JPH04321897A - 真空断熱支持方法およびそれを用いた真空断熱容器および真空断熱パネル     - Google Patents

真空断熱支持方法およびそれを用いた真空断熱容器および真空断熱パネル    

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JPH04321897A
JPH04321897A JP3114121A JP11412191A JPH04321897A JP H04321897 A JPH04321897 A JP H04321897A JP 3114121 A JP3114121 A JP 3114121A JP 11412191 A JP11412191 A JP 11412191A JP H04321897 A JPH04321897 A JP H04321897A
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space
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vacuum
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Yasuharu Kamioka
上岡 泰晴
Kenzou Ikeda
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、低温用の各種装置や
低温容器、例えばクライオスタットなどにおいて、真空
断熱と構造部材としての支持を同時に行なう方法、およ
びその方法を実施した真空断熱容器および真空断熱パネ
ルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の低温科学の発展には著しいものが
あり、また低温を利用した超電導技術も実用化が進めら
れている。ところで低温機器においては、冷媒のロスを
防止するとともに、必要な部分を確実に低温に保持する
ために、断熱、特に真空断熱を行なう必要があるのが通
常である。例えば各種材料や各種機器を液体ヘリウム等
の冷媒とともに収容して、低温での測定や実験を行なう
ための容器、すなわちクライオスタットにおいては、内
外2重壁構造として、壁部内の空間を真空として断熱す
るのが通常である。このようなクライオスタットの一例
を図7に示す。
【0003】図7において、クライオスタットの容器本
体1は全体として円筒状をなす周壁部2とフラットな平
面状をなす底部3とを一体化した構成とされており、周
壁部2および底部3はいずれも中間に空間を形成した内
外2重壁構造とされている。すなわち周壁部2は小径の
円筒状内壁板2Aと大径の円筒状外壁板2Bとによって
構成されており、底部3は平板状の内壁板3Aと同じく
平板状の外壁板3Bとによって構成されている。そして
各内壁板2A,3Aと各外壁板2B,3Bとの間の空間
51,52はいずれも真空断熱層とされている。そして
容器本体1の内部に液体窒素等の冷媒6が注入される。 なお図7では蓋については示していないが、もちろん蓋
も何らかの手段で断熱構造とするのが通常である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】クライオスタットの重
要な用途の一つとして、超電導マグネットを冷却保持す
る用途がある。このような場合、一般に図7に仮想線で
示したように超電導マグネット7を容器本体1内の底部
3上に配置して液体窒素等の冷媒6で冷却し、外部(ク
ライオスタットの下側)の対象物8に対して超電導マグ
ネット7の磁力を及ぼすように用いるのが通常である。 この場合、超電導マグネット7と対象物8とは、クライ
オスタットの底部3の全厚みT分だけ離れることになる
。磁力は距離の2乗に反比例するから、超電導マグネッ
ト7が発生する磁力を有効に対象物8に作用させるため
には、底部3の全厚みTを可及的に小さくする必要があ
る。
【0005】一方内壁板2A,3Aと外壁板2B,3B
との間の空間51,52の真空断熱層は真空であって外
部に対して負圧となっているから、内壁板3A、外壁板
3Bには外部との差圧に相当する大気圧分の荷重がその
厚さ方向に加わることになる。
【0006】ところが、図7に示すクライオスタットで
は、底部3の内壁板3A、外壁板3Bがフラットな平面
状になっているため、その平面に対し直交する方向(厚
み方向)に加わる荷重に対しては撓み変形を起こしやす
く、そのため前述のような負圧による荷重に対して変形
を防止するためには、同じ材料であれば内壁板3A、外
壁板3Bの厚みtを大きくして剛性を高めざるを得ない
。特に最近では内径が大きい大型のクライオスタットが
要求されることが多くなっているが、内径が大きくなれ
ば同じ荷重が加わっても底部3の内壁板3A、外壁板3
Bが、より変形しやすくなるから、大径のクライオスタ
ットでは底部内壁板3A、外壁板3Bの厚みを著しく厚
くする必要があり、例えば各板としてステンレス鋼板を
用いた場合、内径が1000mmのクライオスタットの
場合、内壁板3A、外壁板3Bの厚みは50mm以上と
する必要があった。
【0007】このように超電導マグネットを冷却保持し
て、外部にその超電導マグネットの磁力を及ぼそうとす
る場合、クライオスタット底部3の全厚みTを小さくす
ることが必要であるが、真空断熱層の負圧によって底部
3の内壁板3A、外壁板3Bに加わる荷重による撓み変
形を防止するためには、前述のように底部3の内壁板3
A、外壁板3Bの厚みtをある程度以上厚くせざるを得
ず、その結果底部3の全厚みTを小さくするにも限界が
あったのが実情である。
【0008】特に大型のクライオスタットの場合や磁気
測定に用いられるクライオスタットの場合、大型化によ
る重量増を防止して軽量化を図ったり、また金属から発
する磁気的雑音を防止したり、壁板における渦電流の影
響を防止するため、壁板の材料としてFRPを用いる傾
向が強まっているが、FRPは一般にステンレス鋼と比
較して格段に撓み変形が生じやすく、そのためFRPを
用いた場合には底部3の内壁板3A、外壁板3Bの厚み
tを一層厚くせざるを得ず、その結果底部3の全厚みT
もさらに大きくならざるを得ないのが実情である。
【0009】ところで、クライオスタットにおける真空
断熱層の負圧による底部3の内壁板3A、外壁板3Bの
変形を防止するための一つの手段としては、例えば図8
に示すように、底部3の内壁板3Aと外壁板3Bとの間
の適宜の箇所にFRPで代表される比較的断熱効果の高
い(熱伝導率の低い)材料からなる剛性を有するスペー
サ剛体9を適宜挿入して、そのスペーサ剛体9により内
壁板3A、外壁板3Bの間に加わる荷重を支持し、これ
らの板の撓み変形を防止することが考えられる。しかし
ながらこのようなFRP等からなるスペーサ剛体9を用
いる場合、FRP等は一応は熱伝導率が低いとはいえど
も、真空断熱層に比較すれば格段に熱伝導率が高いため
、スペーサ剛体9の部分において外部から内部への熱侵
入が生じ、そのため冷媒のロスも大きくならざるを得ず
、したがって実用化は困難であった。
【0010】なおクライオスタットの底部3の全体形状
を凸湾曲面状とした場合、すなわち底部3の内壁板3A
、外壁板3Bを凸湾曲面状とした場合には、厚み方向の
荷重に対する剛性が高くなり、真空断熱層の負圧による
荷重に対して撓み変形が生じにくくなる。但しこの場合
はクライオスタット底部の内面形状も凸湾曲状となって
いるため、収容する冷却対象物の形状等に制約が生じ、
またクライオスタット底部の外面形状も凸湾曲面状にな
っているため、底部外面の直近に他の部材を配置する場
合(例えば図7のような場合)に、外部の部材の形状に
も制約が生じる。したがって用途によっては、このよう
に底部形状を湾曲面とすることが不適当な場合が多いの
である。
【0011】以上、クライオスタットの場合を例にとっ
て従来の問題点を説明したが、クライオスタットに限ら
ず、平板状の2枚の壁板の間の空間を真空断熱層とした
場合は、多かれ少なかれ前述と同様な問題が生じている
。
【0012】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、平板状の2枚の壁板の間の空間を実質的に真
空に保持して真空断熱するようにした構造において、壁
板の厚みを増すことなく、負圧により2枚の壁板間に加
わる荷重を支持して壁板の撓み変形を防止すると同時に
良好な断熱効果も得られるようにした、真空断熱支持方
法を提供することを基本的な目的とするものである。
【0013】またこの発明の他の目的は、底部を平板状
としたクライオスタット(真空断熱容器)において、底
部の変形を招くことなく底部の全厚みを小さくすること
にある。
【0014】またこの発明の他の目的は、側壁部の少な
くとも一面を平面状としたクライオスタット(真空断熱
容器)において、その平面状の側壁部の変形を招くこと
なく側壁部の全厚みを小さくすることにある。
【0015】さらにこの発明の他の目的は、全厚みが薄
くかつ断熱効果の良好な平板状の真空断熱パネルを提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】真空断熱層における断熱
効果を増すために従来から多重層真空断熱を行なうこと
が知られている。この多重層真空断熱は、スーパーイン
シュレーションとも称されるものであって、一般には、
金属光沢を有する薄質な反射フィルム、例えば蒸着によ
り形成したアルミ蒸着樹脂フィルムと、ポリエステル等
の低熱伝導材からなる網状のシート状セパレータとを交
互に数十層から数百層多重に積層して、その多重フィル
ム層を、真空断熱層を形成するべき空間に挿入し、かつ
その空間を真空とすることによって達成される。このよ
うな多重層真空断熱は、単に真空により断熱するばかり
でなく、反射フィルムが輻射熱を抑え、かつ各反射フィ
ルム相互間の接触をシート状セパレータが防止して各反
射フィルム相互間の熱伝導を防止し、かつシート状セパ
レータ自体は網状等にすることによってシート状セパレ
ータと反射フィルムとが点接触となるようにし、これに
より両者間の熱伝達をも防止するようにしたものであり
、このような多重フィルム層を設けない単なる真空断熱
の場合に比較して一層断熱効果を高めることができる。 このような多重層真空断熱層における積層方向の熱伝導
率は、多重層を構成している各フィルムの材料や積層数
等の条件によっても異なるが、通常は10−5(W/m
・K)のオーダーの極めて小さい値となることが知られ
ている。図8に示したようなスペーサ剛体9に用いられ
るFRPの熱伝導率は10−2(W/m・K)のオーダ
ーであるから、多重真空断熱の効果が如何に優れている
かは明らかである。
【0017】ところで、上述のような多重層真空断熱を
行なう場合の多重フィルム層については、従来は、積層
方向に荷重を加えずに自由状態のままで使用することが
必要であるとされていた。例えば円筒状の部分を多重層
真空断熱するために多重フィルム層を形成する場合には
、各フィルム、シートにテンションを加えずにフリー状
態で巻付けを行ない、また平面状の多重層真空断熱層を
形成する場合は自重のみによって各フィルム、シートを
積層することが必要とされていた。すなわち、優れた断
熱効果を得ようとするためには、反射フィルムとシート
状セパレータとの接触圧力を可及的に零に近くして、反
射フィルムとシート状セパレータとの接触面積を可及的
に小さくし、これにより両者間の熱伝達を防止する必要
があるとされていたのである。
【0018】したがって従来は、多重層真空断熱をその
多重フィルム層積層方向への荷重に対する構造的な支持
として使用することは全く考えられていなかったのであ
る。すなわち、多重フィルム層をその積層方向への荷重
に対する構造的な支持に使用しようとする場合は、必然
的に積層方向へ圧力が加わって反射フィルムとシート状
セパレータとの間の接触面積が増大し、積層方向への全
体的な熱伝導率が大きくなり、断熱効果が低下してしま
う不利益をもたらすだけと考えられていたのである。
【0019】しかしながら、本願発明者等が実際に詳細
な実験を行なったところ、多重層真空断熱の多重フィル
ム層にその積層方向に大気圧程度の圧力を加えた場合で
も、積層方向への全体の熱伝導率は自由積層状態での熱
伝導率の4倍程度になるに過ぎず、クライオスタット等
における断熱性が実用上支障のない程度であることが判
明した。すなわちその場合の熱伝導率は、図8に示した
スペーサ剛体9に用いられるFRPの熱伝導率(10−
2W/m・Kのオーダー)と比較すれば、依然として2
〜3桁は熱伝導率が良好であり、したがって図8に示し
たようなスペーサ剛体を構造支持部材として用いる場合
と比較すれば、格段に断熱効果は優れていることが判明
し、この発明をなすに至ったのである。
【0020】具体的には、請求項1の発明の真空断熱支
持方法は、平板状の2枚の壁板間の空間を実質的に真空
に保持するとともに、その空間に多重層真空断熱層を形
成するための多重フィルム層を介在させ、前記2枚の壁
板間の空間の負圧によってその2枚の壁板間に相互に接
近する方向へ加わる荷重を、前記多重フィルム層によっ
て支持することを特徴とするものである。
【0021】また請求項2の発明は、請求項1の発明の
真空断熱支持方法において、特に前記多重フィルム層を
規定したものであって、その多重フィルム層が、表面に
金属光沢を有する反射フィルムと、少なくとも表面に凹
凸が存在する低熱伝導材からなるシート状セパレータと
を多数層積層した構造とされていることを特徴とするも
のである。
【0022】一方請求項3の発明は、前述のような真空
断熱支持方法を実施した真空断熱容器を規定したもので
あり、少なくとも底部が平面状とされた真空断熱容器に
おいて、容器本体の底部および周壁部が内外2重壁構造
とされ、かつその2重壁の内壁板と外壁板との間の空間
が実質的に真空に保持されるとともに、その空間に多重
層断熱層を形成するための多重フィルム層が介在され、
かつ容器本体の底部においては、平板状の内壁板と外壁
板との間の空間の負圧によってその底部の内壁板と外壁
板との間に相互に接近する方向に加わる荷重を、前記多
重フィルム層によって支持するように構成したことを特
徴とするものである。
【0023】一方請求項4の発明も、前述のような真空
断熱支持方法を実施した真空断熱容器を規定したもので
あり、側壁部の少なくとも1面以上が平面状とされた真
空断熱容器において、容器本体の底部および側壁部が内
外2重壁構造とされ、かつその2重壁の内壁板と外壁板
との間の空間が実質的に真空に保持されるとともに、そ
の空間に多重層断熱層を形成するための多重フィルム層
が介在され、かつ平面状の側壁部においては、平板状の
内壁板と外壁板との間の空間の負圧によってその側壁部
の内壁板と外壁板との間に相互に接近する方向に加わる
荷重を、前記多重フィルム層によって支持するように構
成したことを特徴とするものである。
【0024】また請求項5の発明では、請求項3もしく
は請求項4の発明の真空断熱容器における多重フィルム
層について、請求項2と同様に規定した。
【0025】さらに請求項6の発明は、前述のような真
空断熱支持方法を実施した真空断熱パネルを規定したも
のであり、この真空断熱パネルは、平板状の2枚の壁板
の間に空間が形成されるとともにその2枚の壁板の周辺
部において前記空間が密封され、前記空間が実質的に真
空にされるとともに、その空間に多重層真空断熱層を形
成するための多重フィルム層が介在され、しかも前記2
枚の壁板間の空間の負圧によってその2枚の壁板間に相
互に接近する方向へ加わる荷重を、前記多重フィルム層
によって支持する構成としたことを特徴とするものであ
る。
【0026】そして請求項7の発明では、請求項6の発
明の真空断熱パネルにおける多重フィルム層について請
求項2と同様に規定した。
【0027】
【作用】請求項1の発明の真空断熱支持方法においては
、2枚の壁板間に加わる負圧による荷重を、その2枚の
壁板間で多重層真空断熱層を形成するための多重フィル
ム層で支持している。この負圧は通常は大気圧に相当す
るが、既に述べたように大気圧程度の負圧による荷重を
多重フィルム層にその積層方向に加えた場合、積層方向
の熱伝導率は荷重が実質的に零の場合(自由積層状態)
の4倍程度になるが、この値は、FRPと比較すれば依
然として2〜3桁は熱伝導率が低く、したがって断熱効
果としてもクライオスタット等における断熱として充分
である。
【0028】そして上述のように2枚の壁板間に介在す
る多重フィルム層で真空による負圧の荷重を受けている
ことから、壁板自体が負圧により撓み変形してしまうこ
とが防止され、そのため壁板自体の厚みを小さくするこ
とができるから、全厚みを小さくすることが可能となる
。
【0029】また請求項3の発明の真空断熱容器におい
ては、容器本体の底部の内壁板と外壁板との間の真空断
熱層を構成する多重フィルム層により、前記同様に負圧
による荷重を支持するように構成されているから、内壁
板と外壁板の撓み変形が防止され、その結果内壁板、外
壁板の厚みを小さくして、底部の全厚みを小さくするこ
とができる。その結果、例えば容器内の底部に超電導マ
グネットを収容し、容器の底部を介して外部の対象物に
磁力を及ぼすような場合でも、超電導マグネットと外部
の対象物との間の距離を小さくすることができ、したが
って対象物に有効に磁力を作用させることが可能となる
。
【0030】そしてまた請求項4の発明の真空断熱容器
は、側壁部の少なくとも1面以上を平面状とした角筒状
もしくはそれに類した真空断熱容器についてのものであ
り、この場合も、平面状をなす側壁部の内壁板と外壁板
との間の真空断熱層を構成する多重フィルム層によって
、前記同様に負圧による荷重を支持するように構成され
ているから、その平面状の側壁部の全厚みを小さくする
ことが可能となった。従来は、角筒状の真空断熱容器は
円筒状の真空断熱機と比較して側壁部の全厚みを著しく
大きくする必要があるとされ、そのため実用化がほとん
ど図られていなかったが、このような構成とすることに
よって、側壁部の厚みを著しく小さくして角筒状真空断
熱容器を実用化することが可能となったのである。
【0031】さらに請求項6の発明の断熱パネルは、平
板状の2枚の壁板の間に多重層真空断熱層が形成されて
全体として1枚のパネルに形成されており、その多重フ
ィルム層が負圧を受けるように構成されているため、前
記同様に各壁板の厚みを厚くしてパネル全体の薄肉化を
図ることができ、また同時に軽量化も図ることができる
。すなわち薄肉で軽量であってしかも断熱効果の優れた
平板状パネルとなるから、保冷等の各種の用途に広く利
用することができる。
【0032】
【実施例】図1〜図3に請求項1の発明の断熱支持方法
を実施した真空容器の一例、すなわち請求項3の発明の
一実施例を示す。
【0033】図1において容器本体1は、図7について
述べたと同様に円筒状の周壁部2とフラットな平面状を
なす底部3とを一体化した構成とされており、周壁部2
および底部3はいずれも中間に空間51,52を形成し
た内外2重壁構造とされている。すなわち周壁部は小径
の円筒状内壁板2Aと大径の円筒状外壁板2Bとによっ
て構成され、底部3はフラットな平板状の内壁板3Aと
同じくフラットな平板状の外壁板3Bとによって構成さ
れている。これらの内壁板2A,3A、外壁板2B,3
Bとしては、いずれもFRPあるいはステンレス鋼など
が用いられる。
【0034】底部3の内壁板3Aと外壁板3Bとの間の
空間52には、積層真空断熱層を構成する多重フィルム
層10が介挿されている。この多重フィルム層10は、
図2、図3に示すように、金属光沢を有する反射フィル
ム10Aと、低熱伝導材からなるシート状セパレータ1
0Bとを交互に数十層から数百層にわたって積層してな
るものである。
【0035】前記反射フィルム10Aとしては、例えば
蒸着法等によって表面にアルミニウム等の金属薄膜を形
成したポリエステル等の樹脂からなる厚さ5〜50μm
程度の薄質なフィルムが用いられる。またシート状セパ
レータ10Bとしては、例えばポリエステルやナイロン
等の合成樹脂、合成繊維、あるいはセルロース、ガラス
等の繊維からなり、少なくとも表面に実質的な凹凸が存
在するように、網状や、織目の粗い布で構成され、また
その厚みは10〜500μm程度とされる。
【0036】このように反射フィルム10Aとシート状
セパレータ10Bとを交互に多数層積層してなる多重フ
ィルム層10は、底部3における内壁板3Aと外壁板3
Bとの間に、ある程度の予圧、具体的には大気圧と真空
との間の圧力差に相当する荷重(約1kg/cm2 )
もしくはそれより若干大きい程度の荷重(通常は2kg
/cm2 程度までが好ましい)を積層方向に加えた状
態で収容されている。すなわち、自重のみで積層した状
態よりも予圧により積層方向に圧縮させた状態で収容さ
れる。
【0037】また容器本体1の周壁部2の内壁板2Aと
外壁板2Bとの間の空間51にも前記と同様な多重フィ
ルム層10が収容されるが、この周壁部2では底部3の
場合とは異なり、特に積極的に予圧の荷重を加えて圧縮
させた状態で多重フィルム層10を収容する必要はなく
、例えば円筒状の内壁板2Aの外周上に多重フィルム層
10を巻付ける際に、テンションを加えずに巻付けたま
まの状態とすれば良い。
【0038】なお底部3の内壁板3Aと外壁板3Bとの
間の空間52および周壁部2の内壁板2Aと外壁板2B
との間の空間51、すなわち多重フィルム層10を収容
した各空間51,52は、図示しない排気手段によって
真空排気されて、実質的に真空状態に保持される。した
がってこれらの空間51,52は多重層真空断熱層とな
る。
【0039】以上のような断熱容器においては、底部3
の内壁板3Aおよび外壁板3Bは、平板状に作られてい
るため、外気圧(大気圧)と真空との圧力差によって両
壁板3A,3Bを接近させる方向への力が加わる。両壁
板3A,3Bは前述のように撓み変形しやすく、特に大
径の場合には容易に撓み変形してしまうおそれがあるが
、両壁板3A,3B間の空間52に挿入されている多重
フィルム層10は、予めその積層方向に予圧を加えて自
由状態よりも圧縮させた状態で両壁板3A,3B内に収
容されているため、その多重フィルム層10が両壁板3
A,3B間に加わる荷重を支持し、両壁板3A,3Bの
変形を防止することができる。
【0040】また上述のように底部3の両壁板3A,3
B間に加わる荷重が多重フィルム層10によって支持さ
れることから、両壁板3A,3B自体としては剛性が高
いものが要求されず、したがって両壁板の肉厚tを従来
よりも格段に薄くすることができ、その結果底部3の全
厚みTも従来よりも格段に小さくすることができる。例
えば内径が1000mmの大容量の容器の場合、FRP
製の壁板3A,3Bでそれぞれの厚みtを5mm程度と
することができ、一方両壁板3A,3Bの間のスペース
は15mm程度で足り、結局底部3の全厚みTは25m
m程度とすることが可能となることが、本発明者等の実
験により確認されている。
【0041】既に述べたように、従来のステンレス鋼製
の断熱容器(クライオスタット)の場合、内径が100
0mmの場合は底部の各壁板の厚みtはそれぞれ50m
m程度とする必要があり、したがって壁板の間のスペー
スを前記と同じ15mmとしても、底部全厚みが115
mmとなり、ステンレス鋼よりも撓み変形しやすいFR
Pを用いればそれよりもさらに厚くなる。したがってこ
の発明の場合には、従来よりも格段に底部の全厚みを小
さくし得ることが明らかである。
【0042】なお例えば内径が150mm程度の比較的
小型の容器の場合は、FRP製の壁板3A,3Bは2m
m程度まで薄くすることができる。
【0043】一方、断熱性効果の点から見れば、既に「
作用」の項で説明したように、多重フィルム層の熱伝導
率は、大気圧程度の予圧を加えた場合でも、予圧を加え
ない自由状態のままの4倍程度となるに過ぎず、図8に
示したようにFRP等からなるスペーサ剛体を用いた場
合よりも2〜3桁は熱伝導率が小さく、したがって図8
の場合よりも外部からの熱侵入は格段に少ないから、実
用上支障のない程度の良好な断熱性を維持していると言
える。
【0044】なお図1の例では周壁部2を円筒状とし、
その周壁部2における内壁板2A、外壁板2Bの間の空
間51の多重フィルム層10は特に予圧を加えて圧縮す
ることは行なわないこととしている。これは、円筒状の
部分は厚み方向への力に対する剛性が高く、したがって
周壁部2では撓み変形が生じ難いためであるが、場合に
よってはこの周壁部2内の多重フィルム層10も底部3
と同様に予圧を加えて予め圧縮した構成としても良い。 そしてこの場合は、周壁部2の形状を角筒状とすること
が可能となる。このように周壁部2の形状を角筒状とし
た実施例、すなわち請求項4の発明の実施例の真空断熱
容器を図4に示す。
【0045】図4において周壁部2はその全体が角筒状
とされている。すなわち周壁部2は4面の平面状の側壁
部20A,20B,20C,20Dによって構成されて
いる。そして各側壁部20A〜20Dは、平面状の内壁
板2Aと平面状の外壁板2Bとの間の空間51に前記同
様な多重フィルム層10を介挿した構成とされ、この多
重フィルム層10は、前記同様に予圧を加えて圧縮した
状態とされている。
【0046】このように周壁部2を平面状の側壁部20
A〜20Dによって角筒状とした場合は、厚さ方向の力
に対する剛性が低くなって空間51の負圧による両壁板
2A,2Bの撓み変形が著しく生じ易くなるが、空間5
1内の多重フィルム層10に予圧を加えた圧縮状態とし
ておくことによって、既に述べたように負圧により両壁
板2A,2B間に加わる荷重を多重フィルム層10が支
持することになり、撓み変形の発生を防止できるのであ
る。このような角筒状のクライオスタットは従来は実用
化されていなかったが、内部に収納する機器の形状等に
よっては角筒状が好まれることがあり、そのような場合
に最適となる。
【0047】図5には、前述のような角筒状真空断熱容
器を応用して磁気遮蔽板30を構成した例を示す。
【0048】図5において、角筒状(より正確には、横
断面長矩形状)をなす真空断熱容器31は、図4につい
て述べたとほぼと同様に構成されており、この容器31
の内側の空所32には、全体として平板状をなす超電導
材料、例えば酸化物系の高温超電導材料33が収容され
るとともに、その空所32には液体窒素等の冷媒34が
注入されている。
【0049】良く知られているように、超電導材料は超
電導温度域において磁気遮蔽効果を示すことが知られて
おり、したがって図5に示すような構成とすることによ
って磁気遮蔽を行なうことができる。そしてこのような
磁気遮蔽板30は、その断熱のための部分すなわち真空
断熱容器31の壁部の厚みを前述のように薄くすること
ができるため、磁気遮蔽板30の全厚みも薄くすること
ができ、したがって極めて軽便に各種磁気応用機器の磁
気遮蔽に適用することができる。
【0050】次に、請求項1の発明の方法を真空断熱パ
ネルで実施した例、すなわち請求項6の発明の実施例を
図6に示す。
【0051】図6において、例えば平面的に見て方形あ
るいは円形をなす平板状のFRPあるいはステンレス鋼
などからなる2枚の壁板21A,21Bは、相互間に空
間22を形成するように、周辺部において溶接等の任意
の手段で相互に接合され、かつその接合部分で前記空間
22が密閉されている。そして前記空間22に、既に述
べたと同様な多重フィルム層10が挿入されており、か
つその空間22は図示しない排気手段により真空とされ
ている。したがってこの空間22は多重層真空断熱層と
されている。
【0052】この図6に示す真空断熱パネル40におい
ても、既に図2、図3について説明したと同様に、多重
フィルム層10は予圧を加えて圧縮された状態で壁板2
1A,21B間の空間22内に挿入されており、したが
って空間22の負圧により壁板21A,21B間に加わ
る荷重を多重フィルム層10で支持していることになる
。
【0053】このような断熱パネル40は、例えば各種
保冷容器の蓋等として用いることができるが、既に述べ
たところから明らかなように、壁板21A,21Bの厚
みtを薄くして全厚みTを小さくできるため、薄肉でか
つ軽量な断熱パネルとして、その取扱い性や運搬性が優
れており、各種の用途に使用することができる。
【0054】
【発明の効果】請求項1の発明の真空断熱支持方法によ
れば、多重層真空断熱層を構成している多重フィルム層
自体が構造的な支持を行ない、特にその多重層真空断熱
層の真空による負圧によってその両側の2枚の壁板間に
加わる荷重に対する支持を多重フィルム層が担っている
ため、前記荷重により壁板の撓み変形が生じることが防
止され、そのため壁板自体は撓み変形に対する剛性が低
くても良いため、壁板の厚みを薄くすることができ、し
たがって真空断熱のための全厚みを小さくすることがで
きる。
【0055】また請求項3の発明の真空断熱容器におい
ては、容器本体の平板状をなす底部に前記の断熱支持方
法を適用しており、そのためその底部の全厚みを小さく
することができるから、例えば容器内の底部に超電導マ
グネットを収容して容器外の対象物へ磁力を及ぼそうと
する場合に、超電導マグネットと外部の対象物との間の
距離を小さくして、有効に磁力を対象物に作用させるこ
とが可能となる等の効果が得られ、また薄肉の壁板を用
いることにより低コスト化、軽量化を図ることができる
。
【0056】そしてまた請求項4の発明の真空断熱容器
においては、容器本体の平板状をなす少なくとも1面の
側壁部に前記の断熱支持方法を適用しており、そのため
側壁部の全厚みを小さくすることができ、かつ内部に収
納する機器の形状や真空断熱容器を設置する空間に合せ
て種々の形状の容器とすることができる等の効果が得ら
れ、低コスト化、軽量化、省スペース化を図ることがで
きる。
【0057】さらに請求項6の発明の真空断熱パネルは
、断熱効果が良好であるばかりでなく、平面状であるた
め取扱い性、輸送性、保管性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の真空断熱容器の一例の要部を示す縦
断面図である。
【図2】図1の部分Aの拡大断面図である。
【図3】多重フィルム層の一部を示す斜視図である。
【図4】この発明の真空断熱容器の他の例を示す横断平
面図である。
【図5】図4の真空断熱容器を応用した磁気遮蔽板の斜
視断面図である。
【図6】この発明の真空断熱パネルの一例を示す斜視断
面図である。
【図7】従来の真空断熱容器(クライオスタット)の一
例を示す縦断面図である。
【図8】従来の真空断熱容器の他の例の部分拡大縦断面
図である。
【符号の説明】
1  容器本体 2  周壁部 2A  内壁板 2B  外壁板 3  底部 3A  内壁板 3B  外壁板 51,52  空間 10  多重フィルム層 10A  反射フィルム 10B  シート状セパレータ 20A,20B,20C,20D  側壁部21A,2
1B  壁板 22  空間 30  磁気遮蔽板 40  真空断熱パネル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  平板状の2枚の壁板間の空間を実質的
    に真空に保持するとともに、その空間に多重層真空断熱
    層を形成するための多重フィルム層を介在させ、前記2
    枚の壁板間の空間の負圧によってその2枚の壁板間に相
    互に接近する方向へ加わる荷重を、前記多重フィルム層
    によって支持することを特徴とする真空断熱支持方法。
  2. 【請求項2】  前記多重フィルム層は、表面に金属光
    沢を有する反射フィルムと、低熱伝導材からなりかつ少
    なくとも表面に凹凸が存在するシート状セパレータとを
    交互に多数層積層した構成とされている請求項1に記載
    の真空断熱支持方法。
  3. 【請求項3】  少なくとも底部が平面状とされた真空
    断熱容器において、容器本体の底部および周壁部が内外
    2重壁構造とされ、かつその2重壁の内壁板と外壁板と
    の間の空間が実質的に真空に保持されるとともに、その
    空間に多重層断熱層を形成するための多重フィルム層が
    介在され、かつ容器本体の底部においては、平板状の内
    壁板と外壁板との間の空間の負圧によってその底部の内
    壁板と外壁板との間に相互に接近する方向に加わる荷重
    を、前記多重フィルム層によって支持するように構成し
    たことを特徴とする真空断熱容器。
  4. 【請求項4】  側壁部の少なくとも1面以上が平面状
    とされた真空断熱容器において、容器本体の底部および
    側壁部が内外2重壁構造とされ、かつその2重壁の内壁
    板と外壁板との間の空間が実質的に真空に保持されると
    ともに、その空間に多重層断熱層を形成するための多重
    フィルム層が介在され、かつ平面状の側壁部においては
    、平板状の内壁板と外壁板との間の空間の負圧によって
    その側壁部の内壁板と外壁板との間に相互に接近する方
    向に加わる荷重を、前記多重フィルム層によって支持す
    るように構成したことを特徴とする真空断熱容器。
  5. 【請求項5】  前記多重フィルム層は、表面に金属光
    沢を有する反射フィルムと、低熱伝導材からなりかつ少
    なくとも表面に凹凸が存在するシート状セパレータとを
    交互に多数層積層した構成とされている請求項3もしく
    は請求項4に記載の真空断熱容器。
  6. 【請求項6】  平板状の2枚の壁板の間に空間が形成
    されるとともにその2枚の壁板の周辺部において前記空
    間が密封され、前記空間が実質的に真空に保持されると
    ともに、その空間に多重層真空断熱層を形成するための
    多重フィルム層が介在され、しかも前記2枚の壁板間の
    空間の負圧によってその2枚の壁板間に相互に接近する
    方向へ加わる荷重を、前記多重フィルム層によって支持
    するように構成したことを特徴とする真空断熱パネル。
  7. 【請求項7】  前記多重フィルム層は、表面に金属光
    沢を有する反射フィルムと、低熱伝導材からなりかつ少
    なくとも表面に凹凸が存在するシート状セパレータとを
    交互に多数層積層した構成とされている請求項6に記載
    の真空断熱パネル。
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