JPH0314840B2 - - Google Patents
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- JPH0314840B2 JPH0314840B2 JP56061110A JP6111081A JPH0314840B2 JP H0314840 B2 JPH0314840 B2 JP H0314840B2 JP 56061110 A JP56061110 A JP 56061110A JP 6111081 A JP6111081 A JP 6111081A JP H0314840 B2 JPH0314840 B2 JP H0314840B2
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- A—HUMAN NECESSITIES
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Description
この発明は、「非A型」または「非B型」と称
される、輸血後の患者にみられるある種の肝炎
や、B型ウイルス性肝炎のような種々の型の肝炎
のウイルスに特徴的な免疫学的性質、ことに抗原
の性質(抗原性)を有する調製物に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明は、ヒト由来の蛋
白質を含まぬ高純度の調製物、およびそれが
HBs抗原の抗原的性質に類似する性質を有する
調製物である場合は、デイン粒子を含まぬ調製物
に関するものである。肝炎ウイルスの特異抗原性
のあるものが、本質的にB型ウイルス性肝炎
(HBV)のウイルスのエンベロープないしはデイ
ン粒子によつて形成される「HBs抗原」すなわ
ち「HBsAg」に起因することは知られている。
B型ウイルス性肝炎に対してワクチン作用を有す
るこの抗原は今のところ、ヒト血清標本から得ら
れるが、B型肝炎ウイルス(HBV)の特別な性
質が理由となつて、他のHBsAg供給源はない。
従つて、ヒト、チンパンジーそして恐らくは少数
の他の霊長動物を感染させるしか方法がないもの
と考えられる。従来、生体外で、細胞培養により
このものを増殖させることは不可能であつた。確
かにHBsAgを作る悪性肝癌は知られている。し
かしながら肝炎ワクチンを生産するためヒトに対
してガン性細胞を用いることには大反対があろ
う。もつとも、ヒト由来のHBs抗原を予防的に
用いることはさほど重大な危険性はない。事実、
B型ウイルス性肝炎に罹患したヒトからHBs抗
原は生ずるが、このものは、場合によつては高度
に感染性のデイン粒子が存在しており、たとえど
んなに純化しても血清由来のHBsAg調製物から
取除くことはできない。従来、血清蛋白または他
の抗原性成分からの高度に純化された調製物は投
与されたヒトに厄介な免疫反応を起しうるが、そ
の内容物を無視することができない。すなわち、
血清中の蛋白質に対して、もともとHBsAg含量
が極めて低いからである(たとえば、血清1ml中
の蛋白質80mgに対してHBsAgは50μg程度であ
る)。 十分な量のウイルスを入手することは困難なこ
とであるが、それでも、B型肝炎ウイルスのゲノ
ムは部分的に一重鎖の環状DNAからなり、その
最長のストランドは3200個程度のヌクレオチドか
らなることが明らかにされている(SummersJ.
等、Proc.Nat.Sci.U.S.A.72,4597−4601)。従来
は、精々、B型肝炎ウイルスのエンベロープの免
疫学的性質にかかわるHBsAg抗原の蛋白部分を
コード付けする遺伝子の存在位置をつきとめるこ
とが可能なのみであつた。この遺伝子部分は「S
遺伝子」と称され、ことに後記第1図中に示され
たデイン粒子のゲノムに関する図式化マツプに見
られる。第1図はデイン粒子のゲノムのDNAの
図式化マツプである。このDNAは2個のストラ
ンドb1およびb2を含んでおり、その短い方のb2
は、通常図の破線部分を欠いている。このDNA
が1個のEcoR部位のみを有することが知られ
ている。矢印f1は最長ストランドb1を構成するヌ
クレオチドの番号の方向を、そして、矢印f2はB
型肝炎ウイルスに侵入された細胞の細胞的機構に
よるS遺伝子の転写の方向をそれぞれ示す。従つ
て、EcoR部位は0、またはB型肝炎ウイルス
の場合は3182と番号づけられる(Nature,1979,
vol.281,p646−650)。 内側の同心円e1はヌクレオチドの番号のスケー
ルを示す。この円によつて、このDNAの位置の
あるものが特定できる。図の下端の3′,5′およ
び5′,3′は、核酸鎖末端の従来からの表示法に
よる同一番号を有する末端を示す。HBsAg抗原
の蛋白部分をコード付けする遺伝子がせいぜいつ
きとめられている。「S遺伝子」と称されるこの
遺伝子部分は、図中、矢印Sにより図式化して示
されている。このS遺伝子は第1図中、S遺伝子
の転写の方向に155および833番目のヌクレオチド
の間に位置する最長ストランドb1のフラグメント
により、本質的に担持されている。デイン粒子の
ゲノム中、最短のストランドb2は、たとえばT.
A.Landers等(J.Viol.,23,1977,p368−376)
の方法により、先駆体ヌクレオチドとポリメラー
ゼの存在により生体外で「修復」しうる。このよ
うに修復された肝炎ウイルスのゲノム(または、
同じアミノ酸配列をコード付けしうるいかなる
DNA)を以下、省略のためにDNA HBVと称す
る。 従つて、本発明の第1の目的は、種々のウイル
ス性肝炎にかかわるウイルスの全ゲノム、ことに
DNA HBVの全部または一部の、真核細胞の研
究または形質発現に応用しうる上記方法を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、この方法を
実施しうる修飾ベクターの生産を提供することに
ある。この発明の更に他の目的は、再現可能かつ
安定した、ヒト血清以外の系から、前述した高純
度の、HBsAgまたはそれに類似する抗原と免疫
学的に同じ特異性を有する(あるいは、恒常的な
監視が可能な、いくつかの特別な性質を有する)
抗原を含有する調製物の生産を提供することにあ
る。 本発明によれば、相当するウイルスの通常環状
または全ゲノムによる特別な細胞の培養を転換し
うる可能性を決定することができる方法が提供さ
れる。この方法は、相当するウイルスに感染され
うる宿主中で、一方では全ウイルスに関する活性
抗体を生体内で産生しうる免疫原蛋白をコード付
けするウイルスDNA部分を少なくとも有し、そ
して、他方では該ウイルスDNA部分の転写と翻
訳とが通常その制御下に行なわれるウイルスプロ
モーターとを含有する挿入配列を含有するベクタ
ー、ことにプラスミドによつて該細胞培養株を転
写させることからなる操作を含んでいる。 本発明の第一の態様によれば、上述の挿入配列
は、転写の同一方向に配向した2個のDNA
HBVのような少なくとも2個のこれらのDNAに
より形成されており、その一方の尾部は他方の頭
部に結合している。以下の記載において、表現上
「タンデム配列」なる用語がしばしば用いられる
が、これは、別に定義した場合を除き、この結合
方法による2個のDNAを含む挿入配列を意味す
る。 本発明の好適な態様によれば、上述の挿入配列
は、少なくともこれら2個のDNA HBVまたは
DNA HBVのフラグメントから形成されており、
同一の転写方向に配向したEcoR部位の各々の
側において、一方のDNA HBVフラグメントが、
HBs抗原の免疫学的性質にかかわるポリペプチ
ドをコード付けするのに適したS遺伝子のヌクレ
オチド配列を含有し、そして他方のフラグメント
がS遺伝子のプロモーターを含有しうる程度の長
さを有している。 本発明の第1の好適な態様によれば、挿入配列
の配向したDNAがDNA HBVのフラグメントに
より構築されており、これらフラグメントの一方
の尾部が他方フラグメントの頭部にEcoR部位
のレベルで結合している。後者の挿入配列のう
ち、非本質的な部分を欠損しうることは自明であ
ろう。 従つて、かような挿入配列は、好適には一方で
はHBs抗原の免疫学的性質にかかわるポリペプ
チドのS遺伝子をコード付けするDNA HBVフ
ラグメントを有し、他方では、S遺伝子のプロモ
ーターを十分含有しうる長さのDNA HBVフラ
グメントを転写の方向で前者のフラグメントの上
流方向に有し、そして、これら2種のフラグメン
トは、通常DNA HBV EcoR部位の両側に位
置している。換言すれば、かような挿入配列は、
第1図中、一方では、サブ・フラグメントがS遺
伝子を全体として含むとき、ヌクレオチド位0番
と833番の間に含まれるサブ・フラグメントを含
み、そして、他方では、ヌクレオチド位3182番
(0番に一致するEcoR切断部位)とこの3182番
(すなわち0番)から十分に離れた距離にある位
置の間(転写の方向と反対方向に)に含まれるサ
ブ・フラグメントを含み、上述のプロモーターが
後者のサブ・フラグメント中に含まれるようにな
つている。後者のサブ・フラグメントは、通常S
遺伝子の開始部の上流に、約235という多くのヌ
クレオチドに相当する距離に存在する
TATATAA配列を含んでいなければならない。
さらに詳しくは、この挿入配列はそれ自身ヌクレ
オチド位840かあるいはそれに近い部位で、Bgl
部位の上流部分に位置した付加的なDNA
HBV部分を含有しよう。 本発明の付加的な態様によれば、この挿入配列
は、さらに、転写の方向でS遺伝子の下流部分に
サブ・フラグメントを含みこのサブ・フラグメン
トは、通常、DNA HBV Bam H部位を超え
て転写の方向に伸長している。 好適な挿入配列は、HBs抗原に相当するメツ
センジヤーRNAをコード付けする遺伝子の全部
を含む。第1図を参照すると、このRNAメツセ
ンジヤーは矢印ARNで示されており、その始ま
りの部分はヌクレオチド2800と実質的に一致して
おり、そしてそれはBamHおよびBgl1986部
位の間で終つている。 すなわち、上述した3つのサブ・フラグメント
は、第1のサブ・フラグメント、すなわち、プロ
モーター領域の上流にある部位から3182番に亙る
サブ・フラグメント〔例えば、ヌクレオチド位
2840番(Bal切断部位)と3182番(すなわち0
番)の間にあるようなサブ・フラグメント〕;第
2のサブ・フラグメント、すなわち、0番から
833番に到る、S遺伝子配列を含むフラグメン
ト;及び、第3のサブ・フラグメント、すなわ
ち、矢印f1で示される方向に、さらに、833番か
らRNAに転写されるDNA配列の末端ヌクレオチ
ド位(例えば、図1で示されるヌクレオチド位
1621番に相当する部位)まで延びたフラグメント
である。 本発明に応用しうる好適な挿入配列は、それ
故、S遺伝子と、HBs抗原に対応するメツセン
ジヤーRNAをコード付けする遺伝子の両方を有
するのが特徴である。本明細書の以下の記載から
明らかなように、本配列は好適には、HBc抗原
としての免疫学的性質を有する蛋白質で表わされ
るに十分なHBc抗原をコード付けする遺伝子部
分を何らもたない。 本明細書では以下、特にDNA HBVについて
述べるが、ここに記述する方法は他のタイプの肝
炎を起こす他のウイルスのDNAまたは対応する
全ゲノムにも応用しうるものである。 本発明は、転換された細胞の検出を容易にする
ため、同時にラベル化するのが好ましく、たとえ
ば、特別な培地中におかれたとき、選択の目的で
天然にまたは誘導した、その生育に通常必要な選
択しうるラベル化遺伝子を欠いた細胞もしくはそ
のミユータントを用いる。この細胞は、その中に
その欠乏を「補償」しうる(異起原の相補DNA
であるが)遺伝子または相同DNAのフラグメン
トを導入することにより、少なくとも同一の培地
中で生育しうる。 この方法は、細胞を転換する以下のいずれかの
手法でおこなわれる。すなわち、(1)一方ではこと
にDNA HBVから誘導される挿入配列を、そし
て他方では相補DNA(例えば選択性の目印となる
標識又はマーカー)を含み、それらをそれぞれ自
己のゲノム中に挿入した単一のベクターを用いる
か、あるいは、(2)2種のベクターを用い(同時転
換すなわち共転換)、一方のベクターは、好適に
はプラスミドであつて、相補DNA(例えば選択性
の目印となる標識又はマーカー)をそのゲノム中
に挿入してあらかじめ修飾したものであり、そし
て他方のベクターは好適にはプラスミドであり、
上述の挿入配列のゲノム中に挿入してあらかじめ
修飾したものである。 上記培地中で培養後、この挿入配列で転換され
たコロニーを集める。培地中の細胞により形質発
現されうるDNA HBVである限りは、タンデム
配列(または2以上のDNA HBV単位を有する
もの)、あるいは、もつと一般的に上述した挿入
配列は、ベクターの存在なしに、細胞中に導入さ
れた対応する環状DNAと同様に正常に挙動する
に違いない。環状DNA自身にかわつてかような
ベクター、ことにプラスミドを用いることによつ
て、生体外で予め構築されたベクターの細菌をク
ローン化することにより増幅したあとでこのベク
ターを大量に得られるという利点がもたらされ
る。従つて、 本発明によれば、試験されるべき真核細胞中に
発現される環状DNAまたは全ウイルス、ゲノム、
ことにDNA HBV以外の肝炎ウイルスのDNAの
能力を、その制御下に転写が行われるプロモータ
ーの正確な位置に配慮する必要がなく、試験する
ことができる。 上記挿入配列、ことにDNA HBVから誘導さ
れたものを、この挿入配列の形質発現を真核細胞
培養ことにマウスもしくはヒト由来のものに誘導
するのに使用しうる。 転換された細胞のラベル化に明瞭なベクター、
ことにマーカーを含むプラスミドを用いる時は、
BamHのような特異的酵素限定によりウイル
スのゲノムから切除されるヘルペス・シンプレツ
クスHSV−1ウイルスのチミジン・キナーゼの
遺伝子のような「相補DNA」を含むプラスミド
を用いることが好ましい。多種の真核細胞中でチ
ミジン・キナーゼの合成を命令するように適合さ
れた相同遺伝子(培地から供給される外生チミジ
ンのリン酸化酵素)がこのウイルス由来のチミジ
ン・キナーゼの遺伝子に相当する。 ある種の真核細胞の遺伝子欠陥(ことにマウス
の場合)を克服する可能性については、誘発また
は刺激変異による内生チミジン・キナーゼの遺伝
子に関して、既にM.Wigler等により発表されて
いる(Cell.vol.,223−232,1977)、TK−と称
される欠陥細胞は「HAT培地(チミジンに加え
てヒポリキサンチンとアミノプテリンを含有して
いる)」として知られるような培地中ではチミジ
ン・キナーゼを合成する能力がないので選択され
る。この培地を用いると「救助回路」と称される
代謝ルートによつてのみチミジン・ホスフエート
の合成が可能であることが知られているが、この
回路は、その中で生育が可能な細胞のTK遺伝子
の完全さが保持されたということを示唆する。し
かしながら、TK-細胞は、ヘルペス・ウイルス
のTK遺伝子を取込んで修飾されるや否や、同一
培地中で生育が可能となり、この生質は、その後
の細胞分裂による子孫に対して遺伝的に伝播が可
能である。そして、それ以前は「TK-」であつ
たものが、取込み後の細胞は修復されて「TK+」
となり上記培地中でチミジンをリン酸化する能力
を獲得し、生育が認められる。 言うまでもなく、チミジン・キナーゼの遺伝子
を含むDNAフラグメントを他の適当な相補DNA
に置きかえることは可能である。本発明によるベ
クターの構築に使用されうる相補遺伝子の他の例
としてはジヒドロホレート・レダクターゼ
(DHFR)を含むものや、さらに一般的には天然
に存在する多数の例のいかなる相補遺伝子をも挙
げることができる。 相補DNAは、勿論、天然の遺伝子を含みうる。
それは、また、相当するARNメツセンジヤーを
コピーすることにより、ことに酵素的に合成する
こともできる。 共転換の技術自身に関して言えば、相補遺伝子
が挿入されたベクターと誘導DNA HBVフラグ
メントが100以上の高比率、たとえば1000のオー
ダーの比率で挿入されたものを使用するのが有利
である。この比率が高いほど、この2種のベクタ
ーにより同時に共転換される細胞数が多くなる。 共転換に使用される2種の修飾ベクターを形成
するには、同一の基本的なベクターに依存するこ
とが有利である。特に好適な基本ベクターはプラ
スミドpBR322により構築される。この修飾共転
換ベクターの1個(pCP10)を形成するのに、そ
のEcoR部位に「DNA HBVタンデム」を挿入
することがことに可能であろう。 Pvu部位または同一pBR322プラスミドの
BamH部位にtkHSV遺伝子を挿入することに
より第二の共転換ベクター(pAGO)を得ること
ができる。 培養条件に関しては、十分に培養が進んだ培地
を転換時かまたはそのしばらく後に、非相補細胞
が生育できない培地(たとえば、選択された相補
DNAがチミジン・キナーゼ遺伝子の場合には
HAT培地)に変えなければならないことは自明
であろう。 共転換が行なわれ、ことに上記の好適な修飾プ
ラスミドがマウス線維芽細胞中で活動を始める
と、共転換細胞により培地中にB型肝炎ウイルス
のエンベロープの特徴である免疫学的性質を有す
る粒子を排泄することにより構成される顕著な結
果、ことにヒト血清から単離された天然HBsAg
抗原を凝集しうる抗体によるその凝集をもたら
す。抗HBgAg抗体により凝集されうる排泄粒子
の存在は、たとえば、蛍光抗HBsAgおよび抗
IgGウサギ血清を用いる間接免疫蛍光法のような
慣用のラジオ・イムノアツセー法により検出でき
る。 そして、その生成量は、天然HBsAgに用いら
れるそれ自身公知の直接受身血球凝集試験法によ
り測定される。 ことに顕著なことは、特にマウス細胞培養中に
排出される細胞は、ヒト抗体抗HBcおよび抗
HBe/1,2,3を用いる直接免疫蛍光法によ
り検出可能な痕跡量のHBcAgおよびHBeAg抗
原を含まないことである。共転換された細胞自身
を抗HBsAg血清と接触させることにより、個別
化された細胞質粒子が共転換細胞の大半を占める
ことが間接免疫蛍光法で判明する。細胞溶解後、
これらの粒子はスポツトされうる。多くの場合、
排泄粒子は産生されうる抗HBsAg抗体により凝
集しうる粒子の大半を占める。 形成された粒子は、培地中に排泄されたものと
あるいは共転換細胞の細胞質中に保持されたもの
とを問わず、後記実施例中で述べられる性状を依
然として有している。 しかしながら、B型肝炎ウイルスの環状クロー
ン化DNAでヒトHeLa細胞を転換させると、培
地中にはHBsのもののみならず、HBc抗原を含
む完全ウイルス粒子の細胞もが排泄されることが
見出されている(後記参考文献9)。 本発明の追加的改良によれば、DNA HBVか
ら誘導される上記した如き挿入配列であつて、予
めDNA HBVのS遺伝子以外のある部分を切除
しておき、それによつて全デイン粒子のコード付
けがもはや不可能となつた有効ゲノムのみを用い
ることが有利である。ことに、HBc抗原をコー
ド付けするに十分な遺伝子部分を欠損した挿入配
列を用い、そによつて感染細胞によるHBc抗原
の産生を防止することができる。 従つてこれらの挿入配列は、ベクターの修飾に
使用され、そしてそのベクターはマウス線維芽細
胞であれ、ヒト細胞であれ、真核細胞の転換を、
HBc抗原産生の可能性無しに行うのに適してい
る。 ことにこのDNA挿入部分(インサート)は、
ヌクレオチド位1986番及び2425番の部位で、Bgl
部位末端で結合したフラグメントが欠損したB
型肝炎のウイルスDNAにより構築するのが有利
である。第1図の図式を参照するとC遺伝子の内
側に全DNAに関するその相対的位置が矢印Cで
示されている。 ことに、上述したような、より大きいフラグメ
ントが欠損した本来のDNA HBVの挿入配列を
用いることも可能である。 もちろん、この挿入DNAは、挿入配列の形質
発現能力や翻訳相に影響を及ぼさない限り、付加
的な欠損を更に含んでいてもよい。同様にして、
本発明においては、明細書および実施例において
企図した以外のサブ・タイプに属するウイルス
DNAに相当する配列に関する均等な挿入配列で
あれ、あるいは、HBs抗原に対する抗体と免疫
的に反応する発現産物の能力を変えないである部
分が修飾された配列であれ使用することにも及
ぶ。 かくして、上述のごとき挿入配列による修飾ベ
クターで転換されたマウス線維芽細胞の細胞培養
から、ヒト由来の成分、ことに血清蛋白なしに、
検出限界内のデイン粒子およびそれに含有される
特徴的抗原を含まないHBsAg抗原の免疫学的性
質を有する抗原調製物を得ることが可能である。 さらに、培養培地中に排泄された蛋白質が、事
実ワクチン免疫活性を有することが立証されてお
り、これはヒト血清から抽出された天然HBs抗
原の免疫原性を立証するのに現在使用されている
実験的手法により、このものをことにマウスまた
はウサギに生体内投与したとき、肝炎ウイルス、
特にB型肝炎ウイルスに対して活性なヒト抗
HBsAg抗体に類似した抗体の生体内での産生を
誘発する能力により立証されている。 本発明は、約18〜25nmの範囲の大きさを有し、
DNAポリメラーゼを含まず、デイン粒子、HBe
抗原、HBc抗原を全く含まず、ヒト血清中の
HBs抗原と凝集反応を起す抗体によつて凝集せ
しめられるが抗HBc抗体および抗HBe抗体によ
つては検出されず、免疫原性であつて、B型肝炎
ウイルスに対しワクチンとなる性質を示し、伝染
性の肝炎を起さず、かつ、一方でS遺伝子、転写
の方向に関してS遺伝子の上流にあつてS遺伝子
の転写を制御する、TATATAA配列を含むプロ
モーター領域を包含するに充分長い、B型肝炎ウ
イルスのDNAの領域及び他方ではS遺伝子の下
流にあつてS遺伝子を発現せしめるに充分長い領
域を含むB型肝炎ウイルスのDNAフラグメント
からなる挿入配列を含むベクター(ここで、該フ
ラグメントは、該プロモーター領域と該S遺伝子
の間にEcoR部位を含み、かつ、該遺伝子全体
がHBs抗原に相当するメツセンジヤーRNAをコ
ードする)を用いて形質転換せしめられた真核細
胞から遺伝子工学的に得ることができるヒト由来
の成分を全く含まない粒子並びに該粒子と薬学的
に許容される担体からなるワクチン組成物に関す
るものである。 本発明はまた、ヒト由来のデイン粒子、HBc
抗原および血清成分を有しない程度の純度を有す
るHBsAg抗原の免疫原性および免疫学的性質を
有する蛋白質から成るワクチンを構成する新規な
調製物にも関する。 本発明は、更に詳しくは、この抗体(共転換さ
れた細胞の培養培地または細胞溶解物から回収さ
れうるもの)と、必要に応じてウイルス性肝炎に
対する活性ワクチンを構成する適当な医薬用担体
とからなり、経口的または非経口的に投与可能な
ワクチン組成物に関するものである。 本発明は更にまた、特にその血清蛋白または他
の抗原たとえばHBcAgもしくはHBeAg等の相
対含有量を検討しうるHBsAg抗原(天然由来か
否かを問わず)の純度に関して標準または対照と
して使用しうる、これら抗原の一定量を含有する
実験用試薬にも関するものである。 本発明を、HBsAgの免疫学的活性を有する抗
原の製造に用いる修飾プラスミド(これ自体、本
発明の一部を成す)についての応用に関する実施
例によつて更に説明する。 実施例 1 Bウイルス肝炎ウイルスのDNAを含有する組
み換え体の構築 200ngのpBR322をエンドヌクレアーゼEcoR
で消化させ、ついで2.6単位のアルカリ・ホスフ
アターゼのトリス塩酸緩衝液(100nM、PH8)
で60℃で60分間処理した。フエノールで2回、つ
いでエーテルで3回抽出したのち、DNAをエタ
ノールで沈澱させた。固体残渣を水に溶解し、こ
の溶液に100ngのEcoHBV DNA〔B型肝炎ウイ
ルスのクローン化された二重鎖の全ゲノムであつ
て、その独特のEcoR部位で切断されて直線状
になつたもの〕(PNAS,vol.76,P.2222〜
2226.1979年参照)を加えた。次いで上記参考文
献1で述べた結紮を行つた。 100μg/mlのジアミノピメリン酸と20μg/ml
のチミジンを含有する培地Lにより構成される培
地中で、E.coliDP50を培養した。 次に、この細菌を、100μg/mlのアンピシリ
ンと15μg/mlのテトラサイクリンに耐性を有す
ることにより選択された組み換え体を混合するこ
とにより、上記方法に従つて転換させ、900個の
コロニーを得た。これは、全て、その場でのハイ
ブリデーシヨン(プローブとしてEco HBV
DNAを用いる)によつてHBV DNAが存在する
か否かを試験され、うち800コロニーが陽性であ
つた。このうちち、交雑活性の高い16コロニーを
集め、プラスミドを抽出し、その構造をEcoR,
Xho,HindおよびXbaの存在下に解析し
た。 得られた組み換え体の構造は第2a図および第
2b図に図式化されており、一方はEco HBV
DNA遺伝子を、そして他方は修飾PCP10プラス
ミドの構造を示す。ここに、EcoR部位のレベ
ルで、一方の頭部が他方の尾部に結合した2個の
連結Eco HBV DNAフラグメントによつて構築
されたpBR 322 DNAフラグメントがプラスミ
ド中に挿入されている(タンデム型頭−尾挿入)。 集められた上記16コロニー中、14コロニーが
pCP10型プラスミドを保有しており、そして配向
可能な2方向のうち、挿入された2個のEco
HBV DNAは頭−尾型タンデム配列を示した。 DNAフラグメントEco HBV DNAの挿入方
向を決定可能だつたのは、HindおよびXba
エンドヌクレアーゼによる消化のためである。 pCP10プラスミド中の2個のEco HBV DNA
フラグメントの組込みは、Xhoエンドヌクレア
ーゼの存在下の消化により証明され、このエンド
ヌクレアーゼによつて、10726対の塩基を有する
雑種プラスミドpCP10からのEco HBV DNAと
同程度の大きさのDNAフラグメントが切除され
て産生された。 第2a図および第2b図中、Eco HBV DNA
中の、また雑種プラスミドpCP10中のS遺伝子の
各位置は、それぞれ太線の矢印Sにより示されて
いる。横側の小矢印は、相当するDNA鎖中のあ
る種の制限酵素作用部位の相対位置を示してい
る。 アンピシリン耐性因子(ApR)およびテトラサ
イクリン耐性因子(TcR)の位置も、それぞれ図
式化して示されている。 同様にして、pBR322のプラスミドのPvu部
位に、ヘルペス シンプレツクスウイルスHSV
−1のチミジン・キナーゼ遺伝子(HSV−tk)
(後記参考文献2)を挿入して得られたpAG0プ
ラスミドを第2c図に示す。 上記チミジン キナーゼ欠損マウス細胞のプラ
スミド(Ltk-)による培養および転換 最少必須培地MEM 0 111 Gibco中で、必要
に応じて10%仔牛血清を加えて、チミジン・キナ
ーゼ欠損のLMマウス細胞ミユータント(Ltk-)
を培養した。次いでGrahamおよびVan Der Eb
法(後記参考文献3)のStowおよびWilkie変法
(後記参考文献4)に従つて、転換のために該プ
ラスミドに相当するDNAを、フアルコン フラ
スコ中で上記細胞の一杯に増殖した単一相(25cm2
当り2×106個の細胞)に接種した。 この転換を行うに際して、pAGOプラスミド
(Hindエンドタクレアーゼで線状化されたも
の)および同酵素で線状化され、もしくはされな
いpCP10プラスミドを同時に使用した。全ての試
験で、pAGO/pCP10の分子量比は、1/1000の
オーダーであつた。DNA濃度を少くとも10μ
g/mlに調節するためにDNAサケ精子を担体と
して使用した。転換後、細胞培養物を、15μg/
mlのヒポキサンチン、0.1μg/mlのアミノプテリ
ン、および5μg/mlのチミジンを更に含む選択
的HAT培地中に保持した。 転換後24時間目に、培地中に100倍に濃縮した
HAT溶液を加え、そして、1週間後、およびそ
の後は3日毎に濃縮HAT溶液を取りかえた。 選択的HAT培地中で2種のプラスミドの存在
下(共転換)、15日間培養させると、コロニーの
形成が認められた。共転換から20日後に、培地中
におけるHBsAgの産生をラジオ・イムノアツセ
ー法で検出した。対照として単一のプラスミド
pAGOで転換させ、同条件下に形成された培養物
からはHBsAgの産生はみられなかつた。 共転換から20日後に、HAT培地に耐性のtk+
コロニーをパスツール・ピペツトで集め、ミクロ
プレート上の組織培養に移した。5日毎にコロニ
ーの継代を行い、HAT培地中で連続的かつ淘汰
圧下に保つた。 線状pCP10の存在下に共転換させて得られた5
個のコロニーと、環状pCP10でマウス細胞を共転
換させて得られた10個のコロニーとを採取して、
HAT培地中で培養したところ、全ての培地にお
いいてHBsAgが培地中に産生された。産生され
たHBsAg量は、培養物により異なり、1対30の
範囲内にあるが、その産生量は安定しており、数
代継代培養した後であつても安定に保たれた。 このHBsAgは培地の上澄液から遠心分離して
回収し、塩化セシウムを用いた密度勾配遠心法に
より精製され、1.20g/mlの密度帯から集められ
た。かくして得られたHBsAgは、37℃で1時間
培養後、ラジオ・イムノアツセー法で検出可能な
程度に抗HBsAg血清溶液(10/1の比率)で完
全に中和された。 電子顕微鏡写真によれば、このものは18nmな
いし25nm(平均22nm)の大きさの球状粒子であ
つた。そしてこのものはヒト血清から単離される
22nmの球状粒子抗原を形態的に想起させたが、
少なくともこの実験条件下では、ヒト血清から抽
出される抗原に認められる繊維状構造はみられ
ず、そしてデイン粒子は検出されなかつた。 次表に、使用したプラスミドで共転換されたマ
ウス細胞tk-の産生態を示す。ここで、比率P/
Nは、細胞の共転換から20日後の免疫学的試験に
よりHBsAgの投与量が決定されたときの、対照
培地中での毎分崩壊数(dpm)に対する上澄液の
dpmの割合を示し、P/N比が2.1以上のときに
は有意差があると考えた。 ここで、Nは、対照(比較)の細胞の上澄液を
HBsAgに対する放射線標識化抗体に接触せしめ
たときの、バツクグランドのノイズの活性に対応
し、Pは、確実には、より大きな活性によつて証
明されるHBV DNAから誘導された配列によつ
て形質転換された細胞系(セルライン)の上澄液
について測定されたdpm数に対応する。比P/N
が2.1を超えると、相当するセルライン(活性P
を有する)が、また、効果的に形質転換され、
HBsAg粒子を転換することができるセルライン
であることが、十分結論づけられた。
される、輸血後の患者にみられるある種の肝炎
や、B型ウイルス性肝炎のような種々の型の肝炎
のウイルスに特徴的な免疫学的性質、ことに抗原
の性質(抗原性)を有する調製物に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明は、ヒト由来の蛋
白質を含まぬ高純度の調製物、およびそれが
HBs抗原の抗原的性質に類似する性質を有する
調製物である場合は、デイン粒子を含まぬ調製物
に関するものである。肝炎ウイルスの特異抗原性
のあるものが、本質的にB型ウイルス性肝炎
(HBV)のウイルスのエンベロープないしはデイ
ン粒子によつて形成される「HBs抗原」すなわ
ち「HBsAg」に起因することは知られている。
B型ウイルス性肝炎に対してワクチン作用を有す
るこの抗原は今のところ、ヒト血清標本から得ら
れるが、B型肝炎ウイルス(HBV)の特別な性
質が理由となつて、他のHBsAg供給源はない。
従つて、ヒト、チンパンジーそして恐らくは少数
の他の霊長動物を感染させるしか方法がないもの
と考えられる。従来、生体外で、細胞培養により
このものを増殖させることは不可能であつた。確
かにHBsAgを作る悪性肝癌は知られている。し
かしながら肝炎ワクチンを生産するためヒトに対
してガン性細胞を用いることには大反対があろ
う。もつとも、ヒト由来のHBs抗原を予防的に
用いることはさほど重大な危険性はない。事実、
B型ウイルス性肝炎に罹患したヒトからHBs抗
原は生ずるが、このものは、場合によつては高度
に感染性のデイン粒子が存在しており、たとえど
んなに純化しても血清由来のHBsAg調製物から
取除くことはできない。従来、血清蛋白または他
の抗原性成分からの高度に純化された調製物は投
与されたヒトに厄介な免疫反応を起しうるが、そ
の内容物を無視することができない。すなわち、
血清中の蛋白質に対して、もともとHBsAg含量
が極めて低いからである(たとえば、血清1ml中
の蛋白質80mgに対してHBsAgは50μg程度であ
る)。 十分な量のウイルスを入手することは困難なこ
とであるが、それでも、B型肝炎ウイルスのゲノ
ムは部分的に一重鎖の環状DNAからなり、その
最長のストランドは3200個程度のヌクレオチドか
らなることが明らかにされている(SummersJ.
等、Proc.Nat.Sci.U.S.A.72,4597−4601)。従来
は、精々、B型肝炎ウイルスのエンベロープの免
疫学的性質にかかわるHBsAg抗原の蛋白部分を
コード付けする遺伝子の存在位置をつきとめるこ
とが可能なのみであつた。この遺伝子部分は「S
遺伝子」と称され、ことに後記第1図中に示され
たデイン粒子のゲノムに関する図式化マツプに見
られる。第1図はデイン粒子のゲノムのDNAの
図式化マツプである。このDNAは2個のストラ
ンドb1およびb2を含んでおり、その短い方のb2
は、通常図の破線部分を欠いている。このDNA
が1個のEcoR部位のみを有することが知られ
ている。矢印f1は最長ストランドb1を構成するヌ
クレオチドの番号の方向を、そして、矢印f2はB
型肝炎ウイルスに侵入された細胞の細胞的機構に
よるS遺伝子の転写の方向をそれぞれ示す。従つ
て、EcoR部位は0、またはB型肝炎ウイルス
の場合は3182と番号づけられる(Nature,1979,
vol.281,p646−650)。 内側の同心円e1はヌクレオチドの番号のスケー
ルを示す。この円によつて、このDNAの位置の
あるものが特定できる。図の下端の3′,5′およ
び5′,3′は、核酸鎖末端の従来からの表示法に
よる同一番号を有する末端を示す。HBsAg抗原
の蛋白部分をコード付けする遺伝子がせいぜいつ
きとめられている。「S遺伝子」と称されるこの
遺伝子部分は、図中、矢印Sにより図式化して示
されている。このS遺伝子は第1図中、S遺伝子
の転写の方向に155および833番目のヌクレオチド
の間に位置する最長ストランドb1のフラグメント
により、本質的に担持されている。デイン粒子の
ゲノム中、最短のストランドb2は、たとえばT.
A.Landers等(J.Viol.,23,1977,p368−376)
の方法により、先駆体ヌクレオチドとポリメラー
ゼの存在により生体外で「修復」しうる。このよ
うに修復された肝炎ウイルスのゲノム(または、
同じアミノ酸配列をコード付けしうるいかなる
DNA)を以下、省略のためにDNA HBVと称す
る。 従つて、本発明の第1の目的は、種々のウイル
ス性肝炎にかかわるウイルスの全ゲノム、ことに
DNA HBVの全部または一部の、真核細胞の研
究または形質発現に応用しうる上記方法を提供す
ることにある。本発明の他の目的は、この方法を
実施しうる修飾ベクターの生産を提供することに
ある。この発明の更に他の目的は、再現可能かつ
安定した、ヒト血清以外の系から、前述した高純
度の、HBsAgまたはそれに類似する抗原と免疫
学的に同じ特異性を有する(あるいは、恒常的な
監視が可能な、いくつかの特別な性質を有する)
抗原を含有する調製物の生産を提供することにあ
る。 本発明によれば、相当するウイルスの通常環状
または全ゲノムによる特別な細胞の培養を転換し
うる可能性を決定することができる方法が提供さ
れる。この方法は、相当するウイルスに感染され
うる宿主中で、一方では全ウイルスに関する活性
抗体を生体内で産生しうる免疫原蛋白をコード付
けするウイルスDNA部分を少なくとも有し、そ
して、他方では該ウイルスDNA部分の転写と翻
訳とが通常その制御下に行なわれるウイルスプロ
モーターとを含有する挿入配列を含有するベクタ
ー、ことにプラスミドによつて該細胞培養株を転
写させることからなる操作を含んでいる。 本発明の第一の態様によれば、上述の挿入配列
は、転写の同一方向に配向した2個のDNA
HBVのような少なくとも2個のこれらのDNAに
より形成されており、その一方の尾部は他方の頭
部に結合している。以下の記載において、表現上
「タンデム配列」なる用語がしばしば用いられる
が、これは、別に定義した場合を除き、この結合
方法による2個のDNAを含む挿入配列を意味す
る。 本発明の好適な態様によれば、上述の挿入配列
は、少なくともこれら2個のDNA HBVまたは
DNA HBVのフラグメントから形成されており、
同一の転写方向に配向したEcoR部位の各々の
側において、一方のDNA HBVフラグメントが、
HBs抗原の免疫学的性質にかかわるポリペプチ
ドをコード付けするのに適したS遺伝子のヌクレ
オチド配列を含有し、そして他方のフラグメント
がS遺伝子のプロモーターを含有しうる程度の長
さを有している。 本発明の第1の好適な態様によれば、挿入配列
の配向したDNAがDNA HBVのフラグメントに
より構築されており、これらフラグメントの一方
の尾部が他方フラグメントの頭部にEcoR部位
のレベルで結合している。後者の挿入配列のう
ち、非本質的な部分を欠損しうることは自明であ
ろう。 従つて、かような挿入配列は、好適には一方で
はHBs抗原の免疫学的性質にかかわるポリペプ
チドのS遺伝子をコード付けするDNA HBVフ
ラグメントを有し、他方では、S遺伝子のプロモ
ーターを十分含有しうる長さのDNA HBVフラ
グメントを転写の方向で前者のフラグメントの上
流方向に有し、そして、これら2種のフラグメン
トは、通常DNA HBV EcoR部位の両側に位
置している。換言すれば、かような挿入配列は、
第1図中、一方では、サブ・フラグメントがS遺
伝子を全体として含むとき、ヌクレオチド位0番
と833番の間に含まれるサブ・フラグメントを含
み、そして、他方では、ヌクレオチド位3182番
(0番に一致するEcoR切断部位)とこの3182番
(すなわち0番)から十分に離れた距離にある位
置の間(転写の方向と反対方向に)に含まれるサ
ブ・フラグメントを含み、上述のプロモーターが
後者のサブ・フラグメント中に含まれるようにな
つている。後者のサブ・フラグメントは、通常S
遺伝子の開始部の上流に、約235という多くのヌ
クレオチドに相当する距離に存在する
TATATAA配列を含んでいなければならない。
さらに詳しくは、この挿入配列はそれ自身ヌクレ
オチド位840かあるいはそれに近い部位で、Bgl
部位の上流部分に位置した付加的なDNA
HBV部分を含有しよう。 本発明の付加的な態様によれば、この挿入配列
は、さらに、転写の方向でS遺伝子の下流部分に
サブ・フラグメントを含みこのサブ・フラグメン
トは、通常、DNA HBV Bam H部位を超え
て転写の方向に伸長している。 好適な挿入配列は、HBs抗原に相当するメツ
センジヤーRNAをコード付けする遺伝子の全部
を含む。第1図を参照すると、このRNAメツセ
ンジヤーは矢印ARNで示されており、その始ま
りの部分はヌクレオチド2800と実質的に一致して
おり、そしてそれはBamHおよびBgl1986部
位の間で終つている。 すなわち、上述した3つのサブ・フラグメント
は、第1のサブ・フラグメント、すなわち、プロ
モーター領域の上流にある部位から3182番に亙る
サブ・フラグメント〔例えば、ヌクレオチド位
2840番(Bal切断部位)と3182番(すなわち0
番)の間にあるようなサブ・フラグメント〕;第
2のサブ・フラグメント、すなわち、0番から
833番に到る、S遺伝子配列を含むフラグメン
ト;及び、第3のサブ・フラグメント、すなわ
ち、矢印f1で示される方向に、さらに、833番か
らRNAに転写されるDNA配列の末端ヌクレオチ
ド位(例えば、図1で示されるヌクレオチド位
1621番に相当する部位)まで延びたフラグメント
である。 本発明に応用しうる好適な挿入配列は、それ
故、S遺伝子と、HBs抗原に対応するメツセン
ジヤーRNAをコード付けする遺伝子の両方を有
するのが特徴である。本明細書の以下の記載から
明らかなように、本配列は好適には、HBc抗原
としての免疫学的性質を有する蛋白質で表わされ
るに十分なHBc抗原をコード付けする遺伝子部
分を何らもたない。 本明細書では以下、特にDNA HBVについて
述べるが、ここに記述する方法は他のタイプの肝
炎を起こす他のウイルスのDNAまたは対応する
全ゲノムにも応用しうるものである。 本発明は、転換された細胞の検出を容易にする
ため、同時にラベル化するのが好ましく、たとえ
ば、特別な培地中におかれたとき、選択の目的で
天然にまたは誘導した、その生育に通常必要な選
択しうるラベル化遺伝子を欠いた細胞もしくはそ
のミユータントを用いる。この細胞は、その中に
その欠乏を「補償」しうる(異起原の相補DNA
であるが)遺伝子または相同DNAのフラグメン
トを導入することにより、少なくとも同一の培地
中で生育しうる。 この方法は、細胞を転換する以下のいずれかの
手法でおこなわれる。すなわち、(1)一方ではこと
にDNA HBVから誘導される挿入配列を、そし
て他方では相補DNA(例えば選択性の目印となる
標識又はマーカー)を含み、それらをそれぞれ自
己のゲノム中に挿入した単一のベクターを用いる
か、あるいは、(2)2種のベクターを用い(同時転
換すなわち共転換)、一方のベクターは、好適に
はプラスミドであつて、相補DNA(例えば選択性
の目印となる標識又はマーカー)をそのゲノム中
に挿入してあらかじめ修飾したものであり、そし
て他方のベクターは好適にはプラスミドであり、
上述の挿入配列のゲノム中に挿入してあらかじめ
修飾したものである。 上記培地中で培養後、この挿入配列で転換され
たコロニーを集める。培地中の細胞により形質発
現されうるDNA HBVである限りは、タンデム
配列(または2以上のDNA HBV単位を有する
もの)、あるいは、もつと一般的に上述した挿入
配列は、ベクターの存在なしに、細胞中に導入さ
れた対応する環状DNAと同様に正常に挙動する
に違いない。環状DNA自身にかわつてかような
ベクター、ことにプラスミドを用いることによつ
て、生体外で予め構築されたベクターの細菌をク
ローン化することにより増幅したあとでこのベク
ターを大量に得られるという利点がもたらされ
る。従つて、 本発明によれば、試験されるべき真核細胞中に
発現される環状DNAまたは全ウイルス、ゲノム、
ことにDNA HBV以外の肝炎ウイルスのDNAの
能力を、その制御下に転写が行われるプロモータ
ーの正確な位置に配慮する必要がなく、試験する
ことができる。 上記挿入配列、ことにDNA HBVから誘導さ
れたものを、この挿入配列の形質発現を真核細胞
培養ことにマウスもしくはヒト由来のものに誘導
するのに使用しうる。 転換された細胞のラベル化に明瞭なベクター、
ことにマーカーを含むプラスミドを用いる時は、
BamHのような特異的酵素限定によりウイル
スのゲノムから切除されるヘルペス・シンプレツ
クスHSV−1ウイルスのチミジン・キナーゼの
遺伝子のような「相補DNA」を含むプラスミド
を用いることが好ましい。多種の真核細胞中でチ
ミジン・キナーゼの合成を命令するように適合さ
れた相同遺伝子(培地から供給される外生チミジ
ンのリン酸化酵素)がこのウイルス由来のチミジ
ン・キナーゼの遺伝子に相当する。 ある種の真核細胞の遺伝子欠陥(ことにマウス
の場合)を克服する可能性については、誘発また
は刺激変異による内生チミジン・キナーゼの遺伝
子に関して、既にM.Wigler等により発表されて
いる(Cell.vol.,223−232,1977)、TK−と称
される欠陥細胞は「HAT培地(チミジンに加え
てヒポリキサンチンとアミノプテリンを含有して
いる)」として知られるような培地中ではチミジ
ン・キナーゼを合成する能力がないので選択され
る。この培地を用いると「救助回路」と称される
代謝ルートによつてのみチミジン・ホスフエート
の合成が可能であることが知られているが、この
回路は、その中で生育が可能な細胞のTK遺伝子
の完全さが保持されたということを示唆する。し
かしながら、TK-細胞は、ヘルペス・ウイルス
のTK遺伝子を取込んで修飾されるや否や、同一
培地中で生育が可能となり、この生質は、その後
の細胞分裂による子孫に対して遺伝的に伝播が可
能である。そして、それ以前は「TK-」であつ
たものが、取込み後の細胞は修復されて「TK+」
となり上記培地中でチミジンをリン酸化する能力
を獲得し、生育が認められる。 言うまでもなく、チミジン・キナーゼの遺伝子
を含むDNAフラグメントを他の適当な相補DNA
に置きかえることは可能である。本発明によるベ
クターの構築に使用されうる相補遺伝子の他の例
としてはジヒドロホレート・レダクターゼ
(DHFR)を含むものや、さらに一般的には天然
に存在する多数の例のいかなる相補遺伝子をも挙
げることができる。 相補DNAは、勿論、天然の遺伝子を含みうる。
それは、また、相当するARNメツセンジヤーを
コピーすることにより、ことに酵素的に合成する
こともできる。 共転換の技術自身に関して言えば、相補遺伝子
が挿入されたベクターと誘導DNA HBVフラグ
メントが100以上の高比率、たとえば1000のオー
ダーの比率で挿入されたものを使用するのが有利
である。この比率が高いほど、この2種のベクタ
ーにより同時に共転換される細胞数が多くなる。 共転換に使用される2種の修飾ベクターを形成
するには、同一の基本的なベクターに依存するこ
とが有利である。特に好適な基本ベクターはプラ
スミドpBR322により構築される。この修飾共転
換ベクターの1個(pCP10)を形成するのに、そ
のEcoR部位に「DNA HBVタンデム」を挿入
することがことに可能であろう。 Pvu部位または同一pBR322プラスミドの
BamH部位にtkHSV遺伝子を挿入することに
より第二の共転換ベクター(pAGO)を得ること
ができる。 培養条件に関しては、十分に培養が進んだ培地
を転換時かまたはそのしばらく後に、非相補細胞
が生育できない培地(たとえば、選択された相補
DNAがチミジン・キナーゼ遺伝子の場合には
HAT培地)に変えなければならないことは自明
であろう。 共転換が行なわれ、ことに上記の好適な修飾プ
ラスミドがマウス線維芽細胞中で活動を始める
と、共転換細胞により培地中にB型肝炎ウイルス
のエンベロープの特徴である免疫学的性質を有す
る粒子を排泄することにより構成される顕著な結
果、ことにヒト血清から単離された天然HBsAg
抗原を凝集しうる抗体によるその凝集をもたら
す。抗HBgAg抗体により凝集されうる排泄粒子
の存在は、たとえば、蛍光抗HBsAgおよび抗
IgGウサギ血清を用いる間接免疫蛍光法のような
慣用のラジオ・イムノアツセー法により検出でき
る。 そして、その生成量は、天然HBsAgに用いら
れるそれ自身公知の直接受身血球凝集試験法によ
り測定される。 ことに顕著なことは、特にマウス細胞培養中に
排出される細胞は、ヒト抗体抗HBcおよび抗
HBe/1,2,3を用いる直接免疫蛍光法によ
り検出可能な痕跡量のHBcAgおよびHBeAg抗
原を含まないことである。共転換された細胞自身
を抗HBsAg血清と接触させることにより、個別
化された細胞質粒子が共転換細胞の大半を占める
ことが間接免疫蛍光法で判明する。細胞溶解後、
これらの粒子はスポツトされうる。多くの場合、
排泄粒子は産生されうる抗HBsAg抗体により凝
集しうる粒子の大半を占める。 形成された粒子は、培地中に排泄されたものと
あるいは共転換細胞の細胞質中に保持されたもの
とを問わず、後記実施例中で述べられる性状を依
然として有している。 しかしながら、B型肝炎ウイルスの環状クロー
ン化DNAでヒトHeLa細胞を転換させると、培
地中にはHBsのもののみならず、HBc抗原を含
む完全ウイルス粒子の細胞もが排泄されることが
見出されている(後記参考文献9)。 本発明の追加的改良によれば、DNA HBVか
ら誘導される上記した如き挿入配列であつて、予
めDNA HBVのS遺伝子以外のある部分を切除
しておき、それによつて全デイン粒子のコード付
けがもはや不可能となつた有効ゲノムのみを用い
ることが有利である。ことに、HBc抗原をコー
ド付けするに十分な遺伝子部分を欠損した挿入配
列を用い、そによつて感染細胞によるHBc抗原
の産生を防止することができる。 従つてこれらの挿入配列は、ベクターの修飾に
使用され、そしてそのベクターはマウス線維芽細
胞であれ、ヒト細胞であれ、真核細胞の転換を、
HBc抗原産生の可能性無しに行うのに適してい
る。 ことにこのDNA挿入部分(インサート)は、
ヌクレオチド位1986番及び2425番の部位で、Bgl
部位末端で結合したフラグメントが欠損したB
型肝炎のウイルスDNAにより構築するのが有利
である。第1図の図式を参照するとC遺伝子の内
側に全DNAに関するその相対的位置が矢印Cで
示されている。 ことに、上述したような、より大きいフラグメ
ントが欠損した本来のDNA HBVの挿入配列を
用いることも可能である。 もちろん、この挿入DNAは、挿入配列の形質
発現能力や翻訳相に影響を及ぼさない限り、付加
的な欠損を更に含んでいてもよい。同様にして、
本発明においては、明細書および実施例において
企図した以外のサブ・タイプに属するウイルス
DNAに相当する配列に関する均等な挿入配列で
あれ、あるいは、HBs抗原に対する抗体と免疫
的に反応する発現産物の能力を変えないである部
分が修飾された配列であれ使用することにも及
ぶ。 かくして、上述のごとき挿入配列による修飾ベ
クターで転換されたマウス線維芽細胞の細胞培養
から、ヒト由来の成分、ことに血清蛋白なしに、
検出限界内のデイン粒子およびそれに含有される
特徴的抗原を含まないHBsAg抗原の免疫学的性
質を有する抗原調製物を得ることが可能である。 さらに、培養培地中に排泄された蛋白質が、事
実ワクチン免疫活性を有することが立証されてお
り、これはヒト血清から抽出された天然HBs抗
原の免疫原性を立証するのに現在使用されている
実験的手法により、このものをことにマウスまた
はウサギに生体内投与したとき、肝炎ウイルス、
特にB型肝炎ウイルスに対して活性なヒト抗
HBsAg抗体に類似した抗体の生体内での産生を
誘発する能力により立証されている。 本発明は、約18〜25nmの範囲の大きさを有し、
DNAポリメラーゼを含まず、デイン粒子、HBe
抗原、HBc抗原を全く含まず、ヒト血清中の
HBs抗原と凝集反応を起す抗体によつて凝集せ
しめられるが抗HBc抗体および抗HBe抗体によ
つては検出されず、免疫原性であつて、B型肝炎
ウイルスに対しワクチンとなる性質を示し、伝染
性の肝炎を起さず、かつ、一方でS遺伝子、転写
の方向に関してS遺伝子の上流にあつてS遺伝子
の転写を制御する、TATATAA配列を含むプロ
モーター領域を包含するに充分長い、B型肝炎ウ
イルスのDNAの領域及び他方ではS遺伝子の下
流にあつてS遺伝子を発現せしめるに充分長い領
域を含むB型肝炎ウイルスのDNAフラグメント
からなる挿入配列を含むベクター(ここで、該フ
ラグメントは、該プロモーター領域と該S遺伝子
の間にEcoR部位を含み、かつ、該遺伝子全体
がHBs抗原に相当するメツセンジヤーRNAをコ
ードする)を用いて形質転換せしめられた真核細
胞から遺伝子工学的に得ることができるヒト由来
の成分を全く含まない粒子並びに該粒子と薬学的
に許容される担体からなるワクチン組成物に関す
るものである。 本発明はまた、ヒト由来のデイン粒子、HBc
抗原および血清成分を有しない程度の純度を有す
るHBsAg抗原の免疫原性および免疫学的性質を
有する蛋白質から成るワクチンを構成する新規な
調製物にも関する。 本発明は、更に詳しくは、この抗体(共転換さ
れた細胞の培養培地または細胞溶解物から回収さ
れうるもの)と、必要に応じてウイルス性肝炎に
対する活性ワクチンを構成する適当な医薬用担体
とからなり、経口的または非経口的に投与可能な
ワクチン組成物に関するものである。 本発明は更にまた、特にその血清蛋白または他
の抗原たとえばHBcAgもしくはHBeAg等の相
対含有量を検討しうるHBsAg抗原(天然由来か
否かを問わず)の純度に関して標準または対照と
して使用しうる、これら抗原の一定量を含有する
実験用試薬にも関するものである。 本発明を、HBsAgの免疫学的活性を有する抗
原の製造に用いる修飾プラスミド(これ自体、本
発明の一部を成す)についての応用に関する実施
例によつて更に説明する。 実施例 1 Bウイルス肝炎ウイルスのDNAを含有する組
み換え体の構築 200ngのpBR322をエンドヌクレアーゼEcoR
で消化させ、ついで2.6単位のアルカリ・ホスフ
アターゼのトリス塩酸緩衝液(100nM、PH8)
で60℃で60分間処理した。フエノールで2回、つ
いでエーテルで3回抽出したのち、DNAをエタ
ノールで沈澱させた。固体残渣を水に溶解し、こ
の溶液に100ngのEcoHBV DNA〔B型肝炎ウイ
ルスのクローン化された二重鎖の全ゲノムであつ
て、その独特のEcoR部位で切断されて直線状
になつたもの〕(PNAS,vol.76,P.2222〜
2226.1979年参照)を加えた。次いで上記参考文
献1で述べた結紮を行つた。 100μg/mlのジアミノピメリン酸と20μg/ml
のチミジンを含有する培地Lにより構成される培
地中で、E.coliDP50を培養した。 次に、この細菌を、100μg/mlのアンピシリ
ンと15μg/mlのテトラサイクリンに耐性を有す
ることにより選択された組み換え体を混合するこ
とにより、上記方法に従つて転換させ、900個の
コロニーを得た。これは、全て、その場でのハイ
ブリデーシヨン(プローブとしてEco HBV
DNAを用いる)によつてHBV DNAが存在する
か否かを試験され、うち800コロニーが陽性であ
つた。このうちち、交雑活性の高い16コロニーを
集め、プラスミドを抽出し、その構造をEcoR,
Xho,HindおよびXbaの存在下に解析し
た。 得られた組み換え体の構造は第2a図および第
2b図に図式化されており、一方はEco HBV
DNA遺伝子を、そして他方は修飾PCP10プラス
ミドの構造を示す。ここに、EcoR部位のレベ
ルで、一方の頭部が他方の尾部に結合した2個の
連結Eco HBV DNAフラグメントによつて構築
されたpBR 322 DNAフラグメントがプラスミ
ド中に挿入されている(タンデム型頭−尾挿入)。 集められた上記16コロニー中、14コロニーが
pCP10型プラスミドを保有しており、そして配向
可能な2方向のうち、挿入された2個のEco
HBV DNAは頭−尾型タンデム配列を示した。 DNAフラグメントEco HBV DNAの挿入方
向を決定可能だつたのは、HindおよびXba
エンドヌクレアーゼによる消化のためである。 pCP10プラスミド中の2個のEco HBV DNA
フラグメントの組込みは、Xhoエンドヌクレア
ーゼの存在下の消化により証明され、このエンド
ヌクレアーゼによつて、10726対の塩基を有する
雑種プラスミドpCP10からのEco HBV DNAと
同程度の大きさのDNAフラグメントが切除され
て産生された。 第2a図および第2b図中、Eco HBV DNA
中の、また雑種プラスミドpCP10中のS遺伝子の
各位置は、それぞれ太線の矢印Sにより示されて
いる。横側の小矢印は、相当するDNA鎖中のあ
る種の制限酵素作用部位の相対位置を示してい
る。 アンピシリン耐性因子(ApR)およびテトラサ
イクリン耐性因子(TcR)の位置も、それぞれ図
式化して示されている。 同様にして、pBR322のプラスミドのPvu部
位に、ヘルペス シンプレツクスウイルスHSV
−1のチミジン・キナーゼ遺伝子(HSV−tk)
(後記参考文献2)を挿入して得られたpAG0プ
ラスミドを第2c図に示す。 上記チミジン キナーゼ欠損マウス細胞のプラ
スミド(Ltk-)による培養および転換 最少必須培地MEM 0 111 Gibco中で、必要
に応じて10%仔牛血清を加えて、チミジン・キナ
ーゼ欠損のLMマウス細胞ミユータント(Ltk-)
を培養した。次いでGrahamおよびVan Der Eb
法(後記参考文献3)のStowおよびWilkie変法
(後記参考文献4)に従つて、転換のために該プ
ラスミドに相当するDNAを、フアルコン フラ
スコ中で上記細胞の一杯に増殖した単一相(25cm2
当り2×106個の細胞)に接種した。 この転換を行うに際して、pAGOプラスミド
(Hindエンドタクレアーゼで線状化されたも
の)および同酵素で線状化され、もしくはされな
いpCP10プラスミドを同時に使用した。全ての試
験で、pAGO/pCP10の分子量比は、1/1000の
オーダーであつた。DNA濃度を少くとも10μ
g/mlに調節するためにDNAサケ精子を担体と
して使用した。転換後、細胞培養物を、15μg/
mlのヒポキサンチン、0.1μg/mlのアミノプテリ
ン、および5μg/mlのチミジンを更に含む選択
的HAT培地中に保持した。 転換後24時間目に、培地中に100倍に濃縮した
HAT溶液を加え、そして、1週間後、およびそ
の後は3日毎に濃縮HAT溶液を取りかえた。 選択的HAT培地中で2種のプラスミドの存在
下(共転換)、15日間培養させると、コロニーの
形成が認められた。共転換から20日後に、培地中
におけるHBsAgの産生をラジオ・イムノアツセ
ー法で検出した。対照として単一のプラスミド
pAGOで転換させ、同条件下に形成された培養物
からはHBsAgの産生はみられなかつた。 共転換から20日後に、HAT培地に耐性のtk+
コロニーをパスツール・ピペツトで集め、ミクロ
プレート上の組織培養に移した。5日毎にコロニ
ーの継代を行い、HAT培地中で連続的かつ淘汰
圧下に保つた。 線状pCP10の存在下に共転換させて得られた5
個のコロニーと、環状pCP10でマウス細胞を共転
換させて得られた10個のコロニーとを採取して、
HAT培地中で培養したところ、全ての培地にお
いいてHBsAgが培地中に産生された。産生され
たHBsAg量は、培養物により異なり、1対30の
範囲内にあるが、その産生量は安定しており、数
代継代培養した後であつても安定に保たれた。 このHBsAgは培地の上澄液から遠心分離して
回収し、塩化セシウムを用いた密度勾配遠心法に
より精製され、1.20g/mlの密度帯から集められ
た。かくして得られたHBsAgは、37℃で1時間
培養後、ラジオ・イムノアツセー法で検出可能な
程度に抗HBsAg血清溶液(10/1の比率)で完
全に中和された。 電子顕微鏡写真によれば、このものは18nmな
いし25nm(平均22nm)の大きさの球状粒子であ
つた。そしてこのものはヒト血清から単離される
22nmの球状粒子抗原を形態的に想起させたが、
少なくともこの実験条件下では、ヒト血清から抽
出される抗原に認められる繊維状構造はみられ
ず、そしてデイン粒子は検出されなかつた。 次表に、使用したプラスミドで共転換されたマ
ウス細胞tk-の産生態を示す。ここで、比率P/
Nは、細胞の共転換から20日後の免疫学的試験に
よりHBsAgの投与量が決定されたときの、対照
培地中での毎分崩壊数(dpm)に対する上澄液の
dpmの割合を示し、P/N比が2.1以上のときに
は有意差があると考えた。 ここで、Nは、対照(比較)の細胞の上澄液を
HBsAgに対する放射線標識化抗体に接触せしめ
たときの、バツクグランドのノイズの活性に対応
し、Pは、確実には、より大きな活性によつて証
明されるHBV DNAから誘導された配列によつ
て形質転換された細胞系(セルライン)の上澄液
について測定されたdpm数に対応する。比P/N
が2.1を超えると、相当するセルライン(活性P
を有する)が、また、効果的に形質転換され、
HBsAg粒子を転換することができるセルライン
であることが、十分結論づけられた。
【表】
Weinstok等(後記参考文献7)の方法により
調製されたプローブEco HBV DNAを用い、そ
してSouthernの方法のWahl等変法(後記参考文
献5および6)の方法により、予め洗滌した細胞
を溶解し、プロテイナーゼで蛋白質を消化し、細
胞性DNAを抽出し、精製し、その数を推定した
ところ、合成された細胞内HBsAgの量は培地中
に排泄されたHBsAgの約1/3に相当すること
が判明した。 本実験条件では、最も活性の高いクローンは最
高150ng/mlのHBsAgを産生した。本HBsAgが
デイン粒子を含まないことは前述のところである
が、これに加えて、ヒト由来の抗HBcおよび抗
HBe/1,2,3螢光抗体を用いた直接免疫螢
光法(後記参考文献8)で少なくとも検出可能な
HBcAgおよびHBeAgは認められなかつた。さ
らに、Kaplan等の方法によりDNAポリメラーゼ
活性測定法によるDNAポリメラーゼの産生は、
上澄液の遠心分離残渣中にも、転換細胞の溶解物
からのそれにも認められなかつた。 ある種クローン化産物の高分子量DNAを抽出
し、これをEcoR、HindおよびXhoの存在
下に消化し、得られるフラグメントをアガロー
ス・ゲル上の電気泳動で分画し、ニトロセルロー
スフイルターに移し、これらフラグメントをP32
でラベルしたEco HBV DNAプローブとハイブ
リテーシヨンさせたところ、プラスミドpCP10の
いくつかのコピーが細胞性DNAに組込まれうる
ことが立証された。また、転換細胞中に含まれる
プラスミド・コピーと、おそらくは細胞性DNA
中に組込まれたフラグメントの間の双方にHBV
DNAダイマーが存在することが認められた。反
応速度的研究によれば、上述の実験条件下では、
各粒子が約100分子のポリペプチドを含有するも
のと仮定して、細胞により培地中に排泄されうる
HBsAg抗原粒子は2×104ないし4×104粒子/
細胞/24時間、すなわち、2000000ないし4000000
ポリペプチド分子/細胞/24時間であると測定さ
れた。 実施例 2 C遺伝子の大部分が予め切除されたDNA
HBVから誘導された挿入配列によつて修飾さ
れた、真核細胞中でのベクターの形質発現 (1) DNA HBVのEcoR部位における線状
pBR322プラスミドの挿入によるpCP9のクロー
ニングEcoRにより加水分解されたpBR322
プラスミドをアルカリ・ホスフアターゼで処理
し、ついでEcoRで切断された等モル量の
DNA HBVの存在下に結紮した。 (2) Bglで切断されたDNA HBVフラグメン
トを含有するPAC系列と、BamHで切断さ
れたDNA HBVフラグメントを含有する
PANCとのクローンの構築 pASOプラスミドをBamHで加水分解し、つ
いでアルカリ・ホスフアターゼで処理した。
HindおよびPst(DNA HBV中には部位が
ないもの)で開裂後、上述のpCP10プラスミド、
さらに詳しくはアガロース・ゲル上の電気溶出で
精製し、ダイマーの(すなわちタンデム配列の)
DNA HBVを含有するフラグメントから、HBV
フラグメントを得た。2個所での開裂のみが起こ
る条件下で、制限酵素BglまたはBamH酵素
でこれらフラグメントを部分的に加水分解し、加
水分解産物を、予めBamHで開裂させた等モ
ル量のpAGOプラスミドで結紮させた(この結紮
法によればBamHおよびBgl部位が共通の凝
集末端部により特徴づけられる利点がえられる)。
テトラサイクリンに感受性のクローンを集め、
各々の挿入の可能性を単離するために分析され
た。 かくして、クローンPAC12,PAC14,PAC16
およびPANC34が得られた。第1図中、相当す
る記号に伴う矢印は、得られる組み換えプラスミ
ドに含まれるDNA HBVの配列に対応する
BamHまたはBgl部位中で線状化された
pBR322の挿入位置を示す。 上記各クローンは、さらに次の特徴を有する。 PAC12:Bglフラグメント1986−2840を欠損; PAC14:Bglフラグメント1986−2425を欠損; PAC16:DNA HBVの1986部位中にpBR322の
ゲノムを挿入; PANC34:DNA HBVのBamH1400部位に
pBR322ゲノムを含有。 これらのクローンを用いて2×106細胞あたり
2μgのプラスミドの割合でLTK-細胞を転換させ
た。4週間後にTK+コロニーは一杯に生育した。
上述したラジオ・イムノアツセー法によつて
HBsの存在を試験した。第1図中に「+」およ
び「−」の記号によつて、培地中に排泄された
HBs抗原の形態中のS遺伝子の形質を発現し、
またはしない種々の組み換えプラスミドの能力を
それぞれ示した。 クローンPAC14およびPAC16中のS遺伝子の
発現およびクローンPAC12中の発現の不存在は、
ウイルスDNA中で、さらに詳しくは制限フラグ
メントBgl2425−2840中でS遺伝子の転写が開
始されることを示している。S遺伝子の転写を制
御するとみられる「プレーS」領域の始めから、
上流方向に72番目のヌクレオチドに位置している
「TATATAAボツクス」と称されるTATATAA
配列が存在する。 この実験条件下ではPANC34クローンによつ
ては形質発現しなかつたという事実は、恐らく
は、mRNAをコード付けするDNAがBamH部
位以降では停止してしまうことと関連があるもの
と考えられる。 すなわち、この具体的な条件下では、HBV
DNAから誘導されPANC34クローン中に挿入さ
れたインサートは、もはや、転写の方向に見て
RNAの末端部分をコードするHBV DNA由来の
DNAフラグメントを含んでおらず、HBV DNA
と対応するプラスミドのDNAの結合部位で切除
されていたために発現が起らなかつたと考えられ
る。 特に極めて重要なことは、HBsを産生する
PAC14クローンがウイルスのC遺伝子を欠損し
ているため、その性質いかんによらず転換細胞の
ウイルス粒子の産生の危険が排除されることであ
り、従つて、これをワクチンの生産に使用するこ
とができる。 それ故、本発明は、従来得られなかつた純度の
生産物を提供することができる。本発明は、さら
に詳くしは、本質的に血清性の蛋白を本質的に含
まないHBsAgの免疫学的性質を有する蛋白粒子
の調製物に関するものであり、このものは通常の
ラジオ・イムノアツセー法で検出しうるデイン粒
子を全く含まない。更に、このものは蛋白質、こ
とにヒト由来の血清蛋白、およびDNAポリメラ
ーゼを全く含まない。 本発明は、また、上述した新規な挿入配列自身
および、その配列を含むベクター、ことにプラス
ミドに関し、それは、そのものがS遺伝子の転写
のプロモーターを含有するという特徴を有してい
る。これらベクターは、必要であれば、真核細胞
への発現が求められる蛋白質に対応する特定の
DNA配列の挿入により修飾されうる点で、特に
有利である。事実、このベクターは当該細胞に対
する毒性が無い点で殊に有利である。プロモータ
ーは、この細胞がS遺伝子の形質発現をさせるの
で抑制されない。加えて、このベクターは、培養
培地中に直接に、合成された蛋白質を排泄させ
る。 上述の新規挿入配列のうちの一つは、S遺伝子
以外に「プレ・S」領域のDNA(このものはウイ
ルス性肝炎ウイルスのDNA中、S遺伝子のすぐ
上流方向で転写の逆方向に位置しており、このプ
レ・S領域は、489個のヌクレオチドを含み、163
個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードす
る。Tiollaisら、Science,1981.vol.213,P.406
−411参照。)、B肝炎ウイルスのS遺伝子のメツ
センジヤーRNAの遺伝子、それにB肝炎ウイル
スのDNAのプロモーター、ことにTATAA配列
(Tはチミジンの、Aはアデニンのそれぞれ省略
である)を含むものとして定義されうる。このも
のは、また、ことにB肝炎ウイルスのDNAの
2425および2840番目のタクレオチドの間に局在化
された配列に対応するDNA配列からなる。 本発明の範囲内には、前述したタイプのいくつ
かのユニツトを含む配列、ことに「タンデム」配
列が含まれることは明らかである。 本発明により修飾されたベクターが真核細胞中
で形質発現しうる能力は、HBV DNAから誘導
されるフラグメント中に含まれるウイルス、プロ
モーターの制御の下にHBsAgの遺伝子の転写が
行なわれるという事実を立証するものと考えられ
る。プラスミドpCP10,PAC14またはPAC16の
ようなこれらのベクターは、これらのベクター中
に予め挿入された外来DNAの真核細胞への形質
発現を行うためのベクターとして、それ自身使用
できる。本発明による修飾ベクターの大きな利点
は、宿主細胞の溶解を誘発しないという事実にも
ある。さらにまた、S遺伝子は配列シグナルを持
つており、その制御下に、上記ベクターに予め挿
入された外来DNAの宿主細胞中への形質発現に
基く雑種蛋白が培地中に排泄されるものと考えら
れる。 この雑種蛋白の培地からの回収は、明らかにか
なり促進されよう。 本発明の方法は、主にそのDNA HBVへの応
用によつて説明されてきたが、また、いかなる環
状DNAや全ゲノムにも及び、ことに相当ウイル
ス性肝炎の「非A型」、「非B型」ウイルスの環状
DNAの研究に応用されうる。 以下に、本発明に関する技術水準および明細書
の実施例中で言及した参考文献を記載する。 (1) Tiollais,p.,Perricaudet,M.,
Petterson,UおよびPhilipson,L.(1976)
Gene1,49−63 (2) Colbere−Garapin,F.,Chousterman,S.,
Horodniceanu,F.,Kourilsky,P.および
Garapin,A.C.(1979)、Proc,Natl.Acad.Sci,
USA,76,3755−3759 (3) Graham,F.L.およびVan der Eb,A.J.
(1973),Virology52,456−458 (4) Stow,N,D,およびWilkie,N.N.
(1976),J.Gen.Virol.33,447−458 (5) Southern.E.M.(1975),J.Mol.Biol.98,503
−517 (6) Wahl,G.M.,Stern,M.およびStark,G.
R.(1979),Proc,Natl,Acad,Sci,USA,
76,3683−3687 (7) Weinstock,R.,Sweet,R.,Weiss,M.,
Cedar,H.およびAxel,R.(1978)、Proc.Natl.
Acad,Sci,USA,75,1299−1303 (8) Trepo,C.,Hantz,L.,Vitvitski,L.,
Chevallier,P.,Williams,A.,Lemaire,
J,M.およびStepjian,M.(1978)in Viral
Hepatitis,eds.Vyas,G.N.,Cohen,S.N.お
よびSchmid,R.(The Franklin Institute
Press)pp.203−209 (9) Shalomz.Hirschman等、Proc.Natl,Acad,
Sci,USA,77,(9),pp5507−5511(1980),
“Expression of Cloned hepati−tis B
virus DNA in human cell cultures”
調製されたプローブEco HBV DNAを用い、そ
してSouthernの方法のWahl等変法(後記参考文
献5および6)の方法により、予め洗滌した細胞
を溶解し、プロテイナーゼで蛋白質を消化し、細
胞性DNAを抽出し、精製し、その数を推定した
ところ、合成された細胞内HBsAgの量は培地中
に排泄されたHBsAgの約1/3に相当すること
が判明した。 本実験条件では、最も活性の高いクローンは最
高150ng/mlのHBsAgを産生した。本HBsAgが
デイン粒子を含まないことは前述のところである
が、これに加えて、ヒト由来の抗HBcおよび抗
HBe/1,2,3螢光抗体を用いた直接免疫螢
光法(後記参考文献8)で少なくとも検出可能な
HBcAgおよびHBeAgは認められなかつた。さ
らに、Kaplan等の方法によりDNAポリメラーゼ
活性測定法によるDNAポリメラーゼの産生は、
上澄液の遠心分離残渣中にも、転換細胞の溶解物
からのそれにも認められなかつた。 ある種クローン化産物の高分子量DNAを抽出
し、これをEcoR、HindおよびXhoの存在
下に消化し、得られるフラグメントをアガロー
ス・ゲル上の電気泳動で分画し、ニトロセルロー
スフイルターに移し、これらフラグメントをP32
でラベルしたEco HBV DNAプローブとハイブ
リテーシヨンさせたところ、プラスミドpCP10の
いくつかのコピーが細胞性DNAに組込まれうる
ことが立証された。また、転換細胞中に含まれる
プラスミド・コピーと、おそらくは細胞性DNA
中に組込まれたフラグメントの間の双方にHBV
DNAダイマーが存在することが認められた。反
応速度的研究によれば、上述の実験条件下では、
各粒子が約100分子のポリペプチドを含有するも
のと仮定して、細胞により培地中に排泄されうる
HBsAg抗原粒子は2×104ないし4×104粒子/
細胞/24時間、すなわち、2000000ないし4000000
ポリペプチド分子/細胞/24時間であると測定さ
れた。 実施例 2 C遺伝子の大部分が予め切除されたDNA
HBVから誘導された挿入配列によつて修飾さ
れた、真核細胞中でのベクターの形質発現 (1) DNA HBVのEcoR部位における線状
pBR322プラスミドの挿入によるpCP9のクロー
ニングEcoRにより加水分解されたpBR322
プラスミドをアルカリ・ホスフアターゼで処理
し、ついでEcoRで切断された等モル量の
DNA HBVの存在下に結紮した。 (2) Bglで切断されたDNA HBVフラグメン
トを含有するPAC系列と、BamHで切断さ
れたDNA HBVフラグメントを含有する
PANCとのクローンの構築 pASOプラスミドをBamHで加水分解し、つ
いでアルカリ・ホスフアターゼで処理した。
HindおよびPst(DNA HBV中には部位が
ないもの)で開裂後、上述のpCP10プラスミド、
さらに詳しくはアガロース・ゲル上の電気溶出で
精製し、ダイマーの(すなわちタンデム配列の)
DNA HBVを含有するフラグメントから、HBV
フラグメントを得た。2個所での開裂のみが起こ
る条件下で、制限酵素BglまたはBamH酵素
でこれらフラグメントを部分的に加水分解し、加
水分解産物を、予めBamHで開裂させた等モ
ル量のpAGOプラスミドで結紮させた(この結紮
法によればBamHおよびBgl部位が共通の凝
集末端部により特徴づけられる利点がえられる)。
テトラサイクリンに感受性のクローンを集め、
各々の挿入の可能性を単離するために分析され
た。 かくして、クローンPAC12,PAC14,PAC16
およびPANC34が得られた。第1図中、相当す
る記号に伴う矢印は、得られる組み換えプラスミ
ドに含まれるDNA HBVの配列に対応する
BamHまたはBgl部位中で線状化された
pBR322の挿入位置を示す。 上記各クローンは、さらに次の特徴を有する。 PAC12:Bglフラグメント1986−2840を欠損; PAC14:Bglフラグメント1986−2425を欠損; PAC16:DNA HBVの1986部位中にpBR322の
ゲノムを挿入; PANC34:DNA HBVのBamH1400部位に
pBR322ゲノムを含有。 これらのクローンを用いて2×106細胞あたり
2μgのプラスミドの割合でLTK-細胞を転換させ
た。4週間後にTK+コロニーは一杯に生育した。
上述したラジオ・イムノアツセー法によつて
HBsの存在を試験した。第1図中に「+」およ
び「−」の記号によつて、培地中に排泄された
HBs抗原の形態中のS遺伝子の形質を発現し、
またはしない種々の組み換えプラスミドの能力を
それぞれ示した。 クローンPAC14およびPAC16中のS遺伝子の
発現およびクローンPAC12中の発現の不存在は、
ウイルスDNA中で、さらに詳しくは制限フラグ
メントBgl2425−2840中でS遺伝子の転写が開
始されることを示している。S遺伝子の転写を制
御するとみられる「プレーS」領域の始めから、
上流方向に72番目のヌクレオチドに位置している
「TATATAAボツクス」と称されるTATATAA
配列が存在する。 この実験条件下ではPANC34クローンによつ
ては形質発現しなかつたという事実は、恐らく
は、mRNAをコード付けするDNAがBamH部
位以降では停止してしまうことと関連があるもの
と考えられる。 すなわち、この具体的な条件下では、HBV
DNAから誘導されPANC34クローン中に挿入さ
れたインサートは、もはや、転写の方向に見て
RNAの末端部分をコードするHBV DNA由来の
DNAフラグメントを含んでおらず、HBV DNA
と対応するプラスミドのDNAの結合部位で切除
されていたために発現が起らなかつたと考えられ
る。 特に極めて重要なことは、HBsを産生する
PAC14クローンがウイルスのC遺伝子を欠損し
ているため、その性質いかんによらず転換細胞の
ウイルス粒子の産生の危険が排除されることであ
り、従つて、これをワクチンの生産に使用するこ
とができる。 それ故、本発明は、従来得られなかつた純度の
生産物を提供することができる。本発明は、さら
に詳くしは、本質的に血清性の蛋白を本質的に含
まないHBsAgの免疫学的性質を有する蛋白粒子
の調製物に関するものであり、このものは通常の
ラジオ・イムノアツセー法で検出しうるデイン粒
子を全く含まない。更に、このものは蛋白質、こ
とにヒト由来の血清蛋白、およびDNAポリメラ
ーゼを全く含まない。 本発明は、また、上述した新規な挿入配列自身
および、その配列を含むベクター、ことにプラス
ミドに関し、それは、そのものがS遺伝子の転写
のプロモーターを含有するという特徴を有してい
る。これらベクターは、必要であれば、真核細胞
への発現が求められる蛋白質に対応する特定の
DNA配列の挿入により修飾されうる点で、特に
有利である。事実、このベクターは当該細胞に対
する毒性が無い点で殊に有利である。プロモータ
ーは、この細胞がS遺伝子の形質発現をさせるの
で抑制されない。加えて、このベクターは、培養
培地中に直接に、合成された蛋白質を排泄させ
る。 上述の新規挿入配列のうちの一つは、S遺伝子
以外に「プレ・S」領域のDNA(このものはウイ
ルス性肝炎ウイルスのDNA中、S遺伝子のすぐ
上流方向で転写の逆方向に位置しており、このプ
レ・S領域は、489個のヌクレオチドを含み、163
個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードす
る。Tiollaisら、Science,1981.vol.213,P.406
−411参照。)、B肝炎ウイルスのS遺伝子のメツ
センジヤーRNAの遺伝子、それにB肝炎ウイル
スのDNAのプロモーター、ことにTATAA配列
(Tはチミジンの、Aはアデニンのそれぞれ省略
である)を含むものとして定義されうる。このも
のは、また、ことにB肝炎ウイルスのDNAの
2425および2840番目のタクレオチドの間に局在化
された配列に対応するDNA配列からなる。 本発明の範囲内には、前述したタイプのいくつ
かのユニツトを含む配列、ことに「タンデム」配
列が含まれることは明らかである。 本発明により修飾されたベクターが真核細胞中
で形質発現しうる能力は、HBV DNAから誘導
されるフラグメント中に含まれるウイルス、プロ
モーターの制御の下にHBsAgの遺伝子の転写が
行なわれるという事実を立証するものと考えられ
る。プラスミドpCP10,PAC14またはPAC16の
ようなこれらのベクターは、これらのベクター中
に予め挿入された外来DNAの真核細胞への形質
発現を行うためのベクターとして、それ自身使用
できる。本発明による修飾ベクターの大きな利点
は、宿主細胞の溶解を誘発しないという事実にも
ある。さらにまた、S遺伝子は配列シグナルを持
つており、その制御下に、上記ベクターに予め挿
入された外来DNAの宿主細胞中への形質発現に
基く雑種蛋白が培地中に排泄されるものと考えら
れる。 この雑種蛋白の培地からの回収は、明らかにか
なり促進されよう。 本発明の方法は、主にそのDNA HBVへの応
用によつて説明されてきたが、また、いかなる環
状DNAや全ゲノムにも及び、ことに相当ウイル
ス性肝炎の「非A型」、「非B型」ウイルスの環状
DNAの研究に応用されうる。 以下に、本発明に関する技術水準および明細書
の実施例中で言及した参考文献を記載する。 (1) Tiollais,p.,Perricaudet,M.,
Petterson,UおよびPhilipson,L.(1976)
Gene1,49−63 (2) Colbere−Garapin,F.,Chousterman,S.,
Horodniceanu,F.,Kourilsky,P.および
Garapin,A.C.(1979)、Proc,Natl.Acad.Sci,
USA,76,3755−3759 (3) Graham,F.L.およびVan der Eb,A.J.
(1973),Virology52,456−458 (4) Stow,N,D,およびWilkie,N.N.
(1976),J.Gen.Virol.33,447−458 (5) Southern.E.M.(1975),J.Mol.Biol.98,503
−517 (6) Wahl,G.M.,Stern,M.およびStark,G.
R.(1979),Proc,Natl,Acad,Sci,USA,
76,3683−3687 (7) Weinstock,R.,Sweet,R.,Weiss,M.,
Cedar,H.およびAxel,R.(1978)、Proc.Natl.
Acad,Sci,USA,75,1299−1303 (8) Trepo,C.,Hantz,L.,Vitvitski,L.,
Chevallier,P.,Williams,A.,Lemaire,
J,M.およびStepjian,M.(1978)in Viral
Hepatitis,eds.Vyas,G.N.,Cohen,S.N.お
よびSchmid,R.(The Franklin Institute
Press)pp.203−209 (9) Shalomz.Hirschman等、Proc.Natl,Acad,
Sci,USA,77,(9),pp5507−5511(1980),
“Expression of Cloned hepati−tis B
virus DNA in human cell cultures”
第1図、第2a図、第2b図および第2c図は
本発明に使用される好適なプラスミドの図式化マ
ツプを示す。図中、カツコ中の数字は、前記した
参考文献の番号を示す。
本発明に使用される好適なプラスミドの図式化マ
ツプを示す。図中、カツコ中の数字は、前記した
参考文献の番号を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 約18〜25nmの範囲の大きさを有し、DNAポ
リメラーゼを含まず、デイン粒子、HBe抗原、
HBc抗原を全く含まず、ヒト血清中のHBs抗原
と凝集反応を起す抗体によつて凝集せしめられる
が抗HBc抗体および抗HBe抗体によつては検出
されず、免疫原性であつて、B型肝炎ウイルスに
対しワクチンとなる性質を示し、伝染性の肝炎を
起さず、かつ、一方でS遺伝子、転写の方向に関
してS遺伝子の上流にあつてS遺伝子の転写を制
御する、TATATAA配列を含むプロモーター領
域を包含するに充分長い、B型肝炎ウイルスの
DNAの領域及び他方ではS遺伝子の下流にあつ
てS遺伝子を発現せしめるに充分長い領域を含む
B型肝炎ウイルスのDNAフラグメントからなる
挿入配列を含むベクター(ここで、該フラグメン
トは、該プロモーター領域と該S遺伝子の間に
EcoR部位を含み、かつ、該遺伝子全体がHBs
抗原に相当するメツセンジヤーRNAをコードす
る)を用いて形質転換せしめられた真核細胞から
遺伝子工学的に得ることができるヒト由来の成分
を全く含まない粒子。 2 CsClグラジエント中で約1.20g/mlの密度を
有する特許請求の範囲第1項記載の粒子。 3 処置された患者に自己免疫応答を誘起せしめ
ない特許請求の範囲第1項記載の粒子。 4 B型肝炎ウイルスの感染に対する免疫を与え
るに充分な量の、約18〜25nmの範囲の大きさを
有し、DNAポリメラーゼを含まず、デイン粒子、
HBe抗原、HBc抗原を全く含まず、ヒト血清中
のHBs抗原と凝集反応を起す抗体によつて凝集
せしめられるが抗HBc抗体および抗HBe抗体に
よつては検出されず、免疫原性であつて、B型肝
炎ウイルスに対しワクチンとなる性質を示し、伝
染性の肝炎を起さず、かつ、一方でS遺伝子、転
写の方向に関してS遺伝子の上流にあつてS遺伝
子の転写を制御する、TATATAA配列を含むプ
ロモーター領域を包含するに充分長い、B型肝炎
ウイルスのDNAの領域及び他方ではS遺伝子の
下流にあつてS遺伝子を発現せしめるに充分長い
領域を含むB型肝炎ウイルスのDNAフラグメン
トからなる挿入配列を含むベクター(ここで、該
フラグメントは、該プロモーター領域と該S遺伝
子の間にEcoR部位を含み、かつ、該遺伝子全
体がHBs抗原に相当するメツセンジヤーRNAを
コードする)を用いて形質転換せしめられた真核
細胞から遺伝子工学的に得ることができるヒト由
来の成分を全く含まない粒子及び薬学的に許容さ
れる担体からなるワクチン組成物。 5 CsClグラジエント中で約1.20g/mlの密度を
有する特許請求の範囲第4項記載のワクチン組成
物。 6 処置された患者に自己免疫応答を誘起せしめ
ない特許請求の範囲第4項記載のワクチン組成
物。
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| FR8009041A FR2480780B1 (fr) | 1980-04-22 | 1980-04-22 | Procede de transformation de cellules, notamment eucaryotes, par un adn circulaire tel que celui du virus de l'hepatite b et preparations contenant les produits d'expression desdits adn |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5739784A JPS5739784A (en) | 1982-03-05 |
| JPH0314840B2 true JPH0314840B2 (ja) | 1991-02-27 |
Family
ID=9241228
Family Applications (2)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP56061110A Granted JPS5739784A (en) | 1980-04-22 | 1981-04-22 | Conversion of cell culture |
| JP61197430A Pending JPS6255095A (ja) | 1980-04-22 | 1986-08-25 | HBs抗原の形態学的、免疫学的および免疫原的性質を有する抗原の製造方法 |
Family Applications After (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP61197430A Pending JPS6255095A (ja) | 1980-04-22 | 1986-08-25 | HBs抗原の形態学的、免疫学的および免疫原的性質を有する抗原の製造方法 |
Country Status (2)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (2) | JPS5739784A (ja) |
| FR (1) | FR2480780B1 (ja) |
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Family Cites Families (2)
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|---|---|---|---|---|
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-
1980
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-
1981
- 1981-04-22 JP JP56061110A patent/JPS5739784A/ja active Granted
-
1986
- 1986-08-25 JP JP61197430A patent/JPS6255095A/ja active Pending
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6255095A (ja) | 1987-03-10 |
| FR2480780B1 (fr) | 1985-12-06 |
| FR2480780A1 (fr) | 1981-10-23 |
| JPS5739784A (en) | 1982-03-05 |
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