝子座がイメージングされる2つのビットのうちの1つに対応する単一のリードアウト配列と関連付けた。次いで、それぞれの標的配列を、その群に割り当てられた2つの同一のコピーのリードアウト配列に連結した後、フォワードおよびリバースPCRプライマーに連結した。
RNAイメージングのためのプローブが、1つは標的領域の5’末端の、2つは3’末端の、プローブ毎に3コピーの同一のリードアウト配列を含有することを除いて、それらを同様にデザインした。RNAイメージングのためのリードアウト配列は、DNAイメージングのために使用されるものと直交し、試験したリードアウト配列の同じ順位付けられた一覧から選択された。
実験系の概説。これらの実験を実施するために使用された物理的設定は、いくつかの構成要素を使用した。特注の蛍光顕微鏡を使用して画像を獲得したが、特注の流体システムを使用して、顕微鏡ステージ上で緩衝液交換を自動的に実施した。特注のソフトウェアを使用して、種々の構成要素を同期させ、制御し、多くの実験工程を自動化した。以下は、これらの要素のそれぞれの詳細な説明である。
画像獲得のための顕微鏡設定。特注の顕微鏡システムを使用して、画像獲得を実施した。Nikon Ti-U顕微鏡本体を中心に、開口数を1.4とする、Nikon CFI Plan Apo Lambda 60倍油浸対物レンズと共に、システムを構築した。照射は、2つの選択肢のうちの1つに基づくものであった:以下の波長:405nm(Coherent、Obis 405nm LX 200mW)、560nm(MPB Communications、2RU-VFL-P-2000-560-B1R)、647nm(MPB Communication、2RU-VFL-P-1500-647-B1R)および750nm(MPB Communication、2RU-VFL-P-500-750-B1R)を有する固体状態の単一モードレーザー。この場合、560nm、647nmおよび750nmのレーザーの出力は、音響光学チューナブルフィルター(AOTF)によって制御したが、405nmのレーザーは、そのレーザー制御ボックスによって直接制御した。特注ダイクロイックフィルター(Chroma、zy405/488/561/647/752RP-UF1)および発光フィルター(Chroma、ZET405/488/461/647-656/752m)を使用して、励起照射と放出照射とを分離した。または、以下の波長:405nm、446nm、477nm、520nm、546nm、638nmおよび749nmを有するLumencor CELESTA光エンジン(繊維に結合した固体状態のレーザーベースの照射システム)。このシステムを、ペンタバンドパスダイクロイック(IDEX、FF421/491/567/659/776-Di01-25x36)およびペンタバンドバスフィルター(IDEX、FF01-441/511/593/684/817-25)と共に使用した。多くの実験において、反射ビームシェイパー(Newport Optics、GBS-AR14)または振動光ファイバー(Errol、カスタムAlbedoユニット)を使用して、照射を平坦化した。
学術用CMOSカメラ(単一分子のイメージングのために工場で較正した、Hamamatsu FLASH4.0またはHamamatsu C13440)を、画像獲得のために使用した。三次元における試料位置を、XYZステージ(Ludl)を使用して制御した。特注のオートフォーカスシステムを使用して、長時間にわたって一定の焦点面を維持した。これを、ガラス-液体界面から反射した2つのIRレーザー(Thorlabs、LP980-SF15)ビームの相対位置を比較することによって達成し、別々のCMOSカメラ(Thorlabs、uc480)上でイメージングした。
National Instruments Data Acquisitionカード(NI PCIe-6353)および特注のソフトウェア(以下の「実験構成要素を制御するためのソフトウェア」を参照されたい)を使用して、異なる構成要素を同期させ、制御した。
流体システムの構成。流体システムは、いくつかの主な構成要素:ポンプ、直列に接続された弁のセット、試料をマウントするフローチャンバー、ならびにチューブおよびコネクターを使用した。蠕動ポンプ(Gilson、MINIPLUS3)を使用して、システムにおける流動を生成した。ポンプを、直列に接続された、8方弁(Hamilton、MVPおよびHVXM8-5)のアレイに接続した。この試験では、そのような様式で接続された3~5個の弁を使用した。それぞれの弁の最後の接続は、直列での次の弁の入力として使用したが(最後の1つを除く)、残りは1ラウンドのハイブリダイゼーションのための緩衝剤を含有する管に接続した。固定されたサブセットの弁を、イメージング、退色および洗浄緩衝剤のために使用した(「実験手順およびプロトコール」の節を参照されたい)。この弁システムを使用して、試料を入れるフローチャンバー(Bioptechs、060319-2)中に種々の緩衝剤を流した。チャンバーの出力を廃液収集容器に接続し、オープンフローシステムを形成させた。弾塑性チューブを使用して構成要素を接続し、粘着剤(Blu-tack)を使用して密閉した。特注のソフトウェア(以下の「実験構成要素を制御するためのソフトウェア」を参照されたい)を使用して、システムを制御した。全体として、このシステムは、20~36ラウンドのハイブリダイゼーションを可能にした(特殊な緩衝剤のために保存された弁の数およびスポットの数に応じて)。ハイブリダイゼーションラウンドの数が流動システムの能力を超えた実験においては、緩衝剤を、以下の手順によって新しいものと交換した:弁システムからの出力を廃液収集容器に直接接続し、試料含有チャンバーをバイパスした。次いで、全ての弁を、30%ホルムアミドおよび二重蒸留した水を使用して洗浄した。次に、新しいセットの緩衝剤を導入し、チャンバーを流動システムに再接続した。最後に、次のラウンドのハイブリダイゼーションのために実験を再開した。
実験構成要素を制御するためのソフトウェア。全てのシステム構成要素を、特注のソフトウェアを使用して制御した。このソフトウェアパッケージは、同時に動作するいくつかの以下のメインモジュールから構成されていた:全ての照射および顕微鏡構成要素を制御し、同期させるのに使用されるソフトウェアパッケージである「Hal」。一部の場合、このパッケージに含まれない、構成要素のためのドライバーを書くことが必要であることがわかった。Halはまた、照射強度、ステージの順序およびイメージング中(例えば、zスキャン中)の照射操作、曝露時間などのイメージングパラメータを定義するためにも使用される。モザイク画像(すなわち、多くの個々の視野を構成する複合画像)を取り、実験におけるイメージングのための領域を選択するために使用されるモジュールである「Steve」。流体成分を制御し、セット(例えば、新しいラウンドのハイブリダイゼーションを実施する場合に起こる操作のセット)として実施される予めプログラミングされた操作順序を定義するために使用されるソフトウェアである「Kilroy」。HalとKilroyとの両方に対してコマンドを発令することができ、完全なセットの流体システムおよび顕微鏡操作、それらを実施する順番およびタイムラグを前もって定義することによってデータ収集の実施を自動化するために使用される、「Dave」。
実験の一般的な流れは、実験が始まる前に、HalおよびKilroyに、使用するパラメータおよび仕様をロードすることである。試料をロードし、チャンバーにイメージング緩衝剤を充填した後、DAPIチャネルのモザイク画像を、Steveを使用して取り、目的の領域を選択する。次いで、実験全体を通した操作の順序を特定するためのファイルを生成し、目的の選択領域の座標と共に、Daveにロードする。残りの実験は、手動の介入なしに自動的に実行される。実験におけるラウンド数が流動システムの能力を超える場合、自動シーケンスはシステムの能力次第で動作を特定する。次いで、緩衝剤を交換し(上記の「流体システム構成」の節を参照されたい)、新しいDaveファイルを創出し、全てのイメージングラウンドが完了するまでこれを繰り返す。
一次/符号化プローブ合成。一次/符号化プローブを、上記の鋳型ライブラリーから増幅した(上の「一次/符号化プローブデザイン」を参照されたい)。これを、以下の工程を含む以前に記載された増幅プロトコールを使用して行った:最初に、初期のオリゴプールを、限定サイクルのPCRを使用して約20サイクルにわたって拡大した。この工程において使用されたリバースプライマーはまた、プライマー伸長によってT7プロモーター配列を導入した。次いで、得られた生成物は、カラム精製によって精製され、高収率インビトロ転写反応によってさらに増幅およびRNAへの変換を受けた。次に、RNA生成物を、逆転写反応によって一本鎖DNAに変換し戻した。次いで、以前の工程の生成物を、アルカリ加水分解(残留RNAを除去するため)にかけ、カラム精製した(DNA Clean & Concentrator Kit、Zymo Research D4003およびD4033)。最後に、必要に応じて、以前の工程の生成物を、減圧下で乾燥し、水中に再懸濁して、所望の濃度の一次プローブを達成した。全てのプライマーは、Integrated DNA Technologies(IDT)から購入した。
細胞培養物の調製および一次/符号化プローブのハイブリダイゼーション。細胞を、以前の試験と同様に調製した。IMR-90細胞を、American Type Culture Collection(ATCC、CCL-186)から購入し、推奨されたプロトコールに従って増殖させた。クロマチン構造の潜在的な変更を回避するために、この試験における全ての細胞を、以下に特定される密度で培養開始の6週間以内に播種した。
DNAイメージングについて準備するために、細胞を、40mmの丸い#1.5のカバースリップ(Bioptechs、0420-0323-2)上に、カバースリップあたり約500,000個の密度で播種した。細胞を、37℃および5%CO2で集密まで約2日間増殖させた。転写阻害実験において、細胞培地を、細胞固定の6時間前に、100マイクログラム/mLのアルファ-アマニチン(Sigma-Aldrich、A2263)を含有する新鮮な培地と交換した。1,6-ヘキサンジオール(Sigma-Aldrich、240117)を用いた実験のために、本発明者らは、細胞播種の前に10マイクログラム/mLのフィブロネクチン(Sigma-Aldrich、F1141)でカバースリップを被覆し、培地を、45分にわたって2%w/vの1,6-ヘキサンジオールを含有する新鮮な培地と交換した。次いで、培養物を、室温で10分間、PBS中の4%パラホルムアルデヒド(PFA)を使用して固定し、PBS中で2~3回洗浄した。次いで、細胞を2つの工程で透過処理した:最初に、それらを室温で10分間、PBS中の0.5%v/vのTriton-X(Sigma-Aldrich、T8787)で処理した。次いで、細胞を、室温で5分間、0.1M塩酸(HCl)で処理し、PBS中で2~3回洗浄した。HCl処理後、細胞を、37℃で30~45分間、PBS中に溶解した0.1mg/mLのRNase A(ThermoFisher、EN0531)の溶液で処理して、RNAへのオフターゲット結合の潜在的な供給源を除去した。この処理の後、細胞を、2x塩水-クエン酸ナトリウム緩衝剤(SSC;Ambion、AM9763)および50%ホルムアミド(Ambion、AM9342)を使用したプレハイブリダイゼーション緩衝剤中で約10分間インキュベートした。次に、細胞カバースリップを反転させ、60mmのペトリ皿中、50マイクロリットルのハイブリダイゼーション緩衝剤(10マイクログラムのヒトCot-1 DNA(ThermoFisher、15279011)を含む、または含まない約25マイクロモルの合計濃度で一次/符号化プローブの混合物を含有する、2xSSC、50%ホルムアミド、10%硫酸デキストラン(Sigma-Aldrich、D8906))の液滴上に置いた。皿を、約90℃で3分間、水浴中に部分的に浸し、加湿チャンバー中、16~36時間にわたって47℃でインキュベートした。一次/符号化プローブと共にインキュベートした後、試料を2xSSCおよび40%ホルムアミド中で30分間洗浄し、室温で10分間、2xSSC中の4%PFAで後固定した。次いで、試料を、2xSSC中の標準ビーズ(ThermoFisher F8805またはThermoFisher F8792のいずれか)と共に2~3分間インキュベートし、5~10分間、2xSSC中の1マイクロモルの4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI;ThermoFisher D1306)で染色した後、イメージングまで2xSSC中で保存した。
RNAイメージングを含む実験のために、全ての緩衝剤は、RNAse阻害剤(NEB M0314またはFisher Scientific N2615のいずれか)の1:10~1:1,000希釈液を含有する細胞を固定した点から使用した。RNA染色のための処理は、HClを用いた処理まで上記のプロトコールと同一であった。この工程の後、細胞を、プレハイブリダイゼーション緩衝剤中で10分間インキュベートした後、細胞カバースリップを反転させ、DNA染色について記載されたように、約1マイクロモルの合計濃度でRNAイントロンを標的とする一次/符号化プローブを含有するハイブリダイゼーション緩衝剤の液滴上に置いた。この場合、しかしながら、90℃の熱変性を実施せず、細胞を、加湿チャンバー中、16~36時間にわたって47℃ですぐにインキュベートした。一次/符号化プローブと共にインキュベートした後、試料を、ホルムアミド溶液中で洗浄し、上でDNAについて記載されたようにPFAで後固定した。次いで、それを標準ビーズと共にインキュベートし、1マイクロモルのDAPIで染色した後、イメージングまで2xSSC中で保存した。RNAイメージング後、試料を顕微鏡から取り出し、細胞をRNase Aで処理した後、RNAイメージングを用いずにDNAイメージングについて上に記載されたのと同じ様式でDNAハイブリダイゼーションを開始した。
逐次的またはコンビナトリアルFISHイメージングのためのリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーション。プロトコールのこの部分における全ての液体交換を、FCS2フローチャンバー(Bioptechs、060319-2)中にマウントされたカバースリップと共に、特注の流体システムの使用によって達成した。このシステムの設定は、「流体システム構成」の節で詳細に説明されている。略述すると、流体システムは、3~5個のコンピュータ制御された八方弁(Hamilton、MVPおよびHVXM8-5)およびコンピュータ制御された蠕動ポンプ(Gilson、MINIPLUS3)を使用した。まとめると、これらの構成要素は、任意の所与の時間での流体流動の速度と、流体流動の種類との両方の制御を可能にした。それぞれのハイブリダイゼーションラウンドは、以下の一般的工程を使用した:最初に、ハイブリダイゼーション緩衝剤を、以下に記載されるように、それぞれのラウンドに特異的なオリゴヌクレオチドプローブのセットと共に流した。次いで、それを、室温で10分間インキュベートした。次に、洗浄緩衝剤を流し、それを約200秒間インキュベートし、最後に、イメージング緩衝剤を流した。
イメージング緩衝剤を以前に記載のように調製し、60mMのTris pH8.0、10%w/vのグルコース、1%のグルコースオキシダーゼ酸素スカベンジャー溶液(約100mg/mLのグルコースオキシダーゼ(Sigma-Aldrich、G2133)およびカタラーゼ(Sigma-Aldrich、C3155)の1:3希釈液を含有する)、0.5mg/mLの6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox;Sigma-Aldrich、238813)および50μMのTrolox Quinone(Trolox溶液のUV照射によって生成される)を含むイメージング緩衝剤を使用した。Troloxを、メタノールに溶解した後、溶液に添加した。調製後、イメージング緩衝剤を、約0.5cmの厚さの鉱物油層によって被覆して、酸素への曝露を防止した。
ハイブリダイゼーション緩衝剤および洗浄緩衝剤は、それぞれ、2xSSC中、35%および30%のホルムアミドから構成され、ハイブリダイゼーション緩衝剤はまた、0.01%v/vのTriton-Xを含有していた。ハイブリダイゼーション緩衝剤は、それぞれのハイブリダイゼーションラウンドのために別々に保持され、2セット(コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのクロマチンイメージングのため)または3セット(逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのため、ならびにコンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのクロマチンおよびRNAイメージングのため)のリードアウトプローブを含有していた。蛍光シグナルを、以下のように導入した:逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのために、ハイブリダイゼーション緩衝剤は、30nMの濃度で添加された3つの蛍光リードアウトプローブ(Alexa750、Alexa647またはCy5、およびCy3)を含有していた。全ての実験は、図24Aに記載されるような、オリゴヌクレオチドアダプターと蛍光リードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーションを含んでいた。それぞれのハイブリダイゼーションラウンド中に、アダプタープローブのセット(それぞれ100nM濃度)を最初に、3つの異なるカラーチャネル(Alexa750、Alexa647またはCy5、およびCy3)における3つの標的ゲノム遺伝子座の検出のために流した。それぞれのアダプタープローブは、標的遺伝子座の1つに対してユニークなリードアウト配列と相補的なセグメントおよびカラーチャネルに特異的な共通のリードアウト配列を含有するセグメントを含んでいた。次に、それぞれ3つのカラーチャネルに特異的な共通のリードアウト配列の1つと相補的な、3つの異なる色素とコンジュゲートされたリードアウトプローブを、それぞれのプローブについて30nMの濃度で流した。この手順により、それぞれのラウンドのハイブリダイゼーションの間に、それぞれ3つのカラーチャネルにおいて3つのゲノム遺伝子座をイメージングすることができる。蛍光リードアウトプローブは、以前に記載されたように、フルオロフォアをオリゴヌクレオチドに連結するジスルフィド結合を含有して、ラウンド間のシグナルの効率的な除去を可能にした。コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのクロマチンイメージングのために、各ラウンドのハイブリダイゼーション緩衝剤は、一方はCy5またはAlexa647で標識され、他方はAlexa750で標識された、2つの蛍光リードアウトプローブを含んでいた。蛍光リードアウトプローブは、1)100nMの濃度で添加された、所与のビットでイメージングされた全ての符号化プローブに共通のリードアウト配列と相補的な蛍光標識されたオリゴ、または2)上記のような、追加の共通リードアウト配列(それぞれのカラーチャネルにおいて全てのアダプターに共通する)に連結された、リードアウト配列と相補的な配列を有するアダプターオリゴと、この共通リードアウト配列と相補的な蛍光標識されたリードアウトプローブとの組合せのいずれかを使用した。一部の実験については、アダプターおよび共通リードアウトプローブを、1:1.5の比で予め混合し、約100nMの最終濃度で添加した。他の実験については、アダプターとリードアウトプローブとを、逐次的に試料にハイブリダイズさせた。RNAイメージングについては、それぞれのラウンドのハイブリダイゼーション緩衝剤は、上記のように、1つがそれぞれのカラーチャネルのための、3つのアダプタープローブを含有していた。それぞれのラウンドは、2つの個別のハイブリダイゼーション工程を含んでいた。最初に、アダプターを流し、ハイブリダイズさせ、過剰の材料を洗浄した。次いで、それぞれ、Cy3、Cy5(またはAlexa647)およびAlexa750で標識された、アダプター上の共通リードアウト配列と相補的な、3つの蛍光リードアウトプローブを、逐次的に流した。蛍光リードアウトをハイブリダイズさせた後、イメージング緩衝剤を流し、シグナルを収集した。
次のラウンドのリードアウトプローブまたはアダプタープローブハイブリダイゼーションの前に、現在のラウンドにおけるリードアウトプローブからの蛍光シグナルを、以下の「ハイブリダイゼーションラウンド間のシグナル除去」の節に記載されるように除去した。
第1ラウンドのハイブリダイゼーションの前に、イメージングのラウンドを実施して、DAPIシグナルを獲得し、核境界を同定した。逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのために、約220ラウンドにわたってChr21上の651個のゲノム遺伝子座または約320ラウンドにわたってChr2上の935個のゲノム遺伝子座を、全て3つのカラーチャネルにおいてイメージングした。コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのクロマチンイメージングのために、1,041個のゲノム遺伝子座の全セットを、50ラウンドのハイブリダイゼーションおよびラウンドあたり2つのカラーチャネルにおいてイメージングした。各ラウンドにおいて、ゲノム遺伝子座を、z次元にステージをステップすることによって3Dでイメージングした。Chr21上の86個の遺伝子に関する新生RNA転写物を、3色で31ラウンドにわたって逐次的にイメージングし、1,137個の遺伝子のRNA転写物のゲノムスケールでのイメージングを、3色で18ラウンドにおいて3Dでイメージングした。Chr21の逐次的イメージングのために、具体的には、29ラウンドにわたって86個の遺伝子のTSSを、3色でイメージングした。さらなるラウンドを使用して、ゲノム遺伝子座のセットを再標識し、色収差およびカラーチャネル間の裏抜け、ならびに試料およびイメージング機器の安定性を評価した。合計約1,000~3,000個の細胞を含有する約60の視野のイメージングには、逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングの逐次的イメージングについては約12~18日間およびコンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのクロマチンイメージングについては3日間かかった。
3~5つの弁のシステムは、最大で20~36の異なるハイブリダイゼーション溶液のローディングを可能にした。結果として、全ての流体システムのチャネルを使い果たした後、試料チャンバーをバイパスし、ハイブリダイゼーションのために使用された全てのチャネルを、水中の30%ホルムアミドで洗浄した。次に、チャンバーを再接続し、次のセットのハイブリダイゼーションおよびイメージングラウンドを進めた。
逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのために、穏やかな後固定工程を、定期的に(約4日毎)、5分間にわたって2xSSC中の2%PFAを用いて実施して、試料の構造的完全性を維持した。
抗体の標識化およびイメージング。抗体イメージングを、RNAまたはDNAイメージングの直後に実施した。上記のプロトコールによるイメージングの完了後、試料は以下の工程を受けた:試料を、ブロッキング溶液(0.1%v/vのTween-20(Sigma-Aldrich P9416)および1%w/vのウシ血清アルブミン(BSA;Jackson Immunoresearch 001-000-162)を含むPBS)と共に、30分間インキュベートした。試料を、ブロッキング溶液中に希釈した一次抗体と共に、1時間インキュベートした。試料を、0.1%のTween-20を含むPBS中で3回、それぞれ5分間洗浄した。蛍光タグ付き二次抗体のために、工程2および3を繰り返した。
全ての緩衝液交換を、以下の「流体システム設定」の節に記載されるマイクロ流体システムを使用して、顕微鏡上で行った。Cy5カラーチャネルをイメージングのために使用し、光退色を使用して逐次的抗体標識化間のシグナルを消滅させた。
以下のセットの一次および二次抗体を使用した:核スペックルをイメージングするために、ストックからの1:200の希釈率の、核スペックルのマーカーとして一般的に使用されるスプライシング因子であるSC35に対する一次抗体(Abcam、ab11826)およびストック濃度から1:1,000に希釈されたCy5色素によって標識されたロバ抗マウス二次抗体(Jackson Immunoresearch、715-175-150)を使用した。核小体をイメージングするために、ストックからの1:200の希釈率の抗フィブリラリン抗体(Abcam、ab5821)、およびストック濃度から1:1,000に希釈された、Alexa657色素によって標識されたロバ抗ウサギ二次抗体(Jackson Immunoresearch、711-605-152)を使用した。細胞周期状態の決定のために、ストックからの1:100の希釈率の、抗ゲミニン抗体(Abcam、ab195047)、およびストック濃度から1:1,000に希釈されたAlexa657色素(Jackson Immunoresearch、711-605-152)によって標識されたロバ抗ウサギ二次抗体を使用して、RNAイメージングの直後に免疫蛍光染色を実施した。
画像獲得。それぞれの実験について、細胞がまばらである領域を避けて、イメージングのために約60の視野(FOV)を選択した(本発明者らは、典型的には、FOVあたり10~50個の細胞を同定した)。それぞれのカメラのFOVは、イメージング面におけるそれぞれの次元において153nmに対応するカメラピクセルを有する、1,000x1,000ピクセル、またはイメージング面におけるそれぞれの次元において108nmに対応するカメラピクセルを有する、2048x2048ピクセルを使用した。
各ラウンドのハイブリダイゼーション後(上の「FISHイメージングのためのリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーション」を参照されたい)、それぞれのFOVのzスタック画像を、3または4色で獲得した:647nmおよび750nmの照射(または560nm、647nm、および750)を使用して、FISH画像を獲得し、560nmの照射(または405nmの照射)を使用して、標準ビーズをイメージングした。第1ラウンドのイメージングのために、405nmの照射を使用して、DAPIシグナルをイメージングしたが、抗体イメージングのためには、647nmの励起チャネルを、RNAまたはDNAイメージング後に使用した。連続z切片を、全てのイメージングされた細胞の全ての核体積を包含する、85、100、150または200nmにより分離した。それぞれのz位置で、画像を全てのチャネルで獲得した後、ステージを動かし、画像を約10Hzの速度で獲得した。
ハイブリダイゼーションラウンド間のシグナル除去。各ラウンドのイメージングの前に、前のラウンドからのシグナル(または第1ラウンドの場合、内因性バックグラウンド)を消滅させた。これは、必要に応じた光退色工程について以前に記載されたようにフルオロフォアをリードアウトプローブに接続するジスルフィド結合を切断することによって達成された。切断のために使用された緩衝剤は、フルオロフォアをリードアウトプローブに接続するジスルフィド結合を減少させるための50mMのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP;Sigma-Aldrich、C4706)、ならびに占有されていないリードアウト配列が次のハイブリダイゼーションラウンドを妨げるのを遮断するための35%ホルムアミド中の1mMの色素非含有共通リードアウトプローブを含有していた。光退色を実施する実験においては、35%ホルムアミドを含む、または含まない2xSSCに緩衝剤を変更し、それぞれの視野に、560、647および750の最大利用可能出力のレーザーを3~10秒間照射することを伴っていた。逐次的トレーシング実験における光退色工程を、オリゴヌクレオチドアダプターを用いるハイブリダイゼーション工程の間に行って、総実験時間を最小化した。ハイブリダイゼーションおよび洗浄緩衝剤中の高いホルムアミド濃度の結果として、DAPIシグナルは消滅した。
逐次的DNA-FISHイメージングにおけるゲノム領域の再標識化。染色体全体に関して逐次的DNA-FISHイメージング実験を終了した後、領域のサブセットを再標識化し、再イメージングした。試料を、2xSSC中の57%ホルムアミドで4分間処理し、この処理を3回繰り返して、リードアウトオリゴヌクレオチドプローブを剥ぎ取った(最初に、TCEPを使用してオリゴヌクレオチドプローブから色素を切断した後、光退色によって第1ラウンドのイメージング後にその蛍光シグナルを除去した)。リードアウトプローブを剥ぎ取った後、1mMの色素非含有共通リードアウトプローブを、35%ホルムアミド2xSSC中に添加して、剥ぎ取られなかったアダプタープローブ上の占有されていないリードアウト配列を遮断した。次に、選択された領域の再標識化を、標準的なリードアウトプローブのハイブリダイゼーションプロトコールに従うことによって達成した(「逐次的またはコンビナトリアルFISHイメージングのためのリードアウトプローブの逐次的ハイブリダイゼーション」の節に記載されている)。
画像分析:分析パイプラインの概説。この試験において使用された画像分析パイプラインは、Python中に実装された。全体のパイプラインは以下の工程を使用した:全てのイメージングされた核を同定し、分割する、DNAまたはRNAイメージングのため、ならびに標準ビーズのために使用されたイメージングチャネルにおいて全ての検出された蛍光スポットに3Dガウス分布を適合させる。同定された核と重複しないDNAおよびRNAスポットを拒絶した。標準ビーズを使用して試料ドリフトを補正し、異なるカラーチャネル間の色の効果を補正し、特注のアルゴリズムおよびソフトウェアを使用してDNA遺伝子座およびRNA分子に識別を割り当てる(これらのものは、両方とも染色体ワイドのイメージングおよびゲノムワイドのイメージングのための、DNAおよびRNAイメージングのために以下に別々に記載される)。
核のセグメント化。第1ラウンドのイメージングからのDAPI画像を使用して、個々の核の体積を同定し、細胞セグメント化を可能にした。これを、畳み込みニューラルネットワークにより達成し、以前に公開された研究と同様に構築および訓練し、インプットとしてのxy平面上へのDAPI画像の最大投射を取った。
DNAおよびRNAイメージングのためのスポット適合化。以下の分析パイプラインを、それぞれのイメージングされたFOVに適用して、目的の全ての遺伝子座の三次元(3D)位置を得た:基準を、全てのイメージングラウンドにおいて適合させ、画像の整列のために使用した(以下の「ドリフト補正」の節を参照されたい)。第1のイメージングラウンド(第1ラウンドのハイブリダイゼーションに先行する)において、個々の核の境界を同定するために、ならびにRNAとDNAイメージングとの間の画像登録のために、DAPIシグナルを使用した。詳細については、「核のセグメント化」および「DNAイメージングとRNAイメージングとの間の画像登録」の節を参照されたい。それぞれの同定された核内の回折限定スポットを、3Dガウス関数に適合させて、局部バックグラウンドを超える質量および明るさのその中心を同定した。分析を、より管理可能にするために、復号化のために保持される画像あたりの適合スポットの数を、コンビナトリアルFISHによるゲノムスケールでのイメージングにおいて125またはそれ以下に固定した(ノイズなしに予想された異なる遺伝子座の数よりも3倍多い)。逐次的ハイブリダイゼーションによる全染色体イメージングのために画像あたりの染色体あたりの適合スポット数を、6またはそれ以下に固定した。次いで、工程3からの適合スポットを、以下の対応する節中に記載されるように、DNA遺伝子座および転写焦点を同定し、その位置を決定するために使用した。
ドリフト補正。標準ビーズスポット適合化を、上記と同じように実施した。次いで、標準ビーズ位置のセットを、ハイブリダイゼーションラウンド間で比較し、厳正な形質転換を適用して、ビーズの相対位置の平方差の和を最小化した。
色効果の補正。多色イメージングに関する裏抜けおよび色収差を、それぞれのイメージングチャネル中の同じセットのゲノム遺伝子座を独立に標識化し、それぞれ、異なるカラーチャネル中の同じ遺伝子座のシグナルを比較することによって実施した。
DNAイメージングとRNAイメージングとの間の画像登録。最初に、2D画像相関による2セットの画像(すなわち、クロマチンおよびRNA)にわたる大まかな画像登録のために、DAPIシグナルを使用した(各セット内の全画像を、標準ビーズを使用してDAPI画像と整列させた)。初回ラウンドのRNA復号化を実施した後(以下の「逐次的イメージングにおける適合RNAスポットからの転写焦点の同定」および「コンビナトリアルゲノムスケールイメージングにおける適合RNAスポットのための復号化アルゴリズム」を参照されたい)、新生RNA局在とそれらが存在するDNA遺伝子座との間の変位が、視野における全てのイメージングされた遺伝子および細胞にわたって考慮した場合、平均でゼロであるはずであると仮定することによって、より細かいアラインメントを算出した。したがって、さらなる厳正な形質転換を算出して、イメージングされた新生RNAと、その対応するDNA遺伝子座との平均変位を最小化し、これを最終的なアラインメントとして使用した。
逐次的イメージングにおける適合DNAスポットからのクロマチン遺伝子座の同定。それぞれの遺伝子座の同定および3D局在特定を、以下の工程によって達成した:各画像中の全ての適合スポットのドリフトおよび収差補正された位置について一覧を生成した。スポット発見アルゴリズムにより、特異的ハイブリダイゼーションラウンドの特定のカラーチャネルに対応するそれぞれの逐次的画像においてそれぞれの染色体について最大6つの候補を発見することができたため(「DNAおよびRNAイメージングのためのスポット適合化」を参照されたい)、以下の追加の工程を実施して、イメージングされたクロマチン遺伝子座から生じる可能性が最も高い候補スポットを同定した。それぞれのハイブリダイゼーションラウンドのそれぞれのカラーチャネルにおいてそれぞれの細胞中のそれぞれの染色体コピーに対応する最も明るいスポットを選択することによって、最初の暫定的なクロマチントレースを生成した。それぞれの適合スポットについて、それが最初の暫定的なクロマチントレースのために選択されたかどうかに関係なく、3つの品質測定基準:局部バックグラウンドを超えるスポットの明るさ、暫定的な染色体トレースに沿って5つの遺伝子座上流および5つ下流から算出された、局部質量中心までのスポットの距離、ならびに暫定的な染色体トレース全体の質量中心までの距離を算出した。それぞれのスポットについて、暫定的なクロマチントレースに含まれるスポットに関する品質測定基準値の分布(本発明者らは、「正当な分布」と呼ぶであろう)に対する全ての候補スポットに関して合わせたFisherのp値を算出することによって、上記の3つの品質測定基準を、単一の尺度で組み合わせた。これは、それぞれのスポットの全体の品質スコアと考えられ、以下のようにスポットあたりで算出した:それぞれの測定基準について、より低い品質測定基準を有していた「正当な分布」における他のスポットの比率を算出し、これらの3つの比率を乗算した。次いで、期待値最大化手順を使用して、それぞれの標的クロマチン遺伝子座に対応する最も高い品質スコアを有するスポットを逐次選択し、「正当な分布」を、得られるクロマチントレースに基づいて再度アップデートした。この最適化手順を、収束まで繰り返した。収束後、それぞれクロマチン遺伝子座に対応する、最後のセットのスポットを使用して、標的遺伝子座の3D空間位置を決定した。最後に、工程4からのスポットをフィルタリングして、品質スコアが設定されたカットオフよりも下であった(およびかくして、低い信頼性のものであった)ものを除去した。合わせた品質スコアに関するカットオフ値を設定するために、再イメージング実験に含まれた遺伝子座の品質スコアを最初に計算して、変位エラーを決定した(以下の、「逐次的イメージングにおける再イメージングされた遺伝子座の同定」の節を参照されたい)。次いで、オリジナルの間で低い変位エラー(500nm未満)を示すスポットの品質スコアの分布を算出し、高い変位エラー(500nmを超える)を示すスポットについて遺伝子座を再度イメージングした。最後に、高い変位エラーのカテゴリーにあると予想された、最後のクロマチントレース(閾値を適用した後)における遺伝子座の比率が5%未満となるように、品質スコア閾値を設定した。工程5後の残りのスポットを使用して、クロマチン遺伝子座の最終的な位置を決定し、クロマチン構造を追跡した。
逐次的イメージングにおける適合RNAスポットからの転写焦点の同定。RNAイメージングラウンドからのシグナルを、以下の手順を使用して分析した:最初に、それぞれの細胞に関する適合RNAスポットの位置を、最初に粗いDAPIベースのアラインメントを使用して色収差およびドリフトについて補正し、対応するDNA遺伝子座まで1000nmの距離内にある最も明るいRNAスポットを保持した。次いで、DNAイメージングとRNAイメージングとの間の登録を、上の「DNAイメージングとRNAイメージングとの間の画像登録」の節に記載されたように、初期の選択されたRNA局在(工程1からの)と、それらを有するDNA遺伝子座の位置との間の変位に基づいて精緻化した。最後に、工程2からの細かい登録後、全ての候補RNAスポットの位置を、遺伝子を有する50kbのDNA遺伝子座および対応する5kbのDNA転写開始部位の位置と比較した。このステージで、50kbの遺伝子座または5kbの転写開始部位からの500nmのよりストリンジェントな距離カットオフ、ならびに1のシグナルノイズ比閾値を適用した。新生RNA局在が両方の閾値を通過した場合、それを検出された転写バーストと考えた。
逐次的イメージングにおける再イメージングされた遺伝子座の同定および変位エラーの推定。再イメージングされた遺伝子座を使用して、元のイメージングラウンドにおける遺伝子座の対応するサブセットを置き換えたことを除いて、再イメージングされた遺伝子座の同定を、「逐次的イメージングにおける適合DNAスポットからのクロマチン遺伝子座の同定」の節の記載と同様に実施した。
元のラウンドと再イメージングラウンドとの間の変位エラー(図24B~図24D)を計算するために、以下の観察に基づいて、明るさの閾値を通過した遺伝子座のみを考慮した。再イメージングラウンドにおける蛍光シグナルは、元のイメージングラウンドにおけるよりも実質的に不鮮明であることがわかった。これは、潜在的には、元のリードアウトプローブの不完全な除去に起因する、および/または元のイメージングラウンドにおいて結合した蛍光リードアウトプローブを剥ぎ取るためのホルムアミド処理の間にゲノムDNAに結合した一次プローブの部分的除去に起因するものであった。より低い明るさは、再イメージングされた遺伝子座の局在特定精度を低下させ、初期のイメージングラウンドの局在特定エラーの人工的な過大評価を引き起こした。局在特定エラーの推定における、この効果を軽減するために、元のシグナルと比較して、明るさにおいて20%を超えていた再イメージングされた遺伝子座のみを選択した。
さらなる注意として、両方の近隣の遺伝子座から1000nmを超える遺伝子座を検査する場合、これらの比率(約20%)は、大きい再イメージング変位エラーを示し、より低い明るさを有する。かくして、それらのゲノム近隣の両方から遠くにある遺伝子座は、相対的に低い信頼性を有しうる。
コンビナトリアルゲノムスケールイメージングにおける適合DNAスポットのための復号化アルゴリズム。それぞれの遺伝子座の同定および3D局在特定を、以下の工程によって達成した:最初に、それぞれのビット画像(特定のイメージングラウンドにおける特定のカラーチャネルに対応する)における全ての同定されたスポットのドリフトおよび収差補正された位置に関する一覧を生成した。ビット画像毎のそれぞれの検出されたスポットについて、その位置から設定されたカットオフ距離(x、yおよびzにおいて約150nm)以内にある他のビット画像からの全てのスポットを見出した。スポット対によって産生されたバーコード(それらが出現するラウンドおよびカラーチャネルに基づく)が、正当なバーコード(すなわち、ゲノム遺伝子座に割り当てられたバーコード)に対応するかどうかに関係なく、全てのそのようなスポット対を、さらなる分析のために保持した。次いで、それぞれのスポット対について、3つの品質測定基準を算出した:2つのスポットの3D局在間の変位、2つのスポット間の明るさの差異、および2つのスポットの明るさの平均。それぞれのスポットの明るさを、対応するビット画像中の全スポットの明るさの中央値によって正規化した。次いで、スポット対を、それらが正当なバーコード(したがって、潜在的には、ゲノム遺伝子座)に対応するかどうかに基づいて、2つの群に分離した。各群内で、品質測定基準の分布を算出した。便宜上、無効なバーコードからのスポット対品質測定基準の分布を、「無効な分布」と称し、全ての正当なバーコードからのものを「正当な分布」と称する。それぞれのスポット対について、工程3における3つの品質測定基準を、「正当な分布」に対する全ての候補スポット対に関する合わせたFisherのp値を算出することによって、単一の尺度に合わせた。これは、それぞれのスポット対の全体の品質スコアと考えられ、以下のように対あたりで算出した:3つの測定基準のそれぞれについて、より低い品質測定基準を有していた「正当な分布」における他のスポット対の比率を算出し、これらの3つの比率を乗算した。期待値最大化手順を使用して、それぞれの標的化されたクロマチン遺伝子座に対応する最も高い品質スコアを有する2つのスポット対を逐次的に選択し、「正当な分布」を再アップデートし、この最適化手順を収束まで繰り返した。収束後、それぞれクロマチン遺伝子座に対応する、最後のセットのスポット対を使用して、遺伝子座の3D空間位置を決定した。工程5の後、改変型K平均アルゴリズムを使用して、同じ染色体に属するクロマチン遺伝子座を2つのホモログに分離した。点を2つの群に分け、各群内の回転半径を最小化する標準的なK平均クラスタリングアルゴリズムとは反対に、点を、群間で進行的に切り替えて、最初にそれぞれのホモログ中の割り当てられた点の比率を最大化した後、それぞれのホモログの回転半径を最小化した。2つのホモログを分離した後、工程2からのそれぞれのスポット対のその質量中心および距離を、その親染色体の質量中心に対して算出した。染色体中心までの距離を、工程3において考慮した3つの測定基準に加えて別の品質測定基準として加え、工程3~6を繰り返した。最後に、工程7からのスポット対をフィルタリングして、品質スコアが「無効な分布」と依然として類似する対を除去した。工程8後の残りのスポット対を使用して、クロマチン遺伝子座の最終的な位置を決定し、クロマチン構造を追跡した。
コンビナトリアルゲノムスケールイメージングにおける適合RNAスポットのための復号化アルゴリズム。RNAイメージングラウンドからのシグナルを、以下の手順を使用して復号化した:最初に、各ラウンドのイメージングにおいて全ての同定されたスポットのドリフト補正および収差補正された位置について、一覧を生成した。全てのイメージングラウンドにおけるそれぞれの検出されたスポットについて、その位置からの設定されたカットオフ距離内にある他のラウンドからの全てのスポットが見出され、これらのスポット対を、それらが正当なバーコードを形成した場合、候補RNAバーストとして保持した。次いで、これらの候補RNAバーストのそれぞれの位置を、初期の画像登録(DAPI画像に基づく)ならびにドリフト補正および収差補正後に、関連遺伝子を有するDNA遺伝子座の位置と比較し、それらが設定された閾値距離内にある場合、保持した。次に、DNAイメージングとRNAイメージングとの間の登録を、上の「DNAイメージングとRNAイメージングとの間の画像登録」の節に記載されたように、初期の復号化されたRNA局在(工程3からの)と、それらを有するDNA遺伝子座の位置との間の変位に基づいて精緻化した。最後に、全ての候補RNAバーストの位置を、今回、精緻化された画像登録を用いて、それらが復号化する遺伝子を有するDNA遺伝子座の位置と再度比較した。新生RNA局在がこの段階でそれが存在するDNA遺伝子座からのカットオフ距離内にあった場合、それを、検出された転写バーストと考えた。
コンビナトリアルゲノムスケールイメージングにおいて再イメージングされた遺伝子座の同定。コンビナトリアルゲノムスケールイメージング手法では、第6染色体上の標的ゲノム領域のサブセットに、それらがコンビナトリアルイメージング後に逐次的多色FISHを使用して個別に再イメージングすることができるようなプローブを割り当てた。コンビナトリアルイメージングにおけるこれらの遺伝子座の1つのそれぞれの復号化された例について、コンビナトリアルイメージングにおいて決定された局在と、逐次的再イメージングラウンドにおける最も近いスポットとの間の距離として、変位エラーを推定した。
免疫蛍光イメージングからの核内構造体の同定。核内構造体(核スペックルおよび核小体)の位置を、免疫蛍光シグナルの強度に対して閾値を適用し、高い免疫蛍光シグナルを同定するピクセル化されたマスクを得ることによって、免疫蛍光シグナルから抽出した。次いで、これを、核内構造体を「含有」するピクセル化されたセットの位置として処理した。
抗ゲミニンおよびDAPI画像からの細胞周期段階の決定。最初に、分裂を受けている細胞を、目視検査によって取り除き、分析のために考慮しなかった。次に、ゲミニン免疫蛍光シグナルと、DAPIを使用して測定された核シグナルとの組合せを使用して、細胞を、以前の試験と同様にG1(低いゲミニンシグナル、低いDAPIシグナル)またはG2/S(高いゲミニンシグナル)として分類した。
核ラミナの位置の推定。所与の細胞中の全ての復号化されたクロマチン遺伝子座の位置の周囲に最小の3D凸包表面を生成することによって(PythonのSciPyパッケージを使用する)、核ラミナの位置を推定した。
空間距離。任意の遺伝子座対間の空間距離を、物理的距離に対するカメラピクセルおよびzステップに関する適切な比率を乗じた、その適合された3Dガウス中心間のユークリッド距離として単純に算出した。核内構造体までの距離の場合、全ての同定された核内構造体の「位置」までの最小ユークリッド距離または核ラミナを規定する凸包の表面までの最小距離を算出した。
イメージングからの接近頻度マトリックス。任意の所与の遺伝子対の間の接近頻度を算出するために、設定されたカットオフ距離よりも小さい、その遺伝子座対間の測定距離の数を最初に計数した(別途記載しない限り、この試験では500nm)。次いで、この数を、その遺伝子座対について測定された距離の総数で除算した。Hi-C接触マトリックスと共に様々なカットオフ閾値から得られる接近頻度マトリックス間のPearson相関、ならびにChr21に関するイメージングデータおよびHi-Cデータに由来する、TADおよびコンパートメントなどのアンサンブル構造特徴のアラインメントを評価することによって、カットオフ距離を決定した。
接近頻度マップと、Hi-Cマップとの間のPearson相関係数は、200nm~800nmのカットオフ距離について0.82~0.88の範囲で大まかに一定のままであり、約400~500nmで最大に達することがわかった。さらに、500nm以下のカットオフ閾値については、イメージングデータに由来するTAD境界は、同様に高い精度でHi-Cデータに由来するTAD境界と整列したが、600nmよりも大きいカットオフ距離については、アラインメントは低下した。より大きい規模では、A/Bコンパートメントコーリングは、400~600のカットオフ距離に関して最も高いレベルの一致を示した。したがって、400~500nmの範囲のカットオフ距離は、TADとA/Bコンパートメントとの両方の正確なコーリングにとって最適であると考えられ、全ての分析について500nmのカットオフ距離を選択した。
局部密度分析。それぞれの復号化された位置でのコンパートメントAおよびコンパートメントB遺伝子座の局部密度を算出するために、それぞれの細胞に関するクロマチン遺伝子座のそれぞれの対の間の空間距離を算出した。それぞれの遺伝子座について、局部A/B密度比を、以下のように計算した:最初に、100nm(Chr21のイメージングについて)、125nm(Chr2のイメージングについて)、または500nm(ゲノムスケールでのイメージングについて)の標準偏差で、それぞれのAまたはB遺伝子座を中心とするガウス確率密度関数を置いた。次いで、遺伝子座での合計A密度を、全染色体イメージングにおいて自身を除く全てのA遺伝子座からのこのガウス確率密度関数値の和として計算した。ゲノムスケールでのイメージングのために、遺伝子座での合計trans A密度を、全てのtrans染色体A遺伝子座(すなわち、他の染色体に由来する全てのA遺伝子座)から合計した。合計B密度を、同様の方法で計算した。最後に、コンパートメントA遺伝子座の合計密度を、コンパートメントB遺伝子座の密度で除算して、その遺伝子座でのA/B密度比を見出した。trans A/B密度比を、同様に計算した。
イメージングデータからの絶縁スコア。絶縁スコアは、アンサンブルHi-Cについて以前に定義されている。イメージング結果のために同様の定義を使用し、単一細胞中の個々の染色体における近隣または非近隣ドメインの絶縁スコアを計算するために適用した。
2つのドメイン間の絶縁スコアを算出するために、第1のドメイン内の遺伝子座のそれぞれの対の間の全ての距離および第2のドメイン内の遺伝子座のそれぞれの対の間の全ての距離を考慮することによって、ドメイン内距離分布を算出した。次いで、異なるドメイン中に存在する遺伝子座の対の間の全ての距離を考慮することによって、ドメイン間距離分布を算出した。次いで、ドメイン内距離の中央値によって除した、全てのドメイン間距離の中央値として絶縁スコアを定義した。2つの高度に混合したドメインは、1に近い絶縁スコアを有するが、ちょうど接触しているドメインは、約2の絶縁スコアを有するであろう。
TADコーリングのための正規化された絶縁スコア。イメージングデータおよびHi-CデータにおけるTADコーリングの比較を可能にするために、これらのデータに由来する絶縁スコアが同じ動的範囲に適合するように、上で定義された絶縁スコアをわずかに改変した。イメージングデータに由来するペアワイズ距離中央値マトリックスにおけるTADコーリングのために、それぞれのゲノム遺伝子座について、固定ウィンドウを有する上流および下流の遺伝子座(すなわち、選択される遺伝子座のそれぞれの側の固定数の遺伝子座)を選択した。選択された遺伝子座の上流および下流の、これらの2つのクロマチン領域を、2つのドメインとして処理し、上記のように、絶縁スコアを計算した。次いで、正規化された絶縁スコアを、領域間距離の中央値と、領域内距離の中央値との和によって正規化された、これらの2つの中央値間の差異と定義した。したがって、正規化された絶縁スコアは、常に0~1であろう。正規化された絶縁スコアのこの定義を用いて、染色体に沿ってスライディングウィンドウを適用して、ゲノム遺伝子座に対応する絶縁スコアのベクトルを算出し、Scipyからの標準ピークコーリングアルゴリズムによって極大値を見出し、これらの位置をTAD境界と考えた。イメージングまたはHi-C接触マトリックスに由来する接近頻度マトリックスを使用するTAD境界コーリングを、同様に実施した。
染色体内のA/B分離スコア。A/B分離スコアは、染色体内のA遺伝子座とB遺伝子座との間の空間分離のレベルを定量する。この量を算出するために、最初に、A高密度体積を、それぞれの染色体内で、Aの密度スコアが上位2/3の範囲にある全てのA遺伝子座を含有する3D空間として操作的に定義した。B高密度体積を、同様の様式で操作的に定義した。AおよびB高密度体積の純度測定基準を、これらの体積内の全ての遺伝子座が、それぞれ、AおよびB遺伝子座である比率と定義した。最後に、A/B分離スコアを、A高密度およびB高密度体積の純度値の平均と定義した。この分離スコアは、AおよびB遺伝子座が完全に分離している場合、1であり、AおよびB遺伝子座が完全に混合している染色体は、約0.5の分離スコアを有するであろう。
コンビナトリアルFISHによるRNAイメージングにおける検出効率の推定。転写バースト事象の検出効率の推定を、以下のように実施した:最初に、RNAイントロンがイメージングされた遺伝子を有する全ての標的ゲノム遺伝子座を考慮した。これらのゲノム遺伝子座のいずれかについて、その対応するRNAシグナルは、遺伝子が転写される場合に2つの予め定義されたビットで出現するはずである。これらの2つのビットのそれぞれが検出されない率(p)を知ることは、RNAの検出効率の誘導を可能にする。その対応する遺伝子の2つの予想されるビットのうちの少なくとも1つにRNAシグナルと共に局在する(約150nm以内)ゲノム遺伝子座のセットを同定した。次いで、工程1で同定されたクロマチン遺伝子座の合計セットから、その遺伝子の対応するビット(両方のビットではない)の正確に1つから、RNAシグナルと共局在する遺伝子座の比率(f)を決定した。
に等しいはずである、測定されたf(8.4%)から、p(4.4%)が推定された。最後に、両方のビットにおける共局在シグナルを検出するための全体的な検出効率を、式:
を使用して算出したところ、約92%であることがわかった。
Hi-Cデータ分析。IMR-90細胞に関するHi-Cデータを、strawから調達し、それを使用してロードした。個々の染色体におけるA/Bコンパートメントの同定のために、確立され公開されたプロトコールに従った。TADの同定のために、「TADコーリングの正規化された絶縁スコア」の節に記載された方法を使用した。イメージングデータに由来する接近頻度と、Hi-Cの接触回数との比較のために、標的領域を中心とするビンを創出し、これらのビンに関するHi-Cデータを、より高い分解能のHi-Cデータにおけるリード数を合計することによって入手した。
CTCFおよびRad21のChIP-seqデータ分析。CTCFおよびRad21のChIP-seqデータを、ENCODEデータセットからダウンロードし、UCSC Genome Browser Utilitiesによってウィッグ形式に変換した。標的ゲノムセグメントに関するリード計数を収集し、それに応じてインプットによって正規化した。染色体に沿ったインプットにわたるCTCFまたはRad21 ChIP-seqシグナルエンリッチメントの極大値を、Scipyからの標準ピークコーリングアルゴリズムによってコールした。
本明細書においては、本開示のいくつかの実施形態が、記載および例示されたが、当業者は、機能を実施し、かつ/または本明細書において記載される結果および/もしくは利点のうちの1つもしくは複数を得るための、他の様々な手段および/または構造を、たやすく想定し、このような変動および/または改変の各々は、本開示の範囲内にあるものとみなされる。より全般的に、当業者は、本明細書において記載される、全てのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示的であることを意図するものであり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、具体的な適用、または本開示の教示が使用される適用に依存することをたやすく理解するであろう。当業者は、規定を超えない実験を使用して、本明細書において記載される、本開示の特異的実施形態の多くの均等物を認識するか、または確認することが可能であろう。したがって、前出の実施形態は、例だけを目的として提示されるものであり、付属の特許請求、およびこれらの均等物の範囲内において、本開示は、具体的に記載され、特許請求されたのと別の形でも実施されうることを理解されたい。本開示は、本明細書において記載される、各個別の特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、2つまたはこれを超える、このような特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法の、任意の組合せも、このような特徴、システム、品目、材料、キット、および/または方法が、相互に矛盾しない限りにおいて、本開示の範囲内に含まれる。
本明細書、および参照により組み込まれる文献が、相反し、かつ/または矛盾する開示を含む場合、本明細書に従うものとする。参照により組み込まれる、2つまたはこれを超える文献が、互いに対して、相反し、かつ/または矛盾する開示を含む場合は、新しい刊行日を有する文献に従うものとする。
本明細書において規定され、使用される、全ての定義は、辞書による定義、参照により組み込まれる文献における定義、および/または規定された用語の通常の意味に優先されて理解されるものとする。
本明細書および特許請求の範囲において使用される不定冠詞である、「ある(a)」および「ある(an)」は、逆のことが指し示されない限りにおいて、「少なくとも1つの」を意味するように理解されるものとする。
本明細書および特許請求の範囲において使用される、「および/または」という語句は、このように接続された要素の「一方または両方」、すなわち、ある場合には、連言的に存在し、他の場合には、選言的に存在する要素を意味するように理解されるものとする。「および/または」を伴って列挙される複数の要素は、同じ形において、すなわち、このように接続された要素のうちの「1つまたは複数」であると理解されるものとする。「および/または」節により、具体的に同定された要素以外に、具体的に同定された要素と関連する場合であれ、関連しない場合であれ、他の要素が存在してもよい。したがって、非限定例として述べると、「~を含むこと」などのオープンエンドの表現と共に使用される場合の、「Aおよび/またはB」に対する言及は、一実施形態においては、Aだけを指す場合もあり(B以外の要素を含んでもよい);別の実施形態においては、Bだけを指す場合もあり(A以外の要素を含んでもよい);さらに別の実施形態においては、AおよびBの両方を指す場合もある(他の要素を含んでもよい)などである。
本明細書および特許請求の範囲において使用される、「または」とは、上記において規定された「および/または」と同じ意味を有するように理解されるものとする。例えば、リスト内の項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、要素の数またはリストのうちの、少なくとも1つの包含であるが、また、1つを超える数またはリストも含み、列挙されていない、さらなる項目を含んでもよいと解釈されるものとする。「~のうちの1つだけ」もしくは「~のうちの正確に1つ」、または、特許請求の範囲において使用される場合の、「~からなること」など、逆のことが明確に指し示された用語だけが、要素の数またはリストのうちの、正確に1つの要素を指すことになる。全般的に、本明細書において使用される「または」という用語は、「いずれか」、「~のうちの1つ」、「~のうちの1つだけ」、または「~のうちの正確に1つ」など、排他性の用語により先立たれている場合に限り、排他的代替物(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を指し示すと解釈されるものとする。
1つまたは複数の要素を有するリストに言及して、本明細書および特許請求の範囲において使用される、「少なくとも1つの」という語句は、要素のリスト内の要素のうちの、任意の1つまたは複数から選択されるが、要素のリスト内において、具体的に列挙される、各要素およびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを、必ずしも含まず、要素のリスト内の要素の任意の組合せを除外しない、少なくとも1つの要素を意味するように理解されるものとする。この定義はまた、要素が、具体的に同定される要素に関連する場合であれ、関連しない場合であれ、「少なくとも1つの」という語句が指す要素のリスト内において、具体的に同定される要素以外に存在してもよいことを可能とする。したがって、非限定例として述べると、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、これと同義に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、これと同義に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)とは、一実施形態において、1つを超えるAを含んでもよいが、Bは存在しない、少なくとも1つのAを指す場合もあり(かつ、B以外の要素を含んでもよい);別の実施形態において、1つを超えるBを含んでもよいが、Aは存在しない、少なくとも1つのBを指す場合もあり(かつ、A以外の要素を含んでもよい);さらに別の実施形態において、1つを超えるAを含んでもよい、少なくとも1つのA、および1つを超えるBを含んでもよい、少なくとも1つのBを指す場合もある(かつ、他の要素を含んでもよい)などである。
数に言及して、本明細書において、「約」という語が使用される場合、本開示のさらに別の実施形態は、「約」という語により修飾されていない数も含むことを理解されたい。
また、逆のことが明確に指し示されない限り、本明細書において特許請求される、1つを超える工程または行為を含む、任意の方法において、方法の工程または行為の順序は、列挙された方法の工程または行為の順序に、必ずしも限定されないことも理解されたい。
特許請求の範囲、ならびに上記の明細書において、「~を含むこと(comprising)」、「~を含むこと(including)」、「~を保有すること」、「~を有すること」、「~を含有すること」、「~を伴うこと」、「~を保持すること」、「~から構成されること」など、全ての移行句は、オープンエンドである、すなわち、「~を含むがこれらに限定されないこと」を意味するように理解されるものとする。United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03において明示されている通り、「~からなること」および「~から本質的になる」という移行句だけが、それぞれ、クローズドまたはセミクローズドの移行句であるものとする。