JPH0244319B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0244319B2 JPH0244319B2 JP57031555A JP3155582A JPH0244319B2 JP H0244319 B2 JPH0244319 B2 JP H0244319B2 JP 57031555 A JP57031555 A JP 57031555A JP 3155582 A JP3155582 A JP 3155582A JP H0244319 B2 JPH0244319 B2 JP H0244319B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- complex
- maleic anhydride
- neocarzinostatin
- ncs
- sma
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
Description
本発明は新規なネオカルチノスタチン複合体の
製造法に関する。更に詳しくは本発明は式() SMA o− NCS () 〔式中、 NCS はネオカルチノスタチン残基を
意味し、 SMA は平均1分子当り1個以下の無
水マレイン酸環を有し、半アルキルエステル化さ
れた平均分子量1000〜10000のスチレンマレイン
酸共重合体残基を意味し、nは1〜35の整数を意
味する。〕 で示されるネオカルチノスタチン複合体の製造法
に関する。 ネオカルチノスタチンはストレプトミセス・カ
ルチノスタチカス・バリアントF−41・クロヤ
(Streptomyces carzinostaticus var.F−
41Kuroya)の培養物中に産出される蛋白質性抗
癌物質であり(特公昭42−21752号公報及び米国
特許第3334022号明細書参照)、その一次構造は本
発明者の一人である前田によつて、アミノ酸総残
基数が109の推定分子量10700のものとして報告さ
れている〔サイエンス(Science)、178巻、875〜
876頁、1972年及びアルカイブズ・オブ・バイオ
ケミストリイ・アンド・バイオフイジツクス
(Arch.Biochem.Biophys.)、163巻、379〜385頁
参照)。 癌の治療においては、癌細胞の転移が最も重要
な問題であり、就中特にリンパ節転移が最大の問
題である。先に、本発明者はネオカルチノスタチ
ンの毒性の軽減と薬効の持続性を高め、かつ薬物
をリンパ系に特異的に移行せしめることについて
種々研究した結果、ネオカルチノスタチンの分子
中に存在する2個の遊離アミノ基を水溶性ポリス
チレンマレイン酸共重合体の部分水解物と反応せ
しめて得られるネオカルチノスタチン誘導体が上
記目的に合致することを見出し、特許出願した
(特開昭53−117095号公報参照)。 しかし、制癌剤は癌の転移を抑制するための上
記リンパ系に移行する性質の必要性に加えて、腫
瘍親和性が高いことが望ましい。腫瘍親和性が高
いと腫瘍における制癌剤の濃度が選択的に高ま
り、その結果副作用の発現が軽減し、制癌剤の効
果を有効に発揮し得るのである。 そこで、本発明者らはさらに種々研究した結
果、スチレン無水マレイン酸共重合体又はその部
分水解物とは異なる、無水マレイン酸環を有し、
半アルキルエステル化された平均分子量が1000〜
10000のスチレン無水マレイン酸共重合体とネオ
カルチノスタチンとを反応させて得られる式
()で示されるネオカルチノスタチン複合体
〔以下、これを複合体()と略称する〕が意外
にも上記目的を達成することを見出した。 すなわち、本発明により製造される複合体
()は、先のネオカルチノスタチン誘導体と同
様の有用な性質を有すると共に、脂溶性に優れて
おり、油性製剤としての適用が可能となる。複合
体()は油性製剤として投与すると薬物を腫瘍
部位に集中させることができる。そして、複合体
()は腫瘍に対する親和性にも優れており、腫
瘍部位に滞留して制癌効果を強力に発揮すること
ができるのである。 一方、複合体()は脂溶性に加えて意味水溶
性の性質をも兼ね備えているので、水溶性製剤例
えば静注等により全身投与も可能である。 このような複合体()によるネオカルチノス
タチンの好ましい性質は、1個以下の無水マレイ
ン酸環を有し、半アルキルエステル化されたスチ
レン無水マレイン酸共重合体(以下、これを
SMAと略記する)を用いたことにより、ネオカ
ルチノスタチン(以下、これをNCSと略記する)
を水溶性の性質を保持しつつ、脂溶性の性質を兼
ね備えたものとしたことによると考えられる。 制癌剤に要求されていることは、制癌剤が静脈
注射剤として用いられた場合は制癌剤が毛細血管
より組織に出、さらにリンパ系に特異的に移行す
ることであり、一方制癌剤が油性製剤として用い
られた場合には制癌剤が油性製剤より血液中、組
織液中又はリンパ液中など必要な部位に徐放され
ることであり、またいずれの投与形態の場合であ
つても制癌剤がそのまま又は分解を受けて腫瘍組
織(部位)にはよく集積し、なおかつ体外に安全
に排出されることである。 この要求に対しては、複合体()は毛細血管
より組織に漏出するため分子量は6万以下である
ことが好ましく、油性基剤への溶解性、リンパ系
への特異的な移行性のためには分子量は2万以上
であることが望ましい。 複合体()は生体内で所定の部位に到達した
のち、そのままあるいは一部が加水分解を受け、
ネオカルチノスタチンが遊離し抗腫瘍性を発揮す
るものと推定される。なお、複合体()はポリ
アニオンを形成し、生体内で免疫系を賦活化する
効果も期待される。 複合体()はNCS1分子当り1〜35分子通常
は5〜15分子のSMAとの複合体である。NCSと
SMAとの結合状態の詳細については不明である
が、単なる混合物ではない、NCSは分子量約1
万のポリペプチドであると考えられており、両末
端に1級アミノ基を2個有する他に多数の2級ア
ミノ基、水酸基等の官能基があり、これらの官能
基がSMAとの反応に関与するものと考えられる。
しかしながら、NCSとSMAとの反応は多官能性
の高分子(又はオリゴマー)同志の反応であるの
で、反応生成物個々の反応位置を明示したり、分
子構造を明示することは不可能である。但し、反
応生成物の構造は電気泳動、ゲルパーミエーシヨ
ンクロマトグラフイー、ゲル過等の分子サイズ
に関する分折と、赤外線吸収スペクトル、紫外線
吸収スペクトル及び元素分折等の構成成分に関す
る分折とによつて平均的に解折することはでき
る。 複合体()はNCSとSMAとを反応させるこ
とによつて製造される。反応は通常、重炭酸ナト
リウム水溶液にNCSを溶解し、NCS1分子に対し
1分子以上のSMA好ましくは3分子以上のSMA
の粉末を室温で撹拌下に添加して行なわれる。ま
た、SMAを有機溶媒に溶解し、これにNCSの重
炭酸ナトリウム水溶液を添加し、次いで溶媒を減
圧乾燥等により除去することによつても製造する
ことができる。複合体()はSMAの無水マレ
イン酸環が開環し、NCSの官能基と反応するこ
とによつて生成するものと考えられ、NCS1分子
に対し、1〜35分子のSMAが反応して複合体を
生成しうるが通常は5〜15分子のSMAが反応し
て複合体を生成するものと考えられる。従つて、
複合体()に含まれるSMA残基には無水マレ
イン酸環は存在しない。 本発明で用いられるSMAは平均1分子当り1
個以下好ましくは0.1〜0.8個の無水マレイン酸環
を有し、残りの無水マレイン酸は開環され半アル
キルエステル化されたものであつて、平均分子量
1000〜10000、好ましくは1500〜2500のスチレン
無水マレイン酸共重合体である。本発明で使用す
るSMAは、無水マレイン酸が1個以下であり、
かつ半アルキルエステル化されているため架橋反
応による高分子量副生成物の形成を避けることが
でき、NCSとの反応をコントロールすることが
容易である。ここで、半アルキルエステルとは無
水マレイン酸が開環したマレイン酸の有する2個
のカルボン酸の半分のカルボン酸がアルキルエス
テル化されていることを意味し、この半アルキル
エステルは完全に半アルキルエステル化されてい
ることが好ましいが、一部は半アルキルエステル
化されていないマレイン酸であつても、大部分が
半アルキルエステル化されていれば差支えない。
また、半アルキルエステルは通常は低級アルキル
エステルを意味し、例えばメチルエステル、エチ
ルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル
等あるいはこれらの混合エステルが挙げられ、就
中半ブチルエステルが好ましい。この他、(ポリ)
エチレングリコールモノエーテルのエステルの如
き多価アルコールのエステルであつてもよく、本
発明においては半アルキルエステルにこれらの多
価アルコールエステルも包含される。 複合体()をヒトに投与するには、癌の原発
部位、手術後の癌摘出部位等の局所組織内投与
法、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、経向
等の投与法、及び局所への塗布、噴霧、坐薬、膀
胱内注入の外用的投与法が好適である。投与量は
投与法と癌の悪性度、癌の種類、患者の病状及び
一般状態、癌の進行度等によつて一定ではなく、
また術後等のリンパ節転移予防等の目的か、ある
いは治療目的かによつて異なるが、例えば1日1
回0.1〜10mg/Kgを主として週1〜2回、あるい
は連日投与するのが好ましい。局所塗布、経口投
与法では更に投与量を増量することも可能であ
る。 なお、複合体()はX線造影剤リピオドール
(仏国ラボラトワール・ゲルベ製、リピオドール
ウルトラフルイドーヨード化ケシ油脂肪酸エチル
エステル)に溶解する。複合体()1〜2mg/
リピオドール1mlの油性製剤を動脈内投与する
と、腫瘍血管内にリピオドール及び当該薬物が長
期にとどまるので、強力に抗腫瘍効果を発揮す
る。また、リピオドールに溶解することにより、
複合体()が局所に滞留する状態がX線によつ
て観察することができる。 このような油性製剤として用いることは複合体
()の性質を活かした使用法の一つである。 また、複合体()は1〜9%重炭酸ナトリウ
ム水溶液に溶解する。この水溶液を静脈内投与す
ると、当該薬物はリンパ管に多く分布するので強
力に制癌作用を発揮する。 このような塩類水溶液剤として用いることも複
合体()の性質を活かして用いる使用法の一つ
である。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 参考例 (a) p−シメン176mlを撹拌下に132〜134℃に加
熱し、無水マレイン酸29.4g、スチレン30.9g
及びベンゾイルパーオキシド1gをp−シメン
200mlに溶解して得られた溶液を3時間にわた
つて連続的に滴下した。滴下と同時に重合反応
が起り、白濁沈殿状のスチレン無水マレイン酸
共重合体が続々と形成された。重合反応終了
後、沈殿物を取し、洗滌、乾燥して、白色粉
末のスチレン無水マレイン酸共重合体58gを得
た。 このスチレン無水マレイン酸共重合体は各モ
ノマーの重合性より1:1交互共重合体と考え
られ、元素分折結果もこれを支持する。アセト
ニトリルを溶媒として蒸気圧法により
KNAUER社VPO装置を用い数平均分子量を
求めたところ1760であつた。 (b) このスチレン無水マレイン酸共重合体20gを
ジオキサン40mlに溶解し、得られた溶液にn−
ブタノール12ml及び酢酸リチウム0.2gを加え、
封管して90℃で25時間反応させた。反応終了
後、減圧乾燥により反応液より溶媒を揮発除去
し、得られた残渣をn−ヘキサン−アセトン混
液(容量比9:1)で洗つた後、減圧乾燥して
淡黄色フレーク状の一部無水マレイン酸環を残
した半ブチルエステル化スチレンマレイン酸共
重合体を得た。 この半ブチルエステル化スチレンマレイン酸
共重合体の分子量を蒸気圧法により求めたとこ
ろ2200であり、赤外線吸収スペクトルの
D1780/D700より無水マレイン酸環含量は平均
0.75個/分子と計算された。 元素分折値(実測値) C:67.29%、H:6.83%、N:0.19% 実施例 ネオカルチノスタチン0.2gを0.5Mの重炭酸ソ
ーダ水溶液80mlに溶解し、室温で撹拌下に、参考
例で得られた数平均分子量2200、無水マレイン酸
環含量平均0.75個/分子の半ブチルエステル化ス
チレン無水マレイン酸共重合体粉末0.9gを20分
間隔に4回に分割して添加した。半ブチルエステ
ル化スチレン無水マレイン酸共重合体粉末が全部
溶解したのち、さらに40分間撹拌した。反応液を
セロハンチユーブ中に移し、5mM重炭酸ソーダ
水溶液中で加圧下に透折した。5mM重炭酸ソー
ダ水溶液を数回とりかえて4℃、2日間透折した
のち、4℃の5mM重炭酸アンモニウム水溶液中
でさらに2日間透折し、次に4℃の1.25mM重炭
酸アンモニウム水溶液中でさらに2日間透折し
た。透折精製した反応液を凍結乾燥したのち、純
水中に懸濁、洗滌し、遠心分離機で不溶部を集め
る操作を3度操り返したのち、凍結乾燥し、白色
わた状の固形物としてネオカルチノスタチン−半
ブチルエステル化スチレンマレイン酸共重合体複
合体(以下、これをNeo SMANCSと略記する)
0.15gを得た。上記Neo SMANCSの元素分折値
(実測値)は以下の通りであつた。 C:60.52%、H:6.48%、N:3.33% この元素分折値より、Neo SMANCSにおい
てはNCS1分子当り平均して約5.6分子のSMAが
結合しているものと推定した。Neo SMANCS
の赤外線吸収スペクトル(KBr製剤法)を第1
図に、反応に使用した半ブチルエステル化スチレ
ン無水マレイン酸共重合体及びネオカルチノスタ
チン(NCS)の赤外線吸収スペクトル(KBr錠
剤法)をそれぞれ第2図及び第3図に示す。 また、Neo SMANCSをアクリルアミドゲル、
ドデシル硫酸ナトリウム0.1%添加電気泳動法に
より分子量の測定を行なつたところ約4.3万であ
つた。Neo SMANCSは、220℃で僅かに軟化
し、250℃で熱分解が始まる。 Neo SMANCSの溶媒に対する溶解性を反応
原料として用いたネオカルチノスタチン(NCS)
及び半ブチルエステル化スチレン無水マレイン酸
共重合体と比較して表1に示す。
製造法に関する。更に詳しくは本発明は式() SMA o− NCS () 〔式中、 NCS はネオカルチノスタチン残基を
意味し、 SMA は平均1分子当り1個以下の無
水マレイン酸環を有し、半アルキルエステル化さ
れた平均分子量1000〜10000のスチレンマレイン
酸共重合体残基を意味し、nは1〜35の整数を意
味する。〕 で示されるネオカルチノスタチン複合体の製造法
に関する。 ネオカルチノスタチンはストレプトミセス・カ
ルチノスタチカス・バリアントF−41・クロヤ
(Streptomyces carzinostaticus var.F−
41Kuroya)の培養物中に産出される蛋白質性抗
癌物質であり(特公昭42−21752号公報及び米国
特許第3334022号明細書参照)、その一次構造は本
発明者の一人である前田によつて、アミノ酸総残
基数が109の推定分子量10700のものとして報告さ
れている〔サイエンス(Science)、178巻、875〜
876頁、1972年及びアルカイブズ・オブ・バイオ
ケミストリイ・アンド・バイオフイジツクス
(Arch.Biochem.Biophys.)、163巻、379〜385頁
参照)。 癌の治療においては、癌細胞の転移が最も重要
な問題であり、就中特にリンパ節転移が最大の問
題である。先に、本発明者はネオカルチノスタチ
ンの毒性の軽減と薬効の持続性を高め、かつ薬物
をリンパ系に特異的に移行せしめることについて
種々研究した結果、ネオカルチノスタチンの分子
中に存在する2個の遊離アミノ基を水溶性ポリス
チレンマレイン酸共重合体の部分水解物と反応せ
しめて得られるネオカルチノスタチン誘導体が上
記目的に合致することを見出し、特許出願した
(特開昭53−117095号公報参照)。 しかし、制癌剤は癌の転移を抑制するための上
記リンパ系に移行する性質の必要性に加えて、腫
瘍親和性が高いことが望ましい。腫瘍親和性が高
いと腫瘍における制癌剤の濃度が選択的に高ま
り、その結果副作用の発現が軽減し、制癌剤の効
果を有効に発揮し得るのである。 そこで、本発明者らはさらに種々研究した結
果、スチレン無水マレイン酸共重合体又はその部
分水解物とは異なる、無水マレイン酸環を有し、
半アルキルエステル化された平均分子量が1000〜
10000のスチレン無水マレイン酸共重合体とネオ
カルチノスタチンとを反応させて得られる式
()で示されるネオカルチノスタチン複合体
〔以下、これを複合体()と略称する〕が意外
にも上記目的を達成することを見出した。 すなわち、本発明により製造される複合体
()は、先のネオカルチノスタチン誘導体と同
様の有用な性質を有すると共に、脂溶性に優れて
おり、油性製剤としての適用が可能となる。複合
体()は油性製剤として投与すると薬物を腫瘍
部位に集中させることができる。そして、複合体
()は腫瘍に対する親和性にも優れており、腫
瘍部位に滞留して制癌効果を強力に発揮すること
ができるのである。 一方、複合体()は脂溶性に加えて意味水溶
性の性質をも兼ね備えているので、水溶性製剤例
えば静注等により全身投与も可能である。 このような複合体()によるネオカルチノス
タチンの好ましい性質は、1個以下の無水マレイ
ン酸環を有し、半アルキルエステル化されたスチ
レン無水マレイン酸共重合体(以下、これを
SMAと略記する)を用いたことにより、ネオカ
ルチノスタチン(以下、これをNCSと略記する)
を水溶性の性質を保持しつつ、脂溶性の性質を兼
ね備えたものとしたことによると考えられる。 制癌剤に要求されていることは、制癌剤が静脈
注射剤として用いられた場合は制癌剤が毛細血管
より組織に出、さらにリンパ系に特異的に移行す
ることであり、一方制癌剤が油性製剤として用い
られた場合には制癌剤が油性製剤より血液中、組
織液中又はリンパ液中など必要な部位に徐放され
ることであり、またいずれの投与形態の場合であ
つても制癌剤がそのまま又は分解を受けて腫瘍組
織(部位)にはよく集積し、なおかつ体外に安全
に排出されることである。 この要求に対しては、複合体()は毛細血管
より組織に漏出するため分子量は6万以下である
ことが好ましく、油性基剤への溶解性、リンパ系
への特異的な移行性のためには分子量は2万以上
であることが望ましい。 複合体()は生体内で所定の部位に到達した
のち、そのままあるいは一部が加水分解を受け、
ネオカルチノスタチンが遊離し抗腫瘍性を発揮す
るものと推定される。なお、複合体()はポリ
アニオンを形成し、生体内で免疫系を賦活化する
効果も期待される。 複合体()はNCS1分子当り1〜35分子通常
は5〜15分子のSMAとの複合体である。NCSと
SMAとの結合状態の詳細については不明である
が、単なる混合物ではない、NCSは分子量約1
万のポリペプチドであると考えられており、両末
端に1級アミノ基を2個有する他に多数の2級ア
ミノ基、水酸基等の官能基があり、これらの官能
基がSMAとの反応に関与するものと考えられる。
しかしながら、NCSとSMAとの反応は多官能性
の高分子(又はオリゴマー)同志の反応であるの
で、反応生成物個々の反応位置を明示したり、分
子構造を明示することは不可能である。但し、反
応生成物の構造は電気泳動、ゲルパーミエーシヨ
ンクロマトグラフイー、ゲル過等の分子サイズ
に関する分折と、赤外線吸収スペクトル、紫外線
吸収スペクトル及び元素分折等の構成成分に関す
る分折とによつて平均的に解折することはでき
る。 複合体()はNCSとSMAとを反応させるこ
とによつて製造される。反応は通常、重炭酸ナト
リウム水溶液にNCSを溶解し、NCS1分子に対し
1分子以上のSMA好ましくは3分子以上のSMA
の粉末を室温で撹拌下に添加して行なわれる。ま
た、SMAを有機溶媒に溶解し、これにNCSの重
炭酸ナトリウム水溶液を添加し、次いで溶媒を減
圧乾燥等により除去することによつても製造する
ことができる。複合体()はSMAの無水マレ
イン酸環が開環し、NCSの官能基と反応するこ
とによつて生成するものと考えられ、NCS1分子
に対し、1〜35分子のSMAが反応して複合体を
生成しうるが通常は5〜15分子のSMAが反応し
て複合体を生成するものと考えられる。従つて、
複合体()に含まれるSMA残基には無水マレ
イン酸環は存在しない。 本発明で用いられるSMAは平均1分子当り1
個以下好ましくは0.1〜0.8個の無水マレイン酸環
を有し、残りの無水マレイン酸は開環され半アル
キルエステル化されたものであつて、平均分子量
1000〜10000、好ましくは1500〜2500のスチレン
無水マレイン酸共重合体である。本発明で使用す
るSMAは、無水マレイン酸が1個以下であり、
かつ半アルキルエステル化されているため架橋反
応による高分子量副生成物の形成を避けることが
でき、NCSとの反応をコントロールすることが
容易である。ここで、半アルキルエステルとは無
水マレイン酸が開環したマレイン酸の有する2個
のカルボン酸の半分のカルボン酸がアルキルエス
テル化されていることを意味し、この半アルキル
エステルは完全に半アルキルエステル化されてい
ることが好ましいが、一部は半アルキルエステル
化されていないマレイン酸であつても、大部分が
半アルキルエステル化されていれば差支えない。
また、半アルキルエステルは通常は低級アルキル
エステルを意味し、例えばメチルエステル、エチ
ルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル
等あるいはこれらの混合エステルが挙げられ、就
中半ブチルエステルが好ましい。この他、(ポリ)
エチレングリコールモノエーテルのエステルの如
き多価アルコールのエステルであつてもよく、本
発明においては半アルキルエステルにこれらの多
価アルコールエステルも包含される。 複合体()をヒトに投与するには、癌の原発
部位、手術後の癌摘出部位等の局所組織内投与
法、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、動脈内、経向
等の投与法、及び局所への塗布、噴霧、坐薬、膀
胱内注入の外用的投与法が好適である。投与量は
投与法と癌の悪性度、癌の種類、患者の病状及び
一般状態、癌の進行度等によつて一定ではなく、
また術後等のリンパ節転移予防等の目的か、ある
いは治療目的かによつて異なるが、例えば1日1
回0.1〜10mg/Kgを主として週1〜2回、あるい
は連日投与するのが好ましい。局所塗布、経口投
与法では更に投与量を増量することも可能であ
る。 なお、複合体()はX線造影剤リピオドール
(仏国ラボラトワール・ゲルベ製、リピオドール
ウルトラフルイドーヨード化ケシ油脂肪酸エチル
エステル)に溶解する。複合体()1〜2mg/
リピオドール1mlの油性製剤を動脈内投与する
と、腫瘍血管内にリピオドール及び当該薬物が長
期にとどまるので、強力に抗腫瘍効果を発揮す
る。また、リピオドールに溶解することにより、
複合体()が局所に滞留する状態がX線によつ
て観察することができる。 このような油性製剤として用いることは複合体
()の性質を活かした使用法の一つである。 また、複合体()は1〜9%重炭酸ナトリウ
ム水溶液に溶解する。この水溶液を静脈内投与す
ると、当該薬物はリンパ管に多く分布するので強
力に制癌作用を発揮する。 このような塩類水溶液剤として用いることも複
合体()の性質を活かして用いる使用法の一つ
である。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る。 参考例 (a) p−シメン176mlを撹拌下に132〜134℃に加
熱し、無水マレイン酸29.4g、スチレン30.9g
及びベンゾイルパーオキシド1gをp−シメン
200mlに溶解して得られた溶液を3時間にわた
つて連続的に滴下した。滴下と同時に重合反応
が起り、白濁沈殿状のスチレン無水マレイン酸
共重合体が続々と形成された。重合反応終了
後、沈殿物を取し、洗滌、乾燥して、白色粉
末のスチレン無水マレイン酸共重合体58gを得
た。 このスチレン無水マレイン酸共重合体は各モ
ノマーの重合性より1:1交互共重合体と考え
られ、元素分折結果もこれを支持する。アセト
ニトリルを溶媒として蒸気圧法により
KNAUER社VPO装置を用い数平均分子量を
求めたところ1760であつた。 (b) このスチレン無水マレイン酸共重合体20gを
ジオキサン40mlに溶解し、得られた溶液にn−
ブタノール12ml及び酢酸リチウム0.2gを加え、
封管して90℃で25時間反応させた。反応終了
後、減圧乾燥により反応液より溶媒を揮発除去
し、得られた残渣をn−ヘキサン−アセトン混
液(容量比9:1)で洗つた後、減圧乾燥して
淡黄色フレーク状の一部無水マレイン酸環を残
した半ブチルエステル化スチレンマレイン酸共
重合体を得た。 この半ブチルエステル化スチレンマレイン酸
共重合体の分子量を蒸気圧法により求めたとこ
ろ2200であり、赤外線吸収スペクトルの
D1780/D700より無水マレイン酸環含量は平均
0.75個/分子と計算された。 元素分折値(実測値) C:67.29%、H:6.83%、N:0.19% 実施例 ネオカルチノスタチン0.2gを0.5Mの重炭酸ソ
ーダ水溶液80mlに溶解し、室温で撹拌下に、参考
例で得られた数平均分子量2200、無水マレイン酸
環含量平均0.75個/分子の半ブチルエステル化ス
チレン無水マレイン酸共重合体粉末0.9gを20分
間隔に4回に分割して添加した。半ブチルエステ
ル化スチレン無水マレイン酸共重合体粉末が全部
溶解したのち、さらに40分間撹拌した。反応液を
セロハンチユーブ中に移し、5mM重炭酸ソーダ
水溶液中で加圧下に透折した。5mM重炭酸ソー
ダ水溶液を数回とりかえて4℃、2日間透折した
のち、4℃の5mM重炭酸アンモニウム水溶液中
でさらに2日間透折し、次に4℃の1.25mM重炭
酸アンモニウム水溶液中でさらに2日間透折し
た。透折精製した反応液を凍結乾燥したのち、純
水中に懸濁、洗滌し、遠心分離機で不溶部を集め
る操作を3度操り返したのち、凍結乾燥し、白色
わた状の固形物としてネオカルチノスタチン−半
ブチルエステル化スチレンマレイン酸共重合体複
合体(以下、これをNeo SMANCSと略記する)
0.15gを得た。上記Neo SMANCSの元素分折値
(実測値)は以下の通りであつた。 C:60.52%、H:6.48%、N:3.33% この元素分折値より、Neo SMANCSにおい
てはNCS1分子当り平均して約5.6分子のSMAが
結合しているものと推定した。Neo SMANCS
の赤外線吸収スペクトル(KBr製剤法)を第1
図に、反応に使用した半ブチルエステル化スチレ
ン無水マレイン酸共重合体及びネオカルチノスタ
チン(NCS)の赤外線吸収スペクトル(KBr錠
剤法)をそれぞれ第2図及び第3図に示す。 また、Neo SMANCSをアクリルアミドゲル、
ドデシル硫酸ナトリウム0.1%添加電気泳動法に
より分子量の測定を行なつたところ約4.3万であ
つた。Neo SMANCSは、220℃で僅かに軟化
し、250℃で熱分解が始まる。 Neo SMANCSの溶媒に対する溶解性を反応
原料として用いたネオカルチノスタチン(NCS)
及び半ブチルエステル化スチレン無水マレイン酸
共重合体と比較して表1に示す。
【表】
上表からも明らかな如く、Neo SMANCSが
NCSと半ブチルエステル化スチレン無水マレイ
ン酸共重合体との単なる混合物でなく複合体を形
成していることは明らかである。
NCSと半ブチルエステル化スチレン無水マレイ
ン酸共重合体との単なる混合物でなく複合体を形
成していることは明らかである。
第1図はNeo SMANCSの赤外線吸収スペク
トルを、第2図は半ブチルエステル化スチレン無
水マレイン酸共重合体の赤外線吸収スペクトル
を、第3図はNCSの赤外線吸収スペクトルを示
す。
トルを、第2図は半ブチルエステル化スチレン無
水マレイン酸共重合体の赤外線吸収スペクトル
を、第3図はNCSの赤外線吸収スペクトルを示
す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ネオカルチノスタチンと、平均1分子当り1
個以下の無水マレイン酸環を有し、半アルキルエ
ステル化された平均分子量1000〜10000のスチレ
ン無水マレイン酸共重合体とを、反応させること
を特徴とする式() SMA o− NCS () 〔式中、 NCS はネオカルチノスタチン残基を
意味し、 SMA は平均1分子当り1個以下の無
水マレイン酸環を有し、半アルキルエステル化さ
れた平均分子量1000〜10000のスチレンマレイン
酸共重合体残基を意味し、nは1〜35の整数を意
味する。〕 で示されるネオカルチノスタチン複合体の製造
法。
Priority Applications (6)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP57031555A JPS58149903A (ja) | 1982-02-27 | 1982-02-27 | ネオカルチノスタチン複合体の製造法 |
| AT83301027T ATE23863T1 (de) | 1982-02-27 | 1983-02-25 | Neocarzinostatinkomplexe, verfahren zu ihrer herstellung und antitumormittel, das diese komplexe als aktive komponente enhaelt. |
| DE8383301027T DE3367921D1 (en) | 1982-02-27 | 1983-02-25 | Neocarzinostatin complexes, a method for producing the same, and an antitumor agent containing said complexes as an active component |
| EP83301027A EP0087957B1 (en) | 1982-02-27 | 1983-02-25 | Neocarzinostatin complexes, a method for producing the same, and an antitumor agent containing said complexes as an active component |
| CA000422497A CA1214458A (en) | 1982-02-27 | 1983-02-28 | Neocarzinostatin complexes, a method for producing the same, and an antitumor agent containing said complexes as an active component |
| US06/730,823 US4732933A (en) | 1982-02-27 | 1985-05-06 | Neocarzinostatin complexes, a method for producing the same, and an antitumor agent containing said complexes as an active component |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP57031555A JPS58149903A (ja) | 1982-02-27 | 1982-02-27 | ネオカルチノスタチン複合体の製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS58149903A JPS58149903A (ja) | 1983-09-06 |
| JPH0244319B2 true JPH0244319B2 (ja) | 1990-10-03 |
Family
ID=12334426
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP57031555A Granted JPS58149903A (ja) | 1982-02-27 | 1982-02-27 | ネオカルチノスタチン複合体の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS58149903A (ja) |
Families Citing this family (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS59139396A (ja) * | 1983-01-31 | 1984-08-10 | Kuraray Co Ltd | ネオカルチノスタチン複合体の製造方法 |
| JPS63211238A (ja) * | 1987-02-27 | 1988-09-02 | Masayasu Inoue | 抗潰瘍剤 |
| JP2556865B2 (ja) * | 1986-09-19 | 1996-11-27 | 山之内製薬株式会社 | ネオカルチノスタチン誘導体の非注射投与用組成物 |
| GB0123232D0 (en) | 2001-09-26 | 2001-11-21 | Smith & Nephew | Polymers |
| AU2004241830B9 (en) | 2003-05-26 | 2010-04-22 | Hiroshi Maeda | Antitumor agent and process for producing the same |
| CA2605205C (en) * | 2005-04-18 | 2011-11-01 | Hiroshi Maeda | Polymeric pharmaceutical agent for treatment of cancer and method for production of the same |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS6017206B2 (ja) * | 1977-03-24 | 1985-05-01 | 浩 前田 | ネオカルチノスタチン誘導体の製造法 |
-
1982
- 1982-02-27 JP JP57031555A patent/JPS58149903A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS58149903A (ja) | 1983-09-06 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP4745664B2 (ja) | カンプトテシン類の高分子誘導体 | |
| JP5369137B2 (ja) | 新規ブロック共重合体、ミセル調製物及びそれを有効成分とする抗癌剤 | |
| JP4039466B2 (ja) | 新規アンスラサイクリン系化合物誘導体及びそれを含む医薬製剤 | |
| JP4272537B2 (ja) | Y型分鎖親水性ポリマー誘導体、それらの調製方法、前記誘導体および薬剤分子の結合生成物、ならびに前記結合生成物を含む医薬組成物 | |
| JP4663233B2 (ja) | ベンジル脱離系を利用する高分子チオール結合プロドラッグ | |
| CN110591078B (zh) | 还原/pH双重响应性阿霉素前药的制备方法 | |
| JP2005513006A6 (ja) | ベンジル脱離系を利用する高分子チオール結合プロドラッグ | |
| JPWO1997012895A1 (ja) | 新規アンスラサイクリン系化合物誘導体及びそれを含む医薬製剤 | |
| EP0087957B1 (en) | Neocarzinostatin complexes, a method for producing the same, and an antitumor agent containing said complexes as an active component | |
| CN108276573A (zh) | 聚氨基酸、其制备方法和载药凝胶 | |
| JPH0244319B2 (ja) | ||
| EP0354836A1 (fr) | Polymères iodés à squelette dextrane, leurs procédés de préparation et leurs applications comme produits de contraste | |
| KR100348380B1 (ko) | 항종양미토크산트론중합체조성물 | |
| JPH0123480B2 (ja) | ||
| EP4190361A1 (en) | Polyethylene glycol conjugate drug, and preparation method therfor and use thereof | |
| CN118063689B (zh) | 成纤维细胞激活蛋白-α响应水解致电荷翻转的聚合物-药物偶联物及其制备方法和应用 | |
| EP0452179A2 (en) | Polymer-combined drug for gastric treatment and a method for producing the drug | |
| JPS6330886B2 (ja) | ||
| CN101095955A (zh) | 以聚天冬氨酸衍生物为载体的灯盏乙素前药及其制备方法 | |
| CN116284746B (zh) | 四臂peg青蒿琥酯及其应用 | |
| JPH05132431A (ja) | 高分子化薬剤およびその製造法 | |
| CN110787302A (zh) | 一种pH敏感青蒿琥酯聚合物前药及其制备方法、治疗结肠癌的药物组合物 | |
| RU2805370C1 (ru) | Лекарственное средство, представляющее собой конъюгат с полиэтиленгликолем, способ его получения и его применение | |
| CN101810561B (zh) | 水蛭素的聚离子胶束组合物 | |
| CN114948926A (zh) | 一种线粒体靶向的卡巴他赛药物前体及其制备方法和应用 |