JPH04211599A - 超音波プローブおよびその製造方法 - Google Patents

超音波プローブおよびその製造方法

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JPH04211599A
JPH04211599A JP3050972A JP5097291A JPH04211599A JP H04211599 A JPH04211599 A JP H04211599A JP 3050972 A JP3050972 A JP 3050972A JP 5097291 A JP5097291 A JP 5097291A JP H04211599 A JPH04211599 A JP H04211599A
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斉藤 史郎
Mamoru Izumi
守 泉
Shuji Suzuki
修次 鈴木
Shinichi Hashimoto
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波検査装置などに
利用される超音波プローブ(探触子)に係わり、特に積
層圧電素子により構成される超音波プローブに関する。
【0002】
【従来の技術】超音波プローブは、圧電素子を主体とし
て構成され、超音波を対象物に向けて照射し、その対象
物における音響インピーダンスの異なる界面からの反射
波を受信することにより、対象物の内部状態を表わす画
像を映像化するために用いられる。このような超音波プ
ローブが採用された超音波画像装置には、例えば、人体
内部を検査する為の医療用診断装置および金属溶接内部
の探傷を目的とする検査装置などがあげられる。
【0003】医療用診断装置においては、人体の断層像
(Bモード像)の撮像表示に加え、心臓,肝臓,頸動脈
などを対象にドップラー効果を利用して血流の速度を2
次元でカラー表示することが可能な『カラー・フローマ
ッピング(CFM)法』の開発により、その診断機能は
飛躍的に向上した。近年このCFM法は、子宮や腎臓,
膵臓など、人体のあらゆる臓器,器官の診断の為に用い
られ、今後においては、冠血流の動きまでも観察できる
ような診断装置の研究が各病院,その他施設により行わ
れている。
【0004】Bモード像の場合は、身体的変化による小
さな病変や空隙が明瞭に深部まで観ることのできる高分
解能の画像が高感度に得られることが要求されている。 一方、CFM像などを得ることができるドップラーモー
ドの場合は、直径が数μm程度の微小な血球からの反射
エコーを用いる故に、前述のBモードの場合に比べて得
られる信号のレベルは小さいので、さらに高感度化が要
求される。そこで一般的には、ドップラーモードにおけ
るレファレンス周波数は、超音波プローブが元来もつ周
波数帯域の内で、その中心周波数よりも低い周波数に設
定されている。この理由は、生体の超音波減衰によるS
/N(比)の低下の影響を抑えるために減衰の少ない低
周波成分を用いている故である。よって、もし仮に1つ
の超音波プローブによって2種類の周波数成分をもつ超
音波が両方共に送受信できるとするならば、高周波成分
においては高分解能のBモード像を、低周波成分におい
ては高感度のドップラー像を得ることが可能となる。こ
のような装置を実現するために、1つの超音波プローブ
・ヘッド内に共振周波数の異なる2種類の振動子が設置
された『デュプレクス型超音波プローブ』が各メーカー
より製造販売されている。しかし、この種の超音波プロ
ーブは異なる複数の振動子が用いられている故に、超音
波の送受信面が異なり、同一の断層像を観察することが
できないという不具合があった。
【0005】そこで、特開昭60−41399号公報に
開示されている構成の積層圧電素子を用いることにより
、1つの振動子により2種類の周波数帯域の超音波を送
受信させる方法が提案された。すなわち、超音波プロー
ブ・ヘッドと駆動パルス幅およびフィルタとの組合わせ
によって2種類の周波数帯域を分離することが可能とな
り、その結果、2つの周波数成分のうち、高周波成分に
よりBモード信号が、低周波成分によりドップラー信号
が、それぞれ独立に獲得することが可能になった。しか
し、このような構成の超音波プローブにおいても、1枚
の圧電素子のもつ電気機械変換効率がほぼ等分に分割さ
れているため、高周波側の周波数帯域が狭くなり、エコ
ー信号の尾引き(波連長)が長くなる。この結果として
、上記の高周波成分により高分解能のBモード像を獲得
しようとしているにもかかわらず、その分解能は期待さ
れる程には改善されない。さらに、周波数帯域が狭くな
ると低域成分も減少する傾向がある故に、そのS/N(
比)が低下してペネトレーション不足が起る。この原因
は、生体深部からのエコー信号の周波数成分が、送信さ
れた超音波の中心周波数よりも低い成分を主体としてい
る故である。良好なBモード像を得る為に要求される比
帯域は40%以上であるが、例えば、単層構成圧電素子
を用いた場合、−6dBの比帯域幅は、1層マッチング
によれば中心周波数の40〜50%であり,2層マッチ
ングによれば中心周波数の60〜70%である。これに
対し、前記の構成の積層圧電素子を用いた場合は、1層
マッチングによれば25%、2層マッチングによれば3
5%となる。よって、積層圧電素子を用れば、単層構成
圧電素子を用いた場合に比べて約1/2の比帯域のみし
か得られないという結果となり、構造上においても更に
改善の余地が残されてい
【0006】た。
【発明が解決しようとする課題】上述したように、1つ
の超音波プローブにおいて2種類の周波数帯域の反射波
を共に獲得しようとした場合、共振周波数の異なる複数
の振動子を用いても同一部位が観察できないという問題
があった。この問題を解決するために提案された特開昭
60−41399号公報に開示されている単層構成圧電
素子とほぼ同厚の圧電素子を積層した構成の積層圧電素
子を採用すると、高周波成分の比帯域が狭くなるという
問題があった。
【0007】そこで本発明の目的は、上述の問題点を解
決すべく、同一面において2種類の超音波が送受信可能
で、且つ高周波成分の帯域が十分に広い特性を有するプ
ローブ・ヘッドを有する超音波プローブを提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、次のような手段を講じた。
【0009】超音波プローブ・ヘッドにおいて、互いに
隣接する圧電体の分極方向が逆向きになるように複数の
圧電体を積層し、これらの圧電体の厚さ方向の両端面に
それぞれ電極を被着形成し、さらに超音波放射面と反対
側の端面、すなわち、プローブ・ヘッド基盤であるバッ
キング材に隣接する圧電体層の厚さを他の圧電体層の厚
さよりも薄く形成された積層圧電素子を用いて本発明に
係る超音波プローブを構成する。
【0010】
【作用】本発明における積層圧電素子は、複数の積層の
一方の端面が最も薄い圧電体層で形成され、隣接する層
の分極方向が互いに逆方向になるようなn層,例えば2
層が、電気的に直列接続される構成を採ることにより、
厚さの同じ圧電体が積層された積層圧電素子の場合に発
生する最低次の共振周波数f0 のみならず、その1/
n倍(本実施例の場合、1/2倍)の周波数における共
振をも生ずることを利用した積層圧電素子が得られる。 また、このように超音波プローブのヘッド部分の超音波
放射面に対する反対側に、相対的に薄い層と厚い層とを
積層形成することにより、超音波の送信を行ない、その
対象物からの2種類の周波数帯域の反射波(エコー信号
)を共に高感度に受信し獲得することが可能となる。ま
た、その高域,低域の周波数成分は共に高分解能に獲得
することができる。
【0011】本発明における超音波プローブを構成する
積層圧電素子は、3層以上の積層構成であっても実施可
能であるが、以下に簡単のため2層構成の場合の作用に
ついて説明する。すなわち、厚さの異なる2層の圧電素
子の厚さの比R(=背面側圧電体厚/放射面側圧電体厚
、0<R<1)を変えることにより、励振される2種類
の共振レベルを調整することが可能となる。したがって
、使用目的に応じてこの厚さの比Rを変えることにより
、広範な用途に対応できる。
【0012】例えば具体的には、体表面から心臓を観察
するというような比較的深部の検査対象の場合において
は、その厚さの比Rを小さく設定することにより、周波
数帯域の低周波部,すなわちf0 /2の周波数の共振
エネルギーが増大するので、ドップラーモードにおいて
は、高感度化が実現される。
【0013】一方、この上記の例に対し、頸動脈や経食
道心エコーなど比較的浅部を検査対象とする場合におい
ては、その厚さの比Rを大きく設定することにより、周
波数帯域の高周波部,すなわちf0 の共振エネルギー
が増大するので、高周波側が広帯域化された超音波プロ
ーブが実現され、よって、Bモードにおいても高分解能
なBモード像が得られる。
【0014】
【実施例】
(第1実施例)
【0015】図1は、本発明の一実施例に係る超音波プ
ローブ・ヘッドの構成を示す斜視図である。積層圧電素
子1は複数の(本実施例の場合は2枚の)圧電素子がそ
れら2枚の積層の境界面とする内部電極を挟んで積層構
成されている。この積層圧電素子1の上部の超音波放射
面側には、複数の音響マッチング層2〜4が積層されて
いる。これら3層から成るマッチング層2〜4は、高周
波側でマッチングがとれるように、それぞれの層2〜4
の厚さが設定されている。その理由は、この周波側にお
いてBモード用信号を獲得するために、広帯域化を図る
故である。
【0016】この様に一体に積層化された積層圧電素子
1を含む積層部材は、短冊状に切断するための30μm
厚ブレードが取り付けられたダイシングマシンを使用し
、マッチング層2〜4も含めて図示の如く短冊状に切断
され、ヘッド基盤としてのバッキング材6上に所定の間
隔に配列される。その最上部には、凸面を上に向けた音
響レンズ5が重ねられて被着形成されることにより、一
体型のプローブ・ヘッドが形成される。
【0017】前記の積層圧電素子1に隣接するその上下
部材である音響マッチング層2およびバッキング材6と
の間には、上記積層圧電素子1の電極面がそれぞれ外部
電極として被着形成されている。
【0018】これらの外部電極に対し、超音波プローブ
のヘッドへの配線部材としては、一方の外部電極にはア
ース用共通電極線7が、他方の外部電極には信号用フレ
キシブルプリント板8の信号線がハンダ付け等によりそ
れぞれ接続されている。このフレキシブルプリント板8
上に形成された複数の信号線パターンの間隔(ピッチ)
は、前記の短冊状積層が配列された所定の間隔に合うよ
うに0.15mmに設定されている。図2は、図1に示
すA−A´線に沿った断面を拡大して示す本実施例の2
層構成の積層圧電素子の拡大縦断面図である。
【0019】積層圧電素子1は、この図に示す如く2つ
の圧電体層11および,圧電体層12が、それらの分極
方向13,14が互いに逆方向を向くように積層されて
いる。また、積層方向の積層圧電素子の両端面,すなわ
ち圧電体層11の上面側および圧電体層12の下面側に
は、それぞれ外部電極15,16が被着形成されている
。これらの圧電体層11,12は、圧電セラミックによ
って形成されている。また、実際においては、圧電体層
11と圧電体層12との間には、これらの層を分極させ
る為の内部電極17が形成されている。
【0020】具体的には例えば、圧電体層11,12が
比誘電率2000のPZT系セラミックにより形成され
、圧電体層11の厚さを260μmとし,圧電体層12
の厚さを180μmと設定する。すなわち、この場合の
厚さ比Rは約0. 7となる。つまり、超音波放射面側
の音響レンズ5から遠く、基盤としてのバッキング材6
に隣接する方の圧電体層12の厚さは他の圧電体層11
よりも薄く形成されている。
【0021】また、この積層圧電素子は30μm厚ブレ
ードを用いたダイシングマシンによって、マッチング層
2〜4と共に積層方向に切断される。その間隔は0. 
15mmに設定され、図示の如く短冊状に配列される。
【0022】図3は、『パルスエコー法』によって測定
された水中内設置の反射板からのエコー波形の周波数ス
ペクトラムを示すグラフである。このグラフの周波数ス
ペクトラム曲線からわかるように、高周波側の山の中心
周波数が約7.76MHzであり,その時の比帯域が中
心周波数の43. 2%である。この値は良好なBモー
ド像を得るのに十分な範囲の値であると言える。また、
低周波側の山の中心周波数は約3. 51MHzである
ことがわかる。
【0023】図4に示す周波数スペクトラムのグラフは
、前述の第1実施例に対する変形例の測定結果を表わし
ている。すなわち、この変形例は、圧電体層11の厚さ
が240μm、圧電体層12の厚さが200μmと設定
され、厚さ比Rは約0. 8となる積層圧電素子から構
成された超音波プローブを実施した場合において、その
他の条件が第1実施例と同一な場合に得られたこの超音
波プローブの周波数スペクトラムは、グラフが示す如く
、高周波側の中心周波数が7. 51MHzを示し、そ
の時の比帯域が45. 4%と算出される。
【0024】以上、この変形例は、前述の第1実施例よ
りも更に広帯域化された周波数特性を有する積層圧電素
子から構成された超音波プローブであることが明らかで
ある。よって、それら実施例の示すそれぞれの特性によ
り、例えば第1実施例の超音波プローブを経食道からの
心臓の診断等に採用し、この変形例の超音波プローブを
体表からの心臓の診断等に使用するというように診断す
る対象物によって使いわけることが可能である。 (第2実施例)
【0025】本実施例では、図5(a)および図5(b
)に示した構成の積層圧電体を用いる。すなわち、本実
施例は、圧電体の分極方向(図中、細矢印)と、駆動パ
ルスによって生じる電界方向(図中、太矢印)との関係
において、電界と, 圧電体の抗電界の比が大きい方の
圧電体層の分極方向と電界方向とを同じ向きに設定して
、脱分極が生じることを防止するという改良である。
【0026】駆動パルスには正極性,負極性,バースト
波などがあり、この内のバースト波は正負ともに絶対値
が同じである。しかし一般的には、波数が多い場合がほ
とんどであり、超音波探触子の発熱や音響パワーの規制
から大きな電圧を印加することは少ないために脱分極は
生じ難い。
【0027】 図5(a)の圧電体層1および圧電体層2は、電気的に
直列に接続された構成であるため、これら2つの圧電体
層に同じ圧電材料を採用する場合は、電界方向8と電界
方向9は各層とも同じ方向を指向するので、あえて向き
を変える必要がなく本実施例の要旨に関しては適用外の
構成であるかに思える。しかし、誘電率の異なる圧電材
料で作られた2つの圧電体層の場合には、生ずる電界の
大きさが異なるので本実施例のような改良が有効である
。ここで、圧電体層1の誘電率と厚さを、それぞれε1
 ,t1 と定義すると、その静電容量は以下のように
表わせる。
【0028】
【数1】 従って、インピーダンスをZ1 とすると、分圧V1 
は次式のように表わせる。
【0029】
【数2】 よって、電界E1 は、次式のように表わせる。
【0030】
【数3】 以上により、電界E1  と、抗電界Ec1  との比
は、次式で表わされる。
【0031】
【数4】 また、圧電体層2も同様に次式で表わされる。
【0032】
【数5】
【0033】以上の結果より、脱分極が発生しやすいの
は、誘電率と抗電界との積が小さい値を示す圧電体層の
場合である。よって、そのような場合には分極方向と電
界方向を同じ方向を指向するように変えてやればよい。 次に、図5(b)に示された2つの圧電体層の各層は電
気的に並列に接続されている故にその各層にかかる電圧
は等しい。
【0034】従って、用いられる圧電材料にかかわらず
薄い形状の圧電体の方の電界がより大きくなる。よって
、そのような場合にはその厚さと抗電界との積が小さい
圧電体層の分極方向と電界方向とを同じ方向を指向する
ように変えてやればよい。 (第3実施例)
【0035】図6で表わされた低周波部の中心周波数と
圧電体厚の関係を表わすグラフにおいて、前図5(a)
の圧電体層1と圧電体層2のそれぞれの厚さをt1 ,
t2とすると、その厚さの比r(=  t2 /t1)
を変えることにより、低周波成分と高周波成分のスペク
トラムのピークの相対値を変えることができる。
【0036】生体の超音波減衰が少なくてすむように低
周波成分をドプラ信号用に使用することに決め、一方、
高分解能信号が得られるように波長の短い高周波成分を
Bモード信号用に使用することに決める。この結果とし
て図6に示すような圧電体の厚さ比rを変えた時のスペ
クトラムのレベルとエコーレベルを表わすグラフが作成
される。縦軸にとられた低周波成分のスペクトラムレベ
ルがドプラ感度を表わしている。また、高周波成分のス
ペクトラムレベルはBモード感度を表わしている。また
、丸印は低周波部のスペクトルのレベルに関する実測値
を示し、三角印はエコーレベルに関する実測値を示して
いる。
【0037】本実施例は、超音波探触子を設計する際に
診断部位に応じてドプラ感度とBモード感度のどちらに
重きを置くかによって、圧電体の厚さ比rを適宜調整す
るすことが可能であることを示している。例えば、(1
)経胸的に心臓を診断する際などの体表から深い領域が
診断の対象の場合は、ペネトレーションが必要になるの
でBモード感度の方を高く設定する。また、(2)下肢
などの診断の際のようにBモード像よりもドプラ感度が
必要とされる場合は、ドプラ感度の方を高く設定する。
【0038】本実施例では、厚さ比rを変えながら低周
波部のスペクトラムのピーク値と、HPF(High 
Pass Filter)を接続し低周波部を除去した
ときのエコーの波高値とを測定した。この結果をもとに
して「最小2乗法」により下式のような厚さ比rを変数
とする2次関数近似を得た。   (低周波部スペクトラムのピーク)=  a  +
 9.59 r − 22.1 r2    [dB]
  (HPF接続後のエコー波高値)=  b  + 
23.8 r − 10.9 r2      [dB
] 上式のa,bは定数であり、測定回路や周波数などで決
定される。
【0039】図6は厚さ比rを変えたときの実測値と2
次関数の近似式を示したグラフである。なお、この図に
おいて上式の定数はa=1.73,b=−12.9 で
あり、上式は実際に測定された範囲の  0.5 ≦r
≦1.0   で成り立つ。
【0040】低周波部のスペクトラムのレベルのピーク
値と, エコー波高値の相対関係を基に、Bモード感度
とドプラ感度の下限値を 0.5≦r≦1.0 の内の
最大値に対し、これまでの使用経験などから各々を−3
dB、−6dBに決めると、それぞれエコー感度は厚さ
比rがr<0.6,ドプラ感度は  r>0.8 の場
合には所定の診断使用条件を満たさなくなることが分か
った。従って、好適実施例としての2つの圧電体層の厚
さ比rの許容範囲としては、0.6 <r<0.8 程
度が実用上の超音波探触子設計のためには好ましい範囲
であると言える。故に、上記の範囲を満足する厚さの比
を有するような構成の2層圧電体を実施するとよい。 (第4実施例) 超音波探触子の中心周波数は、駆動パルス幅,フィルタ
などの信号処理回路の特性から、初期の設定値に対し±
5%以内に維持する必要がある。
【0041】本発明の2層圧電体が用いられた超音波探
触子について、パルスエコー測定を行ない、その周波数
スペクトラム特性を求めた結果によれば、図7(b)の
ような2層圧電体は、図7(a)のような単層圧電体と
同じ圧電材料を用いているにも拘らず、等しい厚さに構
成された場合には、その中心周波数は単層圧電体の中心
周波数より高くなる傾向が発見された。
【0042】すなわち、図8のグラフにおいて、横軸に
低周波部の中心周波数f(単位:MHz)を変数として
とり、縦軸には厚さt0 の単層構成の圧電体と同じ圧
電材料からなる本発明の2層構成の圧電体を用いたとき
の厚さtをとる。この測定結果から求められた本グラフ
からも分かるように、単層構成の圧電体の厚さt0 は
次式で表わされる。t0   = 1.45 × 10
3  /f    [μm] 一方、本発明の主なる構成である2層構成の積層圧電体
の厚さtは、実測値を基に決められた次の近似式で表わ
されることが分かった。 t    = 1.68 × 103  /f    
[μm]したがって上の2つの式により、t=1.16
t0 という関係が導き出された。
【0043】すなわち、図7(a)および図7(b)の
ように比較対象のために示された圧電体のように、従来
の単層構成の圧電体と同等な中心周波数を獲得するため
には、本発明のような2層圧電体の厚さtを、単層圧電
体の厚さt0 よりも約16%厚く設定することにより
、設計通りの中心周波数が得られる。 (第5実施例) 本実施例は、本発明である2周波数を同時に駆動可能な
振動子としての積層圧電素子を用いた超音波プローブの
製造方法について説明する。
【0044】図9(a)および図9(b)にはこの製造
方法により完成される本発明の2種類の振動子の構成を
表わす断面図が示されている。また、圧電セラミック層
1,2の分極方向が矢印で示されている。このような2
層構成の振動子の製造方法は、図10(a)〜図10(
c)に従って次の順序で行なわれる。
【0045】(1)…  ドクターブレード法により所
定の厚さに成形されたグリーンシートの片面に所定の形
状の内部電極3を印刷し、厚さの異なるもう一方のグリ
ーンシートを積層して圧電セラミック1,2と内部電極
3を同時に焼成する。 (2)…  その後、外部電極4,5を所定パターンに
印刷して焼き付け、分極処理を行って振動子として形成
する。
【0046】(2−1)…  図9(a)の振動子を得
るには、図10(a)に示すように電極を構成する。両
面の外部電極4,5は回し込み電極6により接続し、内
部電極3は回し込み電極7により電圧印加部分を設け、
内部電極と外部電極との間に直流電界を印加して分極す
る。 (2−2)…その後、図10(a)の点線の位置で切断
すれば良い。
【0047】この方法は2層の圧電セラミックが同時に
分極できる利点があるが、各層の圧電セラミック1,2
の厚さが異なるため各層の分極電界が異なり、分極の程
度が違ってしまう。2層の厚さ比が小さければ余り問題
ないが、比が大きくなると薄い層で分極電圧が制限され
厚い層の分極電界が十分な値とならず、分極状態が不十
分になる場合がある。 (2−3)…  その様な場合は、図10(b)のよう
に両面の外部電極を独立にして各層ごとに最適電界で分
極し、点線位置で切断すれば良い。
【0048】(3)…  第9図(b)の積層振動子構
成を得るには、第10図(c)のように電極を形成し、
両面の外部電極4,5間に電界を印加し電極する。その
後両面の外部電極を共通に接続すれば良い。この接続に
は、圧電材料のキュリー温度以上の熱が加えられないた
めに、焼付け電極を形成することは困難であるが、導電
性接着剤などを用いれば良い。 (4)…  また、プローブ製造に際し振動子の電極に
リードとしてFPCを半田付けするが、この時点で両面
の電極を接続するようにしても良い。 (第6実施例)
【0049】本実施例は図11(a)に示されるような
縦断面構造の積層圧電体である。すなわち、積層された
各々の圧電体の音響インピーダンスを変化させることに
より最適な積層圧電体を構成する。詳しくは、音響整合
層側の圧電体層の音響インピーダンスをバッキング材側
より小さく設定した超音波プローブである。本実施例の
積層圧電体は、積層された各々の圧電体の厚さの比を変
えること、およびそれぞれの音響インピーダンスの比を
変えることにより、高周波数領域および低周波数領域の
比帯域と感度レベルとを適宜に調整することが可能であ
る。
【0050】2層構造の場合の複合圧電体層の断面の一
例を示す図11(b)において、振動子1は、音響イン
ピーダンスの大きな圧電セラミック層2と音響インピー
ダンスの小さな複合圧電体層3により構成され、この複
合圧電体層は音響整合層4側に電極を介して積層されて
いる。また、この複合圧電体層3は図11(b)に示さ
れるような図11(a)のB−B’線に沿った水平断面
を有している。すなわち、例えば碁盤の目状の隣接しな
い升目の各々に等間隔に配置された柱状の複数の圧電体
材10と、これらの間を埋める如くに注入され固まった
エポキシ系等の樹脂材20とから一体に構成されている
【0051】図12(a)および図12(b)には、複
合圧電体層の音響インピーダンスが17.7 Mray
ls で一定で、厚さの比を振動子全体の厚さの0.5
9及び0.41に設定した複合圧電体の水中パルスエコ
ーの周波数スペクトラムが示されている。
【0052】また図13(a)および図13(b)には
、複合圧電体の厚さの比が0.5 に固定され、音響イ
ンピーダンスがそれぞれ21.3 Mrayls, 1
1.4 Mraylsに設定された場合の、水中パルス
エコーの周波数スペクトラムが示されている。
【0053】各々のグラフ曲線を比較すると、次のこと
が分かる。すなわち、図12(b)においては低周波数
領域の感度レベルは確かに高くなっているが、高周波数
領域の−6dB比帯域は30%程度となる。図12(a
)では、高周波数領域の−6dB比帯域は49%程度と
なっている。図13(a)では、高周波数領域の−6d
B比帯域は43%程度となっているのに対し、図13(
b)では37%程度と狭くなるが、低周波数領域の感度
レベルは高くなると共にその比帯域も広くなる。
【0054】以上に述べたように本実施例によれば、積
層する圧電体の厚みの比ばかりでなく、その音響インピ
ーダンスを変えることによっても高周波数領域および低
周波数領域の比帯域とその感度レベルを変えることが可
能である。よって、構造的または製造方法的に積層の厚
みの制御が難しいような場合においても、2つ以上の周
波数領域を持つ超音波プローブの特性をより適宜に調整
することが容易である。
【0055】なお、上述した実施例およびその変形例に
おいては、特に2層構成の積層圧電素子の場合を例示し
たが、本発明はそれらの諸例に限定されるものではなく
、本要旨を逸脱しない範囲で更なる種々の変形実施も可
能である。例えば、圧電体層として3層以上の積層圧電
素子を用いても良い。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、次のような作用効果を
奏する超音波プローブを提供することが可能となる。す
なわち、2つの圧電体層を積層し、両端面に電極を被着
形成して隣接する2つの圧電体層を電気的に直列接続し
、超音波放射面から遠い側の圧電体層を薄く形成した積
層圧電素子を備える超音波プローブを構成することによ
り、異なる複数の例えば、2種類の周波数を送受信する
ことが可能となり、更にその各層の圧電体厚比を変える
ことにより使用目的に応じて高周波領域の比帯域を適宜
調整して、診断する対象物により使い分けることが可能
になる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施例に係る超音波プローブヘッ
ド全体の構成を示す斜視図。 【図2】同第1実施例における積層圧電素子の構成を表
わす拡大縦断面図。 【図3】同第1実施例によって得られるエコー波形を表
わすグラフ。 【図4】同第1実施例の変形例に係る超音波プローブよ
って得られるエコー波形を表わすグラフ。 【図5】本発明の第2実施例に係る超音波プローブの積
層圧電素子を表わす構成図。 【図6】本発明の第3実施例に係る超音波プローブの圧
電体の厚さを変えた時のスペクトラムレベルとエコーレ
ベルを表わすグラフ。 【図7】本発明の第4実施例に係る超音波プローブの積
層圧電素子と従来の単層圧電素子の厚さを表わす構成図
。 【図8】同第4実施例に係る超音波プローブの圧電素子
の厚さと発生する中心周波数との関係を表わすグラフ。 【図9】本発明の第5実施例としての超音波プローブの
積層圧電素子を表わす構成図。 【図10】同第5実施例としての超音波プローブの積層
圧電素子の製造方法に関する製造手順を説明する説明図
。 【図11】本発明の第6実施例に係る超音波プローブの
縦断面図および横断面図。 【図12】同第6実施例に係る超音波プローブよって得
られるエコー波形を表わすグラフ。 【図13】同第6実施例に係る超音波プローブよって得
られるエコー波形を表わすグラフ。    【符号の説
明】 1…積層圧電素子、2,3,4…音響マッチング層、5
…音響レンズ、6…バッキング材、7…アース用共通電
極線、8…信号用フレキシブルプリント板の信号線、1
1,12…圧電体層、13,14…分極方向、15,1
6…外部電極、17…内部電極。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  隣接する層の分極方向が逆向きになる
    ように厚さ方向に積層された第1圧電体層および第2圧
    電体層を有し前記2つの圧電体層の厚さ方向の端面また
    は側面に電極が被着形成されて一体に形成されて成る積
    層圧電素子と、前記積層圧電素子の上部には音響の整合
    を図るための1層以上の音響マッチング層と, 前記音
    響マッチング層を介して超音波を放射するための音響レ
    ンズとが積層され、前記積層圧電素子の下部にはバッキ
    ング材としてのヘッド基盤が配設されて、全体として一
    体構造に構成された超音波プローブ・ヘッドを具備し、
    前記ヘッド基盤に近く隣接する第2圧電体層の厚さが、
    前記音響マッチング層に近い第1圧電体層に比べて薄く
    形成されて成ることを特徴とする超音波プローブ。
  2. 【請求項2】  前記積層圧電素子において、脱分極が
    生じることを防止するために、前記2つの圧電体層の各
    層が電気的に直列に接続されている場合には、前記2つ
    の各々の圧電体層の圧電体の抗電界と, 発生する電界
    との比が大きい方の圧電体層の分極方向と電界方向とが
    同じ向きを指向するように積層構造が設定され、前記2
    つの圧電体層の各層が電気的に並列に接続されている場
    合には、前記2つの各々の圧電体層の厚さと前記抗電界
    との積が小さい方の圧電体層の分極方向と電界方向とが
    同じ方向を指向するように積層構造が設定されているこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の超音波プローブ。
  3. 【請求項3】  前記積層圧電素子を構成する第1の圧
    電体層の厚さt1と,第2の圧電体層の厚さt2 との
    厚さの比r(=t2 /t1)を、発生する低周波成分
    と高周波成分のスペクトラムのピークの相対値を使用対
    象の診断部位に応じて必要とされるドプラ感度またはB
    モード感度の何れかを強調するかに従って、適宜調整す
    ることが可能であり、前記2つの圧電体層の厚さの比r
    がr<0.8 であることを特徴とする、請求項1に記
    載の超音波プローブ。
  4. 【請求項4】  前記積層圧電素子を構成する2つの圧
    電体層から成る2層構成の2層圧電体は、1つの圧電体
    層から成る単層構成の単層圧電体と同一な圧電材料を用
    いて形成され、前記積層圧電素子の2層圧電体により構
    成された超音波プローブの低周波部の中心周波数が前記
    単層圧電体により構成された超音波プローブと同等な中
    心周波数を獲得するためには、前記2層圧電体の厚さを
    前記単層圧電体の厚さよりも更に16%厚く設定される
    ことにより可能であることを特徴とする、請求項1に記
    載の超音波プローブ。
  5. 【請求項5】  前記音響マッチング層側の第1圧電体
    層の音響インピーダンスを前記バッキング材側の第2圧
    電体層の音響インピーダンスより小さく設定し、前記第
    1圧電体層は、碁盤の目状の升目の中で互いに隣接しな
    い升目の位置に所定間隔に配置された積層方向を長手方
    向とする柱状の複数の圧電体材が整列して配設され、上
    記複数の圧電体材間の空間を埋める如くに充填され凝固
    した樹脂材により一体に構成された複合圧電体層を有す
    ことを特徴とする、請求項1に記載の超音波プローブ。
  6. 【請求項6】  隣接する層の分極方向が逆向きになる
    ように厚さ方向に積層された2つの圧電体層を有し、厚
    さ方向の前記圧電体層の各々の端面に被着形成されて成
    る外部電極と、前記2つの圧電体層に挟まれる如くに被
    着形成されて成る内部電極とから構成される2層構成の
    積層圧電素子の製造方法において、次の順序で行なわれ
    ることを特徴とする積層圧電素子を有する超音波プロー
    ブの製造方法。 (1)…  「ドクターブレード法」により所定の厚さ
    に成形されたグリーンシートの片面に、上下の圧電体層
    に挟まれる所定形状の内部電極を印刷し、厚さの異なる
    もう一方のグリーンシートを積層して圧電セラミックと
    前記内部電極とを同時に焼成する。 (2)…  前記外部電極を所定パターンに印刷し、前
    記2つの圧電体層の各々の端面に焼き付けを行なった後
    に、下記の手順により分極処理を行なう。 (2−1)…  前記外部電極は前記2つの端面の外部
    電極を連結する第1の回込み電極として形成し、前記内
    部電極は前記外部電極の一部とこの内部電極を連結する
    第2の回込み電極として形成し、上記第1および第2の
    回込み電極に電圧印加部分を設けて相互接続し、その間
    に直流電界を印加することにより分極処理を行なう。 (2−2)…  前記電圧印加部を含む2つの圧電体層
    の端部を積層方向に切断除去する。 (2−3)…  特に、前記積層圧電素子を構成する2
    つの圧電体層の厚さ比が0.7 より小さい場合は、前
    記2つの外部電極を各層ごとに最適な電界で分極処理を
    行ない、その後、前記電圧印加部を含む2つの圧電体層
    の端部を積層方向に切断除去する。 (3)…  積層振動子を得るために、前記端面に形成
    された2つの外部電極の間に直流電界を印加し分極処理
    を行なった後に、上記2つの外部電極を導電性接着剤を
    用いて共通に接続する。 (4)…  前記積層振動子の電極に対してリードとし
    てFPCを半田付けする。
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