JPH0433892B2 - - Google Patents
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- JPH0433892B2 JPH0433892B2 JP61315132A JP31513286A JPH0433892B2 JP H0433892 B2 JPH0433892 B2 JP H0433892B2 JP 61315132 A JP61315132 A JP 61315132A JP 31513286 A JP31513286 A JP 31513286A JP H0433892 B2 JPH0433892 B2 JP H0433892B2
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- Inorganic Fibers (AREA)
- Chemical Treatment Of Fibers During Manufacturing Processes (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は炭素繊維製造用前駆体繊維の製造方
法、特に品質および物性の優れた炭素繊維を製造
するのに好適であるとともに炭素繊維の製造に際
して工程通過性が著しく改善された炭素繊維製造
用前駆体繊維(以下プリカーサという)の製造方
法に関する。 (従来技術) 炭素繊維はそのプリカーサであるアクリル系、
レーヨン系、ピツチ系あるいはポリビニルアルコ
ール系繊維を200〜400℃の空気や、酸化窒素など
の酸化性雰囲気中で加熱焼成して酸化繊維に転換
(耐炎化工程)した後に窒素、アルゴン、ヘリウ
ム等の不活性雰囲気中でさらに300〜2000℃の高
温で加熱して炭化する(炭化工程)方法によつて
得られており、優れた物性により多くの用途、特
に複合材料に好適な強化繊維として幅広く利用さ
れている。 しかしながら、上記炭素繊維の工業的製造法に
おいては、前記プリカーサを酸化繊維に転換する
耐炎化工程や、さらに後続する炭化工程におい
て、単繊維同士で融着が発生するという障害が存
在する。この単繊維同士の融着が発生すると焼成
が均一にできなくなるために、毛羽や糸切れ等の
発生原因となり、工程通過性を阻む大きな原因と
なるばかりでなく、品質や物性の優れた炭素繊維
を製造することができなくなる。 そこでこのような単繊維間の融着を防止するた
めに、適用する油剤について、これまで多くの改
良方法が開示されてきている。例えば、特定の油
剤、特にシリコン系油剤を適用する方法(例えば
特公昭60−18334号、特公昭53−10175号、特公昭
52−24136号、特公昭51−12739号、特開昭60−
99011号、特開昭58−214517号、特開昭52−
148227号各公報)、さらに耐熱性の改善された、
あるいは耐熱性を特定した油剤を適用する方法
(例えば特公昭58−5287号、特開昭60−146076号、
特開昭59−66518号、特開昭58−120819号、特開
昭55−103313号各公報)等々である。 しかしながら上記の手段はこれらを単独に、あ
るいは種々組み合せたとしても単繊維間の融着を
十分に防止することはできず、融着の防止手段と
しては不十分なものであつた。一方これとは別に
焼成工程における雰囲気の温度を下げることによ
つて融着を防止することは可能であるが、この場
合には同時に処理速度を遅くせざるをえず、結果
として生産効率が低下するため、工業的な生産手
段とはなりえない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は焼成過程において発生する単繊
維同士の融着を防止せしめ、高品質でまた同時に
物性の優れた炭素繊維を得ることができる。炭素
繊維製造用前駆体繊維の製造方法を提供すること
にある。 (問題点を解決するための手段) 本発明の上記目的は、25℃における粘度が1000
〜15000センチストークスであり、脂環式のエポ
キシ基が0.05〜10重量%付加しているエポキシ変
性シリコン系油剤と、25℃における粘度が250〜
10000センチストークスであり、アミノ基による
変性量0.05〜10重量%であるアミノ変性シリコン
系油剤を、繊維重量に対して0.01〜5重量%付着
せしめることを特徴とする炭素繊維製造用前駆体
繊維の製造方法によつて達成することができる。 本発明において適用するシリコン系油剤の特徴
は、エポキシ変性シリコン系油剤とアミノ変性シ
リコン系油剤とをそれぞれ単独ではなく、二者を
付与することにある。さらにエポキシ変性シリコ
ン系油剤において、変性基であるエポキシ基が脂
環式のエポキシ基であるところに特徴がある。 本発明において適用するエポキシ変性シリコン
系油剤における、変性基である脂環式エポキシ基
としては、例えば1,2−エポキシ−シクロヘキ
シル基(下記構造式、)や1,2−エポキシ−
シクロペンチル基(下記構造式、)が代表的な
ものとしてあげられる。 上記構造式()の脂環式のエポキシ基が付加
したシリコン系油剤としては、例えば下記の構造
単位を有するものがあげられる。 (ここで、n1は1〜5の正の整数、n2は0ある
いは1である。R1〜R9は水素原子、または/
およびアルキル基である。) ここで本発明のシリコン系油剤の基本骨格は、
シロキサン結合,−SiO−を有するものであり、
このシリコン原子、Siに結合する基(例えば上記
構造式におけるR)は水素原子または/および
炭素数1〜3のアルキル基やフエニル基またはこ
れらのアルコキシ基等があげられる。これらのな
かで、とくにジメチルシロキサンが基本骨格とし
て好ましい。 これまでに炭素繊維の焼成工程での、単糸間の
融着を防止するために、シリコン系油剤を適用す
ることが提案されている。エポキシ変性シリコン
系油剤については、例えば、特公昭60−18334号
公報、特開昭60−181322号公報、特開昭60−
181323号公報には、グリシジル型のエポキシ基
(脂環式のエポキシ基ではない)で変性したもの
を単独で、また他の変性シリコン系油剤と混合し
て適用する方法が開示されている。しかしなが
ら、これらの方法では、焼成過程での単糸間の融
着を防止する効果が認められるものの、その効果
は十分ではなく、本発明が目的としている単糸間
の融着を防止して品質の優れた炭素繊維を製造す
るには不十分であつた。 上記の構造を有する、本発明のエポキシ変性シ
リコン系油剤を適用した場合には、これまでに開
示されているグリシジル型のエポキシ基で変性さ
れたものに比較して、単繊維間の融着を防止する
効果が大きくなることを、本発明者らはすでに見
出しているが、この理由は、繊維基質に対する親
和性が脂環基の存在によつて、増大する結果、油
剤の被膜が、均一にかつ強固に形成されるためと
考えられる。 またさらに、本発明で適用する一成分であるエ
ポキシ変性シリコン系油剤に、アミノ変性シリコ
ン系油剤を組み合せて付与することにより、単繊
維間の融着を、より効果的に防止することができ
ることを見出し、本発明に至つた。本発明の方法
によつて、単繊維間の融着がより効果的に防止さ
れる理由は、定かではないが、上記したように特
定の構造を有するエポキシ変性シリコン系油剤の
被膜が繊維基質の上に形成され、このエポキシ変
性シリコン系油剤中のエポキシ基とアミノ変性シ
リコン系油剤中のアミノ基とが反応して、樹脂化
反応が生起し、より強固な油剤の被膜が繊維の表
面に形成されるものと推定される。このようにし
て形成された油剤の被膜は、耐熱性が優れてお
り、焼成段階において、単糸間の融着を効果的に
防止することができるものと考えられる。 本発明で適用するアミノ変性シリコン系油剤と
しては、例えば下記の構造単位を有するものがあ
げられる。 (ここで、n3は1〜10の整数、n4は1〜10の整
数、n5は0〜5の整数、R10〜R12は水素原子、
または/およびアルキル基である。) ここで本発明のアミノ変性シリコン系油剤の基
本骨格は、前記したエポキシ変性シリコン系油剤
と同様に、シロキサン結合,−SiO−を有するも
のであり、このシリコン原子、Siに結合する基
(例えば上記構造式におけるR′)は水素原子ま
たは/および炭素数1〜3のアルキル基や、フエ
ニル基またはこれらのアルコキシ基等があげられ
る。これらのなかで、特にジメチルシロキサンが
基本骨格として好ましい。 エポキシ変性シリコン系油剤とアミノ変性シリ
コン系油剤とを組み合せる方法については、前出
の特開昭60−181322号公報に開示されてはいる
が、すでに記述したように、グリシジル型のエポ
キシ基によつて変性されたエポキシ変性シリコン
系油剤を適用したものであり、単糸間の融着を十
分防止することができないものであつた。また、
前出の特開昭60−181323号公報には、同一分子内
にエポキシ基とアミノ基とを有するシリコン系油
剤が開示されているが、この方法においても単糸
間の融着を十分防止することができないものであ
つた。 本発明で用いるエポキシ変性シリコン系油剤に
おいて、脂環式エポキシ基の変性量は、エポキシ
基CH2CH2Oの重量に換算して、0.05〜10重量%
であり、好ましくは0.1〜5重量%である。0.05
重量%を満たないと、脂環式エポキシ基の効果が
発現せず、単繊維間の融着を効果的に防止するこ
とができない。一方変性量が10重量%を越えると
油剤成分そのものの耐熱性が低下してしまい、や
はり単繊維間の融着を効果的に防止することがで
きない。 本発明のエポキシ変性シリコン系油剤の粘度は
25℃で測定して、1000〜15000センチストークス
(csと略称)、好ましくは2000〜12000csである。
1000csに満たないと、耐熱性が低く単糸間の融着
を防止することができない。15000csを越えると、
水中に分散させたり、あるいは溶解性の優れた溶
媒を見出すことが困難となり、糸の表面に均一に
付与することができなくなる。 本発明で用いるアミノ変性シリコン系油剤にお
いて、変性基であるアミノ基は、構造式()で
示されるように、モノアミン型(n5=0の場合)
でも、あるいはポリアミン型(n5≠0の場合)で
も良く、要はエポキシ基と反応し得るアミノ基が
存在すれば良い。アミノ基の変性量は、末端アミ
ノ基量をNH2に換算して、0.05〜10重量%であ
り、好ましくは0.1〜5重量%である。0.05重量
%に満たないと、エポキシ変性シリコン系油剤と
ともに付与しても、十分な耐熱性が発現せず、単
糸間の融着を効果的に防止することができない。
一方アミノ基の変性量が10重量%を越えると油剤
そのものの耐熱性が低下して、やはり単糸間の融
着を防止できない。また、上記アミノ変性シリコ
ン系油剤の粘度は250〜10000cs、好ましくは500
〜8000csである。250csに満たないと耐熱性が十
分でなく、10000csを越えると、水中に分散させ
ることが困難であつたり、あるいは溶解性の優れ
た溶媒を見出すことが困難となり、繊維に均一に
付与することが困難になる。 本発明において、変性基である脂環式エポキシ
基や、アミノ基の、シロキサン骨格、すなわち、
−SiO−に対する結合の様式は、互いに隣接する
Si部分にブロツク状(例えば下記Aの様な結合状
態)に連続して結合していてもよいし、また隣接
するSi部分には結合していない状態(例えば下記
Bの様な結合状態)であつてもよいし、あるいは
これらの結合状態が組み合わさつた状態でもよ
い。要は上記の脂環式エポキシ基の付加量0.05〜
10重量%、およびアミノ基の付加量0.05〜10重量
%が満足されていればよいのである。 (Eは脂環式エポキシ基、あるいはアミノ基を
含む変性基を現わす。) 本発明の油剤において、これまで記述してきた
ように、耐熱性は重要な特性であり、上記範囲の
粘度や、変性量を有するとともに、とくに耐熱残
存率(r)が20%以上であるものを適用すること
が好ましく、30%以上であるものを適用すること
がさらに好ましい。ここで耐熱残存率rは以下に
定義されるものとする。すなわち240℃の空気中
で60分間熱処理した際の残存率をr1(%)とし、
さらに引続いて450℃の窒素中で、30秒間熱処理
した際の残存率をr2(%)としたとき、 r=r1×r2/100(%)である。 焼成工程のうちプリカーサを酸化繊維に変換す
る耐炎化工程は200〜400℃の高温下における糸条
の酸化処理工程であり、糸条の表面に存在する油
剤の耐熱性が悪いと、糸条の表面に付与した油剤
成分がこの工程で分解、揮散してしまい、糸条の
融着を防止できない。 前記耐炎化工程に後続する不活性雰囲気下の炭
化工程においては、例えばアクリル系繊維を焼成
する場合、炭化工程の前半においては耐炎化工程
で形成されたナフチリジン環同士による網目構造
が形成され、炭化工程の後半ではこの網目構造の
より高次な構造が形成され、成長すると言われて
いる。この炭化工程の前半においては、単繊維同
志は依然として融着しやすく、後半においてはじ
めて融着が生じなくなることを本発明者らは見出
した。このように油剤成分の単繊維に対する融着
防止能力は耐炎化工程だけでなく、炭化工程の前
半部分においても不可欠の特性である。 このようにプリカーサの基質に対する親和性を
増大させるために、脂環式のエポキシ基を有する
エポキシ変性シリコン系油剤を第1の成分とする
ことと、これと反応し得るアミノ変性シリコン系
油剤を第2の成分として、繊維の表面に均一で強
固な被膜を形成させて、焼成中の単糸同士の融着
を回避することが、本発明の特徴であるが、この
特徴をより効果的に発揮させるために、上記の耐
熱性を有することが好ましいのである。 これらの油剤成分は適当な乳化剤を使用するこ
とによつて水に乳化分散させて使用することもで
き、また水や有機溶媒等の適当な溶媒に溶解させ
た溶液としても適用できる。エポキシ変性シリコ
ン系油剤とアミノ変性シリコン系油剤とは、同時
に付与してもよいし、また別に付与してもよい
が、前記したエポキシ変性シリコン系油剤の繊維
基質に対する親和性を考慮すると、同時に付与す
るか、あるいはエポキシ変性シリコン系油剤を先
に付与した後に、アミノ変性シリコン系油剤を付
与するのが好ましい。 エポキシ変性シリコン系油剤とアミノ変性シリ
コン系油剤とは、5〜95重量%対95〜5重量%、
好ましくは10〜90重量%対90〜10重量%の範囲の
比率で付与するである。 これら油剤成分の糸条に対する付与量は、両成
分を合めて、糸条の量を基準にして0.01〜5重量
%、好ましくは0.1〜3重量%となるように付与
するのがよい。付与量が0.01重量%未満では本発
明の目的を達成できず、一方5重量%を越えると
焼成時に油剤成分による粘着性が増大したり、ま
た揮散物が工程中に沈積する等の障害が発生し
て、生産性が低下するので好ましくない。 本発明の油剤成分が適用できるプリカーサとし
ては、アクリル系、レーヨン系、ピツチ系、およ
びポリビニルシリコン系等特に限定はされるもの
ではなく、いずれの繊維においても酸化繊維に変
換する際、ならびに炭化処理の際に発生する単繊
維同士の融着を防止できるが、特に、融着が発生
し易いアクリル系繊維に対して適用すると、著し
い効果が発揮される。アクリル系繊維に適用さう
る例について、以下に記述する。 本発明で好ましく用いるアクリル系繊維はアク
リロニトリル(以下ANと称する)を主成分とし
て含有し、好ましくは、94重量%以上、特に、好
ましくは、97重量%以上のANと、好ましくは6
重量%以下、特に好ましくは、3重量%以下の該
ANと共重合性があつて、耐炎化反応を促進する
ビニル基含有化合物(以下ビニル系モノマとい
う)とANとの共重合体が用いられる。 耐炎化を促進する作用を有するビニル系モノマ
としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、
イタコン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩、α(1−ヒドロキシルエチル)ア
クリロニトリル、アクリル酸ヒドロキシルエステ
ル等を挙げることができる。またこれらの耐炎化
促進能を有するビニル系モノマ以外にAN系重合
体の紡糸性または、製糸性等を向上させるため
に、前記アクリル酸やメタクリル酸の低級アルキ
ルエステル類、アリルスルホン酸、メタリルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸およびそれらのアル
カリ金属塩、酢酸ビニルや塩化ビニル等の第3成
分を共重合成分の総量が6重量%以下、好ましく
は3重量%以下となる範囲で共重合させてもよ
い。 AN系の共重合体は公知の乳化懸濁、塊状、溶
液等の公知の重合法を用いて重合され、さらにこ
れらの重合体からアクリル系繊維を製造するに際
してはジメチルホルムアミドやジメチルスルホオ
キサイド、硝酸、ロダンソーダ水溶液等のポリマ
溶液を紡糸原液として、通常の湿式紡糸法、乾−
湿式紡糸法、乾式紡糸法によつて紡糸し、繊維化
することができる。特に乾−湿式紡糸法による場
合には、単繊維間の融着がより一層生じやすいの
で、本発明の効果がより顕著にあらわれる。 本発明の油剤は製糸工程で付与してもよいし製
糸以後、焼成工程に入る間に付与しても良いが、
プリカーサに均一に付与せしめるために製糸工程
で付与することが好ましい。特にアクリル繊維の
場合には乾燥緻密化前の水膨潤状態の糸条に付与
することが好ましい。付与の方法としては油剤の
分散液や溶液に糸条を浸潰した後に、ニツプロー
ラや圧縮空気を吹き付けることにより所定の付着
量に調整する方法や、あるいは油剤で湿潤された
ローラに接触させる方法や、あるいは雰霧法によ
り霧状にして付与することもできる。 なお本発明においては、製糸や焼成段階での工
程通過性に大きく影響する、単糸のバラケやロー
ラーへの巻き付き、あるいは毛羽等の発生を避け
るために、静電気防止剤を併用することが好まし
い。これらの静電気防止剤の例としては、アルキ
ルベンゼンスルフオン酸塩に代表されるスルホン
酸塩、アルキル燐酸エステルやポリオキシエチレ
ンアルキル燐酸エステルのような燐酸エステル
類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや同ア
ルキルエステルのような非イオン型界面活性剤、
あるいはカチオン型界面活性剤等があげられる。
さらにこれらの静電気防止剤としては、焼成工程
における安定性の観点から、耐熱性の優れた化合
物を適用することが好ましく、例えばアルキレン
オキサイドで変性したシリコン系の化合物やフツ
素原子を導入した界面活性剤等をあげることがで
きる。 (発明の効果) 本発明の方法で得られる炭素繊維製造用前駆体
繊維を適用することにより、特定の油剤成分の効
果によつて、耐炎化工程や炭化工程において発生
する、繊維同士の融着を大幅に回避することがで
き、工程通過性に優れた、しかも高品質で高性能
の炭素繊維を製造することが可能になる。 以下実施例により本発明をさらに具体的に説明
する。 なお、本文中および実施例中のにおいて、炭素
繊維の性能(強度、弾性率)はJIS R−7601に準
じて測定したエポキシ樹脂を含浸したストランド
の物性であり、測定回数n=10の平均から求めた
値である。また油剤成分の付着量は、油剤付与後
で、乾燥緻密化前の繊維から抽出法により求め
た。 また、前出の定義に基づく耐熱残存率rは以下
の手順により測定したものである。 (1) 油剤の前処理 耐熱残存率の測定に必要な前記の熱処理操作に
入るまえに、油剤1gを直径が約60mm、高さが約
20mmのアルミ製の容器に採取し、オーブンの中で
105℃下5時間乾燥する。 (2) 示差熱天秤(TGA)での測定 前記(1)の前処理で得られた絶乾油剤を直径5
mm、高さが5mmの円筒状のアルミニウム製容器
(パン)に15〜20mg採取して示差熱天秤(TGA)
により耐熱残存率を求める。 以下(3)〜(6)に測定条件等を記載する。 (3) 下記の加熱条件で空気の気流下240℃まで昇
温し、さらに240℃で60分間処理したときの油
剤の残量から残存率を求める。このときの残存
率をr1(%)とする。 空気の流量:30 l/分 昇温速度 :℃/分 (4) (3)において240℃で60分間の熱処理が終了し
た後、240℃に保持したまま加熱雰囲気を空気
から窒素に変更し、5分間保持する。 窒素の流量:30 l/分 (5) 下記の加熱条件で240℃から450℃まで昇温
し、450℃で30秒間保持して残存率r2(%)を求
める。 窒素の流量:30 l/分 昇温速度 :10 ℃/分 (6) 上記(3)、および(5)で求めた空気中での加熱残
存率率r1と、窒素中での加熱残存率r2とから油
剤の耐熱性残存率rを、 r=r1×r2(%)より求める。 実施例 1 AN99.3%、イタコン酸0.7%の共重合体のジメ
チルスルフオオキシド(DMSO)溶液を紡糸原
液に用いた。この原液中の共重合体の濃度は20重
量%であり、また共重合体の極限粘度は1.80であ
つた。 この紡糸原液を直径0.15mm、孔数3000の口金を
用いて、一旦空気中に吐出させ、約3mmの空間を
通過させたのち、35%のDMSOの水溶液に導き
凝固させた。この凝固糸を水洗槽のなかで脱溶媒
し、引き続き温水中で4倍に延伸して、水膨潤状
態のアクリル繊維(以下浴延伸糸と称する)を得
た。 該浴延伸糸に、下記の構造式(1、本発明)お
よび、(2、本発明外)で示される、エポキシ基
の結合した基本骨格単位を含むジメチルシロキサ
ン系のエポキシ変性シリコン系油剤と、構造式(3)
で示される、アミノ基の結合した基本骨格を含む
ジメチルシロキサン系のアミノ変性シリコン系油
剤を等量づつ混合し、ノニルフエノールのエチレ
ンオキサイド付加物を主体とする、非イオン系の
界面活性剤で水中に分散乳化させて、付与した。 ここで適用した油剤成分の25℃の粘度は、エポ
キシ変性シリコン系油剤はいずれも4500〜5000cs
であり、アミノ変性シリコン系油剤は1000〜
1200csであつた。また繊維に対する付与量は、油
剤浴の濃度を調整して、1±0.2重量%の範囲に
設定した。 このようにして得られた油剤付与後の糸条を、
130℃の加熱ローラで乾燥緻密化処理を行つた。 乾燥緻密化後の糸条を、更に3Kg/mm2−Gの飽
和スチーム中で3倍に延伸した。 このようにして得られた前駆体繊維は、単糸デ
ニール=0.5de、トータルデニール=2400De、強
度=6.5〜7.0g/d、伸度=10.5〜11.2%であつ
た。 この前駆体繊維を、250〜280℃の温度勾配を有
する耐炎化炉で耐炎化処理(処理時間=25分)
し、次に、窒素雰囲気下で300〜1300℃の温度勾
配を有する炭化炉で焼成して、炭素繊維に転換し
た。 このようにして得られた炭素繊維のストランド
強度を、適用した油剤の変性量とともに、第1表
に示した。
法、特に品質および物性の優れた炭素繊維を製造
するのに好適であるとともに炭素繊維の製造に際
して工程通過性が著しく改善された炭素繊維製造
用前駆体繊維(以下プリカーサという)の製造方
法に関する。 (従来技術) 炭素繊維はそのプリカーサであるアクリル系、
レーヨン系、ピツチ系あるいはポリビニルアルコ
ール系繊維を200〜400℃の空気や、酸化窒素など
の酸化性雰囲気中で加熱焼成して酸化繊維に転換
(耐炎化工程)した後に窒素、アルゴン、ヘリウ
ム等の不活性雰囲気中でさらに300〜2000℃の高
温で加熱して炭化する(炭化工程)方法によつて
得られており、優れた物性により多くの用途、特
に複合材料に好適な強化繊維として幅広く利用さ
れている。 しかしながら、上記炭素繊維の工業的製造法に
おいては、前記プリカーサを酸化繊維に転換する
耐炎化工程や、さらに後続する炭化工程におい
て、単繊維同士で融着が発生するという障害が存
在する。この単繊維同士の融着が発生すると焼成
が均一にできなくなるために、毛羽や糸切れ等の
発生原因となり、工程通過性を阻む大きな原因と
なるばかりでなく、品質や物性の優れた炭素繊維
を製造することができなくなる。 そこでこのような単繊維間の融着を防止するた
めに、適用する油剤について、これまで多くの改
良方法が開示されてきている。例えば、特定の油
剤、特にシリコン系油剤を適用する方法(例えば
特公昭60−18334号、特公昭53−10175号、特公昭
52−24136号、特公昭51−12739号、特開昭60−
99011号、特開昭58−214517号、特開昭52−
148227号各公報)、さらに耐熱性の改善された、
あるいは耐熱性を特定した油剤を適用する方法
(例えば特公昭58−5287号、特開昭60−146076号、
特開昭59−66518号、特開昭58−120819号、特開
昭55−103313号各公報)等々である。 しかしながら上記の手段はこれらを単独に、あ
るいは種々組み合せたとしても単繊維間の融着を
十分に防止することはできず、融着の防止手段と
しては不十分なものであつた。一方これとは別に
焼成工程における雰囲気の温度を下げることによ
つて融着を防止することは可能であるが、この場
合には同時に処理速度を遅くせざるをえず、結果
として生産効率が低下するため、工業的な生産手
段とはなりえない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は焼成過程において発生する単繊
維同士の融着を防止せしめ、高品質でまた同時に
物性の優れた炭素繊維を得ることができる。炭素
繊維製造用前駆体繊維の製造方法を提供すること
にある。 (問題点を解決するための手段) 本発明の上記目的は、25℃における粘度が1000
〜15000センチストークスであり、脂環式のエポ
キシ基が0.05〜10重量%付加しているエポキシ変
性シリコン系油剤と、25℃における粘度が250〜
10000センチストークスであり、アミノ基による
変性量0.05〜10重量%であるアミノ変性シリコン
系油剤を、繊維重量に対して0.01〜5重量%付着
せしめることを特徴とする炭素繊維製造用前駆体
繊維の製造方法によつて達成することができる。 本発明において適用するシリコン系油剤の特徴
は、エポキシ変性シリコン系油剤とアミノ変性シ
リコン系油剤とをそれぞれ単独ではなく、二者を
付与することにある。さらにエポキシ変性シリコ
ン系油剤において、変性基であるエポキシ基が脂
環式のエポキシ基であるところに特徴がある。 本発明において適用するエポキシ変性シリコン
系油剤における、変性基である脂環式エポキシ基
としては、例えば1,2−エポキシ−シクロヘキ
シル基(下記構造式、)や1,2−エポキシ−
シクロペンチル基(下記構造式、)が代表的な
ものとしてあげられる。 上記構造式()の脂環式のエポキシ基が付加
したシリコン系油剤としては、例えば下記の構造
単位を有するものがあげられる。 (ここで、n1は1〜5の正の整数、n2は0ある
いは1である。R1〜R9は水素原子、または/
およびアルキル基である。) ここで本発明のシリコン系油剤の基本骨格は、
シロキサン結合,−SiO−を有するものであり、
このシリコン原子、Siに結合する基(例えば上記
構造式におけるR)は水素原子または/および
炭素数1〜3のアルキル基やフエニル基またはこ
れらのアルコキシ基等があげられる。これらのな
かで、とくにジメチルシロキサンが基本骨格とし
て好ましい。 これまでに炭素繊維の焼成工程での、単糸間の
融着を防止するために、シリコン系油剤を適用す
ることが提案されている。エポキシ変性シリコン
系油剤については、例えば、特公昭60−18334号
公報、特開昭60−181322号公報、特開昭60−
181323号公報には、グリシジル型のエポキシ基
(脂環式のエポキシ基ではない)で変性したもの
を単独で、また他の変性シリコン系油剤と混合し
て適用する方法が開示されている。しかしなが
ら、これらの方法では、焼成過程での単糸間の融
着を防止する効果が認められるものの、その効果
は十分ではなく、本発明が目的としている単糸間
の融着を防止して品質の優れた炭素繊維を製造す
るには不十分であつた。 上記の構造を有する、本発明のエポキシ変性シ
リコン系油剤を適用した場合には、これまでに開
示されているグリシジル型のエポキシ基で変性さ
れたものに比較して、単繊維間の融着を防止する
効果が大きくなることを、本発明者らはすでに見
出しているが、この理由は、繊維基質に対する親
和性が脂環基の存在によつて、増大する結果、油
剤の被膜が、均一にかつ強固に形成されるためと
考えられる。 またさらに、本発明で適用する一成分であるエ
ポキシ変性シリコン系油剤に、アミノ変性シリコ
ン系油剤を組み合せて付与することにより、単繊
維間の融着を、より効果的に防止することができ
ることを見出し、本発明に至つた。本発明の方法
によつて、単繊維間の融着がより効果的に防止さ
れる理由は、定かではないが、上記したように特
定の構造を有するエポキシ変性シリコン系油剤の
被膜が繊維基質の上に形成され、このエポキシ変
性シリコン系油剤中のエポキシ基とアミノ変性シ
リコン系油剤中のアミノ基とが反応して、樹脂化
反応が生起し、より強固な油剤の被膜が繊維の表
面に形成されるものと推定される。このようにし
て形成された油剤の被膜は、耐熱性が優れてお
り、焼成段階において、単糸間の融着を効果的に
防止することができるものと考えられる。 本発明で適用するアミノ変性シリコン系油剤と
しては、例えば下記の構造単位を有するものがあ
げられる。 (ここで、n3は1〜10の整数、n4は1〜10の整
数、n5は0〜5の整数、R10〜R12は水素原子、
または/およびアルキル基である。) ここで本発明のアミノ変性シリコン系油剤の基
本骨格は、前記したエポキシ変性シリコン系油剤
と同様に、シロキサン結合,−SiO−を有するも
のであり、このシリコン原子、Siに結合する基
(例えば上記構造式におけるR′)は水素原子ま
たは/および炭素数1〜3のアルキル基や、フエ
ニル基またはこれらのアルコキシ基等があげられ
る。これらのなかで、特にジメチルシロキサンが
基本骨格として好ましい。 エポキシ変性シリコン系油剤とアミノ変性シリ
コン系油剤とを組み合せる方法については、前出
の特開昭60−181322号公報に開示されてはいる
が、すでに記述したように、グリシジル型のエポ
キシ基によつて変性されたエポキシ変性シリコン
系油剤を適用したものであり、単糸間の融着を十
分防止することができないものであつた。また、
前出の特開昭60−181323号公報には、同一分子内
にエポキシ基とアミノ基とを有するシリコン系油
剤が開示されているが、この方法においても単糸
間の融着を十分防止することができないものであ
つた。 本発明で用いるエポキシ変性シリコン系油剤に
おいて、脂環式エポキシ基の変性量は、エポキシ
基CH2CH2Oの重量に換算して、0.05〜10重量%
であり、好ましくは0.1〜5重量%である。0.05
重量%を満たないと、脂環式エポキシ基の効果が
発現せず、単繊維間の融着を効果的に防止するこ
とができない。一方変性量が10重量%を越えると
油剤成分そのものの耐熱性が低下してしまい、や
はり単繊維間の融着を効果的に防止することがで
きない。 本発明のエポキシ変性シリコン系油剤の粘度は
25℃で測定して、1000〜15000センチストークス
(csと略称)、好ましくは2000〜12000csである。
1000csに満たないと、耐熱性が低く単糸間の融着
を防止することができない。15000csを越えると、
水中に分散させたり、あるいは溶解性の優れた溶
媒を見出すことが困難となり、糸の表面に均一に
付与することができなくなる。 本発明で用いるアミノ変性シリコン系油剤にお
いて、変性基であるアミノ基は、構造式()で
示されるように、モノアミン型(n5=0の場合)
でも、あるいはポリアミン型(n5≠0の場合)で
も良く、要はエポキシ基と反応し得るアミノ基が
存在すれば良い。アミノ基の変性量は、末端アミ
ノ基量をNH2に換算して、0.05〜10重量%であ
り、好ましくは0.1〜5重量%である。0.05重量
%に満たないと、エポキシ変性シリコン系油剤と
ともに付与しても、十分な耐熱性が発現せず、単
糸間の融着を効果的に防止することができない。
一方アミノ基の変性量が10重量%を越えると油剤
そのものの耐熱性が低下して、やはり単糸間の融
着を防止できない。また、上記アミノ変性シリコ
ン系油剤の粘度は250〜10000cs、好ましくは500
〜8000csである。250csに満たないと耐熱性が十
分でなく、10000csを越えると、水中に分散させ
ることが困難であつたり、あるいは溶解性の優れ
た溶媒を見出すことが困難となり、繊維に均一に
付与することが困難になる。 本発明において、変性基である脂環式エポキシ
基や、アミノ基の、シロキサン骨格、すなわち、
−SiO−に対する結合の様式は、互いに隣接する
Si部分にブロツク状(例えば下記Aの様な結合状
態)に連続して結合していてもよいし、また隣接
するSi部分には結合していない状態(例えば下記
Bの様な結合状態)であつてもよいし、あるいは
これらの結合状態が組み合わさつた状態でもよ
い。要は上記の脂環式エポキシ基の付加量0.05〜
10重量%、およびアミノ基の付加量0.05〜10重量
%が満足されていればよいのである。 (Eは脂環式エポキシ基、あるいはアミノ基を
含む変性基を現わす。) 本発明の油剤において、これまで記述してきた
ように、耐熱性は重要な特性であり、上記範囲の
粘度や、変性量を有するとともに、とくに耐熱残
存率(r)が20%以上であるものを適用すること
が好ましく、30%以上であるものを適用すること
がさらに好ましい。ここで耐熱残存率rは以下に
定義されるものとする。すなわち240℃の空気中
で60分間熱処理した際の残存率をr1(%)とし、
さらに引続いて450℃の窒素中で、30秒間熱処理
した際の残存率をr2(%)としたとき、 r=r1×r2/100(%)である。 焼成工程のうちプリカーサを酸化繊維に変換す
る耐炎化工程は200〜400℃の高温下における糸条
の酸化処理工程であり、糸条の表面に存在する油
剤の耐熱性が悪いと、糸条の表面に付与した油剤
成分がこの工程で分解、揮散してしまい、糸条の
融着を防止できない。 前記耐炎化工程に後続する不活性雰囲気下の炭
化工程においては、例えばアクリル系繊維を焼成
する場合、炭化工程の前半においては耐炎化工程
で形成されたナフチリジン環同士による網目構造
が形成され、炭化工程の後半ではこの網目構造の
より高次な構造が形成され、成長すると言われて
いる。この炭化工程の前半においては、単繊維同
志は依然として融着しやすく、後半においてはじ
めて融着が生じなくなることを本発明者らは見出
した。このように油剤成分の単繊維に対する融着
防止能力は耐炎化工程だけでなく、炭化工程の前
半部分においても不可欠の特性である。 このようにプリカーサの基質に対する親和性を
増大させるために、脂環式のエポキシ基を有する
エポキシ変性シリコン系油剤を第1の成分とする
ことと、これと反応し得るアミノ変性シリコン系
油剤を第2の成分として、繊維の表面に均一で強
固な被膜を形成させて、焼成中の単糸同士の融着
を回避することが、本発明の特徴であるが、この
特徴をより効果的に発揮させるために、上記の耐
熱性を有することが好ましいのである。 これらの油剤成分は適当な乳化剤を使用するこ
とによつて水に乳化分散させて使用することもで
き、また水や有機溶媒等の適当な溶媒に溶解させ
た溶液としても適用できる。エポキシ変性シリコ
ン系油剤とアミノ変性シリコン系油剤とは、同時
に付与してもよいし、また別に付与してもよい
が、前記したエポキシ変性シリコン系油剤の繊維
基質に対する親和性を考慮すると、同時に付与す
るか、あるいはエポキシ変性シリコン系油剤を先
に付与した後に、アミノ変性シリコン系油剤を付
与するのが好ましい。 エポキシ変性シリコン系油剤とアミノ変性シリ
コン系油剤とは、5〜95重量%対95〜5重量%、
好ましくは10〜90重量%対90〜10重量%の範囲の
比率で付与するである。 これら油剤成分の糸条に対する付与量は、両成
分を合めて、糸条の量を基準にして0.01〜5重量
%、好ましくは0.1〜3重量%となるように付与
するのがよい。付与量が0.01重量%未満では本発
明の目的を達成できず、一方5重量%を越えると
焼成時に油剤成分による粘着性が増大したり、ま
た揮散物が工程中に沈積する等の障害が発生し
て、生産性が低下するので好ましくない。 本発明の油剤成分が適用できるプリカーサとし
ては、アクリル系、レーヨン系、ピツチ系、およ
びポリビニルシリコン系等特に限定はされるもの
ではなく、いずれの繊維においても酸化繊維に変
換する際、ならびに炭化処理の際に発生する単繊
維同士の融着を防止できるが、特に、融着が発生
し易いアクリル系繊維に対して適用すると、著し
い効果が発揮される。アクリル系繊維に適用さう
る例について、以下に記述する。 本発明で好ましく用いるアクリル系繊維はアク
リロニトリル(以下ANと称する)を主成分とし
て含有し、好ましくは、94重量%以上、特に、好
ましくは、97重量%以上のANと、好ましくは6
重量%以下、特に好ましくは、3重量%以下の該
ANと共重合性があつて、耐炎化反応を促進する
ビニル基含有化合物(以下ビニル系モノマとい
う)とANとの共重合体が用いられる。 耐炎化を促進する作用を有するビニル系モノマ
としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、
イタコン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、ア
ンモニウム塩、α(1−ヒドロキシルエチル)ア
クリロニトリル、アクリル酸ヒドロキシルエステ
ル等を挙げることができる。またこれらの耐炎化
促進能を有するビニル系モノマ以外にAN系重合
体の紡糸性または、製糸性等を向上させるため
に、前記アクリル酸やメタクリル酸の低級アルキ
ルエステル類、アリルスルホン酸、メタリルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸およびそれらのアル
カリ金属塩、酢酸ビニルや塩化ビニル等の第3成
分を共重合成分の総量が6重量%以下、好ましく
は3重量%以下となる範囲で共重合させてもよ
い。 AN系の共重合体は公知の乳化懸濁、塊状、溶
液等の公知の重合法を用いて重合され、さらにこ
れらの重合体からアクリル系繊維を製造するに際
してはジメチルホルムアミドやジメチルスルホオ
キサイド、硝酸、ロダンソーダ水溶液等のポリマ
溶液を紡糸原液として、通常の湿式紡糸法、乾−
湿式紡糸法、乾式紡糸法によつて紡糸し、繊維化
することができる。特に乾−湿式紡糸法による場
合には、単繊維間の融着がより一層生じやすいの
で、本発明の効果がより顕著にあらわれる。 本発明の油剤は製糸工程で付与してもよいし製
糸以後、焼成工程に入る間に付与しても良いが、
プリカーサに均一に付与せしめるために製糸工程
で付与することが好ましい。特にアクリル繊維の
場合には乾燥緻密化前の水膨潤状態の糸条に付与
することが好ましい。付与の方法としては油剤の
分散液や溶液に糸条を浸潰した後に、ニツプロー
ラや圧縮空気を吹き付けることにより所定の付着
量に調整する方法や、あるいは油剤で湿潤された
ローラに接触させる方法や、あるいは雰霧法によ
り霧状にして付与することもできる。 なお本発明においては、製糸や焼成段階での工
程通過性に大きく影響する、単糸のバラケやロー
ラーへの巻き付き、あるいは毛羽等の発生を避け
るために、静電気防止剤を併用することが好まし
い。これらの静電気防止剤の例としては、アルキ
ルベンゼンスルフオン酸塩に代表されるスルホン
酸塩、アルキル燐酸エステルやポリオキシエチレ
ンアルキル燐酸エステルのような燐酸エステル
類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや同ア
ルキルエステルのような非イオン型界面活性剤、
あるいはカチオン型界面活性剤等があげられる。
さらにこれらの静電気防止剤としては、焼成工程
における安定性の観点から、耐熱性の優れた化合
物を適用することが好ましく、例えばアルキレン
オキサイドで変性したシリコン系の化合物やフツ
素原子を導入した界面活性剤等をあげることがで
きる。 (発明の効果) 本発明の方法で得られる炭素繊維製造用前駆体
繊維を適用することにより、特定の油剤成分の効
果によつて、耐炎化工程や炭化工程において発生
する、繊維同士の融着を大幅に回避することがで
き、工程通過性に優れた、しかも高品質で高性能
の炭素繊維を製造することが可能になる。 以下実施例により本発明をさらに具体的に説明
する。 なお、本文中および実施例中のにおいて、炭素
繊維の性能(強度、弾性率)はJIS R−7601に準
じて測定したエポキシ樹脂を含浸したストランド
の物性であり、測定回数n=10の平均から求めた
値である。また油剤成分の付着量は、油剤付与後
で、乾燥緻密化前の繊維から抽出法により求め
た。 また、前出の定義に基づく耐熱残存率rは以下
の手順により測定したものである。 (1) 油剤の前処理 耐熱残存率の測定に必要な前記の熱処理操作に
入るまえに、油剤1gを直径が約60mm、高さが約
20mmのアルミ製の容器に採取し、オーブンの中で
105℃下5時間乾燥する。 (2) 示差熱天秤(TGA)での測定 前記(1)の前処理で得られた絶乾油剤を直径5
mm、高さが5mmの円筒状のアルミニウム製容器
(パン)に15〜20mg採取して示差熱天秤(TGA)
により耐熱残存率を求める。 以下(3)〜(6)に測定条件等を記載する。 (3) 下記の加熱条件で空気の気流下240℃まで昇
温し、さらに240℃で60分間処理したときの油
剤の残量から残存率を求める。このときの残存
率をr1(%)とする。 空気の流量:30 l/分 昇温速度 :℃/分 (4) (3)において240℃で60分間の熱処理が終了し
た後、240℃に保持したまま加熱雰囲気を空気
から窒素に変更し、5分間保持する。 窒素の流量:30 l/分 (5) 下記の加熱条件で240℃から450℃まで昇温
し、450℃で30秒間保持して残存率r2(%)を求
める。 窒素の流量:30 l/分 昇温速度 :10 ℃/分 (6) 上記(3)、および(5)で求めた空気中での加熱残
存率率r1と、窒素中での加熱残存率r2とから油
剤の耐熱性残存率rを、 r=r1×r2(%)より求める。 実施例 1 AN99.3%、イタコン酸0.7%の共重合体のジメ
チルスルフオオキシド(DMSO)溶液を紡糸原
液に用いた。この原液中の共重合体の濃度は20重
量%であり、また共重合体の極限粘度は1.80であ
つた。 この紡糸原液を直径0.15mm、孔数3000の口金を
用いて、一旦空気中に吐出させ、約3mmの空間を
通過させたのち、35%のDMSOの水溶液に導き
凝固させた。この凝固糸を水洗槽のなかで脱溶媒
し、引き続き温水中で4倍に延伸して、水膨潤状
態のアクリル繊維(以下浴延伸糸と称する)を得
た。 該浴延伸糸に、下記の構造式(1、本発明)お
よび、(2、本発明外)で示される、エポキシ基
の結合した基本骨格単位を含むジメチルシロキサ
ン系のエポキシ変性シリコン系油剤と、構造式(3)
で示される、アミノ基の結合した基本骨格を含む
ジメチルシロキサン系のアミノ変性シリコン系油
剤を等量づつ混合し、ノニルフエノールのエチレ
ンオキサイド付加物を主体とする、非イオン系の
界面活性剤で水中に分散乳化させて、付与した。 ここで適用した油剤成分の25℃の粘度は、エポ
キシ変性シリコン系油剤はいずれも4500〜5000cs
であり、アミノ変性シリコン系油剤は1000〜
1200csであつた。また繊維に対する付与量は、油
剤浴の濃度を調整して、1±0.2重量%の範囲に
設定した。 このようにして得られた油剤付与後の糸条を、
130℃の加熱ローラで乾燥緻密化処理を行つた。 乾燥緻密化後の糸条を、更に3Kg/mm2−Gの飽
和スチーム中で3倍に延伸した。 このようにして得られた前駆体繊維は、単糸デ
ニール=0.5de、トータルデニール=2400De、強
度=6.5〜7.0g/d、伸度=10.5〜11.2%であつ
た。 この前駆体繊維を、250〜280℃の温度勾配を有
する耐炎化炉で耐炎化処理(処理時間=25分)
し、次に、窒素雰囲気下で300〜1300℃の温度勾
配を有する炭化炉で焼成して、炭素繊維に転換し
た。 このようにして得られた炭素繊維のストランド
強度を、適用した油剤の変性量とともに、第1表
に示した。
【表】
けを付与したもの。
**は本発明外
実施例 2 実施例−1の構造式(1)と同一の基本骨格を有し
ており、脂環式エポキシ基によるエポキシ変性量
が1.5重量%であり、また25℃での粘度が7000cs
である、エポキシ変性シリコン油剤と、実施例−
1の構造式(3)と同一の基本骨格を有しており、ア
ミノ基による変性量が1.0重量%であり、また25
℃での粘度が1200csである、アミノ変性シリコン
油剤を等量づつ混合して適用した。 糸条への油剤成分の付与量を変える以外は、実
施例−1と同様の方法によつて、炭素繊維を得
た。 第2表に付与量とともに、炭素繊維のストラン
ド強度を示した。
**は本発明外
実施例 2 実施例−1の構造式(1)と同一の基本骨格を有し
ており、脂環式エポキシ基によるエポキシ変性量
が1.5重量%であり、また25℃での粘度が7000cs
である、エポキシ変性シリコン油剤と、実施例−
1の構造式(3)と同一の基本骨格を有しており、ア
ミノ基による変性量が1.0重量%であり、また25
℃での粘度が1200csである、アミノ変性シリコン
油剤を等量づつ混合して適用した。 糸条への油剤成分の付与量を変える以外は、実
施例−1と同様の方法によつて、炭素繊維を得
た。 第2表に付与量とともに、炭素繊維のストラン
ド強度を示した。
【表】
実施例 3
実施例−2において、25℃における粘度と、エ
ポキシ基およびアミノ基による変性量を変えた油
剤成分を等量づつ適用した。 実施例−1と同様の方法によつて、浴延伸糸に
付与して、炭素繊維を得た。 第3表に粘度、変性量、および耐熱性rととも
に、炭素繊維のストランド強度を示した。
ポキシ基およびアミノ基による変性量を変えた油
剤成分を等量づつ適用した。 実施例−1と同様の方法によつて、浴延伸糸に
付与して、炭素繊維を得た。 第3表に粘度、変性量、および耐熱性rととも
に、炭素繊維のストランド強度を示した。
【表】
Claims (1)
- 1 25℃における粘度が1000〜15000センチスト
ークスであり、脂環式のエポキシ基が0.05〜10重
量%付加しているエポキシ変性シリコン系油剤
と、25℃における粘度が250〜10000センチストー
クスであり、アミノ基による変性量が0.05〜10重
量%であるアミノ変性シリコン系油剤を、繊維重
量に対して0.01〜5重量%付着せしめることを特
徴とする炭素繊維製造用前駆体繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31513286A JPS63165585A (ja) | 1986-12-25 | 1986-12-25 | 炭素繊維製造用前駆体繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31513286A JPS63165585A (ja) | 1986-12-25 | 1986-12-25 | 炭素繊維製造用前駆体繊維の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS63165585A JPS63165585A (ja) | 1988-07-08 |
| JPH0433892B2 true JPH0433892B2 (ja) | 1992-06-04 |
Family
ID=18061791
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP31513286A Granted JPS63165585A (ja) | 1986-12-25 | 1986-12-25 | 炭素繊維製造用前駆体繊維の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS63165585A (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP6314369B2 (ja) * | 2013-04-04 | 2018-04-25 | 三菱ケミカル株式会社 | 炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物と炭素繊維前駆体アクリル繊維用油剤組成物分散液、および炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法 |
Family Cites Families (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60181322A (ja) * | 1984-02-22 | 1985-09-17 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 炭素繊維の製造方法 |
| JPS61225373A (ja) * | 1985-03-27 | 1986-10-07 | 東邦レーヨン株式会社 | 炭素繊維束 |
-
1986
- 1986-12-25 JP JP31513286A patent/JPS63165585A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS63165585A (ja) | 1988-07-08 |
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