JP7855536B2 - Ar-CO2混合ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents
Ar-CO2混合ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤInfo
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Cは溶接金属の強度向上の効果がある。しかし、Cが0.03%未満では、溶接金属の強度が低くなる。一方、Cが0.08%超では、溶接金属の強度が過剰となり、低温靭性が低下する。したがって、鋼製外皮とフラックスの合計でCは0.03~0.08%とする。なお、Cは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属粉及び合金粉等から添加できる。
Siは、溶接時に一部が溶接スラグとなることにより溶接ビードの外観やビード形状を良好にし、溶接作業性の向上に寄与する。しかし、Siが0.1%未満では、ビードの外観やビード形状を良好にする効果が十分に得られない。一方、Siが0.6%を超えると、Siが溶接金属中に過剰に歩留まることにより強度が過剰になり、溶接金属の低温靭性が低下する。従って鋼製外皮とフラックスの合計でSiは0.1~0.6%とする。なお、Siは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスから金属Si、Fe-Si、Fe-Si-Mn等の合金粉から添加できる。
MnはSiと同様、溶接時に一部が溶接スラグになることにより溶接ビードの外観やビード形状を良好にし、溶接作業性の向上に寄与する。また、Mnは溶接金属に歩留まることにより、溶接金属の強度と低温靭性を高める効果がある。しかしMnが1.5%未満では、ビード外観やビード形状が不良で、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Mnが2.8%を超えると、Mnが溶接金属に過剰に歩留まり、溶接金属の強度が過剰になり、低温靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でMnは、1.5~2.8%とする。なお、Mnは、鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Mn、Fe-Mn、Fe-Si-Mn等の合金粉末から添加できる。
Cuは、溶接金属の組織を微細化し、強度及び低温靭性を高める効果がある。しかし、Cuが0.01%未満では、溶接金属の強度及び低温靭性が低下する。一方、Cuが0.5%を超えると、溶接金属の強度が過剰になり、低温靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でCuは0.01~0.5%とする。なお、Cuは鋼製外皮表面に施したCuめっきの他、フラックスからの金属Cu、Cu-Zr、Fe-Si-Cu等の合金粉末から添加できる。
Niは、溶接金属の低温靭性を向上させる効果がある。しかし、Niが0.5%未満では、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Niが1.5%を超えると、溶接金属に高温割れが発生し易くなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でNiは0.5~1.5%とする。なお、Niは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Ni、Fe-Ni等の合金粉末から添加できる。
Tiは、溶接金属の組織を微細化して低温靭性を向上させる効果がある。しかし、Tiが0.05%未満では、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Tiが0.25%を超えると、炭化物を析出することで析出強化が作用し、溶接金属の強度が過剰になり、低温靭性が低下する。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でTiは0.05~0.25%とする。なお、Tiは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスからの金属Ti、Fe-Ti等の合金粉末から添加できる。
Bは微量の添加により溶接金属の粒界フェライトの生成を抑制し、溶接金属の低温靭性を向上させる効果がある。しかし、Bが0.002%未満では、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Bが0.015%を超えると、溶接金属の低温靭性が低下するとともに、溶接金属に高温割れが発生し易くなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でBは0.002~0.015%とする。鋼製外皮とフラックスの合計でB、Fe-B、Fe-Mn-B等の合金粉末から添加できる。
Alは、酸化物として溶接金属に残留して溶接金属の靭性を低下させる。特にこのAlが0.05%を超えると、溶接金属の低温靭性が低下する。従って、Alは0.05%以下とする。なお、Alは、必須の元素ではなく、含有率が0%とされていてもよい。
Nb及びVは、固溶強化により溶接金属の強度を向上させる効果がある。しかし、Nb及びVの一方または両方の合計が0.01%未満では、溶接金属の強度が低下する。一方、Nb及びVの一方または両方の合計が0.1%を超えると、炭化物や窒化物が析出し、低温靭性が低くなる。従って、鋼製外皮とフラックスの合計でNb及びVの一方または両方の合計は0.01~0.1%とする。なお、Nb及びVは鋼製外皮に含まれる成分の他、フラックスのルチール、チタンスラグ、イルメナイト等のTi酸化物に微量含まれるので、鋼製外皮及び酸化物から厳選したものを用いる。
Ti酸化物は、溶接時にアーク安定化に寄与するとともに、ビード形状を良好にし、溶接作業性の向上に寄与する効果がある。また、Ti酸化物は、全姿勢周溶接全姿勢周溶接において、溶融スラグの粘性や融点を調整し、メタル垂れを防ぐ効果がある。しかし、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が3%未満では、アークが不安定で、スパッタ発生量が多くなりビード外観及びビード形状が劣化し、溶接金属の低温靭性が低下する。またTiO2換算値の合計が3%未満では、全姿勢周溶接において、メタル垂れが生じてビード外観及びビード形状が不良になる、一方、Ti酸化物のTiO2換算値の合計が8%を超えると、アークが安定してスパッタ発生量も少ないが、溶接金属にTi酸化物が過剰に残存することにより、低温靭性が低下する。従って、フラックス中に含有するTi酸化物のTiO2換算値の合計は3~8%とする。なお、Ti酸化物は、フラックスからのルチール、酸化チタン、チタンスラグ、イルメナイト等で添加される。
Al酸化物は溶接時に溶融スラグの粘性や対流を調整し、特に全姿勢周溶接におけるメタル垂れを防ぐ効果がある。しかし、Al酸化物のAl2O3換算値の合計が0.02%未満では、メタル垂れが生じてビード外観及びビード形状が不良となる。一方、Al酸化物のAl2O3換算値の合計が0.3%を超えると、溶接金属中にAl酸化物が過剰に残留することにより、低温靭性が低下する。従って、フラックス中に含有するAl酸化物のAl2O3換算値の合計は0.02~0.3%とする。なお、Al酸化物は、フラックスからのアルミナ等で添加できる。
Si酸化物は、溶融スラグの粘性や対流を調整してスラグ被包性を向上させると共にビード止端部形状を滑らかにする効果がある。しかし、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.1%未満では、スラグ被包性が低下して、ビード止端部が凸になり、ビード外観が劣化する。一方、Si酸化物のSiO2換算値の合計が0.6%を超えると、溶接金属の強度が過剰になり、低温靭性が低下する。従って、フラックス中に含有するSi酸化物のSiO2換算値の合計は0.1~0.6%とする。なお、Si酸化物は、フラックスからの珪砂、ジルコンサンド、珪酸ソーダ等で添加できる。
Zr酸化物は、溶融スラグの粘性や対流を調整、特に全姿勢周溶接におけるメタル垂れを防ぐ効果がある。しかし、Zr酸化物のZrO2換算値の合計が0.25%未満では、全姿勢周溶接でメタル垂れが生じてビード外観及びビード形状が不良となる。一方、Zr酸化物のZrO2換算値の合計が0.65%を超えると、スラグ剥離性が悪くなる。従って、フラックス中に含有するZr酸化物のZrO2換算値の合計は0.25~0.65%とする。なお、Zr酸化物は、フラックスからのジルコンサンド、酸化ジルコニウム等から添加できる。
Na酸化物、Na弗化物、K酸化物及びK弗化物は、アーク安定剤及びスラグ形成剤として作用する。Na酸化物、Na弗化物、K酸化物及びK弗化物の1種または2種以上がNa2O換算値とK2O換算値の合計で0.05%未満であると、アークが不安定となりスパッタ発生量が多くなり、またビード外観も劣化する。一方、Na酸化物、Na弗化物、K酸化物及びK弗化物の1種または2種以上がNa2O換算値とK2O換算値の合計で0.2%を超えると、スラグ剥離性が劣化し、また全姿勢周溶接ではメタルが垂れやすくなる。従ってフラックス中のNa酸化物、Na弗化物、K酸化物及びK弗化物の1種または2種以上は、Na2O換算値とK2O換算値の合計で0.05~0.2%とする。なお、Na酸化物、Na弗化物、K酸化物及びK弗化物は、珪酸ソーダ及び珪酸カリからなる水ガラスの固質成分、NaF、Na3AlF6、K2SiF6、K2ZrF6等で添加できる。なお、珪酸ソーダ等は、上述したSi酸化物にも含まれるものであるが、Si酸化物としての成分と、 Na化合物としての成分をそれぞれ抽出し、それぞれの成分の範囲を限定することで新たな効果を見い出したものである。即ち、珪酸ソーダ等は、Si酸化物、Na化合物の何れかの成分に偏在するものではない。
Mgは強脱酸剤として作用することにより溶接金属中の酸素を低減し、低温靭性を高める効果がある。しかし、Mgが0.1%未満では、溶接金属の低温靭性が低下する。一方、Mgが0.8%を超えると、溶接時にアーク中で酸化反応が促進し、スパッタ発生量が多くなる。従って、フラックス中に含有するMgは0.1~0.8%とする。なお、Mgは、フラックスから金属Mg、Al-Mg等の合金粉末で添加できる。
弗素化合物は、アークを安定させる効果がある。しかし、弗素化合物のF換算値の合計が0.05%未満では、アークが不安定になる。一方、弗素化合物のF換算値の合計が0.25を超えると、アークが不安定になり、スパッタ発生量増える。さらに全姿勢周溶接ではメタル垂れが発生しやすくなってビード外観及びビード形状が不良となる。従って、フラックス中に含有する弗素化合物のF換算値の合計は0.05~0.25%とする。なお、弗素化合物は、弗化ナトリウム、弗化ジルコンカリウム等で添加が可能で、F換算値はそれらに含有されるFの含有量の合計である。
Biは、溶接金属表面に生成した、スラグ剥離性を良好にする。Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値が0.001%未満であると、スラグ剥離を促進する効果が不十分のためスラグ剥離性が不良となり、スラグ巻き込みが発生する。一方、Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値が0.01%を超えると、溶接金属に高温割れが発生し易くなり、また低温靭性が低下する。従ってフラックス中に含有するBi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値は0.001~0.01%とする。なお、Bi及びBi酸化物は、金属Biや酸化Bi等で添加される。
溶接時にワイヤ先端と母材間に発生するアーク長の変動が少ないことが好ましい。アーク長の変動が少ない場合を安定、変動が多い場合を不安定とした。アーク安定性は、鋼管自動溶接時に目視で判断した。
溶接時のスパッタ発生量が少ないことが好ましい。溶接時のスパッタ発生量が少なかった場合を良好、スパッタ発生量が多い場合を不良とした。スパッタ発生状況は、鋼管自動溶接時に目視で判断した。
溶接金属の余盛高さが平坦でビード幅が均一になっているのが好ましい。溶接金属のビードの余盛高さ平坦でビード幅が均一に揃っているビード形状を良好、余盛が高く凸形状でビード幅が不揃いなビード形状を不良とした。ビード外観は、部分的な波形の乱れがなく均一に揃っているものを良好とした。ビード形状・外観は、鋼管自動溶接時に目視で判断した。
溶接後、ビード表面に生成したスラグをチッピングハンマーにて叩いた時、スラグに亀裂が入り、その後簡単に除去できる場合を良好とした。
溶接時に、溶融地から溶融メタルが垂れていない場合は「無」とし、溶融メタルが垂れていた場合は「有」とした。各パス溶接時にメタル垂れの有無を目視で判断した。
鋼管自動溶接時においてビード表面に高温割れが1つでも認められた場合は「有」とした。各パス溶接後に高温割れの有無を目視で判断した。
スラグ巻き込み等の溶接欠陥は、機械試験片採取前に、JIS Z 3104:1995に規定される放射線透過試験で溶結欠陥の有無を判断した。
溶接金属の機械試験はJIS Z 3111:2005に準じて、板厚方向中央部から引張試験片及び衝撃試験片を採取して、機械試験を実施した。靭性の評価は、-60℃におけるシャルピー衝撃試験とし、各々繰返し3本の吸収エネルギーの平均が60J以上を良好とした。引張試験の評価は、引張強さが650~750MPaを良好とした。これらの結果を表3まとめて示す。
Claims (1)
- 鋼製外皮にフラックスを充填してなるAr-CO2混合ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤにおいて、
ワイヤ全質量に対する質量%で、鋼製外皮とフラックスの合計で、
C:0.03~0.08%、
Si:0.1~0.6%、
Mn:1.5~2.8%、
Cu:0.01~0.5%、
Ni:0.5~1.5%、
Ti:0.05~0.25%、
B:0.002~0.015%を含有し、
Al:0.05%以下であり、
Nb及びVの一方または両方の合計:0.01~0.1%を含有し、
さらに、ワイヤ全質量に対する質量%で、フラックス中に、
Ti酸化物のTiO2換算値の合計:3~8%、
Al酸化物のAl2O3換算値の合計:0.02~0.3%、
Si酸化物のSiO2換算値の合計:0.1~0.6%、
Zr酸化物のZrO2換算値の合計:0.25~0.65%、
Na酸化物、Na弗化物、K酸化物及びK弗化物の1種または2種以上:Na2O換算値とK2O換算値の合計で0.05~0.2%、
Mg:0.1~0.8%、
弗素化合物のF換算値の合計:0.05~0.25%、
Bi及びBi酸化物の一方または両方のBi換算値の合計:0.001~0.01%を含有し、
残部が鋼製外皮のFe、鉄粉、鉄合金粉のFe分及び不純物からなることを特徴とするAr-CO2混合ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ。
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