JPH04343705A - ポリオレフィン三次元網状繊維の製造法 - Google Patents

ポリオレフィン三次元網状繊維の製造法

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JPH04343705A
JPH04343705A JP11463791A JP11463791A JPH04343705A JP H04343705 A JPH04343705 A JP H04343705A JP 11463791 A JP11463791 A JP 11463791A JP 11463791 A JP11463791 A JP 11463791A JP H04343705 A JPH04343705 A JP H04343705A
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JP
Japan
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pressure
temperature
solvent
polyolefin
spinning
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JP11463791A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Nakayama
中山 良秋
Kazuhiko Shimura
和彦 志村
Toshio Yoneyama
米山 敏夫
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、改良されたフラッシュ
紡糸方法を用いたポリオレフィンの三次元網状繊維の製
造方法に関するものである。更には、地球を取り巻くオ
ゾン層を破壊する能力の著しく低い溶媒を用いて、極め
て品質の優れたポリオレフィンの三次元網状繊維が得ら
れる改良されたフラッシュ紡糸方法に関するものである
。更には、オゾン破壊能を低下させたハロゲン化炭化水
素を用いて、不織布シートに用いるに足る強度及び開繊
性を持つ、品質の優れたポリオレフィンの三次元網状繊
維を得るための製造方法に関するものである。
【0002】換言すれば、オゾン破壊能を低下させたに
も係らず、難燃で且つ低毒な溶媒を用いて、優れた品質
のポリオレフィンの三次元網状繊維が得られる改良され
たフラッシュ紡糸方法に関するものである。
【0003】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】ポリオレ
フィンの網状繊維の製造方法はフラッシュ紡糸法である
。このフラッシュ紡糸法は、液化ガスとも云える有機溶
媒にポリオレフィン等の結晶性ポリマーを加え、高温高
圧下にてポリマー溶液を調整し、しかる後減圧オリフィ
スを通して溶液の圧を一旦下げて相分離をさせ、不透明
と成ったこの溶液を更に紡糸口金を通して常温常圧下の
雰囲気に噴出して網状繊維とする方法として、既に良く
知られている紡糸方法である。
【0004】即ち、フラッシュ紡糸法に関する公知の技
術としては、USP3,081,519号報、USP3
,227,794号報、USP3,227,784号報
、USP3,467,744号報、USP3,564,
088号報、USP3,756,441号報、EP−2
85670A1 号報、EP−321567A1 号報
、EP−357364A2 号報、特公40−2812
5号報、特公42−19520号報、特開62−338
16号報、特開63−50512号報などが開示されて
いる。
【0005】このフラッシュ紡糸法によって得られた繊
維はポリオレフィン繊維が著名であり、実用に供されて
いる繊維はポリオレフィン繊維にほぼ限られている。こ
の繊維の用途は、一つにはフィブリッド(短繊維状物)
として合成パルプに用いられ、もう一つには連続した網
状繊維として不織布シートに用いられている。
【0006】本発明が対象としている製造法による製品
は、不織布シートになる三次元網状繊維である。この不
織布シートは、所謂合成紙と言われるものであり、耐水
性が有り、強くて軽くて毛羽だたないことを最大の特徴
とする製品である。このことが世上にて高く評価され、
航空便封筒、フロッピーディスクリーブ、脱酸素剤袋、
乾燥剤袋、医療用滅菌袋、建物断熱結露防止布、原子炉
発電作業服及びアスベスト作業服、安全防護作業服等に
おいて優れた実用性を示すと共に社会の安全・福祉の向
上に寄与し得るものとされている。特に安全を確保する
ための作業服用素材としては、耐薬品性があり、リント
フリーで、細かい塵を通さず、通気性があって、摩擦に
も強いと云う特性を持つポリオレフィンの網状繊維から
なる不織布シート以外では見当らず、社会的に必須のも
のとなっている。
【0007】この社会の要求を満足する製品とする為に
は、強度が高くて良く開繊した三次元網状繊維が必須で
ある。何故ならば、この様な繊維でなければ、緻密で通
気性の有る均一なシートが得られないからである。
【0008】本発明は、この様な社会の要請に答える為
のものである。かかる三次元網状繊維から得られる具体
的な製品としては、米国デュポン社製のタイベック(T
yvek)及び本出願人製のルクサー(luxer)が
有る。
【0009】ところで、上記のような有用な繊維を作る
フラッシュ紡糸法に用いられる溶媒には、USP3,0
81,519号報等に記載されている様に以下の要件が
必要である。 即ち、■沸点が用いるポリマーの融点より少なくも25
℃低いこと、■紡糸する間、ポリマーに対して不活性で
あること、■紡糸溶液を調整するに適した温度・圧力下
では、ポリマーの溶媒であること、■溶媒の沸点以下で
は、ポリマーを1%以下しか溶かさないこと、■紡糸時
に直ちに相分離し、殆どポリマーから成る相を形成し、
そのポリマー相はほぼ溶媒を含まないことである。
【0010】具体的な溶媒の例として、ベンゼン、トル
エン等の芳香族炭化水素、ブタン、ペンタン、ヘキサン
、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素及びそれらの
異性体、同族体、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、
或いは不飽和炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、ク
ロロホルム、塩化エチル、塩化メチル等のハロゲン化炭
化水素、エタノール、メタノール、ヘキサフルオロイソ
プロパノール等のアルコール、エステル、エーテル、ケ
トン、ニトリル、アミド、トリクロロフルオロメタン、
1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエ
タン等のフッ素化塩素化脂肪族炭化水素、二酸化硫黄、
二硫化炭素、ニトロメタン、水及び上記の各種液体混合
物等が知られている。
【0011】これらの溶媒から、用いる紡糸方法及び用
いるポリマーに応じて最適なものが選定される。特にポ
リオレフィンの紡糸方法としては、ポリマー溶解性、紡
糸性に優れ、更には不燃、無毒なトリクロロフルオロメ
タン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフル
オロエタン等を用いる紡糸方法が好適である。就中トリ
クロロフルオロメタンを用いる紡糸方法が、そのポリオ
レフィン溶解性、熱安定性、不燃性及び無毒性から最も
優れている。
【0012】フラッシュ紡糸では、溶剤を必ずガス化す
るために低毒で且つ難燃性であることが是非必要である
。その上沸点が低く、高温でも熱分解せず更にポリオレ
フィンを溶解するに足る親油性を持つ溶剤が求められる
。これに合致する溶剤は、前記トリクロロフルオロメタ
ンが最適であり、これを凌駕する溶剤は見当らないのが
現状である。
【0013】ところが、近時全部の水素が塩素及びフッ
素で置換された全ハロゲン化炭化水素は、特定フロン(
クロロフルオロカーボン、又はCFCとも云う)として
そのオゾン破壊能が極めて高いことが発見され、地球環
境保護の立場から西暦2,000年までに製造が禁止さ
れることになった。当然、特定フロンであるトリクロロ
フルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2
−トリフルオロエタン等も製造を禁止され入手出来なく
なる。この結果、トリクロロフルオロメタンを用いるポ
リオレフィンのフラッシュ紡糸方法は利用できなくなり
、社会に大きな影響を与える。
【0014】このような背景から、フラッシュ紡糸法と
して、好適な特定フロンであるトリクロロフルオロメタ
ンを用いない新しい紡糸方法が提案されている。
【0015】即ち、特開平2−139408号報に、塩
化メチレンと部分置換のハロゲン化炭化水素との混合物
を用いてフラッシュ紡糸する方法が、又特開平2−16
0909号報に、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリ
フルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,2,2−トリ
フルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオ
ロエタン、1,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエタ
ン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等を用いる
紡糸方法が、更にEP−0407953A2号報にポリ
プロピレンに対して、1,1−ジクロロ−2,2,2−
トリフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,2,2−
トリフルオロエタン等を用いて紡糸する方法が、さらに
EP−357364A2 号報に塩化メチレンと炭酸ガ
スを用いて紡糸方法が提案されている。
【0016】然るに、前記の公開されたポリオレフィン
の網状繊維の紡糸方法には重大な欠陥が有り、工業的に
生産することが極めて難しく、社会的に有用なポリオレ
フィンの網状繊維を供給することが出来ない。即ち、塩
化メチレンを用いる方法は、塩化メチレンその物が発癌
性を疑われており、その製造に携わる人々の安全性を考
えた場合、全く使用することが出来ない。
【0017】又所謂1,1−ジクロロ−2,2,2−ト
リフルオロエタン、1,2−ジクロロ−1,2,2−ト
リフルオロエタン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフル
オロエタン、1,2−ジクロロ−1,1−ジフルオロエ
タン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等の「代
替フロン」を用いた紡糸方法では、その方法により得ら
れたポリオレフィンの網状繊維は、繊維の強度が低く、
且つ開繊性が劣り実用に供することができない。中には
ポリオレフィンのポリマーを全く溶解せず、紡糸すら出
来ないものもある。
【0018】更に、上述した「代替フロン」の中には、
発癌性を持つものもあり、所謂「代替」の役目を果たさ
ないものも有る。先にも述べたように、フラッシュ紡糸
法から得られた繊維から成る不織布シート製品の特徴は
、軽くて強くて均一で且つ緻密な通気性の有るシートで
あることが必須であり、このことが社会的有用性の基と
なっている。
【0019】従って、提案されたオゾンを破壊しないフ
ラッシュ紡糸方法では、社会の福祉・安全の向上に寄与
することができない。網状繊維の強度が低ければ、製品
其の物の強度も低く、航空便封筒、フロッピーディスク
スリーブ、医療用滅菌袋、建物断熱結露防止布、原子炉
発電作業服及びアスベスト作業服等に用いることが難し
いのは当然のこととして、更に紡糸の過程で繊維が切断
したり、毛羽が立ったり、フィブリッドが発生したりす
る。この結果、リントが発生し、リントの発生を全く嫌
う無塵紙、フロッピーディスクスリーブ、医療用滅菌袋
、原子炉発電作業服及びアスベスト作業服等には全く使
えない。
【0020】又開繊性が良くないと、繊維が網状に広が
らず斑の多いシートとなり、網状繊維から成る不織布シ
ートの生命である通気孔の孔径にバラツキが生じ、脱酸
素剤袋、乾燥剤袋、医療用滅菌袋、建物断熱結露防止布
、原子炉発電作業服及びアスベスト作業服等に全く使用
できなくなる。
【0021】本発明の目的は、オゾン層の破壊能の低い
溶媒を用いて、強度の高い且つ開繊性の優れたフィブリ
ル化した三次元網状繊維が得られる改良された、社会的
に有用なフラッシュ紡糸法を提供することにある。更に
は、オゾン破壊能が低く、その上少なくとも難燃・無毒
な溶媒を用いて、強度の高い且つ開繊性の優れたフィブ
リル化した三次元網状繊維が得られる改良されたフラッ
シュ紡糸法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、オゾン破
壊能が低く、その上少なくとも難燃・無毒な溶媒を用い
ながら、如何にして従来のフラッシュ紡糸法によるポリ
オレフィンの三次元網状繊維に匹敵するか若しくは凌駕
する性能をもつ繊維が得られるか鋭意研究し本発明に達
した。
【0023】即ち、本発明によるポリオレフィン三次元
網状繊維の製造法はポリオレフィンとハロゲン化炭化水
素を含む溶媒とから成る高温高圧の溶液を作り、減圧オ
リフィス・減圧室・紡糸口金を通過させ、常温常圧域に
放出して、フィブリル化したポリオレフィンの網状繊維
を製造する方法において、ハロゲン化炭化水素として1
−クロロ−1,1−ジフルオロエタンと1,2−ジクロ
ロプロパンとを含む溶媒を用いて、該溶媒とポリオレフ
ィン5〜25wt%とから成る溶液を、温度・圧力をそ
れぞれ横軸・縦軸にとって表した曇点曲線に於いて下に
凸の極小点を成す所の温度Tαを超える温度以上で且つ
曇点圧力以上で調整し、次いで減圧室の圧力を該曇点圧
力以下の圧力とすることを特徴とする。
【0024】前記ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として
、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン及び1,2−
ジクロロプロパンに加えて更にブロモクロロメタンを含
む溶媒を用いると好ましい。
【0025】又ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として、
1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンが45wt%以
下、1,2−ジクロロプロパンが55wt%以上とから
成る溶媒を用いると好ましい。
【0026】さらに又、ハロゲン化炭化水素を含む溶媒
として、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンが45
wt%以下、1,2−ジクロロプロパン及びブロモクロ
ロメタンとの和が55wt%以上とから成る溶媒を用い
ると好ましい。
【0027】この方法により本発明者等は、オゾン破壊
能の低い、且つ少なくとも難燃、無毒な溶媒でありなが
ら、従来公知の方法とは異なり、格段に強度の高い、そ
して開繊性の良いポリオレフィンの三次元網状繊維を得
ることができた。
【0028】フラッシュ紡糸溶剤として、最も優れたト
リクロロフルオロメタン(CFC−11とも云う)の替
わりに、今世界中で開発されている「代替フロン」がフ
ラッシュ紡糸溶剤として使えないかと誰でも考える。こ
のフラッシュ紡糸溶剤の候補としての「代替フロン類」
として、トリクロロフルオロメタンとの類似性から、1
,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(以
下HCFC−123と略称する)、1,2−ジクロロ−
1,2,2−トリフルオロエタン(以下HCFC−12
3a と略称する)、1,1−ジクロロ−1−フルオロ
エタン(以下HCFC−141b と略称する)、1,
1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプ
ロパン(以下HCFC−225caと略称する)、1,
3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプ
ロパン(以下HCFC−225cbと略称する)、1−
クロロ−1,1−ジフルオロエタン(以下HCFC−1
42b と略称する)がその対象となる。前記した「代
替フロン」とここに云う「代替フロン類」とを区別する
ため、以降HCFC−123,HCFC−123a ,
HCFC−141b ,HCFC−225ca,HCF
C−225cb、及びHCFC−142b を指すもの
を「代替フロン類」という。
【0029】しかるにこれらの「代替フロン類」は僅か
か若しくは全くポリオレフィンの代表である高密度ポリ
エチレン(以下HDPE又はPEとも云う)を溶解しな
い。従って、ポリオレフィン特に高密度ポリエチレンの
フラッシュ紡糸に用いた場合、ポリマー溶解性が全く不
足し、このままでは、フラッシュ紡糸性すら調べること
が出来ない。
【0030】即ち、後に詳しく説明する図1の相平衡測
定装置を用いて、前記「代替フロン類」の高密度ポリエ
チレンの溶解性を調べたところ、下記の表−1の様にな
った。
【0031】
【表1】
【0032】「代替フロン類」の高密度ポリエチレンの
溶解性を調べたところ、HCFC−123,HCFC−
123a ,HCFC−225(HCFC−225ca
及びHCFC−225cbの等量混合物)及びHCFC
−142b は温度 230℃までの範囲で全く溶解し
なかった。 更に圧力を実用範囲外の 800kgf/cm2 まで
あげても溶解しなかった。況んや、実用範囲の圧力 5
00kgf/cm2 以下では、ポリマーが熱劣化する
高温度に上げても溶けたポリマー相が完全に分離して浮
遊するのみであった。
【0033】そこで本発明者等が発見したポリオレフィ
ンの新しい溶媒、即ち1,2−ジクロロプロパンを混合
し、その混合量によって、前記「代替フロン類」のPE
溶解性を見た。即ち、圧力・温度を縦軸・横軸として表
した曇点曲線において、トリクロロフルオロメタンの曇
点曲線とほぼ同じ位置にするに要する1,2−ジクロロ
プロパンの混合量を測定した。
【0034】この結果からも判るように、HCFC−1
41b を除き、表−1の他のものは如何にPE溶解性
が無いか判る。フラッシュ紡糸では、均一・一相溶液を
作ることが紡糸の前提となる。これを相分離させて、均
質な相分離構造を発現させないと、均一で強度が高く開
繊性の良い三次元網状繊維が得られない。従って、ポリ
オレフィン特に高密度ポリエチレンの溶解性のない溶剤
は、フラッシュ紡糸溶剤に用いることが出来ない。
【0035】ところで、前記「代替フロン類」の内、H
CFC−141b はオゾン破壊能が0.15と高く且
つ熱安定性が極めて悪くフラッシュ紡糸溶剤として使え
ない。又、HCFC−123及びその異性体は、尚毒性
が不明確であり直ちには使えない。HCFC−225c
a及び−cb に至っては、毒性及び生産の見通しが不
明確にて、今のところ使えるかどうか判らない。これに
対して、HCFC−142b は、無毒・難燃性であり
、且つ大量に生産されており、直ちに溶剤として用いる
ことが出来る。
【0036】既に、HCFC−142b に関しては、
特開平2−139408にてフラッシュ紡糸溶剤として
提案されている。 しかしこの場合は、塩化メチレンとの併用であり、前記
した如く発癌性の恐れから使用することは不可能である
。又使えたとしても、既に公開されている如く、繊維の
引張り強度が低く実用に耐えない。
【0037】この為ポリオレフィン特に高密度ポリエチ
レンを全く溶解しないものではあるが、HCFC−14
2b をフラッシュ紡糸溶剤として何とか使え無いかと
考え、本発明者等により膨大な研究が成された。
【0038】フラッシュ紡糸は、前述した様に高温高圧
のポリマー溶液を減圧して相分離させて、ポリマーと溶
媒との少なくとも二相から成る不透明液にしてから紡糸
することがその基本的原理である。従って、透明液から
不透明液に変わることによって判る曇点の温度・圧力が
、フラッシュ紡糸を行う場合極めて重要である。又、曇
点は、1液相から2液相に変わる相分離点でもある。
【0039】a.曇点曲線 曇点は、液が透明から不透明に変わる点の温度・圧力で
表す。曇点は大抵目視により測定するので測定法により
多少変わる。又、液の透明性、不透明性もその所の温度
、圧力、液のポリマー濃度及びその系を成すポリマーと
溶媒の種類により変わる。更に溶液の調整法、測定時間
、光源などにもより多少変化する。従って、少々のバラ
ツキはあるが、測定法を固定すれば再現性良く観測でき
る。
【0040】高分子化学では、この曇点を温度・圧力座
標に点綴した図を曇点曲線と云う。この曇点曲線の温度
・圧力座標面上の位置により、其の溶媒のフラッシュ紡
糸適性を判断することが出来る。HCFC−142b 
単体では、この曇点曲線がかなりの高圧でも全く観測さ
れず、ポリオレフィン特に高密度ポリエチレンを溶解す
ることが出来なかった。
【0041】ところが本発明者等が膨大な有機化合物の
中から、ポリオレフィンの溶剤として発見した1,2−
ジクロロプロパン(以下DCPと略称する)を用い、H
CFC−142b との混合量と溶解の際の温度・圧力
を調整することにより、図2に示す如くにフラッシュ紡
糸が可能な位置に曇点曲線を持って来ることが出来た。 図2に示す如く、HCFC−142b とDCPとの重
量組成比45:55,42.6:57.4では曇点曲線
の位置が異なり、DCP重量組成比が増すほど、曇点曲
線の位置は低圧側に移動する。これは組成比によりポリ
マー溶液の熱力学的性質が異なることを示す。
【0042】更に、上記の事実は、HCFC−142b
 は、高密度ポリエチレンに対して著しい貧溶媒であり
、DCPは可成な良溶媒であることを示す。ところで、
本発明における重要な因子である曇点曲線は、図1に示
す装置にて測定する。即ち、オートクレーブ型の容器(
容積250cm2)1の下端に二つの光学窓7を設け、
光を通して内部を観察できる構造とする。光の通る光路
の長さは、光学窓7のガラスの厚さは一個当たり88m
m、二個付いているので 176mm、更に溶液の厚さ
は50mmなので、全部で 226mmとなる。このオ
ートクレーブ型の容器1には、攪拌器3が内蔵されポリ
マーがほぼ溶解するまで約500rpmで容器内部を攪
拌する。攪拌器3の構造は、攪拌羽根が二枚設置され、
その外側に円筒案内板が溶接され、丁度金属円筒に二枚
の羽根が収まっている様になっている。更にその円筒の
外側に、円筒芯に対して 180°対向して二枚のスク
レーパーが溶接され、液全体を隈無く攪拌すると共に容
器内に下降流が生ずる様になっている。更に容器内の溶
液にじかに接する様に温度検出用の熱電対5及びダイヤ
フラム圧力計6が設けられている。又、容器内のガスを
抜くガス抜き及び容器内の液を押し出すためのN2 ガ
ス導入管に使用する配管4(図1では1本表示だが実際
は2本)が設けられている。その上、容器内の液を加圧
するための増圧器10及び液を抜いたり又は液を押し出
すための配管14が設けられている。それぞれの配管に
は、ニードル弁が付設されている。又容器全体はアルミ
鋳込みヒーターで覆われ制御回路で温度は制御されてい
る。
【0043】曇点を測定する方法は、まずポリマー濃度
が所定の濃度になる様に且つ容器内が液封になる様にポ
リマーと溶媒を計量し、容器に供給する。図2の例では
、HCFC−142b を42.6wt%とDCPを5
7.4wt%とを混合した溶媒 207.3g(87.
5wt%)に高密度ポリエチレン(密度:0.96g/
cc、MI:0.78)を29.6g(12.5wt%
)計量し容器に供給した。次いで加熱し、液体が膨張す
るに従って、容器内圧は上昇する。図2の例では、昇温
温度は3.0℃/min であった。この様にして、ポ
リマー融点近傍に達したらポリマーは溶媒に一部溶け始
める。この状態でポリマー溶液を調整する。この頃には
、液圧 500kgf/cm2 近くに達しているので
、液圧 500kgf/cm2 近くなったら液抜きを
行い圧を下げる。
【0044】次いで、曇点の測定に入る。温度と圧力を
変化させて曇点を探す。曇点は、光学窓を通して光の量
の変化を観察若しくはフォトセル等で測定し、視野が暗
くなるか又は光量が急激に低下したらその点を曇点とす
る。この様にして、温度を上げながら、液抜きと増圧器
をコントロールして 230℃近くまで測定する。図2
の例では、測定時の昇温速度は1.3℃/min であ
った。ポリマーが劣化するのでこの測定は手早くやる。
【0045】b.曇点曲線上の特異点Tαこの様にして
得られた、HCFC−142b とDCPとの曇点曲線
が図2に示される。図2を見ると判るように、低温側の
曇点は温度が上昇するに従って、曇点圧力が低下して行
く。そしてある温度で極小点をなし、次いで更に温度が
上昇するに従って曇点圧力は上昇して行く。この曇点曲
線の極小点を特異点Tαとする。図2の例では、HCF
C−142b とDCPとの重量混合組成比が42.6
:57.4でポリマー濃度が12.5%の時、特異点の
温度Tαは 194℃、特異点の圧力Pαは 142k
gf/cm2 であった。
【0046】ここで特異点の表現法として、本来なら特
異点(Tα,Pα)とすべきであるが、本発明の記述で
は特異点Tαと略して表現する。この特異点Tαの存在
は驚くべきことで、本発明者等が初めて発見したもので
ある。この特異点Tαの挙動を調べた結果、温度上昇法
でも、温度下降法でも、図2の如く曇点曲線の極小点を
なすことが判明した。更に、温度の昇温速度、降温速度
並びに圧力の変化量等を変えて測定すると、特異点Tα
以下の低温側の領域の曇点は、多少変化することを確認
した。又、特異点Tαの位置も温度上昇法と温度下降法
で多少変わるが、これは温度の伝わり方の違いであるこ
とが判った。測定法を常に一定にすれば、特異点Tαも
常に一定であることを確認した。そして温度上昇法では
、常に一定値で極小点をなし、HCFC−142b と
DCPからなる溶媒と高密度ポリエチレンとのポリマー
溶液での、相平衡を表す特性値であることを発見した。
【0047】何故この様な特異点Tαが表れるかは尚不
分明であるが、観察に依れば特異点Tαの前の低温側の
領域と特異点Tαの後の高温側の領域にて光の透過状態
が異なる具合であり、更に透明域から不透明域に相変化
させた場合、透明性の変化の速さも異なることが判った
。このことから見て液体の構造が異なるのではないかと
推定している。
【0048】更に驚くべきことは、この特異点Tα前後
で、フラッシュ紡糸の状態が変わり、特異点Tα以下の
温度でのフラッシュ紡糸では満足すべき三次元網状繊維
が得られないことを見出した。即ち、特異点Tαの温度
以下で、その溶液から減圧し不透明に変化させ、然る後
紡糸口金から紡出して得られた三次元網状繊維は、開繊
性が著しく劣り、とても不織布シートにすることが出来
ないものであった。中には、毛羽立ちやパルプ様の細か
い塊が含まれ、リントフリーを特徴とする不織布シート
には到底使えないものであった。
【0049】例えば、HCFC−142b とDCPの
重量混合比42.6:57.4の溶媒を用いて、後述す
る実施例の紡糸装置を用いて、Tα= 194℃以下の
温度である 175℃にて、溶解点圧力及び減圧室の圧
力に相当する紡糸点圧力を種々変えて紡糸したが、満足
すべきものが得られなかった。その中で比較的良いもの
が後述の比較例2で、溶解点圧力 186kgf/cm
2 、紡糸点圧力 136kgf/cm2 であった。 網状の繊維は得られたが、毛羽立ちやパルプ様の細かい
塊が含まれ到底使えるものではなかった。更に、紡糸の
過程でポリマーが分離し全部吐出することが出来なかっ
た。明らかに、特異点Tαを境に低温側と高温側で液体
の構造が異なり、低温側の液体は使えないことが判った
【0050】それに対して、特異点Tα以上の温度で紡
出した三次元網状繊維は、開繊性も良く且つ強度も高く
優れたもので、良好な不織布シートにすることが出来る
ものであった。当然のこととして、特異点Tαの位置は
、溶媒の組成によって変化する。或る組成点を境にTα
が観測されなくなる。即ち、Tαより高温側の曇点曲線
は図−1の如く右上がりの曇点線(勾配が正)となる。 HCFC−142b の含有量を増して行くと、ついに
は曇点線は温度軸に平行となる。更にHCFC−142
b を増して行くと曇点線は右下がり(勾配が負)とな
る。逆にDCPの含有量を増して行くと、特異点Tαの
位置は低温側に移動し且つその圧力も低下する。
【0051】本発明の範囲は、Tαより高温側の曇点曲
線の勾配が右上がり(勾配が正)を示す組成に限られる
。曇点線の勾配が負となった場合は、不織布シートに用
い得る三次元網状繊維が得られない。この範囲は組成で
決まり、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HC
FC−142b)が45wt%以下、1,2−ジクロロ
プリパン(DCP)が55wt%以上に相当する。
【0052】更に本発明者等は、膨大な研究を行い、よ
り優れた溶剤組成を発見した。HCFC−142b と
共に用いるDCPの一部にブロモクロロメタン(CH2
BrCl 、以下BCMと略称する)を加えることによ
り、より難燃で且つより毒性の少ないフラッシュ紡糸溶
剤を発見した。HCFC−142b とDCPの混合系
(BP溶剤と略称する)と同様の方法にて、高密度ポリ
エチレンの12.5wt%のポリマー溶液を作りその曇
点曲線を測定した結果を図3に示す。 HCFC−142b とDCPとの混合系と同じ様な挙
動を示す。 即ち、HCFC−142b とDCPとBCMとの混合
系(BPM溶剤と略称する)もフラッシュ紡糸溶剤とし
て使用できることが判る。
【0053】BPM溶剤の優れている点は、BP溶剤に
比し燃焼性が低く組成に依っては不燃となること、更に
毒性が低いことに有る。即ち、DCPは可燃であるが、
BCMは不燃である。又、毒性に関してもDCPは、A
CGIH(American Conference 
ofGovernmental Industrial
 Hygienists)のTLV(Threshol
d Limits Values of Airbon
e Contaminants)が75ppm なのに
対して、BCMは200ppmである。この様にBP溶
剤に更にBCMを加えることにより、トリクロロフルオ
ロメタンに匹敵する安全性を備えたフラッシュ紡糸溶剤
を見出した。
【0054】BPM溶剤の曇点曲線は、BP溶剤と同様
の挙動を示す。従って、曇点曲線に表れる特異点Tαの
位置は、溶媒の組成によって変化する。或る組成点を境
に特異点Tαが観測されなくなる。即ち、Tαより高温
側の曇点曲線は図3の如く右上がりの曇点線(勾配が正
)となる。HCFC−142b の含有量を増して行く
と、ついには曇点線は温度軸に平行となる。更にHCF
C−142b を増して行くと曇点線は右下がり(勾配
が負)となる。逆に DCP+BCM 、即ちDCPと
BCMとの和で表す含有量が増加すると共に、特異点T
αの位置は低温側に移動し且つその圧力も低下する。
【0055】本発明の範囲は、特異点Tαより高温側の
曇点曲線の勾配が右上がり(勾配が正)を示す組成に限
られる。曇点線の勾配が負となった場合は、不織布シー
トに用い得る良質な網状繊維が得られない。この範囲は
組成で決まり、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン
(HCFC−142b)が45wt%以下、1,2−ジ
クロロプロパン(DCP)とブロモクロロメタンの和が
55wt%以上に相当する。
【0056】斯くして、オゾン破壊能が極めて小さい溶
媒を用いて、初めて実用に供し得る開繊性が良く且つ強
度の高い三次元網状繊維を作る方法を見出した。更には
、オゾン破壊能が極めて小さい上、燃焼性の低い且つ毒
性の少ないフラッシュ紡糸方法を見出した。然も、常に
安定して、開繊性が優れその上強度も高い三次元網状繊
維が、オゾン破壊能の低く且つ難燃・低毒な溶剤を用い
て得られる。この工業的意義は、計り知れない程の大き
な価値をもつ。
【0057】用いる1−クロロ−1,1−ジフルオロエ
タン(HCFC−142b)は純度98%以上であれば
良い。注意すべきは水分含有量で、少ないものほど良く
10ppm 以下が好ましい。1,2−ジクロロプロパ
ン(DCP)は、純度95%以上であれば良いが、純度
98%がより好ましい。特に水分含有量は、少ないもの
ほど良く、10ppm 以下が好ましい。DCPは、熱
に合うと少しづつ分解する。そのために熱安定剤を用い
ると良い。例えば、ジオキサン、ブチレンオキサイド、
ニトロメタンなどが用いられる。
【0058】ブロモクロロメタン(BCM)は、純度9
5%であれば良いが、好ましくは98%以上である。水
分含有量は少ないほど良く、好ましくは10ppm 以
下である。更に、ブロモクロロメタンの熱安定性を増す
ために、熱安定剤を用いても良い。熱安定剤としては、
前記したDCPの安定剤のほか、一般に用いられている
ハロゲン化合物の熱安定剤が用いられる。前記 HCF
C−142b/DCP 系溶剤又は HCFC−142
b/DCP /BCM 系溶剤の特性を損なわない限り
において更に他の有機溶媒を加えても良い。
【0059】ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、
ポリプロピレン及びポリメチルペンテン−1などがある
。これらのポリマーには、共重合成分として不飽和オレ
フィンを15 mol%まで含んでも良い。ポリエチレ
ンは、高密度ポリエチレンが最も好ましく、密度で云え
ば0.94g/cc以上である。更に共重合成分は15
 mol%以下で、前記の密度を維持するものが好まし
い。更に通常知られているポリマー添加剤、即ち熱安定
剤、光安定剤、滑剤、核剤、架橋剤、可塑剤及び充填剤
等がポリマーに含まれていても良い。
【0060】本発明に用いる装置は、溶液調整装置及び
減圧オリフィス・減圧室・紡糸口金から成る紡糸装置を
備えていれば良い。其の先に三次元網状繊維を開繊・分
散させる装置、開繊・分散した網状繊維をシート状にす
る移動するコンベア装置、更に得られたシートを巻き取
る巻取機がある。シート形成部は密閉ボックス内に収納
され、ボックス内の溶媒ガスは回収される。溶液調整装
置は、オートクレーブ装置でも良いし、押出機でも良い
。或いは、従来公知の装置を用いることも出来る。中で
も押出機を用いるポリマー溶液調整法が好ましい。本発
明に用いる溶剤は、可能な限り熱履歴を与えない方が良
い。押出機法は、滞留時間が短く溶剤の熱劣化を避ける
ことが出来る。
【0061】
【実施例】以下に実施例をもって、本発明の内容を説明
する。この実施例は、本発明の内容を具体的に示すため
のものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するもの
ではない。実施例にて用いる溶液調整点は、ポリマー溶
液を作り出した際の温度・圧力条件を示し、曇点曲線図
上で点で表示できるのでこの用語を用いた。又同様に、
紡糸点は、ポリマー溶液を減圧し、相変化させて不透明
液にし、ノズルから紡出する際の減圧室の圧力条件を示
し、曇点曲線図上で点で表示できるのでこの用語を用い
た。ここで注意を要するのは紡糸点の温度である。溶液
調整点から紡糸点までの変化は、等エントロピー変化と
大まかには見做し得る。すると、必ず液温は低下する筈
である。所が、オートクレーブ実験の場合、紡糸が比較
的短時間で完了するために、この正確な検出が出来ない
。更に、ポリマーは、溶液調整点から紡糸点までの変化
においてほとんど体積変化が無いので、温度変化も無い
と見做し得る。その結果として、見掛け上温度は余り変
化しないと見做し得る。そこで、大まかなところ、紡糸
点の温度は溶液調整点の温度に近いと見てよい。
【0062】実施例の中にでてくる遊離フィブリル数は
、三次元網状繊維の開繊性を示す尺度であり、この値が
 300以上であれば緻密で均一な斑の無い不織布シー
トが得られる。これに対して、 100以下であれば不
均一で極めて斑の多いシートとなり、全く実用に耐えな
いものになる。 100〜300の間のものは、高度な
用途には、多少無理があるが、それほど高い性能を要し
ない一般用途には充分使うことが出来る。
【0063】実施例中の開繊性の評価の尺度は、「○」
であれば遊離フィブリル数が 300以上、「△−○」
であれば 100〜 300の間、「×」であれば 1
00以下である。 「×」のものは使用出来ないことを示す。又、遊離フィ
ブリル数の測定法は、以下の様にして行った。三次元網
状繊維は、微細な多数の短繊維(単糸)が網状に連なっ
た構造をしている。この一本一本の繊維の数が、同一デ
ニールで比較して多い程、良く開繊している三次元網状
繊維である。遊離フィブリル数は、紡糸口金の先端から
約25mmの位置に約45°に傾いた銅板に、紡出され
たガスジェットを繊維を含んだままを衝突させて得た開
繊糸を用いて測定する。サンプリングした開繊糸を静か
にガラス板の間に挾み、対物レンズ1.6倍、接眼レン
ズ10倍の光学顕微鏡を繊維幅方向に移動させながら、
視野の中にある一本一本の単糸の数を数え、それを 1
00デニール当たりに換算して遊離フィブリル数とする
【0064】
【実施例1】内容積550cm3で耐圧 350kgf
/cm2 の攪拌器付きオートクレーブに、メルトイン
デックス(MI)0.78、密度0.96g/ccの高
密度ポリエチレン76.3gを加え、オートクレーブの
蓋をした後、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(
HCFC−142b) 227.5gと1,2−ジクロ
ロプロパン(DCP)306.2gを高圧定量ポンプで
オートクレーブに充填した。その後攪拌器を回転させな
がらヒーターを通電して加熱し、 HCFC−142b
: DCP=42.6:57.4(重量比)の溶剤から
成るポリマー濃度12.5wt%のフラッシュ紡糸のた
めの溶液を作った。
【0065】溶解は常に液封の状態で行い、圧力が 3
50kgf/cm2 近辺に近づくと液抜きを行いなが
らポリマー溶液を調整した。液抜き量は僅かなのでポリ
マー濃度の変化は殆どない。そして最終的に温度 21
0℃、圧力 164kgf/cm2 とした。次に攪拌
器を停止し、蓄圧機から 172kgf/cm2 のN
2 ガスを導入し、このガスで直接溶液を加圧しながら
、素早くオートクレーブ下部の放出バルブを開放し紡糸
した。
【0066】この時、オートクレーブの放出バルブの先
に寸法が以下の減圧オリフィス、減圧室、ノズル及びノ
ズルと中心軸の一致する円形の貫通孔を有する部品を、
この順番に組み込んだ紡糸口金を付設した。即ち、内径
0.65mmφで長さが5mmの減圧オリフィス、内径
8mmφで長さが40mmの減圧室からノズルへの導入
角が60°となっている減圧室、内径0.5mmφで長
さが0.5mmのノズル、ノズル中心軸と同軸の内径3
.0mmφで長さが3.0mmの貫通孔を有する部品で
ある。
【0067】オートクレーブはアルミ鋳込みヒーターで
加熱され、紡糸口金はリボンヒーターで保温されている
。そしてこの紡糸口金を通過させて、溶液を大気中に放
出して紡出した。この時減圧室の圧力は 121kgf
/cm2 であった。従って、溶液調整点は 210℃
、 172kgf/cm2 、紡糸点は 121kgf
/cm2 となる。
【0068】繊維の開繊は、紡糸口金から約25mm離
れた位置で約45°に傾けた銅板に当てて作った。得ら
れた繊維の性能は、開繊性の優れたもので遊離フィブリ
ル数は 310であった。更に強度は6.2g/d有り
、デニールから求めた紡速は 211m/sであった。 又、紡糸口金を出た直後の紡糸ジェットには、綺麗な数
珠玉模様が観測された。この時特異点Tαは 194℃
、Pαは 142kgf/cm2 であった。特異点温
度を越える温度域の透明液相から紡糸することにより優
れた品質の高密度ポリエチレン三次元網状繊維を製造す
ることが出来た。
【0069】
【比較例1】実施例1と同様の装置を用いて且つ同様の
方法で溶液を調整し以下の条件で紡糸した。即ち、実施
例1と同じ溶剤組成の濃度12.5wt%のポリマー溶
液を、特異点温度 194℃より低い温度、即ち溶液調
整点 175℃、 186kgf/cm2 で調整し、
紡糸点 136kgf/cm2 にて紡糸した。得られ
た繊維の性能は、開繊性が悪く遊離フィブリル数が42
にしかならず、事実上使用出来ないものであった。更に
、繊維に毛羽が多く、単糸の塊が沢山含まれていた。参
考までに強度を測定すると、4.2g/dしかなかった
。この様に本発明とは異なる方法では、実用に供しえる
網状繊維は得られなかった。
【0070】
【実施例2,3】更に、溶剤組成を変化させて紡糸を行
った。即ち、実施例1と同じオートクレーブに、実施例
1と同様の高密度ポリエチレン76.3gを加え、オー
トクレーブの蓋をした後、HCFC−142b を 2
24.2gとDCPを 309.5gの混合物を高圧定
量ポンプで充填し、然る後攪拌器を回転させながらヒー
ターを通電して加熱し、 HCFC−142b: DC
P=40:60(重量比)の溶媒から成るポリマー濃度
12.5wt%のフラッシュ紡糸のための溶液を作った
。他の紡糸装置及び方法は実施例1と同じものである。 その結果を表2に示す。この結果からも明らかな様に、
開繊性に優れ且つ強度も高い網状繊維が得られた。
【0071】
【表2】
【0072】
【実施例4】更にポリマー濃度を変えて、実施例2,3
と同様の溶剤組成でフラッシュ紡糸を行った。即ち、実
施例1と同じ装置に実施例1と同様に高密度ポリエチレ
ン96.4gを加え、オートクレーブの蓋をした後、H
CFC−142b を 205.4g及びDCPを30
8.2g混合して得た溶剤を高圧定量ポンプにてオート
クレーブに充填した。然る後電熱ヒーターで加熱し、 
HCFC−142b: DCP=40:60(重量比)
の溶剤組成からなるポリマー濃度15.8wt%のフラ
ッシュ紡糸のための溶液を作った。更に、実施例1と同
じ紡糸装置及び同じ紡糸方法でフラッシュ紡糸を行った
【0073】即ち、溶液調整点 200℃、 162k
gf/cm2 で調整し、紡糸点79kgf/cm2 
にて紡糸した。得られた繊維は、開繊性が優れ、その上
強度も高い良質な三次元網状繊維であった。具体的に繊
維の物性値を示すと、引張り強度は6.4g/d、比表
面積は24.6m2 /g、開繊糸の遊離フィブリル数
は 367本/ 100であった。
【0074】
【実施例5】内容積550cm3で耐圧 350kgf
/cm2 の攪拌器付きオートクレーブに、メルトイン
デックス(MI)0.78、密度0.96g/ccの高
密度ポリエチレン76.7gを加え、オートクレーブの
蓋をした後、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(
HCFC−142b) 214.4gと1,2−ジクロ
ロプロパン(DCP)134.0g及びブロモクロロメ
タン(BCM)187.6gを高圧定量ポンプでオート
クレーブに充填した。その後攪拌器を回転させながらヒ
ーターを通電して加熱し、 HCFC−142b: D
CP: BCM=40:25:35(重量比)の溶媒か
ら成るポリマー濃度12.5wt%のフラッシュ紡糸の
ための溶液を作った。
【0075】溶解は常に液封の状態で行い、圧力が 3
50kgf/cm2 近辺に近づくと液抜きを行いなが
らポリマー溶液を調整した。液抜き量は僅かなのでポリ
マー濃度の変化は殆どない。そして最終的に温度 21
1℃、圧力 162kgf/cm2 とした。次に攪拌
器を停止し、蓄圧機から 170kgf/cm2 のN
2 ガスを導入し、このガスで直接溶液を加圧しながら
、素早くオートクレーブ下部の放出バルブを開放し紡糸
した。
【0076】この時、オートクレーブの放出バルブの先
に寸法が以下の減圧オリフィス、減圧室、ノズル及びノ
ズルと中心軸の一致する円形の貫通孔を有する部品を、
この順番に組み込んだ紡糸口金を付設した。即ち、内径
0.65mmφで長さが5mmの減圧オリフィス、内径
8mmφで長さが40mmの減圧室からノズルへの導入
角が60°となっている減圧室、内径0.5mmφで長
さが0.5mmのノズル、ノズル中心軸と同軸の内径3
.0mmφで長さが3.0mmの貫通孔を有する部品で
ある。
【0077】オートクレーブはアルミ鋳込みヒーターで
加熱され、紡糸口金はリボンヒーターで保温されている
。そしてこの紡糸口金を通過させて、溶液を大気中に放
出して紡出した。この時減圧室の圧力は 115kgf
/cm2 であった。従って、溶液調整点は 211℃
、 162kgf/cm2 、紡糸点は 115kgf
/cm2 となる。
【0078】繊維の開繊は、紡糸口金から約25mm離
れた位置で約45°に傾けた銅板に当てて作った。得ら
れた繊維の性能は、開繊性の優れたもので遊離フィブリ
ル数は 368であった。更に強度は6.0g/d有り
、デニールから求めた紡速は 190m/sであった。 又、紡糸口金を出た直後の紡糸ジェットには、綺麗な数
珠玉模様が観測された。この時特異点Tαは 188℃
、Pαは 129kgf/cm2 であった。特異点温
度を越える温度域の透明液相から紡糸することにより優
れた品質の高密度ポリエチレン網状繊維を製造すること
が出来た。
【0079】
【比較例2】実施例5と同様の装置を用いて且つ同様の
方法で溶液を調整し以下の条件で紡糸した。即ち、実施
例1と同じ溶剤組成の濃度12.5wt%のポリマー溶
液を、特異点温度 188℃より低い温度、即ち溶液調
整点 173℃、 181kgf/cm2 で調整し、
紡糸点 114kgf/cm2 にて紡糸した。得られ
た繊維の性能は、開繊性が悪く遊離フィブリル数が31
にしかならず、事実上使用出来ないものであった。更に
、繊維に毛羽が多く、単糸の塊が沢山含まれていた。参
考までに強度を測定すると、3.6g/dしかなかった
。この様に本発明とは異なる方法では、実用に供しえる
網状繊維は得られなかった。
【0080】
【本発明の効果】本発明のフラッシュ紡糸法を用いるこ
とにより、地球を取り巻くオゾン層を破壊すること無く
、更には地球の温暖化にも悪影響を及ぼさずに社会的に
有用な網状繊維が容易に得られる。特に開繊性に優れ且
つ又強度の優れたポリオレフィンの三次元網状繊維が安
定して得られ、この三次元網状繊維から均一性の高い、
その結果として社会的有用性の大きな不織布シートが容
易に作れる優れたフラッシュ紡糸方法を得た。
【0081】その上、従来の特定フロンの持つ優れた特
性、即ち不燃・無毒に匹敵する燃焼性の低い、且つ毒性
の少ないフラッシュ紡糸方法を見出した。このことは、
地球環境保護を満足するのみでなく、労働安全衛生面で
も極めて優れたフラッシュ紡糸法である。更に、ポリオ
レフィンの溶解性を従来公知の方法と同程度に出来たた
め、従来法で製造している装置を特別改造することも無
く、そのまま使用できる。この経済的効果は極めて大き
い。従って、本発明の社会的価値は計り知れないものが
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマー溶液の曇点及び特異点を測定
するための光学窓付きオートクレーブ装置の略図である
【図2】本発明の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタ
ン(HCFC−142b)と1,2−ジクロロプロパン
(DCP)との溶剤から成るポリマー溶液の曇点曲線の
1例である。特異点の温度Tα・圧力Pαの位置及び液
の透明性を表す。図中の記号「○」は HCFC−14
2b/ DCP=45:55(重量比)、記号「▽」は
 HCFC−142b/ DCP=42.6:57.4
(重量比)、記号「△」は HCFC−142b/ D
CP=40:60(重量比)の溶剤組成の曇点曲線を示
す。また、ポリマーは、メルトインデックス:0.78
、密度:0.95g/ccで溶液のポリマー濃度は12
.5wt%である。
【図3】本発明の1−クロロ−1,1−ジフルオロエタ
ン(HCFC−142b)と1,2−ジクロロプロパン
(DCP)とブロモクロロメタン(BCM)との溶剤か
ら成るポリマー溶液の曇点曲線の1例である。特異点の
温度Tα・圧力Pαの位置及び液の透明性を表す。図中
の記号「○」は HCFC−142b/ DCP/ B
CM=45:30:25(重量比)、記号「□」は H
CFC−142b/ DCP/ BCM=40:25:
35(重量比)の溶剤組成の曇点曲線を示す。また、ポ
リマーは、メルトインデックス:0.78、密度:0.
95g/ccで溶液のポリマー濃度は12.5wt%で
ある。
【符号の説明】 1…光学窓付きオートクレーブ 2…締め付けボルト 3…攪拌器 4…バルブ 5…温度検出用端子 6…ダイヤフラム式圧力検出用端子 7…光学窓 8…光源 9…受光器 10…液用増圧器 11〜13…バルブ 14…配管

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  ポリオレフィンと、ハロゲン化炭化水
    素を含む溶媒とから成る高温高圧の溶液を作り、減圧オ
    リフィス・減圧室・紡糸口金を通過させ、常温常圧域に
    放出して、フィブリル化したポリオレフィンの網状繊維
    を製造する方法において、ハロゲン化炭化水素として1
    −クロロ−1,1−ジフルオロエタンと1,2−ジクロ
    ロプロパンとを含む溶媒を用いて、該溶媒とポリオレフ
    ィン5〜25wt%とから成る溶液を、温度・圧力をそ
    れぞれ横軸・縦軸にとって表した曇点曲線に於いて下に
    凸の極小点を成す所の温度Tαを超える温度以上で且つ
    曇点圧力以上で調整し、次いで減圧室の圧力を該曇点圧
    力以下の圧力とすることを特徴とするポリオレフィンの
    三次元網状繊維の製造法。
  2. 【請求項2】  ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として
    、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン及び1,2−
    ジクロロプロパンに加えて更にブロモクロロメタンを含
    む溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載のポリオ
    レフィンの三次元網状繊維の製造法。
  3. 【請求項3】  ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として
    、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンが45wt%
    以下、1,2−ジクロロプロパンが55wt%以上とか
    ら成る溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載のポ
    リオレフィンの三次元網状繊維の製造法。
  4. 【請求項4】  ハロゲン化炭化水素を含む溶媒として
    、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタンが45wt%
    以下、1,2−ジクロロプロパンとブロモクロロメタン
    との和が55wt%以上とから成る溶媒を用いることを
    特徴とする請求項2記載のポリオレフィンの三次元網状
    繊維の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006500482A (ja) * 2002-09-25 2006-01-05 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 表面修飾した網状フィラメント構造体およびその組成物

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