JPH0432173B2 - - Google Patents

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JPH0432173B2
JPH0432173B2 JP28230787A JP28230787A JPH0432173B2 JP H0432173 B2 JPH0432173 B2 JP H0432173B2 JP 28230787 A JP28230787 A JP 28230787A JP 28230787 A JP28230787 A JP 28230787A JP H0432173 B2 JPH0432173 B2 JP H0432173B2
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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は切土法面等の緑化工事に用いられる植
生帯を構成する植生基板及びその製造方法に関す
るものである。 (発明の背景) 従来、前記植生基板として、パルプに、叩解さ
れてフイブリル化された植物繊維よりなる有機質
土壌改良材を抄き込んで乾燥させた植生シート
が、本出願人により特開昭61−25423号公報で提
案されている。 この植生シートは、例えば、積層された複数の
シートの間に種子、肥料等の層を介在させ、必要
に応じて上部にわら又は/及びネツトを適宜配設
した植生帯において、前記シートに採用される。 そして、前記植生シートを採用した植生帯は、
切土法面等の緑化地盤に敷設されると、植生シー
トが大気中の水分を吸収し、又は降雨等の水分を
吸収して水分解し、土壌改良材及び肥料が土壌の
肥沃化を図る。また、発芽した種子は前記分解し
た土壌改良材及び肥料から栄養分を吸収して生長
が促進される。 このように、前記植生帯は、植生シートが水分
を吸収して素早く分解することが、土壌の肥沃化
を図るとともに、種子の発芽、発根を阻害するこ
となく促進し、植物の生育を図るうえに必要な要
素である。 そこで、本発明者は植生シートの水分解性を向
上すべく種々検討を重ねた結果、前記植生シート
が土壌改良材、木材パルプ、及び、水溶解繊維、
若しくは熱溶融繊維又は合成樹脂繊維の三要素か
らなることから、これらのうち一つでも何らかの
手段により水分解しやすい状態におくことによ
り、植生シート全体の水分解性向上を図ることが
できる点に着目した。 しかし、前記三要素のうち、熱接着のために混
入されている合成樹脂繊維は植生シートの中で僅
かな重量比を占めるにすぎず、これの水分解性を
向上させたところで全体の水分解性に及ぼす影響
は僅かであるため、十分な効果を発揮できない。
しかも、合成樹脂繊維はポリエチレン繊維を使用
することが多く、その性質は化学的に安定してお
り、これを分解するのは容易でない。 また、土壌改良材は土壌と一体化して土壌改良
効果を発揮するものであるから、物理的、化学的
性状を変えることは避けるべきである。 そこで、対象となるのは植生シートの形成にお
いてバインダとしての役割を果たす木材パルプと
なるが、この木材パルプを物理的、化学的に変化
させたところで、植生基板の土壌改良効果を低下
させたり、植物の生育に悪影響を及ぼすものでは
ない。 ところで、前記植生シートには木材パルプとし
て、一般にNBSP、NBKPなどの漂白化学パル
プが使用されており、これらの細胞膜の主成分で
あり、骨格成分をなすものはセルロースである。
そして、このセルロースは分解酵素により生成反
応(脱水縮合)と逆の反応、つまり加水分解によ
りブドウ糖に分解される。 したがつて、植生シートにセルロースの加水分
解に関与する物質を導入すれば、結果的に植生シ
ートの水分解性向上を図ることができる。 (発明の構成) 本発明は、以上の考察をもとになされたもの
で、第1の発明である植生基板は、植物性有機土
壌改良材とパルプとを抄造してなる植生シート
に、植物細胞膜の分解に関与する酵素を付与した
ものである。また、第2の発明である植生基板の
製造方法は、前記植生シートに液体にした酵素を
含浸させるものである。さらに、第3の発明であ
る植生基板の製造方法は、前記植生シートに固定
剤に混入した酵素を展着するものである。 (実施例) 以下、添付図面を参照して本発明を説明する。 第1図は第1の発明にかかる植生基板1を示
し、この植生基板1は、有機質土壌改良材を主成
分とする植生シート2の表面に、植物細胞膜の分
解に関与する酵素6を含有する酵素層5を固着し
たものである。 前記植生シート2は、叩解してフイブリル化さ
れた木材パルプ3と土壌改良材4との混合物に内
部添加剤を加えて紙料液を調整し、この紙料液を
抄紙して乾燥したもので、その具体的な製造方法
は本出願人により特開昭61−25423号公報で開示
されている。 前記植生基板1は、第2図に示す製造工程によ
り製造される。 植生シート2はシートロール11から矢印方向
にくり出され、中間ローラ12を介して上ローラ
13と下ローラ14との間を搬送される。 ここで、下ローラ14の下には溶液槽20が配
置され、そこには植物細胞膜の分解に関与する酵
素6と固定剤7との混合液8が収容されている。
そして、下ロール14の回転に伴つてその外周部
に保持された混合液8は、ブレード15により均
一化され、上下のロール13,14とで挾持搬送
されている植生シート2の表面に展着され、植生
シート2の表面に酵素層5を有する植生基板1が
形成される。 次に、植生基板1は、搬送ローラ16,17の
間を通り巻取ロール18に巻き取られる。なお、
巻取ロール18の前に、乾燥工程、又は/及び、
植生基板1に適宜間隔を以て孔を開ける工程を設
け、これらに植生基板1と通すようにしてもよ
い。 前記溶液槽20に収容される酵素6としては、
土壌改良材が分解するにあたつて、種子の発芽、
発根及び植物の生育を阻害せず、さらに土壌に悪
影響を及ぼすことのない天然に産するものを使用
する必要があり、前記「発明の背景」で述べた考
察より、木材パルプの細胞膜を分解するものとし
て、例えばセルロースをグルコース(多糖類)に
分解するのに関与するセルラーゼ、ペクチンを分
解するに関与するペクチナーゼ、ヘミセルロース
を分解するに関与するヘミセルナーゼ等を使用す
るのが好ましい。 前記固定剤としては、ニカワ、ゼラチン、カゼ
イン、デンプン、変性デンプン、デンプン誘導
体、繊維素誘導体、アルギン、パラフイン誘導
体、合成ゴム乳剤、ケイ素樹脂、フツソ樹脂、尿
素樹脂、スチレンマレイン酸共重合体、ポリ酢酸
ビニール、ポリビニールアルコール、酢酸ビニル
マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、アミ
ン系重合物、コロイド状ケイ酸が使用される。 前記説明では、酵素6を固定剤7とともに、植
生シート2の表面に展着するものとしたが、これ
に限らず、植生シート2に酵素6を含む液体を前
述と同様の方法により、固定剤の濃度、固定剤の
量、ローラ圧力などを調整することによつて、含
浸させてもよい。また、印刷ローラによらず液状
の酵素をスプレーで植生シート2に吹付けて浸透
させてもよい。なお、これらの方法では、巻取ロ
ール18の前に、乾燥工程を設ける必要がある。 また、植生シート2のスリツター加工の印刷工
程で、酵素6を印刷インキに溶解して展着するよ
うにしてもよい。 以下、前記酵素6としてセルラーゼを使用した
とき、これが植生シート2の分解性に及ぼす影響
について実験した結果を示す。 セルラーゼ、植性シートの性質 セルラーゼにはセルロースの結晶構造を崩壊
しグルコースを生成する性質があり、この活性
を示す指標として“濾紙崩壊力”と“アビセラ
ーゼ活性”がある。 “濾紙崩壊力”は文字通り濾紙を崩壊する効
力であり、“アビセラーゼ活性”とは微結晶セ
ルロースのアビセルに作用し、グリコースを生
成させる活性である。 この他、ヘミセルロースを分解する性質であ
る“キシラナーゼ活性”、ペクチンを分解する
“ペクチナーゼ活性”、CMCを分解する“CMC
アーゼ”などがある。 以上の活性のうち、植性シート2のセルロー
スを分解する上で重要なのは“濾紙崩壊力”と
“アビセラーゼ活性”であるが、どの様な酵素
でもそれが作用するに最適な温度とPHがある。 本実験で用いたセルラーゼは、明治製菓(株)製
の「メイセラーゼ(商品名)」であるが、この
メイセラーゼの酵素活性と、温度及びPHとの関
係は、表−1、2、第3,4図の通りである。
【表】
【表】 セルラーゼ(メイセラーゼ)について、その
酵素活性、その他の性質をまとめると次の通り
である。 (a) 濾紙崩壊力、アビセラーゼ活性を有効に発
揮させる条件はPH4.0〜5.5、温度40〜50℃で
あり、PH4.5、温度50℃のとき最も強い活性
を呈するが、20℃以下またはアルカリ性サイ
ドでは効力が低下する。 (b) 紫外線や高温に対して安定性があり、メイ
セラーゼ原末の製造時の温度は170℃である
ため、メイセラーゼは少なくとも170℃まで
は劣化しないと考えられる。 (c) セルラーゼに対する作用が加水分解である
から乾燥している状態では効力が発現しな
い。 (d) 加水分解の妨害物質のひとつとしてリグニ
ンがあり、これを含む物質については作用力
は低下する。 (e) PHの変化が生じてもメイセラーゼの潜在的
な活性の劣化は少ない。 一方、植生シート2の主成分であるピートモス
は酸性を呈し、そのPHは5.8(JIS P8113)である。 また、ピートモスは各種の緩衝性(土壌の塩類
障害等に対する緩衝性)を有しており、酸、アル
カリに対する緩衝性は第5図の通りで、多少の酸
性あるいはアルカリ性の雨ではPHの変化が起こら
ないものと予想される。なお、一般植生用紙の緩
衝性は、図中点線で示してある。 さらに、一般に、植生シート2が施工される日
本の土壌は酸性土壌(PH4〜5)が多く、植生シ
ート2は酸性化されることが予想されるが、植生
シート2のPH値(5.8)はメイセラーゼの酵素活
性のピークをやや外れており、自然条件下では温
度が冬期と夏期ではかなり異なる為、施工後に最
適な条件を得ることは難しい。 しかし、植生シート2の分解は数時間で達成し
なければならないものでなく、種子の発芽までに
達成されれば良いのであるから、少なくとも降雨
後4〜5日の日数が許容される。 また、植生シート2の分解はセルロースの完全
分解まで到達せずとも、セルロースを脆化する効
果だけで、充分水分解性を促進することができ
る。 従つて、必ずしも植生シート2の性質や施工地
の条件をメイセラーゼの酵素活性の最適条件と合
致させる必要はなく、むしろPH等は種子の発芽や
施工地への影響を考慮すると、現状のままで良い
ものと判断する。 メイセラーゼによる各種実験における添加指
数について 本実験には酵素活性力の異なる2種類のメイ
セラーゼを使用したため、添加量は、メイセラ
ーゼの酵素活性と植生シート2に添加した重量
を含めたかたちで表す。 即ち、植生シート2を3枚重ねた状態で1m2
(シート重量100g)につきどれだけの酵素活性
をもつメイセラーゼを何g添加したかについ
て、「添加指数」という表現を用いる。 高純度メイセラーゼの潜在的な酵素活性を10
とし、これを10g、1m2の植生シート2に添加
したときの添加指数を100(g−活性/m2)とす
る。 従つて、酵素活性10のメイセラーゼを植生
シート1m2当たりに1g添加すると、添加指数
は10g−活性/m2になる。 下記する表−3に各メイセラーゼの潜在的酵
素活性を示す。
【表】 高純度メイセラーゼの酵素活性を10とした場
合の比率 なお、メイセラーゼは全て粉末状であり、実
験に用いた「メイセラーゼ溶液」はこれらを水
溶解してつくつたものである。 −1 メイセラーゼの添加と植生シートの溶解
速度() 以下、メイセラーゼの添加によつて植生シー
ト2の水分解性の指標である溶解速度がどの様
に変化するかについて行つた実験について示
す。 a 実験方法 後に説明する紙の溶解度試験により得られ
た溶解速度が40秒である植生基板を5×5cm
に切断し、これを重ねて2gとしたものをガ
ラス製シヤーレに入れ、次いで0.1%メイセ
ラーゼ溶液に水を加えて20mlとしたものを添
加し、24時間室内にて浸漬した。 メイセラーゼは最も酵素活性の高い“高純
度メイセラーゼ”を用い、添加指標は0、
1、2、4、6、8、10g−活性/m2の7種
類とした。 浸漬後、湿潤状態のまま溶解速度を測定し
た。 そして、その結果を表−4、第6図に示す。
【表】
【表】 b 実験結果 メイセラーゼの添加による植生シート2の
脆化は非常に顕著なるものであつた。 メイセラーゼの添加指数が1g−活性/m2
という低い添加量であつても、無添加のもの
に比べて溶解速度は約2倍程度速くなり、添
加指数の増加に伴い溶解速度が速くなること
が確認され、10g−活性/m2では約8倍に促
進された。 また、グルコースの生成量を試験紙にて確
認したところ、添加指数の増加とともに、生
成量も増加していることが判明した。 浸漬後の状態は浸漬直後と外観では判別で
きないものであつたし、浸漬後も植生シート
中には多量のパルプ繊維の存在が確認され
た。 従つて、この程度の添加指数ではセルロー
スの完全分解(加水分解)には到底達しない
ものであるが脆化効果を得るのには充分な添
加量であることがわかつた。 浸漬時のPHはいずれの試料も6.0であり、
浸漬中の温度は14〜23℃(平均20℃)の変化
があつた。 この様に、浸漬中はメイセラーゼの酵素活
性を充分発揮でき得る状態ではなかつたにも
かかわらず良好な結果が得られた。 また、顕微鏡観察による植生シート2の中
のピートモスは浸漬の前後で変化は認められ
なかつた。 c 紙の溶解度試験 本試験は、トイレツトペーパーや便座シー
ト用紙等のように、水溶性を必要とされる紙
について適用される試験で、その方法は下記
する通りである。 まず、水300mlをいれたビーカ(500ml用)
をマグネテイツクスターラ上に乗せ、その中
に50×50mm(±0.1mm)に裁断した試験用試
料片を入れて、回転子(直径約7mm、全長35
mm、重さ約7g)を約600rpmで回転させる。 次に、回転が安定すると、前記紙料片2枚
を前記ビーカに投入し、紙料片が完全分解す
るまで(面積0.25cm2以下の小片となつたと
き)の時間を測定する。 以上の実験を少なくとも3回行い、夫々の時
間を平均して、これを溶解速度とする。 −2 メイセラーゼの添加の植生シートの溶解
速度() 前記溶解速度()の実験により、乾燥時に
は溶解速度40秒の植生シートが水中に24時間浸
漬すると(湿潤状態のまま測定すると)20秒に
まで速まることが確認された。 しかし、植生帯及び植生シート2が現場に施
工された場合、種子の発芽までには雨水による
湿潤状態と晴天時等による乾燥状態のもとに繰
り返しさらされる。 したがつて、一度湿潤状態にあつた植生シー
ト2を乾燥させたとき、その溶解速度はどの様
な変化を示すか解明するため、植生シート2に
メイセラーゼを添加した後湿潤して一度脆化さ
せ、その後植生シートを乾燥してその溶解速度
を測定した。 (a) 実験方法 実験()で処理した植生シート2の残留
物(非検査試料)を、含水率が30%となる様
に搾水、積層して室内にて24時間乾燥(風
乾)し、乾燥後の溶解速度を測定した。 (b) 実験結果 実験結果を表−5及び第7図に示す。
【表】 第7図から明らかなように、添加指数の増
加に伴い、風乾後も溶解速度は速まる傾向に
ある。 −3 実験()、()のまとめ 前記実験()、()の結果を、表−6に示
す。
【表】 この表からも明らかなように、植生シート2
へのメイセラーゼ(セルラーゼ)の添加は、植
生シート2の水分解性向上を図るうえで極めて
有効な手段として考えられ、1g−活性/m2
度の少量添加でも溶解速度は2倍程度の向上が
認められた。 メイセラーゼのピートモスに与える影響は、
1〜10g−活性/m2程度の低添加率ではほとん
どないものと判断できる。 また、メイセラーゼの添加により植生シート
2は柔軟性(手の感触による)が増加する傾向
にあつたため、土壌への密着性の向上が望める
ものと考えられる。 現場に施工される場合は、実験の様な条件と
は異なることが予想されるが、実用的なメイセ
ラーゼ添加指数は1〜4g−活性/m2程度であ
ると考えると、施工後において特別な条件(温
度やPHについて)を与えずとも、直生シート2
の脆化は達成できると考えられる。 屋外放置実験 室内実験によつて植生シート2の脆化に要す
る実用的なメイセラーゼ添加指数は1〜4g−
活性/m2との結果を得た。 これに基づいて、メイセラーゼ添加後の植生
シート2の屋外における分解状態を観察した。 (a) 実験方法(第8,9図参照) 10×10mmに切断した溶解速度40秒の植生シ
ート2を三枚重ね、四偶と中心を通る十字形
に、幅5mmのハンダゴテによつてヒートセツ
トした二つの試験体を用意し、試験体には
0.1%高純度メイセラーゼ溶液を、添加指数
が4g−活性/m2となる様に含浸させ、試験
体は水を含浸させ、両者を一日間室内にて
風乾した。 風乾後、直径3〜5mmφの小石を少量含む
砂地(区分:砂土[記号:S])の試験地上
に放置した。 b 実験結果 放置後、三日目から三日間連続した雨天に
なり、積算降雨量は100mmであつたが、降り
始めは特に激しい降雨(60mm/日)であつ
た。 メイラーゼを添加した試験体は三日目の
降雨とともに崩壊が始まり、五日目には第8
図に示すように一辺が5mmの小片に分解し
た。これに対しメイラーゼ無添加の試験体
は土壌表面に密着するも、第9図に示すよう
に、崩壊は認められなかつた。 このように、メイセラーゼ添加と無添加の
ものでは分解性に顕著な差が現れた。 したがつて、実用面でのメイセラーゼ添加
指数は4g−活性/m2を最大添加量とし、以
下の実験においては1ないし2g−活性/m2
で検討するものとする。 −1 植生帯による実験について 以上の実験により、メイセラーゼが植生シー
ト2に与える脆化作用(水分解性向上効果)
は、これまでの実験により明らかになつた。 次に、植生シート2が植生帯となつて現場に
施工された場合、果たして同様な効果が得られ
るか否か、つまり、肥料の影響はあるのか、ま
た種子に対してメイセラーゼが発芽阻害などの
悪影響を及ぼすかなど、これらを総合的に判断
すべく、植生帯にメイセラーゼを添加し、これ
を試験地に敷設して状態を観察した。 加えて、メイセラーゼを添加する場合、含浸
による添加法と粉体のまま混入させる添加法が
考えられるが、それぞれにどのような特徴があ
るかについても検討した。 −2 植生帯の構造と試験地 第10,11図に示すように、試験体である
植生帯21(酵素無添加)は、20×30cmに切断
した植生シート2にて種子層22及び肥料層2
3を挾持した5層構造である。 種子層22の種子は、ハイランドベントグラ
ス(HBG)を用い、肥料層23の肥料は化成
肥料(N:P:K=10:10:10)を用いた。 挾持量は、種子1g、肥料10gで、1m2当た
りに換算すると種子16.7g肥料167gである。 なお、植生シート2にはあらかじめ1cm2当た
り1個の割合で直径2mm程度の穴を空けて(貫
通のみ)おき、四偶と5×4cm間隔で格子状に
5mm幅でヒートセツトした。 一方、試験地24は、第12図に示すよう
に、全体の厚さが9cmで、底から1cmまでに直
径1cm程度の小石25を敷き、この上に厚さ4
cmの焼軽石層26、さらに厚さ4cmのサボテン
培養土層27を重ねた構造である。 なお、試験地24のサボテン培養土(砂土)
層27のPHは6.6(NaCl溶液にて抽出したとき
は5.3)であつた。 −3 含浸法による実験 植生帯を用いた屋外実験において、まず植生
帯に含浸法によつてメイセラーゼを添加した。 (a) 実験方法 メイセラーゼの添加方法は、前記植生帯21
の作成前に、3枚重ねの植生シート2に1%
メイセラーゼB液を1g−活性/m2、2g−
活性/m2となる様あらかじめ含浸させたのち
1日風乾し、1g−活性/m2の植生シート2
を用いて植生帯Bを作成し、2g−活性/m2
の植生シート用いて植生帯Cを作成し、さら
に、植生シートを水に浸し、その後これを一
日風乾したものを用いて植生帯Aを作成し、
これらの植生帯A,〜,Cを試験地24に施
工した。 (b) 経過
【表】 (c) 実験結果(第13a,13b図、第14
a,14b図参照) 実験開始の翌日から3日間連続した雨天
で、特に雨天の初日は20mmと比較的多量の降
雨であつた。 5日後に再び雨天になり、三種類の植生帯
A,〜,Cの全部に縦方向に沿つて長さ1〜
2cmで数箇所裂け目が生じた(第13a図参
照)。 また、植生帯B,Cが、この日植生シート
を突きぬける様に発芽し、翌日植生帯Aが同
じ様に発芽した(第14a図参照)。 15日後に実験を終了したが、この時点にお
いて三種の植生帯A,〜,Cには多数の裂け
目が生じており、植生帯A<B<Cの順にそ
の数が多くなつていることが確認された(第
13b図参照)。 なお、この方法は植生シートが比較的厚層
でち密な場合に有効である。即ち、酵素が繊
維層に浸透しているため、水分の浸潤により
速やかにその効果を発揮することができると
共に、繊維層が毛管力で酵素の流出を防止す
るという効果を有する。 −4 シート表面添加による実験 前記実験は含浸法にてメイセラーゼを添加し
たが、本実験はメイセラーゼ粉末を肥料層23
に混入させる「表層添加法」を採用した。 肥料層23に混入させたのは、種子層22に
添加した場合、ごく少量の雨のときに局部的に
高濃度の状態になり、種子への悪影響が懸念さ
れるからである。 また、肥料層23への混入は次の様な利点が
考えられる。 肥料層23の下の植生シート2は雨滴衝撃
力を最も受けにくい部分であるから、この部
分を脆化させることにより全体的な水分解性
の向上が期待できる。 実験に用いた肥料のPHが5であるため、メ
イセラーゼを作用させるのにあたり条件が良
い。 水溶性固定剤にメイセラーゼを混合したも
のを印刷ローラで植生シート2に展着させる
のは比較的容易であり、均一に酵素を分布さ
せることができる。 脆化により最下部の植生シート2が土壌へ
の密着性を増す。 激しい降雨による流出が少ない。 (a) 実験方法 下記する表−8のように、1g−活性/m2
及び2g−活性/m2の添加指数が得られる様
に、あらかじめメイセラーゼと肥料をそれぞ
れ混合した第11図に示す形態の植生帯B′,
C′と、前記植生帯Aと同一の植生帯A′を作
成し、これらを試験地24に施工した。 なお、使用したメイラーゼは「メイラーゼ
B粉末」である。
【表】 である。
【表】 (c) 実験結果(第15a〜15d図、第16a
〜16d図、第17,18図参照) 本実験は3月から4月に渡つて行つたもの
であるが、雨の多い時期でもあつた。 施工後16日までに積算して43.5mmの降雨が
あつた全植生帯とも崩壊は認められなかつた
(第15a,15b図参照)。 17日後、20.5mmの降雨によつて全植生帯が
崩壊し始めたが、メイセラーゼ添加と無添加
では崩壊の状態に明らかなる差異が認められ
た(第15c図参照)。 特に、2g−活性/m2の添加指数では崩壊
が激しく、小片状に分解した部分が多かつた
が繊維状に分解している部分もあり、土壌表
面に完全に密着しているものが確認された。 30日後、植生帯A′では全体の30%、植生
帯B′は50%、植生帯C′は70%が崩壊(ほぼヒ
ートセツト部分を残すのみ)した(第15d
図参照)。 発芽は、第16a〜16d図に示すよう
に、施工して18日後に全植生帯に起こり、そ
の後の生長は植生体B′が僅かに速い程度で
あつたが、ほぼ同様と判断してさしつかえな
い程度のものであつた。 発芽20日後の生長分布をみると、第17図
に示すように、植生帯A′よりもメイセラー
ゼを添加した植生帯B′,C′のほうが生長にバ
ラツキがない。 また、メイセラーゼ添加の植生帯B′,C′の
HBGの根は、第18図に示すように、メイ
ラーゼ無添加の植生帯A′と同様で特に異常
は認められなかつた。 結論 以上の説明から明らかなように、植生帯への
セルラーゼ(メイセラーゼ)の添加は植生シー
ト2及び植生帯の水分解性向上の手段として有
効なものである。 セルラーゼを添加したものと、無添加のもの
の水分解性の差は20mmを超える比較的多量の降
雨によつて現れる傾向にある。 添加指数は、表層添加の場合1〜2g−活
性/m2、含浸による場合は2〜4g−活性/m2
が実用範囲である。 含浸法、表層添加法いずれの方法も低添加量
で植生シートの脆化が実現できるとともに、ピ
ートモスに対しても、また種子の発芽生育につ
いても悪影響を与えず、かえつて生成したグル
コースが土壌微生物の繁殖を促進させる効果を
有する。具体的に、根粒菌を10g−活性/m2
溶液で培養したところ、未添加のものに比べ
て、表−10に示すように、5日で2.17倍の繁殖
数が得られた。
【表】 なお、セルラーゼがピートモスに与える影響
について別の実験を行つたが、100g−活性/
m2の添加指数にて14日間室温で植生シート2を
浸漬したところ、その残留率は68.5%(パルプ
のみ加水分解されると仮定した場合の残留率は
65%)であり、浸漬したセルラーゼ溶液が僅か
に褐色を呈した程度であつたため、かなりの添
加指数(コスト高になり実現不可能な値)まで
ピートモスは変化しないものと考えられる。 (発明の効果) 以上の説明で明らかなように、植物性有機質土
壌改良材とパルプとからなる植生シートに植物細
胞膜の分解に関与する酵素を付与した第1の発明
にかかる植生基板は、水を含むことによつてパル
プ中のセルロースが加水分解され、植生シートが
脆化して水分解性が向上する。 このため、植生基板そのものを土壌に施工した
場合は勿論、前記植生基板で構成された植生帯を
土壌に施工すると、植生基板が降雨又は大気中の
水分を吸収して容易に分解し、土壌改良材、肥料
を素早く土壌に供給することができる。 従つて、土壌の肥沃化を早期に達成できるとと
もに、種子の発芽、発根を阻害することなく、そ
の成長を助長することができる。 また、第2の発明により厚層の植生シートに、
また第3の発明により薄層の植生シートに、夫々
効果的に前記酵素を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる植生基板の一部断面
図、第2図は植生基板の製造工程図、第3図セル
ラーゼの濾紙崩壊力活性の特性を示す図、第4図
はセルラーゼのアビセラーゼ活性の特性を示す
図、第5図は植生シートの緩衝性を示す図、第6
図は植生シートの湿潤時の溶解速度を示す図、第
7図は湿潤状態の植生シートを再度乾燥させた後
の溶解速度を示す図、第8図はセルラーゼを含浸
した植生シートの分解状況を示す図、第9図はセ
ルラーゼ無添加の植生シートの分解状態を示す
図、第10図は植生帯の平面図、第11図は植生
帯の一部断面図、第12図は試験地の一部断面
図、第13a,13b図は植生帯の崩壊状態を示
す平面図、第14a,14b図は植生帯の発芽状
態を示す平面図、第15a〜15d図は植生帯の
崩壊状態を示す平面図、第16a〜16d図は植
生帯の発芽状態を示す平面図、第17図は発芽か
ら20日後の成育状態を示す図、第18図は植物の
発根状態を示す図である。 1……植生基板、2……植生シート、3……パ
ルプ、4……土壌改良材、5……酵素層、6……
酵素。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 植物性有機質土壌改良材とパルプとを抄造し
    てなる植生シートに、植物細胞膜物質の分解に関
    与する酵素を付与したことを特徴とする植生基
    板。 2 植物性有機質土壌改良材とパルプとを抄造し
    てなる植生シートに、植物細胞膜物質の分解に関
    与する酵素を含浸させることを特徴とする植生基
    板の製造方法。 3 植物性有機質土壌改良材とパルプとを抄造し
    てなる植生シートに、植物細胞膜物質の分解に関
    与する酵素をローラで展着させることを特徴とす
    る植生基板の製造方法。
JP28230787A 1987-11-09 1987-11-09 植生基板及びその製造方法 Granted JPH01125421A (ja)

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