JPH0366320B2 - - Google Patents
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- JPH0366320B2 JPH0366320B2 JP57186830A JP18683082A JPH0366320B2 JP H0366320 B2 JPH0366320 B2 JP H0366320B2 JP 57186830 A JP57186830 A JP 57186830A JP 18683082 A JP18683082 A JP 18683082A JP H0366320 B2 JPH0366320 B2 JP H0366320B2
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Description
本発明はツベルクリン活性を有するD物質、そ
の製造法、及びそれを有効成分とする抗腫瘍剤に
関する。 結核菌が抗腫瘍活性を有することは広く知られ
ており、結核菌の中でも特にBCG菌をガン患者
に投与し、治療する試みも行なわれている。しか
しながらBCG菌体を患者に直接投与することは
同時に種々の好ましからぬ副作用を招来するた
め、副作用を軽減する目的で、菌体から抗腫瘍活
性を有する成分を分離することが行われている。 その例として細胞壁、細胞壁骨格、水溶性アジ
ユバント、ワツクスD、多糖体が報告されてい
る、しかしながら、これらのものも、強力な作用
を有するものは副作用も比較的強いものが多く、
逆に副作用の弱いものは主作用も弱いという様
に、前記欠点を充分に克服したとは言えないのが
現状である。 そこで本発明者らは結核菌に対する免疫反応の
特徴である遅延型アレルギー反応に着目し、結核
菌感作動物に対し特有な遅延型アレルギー反応を
惹起する活性(ツベルクリン活性)を有する物質
を担ガン生体に投与し惹起される反応によつて腫
瘍を治療する研究を行なつてきた。 遅延型アレルギー反応を腫瘍の治療に応用する
研究においては、他種菌体やジニトロクロルベン
ゼン(DNCB)を抗原として用いる試み等も散
見されるが、現在はヒトの多くが自然感染、ある
いはBCGワクチンの強制接種により結核菌に対
する遅延型アレルギー反応能力を有している点を
考えると、結核菌に対する反応を利用する方が容
易であり、安全であると考えられる。 本発明者らはすでに、結核菌感作動物に対しツ
ベルクリン反応を惹起する活性を有する結核菌体
抽出物が、結核菌感作担ガン動物において強力な
抗腫瘍効果を示すことを明らかにし、特許(特開
昭55−13204、特開昭55−50894、特開昭55−
50895)を出願した。しかしながら、その後の検
討において、これら抽出物中には末だ本来の活性
物とは無関係の夾雑物が含有されており、治療剤
として必ずしも好ましいものではないことが判明
した。 そこで本発明者らは以上の点をふまえ鋭意検討
を重ねた結果、結核菌由来の新規かつ強力なツベ
ルクリン活性物質を単離し、その性質を明らかに
することに成功した。 本発明のツベルクリン活性物質は結核菌由来の
水溶性抽出物に核酸除去操作、糖質除去操作及び
低活性蛋白質除去操作を加えることにより単離さ
れるものであり、この物質が新規な物質であり、
かつ、きわめて強力な遅延型アレルギー反応惹起
活性を有することを確認し、これをD物質と命名
した。 本発明のツベルクリン活性物質を以下D物質と
称し、その製造方法ならびに性質についてさらに
詳細に説明する。 (A) 原料菌の培養と水溶性抽出物の製造 本発明の原料は結核菌(ミコバクテリウム属)
に属する細菌が用いられるが、特にウシ型結核菌
(Mycobacterium bovis strain BCG、
ATCC19015)、ヒト型結核菌(Mycobacterium
tuberculosis H37Ra、ATCC25177、
Mycobacterium tuberculosis H37Rv、
ATCC25618)などが好適である。 培養方法はこれに適した常用の方法に従つて培
養して差支えない。たとえばソートン培地や肉エ
キス・グリセリン培地などにより37℃で3〜8週
間静置培養すれば良好な培養物を得ることがで
き、これをろ過して菌体を得る。場合によつては
得られた生菌体を受法により加熱殺菌処理したも
のも使用出来る。また菌体より抽出液を製造する
方法も常法に従つて差支えない。 たとえば菌体を適当な緩衝液と十分に混合し、
菌体破砕機により菌体を破砕して懸濁液を得、さ
らに必要に応じて緩衝液を加え菌体内物質を十分
に抽出し、次いでこれをろ過または遠心分離する
ことにより抽出液を得ることが出来る。操作は低
温で、中性域近傍のPHの緩衝液の存在下で行うの
が好ましい。 (B) 精製操作 D物質は前記抽出液を後述の如き処理により精
製して脂肪、核酸、糖質、低活性蛋白質等の夾雑
物を除去し、いつたん中間精製物とした後にさら
に精製操作を加えることにより製造することが出
来る。夾雑物の除去方法は目的とするD物質の活
性を低下させることの少ない限り、任意の方法を
用い得る。方法によつては同時に複数の種類の夾
雑物を除去できるものもあり、各夾雑物を個々に
除去することを必ずしも要しない。 また除去処理の順序も特に限定する必要は無い
が、以下の説明における除去方法を用いる場合は
記載の順序によるほうが操作が容易で推奨され
る。 除去方法のうち脂質の除去については特に述べ
ないが、以下に述べる操作により副次的にそのほ
とんどが除去される。 (1) 中間精製物の製造 中間精製物の製造に適した夾雑物の除去方法に
ついて以下に説明する。 核酸除去操作 核酸除去操作の方法としては沈殿剤を用いる方
法、核酸分解酵素を用いる方法、アフイニテイク
ロマトグラフイー法などの常法を用いて差支えな
いが、沈殿剤を用いる方法が最も簡便で好適であ
る。 沈殿剤としては多価金属の塩、塩基性抗生物質
またはその塩、塩基性高分子物質またはその塩な
どを用い得るが、これらのうち硫酸ストレプトマ
イシンを用いる方法が適当であり、操作も簡便で
ある。その使用量は通常液量に対して0.1〜1%
程度である。操作方法としては必要に応じ核酸沈
殿剤をあらかじめ適量の水に溶解したものを被処
理液に加え十分に攪拌後静置して沈殿を生成せし
め、沈殿物をろ過または遠心分離等により除去
し、上清を得る。上清中に残存するストレプトマ
イシンは透析等により容易に除去できる。処理時
のPHは中性域またはその近傍が好ましく、温度は
0〜25℃が適当である。沈殿の生成はたとえば一
夜静置するなど十分に時間をかけて行うのが良
い。 低活性糖蛋白質除去操作 遅延型アレルギー反応活性の低い蛋白質を除去
する操作としては低活性蛋白質とD物質との性質
の差に着目して種々の分画方法を応用することが
可能である。本発明者らはそのひとつとして、結
核菌体中の蛋白質の多くがPH4.5前後で沈殿する
ことを考慮しつつ、検討を重ねたところ、このPH
域ではD物質が上清に回収されることを見出し
た。等電点の差異を応用する方法は簡便で大量処
理に適し、本操作には好適である。 操作方法としては、たとえば被処理液を透析チ
ユーブにつめ、適当な緩衝液に対し透析する方法
が推奨される。さらに詳述すれば、酢酸、リン酸
等の緩衝液を用い、PHは4.0〜4.5に調整し、低温
で十分に時間をかけて沈殿を生成させることが好
ましい。生成した沈殿物は遠心分離等により除去
し、低活性蛋白質の除去された上清を得ることが
出来る。 糖質除去操作 糖質除去操作の方法としては被処理物の含有す
る糖質の多くが高分子量であるため、これを利用
し分子ふるいを用いる方法たとえばゲルろ過法で
分離除去することもできる。また糖質の多くが有
機溶媒により沈殿するのでこれを利用することも
できる。その他の方法もD物質の活性低下をもた
らさない限り使用できる。なかでも有機溶媒を用
いる方法は簡便で大量処理に適当である。有機溶
媒としては目的物の活性低下の少ないものを用い
る限り特に限定は加えないが、エタノールなどの
アルコール類が特に好適である。有機溶媒の使用
量は経験的に適当量を選定し得るが通常は10〜40
%程度として使用するのが適当である。処理は有
機溶媒を被処理液に攪拌下少量ずつ添加するが、
処理温度は室温以下、好ましくは0〜15℃で行
う。有機溶媒添加後は静置して十分に沈殿を生成
させた後遠心分離等により主として糖質より成る
沈殿物を除去する。 イオン交換体を用いる分画処理 前記〜の精製操作を行うことにより、タン
パク質あたりの遅延型アレルギー反応活性の強さ
が精製ツベルクリンの2倍以上を示す物質を得る
ことが出来るが、これをイオン交換体処理するこ
とにより、D物質の精製に適した中間精製物とす
ることが出来る。 で得られた精製物を条件を選んで陽イオン交
換体と接触せしめると、主として活性の低い物質
がイオン交換体に捕集され、D物質は液中に残存
する。 この陽イオン交換体に捕集されない物質をさら
に陰イオン交換体を用いて分画し、捕集されない
物質を分取する方法が従来知られている。 (特願昭55−50894)しかしながら陰イオン交
換体に目的物質を吸着させ、夾雑物質である糖質
を洗い流した後に適当な溶出液を用いて溶出せし
め、回収することも可能である。 D物質を得るための中間精製物としは、陰イオ
ン交換体に吸着されず、そのまま溶出せしめたも
の、あるいはいつたも吸着させ、溶出させたもの
の両者を用い得るが、後者の方法が夾雑物が少な
いため後の処理に好適である。 この処理で使用するイオン交換体は通常蛋白質
の精製に用いられるもので良く、たとえばセルロ
ールや架橋デキストランなどを基材としたものを
用い得る。イオン交換基もたとえば陽イオン交換
型ではCM(カルボキシメチル)基、P(ホスホ)
基、SE(スルホエチル)基、SP(スルホプロピ
ル)基など、陰イオン交換型ではDEAE(ジエチ
ルアミノエチル)基、TEAE(トリエチルアミノ
エチル)基、QAE(ジエチル−(2−ヒドロキシ
プロピル)−アミノエチル)基のもので充分に目
的を達し得る。 操作方法は通常のイオン交換処理方法を用いて
差支えない。また操作はバツチ法でも行えるが、
イオン交換体をカラムに充填して行なう方法が効
果的である。 陽イオン交換体による処理は酸性域で行うのが
好ましく、特にPH5以下の弱酸性域で行うと良好
な結果が得られる。PH値は実験により最適値を選
定し得る。 陰イオン交換体による処理は中ないし酸性域で
行うことが可能である。好ましくは中性域で行う
ことが良い。 イオン交換体および処理すべき液は常法に従
い、あらかじめ所望のPH値の緩衝液を用いて十分
に平衡化しておくことが必要である。緩衝液の書
類は慣用のもので差支えなく、たとえば、リン
酸、酢酸、クエン酸、トリスヒドロキシメチルア
ミノメタン(トリス)などの種類のものを用い得
る。 処理の順序は陽イオン交換または陰イオン交換
のいずれの処理を先に行なつても良い。 以上の分画処理を行うことにより中間精製物を
得ることが出来る。 (2) D物質の精製 D物質の精製操作に関しても、目的とするD物
質の活性を低下させることの少ない限り、任意の
方法を用い得る。 材料として用いる中間精製物に含まれる成分は
主として蛋白質及び糖質であり、これらを分画し
得る緩和な方法が各種知られているが、代表的な
方法を後述する。 これら分画処理の順序も特に限定する必要はな
いが、説明における分画処理を用いる場合は記載
の順序によるほうが操作が容易で推奨される。 分子ふるいによる分画 D物質は後述するように分子ふるいを用いた場
合、みかけの分子量分布の巾が狭いため、これを
利用し、たとえばゲルろ過法で中間精製物より精
製できる。 分子ふるいはタンパク質の分画分子量として2
ないし3万のタンパク質が分画できる性能のもの
が適当である。たとえばセフアデツクス
(Sephadex)G200,G150,G100,G75、および
セフアクリル(Sephacryl)S200,S300(いずれ
もスクエーデン,フアルマシン社製)あるいはビ
オゲル(Biogel)P100,P60(アメリカ,ビオラ
ド社製)などが好適である。 緩衝液は常用のもので、そのPHは中ないし弱酸
性が良い。処理温度は室温以下、通液速度や分取
方法は使用する分子ふるいの種類やカラムの高
さ、及び径の小など諸元に応じ、その何れの場合
においてもタンパク質の分画分子量として、2な
いし3万の範囲を分取することが必要である。本
操作は必要とあれば複数回行い、されに精製度を
高めることも可能である。 イオン交換体を用いる分画 D物質は前述の如く、条件を選択することによ
り陰イオン交換体に吸着させ得るので、これを利
用して分画することが出来る。 使用する陰イオン交換体としては、中間精製物
の製造に使用したものが使用出来、操作方法も同
様に中間精製物製造方法に準ずるが、溶出法はD
物質のイオン交換体への吸着力に応じた最適の方
法を実験により、定めることが可能である。 たとえば食塩などの濃度勾配溶出法などは好適
であり、低活性タンパク質などを容易に除去し、
目的とするD物質を得ることが出来る。食塩の濃
度勾配としては0〜0.12Mのものが最適である。
この場合、使用するイオン交換体の種類や、カラ
ムの高さ、及び径の大小など諸元に応じ、それぞ
れ適当な操作条件を選定することが出来る。本操
作は必要とあれば複数回行い、さらに精製度を高
めることも可能である。 以上の分画処理を行うことにより、D物質を含
む画分が得られる。これらの画分よりD物質の固
体を得るには凍結乾燥法が最も適しており、長期
保存が可能である。 (C) D物質の性質 D物質の凍結乾燥物は白色の粉末であり、水に
可溶であるが、メタノール、エタノール、エーテ
ル及びアセトンに不溶である。 D物質をDavisの方法(Ann.N.Y.Acad.Sci.,
121,404(1964)に従いデイスクゲル電気泳動法
により分析すると一本の染色バンドが観察される
(ただしアクリルアミドとN,N′−メチレンビス
アクリルアミドの混合比を20:1とし、染色は20
%TCAに溶解した0.1%クマシーブリリアントブ
ルーで蛋白を染色するか、PAS染色法により糖
を染色した。)また蛋白の染色バンドと糖の染色
バンドの易動度は一致したことより、D物質は高
度に精製された糖蛋白質であることが示された
(第5図)。 D物質の分子量を0.15M食塩を含有する中性リ
ン酸緩衝液中でセフアデツクスG75スーパーフア
インカラムにより測定すると、標準蛋白質として
ウシ血清アルブミン(分子量67000)、卵白アルブ
ミン(分子量43000)、キモトリブシノーゲンA
(分子量25000)、リボヌクレアーゼA(分子量)
13700)を用いた場合、26000と算出される(第3
図)。 D物質の紫外線吸収スペクトルを第1図に、赤
外線吸収スペクトルを第2図に示す。 D物質を免疫二重拡散法の方法に従い、1%寒
天板ゲルを用い、コンカナバリンAとの間で沈降
反応を行うと、一本の沈降線が観察される(第4
図)。これはD物質が糖蛋白質であることのもう
ひとつの証明である。 D物質の組成は以下に示す通りである。組成物 (g/100g) アスパラギン酸として 0.5 スレオニン 9.1 セリン 1.4 グルタミン酸として 11.4 プロリン 36.4 グリシン 3.1 アラニン 4.0 バリン 7.4 イソロイシン 2.4 ロイシン 1.5 マンノース 19.0 グルコース 1.2 アミノ酸は6N塩酸中で110℃、20時間加水分解
後日立KLA−5型アミノ酸分析機で分析した。
糖は1N塩酸中で100℃、2時間加水分解後脱塩
酸、還元、アセチル化を行ない、島津GC4BM型
ガスクロマト分析機で分析した。数値はD物質凍
結乾燥物100g中の各組成物の含有量(g)を示
す。 D物質の生物学的性質として強力な遅延型アレ
ルギー反応活性及び抗腫瘍性が挙げられる。 D物質の遅延型アレルギー反応活性の強さ(す
なわちツベルクリン反応活性の強さ)は従来一般
に使用されている精製ツベルクリン(PPDs)に
比較してBCGワクチン感作モルモツトにおいて
乾燥重量あたり8倍以上の活性を示す。 一方BCGワクチンであらかじめ感作しておい
た動物において腫瘍細胞にD物質を混合し移植す
ることにより腫瘍の生着及び増殖を抑制すること
が出来る。また同じく感作動物に腫瘍細胞をあら
かじめ移植しておき、生着した腫瘍内にD物質を
投与すると腫瘍の増殖抑制効果、あるいは延命効
果が認められる。D物質の抗腫瘍効果はマウス同
系腫瘍系においてのみならず、モルモツトの同系
腫瘍系においても観察される。 (D) D物質の用途 D物質はその有する強力な遅延型アレルギー反
応活性、及び腫瘍活性にもとづき、遅延型アレル
ギー反応試験(ツベルクリンテスト)、腫瘍の治
療もしくは予防に用いられる。 遅延型アレルギー反応試験に用いる場合には、
皮内反応試験が適当であり、精製ツベルクリンに
準じて試験に用いる。 すなわちD物質を好ましくはリン酸緩衝塩化ナ
トリウム液(以下PBSと略記)を用い、濃度が
0.1〜1000ng/mlとなるように調製した製剤を動
物またはヒトの皮内に0.1ml注射し、24または48
時間後の局所の発赤及び硬結を測定し、遅延型ア
レルギー感作の程度を判断する。腫瘍の治療に用
いる場合には、腫瘍内投与が適当である。すなわ
ち、D物質円好ましくはPBSを用いて、濃度が
タンパク質として、0.1〜1000μs/mlとなるよう
に調製した製剤をヒトまたは動物の腫瘍内に0.1
〜1ml/回の用量で毎週1ないし数回注射する方
法が推奨される。 またあらかじめX線照射、化学療法剤等により
不活化した腫瘍細胞にD物質を混じて治療に用い
ることも考えられる。 1回の投与量及び投与間隔については動物や腫
瘍の種類により適宜選択すべきである。 D物質の毒性は極めて弱く、たとえばBCGよ
り得られたD物質をマウスに皮下注射した場合、
急性毒性はLD50値として100mg/Kg以上を示し、
投与量に比して、十分に安全である。 D物質を使用する場合、目的によつては前述の
D物質を含有する画分をそのまま用いることもで
きるが、一般には生物学的製剤の製造方法に準じ
て製剤化するのが良い。 D物質注射薬の製造方法の一例を示せばD物質
を注射用蒸溜水に溶解し、さらに添加剤、賦型剤
を加えて除菌ろ過し、原液を製造する。この所定
量を分注し、凍結乾燥して注射薬を製造する。 この注射薬は使用時に注射用蒸溜水を用いて溶
解し投与する。抗腫瘍剤としては原液と適当な界
面活性剤および油類(例えばノルマルパラフイン
などの鉱物油、スタワラン、スクワレンなどの動
物油またはゴマ油などの植物油)とを混合、エマ
ルジヨンとした注射薬も用い得る。 以下さらに本発明について実施例及び試験例に
より説明する。 実施例1 BCG菌より中間精製物の製造 Mycobacterium bovis BCG(ATCC19015)を肉
エキス.グリセリン培地を用い、37℃で6週間静
置培養した。 培養物をチーズクロスにてろ過し得た湿菌体2
Kgに50mMリン酸緩衝液(PH7.0)10を加え懸
濁した後、ダイノミル(Dyno−Mill)により氷
冷しながら菌体を破砕した。 得られた菌体破砕物を冷却下で遠心分離して固
型分を除去し、無細胞抽出液8.2を得た。これ
に核酸沈殿剤として硫酸ストレプトマイシン24.6
gを加え充分に攪拌した後、4℃で一夜静置して
沈殿を生成せしめ、遠心分離して上清7.8を得
た。 上記核酸除去上清に固型硫酸アンモニウム6Kg
を加え、攪拌飽和の後一夜静置して沈殿を生成せ
しめ、遠心分離して沈殿を得た。この沈殿を少量
の蒸溜水に懸濁し、透析チユーブにつめ、蒸溜水
10に対して2日間透析した。その後透析外液を
10mM酢酸緩衝液(PH4.2)とし、さらに3日間
4℃で透析した。透析外液は毎日2回新しい液と
交換した。透析終了後遠心分離して上清2.2を
得た。 この上清に冷エタノール1.0を攪拌下少量ず
つ添加し、4℃で一夜静置した後遠心分離して上
清を得、減圧濃縮して約100mlとした。 あらかじめ70mM酢酸緩衝液(PH4.1)で平衡
化したCMセルロース(CM52、ワツトマン社製)
をカラムに充填し、15×200mmのベツドを作成し
た。前記上清を同緩衝液に対し透析したものをこ
のカラムに30ml/hの流速で通液し、次いで同緩
衝液で溶出した。溶出液中、吸光度0.05(280nm)
以上を示した部分を分取した。この画分には蛋白
質238mgが含まれていた。 次いでこの画分を減圧濃縮した後、5mMトリ
ス塩酸緩衝液(PH8.0)に透析した。この透析物
を同緩衝液で平衡化しておいたQAEセハデツク
スA−25(フアルマシア社製)カラム(15×160
mm)に30ml/hの流速で通液した後、700mlの同
緩衝液で洗つた。 次に0.15Mの食塩を添加した同緩衝液を用いて
中間精製物を溶出した。溶出液中吸光度0.01
(280nm)以上を示す部分を集め中間精製物とし
た。得られた中間精製物の蛋白質量は106mgであ
つた。中間精製物は蒸溜水に透析後凍結乾燥し
た。 実施例2 中間精製物よりD物質の製造 あらかじめ0.15Mの食塩を添加した10mMリン
酸緩衝液で平衡化しておいたセフアデツクス
G100カラム(26.4×960mm)を用い、5mlの同緩
衝液に溶解した実施例1の中間精製物を常法に従
い、同緩衝液により11ml/hの速度で展開した。
流出液量330〜375mlまでの部分を分取し、約2ml
に減圧濃縮した。 次にあらかじめ上記の緩衝液で平衡化しておい
たセフアデツクスG75スーパーフアインカラム
(16×1480mm)を用い、上記濃縮物を同緩衝液に
より6ml/hの速度で展開した。流出液量130〜
160mlまでの部分を分取した。この画分には蛋白
質量として11mgが含まれていた。 さらにこの画分を5mMトリス塩酸緩衝液(PH
8.0)に対して透析し、あらかじめ同緩衝液で平
衡化しておいたQAEセフアデツクスA−25カラ
ム(10×450mm)に10ml/hの速度で通液した後、
同緩衝液及び0.12M食塩添加緩衝液各々150mlに
よる直線濃度勾配溶出を行なつた。溶出液は蛋白
質含量、糖質含量を測定し、食塩濃度がおよそ
0.07〜0.09M[ ]の部分に溶出される糖蛋白質
のピークを分取した。この画分を透析チユーブに
つめ、上記緩衝液1に対し透析の後、同一条件
下で再びQAEセフアデツクスA−25カラムを用
いたクロマトグラフイーを行なつた。 得られた目的物を含む画分を蒸溜水に対して透
析後凍結乾燥してD物質5.4mg(凍結乾燥物の重
量)を得た。得られたD物質の蛋白質量は0.74mg
であつた。 以下BCG菌由来の本発明のD物質をBD物質と
称する。 なお蛋白質量及び糖質量は以下の方法で測定し
た。 (i) 蛋白質:ウシ血清アルブミンを標準としたロ
ーリー法 (Stauffer,C.E.,Analtical Biochemistry,
69巻,646頁,1975年)。 (ii) 糖質:グルコースを標準としたフエノール硫
酸法 (Dubois,M.etal,Analytical
Biochemistry,28巻,350頁,1956年)。 実施例3 ヒト型結核菌由来D物質の製造 ヒト型結核菌Mycobacterium tuberculosis
H37Ra(ATCC25177)をソートン培地を用い、
37℃で8週間静置培養した。 培養物を100℃で60分間加熱殺菌した後、チー
ズクロスにてろ過し得た湿菌体240gを用い、実
施例1の方法に従い、中間精製物6.4mg(蛋白質
量)を得た。 次いで中間精製物より実施例2の方法に従い、
D物質0.15mg(蛋白質量)を得た。 以下ヒト型結核菌由来の本発明のD物質をRD
物質と称する。 実施例4 凍結乾燥製剤 BD物質10mgを100mlの注射用蒸溜水に溶解し、
次に5gのマンニトールを加えて溶解せしめた後
ニユクリポアーフイルター(0.2μm:ニユクリポ
アーコーポレーシヨン社製)を用いて除菌ろ過し
た。得られたろ液を1mlずつ無菌的にバイアル瓶
に分注した後凍結乾燥して本発明物質の凍結乾燥
製剤を得た。 実施例5 診断薬用製剤 BD物質1mgを2の注射用蒸溜水に溶解し、
次に10gの乳糖を加えて溶解せしめた後ニユクリ
ポアーフイルター(0.2μm;ニユクリポアーコー
ポレーシヨン社製)を用いて除菌ろ過した。得ら
れたろ液を2mlずつ無菌的にバイアル瓶に分注し
た後凍結乾燥して本発明物質の診断薬用製剤を得
た。 試験例1 BD物質の遅延型アレルギー反応活性
試験 10週前にBCGワクチン(日本ビーシジー製造
(株)製以下同じ)を接種して遅延型感作を成立せし
めたハートレー系雌性モルモツト6頭を用い、実
施例2のBD物質を凍結乾燥物の重量として、
1,5,25ng(=10-9g)、およびPPDs(精製ツ
ベルクリン、日本ビーシージー製造(株)製)を力価
単位で50,100,200ngをそれぞれモルモツトの
側腹部皮内6ケ所に注射し、24時間後の局所の発
赤径(発赤の縦径と横径の算術平均値、単位mm)
を測定した。活性物質の各用量における発赤径の
平均値を表1に示す。 活性物質の用量と発赤径との関係よりPPDsを
基準とした活性比率を算定すると約50〜80倍であ
つた。 非感作モルモツト3頭に前記D物質を凍結乾燥
物の重量として1μgづつ側腹部皮内に注射し24
時間後の局所を観察したが発赤はほんど検出でき
ず、皮膚反応原性は感作動物に特異的であつた。
の製造法、及びそれを有効成分とする抗腫瘍剤に
関する。 結核菌が抗腫瘍活性を有することは広く知られ
ており、結核菌の中でも特にBCG菌をガン患者
に投与し、治療する試みも行なわれている。しか
しながらBCG菌体を患者に直接投与することは
同時に種々の好ましからぬ副作用を招来するた
め、副作用を軽減する目的で、菌体から抗腫瘍活
性を有する成分を分離することが行われている。 その例として細胞壁、細胞壁骨格、水溶性アジ
ユバント、ワツクスD、多糖体が報告されてい
る、しかしながら、これらのものも、強力な作用
を有するものは副作用も比較的強いものが多く、
逆に副作用の弱いものは主作用も弱いという様
に、前記欠点を充分に克服したとは言えないのが
現状である。 そこで本発明者らは結核菌に対する免疫反応の
特徴である遅延型アレルギー反応に着目し、結核
菌感作動物に対し特有な遅延型アレルギー反応を
惹起する活性(ツベルクリン活性)を有する物質
を担ガン生体に投与し惹起される反応によつて腫
瘍を治療する研究を行なつてきた。 遅延型アレルギー反応を腫瘍の治療に応用する
研究においては、他種菌体やジニトロクロルベン
ゼン(DNCB)を抗原として用いる試み等も散
見されるが、現在はヒトの多くが自然感染、ある
いはBCGワクチンの強制接種により結核菌に対
する遅延型アレルギー反応能力を有している点を
考えると、結核菌に対する反応を利用する方が容
易であり、安全であると考えられる。 本発明者らはすでに、結核菌感作動物に対しツ
ベルクリン反応を惹起する活性を有する結核菌体
抽出物が、結核菌感作担ガン動物において強力な
抗腫瘍効果を示すことを明らかにし、特許(特開
昭55−13204、特開昭55−50894、特開昭55−
50895)を出願した。しかしながら、その後の検
討において、これら抽出物中には末だ本来の活性
物とは無関係の夾雑物が含有されており、治療剤
として必ずしも好ましいものではないことが判明
した。 そこで本発明者らは以上の点をふまえ鋭意検討
を重ねた結果、結核菌由来の新規かつ強力なツベ
ルクリン活性物質を単離し、その性質を明らかに
することに成功した。 本発明のツベルクリン活性物質は結核菌由来の
水溶性抽出物に核酸除去操作、糖質除去操作及び
低活性蛋白質除去操作を加えることにより単離さ
れるものであり、この物質が新規な物質であり、
かつ、きわめて強力な遅延型アレルギー反応惹起
活性を有することを確認し、これをD物質と命名
した。 本発明のツベルクリン活性物質を以下D物質と
称し、その製造方法ならびに性質についてさらに
詳細に説明する。 (A) 原料菌の培養と水溶性抽出物の製造 本発明の原料は結核菌(ミコバクテリウム属)
に属する細菌が用いられるが、特にウシ型結核菌
(Mycobacterium bovis strain BCG、
ATCC19015)、ヒト型結核菌(Mycobacterium
tuberculosis H37Ra、ATCC25177、
Mycobacterium tuberculosis H37Rv、
ATCC25618)などが好適である。 培養方法はこれに適した常用の方法に従つて培
養して差支えない。たとえばソートン培地や肉エ
キス・グリセリン培地などにより37℃で3〜8週
間静置培養すれば良好な培養物を得ることがで
き、これをろ過して菌体を得る。場合によつては
得られた生菌体を受法により加熱殺菌処理したも
のも使用出来る。また菌体より抽出液を製造する
方法も常法に従つて差支えない。 たとえば菌体を適当な緩衝液と十分に混合し、
菌体破砕機により菌体を破砕して懸濁液を得、さ
らに必要に応じて緩衝液を加え菌体内物質を十分
に抽出し、次いでこれをろ過または遠心分離する
ことにより抽出液を得ることが出来る。操作は低
温で、中性域近傍のPHの緩衝液の存在下で行うの
が好ましい。 (B) 精製操作 D物質は前記抽出液を後述の如き処理により精
製して脂肪、核酸、糖質、低活性蛋白質等の夾雑
物を除去し、いつたん中間精製物とした後にさら
に精製操作を加えることにより製造することが出
来る。夾雑物の除去方法は目的とするD物質の活
性を低下させることの少ない限り、任意の方法を
用い得る。方法によつては同時に複数の種類の夾
雑物を除去できるものもあり、各夾雑物を個々に
除去することを必ずしも要しない。 また除去処理の順序も特に限定する必要は無い
が、以下の説明における除去方法を用いる場合は
記載の順序によるほうが操作が容易で推奨され
る。 除去方法のうち脂質の除去については特に述べ
ないが、以下に述べる操作により副次的にそのほ
とんどが除去される。 (1) 中間精製物の製造 中間精製物の製造に適した夾雑物の除去方法に
ついて以下に説明する。 核酸除去操作 核酸除去操作の方法としては沈殿剤を用いる方
法、核酸分解酵素を用いる方法、アフイニテイク
ロマトグラフイー法などの常法を用いて差支えな
いが、沈殿剤を用いる方法が最も簡便で好適であ
る。 沈殿剤としては多価金属の塩、塩基性抗生物質
またはその塩、塩基性高分子物質またはその塩な
どを用い得るが、これらのうち硫酸ストレプトマ
イシンを用いる方法が適当であり、操作も簡便で
ある。その使用量は通常液量に対して0.1〜1%
程度である。操作方法としては必要に応じ核酸沈
殿剤をあらかじめ適量の水に溶解したものを被処
理液に加え十分に攪拌後静置して沈殿を生成せし
め、沈殿物をろ過または遠心分離等により除去
し、上清を得る。上清中に残存するストレプトマ
イシンは透析等により容易に除去できる。処理時
のPHは中性域またはその近傍が好ましく、温度は
0〜25℃が適当である。沈殿の生成はたとえば一
夜静置するなど十分に時間をかけて行うのが良
い。 低活性糖蛋白質除去操作 遅延型アレルギー反応活性の低い蛋白質を除去
する操作としては低活性蛋白質とD物質との性質
の差に着目して種々の分画方法を応用することが
可能である。本発明者らはそのひとつとして、結
核菌体中の蛋白質の多くがPH4.5前後で沈殿する
ことを考慮しつつ、検討を重ねたところ、このPH
域ではD物質が上清に回収されることを見出し
た。等電点の差異を応用する方法は簡便で大量処
理に適し、本操作には好適である。 操作方法としては、たとえば被処理液を透析チ
ユーブにつめ、適当な緩衝液に対し透析する方法
が推奨される。さらに詳述すれば、酢酸、リン酸
等の緩衝液を用い、PHは4.0〜4.5に調整し、低温
で十分に時間をかけて沈殿を生成させることが好
ましい。生成した沈殿物は遠心分離等により除去
し、低活性蛋白質の除去された上清を得ることが
出来る。 糖質除去操作 糖質除去操作の方法としては被処理物の含有す
る糖質の多くが高分子量であるため、これを利用
し分子ふるいを用いる方法たとえばゲルろ過法で
分離除去することもできる。また糖質の多くが有
機溶媒により沈殿するのでこれを利用することも
できる。その他の方法もD物質の活性低下をもた
らさない限り使用できる。なかでも有機溶媒を用
いる方法は簡便で大量処理に適当である。有機溶
媒としては目的物の活性低下の少ないものを用い
る限り特に限定は加えないが、エタノールなどの
アルコール類が特に好適である。有機溶媒の使用
量は経験的に適当量を選定し得るが通常は10〜40
%程度として使用するのが適当である。処理は有
機溶媒を被処理液に攪拌下少量ずつ添加するが、
処理温度は室温以下、好ましくは0〜15℃で行
う。有機溶媒添加後は静置して十分に沈殿を生成
させた後遠心分離等により主として糖質より成る
沈殿物を除去する。 イオン交換体を用いる分画処理 前記〜の精製操作を行うことにより、タン
パク質あたりの遅延型アレルギー反応活性の強さ
が精製ツベルクリンの2倍以上を示す物質を得る
ことが出来るが、これをイオン交換体処理するこ
とにより、D物質の精製に適した中間精製物とす
ることが出来る。 で得られた精製物を条件を選んで陽イオン交
換体と接触せしめると、主として活性の低い物質
がイオン交換体に捕集され、D物質は液中に残存
する。 この陽イオン交換体に捕集されない物質をさら
に陰イオン交換体を用いて分画し、捕集されない
物質を分取する方法が従来知られている。 (特願昭55−50894)しかしながら陰イオン交
換体に目的物質を吸着させ、夾雑物質である糖質
を洗い流した後に適当な溶出液を用いて溶出せし
め、回収することも可能である。 D物質を得るための中間精製物としは、陰イオ
ン交換体に吸着されず、そのまま溶出せしめたも
の、あるいはいつたも吸着させ、溶出させたもの
の両者を用い得るが、後者の方法が夾雑物が少な
いため後の処理に好適である。 この処理で使用するイオン交換体は通常蛋白質
の精製に用いられるもので良く、たとえばセルロ
ールや架橋デキストランなどを基材としたものを
用い得る。イオン交換基もたとえば陽イオン交換
型ではCM(カルボキシメチル)基、P(ホスホ)
基、SE(スルホエチル)基、SP(スルホプロピ
ル)基など、陰イオン交換型ではDEAE(ジエチ
ルアミノエチル)基、TEAE(トリエチルアミノ
エチル)基、QAE(ジエチル−(2−ヒドロキシ
プロピル)−アミノエチル)基のもので充分に目
的を達し得る。 操作方法は通常のイオン交換処理方法を用いて
差支えない。また操作はバツチ法でも行えるが、
イオン交換体をカラムに充填して行なう方法が効
果的である。 陽イオン交換体による処理は酸性域で行うのが
好ましく、特にPH5以下の弱酸性域で行うと良好
な結果が得られる。PH値は実験により最適値を選
定し得る。 陰イオン交換体による処理は中ないし酸性域で
行うことが可能である。好ましくは中性域で行う
ことが良い。 イオン交換体および処理すべき液は常法に従
い、あらかじめ所望のPH値の緩衝液を用いて十分
に平衡化しておくことが必要である。緩衝液の書
類は慣用のもので差支えなく、たとえば、リン
酸、酢酸、クエン酸、トリスヒドロキシメチルア
ミノメタン(トリス)などの種類のものを用い得
る。 処理の順序は陽イオン交換または陰イオン交換
のいずれの処理を先に行なつても良い。 以上の分画処理を行うことにより中間精製物を
得ることが出来る。 (2) D物質の精製 D物質の精製操作に関しても、目的とするD物
質の活性を低下させることの少ない限り、任意の
方法を用い得る。 材料として用いる中間精製物に含まれる成分は
主として蛋白質及び糖質であり、これらを分画し
得る緩和な方法が各種知られているが、代表的な
方法を後述する。 これら分画処理の順序も特に限定する必要はな
いが、説明における分画処理を用いる場合は記載
の順序によるほうが操作が容易で推奨される。 分子ふるいによる分画 D物質は後述するように分子ふるいを用いた場
合、みかけの分子量分布の巾が狭いため、これを
利用し、たとえばゲルろ過法で中間精製物より精
製できる。 分子ふるいはタンパク質の分画分子量として2
ないし3万のタンパク質が分画できる性能のもの
が適当である。たとえばセフアデツクス
(Sephadex)G200,G150,G100,G75、および
セフアクリル(Sephacryl)S200,S300(いずれ
もスクエーデン,フアルマシン社製)あるいはビ
オゲル(Biogel)P100,P60(アメリカ,ビオラ
ド社製)などが好適である。 緩衝液は常用のもので、そのPHは中ないし弱酸
性が良い。処理温度は室温以下、通液速度や分取
方法は使用する分子ふるいの種類やカラムの高
さ、及び径の小など諸元に応じ、その何れの場合
においてもタンパク質の分画分子量として、2な
いし3万の範囲を分取することが必要である。本
操作は必要とあれば複数回行い、されに精製度を
高めることも可能である。 イオン交換体を用いる分画 D物質は前述の如く、条件を選択することによ
り陰イオン交換体に吸着させ得るので、これを利
用して分画することが出来る。 使用する陰イオン交換体としては、中間精製物
の製造に使用したものが使用出来、操作方法も同
様に中間精製物製造方法に準ずるが、溶出法はD
物質のイオン交換体への吸着力に応じた最適の方
法を実験により、定めることが可能である。 たとえば食塩などの濃度勾配溶出法などは好適
であり、低活性タンパク質などを容易に除去し、
目的とするD物質を得ることが出来る。食塩の濃
度勾配としては0〜0.12Mのものが最適である。
この場合、使用するイオン交換体の種類や、カラ
ムの高さ、及び径の大小など諸元に応じ、それぞ
れ適当な操作条件を選定することが出来る。本操
作は必要とあれば複数回行い、さらに精製度を高
めることも可能である。 以上の分画処理を行うことにより、D物質を含
む画分が得られる。これらの画分よりD物質の固
体を得るには凍結乾燥法が最も適しており、長期
保存が可能である。 (C) D物質の性質 D物質の凍結乾燥物は白色の粉末であり、水に
可溶であるが、メタノール、エタノール、エーテ
ル及びアセトンに不溶である。 D物質をDavisの方法(Ann.N.Y.Acad.Sci.,
121,404(1964)に従いデイスクゲル電気泳動法
により分析すると一本の染色バンドが観察される
(ただしアクリルアミドとN,N′−メチレンビス
アクリルアミドの混合比を20:1とし、染色は20
%TCAに溶解した0.1%クマシーブリリアントブ
ルーで蛋白を染色するか、PAS染色法により糖
を染色した。)また蛋白の染色バンドと糖の染色
バンドの易動度は一致したことより、D物質は高
度に精製された糖蛋白質であることが示された
(第5図)。 D物質の分子量を0.15M食塩を含有する中性リ
ン酸緩衝液中でセフアデツクスG75スーパーフア
インカラムにより測定すると、標準蛋白質として
ウシ血清アルブミン(分子量67000)、卵白アルブ
ミン(分子量43000)、キモトリブシノーゲンA
(分子量25000)、リボヌクレアーゼA(分子量)
13700)を用いた場合、26000と算出される(第3
図)。 D物質の紫外線吸収スペクトルを第1図に、赤
外線吸収スペクトルを第2図に示す。 D物質を免疫二重拡散法の方法に従い、1%寒
天板ゲルを用い、コンカナバリンAとの間で沈降
反応を行うと、一本の沈降線が観察される(第4
図)。これはD物質が糖蛋白質であることのもう
ひとつの証明である。 D物質の組成は以下に示す通りである。組成物 (g/100g) アスパラギン酸として 0.5 スレオニン 9.1 セリン 1.4 グルタミン酸として 11.4 プロリン 36.4 グリシン 3.1 アラニン 4.0 バリン 7.4 イソロイシン 2.4 ロイシン 1.5 マンノース 19.0 グルコース 1.2 アミノ酸は6N塩酸中で110℃、20時間加水分解
後日立KLA−5型アミノ酸分析機で分析した。
糖は1N塩酸中で100℃、2時間加水分解後脱塩
酸、還元、アセチル化を行ない、島津GC4BM型
ガスクロマト分析機で分析した。数値はD物質凍
結乾燥物100g中の各組成物の含有量(g)を示
す。 D物質の生物学的性質として強力な遅延型アレ
ルギー反応活性及び抗腫瘍性が挙げられる。 D物質の遅延型アレルギー反応活性の強さ(す
なわちツベルクリン反応活性の強さ)は従来一般
に使用されている精製ツベルクリン(PPDs)に
比較してBCGワクチン感作モルモツトにおいて
乾燥重量あたり8倍以上の活性を示す。 一方BCGワクチンであらかじめ感作しておい
た動物において腫瘍細胞にD物質を混合し移植す
ることにより腫瘍の生着及び増殖を抑制すること
が出来る。また同じく感作動物に腫瘍細胞をあら
かじめ移植しておき、生着した腫瘍内にD物質を
投与すると腫瘍の増殖抑制効果、あるいは延命効
果が認められる。D物質の抗腫瘍効果はマウス同
系腫瘍系においてのみならず、モルモツトの同系
腫瘍系においても観察される。 (D) D物質の用途 D物質はその有する強力な遅延型アレルギー反
応活性、及び腫瘍活性にもとづき、遅延型アレル
ギー反応試験(ツベルクリンテスト)、腫瘍の治
療もしくは予防に用いられる。 遅延型アレルギー反応試験に用いる場合には、
皮内反応試験が適当であり、精製ツベルクリンに
準じて試験に用いる。 すなわちD物質を好ましくはリン酸緩衝塩化ナ
トリウム液(以下PBSと略記)を用い、濃度が
0.1〜1000ng/mlとなるように調製した製剤を動
物またはヒトの皮内に0.1ml注射し、24または48
時間後の局所の発赤及び硬結を測定し、遅延型ア
レルギー感作の程度を判断する。腫瘍の治療に用
いる場合には、腫瘍内投与が適当である。すなわ
ち、D物質円好ましくはPBSを用いて、濃度が
タンパク質として、0.1〜1000μs/mlとなるよう
に調製した製剤をヒトまたは動物の腫瘍内に0.1
〜1ml/回の用量で毎週1ないし数回注射する方
法が推奨される。 またあらかじめX線照射、化学療法剤等により
不活化した腫瘍細胞にD物質を混じて治療に用い
ることも考えられる。 1回の投与量及び投与間隔については動物や腫
瘍の種類により適宜選択すべきである。 D物質の毒性は極めて弱く、たとえばBCGよ
り得られたD物質をマウスに皮下注射した場合、
急性毒性はLD50値として100mg/Kg以上を示し、
投与量に比して、十分に安全である。 D物質を使用する場合、目的によつては前述の
D物質を含有する画分をそのまま用いることもで
きるが、一般には生物学的製剤の製造方法に準じ
て製剤化するのが良い。 D物質注射薬の製造方法の一例を示せばD物質
を注射用蒸溜水に溶解し、さらに添加剤、賦型剤
を加えて除菌ろ過し、原液を製造する。この所定
量を分注し、凍結乾燥して注射薬を製造する。 この注射薬は使用時に注射用蒸溜水を用いて溶
解し投与する。抗腫瘍剤としては原液と適当な界
面活性剤および油類(例えばノルマルパラフイン
などの鉱物油、スタワラン、スクワレンなどの動
物油またはゴマ油などの植物油)とを混合、エマ
ルジヨンとした注射薬も用い得る。 以下さらに本発明について実施例及び試験例に
より説明する。 実施例1 BCG菌より中間精製物の製造 Mycobacterium bovis BCG(ATCC19015)を肉
エキス.グリセリン培地を用い、37℃で6週間静
置培養した。 培養物をチーズクロスにてろ過し得た湿菌体2
Kgに50mMリン酸緩衝液(PH7.0)10を加え懸
濁した後、ダイノミル(Dyno−Mill)により氷
冷しながら菌体を破砕した。 得られた菌体破砕物を冷却下で遠心分離して固
型分を除去し、無細胞抽出液8.2を得た。これ
に核酸沈殿剤として硫酸ストレプトマイシン24.6
gを加え充分に攪拌した後、4℃で一夜静置して
沈殿を生成せしめ、遠心分離して上清7.8を得
た。 上記核酸除去上清に固型硫酸アンモニウム6Kg
を加え、攪拌飽和の後一夜静置して沈殿を生成せ
しめ、遠心分離して沈殿を得た。この沈殿を少量
の蒸溜水に懸濁し、透析チユーブにつめ、蒸溜水
10に対して2日間透析した。その後透析外液を
10mM酢酸緩衝液(PH4.2)とし、さらに3日間
4℃で透析した。透析外液は毎日2回新しい液と
交換した。透析終了後遠心分離して上清2.2を
得た。 この上清に冷エタノール1.0を攪拌下少量ず
つ添加し、4℃で一夜静置した後遠心分離して上
清を得、減圧濃縮して約100mlとした。 あらかじめ70mM酢酸緩衝液(PH4.1)で平衡
化したCMセルロース(CM52、ワツトマン社製)
をカラムに充填し、15×200mmのベツドを作成し
た。前記上清を同緩衝液に対し透析したものをこ
のカラムに30ml/hの流速で通液し、次いで同緩
衝液で溶出した。溶出液中、吸光度0.05(280nm)
以上を示した部分を分取した。この画分には蛋白
質238mgが含まれていた。 次いでこの画分を減圧濃縮した後、5mMトリ
ス塩酸緩衝液(PH8.0)に透析した。この透析物
を同緩衝液で平衡化しておいたQAEセハデツク
スA−25(フアルマシア社製)カラム(15×160
mm)に30ml/hの流速で通液した後、700mlの同
緩衝液で洗つた。 次に0.15Mの食塩を添加した同緩衝液を用いて
中間精製物を溶出した。溶出液中吸光度0.01
(280nm)以上を示す部分を集め中間精製物とし
た。得られた中間精製物の蛋白質量は106mgであ
つた。中間精製物は蒸溜水に透析後凍結乾燥し
た。 実施例2 中間精製物よりD物質の製造 あらかじめ0.15Mの食塩を添加した10mMリン
酸緩衝液で平衡化しておいたセフアデツクス
G100カラム(26.4×960mm)を用い、5mlの同緩
衝液に溶解した実施例1の中間精製物を常法に従
い、同緩衝液により11ml/hの速度で展開した。
流出液量330〜375mlまでの部分を分取し、約2ml
に減圧濃縮した。 次にあらかじめ上記の緩衝液で平衡化しておい
たセフアデツクスG75スーパーフアインカラム
(16×1480mm)を用い、上記濃縮物を同緩衝液に
より6ml/hの速度で展開した。流出液量130〜
160mlまでの部分を分取した。この画分には蛋白
質量として11mgが含まれていた。 さらにこの画分を5mMトリス塩酸緩衝液(PH
8.0)に対して透析し、あらかじめ同緩衝液で平
衡化しておいたQAEセフアデツクスA−25カラ
ム(10×450mm)に10ml/hの速度で通液した後、
同緩衝液及び0.12M食塩添加緩衝液各々150mlに
よる直線濃度勾配溶出を行なつた。溶出液は蛋白
質含量、糖質含量を測定し、食塩濃度がおよそ
0.07〜0.09M[ ]の部分に溶出される糖蛋白質
のピークを分取した。この画分を透析チユーブに
つめ、上記緩衝液1に対し透析の後、同一条件
下で再びQAEセフアデツクスA−25カラムを用
いたクロマトグラフイーを行なつた。 得られた目的物を含む画分を蒸溜水に対して透
析後凍結乾燥してD物質5.4mg(凍結乾燥物の重
量)を得た。得られたD物質の蛋白質量は0.74mg
であつた。 以下BCG菌由来の本発明のD物質をBD物質と
称する。 なお蛋白質量及び糖質量は以下の方法で測定し
た。 (i) 蛋白質:ウシ血清アルブミンを標準としたロ
ーリー法 (Stauffer,C.E.,Analtical Biochemistry,
69巻,646頁,1975年)。 (ii) 糖質:グルコースを標準としたフエノール硫
酸法 (Dubois,M.etal,Analytical
Biochemistry,28巻,350頁,1956年)。 実施例3 ヒト型結核菌由来D物質の製造 ヒト型結核菌Mycobacterium tuberculosis
H37Ra(ATCC25177)をソートン培地を用い、
37℃で8週間静置培養した。 培養物を100℃で60分間加熱殺菌した後、チー
ズクロスにてろ過し得た湿菌体240gを用い、実
施例1の方法に従い、中間精製物6.4mg(蛋白質
量)を得た。 次いで中間精製物より実施例2の方法に従い、
D物質0.15mg(蛋白質量)を得た。 以下ヒト型結核菌由来の本発明のD物質をRD
物質と称する。 実施例4 凍結乾燥製剤 BD物質10mgを100mlの注射用蒸溜水に溶解し、
次に5gのマンニトールを加えて溶解せしめた後
ニユクリポアーフイルター(0.2μm:ニユクリポ
アーコーポレーシヨン社製)を用いて除菌ろ過し
た。得られたろ液を1mlずつ無菌的にバイアル瓶
に分注した後凍結乾燥して本発明物質の凍結乾燥
製剤を得た。 実施例5 診断薬用製剤 BD物質1mgを2の注射用蒸溜水に溶解し、
次に10gの乳糖を加えて溶解せしめた後ニユクリ
ポアーフイルター(0.2μm;ニユクリポアーコー
ポレーシヨン社製)を用いて除菌ろ過した。得ら
れたろ液を2mlずつ無菌的にバイアル瓶に分注し
た後凍結乾燥して本発明物質の診断薬用製剤を得
た。 試験例1 BD物質の遅延型アレルギー反応活性
試験 10週前にBCGワクチン(日本ビーシジー製造
(株)製以下同じ)を接種して遅延型感作を成立せし
めたハートレー系雌性モルモツト6頭を用い、実
施例2のBD物質を凍結乾燥物の重量として、
1,5,25ng(=10-9g)、およびPPDs(精製ツ
ベルクリン、日本ビーシージー製造(株)製)を力価
単位で50,100,200ngをそれぞれモルモツトの
側腹部皮内6ケ所に注射し、24時間後の局所の発
赤径(発赤の縦径と横径の算術平均値、単位mm)
を測定した。活性物質の各用量における発赤径の
平均値を表1に示す。 活性物質の用量と発赤径との関係よりPPDsを
基準とした活性比率を算定すると約50〜80倍であ
つた。 非感作モルモツト3頭に前記D物質を凍結乾燥
物の重量として1μgづつ側腹部皮内に注射し24
時間後の局所を観察したが発赤はほんど検出でき
ず、皮膚反応原性は感作動物に特異的であつた。
【表】
試験例2 RD物質の遅延型アレルギー反応活性
試験 10週前にヒト型結核菌青山B株加熱死菌パラフ
イン懸濁液を接種して遅延型感作を成立せしめた
ハートレー系雌性モルモツト8頭を用い、実施例
3のRD物質を蛋白質量として0.5,2ngおよび
PPDsを力価単位で50,200ngの投与量として試
験例1と同様に試験した。結果を表2に示す。
試験 10週前にヒト型結核菌青山B株加熱死菌パラフ
イン懸濁液を接種して遅延型感作を成立せしめた
ハートレー系雌性モルモツト8頭を用い、実施例
3のRD物質を蛋白質量として0.5,2ngおよび
PPDsを力価単位で50,200ngの投与量として試
験例1と同様に試験した。結果を表2に示す。
【表】
試験例3 P815マストサイトーマにおける抗腫
瘍試験 BCGワクチン500μgで6週令の雌性DBA/2
マウスを感作した。感作後3週めに実施例2の
BD物質50μg及びP815マストサイトーマ細胞5
×103個を含む細胞懸濁液0.1mlをマウス側腹部皮
内に接種した。対照として他の1群には腫瘍細胞
のみを接種し、移植後の平均生存日数を比較し
た。結果を表3に示す。本発明のD物質は有意
(P<0.005)の延命効果を示した。
瘍試験 BCGワクチン500μgで6週令の雌性DBA/2
マウスを感作した。感作後3週めに実施例2の
BD物質50μg及びP815マストサイトーマ細胞5
×103個を含む細胞懸濁液0.1mlをマウス側腹部皮
内に接種した。対照として他の1群には腫瘍細胞
のみを接種し、移植後の平均生存日数を比較し
た。結果を表3に示す。本発明のD物質は有意
(P<0.005)の延命効果を示した。
【表】
試験例4 IMCカルチノーマにおける抗腫瘍試
験 試験例3と同様に感作した雌性CDF1マウスの
側腹部皮内に5×105個のIMCカルチノーマ細胞
を移植し、移植翌日から週2回の割合で計6回
PBSに溶解した実施例2のB物質0.7μgを腫瘍内
に投与した。対照群にはPBSのみを投与した。
移植後35日めに腫瘍を摘出し、その重量を測定し
た。結果を表4に示す。本発明のD物質は有意
(P<0.02)の腫瘍増殖抑制効果を示した。
験 試験例3と同様に感作した雌性CDF1マウスの
側腹部皮内に5×105個のIMCカルチノーマ細胞
を移植し、移植翌日から週2回の割合で計6回
PBSに溶解した実施例2のB物質0.7μgを腫瘍内
に投与した。対照群にはPBSのみを投与した。
移植後35日めに腫瘍を摘出し、その重量を測定し
た。結果を表4に示す。本発明のD物質は有意
(P<0.02)の腫瘍増殖抑制効果を示した。
【表】
試験例5 Line10ヘパトーマにおける抗腫瘍試
験 BCGワクチン500μgで感作後8週を経過した
雄性Strain2モルモツトの側腹部皮内に1×106個
のLine10ヘパトーマ細胞を移植し、移植翌日か
ら週2回の割合で計10回PBSに溶解した実施例
2のBD物質36μgを腫瘍内に投与した。対照群
にはPBSのみを投与した。抗腫瘍効果は生存日
数及びリンパ節転移の有無により比較した。表5
に示すように本発明のD物質は強力な延命ならび
に転移抑制効果を示した。
験 BCGワクチン500μgで感作後8週を経過した
雄性Strain2モルモツトの側腹部皮内に1×106個
のLine10ヘパトーマ細胞を移植し、移植翌日か
ら週2回の割合で計10回PBSに溶解した実施例
2のBD物質36μgを腫瘍内に投与した。対照群
にはPBSのみを投与した。抗腫瘍効果は生存日
数及びリンパ節転移の有無により比較した。表5
に示すように本発明のD物質は強力な延命ならび
に転移抑制効果を示した。
【表】
試験例6 急性毒性
1群10匹の6週令雌性ddYマウスにBD物質を
生理食塩液に溶解して体重1Kgあたり100mgを皮
下投与した。本発明物質は投与後1週間の観察期
間中、体重増加の抑制を示さず、死亡例もなかつ
た。この結果は本発明のD物質の皮下投与におけ
るLD50が100mg/Kg以上であることを示す。
生理食塩液に溶解して体重1Kgあたり100mgを皮
下投与した。本発明物質は投与後1週間の観察期
間中、体重増加の抑制を示さず、死亡例もなかつ
た。この結果は本発明のD物質の皮下投与におけ
るLD50が100mg/Kg以上であることを示す。
第1図はD物質(1mg/ml蒸溜水)の紫外線吸
収スペクトル図、第2図はD物質の赤外線吸収ス
ペクトル図、第3図は分子量と溶出液量との相関
を示す図、第4図はD物質とコンカナバリンA
(con A)との間に生じる沈降線を示す図であ
る。第5図はD物質のポリアクリルアミド電気泳
動像を示す図である。第3図において、a…ウシ
血清アルブミン、b…卵白アルブミン、c…キモ
トリプシノーゲンA、d…リボヌクレアーゼAを
示す。第4図において、Pは中心穴で、コンカナ
バリンA(5mg/ml)を示し、AはD物質(0.5
mg/ml)で、以下B、C、D、E、Fは順次2倍
ずつ稀釈したD物質を示す。第5図において、X
…タンパク染色、Y…糖染色を示す。
収スペクトル図、第2図はD物質の赤外線吸収ス
ペクトル図、第3図は分子量と溶出液量との相関
を示す図、第4図はD物質とコンカナバリンA
(con A)との間に生じる沈降線を示す図であ
る。第5図はD物質のポリアクリルアミド電気泳
動像を示す図である。第3図において、a…ウシ
血清アルブミン、b…卵白アルブミン、c…キモ
トリプシノーゲンA、d…リボヌクレアーゼAを
示す。第4図において、Pは中心穴で、コンカナ
バリンA(5mg/ml)を示し、AはD物質(0.5
mg/ml)で、以下B、C、D、E、Fは順次2倍
ずつ稀釈したD物質を示す。第5図において、X
…タンパク染色、Y…糖染色を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 結核菌由来で、以下の性質を有し、ツベルク
リン活性を有するD物質。 (1) 糖蛋白で外観は白色粉末を呈す。 (2) 溶剤に対する溶解性;水に可溶、メタノー
ル、エタノール、エーテル及びアセトンに不
溶。 (3) 分子量;セフアデツクスG75スーパーフアイ
ンを用いたゲル瀘過法によれば26000 (4) 紫外線吸収スペクトル;水溶液は240〜
300nmに吸収ピークを有さない。 (5) 赤外線吸収スペクトル;1650cm-1付近及び
1530cm-1付近に吸収帯を有する (6) アミノ酸組成(g/D物質100g) アスパラギン酸0.5、スレオニン9.1、セリン
1.4、グルタミン酸11.4プロリン36.4、グリシン
3.1、アラニン4.0、バリン7.4、イソロイシン2.4、
ロイシン1.5 (7) 糖組成(g/D物質100g) マンノース19.0、グルコース1.2 (8) 寒天平板を用いた二重拡散法により、コンカ
ナバリンAとの間に一本の沈降線が形成され
る。 (9) BCGワクチン感作モルモツトにおける遅延
型アレルギー反応活性が精製ツベルクリンの8
倍以上を示す。 2 の菌体より水溶性物質を分離し、次いで核酸
除去操作、糖質除去操作及び低活性蛋白質除去操
作を行うことにより、D物質が製造出来るウシ型
結核菌もしくはヒト型結核菌を使用し、これらの
操作を行うことを特徴とするD物質の製造方法。 3 結核菌由来で、ツベルクリン活性を有するD
物質を有効成分とする抗腫瘍剤。 4 結核菌由来で、ツベルクリン活性を有するD
物質を有効成分とするツベルクリン診断薬。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP57186830A JPS5978693A (ja) | 1982-10-26 | 1982-10-26 | 新規ツベルクリン活性物質 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP57186830A JPS5978693A (ja) | 1982-10-26 | 1982-10-26 | 新規ツベルクリン活性物質 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS5978693A JPS5978693A (ja) | 1984-05-07 |
| JPH0366320B2 true JPH0366320B2 (ja) | 1991-10-16 |
Family
ID=16195355
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP57186830A Granted JPS5978693A (ja) | 1982-10-26 | 1982-10-26 | 新規ツベルクリン活性物質 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS5978693A (ja) |
-
1982
- 1982-10-26 JP JP57186830A patent/JPS5978693A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS5978693A (ja) | 1984-05-07 |
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