JPH0382736A - 転動部材用鋼及びこれを用いた転がり軸受 - Google Patents

転動部材用鋼及びこれを用いた転がり軸受

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JPH0382736A
JPH0382736A JP21768989A JP21768989A JPH0382736A JP H0382736 A JPH0382736 A JP H0382736A JP 21768989 A JP21768989 A JP 21768989A JP 21768989 A JP21768989 A JP 21768989A JP H0382736 A JPH0382736 A JP H0382736A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車、農業機械、建設機械及び鉄鋼機械等
に使用される転勤部材用鋼及びこの転動部材用鋼を用い
て作成された外輪、内輪及び転動体からなる転がり軸受
に係り、特に、トランスミッションやエンジン用として
求められる長寿命な転勤部材用鋼及び転がり軸受に関す
る。
〔従来の技術〕
内輪、外輪及び転動体からなる転がり軸受は、高面圧下
で繰り返しせん断心力を受けるという厳しい使われ方を
するため、そのせん断心力に耐えて転がり疲労寿命(以
下、寿命、と言う)を確保する必要がある。
そこで、従来は、内輪、外輪または転動体である転動部
材用材料に高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)を用いて、
それに焼入れ・焼戻しを施すことにより、ロックウェル
硬さがHRC30〜48になるようにして必要な寿命の
確保を図っていた。
また、肌焼鋼を用いることにより寿命を向上する従来例
も存在する。この従来例では、接触面圧に起因する内部
せん断心力分布に合わせて、硬さカーブを設定する必要
から、焼入性の良好な低炭素肌焼鋼5CR420H,S
CM420H,5AE8620H,5AE4320H等
を用い、これらに浸炭又は浸炭窒化熱処理→焼入れ→焼
戻しを施すことにより、内外輪及び転動体の表面部硬さ
がHRC58〜64であり、かつその芯部硬さがHRC
30〜48になるようにして必要とされる寿命を確保し
てきた。
ところで、転がり軸受を使用する機械の高負荷化、高速
化が進んで軸受の使用条件が過酷になり、転がり軸受が
準高温〜高温下で使用されるようになると、次のような
問題が生じていた。
その第1として、転がり軸受の使用温度の上昇によって
軸受の硬さが低下することにより、塑性変形が生じ寿命
が低下する。第2として、高温下の使用では、軸受の外
輪、内輪及び転動体における油膜が切れるおそれがあり
、この結果、境界潤滑が生じ易くなり、軸受部材の摩耗
が促進される。
さらに、第3の問題として、転動部材には残留オーステ
ナイトが多少残存しているため、高温下でこの残留オー
ステナイトがマルテンサイトに変態し、この結果、寸法
変化が生じいわゆる寸法安定性を害する。
そこで、従来は、準高温〜高温下で使用される転がり軸
受の寸法安定性を優先して解決するために、高炭素クロ
ム軸受@(SUJ2)及び肌焼鋼に高温テンパーを施し
、残留オーステナイトを予めマルテンサイト化すること
により寸法安定性を向上した高温テンパー品が提供され
ている。
この高温テンパー品以外に、準高温〜高温用の転動部材
用材料としては、Cr、Mo、Vを含有した高温軸受用
高速度鋼であるM2Oの如くの析出硬化型鋼が提供され
ている。
このM2Oは、高温焼戻しが施されることより、合金炭
化物を析出させて転がり軸受の高温使用時の強度を発揮
するようにしたものである。
この他、使用温度が準高温〜高温に達するおそれのある
転がり軸受の寿命向上のために、例えば、特開昭53−
37518号に記載の耐摩耗浸炭鋼、及び特開昭54−
75420号の浸炭用耐摩耗鋼を転動部材用材料として
用いることもできる。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記高温テンパー品では、寸法安定性を向上できる反面
、高温テンパーによって硬さが低下し、準高温〜高温使
用時の塑性変形がより大きくなり、軸受の寿命を却って
低下させることになる。また、耐摩耗性も十分ではない
ため、軸受の高温使用時の境界潤滑下で摩耗が著しく進
行するおそれがある。
また、上記析出硬化型のM2Oでは、C濃度が高く素材
の段階でCr、Mo、Vの巨大炭化物が存在するため前
処理の加工性が悪く、また、巨大炭化物の存在は炭化物
の回りにおいて応力集中が起こり、その部分を起点とし
てフレーキングを生じ、かえって寿命が低下することが
あると言う課題があった。そこで、高温での溶体化処理
(約1lOO°C)を行い、巨大な炭化物をマトリック
スに溶は込ました後に炭化物を微細化する特別の熱処理
を必要とする。しかし、これでは特別の熱処理設備が必
要であると共に、熱処理生産性が低下するという課題が
ある。
また、上記特開昭53−37518号に記載の耐摩耗鋼
では巨大炭化物が発生するおそれがありよって寿命が低
下することになる。さらに、上記特開昭54−7542
0号に記載の浸炭用耐摩耗鋼においても巨大炭化物が発
生するおそれがあり特に、Cの含有量が多い場合は、そ
の傾向が大となる。
そこでこの発明は、上記課題を解決するために特別の熱
処理を施さなくても微細な炭化物を形成可能で、かつ、
たとえ高温下での寸法安定性を向上するための高温焼戻
しを行っても硬さの低下を生じない転動部材用鋼を提供
することを第1の目的とし、そして、この転勤部材用鋼
を用いて常温下の使用ばかりでなく準高温〜高温下の使
用でも長寿命の転がり軸受を提供することを第2の目的
とし、そしてさらに、この第2の目的に加えて高温下で
使用されても寸法安定性に優れた転がり軸受を提供する
ことを第3の目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記第1の目的を達成するために、請求項(1)記載の
転動部材用鋼は、C: 0.2〜0.6重量%、Si:
o、5〜2.0重量%、Cr : 1.8〜2.5重量
%、Mo:3.0重量%以下、Mn1.6重量%以下、
○:12ppm以下、残部Fe及び不可避の不純物から
なること、を特徴とするものである。
同じく上記第1の目的を達成するために、請求項(2)
記載の転動部材用鋼は、C: 0.2〜0.6重量%、
Si:0,5〜2.0重蓋%、Cr : 1.8〜2.
5重量%、Mo:3.0重量%以下、Mn:1.6重量
%以下、O:12ppm以下、V:0,1〜1.0重量
%、残部Fe及び不可避の不純物からなること、を特徴
とするものである。
さらに、上記第2の目的を達成するために、請求項(3
)記載の転がり軸受は、内輪、外輪及び転動体からなる
転がり軸受において、当該内輪、外輪及び転動体の少な
くとも一つが、C: 0.2〜0.6重量%、S i 
: 0.5〜2.0重量%、Cr:1.8〜2.5重蓋
%、Mo:3.OWL量%量子以下n:1.6重量%以
下、O:12ppm以下、残部Fe及び不可避の不純物
の合金鋼からなり、該合金鋼には浸炭又は浸炭窒化熱処
理が施こされ、次いで、焼入れ、焼戻しがなされてなる
こと、を特徴とするものである。
同じく上記第2の目的を達成するために、請求項(4)
記載の転がり軸受は、内輪、外輪及び転動体からなる転
がり軸受において、当該内輪、外輪及び転動体の少なく
とも一つが、C: 0.2〜0.6重量%、S i :
 0.5〜2.0重量%、Cr:1.8〜2゜5重量%
、Mo:3.0重蓋%以下、Mn:1.6重量%以下、
0:12ppm以下、V:Q、l 〜1.0重量%、残
部Fe及び不可避の不純物の合金鋼からなり、該合金鋼
には浸炭又は浸炭窒化熱処理が施こされ、次いで、焼入
れ、焼戻しがなされてなること、を特徴とするものであ
る。
またさらに上記第3の目的を達成するために、請求項(
5)記載の転がり軸受は、請求項(3)記載の転がり軸
受において、焼戻しを高温焼戻しとし、平均残留オース
テナイト量が3%以下であることを特徴とするものであ
る。
同じく第3の目的を達成するために、請求項(6)記載
の転がり軸受は、請求項(4)記載の転がり軸受におい
て、焼戻しを高温焼戻しとし、平均残留オーステナイト
量を3%以下であることを′#徴とするものである。
〔作用〕
本発明に係わる転勤部材用鋼は、低中炭素鋼にSi、C
r、Mo、V等を添加したことを内容とする。St、C
r、Mo、Vの添加によって焼戻し軟化抵抗性が向上し
、よって、この転勤部材用鋼を焼戻し、特に寸法安定性
に悪影響のある残留オーステナイト量を低減するための
高温焼戻しをしても、焼戻しによる硬さの低下を抑制す
ることができる。従って、高温下での軟化の程度を低減
させることが可能となる。
さらに、本発明に係わる転動部材用鋼は、マトリックス
が低中炭素鋼であるため、素材の段階では巨大な炭化物
が発生しにくい。よって、巨大な炭化物の溶体化処理の
ための複雑な熱処理を必要としないし、特別の、例えば
ソルトバスのような高温処理設備も必要としない。
この転動部材用鋼に浸炭熱処理または浸炭窒化熱処理を
施して焼入れ、焼戻しを行う過程で微細なCr、Mo、
Vの炭化物が表層部に析出される。
この炭化物の析出硬化により高温下での必要な硬度を得
ることができ、この結果、準高温〜高温下での必要な硬
さを確保することが、塑性変形を著しく低減することが
できる。軟化を避けることが可能となる。そして、炭化
物が微細であると応力集中が少ないため、本発明による
転動部材用鋼により形成された転がり軸受においてはフ
レーキング及び塑性変形が発生しにくく、その結果寿命
が向上する。さらに、表層部における微細な炭化物の存
在は耐摩耗性を向上させる。
本発明に係わる請求項(3)、 (4)記載の転がり軸
受は、このような転勤部材用鋼からなり、この鋼に浸炭
または浸炭窒化熱処理、焼入れ、焼戻しが施されて形成
されるため、焼戻し軟化抵抗性に優れ、且つ、微細な炭
化物の形成により準高温〜高温下の使用でも硬さの低下
がなく、さらに耐摩耗性にも優れているため常温使用時
ばかりでなく準高温〜高温使用時においても長寿命とな
る。
また、本発明に係わる請求項(5)、 (6)記載の転
がり軸受は、焼戻しが高温で行われるため、軸受表層部
から芯部にかけての平均残留オーステナイト量が3%以
下となっている。この結果、準高温〜高温下使用時での
寸法安定性にも優れたものとなる。高温焼戻しを行って
も焼戻し軟化を生じることもないため高温焼戻しを行っ
ても長寿命をそのまま維持できる。
次に、本発明における各含有元素の作用及び含有量の臨
界的意義について説明する。
C: 0.2〜0.6重量% Cは焼入れ、焼戻し後の硬さを向上するために必要な元
素である。転がり軸受を形成する際、本発明に係る転勤
部材用鋼を浸炭または浸炭窒化することにより軸受表面
の炭素濃度は上がるため、上記数値は芯部におけるCの
含有量となる。
Cの含有量が0.6重量%を越えると素材の段階で巨大
な炭化物が発生するため、靭性が低下し、破壊強度も低
下する。また、Cの含有量が高いと残留オーステナイト
量が大きくなり、高温下で寸法変化が生じ、寸法安定性
が阻害される。
一方、0.2重量%未満であると、浸炭又は浸炭窒化処
理時間が長くなり熱処理生産性が低下する。
Si:0.5〜2.0重量% 鋼中のStは、固溶強化及び焼戻し軟化抵抗の向上に有
効である。その効果を発揮するため、含有量を0.5重
量%以上にすることが必要である。
しかし、含有量が多くなると機械的強度の低下を招く。
また、Stは浸炭阻害性のある元素である事等から含有
量の上限を2.0重量%とした。
Cr:1.8〜2.5重景% Crは焼戻し軟化抵抗性を向上する元素である。
また、微細な炭化物を形成して析出硬化することにより
、たとえ高温焼戻しを行っても十分な硬さが得られる。
また、硬くて微細なCr炭化物を析出するため、耐摩耗
性も向上する。
またさらに、Crは炭化物形成元素であるため、浸炭層
のC濃度を高める結果、浸炭阻害性のあるSiを多く含
有するような材料の浸炭性を高める作用を有する。
これらの作用、効果を発揮させ、必要な表面硬さ(望ま
しくは、HRC61〜70)を確保するためにCr含有
量の下限を1.8重量%とした。
一方、Cr含有量の上限が2.5重量%を越えると、素
材の段階で巨大炭化物ができてしまい、この炭化物の回
りで応力集中が生じ転がり軸受寿命の低下を来すおそれ
があり、コスト的にも不利であるし、この炭化物を微細
化しようとすると高温での焼入れが必要となり熱処理生
産性が低下する。
よって、Crの含有量の上限を上記値にした。
Mo1.0重量%以下 Moは前記Crと同様に焼戻し軟化抵抗性の向上に有効
な元素であると共に、表層部に炭化物を形成するために
必要な元素である。また、焼入れ性を向上する元素でも
ある。
しかしながら、Moを3.0重量%を越えて含有させて
も上記効果はそれほど上がらず逆に素材の段階で巨大な
炭化物が形成して寿命を低下させるおそれがあり、コス
ト的にも不利であるし、M。
の含有量の上限を3. O重量%とした。
Mn:1.6重量%以下 鋼中のMnは、焼入れ性の向上に大きな役割を有し、し
かも廉価であることから含有される。
しかし、その含有量が多いと非金属介在物が多く生じ易
く、且つ、硬度が向上し、鍛造性、被削性等の機械加工
性が低下するため、Mnの含有量の上限を上記値とした
。
○:12ppm Oは酸化物系非金属介在物(′#に、AltO3)の発
生元素として寿命を低下させるために、その含有量を極
力低下させる必要があり、そこで含有量の上限を12p
pm以下とした。特に、9 ppm以下にすることが良
い。
■:0゜1〜1,0重量% ■は焼戻し軟化抵抗性の向上に顕著な効果を有すると共
に、結晶粒界に析出して結晶粒の粗大化を抑制し、その
微細化を図り、且つ、鋼中の炭素と結合して、微細な炭
化物を形成する元素であり、その添加によって軸受表層
部の硬さが向上して耐摩耗性が良好となるため付加的に
添加される(請求項(2)、 (4)、 (6)記載の
発明)。
その効果は、■含有量が0.1重量%以上において顕著
となるため、含有量の下限をこの値とした。
一方、含有量の上限が1.0重量%を越えると、結晶粒
界に■の炭化物が析出して、加工性及び種々の機械的性
質を劣化させるばかりでなく、■は高価でありコスト的
にも不利となるため、含有量の上限を上記値に限定した
。
本発明では、上記各種元素の細手可避の不純物元素が含
有されることがある。この不可避の不純物元素としては
例えば、Ti、S、Pが挙げられる。
Tiは、TiN0形で非金属化合物として出現する。こ
のTiNは硬度が高く、塑性変形能が小さいため、応力
集中源となり、寿命を低下させる結果、Ti含有量をで
きるだけ低下することが必要である。望ましくはその含
有量を40ppm以下にする。
Pは耐衝撃性を低下させる元素である。よって、その含
有量を低下させる必要があり、望ましくは含有量を20
0ppm以下とする。
SはMnSなどの硫化物系非金属介在物生成の原因とな
る。MnSは硬度が低く、塑性変形能が大きいことから
圧延、鍛造などの前加工時割れ発生の起点として作用す
る。従って、鍛造等の前加工時に割れ発生を防止し、よ
り強加工を可能にするためS含有量を極力低下させる必
要があり、80 ppm以下とすることが望ましいもの
である。
本発明において、内輪、外輪及び転動体の少なくとも一
つの表層部には、浸炭又は浸炭窒化処理。
焼入れ、焼戻しの処理によって、微細な炭化物が生ずる
。
この炭化物は硬く耐摩耗性に優れ、その結果、使用温度
が準高温〜高温時の軸受の必要な硬さを確保することが
できるため、軸受の寿命を向上する。しかも、その大き
さは微細であるため、負荷荷重に基づく応力集中を来す
こともなく転がり軸受の寿命を向上することができる。
本発明において、炭化物とは、例えば、Cr、Cy。
Cr5Ch、 MO2CI VCI V2O:I及びF
e、C又はこれらの複炭化物が挙げられる。
本発明において、炭化物の大きさ(最大直径と最小直径
の和の1/2)は、0.5〜1.0μmにあることが望
ましい。
本発明において、軸受の表層部における炭化物の存在量
は、20〜50vo1%であることが望ましい。
軸受の長寿命化を達成する上で表面硬さは、HRC61
〜70を有することが望ましいが、炭化物の存在量が2
0vo1%未満であると、上記望ましい硬さを得ること
ができない。一方、50vo1%を越えて存在すると、
微細な炭化物同士が結合して、炭化物が粗大化して応力
集中が生ずるので好ましくない。
微細な炭化物を上記範囲内で軸受の表層部に存在させる
ことにより、表面硬さがHRC61〜70の高硬度の軸
受を得ることができる。
尚、上記浸炭又は浸炭窒化熱処理において、A1変態点
を越えて加熱される際に炭化物の核を発生させて、その
後の焼入れ及び焼戻しの過程において微細な炭化物を表
層部に析出することができる。
しかも、固溶炭素量を0.6〜0.8重量%(表面の全
炭素濃度2.5〜3.8重量%)にすることにより、表
層部の炭化物の存在量を20〜5Qvo1%にすること
ができる。
上記本発明において、特許請求の範囲に記載の組成を有
する合金鋼に、浸炭、又は浸炭窒化を行うことにより、
固溶炭素又は固溶炭素窒素量を0.6〜0.8重量%(
表面の全炭素濃度2.5〜3.8重量%)にし、これを
焼入れ1次いで高温焼戻しをすることにより、表層部に
前記微細な炭化物を析出できると共に、残留オーステナ
イト量を3vo1%以下にすることができる。
残留オーステナイトは、高温下でマルテンサイトに変態
し、この時寸法変化が生じるため、平均残留オーステナ
イト量を3vo1%以下にすることが望ましい。
この時の焼戻し温度は、焼戻し温度が低いと残留オース
テナイトをマルテンサイト化することが不十分であると
の観点から、240〜550 ’C程度、好ましくは4
00〜450 ’Cであることが望ましい。
〔実施例〕
次に本発明の実施例について説明する。
次の第1表に示す組成の合金鋼(供試材)A〜Hを浸炭
又は浸炭窒化熱処理し、次いで、焼入れ。
焼戻しを行うことにより、転がりスラスト軸受の転動輪
である内輪及び外輪のいずれにも適用できる円盤状試験
片1〜14を作成した。
(以下、余白) この各試験片を作成するための熱処理条件は第2表に示
される。このうち、試験片1の熱処理条件について説明
すると次の通りである。。
浸炭処理のうち直接焼入れ(ダイレクトクエンチング)
は、Rxガス+エンリッチガスの雰囲気で約3時間、9
50℃浸炭熱処理を行い、その後この状態から油焼入れ
を行い、更に300°CX2時間×1回の高温焼戻しを
行う。
試験片5,13については浸炭又は浸炭窒化を行うこと
なく焼入れを行い、その他の試験片については、浸炭又
は浸炭窒化条件或いは焼戻し温度を変えた熱処理を行っ
た。
試験片1−10については、高温焼戻しを施し、残留オ
ーステナイト量の低減を図った。試験片11〜14につ
いては通常の温度の焼戻しを行った。
尚、浸炭に代えて浸炭窒化を行う際には、Rxガス+エ
ンリッチガス士アンモニアガス5%の雰囲気とする。
前記各試験片について、表面硬さ(HRC)の測定と残
留オーステナイト量の測定を行った。この結果は前記第
2表に示される。
また、試験片1〜14について、応力繰り返し数(cy
cle )で示される寿命(LIo)を測定した。
この寿命の測定に際しへ高温下での寿命特性を見るため
に、130℃下、常温(約50〜60 ’C程度)下で
それぞれ寿命の測定を行った。試験片1〜10は130
°C下の寿命を測定し、試験片11〜14は常温下の寿
命を測定した。この寿命の測定は次の条件に基づいて行
った。
尚、各試験片について目視できるフレーキングが生じた
時点を寿命と判定した。
試験機−・・r特殊鋼便覧(第1版)電気製鋼研究新編
、理工学舎、1965年5月25日。
第10頁〜第21頁」記載のスラスト 試験機 潤滑油−・FKBオイル RO150(130°C試験
) ・・・FKBオイル RO80(常温下試験) 最大面圧−・560kg/口”(150’C試験)−5
30kg/陶2 (常温下試験) 応力繰り返し数−・・3000cpm 各試験片の寿命の値は前記第2表に示される。
そして、試験片1〜゛14の夫々の円盤状試験片を複数
用いて、130°C下又は常温下において、応力繰り返
し数と繰り返し応力によって円盤状試験片にフレーキン
グが生じて該円盤状試験片が破損する確率との関係を調
べた。この結果を第1゜2図に示す。
第1図は、130″C下で寿命が測定された試験片1〜
10の結果を示し、第2図は、常温下で寿命が測定され
た試験片11〜14の結果を示したものである。
尚、第1,2図において、図中の数値は各試験片の番号
を示す。
試験片lは請求項(1)記載の発明の一実施例である供
試材Aからなり、請求項(5)記載の発明の一実施例に
相当するものであり、微細な炭化物が表層部に析出して
いると共に焼戻し軟化抵抗性を向上する各種元素が含有
されているために、第2表に示されるように、高温焼戻
しを行っても表面硬さがHRC61゜2のように高い値
となっている。また、高温焼戻しにより残留オーステナ
イト量も2〜3重量%のように少なくなっているため、
■30″C下の寿命試験に際しての寸法安定性が良好で
ある。
そして、硬さもこのように良好であり、且つ、炭化物も
微細であるため、130°C1下の寿命試験の結果も良
好な値となっている。従って、第1図に示すようC高温
下での応力繰り返し数に対する破損確率が小さくなって
いる。
試験片2は試験片1と同様に供試材Aからなる。
試験片lと異なる点は、浸炭に変えて浸炭窒化を行って
いる点だけである。
この試験片2も試験片lと同様に、HRCO値が良好で
あると共に、残留オーステナイト量が少なく、且つ13
0″C下の寿命も良好である。そして、第1図に示され
るように、応力繰り返し数に対する破損確率の特性も良
好である。
試験片3は請求項(2〕記載の発明の一実施例である供
試材Bからなり、請求項(6)記載の発明の一実施例に
相当するものである。
供試材Bは供試材Aと比較して、焼戻し軟化抵抗性を向
上できて、そしてV炭化物を形成し、且つ、炭化物の微
細化作用を有するVが適量含有されている。
この供試材Bも焼戻し軟化抵抗を向上する各種元素が供
試材Aと同様に含有され、且つ微細な炭化物を表層部に
析出されていることから、供試片3は試験片1.2と比
較して硬度あるいは寿命とも向上し、破損確率は試験片
1,2と同様に良好な値となっている。そして、高温焼
戻しがされている結果、残留オーステナイト量も試験片
1,2と同様に少なくなっている。
試験片4も供試材Bから形成されており、試験片3と比
較して浸炭の代わりに浸炭窒化がされているだけなので
、試験片3と同様の結果を得られる。
試験片5は従来の高炭素クロム軸受鋼の5UJ2である
供試材Cから形成された比較例に相当するものである。
この供試材Cは、高温焼戻しに伴い残留オーステナイト
量は低減するが、焼戻し軟化抵抗の向上に効果のあるS
i等の各種元素の含有量が少なく、且つ、Crの含有量
も本発明の下限を下回るため、表層部における炭化物量
が少ない結果硬さが十分でない。そして、軸受の使用温
度の上昇によって硬さが低下する結果、寿命が低下する
。このため、第1図に示すように破損確率も大幅に大き
くなる。
試験片6は、従来の肌焼鋼の5Cr420である供試材
りから形成された比較例に相当するものである。
この供試材りは、焼戻し軟化抵抗性の向上に効゛果ある
St、焼戻し軟化抵抗性の向上及び炭化物形成の効果が
あるCrの含有量が少ないため、高温焼戻し後の硬さが
低下し、そして寿命も低い値となっている。第1図に示
すように破損確率も大きくなる。
試験片7は、Crの含有が本発明の下限より少ない供試
材Eから形成されている。従って、Crの含有量が少な
い分、焼戻し軟化抵抗性が低下し、表層部での炭化物の
形成量も低下する。よって、高温焼戻し後の硬さも前記
試験片1と比較して低下し、これに伴い寿命も低下する
。そして、破損確率も多くなる(第1図)。
試験片8は、MOが含有されていない供試片Fから形成
されている。従って、MOが含有されていない分、焼戻
し軟化抵抗性が低下し、表層部での炭化物の形成量も低
下する。よって、試験片7と同様に高温焼戻し後の硬さ
は十分でなく、且つ寿命も十分ではなくなる。そして、
第1図に示すように破損確率も試験片1と比較して悪く
なる。
試験片9は、Cr、Moの含有量が本発明の上限を越え
る供試材Gにより形成されている。Mo。
Crの含有量が多くなると、炭化物が巨大化するおそれ
がある。従って、試験片9は試験片lと比較して、炭化
物が巨大になる分店力集中の度合いが大きくなるため、
寿命が若干低下する。もっとも、Cr、Moの本発明の
上限を越える添加は、効果が少ないばかりでなくコスト
的にも不利である。
試験片10は、■の含有量が本発明の上限を越える供試
材Hから形成される。しかし、■の含有量が多くなって
も、試験片10の硬度及び寿命は第2表に示すように、
試験片1等と比較して路間−である。破損確率について
も同様である。但し、本発明の上限を越えるVの添加は
、コスト的に不利となる。
試験片11は、請求項(3)記載の発明の一実施例に相
当するものである。この試験片11は試験1と同様に供
試材Aから形成されるものであるが、試験片1と異なり
、高温焼戻しに代えて通常の温度で焼戻しを行っている
。
この試験片11は高温焼戻しを行っていないことから残
留オーステナイト量は試験片1等と比較して多くなって
いるが、焼戻し軟化抵抗性向上に効果があるSi等が含
有されているため焼戻し後の硬度は良好な値となってい
る。そして、常温下ではあるがその寿命も良好な値とな
っている。第2図に示すように破損確率の特性も良好で
ある。
試験片12は、請求項(4)記載の発明の一実施例に相
当するものである。この試験片12は試験片3と同様に
供試材Bから形成されるものであるが、試験片3と異な
り、高温焼戻しに代えて通常の焼戻しを行っている。従
って、試験片12は試験片11と同様に硬度及び寿命と
も良好な値となっている。但し、さらにVが含有されて
いる分、焼戻し後の硬度及び寿命が試験片11より良好
となる。
破損確率についても同様である。
試験片13は、試験片5と同様に従来の高クロム軸受鋼
s U J −2から形成され、試験片5は高温焼戻し
を行っているのに対し、この試験片13では通常温度で
の焼戻しを行っている点が異なる。
この試験片13では、試験片5と同様に焼戻し軟化が生
じ、且つ微細な炭化物が表層部に十分析出するというよ
うなこともないため、試験片11゜12と比較して硬度
が低く、そして常温下での寿命も低下する。破損確率も
同様である(第2図)。
試験片14は、前記試験片6と同様に従来の肌焼鋼5C
r420が浸炭されて形成されたものである。この試験
片14が試験片6と異なる点は、高温の焼戻しに代えて
通常温度での焼戻しを行っている点である。
この試験片14でも焼戻し軟化抵抗性の向上に効果のあ
るSi、焼戻し軟化抵抗性の向上及び微細な炭化物の形
成の効果のあるCrの含有量が本発明の下限を下回るた
め、試験片11.12と比較して硬度及び寿命が不良と
なる。破損確率についても同様である(第2図)。
尚、本発明で云う表層部とは、転がり軸受を構成する内
輪、外輪及び転動体の軌道面の接触面にかかる接触圧か
ら計算で求まる。すなわち、最大せん断応力位置(表面
からの深さ)を20とすると、表面から20〜2Zoの
深さ迄の部分を云う。
オーダとして、例えば表面から0.2〜0.5 m m
程度の深さとなる。
また、前記実施例では、第2表の寿命試験を130°C
で行った例が示されているが、さらに高温である例えば
、200〜500°C程度の高温においても、前記第2
表と同様に良好な結果を得ることができるものである。
さらに、第2表に示した寿命試験では、内輪及び外輪の
何れにも適用できる円盤状試験片についての寿命を示し
たが、同様の材料で転動体を形成し、これについて寿命
試験を行っても同様の結果を得ることができる。
〔発明の効果〕
以上説明した様に請求項(1)記載の発明に係わる転勤
部材用鋼によれば、焼戻しの際、たとえ準高温〜高温下
での寸法安定性を向上するための高温焼戻しの際でも、
焼戻し軟化を来すことなく、しかも特別の熱処理を施さ
なくても表層部に微細な炭化物を形成することができる
。よって、高温での硬さの低下を来すことなく十分な硬
さを有し、耐摩耗性も良好となる。
請求項(2)記載の発明に係る転動部材用鋼によれば、
請求項(1)記載の転勤部材用鋼にさらにVが含有され
ていることから、請求項(1)記載の発明の効果に加え
て、表層部における炭化物量がより微細化されるという
効果を奏する。
また、請求項(3)記載の発明によれば、請求項(1)
記載の転勤部材用鋼で形成されていることから、常温下
の使用ばかりでなく高温下の使用でも長寿命な転がり軸
受を提供することができる。
そして、請求項(4)記載の発明によれば、請求項(2
)記載の転動部材用鋼で形成されていることから、請求
項(3)記載の転がり軸受と比較してより長寿命の転が
り軸受を提供することができる。
また、請求積項(5)記載の発明によれば、焼戻しが高
温で行われているため、請求項(3)記載の発明の効果
に加えて準高温〜高温下で使用されても寸法安定性に優
れた転がり軸受を提供することができる、という効果を
奏する。
そして、請求項(6)記載の発明によれば、請求項(5
)記載の発明と同様に焼戻しが高温で行われているため
、請求項(4)記載の発明の効果に加えて準高温〜高温
下で使用されても寸法安定性に優れた転がり軸受を提供
することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、130℃下使用時の転がり軸受における応力
繰り返し数−破損確率の関係で示されるスラスト寿命試
験結果を表す特性図、第2図は、常温下使用時の転がり
軸受における応力繰り返し数−破損確率の関係で示され
るスラスト寿命試験結果を表す特性図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)C:0.2〜0.6重量%、Si:0.5〜2.
    0重量%、Cr:1.8〜2.5重量%、Mo:3.0
    重量%以下、Mn:1.6重量%以下、O:12ppm
    以下、残部Fe及び不可避の不純物からなること、を特
    徴とする転動部材用鋼。
  2. (2)C:0.2〜0.6重量%、Si:0.5〜2.
    0重量%、Cr:1.8〜2.5重量%、Mo:3.0
    重量%以下、Mn:1.6重量%以下、O:12ppm
    以下、V:0.1〜1.0重量%、残部Fe及び不可避
    の不純物からなること、を特徴とする転動部材用鋼。
  3. (3)内輪,外輪及び転動体からなる転がり軸受におい
    て、当該内輪,外輪及び転動体の少なくとも一つが、C
    :0.2〜0.6重量%、Si:0.5〜2.0重量%
    、Cr:1.8〜2.5重量%、Mo:3.0重量%以
    下、Mn:1.6重量%以下、O:12ppm以下、残
    部Fe及び不可避の不純物の合金鋼からなり、該合金鋼
    には浸炭又は浸炭窒化熱処理が施こされ、次いで、焼入
    れ,焼戻しがなされてなること、を特徴とする転がり軸
    受。
  4. (4)内輪,外輪及び転動体からなる転がり軸受におい
    て、当該内輪,外輪及び転動体の少なくとも一つが、C
    :0.2〜0.6重量%、Si:0.5〜2.0重量%
    、Cr:1.8〜2.5重量%、Mo:3.0重量%以
    下、Mn:1.6重量%以下、O:12ppm以下、V
    :0.1〜1.0重量%、残部Fe及び不可避の不純物
    の合金鋼からなり、該合金鋼には浸炭又は浸炭窒化熱処
    理が施こされ、次いで、焼入れ,焼戻しがなされてなる
    こと、を特徴とする転がり軸受。
  5. (5)前記焼戻しは高温焼戻しであり、平均残留オース
    テナイト量が3%以下である、ことを特徴とする請求項
    (3)記載の転がり軸受。
  6. (6)前記焼戻しは高温焼戻しであり、平均残留オース
    テナイト量が3%以下である、ことを特徴とする請求項
    (4)記載の転がり軸受。
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