JPH0130819B2 - - Google Patents

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JPH0130819B2
JPH0130819B2 JP5014685A JP5014685A JPH0130819B2 JP H0130819 B2 JPH0130819 B2 JP H0130819B2 JP 5014685 A JP5014685 A JP 5014685A JP 5014685 A JP5014685 A JP 5014685A JP H0130819 B2 JPH0130819 B2 JP H0130819B2
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JP
Japan
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bicyclo
compound
heptane
ene
carboxylic acid
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JP5014685A
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JPS61210051A (ja
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Yukinae Yamazaki
Hidekatsu Maeda
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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Agency of Industrial Science and Technology
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Publication date
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用〕 本発明は、新規な光学活性ビシクロ〔2.2.1〕
化合物及びその製造方法に関するものである。 〔従来技術〕 従来、2―エンド―ヒドロキシ―、2―エキソ
―ヒドロキシ―又は2―オキソ―ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプタン―7―アンチ―カルボン酸及び
そのメチルエステルは知られており、ジヤスミン
香油の香気成分の1つであつて香料調合剤として
有用なジヤスモン酸メチルの合成原料として用い
ることができる(特開昭52−89657号公報)。しか
しながら、従来、これらの化合物はラセミ体の形
で製造されるため、天然型の絶対立体構造を有す
る光学活性のジヤスモン酸メチルの製造原料とし
て用いることはできなかつた。天然の左旋性ジヤ
スモン酸メチルを得るためには、前記ビシクロ
〔2.2.1〕化合物において、その1位の絶対配位が
Rであるエナンチオマーに富む光学活性体を原料
として用いることが必要であるが、このような化
合物は従来知られていない。 また、従来、有用な医薬品であるプロスタグラ
ンジン類を合成するためのキーポイントとなる中
間体である2―オキソ―7―ベンジルオキシメチ
ル―ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エンは知ら
れている。天然型の光学活性のプロスタグランジ
ン類を純粋に製造するには、その中間体としての
2―オキソ―7―ベンジルオキシメチル―ビシク
ロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エンは、その1位の絶
対配置がRであるエナンチオマーに富む光学活性
体でなければならない。このような光学活性体の
製造方法としては、ラセミ分割を利用した方法
(「Hung.Teljes8006」)と不斉反応を利用した方
法(「J.Am.Chem.Soc.、97、6908(1975)」)が知
られているが、前者の場合、その収率は低く、最
高でも50%であり、一方、後者の場合では、理論
的には100%の収率が期待できるものの、試薬と
して高価なテルペン誘導体を必要とし、しかも不
斉部分構造を導入するために多数の反応段階を要
することから、工業的な方法と言うことができな
い。 一方、従来、2―オキソ―ビシクロ〔2.2.1〕
ヘプト―5―エン―7―カルボン酸は知られてお
り、このものを用いると、その7位のカルボン酸
基をベンジルオキシメチル基に変えることによ
り、前記プロスタグランジン類中間体を得ること
ができるが、従来知られている2―オキソ―ビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エン―7―カルボン
酸はラセミ体であつて、このものを用いても、光
学活性のものを得ることはできない。 〔解決しようとする問題点〕 以上のように、従来、前記したビシクロ
〔2.2.1〕化合物はいずれもラセミ体が知られてい
るだけであり〔Helv.Chim.Acta.、66、1991
(1983);Tetrahedron、37、Suppl.No.1、411
(1981);J.Am.Chem.Soc.、95、7522(1973)〕、
その1位の絶対配置がRであるエナンチオマーに
富むものは知られておらず、また当然のことなが
ら、その製造方法についても知られていない。従
来技術の適用という点からは、これらのラセミ体
について、ジアステレオメリツクな塩や複合体
の形としてから分別結晶法により光学分割を行
う、ジアステレオメリツクな誘導体としてから
クロマトグラフイーによつて光学分割する、酵
素や微生物によつて対掌体の片方を選択的に変化
させるなどの方法を行つて光学活性体を得ること
はできる。しかしながら、これらの操作はいずれ
も繁雑である上に、理論的に収率は50%が限界で
あるという欠点を有する。そこで、2位に水酸基
又はオキソ基を有し、1位の絶対配置がRである
エナンチオマーに富む光学活性なビシクロ
〔2.2.1〕ヘプタン―若しくはヘプト―5―エン―
7―カルボン酸又はそのエステルを容易に合成し
得る方法の開発が要望されている。 〔問題点を解決するための手段〕 前記のような光学活性のビシクロ〔2.2.1〕化
合物を得るには、原料はプロキラルな構造でなけ
ればならず、また用いる試薬や触媒は不斉な分子
構造であることが条件となる。本発明者らは、こ
のような点から、原料として、ビシクロ〔2.2.1〕
ヘプタン―若しくはヘプト―5―エン―7―カル
ボン酸又はそのメチルエステルを用いると共に、
その2位の炭素を微生物の作用により立体選択的
に水酸化し、あるいはさらに酸化すれば目的の2
位に水酸基又はオキソ基を有する光学活性のビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプタン―若しくはヘプト―5―
エン―7―カルボン酸又はそのメチルエステルが
製造可能である点に着目し、その目的に適合する
微生物の探索を鋭意重ねた結果、ペニシリウム
属、アスペルギルス属、アブシデイア属、ビユー
ベリア属、カニングハメラ属、ムコール属若しく
はケトミウム属の糸状菌、ストレプトミセス属の
放線菌又はバチルス属の細菌がその目的に適合す
ることを見出し、本発明を完成するに到つた。 本発明を実施するにあたつての要素は、原料、
微生物、菌体取得のための培養条件及びその菌体
を用いて行う原料の変換反応条件の四者である
が、次に、これについて詳述する。 〔原 料〕 本発明で用いる原料は、ビシクロ〔2.2.1〕ヘ
プタン―7―カルボン酸、ビシクロ〔2.2.1〕ヘ
プト―5―エン―7―シン―カルボン酸及びそれ
らのメチルエステルの中から選ばれるものであ
り、次の式で表わされる。
【式】
〔微生物〕
本発明において使用され微生物は、ペニシリウ
ム(Penicillium)属、アスペルギルス
(Aspergillus)属、アブシデイア(Absidia)属、
カニングハメラ(Cunninghamella)属、ムコー
ル(Mucor)属、ケトミウム(Chaetomimun)
属、ビユーベリア(Beauveria)属の糸状菌、ス
トレプトミセス(Streptomyces)属の放線菌、
及びバチルス(Bacillus)属の細菌(バクテリ
ア)である。これらの菌株として有効に利用され
るもののうち、アブシデイア・コエルレア
(Abcidia coerulea)IFO 4011、ビユーベリア・
バシアナ(Beauveria bassiana)IFO 4848、カ
ニングハメラ・ブラケスレアナ
(Cunninghamella blakesleeana)IFO 6156、ム
コール・プシルス(Mucor pusillus)IFO 4578、
ケトミウム・コクリオデス(Chaetomium
cochliodes)IFO 6308、ストレプトミセス・ア
ルボフアシエンス(Streptomyces albofaciens)
IFO 12833、バチルス・チユリンギエンシス
(Bacillus thuringiensis)IFO 3951はいずれも
財団法人発酵研究所の保存菌株である。他の菌株
であるペニシリウム・フニクロスム
(Penicillium funiculosum)(FERM P―
8051)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus
awamori)(FERM P―8052)、及びアスペルギ
ルス・ニガー(Aspergillus niger)(FERM P
―8053)はそれぞれ下記の如き菌学的性質を示し
たことから、「A Mannual of the Penicillia
(Raper and Thom、1949)」、「The genus
Aspergillus(Raper and Fennell、(1965)」、及
び菌類図鑑(椿、宇田川、1978)の分類書を参照
して分類学的位置を決定した。なお、これらの3
菌株は上記番号をもつて工業技術院微生物工業技
術研究所に寄託されている。 ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium
funiculosum)FERM P―8051: ポテト・デキストロース寒天培地あるいはツア
ペツク(Czapek)寒天倍地上で白緑色の集落を
形成し、裏面に赤色色素をわずかに分泌する。最
適生育温度は30℃である。子のう世代は形成せ
ず、ペニシリはメトレとフイアライドからなり、
対称的に輪生する。分生子柄はおおむね単生であ
る。集落表面にはなわ状の組織が生ずることがあ
り、菌核の形成も部分的に認められる。 アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus
awamori)FERM P―8052: 泡盛こうじから分離された、ポテト・デキスト
ロース寒天培地上で30℃において急速な生育を示
し、2〜3日で褐色〜黒褐色の分生子を密生す
る。分生子柄は直立し数mm以下と短く、頂のうは
直径がおよそ50μmの球形である。分生子はメト
レとフイアライドの復条の先端に形成される。 アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)
FERM P―8053: ポテト・デキストロース寒天培地上30℃におい
て、旺盛に発育し、2〜3日で深黒色の分生子を
密生する。集落の裏面は淡黄色となる。分生子柄
は集落から立ち上がるが数mm以下と短い。頂のう
は直径がおよそ50μmの球形であり、メトレとフ
イアライドを有し、その復条の先端に分生子を着
生する。 〔菌体生産条件及び微生物変換反応〕 微生物変換反応を行うのに使用する菌体の生産
条件及び微生物変換反応の方法は以下の通りであ
る。ただし本発明は、これらによつて限定される
ものではない。 糸状菌の場合: 通常、液体培地で培養する。その成分として
は、グルコース、0.5〜5%、酵母エキス0.1〜1
%、麦芽エキス0.1〜1%、及びペプトン0.1〜1
%が基本的に含まれ、必要に応じてマグネシウム
塩、カルシウム塩、銅塩、その他の微量元素を添
加する。PHは4〜6の範囲とする。培養は振とう
培養、通気かくはん培養等の好気的条件下で行
い、その温度は28〜30℃とする。培養時間は変換
反応の活性発現に密接にかかわつており、接種菌
体量又は接種胞子の量や培地組成、振とう方法な
どに応じてその都度最適値を見出すべく予備的検
討を必要とするが、後述の実施例1において挙げ
る値が目安となる。ついで、変換反応を行うため
には、培養物に基質を添加してさらに培養を継続
する方法をとることもできるが、より好ましくは
菌体を濾過などの方法で分離し、これを基質の水
溶液又は水懸濁液に加えて撹拌又は振とうを行う
方法をとるのがよい。この場合に用いる溶液は
0.05〜0.1Mのリン酸塩緩衝液又はこれに代る適
当な緩衝液(PHは6〜8の中性領域)とすること
ができる。さらにこれに0.1〜5%のグリセロー
ル、キシロース、シユクロース、又はグルコース
を加えると変換収率を増加させることができる。
また、必要に応じて0.1〜10mMのMo2+、Cu2+
Co2+などの重金属塩を賦活剤として添加する。
基質の添加量は反応液100mlあたり10〜100mgとす
るのが適当である。反応温度は25〜35℃とし、反
応時間は使用菌体量によつて変るが、だいたい72
時間内とする。 バクテリア及び放線菌の場合: 液体培地で培養する。その成分としては、グル
コース0.1〜1%、グリセロール0.1〜1%、酵母
エキス0.1〜0.5%、肉エキス0.1〜0.5%、ペプト
ン0.1〜1%、NaCl0.1〜0.5%を基本的に含み、
必要に応じて麦芽エキス、肝臓エキス、Mg、そ
の他の無機塩及び微量元素を添加する。PHは7〜
8の範囲とする。培養は振とう培養、通気かくは
ん培養等の好気的条件下で行い、その温度は30〜
37℃とする。培養時間は変換反応の活性発現に密
接にかかわつており、場合に応じて最適値を見出
すべく予備的検討を必要とするが、通常は6〜10
時間である。ついで変換反応を行うためには、遠
心分離などで集菌した菌体を新たにリン酸緩衝液
などに懸濁し、これに基質及びキシロース等を添
加して撹拌する方法で行うこともできるが、本発
明で用いる菌株であるバチルス・チユリンギエン
シスIFO 3951の場合には、培養途中(開始後約
7時間)において培養物の中へ基質を添加し、さ
らに24〜48時間培養を継続する方法による方が変
換収率は高かつた。この場合の基質添加量は100
mlあたり5〜20mgとするのが適当である。 変換反応終了後は、糸状菌、放線菌、バクテリ
アのいずれの場合も濾過ないしは遠心分離によつ
て菌体を除き、その濾液又は遠心上ずみから目的
産物をエーテル、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽
出する。 〔生産物〕 前記微生物を用いた反応によつて得られる生産
物は、原料として使用したビシクロ〔2.2.1〕化
合物の2位に水酸基が導入された次の構造式で表
わされ、1位の絶対配置がRであるエナンチオマ
ーに富むものである。この場合、「1位の絶対配
置がRであるエナンチオマーに富む」ということ
は、R体とS体とからなる立体異性体の間で、R
体の割合が50%を越えることを意味する。また、
本明細書において、絶対配置の表示に使用する符
号R及びSの意味は、ケミカルアブストラクト・
インデツクスガイド・アペンデイツクスの
P.170(1984)に記載されている意味に従うも
のとする。
【式】
【式】
【式】
【式】 (前記式中、Rは水素又はメチル基である) 前記微生物反応によつては、前記した2位に水
酸基が導入されたビシクロ〔2.2.1〕化合物が主
生成物であるが、微生物によつては2位にケトン
基が導入されたものも生成することもあるが、こ
れは、通常、主生成物をなすものではない。従つ
て、2位にオキソ(ケトン基)の入つたビシクロ
〔2.2.1〕化合物を得るには、前記で得られた2位
に水酸基の入つた生成物を、酸化処理する。この
場合の酸化処理は従来公知の方法で行うことがで
き、例えば、クロム酸酸化法や、過マンガン酸酸
化法等により容易に実施することができる。この
酸化処理により得られる生成物は次の式で表わさ
れる。
【式】
〔発明の作用・効果〕
本発明による前記式()、()、()で示さ
れるビシクロ〔2.2.1〕化合物は、香料工業にお
いて重要なジヤスモン酸メチルを天然型の光学活
性体として合成するための原料として用いること
ができ、また前記式()、()、()で示され
るビシクロ〔2.2.1〕化合物は、有用な医薬品で
あるプロスタグランジン類を天然型の光学活性体
として合成するための原料として使用することが
できる。そして、本発明によると、これらの化合
物はいずれも、プロキラルな基質である原料を微
生物に接触せしめるという極めて簡単な一段階の
操作によつて、高い光学純度で得ることができ
る。すなわち、前記の菌株のうち、バチルス・チ
ユリンギエンシスIFO 3951による変換反応産物
(前記式()及び()において、R=CH3
を加水分解して遊離酸とし、ついで化学的に酸化
して得られる化合物(前記式()において、R
=H)はほぼ100%e.e.の光学純度であり、別の
変換産物(前記式()及び()において、R
=CH3)を加水分解して遊離酸とし、ついで化学
的に酸化して得られる化合物(前記式()にお
いて、R=H)の光学純度は82%e.e.と高い。ま
た、他の菌株のアスペルギルス・アワモリ
FERM P―8052によれば、前記式()(R=
H)で示される化合物が85%e.e.の光学純度の結
晶として得られ、これを化学的に酸化してから再
結晶操作で精製した化合物(前記式()におい
て、R=H)の光学純度は92%e.e.にものぼる。
変換反応の粗収率は後述の実施例1で示されるよ
うに、バチルス・チユリンギエンシスIFO 3951
によつて、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―カ
ルボン酸メチル〔前記式(A)において、R=CH3
から生成されるそのアルコール体(前記式()
と()において、R=CH3)は合せて58%、ア
スペルギルス・アワモリFERM P―8052によつ
て、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―カルボン
酸〔前記式(A)において、R=H)から生成される
そのアルコール体(前記式()と()におい
て、R=H)は合せて63%と、いずれも50%以上
である。また、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト―5―
エン―7―シン―カルボン酸(前記式(B)におい
て、R=H)に対してアスペルギルス・アワモリ
FERM P―8052を作用させた場合、そのアルコ
ール体(前記式()及び()において、R=
H)の合計収率は36%であり、ビシクロ〔2.2.1〕
ヘプト―5―エン―7―シン―カルボン酸メチル
(前記式(B)において、R=CH3)にムコール・プ
シルスIFO 4578を作用させた場合には、そのア
ルコール体(前記式()及び()において、
R=CH3)の合計収率は42%である。 本発明の前記式()〜()で示される光学
活性化合物を用いて、天然型ジヤスモン酸メチル
やプロスタグランジン類を得るには、ラセミ体に
ついて既に開発されている反応や、公知方法を組
合せればよい。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
るが、それに先だつて、微生物による変換産物の
同定にあたつて必要な標準化合物について説明す
る。 目的物質は、前記したように、前記式()〜
()で示した構造式において、その1位がRの
絶対配置をとるエナンチオマーに富む光学活性体
であり、この場合、用途の点からは、アルコール
体(前記式()、()、()、())よりもケ
トン体(前記式()、())の方が好ましく、
そして、ケトン体はアルコール体を化学的に酸化
することにより容易に得ることができる。さら
に、前記式()(R=H)と()(R=H)で
表わされるケトン体は結晶性にすぐれている。従
つて、これらの点から、前記式()(R=H)
と()(R=H)で表わされるケトン体が同定
のためのキーポイントになる化合物である。 次に、標準化合物の合成法について示す。この
場合、原料としては、アンチ―5―カルボキシト
リシクロ〔2.2.1.0.2,6〕ヘプタン―3―オン(、
ラセミ体)を、グリエコ(Grieco)等の方法(J.
Med.Chem.、23、1072(1980))で光学分割して
右旋性の光学活性体((+)−)を得た。このも
のは、mp((+)−)142〜143℃、〔α〕23 D=+
91.7゜(C=1.0、ジオキサン)の物性を示した。こ
の光学活性体((+)−)は、ビンドラ
(Bindra)等が示しているように(J.Am.Chem.
Soc.、95、7522(1973))、天然型プロスタグラン
ジンに導くことのできる立体構造を有し、従つ
て、1位の絶対配置はRである。この光学活性体
((+)−)を、ビーリー(Beeley)等の方法
(Tetrahedron、37、Suppl.No.1、411(1981))に
従つて、そのシクロプロパン環にHBrを付加し
た後、Zn/AcOHで還元して得た2―オキソ―
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―アンチ―カル
ボン酸(前記式()において、R=H)は右旋
性であり、mp141〜142.5℃、〔α〕25 D=+18゜(C=
0.87、メタノール)の物性を示した。これをジア
ゾメタンでメチル化してメチルエステル(前記式
()において、R=CH3)とした後、イソプロ
パノール溶媒中でNaBH4で還元し、対応するエ
ンド―アンチ―ヒドロキシエステル(前記式
()において、R=CH3)とエキソ―アンチ―
ヒドロキシエステル(前記式()において、R
=CH3)を約95:5の割合の混合物として得た。
前記のようにして得た前記式()(R=CH3)、
()(R=CH3)及び()(R=CH3)で表わ
される化合物は、GC及びGC―MSでの微生物変
換産物の同定に用いる。これらの化合物のガスク
ロマトグラフイー的性質を後記表―1にまとめて
示す。なお、本明細書中で示す「GC」はガスク
ロマトグラフイーを示し、GC―MSはガスクロ
マトグラフイー結合マススペクトロメトリーを意
味する。 次に、前記において示した光学活性体((+)−
)を、前記ビーリー等の方法によつてそのシク
ロプロパン環にヨウ化水素(HI)を付加した後、
ジアゾメタンによりその遊離カルボン酸をメチル
エステルとなし、次いで前記グリエコ等の方法に
順じてその2位のオキソ基をケタール化した。こ
のケタール化合物に1,5―ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデ―5―センを作用させて、ヨウ化
水素を脱離させた後、加水分解処理して、7―位
のエステル基をカルボン酸基に変えると共に2―
位のケタール基をオキソ基に変えて、2―オキソ
―ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エン―7―ア
ンチ―カルボン酸(前記式()において、R=
H)を得た。このものは、左旋性を示し、mp152
〜153℃、〔α〕25 D=−644゜(C=0.30、MeOH)の
物性を示した。この化合物をさらにジアゾメタン
によつてメチルエステル化した後、NaBH4で2
位のオキソ基を還元して、対応するエンド―アン
チ―ヒドロキシエステル(前記式()におい
て、R=CH3)とエキソ―アンチ―ヒドロキシエ
ステル(前記式()において、R=CH3)を約
92:8の混合物として得た。前記のようにして得
た式()(R=CH3)、()(R=CH3)及び
()(R=CH3)で表わされる化合物はGC及び
GC―MSでの微生物変換産物の同定に使用する。
それらのクロマトグラフイー的性質を次の表―1
にまとめて示す。この表―1には、微生物変換用
原料として用いたビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―
7―カルボン酸メチル(A)(R=CH3)と、ビシク
ロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エン―7―シン―カル
ボン酸メチル(B)(R=CH3)のガスクロマトグラ
フイー的性質も合せて示す。 なお、表―1に示したカラムの種類及びその使
用条件は次の通りである。 (1) 5CP(2mmI.D.×1.5mガラスカラム) 固定相…ガスクロ工業(株)製のSillar 5CP 5%
のクロモソルブW AW 80〜100メツシ
ユ キヤリヤーガス(He)の流速…15ml/分 (2) SP―1000(2mmI.D.×1.5mガラスカラム) 固定相…ガスクロ工業(株)製のSP―1000 5%、
クロモソルブW AW 80〜100メツシユ キヤリヤーガス(He)の流速…15ml/分 (3) CDMS(3mmI.D.×1.5mステンレススチール
カラム) 固定相…ガスクロ工業(株)製のシクロヘキサンジ
メタノールサクシネート(CDMS)15
%、クロモソルブW AW CDMS 80〜
100メツシユ キヤリヤーガス(N2)の流速…60ml/分 温度条件…化合物(A)(R=CH3)、()(R=
CH3)、()(R=CH3)、()(R=
CH3)に対しては160℃、その他に対し
ては180℃ (4) OV―1(ガスクロ工業(株)製のOV―1化学結
合型シリカキヤピラリーカラム、0.25mmI.D.×
25m) キヤリヤーガス(He)の流速…70ml/分 温度…120℃ (5) OV―1701(ガスクロ工業(株)製のOV―1701化
学結合型シリカキヤピラリーカラム、0.25mmI.
D.×25m) キヤリヤーガス(He)の流速…70ml/分 温度…120℃ (6) BP―20(S.G.E.社製のBP―20化学結合型シ
リカキヤピラリーカラム、0.22mmI.D.×25m) キヤリヤーガス(He)の流速…60ml/分 温度…175℃ なお、前記において、キヤピラリーカラム使用
時のキヤリヤーガス流速はガスクロマトグラフの
メーターの示す値として与えられている。
【表】 次に、前記式()(R=CH3)及び()(R
=CH3)で表わされる化合物のNaBH4還元産物
である2―ヒドロキシ体のうち、各マイナー成分
(少量成分)がエキソの相対配置を有することは、
次のようにして確認した。 即ち、スタペルスマ(Stapersma)等の方法
(Tetrahedron、37、187(1981))で合成したビシ
クロ〔2.2.1〕ヘプト―2,5―ジエン―7―カ
ルボン酸メチルに対し、9―ボラビシクロ
〔3.3.1〕ノナンでヒドロボレーションを行い、そ
の付加体を過酸化水素で分解して、エキソ―アン
チ―2―ヒドロキシ―ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト
―5―エン―7―カルボン酸メチル(前記式
()において、R=CH3)を立体選択的に得た。
次いで、このものを接触還元して、その2重結合
を水素化して2―エキソ―ヒドロキシ―ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプタン―7―カルボン酸メチル(前記
式()において、R=CH3)とした。このよう
にして得たエキソ体()(R=CH3)と()
(R=CH3)は、それぞれ前記化合物()(R=
CH3)及び()(R=CH3)のNaBH4還元産物
のうちのマイナー成分と、GC及びGC―MSにお
いて一致した。 なお、微生物変換産物の光学純度は、サンプル
量が充分にある場合には、ケト酸()(R=H)
及び()(R=H)に導いて、その旋光度を測
定することによるが、少量の場合には、キラルな
試薬でジアステレオマーに誘導し、これをGCで
分離定量することによつて行う。ここでは、水酸
化産物()(R=CH3)()(R=CH3)、()
(R=CH3)及び()(R=CH3)は、(R)―
(−)―1―(1―ナフチル)エチルイソシアネ
ートによるウレタン化反応(以下、この反応を
NEI反応と略記する)を用いてジアステレオマー
に誘導する。ケトン体の産物()(R=H)と
()(R=H)は、塩化チオニルで酸クロライド
とし、(R)―(+)―1―メチルベンジルアミ
ンと縮合反応(以下、この反応をMB反応と略記
する)させてジアステレオメリツクなアミドとす
る。ケトエステル型の産物()(R=CH3)及
び()(R=CH3)は、加水分解して遊離酸と
した後、前記と同様にして、(R)―(+)―1
―メチルベンジルアミンと縮合させる。 標準化合物()(R=CH3)と()(R=
CH3)の混合物、()(R=CH3)と()(R
=CH3)の混合物、化合物()(R=H)及び
()(R=H)のそれぞれに関し、そのラセミ体
と光学活性体(1R―体)のそれぞれに上記の
NEI反応又はMB反応を行つて得たジアステレオ
マーのガスクロマトグラフイー分離における保持
時間のデータを表―2に示す。 なお、前記で得た、ジアステレオマーは、化合
物符号と、1位の絶対配置と、ジアステレオマー
を得る場合の反応の種類によつて表わし、例え
ば、(1S)―(R=CH3)*(R)―NEIや、
(1R)―(R=H)*(R)―MBのように表
わした。この場合、前者は、1位の絶対配置がS
である2―エキソ―ヒドロキシ―ビシクロ
〔2.2.1〕―ヘプタン―7―アンチ―カルボン酸メ
チルにおいて、その2位の水酸基にNEI反応を行
つて得られたジアステレオマーを意味し、一方、
後者は、1位の絶対配置がRである2―オキソ―
ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―アンチ―カル
ボン酸において、そのカルボキシル基にMB反応
を行つて得られたジアステレオマーを意味する。 また、ジアステレオマーのガスクロマトグラフ
イーによる分離実験における分析条件は次の通り
である。 (1) カラム:OV―1化学結合型シリカキヤピラ
リーカラム、0.25mmI.D.×50m (2) キヤリヤーガス(He)の流速:100ml/分 (3) 温度:実験No.1〜8……250℃ 実験No.9〜12……200℃ (4) 検出器:FID (5) ピーク面積の測定:島津製作所製のBPR G
―1データ処理装置による。
〔NEI反応〕
目的産物の0.1〜0.7mgを含むEtOAc溶液(以下
EtOAcは酢酸エチルを表すものとする)の0.1ml
を小型アンプルに入れ減圧で溶媒を留去する。試
薬20μ(=トルエン17.8μ+(R)―(−)―
1―(1―ナフチル)エチルイソシアネート2μ
+N,N―ジメチルエタノールアミン0.2μ)
を加え、密封して90〜100℃で12時間加熱する、
冷却後30〜100μのメタノールを加えて適宜希
釈してからGCに供する。 〔MB反応〕 目的産物が遊離酸の形の時は直ちに塩化チオニ
ルとの反応を行うが、メチルエステルの形である
時は、まず加水分解を行う。0.1〜0.2mgのメチル
エステルを含むEtOAc溶液の0.15mlを小型アンプ
ルに入れ、減圧で溶媒を留去する。メタノール
0.2mlと6N NaOH0.1mlを加え30℃に1時間保つ。
6N HClで酸性とし、食塩飽和の状態でエーテル
抽出を行う(0.5ml×2)。エーテル層を合せ、飽
和食塩水で洗浄後、Na2SO4で乾燥する。エーテ
ル留去した残渣に塩化チオニル50μを入れ、室
温に1時間放置する。過剰の塩化チオニルを減圧
で除き、トルエン0.1mlを加え、再度濃縮する。
トルエン85μ、(R)―(+)―1―メチルベ
ンジルアミン5μ、及びピリジン10μの混合液
を加え、室温に数時間放置後メタノールで適当に
希釈してGCに供する。 次に、以下の実施例において使用した培地組成
を示す。 培地A(g/):グルコース、10;酵母エキス、
3;麦芽エキス、3;ペプトン、5;
MgSO4・7H2O、0.3;CaCl2・2H2O、
0.1;NaCl、0.1;微量元素液、1ml;PH
5.6 培地B:3%グリセロース含有0.05Mリン酸緩
衝液(PH7.5) 培地C(g/):酵母エキス、2;肝臓浸出物、
2;肉エキス、2;グルコース、3;グ
リセロール、3;ペプトン、5;NaCl、
3;麦芽エキス、2;MgSO4・7H2O、
0.3;CaCl2・2H2O、0.1;微量元素液、
1ml;PH7.4 微量元素組成(g/):H3BO3、0.3;
MnCl2・4H2O、0.2;ZnCl2、0.75;
CuSO4・5H2O、0.2;FeCl3・6H2O、
2.5;(NH46Mo7O24・4H2O、0.1;
CoSO4・7H2O、0.15 また、以下の実施例においてレシプロ型振とう
機の振とう速度は120rpm、ロータリー型のそれ
は170rpmとした。また生産物の精製のためのシ
リカゲルカラムクロマトグラフイー用充てん剤に
は、和光純薬製のWako gel C―200を用いた。 実施例 1 この実施例において使用した基質液の組成は次
の通りである。 〔基質液〕 S1:ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―カル
ボン酸〔(A)(R=H)〕を5mg/ml含む
0.05Mリン酸緩衝液(PH7.5)。 S2:ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―カル
ボン酸メチル〔(A)(R=CH3)〕を
0.05Mリン酸緩衝液(PH7.5)に超音波
で均一に分散させたもの。濃度はその遊
離酸として5mg/ml。 S3:ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エン―
7―シン―カルボン酸〔(B)(R=H)〕
を5mg/ml含む0.05Mリン酸緩衝液(PH
7.5) S4:ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト―5―エン―
7―シン―カルボン酸メチル〔(B)(R=
CH3)〕の0.05Mリン酸緩衝液(PH7.5)
中への分散液。含有量はその遊離酸とし
て5mg/ml。 また、生産物の精製に用いたシリカゲルカラム
クロマトグラフイーは次の条件によつて行つた。 カラムサイズ:1cmφ×20〜23cm 溶離液:ベンゼン中のEtOAc濃度が15、20、
25、30、35、40%の溶液の25mlづつ。 9本の500ml容肩付フラスコに培地A150mlづつ
を入れ、綿栓をつけ滅菌処理を施した。アスペル
ギルス・アワモリFERM P―8052の保存用スラ
ントから胞子をとり、フラスコの1本に接種し、
28℃で24時間往復振とう機上で振とう培養した。
この培養物(パルプ状)の15mlづつを他の8本の
培地に無菌的に移植し、28℃で24時間振とう培養
した(本培養)。一方、あらかじめ4本の500ml容
バツフル付三角フラスコの各々に培地B100mlづ
つを入れ、シリコン通気栓を付し、滅菌処理して
おいた。2本の肩付フラスコ内培養物を合せて1
組とし(計4組)、吸引濾過によつて集めた菌体
を前記三角フラスコのそれぞれに入れた。この4
本の三角フラスコの各々に基質液S1、S2、S3、
S4の各1mlを入れ、ロータリー振とう機上で30
℃で48時間振とうし、変換反応を行つた。菌体を
濾別し、少量の水で洗い、濾液と洗液を合して、
6N HClでPHを1.5とした。このようにして得た
4種類の反応液の各々をNaClで飽和させ、
EtOAcの150mlと100mlで抽出した。EtOAc層を
合せ、Na2SO4で乾燥後、ロータリーエバポレー
ターで濃縮した。過剰のジアゾメタン/エーテル
溶液を加えてメチル化後、濃縮し、15%
EtOAc/ベンゼンの1mlにとかした。これをシ
リカゲルのカラムクロマトグラフイーで精製し
た。15〜20%及び25〜35%EtOAc/ベンゼンの
溶出物をそれぞれ合せ、溶媒をすべて留去して得
た残渣をEtOAcの0.2mlに溶かした。 この試料液中の目的生産物をGCで同定・定量
した。その分析条件は表―1に関して記載したも
のと同様である。定量のための検量線は、標準品
の化合物()(R=CH3)及び化合物()(R
=CH3)と化合物()(R=CH3)との混合物
を用いて作製した。また、GC―MSによつても
目的物の生成を確認した。次に、この試料液の1/
6〜1/2をとり、光学純度測定のためのMB反応又
はNEI反応に供し、得られたジアステレオメリツ
ク誘導体をGCで分離定量した。その分析条件は
表―2に関して記載したのと同様である。これら
の結果を表―3に一括記載する。 また、前記と同様の実験を、他の7種類の糸状
菌についても行つた。前培養、本培養、変換反応
に関した時間(h)をこの順に菌名の後に示す:
アスペルギルス・ニガーFERM P―8053(24h、
24h、48h)、ペニシリウム・フニクロスムFERM
P―8051(24h、25h、48h)、アブシデイア・コエ
ルレアIFO 4011(24h、27h、46h)、ビユーベリ
ア・バシアナIFO 4848(24h、27h、46h)、カニン
グハメラ・ブラケスレアナIFO 6156(48h、26h、
69h)、ムコール・プシルスIFO 4578(19h、26h、
42h)、及びケトミウム・コクリオデスIFO 6308
(48h、26h、69h)。 次に、バクテリアと放線菌による変換反応は以
下に記すようにして検討した。即ち5本の500ml
容バツフル付三角フラスコに培地Cの100mlづつ
を入れ通気性のシリコン栓をつけ、滅菌処理を施
した。バチルス・チユリンギエンシスIFO 3951
の保存用スラントから菌体の少量をとり、フラス
コの1本に接種し、30℃で12時間ロータリー振と
う機上で振とう培養した。この前培養物の20mlづ
つを他の4本の培地に無菌的に移植し、30℃で7
時間振とう培養した(本培養)。次いで、基質液
S1、S2、S3及びS4の1mlづつを別々に4本の本
培養物に添加し、49時間振とうを継続した。菌体
を遠心沈殿によつて除き、上ずみの各々を6N
HClでPH1.5とし、NaClを飽和になるように加
え、EtOAc(150ml+100ml)で抽出した。これ以
降の操作は糸状菌の場合と同様にして行つた。ま
たストレプトミセス・アルボフアシエンスIFO
12833を用いて同様の実験を行つた。結果は表―
3にまとめてある。 なお、表―3に示した「生成量(mg)」及び
「光学純度(%e.e.)」の欄における数値は、基質
が〔A〕(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―カル
ボン酸又はそのメチルエステル)の場合には、そ
れに対応する化合物()、()、()について
の値を示し、一方、基質が〔B〕(ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプト―5―エン―7―シン―カルボン
酸又はそのメチルエステル)の場合には、それに
対応する化合物()、()、()についての値
を示す。また、基質が酸である時は酸としての生
成量及び基質がメチルエステルである時はメチル
エステルとしての生成量が与えられている。
【表】
【表】 実施例 2 アスペルギルス・アワモリFERM P―8052の
胞子を500ml容振とうフラスコに入れた150mlの培
地A(減菌ずみ、12本)に接種し、28℃で31時間
往復振とう機上で振とう培養した。なお胞子の接
種には、保存用スラントに培地Aの6mlを入れて
胞子懸濁液を作り、その1mlづつを用いる方法に
よつた。全部の菌体を濾集し、12本のバツフル付
三角フラスコに等量づつ入れた。三角フラスコに
は、あらかじめ1mMのMo2+を添加した培地Bの
100mlづつを入れ、シリコン通気栓を付して滅菌
処理しておいた。これらの三角フラスコの各々に
水2mlに溶かした基質〔A〕(R=H)の20mgを
添加した(全使用量20×12=240mg)。30℃におい
てロータリーシエーカー上で64時間振とうした。
菌体を濾別し、濾液を合せ6N NaOHでPH7.5と
した後、エバポレーターで約300mlに濃縮した。
6N HClでPH1.5とし、NaClを飽和になるまで加
えた後、EtOAcの300ml、200ml、200ml及び100
mlでくり返し抽出した。EtOAc層を合せNa2SO4
で乾燥後、エバポレーターで濃縮した。濃縮物を
シリカゲルカラムクロマトグラフイーによつて精
製し(カラム:2.5cmφ×26cm;溶出:EtOAc/
ベンゼン混液(300mlづつ)のEtOAc濃度を5%
づつ増加させて行う段階溶出)、EtOAc35〜40%
のフラクシヨンを合せ濃縮し、EtOAc/ヘキサ
ンから結晶化させて161mgの2―エンド―ヒドロ
キシビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―7―アンチ―
カルボン酸を針状晶として得た(収率57%)。こ
のものは、mp140〜141℃、〔α〕25 D=−13.4゜(C=
0.97、メタノール)、MS(m/e):156(M+)、IR
(KBr、cm-1):3350(OH)、1700(COOH)の物
性を示した。またメチルエステルのGCにおける
保持時間は化合物〔〕(R=CH3)の標準品の
データに一致した。また、このメチルエステルに
対してNEI反応を行つて得たジアステレオマーの
GCから、光学純度は(1R)体が84.7%e.e.と計算
された。 なお、確認のために、上記結晶を次のように酸
化してケト酸とした。即ち、140mgの上記結晶を
アセトン2mlに溶かし、氷冷下ジヨーンズ試薬
0.35mlを加え、30分撹拌した。イソプロパノール
0.5mlと氷を2〜3粒加え、NaClを飽和になるま
で入れ、エーテル(20ml×2)とEtOAc(15ml×
2)で抽出した。有機層を合せNa2SO4で乾燥
後、シリカゲルカラムクロマトグラフイー(カラ
ム、1.2cmφ×17cm;50mlづつの15〜35%
EtOAc/ベンゼンで溶出)で精製した。20〜30
%EtOAcのフラクシヨンを合せ濃縮し、ベンゼ
ン/ヘキサンから結晶化させて、96mgの葉片状晶
を得た(収率69%)。mp136〜141℃、〔α〕27 D=+
16゜(C=0.89、メタノール)、MS(m/e):154
(M+)、IR(KBr、cm-1):3400(OH)、1740(オキ
ソ基)、1710(COOH)。MS、IR及び 1H―HMR
の全パターンは標準品の(+)―(R=H)の
スペクトルと一致した。(1R)体の光学純度は
〔α〕Dのデータからは、89%e.e.であるが、より正
確なジアステレオマーのGC分析(MB反応産物
のGC分析)からは92.2%e.e.と算出された。 実施例 3 アスペルギルス・アワモリFERM P―8052の
胞子を500ml容振とうフラスコ内培地A(150ml、
20本)に接種し、28℃で31時間往復振とう機で振
とうした。菌体を濾集し、10本のバツフル付500
ml容三角フラスコ(1本あたり、1mM Mo2+
添加した培地Bの100mlを入れてあり、滅菌ずみ)
に均等に入れ、次いで、基質〔B〕(R=H)の
10mgづつを2mlの水溶液として、各フラスコに添
加した(全使用量10×10=100mg)。シリコン通気
栓を付して30℃で64時間振とうした。菌体を濾別
し、濾液を合せ、6N NaOHでPH7.5とした後、
エバポレーターで約300mlに濃縮した。6N HCl
でPH1.5とし、NaClを飽和になるまで加え、
EtOAcの300ml、200ml、200ml及び100mlで4回
抽出した。有機層を合せ、Na2SO4で乾燥後、エ
バポレーターで濃縮した。これをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフイーによつて精製し(カラム:
2cmφ×30cm;溶離液:5%づつEtOAcの濃度
を上げたEtOAc/ベンゼン混液100mlづつ)、35
〜40%EtOAcフラクシヨンを合せ濃縮した。油
状残渣をアセトン0.5mlに溶かし氷冷下、ジヨー
ンズ試薬(175μ)を加え1時間4℃で撹拌を
続行した。イソプロパノール0.2mlと氷2粒を入
れ、NaCl飽和とし、EtOAcで抽出した(8ml×
2+3ml)。有機層を合せNa2SO4で乾燥後、エ
パポレーターで濃縮し、次いでシリカゲルカラム
クロマトグラフイーによつて精製した(カラム:
1cmφ×25cm、EtOAc/ベンゼンの5%段階溶
出)。次に、EtOAc25〜35%のフラクシヨンを合
せ、濃縮し、ベンゼン/ヘキサンから結晶化させ
て、19mgの化合物()(R=H)を葉片状晶と
して得た(収率17%)。mp139〜143℃〔α〕25 D
−431゜(C=0.16、メタノール)。MS(m/e):152
(M+)、IR(KBr、cm-1):1740(>=0)、1700
(COOH)。MS、IR及び 1H―NMRスペクトル
は(−)―(R=H)の標準品のスペクトルに
一致した。1R体の光学純度は〔α〕Dのデータか
らは67%e.e.、MB反応物のGC分析からは71.4%
e.e.であつた。 実施例 4 500ml容バツフル付三角フラスコ14個に培地C
の100mlづつを入れ、シリコン通気栓を付し滅菌
処理した。各々にバチルス・チユリンギエンシス
IFO 3951の前培養物(100ml×2、28℃で12時間
振とう培養)の10mlづつを無菌的に接種し、30℃
で5時間ロータリーシエーカーで振とうした。培
養物の各々に基質〔A〕(R=CH3)の超音波分
散液〔11mg/ml―0.05Mリン酸緩衝液(PH7.5)〕
の1mlを加え、30℃で振とうを継続した(基質の
総使用量は、11×14=154mg)。基質添加後45時間
目に菌体を遠心によつて除き、上ずみを合せ、
6N HClでPH1.5とした。3等分し、各々をNaCl
で飽和させ、EtOAc(600ml、300ml及び200ml)
で抽出した。有機層を合せ、Na2SO4で乾燥後エ
バポレーターで濃縮した。これをシリカゲルカラ
ムクロマトグラフイーで精製した(カラム:1.5
cmφ×40cm;溶離液=0〜40%EtOAc/ベンゼ
ンの100mlづつ)。目的物を含むフラクシヨン
(EtOAc25%)を合せ、エバポレーターで濃縮し
た。この油状物(88mg)をメタノール0.35mlに溶
かし、6N NaOH0.27mlを加え、30℃に2時間保
ち、加水分解した。水0.5ml加え、6N HClでPH
約2とし、NaClで飽和下、EtOAc(8ml×2+
3ml)で抽出した。有機層を合せ濃縮後、アセト
ン0.5mlに溶かし、4℃に冷却下、ジヨーンズ試
薬200μを加えて酸化した。実施例3における
のと同様に後処理・抽出し、シリカゲルカラムク
ロマトグラフイーによる精製を経て、目的物
()(R=H)をベンゼン/ヘキサンから結晶化
させて35mgの葉片状晶として得た(化合物〔A〕
(R=CH3)からの収率23%)。mp138〜142℃、
〔α〕25 D=+19゜(C=0.43、メタノール)、MS(m/
e):154(M+)、IR(KBr、cm-1):1740(C>=
0)、1710(COOH)。MS、IR及びH―NMRスペ
クトルは(+)―()(R=H)の標準品のス
ペクトルに一致した。(1R)体の光学純度は
〔α〕Dのデータからは約100%e.e.、MB反応物の
GC分析からは94.4%e.e.であつた。 実施例 5 500ml容肩付フラスコ12個に培地Cの100mlづつ
を入れ綿栓を付し滅菌処理した。各々にバチル
ス・チユリンギエンシスIFO 3951の前培養物
(100ml×2、28℃で12時間振とう培養)の10mlづ
つを無菌的に接種し、28℃で6.5時間往復振とう
機上で振とうした。これらの培養物の各々に基質
〔B〕(R=CH3)の超音波分散液〔11mg/ml―
0.05Mリン酸緩衝液(PH7.5))の1mlを加え、28
℃で更に44時間振とうを継続した(基質の総使用
量は、11×12=132mg)。遠心で菌体を除去し、上
ずみを合せ、6N HClでPH1.5とした。2等分し、
各々をNaClで飽和させ、EtOAc(800ml、500ml
及び300ml)で抽出した。有機層を合せ、
Na2SO4で乾燥後、エバポレーターで濃縮した。
これをシリカゲルカラムクロマトグラフイーで精
製した(カラム:1.5cmφ×40cm;溶媒=0〜40
%EtOAc/ベンゼンの100mlづつ)。目的物を含
むフラクシヨン(25%EtOAc)を合せ、エバポ
レーターで濃縮した。この油状物49mgをメタノー
ル0.2mlに溶かし6N NaOH0.2mlを加え30℃に2
時間保ち加水分解した。水0.5mlを入れ、6N
HClでPH約2とし、NaCl飽和下、EtOAc(8ml×
2+3ml)で抽出した。有機層を合せ濃縮後、ア
セトン0.5mlに溶かし、4℃に冷却下ジヨーンズ
試薬175μを加えて酸化した。実施例3におけ
るのと同様に後処理・抽出し、シリカゲルカラム
クロマトグラフイーによる精製を経て、目的物を
ベンゼン/ヘキサンから結晶化させて、11mgの
(−)―()(R=H)を葉片状晶として得た
(収率は化合物〔B〕(R=CH3)から8%)。
mp144〜148℃、〔α〕25 D=−481゜(C=0.09、
MeOH)。MS(m/e):152(M+)、IR(KBr、cm
-1):1730(オキソ基)、1700(COOH)。MS、IR
及び 1H―NMRスペクトルは(−)―()(R
=H)の標準品のスペクトルに一致した。光学純
度は〔α〕Dのデータからは75%e.e.、MB反応体
のGC分析からは81.9%e.e.であつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 水酸基又はオキソ基を2位に有するビシクロ
    〔2.2.1〕ヘプタン―若しくはヘプト―5―エン―
    7―カルボン酸及びそのメチルエステルの中から
    選ばれるビシクロ〔2.2.1〕化合物からなり、該
    ビシクロ〔2.2.1〕化合物の1位の絶対配置がR
    であるエナンチオマーに富む光学活性ビシクロ
    〔2.2.1〕化合物。 2 ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―若しくはヘプ
    ト―5―エン―7―カルボン酸及びそのメチルエ
    ステルの中から選ばれるビシクロ〔2.2.1〕化合
    物の2位の炭素原子を、ペニシリウム属、アスペ
    ルギルス属、アブシデイア属、ビユーベリア属、
    カニングハメラ属、ムコール属若しくはケトミウ
    ム属の糸状菌、ストレプトミセス属の放線菌又は
    バチルス属の細菌を用いて水酸化することを特徴
    とする、水酸基を2位に有するビシクロ〔2.2.1〕
    ヘプタン―若しくはヘプト―5―エン―7―カル
    ボン酸及びそのメチルエステルの中から選ばれる
    ビシクロ〔2.2.1〕化合物からなり、該ビシクロ
    〔2.2.1〕化合物の1位の絶対配置がRであるエナ
    ンチオマーに富む光学活性ビシクロ〔2.2.1〕化
    合物の製造方法。 3 ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―若しくはヘプ
    ト―5―エン―7―カルボン酸及びそのメチルエ
    ステルの中から選ばれるビシクロ〔2.2.1〕化合
    物の2位の炭素原子を、ペニシリウム属、アスペ
    ルギルス属、アブシデイア属、ビユーベリア属、
    カニングハメラ属、ムコール属若しくはケトミウ
    ム属の糸状菌、ストレプトミセス属の放線菌又は
    バチルス属の細菌を用いて水酸化し、次いで酸化
    することを特徴とする、オキソ基を2位に有する
    ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン―若しくはヘプト―
    5―エン―7―カルボン酸及びそのメチルエステ
    ルの中から選ばれるビシクロ〔2.2.1〕化合物か
    らなり、該ビシクロ〔2.2.1〕化合物の1位の絶
    対配置がRであるエナンチオマーに富む光学活性
    ビシクロ〔2.2.1〕化合物の製造方法。
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