JPH05117761A - 加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法 - Google Patents
加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法Info
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- JPH05117761A JPH05117761A JP28150991A JP28150991A JPH05117761A JP H05117761 A JPH05117761 A JP H05117761A JP 28150991 A JP28150991 A JP 28150991A JP 28150991 A JP28150991 A JP 28150991A JP H05117761 A JPH05117761 A JP H05117761A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 加工成形性に極めて優れた残留オーステナイ
トを含有する高強度薄鋼板の熱処理による製造方法 【構成】 C:0.08〜0.30%、Mn、Siを含
有し、さらにAlを0.5〜1.5%含む鋼を熱延後、
あるいはさらに冷延後、α/γ相加熱、2段冷却、35
0〜450℃での保持からなる熱処理を行う。Ca、M
g、REM、Zrの1種以上を合計0.001〜0.0
5%含有してもよい。 【効果】 自動車の軽量化を通じて地球規模環境保護に
寄与する。軽量、高意匠の自動車設計が可能になる。
トを含有する高強度薄鋼板の熱処理による製造方法 【構成】 C:0.08〜0.30%、Mn、Siを含
有し、さらにAlを0.5〜1.5%含む鋼を熱延後、
あるいはさらに冷延後、α/γ相加熱、2段冷却、35
0〜450℃での保持からなる熱処理を行う。Ca、M
g、REM、Zrの1種以上を合計0.001〜0.0
5%含有してもよい。 【効果】 自動車の軽量化を通じて地球規模環境保護に
寄与する。軽量、高意匠の自動車設計が可能になる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車用等に使用される
極めて加工成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法に係
わる。
極めて加工成形性に優れた高強度薄鋼板の製造方法に係
わる。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の軽量化が再び注目をあび
ている。最初の軽量化の引金は石油ショックであった。
化石燃料の枯渇への危機感があらゆる分野で省エネルギ
ーを促進した。自動車も例外ではなく、そのため多くの
努力が行われた。使用鋼板の軽量化のため多くの高強度
薄鋼板(ハイテン)が開発された。
ている。最初の軽量化の引金は石油ショックであった。
化石燃料の枯渇への危機感があらゆる分野で省エネルギ
ーを促進した。自動車も例外ではなく、そのため多くの
努力が行われた。使用鋼板の軽量化のため多くの高強度
薄鋼板(ハイテン)が開発された。
【0003】最近の軽量化の背景はこれとはやや趣を異
にしている。アメリカでの燃費規制法案に代表される地
球規模の環境問題、特に温暖化対策としての二酸化炭素
の低減が背景にあり、単なる経済問題にとどまらない。
すなわち、何がなんでも軽量化が必要という状況になっ
た。このような環境の中、自動車材料として希求される
ものは耐久強度、一発強度、あるいは溶接強度といった
強さと、何にでも成形可能な加工成形性である。しかし
ながら、この両者は通常相反する性格を持っており両立
は困難なことであった。
にしている。アメリカでの燃費規制法案に代表される地
球規模の環境問題、特に温暖化対策としての二酸化炭素
の低減が背景にあり、単なる経済問題にとどまらない。
すなわち、何がなんでも軽量化が必要という状況になっ
た。このような環境の中、自動車材料として希求される
ものは耐久強度、一発強度、あるいは溶接強度といった
強さと、何にでも成形可能な加工成形性である。しかし
ながら、この両者は通常相反する性格を持っており両立
は困難なことであった。
【0004】それでも薄鋼板の世界では過去幾多の開発
がなされてきている。有名なものにフェライトとマルテ
ンサイトの混合組織からなるいわゆるデュアルフェイズ
鋼がある。例えば、特公昭56−11741号公報など
に提案されている。このデュアルフェイズ鋼はそれまで
のハイテン材に比べ大幅に加工性を改良したが、それで
も軟鋼板にとって代わるというわけには行かず、その使
用範囲は限られている。
がなされてきている。有名なものにフェライトとマルテ
ンサイトの混合組織からなるいわゆるデュアルフェイズ
鋼がある。例えば、特公昭56−11741号公報など
に提案されている。このデュアルフェイズ鋼はそれまで
のハイテン材に比べ大幅に加工性を改良したが、それで
も軟鋼板にとって代わるというわけには行かず、その使
用範囲は限られている。
【0005】本発明は鋼中にオーステナイトを残留させ
ることで強度を高めかつ飛躍的に加工成形性を向上させ
ようとするものであるが、このようなオーステナイト相
を残留させることで高伸びを得ようとすること自体は、
低合金鋼においても公知である。特公昭58−4224
6号公報には0.4〜0.85%C−Si−Mn鋼を用
いた技術が開示されている。しかし、この技術は高炭素
鋼を用いており、溶接が困難である、強度が1、000
N/mm2 以上あり、加工性が軟鋼板に代替可能なほど
はよくない、局部変形能が劣る等々といった欠点を有し
ている。さらには特開昭61−157625号公報記載
の技術がある。しかしこの技術もまた、比較的高炭素鋼
であり、成形加工性のレベルも十分とは言えない。
ることで強度を高めかつ飛躍的に加工成形性を向上させ
ようとするものであるが、このようなオーステナイト相
を残留させることで高伸びを得ようとすること自体は、
低合金鋼においても公知である。特公昭58−4224
6号公報には0.4〜0.85%C−Si−Mn鋼を用
いた技術が開示されている。しかし、この技術は高炭素
鋼を用いており、溶接が困難である、強度が1、000
N/mm2 以上あり、加工性が軟鋼板に代替可能なほど
はよくない、局部変形能が劣る等々といった欠点を有し
ている。さらには特開昭61−157625号公報記載
の技術がある。しかしこの技術もまた、比較的高炭素鋼
であり、成形加工性のレベルも十分とは言えない。
【0006】本発明は以上のような問題点を克服し、可
溶接でしかも破断伸びのみならず、局部伸び、すなわち
局部変形能にも優れた総合成形加工性を有し、さらにま
た製造の安定性をも確保している。なお、本発明の類似
成分の鋼、特に高Al含有鋼を用いた技術として、特公
昭58−10444号、特公昭62−18606号、お
よび特開平2−50910号の各公報記載の技術があ
る。しかし、最初の技術は厚板の耐水素誘起割れ性を問
題としており、そこでのAl添加は単にキルド鋼の脱酸
のためであり、実施例も高々0.062%の添加にとど
まる。次の技術は薄鋼板に関するものであるが、ランク
フォード値向上を目的としたもので、Alはγ/α変態
点を高める目的で添加されており、本発明のような高強
度高延性を狙ったものではなく、また、炭素量も低い。
さらに3つ目の技術は熱疲労特性の向上を目的としてお
り、Cr、Mo添加鋼をベースとしている。いずれも本
発明とは直接関係しない。
溶接でしかも破断伸びのみならず、局部伸び、すなわち
局部変形能にも優れた総合成形加工性を有し、さらにま
た製造の安定性をも確保している。なお、本発明の類似
成分の鋼、特に高Al含有鋼を用いた技術として、特公
昭58−10444号、特公昭62−18606号、お
よび特開平2−50910号の各公報記載の技術があ
る。しかし、最初の技術は厚板の耐水素誘起割れ性を問
題としており、そこでのAl添加は単にキルド鋼の脱酸
のためであり、実施例も高々0.062%の添加にとど
まる。次の技術は薄鋼板に関するものであるが、ランク
フォード値向上を目的としたもので、Alはγ/α変態
点を高める目的で添加されており、本発明のような高強
度高延性を狙ったものではなく、また、炭素量も低い。
さらに3つ目の技術は熱疲労特性の向上を目的としてお
り、Cr、Mo添加鋼をベースとしている。いずれも本
発明とは直接関係しない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低炭素、低
合金鋼の範囲で、残留オーステナイト相を確保すること
で強度と加工成形性を兼備した高強度薄鋼板を安定して
製造することを課題とする。すなわち、本発明は特性値
としては引張強度590N/mm2 級から785N/m
m2 級で、伸び30%以上、穴拡げ比1.4以上を有す
る薄鋼板の製造方法の提供を課題とする。なお、ここで
穴拡げ比とは、局部変形能を表す指標である。
合金鋼の範囲で、残留オーステナイト相を確保すること
で強度と加工成形性を兼備した高強度薄鋼板を安定して
製造することを課題とする。すなわち、本発明は特性値
としては引張強度590N/mm2 級から785N/m
m2 級で、伸び30%以上、穴拡げ比1.4以上を有す
る薄鋼板の製造方法の提供を課題とする。なお、ここで
穴拡げ比とは、局部変形能を表す指標である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の課題解決のため
の手段の特徴としては、成分とりわけAl添加量を中心
とした調整と独自の熱処理条件にある。すなわち、本発
明の要旨とするところは、下記のとおりである。 (1)C:0.08〜0.30%、Mn:1.0〜2.
0%、Si:0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼
を熱延した後、730〜900℃に10〜300秒加熱
し、続いて660〜720℃まで10℃/sec以下で
冷却し、その後30℃/sec以上で350〜450℃
まで急冷し、その温度で1〜10分保持することを特徴
とする加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法 (2)C:0.08〜0.30%、Mn:1.0〜2.
0%、Si:0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5
%を含有し、さらにCa、Mg、REM、Zrの1種以
上を合計で0.001〜0.05%含み、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる鋼を熱延した後、730〜9
00℃に10〜300秒加熱し、続いて660〜720
℃まで10℃/sec以下で冷却し、その後30℃/s
ec以上で350〜450℃まで急冷し、その温度で1
〜10分保持することを特徴とする加工性の極めて優れ
た高強度薄鋼板の製造方法。
の手段の特徴としては、成分とりわけAl添加量を中心
とした調整と独自の熱処理条件にある。すなわち、本発
明の要旨とするところは、下記のとおりである。 (1)C:0.08〜0.30%、Mn:1.0〜2.
0%、Si:0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5
%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼
を熱延した後、730〜900℃に10〜300秒加熱
し、続いて660〜720℃まで10℃/sec以下で
冷却し、その後30℃/sec以上で350〜450℃
まで急冷し、その温度で1〜10分保持することを特徴
とする加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法 (2)C:0.08〜0.30%、Mn:1.0〜2.
0%、Si:0.5〜2.5%、Al:0.5〜1.5
%を含有し、さらにCa、Mg、REM、Zrの1種以
上を合計で0.001〜0.05%含み、残部Feおよ
び不可避的不純物からなる鋼を熱延した後、730〜9
00℃に10〜300秒加熱し、続いて660〜720
℃まで10℃/sec以下で冷却し、その後30℃/s
ec以上で350〜450℃まで急冷し、その温度で1
〜10分保持することを特徴とする加工性の極めて優れ
た高強度薄鋼板の製造方法。
【0009】(3) 前記出発鋼を熱延し、さらに冷延
した後、730〜900℃に10〜300秒加熱し、続
いて660〜720℃まで10℃/sec以下で冷却
し、その後30℃/sec以上で350〜450℃まで
急冷し、その温度で1〜10分保持することを特徴とす
る前項1または2記載の加工性の極めて優れた高強度薄
鋼板の製造方法。
した後、730〜900℃に10〜300秒加熱し、続
いて660〜720℃まで10℃/sec以下で冷却
し、その後30℃/sec以上で350〜450℃まで
急冷し、その温度で1〜10分保持することを特徴とす
る前項1または2記載の加工性の極めて優れた高強度薄
鋼板の製造方法。
【0010】
【作用】次に個々の構成要件の作用および数値限定理由
について述べる。 C:Cは残留オーステナイト相生成のためには重要な元
素で、0.08%未満では十分な量の残留オーステナイ
トが得られず、そのため強度も加工性も所定の域まで達
しない。この意味でC量は高い方がよいが、0.30%
を超えると溶接性が極度に劣化し、スポット溶接ですら
極めて困難になる。そのため0.30%を上限とした。
より好ましくは0.10〜0.20%の範囲とすべきで
ある。
について述べる。 C:Cは残留オーステナイト相生成のためには重要な元
素で、0.08%未満では十分な量の残留オーステナイ
トが得られず、そのため強度も加工性も所定の域まで達
しない。この意味でC量は高い方がよいが、0.30%
を超えると溶接性が極度に劣化し、スポット溶接ですら
極めて困難になる。そのため0.30%を上限とした。
より好ましくは0.10〜0.20%の範囲とすべきで
ある。
【0011】Mn:Mnはある程度の焼入れ性を付与さ
せるため添加する必要がある。その範囲は1.0〜2.
0%である。Mn量が下限値未満では本発明の熱処理条
件を採っても十分な残留オーステナイト相を得ることが
困難であり、一方、2.0%を超えると急冷後の変態が
遅滞し、所望の組織が得られず、やはり十分な量の残留
オーステナイトが得られない。
せるため添加する必要がある。その範囲は1.0〜2.
0%である。Mn量が下限値未満では本発明の熱処理条
件を採っても十分な残留オーステナイト相を得ることが
困難であり、一方、2.0%を超えると急冷後の変態が
遅滞し、所望の組織が得られず、やはり十分な量の残留
オーステナイトが得られない。
【0012】Si:Siは、低合金鋼で400℃付近の
保持にて残留オーステナイトを得るのに重要な作用をお
よぼすと考えられている。おそらくこの温度付近での変
態時にセメンタイトの析出を抑え、オーステナイトを安
定化させるためと考えられる。このようなSiの作用
は、本発明の条件にあっては0.5%未満では発現せ
ず、一方2.5%付近で効果は飽和し、これを超える添
加はいたずらに経済性を損なうだけであり、より好まし
くは0.7〜2.0%とすべきである。
保持にて残留オーステナイトを得るのに重要な作用をお
よぼすと考えられている。おそらくこの温度付近での変
態時にセメンタイトの析出を抑え、オーステナイトを安
定化させるためと考えられる。このようなSiの作用
は、本発明の条件にあっては0.5%未満では発現せ
ず、一方2.5%付近で効果は飽和し、これを超える添
加はいたずらに経済性を損なうだけであり、より好まし
くは0.7〜2.0%とすべきである。
【0013】Al:Alの添加は従来の残留オーステナ
イトを含む薄鋼板の場合と決定的に異なる。C、Si、
Mn量の特定に加え、このAlの添加と特定熱処理条件
の組合せが本発明の効果を発現させる。その効果のメカ
ニズムは必ずしも明かではないが、おそらく残留オース
テナイトの安定度に関係しているものと考えられる。す
なわち、本発明は単に変態誘起超塑性効果(TRIP:
TRANSFORMATION INDUCED PL
ASTISITY効果)にとどまらず、より安定なγ相
が混在することで局部伸びも大幅に向上せしめているも
のと考えられる。また、製造条件の変動に対する安定に
も寄与しているものと考えられる。こういったAl添加
の効果は、0.5%未満では発揮されず、他方1.5%
を超える添加は、鋼のAr3 変態点を上昇させ熱延を困
難にするので、その添加量を0.5〜1.5%の添加と
した。より好ましくは0.7%以上添加すべきである。
イトを含む薄鋼板の場合と決定的に異なる。C、Si、
Mn量の特定に加え、このAlの添加と特定熱処理条件
の組合せが本発明の効果を発現させる。その効果のメカ
ニズムは必ずしも明かではないが、おそらく残留オース
テナイトの安定度に関係しているものと考えられる。す
なわち、本発明は単に変態誘起超塑性効果(TRIP:
TRANSFORMATION INDUCED PL
ASTISITY効果)にとどまらず、より安定なγ相
が混在することで局部伸びも大幅に向上せしめているも
のと考えられる。また、製造条件の変動に対する安定に
も寄与しているものと考えられる。こういったAl添加
の効果は、0.5%未満では発揮されず、他方1.5%
を超える添加は、鋼のAr3 変態点を上昇させ熱延を困
難にするので、その添加量を0.5〜1.5%の添加と
した。より好ましくは0.7%以上添加すべきである。
【0014】鋼の局部延性には、介在物とりわけ長く伸
びたA系介在物もまた大いに悪影響をおよぼす。この意
味でこのA系介在物を極小化することが望ましい。その
ためにはSを0.005%未満に限定して硫化物系介在
物を減少させるとともに、Ca、Mg、REM、Zrの
1種以上を合計で0.001〜0.05%含む必要があ
る。これらの元素は鋼中Sと結び付き熱間圧延にて伸び
にくい、すなわち熱間可塑性の少ない硫化物を作り、A
系介在物を減少させる。これら元素は1種以上を合計で
0.001%以上添加しないと効果はなく、他方0.0
5%を超える添加はかえって鋼の清浄度を劣化させ、鋼
の延性を損なう。
びたA系介在物もまた大いに悪影響をおよぼす。この意
味でこのA系介在物を極小化することが望ましい。その
ためにはSを0.005%未満に限定して硫化物系介在
物を減少させるとともに、Ca、Mg、REM、Zrの
1種以上を合計で0.001〜0.05%含む必要があ
る。これらの元素は鋼中Sと結び付き熱間圧延にて伸び
にくい、すなわち熱間可塑性の少ない硫化物を作り、A
系介在物を減少させる。これら元素は1種以上を合計で
0.001%以上添加しないと効果はなく、他方0.0
5%を超える添加はかえって鋼の清浄度を劣化させ、鋼
の延性を損なう。
【0015】このようにして溶製した鋼は熱延される。
熱延条件は特に限定するところではない。熱延コイルは
所望板厚が薄い時、あるいはより板厚精度の必要な場合
等には、さらに冷延される。続く熱処理条件は本発明を
得るための熱処理を行うところであり、これまた極めて
重要である。
熱延条件は特に限定するところではない。熱延コイルは
所望板厚が薄い時、あるいはより板厚精度の必要な場合
等には、さらに冷延される。続く熱処理条件は本発明を
得るための熱処理を行うところであり、これまた極めて
重要である。
【0016】熱延あるいは場合によっては冷延された鋼
は、まずα相/γ相の共存領域である730〜900℃
に加熱されなければならない。加熱温度が730℃未満
ではγ相が十分得られず、γ相からの変態を利用する本
発明では所定の特性が得られない。加熱温度の上限は9
00℃である。この温度を超えるとγ相の体積率が増え
すぎて、次の徐冷中にも適正なγ相の体積率に調整する
ことが困難である。また、加熱保持時間については10
秒未満では十分なγ化が達成されず、他方300秒程度
でγ化は飽和するので、経済性も考え上限は300秒と
した。
は、まずα相/γ相の共存領域である730〜900℃
に加熱されなければならない。加熱温度が730℃未満
ではγ相が十分得られず、γ相からの変態を利用する本
発明では所定の特性が得られない。加熱温度の上限は9
00℃である。この温度を超えるとγ相の体積率が増え
すぎて、次の徐冷中にも適正なγ相の体積率に調整する
ことが困難である。また、加熱保持時間については10
秒未満では十分なγ化が達成されず、他方300秒程度
でγ化は飽和するので、経済性も考え上限は300秒と
した。
【0017】この後、660〜720℃まで10℃/s
ec以下で徐冷する。これは適正なγ相/α相比率を得
るための重要な処理である。10℃/secを超える急
冷では適正な比率を得られないばかりか、加熱保持温度
の変動がそのまま材質変動となるのでバラツキの原因と
なる。徐冷温度区間が720℃より高いとγ相の成分濃
縮が十分でなく、また660℃未満まで徐冷すると、γ
相がパーライト等好ましくない組織になるので徐冷・急
冷変更点は660〜720℃の範囲内とした。
ec以下で徐冷する。これは適正なγ相/α相比率を得
るための重要な処理である。10℃/secを超える急
冷では適正な比率を得られないばかりか、加熱保持温度
の変動がそのまま材質変動となるのでバラツキの原因と
なる。徐冷温度区間が720℃より高いとγ相の成分濃
縮が十分でなく、また660℃未満まで徐冷すると、γ
相がパーライト等好ましくない組織になるので徐冷・急
冷変更点は660〜720℃の範囲内とした。
【0018】こうして得られた適正にγ/α分離した組
織中のγ相を400℃付近で変態させるため30℃/s
ec以上で急冷する。急冷速度が30℃/sec未満で
はやはりγ相がパーライト等好ましくない組織に変態す
る。急冷後の保持条件は、350〜450℃の温度域で
1〜10分でなければならない。本発明鋼の場合、第1
段の徐冷中に成分調整されたγ相を、この保持中にベイ
ナイト相に変態させた際に一部残留したオーステナイト
相が極めて安定になり、製品の状態でもそのままオース
テナイトとして残留するものと考えられる。したがって
γ相を適当にベイナイト変態させることが本発明では重
要である。保持温度が350℃未満では過剰のマルテン
サイト相が生じ、強度は出るものの延性、加工性は大幅
に劣化し、他方、450℃を超えるとパーライト相が混
入し、やはり鋼の延性を害する。また1分未満の保持で
は適正なベイナイト変態が生じない。保持効果は10分
程度で飽和するので保持時間の上限は10分とした。
織中のγ相を400℃付近で変態させるため30℃/s
ec以上で急冷する。急冷速度が30℃/sec未満で
はやはりγ相がパーライト等好ましくない組織に変態す
る。急冷後の保持条件は、350〜450℃の温度域で
1〜10分でなければならない。本発明鋼の場合、第1
段の徐冷中に成分調整されたγ相を、この保持中にベイ
ナイト相に変態させた際に一部残留したオーステナイト
相が極めて安定になり、製品の状態でもそのままオース
テナイトとして残留するものと考えられる。したがって
γ相を適当にベイナイト変態させることが本発明では重
要である。保持温度が350℃未満では過剰のマルテン
サイト相が生じ、強度は出るものの延性、加工性は大幅
に劣化し、他方、450℃を超えるとパーライト相が混
入し、やはり鋼の延性を害する。また1分未満の保持で
は適正なベイナイト変態が生じない。保持効果は10分
程度で飽和するので保持時間の上限は10分とした。
【0019】この熱処理は雰囲気制御された連続焼鈍で
行うのが適切であるが、他の熱処理設備でも本発明の条
件を満たす限り有効である。また、その場合0.5〜2
%の調質圧延が施されるが、これは本発明にとってなん
ら差障りのあるものではない。熱処理に先立つ熱延は特
に条件を限定するところではない。通常、スラブ加熱温
度1050〜1300℃、仕上終了温度800〜950
℃、巻取温度400〜700℃程度の条件が採られる。
また、場合によっては冷延されるが冷延率も通常の50
〜85%程度でよい。
行うのが適切であるが、他の熱処理設備でも本発明の条
件を満たす限り有効である。また、その場合0.5〜2
%の調質圧延が施されるが、これは本発明にとってなん
ら差障りのあるものではない。熱処理に先立つ熱延は特
に条件を限定するところではない。通常、スラブ加熱温
度1050〜1300℃、仕上終了温度800〜950
℃、巻取温度400〜700℃程度の条件が採られる。
また、場合によっては冷延されるが冷延率も通常の50
〜85%程度でよい。
【0020】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を溶製した。鋼符号
A〜Fが本発明に従ったもので、鋼Gは炭素量が低く従
来のいわゆるデュアルフェイズ鋼の成分である。鋼Hは
炭素量が高く、かつAl量が低い。鋼IはAl量が、鋼
JではSi量、鋼KではMn量がそれぞれ低い。鋼I
は、従って、どちらかと言うと従来残留オーステナイト
型ハイテン(従来γと記す)に近い。
A〜Fが本発明に従ったもので、鋼Gは炭素量が低く従
来のいわゆるデュアルフェイズ鋼の成分である。鋼Hは
炭素量が高く、かつAl量が低い。鋼IはAl量が、鋼
JではSi量、鋼KではMn量がそれぞれ低い。鋼I
は、従って、どちらかと言うと従来残留オーステナイト
型ハイテン(従来γと記す)に近い。
【0021】これらの鋼を熱延し、あるいはさらに冷延
し、表2に示す熱処理条件で熱処理を行った。この熱処
理は連続焼鈍ラインにて行った。熱処理後、鋼帯は0.
8%の調質圧延が付加されている。引張試験はJISZ
2201記載の5号試験片を用い、同Z2241記載の
方法に従って行った。
し、表2に示す熱処理条件で熱処理を行った。この熱処
理は連続焼鈍ラインにて行った。熱処理後、鋼帯は0.
8%の調質圧延が付加されている。引張試験はJISZ
2201記載の5号試験片を用い、同Z2241記載の
方法に従って行った。
【0022】n値は、応力−ひずみ関係をn乗硬化則が
成り立つとし、10%および20%ひずみ時の荷重、P
1、P2より次式により求めた。
成り立つとし、10%および20%ひずみ時の荷重、P
1、P2より次式により求めた。
【0023】
【数1】
【0024】ただし、本発明に従った鋼は特異な強化機
構を示し、応力−ひずみ関係も極めて特異なのでn乗硬
化則はあまり適合しない。しかし、上の定義に従ったn
値が、大きな加工性指標であることにはまちがいない。
また、局部変形能としては穴拡げ性(d/d0 )を用い
た。これは打ち抜きクリアランス10%で打ち抜いた直
径20mmの穴を30°円錐ポンチで広げていき、割れ
が板厚を貫通した時点での穴径dを測定しこれを初期穴
径d0 (=20mm)で除した値で表す。
構を示し、応力−ひずみ関係も極めて特異なのでn乗硬
化則はあまり適合しない。しかし、上の定義に従ったn
値が、大きな加工性指標であることにはまちがいない。
また、局部変形能としては穴拡げ性(d/d0 )を用い
た。これは打ち抜きクリアランス10%で打ち抜いた直
径20mmの穴を30°円錐ポンチで広げていき、割れ
が板厚を貫通した時点での穴径dを測定しこれを初期穴
径d0 (=20mm)で除した値で表す。
【0025】また、製品の残留オーステナイト量はX線
を用いて測定した。表3に材質試験結果および残留オー
ステナイト量測定結果を併せて示す。本発明に従った鋼
は600N/mm2 級以上の高い強度の割に40%近い
極めて高い伸びを示し(これは引張強度300〜400
N/mm2 級の軟鋼板に匹敵する)、n値も極めて高い
(図1に引張強度と伸びの関係を示す)。また、残留γ
量も引張強度に応じて適宜確保されている。さらに、従
来のγ残留ハイテン(No.20の鋼)やデュアルフェ
イズ鋼(No.18の鋼)は伸びフランジ性に劣るとさ
れていたが、表3あるいは図2に示すように本発明に従
った鋼は伸びフランジ性においても概ね1.5以上とい
う高い値を示す。
を用いて測定した。表3に材質試験結果および残留オー
ステナイト量測定結果を併せて示す。本発明に従った鋼
は600N/mm2 級以上の高い強度の割に40%近い
極めて高い伸びを示し(これは引張強度300〜400
N/mm2 級の軟鋼板に匹敵する)、n値も極めて高い
(図1に引張強度と伸びの関係を示す)。また、残留γ
量も引張強度に応じて適宜確保されている。さらに、従
来のγ残留ハイテン(No.20の鋼)やデュアルフェ
イズ鋼(No.18の鋼)は伸びフランジ性に劣るとさ
れていたが、表3あるいは図2に示すように本発明に従
った鋼は伸びフランジ性においても概ね1.5以上とい
う高い値を示す。
【0026】また、確認のため表2に示す鋼のスポット
溶接試験を行ったところ、No.19の鋼を除き、溶接
継手強度、および溶接継手の剥離状況とも良好であっ
た。
溶接試験を行ったところ、No.19の鋼を除き、溶接
継手強度、および溶接継手の剥離状況とも良好であっ
た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、加工成形性と強度いう
相反する特性の両立を本格的に達成できることで、得ら
れた鋼板は自動車に全面的に適用が可能となり、延いて
は自動車の軽量化をもたらし、それを通じて地球規模環
境保護に寄与する。また、本発明による鋼板の使用によ
り、軽量、高意匠の自動車設計が可能となり、ユーザー
の好みに応え得るので、自動車産業の発展にさらに寄与
する。
相反する特性の両立を本格的に達成できることで、得ら
れた鋼板は自動車に全面的に適用が可能となり、延いて
は自動車の軽量化をもたらし、それを通じて地球規模環
境保護に寄与する。また、本発明による鋼板の使用によ
り、軽量、高意匠の自動車設計が可能となり、ユーザー
の好みに応え得るので、自動車産業の発展にさらに寄与
する。
【図1】実施例の鋼の引張強度と伸びの関係を示す図で
ある。
ある。
【図2】実施例の鋼の引張強度と穴拡げ率との関係を示
す図である。
す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 質量割合(以下、鋼成分に関しては同
様)で、C:0.08〜0.30%、Mn:1.0〜
2.0%、Si:0.5〜2.5%、Al:0.5〜
1.5%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物から
なる鋼を熱延した後、730〜900℃に10〜300
秒加熱し、続いて660〜720℃まで10℃/sec
以下で冷却し、その後30℃/sec以上で350〜4
50℃まで急冷し、その温度で1〜10分保持すること
を特徴とする加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造
方法。 - 【請求項2】 C:0.08〜0.30%、Mn:1.
0〜2.0%、Si:0.5〜2.5%、Al:0.5
〜1.5%を含有し、さらにCa、Mg、REM、Zr
の1種以上を合計で0.001〜0.05%含み、残部
Feおよび不可避的不純物からなる鋼を熱延した後、7
30〜900℃に10〜300秒加熱し、続いて660
〜720℃まで10℃/sec以下で冷却し、その後3
0℃/sec以上で350〜450℃まで急冷し、その
温度で1〜10分保持することを特徴とする加工性の極
めて優れた高強度薄鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 前記出発鋼を熱延し、さらに冷延した
後、730〜900℃に10〜300秒加熱し、続いて
660〜720℃まで10℃/sec以下で冷却し、そ
の後30℃/sec以上で350〜450℃まで急冷
し、その温度で1〜10分保持することを特徴とする請
求項1または2記載の加工性の極めて優れた高強度薄鋼
板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28150991A JP2860438B2 (ja) | 1991-10-28 | 1991-10-28 | 加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP28150991A JP2860438B2 (ja) | 1991-10-28 | 1991-10-28 | 加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05117761A true JPH05117761A (ja) | 1993-05-14 |
| JP2860438B2 JP2860438B2 (ja) | 1999-02-24 |
Family
ID=17640177
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP28150991A Expired - Lifetime JP2860438B2 (ja) | 1991-10-28 | 1991-10-28 | 加工性の極めて優れた高強度薄鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2860438B2 (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006052444A (ja) * | 2004-08-12 | 2006-02-23 | Nippon Steel Corp | 高張力鋼板製造用の連続焼鈍設備 |
| WO2006109489A1 (ja) | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | 塗膜密着性、加工性及び耐水素脆化特性に優れた高強度冷延鋼板並びに自動車用鋼部品 |
| CN104087824A (zh) * | 2014-07-11 | 2014-10-08 | 北京科技大学 | 一种具有trip效应的超细结构贝氏体钢及其制备方法 |
| US9194015B2 (en) | 2002-08-20 | 2015-11-24 | Kobe Steel, Ltd. | Dual phase steel sheet with good bake-hardening properties |
| KR20210061382A (ko) * | 2018-09-20 | 2021-05-27 | 아르셀러미탈 | 냉간 압연 및 코팅된 강판 및 그 제조 방법 |
-
1991
- 1991-10-28 JP JP28150991A patent/JP2860438B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (9)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US9194015B2 (en) | 2002-08-20 | 2015-11-24 | Kobe Steel, Ltd. | Dual phase steel sheet with good bake-hardening properties |
| JP2006052444A (ja) * | 2004-08-12 | 2006-02-23 | Nippon Steel Corp | 高張力鋼板製造用の連続焼鈍設備 |
| WO2006109489A1 (ja) | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | 塗膜密着性、加工性及び耐水素脆化特性に優れた高強度冷延鋼板並びに自動車用鋼部品 |
| EP2671960A1 (en) | 2005-03-31 | 2013-12-11 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High strength cold-rolled steel sheet and automobile components of steel having excellent properties in coating film adhesion, workability, and hydrogen embrittlement resistivity |
| EP2671961A1 (en) | 2005-03-31 | 2013-12-11 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High strength cold-rolled steel sheet and automobile components of steel having excellent properties in coating film adhesion, workability, and hydrogen embrittlement resistivity |
| EP2679699A2 (en) | 2005-03-31 | 2014-01-01 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho | High strength cold-rolled steel sheet and automobile components of steel having excellent properties in coating film adhesion, workability, and hydrogen embrittlement resistivity |
| US8986468B2 (en) | 2005-03-31 | 2015-03-24 | Kobe Steel, Ltd. | High-strength cold-rolled steel sheet excellent in coating adhesion, workability and hydrogen embrittlement resistance, and steel component for automobile |
| CN104087824A (zh) * | 2014-07-11 | 2014-10-08 | 北京科技大学 | 一种具有trip效应的超细结构贝氏体钢及其制备方法 |
| KR20210061382A (ko) * | 2018-09-20 | 2021-05-27 | 아르셀러미탈 | 냉간 압연 및 코팅된 강판 및 그 제조 방법 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP2860438B2 (ja) | 1999-02-24 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
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