JPH0431790B2 - - Google Patents
Info
- Publication number
- JPH0431790B2 JPH0431790B2 JP59010331A JP1033184A JPH0431790B2 JP H0431790 B2 JPH0431790 B2 JP H0431790B2 JP 59010331 A JP59010331 A JP 59010331A JP 1033184 A JP1033184 A JP 1033184A JP H0431790 B2 JPH0431790 B2 JP H0431790B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel
- welding
- strength
- welded
- point
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K15/00—Electron-beam welding or cutting
- B23K15/0046—Welding
- B23K15/0093—Welding characterised by the properties of the materials to be welded
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
- Welding Or Cutting Using Electron Beams (AREA)
Description
本発明は超高強力マルエージング鋼の溶接に関
するもので、さらに詳しくは、高い継手効率を得
るための18%Niマルエージング鋼の電子ビーム
溶接法またはTIG溶接法に関するものである。 18%Niマルエージング鋼は通常重量比にて C:0.03%以下、 Si:0.10%以下、 Mn:0.010%以下、 P:0.010%以下、 S:0.010%以下、 Ni:17.0〜19.0%、 Co:7.0〜15.0%、 Mo:3.0〜6.5%、 Ti:0.2〜1.5%、 Al:0.3%以下 を含み、さらに必要に応じて、B、CaまたはZr
等を含有する析出強化鋼である。この鋼は比較的
簡単な熱処理により、高い強度と良好な靱性を併
せ有するため、固体燃料ロケツトモーターケー
ス、深海潜水艇、ウラン遠心分離機回転胴筒など
に用いられている。 これらの用途においては、強度/密度比が重要
な要素となるため、高強度化の要求が強く、これ
に応えるため当初開発された 18%Ni−8〜9%Co−3〜5%Mo−0.4〜0.5
%Ti から成る引張強さ180〜210Kgf/mm2級鋼に加え
て、さらに高強度のマルエージング鋼が開発され
ている。すなわち、 18%Ni−12.5%Co−3%Mo−1.2%Ti鋼や、 18%Ni−15〜20%Co−5〜6.5%Mo−1%Ti
−0.05〜0.3%Al(特開昭58−25457) 等がそれで、それぞれ、245Kgf/mm2および270
Kgf/mm2の引張強さを有する。 これらの超高強度マルエージング鋼開発の考え
方は以下の通りである。 マルエージング鋼の時効処理後の強度には
Mo、CoおよびTiが主として寄与し、これらの元
素含有量が増加するほど強度が増加する。 一方、これらの元素のうちMoおよびTiは溶体
化処理後の冷却時のオーステナイト相からマルテ
ンサイト相への変態を開始する温度(以下この温
度をMs点という)を大きく低下させる元素であ
り、これらの元素含有量が多くなるとMs点が常
温近傍まで低下するため、時効処理による硬化を
得るために必要なマルテンサイト相中に多量のオ
ーステナイト相が残留し(以下これを残留オース
テナイト相という)十分な硬化が得られなくな
る。またMoは、これを多量に含有させると、製
造時にさらされる高温において粗大な金属間化合
物を形成し、靱性を害する。 以上の観点から、Ms点を低下させる作用の小
さいCo含有量を多くし、Mo含有量を低目に抑え
ることにより、強度の上昇を確保するとともに靱
性の低下を抑えている。 さて、上記用途の多くにおいて、工場で製造さ
れた鋼板を、必要な形状に加工後溶接した後、溶
体化処理を施し、対で時効処理するか、あるい
は、溶接後直接時効処理を施して、使用する。こ
の場合通常、TIG溶接法が採用されるが、溶接部
には溶接金属の凝固時に生ずる濃化偏析に起因す
る強度低下が生ずる。すなわち、溶接金属の凝固
相は基本的には通常の鋼塊の凝固相と同様、樹枝
状に発達するが、樹枝状晶間の最終凝固相には
Ni、Mo、Tiが濃化するため、その部分のMs点
が低下し、冷却後残留オーステナイト相となる。
このオーステナイト相は安定で、溶接後の800℃
〜900℃での溶体化処理によつては消滅しないた
め、溶接金属の強度は鋼板強度より低くなる。 ところが、鋼板の強度を増加させるためには、
前述のごとく、Co、Mo、Tiの含有量を増加する
ことが必要であり、Mo、Tiの添加を抑えてMs
点の低下を抑えてはいるものの、鋼板の強度が増
加するほど、溶接金属中の残留オーステナイト相
が増え、強度の低下が著しくなる。構造物の設計
は、強度の最も低い部分の強度を基準にしてなさ
れるため、溶接継手の強度が低い場合には鋼板自
体の強度が増加してもこれが設計に反映されない
ことになる。 上記問題点を解決する方策として、溶接後、溶
接部を含めて冷間加工を加えるという技術が特開
昭51−122616に開示されている。これは、溶接後
溶体化処理して、その後60〜85%の冷間加工を加
えた時効処理を施すことにより、溶接継手の強度
および靱性を母材のそれと同等にし得るというも
のである。しかし、溶接された構造物を冷間加工
するのは、非常に特殊な構造物に限られ、全ての
溶接構造物に適用することはできない。 一法、溶接後溶接金属のみあるいは構造物全体
を、溶接金属中の濃化偏析部が十分拡散、均一化
する温度にまで加熱する方法も考えられるが、そ
のためには1000℃以上に加熱することが必要であ
り、この場合高温加熱による母材特性の劣化が避
けられない。 本発明者らは、このような難点を克服すべく、
強度およびMs点に及ぼすこられの元素の影響、
凝固時の偏析度などを詳細に検討した結果、電子
ビーム溶接におけるインサートメタルまたはTIG
溶接における溶加棒の成分を適切に定めることに
よつて、溶接金属の組成をある範囲内に調整する
ことにより優れた継手効率を得る本発明を成しと
げるに至つた。 以下、本発明者らが行つた試験について詳細に
説明する。 17〜19%Ni−7〜15%Co−4〜6.5%Mo−0.3
〜1.5%Tiの組成を有するマルエージング鋼を実
験炉で溶製し、十分な均熱した後厚さ15mmの鋼板
に圧延した。これらの鋼板について、850℃〜900
℃での溶体化処理後Ms点を測定するとともに、
480℃、5時間の時効処理後引張試験を行つた。 また、一部については、入熱6000〜8000J/cm
の条件で電子ビーム溶接、または共金溶接棒で
20000J/cm、15パスの条件でTIG溶接を行い、鋼
板と同様の溶体化処理、時効処理の後、溶接金属
の残留オーステナイト量を測定するとともに
EPMA(エレクトロンプローベマイクロアナライ
ザ)により濃化偏析量を測定した。 第1図は、鋼板の強度とMo、CoおよびTi含有
量との関係を示すもので、 Mo当量=(%Mo)+1/3×(%Co) +3×(%Ti) ……(1) と定義すると、 引張強さ=9.7×(Mo当量)+117 ……(2) の関係があることが分る。 第2図は鋼板のMs点と合金元素含有率との関
係を示すもので、鋼板のMs点の計算値を、 Ms=941−26×(%Ni)−1.7 ×(%Co)−51×(%Mo) −18×(%Ti) ……(3) で表わし、Ms点の実測値と対比したもので、極
めて良好な一致が見られる。 一方EPMAによる溶接金属の偏析度、すなわ
ち、偏析部含有率/平均含有率は以下のように測
定された。 Ni:1.1、Co:1.0、 Mo:1.5、Ti:2.0、 この偏析度は、電子ビーム溶接およびTIG溶接
に限つて見れば、入熱量に関係なくほぼ一定であ
つた。 この偏析度を上記(3)式の各々の元素の係数に掛
けることにより、溶接金属の濃化偏析部のMs点
を次の(4)式のように推定するこができる。 Ms=941−28×(%Ni) −1.7×(%Co) −71(%Mo) −38(%Ti) ……(4) ただし、(%Ni)、(%Co)、(%Mo)、および
(%Ti)は溶接金属中のそれぞれの元素の平均含
有率である。 第3図は、電子ビーム溶接金属組織中の残留オ
ーステナイト相の割合と溶接金属濃化偏析部の推
定Ms点との関係を示したもので、推定Ms点が約
110℃以下になるとオーステナイトが残留し始め、
推定Ms点が低下するにつれて残留オーステナイ
ト相の割合が増えることがわかる。 本発明は以上の示したように、溶接金属におい
て、 () 最大濃化偏析部のMs点が110℃以上にな
るように組成を限定することにより、強度低下
の原因となる残留オーステナイトを実質的に0
にすること () それに加えて、Mo当量を母材のMo当
量以上に限定することにより、実質的にマルテ
ンサイト単相の時効により母材以上の強度を保
障すること の2条件を確保することによつて高い溶接継手効
率を得るものであり、上述のようにその硬化はあ
きらかである。 なお、最大濃化偏析部のMs点が200をこえると
上記(1)、(2)および(4)式の関係より、Mo当量が小
さくなりマルエージング鋼として十分な強度が得
られないため、Ms点の上限を200以下に限定す
る。また、溶接部のMo当量が(母材のMo当量
+1)を越えると溶接金属の強度が必要以上に上
りすぎて脆化するので好ましくない。 上記知見はインサートメタルあるいは溶加棒を
使用しない、いわゆるビードオンプレートの継手
について得られたものであるが、インサートメタ
ルあるいは溶加棒を使用する電子ビーム溶接ある
いはTIG溶接においては、母材の溶込み量を考慮
したうえ、溶接金属組成が上記()および
()で限定する組成になるようにインサートメ
タルあるいは溶加棒の組成を設計する必要があ
る。母材の溶込み量は、溶接方法、溶接条件によ
つて異なるが、インサートメタルを使用した電子
ビーム溶接の場合は40〜60%、溶加棒を使用した
TIG溶接の場合は20〜40%が正常である。 次に実施例を挙げて本発明の硬化を具体的に説
明する。 実施例 第1表に示す組成の18%Niマルエージング鋼
No.1、No.2の50Kg鋼塊を真空中で溶製した。 鋼No.1は210Kgf/mm2、鋼No.2は245Kgf/mm2級
のマルエージング鋼である。 1200℃で24時間均質化したのち、熱間鍛造、圧
延により厚さ15mmの鋼板に仕上げ、900℃で溶体
化した。 一方、溶加棒またはインサートメタル用に供す
るため、第2表に示す組成の18%Niマルエージ
ング鋼の10Kg鋼塊A,B,C,Dを真空中で溶製
した。1200℃で24時間均質化した後、熱間鍛造、
圧延により3mmの鋼板に仕上げた、900℃溶体化
の後、一部は厚さ2mmに、他の厚さ1mmに冷間圧
延した。これらの冷延板を900℃で溶体化し、酸
洗したのち、厚さ2mmの鋼板は2mm角の棒に仕上
げた。 鋼Aは鋼No.1と組合わせることにより、また鋼
Cは鋼No.2と組み合わせることにより、本発明の
限定範囲を満足するものである。鋼Bおよび鋼D
はそれぞれ鋼No.1および鋼No.2と組合わされるも
のであるが、鋼Bは被溶接鋼である鋼No.1に比べ
てMo当量の小さいもの、鋼DはMo当量が被溶
接鋼である鋼No.2のそれより大であるが、Ms点
が低く、溶接金属のMs点が本発明の限定簡易か
ら外れるものである。 以上の熱延板および冷延板ならびに角棒を用い
て以下の試験を行つた。 (1) 15mm熱延板について480℃、5時間の時効処
理後引張試験を行つた。 (2) 第4図に示すように、15mm熱延板1の圧延方
向に直角に、板面に垂直な開先を加工し、 (a) そのまま2枚を突合わせて溶接部2を電子
ビーム溶接 (b) 開先の間に厚さ1mmの冷延板4をはさみ電
子ビーム溶接 して継手を製作し、900℃で溶体処理した。第4
図で3は電子ビームを示し、溶接入熱は8000J/
cmとした。これらの継手の溶接金属について組織
観察により残留オーステナイト相の割合を測定す
るとともに、ビードに直角かつ溶接金属が試験片
平行部の中央になるように平行部径10mm、平行部
長さ50mmの引張試験片を加工し、480℃、5時間
の時効処理後引張試験を行つた。また溶接金属の
組成分析も行つた。 (3) 第5図に示すように、15mm熱延板1の圧延方
向に直角に板面に対して75度の角度を持つたV
型開先を加工し、共金または前記2mm角の棒を
溶加棒とし母材と同材の裏当金5を用いてTIG
溶接によつて継手を製作し、900℃で溶体化処
理した。溶接は溶接速度150mm/分で18パスと
し、電流120〜210A、電圧11〜13Vで行つた。
これらの継手について上記(2)と同様の試験を行
つた。 第3表に試験結果をまとめて示した。 鋼No.1を被溶接鋼板とし、鋼Aを電子ビーム溶
接におけるインサートメタルまたはTIG溶接にお
ける溶加棒とした組合せ、ならびに鋼No.2を被溶
接鋼板とし、鋼Cを電子ビーム溶接におけるイン
サートメタルまたはTIG溶接における溶加棒とし
た組合せの場合、Ms点は本発明の限定範囲内に
入り、継手効率99〜100%を示している。 一方、鋼No.1と鋼Bとの組合せ、鋼No.2と鋼D
との組合せ、または鋼No.1および鋼No.2のそれぞ
れのインサートメタルなしの電子ビーム溶接、共
金溶加棒によるTIG溶接の場合は、Mo当量が被
溶接鋼板のそれよりも小さいかまたはMs点が100
℃より低くなり、継手効率は84〜96%と低かつ
た。 以上の通り、本発明の方法により、18%Niマ
ルエージング鋼の溶接部の継手効率が大きく改善
されることが明らかである。 なお、上記実施例では主として18%Niマルエ
ージング鋼について述べたが、本発明の方法は他
のマルエージング鋼にも同様に適用することがで
きる。
するもので、さらに詳しくは、高い継手効率を得
るための18%Niマルエージング鋼の電子ビーム
溶接法またはTIG溶接法に関するものである。 18%Niマルエージング鋼は通常重量比にて C:0.03%以下、 Si:0.10%以下、 Mn:0.010%以下、 P:0.010%以下、 S:0.010%以下、 Ni:17.0〜19.0%、 Co:7.0〜15.0%、 Mo:3.0〜6.5%、 Ti:0.2〜1.5%、 Al:0.3%以下 を含み、さらに必要に応じて、B、CaまたはZr
等を含有する析出強化鋼である。この鋼は比較的
簡単な熱処理により、高い強度と良好な靱性を併
せ有するため、固体燃料ロケツトモーターケー
ス、深海潜水艇、ウラン遠心分離機回転胴筒など
に用いられている。 これらの用途においては、強度/密度比が重要
な要素となるため、高強度化の要求が強く、これ
に応えるため当初開発された 18%Ni−8〜9%Co−3〜5%Mo−0.4〜0.5
%Ti から成る引張強さ180〜210Kgf/mm2級鋼に加え
て、さらに高強度のマルエージング鋼が開発され
ている。すなわち、 18%Ni−12.5%Co−3%Mo−1.2%Ti鋼や、 18%Ni−15〜20%Co−5〜6.5%Mo−1%Ti
−0.05〜0.3%Al(特開昭58−25457) 等がそれで、それぞれ、245Kgf/mm2および270
Kgf/mm2の引張強さを有する。 これらの超高強度マルエージング鋼開発の考え
方は以下の通りである。 マルエージング鋼の時効処理後の強度には
Mo、CoおよびTiが主として寄与し、これらの元
素含有量が増加するほど強度が増加する。 一方、これらの元素のうちMoおよびTiは溶体
化処理後の冷却時のオーステナイト相からマルテ
ンサイト相への変態を開始する温度(以下この温
度をMs点という)を大きく低下させる元素であ
り、これらの元素含有量が多くなるとMs点が常
温近傍まで低下するため、時効処理による硬化を
得るために必要なマルテンサイト相中に多量のオ
ーステナイト相が残留し(以下これを残留オース
テナイト相という)十分な硬化が得られなくな
る。またMoは、これを多量に含有させると、製
造時にさらされる高温において粗大な金属間化合
物を形成し、靱性を害する。 以上の観点から、Ms点を低下させる作用の小
さいCo含有量を多くし、Mo含有量を低目に抑え
ることにより、強度の上昇を確保するとともに靱
性の低下を抑えている。 さて、上記用途の多くにおいて、工場で製造さ
れた鋼板を、必要な形状に加工後溶接した後、溶
体化処理を施し、対で時効処理するか、あるい
は、溶接後直接時効処理を施して、使用する。こ
の場合通常、TIG溶接法が採用されるが、溶接部
には溶接金属の凝固時に生ずる濃化偏析に起因す
る強度低下が生ずる。すなわち、溶接金属の凝固
相は基本的には通常の鋼塊の凝固相と同様、樹枝
状に発達するが、樹枝状晶間の最終凝固相には
Ni、Mo、Tiが濃化するため、その部分のMs点
が低下し、冷却後残留オーステナイト相となる。
このオーステナイト相は安定で、溶接後の800℃
〜900℃での溶体化処理によつては消滅しないた
め、溶接金属の強度は鋼板強度より低くなる。 ところが、鋼板の強度を増加させるためには、
前述のごとく、Co、Mo、Tiの含有量を増加する
ことが必要であり、Mo、Tiの添加を抑えてMs
点の低下を抑えてはいるものの、鋼板の強度が増
加するほど、溶接金属中の残留オーステナイト相
が増え、強度の低下が著しくなる。構造物の設計
は、強度の最も低い部分の強度を基準にしてなさ
れるため、溶接継手の強度が低い場合には鋼板自
体の強度が増加してもこれが設計に反映されない
ことになる。 上記問題点を解決する方策として、溶接後、溶
接部を含めて冷間加工を加えるという技術が特開
昭51−122616に開示されている。これは、溶接後
溶体化処理して、その後60〜85%の冷間加工を加
えた時効処理を施すことにより、溶接継手の強度
および靱性を母材のそれと同等にし得るというも
のである。しかし、溶接された構造物を冷間加工
するのは、非常に特殊な構造物に限られ、全ての
溶接構造物に適用することはできない。 一法、溶接後溶接金属のみあるいは構造物全体
を、溶接金属中の濃化偏析部が十分拡散、均一化
する温度にまで加熱する方法も考えられるが、そ
のためには1000℃以上に加熱することが必要であ
り、この場合高温加熱による母材特性の劣化が避
けられない。 本発明者らは、このような難点を克服すべく、
強度およびMs点に及ぼすこられの元素の影響、
凝固時の偏析度などを詳細に検討した結果、電子
ビーム溶接におけるインサートメタルまたはTIG
溶接における溶加棒の成分を適切に定めることに
よつて、溶接金属の組成をある範囲内に調整する
ことにより優れた継手効率を得る本発明を成しと
げるに至つた。 以下、本発明者らが行つた試験について詳細に
説明する。 17〜19%Ni−7〜15%Co−4〜6.5%Mo−0.3
〜1.5%Tiの組成を有するマルエージング鋼を実
験炉で溶製し、十分な均熱した後厚さ15mmの鋼板
に圧延した。これらの鋼板について、850℃〜900
℃での溶体化処理後Ms点を測定するとともに、
480℃、5時間の時効処理後引張試験を行つた。 また、一部については、入熱6000〜8000J/cm
の条件で電子ビーム溶接、または共金溶接棒で
20000J/cm、15パスの条件でTIG溶接を行い、鋼
板と同様の溶体化処理、時効処理の後、溶接金属
の残留オーステナイト量を測定するとともに
EPMA(エレクトロンプローベマイクロアナライ
ザ)により濃化偏析量を測定した。 第1図は、鋼板の強度とMo、CoおよびTi含有
量との関係を示すもので、 Mo当量=(%Mo)+1/3×(%Co) +3×(%Ti) ……(1) と定義すると、 引張強さ=9.7×(Mo当量)+117 ……(2) の関係があることが分る。 第2図は鋼板のMs点と合金元素含有率との関
係を示すもので、鋼板のMs点の計算値を、 Ms=941−26×(%Ni)−1.7 ×(%Co)−51×(%Mo) −18×(%Ti) ……(3) で表わし、Ms点の実測値と対比したもので、極
めて良好な一致が見られる。 一方EPMAによる溶接金属の偏析度、すなわ
ち、偏析部含有率/平均含有率は以下のように測
定された。 Ni:1.1、Co:1.0、 Mo:1.5、Ti:2.0、 この偏析度は、電子ビーム溶接およびTIG溶接
に限つて見れば、入熱量に関係なくほぼ一定であ
つた。 この偏析度を上記(3)式の各々の元素の係数に掛
けることにより、溶接金属の濃化偏析部のMs点
を次の(4)式のように推定するこができる。 Ms=941−28×(%Ni) −1.7×(%Co) −71(%Mo) −38(%Ti) ……(4) ただし、(%Ni)、(%Co)、(%Mo)、および
(%Ti)は溶接金属中のそれぞれの元素の平均含
有率である。 第3図は、電子ビーム溶接金属組織中の残留オ
ーステナイト相の割合と溶接金属濃化偏析部の推
定Ms点との関係を示したもので、推定Ms点が約
110℃以下になるとオーステナイトが残留し始め、
推定Ms点が低下するにつれて残留オーステナイ
ト相の割合が増えることがわかる。 本発明は以上の示したように、溶接金属におい
て、 () 最大濃化偏析部のMs点が110℃以上にな
るように組成を限定することにより、強度低下
の原因となる残留オーステナイトを実質的に0
にすること () それに加えて、Mo当量を母材のMo当
量以上に限定することにより、実質的にマルテ
ンサイト単相の時効により母材以上の強度を保
障すること の2条件を確保することによつて高い溶接継手効
率を得るものであり、上述のようにその硬化はあ
きらかである。 なお、最大濃化偏析部のMs点が200をこえると
上記(1)、(2)および(4)式の関係より、Mo当量が小
さくなりマルエージング鋼として十分な強度が得
られないため、Ms点の上限を200以下に限定す
る。また、溶接部のMo当量が(母材のMo当量
+1)を越えると溶接金属の強度が必要以上に上
りすぎて脆化するので好ましくない。 上記知見はインサートメタルあるいは溶加棒を
使用しない、いわゆるビードオンプレートの継手
について得られたものであるが、インサートメタ
ルあるいは溶加棒を使用する電子ビーム溶接ある
いはTIG溶接においては、母材の溶込み量を考慮
したうえ、溶接金属組成が上記()および
()で限定する組成になるようにインサートメ
タルあるいは溶加棒の組成を設計する必要があ
る。母材の溶込み量は、溶接方法、溶接条件によ
つて異なるが、インサートメタルを使用した電子
ビーム溶接の場合は40〜60%、溶加棒を使用した
TIG溶接の場合は20〜40%が正常である。 次に実施例を挙げて本発明の硬化を具体的に説
明する。 実施例 第1表に示す組成の18%Niマルエージング鋼
No.1、No.2の50Kg鋼塊を真空中で溶製した。 鋼No.1は210Kgf/mm2、鋼No.2は245Kgf/mm2級
のマルエージング鋼である。 1200℃で24時間均質化したのち、熱間鍛造、圧
延により厚さ15mmの鋼板に仕上げ、900℃で溶体
化した。 一方、溶加棒またはインサートメタル用に供す
るため、第2表に示す組成の18%Niマルエージ
ング鋼の10Kg鋼塊A,B,C,Dを真空中で溶製
した。1200℃で24時間均質化した後、熱間鍛造、
圧延により3mmの鋼板に仕上げた、900℃溶体化
の後、一部は厚さ2mmに、他の厚さ1mmに冷間圧
延した。これらの冷延板を900℃で溶体化し、酸
洗したのち、厚さ2mmの鋼板は2mm角の棒に仕上
げた。 鋼Aは鋼No.1と組合わせることにより、また鋼
Cは鋼No.2と組み合わせることにより、本発明の
限定範囲を満足するものである。鋼Bおよび鋼D
はそれぞれ鋼No.1および鋼No.2と組合わされるも
のであるが、鋼Bは被溶接鋼である鋼No.1に比べ
てMo当量の小さいもの、鋼DはMo当量が被溶
接鋼である鋼No.2のそれより大であるが、Ms点
が低く、溶接金属のMs点が本発明の限定簡易か
ら外れるものである。 以上の熱延板および冷延板ならびに角棒を用い
て以下の試験を行つた。 (1) 15mm熱延板について480℃、5時間の時効処
理後引張試験を行つた。 (2) 第4図に示すように、15mm熱延板1の圧延方
向に直角に、板面に垂直な開先を加工し、 (a) そのまま2枚を突合わせて溶接部2を電子
ビーム溶接 (b) 開先の間に厚さ1mmの冷延板4をはさみ電
子ビーム溶接 して継手を製作し、900℃で溶体処理した。第4
図で3は電子ビームを示し、溶接入熱は8000J/
cmとした。これらの継手の溶接金属について組織
観察により残留オーステナイト相の割合を測定す
るとともに、ビードに直角かつ溶接金属が試験片
平行部の中央になるように平行部径10mm、平行部
長さ50mmの引張試験片を加工し、480℃、5時間
の時効処理後引張試験を行つた。また溶接金属の
組成分析も行つた。 (3) 第5図に示すように、15mm熱延板1の圧延方
向に直角に板面に対して75度の角度を持つたV
型開先を加工し、共金または前記2mm角の棒を
溶加棒とし母材と同材の裏当金5を用いてTIG
溶接によつて継手を製作し、900℃で溶体化処
理した。溶接は溶接速度150mm/分で18パスと
し、電流120〜210A、電圧11〜13Vで行つた。
これらの継手について上記(2)と同様の試験を行
つた。 第3表に試験結果をまとめて示した。 鋼No.1を被溶接鋼板とし、鋼Aを電子ビーム溶
接におけるインサートメタルまたはTIG溶接にお
ける溶加棒とした組合せ、ならびに鋼No.2を被溶
接鋼板とし、鋼Cを電子ビーム溶接におけるイン
サートメタルまたはTIG溶接における溶加棒とし
た組合せの場合、Ms点は本発明の限定範囲内に
入り、継手効率99〜100%を示している。 一方、鋼No.1と鋼Bとの組合せ、鋼No.2と鋼D
との組合せ、または鋼No.1および鋼No.2のそれぞ
れのインサートメタルなしの電子ビーム溶接、共
金溶加棒によるTIG溶接の場合は、Mo当量が被
溶接鋼板のそれよりも小さいかまたはMs点が100
℃より低くなり、継手効率は84〜96%と低かつ
た。 以上の通り、本発明の方法により、18%Niマ
ルエージング鋼の溶接部の継手効率が大きく改善
されることが明らかである。 なお、上記実施例では主として18%Niマルエ
ージング鋼について述べたが、本発明の方法は他
のマルエージング鋼にも同様に適用することがで
きる。
【表】
【表】
【表】
第1図は18%Niマルエージング鋼板の組成と
引張強さとの関係を示すグラフ、第2図は18%
Niマルエージング鋼板の組成とMs点との関係を
示すグラフ、第3図は18%Niマルエージング鋼
電子ビーム溶接溶接金属の濃化偏析部推定Ms点
と組織中の残留オーステナイト相の割合の関係を
示すグラフ、第4図a,bはいずれも電子ビーム
溶接方法における突合せ状態を示す説明図、第5
図はTIG溶接における開先形状を示す説明図であ
る。 1……被溶接鋼板、2……溶接部、3……電子
ビーム、4……インサートメタル、5……裏金。
引張強さとの関係を示すグラフ、第2図は18%
Niマルエージング鋼板の組成とMs点との関係を
示すグラフ、第3図は18%Niマルエージング鋼
電子ビーム溶接溶接金属の濃化偏析部推定Ms点
と組織中の残留オーステナイト相の割合の関係を
示すグラフ、第4図a,bはいずれも電子ビーム
溶接方法における突合せ状態を示す説明図、第5
図はTIG溶接における開先形状を示す説明図であ
る。 1……被溶接鋼板、2……溶接部、3……電子
ビーム、4……インサートメタル、5……裏金。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 18%Niマルエージング鋼を溶接後、該溶接
部を時効処理およびまたは溶体化処理をする電子
ビームまたはTIGによる溶接において、溶接金属
の平均組成が、下記(1)式で表わされるそのMs点
の値が110〜200であつて、かつ下記(2)式であらわ
されるそのMo当量の値が母材のMo当量以上に
なるように、インサートメタルまたは溶加棒の組
成を調整することを特徴とする継手効率の優れた
溶接方法。 (1) 式 Ms点 =941−28×(%Ni)−1.7×(%Co) −71(%Mo)−38(%Ti) (2) 式 Mo当量 =(%Mo)+1/3×(%Co)+3×(%Ti) ただし(%Ni)、(%Co)、(%Mo)および(%
Ti)は溶着鋼中の各元素の平均含有量。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1033184A JPS60154886A (ja) | 1984-01-25 | 1984-01-25 | 18%Νiマルエ−ジング鋼の溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1033184A JPS60154886A (ja) | 1984-01-25 | 1984-01-25 | 18%Νiマルエ−ジング鋼の溶接方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS60154886A JPS60154886A (ja) | 1985-08-14 |
| JPH0431790B2 true JPH0431790B2 (ja) | 1992-05-27 |
Family
ID=11747218
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1033184A Granted JPS60154886A (ja) | 1984-01-25 | 1984-01-25 | 18%Νiマルエ−ジング鋼の溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS60154886A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6707965B2 (ja) * | 2016-04-14 | 2020-06-10 | 日油株式会社 | 弾薬用容器 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5742430B2 (ja) * | 1975-02-20 | 1982-09-08 |
-
1984
- 1984-01-25 JP JP1033184A patent/JPS60154886A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS60154886A (ja) | 1985-08-14 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| CA1326143C (en) | Ferritic stainless steel and processing therefore | |
| JPH0759350B2 (ja) | 高マンガン鋳鋼転轍部材ないしマンガン鋼レールを炭素鋼レールと結合する方法 | |
| EP3318650A1 (en) | Austenitic heat-resistant alloy and welded structure | |
| EP3712288A1 (en) | Austenitic heat-resistant steel welding metal, welded joint, welding material for austenitic heat-resistant steel, and method for producing welded joint | |
| KR20200112950A (ko) | 고Mn강 및 그의 제조 방법 | |
| JP2023512141A (ja) | 溶接部の疲労強度に優れた溶接部材及びその製造方法 | |
| JP7272438B2 (ja) | 鋼材およびその製造方法、ならびにタンク | |
| Amini-Chelak et al. | Resistance spot weldability of Fe66Cr16. 5Ni14. 1Si3. 4 advanced high strength steel using D-optimal design of experiment method | |
| WO2018003521A1 (ja) | フェライト系ステンレス鋼板 | |
| JP2639849B2 (ja) | 高窒素フェライト系耐熱鋼の製造方法 | |
| JPH06142980A (ja) | 高温強度の優れたオーステナイト鋼用溶接材料 | |
| JP4173957B2 (ja) | 溶接部の疲労強度に優れた鋼板の重ね隅肉溶接方法 | |
| JP7584230B2 (ja) | フェライト系ステンレス鋼板及び溶接構造体 | |
| WO2019069998A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼 | |
| JP7207358B2 (ja) | 低降伏比高張力厚鋼板の製造方法 | |
| JPH0759740B2 (ja) | 靭性およびクリープ強度に優れたフェライト系耐熱鋼 | |
| JP2002294404A (ja) | 摩擦圧接に適した高炭素熱延鋼材およびその製造方法 | |
| JP7832450B2 (ja) | アルミニウムめっき鋼板の溶接用ソリッドワイヤ、及び溶接継手の製造方法 | |
| JP5401915B2 (ja) | 抵抗スポット溶接の継手強度に優れた高耐食性フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 | |
| KR20250002224A (ko) | 듀플렉스 스테인리스강의 용접에 적합한 새로운 용접 듀플렉스 스테인리스강 재료, 용접 조인트 및 그 용접 방법 | |
| US3574605A (en) | Weldable,nonmagnetic austenitic manganese steel | |
| JPH0598393A (ja) | 高Nb含有高窒素フエライト系耐熱鋼およびその製造方法 | |
| RU1520871C (ru) | Сплав на основе никеля | |
| US4049432A (en) | High strength ferritic alloy-D53 | |
| JP2008285718A (ja) | 溶接継手強度が高い温水器用フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |