JP7853260B2 - 接点材料 - Google Patents
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Description
(1)結晶粒微細化によるAgめっき膜の高硬度化
(2)Agと、Se(セレン)またはSb(アンチモン)等との合金化による高硬度化
等の検討が行われてきた。しかしながら、上記(1)および(2)のいずれの手法によっても耐摩耗性の改善は不十分であった。また、SeおよびSbは有毒な元素であり、管理に注意を要するうえ、合金化に伴って導電性の低下を招くという問題もある。
(3)炭素系粒子のAgめっき膜中への共析(分散めっき)
の検討が行われてきた。これらの検討には、主にグラファイト、カーボンブラック(CB)またはカーボンナノチューブ(CNT)が用いられてきた。その理由としては、(i)グラファイト等の炭素系粒子は、固体潤滑材として作用することから耐摩耗性改善が期待できること、および(ii)炭素系粒子は導電性を有するため、Agめっき膜中に共析(分散)させた際に、接触抵抗を悪化させる恐れが少ないことが考えられる。実際、非特許文献1においては、Agめっき液中にグラファイト粒子を懸濁させてめっき処理を行ったAg-グラファイト複合めっき膜により、Agめっき膜だけでなく、硬質Ag-Sb合金めっき膜と比較しても良好な耐摩耗性を実現できることが示されている。
銀含有膜を含む接点材料であって、
前記銀含有膜は、銀を50質量%以上含む銀含有層と、複数の非導電性有機化合物からなる粒子とを含み、各粒子の少なくとも一部は前記銀含有層中に埋没しており、
前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、フルオロ基(-F)、メチル基(-CH3)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NR1R2であって、R1およびR2は水素または炭化水素基であり、R1およびR2は同じでも異なっていてもよい)、ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み、
下記式(1)を満たす、接点材料である。
0.50≦Ap/(Ap+AAg)×100≦12.10 ・・・(1)
式(1)において、Apは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記複数の非導電性有機化合物からなる粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積であり、AAgは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積である。
前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、融点が140℃以上であるか、または融点を示さない、態様1に記載の接点材料である。
前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、分解点を示すときは前記分解点が500℃以下であり、分解点を示さず融点を示すときは、前記融点が500℃以下である、態様1または2に記載の接点材料である。
前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NR1R2であって、R1およびR2は水素または炭化水素基であり、R1およびR2は同じでも異なっていてもよい)およびヒドロキシ基(-OH)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の接点材料である。
以上により、導電性粒子の脱落による接点の短絡のおそれを十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を有する接点材料を実現することができた。なお、上記メカニズムは、本発明の実施形態の技術的範囲を制限するものではない。
0.50≦Ap/(Ap+AAg)×100≦12.10 ・・・(1)
式(1)において、Apは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記複数の非導電性有機化合物からなる粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積であり、AAgは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積である。
上記により、導電性粒子の脱落による接点の短絡のおそれを十分に抑制でき、かつ十分な耐摩耗性および導電性を付与することが可能である。
各粒子2bの少なくとも一部は銀含有層2a中に埋没している。言い換えれば、各粒子2bについて、銀含有層2a中に全て埋没しているか、または一部が銀含有層2a中に埋没し、残りの部分が銀含有層2a表面に露出している。さらに、上記式(1)を満たすように、複数の粒子2bのうち銀含有層2a中に埋没した部分の面積Ap、および銀含有層2aの面積AAgが制御されている。
一方、複数の粒子2bのうち銀含有層2a中に埋没した部分の面積Apは、2値化処理した後の、暗い部分(非導電性有機化合物に相当する部分)であって、銀含有層2a中に埋没した部分の面積とすることができる。なお断面SEM像において、銀含有層2aの上面に凹凸がある場合、当該凹凸の平均線を銀含有層2aと上部層(例えば断面SEM用サンプルの保護層)との境界線として、当該平均線以下に存在する部分を、銀含有層2a中に埋没した部分とする。銀含有層2aの下面についても同様とする。
(A)基材表面に、液中分散粒子が静電気的または物理的に吸着(接触)する反応
(B)基材表面に、銀含有層2aが堆積(成長)する反応
(A)で吸着した粒子2bが(B)の銀含有層2a中に取り込まれることで「共析」が生じる。共析めっきが定常的に進行する条件においては、反応初期に吸着した粒子2bが銀含有層2a中に取り込まれるのと同時に、新たな粒子2bの吸着が発生する。このため、めっき処理を停止した場合にも、多くの場合で最表面に粒子2bの露出が見られ、通常の共析めっきプロセスにおいて、一部が銀含有層2a中に埋没し、残りの部分が銀含有層2a表面に露出した粒子2bを含む接点材料1を容易に製造することができる。
ここで、銀含有層2a中への粒子2bの共析量(例えば、粒子2bの面積率)は、(A)の吸着頻度と(B)のめっき膜成長速度とのバランスで決定される。そのため、例えば粒子2bのめっき液中における分散量などのめっき条件を変化させることで、共析量を変化させることが可能となる。例えば、めっき処理の終盤において、めっき液中に分散した粒子2bを含まないめっき液を用いて処理を行う、またはめっき液の攪拌速度を変化させて(A)の吸着頻度を低下させるなどにより、めっきの最表面側に粒子2bを共析させない層を設けることで、銀含有層2a中に粒子2bが全て埋没した接点材料11を製造することが可能となる。
<摺動試験>
基材上に硬質Agめっき層(ビッカース硬さHV:160以上)を40μm以上形成した後、ハンドプレスによって曲率半径R=1.8mmの半球状の突起を形成した相手材を準備し、該相手材を、試験対象の接点材料1または11(銀含有膜2)に対し、印加する垂直荷重:3N、摺動距離:10mm、摺動速度:80mm/分で所定サイクル摺動させる。摺動試験機としては、例えばアイコーエンジニアリング製横型荷重試験機を用いることができる。
摩擦係数増加率(%)=100×[加熱した後、さらに上述の摺動試験500サイクル実施した後の摩擦係数]/[加熱せずに上述の摺動試験500サイクル実施した後の摩擦係数]・・・(2)
走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所製S-3500N)を用いて、加速電圧20kVおよびワークディスタンス15mmの条件で、No.1~9の接点材料を断面SEM用の保護層で被覆したサンプルに対し、銀含有膜(および銀含有層)の膜厚方向に平行な断面SEM像(二次電子像)を取得した。銀含有層の面積AAgは、断面SEM像に対し、画像処理ソフト「ImageJ」を用いて、上述のようにして2値化処理した後の、明るい部分の面積とした。なお断面SEM像において、銀含有層上面の凹凸の平均線を、銀含有層と断面SEM用サンプルの保護層との境界線とした。複数の粒子のうち銀含有層中に埋没した部分の面積Apは、上述のようにして2値化処理した後の、暗い部分(非導電性有機化合物に相当する部分)であって、銀含有層中に埋没した部分の面積とした。なお断面SEM像において、銀含有層上面の凹凸の平均線を、銀含有層と断面SEM用サンプルの保護層との境界線として、当該平均線以下に存在する部分を、銀含有層中に埋没した部分とした。
図3A~図3Cに粒子の面積率の算出例を示す。図3AはNo.2の接点材料の、銀含有膜(および銀含有層)の膜厚方向に平行な断面SEM像であり、図3Bは、図3Aから銀含有層(および銀含有層中に埋没した粒子)のみをトリミングした像であり、図3Cは、図3Bを2値化した像である。図3Cの黒い部分の面積を、図3Bの面積で除したところ、2.51%の面積率であった。
No.1~9の接点材料の銀含有膜に対して、電気接点シミュレータ(山崎精機研究所製)を使用して、接触抵抗を測定した。印加荷重は5Nとし、3箇所測定した平均値を、No.1~9の接点材料の接触抵抗とした。接触抵抗が0.50[mΩ]以下となるものを、導電性が十分(〇)であるとした。
厚さ0.25mmの純銅板上に硬質Agめっき層(ビッカース硬さHv:約165)を約50μm形成した後、ハンドプレスによって曲率半径R=1.8mmの半球状の突起を形成したサンプルを相手材とし、No.1~9の接点材料に対し、摺動試験機(アイコーエンジニアリング製横型荷重試験機)を用いて、印加する垂直荷重:3N、摺動距離:10mm、摺動速度:80mm/分で摺動試験を行った。摺動サイクルは、20サイクルとした。摺動後の摩擦係数が0.50[mΩ]以下となるものを、耐摩耗性が十分(〇)であるとした。
一方、表2のNo.1および5の接点材料は、いずれも本発明の実施形態で規定する要件である式(1)の面積率範囲(0.50~12.10)を満たしておらず、耐摩耗性または導電性が不十分であった。
No.10~No.12の接点材料に用いた有機化合物粒子に対して、差動型示差熱天秤(リガク社製、Thermo plus EVOII)を用いて、大気下、10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析を行い、各化合物粒子の融点、分解点および燃焼点を求めた。
No.10~No.12の接点材料に対し、大気環境下140~180℃に設定した恒温器(ヤマト科学製、DN-43)の中に入れて、100~500時間加熱した後、上述した(c)耐摩耗性評価における摺動試験を実施した。摺動サイクルは500サイクルとした。図4~図6に、No.10~12の接点材料の耐熱性評価結果をそれぞれ示す。
以下、参考例を用いて、本発明の実施形態の要件である「非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、フルオロ基(-F)、メチル基(-CH3)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NR1R2であって、R1およびR2は水素または炭化水素基であり、R1およびR2は同じでも異なっていてもよい)、ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含」むことが良好な効果を奏することを説明する。
厚さ0.3mmの純銅板をめっき基材とし、アセトン洗浄にて表面を脱脂した後、めっき処理の下地として、市販のストライクAgめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-ST)を用い、純Ag板を対極として5A/dm2の電流密度で1分間の通電を行い、厚さ約0.1μmのストライクAgめっき処理を施したものを基材として用いた。その後、市販の非シアン系半光沢Agめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-SB)を用い、純Ag板を対極として3A/dm2の電流密度で5分間の通電を行い、厚さ約10μmの半光沢Agめっき層(銀含有量99質量%以上)を形成させた。その後Agめっき層表面に、表5に示す種々の粒子(または粒子の分散液)をアルコール中に20mg/mlの割合で懸濁させた液を0.2ml/cm2滴下し、乾燥させることで、種々の粒子がAgめっき層表面に接触した銀含有膜を含む、No.13~No.24の接点材料を作製した。
上述した実施例1の(c)耐摩耗性評価における摺動試験を実施した。摺動サイクル数は最大500サイクルとした。結果を図7~図18に示す。図7~図18は、それぞれ、試験No.13~24の接点材料に対して摺動試験を行った結果である。
各摺動サイクルにおける摩擦係数(垂直荷重に対する水平荷重の比)の最大値を測定し、500サイクル後の摩擦係数が0.50超のものを不十分(×)とし、500サイクル後の摩擦係数が0.50以下のものをやや不十分(△)とし、300サイクル後の摩擦係数が0.50以下のものを十分(〇)とし、100サイクル後の摩擦係数が0.30以下のものを良好(◎)とした。なお複数回測定したものについては、その平均値で判断した。
厚さ0.3mmの純銅板をめっき基材とし、アセトン洗浄にて表面を脱脂した後、めっき処理の下地として、市販のストライクAgめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-ST)を用い、純Ag板を対極として5A/dm2の電流密度で1分間の通電を行い、厚さ約0.1μmのストライクAgめっき処理を施したものを基材として用いた。その後、市販の非シアン系半光沢Agめっき液(大和化成株式会社製、ダインシルバー GPE-SB)を用い、純Ag板を対極として3A/dm2の電流密度で5分間の通電を行い、厚さ約10μmの半光沢Agめっき層(銀含有量99質量%以上)を形成させた。その後Agめっき層表面に、表7に示す種々の粒子(または粒子の分散液)をアルコール中に20mg/mlの割合で懸濁させた液を0.2ml/cm2滴下し、乾燥させることで、種々の粒子がAgめっき層表面に接触した銀含有膜を含む、No.25~No.28の接点材料を作製した。
ボールオンディスク試験装置(CSM社製、Tribometer)を使用し、φ6mmの高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)ボールを相手材として、No.25~28の接点材料に対し、100サイクルの往復摺動試験を行った。印加する垂直荷重は1N、1サイクル当たりの摺動幅(摺動のストローク)は10mm、平均摺動速度は30mm/秒とした。
結果を図19~図22に示す。図19~図22は、それぞれ、試験No.25~28の接点材料に対して上記耐摩耗性評価を行った結果である。
各摺動サイクルにおける摩擦係数(垂直荷重に対する水平荷重の比)の最大値を測定し、100サイクル後の摩擦係数が1.0超のものを不十分(×)とし、100サイクル後の摩擦係数が0.20以上1.0以下のものを十分(〇)とし、100サイクル後の摩擦係数が0.20未満のものを良好(◎)とした。なお複数回測定したものについては、その平均値で判断した。
2 銀含有膜
2a 銀含有層
2b 非導電性有機化合物からなる粒子
11 接点材料
Claims (2)
- 銀含有膜を含む接点材料であって、
前記銀含有膜は、銀を50質量%以上含む銀含有層と、非導電性有機化合物のみからなる複数の粒子とを含み、各粒子の少なくとも一部は前記銀含有層中に埋没しており、
前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、
フルオロ基(-F)、メチル基(-CH3)、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NR1R2であって、R1およびR2は水素または炭化水素基であり、R1およびR2は同じでも異なっていてもよい)ヒドロキシ基(-OH)、エーテル結合(-O-)およびエステル結合(-C(=O)-O-)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含み、
前記非導電性有機化合物を10℃/分の昇温速度で、室温から最大1000℃まで熱重量示差熱分析したとき、融点が140℃以上であるか、または融点を示さず、
前記非導電性有機化合物のみからなる複数の粒子の平均粒径は2μm以上であり、
下記式(1)を満たす、接点材料。
0.50≦Ap/(Ap+AAg)×100≦12.10 ・・・(1)
式(1)において、Apは、前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における、前記非導電性有機化合物のみからなる複数の粒子のうち、前記銀含有層中に埋没した部分の面積であり、AAgは前記銀含有膜の膜厚方向に平行な断面における前記銀含有層の面積である。 - 前記非導電性有機化合物は、単位分子構造内に、カルボニル基(-C(=O)-)、アミノ基(-NR1R2であって、R1およびR2は水素または炭化水素基であり、R1およびR2は同じでも異なっていてもよい)およびヒドロキシ基(-OH)からなる群から選択されるいずれか1つ以上を含む、請求項1に記載の接点材料。
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