JPH05131855A - 車両用左右駆動力調整装置 - Google Patents

車両用左右駆動力調整装置

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JPH05131855A
JPH05131855A JP32112391A JP32112391A JPH05131855A JP H05131855 A JPH05131855 A JP H05131855A JP 32112391 A JP32112391 A JP 32112391A JP 32112391 A JP32112391 A JP 32112391A JP H05131855 A JPH05131855 A JP H05131855A
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torque
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rotary shaft
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薫 澤瀬
Keiji Isoda
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    • F16H48/20Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices
    • F16H48/30Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using externally-actuatable means
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
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    • F16H48/20Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices
    • F16H48/22Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using friction clutches or brakes
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、自動車における左右の駆動輪又は
否駆動輪(駆動輪ではない車輪)間の駆動力配分に用い
て好適の車両用左右駆動力調整装置に関し、大きなトル
クロスやエネルギロスを招来することなく、左右輪間で
のトルク配分を行なえるようにすることを目的とする。 【構成】 車両における左輪回転軸13と右輪回転軸1
4との間に、この左右の回転軸13,14間で駆動力を
授受することで左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝達
制御機構90Bをそなえ、上記駆動力伝達制御機構90
Bを、上記の左右の各回転軸の一方の回転軸14側に連
結されてこの回転軸14側の回転速度を変速して出力し
うる変速機構96と、他方の回転軸側13と上記変速機
構96の出力部97C,98C側との間に介装されて係
合時に上記の左右の各回転軸13,14間で駆動力の伝
達を行ないうる動力伝達手段97,98とから構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪駆動式又は二輪駆
動式の自動車における左右の駆動輪への駆動力配分、又
は、二輪駆動式の自動車における左右の否駆動輪(駆動
輪ではない車輪)間での動力の授受による駆動力配分に
用いて好適の、車両用左右駆動力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、四輪駆動式自動車(以下、四輪駆
動車という)の開発が盛んに行なわれているが、前後輪
間のトルク配分(駆動力配分)を積極的に調整できるよ
うにした、フルタイム四輪駆動方式の自動車の開発も種
々行なわれている。
【0003】一方、自動車において、左右輪に伝達され
るトルク配分機構を広義にとらえると従来のノーマルデ
ィファレンシャル装置や電子制御式を含むLSD(リミ
テッドスリップデフ)が考えられるが、これらはトルク
配分を積極的に調整するものでなく、左右輪のトルクを
自由自在に配分できるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前後輪間の
トルク配分調整装置と並んで、左右輪間のトルク配分を
調整できる装置の開発も期待されている。この場合、四
輪駆動車における左右の駆動輪間のみならず、二輪駆動
車における左右の駆動輪間のトルク配分調整も対照とな
る。
【0005】さらには、トルク配分を、エンジンの出力
トルクの配分のみならず左右の回転軸輪間での動力の授
受によって生じるトルクの伝達状態まで含めるように、
大きくとらえると、二輪駆動車における左右の否駆動輪
(駆動輪ではない車輪)間でトルク配分調整を行なうこ
とも考えられる。
【0006】つまり、左右の否駆動輪はいずれもエンジ
ンから駆動力を受けないが、これらの否駆動輪のうちの
一方の否駆動輪から他方の否駆動輪へ動力を伝達する状
態を実現できれば、一方の否駆動輪側では制動力が生じ
るが他方の否駆動輪側では駆動力が発生するようにな
る。したがって、左右の否駆動輪間でもトルク配分(負
の駆動力、つまり、制動力も含む)の調整が可能とな
る。
【0007】さらに、かかる車両用左右駆動力調整装置
としては、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、トルク配分を行なえるものが望ましい。
【0008】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、左右輪間でのトルク配分を行なえるようにし
た、車両用左右駆動力調整装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1にか
かる本発明の車両用左右駆動力調整装置は、車両におけ
る左輪回転軸と右輪回転軸との間に、上記の左右の各回
転軸間で駆動力を授受することで上記の左右輪の駆動力
を調整しうる駆動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力
伝達制御機構が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の
回転軸側に連結されてこの一方の回転軸側の回転速度を
変速して出力しうる変速機構と、上記の左右の各回転軸
のうちの他方の回転軸側と上記変速機構の出力部側との
間に介装されて係合時に上記の左右の各回転軸間で駆動
力の伝達を行ないうる動力伝達手段とから構成されてい
ることを特徴としている。
【0010】この場合、上記の左輪回転軸及び右輪回転
軸を共にエンジン出力を与えられて回転する駆動輪に設
定するか、または、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸を
共にエンジン出力を与えられない否駆動輪に設定するこ
とができる。
【0011】また、請求項2にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪回
転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授受
することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝
達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記
の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されて
この一方の回転軸側の回転速度を変速して出力しうる第
1の変速機構と、上記の左右の各回転軸のうちの他方の
回転軸側と上記第1の変速機構の出力部側との間に介装
されて係合時に上記の左右の各回転軸の間で駆動力の伝
達を行ないうる第1の動力伝達手段と、上記の左右の各
回転軸のうちの他方の回転軸側に連結されてこの他方の
回転軸側の回転速度を変速して出力しうる第2の変速機
構と、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側と
上記第2の変速機構の出力部側との間に介装されて係合
時に上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないう
る第2の動力伝達手段とから構成されていることを特徴
としている。
【0012】この場合も、上記の左輪回転軸及び右輪回
転軸を共にエンジン出力を与えられて回転する駆動輪に
設定するか、または、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸
を共にエンジン出力を与えられない否駆動輪に設定する
ことができる。
【0013】さらに、請求項3にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪
回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授
受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力
伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上
記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結され
てこの一方の回転軸側の回転速度を加速又は減速して出
力しうる変速機構と、上記変速機構に付設されて該変速
機構を加速側又は減速側に切り替えうる切替機構と、上
記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速
機構の出力部側との間に介装されて係合時に上記の左右
の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる動力伝達手段
とから構成されていることを特徴としている。
【0014】この場合も、上記の左輪回転軸及び右輪回
転軸を共にエンジン出力を与えられて回転する駆動輪に
設定するか、または、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸
を共にエンジン出力を与えられない否駆動輪に設定する
ことができる。
【0015】さらに、請求項6にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪
回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力される入
力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつつ上記
の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各回転軸
に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御
して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝
達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上
記回転軸側に連結されてこの回転軸側の回転速度を変速
して出力しうる変速機構と、上記の変速機構の出力部側
と上記入力部側との間に介装されて係合時に上記回転軸
側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を行ないうる動
力伝達手段とから構成されていることを特徴としてい
る。
【0016】そして、請求項7にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪
回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力される入
力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつつ上記
の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各回転軸
に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御
して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝
達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上
記の入力部側に連結されて該入力部側の回転速度を変速
して出力しうる変速機構と、上記の変速機構の出力部側
と上記回転軸側との間に介装されて係合時に上記回転軸
側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を行ないうる動
力伝達手段とから構成されていることを特徴としてい
る。
【0017】
【作用】上述の請求項1にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置では、駆動力伝達制御機構により、車両の
左輪回転軸側と右輪回転軸側との間で駆動力の授受が行
なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの一方の回転
軸側の回転速度が変速機構により変速され、この変速機
構の出力部側と左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側
との間に速度差が生じ、動力伝達手段を係合させること
で上記の左右の各回転軸間で駆動力の授受が行なわれ
る。即ち、動力伝達手段を係合させると、左右の各回転
軸のうちの他方の回転軸側と変速機構の出力部側とのう
ちの高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の
回転軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応し
て低速側の回転軸では駆動力が増加する。これにより、
左右の駆動力が調整される。
【0018】また、請求項2にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置では、駆動力伝達制御機構により、車
両の左輪回転軸と右輪回転軸との間で駆動力の授受が行
なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの一方の回転
軸側の回転速度が第1の変速機構により変速され、この
第1の変速機構の出力部側と左右の各回転軸のうちの他
方の回転軸側との間に速度差が生じて、第1の動力伝達
手段を係合させることで上記の左右の各回転軸間で駆動
力の伝達が行なわれる。また、左右の各回転軸のうちの
他方の回転軸側の回転速度が第2の変速機構により変速
され、この第2の変速機構の出力部側と左右の各回転軸
のうちの一方の回転軸側との間に速度差が生じて、第2
の動力伝達手段を係合させることで上記の左右の各回転
軸間で駆動力の伝達が行なわれる。即ち、第1の動力伝
達手段を係合させると、左右の各回転軸のうちの他方の
回転軸側と第1の変速機構の出力部側とのうちの高速側
から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の回転軸では
駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して低速側の
回転軸では駆動力が増加する。これにより、左右の駆動
力配分が調整される。又、第2の動力伝達手段を係合さ
せると、左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側と第2
の変速機構の出力部側とのうちの高速側から低速側に駆
動力が伝達されて、高速側の回転軸では駆動力が減少
し、この駆動力の減少に対応して低速側の回転軸では駆
動力が増加する。これにより、左右の駆動力が調整され
る。
【0019】さらに、請求項3にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置では、駆動力伝達制御機構により、
車両の左輪回転軸と右輪回転軸との間で駆動力の授受が
行なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの一方の回
転軸側の回転速度が変速機構により変速され、この変速
機構の出力部側と左右の各回転軸のうちの他方の回転軸
側との間に速度差が生じて、動力伝達手段を係合させる
ことで上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達が行なわ
れる。即ち、変速機構に付設された切替機構を加速側に
切り替えて動力伝達手段を係合させると、変速機構の出
力部側が左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側よりも
高速になり、この高速側である変速機構の出力部側即ち
一方の回転軸側から、低速側である他方の回転軸側に駆
動力が伝達されて、高速側である一方の回転軸側では駆
動力が減少し、この駆動力の減少に対応して低速側であ
る他方の回転軸側では駆動力が増加する。これにより、
左右の駆動力が調整される。また、切替機構を減速側に
切り替えて動力伝達手段を係合させると、変速機構の出
力部側が左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側よりも
低速になり、高速側である他方の回転軸側から、低速側
である変速機構の出力部側即ち一方の回転軸側に駆動力
が伝達されて、高速側である他方の回転軸側では駆動力
が減少し、この駆動力の減少に対応して低速側である一
方の回転軸側では駆動力が増加する。これにより、左右
の駆動力が調整される。
【0020】さらに、請求項6にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置では、入力軸の駆動力が差動機構を
介して左輪回転軸及び右輪回転軸のそれぞれに伝達され
るが、このとき上記の左右の各回転軸に出力される駆動
力の配分状態が駆動力伝達制御機構により調整される。
つまり、駆動力伝達制御機構では、変速機構により、回
転軸側の部材が変速され、この変速機構の出力部側と上
記入力部側との間に速度差が生じて、動力伝達手段を係
合させることで上記回転軸側と上記入力部側との間でで
駆動力の伝達が行なわれる。即ち、動力伝達手段を係合
させると、変速機構の出力部側と入力部側とのうちの高
速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の回転軸
では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して低速
側の回転軸では駆動力が増加する。これにより、左右の
駆動力配分が調整される。
【0021】そして、請求項7にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置では、入力軸の駆動力が差動機構を
介して左輪回転軸及び右輪回転軸のそれぞれに伝達され
るが、このとき上記の左右の各回転軸に出力される駆動
力の配分状態が駆動力伝達制御機構により調整される。
つまり、駆動力伝達制御機構では、変速機構により、入
力部側の部材が変速され、この変速機構の出力部側と上
記回転軸側との間に速度差が生じて、動力伝達手段を係
合させることで上記回転軸側と上記入力部側との間でで
駆動力の伝達が行なわれる。即ち、動力伝達手段を係合
させると、変速機構の出力部側と回転軸側とのうちの高
速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の回転軸
では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して低速
側の回転軸では駆動力が増加する。これにより、左右の
駆動力配分が調整される。
【0022】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜4は本発明の第1実施例としての車
両用左右駆動力調整装置を示すもので、図1はその模式
的な要部構成図、図2はそのトルク伝達を説明する速度
線図、図3はそのトルク伝達の一例を説明する速度線
図、図4はその装置をそなえた自動車の駆動系を示す模
式的な構成図であり、図5〜7は本発明の第2実施例と
しての車両用左右駆動力調整装置を示すもので、図5は
その模式的な要部構成図、図6はそのトルク伝達を説明
する速度線図、図7はそのトルク伝達の一例を説明する
速度線図であり、図8〜10は本発明の第3実施例とし
ての車両用左右駆動力調整装置を示すもので、図8はそ
の模式的な要部構成図、図9はそのトルク伝達を説明す
る速度線図、図10はそのトルク伝達の一例を説明する
速度線図であり、図11〜13は本発明の第4実施例と
しての車両用左右駆動力調整装置を示すもので、図11
はその模式的な要部構成図、図12はそのトルク伝達を
説明する速度線図、図13はそのトルク伝達の一例を説
明する速度線図であり、図14は本発明の第5実施例と
しての車両用左右駆動力調整装置を示す模式的な要部構
成図であり、図15は本発明の第6実施例としての車両
用左右駆動力調整装置を示す模式的な要部構成図であ
り、図16は本発明の第7実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図であり、図17
は本発明の第8実施例としての車両用左右駆動力調整装
置を示す模式的な要部構成図であり、図18,19は本
発明の第9実施例としての車両用左右駆動力調整装置を
示すもので、図18はその模式的な全体構成図、図19
はその模式的な要部構成図であり、図20,21は本発
明の第10実施例としての車両用左右駆動力調整装置を
示すもので、図21はその模式的な全体構成図、図21
はその模式的な要部構成図であり、図22,23は本発
明の第11実施例としての車両用左右駆動力調整装置を
示すもので、図22はその模式的な全体構成図、図23
はその模式的な要部構成図であり、図24,25は本発
明の第12実施例としての車両用左右駆動力調整装置を
示すもので、図24はその模式的な全体構成図、図25
はその模式的な要部構成図であり、図26は本発明の案
出過程で考えられた車両用左右駆動力調整装置を示す模
式的な要部構成図である。なお、図中、同符号は同様な
ものを示し、また、図2,3,6,7,9,10,1
2,13の縦軸は回転速度を示す。
【0023】まず、第1実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系は、図4に示すよう
に、エンジン1からの駆動力をトランスミッション2を
介して遊星歯車で構成されたセンタデフ3で受けて、セ
ンタデフ3から、前輪側と後輪側とに伝達するようにな
っている。
【0024】特に、このセンタデフ3には、前後輪の差
動を適当に制限しうるセンタデフ差動制限機構5が設け
られている。この差動制限機構5は、ここでは油圧式の
多板クラッチにより構成され、供給油圧に応じて前後輪
の差動を制限しながら、前後輪への駆動力配分を制御で
きるようになっており、前後輪間の駆動力配分を制御す
る装置となっている。
【0025】このようにして、センタデフ3から配分さ
れた駆動力の一方は、フロントデフ4を通じて左右の前
輪25,26に伝達されるようになっている。一方、セ
ンタデフ3から配分された駆動力の他方は、プロペラシ
ャフト6を介してリヤデフ8に伝達され、このリヤデフ
8を通じて左右の後輪15,16に伝達されるようにな
っている。なお、符号7はドライブピニオン及びリング
ギヤからなるベベルギヤ機構である。
【0026】リヤデフ8部分には、変速機構10と動力
伝達手段としての多板クラッチ機構12とからなる駆動
力伝達制御機構9A(以下、駆動力伝達制御機構を広義
に示す場合は符号9とする)が設けられ、リヤデフ8及
び駆動力伝達制御機構9Aから車両用左右駆動力調整装
置が構成される。なお、この多板クラッチ機構12は油
圧式のもので、油圧を調整されることで左右輪への駆動
力配分を制御できるようになっている。
【0027】そして、この駆動力伝達制御機構9Aの多
板クラッチ機構12の油圧系は、前述の前後駆動力調整
装置の多板クラッチ機構5の油圧系とともに、コントロ
ールユニット18によって制御されるようになってい
る。
【0028】つまり、多板クラッチ機構12の油圧系及
び多板クラッチ機構5の油圧系は、各クラッチ機構にそ
れぞれ付設された図示しない油圧室と、油圧源を構成す
る電動ポンプ24及びアキュムレータ23と、この油圧
を上記の油圧室に所要量だけ供給させるクラッチ油圧制
御バルブ17とからなっている。そして、クラッチ油圧
制御バルブ17の開度をコントロールユニット18によ
って制御されるようになっている。
【0029】なお、コントロールユニット18では、車
輪速センサ19,ハンドル角センサ20,ヨーレイトセ
ンサ21,加速度センサ(又は加速度演算手段)22な
どからの情報に基づいて、クラッチ油圧制御バルブ17
の開度を制御する。
【0030】ここで、この車両用左右駆動力調整装置の
要部を説明すると、図1に示すように、プロペラシャフ
ト6の後端に設けられて回転駆動力(以下、駆動力又は
トルクという)を入力される入力軸6Aと、入力軸6A
から入力された駆動力を出力する左輪回転軸(左後輪1
5の駆動軸)13と右輪回転軸(右後輪16の駆動軸)
14とが設けられており、左輪回転軸13と右輪回転軸
14と入力軸6Aとの間に車両用左右駆動力調整装置が
介装されている。
【0031】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Aは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容し1が
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0032】すなわち、左輪回転軸13と入力軸6Aと
の間及び右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に、それぞ
れ変速機構10と多板クラッチ機構12とが介装されて
おり、左輪回転軸13又は右輪回転軸14の回転速度
が、変速機構10により増速されて駆動力伝達補助部材
としての中空軸11に伝えられる。
【0033】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデファレンシャルケース(以
下、デフケースと略す)8Aとの間に介装されており、
この多板クラッチ機構12を係合させることで、高速側
のデフケース8Aから低速側の中空軸11へ駆動力が送
給されるようになっている。これは、対向して配設され
たクラッチ板における一般的な特性として、トルクの伝
達が、速度の速い方から遅い方へ行なわれるためであ
る。
【0034】したがって、例えば、右輪回転軸14と入
力軸6Aとの間の多板クラッチ機構12が係合される
と、右輪回転軸14へ配分される駆動力は入力軸6A側
からのルートで増加又は減少されて、この分だけ、左輪
回転軸13へ配分される駆動力が減少又は増加する。
【0035】上述の変速機構10は、2つのプラネタリ
ギヤ機構を直列的に結合してなるいわゆるダブルプラネ
タリギヤ機構で構成されており、右輪回転軸14に設け
られた変速機構10を例に説明すると次のようになる。
【0036】すなわち、右輪回転軸14には第1のサン
ギヤ10Aが固着されており、この第1のサンギヤ10
Aは、その外周において第1のプラネタリギヤ(プラネ
タリピニオン)10Bに噛合している。また、第1のプ
ラネタリギヤ10Bは、第2のプラネタリギヤ10Dと
一体に固着され、共にキャリヤに設けられたピニオンシ
ャフト10Cを通じて、ケーシング(固定部)に固着さ
れて回転しないキャリア10Fに枢支されている。これ
により、第1のプラネタリギヤ10Bと第2のプラネタ
リギヤ10Dとが、ピニオンシャフト10Cを中心とし
て同一の回転を行なうようになっている。
【0037】さらに、第2のプラネタリギヤ10Dは、
右輪回転軸14に枢支された第2のサンギヤ10Eに噛
合しており、第2のサンギヤ10Eは、中空軸11を介
して多板クラッチ機構12のクラッチ板12Aに連結さ
れている。また、多板クラッチ機構12の他方のクラッ
チ板12Bは、入力軸6Aにより駆動されるデフケース
8Aに連結されている。
【0038】そして、この実施例の構造では、第1のサ
ンギヤ10Aが第2のサンギヤ10Eよりも小さい径に
形成されているので、第2のサンギヤ10Eの回転速度
は第1のサンギヤ10Aよりも小さくなり、この変速機
構10は減速機構としてはたらくようになっている。し
たがって、クラッチ板12Aの回転速度がクラッチ板1
2Bよりも小さく、多板クラッチ機構12を係合させた
場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、入力軸
6A側から右輪回転軸14側へ送給されるようになって
いる。
【0039】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構10及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて左輪回転軸13側の多板クラッチ機
構12を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0040】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0041】なお、左右の多板クラッチ機構12が共に
完全係合することのないように設定されており、左右の
多板クラッチ機構12のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構12は滑りを生じるようになってい
る。
【0042】本発明の第1実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、ブ
レーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を調整す
るのでなく、一方のトルクの所要量を他方に転送するこ
とによりトルク配分が調整されるため、大きなトルクロ
スやエネルギロスを招来することなく、所望のトルク配
分を得ることができる。
【0043】ここで、図2,3を参照して、この車両用
左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロスに
ついて考察する。
【0044】図2,3において、lを付した符号は左輪
に関し、rを付した符号は右輪に関している。そして、
Cl,Crはキャリア10Fの回転速度でここではキャ
リア10Fは回転しないので0になっている。S1l,
S1rは第2のサンギヤ10Eの回転速度で、S2l,
S2rは第1のサンギヤ10Aの回転速度であり、第1
のサンギヤ10Aは第2のサンギヤ10Eよりも小径な
ので、回転速度S2l,S2rは回転速度S1l,S1
rよりも大きい。そして、DCはデフケース8Aの回転
速度である。
【0045】また、Z1 は第2のサンギヤ10Eの歯
数、Z2 は第1のサンギヤ10Aの歯数であり、Ti
デフケース8Aへの入力トルク、Tl,Trはそれぞれ
左側輪及び右側輪への配分トルク(等配分トルク)、T
c1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Aの多板クラッチ
機構12を係合したときの右輪側への増分トルク、Tc
2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Aの多板クラッチ機
構12を係合したときの左輪側への増分トルクである。
【0046】さらに、図2は左右輪が等速で回転してい
る状態を示し、図3は右輪側の駆動力伝達制御機構9A
の多板クラッチ機構12が完全係合されて、右輪側に多
板クラッチ機構12を介して駆動力が付加され右輪側の
回転速度が増速されている一方で、これに応じて、左輪
側への駆動力が削減され左輪側の回転速度が減速されて
いる状態を示している。
【0047】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0048】このSmax の状態は、図3に示され、多板
クラッチ機構12が完全係合されると、デフケース8A
の回転速度DCと第2のサンギヤ10Eの回転速度S1
rとが等しくなる。
【0049】したがって、図3より、 1/Z1 : 1/Z2 =1:1+Smax ∴Z2 /Z1 =1/(1+Smax ) ・・・・(2.1)
【0050】次に、ΔT(右輪側への駆動力の増分)に
必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギヤ部の
トルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板クラッ
チ機構12)を伝達状態とする]より、 Ti−Tc=Tl+[Tr−(Z2 /Z1 )Tc] ∴Tl=Tr−(Z2 /Z1 )Tc ・・・・(2.2) 式(2.1),(2.2)より、左右輪の駆動トルク
は、 Tr=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2(1+Smax )]Tc Tl=(1/2)Ti−(1/2)Tc ・・・・(2.3) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=[1/(1+Smax )]Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=(1+Smax )ΔT ・・・・(2.4)
【0051】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 1/Z1 : 1/Z2 =x:1+S ∴x=(Z2 /Z1 )・(1+S) =(1+S)/(1+Smax ) ・・・・(2.5) よって、 Sc=1−(1+S)/(1+Smax ) =(Smax −S)/(1+Smax ) ・・・・(2.6) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC (kgfm/s ) ・・・・(2.7) ただし、ωDC:デフケースの回転数(rad /s ) 例えば、ωDC=(1000×V×2π)/(3600×2π×
r) V:車速(km/s ) r:タイヤ径(m) ∴ΔE′=(1+Smax )ΔT・[(Smax −S)/(1+Smax )]・ωDC =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.8)
【0052】以上の式(2.3),(2.8)から、例
えば0<S<Smaxのとき、即ち、左旋回のときには、
右側のクラッチ12を接続すればよく、このとき、回頭
方向のモーメントを発生させる場合のエネルギロスΔ
E′は比較的少なくて済む。
【0053】なお、この実施例では、動力伝達手段とし
て油圧式の多板クラッチ機構12が設けられているが、
動力伝達手段としては、多板クラッチ機構の他に、摩擦
クラッチや、VCU(ビスカスカップリングユニット)
や、HCU(ハイドーリックカップリングユニット)等
の他のカップリングを用いることもできる。
【0054】摩擦クラッチの場合、多板クラッチ機構と
同様に油圧等で係合力を調整するものが考えられ、特
に、この摩擦クラッチでは、トルク伝達方向が一方向の
ものを所要の方向(それぞれのトルク伝達方向)向けて
設置することが考えられる。
【0055】また、このVCUやHCUには、従来型の
動力伝達特性が一定のものも考えられるが、動力伝達特
性を調整できるようにしたものが適している。そして、
これらの係合力調整や動力伝達特性の調整は、油圧によ
る他に、電磁力等の他の駆動系を用いることも考えられ
る。
【0056】次に、第2実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0057】この駆動力伝達制御機構9Bでは、図5に
示すように、変速機構30が第1実施例のものと異なっ
ており、第1のサンギヤ30Aが第2のサンギヤ30E
よりも大きい径に形成されているので、第2のサンギヤ
30Eの回転速度は第1のサンギヤ30Aよりも大きく
なり、この変速機構30は増速機構としてはたらくよう
になっている。したがって、クラッチ板12Aの回転速
度がクラッチ板12Bよりも大きく、多板クラッチ機構
12を係合させた場合には、この係合状態に応じた量の
トルクが、右輪回転軸14側から入力軸6A側へ送給
(返送)されるようになっている。
【0058】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構30及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて右輪回転軸14側の多板クラッチ機
構12を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて左輪回転軸13側
の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0059】このとき、第1実施例と同様に、多板クラ
ッチ機構12が油圧駆動式であるから、油圧の大きさを
調整することで多板クラッチ機構12の係合状態を制御
でき、入力軸6Aから左輪回転軸13又は右輪回転軸1
4への駆動力の送給量(つまりは駆動力の左右配分比)
を適当な精度で調整することができるようになってい
る。
【0060】また、第1実施例と同様に、左右の多板ク
ラッチ機構12が共に完全係合することのないように設
定されており、左右の多板クラッチ機構12のうち一方
が完全係合したら他方の多板クラッチ機構12は滑りを
生じるようになっている。
【0061】本発明の第2実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
2実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを用い
てトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要
量を他方に転送することによりトルク配分が調整される
ため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来すること
なく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0062】ここで、図6,7を参照して、この車両用
左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロスに
ついて考察する。
【0063】図6,7において、lを付した符号は左輪
に関し、rを付した符号は右輪に関している。そして、
Cl,Crはキャリア30Fの回転速度でここではキャ
リア30Fは回転しないので0になっている。S1l,
S1rは第1のサンギヤ30Aの回転速度で、S2l,
S2rは第2のサンギヤ30Eの回転速度であり、第1
のサンギヤ30Aは第2のサンギヤ30Eよりも大径な
ので、回転速度S1l,S1rは回転速度S2l,S2
rよりも大きい。そして、DCはデフケース8Aの回転
速度である。
【0064】また、Z1 は第1のサンギヤ30Aの歯
数、Z2 は第2のサンギヤ30Eの歯数であり、Ti
デフケース8Aへの入力トルク、Tl,Trはそれぞれ
左側輪及び右側輪への配分トルク(等配分トルク)、T
c1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Bの多板クラッチ
機構12を係合したときの右輪側からの減少トルク、T
c2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Bの多板クラッチ
機構12を係合したときの左輪側からの減少トルクであ
る。
【0065】さらに、図6は左右輪が等速で回転してい
る状態を示し、図7は右輪側の駆動力伝達制御機構9B
の多板クラッチ機構12が完全係合されて、右輪側から
多板クラッチ機構12を介して駆動力が返送され右輪側
の回転速度が減速されている一方で、これに応じて、左
輪側への駆動力が付加され左輪側の回転速度が増速され
ている状態を示している。
【0066】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0067】このSmax の状態は、図7に示され、多板
クラッチ機構12が完全係合されると、デフケース8A
の回転速度DCと第2のサンギヤ30Eの回転速度S2
rとが等しくなる。
【0068】したがって、図7より、 1/Z1 : 1/Z2 =1−Smax :1 ∴Z2 /Z1 =1−Smax ・・・・(2.9)
【0069】次に、ΔT(右輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板
クラッチ機構12)を伝達状態とする]より、 Ti+Tc=Tl+[Tr+(Z2 /Z1 )Tc] ∴Tl=Tr+(Z2 /Z1 )Tc ・・・・(2.10) 式(2.9),(2.10)より、左右輪の駆動トルク
は、 Tr=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2(1−Smax )]Tc Tl=(1/2)Ti+(1/2)Tc ・・・・(2.11) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=[1/(1−Smax )]Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=(1−Smax )ΔT ・・・・(2.12)
【0070】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 1/Z1 : 1/Z2 =1+S:x ∴x=(Z1 /Z2 )・(1+S) =(1+S)/(1−Smax ) ・・・・(2.13) よって、 Sc=(1+S)/(1−Smax )−1 =(S+Smax )/(1−Smax ) ・・・・(2.14) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(S+Smax )・ΔT・ωDC ・・・・(2.15)
【0071】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、式(2.4)(2.13)を対比させると、
クラッチ容量的には第1実施例のもの(図3参照)より
も有利である。
【0072】一方、式(2.3),(2.8),(2.
11),(2.15)から、Smaxの方向性を考慮する
と、第1実施例で説明した場合と同一の走行状態で且つ
同一の制御状態でのエネルギロスΔE′は、第1実施例
の場合と等しくなり、回頭方向のモーメントを発生させ
るためのエネルギロスΔE′は比較的少なくて済むこと
になる。
【0073】なお、式(2.3),(2.11)より、
第1実施例(図3参照)及び第2実施例(図6参照)の
場合とも、非制御時(つまり、Tr=Tl)に対するト
ルクの変化量については、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。
【0074】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0075】次に、第3実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0076】この駆動力伝達制御機構9Cでは、図8に
示すように、変速機構31及び多板クラッチ機構42が
第1及び第2実施例のものと異なっている。ここでも、
右側の装置について説明する。
【0077】変速機構31は、入力軸6A側のデフケー
ス8の左右側部にそれぞれ設けられ、2組の直列な遊星
歯車機構からなり、第1のサンギヤ31Aと第2のサン
ギヤ31Eと第1のプラネタリギヤ31Bと第2のプラ
ネタリギヤ31Dとピニオンシャフト31Cとプラネタ
リキャリア31Fとからなり、第1のサンギヤ31Aの
プレート部分は駆動力伝達補助部材41になっている。
【0078】そして、この駆動力伝達補助部材41と右
輪回転軸14との間に、多板クラッチ機構42が介設さ
れる。この多板クラッチ機構42は、回転軸14側のク
ラッチ板42Bと駆動力伝達補助部材41側のクラッチ
板42Bとが交互に重合してなり、図示しない油圧系か
ら供給される油圧に応じて、その係合状態を調整され
る。
【0079】このため、多板クラッチ機構42が係合す
ると、回転軸14側から、多板クラッチ機構42,第1
のサンギヤ31A,第1のプラネタリギヤ31B,第2
のプラネタリギヤ31D,第2のサンギヤ31Eを経
て、入力軸6A側のデフケース8へ至る駆動力の伝達路
が形成される。
【0080】ここでは、第1のサンギヤ31Aが第2の
サンギヤ31Eよりも大きい径に形成されているので、
第2のサンギヤ31Eの回転速度は第1のサンギヤ31
Aより大きくなり、この変速機構31は駆動力伝達補助
部材41を入力軸6A側よりも減速する減速機構として
はたらくようになっている。
【0081】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも大きく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、右輪回転軸14側から入力軸6A側へ送給(返
送)されるようになっている。
【0082】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構31及び多板クラッチ機構42も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて右輪回転軸14側の多板クラッチ機
構42を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて左輪回転軸13側
の多板クラッチ機構42を適当に係合する。
【0083】このとき、多板クラッチ機構42が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構42の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0084】また、左右の多板クラッチ機構42が共に
完全係合することのないように設定されており、左右の
多板クラッチ機構42のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構42は滑りを生じるようになってい
る。
【0085】本発明の第3実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1,2実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0086】ここで、図9,10を参照して、この車両
用左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロス
について考察する。
【0087】図9,10において、lを付した符号は左
輪に関し、rを付した符号は右輪に関している。そし
て、Cl,Crはキャリア31Fの回転速度でここでは
キャリア31Fは回転しないので0になっている。S1
l,S1rは第1のサンギヤ31Aの回転速度で、S2
l,S2rは第2のサンギヤ31Eの回転速度であり、
第1のサンギヤ31Aは第2のサンギヤ31Eよりも大
径なので、回転速度S1l,S1rは回転速度S2l,
S2rよりも小さい。
【0088】また、Z1 は第1のサンギヤ31Aの歯
数、Z2 は第2のサンギヤ31Eの歯数Dであり、Ti
はデフケース8Aへの入力トルク、Tl,Trはそれぞ
れ左側輪及び右側輪への配分トルク(等配分トルク)、
Tc1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Cの多板クラッ
チ機構42を係合したときの右輪側からの減少トルク、
Tc2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Cの多板クラッ
チ機構42を係合したときの左輪側からの減少トルクで
ある。
【0089】さらに、図9は左右輪が等速で回転してい
る状態を示し、図10は右輪側の駆動力伝達制御機構9
Cの多板クラッチ機構42が完全係合されて、右輪側か
ら多板クラッチ機構42を介して駆動力が返送され右輪
側の回転速度が減速されている一方で、これに応じて、
左輪側への駆動力が付加され左輪側の回転速度が増速さ
れている状態を示している。
【0090】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0091】このSmax の状態は、図10に示され、多
板クラッチ機構42が完全係合されると、デフケース8
Aの回転速度DCと第2のサンギヤ31Eの回転速度S
2rとが等しくなる。
【0092】したがって、図10より、 1/Z1 : 1/Z2 =1−Smax :1 ∴Z2 /Z1 =1−Smax ・・・・(2.16)
【0093】次に、ΔT(右輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板
クラッチ機構42)を伝達状態とする]より、 Ti+(Z2 /Z1 )Tc=Tl+[Tr+Tc] ∴Tl=Tr+Tc ・・・・(2.17) 式(2.16),(2.17)より、左右輪の駆動トル
クは、 Tr=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2]Tc Tl=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2]Tc・・・・(2.18) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=ΔT ・・・・(2.19)
【0094】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 1/Z1 : 1/Z2 =x:1 ∴x=(Z2 /Z1 )=1−Smax ・・・・(2.20) よって、 Sc=(1+S)−(1−Smax )=S+Smax ・・・・(2.21) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(S+Smax )・ΔT・ωDC ・・・・(2.22)
【0095】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、クラッチ容量的には、第1実施例のもの(図
3参照)よりは有利で、第2実施例のもの(図7参照)
よりは不利となる。
【0096】また、エネルギロスΔE′は、第1,2実
施例の場合と等しくなり、回頭方向のモーメントを発生
させるためのエネルギロスΔE′は比較的少なくて済む
ことになる。
【0097】さらに、第1実施例(図3参照)及び第2
実施例(図6参照)の場合と同様に、非制御時(つま
り、Tr=Tl)に対するトルクの変化量については、
(減少側のトルク変化量)>(増加側のトルク変化量)
となっている。
【0098】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0099】次に、第4実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0100】この駆動力伝達制御機構9Dでは、図11
に示すように、第3実施例とほぼ同様に変速機構32及
び多板クラッチ機構42を配置しているが、ここでは、
第1のサンギヤ31Aが第2のサンギヤ31Eよりも小
さい径に形成されている。このため、第2のサンギヤ3
1Eの回転速度は第1のサンギヤ31Aよりも小さくな
り、この変速機構32は駆動力伝達補助部材41を入力
軸6A側よりも増速する増速機構としてはたらくように
なっている。
【0101】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも小さく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、入力軸6A側から右輪回転軸14側へ送給され
るようになっている。
【0102】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構32及び多板クラッチ機構42も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて左輪回転軸13側の多板クラッチ機
構42を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構42を適当に係合する。
【0103】なお、多板クラッチ機構42が油圧駆動式
であるから、油圧の大きさを調整することで多板クラッ
チ機構42の係合状態を制御でき、入力軸6Aから左輪
回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量(つ
まりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整するこ
とができるようになっている。
【0104】また、左右の多板クラッチ機構42が共に
完全係合することのないように設定されており、左右の
多板クラッチ機構42のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構42は滑りを生じるようになってい
る。
【0105】本発明の第4実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜3実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0106】ここで、図12,13を参照して、この車
両用左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロ
スについて考察する。
【0107】図12,13において、lを付した符号は
左輪に関し、rを付した符号は右輪に関している。そし
て、Cl,Crはキャリア31Fの回転速度でここでは
キャリア31Fは回転しないので0になっている。S1
l,S1rは第2のサンギヤ31Eの回転速度で、S2
l,S2rは第1のサンギヤ31Aの回転速度であり、
第1のサンギヤ31Aは第2のサンギヤ31Eよりも小
径なので、回転速度S2l,S2rは回転速度S1l,
S1rよりも大きい。
【0108】また、Z1 は第2のサンギヤ31Eの歯
数、Z2 は第1のサンギヤ31Aの歯数であり、Ti
デフケース8Aへの入力トルク、Tl,Trはそれぞれ
左側輪及び右側輪への配分トルク(等配分トルク)、T
c1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Dの多板クラッチ
機構42を係合したときの右輪側からの減少トルク、T
c2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Dの多板クラッチ
機構42を係合したときの左輪側からの減少トルクであ
る。
【0109】さらに、図12は左右輪が等速で回転して
いる状態を示し、図13は右輪側の駆動力伝達制御機構
9Dの多板クラッチ機構42が完全係合されて、右輪側
から多板クラッチ機構42を介して駆動力が返送され右
輪側の回転速度が減速されている一方で、これに応じ
て、左輪側への駆動力が付加され左輪側の回転速度が増
速されている状態を示している。
【0110】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0111】このSmax の状態は、図13に示され、多
板クラッチ機構42が完全係合されると、デフケース8
Aの回転速度DCと第2のサンギヤ31Eの回転速度S
2rとが等しくなる。
【0112】したがって、図13より、 1/Z1 : 1/Z2 =1:1+Smax ∴Z2 /Z1 =1/1+Smax ・・・・(2.23)
【0113】次に、ΔT(右輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板
クラッチ機構42)を伝達状態とする]より、 Ti+(Z1 /Z2 )Tc=Tl+[Tr−Tc] ∴Tl=Tr−Tc ・・・・(2.24) 式(2.23),(2.24)より、左右輪の駆動トル
クは、 Tr=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2]Tc Tl=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2]Tc・・・・(2.25) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=ΔT ・・・・(2.26)
【0114】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 1/Z1 : 1/Z2 =1:x ∴x=(Z1 /Z2 )=1;Smax ・・・・(2.27) よって、 Sc=1+Smax −(1+S)=Smax −S ・・・・(2.28) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.29)
【0115】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、クラッチ容量的には、第3実施例(図10参
照)と同様で、第1実施例のもの(図3参照)よりは有
利で、第2実施例のもの(図7参照)よりは不利とな
る。
【0116】また、エネルギロスΔE′は、第1〜3実
施例の場合と等しくなり、回頭方向のモーメントを発生
させるためのエネルギロスΔE′は比較的少なくて済む
ことになる。
【0117】さらに、第1実施例(図3参照),第2実
施例(図6参照)及び第3実施例(図10参照)の場合
と同様に、非制御時(つまり、Tr=Tl)に対するト
ルクの変化量については、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。
【0118】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0119】次に、第5実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0120】この車両用左右駆動力調整装置にそなえら
れる駆動力伝達制御機構9Eでは、図14に示すよう
に、回転軸13,14と並行に軸(カウンタシャフト)
51が設けられ、この軸51には、中径の歯車52と大
径の歯車53と小径の歯車54とがそなえられ、一方の
回転軸13には、中径の歯車52と噛合する中径の歯車
59がそなえられ、他方の回転軸14には、大径の歯車
53と噛合する小径の歯車55と小径の歯車54と噛合
する大径の歯車56とが設けられる。
【0121】そして、回転軸14と小径の歯車55との
間及び回転軸14と大径の歯車56との間には、それぞ
れ、油圧式の多板クラッチ57,58が介装されてい
る。なお、多板クラッチ57,58を軸51上に設けて
もよい。
【0122】これにより、軸51は回転軸13と等速で
回転するが、回転軸14の小径の歯車55は、これらの
軸51や回転軸13よりも高速で回転し、回転軸14の
大径の歯車56は、これらの軸51や回転軸13よりも
低速で回転する。
【0123】したがって、多板クラッチ57を係合する
と、回転軸14よりも高速の小径の歯車55側から回転
軸14側へトルクが伝達され、この分だけ回転軸13側
へのトルクが減少する。
【0124】また、多板クラッチ58を係合すると、回
転軸14側から回転軸14よりも低速の大径の歯車56
側へトルクが返送され、この分だけ回転軸13側へのト
ルクが増加する。
【0125】そして、多板クラッチ機構57,58が油
圧駆動式であるから、油圧の大きさを調整することで多
板クラッチ機構57,58の係合状態を制御でき、入力
軸6Aから左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動
力の送給量(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精
度で調整することができるようになっている。
【0126】また、2つの多板クラッチ機構57,58
が共に完全係合することのないように設定されており、
2つの多板クラッチ機構57,58のうち一方が完全係
合したら他方は滑りを生じるようになっている。
【0127】本発明の第5実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜4実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0128】ここで、この車両用左右駆動力調整装置の
クラッチ容量及びエネルギロスについて考察する。
【0129】まず、簡単のために、ギヤ53の歯数Z1
と、ギヤ55の歯数Z2 と、ギヤ56の歯数Z3 と、ギ
ヤ54の歯数Z4 と、ギヤ52及び59の歯数Z5 との
間に、下式が成立するものとする。 Z1 >Z2 ,Z3 >Z4 ギヤ比の設定は、Smax の条件から、 (1−Smax )(Z1 /Z2 )=1+Smax ∴Z1 /Z2 =(1+Smax )/(1−Smax ) (1+Smax )(Z4 /Z3 )=1−Smax ∴Z4 /Z3 =(1−Smax )/(1+Smax ) ∴Z1 /Z2 =Z3 /Z4 =(1+Smax )/(1−Smax ) ・・・・(2.30)
【0130】次に、ΔT(右輪側への駆動力の増分)に
必要なカップリングトルクTcを導くと、 多板クラッチ機構57のカップリングC1を伝達状態
とし、多板クラッチ機構57のカップリングトルクをT
c1とすると、 Tr=(1/2)Ti+Tc1 Tl=(1/2)Ti−(Z1 /Z2 )Tc1 ・・・・(2.31) 式(2.30),(2.31)より、左右輪の駆動トル
クは、 ΔT=|Tr−Tl|=[2/(1−Smax )]Tc1 よって、 Tcl=[(1−Smax )/2]ΔT ・・・・(2.32) 多板クラッチ機構58のカップリングC2を伝達状態
とし、多板クラッチ機構58のカップリングトルクをT
c2とすると、 Tr=(1/2)Ti−Tc2 Tl=(1/2)Ti+(Z4 /Z3 )Tc2 ・・・・(2.33) よって、 Tc2=[(1+Smax )/2]ΔT ・・・・(2.34)
【0131】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE1′,ΔE2′を
求める。ここで、 |S|<Smax とすると、各カップリング部C1,C2のスリップ速度
比Sc1,Sc2は、 Sc1=(Z1 /Z2 )(1−S)−(1+S) =2(Smax −S)/(1−Smax ) ・・・・(2.35) Sc2=(Z4 /Z3 )(1−S)−(1+S) =2(Smax +S)/(1+Smax ) ・・・・(2.36) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE1′(=
dΔE1/dt)およびΔE2′(=dΔE2/dt)
は、 ΔE1′=Tc1・Sc1・ωDC (kgfm/s ) =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.37) ΔE2′=Tc2・Sc2・ωDC (kgfm/s ) =(Smax +S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.38)
【0132】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、クラッチ容量的には第1〜4実施例のプラネ
タリギヤ式のものの半分で済み、エネルギロスΔE′
は、第1〜4実施例の場合と等しくなり、回頭方向のモ
ーメントを発生させるためのエネルギロスΔE′は比較
的少なくて済むことになる。また、クラッチサイズはプ
ラネタリギヤ式と同サイズのものが必要である。
【0133】なお、トルクの変化量についても、プラネ
タリギヤ式と同様であり、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。また、この装
置では、左右用でクラッチの必要に容量が異なることに
なる。
【0134】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0135】次に、第6実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0136】この実施例では、図15に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力軸6Aと、入力軸6Aから入力された駆動力を出
力する左輪回転軸13及び右輪回転軸14とが設けられ
ており、これらの回転軸十三,14と入力軸6Aとの間
に車両用左右駆動力調整装置が介装されている。
【0137】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Fは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0138】すなわち、左輪回転軸13と入力軸6Aと
の間及び右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に、それぞ
れ変速機構60と多板クラッチ機構12とが介装されて
おり、左輪回転軸13又は右輪回転軸14の回転速度
が、変速機構60により減速されて変速機構の出力部
(駆動力伝達補助部材)としての中空軸11に出力され
るようになっている。
【0139】多板クラッチ機構12は、この中空軸11
と入力軸6A側のデファレンシャルケース(以下、デフ
ケースと略す)8Aとの間に介装されており、この多板
クラッチ機構12を係合させることで、高速側のデフケ
ース8Aから低速側の中空軸11へ駆動力が送給される
ようになっている。これは、対向して配設されたクラッ
チ板における一般的な特性として、トルクの伝達が、速
度の速い方から遅い方へ行なわれるためである。
【0140】したがって、例えば、右輪回転軸14と入
力軸6Aとの間の多板クラッチ機構12が係合される
と、右輪回転軸14へ配分される駆動力は、多板クラッ
チ機構12を介して入力軸6A側からの直接ルートで増
加されて、この分だけ、左輪回転軸13へ配分される駆
動力が増加する。
【0141】上述の変速機構60は、1つのプラネタリ
ギヤ機構で構成されており、右輪回転軸14に設けられ
た変速機構60を例に説明すると次のようになる。
【0142】すなわち、右輪回転軸14にはサンギヤ6
0Aが固着されており、このサンギヤ60Aは、その外
周においてプラネタリギヤ(プラネタリピニオン)60
Bに噛合している。プラネタリギヤ60Bを枢支するピ
ニオンシャフト60Cは中空軸11に軸支され、中空軸
11がプラネタリギヤ機構のキャリヤとして機能するよ
うになっている。また、プラネタリギヤ60Bは、駆動
力伝達制御機構9Fのケース等に回転しないように固定
されたリングギヤ60Dに噛合している。
【0143】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ60Bの公転速度は、サンギヤ60Aの回転
速度よりも小さいので、中空軸(つまり、変速機構60
の出力部)11は、右輪回転軸14よりも低速で回転す
る。したがって、変速機構60は、減速機構として機能
するようになっている。
【0144】このため、クラッチ板12Aの回転速度が
クラッチ板12Bよりも小さく、多板クラッチ機構12
を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のトル
クが、入力軸6A側から右輪回転軸14側へ送給される
ようになっている。
【0145】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構60及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて左輪回転軸13側の多板クラッチ機
構12を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0146】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0147】なお、左右の多板クラッチ機構12が同時
に完全係合することのないように設定されており、左右
の多板クラッチ機構12のうち一方が完全係合したら他
方の多板クラッチ機構12は滑りを生じるようになって
いる。
【0148】本発明の第6実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜5実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0149】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0150】次に、第7実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0151】この実施例では、図16に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、入力軸6Aと第1及び
右輪回転軸13,14とが設けられており、左輪回転軸
13と右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に車両用左右
駆動力調整装置が介装されている。
【0152】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Gは、第6実施例(図15参照)
と同様の変速機構60をそなえているが、この変速機構
60は入力軸6A側に連結されており、入力軸6A側の
回転を増速して回転軸13,14の側に出力するように
なっている。
【0153】そして、第6実施例における多板クラッチ
機構12に代えて、例えば摩擦クラッチ等のカップリン
グ61が、変速機構60の出力部60Aと回転軸13,
14との間に介装されている。摩擦クラッチの場合に
は、トルク伝達方向が一方向のものを所要の方向(それ
ぞれのトルク伝達方向)向けて設置する。
【0154】変速機構60は、1つのプラネタリギヤ機
構で構成されており、右輪回転軸14に設けられた変速
機構60を例に説明すると、カップリング61の一方
(入力側)にサンギヤ60Aが固着され、サンギヤ60
Aは、その外周においてプラネタリギヤ(プラネタリピ
ニオン)60Bに噛合している。そして、プラネタリギ
ヤ60Bを枢支するピニオンシャフト60Cはデフケー
ス8Aから延設されたキャリヤ60Eに軸支されてい
る。また、プラネタリギヤ60Bは、駆動力伝達制御機
構9Gのケース等に回転しないように固定されたリング
ギヤ60Dに噛合している。
【0155】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ60Bの公転速度は、サンギヤ60Aの回転
速度よりも小さいので、サンギヤ60A側(つまり、変
速機構60の出力部)は、中空軸11よりも高速で回転
する。したがって、変速機構60は、増速機構として機
能するようになっている。
【0156】このため、カップリング61を係合させた
場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、右輪回
転軸14側から入力軸6A側へ送給されるようになって
いる。
【0157】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構60及びカップリング61も同様に構成されてお
り、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13によ
り多く配分したい場合には、その配分したい程度(配分
比)に応じて右輪回転軸14側のカップリング61を適
当に係合し、右輪回転軸14により多く配分したい場合
には、その配分比に応じて左輪回転軸13側のカップリ
ング61を適当に係合する。
【0158】このとき、カップリング61の係合状態を
制御することで、入力軸6Aから左輪回転軸13又は右
輪回転軸14への駆動力の送給量(つまりは駆動力の左
右配分比)を適当な精度で調整することができるように
なっている。
【0159】なお、ここでも、左右のカップリング61
が同時に完全係合することのないように設定されてお
り、左右のカップリング61のうち一方が完全係合した
ら他方は滑りを生じるようになっている。
【0160】本発明の第7実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜6実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0161】なお、この実施例でも、動力伝達手段とし
て、摩擦クラッチの他に、多板クラッチ機構やVCUや
HCU等の他のカップリングを用いることもでき、これ
らの駆動系も、油圧駆動の他に、電磁力駆動等を用いる
ことも考えられる。
【0162】次に、第8実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0163】この実施例では、図17に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力軸6Aと、入力軸6Aから入力された駆動力を出
力する左輪回転軸13及び右輪回転軸14とが設けられ
ており、回転軸13,14と入力軸6Aとの間に車両用
左右駆動力調整装置が介装されている。
【0164】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Hは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0165】すなわち、左輪回転軸13と入力軸6Aと
の間及び右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に、それぞ
れ変速機構62と多板クラッチ機構12とが介装されて
いるが、この変速機構62は、回転速度を出力部で増速
して出力することと減速して出力することができ、増速
して出力する状態(増速出力状態)と減速して出力する
状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構63が付
設されている。このため、変速機構62及び多板クラッ
チ機構12は一方の出力軸側(ここでは、左輪回転軸1
3の側)にそれぞれ1つだけ設けられている。
【0166】上述の変速機構62は、互いに直列に結合
された3組のプラネタリギヤ機構で構成されている。す
なわち、左輪回転軸13の側には、大径のサンギヤ62
Aと小径のサンギヤ62Dとがそなえられ、これらのサ
ンギヤ62A,62Dは、それぞれその外周においてプ
ラネタリギヤ(プラネタリピニオン)62B,62Eに
噛合している。
【0167】これらのプラネタリギヤ62B,62Eは
共通のキャリヤ(固定部)に軸支されたピニオンシャフ
ト62Cに一体回転するように装備されており、サンギ
ヤ62A,62Dの径の関係とは逆に、プラネタリギヤ
62Bは、プラネタリギヤ62Eよりも小径に設定され
ている。
【0168】さらに、このピニオンシャフト62Cに
は、もう1つのプラネタリギヤ62Fが一体回転するよ
うに装備され、このプラネタリギヤ62Fに、中空軸1
1に固着されているもう1つのサンギヤ62Gが噛合し
ている。なお、サンギヤ62Gの径はサンギヤ62Aの
径よりも小さく且つサンギヤ62Dの径よりも大きく設
定され、プラネタリギヤ62Fの径はプラネタリギヤ6
2Bの径よりも大きくプラネタリギヤ62Eの径よりも
小さく設定されている。
【0169】そして、サンギヤ62A,62Dと左輪回
転軸13との間に、切替機構63が設けられている。こ
の切替機構63は、電磁式アクチュエータ(ソレノイ
ド)63Aと、このアクチュエータ63Aで駆動される
スライドレバー63Bと、このスライドレバー63Bで
駆動される連結部材63Cと、左輪回転軸13に設けら
れたハブ64と、サンギヤ62Aの内周に設けられたハ
ブ65と、サンギヤ62Dの内周に設けられたハブ66
とから構成される。なお、電磁式アクチュエータ63A
は、コントロールユニット18によって作動を制御され
るようになっている。
【0170】連結部材63Cは、その内周でハブ64と
セレーション結合してこのハブ64と常時一体に回転す
るようになっており、連結部材63Cの軸方向位置に対
応して、その内周でハブ65又はハブ66とセレーショ
ン結合して一体に回転しうるようになっている。
【0171】つまり、連結部材63Cが、スライドレバ
ー63Bで後進状態(図17中、左方に移動した状態)
に駆動されると、その外周がハブ65とセレーション結
合してこのハブ65と一体に回転し、スライドレバー6
3Bで前進状態(図17中、右方に移動した状態)に駆
動されると、その外周がハブ66とセレーション結合し
てこのハブ66と一体に回転するようになっている。
【0172】したがって、連結部材63Cが後進状態の
ときには、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63
C,ハブ65を介してサンギヤ62Aと連結して、左輪
回転軸13の回転は、サンギヤ62A,プラネタリギヤ
62B,ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ6
2F,サンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力され
る。そして、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Aの径
よりも小さく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタ
リギヤ62Bの径よりも大きいので、サンギヤ62Gは
サンギヤ62Aよりも高速で回転する。即ち、中空軸1
1は左輪回転軸13よりも高速で回転することになり、
変速機構62は増速機構として機能するようになってい
る。
【0173】また、連結部材63Cが前進状態のときに
は、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63C,ハブ
66を介してサンギヤ62Dと連結して、左輪回転軸1
3の回転は、サンギヤ62D,プラネタリギヤ62E,
ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ62F,サ
ンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力される。そし
て、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Dの径よりも大
きく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタリギヤ6
2Eの径よりも小さいので、サンギヤ62Gはサンギヤ
62Dよりも低速で回転する。即ち、中空軸11は左輪
回転軸13よりも低速で回転することになり、変速機構
62は減速機構として機能するようになっている。
【0174】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデフケース8Aとの間に介装
されており、この多板クラッチ機構12を係合させるこ
とで、デフケース8Aと中空軸11との間で駆動力の授
受が行なわれるようになっている。
【0175】したがって、例えば、連結部材63Cを後
進状態とすると、変速機構62の出力部としての中空軸
11は左輪回転軸13よりも高速で回転して、比較的高
速の中空軸11側からデフケース8A側へと駆動力が返
送され、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆
動力が減少して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される
駆動力は、この分だけ増加する。
【0176】また、例えば、連結部材63Cを前進状態
とすると、変速機構62の出力部としての中空軸11は
左輪回転軸13よりも低速で回転して、比較的高速のデ
フケース8A側から中空軸11側へと駆動力が返送さ
れ、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆動力
が増加して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される駆動
力は、この分だけ減少する。
【0177】本発明の第8実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜7実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0178】さらに、変速機構62及び多板クラッチ機
構12はそれぞれ1つだけ設ければよいので、スペース
上やコスト上で有利になる。
【0179】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0180】次に、第9実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0181】この実施例では、図18に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力軸6Aと、入力軸6Aから入力された駆動力を出
力する左輪回転軸13及び右輪回転軸14とが設けられ
ており、回転軸13,14との間に車両用左右駆動力調
整装置が介装されている。
【0182】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Iは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0183】すなわち、左輪回転軸13と右輪回転軸1
4との間に、それぞれ変速機構99と多板クラッチ機構
12とが介装されており、この変速機構99は、右輪回
転軸14の回転速度を増速して出力することと減速して
出力することができ、増速して出力する状態(増速出力
状態)と減速して出力する状態(減速出力状態)とを切
り替える切替機構101が付設されている。このため、
変速機構99及び多板クラッチ機構12はそれぞれ1つ
だけ設けられている。
【0184】上述の変速機構99は、左輪回転軸13と
これと平行な軸(カウンタシャフト)99Cとの間にそ
れぞれ設けられた3組のギヤ機構で構成されている。す
なわち、カウンタシャフト99Cの側には、小径のギヤ
99Aと大径のギヤ99Bとがそなえられ、左輪回転軸
13には、大径のギヤ14Aと小径のギヤ14Bとがそ
なえられ、ギヤ99Aとギヤ14Aとが噛合し、ギヤ9
9Bとギヤ14Bとが噛合している。ただし、ギヤ99
A,99Bは、カウンタシャフト99Cと切替機構10
1を介して接続され、切替機構101の状態に応じて、
カウンタシャフト99Cに対して相対回転したり、一体
回転しうるようになっている。
【0185】さらに、カウンタシャフト99Cの左輪側
端部には中径のギヤ99Dがそなえられ、左輪回転軸1
3の側には中径のギヤ100Cがそなえられ、これらの
ギヤ99D,100Cが噛合している。そして、ギヤ1
00Cと左輪回転軸13との間に多板クラッチ機構12
が介装されている。
【0186】また、上述の切替機構101は、電磁式ア
クチュエータ(ソレノイド)101Aと、このアクチュ
エータ101Aで駆動されるスライドレバー101B
と、このスライドレバー101Bで駆動される連結部材
101Cと、カウンタシャフト99Cに設けられたハブ
67と、ギヤ99Aに結合されたハブ68と、サンギヤ
99Bに結合されたハブ69とから構成される。なお、
電磁式アクチュエータ101Aは、コントロールユニッ
ト18によって作動を制御されるようになっている。
【0187】連結部材101Cは、ハブ67とハブ68
とにセレーション結合してこのハブ67とハブ68とを
一体に回転する態位と、ハブ67とハブ69とにセレー
ション結合してこのハブ67とハブ69とを一体に回転
する態位とをとりうるようになっている。
【0188】つまり、連結部材101Cが、スライドレ
バー101Bで後進状態(図18中、左方に移動した状
態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ6
7とハブ68とが一体に回転するようになり、スライド
レバー101Bで前進状態(図17中、右方に移動した
状態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ
67とハブ69とが一体に回転するようになっている。
【0189】したがって、連結部材101Cが後進状態
のときには、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14A,9
9A,ハブ67,連結部材101C,ハブ68を介して
カウンタシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99
E,100Cを介して多板クラッチ機構12に伝達され
るようになっている。このときには、ギヤ14A,99
A,99E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ
100Cは右輪回転軸14よりも高速で回転する。つま
り、右輪回転軸14の回転は増速されてギヤ100Cに
出力される。
【0190】また、連結部材101Cが前進状態のとき
には、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14B,99B,
ハブ67,連結部材101C,ハブ69を介してカウン
タシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99E,1
00Cを介して多板クラッチ機構12に伝達されるよう
になっている。このときには、ギヤ14B,99B,9
9E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ100
Cは右輪回転軸14よりも低速で回転する。つまり、右
輪回転軸14の回転は減速されてギヤ100Cに出力さ
れる。
【0191】つまり、連結部材101Cが後進状態のと
きに多板クラッチ機構12を係合させると、増速された
ギヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転
軸13の側のクラッチプレートよりも高速回転するの
で、右輪回転軸14側から左輪回転軸13側にトルクが
伝達される。
【0192】また、連結部材101Cが前進状態のとき
に多板クラッチ機構12を係合させると、減速されたギ
ヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転軸
13の側のクラッチプレートよりも低速回転するので、
左輪回転軸13側から右輪回転軸14側にトルクが伝達
される。
【0193】本発明の第9実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜8実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。さら
に、変速機構99及び多板クラッチ機構12はそれぞれ
1つだけ設ければよいので、スペース上やコスト上で有
利になる。
【0194】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0195】次に、第10実施例について説明すると、
図19に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車は前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪(エンジン出力を与えられない車輪)である後輪1
5,16の側に設けられ、その駆動力伝達制御機構90
Aは、後輪15,16の回転軸13,14の間に設け
ら、第1実施例の駆動力伝達制御機構9Aを否駆動輪に
適用したものである。
【0196】つまり、図19,20に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、右輪回転軸14側には変速機構91が設けられ、左
輪回転軸13側には変速機構92が設けられており、変
速機構91の出力部と左輪回転軸13との間には油圧式
多板クラッチ機構93が介装され、変速機構92の出力
部と左輪回転軸14と連動して等速回転する中空軸95
との間には第1実施例と同様にコントローラ18で制御
される油圧式多板クラッチ機構94が介装されている。
なお、93A,93B,94A,94Bはクラッチプレ
ートである。
【0197】このうち、変速機構91は、右輪回転軸1
4に一体回転するように取り付けられたサンギヤ91A
と、サンギヤ91Aと噛合するプラネタリギヤ91B
と、このプラネタリギヤ91Bを枢支するプラネタリシ
ャフト91Cに設置されプラネタリギヤ91Bと一体回
転するプラネタリギヤ91Dと、プラネタリギヤ91D
と噛合するサンギヤ93Cとから構成される。
【0198】そして、サンギヤ93Cはサンギヤ91A
よりも大径に設定され、プラネタリギヤ91Dはプラネ
タリギヤ91Bよりも大径に設定され小径に設定されて
いるので、サンギヤ93Cはサンギヤ91Aよりも低速
で回転する。したがって、変速機構91は、右輪回転軸
14の回転を減速してサンギヤ93Cの回転として出力
するようになっている。
【0199】このため、油圧式多板クラッチ機構93が
係合すると、減速されたサンギヤ93C側のクラッチプ
レート93Aよりも左輪回転軸13側のクラッチプレー
ト93Bの方が回転が速いので、左輪回転軸13側から
サンギヤ93C側つまり右輪回転軸14側へ駆動力が伝
達される。
【0200】この場合、左輪回転軸13及び右輪回転軸
14は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆動
力は供給されないが、左輪回転軸13は路面から受ける
回転反力を右輪回転軸14へ与えることになる。つま
り、左輪回転軸13に連結された左輪15は路面に制動
力を与えこの一方で路面から回転反力を受け、右輪回転
軸14に連結された右輪16は左輪回転軸13側から受
けた駆動力を路面に与えるようになる。制動力は負の駆
動力と考えられるので、否駆動輪でありながら、左輪回
転軸13と右輪回転軸14との駆動力配分が調整される
ことになる。
【0201】また、変速機構92は、左輪回転軸14に
一体回転するように取り付けられたサンギヤ92Aと、
サンギヤ92Aと噛合するプラネタリギヤ92Bと、こ
のプラネタリギヤ92Bを枢支するプラネタリシャフト
92Cに設置されプラネタリギヤ92Bと一体回転する
プラネタリギヤ92Dと、プラネタリギヤ92Dと噛合
するサンギヤ94Cとから構成される。
【0202】そして、サンギヤ94Cはサンギヤ92A
よりも大径に設定され、プラネタリギヤ92Dはプラネ
タリギヤ92Bよりも大径に設定され小径に設定されて
いるので、サンギヤ94Cはサンギヤ92Aよりも低速
で回転する。したがって、変速機構92は、左輪回転軸
13の回転を減速してサンギヤ94Cの回転として出力
するようになっている。
【0203】また、油圧式多板クラッチ機構94の一方
のクラッチプレート94Bの取り付けられる中空軸95
は、これと一体回転するサンギヤ95A,このサンギヤ
95Aと噛合してプラネタリシャフト91Cに取り付け
られたプラネタリギヤ91E,プラネタリシャフト91
C,プラネタリギヤ91B及びサンギヤ91Aを介し
て、右輪回転軸14と連係されている。
【0204】そして、サンギヤ95Aがサンギヤ91A
と同径に設定され、プラネタリギヤ91Eがプラネタリ
ギヤ91Bと同径に設定されているので、中空軸95
は、常に右輪回転軸14と等しい速度で連動するように
なっている。
【0205】このため、油圧式多板クラッチ機構94が
係合すると、減速されたサンギヤ94C側のクラッチプ
レート94Aよりも中空軸95側(つまり、右輪回転軸
14側)のクラッチプレート94Bの方が回転が速いの
で、右輪回転軸14側から左輪回転軸13側へ駆動力が
伝達される。
【0206】この場合にも、左輪回転軸13及び右輪回
転軸14は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの
駆動力は供給されないが、右輪回転軸14は路面から受
ける回転反力を左輪回転軸13へ与えることになる。つ
まり、右輪回転軸14に連結された右輪16は路面に制
動力を与えこの一方で路面から回転反力を受け、左輪回
転軸13に連結された左輪15は右輪回転軸14側から
受けた駆動力を路面に与えるようになり、否駆動輪であ
りながら、左輪回転軸13と右輪回転軸14との駆動力
配分が調整されることになる。
【0207】本発明の第10実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。
【0208】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0209】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0210】次に、第11実施例について説明すると、
図21に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車も前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪である後輪15,16の側に設けられ、その駆動力伝
達制御機構90Bは、後輪15,16の回転軸13,1
4の間に設けられており、第5実施例の機構9Eを否駆
動輪に適用したものである。
【0211】つまり、図21,22に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、これらの回転軸13,14間には変速機構96が設
けられ、左輪回転軸13側には、変速機構96の増速出
力部との間に油圧式多板クラッチ機構97が設けられ、
変速機構96の減速出力部との間に油圧式多板クラッチ
機構98が設けられている。
【0212】変速機構96は、右輪回転軸14に設けら
れたギヤ14Aと、回転軸13,14と平行に設置され
た軸(カウンタシャフト)96Bと、このカウンタシャ
フト96Bに設けられてギヤ14Aと噛合するギヤ96
Aと、油圧式多板クラッチ機構97を介して左輪回転軸
13側に設けられたギヤ97Cと、油圧式多板クラッチ
機構98を介して左輪回転軸13側に設けられたギヤ9
8Cと、カウンタシャフト96Bに設けられてギヤ97
Cと噛合するギヤ96Cと、カウンタシャフト96Bに
設けられてギヤ98Cと噛合するギヤ96Dとから構成
される。
【0213】そして、ギヤ97Cはギヤ14Aよりも小
径に、ギヤ98Cはギヤ14Aよりも大径に設定され、
ギヤ96Cはギヤ96Aよりも大径に、ギヤ96Dはギ
ヤ96Aよりも小径に設定されている。
【0214】したがって、ギヤ97Cは、ギヤ14A,
ギヤ96A,ギヤ96C,ギヤ97Cのルートで回転力
を伝達されて、ギヤ14Aよりも高速で回転し、このギ
ヤ97Cが変速機構96の増速出力部となっている。ま
た、ギヤ98Cは、ギヤ14A,ギヤ96A,ギヤ96
D,ギヤ98Cのルートで回転力を伝達されて、ギヤ1
4Aよりも低速で回転し、このギヤ98Cが変速機構9
6の減速出力部となっている。
【0215】このため、油圧式多板クラッチ機構97が
係合すると、増速されたギヤ97C側のクラッチプレー
ト97Bよりも左輪回転軸13側のクラッチプレート9
7Aの方が回転が遅いので、右輪回転軸14側から左輪
回転軸13側へ駆動力が伝達される。
【0216】逆に、油圧式多板クラッチ機構98が係合
すると、減速されたギヤ98C側のクラッチプレート9
8Bよりも左輪回転軸13側のクラッチプレート98A
の方が回転が速いので、左輪回転軸13側から右輪回転
軸14側へ駆動力が伝達される。
【0217】この場合も、左輪回転軸13及び右輪回転
軸14は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆
動力は供給されないが、駆動力を与える側の回転軸13
又は14は路面から受ける回転反力を一方の回転軸14
又は13へ与えることになる。つまり、駆動力を与える
側の回転軸13又は14に連結された車輪15又は16
は路面に制動力を与えこの一方で路面から回転反力を受
け、駆動力を受ける側の回転軸14又は13に連結され
た右輪16又は15はこの回転反力を受けて駆動力とし
て路面に伝えるようになる。
【0218】本発明の第11実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。
【0219】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0220】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0221】次に、第12実施例について説明すると、
図23に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車も前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪である後輪15,16の側に設けられ、その駆動力伝
達制御機構90Cは、後輪15,16の回転軸13,1
4の間に設けられており、第9実施例の機構9Iを否駆
動輪に適用したものである。
【0222】つまり、図23,24に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、これらの左輪回転軸13と右輪回転軸14との間に
は、変速機構99と多板クラッチ機構12とが介装され
ており、この変速機構99は、右輪回転軸14の回転速
度を増速して出力することと減速して出力することがで
き、増速して出力する状態(増速出力状態)と減速して
出力する状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構
101が付設されている。このため、変速機構99及び
多板クラッチ機構12はそれぞれ1つだけ設けられてい
る。
【0223】上述の変速機構99は、左輪回転軸13と
これと平行な軸(カウンタシャフト)99Cとの間にそ
れぞれ設けられた3組のギヤ機構で構成されている。す
なわち、カウンタシャフト99Cの側には、小径のギヤ
99Aと大径のギヤ99Bとがそなえられ、左輪回転軸
13には、大径のギヤ14Aと小径のギヤ14Bとがそ
なえられ、ギヤ99Aとギヤ14Aとが噛合し、ギヤ9
9Bとギヤ14Bとが噛合している。
【0224】ただし、ギヤ99A,99Bは、カウンタ
シャフト99Cと切替機構101を介して接続され、切
替機構101の状態に応じて、カウンタシャフト99C
に対して相対回転したり、一体回転しうるようになって
いる。
【0225】さらに、カウンタシャフト99Cの側には
中径のギヤ99Eがそなえられ、左輪回転軸13の側に
は中径のギヤ100Cがそなえられ、これらのギヤ99
E,100Cが噛合している。そして、ギヤ100Cと
左輪回転軸13との間に多板クラッチ機構12が介装さ
れている。
【0226】また、上述の切替機構101は、電磁式ア
クチュエータ(ソレノイド)101Aと、このアクチュ
エータ101Aで駆動されるスライドレバー101B
と、このスライドレバー101Bで駆動される連結部材
101Cと、カウンタシャフト99Cに設けられたハブ
67と、ギヤ99Aに結合されたハブ68と、サンギヤ
99Bに結合されたハブ69とから構成される。なお、
電磁式アクチュエータ101Aは、コントロールユニッ
ト18によって作動を制御されるようになっている。
【0227】連結部材101Cは、ハブ67とハブ68
とにセレーション結合してこのハブ67とハブ68とを
一体に回転する態位と、ハブ67とハブ69とにセレー
ション結合してこのハブ67とハブ69とを一体に回転
する態位とをとりうるようになっている。
【0228】つまり、連結部材101Cが、スライドレ
バー101Bで後進状態(図18中、左方に移動した状
態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ6
7とハブ68とが一体に回転するようになり、スライド
レバー101Bで前進状態(図17中、右方に移動した
状態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ
67とハブ69とが一体に回転するようになっている。
【0229】したがって、連結部材101Cが後進状態
のときには、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14A,9
9A,ハブ67,連結部材101C,ハブ68を介して
カウンタシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99
E,100Cを介して多板クラッチ機構12に伝達され
るようになっている。このときには、ギヤ14A,99
A,99E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ
100Cは右輪回転軸14よりも高速で回転する。つま
り、右輪回転軸14の回転は増速されてギヤ100Cに
出力される。
【0230】また、連結部材101Cが前進状態のとき
には、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14B,99B,
ハブ67,連結部材101C,ハブ69を介してカウン
タシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99E,1
00Cを介して多板クラッチ機構12に伝達されるよう
になっている。このときには、ギヤ14B,99B,9
9E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ100
Cは右輪回転軸14よりも低速で回転する。つまり、右
輪回転軸14の回転は減速されてギヤ100Cに出力さ
れる。
【0231】つまり、連結部材101Cが後進状態のと
きに多板クラッチ機構12を係合させると、増速された
ギヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転
軸13の側のクラッチプレートよりも高速回転するの
で、右輪回転軸14側から左輪回転軸13側にトルクが
伝達される。
【0232】また、連結部材101Cが前進状態のとき
に多板クラッチ機構12を係合させると、減速されたギ
ヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転軸
13の側のクラッチプレートよりも低速回転するので、
左輪回転軸13側から右輪回転軸14側にトルクが伝達
される。
【0233】本発明の第12実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。さら
に、変速機構99及び多板クラッチ機構12はそれぞれ
1つだけ設ければよいので、スペース上やコスト上で有
利になる。
【0234】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0235】次に、第13実施例について説明すると、
図25に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車も前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪である後輪15,16の側に設けられ、その駆動力伝
達制御機構90Dは、後輪15,16の回転軸13,1
4の間に設けられており、第8実施例の機構9Hを否駆
動輪に適用したものである。
【0236】つまり、図25,26に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、これらの左輪回転軸13と右輪回転軸14との間に
は、変速機構62と多板クラッチ機構12とが介装され
ている。この変速機構62は、回転速度を増速して出力
部で出力することと減速して出力することができ、増速
して出力する状態(増速出力状態)と減速して出力する
状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構63が付
設されている。このため、変速機構62及び多板クラッ
チ機構12は一方の出力軸側(ここでは、左輪回転軸1
3の側)にそれぞれ1つだけ設けられている。
【0237】上述の変速機構62は、互いに直列に結合
された3組のプラネタリギヤ機構で構成されている。す
なわち、左輪回転軸13の側には、大径のサンギヤ62
Aと小径のサンギヤ62Dとがそなえられ、これらのサ
ンギヤ62A,62Dは、それぞれその外周においてプ
ラネタリギヤ(プラネタリピニオン)62B,62Eに
噛合している。
【0238】これらのプラネタリギヤ62B,62Eは
共通のキャリヤ(固定部)に軸支されたピニオンシャフ
ト62Cに一体回転するように装備されており、サンギ
ヤ62A,62Dの径の関係とは逆に、プラネタリギヤ
62Bは、プラネタリギヤ62Eよりも小径に設定され
ている。
【0239】さらに、このピニオンシャフト62Cに
は、もう1つのプラネタリギヤ62Fが一体回転するよ
うに装備され、このプラネタリギヤ62Fに、中空軸1
1に固着されているもう1つのサンギヤ62Gが噛合し
ている。なお、サンギヤ62Gの径はサンギヤ62Aの
径よりも小さく且つサンギヤ62Dの径よりも大きく設
定され、プラネタリギヤ62Fの径はプラネタリギヤ6
2Bの径よりも大きくプラネタリギヤ62Eの径よりも
小さく設定されている。
【0240】そして、サンギヤ62A,62Dと左輪回
転軸13との間に、切替機構63が設けられている。こ
の切替機構63は、電磁式アクチュエータ(ソレノイ
ド)63Aと、このアクチュエータ63Aで駆動される
スライドレバー63Bと、このスライドレバー63Bで
駆動される連結部材63Cと、左輪回転軸13に設けら
れたハブ64と、サンギヤ62Aの内周に設けられたハ
ブ65と、サンギヤ62Dの内周に設けられたハブ66
とから構成される。なお、電磁式アクチュエータ63A
は、コントロールユニット18によって作動を制御され
るようになっている。
【0241】連結部材63Cは、その内周でハブ64と
セレーション結合してこのハブ64と常時一体に回転す
るようになっており、連結部材63Cの軸方向位置に対
応して、その内周でハブ65又はハブ66とセレーショ
ン結合して一体に回転しうるようになっている。
【0242】つまり、連結部材63Cが、スライドレバ
ー63Bで後進状態(図17中、左方に移動した状態)
に駆動されると、その外周がハブ65とセレーション結
合してこのハブ65と一体に回転し、スライドレバー6
3Bで前進状態(図17中、右方に移動した状態)に駆
動されると、その外周がハブ66とセレーション結合し
てこのハブ66と一体に回転するようになっている。
【0243】したがって、連結部材63Cが後進状態の
ときには、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63
C,ハブ65を介してサンギヤ62Aと連結して、左輪
回転軸13の回転は、サンギヤ62A,プラネタリギヤ
62B,ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ6
2F,サンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力され
る。そして、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Aの径
よりも小さく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタ
リギヤ62Bの径よりも大きいので、サンギヤ62Gは
サンギヤ62Aよりも高速で回転する。即ち、中空軸1
1は左輪回転軸13よりも高速で回転することになり、
変速機構62は増速機構として機能するようになってい
る。
【0244】また、連結部材63Cが前進状態のときに
は、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63C,ハブ
66を介してサンギヤ62Dと連結して、左輪回転軸1
3の回転は、サンギヤ62D,プラネタリギヤ62E,
ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ62F,サ
ンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力される。そし
て、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Dの径よりも大
きく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタリギヤ6
2Eの径よりも小さいので、サンギヤ62Gはサンギヤ
62Dよりも低速で回転する。即ち、中空軸11は左輪
回転軸13よりも低速で回転することになり、変速機構
62は減速機構として機能するようになっている。
【0245】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデフケース8Aとの間に介装
されており、この多板クラッチ機構12を係合させるこ
とで、デフケース8Aと中空軸11との間で駆動力の授
受が行なわれるようになっている。
【0246】したがって、例えば、連結部材63Cを後
進状態とすると、変速機構62の出力部としての中空軸
11は左輪回転軸13よりも高速で回転して、比較的高
速の中空軸11側からデフケース8A側へと駆動力が返
送され、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆
動力が減少して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される
駆動力は、この分だけ増加する。
【0247】また、例えば、連結部材63Cを前進状態
とすると、変速機構62の出力部としての中空軸11は
左輪回転軸13よりも低速で回転して、比較的高速のデ
フケース8A側から中空軸11側へと駆動力が返送さ
れ、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆動力
が増加して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される駆動
力は、この分だけ減少する。
【0248】本発明の第13実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。さら
に、変速機構62及び多板クラッチ機構12はそれぞれ
1つだけ設ければよいので、スペース上やコスト上で有
利になる。
【0249】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0250】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、動力伝達手段として、多板クラッチ機構の他に、摩
擦クラッチやVCUやHCU等の他のカップリングを用
いることもでき、これらの駆動系も、油圧駆動の他に、
電磁力駆動等を用いることも考えられる。
【0251】ここで、この車両用左右駆動力調整装置の
案出時に提案された他の車両用左右駆動力調整装置を参
照のために説明する。
【0252】図27は、ブレーキ式の車両用左右駆動力
調整装置40であり、回転軸14に一体回転するように
設置されたディスク44と、固定側に設けられて、この
ディスク44を把持することでディスク44とともに回
転軸14を制動するブレーキシュー43とをそなえ、ブ
レーキシュー43による把持力を制御できるようになっ
ている。
【0253】かかる装置40は他方の回転軸13にも設
けられ、ブレーキを作動させた側の回転軸13又は14
への駆動トルクがブレーキに応じて減少する一方で、ブ
レーキを作動させない側の回転軸13又は14への駆動
トルクは変わらないので、左右駆動力の配分が調整され
るようになっている。
【0254】ここで、右側の回転軸14にブレーキ式駆
動力調整装置40をそなえた場合ついて、入力トルクを
Ti、左側輪への配分トルクをTl、右側輪への配分ト
ルクをTr、ブレーキ43,44の容量(ブレーキ容
量)をTbとすると、 Ti=Tl+Tr+Tb Tl=Tr+Tb ・・・・(2.39) ∴Tl=(1/2)Ti Tr=(1/2)Ti−Tb ・・・・(2.40) ∴ΔT=Tl−Tr=Tb ・・・・(2.41) よって、ブレーキ容量Tbは、 Tb=ΔT ・・・・(2.42) 単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=dΔE/d
t)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(1+S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.43)
【0255】以上の結果から、トルク配分が減少側のト
ルク変化のみのため、エネルギロスΔE′が大きいが、
回頭方向のモーメントを発生させる場合にはエネルギロ
スが少なくて済むことがわかる。
【0256】なお、上述の各実施例では、車両用左右駆
動力調整装置を後輪に装備しているが、かかる左右駆動
力調整装置は勿論前輪にも適用できる。特に、上述の第
1〜9実施例では、車両用左右駆動力調整装置を四輪駆
動車の後輪の駆動系に装備しているが、かかる左右駆動
力調整装置を四輪駆動車の前輪の駆動系や、後輪駆動車
の後輪の駆動系や、前輪駆動車の前輪の駆動系等に適用
できる。また、上述の第10〜13実施例では、車両用
左右駆動力調整装置を前輪駆動車の否駆動輪である後輪
に装備しているが、かかる左右駆動力調整装置を後輪駆
動車の否駆動輪である前輪にも適用できる。
【0257】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1にかかる
本発明の車両用左右駆動力調整装置によれば、車両にお
ける左輪回転軸と右輪回転軸との間に、上記の左右の各
回転軸間で駆動力を授受することで上記の左右輪の駆動
力を調整しうる駆動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動
力伝達制御機構が、上記の左右の各回転軸のうちの一方
の回転軸側に連結されてこの一方の回転軸側の回転速度
を変速して出力しうる変速機構と、上記の左右の各回転
軸のうちの他方の回転軸側と上記変速機構の出力部側と
の間に介装されて係合時に上記の左右の各回転軸間で駆
動力の伝達を行ないうる動力伝達手段とから構成される
ことにより、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトル
ク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他
方に転送することによりトルク配分が調整されるため、
大きなトルクロスやエネルギロスを招来することなく、
所望のトルク配分を得ることができる。
【0258】また、請求項2にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸と
右輪回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力
を授受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆
動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連
結されてこの一方の回転軸側の回転速度を変速して出力
しうる第1の変速機構と、上記の左右の各回転軸のうち
の他方の回転軸側と上記第1の変速機構の出力部側との
間に介装されて係合時に上記の左右の各回転軸の間で駆
動力の伝達を行ないうる第1の動力伝達手段と、上記の
左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側に連結されてこ
の他方の回転軸側の回転速度を変速して出力しうる第2
の変速機構と、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回
転軸側と上記第2の変速機構の出力部側との間に介装さ
れて係合時に上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を
行ないうる第2の動力伝達手段とから構成されることに
より、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分
を調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他方に転
送することによりトルク配分が調整されるため、大きな
トルクロスやエネルギロスを招来することなく、所望の
トルク配分を得ることができ、特に、左右の何れの方向
へもトルク配分を調整でき、ステア特性等の制御にも利
用しうる。
【0259】また、請求項3にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸と
右輪回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力
を授受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆
動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連
結されてこの一方の回転軸側の回転速度を加速又は減速
して出力しうる変速機構と、上記変速機構に付設されて
該変速機構を加速側又は減速側に切り替えうる切替機構
と、上記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上
記変速機構の出力部側との間に介装されて係合時に上記
の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる動力伝
達手段とから構成されることにより、ブレーキ等のエネ
ルギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一
方のトルクの所要量を他方に転送することによりトルク
配分が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロ
スを招来することなく、所望のトルク配分を得ることが
でき、特に、簡素な構成で、左右の何れの方向へもトル
ク配分を調整でき、ステア特性等の制御にも利用しう
る。
【0260】また、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸が
共にエンジン出力を与えられない否駆動輪である場合に
も適用でき、否駆動輪でありながら、左右駆動力配分を
調整できるようになり、かかる調整を利用して、例え
ば、車両の旋回性能を向上させたり、走行安定性を向上
させたりできるようになる。
【0261】さらに、請求項6にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸
と右輪回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力さ
れる入力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつ
つ上記の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各
回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態
を制御して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆
動力伝達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記回転軸側に連結されてこの回転軸側の回転速度
を変速して出力しうる変速機構と、上記の変速機構の出
力部側と上記入力部側との間に介装されて係合時に上記
回転軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を行ない
うる動力伝達手段とから構成されることにより、ブレー
キ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を調整するの
でなく、一方のトルクの所要量を他方に転送することに
よりトルク配分が調整されるため、大きなトルクロスや
エネルギロスを招来することなく、所望のトルク配分を
得ることができる。
【0262】さらに、請求項7にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸
と右輪回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力さ
れる入力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつ
つ上記の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各
回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態
を制御して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆
動力伝達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記の入力部側に連結されて該入力部側の回転速度
を変速して出力しうる変速機構と、上記の変速機構の出
力部側と上記回転軸側との間に介装されて係合時に上記
回転軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達を行ない
うる動力伝達手段とから構成されることにより、ブレー
キ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を調整するの
でなく、一方のトルクの所要量を他方に転送することに
よりトルク配分が調整されるため、大きなトルクロスや
エネルギロスを招来することなく、所望のトルク配分を
得ることができる。
【0263】さらに、上記の各装置を四輪駆動車に適用
することで、前後輪間のトルク配分調整に加えて、左右
輪間のトルク配分を調整できるようになり、4輪のトル
クをそれぞれ制御できるようになり、車両の種々の性能
向上に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図2】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図3】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図4】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す模式的な構成
図である。
【図5】本発明の第2実施例としての車両用左右駆動力
調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図6】本発明の第2実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図7】本発明の第2実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図8】本発明の第3実施例としての車両用左右駆動力
調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図9】本発明の第3実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図10】本発明の第3実施例としての車両用左右駆動
力調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図11】本発明の第4実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図12】本発明の第4実施例としての車両用左右駆動
力調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図13】本発明の第4実施例としての車両用左右駆動
力調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図14】本発明の第5実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図15】本発明の第6実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図16】本発明の第7実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図17】本発明の第8実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図18】本発明の第9実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図19】本発明の第10実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図20】本発明の第10実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図21】本発明の第11実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図22】本発明の第11実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図23】本発明の第12実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図24】本発明の第12実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図25】本発明の第13実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図26】本発明の第13実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図27】本発明の案出過程で考えられた車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 トランスミッション 3 センタデフ 4 フロントデフ 5 センタデフ差動制限機構 6 プロペラシャフト 6A 入力軸 7 ベベルギヤ機構 8 リヤデフ 8A デファレンシャルケース(デフケース) 9,9A〜9I 駆動力伝達制御機構 10 変速機構 10A 第1のサンギヤ 10B 第1のプラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 10D 第2のプラネタリギヤ 10C ピニオンシャフト 10F プラネタリキャリア 10E 第2のサンギヤ 11 駆動力伝達補助部材としての中空軸 12 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 12A,12B クラッチ板 13 左輪回転軸 14 右輪回転軸 14A,14B ギヤ 15 左後輪 16 右後輪 17 クラッチ油圧制御バルブ 18 コントロールユニット 19 車輪速センサ 20 ハンドル角センサ 21 ヨーレイトセンサ 22 加速度センサ(又は加速度演算手段) 23 アキュムレータ 24 電動ポンプ 25 左前輪 26 右前輪 30,31,32 変速機構 30A,31A,32A 第1のサンギヤ 30B,31B,32B 第1のプラネタリギヤ(プラ
ネタリピニオン) 30D,31D,32D 第2のプラネタリギヤ 30C,31C,32C ピニオンシャフト 30F,31F,32F プラネタリキャリア 30E,31E,32E 第2のサンギヤ 41 駆動力伝達補助部材 42 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 42A,42B クラッチ板 51 軸(カウンタシャフト) 52〜56,59 歯車 57,58 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 60 変速機構 60A サンギヤ 60B プラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 60C ピニオンシャフト 60D リングギヤ 61 摩擦クラッチ等のカップリング 62 変速機構 62A,62D サンギヤ 62B,62E,62F プラネタリギヤ(プラネタリ
ピニオン) 62C ピニオンシャフト 63 切替機構 63A 電磁式アクチュエータ(ソレノイド) 63B スライドレバー 63C 連結部材 64,65,66,67,68,69 ハブ 90A〜90D 駆動力伝達制御機構 91,92 変速機構 91A,92A ササンギヤ 91B,92B プラネタリギヤ 91C,92C プラネタリシャフト 91D,92D プラネタリギヤ 93,94 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 93A,93B,94A,94B クラッチプレート 93C,94C サンギヤ 95 中空軸 96 変速機構 96A,96C,96D,97C,98C ギヤ 96B 軸(カウンタシャフト) 97,98 動力伝達手段としての多板クラッチ機構 97A,97B,98A,98B クラッチプレート 99 変速機構 99C 軸(カウンタシャフト) 99A,99B,99D ギヤ 100C ギヤ 101 切替機構 101A 電磁式アクチュエータ(ソレノイド) 101B スライドレバー 101C 連結部材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 車両用左右駆動力調整装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、四輪駆動式又は二輪駆
動式の自動車における左右の駆動輪への駆動力配分、又
は、二輪駆動式の自動車における左右の否駆動輪(駆動
輪ではない車輪)間での動力の授受による駆動力配分に
用いて好適の、車両用左右駆動力調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、四輪駆動式自動車(以下、四輪駆
動車という)の開発が盛んに行なわれているが、前後輪
間のトルク配分(駆動力配分)を積極的に調整できるよ
うにした、フルタイム四輪駆動方式の自動車の開発も種
々行なわれている。
【0003】一方、自動車において、左右輪に伝達され
るトルク配分機構を広義にとらえると従来のノーマルデ
ィファレンシャル装置や電子制御式を含むLSD(リミ
テッドスリップデフ)が考えられるが、これらはトルク
配分を積極的に調整するものでなく、左右輪のトルクを
自由自在に配分できるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前後輪間の
トルク配分調整装置と並んで、左右輪間のトルク配分を
調整できる装置の開発も期待されている。この場合、四
輪駆動車における左右の駆動輪間のみならず、二輪駆動
車における左右の駆動輪間のトルク配分調整も対照とな
る。
【0005】さらには、トルク配分を、エンジンの出力
トルクの配分のみならず左右の回転軸輪間での動力の授
受によって生じるトルクの伝達状態まで含めるように、
大きくとらえると、二輪駆動車における左右の否駆動輪
(駆動輪ではない車輪)間でトルク配分調整を行なうこ
とも考えられる。
【0006】つまり、左右の否駆動輪はいずれもエンジ
ンから駆動力を受けないが、これらの否駆動輪のうちの
一方の否駆動輪から他方の否駆動輪へ動力を伝達する状
態を実現できれば、一方の否駆動輪側では制動力が生じ
るが他方の否駆動輪側では駆動力が発生するようにな
る。したがって、左右の否駆動輪間でもトルク配分(負
の駆動力、つまり、制動力も含む)の調整が可能とな
る。
【0007】さらに、かかる車両用左右駆動力調整装置
としては、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、トルク配分を行なえるものが望ましい。
【0008】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、左右輪間でのトルク配分を行なえるようにし
た、車両用左右駆動力調整装置を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1にか
かる本発明の車両用左右駆動力調整装置は、車両におけ
る左輪回転軸と右輪回転軸との間に、上記の左右の各回
転軸間で駆動力を授受することで上記の左右輪の駆動力
を調整しうる駆動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力
伝達制御機構が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の
回転軸側に連結されてこの一方の回転軸側の回転速度を
一定の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記の
左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速機構
の出力部側との間に介装されて係合時に上記の左右の各
回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変制御
式トルク伝達機構とから構成されていることを特徴とし
ている。
【0010】この場合、上記の左輪回転軸及び右輪回転
軸を共にエンジン出力を与えられて回転する駆動輪に設
定するか、または、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸を
共にエンジン出力を与えられない否駆動輪に設定するこ
とができる。
【0011】また、請求項2にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪回
転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授受
することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝
達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記
の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されて
この一方の回転軸側の回転速度を一定の変速比で変速し
て出力しうる第1の変速機構と、上記の左右の各回転軸
のうちの他方の回転軸側と上記第1の変速機構の出力部
側との間に介装されて係合時に上記の左右の各回転軸の
間で駆動力の伝達を行ないうる第1の伝達容量可変制御
式トルク伝達機構と、上記の左右の各回転軸のうちの他
方の回転軸側に連結されてこの他方の回転軸側の回転速
度を一定の変速比で変速して出力しうる第2の変速機構
と、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側と上
記第2の変速機構の出力部側との間に介装されて係合時
に上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる
第2の伝達容量可変制御式トルク伝達機構とから構成さ
れていることを特徴としている。
【0012】この場合も、上記の左輪回転軸及び右輪回
転軸を共にエンジン出力を与えられて回転する駆動輪に
設定するか、または、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸
を共にエンジン出力を与えられない否駆動輪に設定する
ことができる。
【0013】さらに、請求項3にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪
回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授
受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力
伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上
記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結され
てこの一方の回転軸側の回転速度を加速又は減速して出
力しうる変速機構と、上記変速機構に付設されて該変速
機構を加速側又は減速側に切り替えうる切替機構と、上
記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速
機構の出力部側との間に介装されて係合時に上記の左右
の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変
制御式トルク伝達機構とから構成されていることを特徴
としている。
【0014】この場合も、上記の左輪回転軸及び右輪回
転軸を共にエンジン出力を与えられて回転する駆動輪に
設定するか、または、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸
を共にエンジン出力を与えられない否駆動輪に設定する
ことができる。
【0015】さらに、請求項6にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪
回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力される入
力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつつ上記
の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各回転軸
に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御
して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝
達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上
記回転軸側に連結されてこの回転軸側の回転速度を一定
の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記の変速
機構の出力部側と上記入力部側との間に介装されて係合
時に上記回転軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達
を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構とから
構成されていることを特徴としている。
【0016】そして、請求項7にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置は、車両における左輪回転軸と右輪
回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力される入
力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつつ上記
の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各回転軸
に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御
して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝
達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上
記の入力部側に連結されて該入力部側の回転速度を一定
の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記の変速
機構の出力部側と上記回転軸側との間に介装されて係合
時に上記回転軸側と上記入力部側との間で駆動力の伝達
を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構とから
構成されていることを特徴としている。
【0017】
【作用】上述の請求項1にかかる本発明の車両用左右駆
動力調整装置では、駆動力伝達制御機構により、車両の
左輪回転軸側と右輪回転軸側との間で駆動力の授受が行
なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの一方の回転
軸側の回転速度が変速機構により一定の変速比で変速さ
れ、この変速機構の出力部側と左右の各回転軸のうちの
他方の回転軸側との間に速度差が生じ、伝達容量可変制
御式トルク伝達機構を係合させることで上記の左右の各
回転軸間で駆動力の授受が行なわれる。即ち、伝達容量
可変制御式トルク伝達機構を係合させると、左右の各回
転軸のうちの他方の回転軸側と変速機構の出力部側との
うちの高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側
の回転軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応
して低速側の回転軸では駆動力が増加する。これによ
り、左右の駆動力が調整される。
【0018】また、請求項2にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置では、駆動力伝達制御機構により、車
両の左輪回転軸と右輪回転軸との間で駆動力の授受が行
なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの一方の回転
軸側の回転速度が第1の変速機構により一定の変速比で
変速され、この第1の変速機構の出力部側と左右の各回
転軸のうちの他方の回転軸側との間に速度差が生じて、
第1の伝達容量可変制御式トルク伝達機構を係合させる
ことで上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達が行なわ
れる。また、左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側の
回転速度が第2の変速機構により一定の変速比で変速さ
れ、この第2の変速機構の出力部側と左右の各回転軸の
うちの一方の回転軸側との間に速度差が生じて、第2の
伝達容量可変制御式トルク伝達機構を係合させることで
上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達が行なわれる。
即ち、第1の伝達容量可変制御式トルク伝達機構を係合
させると、左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と第
1の変速機構の出力部側とのうちの高速側から低速側に
駆動力が伝達されて、高速側の回転軸では駆動力が減少
し、この駆動力の減少に対応して低速側の回転軸では駆
動力が増加する。これにより、左右の駆動力配分が調整
される。又、第2の伝達容量可変制御式トルク伝達機構
を係合させると、左右の各回転軸のうちの一方の回転軸
側と第2の変速機構の出力部側とのうちの高速側から低
速側に駆動力が伝達されて、高速側の回転軸では駆動力
が減少し、この駆動力の減少に対応して低速側の回転軸
では駆動力が増加する。これにより、左右の駆動力が調
整される。
【0019】さらに、請求項3にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置では、駆動力伝達制御機構により、
車両の左輪回転軸と右輪回転軸との間で駆動力の授受が
行なわれる。つまり、左右の各回転軸のうちの一方の回
転軸側の回転速度が変速機構により一定の変速比で変速
され、この変速機構の出力部側と左右の各回転軸のうち
の他方の回転軸側との間に速度差が生じて、伝達容量可
変制御式トルク伝達機構を係合させることで上記の左右
の各回転軸間で駆動力の伝達が行なわれる。即ち、変速
機構に付設された切替機構を加速側に切り替えて伝達容
量可変制御式トルク伝達機構を係合させると、変速機構
の出力部側が左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側よ
りも高速になり、この高速側である変速機構の出力部側
即ち一方の回転軸側から、低速側である他方の回転軸側
に駆動力が伝達されて、高速側である一方の回転軸側で
は駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して低速側
である他方の回転軸側では駆動力が増加する。これによ
り、左右の駆動力が調整される。また、切替機構を減速
側に切り替えて伝達容量可変制御式トルク伝達機構を係
合させると、変速機構の出力部側が左右の各回転軸のう
ちの他方の回転軸側よりも低速になり、高速側である他
方の回転軸側から、低速側である変速機構の出力部側即
ち一方の回転軸側に駆動力が伝達されて、高速側である
他方の回転軸側では駆動力が減少し、この駆動力の減少
に対応して低速側である一方の回転軸側では駆動力が増
加する。これにより、左右の駆動力が調整される。
【0020】さらに、請求項6にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置では、入力軸の駆動力が差動機構を
介して左輪回転軸及び右輪回転軸のそれぞれに伝達され
るが、このとき上記の左右の各回転軸に出力される駆動
力の配分状態が駆動力伝達制御機構により調整される。
つまり、駆動力伝達制御機構では、変速機構により、回
転軸側の部材が一定の変速比で変速され、この変速機構
の出力部側と上記入力部側との間に速度差が生じて、
達容量可変制御式トルク伝達機構を係合させることで上
記回転軸側と上記入力部側との間でで駆動力の伝達が行
なわれる。即ち、伝達容量可変制御式トルク伝達機構
係合させると、変速機構の出力部側と入力部側とのうち
の高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の回
転軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して
低速側の回転軸では駆動力が増加する。これにより、左
右の駆動力配分が調整される。
【0021】そして、請求項7にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置では、入力軸の駆動力が差動機構を
介して左輪回転軸及び右輪回転軸のそれぞれに伝達され
るが、このとき上記の左右の各回転軸に出力される駆動
力の配分状態が駆動力伝達制御機構により調整される。
つまり、駆動力伝達制御機構では、変速機構により、入
力部側の部材が一定の変速比で変速され、この変速機構
の出力部側と上記回転軸側との間に速度差が生じて、
達容量可変制御式トルク伝達機構を係合させることで上
記回転軸側と上記入力部側との間でで駆動力の伝達が行
なわれる。即ち、伝達容量可変制御式トルク伝達機構
係合させると、変速機構の出力部側と回転軸側とのうち
の高速側から低速側に駆動力が伝達されて、高速側の回
転軸では駆動力が減少し、この駆動力の減少に対応して
低速側の回転軸では駆動力が増加する。これにより、左
右の駆動力配分が調整される。
【0022】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜4は本発明の第1実施例としての車
両用左右駆動力調整装置を示すもので、図1はその模式
的な要部構成図、図2はそのトルク伝達を説明する速度
線図、図3はそのトルク伝達の一例を説明する速度線
図、図4はその装置をそなえた自動車の駆動系を示す模
式的な構成図であり、図5〜7は本発明の第2実施例と
しての車両用左右駆動力調整装置を示すもので、図5は
その模式的な要部構成図、図6はそのトルク伝達を説明
する速度線図、図7はそのトルク伝達の一例を説明する
速度線図であり、図8〜10は本発明の第3実施例とし
ての車両用左右駆動力調整装置を示すもので、図8はそ
の模式的な要部構成図、図9はそのトルク伝達を説明す
る速度線図、図10はそのトルク伝達の一例を説明する
速度線図であり、図11〜13は本発明の第4実施例と
しての車両用左右駆動力調整装置を示すもので、図11
はその模式的な要部構成図、図12はそのトルク伝達を
説明する速度線図、図13はそのトルク伝達の一例を説
明する速度線図であり、図14は本発明の第5実施例と
しての車両用左右駆動力調整装置を示す模式的な要部構
成図であり、図15は本発明の第6実施例としての車両
用左右駆動力調整装置を示す模式的な要部構成図であ
り、図16は本発明の第7実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図であり、図17
は本発明の第8実施例としての車両用左右駆動力調整装
置を示す模式的な要部構成図であり、図18は本発明の
第9実施例としての車両用左右駆動力調整装置を示す模
式的な全体構成図であり、図19,20は本発明の第1
0実施例としての車両用左右駆動力調整装置を示すもの
で、図19はその模式的な全体構成図、図20はその模
式的な要部構成図であり、図21,22は本発明の第1
1実施例としての車両用左右駆動力調整装置を示すもの
で、図21はその模式的な全体構成図、図22はその模
式的な要部構成図であり、図23,24は本発明の第1
2実施例としての車両用左右駆動力調整装置を示すもの
で、図23はその模式的な全体構成図、図24はその模
式的な要部構成図であり、図25,26は本発明の第1
3実施例としての車両用左右駆動力調整装置を示すもの
で、図25はその模式的な全体構成図、図26はその模
式的な要部構成図であり、27は本発明の案出過程で
考えられた車両用左右駆動力調整装置を示す模式的な要
部構成図である。なお、図中、同符号は同様なものを示
し、また、図2,3,6,7,9,10,12,13の
縦軸は回転速度を示す。
【0023】まず、第1実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系は、図4に示すよう
に、エンジン1からの駆動力をトランスミッション2を
介して遊星歯車で構成されたセンタデフ3で受けて、セ
ンタデフ3から、前輪側と後輪側とに伝達するようにな
っている。
【0024】特に、このセンタデフ3には、前後輪の差
動を適当に制限しうるセンタデフ差動制限機構5が設け
られている。この差動制限機構5は、ここでは油圧式の
多板クラッチにより構成され、供給油圧に応じて前後輪
の差動を制限しながら、前後輪への駆動力配分を制御で
きるようになっており、前後輪間の駆動力配分を制御す
る装置となっている。
【0025】このようにして、センタデフ3から配分さ
れた駆動力の一方は、フロントデフ4を通じて左右の前
輪25,26に伝達されるようになっている。一方、セ
ンタデフ3から配分された駆動力の他方は、プロペラシ
ャフト6を介してリヤデフ8に伝達され、このリヤデフ
8を通じて左右の後輪15,16に伝達されるようにな
っている。なお、符号7はドライブピニオン及びリング
ギヤからなるベベルギヤ機構である。
【0026】リヤデフ8部分には、変速機構10と伝達
容量可変制御式トルク伝達機構(又はトルク伝達機構)
としての多板クラッチ機構12とからなる駆動力伝達制
御機構9A(以下、駆動力伝達制御機構を広義に示す場
合は符号9とする)が設けられ、リヤデフ(差動機構)
8及び駆動力伝達制御機構9Aから車両用左右駆動力調
整装置が構成される。なお、この差動機構8としてここ
ではベベルギヤ式のものが用いられているが、差動機構
8は、2つの駆動軸間の差動を許容しつつエンジンから
入力された駆動力をこれらの各駆動軸に伝達できるもの
であればよく、例えば遊星歯車式のものなど歯車機構あ
るいはローラ機構等からなる他の公知の差動機構を適用
することができるのは勿論のことである。また、この多
板クラッチ機構12は油圧式のもので、油圧を調整され
ることで左右輪への駆動力配分を制御できるようになっ
ている。
【0027】そして、この駆動力伝達制御機構9Aの多
板クラッチ機構12の油圧系は、前述の前後駆動力調整
装置の多板クラッチ機構5の油圧系とともに、コントロ
ールユニット18によって制御されるようになってい
る。
【0028】つまり、多板クラッチ機構12の油圧系及
び多板クラッチ機構5の油圧系は、各クラッチ機構にそ
れぞれ付設された図示しない油圧室と、油圧源を構成す
る電動ポンプ24及びアキュムレータ23と、この油圧
を上記の油圧室に所要量だけ供給させるクラッチ油圧制
御バルブ17とからなっている。そして、クラッチ油圧
制御バルブ17の開度をコントロールユニット18によ
って制御されるようになっている。
【0029】なお、コントロールユニット18では、車
輪速センサ19,ハンドル角センサ20,ヨーレイトセ
ンサ21,加速度センサ(又は加速度演算手段)22な
どからの情報に基づいて、クラッチ油圧制御バルブ17
の開度を制御する。
【0030】ここで、この車両用左右駆動力調整装置の
要部を説明すると、図1に示すように、プロペラシャフ
ト6の後端に設けられて回転駆動力(以下、駆動力又は
トルクという)を入力される入力軸6Aと、入力軸6A
から入力された駆動力を出力する左輪回転軸(左後輪1
5の駆動軸)13と右輪回転軸(右後輪16の駆動軸)
14とが設けられており、左輪回転軸13と右輪回転軸
14と入力軸6Aとの間に車両用左右駆動力調整装置が
介装されている。
【0031】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Aは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容し
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0032】すなわち、左輪回転軸13と入力軸6Aと
の間及び右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に、それぞ
れ変速機構10と多板クラッチ機構12とが介装されて
おり、左輪回転軸13又は右輪回転軸14の回転速度
が、変速機構10により変速(この例では、減速)され
て駆動力伝達補助部材としての中空軸11に伝えられ
る。
【0033】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデファレンシャルケース(以
下、デフケースと略す)8Aとの間に介装されており、
この多板クラッチ機構12を係合させることで、デフケ
ース8A及び中空軸11のうちの高速回転している方の
部材から低速回転している方の部材へと、駆動力が送給
されるようになっている。これは、対向して配設された
クラッチ板における一般的な特性として、トルクの伝達
が、速度の速い方から遅い方へ行なわれるためである。
なお、この例の場合には、左右の回転軸13,14の間
の差動が大きくてデフケース8Aよりも回転軸13又は
14が所定比(変速機構10の減速比に対応する比)以
上に高速にならない限りは、デフケース8Aが高速側と
なり中空軸11が低速側となって、デフケース8Aから
中空軸11へと駆動力が送給されるようになっている。
【0034】したがって、例えば右輪回転軸14と入力
軸6Aとの間の多板クラッチ機構12が係合されると、
右輪回転軸14へ配分される駆動力は入力軸6A側から
のルートで増加又は減少(この例では主として減少)
れて、この分だけ、左輪回転軸13へ配分される駆動力
が減少又は増加(この例では主として増加)する。
【0035】上述のこの実施例の変速機構10は、2つ
のプラネタリギヤ機構を直列的に結合してなるいわゆる
ダブルプラネタリギヤ機構で構成されているが、この変
速機構10自体は、入力された回転速度を一定の変速比
で加速又は減速して出力する機構であればよく、例えば
ベルトやチェーン等を用いた機構なども考えられ、ギヤ
機構に限定されるものではない。このギヤ機構式の変速
機構10を、右輪回転軸14に設けられたものを例に説
明すると次のようになる。
【0036】すなわち、右輪回転軸14には第1のサン
ギヤ10Aが固着されており、この第1のサンギヤ10
Aは、その外周において第1のプラネタリギヤ(プラネ
タリピニオン)10Bに噛合している。また、第1のプ
ラネタリギヤ10Bは、第2のプラネタリギヤ10Dと
一体に固着され、共にキャリヤに設けられたピニオンシ
ャフト10Cを通じて、ケーシング(固定部)に固着さ
れて回転しないキャリア10Fに枢支されている。これ
により、第1のプラネタリギヤ10Bと第2のプラネタ
リギヤ10Dとが、ピニオンシャフト10Cを中心とし
て同一の回転を行なうようになっている。
【0037】さらに、第2のプラネタリギヤ10Dは、
右輪回転軸14に枢支された第2のサンギヤ10Eに噛
合しており、第2のサンギヤ10Eは、中空軸11を介
して多板クラッチ機構12のクラッチ板12Aに連結さ
れている。また、多板クラッチ機構12の他方のクラッ
チ板12Bは、入力軸6Aにより駆動されるデフケース
8Aに連結されている。
【0038】そして、この実施例の構造では、第1のサ
ンギヤ10Aが第2のサンギヤ10Eよりも小さい径に
形成されているので、第2のサンギヤ10Eの回転速度
は第1のサンギヤ10Aよりも小さくなり、この変速機
構10は減速機構としてはたらくようになっている。し
たがって、クラッチ板12Aの回転速度がクラッチ板1
2Bよりも小さく、右輪側の多板クラッチ機構12を係
合させた場合には、この係合状態に応じた量のトルク
が、入力軸6A側から右輪回転軸14側へ送給されるよ
うになっている。
【0039】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構10及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて左輪回転軸13側の多板クラッチ機
構12を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0040】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0041】なお、左右の多板クラッチ機構12が共に
完全係合することのないように設定されており、左右の
多板クラッチ機構12のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構12は滑りを生じるようになってい
る。
【0042】本発明の第1実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、ブ
レーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を調整す
るのでなく、一方のトルクの所要量を他方に転送するこ
とによりトルク配分が調整されるため、大きなトルクロ
スやエネルギロスを招来することなく、所望のトルク配
分を得ることができる。
【0043】ここで、図2,3を参照して、この車両用
左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロスに
ついて考察する。
【0044】図2,3において、lを付した符号は左輪
に関し、rを付した符号は右輪に関している。そして、
Cl,Crはキャリア10Fの回転速度でここではキャ
リア10Fは回転しないので0になっている。S1l,
S1rは第2のサンギヤ10Eの回転速度で、S2l,
S2rは第1のサンギヤ10Aの回転速度であり、第1
のサンギヤ10Aは第2のサンギヤ10Eよりも小径な
ので、回転速度S2l,S2rは回転速度S1l,S1
rよりも大きい。そして、DCはデフケース8Aの回転
速度である。
【0045】また、Z1 は第2のサンギヤ10Eの歯
数、Z2 は第1のサンギヤ10Aの歯数、Z3 はプラネ
タリギヤ10Dの歯数、Z4 はプラネタリギヤ10Bの
歯数であり、Ti はデフケース8Aへの入力トルク、T
l,Trはそれぞれ左側輪及び右側輪への配分トルク、
Tc1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Aの多板クラッ
チ機構12を係合したときの右方向への伝達トルク、T
c2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Aの多板クラッチ
機構12を係合したときの左方向への伝達トルクであ
る。
【0046】さらに、図2は左右輪が等速で回転してい
る状態を示し、図3は右輪側の駆動力伝達制御機構9A
の多板クラッチ機構12が完全係合されて、右輪側
板クラッチ機構12によって回転拘束され右輪側の回転
速度が増速されている一方で、これに応じて、左輪側の
回転速度が減速されている状態を示している。
【0047】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリギヤ機構の設定速度
比を導く。
【0048】このSmax の状態は、図3に示され、多板
クラッチ機構12が完全係合されると、デフケース8A
の回転速度DCと第2のサンギヤ10Eの回転速度S1
rとが等しくなる。
【0049】したがって、図3より、 3 /Z1 4 /Z2 =1:1+Smax ∴Z 2 3 /Z 1 4 =1/(1+Smax ) ・・・・(2.1)
【0050】次に、ΔT(右輪側への駆動力の増分)に
必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギヤ部の
トルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板クラッ
チ機構12)を伝達状態とする]より、 Ti−Tc=Tl+[Tr−(Z 2 3 /Z 1 4 )Tc] Tl=Tr−(Z 2 3 /Z 1 4 )Tc ・・・・(2.2) 式(2.1),(2.2)より、左右輪の駆動トルク
は、 Tr=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2(1+Smax )]Tc Tl=(1/2)Ti−(1/2)Tc ・・・・(2.3) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=[1/(1+Smax )]Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=(1+Smax )ΔT ・・・・(2.4)
【0051】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z1 : 4 /Z2 =x:1+S ∴x=(Z 2 3 /Z 1 4 )・(1+S) =(1+S)/(1+Smax ) ・・・・(2.5) よって、 Sc=1−(1+S)/(1+Smax ) =(Smax −S)/(1+Smax ) ・・・・(2.6) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC (kgfm/s ) ・・・・(2.7) ただし、ωDC:デフケースの回転数(rad /s ) 例えば、ωDC=(1000×V×2π)/(3600×2π×
r) V:車速(km/s ) r:タイヤ径(m) ∴ΔE′=(1+Smax )ΔT・[(Smax −S)/(1+Smax )]・ωDC =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.8)
【0052】以上の式(2.3),(2.8)から、例
えば0<S<Smaxのとき、即ち、左旋回のときには、
右側のクラッチ12を接続すればよく、このとき、回頭
方向のモーメントを発生させる場合のエネルギロスΔ
E′は比較的少なくて済む。
【0053】なお、この実施例では、伝達容量可変制御
式トルク伝達機構として油圧式の多板クラッチ機構12
が設けられているが、伝達容量可変制御式トルク伝達機
としては、伝達トルク容量が可変制御できるトルク伝
達機構であればよく、この例の機構のほかに、電磁式多
板クラッチ機構等の他の多板クラッチ機構や、これらの
多板クラッチ機構の他に、油圧式又は電磁式の摩擦クラ
ッチや、油圧式又は電磁式の制御可能なVCU(ビスカ
スカップリングユニット)や、油圧式又は電磁式の制御
可能なHCU(ハイドーリックカップリングユニット
差動ポンプ式油圧カップリング、さらには、電磁流体
式あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを
用いることもできる。
【0054】摩擦クラッチの場合、多板クラッチ機構と
同様に油圧等で係合力を調整するものが考えられ、特
に、この摩擦クラッチでは、トルク伝達方向が一方向の
ものを所要の方向(それぞれのトルク伝達方向)向けて
設置することが考えられる。
【0055】また、このVCUやHCUには、従来型の
動力伝達特性が一定のものも考えられるが、動力伝達特
性を調整できるようにしたものが適している。そして、
これらの係合力調整や動力伝達特性の調整は、油圧によ
る他に、電磁力等の他の駆動系を用いることも考えられ
る。
【0056】次に、第2実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0057】この駆動力伝達制御機構9Bでは、図5に
示すように、変速機構30が第1実施例のものと異なっ
ており、第1のサンギヤ30Aが第2のサンギヤ30E
よりも大きい径に形成されているので、第2のサンギヤ
30Eの回転速度は第1のサンギヤ30Aよりも大きく
なり、この変速機構30は増速機構としてはたらくよう
になっている。したがって、通常走行時には、クラッチ
板12Aの回転速度がクラッチ板12Bよりも大きく
って、多板クラッチ機構12を係合させた場合には、こ
の係合状態に応じた量のトルクが、右輪回転軸14側か
ら入力軸6A側へ送給(返送)されるようになってい
る。
【0058】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構30及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて右輪回転軸14側の多板クラッチ機
構12を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて左輪回転軸13側
の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0059】このとき、第1実施例と同様に、多板クラ
ッチ機構12が油圧駆動式であるから、油圧の大きさを
調整することで多板クラッチ機構12の係合状態を制御
でき、入力軸6Aから左輪回転軸13又は右輪回転軸1
4への駆動力の送給量(つまりは駆動力の左右配分比)
を適当な精度で調整することができるようになってい
る。
【0060】また、第1実施例と同様に、左右の多板ク
ラッチ機構12が共に完全係合することのないように設
定されており、左右の多板クラッチ機構12のうち一方
が完全係合したら他方の多板クラッチ機構12は滑りを
生じるようになっている。
【0061】本発明の第2実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを用い
てトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの所要
量を他方に転送することによりトルク配分が調整される
ため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来すること
なく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0062】ここで、図6,7を参照して、この車両用
左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロスに
ついて考察する。
【0063】図6,7において、lを付した符号は左輪
に関し、rを付した符号は右輪に関している。そして、
Cl,Crはキャリア30Fの回転速度でここではキャ
リア30Fは回転しないので0になっている。S1l,
S1rは第1のサンギヤ30Aの回転速度で、S2l,
S2rは第2のサンギヤ30Eの回転速度であり、第1
のサンギヤ30Aは第2のサンギヤ30Eよりも大径な
ので、回転速度S1l,S1rは回転速度S2l,S2
rよりも小さい。そして、DCはデフケース8Aの回転
速度である。
【0064】また、Z1 は第1のサンギヤ30Aの歯
数、Z2 は第2のサンギヤ30Eの歯数、Z3 はプラネ
タリギヤ30Bの歯数、Z4 はプラネタリギヤ30Dの
歯数であり、Ti はデフケース8Aへの入力トルク、T
l,Trはそれぞれ左側輪及び右側輪への配分トルク、
Tc1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Bの多板クラッ
チ機構12を係合したときの左方向への伝達トルク、T
c2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Bの多板クラッチ
機構12を係合したときの右方向への伝達トルクであ
る。
【0065】さらに、図6は左右輪が等速で回転してい
る状態を示し、図7は右輪側の駆動力伝達制御機構9B
の多板クラッチ機構12が完全係合されて、右輪側が多
板クラッチ機構12によって回転拘束され右輪側の回転
速度が減速されている一方で、これに応じて、左輪側の
回転速度が増速されている状態を示している。
【0066】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0067】このSmax の状態は、図7に示され、多板
クラッチ機構12が完全係合されると、デフケース8A
の回転速度DCと第2のサンギヤ30Eの回転速度S2
rとが等しくなる。
【0068】したがって、図7より、 3 /Z1 : 4 /Z2 =1−Smax :1 ∴Z 2 3 /Z 1 4 =1−Smax ・・・・(2.9)
【0069】次に、ΔT(右輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板
クラッチ機構12)を伝達状態とする]より、 Ti+Tc=Tl+[Tr+(1 4 /Z2 3 )Tc] ∴Tl=Tr+(1 4 /Z2 3 )Tc ・・・・(2.10) 式(2.9),(2.10)より、左右輪の駆動トルク
は、 Tr=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2(1−Smax )]Tc Tl=(1/2)Ti+(1/2)Tc ・・・・(2.11) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=[1/(1−Smax )]Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=(1−Smax )ΔT ・・・・(2.12)
【0070】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z1 : 4 /Z2 =1+S:x ∴x=(Z 1 4 /Z 2 3 )・(1+S) =(1+S)/(1−Smax ) ・・・・(2.13) よって、 Sc=(1+S)/(1−Smax )−1 =(S+Smax )/(1−Smax ) ・・・・(2.14) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(S+Smax )・ΔT・ωDC ・・・・(2.15)
【0071】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、式(2.4)(2.1)を対比させると、
クラッチ容量的には第1実施例のもの(図3参照)より
も有利である。
【0072】一方、式(2.3),(2.8),(2.
11),(2.15)から、Smaxの方向性を考慮する
と、第1実施例で説明した場合と同一の走行状態で且つ
同一の制御状態でのエネルギロスΔE′は、第1実施例
の場合と等しくなり、回頭方向のモーメントを発生させ
るためのエネルギロスΔE′は比較的少なくて済むこと
になる。
【0073】なお、式(2.3),(2.11)より、
第1実施例(図3参照)及び第2実施例(図6参照)の
場合とも、非制御時(つまり、Tr=Tl)に対するト
ルクの変化量については、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。
【0074】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0075】次に、第3実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0076】この駆動力伝達制御機構9Cでは、図8に
示すように、変速機構31及び多板クラッチ機構42が
第1及び第2実施例のものと異なっている。ここでも、
右側の装置について説明する。
【0077】変速機構31は、入力軸6A側のデフケー
ス8の左右側部にそれぞれ設けられ、2組の直列な遊
星歯車機構からなり、第1のサンギヤ31Aと第2のサ
ンギヤ31Eと第1のプラネタリギヤ31Bと第2のプ
ラネタリギヤ31Dとピニオンシャフト31Cとプラネ
タリキャリア31Fとからなり、第1のサンギヤ31A
のプレート部分は駆動力伝達補助部材41になってい
る。
【0078】そして、この駆動力伝達補助部材41と右
輪回転軸14との間に、多板クラッチ機構42が介設さ
れる。この多板クラッチ機構42は、回転軸14側のク
ラッチ板42Bと駆動力伝達補助部材41側のクラッチ
板42Bとが交互に重合してなり、図示しない油圧系か
ら供給される油圧に応じて、その係合状態を調整され
る。
【0079】このため、多板クラッチ機構42が係合す
ると、回転軸14側から、多板クラッチ機構42,第1
のサンギヤ31A,第1のプラネタリギヤ31B,第2
のプラネタリギヤ31D,第2のサンギヤ31Eを経
て、入力軸6A側のデフケース8へ至る駆動力の伝達
路が形成される。
【0080】ここでは、第1のサンギヤ31Aが第2の
サンギヤ31Eよりも大きい径に形成されているので、
第2のサンギヤ31Eの回転速度は第1のサンギヤ31
Aより大きくなり、この変速機構31は駆動力伝達補助
部材41を入力軸6A側よりも減速する減速機構として
はたらくようになっている。
【0081】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも大きく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、右輪回転軸14側から入力軸6A側へ送給(返
送)されるようになっている。
【0082】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構31及び多板クラッチ機構42も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて右輪回転軸14側の多板クラッチ機
構42を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて左輪回転軸13側
の多板クラッチ機構42を適当に係合する。
【0083】このとき、多板クラッチ機構42が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構42の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0084】また、左右の多板クラッチ機構42が共に
完全係合することのないように設定されており、左右の
多板クラッチ機構42のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構42は滑りを生じるようになってい
る。
【0085】本発明の第3実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1,2実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0086】ここで、図9,10を参照して、この車両
用左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロス
について考察する。
【0087】図9,10において、lを付した符号は左
輪に関し、rを付した符号は右輪に関している。そし
て、Cl,Crはキャリア31Fの回転速度でここでは
キャリア31Fは回転しないので0になっている。S1
l,S1rは第1のサンギヤ31Aの回転速度で、S2
l,S2rは第2のサンギヤ31Eの回転速度であり、
第1のサンギヤ31Aは第2のサンギヤ31Eよりも大
径なので、回転速度S1l,S1rは回転速度S2l,
S2rよりも小さい。
【0088】また、Z1 は第1のサンギヤ31Aの歯
数、Z2 は第2のサンギヤ31Eの歯数、Z3 はプラネ
タリギヤ31Bの歯数、Z4 はプラネタリギヤ31Dの
歯数であり、Ti はデフケース8Aへの入力トルク、T
l,Trはそれぞれ左側輪及び右側輪への配分トルク、
Tc1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Cの多板クラッ
チ機構42を係合したときの左方向への伝達トルク、T
c2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Cの多板クラッチ
機構42を係合したときの右方向への伝達トルクであ
る。
【0089】さらに、図9は左右輪が等速で回転してい
る状態を示し、図10は右輪側の駆動力伝達制御機構9
Cの多板クラッチ機構42が完全係合されて、右輪側
多板クラッチ機構42によって回転拘束され右輪側の回
転速度が減速されている一方で、これに応じて、左輪側
の回転速度が増速されている状態を示している。
【0090】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0091】このSmax の状態は、図10に示され、多
板クラッチ機構42が完全係合されると、出力軸14の
回転速度と第1のサンギヤ31Aの回転速度S1rとが
等しくなる。
【0092】したがって、図10より、 3 /Z1 : 4 /Z2 =1−Smax :1 ∴Z 2 3 /Z 1 4 =1−Smax ・・・・(2.16)
【0093】次に、ΔT(右輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板
クラッチ機構42)を伝達状態とする]より、 Ti+(Z 2 3 /Z 1 4 )Tc=Tl+[Tr+Tc] Tl=Tr+Tc ・・・・(2.17) 式(2.16),(2.17)より、左右輪の駆動トル
クは、 Tr=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2]Tc Tl=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2]Tc・・・・(2.18) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=ΔT ・・・・(2.19)
【0094】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z1 : 4 /Z2 =x:1 ∴x=(Z 2 3 /Z 1 4 )=1−Smax ・・・・(2.20) よって、 Sc=(1+S)−(1−Smax )=S+Smax ・・・・(2.21) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(S+Smax )・ΔT・ωDC ・・・・(2.22)
【0095】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、クラッチ容量的には、第1実施例のもの(図
3参照)よりは有利で、第2実施例のもの(図7参照)
よりは不利となる。
【0096】また、エネルギロスΔE′は、第1,2実
施例の場合と等しくなり、回頭方向のモーメントを発生
させるためのエネルギロスΔE′は比較的少なくて済む
ことになる。
【0097】さらに、第1実施例(図3参照)及び第2
実施例(図6参照)の場合と同様に、非制御時(つま
り、Tr=Tl)に対するトルクの変化量については、
(減少側のトルク変化量)>(増加側のトルク変化量)
となっている。
【0098】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0099】次に、第4実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0100】この駆動力伝達制御機構9Dでは、図11
に示すように、第3実施例とほぼ同様に変速機構32及
び多板クラッチ機構42を配置しているが、ここでは、
第1のサンギヤ32Aが第2のサンギヤ32Eよりも小
さい径に形成されている。このため、第2のサンギヤ
Eの回転速度は第1のサンギヤ32Aよりも小さくな
り、この変速機構32は駆動力伝達補助部材41を入力
軸6A側よりも増速する増速機構としてはたらくように
なっている。
【0101】したがって、クラッチ板42Aの回転速度
がクラッチ板42Bよりも小さく、多板クラッチ機構4
2を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のト
ルクが、入力軸6A側から右輪回転軸14側へ送給され
るようになっている。
【0102】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構32及び多板クラッチ機構42も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて左輪回転軸13側の多板クラッチ機
構42を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構42を適当に係合する。
【0103】なお、多板クラッチ機構42が油圧駆動式
であるから、油圧の大きさを調整することで多板クラッ
チ機構42の係合状態を制御でき、入力軸6Aから左輪
回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量(つ
まりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整するこ
とができるようになっている。
【0104】また、左右の多板クラッチ機構42が共に
完全係合することのないように設定されており、左右の
多板クラッチ機構42のうち一方が完全係合したら他方
の多板クラッチ機構42は滑りを生じるようになってい
る。
【0105】本発明の第4実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜3実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0106】ここで、図12,13を参照して、この車
両用左右駆動力調整装置のクラッチ容量及びエネルギロ
スについて考察する。
【0107】図12,13において、lを付した符号は
左輪に関し、rを付した符号は右輪に関している。そし
て、Cl,Crはキャリア3Fの回転速度でここでは
キャリア3Fは回転しないので0になっている。S1
l,S1rは第2のサンギヤ3Eの回転速度で、S2
l,S2rは第1のサンギヤ3Aの回転速度であり、
第1のサンギヤ3Aは第2のサンギヤ3Eよりも小
径なので、回転速度S2l,S2rは回転速度S1l,
S1rよりも大きい。
【0108】また、Z1 は第2のサンギヤ3Eの歯
数、Z2 は第1のサンギヤ3Aの歯数、Z3 はプラネ
タリギヤ32Cの歯数、Z4 はプラネタリギヤ32Bの
歯数であり、Ti はデフケース8Aへの入力トルク、T
l,Trはそれぞれ左側輪及び右側輪への配分トルク、
Tc1は右輪側の駆動力伝達制御機構9Dの多板クラッ
チ機構42を係合したときの左方向への伝達トルク、T
c2は左輪側の駆動力伝達制御機構9Dの多板クラッチ
機構42を係合したときの右方向への伝達トルクであ
る。
【0109】さらに、図12は左右輪が等速で回転して
いる状態を示し、図13は右輪側の駆動力伝達制御機構
9Dの多板クラッチ機構42が完全係合されて、右輪側
が多板クラッチ機構42により回転拘束され右輪側の回
転速度が減速されている一方で、これに応じて、左輪側
の回転速度が増速されている状態を示している。
【0110】まず、Smax (制御可能な左右回転差範
囲)を実現するための、プラネタリの設定速度比を導
く。
【0111】このSmax の状態は、図13に示され、多
板クラッチ機構42が完全係合されると、デフケース8
Aの回転速度DCと第2のサンギヤ31Eの回転速度S
2rとが等しくなる。
【0112】したがって、図13より、 3 /Z1 : 4 /Z2 =1:1+Smax ∴Z 2 3 /Z 1 4 =1/1+Smax ・・・・(2.23)
【0113】次に、ΔT(右輪側からの駆動力の減少
分)に必要なカップリングトルクTcを導くと、デフギ
ヤ部のトルクの釣り合い式[右輪のカップリング(多板
クラッチ機構42)を伝達状態とする]より、 Ti+(Z 1 4 /Z 2 3 )Tc=Tl+[Tr−Tc] Tl=Tr−Tc ・・・・(2.24) 式(2.23),(2.24)より、左右輪の駆動トル
クは、 Tr=(1/2)Ti+[(1−Smax )/2]Tc Tl=(1/2)Ti−[(1+Smax )/2]Tc・・・・(2.25) よって、 ΔT=|Tr−Tl|=Tc これより、ΔTに必要なカップリングトルクTcは Tc=ΔT ・・・・(2.26)
【0114】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE′を求める。ここ
で、 |S|<Smax とすると、カップリング部のスリップ速度比Scは、 3 /Z1 : 4 /Z2 =1:x ∴x=(Z 1 4 /Z 2 3 )=1Smax ・・・・(2.27) よって、 Sc=1+Smax −(1+S)=Smax −S ・・・・(2.28) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=d
ΔE/dt)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.29)
【0115】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、クラッチ容量的には、第3実施例(図10参
照)と同様で、第1実施例のもの(図3参照)よりは有
利で、第2実施例のもの(図7参照)よりは不利とな
る。
【0116】また、エネルギロスΔE′は、第1〜3実
施例の場合と等しくなり、回頭方向のモーメントを発生
させるためのエネルギロスΔE′は比較的少なくて済む
ことになる。
【0117】さらに、第1実施例(図3参照),第2実
施例(図6参照)及び第3実施例(図10参照)の場合
と同様に、非制御時(つまり、Tr=Tl)に対するト
ルクの変化量については、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。
【0118】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0119】次に、第5実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0120】この車両用左右駆動力調整装置にそなえら
れる駆動力伝達制御機構9Eでは、図14に示すよう
に、回転軸13,14と並行に軸(カウンタシャフト)
51が設けられ、この軸51には、中径の歯車52と大
径の歯車53と小径の歯車54とがそなえられ、一方の
回転軸13には、中径の歯車52と噛合する中径の歯車
59がそなえられ、他方の回転軸14には、大径の歯車
53と噛合する小径の歯車55と小径の歯車54と噛合
する大径の歯車56とが設けられる。これらの歯車5
9,52,53,55の組み合わせで、変速機構として
の増速機構が構成され、歯車59,52,54,56の
組み合わせで、変速機構としての減速機構が構成され
る。
【0121】そして、回転軸14と小径の歯車55との
間及び回転軸14と大径の歯車56との間には、それぞ
れ、油圧式の多板クラッチ57,58が介装されてい
る。なお、多板クラッチ57,58を軸51上に設けて
もよい。
【0122】これにより、軸51は回転軸13と等速で
回転するが、回転軸14の小径の歯車55は、これらの
軸51や回転軸13よりも高速で回転し、左右輪で差動
があまり生じない通常走行時には回転軸14よりも高速
で回転する。また、回転軸14の大径の歯車56は、こ
れらの軸51や回転軸13よりも低速で回転し、左右輪
で差動があまり生じない通常走行時には回転軸14より
も低速で回転する。
【0123】したがって、多板クラッチ57を係合する
と、回転軸14よりも高速の小径の歯車55側から回転
軸14側へトルクが伝達され、この分だけ回転軸13側
へのトルクが減少する。
【0124】また、多板クラッチ58を係合すると、回
転軸14側から回転軸14よりも低速の大径の歯車56
側へトルクが返送され、この分だけ回転軸13側へのト
ルクが増加する。
【0125】そして、多板クラッチ機構57,58が油
圧駆動式であるから、油圧の大きさを調整することで多
板クラッチ機構57,58の係合状態を制御でき、入力
軸6Aから左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動
力の送給量(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精
度で調整することができるようになっている。
【0126】また、2つの多板クラッチ機構57,58
が共に完全係合することのないように設定されており、
2つの多板クラッチ機構57,58のうち一方が完全係
合したら他方は滑りを生じるようになっている。
【0127】本発明の第5実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜4実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0128】ここで、この車両用左右駆動力調整装置の
クラッチ容量及びエネルギロスについて考察する。
【0129】まず、簡単のために、ギヤ53の歯数Z1
と、ギヤ55の歯数Z2 と、ギヤ56の歯数Z3 と、ギ
ヤ54の歯数Z4 と、ギヤ52及び59の歯数Z5 との
間に、下式が成立するものとする。 Z1 >Z2 ,Z3 >Z4 ギヤ比の設定は、Smax の条件から、 (1−Smax )(Z1 /Z2 )=1+Smax ∴Z1 /Z2 =(1+Smax )/(1−Smax ) (1+Smax )(Z4 /Z3 )=1−Smax ∴Z4 /Z3 =(1−Smax )/(1+Smax ) ∴Z1 /Z2 =Z3 /Z4 =(1+Smax )/(1−Smax ) ・・・・(2.30)
【0130】次に、ΔT(右輪側への駆動力の増分)に
必要なカップリングトルクTcを導くと、 多板クラッチ機構57のカップリングC1を伝達状態
とし、多板クラッチ機構57のカップリングトルクをT
c1とすると、 Tr=(1/2)Ti+Tc1 Tl=(1/2)Ti−(Z1 /Z2 )Tc1 ・・・・(2.31) 式(2.30),(2.31)より、左右輪の駆動トル
クは、 ΔT=|Tr−Tl|=[2/(1−Smax )]Tc1 よって、 Tcl=[(1−Smax )/2]ΔT ・・・・(2.32) 多板クラッチ機構58のカップリングC2を伝達状態
とし、多板クラッチ機構58のカップリングトルクをT
c2とすると、 Tr=(1/2)Ti−Tc2 Tl=(1/2)Ti+(Z4 /Z3 )Tc2 ・・・・(2.33) よって、 Tc2=[(1+Smax )/2]ΔT ・・・・(2.34)
【0131】次に、単位時間当たりのエネルギロス(つ
まり、クラッチの吸収エネルギ)ΔE1′,ΔE2′を
求める。ここで、 |S|<Smax とすると、各カップリング部C1,C2のスリップ速度
比Sc1,Sc2は、 Sc1=(Z1 /Z2 )(1−S)−(1+S) =2(Smax −S)/(1−Smax ) ・・・・(2.35) Sc2=(Z4 /Z3 )(1−S)−(1+S) =2(Smax +S)/(1+Smax ) ・・・・(2.36) これより、単位時間当たりのエネルギロスΔE1′(=
dΔE1/dt)およびΔE2′(=dΔE2/dt)
は、 ΔE1′=Tc1・Sc1・ωDC (kgfm/s ) =(Smax −S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.37) ΔE2′=Tc2・Sc2・ωDC (kgfm/s ) =(Smax +S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.38)
【0132】以上の結果から、この車両用左右駆動力調
整装置は、クラッチ容量的には第1〜4実施例のプラネ
タリギヤ式のものの半分で済み、エネルギロスΔE′
は、第1〜4実施例の場合と等しくなり、回頭方向のモ
ーメントを発生させるためのエネルギロスΔE′は比較
的少なくて済むことになる。また、クラッチサイズはプ
ラネタリギヤ式と同サイズのものが必要である。
【0133】なお、トルクの変化量についても、プラネ
タリギヤ式と同様であり、(減少側のトルク変化量)>
(増加側のトルク変化量)となっている。また、この装
置では、左右用でクラッチ必要容量が異なることに
なる。
【0134】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0135】次に、第6実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0136】この実施例では、図15に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力軸6Aと、入力軸6Aから入力された駆動力を出
力する左輪回転軸13及び右輪回転軸14とが設けられ
ており、これらの回転軸13,14と入力軸6Aとの間
に車両用左右駆動力調整装置が介装されている。
【0137】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Fは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0138】すなわち、左輪回転軸13と入力軸6Aと
の間及び右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に、それぞ
れ変速機構60と多板クラッチ機構12とが介装されて
おり、左輪回転軸13又は右輪回転軸14の回転速度
が、変速機構60により減速されて変速機構の出力部
(駆動力伝達補助部材)としての中空軸11に出力され
るようになっている。
【0139】多板クラッチ機構12は、この中空軸11
と入力軸6A側のデファレンシャルケース(以下、デフ
ケースと略す)8Aとの間に介装されており、この多板
クラッチ機構12を係合させることで、高速側のデフケ
ース8Aから低速側の中空軸11へ駆動力が送給される
ようになっている。これは、対向して配設されたクラッ
チ板における一般的な特性として、トルクの伝達が、速
度の速い方から遅い方へ行なわれるためである。
【0140】したがって、例えば、右輪回転軸14と入
力軸6Aとの間の多板クラッチ機構12が係合される
と、右輪回転軸14へ配分される駆動力は、多板クラッ
チ機構12を介して入力軸6A側からの直接ルートで増
加されて、この分だけ、左輪回転軸13へ配分される駆
動力が増加する。
【0141】上述の変速機構60は、1つのプラネタリ
ギヤ機構で構成されており、右輪回転軸14に設けられ
た変速機構60を例に説明すると次のようになる。
【0142】すなわち、右輪回転軸14にはサンギヤ6
0Aが固着されており、このサンギヤ60Aは、その外
周においてプラネタリギヤ(プラネタリピニオン)60
Bに噛合している。プラネタリギヤ60Bを枢支するピ
ニオンシャフト60Cは中空軸11に軸支され、中空軸
11がプラネタリギヤ機構のキャリヤとして機能するよ
うになっている。また、プラネタリギヤ60Bは、駆動
力伝達制御機構9Fのケース等に回転しないように固定
されたリングギヤ60Dに噛合している。
【0143】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ60Bの公転速度は、サンギヤ60Aの回転
速度よりも小さいので、中空軸(つまり、変速機構60
の出力部)11は、右輪回転軸14よりも低速で回転す
る。したがって、変速機構60は、減速機構として機能
するようになっている。
【0144】このため、クラッチ板12Aの回転速度が
クラッチ板12Bよりも小さく、多板クラッチ機構12
を係合させた場合には、この係合状態に応じた量のトル
クが、入力軸6A側から右輪回転軸14側へ送給される
ようになっている。
【0145】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構60及び多板クラッチ機構12も、同様に構成され
ており、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13
により多く配分したい場合には、その配分したい程度
(配分比)に応じて左輪回転軸13側の多板クラッチ機
構12を適当に係合し、右輪回転軸14により多く配分
したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸14側
の多板クラッチ機構12を適当に係合する。
【0146】このとき、多板クラッチ機構12が油圧駆
動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板ク
ラッチ機構12の係合状態を制御でき、入力軸6Aから
左輪回転軸13又は右輪回転軸14への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。
【0147】なお、左右の多板クラッチ機構12が同時
に完全係合することのないように設定されており、左右
の多板クラッチ機構12のうち一方が完全係合したら他
方の多板クラッチ機構12は滑りを生じるようになって
いる。
【0148】本発明の第6実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜5実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0149】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0150】次に、第7実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0151】この実施例では、図16に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、入力軸6Aと第1及び
右輪回転軸13,14とが設けられており、左輪回転軸
13と右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に車両用左右
駆動力調整装置が介装されている。
【0152】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Gは、第6実施例(図15参照)
と同様の変速機構60をそなえているが、この変速機構
60は入力軸6A側に連結されており、入力軸6A側の
回転を増速して回転軸13,14の側に出力するように
なっている。
【0153】そして、第6実施例における多板クラッチ
機構12に代えて、例えば摩擦クラッチ等のカップリン
グ61が、変速機構60の出力部60Aと回転軸13,
14との間に介装されている。摩擦クラッチの場合に
は、トルク伝達方向が一方向のものを所要の方向(それ
ぞれのトルク伝達方向)向けて設置する。
【0154】変速機構60は、1つのプラネタリギヤ機
構で構成されており、右輪回転軸14に設けられた変速
機構60を例に説明すると、カップリング61の一方
(入力側)にサンギヤ60Aが固着され、サンギヤ60
Aは、その外周においてプラネタリギヤ(プラネタリピ
ニオン)60Bに噛合している。そして、プラネタリギ
ヤ60Bを枢支するピニオンシャフト60Cはデフケー
ス8Aから延設されたキャリヤ60Eに軸支されてい
る。また、プラネタリギヤ60Bは、駆動力伝達制御機
構9Gのケース等に回転しないように固定されたリング
ギヤ60Dに噛合している。
【0155】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ60Bの公転速度は、サンギヤ60Aの回転
速度よりも小さいので、サンギヤ60A側(つまり、変
速機構60の出力部)は、中空軸11よりも高速で回転
する。したがって、変速機構60は、増速機構として機
能するようになっている。
【0156】このため、カップリング61を係合させた
場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、入力軸
6A側から右輪回転軸14側へ送給されるようになって
いる。
【0157】一方、左輪回転軸13にそなえられる変速
機構60及びカップリング61も同様に構成されてお
り、入力軸6Aからの駆動トルクを左輪回転軸13によ
り多く配分したい場合には、その配分したい程度(配分
比)に応じて左輪回転軸13側のカップリング61を適
当に係合し、右輪回転軸14により多く配分したい場合
には、その配分比に応じて右輪回転軸14側のカップリ
ング61を適当に係合する。
【0158】このとき、カップリング61の係合状態を
制御することで、入力軸6Aから左輪回転軸13又は右
輪回転軸14への駆動力の送給量(つまりは駆動力の左
右配分比)を適当な精度で調整することができるように
なっている。
【0159】なお、ここでも、左右のカップリング61
が同時に完全係合することのないように設定されてお
り、左右のカップリング61のうち一方が完全係合した
ら他方は滑りを生じるようになっている。
【0160】本発明の第7実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜6実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0161】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0162】次に、第8実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0163】この実施例では、図17に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力軸6Aと、入力軸6Aから入力された駆動力を出
力する左輪回転軸13及び右輪回転軸14とが設けられ
ており、回転軸13,14と入力軸6Aとの間に車両用
左右駆動力調整装置が介装されている。
【0164】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Hは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0165】すなわち、左輪回転軸13と入力軸6Aと
の間及び右輪回転軸14と入力軸6Aとの間に、それぞ
れ変速機構62と多板クラッチ機構12とが介装されて
いるが、この変速機構62は、回転速度を出力部で増速
して出力することと減速して出力することができ、増速
して出力する状態(増速出力状態)と減速して出力する
状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構63が付
設されている。このため、変速機構62及び多板クラッ
チ機構12は一方の出力軸側(ここでは、左輪回転軸1
3の側)にそれぞれ1つだけ設けられている。
【0166】上述の変速機構62は、互いに直列に結合
された3組のプラネタリギヤ機構で構成されている。す
なわち、左輪回転軸13の側には、大径のサンギヤ62
Aと小径のサンギヤ62Dとがそなえられ、これらのサ
ンギヤ62A,62Dは、それぞれその外周においてプ
ラネタリギヤ(プラネタリピニオン)62B,62Eに
噛合している。
【0167】これらのプラネタリギヤ62B,62Eは
共通のキャリヤ(固定部)に軸支されたピニオンシャフ
ト62Cに一体回転するように装備されており、サンギ
ヤ62A,62Dの径の関係とは逆に、プラネタリギヤ
62Bは、プラネタリギヤ62Eよりも小径に設定され
ている。
【0168】さらに、このピニオンシャフト62Cに
は、もう1つのプラネタリギヤ62Fが一体回転するよ
うに装備され、このプラネタリギヤ62Fに、中空軸1
1に固着されているもう1つのサンギヤ62Gが噛合し
ている。なお、サンギヤ62Gの径はサンギヤ62Aの
径よりも小さく且つサンギヤ62Dの径よりも大きく設
定され、プラネタリギヤ62Fの径はプラネタリギヤ6
2Bの径よりも大きくプラネタリギヤ62Eの径よりも
小さく設定されている。
【0169】そして、サンギヤ62A,62Dと左輪回
転軸13との間に、切替機構63が設けられている。こ
の切替機構63は、電磁式アクチュエータ(ソレノイ
ド)63Aと、このアクチュエータ63Aで駆動される
スライドレバー63Bと、このスライドレバー63Bで
駆動される連結部材63Cと、左輪回転軸13に設けら
れたハブ64と、サンギヤ62Aの内周に設けられたハ
ブ65と、サンギヤ62Dの内周に設けられたハブ66
とから構成される。なお、電磁式アクチュエータ63A
は、コントロールユニット18によって作動を制御され
るようになっている。
【0170】連結部材63Cは、その内周でハブ64と
セレーション結合してこのハブ64と常時一体に回転す
るようになっており、連結部材63Cの軸方向位置に対
応して、その内周でハブ65又はハブ66とセレーショ
ン結合して一体に回転しうるようになっている。
【0171】つまり、連結部材63Cが、スライドレバ
ー63Bで後進状態(図17中、左方に移動した状態)
に駆動されると、その外周がハブ65とセレーション結
合してこのハブ65と一体に回転し、スライドレバー6
3Bで前進状態(図17中、右方に移動した状態)に駆
動されると、その外周がハブ66とセレーション結合し
てこのハブ66と一体に回転するようになっている。
【0172】したがって、連結部材63Cが後進状態の
ときには、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63
C,ハブ65を介してサンギヤ62Aと連結して、左輪
回転軸13の回転は、サンギヤ62A,プラネタリギヤ
62B,ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ6
2F,サンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力され
る。そして、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Aの径
よりも小さく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタ
リギヤ62Bの径よりも大きいので、サンギヤ62Gは
サンギヤ62Aよりも高速で回転する。即ち、中空軸1
1は左輪回転軸13よりも高速で回転することになり、
変速機構62は増速機構として機能するようになってい
る。
【0173】また、連結部材63Cが前進状態のときに
は、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63C,ハブ
66を介してサンギヤ62Dと連結して、左輪回転軸1
3の回転は、サンギヤ62D,プラネタリギヤ62E,
ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ62F,サ
ンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力される。そし
て、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Dの径よりも大
きく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタリギヤ6
2Eの径よりも小さいので、サンギヤ62Gはサンギヤ
62Dよりも低速で回転する。即ち、中空軸11は左輪
回転軸13よりも低速で回転することになり、変速機構
62は減速機構として機能するようになっている。
【0174】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデフケース8Aとの間に介装
されており、この多板クラッチ機構12を係合させるこ
とで、デフケース8Aと中空軸11との間で駆動力の授
受が行なわれるようになっている。
【0175】したがって、例えば、連結部材63Cを後
進状態とすると、変速機構62の出力部としての中空軸
11は左輪回転軸13よりも高速で回転して、比較的高
速の中空軸11側からデフケース8A側へと駆動力が返
送され、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆
動力が減少して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される
駆動力は、この分だけ増加する。
【0176】また、例えば、連結部材63Cを前進状態
とすると、変速機構62の出力部としての中空軸11は
左輪回転軸13よりも低速で回転して、比較的高速のデ
フケース8A側から中空軸11側へと駆動力が返送さ
れ、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆動力
が増加して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される駆動
力は、この分だけ減少する。
【0177】本発明の第8実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜7実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。
【0178】さらに、変速機構62及び多板クラッチ機
構12はそれぞれ1つだけ設ければよいので、スペース
上やコスト上で有利になる。
【0179】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0180】次に、第9実施例について説明すると、こ
の装置をそなえた自動車の駆動系の全体構成は、図4に
示す第1実施例のものとほぼ同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0181】この実施例では、図18に示すように、第
1実施例(図1参照)と同様に、回転駆動力を入力され
る入力軸6Aと、入力軸6Aから入力された駆動力を出
力する左輪回転軸13及び右輪回転軸14とが設けられ
ており、回転軸13,14との間に車両用左右駆動力調
整装置が介装されている。
【0182】そして、この車両用左右駆動力調整装置の
駆動力伝達制御機構9Iは、次のような構成により、左
輪回転軸13と右輪回転軸14との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸13と右輪回転軸14とに伝達される駆
動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0183】すなわち、左輪回転軸13と右輪回転軸1
4との間に、それぞれ変速機構99と多板クラッチ機構
12とが介装されており、この変速機構99は、右輪回
転軸14の回転速度を増速して出力することと減速して
出力することができ、増速して出力する状態(増速出力
状態)と減速して出力する状態(減速出力状態)とを切
り替える切替機構101が付設されている。このため、
変速機構99及び多板クラッチ機構12はそれぞれ1つ
だけ設けられている。
【0184】上述の変速機構99は、左輪回転軸13と
これと平行な軸(カウンタシャフト)99Cとの間にそ
れぞれ設けられた3組のギヤ機構で構成されている。す
なわち、カウンタシャフト99Cの側には、小径のギヤ
99Aと大径のギヤ99Bとがそなえられ、左輪回転軸
13には、大径のギヤ14Aと小径のギヤ14Bとがそ
なえられ、ギヤ99Aとギヤ14Aとが噛合し、ギヤ9
9Bとギヤ14Bとが噛合している。ただし、ギヤ99
A,99Bは、カウンタシャフト99Cと切替機構10
1を介して接続され、切替機構101の状態に応じて、
カウンタシャフト99Cに対して相対回転したり、一体
回転しうるようになっている。
【0185】さらに、カウンタシャフト99Cの左輪側
端部には中径のギヤ99Dがそなえられ、左輪回転軸1
3の側には中径のギヤ100Cがそなえられ、これらの
ギヤ99D,100Cが噛合している。そして、ギヤ1
00Cと左輪回転軸13との間に多板クラッチ機構12
が介装されている。
【0186】また、上述の切替機構101は、電磁式ア
クチュエータ(ソレノイド)101Aと、このアクチュ
エータ101Aで駆動されるスライドレバー101B
と、このスライドレバー101Bで駆動される連結部材
101Cと、カウンタシャフト99Cに設けられたハブ
67と、ギヤ99Aに結合されたハブ68と、サンギヤ
99Bに結合されたハブ69とから構成される。なお、
電磁式アクチュエータ101Aは、コントロールユニッ
ト18によって作動を制御されるようになっている。
【0187】連結部材101Cは、ハブ67とハブ68
とにセレーション結合してこのハブ67とハブ68とを
一体に回転する態位と、ハブ67とハブ69とにセレー
ション結合してこのハブ67とハブ69とを一体に回転
する態位とをとりうるようになっている。
【0188】つまり、連結部材101Cが、スライドレ
バー101Bで後進状態(図18中、左方に移動した状
態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ6
7とハブ68とが一体に回転するようになり、スライド
レバー101Bで前進状態(図17中、右方に移動した
状態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ
67とハブ69とが一体に回転するようになっている。
【0189】したがって、連結部材101Cが後進状態
のときには、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14A,9
9A,ハブ67,連結部材101C,ハブ68を介して
カウンタシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99
E,100Cを介して多板クラッチ機構12に伝達され
るようになっている。このときには、ギヤ14A,99
A,99E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ
100Cは右輪回転軸14よりも高速で回転する。つま
り、右輪回転軸14の回転は増速されてギヤ100Cに
出力される。
【0190】また、連結部材101Cが前進状態のとき
には、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14B,99B,
ハブ67,連結部材101C,ハブ69を介してカウン
タシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99E,1
00Cを介して多板クラッチ機構12に伝達されるよう
になっている。このときには、ギヤ14B,99B,9
9E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ100
Cは右輪回転軸14よりも低速で回転する。つまり、右
輪回転軸14の回転は減速されてギヤ100Cに出力さ
れる。
【0191】つまり、連結部材101Cが後進状態のと
きに多板クラッチ機構12を係合させると、増速された
ギヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転
軸13の側のクラッチプレートよりも高速回転するの
で、右輪回転軸14側から左輪回転軸13側にトルクが
伝達される。
【0192】また、連結部材101Cが前進状態のとき
に多板クラッチ機構12を係合させると、減速されたギ
ヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転軸
13の側のクラッチプレートよりも低速回転するので、
左輪回転軸13側から右輪回転軸14側にトルクが伝達
される。
【0193】本発明の第9実施例としての車両用左右駆
動力調整装置は、上述のように構成されているので、第
1〜8実施例と同様に、ブレーキ等のエネルギーロスを
用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルクの
所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整さ
れるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、所望のトルク配分を得ることができる。さら
に、変速機構99及び多板クラッチ機構12はそれぞれ
1つだけ設ければよいので、スペース上やコスト上で有
利になる。
【0194】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0195】次に、第10実施例について説明すると、
図19に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車は前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪(エンジン出力を与えられない車輪)である後輪1
5,16の側に設けられ、その駆動力伝達制御機構90
Aは、後輪15,16の回転軸13,14の間に設け
ら、第1実施例の駆動力伝達制御機構9Aを否駆動輪に
適用したものである。
【0196】つまり、図19,20に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、右輪回転軸14側には変速機構91が設けられ、左
輪回転軸13側には変速機構92が設けられており、変
速機構91の出力部と左輪回転軸13との間には油圧式
多板クラッチ機構93が介装され、変速機構92の出力
部と左輪回転軸14と連動して等速回転する中空軸95
との間には第1実施例と同様にコントローラ18で制御
される油圧式多板クラッチ機構94が介装されている。
なお、93A,93B,94A,94Bはクラッチプレ
ートである。
【0197】このうち、変速機構91は、右輪回転軸1
4に一体回転するように取り付けられたサンギヤ91A
と、サンギヤ91Aと噛合するプラネタリギヤ91B
と、このプラネタリギヤ91Bを枢支するプラネタリシ
ャフト91Cに設置されプラネタリギヤ91Bと一体回
転するプラネタリギヤ91Dと、プラネタリギヤ91D
と噛合するサンギヤ93Cとから構成される。
【0198】そして、サンギヤ93Cはサンギヤ91A
よりも大径に設定され、プラネタリギヤ91Dはプラネ
タリギヤ91Bよりも大径に設定され小径に設定されて
いるので、サンギヤ93Cはサンギヤ91Aよりも低速
で回転する。したがって、変速機構91は、右輪回転軸
14の回転を減速してサンギヤ93Cの回転として出力
するようになっている。
【0199】このため、油圧式多板クラッチ機構93が
係合すると、減速されたサンギヤ93C側のクラッチプ
レート93Aよりも左輪回転軸13側のクラッチプレー
ト93Bの方が回転が速いので、左輪回転軸13側から
サンギヤ93C側つまり右輪回転軸14側へ駆動力が伝
達される。
【0200】この場合、左輪回転軸13及び右輪回転軸
14は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆動
力は供給されないが、左輪回転軸13は路面から受ける
回転反力を右輪回転軸14へ与えることになる。つま
り、左輪回転軸13に連結された左輪15は路面に制動
力を与えこの一方で路面から回転反力を受け、右輪回転
軸14に連結された右輪16は左輪回転軸13側から受
けた駆動力を路面に与えるようになる。制動力は負の駆
動力と考えられるので、否駆動輪でありながら、左輪回
転軸13と右輪回転軸14との駆動力配分が調整される
ことになる。
【0201】また、変速機構92は、左輪回転軸14に
一体回転するように取り付けられたサンギヤ92Aと、
サンギヤ92Aと噛合するプラネタリギヤ92Bと、こ
のプラネタリギヤ92Bを枢支するプラネタリシャフト
92Cに設置されプラネタリギヤ92Bと一体回転する
プラネタリギヤ92Dと、プラネタリギヤ92Dと噛合
するサンギヤ94Cとから構成される。
【0202】そして、サンギヤ94Cはサンギヤ92A
よりも大径に設定され、プラネタリギヤ92Dはプラネ
タリギヤ92Bよりも大径に設定され小径に設定されて
いるので、サンギヤ94Cはサンギヤ92Aよりも低速
で回転する。したがって、変速機構92は、左輪回転軸
13の回転を減速してサンギヤ94Cの回転として出力
するようになっている。
【0203】また、油圧式多板クラッチ機構94の一方
のクラッチプレート94Bの取り付けられる中空軸95
は、これと一体回転するサンギヤ95A,このサンギヤ
95Aと噛合してプラネタリシャフト91Cに取り付け
られたプラネタリギヤ91E,プラネタリシャフト91
C,プラネタリギヤ91B及びサンギヤ91Aを介し
て、右輪回転軸14と連係されている。
【0204】そして、サンギヤ95Aがサンギヤ91A
と同径に設定され、プラネタリギヤ91Eがプラネタリ
ギヤ91Bと同径に設定されているので、中空軸95
は、常に右輪回転軸14と等しい速度で連動するように
なっている。
【0205】このため、油圧式多板クラッチ機構94が
係合すると、減速されたサンギヤ94C側のクラッチプ
レート94Aよりも中空軸95側(つまり、右輪回転軸
14側)のクラッチプレート94Bの方が回転が速いの
で、右輪回転軸14側から左輪回転軸13側へ駆動力が
伝達される。
【0206】この場合にも、左輪回転軸13及び右輪回
転軸14は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの
駆動力は供給されないが、右輪回転軸14は路面から受
ける回転反力を左輪回転軸13へ与えることになる。つ
まり、右輪回転軸14に連結された右輪16は路面に制
動力を与えこの一方で路面から回転反力を受け、左輪回
転軸13に連結された左輪15は右輪回転軸14側から
受けた駆動力を路面に与えるようになり、否駆動輪であ
りながら、左輪回転軸13と右輪回転軸14との駆動力
配分が調整されることになる。
【0207】本発明の第10実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。
【0208】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0209】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0210】次に、第11実施例について説明すると、
図21に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車も前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪である後輪15,16の側に設けられ、その駆動力伝
達制御機構90Bは、後輪15,16の回転軸13,1
4の間に設けられており、第5実施例の機構9Eを否駆
動輪に適用したものである。
【0211】つまり、図21,22に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、これらの回転軸13,14間には変速機構96が設
けられ、左輪回転軸13側には、変速機構96の増速出
力部との間に油圧式多板クラッチ機構97が設けられ、
変速機構96の減速出力部との間に油圧式多板クラッチ
機構98が設けられている。
【0212】変速機構96は、右輪回転軸14に設けら
れたギヤ14Aと、回転軸13,14と平行に設置され
た軸(カウンタシャフト)96Bと、このカウンタシャ
フト96Bに設けられてギヤ14Aと噛合するギヤ96
Aと、油圧式多板クラッチ機構97を介して左輪回転軸
13側に設けられたギヤ97Cと、油圧式多板クラッチ
機構98を介して左輪回転軸13側に設けられたギヤ9
8Cと、カウンタシャフト96Bに設けられてギヤ97
Cと噛合するギヤ96Cと、カウンタシャフト96Bに
設けられてギヤ98Cと噛合するギヤ96Dとから構成
される。
【0213】そして、ギヤ97Cはギヤ14Aよりも小
径に、ギヤ98Cはギヤ14Aよりも大径に設定され、
ギヤ96Cはギヤ96Aよりも大径に、ギヤ96Dはギ
ヤ96Aよりも小径に設定されている。
【0214】したがって、ギヤ97Cは、ギヤ14A,
ギヤ96A,ギヤ96C,ギヤ97Cのルートで回転力
を伝達されて、ギヤ14Aよりも高速で回転し、このギ
ヤ97Cが変速機構96の増速出力部となっている。ま
た、ギヤ98Cは、ギヤ14A,ギヤ96A,ギヤ96
D,ギヤ98Cのルートで回転力を伝達されて、ギヤ1
4Aよりも低速で回転し、このギヤ98Cが変速機構9
6の減速出力部となっている。
【0215】このため、油圧式多板クラッチ機構97が
係合すると、増速されたギヤ97C側のクラッチプレー
ト97Bよりも左輪回転軸13側のクラッチプレート9
7Aの方が回転が遅いので、右輪回転軸14側から左輪
回転軸13側へ駆動力が伝達される。
【0216】逆に、油圧式多板クラッチ機構98が係合
すると、減速されたギヤ98C側のクラッチプレート9
8Bよりも左輪回転軸13側のクラッチプレート98A
の方が回転が速いので、左輪回転軸13側から右輪回転
軸14側へ駆動力が伝達される。
【0217】この場合も、左輪回転軸13及び右輪回転
軸14は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆
動力は供給されないが、駆動力を与える側の回転軸13
又は14は路面から受ける回転反力を一方の回転軸14
又は13へ与えることになる。つまり、駆動力を与える
側の回転軸13又は14に連結された車輪15又は16
は路面に制動力を与えこの一方で路面から回転反力を受
け、駆動力を受ける側の回転軸14又は13に連結され
た右輪16又は15はこの回転反力を受けて駆動力とし
て路面に伝えるようになる。
【0218】本発明の第11実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。
【0219】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0220】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式
や電磁式の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の
摩擦クラッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式
あるいは電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用
いることもできる。
【0221】次に、第12実施例について説明すると、
図23に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車も前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪である後輪15,16の側に設けられ、その駆動力伝
達制御機構90Cは、後輪15,16の回転軸13,1
4の間に設けられており、第9実施例の機構9Iを否駆
動輪に適用したものである。
【0222】つまり、図23,24に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、これらの左輪回転軸13と右輪回転軸14との間に
は、変速機構99と多板クラッチ機構12とが介装され
ており、この変速機構99は、右輪回転軸14の回転速
度を増速して出力することと減速して出力することがで
き、増速して出力する状態(増速出力状態)と減速して
出力する状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構
101が付設されている。このため、変速機構99及び
多板クラッチ機構12はそれぞれ1つだけ設けられてい
る。
【0223】上述の変速機構99は、左輪回転軸13と
これと平行な軸(カウンタシャフト)99Cとの間にそ
れぞれ設けられた3組のギヤ機構で構成されている。す
なわち、カウンタシャフト99Cの側には、小径のギヤ
99Aと大径のギヤ99Bとがそなえられ、左輪回転軸
13には、大径のギヤ14Aと小径のギヤ14Bとがそ
なえられ、ギヤ99Aとギヤ14Aとが噛合し、ギヤ9
9Bとギヤ14Bとが噛合している。
【0224】ただし、ギヤ99A,99Bは、カウンタ
シャフト99Cと切替機構101を介して接続され、切
替機構101の状態に応じて、カウンタシャフト99C
に対して相対回転したり、一体回転しうるようになって
いる。
【0225】さらに、カウンタシャフト99Cの側には
中径のギヤ99Eがそなえられ、左輪回転軸13の側に
は中径のギヤ100Cがそなえられ、これらのギヤ99
E,100Cが噛合している。そして、ギヤ100Cと
左輪回転軸13との間に多板クラッチ機構12が介装さ
れている。
【0226】また、上述の切替機構101は、電磁式ア
クチュエータ(ソレノイド)101Aと、このアクチュ
エータ101Aで駆動されるスライドレバー101B
と、このスライドレバー101Bで駆動される連結部材
101Cと、カウンタシャフト99Cに設けられたハブ
67と、ギヤ99Aに結合されたハブ68と、サンギヤ
99Bに結合されたハブ69とから構成される。なお、
電磁式アクチュエータ101Aは、コントロールユニッ
ト18によって作動を制御されるようになっている。
【0227】連結部材101Cは、ハブ67とハブ68
とにセレーション結合してこのハブ67とハブ68とを
一体に回転する態位と、ハブ67とハブ69とにセレー
ション結合してこのハブ67とハブ69とを一体に回転
する態位とをとりうるようになっている。
【0228】つまり、連結部材101Cが、スライドレ
バー101Bで後進状態(図18中、左方に移動した状
態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ6
7とハブ68とが一体に回転するようになり、スライド
レバー101Bで前進状態(図17中、右方に移動した
状態)に駆動されると、連結部材101Cを通じてハブ
67とハブ69とが一体に回転するようになっている。
【0229】したがって、連結部材101Cが後進状態
のときには、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14A,9
9A,ハブ67,連結部材101C,ハブ68を介して
カウンタシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99
E,100Cを介して多板クラッチ機構12に伝達され
るようになっている。このときには、ギヤ14A,99
A,99E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ
100Cは右輪回転軸14よりも高速で回転する。つま
り、右輪回転軸14の回転は増速されてギヤ100Cに
出力される。
【0230】また、連結部材101Cが前進状態のとき
には、右輪回転軸14の回転が、ギヤ14B,99B,
ハブ67,連結部材101C,ハブ69を介してカウン
タシャフト99Cに伝達され、さらに、ギヤ99E,1
00Cを介して多板クラッチ機構12に伝達されるよう
になっている。このときには、ギヤ14B,99B,9
9E,100Cの大きさ(歯数)の関係で、ギヤ100
Cは右輪回転軸14よりも低速で回転する。つまり、右
輪回転軸14の回転は減速されてギヤ100Cに出力さ
れる。
【0231】つまり、連結部材101Cが後進状態のと
きに多板クラッチ機構12を係合させると、増速された
ギヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転
軸13の側のクラッチプレートよりも高速回転するの
で、右輪回転軸14側から左輪回転軸13側にトルクが
伝達される。
【0232】また、連結部材101Cが前進状態のとき
に多板クラッチ機構12を係合させると、減速されたギ
ヤ100Cの側のクラッチプレートの方が、左輪回転軸
13の側のクラッチプレートよりも低速回転するので、
左輪回転軸13側から右輪回転軸14側にトルクが伝達
される。
【0233】本発明の第12実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。さら
に、変速機構99及び多板クラッチ機構12はそれぞれ
1つだけ設ければよいので、スペース上やコスト上で有
利になる。
【0234】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。なお、この実施例でも、第1実施例と同様に、伝達
容量可変制御式トルク伝達機構として、油圧式や電磁式
の多板クラッチ機構の他に、油圧式や電磁式の摩擦クラ
ッチやVCUやHCU、さらには、電磁流体式あるいは
電磁粉体式クラッチ等の他のカップリングを用いること
もできる。
【0235】次に、第13実施例について説明すると、
図25に示すように、この車両用左右駆動力調整装置を
そなえた自動車も前輪駆動車であって、本装置は否駆動
輪である後輪15,16の側に設けられ、その駆動力伝
達制御機構90Dは、後輪15,16の回転軸13,1
4の間に設けられており、第8実施例の機構9Hを否駆
動輪に適用したものである。
【0236】つまり、図25,26に示すように、後輪
15,16の回転軸13,14は、互いに独立している
が、これらの左輪回転軸13と右輪回転軸14との間に
は、変速機構62と多板クラッチ機構12とが介装され
ている。この変速機構62は、回転速度を増速して出力
部で出力することと減速して出力することができ、増速
して出力する状態(増速出力状態)と減速して出力する
状態(減速出力状態)とを切り替える切替機構63が付
設されている。このため、変速機構62及び多板クラッ
チ機構12は一方の出力軸側(ここでは、左輪回転軸1
3の側)にそれぞれ1つだけ設けられている。
【0237】上述の変速機構62は、互いに直列に結合
された3組のプラネタリギヤ機構で構成されている。す
なわち、左輪回転軸13の側には、大径のサンギヤ62
Aと小径のサンギヤ62Dとがそなえられ、これらのサ
ンギヤ62A,62Dは、それぞれその外周においてプ
ラネタリギヤ(プラネタリピニオン)62B,62Eに
噛合している。
【0238】これらのプラネタリギヤ62B,62Eは
共通のキャリヤ(固定部)に軸支されたピニオンシャフ
ト62Cに一体回転するように装備されており、サンギ
ヤ62A,62Dの径の関係とは逆に、プラネタリギヤ
62Bは、プラネタリギヤ62Eよりも小径に設定され
ている。
【0239】さらに、このピニオンシャフト62Cに
は、もう1つのプラネタリギヤ62Fが一体回転するよ
うに装備され、このプラネタリギヤ62Fに、中空軸1
1に固着されているもう1つのサンギヤ62Gが噛合し
ている。なお、サンギヤ62Gの径はサンギヤ62Aの
径よりも小さく且つサンギヤ62Dの径よりも大きく設
定され、プラネタリギヤ62Fの径はプラネタリギヤ6
2Bの径よりも大きくプラネタリギヤ62Eの径よりも
小さく設定されている。
【0240】そして、サンギヤ62A,62Dと左輪回
転軸13との間に、切替機構63が設けられている。こ
の切替機構63は、電磁式アクチュエータ(ソレノイ
ド)63Aと、このアクチュエータ63Aで駆動される
スライドレバー63Bと、このスライドレバー63Bで
駆動される連結部材63Cと、左輪回転軸13に設けら
れたハブ64と、サンギヤ62Aの内周に設けられたハ
ブ65と、サンギヤ62Dの内周に設けられたハブ66
とから構成される。なお、電磁式アクチュエータ63A
は、コントロールユニット18によって作動を制御され
るようになっている。
【0241】連結部材63Cは、その内周でハブ64と
セレーション結合してこのハブ64と常時一体に回転す
るようになっており、連結部材63Cの軸方向位置に対
応して、その内周でハブ65又はハブ66とセレーショ
ン結合して一体に回転しうるようになっている。
【0242】つまり、連結部材63Cが、スライドレバ
ー63Bで後進状態(図17中、左方に移動した状態)
に駆動されると、その外周がハブ65とセレーション結
合してこのハブ65と一体に回転し、スライドレバー6
3Bで前進状態(図17中、右方に移動した状態)に駆
動されると、その外周がハブ66とセレーション結合し
てこのハブ66と一体に回転するようになっている。
【0243】したがって、連結部材63Cが後進状態の
ときには、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63
C,ハブ65を介してサンギヤ62Aと連結して、左輪
回転軸13の回転は、サンギヤ62A,プラネタリギヤ
62B,ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ6
2F,サンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力され
る。そして、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Aの径
よりも小さく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタ
リギヤ62Bの径よりも大きいので、サンギヤ62Gは
サンギヤ62Aよりも高速で回転する。即ち、中空軸1
1は左輪回転軸13よりも高速で回転することになり、
変速機構62は増速機構として機能するようになってい
る。
【0244】また、連結部材63Cが前進状態のときに
は、左輪回転軸13がハブ64,連結部材63C,ハブ
66を介してサンギヤ62Dと連結して、左輪回転軸1
3の回転は、サンギヤ62D,プラネタリギヤ62E,
ピニオンシャフト62Cからプラネタリギヤ62F,サ
ンギヤ62Gを通じて中空軸11に出力される。そし
て、サンギヤ62Gの径がサンギヤ62Dの径よりも大
きく且つプラネタリギヤ62Fの径がプラネタリギヤ6
2Eの径よりも小さいので、サンギヤ62Gはサンギヤ
62Dよりも低速で回転する。即ち、中空軸11は左輪
回転軸13よりも低速で回転することになり、変速機構
62は減速機構として機能するようになっている。
【0245】そして、多板クラッチ機構12は、この中
空軸11と入力軸6A側のデフケース8Aとの間に介装
されており、この多板クラッチ機構12を係合させるこ
とで、デフケース8Aと中空軸11との間で駆動力の授
受が行なわれるようになっている。
【0246】したがって、例えば、連結部材63Cを後
進状態とすると、変速機構62の出力部としての中空軸
11は左輪回転軸13よりも高速で回転して、比較的高
速の中空軸11側からデフケース8A側へと駆動力が返
送され、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆
動力が減少して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される
駆動力は、この分だけ増加する。
【0247】また、例えば、連結部材63Cを前進状態
とすると、変速機構62の出力部としての中空軸11は
左輪回転軸13よりも低速で回転して、比較的高速のデ
フケース8A側から中空軸11側へと駆動力が返送さ
れ、この分だけ、左輪回転軸13側へ配分される駆動力
が増加して、逆に、右輪回転軸14側へ配分される駆動
力は、この分だけ減少する。
【0248】本発明の第13実施例としての車両用左右
駆動力調整装置は、上述のように構成されているので、
エンジンからの駆動力を受けない否駆動輪でありなが
ら、左右駆動力配分を調整できるようになり、かかる調
整を利用して、例えば、車両の旋回性能を向上させた
り、走行安定性を向上させたりできるようになる。さら
に、変速機構62及び多板クラッチ機構12はそれぞれ
1つだけ設ければよいので、スペース上やコスト上で有
利になる。
【0249】また、この場合も、ブレーキ等のエネルギ
ーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方の
トルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分
が調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを
招来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0250】なお、この実施例でも、第1実施例と同様
に、伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、多板ク
ラッチ機構の他に、摩擦クラッチやVCUやHCU等の
他のカップリングを用いることもでき、これらの駆動系
も、油圧駆動の他に、電磁力駆動等を用いることも考え
られる。
【0251】ここで、この車両用左右駆動力調整装置の
案出過程で提案された他の車両用左右駆動力調整装置を
参照のために説明する。
【0252】図27は、ブレーキ式の車両用左右駆動力
調整装置40であり、回転軸14に一体回転するように
設置されたディスク44と、固定側に設けられて、この
ディスク44を把持することでディスク44とともに回
転軸14を制動するブレーキシュー43とをそなえ、ブ
レーキシュー43による把持力を制御できるようになっ
ている。
【0253】かかる装置40は他方の回転軸13にも設
けられ、ブレーキを作動させた側の回転軸13又は14
への駆動トルクがブレーキに応じて減少する一方で、ブ
レーキを作動させない側の回転軸13又は14への駆動
トルクは変わらないので、左右駆動力の配分が調整され
るようになっている。
【0254】ここで、右側の回転軸14にブレーキ式駆
動力調整装置40をそなえた場合ついて、入力トルクを
Ti、左側輪への配分トルクをTl、右側輪への配分ト
ルクをTr、ブレーキ43,44の容量(ブレーキ容
量)をTbとすると、 Ti=Tl+Tr+Tb Tl=Tr+Tb ・・・・(2.39) ∴Tl=(1/2)Ti Tr=(1/2)Ti−Tb ・・・・(2.40) ∴ΔT=Tl−Tr=Tb ・・・・(2.41) よって、ブレーキ容量Tbは、 Tb=ΔT ・・・・(2.42) 単位時間当たりのエネルギロスΔE′(=dΔE/d
t)は、 ΔE′=Tc・Sc・ωDC =(1+S)・ΔT・ωDC ・・・・(2.43)
【0255】以上の結果から、ブレーキ式の車両用左右
駆動力配分装置は、本装置に比べて、トルク配分が減少
側のトルク変化のみのため、エネルギロスΔE′が大き
いことがわかる。
【0256】なお、上述の各実施例では、車両用左右駆
動力調整装置を後輪に装備しているが、かかる左右駆動
力調整装置は勿論前輪にも適用できる。特に、上述の第
1〜9実施例では、車両用左右駆動力調整装置を四輪駆
動車の後輪の駆動系に装備しているが、かかる左右駆動
力調整装置を四輪駆動車の前輪の駆動系や、後輪駆動車
の後輪の駆動系や、前輪駆動車の前輪の駆動系等に適用
できる。また、上述の第10〜13実施例では、車両用
左右駆動力調整装置を前輪駆動車の否駆動輪である後輪
に装備しているが、かかる左右駆動力調整装置を後輪駆
動車の否駆動輪である前輪にも適用できる。
【0257】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1にかかる
本発明の車両用左右駆動力調整装置によれば、車両にお
ける左輪回転軸と右輪回転軸との間に、上記の左右の各
回転軸間で駆動力を授受することで上記の左右輪の駆動
力を調整しうる駆動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動
力伝達制御機構が、上記の左右の各回転軸のうちの一方
の回転軸側に連結されてこの一方の回転軸側の回転速度
一定の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記
の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速機
構の出力部側との間に介装されて係合時に上記の左右の
各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容量可変制
御式トルク伝達機構とから構成されることにより、ブレ
ーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を調整する
のでなく、一方のトルクの所要量を他方に転送すること
によりトルク配分が調整されるため、大きなトルクロス
やエネルギロスを招来することなく、所望のトルク配分
を得ることができる。
【0258】また、請求項2にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸と
右輪回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力
を授受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆
動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連
結されてこの一方の回転軸側の回転速度を一定の変速比
変速して出力しうる第1の変速機構と、上記の左右の
各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記第1の変速機構
の出力部側との間に介装されて係合時に上記の左右の各
回転軸の間で駆動力の伝達を行ないうる第1の伝達容量
可変制御式トルク伝達機構と、上記の左右の各回転軸の
うちの他方の回転軸側に連結されてこの他方の回転軸側
の回転速度を一定の変速比で変速して出力しうる第2の
変速機構と、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転
軸側と上記第2の変速機構の出力部側との間に介装され
て係合時に上記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行
ないうる第2の伝達容量可変制御式トルク伝達機構とか
ら構成されることにより、ブレーキ等のエネルギーロス
を用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のトルク
の所要量を他方に転送することによりトルク配分が調整
されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招来す
ることなく、所望のトルク配分を得ることができ、特
に、左右の何れの方向へもトルク配分を調整でき、ステ
ア特性等の制御にも利用しうる。
【0259】また、請求項3にかかる本発明の車両用左
右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸と
右輪回転軸との間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力
を授受することで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆
動力伝達制御機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連
結されてこの一方の回転軸側の回転速度を加速又は減速
して出力しうる変速機構と、上記変速機構に付設されて
該変速機構を加速側又は減速側に切り替えうる切替機構
と、上記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上
記変速機構の出力部側との間に介装されて係合時に上記
の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる伝達容
量可変制御式トルク伝達機構とから構成されることによ
り、ブレーキ等のエネルギーロスを用いてトルク配分を
調整するのでなく、一方のトルクの所要量を他方に転送
することによりトルク配分が調整されるため、大きなト
ルクロスやエネルギロスを招来することなく、所望のト
ルク配分を得ることができ、特に、簡素な構成で、左右
の何れの方向へもトルク配分を調整でき、ステア特性等
の制御にも利用しうる。
【0260】また、上記の左輪回転軸及び右輪回転軸が
共にエンジン出力を与えられない否駆動輪である場合に
も適用でき、否駆動輪でありながら、左右駆動力配分を
調整できるようになり、かかる調整を利用して、例え
ば、車両の旋回性能を向上させたり、走行安定性を向上
させたりできるようになる。
【0261】さらに、請求項6にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸
と右輪回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力さ
れる入力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつ
つ上記の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各
回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態
を制御して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆
動力伝達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記回転軸側に連結されてこの回転軸側の回転速度
一定の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記
の変速機構の出力部側と上記入力部側との間に介装され
て係合時に上記回転軸側と上記入力部側との間で駆動力
の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構
とから構成されることにより、ブレーキ等のエネルギー
ロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のト
ルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分が
調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招
来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0262】さらに、請求項7にかかる本発明の車両用
左右駆動力調整装置によれば、車両における左輪回転軸
と右輪回転軸との間に、エンジンからの駆動力を入力さ
れる入力部と、上記の左右の回転軸間の差動を許容しつ
つ上記の入力部から入力された駆動力を上記の左右の各
回転軸に伝達する差動機構と、上記の駆動力の伝達状態
を制御して上記の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆
動力伝達制御機構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構
が、上記の入力部側に連結されて該入力部側の回転速度
一定の変速比で変速して出力しうる変速機構と、上記
の変速機構の出力部側と上記回転軸側との間に介装され
て係合時に上記回転軸側と上記入力部側との間で駆動力
の伝達を行ないうる伝達容量可変制御式トルク伝達機構
とから構成されることにより、ブレーキ等のエネルギー
ロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、一方のト
ルクの所要量を他方に転送することによりトルク配分が
調整されるため、大きなトルクロスやエネルギロスを招
来することなく、所望のトルク配分を得ることができ
る。
【0263】さらに、上記の各装置を四輪駆動車に適用
することで、前後輪間のトルク配分調整に加えて、左右
輪間のトルク配分を調整できるようになり、4輪のトル
クをそれぞれ制御できるようになり、車両の種々の性能
向上に寄与しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図2】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図3】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図4】本発明の第1実施例としての車両用左右駆動力
調整装置をそなえた自動車の駆動系を示す模式的な構成
図である。
【図5】本発明の第2実施例としての車両用左右駆動力
調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図6】本発明の第2実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図7】本発明の第2実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図8】本発明の第3実施例としての車両用左右駆動力
調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図9】本発明の第3実施例としての車両用左右駆動力
調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図10】本発明の第3実施例としての車両用左右駆動
力調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図11】本発明の第4実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図12】本発明の第4実施例としての車両用左右駆動
力調整装置のトルク伝達を説明する速度線図である。
【図13】本発明の第4実施例としての車両用左右駆動
力調整装置のトルク伝達の一例を説明する速度線図であ
る。
【図14】本発明の第5実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図15】本発明の第6実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図16】本発明の第7実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図17】本発明の第8実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図18】本発明の第9実施例としての車両用左右駆動
力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図19】本発明の第10実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図20】本発明の第10実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図21】本発明の第11実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図22】本発明の第11実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図23】本発明の第12実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図24】本発明の第12実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図25】本発明の第13実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な全体構成図である。
【図26】本発明の第13実施例としての車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【図27】本発明の案出過程で考えられた車両用左右駆
動力調整装置を示す模式的な要部構成図である。
【符号の説明】 1 エンジン 2 トランスミッション 3 センタデフ 4 フロントデフ 5 センタデフ差動制限機構 6 プロペラシャフト 6A 入力軸 7 ベベルギヤ機構 8 リヤデフ 8A デファレンシャルケース(デフケース) 9,9A〜9I 駆動力伝達制御機構 10 変速機構 10A 第1のサンギヤ 10B 第1のプラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 10D 第2のプラネタリギヤ 10C ピニオンシャフト 10F プラネタリキャリア 10E 第2のサンギヤ 11 駆動力伝達補助部材としての中空軸 12 伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての多板
クラッチ機構 12A,12B クラッチ板 13 左輪回転軸 14 右輪回転軸 14A,14B ギヤ 15 左後輪 16 右後輪 17 クラッチ油圧制御バルブ 18 コントロールユニット 19 車輪速センサ 20 ハンドル角センサ 21 ヨーレイトセンサ 22 加速度センサ(又は加速度演算手段) 23 アキュムレータ 24 電動ポンプ 25 左前輪 26 右前輪 30,31,32 変速機構 30A,31A,32A 第1のサンギヤ 30B,31B,32B 第1のプラネタリギヤ(プラ
ネタリピニオン) 30D,31D,32D 第2のプラネタリギヤ 30C,31C,32C ピニオンシャフト 30F,31F,32F プラネタリキャリア 30E,31E,32E 第2のサンギヤ 41 駆動力伝達補助部材 42 伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての多板
クラッチ機構 42A,42B クラッチ板 51 軸(カウンタシャフト) 52〜56,59 歯車 57,58 伝達容量可変制御式トルク伝達機構として
の多板クラッチ機構 60 変速機構 60A サンギヤ 60B プラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 60C ピニオンシャフト 60D リングギヤ 61 摩擦クラッチ等のカップリング 62 変速機構 62A,62D サンギヤ 62B,62E,62F プラネタリギヤ(プラネタリ
ピニオン) 62C ピニオンシャフト 63 切替機構 63A 電磁式アクチュエータ(ソレノイド) 63B スライドレバー 63C 連結部材 64,65,66,67,68,69 ハブ 90A〜90D 駆動力伝達制御機構 91,92 変速機構 91A,92A ササンギヤ 91B,92B プラネタリギヤ 91C,92C プラネタリシャフト 91D,92D プラネタリギヤ 93,94 伝達容量可変制御式トルク伝達機構として
の多板クラッチ機構 93A,93B,94A,94B クラッチプレート 93C,94C サンギヤ 95 中空軸 96 変速機構 96A,96C,96D,97C,98C ギヤ 96B 軸(カウンタシャフト) 97,98 伝達容量可変制御式トルク伝達機構として
の多板クラッチ機構 97A,97B,98A,98B クラッチプレート 99 変速機構 99C 軸(カウンタシャフト) 99A,99B,99D ギヤ 100C ギヤ 101 切替機構 101A 電磁式アクチュエータ(ソレノイド) 101B スライドレバー 101C 連結部材
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授受するこ
    とで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝達制御
    機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記の左右
    の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されてこの一
    方の回転軸側の回転速度を変速して出力しうる変速機構
    と、上記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上
    記変速機構の出力部側との間に介装されて係合時に上記
    の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる動力伝
    達手段とから構成されていることを特徴とする、車両用
    左右駆動力調整装置。
  2. 【請求項2】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授受するこ
    とで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝達制御
    機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記の左右
    の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されてこの一
    方の回転軸側の回転速度を変速して出力しうる第1の変
    速機構と、上記の左右の各回転軸のうちの他方の回転軸
    側と上記第1の変速機構の出力部側との間に介装されて
    係合時に上記の左右の各回転軸の間で駆動力の伝達を行
    ないうる第1の動力伝達手段と、上記の左右の各回転軸
    のうちの他方の回転軸側に連結されてこの他方の回転軸
    側の回転速度を変速して出力しうる第2の変速機構と、
    上記の左右の各回転軸のうちの一方の回転軸側と上記第
    2の変速機構の出力部側との間に介装されて係合時に上
    記の左右の各回転軸間で駆動力の伝達を行ないうる第2
    の動力伝達手段とから構成されていることを特徴とす
    る、車両用左右駆動力調整装置。
  3. 【請求項3】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、上記の左右の各回転軸間で駆動力を授受するこ
    とで上記の左右輪の駆動力を調整しうる駆動力伝達制御
    機構をそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記の左右
    の各回転軸のうちの一方の回転軸側に連結されてこの一
    方の回転軸側の回転速度を加速又は減速して出力しうる
    変速機構と、上記変速機構に付設されて該変速機構を加
    速側又は減速側に切り替えうる切替機構と、上記の左右
    の各回転軸のうちの他方の回転軸側と上記変速機構の出
    力部側との間に介装されて係合時に上記の左右の各回転
    軸間で駆動力の伝達を行ないうる動力伝達手段とから構
    成されていることを特徴とする、車両用左右駆動力調整
    装置。
  4. 【請求項4】 上記の左輪回転軸及び右輪回転軸が共に
    エンジン出力を与えられて回転する駆動輪であることを
    特徴とする、請求項1,請求項2及び請求項3のいずれ
    かに記載された、車両用左右駆動力調整装置。
  5. 【請求項5】 上記の左輪回転軸及び右輪回転軸が共に
    エンジン出力を与えられない否駆動輪であることを特徴
    とする、請求項1,請求項2及び請求項3のいずれかに
    記載された、車両用左右駆動力調整装置。
  6. 【請求項6】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、エンジンからの駆動力を入力される入力部と、
    上記の左右の回転軸間の差動を許容しつつ上記の入力部
    から入力された駆動力を上記の左右の各回転軸に伝達す
    る差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御して上記
    の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機
    構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記回転軸
    側に連結されてこの回転軸側の回転速度を変速して出力
    しうる変速機構と、上記の変速機構の出力部側と上記入
    力部側との間に介装されて係合時に上記回転軸側と上記
    入力部側との間で駆動力の伝達を行ないうる動力伝達手
    段とから構成されていることを特徴とする、車両用左右
    駆動力調整装置。
  7. 【請求項7】 車両における左輪回転軸と右輪回転軸と
    の間に、エンジンからの駆動力を入力される入力部と、
    上記の左右の回転軸間の差動を許容しつつ上記の入力部
    から入力された駆動力を上記の左右の各回転軸に伝達す
    る差動機構と、上記の駆動力の伝達状態を制御して上記
    の左右輪への駆動力配分を調整しうる駆動力伝達制御機
    構とをそなえ、上記駆動力伝達制御機構が、上記の入力
    部側に連結されて該入力部側の回転速度を変速して出力
    しうる変速機構と、上記の変速機構の出力部側と上記回
    転軸側との間に介装されて係合時に上記回転軸側と上記
    入力部側との間で駆動力の伝達を行ないうる動力伝達手
    段とから構成されていることを特徴とする、車両用左右
    駆動力調整装置。
  8. 【請求項8】 上記車両が四輪駆動車であることを特徴
    とする、請求項1,請求項2,請求項3,請求項6及び
    請求項7のいずれかに記載された、車両用左右駆動力調
    整装置。
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