JPH04352811A - ポリエチレンナフタレート繊維およびその製造方法 - Google Patents
ポリエチレンナフタレート繊維およびその製造方法Info
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- JPH04352811A JPH04352811A JP14525391A JP14525391A JPH04352811A JP H04352811 A JPH04352811 A JP H04352811A JP 14525391 A JP14525391 A JP 14525391A JP 14525391 A JP14525391 A JP 14525391A JP H04352811 A JPH04352811 A JP H04352811A
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Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度でかつ熱安定性
、耐クリープ性に優れたポリエチレンナフタレート繊維
およびその製造方法に関し、特にタイヤコードやベルト
材などの産業資材に使用される補強繊維に好適な繊維お
よびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレンナフタレート(以下PEN
と略称することがある)繊維は産業資材用の繊維の主力
であるポリエチレンテレフタレート繊維と比較して高弾
性率、低収縮性、ゴム中での優れた耐熱強力などの特徴
を持つが故に、PEN繊維をタイヤコードを始めとする
産業資材用の繊維に用いる提案がなされている。PEN
はその分子鎖の剛直性から溶融粘度が高く、また2次転
移点も113℃と高いことから、高強力を得るための紡
糸、延伸法を見出すことに力点がおかれ、産業資材に不
可欠なその他の特性、例えば熱安定性、耐クリープ性な
どには特には注意が払われてはいなかった。 【0003】例えば特公昭55−1371号公報では、
特定の延伸条件を用いることで、最高10.3g/de
の高強力化を達成しているものの、沸水収縮の値は2.
3%でしかない。この沸水収縮値は180℃乾熱収縮率
に換算すると8〜10%程度と推定され、ポリエチレン
テレフタレート糸対比では熱安定性は良いもののまだP
EN繊維の性能を充分に発揮しているとはいいがたいレ
ベルである。また、逆に熱安定性が向上した例としては
沸水収縮が0.8%(180℃乾熱収縮率では4%以下
と推定される)の場合が記載されているが、強度レベル
は9.3g/deであり、PENの分子鎖の剛直性から
見て、PENの性能を充分に発揮しているとは言いがた
い。 【0004】また特開昭62−156312号公報には
紡糸速度を1,500m/分以上の高紡速にすることに
より、180℃乾熱収縮率を3%以下に抑える提案がな
されているが、その最高強度は8.8g/deの低レベ
ルに留まっている。 【0005】繊維をタイヤコードとして使用する場合に
は、繊維の温度は120℃程度の高温にまで昇温すると
言われているが、このような高温で繰り返し伸長、圧縮
荷重が負荷されると、繊維は伸長し、劣化してしまう。 従って、昇温時のクリープ特性は産業資材用繊維として
重要な特性である。しかし、産業資材用に提案されたP
EN繊維あるいはその製造方法に関する文献においては
、クリープ特性の改善については何ら提案されていない
のが現状である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、高強度、高
弾性率でかつ熱安定性、耐クリープ性に優れたポリエチ
レンナフタレート繊維およびその製造方法を提供するこ
と、特にタイヤコードやベルト材の補強用に好適な該繊
維およびその製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、エチレン−2
,6−ナフタレート単位を90モル%以上含みかつ極限
粘度が0.65以上であるポリエチレンナフタレートか
らなる繊維であって、下記の特性を満足する高強力で熱
安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維である。 (ア)強度≧10.0g/de (イ)弾性率≧250g/de (ウ)Δn≧0.34 (エ)180℃乾熱収縮率≦6% (オ)120℃クリープ率≦4% (カ)結晶融点≧280℃ (キ)密度≦1.370g/cm3 【0008】本発明でいうポリエチレンナフタレートは
、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以
上含んでおればよく、10モル%以下の割合で適当な第
3成分を含む重合体であっても差し支えない。一般にポ
リエチレン−2,6−ナフタレートは、ナフタレン−2
,6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体を触媒の存
在下適当な反応条件のもとにエチレングリコールと縮重
合せしめることによって合成される。このとき、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1
種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合ポリ
エステルが合成される。 【0009】適当な第3成分としては、(a)2個のエ
ステル形成性官能基を有する化合物;例えばシュウ酸、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの
脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シ
クロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸な
どの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸;グリコー
ル酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香
酸などのオキシカルボン酸;プロピレングリコール、ト
リメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオ
ペンチレングリコール、p−キシリレングリコール、1
,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA
、p,p′−ジフェノキシスルホン−1,4−ビス(β
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−
β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアル
キレングリコール、p−フェニレンビス(ジメチルシク
ロヘキサン)などのオキシ化合物;それらの機能的誘導
体;前記カルボン酸、オキシカルボン酸、オキシ化合物
またはそれらの機能的誘導体から誘導される高重合度化
合物や、(b)1個のエステル形成性官能基を有する化
合物、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メト
キシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。 【0010】さらに(c)3個以上のエステル形成性官
能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリス
ルトール、トリメチロールプロパンなども重合体が実質
的に線状である範囲内で使用可能である。また、前記ポ
リエステル中に二酸化チタンなどの艶消剤やリン酸、亜
リン酸およびそれらのエステルなどの安定剤が含まれて
いてよいことはいうまでもない。 【0011】本発明のポリエチレンナフタレート繊維は
、その延伸糸の極限粘度が0.65以上、好ましくは0
.7〜1.0である。本発明でいう極限粘度は、ポリマ
ーあるいは未延伸糸をフェノールとオルトジクロロベン
ゼンとの混合溶媒に(容量比6:4)に溶解し、35℃
で測定した粘度から求めた値である。極限粘度が0.6
5未満では高強度、高タフネスな糸質の繊維は得られな
い。なお、極限粘度が1.0を超えるような繊維は、紡
糸工程が不良となりやすく、実用上望ましくない。 【0012】本発明のPEN繊維は、高強力、高弾性率
であると共に、熱安定性、耐クリープ性にすぐれており
、特にタイヤコードやベルト材の補強用に好適な繊維で
あり、その繊維は、下記(ア)〜(キ)の特性を満足す
る。 (ア)強度≧10.0g/de (イ)弾性率≧250g/de (ウ)Δn≧0.34 (エ)180℃乾熱収縮率≦6% (オ)120℃クリープ率≦4% (カ)結晶融点≧280℃ (キ)密度≦1.370g/cm3 【0013】強度が10.0g/de未満では耐久性が
劣り好ましくない。強度は好ましくは10.5g/de
以上である。また、弾性率が250g/de未満では、
特に例えばラジアルタイヤのベルト材に用いた場合耐久
性が劣ってくる。弾性率は好ましくは265g/de以
上である。このような高強力、高弾性率を発現するため
には、繊維の微細構造面からは複屈折率、Δnが0.3
4以上である必要がある。 【0014】産業資材としては、高強力、高弾性率のみ
では充分でなく、熱的安定性も不可欠な特性である。特
にPEN繊維は熱的安定性に優れるので、その特性を充
分に活用できれば従来よりはるかに優れた産業資材が得
られることになる。熱的安定性の尺度として通常用いら
れる乾熱収縮率は、その温度に繊維を放置したときの寸
法安定性であり、この乾熱収縮率が6%以下であること
が必要である。乾熱収縮率が6%を超えると熱寸法安定
性の面で劣ってくる。 【0015】さらに、実際に繊維が産業資材として用い
られる場合には、昇温下に荷重を受ける場合がむしろ通
常であり、従って、昇温、荷重下での繊維の伸長に対す
る抵抗が重要となる。この要因に対しては、120℃、
4g/de荷重下での15時間後のクリープが4%以下
であることが適切である。120℃、4g/de荷重下
での15時間後のクリープが4%を超えると昇温荷重下
での耐久性が劣ってくる。ここで注意をしなければなら
ないのは、通常、乾熱収縮率とクリープとは二律背反的
性格のものであり、乾熱収縮率が低い場合には、クリー
プが高くなることである。 【0016】上記のような特性を達成するためには、微
細構造的にも結晶化度が高いことが要求され、結晶の融
点が280℃以上である必要がある。結晶の融点が28
0℃未満では結晶の完全度が低いために耐久性が劣って
くる。しかし、結晶化度を高めるために、例えば5分と
いった長時間熱処理した場合には、結晶化度はたしかに
向上するが、繊維が劣化を受けるために強度や弾性率な
どの強度的性質や昇温下でのクリープ特性が低下してく
る。このような長時間熱処理の場合には、繊維の密度が
大になるが、繊維の密度が1.370g/cm3 以下
の場合には強度的性質の劣化やクリープ特性の低下は防
止できることも判明した。 【0017】このようなPEN繊維は、エチレン−2,
6−ナフタレート単位を90モル%以上含み、かつ極限
粘度が0.7以上のポリエチレンナフタレート樹脂を溶
融紡糸−熱延伸する際に、 (ク)紡糸口金の直下に、長さ20〜50cm、雰囲気
温度275〜350℃の加熱筒を設置し、(ケ)紡糸速
度1,000m/分以下、紡糸ドラフト20〜250で
引き取り、 (コ)未延伸糸の複屈折率を0.025以下として、(
サ)該未延伸糸を一旦巻き取るか、あるいは、巻き取ら
ずに直接熱延伸工程に供給し、全延伸倍率の80%以上
の倍率で第1段延伸を行ったのち、 (シ)第2段延伸以降の延伸としてローラ温度190〜
235℃の加熱ローラを用いて少なくとも1段以上の緊
張延伸を行い、 (ス)225〜250℃の温度の加熱ローラと非加熱ロ
ーラとの間で定長あるいは0〜3.0%の制限収縮を行
った後、巻き取ることにより製造される。 【0018】以下本発明の製造方法を詳細に説明する。 本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、極限粘度が
0.7以上、好ましくは0.8〜1.0のポリエチレン
ナフタレート樹脂を溶融紡糸するに際し、紡糸口金から
吐出後、長さ20〜50cm、雰囲気温度が275〜3
50℃の加熱筒を通過せしめ、冷却風にて冷却固化せし
める。次いで、油剤を付与した後、紡糸速度を1,00
0m/分以下、紡糸ドラフトを20〜250、かつ未延
伸段階での複屈折率、Δnを0.025以下として一旦
巻き取るか、あるいは巻き取らずに直接熱延伸工程に供
給する。 【0019】ポリエチレンナフタレート樹脂の極限粘度
が0.7未満では高強度で高弾性率を示す繊維が得られ
ない。また、口金下の加熱筒の温度が275℃未満であ
ったり、加熱筒の長さが20cm未満であると、ポリエ
チレンナフタレート樹脂が粘稠であるため、糸条の円滑
な吐出ができず、断糸が発生したり、あるいは断糸に到
らずとも、糸条間や糸条長さ方向に繊径斑が発生して糸
質が低下してしまう。逆に、加熱筒の温度が380℃を
超えたり、加熱筒の長さが50cmを超えると、吐出直
後の糸条が張力が低すぎために、糸条の揺れが大きく、
紡糸が不安定になり、断糸が発生しやすくなる。 【0020】さらに紡糸速度が1,000m/分を超え
ると、得られる未延伸糸のΔnが大となり延伸性が低下
する。紡糸速度は500m/分以下が好ましい。紡糸ド
ラフトは、紡糸巻き取り速度と紡糸吐出線速度の比とし
て定義されるが、下記式(1)で求めた。 紡糸ドラフト=πD2 V/4W・・・・・(1)(式
中、Dは口金の孔径を、Vは紡糸巻取り速度を、Wは単
孔あたりの体積吐出量を示す。)紡糸ドラフトが250
を超えると、Δnがアップするほか、未延伸糸の繊径斑
が大となり紡糸調子が低下したり、紡糸調子は低下しな
くとも延伸性が低下する。一方、紡糸ドラフトが20未
満では、紡糸糸条の揺れが大きく、紡糸安定性に欠ける
。 【0021】また未延伸糸のΔnが0.025を超える
と、延伸性が低下し、本発明で特定する高強力、高弾性
率繊維が得られない。Δnは0.01以下であることが
好ましい。糸条を吐出させる口金の孔形状は特に限定さ
れないが、導入孔長(L)と孔径(D)との比、L/D
が5以上、特に好ましくは10以上になると延伸糸の乾
熱収縮率が低くなり好ましい。 【0022】このようにして得られた未延伸糸の熱延伸
方法について次に説明する。本発明の延伸は、少なくと
も2段の延伸工程と最終段での定長あるいは制限熱収縮
工程とからなる。本発明での延伸工程は、紡糸工程で一
旦巻き取った未延伸糸を用いるいわゆる別延伸を用いて
も、あるいは紡糸工程では巻き取らずに延伸工程に直接
未延伸糸を供給するいわゆる直延伸法を用いてもかまわ
ない。 【0023】まず、第1段延伸にては、全延伸倍率の8
0%以上の倍率で延伸を行う。第1段延伸の倍率が全延
伸倍率の80%未満では到達強度や到達弾性率が本発明
で特定する値に達しない。第1段延伸は通常は150〜
170℃の加熱供給ローラを用いて延伸する。延伸温度
が150℃未満では予熱が不充分であり、無理に引っ張
る結果となり、全延伸倍率も低い値に留まる。一方、該
ローラ温度が170℃を超えると延伸時に結晶化が起こ
り、全延伸倍率が低い値に留まる。 【0025】次いで、第2段延伸以降の延伸としてロー
ラ温度190〜235℃の加熱ローラを用いて少なくと
も1段以上の緊張延伸を行う。この延伸は第2段延伸と
して通常実施することができるが、もちろん第3段延伸
あるいは第4段延伸以降の延伸でおこなっても差し支え
ない。但し、第3段延伸以降に行う場合には、段数と共
に延伸温度が高温になるように留意すべきである。通常
、工業的には設備費の面などの制約から第2段延伸で上
記で特記した延伸を実施する。第2段延伸として行う場
合は、第1段の延伸ローラ温度を190〜235℃とし
、第2段延伸ローラとの間で行うことになる。この温度
が190℃未満では次工程で制限収縮を行っても熱安定
性が充分とはならなくなる。また、235℃を超えると
高温過ぎるために高延伸張力に耐えきれず、高倍率延伸
が実質上できなくなり、高強力、高弾性率繊維が得られ
ない。 【0026】この延伸に際してローラ間に200〜23
5℃の加熱プレートを併用して延伸を実施することが好
ましい。加熱プレートを用いることで高延伸倍率化効果
があると共に、熱セット時間が長くなるので熱安定性の
向上効果もある。加熱プレートの代わりに、糸温度が実
質200〜235℃となるように温度設定した加熱オー
ブンなどの使用も好ましい。 【0027】第2段延伸ローラとして糸条入り側の奥部
から糸条出側の先端部になるにつれてローラ径が大にな
るいわゆる逆テーパーローラを用いることが好ましい。 この第2段延伸ローラのみで第2段および第3段延伸が
可能となるからである。特に逆テーパーローラの温度が
奥側から先端部になるにつれて高温となる温度勾配型逆
テーパーローラが好ましい。逆テーパーローラで延伸倍
率1.00〜1.10程度が可能である。 【0028】引き続き、延伸最終段の延伸加熱ローラと
非加熱の巻取りローラ間で熱セットを行う。この時延伸
加熱ローラの温度は225〜250℃とし、熱セットは
定長あるいは0〜3.0%、好ましくは2%以下の制限
収縮を行う必要がある。加熱ローラ温度が225℃未満
では熱セットの効果が充分ではなく、乾熱収縮率が高く
なる。また、加熱ローラ温度が250℃を超えると、糸
条に熱劣化の傾向が認められ、強度が低下してくる。ま
た、熱セットが緊張サイドになると乾熱収縮率が高くな
る。逆に熱セット時の収縮度合いが3.0%を超えると
乾熱収縮率は非常に低くくなるものの、負荷荷重時に伸
長しやすくなり、いわゆる耐クリープ性が低下してくる
。 【0029】元々乾熱収縮率で代表される寸法安定性と
耐クリープ性とは相反する性質のものであり、また、乾
熱収縮率と強度的性質も相反する傾向を示す。このため
に、本発明で特定する強度10g/de以上、弾性率2
50g/de以上という高強度、高弾性率特性を有し、
さらに180℃乾熱収縮率が6%以下という優れた寸法
安定性を保持したうえで、120℃、4g/deの荷重
下で15時間後のクリープが4%以下という優れた耐ク
リープ性を示すためには、紡糸方法を特定したうえにさ
らに狭い範囲に絞った延伸方法が必要となるのである。 【0030】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。本発明で用いた構造、物性値の測定法をまず
説明する。 強度、伸度 JIS L 1070により測定した。 弾性率 岩本製作所製粘弾性測定器“スペクトロメーター”を用
いて、室温、10Hzで測定した動的弾性率(E′)を
用いた。 【0031】180℃乾熱収縮率 JIS L 1017−1963(5,12)に準
拠して測定した。 クリープ率 室温で4g/deの荷重を繊維に加え、120℃に昇温
荷重下に15時間保持し、クリープさせた後、荷重下に
室温に降温、しかるのち除重し、室温除重時における繊
維長のクリープテスト前後の変化から求めた。なお、こ
こで除重時とよぶのは、実際には0.2g/deの小荷
重をかけた状態をいう。 【0032】結晶融点 パーキンエルマー社製DSC−1型を用いて昇温速度1
0℃/分で測定した場合の吸熱ピーク値をもって結晶融
点とした。 Δn ベレックのコンペンセーターを用いてリターデーション
法により求めた(詳細については共立出版「高分子実験
学講座、高分子の物性II」を参照)。 密度 四塩化炭素とn−ヘプタンを用い、密度勾配管法によっ
て求めた値である。 【0033】実施例1〜6、比較例1〜7極限粘度0.
90のポリエチレン−2,6−ナフタレートを孔数24
ホール、孔径0.40mmの円形紡糸孔(L/D=2)
を有する紡糸口金からポリマー温度312℃で溶融紡糸
する際、紡糸口金の下部に設置した長さ40cm、33
0℃の加熱筒を通過せしめたのち、長さ30cmにわた
って相対湿度65%、温度25℃の冷却風にて冷却固化
させた。冷却固化された糸条はオイリングローラで油剤
を付与したのち、750m/分で巻き取った。この時ド
ラフトは60であり、未延伸糸の極限粘度は0.78、
繊度は1,080デニール、複屈折率は0.014であ
った。 【0034】未延伸糸を1%のプリテンションをかけた
後、加熱供給ローラ(FR)と第1段延伸ローラ(1R
)との間で第1段延伸(倍率DR1)を行い、次いで第
1段延伸ローラ(加熱)とその直後に設置した加熱プレ
ート(HP、70cm)を併用して第1段延伸ローラと
第2段延伸ローラ(2R)間にて第2段延伸(倍率DR
2)を実施した。 【0035】さらに、熱セット工程として第2段延伸ロ
ーラ(加熱)と非加熱の巻き取りローラ(WR)間で定
長熱セットあるいは収縮熱セット(倍率DR3)を行っ
て1,500m/分にて巻き取った。この時、ローラお
よび加熱プレートとの表面温度、各段の延伸倍率、全延
伸倍率(TDR)、延伸調子を表1に、また延伸糸の特
性値を表2に示す。 【0036】 【表1】 【0037】 【表2】 【0038】実施例7〜9、比較例8〜10口金孔径(
ただし、L/D=2)、吐出量および紡糸速度を表3の
ように変化させる以外は実施例3と同様にして紡糸し、
続いて実施例3と同様の延伸温度で延伸した。この時の
紡糸、延伸条件を表3に示す。なお、未延伸糸の極限粘
度はいずれも0.78であった。得られた延伸糸の特性
値を表4に示す。 【0039】実施例10 紡糸口金のL/Dを10とした以外は実施例7と同様に
して紡糸、延伸を行った。この時の紡糸、延伸条件を表
3に、得られた延伸糸の特性値を表4に示す。 【0040】実施例11 DR2=1.16、2Rを逆テーパーローラ(糸入り側
温度225℃、糸出側温度233℃)として、1.03
倍延伸した以外は実施例3と同様にして紡糸、延伸を行
った。この時の紡糸、延伸条件を表3に、得られた延伸
糸の特性値を表4に示す。 【0041】 【表3】 【0042】 【表4】 【0043】 【発明の効果】本発明によれば、高強度、高弾性率でか
つ熱安定性、耐クリープ性に優れたポリエチレンナフタ
レートを提供することができ、特にタイヤコードやベル
ト材などの産業資材用補強繊維として好適な繊維を提供
することができる。
、耐クリープ性に優れたポリエチレンナフタレート繊維
およびその製造方法に関し、特にタイヤコードやベルト
材などの産業資材に使用される補強繊維に好適な繊維お
よびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレンナフタレート(以下PEN
と略称することがある)繊維は産業資材用の繊維の主力
であるポリエチレンテレフタレート繊維と比較して高弾
性率、低収縮性、ゴム中での優れた耐熱強力などの特徴
を持つが故に、PEN繊維をタイヤコードを始めとする
産業資材用の繊維に用いる提案がなされている。PEN
はその分子鎖の剛直性から溶融粘度が高く、また2次転
移点も113℃と高いことから、高強力を得るための紡
糸、延伸法を見出すことに力点がおかれ、産業資材に不
可欠なその他の特性、例えば熱安定性、耐クリープ性な
どには特には注意が払われてはいなかった。 【0003】例えば特公昭55−1371号公報では、
特定の延伸条件を用いることで、最高10.3g/de
の高強力化を達成しているものの、沸水収縮の値は2.
3%でしかない。この沸水収縮値は180℃乾熱収縮率
に換算すると8〜10%程度と推定され、ポリエチレン
テレフタレート糸対比では熱安定性は良いもののまだP
EN繊維の性能を充分に発揮しているとはいいがたいレ
ベルである。また、逆に熱安定性が向上した例としては
沸水収縮が0.8%(180℃乾熱収縮率では4%以下
と推定される)の場合が記載されているが、強度レベル
は9.3g/deであり、PENの分子鎖の剛直性から
見て、PENの性能を充分に発揮しているとは言いがた
い。 【0004】また特開昭62−156312号公報には
紡糸速度を1,500m/分以上の高紡速にすることに
より、180℃乾熱収縮率を3%以下に抑える提案がな
されているが、その最高強度は8.8g/deの低レベ
ルに留まっている。 【0005】繊維をタイヤコードとして使用する場合に
は、繊維の温度は120℃程度の高温にまで昇温すると
言われているが、このような高温で繰り返し伸長、圧縮
荷重が負荷されると、繊維は伸長し、劣化してしまう。 従って、昇温時のクリープ特性は産業資材用繊維として
重要な特性である。しかし、産業資材用に提案されたP
EN繊維あるいはその製造方法に関する文献においては
、クリープ特性の改善については何ら提案されていない
のが現状である。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、高強度、高
弾性率でかつ熱安定性、耐クリープ性に優れたポリエチ
レンナフタレート繊維およびその製造方法を提供するこ
と、特にタイヤコードやベルト材の補強用に好適な該繊
維およびその製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、エチレン−2
,6−ナフタレート単位を90モル%以上含みかつ極限
粘度が0.65以上であるポリエチレンナフタレートか
らなる繊維であって、下記の特性を満足する高強力で熱
安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維である。 (ア)強度≧10.0g/de (イ)弾性率≧250g/de (ウ)Δn≧0.34 (エ)180℃乾熱収縮率≦6% (オ)120℃クリープ率≦4% (カ)結晶融点≧280℃ (キ)密度≦1.370g/cm3 【0008】本発明でいうポリエチレンナフタレートは
、エチレン−2,6−ナフタレート単位を90モル%以
上含んでおればよく、10モル%以下の割合で適当な第
3成分を含む重合体であっても差し支えない。一般にポ
リエチレン−2,6−ナフタレートは、ナフタレン−2
,6−ジカルボン酸またはその機能的誘導体を触媒の存
在下適当な反応条件のもとにエチレングリコールと縮重
合せしめることによって合成される。このとき、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1
種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合ポリ
エステルが合成される。 【0009】適当な第3成分としては、(a)2個のエ
ステル形成性官能基を有する化合物;例えばシュウ酸、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸などの
脂肪族ジカルボン酸;シクロプロパンジカルボン酸、シ
クロブタンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸な
どの脂環族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸などの芳香族ジカルボン酸;ジフェニルエーテルジ
カルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェ
ノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベン
ゼンスルホン酸ナトリウムなどのカルボン酸;グリコー
ル酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香
酸などのオキシカルボン酸;プロピレングリコール、ト
リメチレングリコール、ジエチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオ
ペンチレングリコール、p−キシリレングリコール、1
,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA
、p,p′−ジフェノキシスルホン−1,4−ビス(β
−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス(p−
β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ポリアル
キレングリコール、p−フェニレンビス(ジメチルシク
ロヘキサン)などのオキシ化合物;それらの機能的誘導
体;前記カルボン酸、オキシカルボン酸、オキシ化合物
またはそれらの機能的誘導体から誘導される高重合度化
合物や、(b)1個のエステル形成性官能基を有する化
合物、例えば安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メト
キシポリアルキレングリコールなどが挙げられる。 【0010】さらに(c)3個以上のエステル形成性官
能基を有する化合物、例えばグリセリン、ペンタエリス
ルトール、トリメチロールプロパンなども重合体が実質
的に線状である範囲内で使用可能である。また、前記ポ
リエステル中に二酸化チタンなどの艶消剤やリン酸、亜
リン酸およびそれらのエステルなどの安定剤が含まれて
いてよいことはいうまでもない。 【0011】本発明のポリエチレンナフタレート繊維は
、その延伸糸の極限粘度が0.65以上、好ましくは0
.7〜1.0である。本発明でいう極限粘度は、ポリマ
ーあるいは未延伸糸をフェノールとオルトジクロロベン
ゼンとの混合溶媒に(容量比6:4)に溶解し、35℃
で測定した粘度から求めた値である。極限粘度が0.6
5未満では高強度、高タフネスな糸質の繊維は得られな
い。なお、極限粘度が1.0を超えるような繊維は、紡
糸工程が不良となりやすく、実用上望ましくない。 【0012】本発明のPEN繊維は、高強力、高弾性率
であると共に、熱安定性、耐クリープ性にすぐれており
、特にタイヤコードやベルト材の補強用に好適な繊維で
あり、その繊維は、下記(ア)〜(キ)の特性を満足す
る。 (ア)強度≧10.0g/de (イ)弾性率≧250g/de (ウ)Δn≧0.34 (エ)180℃乾熱収縮率≦6% (オ)120℃クリープ率≦4% (カ)結晶融点≧280℃ (キ)密度≦1.370g/cm3 【0013】強度が10.0g/de未満では耐久性が
劣り好ましくない。強度は好ましくは10.5g/de
以上である。また、弾性率が250g/de未満では、
特に例えばラジアルタイヤのベルト材に用いた場合耐久
性が劣ってくる。弾性率は好ましくは265g/de以
上である。このような高強力、高弾性率を発現するため
には、繊維の微細構造面からは複屈折率、Δnが0.3
4以上である必要がある。 【0014】産業資材としては、高強力、高弾性率のみ
では充分でなく、熱的安定性も不可欠な特性である。特
にPEN繊維は熱的安定性に優れるので、その特性を充
分に活用できれば従来よりはるかに優れた産業資材が得
られることになる。熱的安定性の尺度として通常用いら
れる乾熱収縮率は、その温度に繊維を放置したときの寸
法安定性であり、この乾熱収縮率が6%以下であること
が必要である。乾熱収縮率が6%を超えると熱寸法安定
性の面で劣ってくる。 【0015】さらに、実際に繊維が産業資材として用い
られる場合には、昇温下に荷重を受ける場合がむしろ通
常であり、従って、昇温、荷重下での繊維の伸長に対す
る抵抗が重要となる。この要因に対しては、120℃、
4g/de荷重下での15時間後のクリープが4%以下
であることが適切である。120℃、4g/de荷重下
での15時間後のクリープが4%を超えると昇温荷重下
での耐久性が劣ってくる。ここで注意をしなければなら
ないのは、通常、乾熱収縮率とクリープとは二律背反的
性格のものであり、乾熱収縮率が低い場合には、クリー
プが高くなることである。 【0016】上記のような特性を達成するためには、微
細構造的にも結晶化度が高いことが要求され、結晶の融
点が280℃以上である必要がある。結晶の融点が28
0℃未満では結晶の完全度が低いために耐久性が劣って
くる。しかし、結晶化度を高めるために、例えば5分と
いった長時間熱処理した場合には、結晶化度はたしかに
向上するが、繊維が劣化を受けるために強度や弾性率な
どの強度的性質や昇温下でのクリープ特性が低下してく
る。このような長時間熱処理の場合には、繊維の密度が
大になるが、繊維の密度が1.370g/cm3 以下
の場合には強度的性質の劣化やクリープ特性の低下は防
止できることも判明した。 【0017】このようなPEN繊維は、エチレン−2,
6−ナフタレート単位を90モル%以上含み、かつ極限
粘度が0.7以上のポリエチレンナフタレート樹脂を溶
融紡糸−熱延伸する際に、 (ク)紡糸口金の直下に、長さ20〜50cm、雰囲気
温度275〜350℃の加熱筒を設置し、(ケ)紡糸速
度1,000m/分以下、紡糸ドラフト20〜250で
引き取り、 (コ)未延伸糸の複屈折率を0.025以下として、(
サ)該未延伸糸を一旦巻き取るか、あるいは、巻き取ら
ずに直接熱延伸工程に供給し、全延伸倍率の80%以上
の倍率で第1段延伸を行ったのち、 (シ)第2段延伸以降の延伸としてローラ温度190〜
235℃の加熱ローラを用いて少なくとも1段以上の緊
張延伸を行い、 (ス)225〜250℃の温度の加熱ローラと非加熱ロ
ーラとの間で定長あるいは0〜3.0%の制限収縮を行
った後、巻き取ることにより製造される。 【0018】以下本発明の製造方法を詳細に説明する。 本発明のポリエチレンナフタレート繊維は、極限粘度が
0.7以上、好ましくは0.8〜1.0のポリエチレン
ナフタレート樹脂を溶融紡糸するに際し、紡糸口金から
吐出後、長さ20〜50cm、雰囲気温度が275〜3
50℃の加熱筒を通過せしめ、冷却風にて冷却固化せし
める。次いで、油剤を付与した後、紡糸速度を1,00
0m/分以下、紡糸ドラフトを20〜250、かつ未延
伸段階での複屈折率、Δnを0.025以下として一旦
巻き取るか、あるいは巻き取らずに直接熱延伸工程に供
給する。 【0019】ポリエチレンナフタレート樹脂の極限粘度
が0.7未満では高強度で高弾性率を示す繊維が得られ
ない。また、口金下の加熱筒の温度が275℃未満であ
ったり、加熱筒の長さが20cm未満であると、ポリエ
チレンナフタレート樹脂が粘稠であるため、糸条の円滑
な吐出ができず、断糸が発生したり、あるいは断糸に到
らずとも、糸条間や糸条長さ方向に繊径斑が発生して糸
質が低下してしまう。逆に、加熱筒の温度が380℃を
超えたり、加熱筒の長さが50cmを超えると、吐出直
後の糸条が張力が低すぎために、糸条の揺れが大きく、
紡糸が不安定になり、断糸が発生しやすくなる。 【0020】さらに紡糸速度が1,000m/分を超え
ると、得られる未延伸糸のΔnが大となり延伸性が低下
する。紡糸速度は500m/分以下が好ましい。紡糸ド
ラフトは、紡糸巻き取り速度と紡糸吐出線速度の比とし
て定義されるが、下記式(1)で求めた。 紡糸ドラフト=πD2 V/4W・・・・・(1)(式
中、Dは口金の孔径を、Vは紡糸巻取り速度を、Wは単
孔あたりの体積吐出量を示す。)紡糸ドラフトが250
を超えると、Δnがアップするほか、未延伸糸の繊径斑
が大となり紡糸調子が低下したり、紡糸調子は低下しな
くとも延伸性が低下する。一方、紡糸ドラフトが20未
満では、紡糸糸条の揺れが大きく、紡糸安定性に欠ける
。 【0021】また未延伸糸のΔnが0.025を超える
と、延伸性が低下し、本発明で特定する高強力、高弾性
率繊維が得られない。Δnは0.01以下であることが
好ましい。糸条を吐出させる口金の孔形状は特に限定さ
れないが、導入孔長(L)と孔径(D)との比、L/D
が5以上、特に好ましくは10以上になると延伸糸の乾
熱収縮率が低くなり好ましい。 【0022】このようにして得られた未延伸糸の熱延伸
方法について次に説明する。本発明の延伸は、少なくと
も2段の延伸工程と最終段での定長あるいは制限熱収縮
工程とからなる。本発明での延伸工程は、紡糸工程で一
旦巻き取った未延伸糸を用いるいわゆる別延伸を用いて
も、あるいは紡糸工程では巻き取らずに延伸工程に直接
未延伸糸を供給するいわゆる直延伸法を用いてもかまわ
ない。 【0023】まず、第1段延伸にては、全延伸倍率の8
0%以上の倍率で延伸を行う。第1段延伸の倍率が全延
伸倍率の80%未満では到達強度や到達弾性率が本発明
で特定する値に達しない。第1段延伸は通常は150〜
170℃の加熱供給ローラを用いて延伸する。延伸温度
が150℃未満では予熱が不充分であり、無理に引っ張
る結果となり、全延伸倍率も低い値に留まる。一方、該
ローラ温度が170℃を超えると延伸時に結晶化が起こ
り、全延伸倍率が低い値に留まる。 【0025】次いで、第2段延伸以降の延伸としてロー
ラ温度190〜235℃の加熱ローラを用いて少なくと
も1段以上の緊張延伸を行う。この延伸は第2段延伸と
して通常実施することができるが、もちろん第3段延伸
あるいは第4段延伸以降の延伸でおこなっても差し支え
ない。但し、第3段延伸以降に行う場合には、段数と共
に延伸温度が高温になるように留意すべきである。通常
、工業的には設備費の面などの制約から第2段延伸で上
記で特記した延伸を実施する。第2段延伸として行う場
合は、第1段の延伸ローラ温度を190〜235℃とし
、第2段延伸ローラとの間で行うことになる。この温度
が190℃未満では次工程で制限収縮を行っても熱安定
性が充分とはならなくなる。また、235℃を超えると
高温過ぎるために高延伸張力に耐えきれず、高倍率延伸
が実質上できなくなり、高強力、高弾性率繊維が得られ
ない。 【0026】この延伸に際してローラ間に200〜23
5℃の加熱プレートを併用して延伸を実施することが好
ましい。加熱プレートを用いることで高延伸倍率化効果
があると共に、熱セット時間が長くなるので熱安定性の
向上効果もある。加熱プレートの代わりに、糸温度が実
質200〜235℃となるように温度設定した加熱オー
ブンなどの使用も好ましい。 【0027】第2段延伸ローラとして糸条入り側の奥部
から糸条出側の先端部になるにつれてローラ径が大にな
るいわゆる逆テーパーローラを用いることが好ましい。 この第2段延伸ローラのみで第2段および第3段延伸が
可能となるからである。特に逆テーパーローラの温度が
奥側から先端部になるにつれて高温となる温度勾配型逆
テーパーローラが好ましい。逆テーパーローラで延伸倍
率1.00〜1.10程度が可能である。 【0028】引き続き、延伸最終段の延伸加熱ローラと
非加熱の巻取りローラ間で熱セットを行う。この時延伸
加熱ローラの温度は225〜250℃とし、熱セットは
定長あるいは0〜3.0%、好ましくは2%以下の制限
収縮を行う必要がある。加熱ローラ温度が225℃未満
では熱セットの効果が充分ではなく、乾熱収縮率が高く
なる。また、加熱ローラ温度が250℃を超えると、糸
条に熱劣化の傾向が認められ、強度が低下してくる。ま
た、熱セットが緊張サイドになると乾熱収縮率が高くな
る。逆に熱セット時の収縮度合いが3.0%を超えると
乾熱収縮率は非常に低くくなるものの、負荷荷重時に伸
長しやすくなり、いわゆる耐クリープ性が低下してくる
。 【0029】元々乾熱収縮率で代表される寸法安定性と
耐クリープ性とは相反する性質のものであり、また、乾
熱収縮率と強度的性質も相反する傾向を示す。このため
に、本発明で特定する強度10g/de以上、弾性率2
50g/de以上という高強度、高弾性率特性を有し、
さらに180℃乾熱収縮率が6%以下という優れた寸法
安定性を保持したうえで、120℃、4g/deの荷重
下で15時間後のクリープが4%以下という優れた耐ク
リープ性を示すためには、紡糸方法を特定したうえにさ
らに狭い範囲に絞った延伸方法が必要となるのである。 【0030】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。本発明で用いた構造、物性値の測定法をまず
説明する。 強度、伸度 JIS L 1070により測定した。 弾性率 岩本製作所製粘弾性測定器“スペクトロメーター”を用
いて、室温、10Hzで測定した動的弾性率(E′)を
用いた。 【0031】180℃乾熱収縮率 JIS L 1017−1963(5,12)に準
拠して測定した。 クリープ率 室温で4g/deの荷重を繊維に加え、120℃に昇温
荷重下に15時間保持し、クリープさせた後、荷重下に
室温に降温、しかるのち除重し、室温除重時における繊
維長のクリープテスト前後の変化から求めた。なお、こ
こで除重時とよぶのは、実際には0.2g/deの小荷
重をかけた状態をいう。 【0032】結晶融点 パーキンエルマー社製DSC−1型を用いて昇温速度1
0℃/分で測定した場合の吸熱ピーク値をもって結晶融
点とした。 Δn ベレックのコンペンセーターを用いてリターデーション
法により求めた(詳細については共立出版「高分子実験
学講座、高分子の物性II」を参照)。 密度 四塩化炭素とn−ヘプタンを用い、密度勾配管法によっ
て求めた値である。 【0033】実施例1〜6、比較例1〜7極限粘度0.
90のポリエチレン−2,6−ナフタレートを孔数24
ホール、孔径0.40mmの円形紡糸孔(L/D=2)
を有する紡糸口金からポリマー温度312℃で溶融紡糸
する際、紡糸口金の下部に設置した長さ40cm、33
0℃の加熱筒を通過せしめたのち、長さ30cmにわた
って相対湿度65%、温度25℃の冷却風にて冷却固化
させた。冷却固化された糸条はオイリングローラで油剤
を付与したのち、750m/分で巻き取った。この時ド
ラフトは60であり、未延伸糸の極限粘度は0.78、
繊度は1,080デニール、複屈折率は0.014であ
った。 【0034】未延伸糸を1%のプリテンションをかけた
後、加熱供給ローラ(FR)と第1段延伸ローラ(1R
)との間で第1段延伸(倍率DR1)を行い、次いで第
1段延伸ローラ(加熱)とその直後に設置した加熱プレ
ート(HP、70cm)を併用して第1段延伸ローラと
第2段延伸ローラ(2R)間にて第2段延伸(倍率DR
2)を実施した。 【0035】さらに、熱セット工程として第2段延伸ロ
ーラ(加熱)と非加熱の巻き取りローラ(WR)間で定
長熱セットあるいは収縮熱セット(倍率DR3)を行っ
て1,500m/分にて巻き取った。この時、ローラお
よび加熱プレートとの表面温度、各段の延伸倍率、全延
伸倍率(TDR)、延伸調子を表1に、また延伸糸の特
性値を表2に示す。 【0036】 【表1】 【0037】 【表2】 【0038】実施例7〜9、比較例8〜10口金孔径(
ただし、L/D=2)、吐出量および紡糸速度を表3の
ように変化させる以外は実施例3と同様にして紡糸し、
続いて実施例3と同様の延伸温度で延伸した。この時の
紡糸、延伸条件を表3に示す。なお、未延伸糸の極限粘
度はいずれも0.78であった。得られた延伸糸の特性
値を表4に示す。 【0039】実施例10 紡糸口金のL/Dを10とした以外は実施例7と同様に
して紡糸、延伸を行った。この時の紡糸、延伸条件を表
3に、得られた延伸糸の特性値を表4に示す。 【0040】実施例11 DR2=1.16、2Rを逆テーパーローラ(糸入り側
温度225℃、糸出側温度233℃)として、1.03
倍延伸した以外は実施例3と同様にして紡糸、延伸を行
った。この時の紡糸、延伸条件を表3に、得られた延伸
糸の特性値を表4に示す。 【0041】 【表3】 【0042】 【表4】 【0043】 【発明の効果】本発明によれば、高強度、高弾性率でか
つ熱安定性、耐クリープ性に優れたポリエチレンナフタ
レートを提供することができ、特にタイヤコードやベル
ト材などの産業資材用補強繊維として好適な繊維を提供
することができる。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP14525391A JP2954391B2 (ja) | 1991-05-22 | 1991-05-22 | ポリエチレンナフタレート繊維およびその製造方法 |
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|---|---|
| JPH04352811A true JPH04352811A (ja) | 1992-12-07 |
| JP2954391B2 JP2954391B2 (ja) | 1999-09-27 |
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ID=15380860
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