JPH05142035A - 光応答興奮性人工膜及びその製造方法 - Google Patents
光応答興奮性人工膜及びその製造方法Info
- Publication number
- JPH05142035A JPH05142035A JP3302116A JP30211691A JPH05142035A JP H05142035 A JPH05142035 A JP H05142035A JP 3302116 A JP3302116 A JP 3302116A JP 30211691 A JP30211691 A JP 30211691A JP H05142035 A JPH05142035 A JP H05142035A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lipid
- membrane
- chain
- artificial membrane
- mixture
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- Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 光によって自励発振を制御し得る興奮性人工
膜とその製造方法とを提供することにある。 【構成】 DOPC22とアラメシチン23と長鎖カル
ボキシメチレンアゾベンゼン24とを10:1:1の重
量比でクロロホルムに分散させた後、純水中に展開す
る。クロロホルムが蒸発すると水面上に上述混合物から
なる単分子膜が形成される。ガラス基板に固定したミリ
ポアフィルタ21にこの単分子膜をLB法により5層累
積し、光応答興奮性人工膜とする。
膜とその製造方法とを提供することにある。 【構成】 DOPC22とアラメシチン23と長鎖カル
ボキシメチレンアゾベンゼン24とを10:1:1の重
量比でクロロホルムに分散させた後、純水中に展開す
る。クロロホルムが蒸発すると水面上に上述混合物から
なる単分子膜が形成される。ガラス基板に固定したミリ
ポアフィルタ21にこの単分子膜をLB法により5層累
積し、光応答興奮性人工膜とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、生物の光情報処理機
能を模倣した興奮性人工膜とその製造方法とに関するも
のである。
能を模倣した興奮性人工膜とその製造方法とに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来のコンピュータは、主として、シリ
コン半導体等の無機系材料によって構成されており、フ
ォン・ノイマン(Von Neumann )方式によって直列型
の論理演算を実行するもの(以下、ノイマン型コンピュ
ータと称する。)であった。しかし、この方式は論理演
算を正確に行うことはできたが、多数の情報処理を同時
に行う事が困難でありパターン認識等は不得意であると
いう欠点を有していた。
コン半導体等の無機系材料によって構成されており、フ
ォン・ノイマン(Von Neumann )方式によって直列型
の論理演算を実行するもの(以下、ノイマン型コンピュ
ータと称する。)であった。しかし、この方式は論理演
算を正確に行うことはできたが、多数の情報処理を同時
に行う事が困難でありパターン認識等は不得意であると
いう欠点を有していた。
【0003】これに対し高等生物では、周知の通り、パ
ターン認識を容易に行う。したがって、脳に見られるよ
うなパターン認識や学習・記憶機能がどのような原理に
基づいて実行されているのかについて解明をしこれらを
模倣すれば、ノイマン型コンピュータでは満足し得なか
ったさまざまな機能をもつコンピュータ例えば、バイオ
コンピュータの実現が可能になると期待されている。生
体機能のうちの視覚機能は、以下に述べるように発現す
る。視覚を司る器官である目では、網膜上に色彩を識別
する錐状体と、明暗を識別する桿状体細胞とが配置され
ている。図2は、この桿状体細胞20(以下、桿状体2
0と称する場合もある。)の構造を概略的に示した図で
ある。図2において、11は円盤膜、12は結合繊毛、
13はミトコンドリア、14はゴルジ体、16は核、1
7は外節、18は内節、19はシナプス接合部、20は
桿状体である。網膜に配列された桿状体20に外部(図
面右側)から光が入射すると、円盤膜11に存在する光
応答性タンパク質であるロドプシンに補欠分子族として
共有結合しているシス(cis)−レチナールがトラン
ス(trans)−レチナールに変化することによって
円盤膜11内に包含されているカルシウムイオンが細胞
膜に放出される。
ターン認識を容易に行う。したがって、脳に見られるよ
うなパターン認識や学習・記憶機能がどのような原理に
基づいて実行されているのかについて解明をしこれらを
模倣すれば、ノイマン型コンピュータでは満足し得なか
ったさまざまな機能をもつコンピュータ例えば、バイオ
コンピュータの実現が可能になると期待されている。生
体機能のうちの視覚機能は、以下に述べるように発現す
る。視覚を司る器官である目では、網膜上に色彩を識別
する錐状体と、明暗を識別する桿状体細胞とが配置され
ている。図2は、この桿状体細胞20(以下、桿状体2
0と称する場合もある。)の構造を概略的に示した図で
ある。図2において、11は円盤膜、12は結合繊毛、
13はミトコンドリア、14はゴルジ体、16は核、1
7は外節、18は内節、19はシナプス接合部、20は
桿状体である。網膜に配列された桿状体20に外部(図
面右側)から光が入射すると、円盤膜11に存在する光
応答性タンパク質であるロドプシンに補欠分子族として
共有結合しているシス(cis)−レチナールがトラン
ス(trans)−レチナールに変化することによって
円盤膜11内に包含されているカルシウムイオンが細胞
膜に放出される。
【0004】細胞質で増えたカルシウムイオンは外節1
7の細胞膜のナトリウムチャンネルを閉じ細胞の膜電位
の過分極を引き起こす。これはシナプス接合部19への
信号となり抑制性神経系伝達物質の放出速度が減少しシ
ナプス後ニューロンの興奮が起こる。この信号は次々と
神経細胞間を伝播して脳で情報処理される。
7の細胞膜のナトリウムチャンネルを閉じ細胞の膜電位
の過分極を引き起こす。これはシナプス接合部19への
信号となり抑制性神経系伝達物質の放出速度が減少しシ
ナプス後ニューロンの興奮が起こる。この信号は次々と
神経細胞間を伝播して脳で情報処理される。
【0005】かかる生体の視覚機能を模倣した人工的な
機能素子を実現するために外部刺激により興奮を生じる
人工的な膜、即ち、興奮性人工膜に関する研究が従来か
らなされていた。
機能素子を実現するために外部刺激により興奮を生じる
人工的な膜、即ち、興奮性人工膜に関する研究が従来か
らなされていた。
【0006】その一例としては、例えば文献a(膜(M
EMBRANE)、12(1)(1987)p.12〜
21)に開示されているような、多孔質膜に特殊な脂質
を吸着させて構成された興奮性人工膜があった。そし
て、この興奮性人工膜によれば、神経にみられるような
興奮現象に近い自励発振現象が得られている。以下、こ
の自励発振について簡単に説明する。
EMBRANE)、12(1)(1987)p.12〜
21)に開示されているような、多孔質膜に特殊な脂質
を吸着させて構成された興奮性人工膜があった。そし
て、この興奮性人工膜によれば、神経にみられるような
興奮現象に近い自励発振現象が得られている。以下、こ
の自励発振について簡単に説明する。
【0007】数μm程度の孔径を有する多孔質膜に、合
成脂質(以下、生体類似脂質と称することもある。)で
あるジオレイルホスフェート(DOPH)を吸着させて
興奮性人工膜は作成される。このような興奮性人工膜
は、その一方の面が高濃度の塩溶液に接触し、かつ他方
の面が低濃度の塩溶液に接触する状態とされる。かかる
状態におかれた興奮性人工膜は、数分〜数十分の周期
で、これら塩溶液の間に所定の電位差を生じさせ、電気
的インパルスを発生する。このような周期の自励発振
は、長周期発振と称される。
成脂質(以下、生体類似脂質と称することもある。)で
あるジオレイルホスフェート(DOPH)を吸着させて
興奮性人工膜は作成される。このような興奮性人工膜
は、その一方の面が高濃度の塩溶液に接触し、かつ他方
の面が低濃度の塩溶液に接触する状態とされる。かかる
状態におかれた興奮性人工膜は、数分〜数十分の周期
で、これら塩溶液の間に所定の電位差を生じさせ、電気
的インパルスを発生する。このような周期の自励発振
は、長周期発振と称される。
【0008】また、興奮性人工膜両面間に上述したよう
な塩濃度(イオン濃度勾配)を与えることに加えて、当
該興奮性人工膜に直流電流を印加し、しかも所定の圧力
を加えると、短周期発振と称される数秒周期の自励発振
が生じる。この短周期発振の周期は、上述の直流電流を
変化させることによって制御できる。
な塩濃度(イオン濃度勾配)を与えることに加えて、当
該興奮性人工膜に直流電流を印加し、しかも所定の圧力
を加えると、短周期発振と称される数秒周期の自励発振
が生じる。この短周期発振の周期は、上述の直流電流を
変化させることによって制御できる。
【0009】上述の自励発振のメカニズムは、油滴状態
から多層膜状態への脂質DOPHの集合体構造の変化に
ともなうものと考えられているが、このような構造変化
を起こす脂質はDOPH等、いくつかの脂質に限られて
いる。このメカニズムについてもまた上述の文献に開示
されている。上記のような興奮性人工膜を用いると、例
えば文献b(膜(MEMBRANE)、(4)、pp.
231〜237(1987))に開示されているよう
に、各種味覚物質に応答して発振周波数等が変化するこ
とが知られており、生物の味覚・嗅覚に類似した化学セ
ンサの構築が可能であり、バイオ素子を構成することが
可能になる。
から多層膜状態への脂質DOPHの集合体構造の変化に
ともなうものと考えられているが、このような構造変化
を起こす脂質はDOPH等、いくつかの脂質に限られて
いる。このメカニズムについてもまた上述の文献に開示
されている。上記のような興奮性人工膜を用いると、例
えば文献b(膜(MEMBRANE)、(4)、pp.
231〜237(1987))に開示されているよう
に、各種味覚物質に応答して発振周波数等が変化するこ
とが知られており、生物の味覚・嗅覚に類似した化学セ
ンサの構築が可能であり、バイオ素子を構成することが
可能になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
興奮性人工膜では、自励的な発振の停止、発振の進行、
発振の変調等を光刺激により制御できないため、視細胞
を模倣したバイオ素子等の構築はできなかった。
興奮性人工膜では、自励的な発振の停止、発振の進行、
発振の変調等を光刺激により制御できないため、視細胞
を模倣したバイオ素子等の構築はできなかった。
【0011】更に、従来の興奮性人工膜では、脂質自体
が上述DOPHのように集合体構造の変化を起こす特殊
なものでなければならなかった。この発明は、このよう
な点に鑑みなされたものであり、従って、この発明の目
的は、光によって発振を制御でき得る興奮性人工膜とそ
の製造方法とを提供することにある。
が上述DOPHのように集合体構造の変化を起こす特殊
なものでなければならなかった。この発明は、このよう
な点に鑑みなされたものであり、従って、この発明の目
的は、光によって発振を制御でき得る興奮性人工膜とそ
の製造方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】この目的の達成を図るた
め、この出願の第一発明の光応答興奮性人工膜によれ
ば、微小孔を有する支持体に、脂質及び脂質類似物質の
双方または一方と電位感受性イオンチャンネルと下記一
般式(1)で示される長鎖カルボキシメチレンアゾベン
ゼンとの混合物を吸着させて成ることを特徴とする。た
だし、下記一般式(1)中のm,n,lは正の整数であ
り互いは同じでも異なっても良い。
め、この出願の第一発明の光応答興奮性人工膜によれ
ば、微小孔を有する支持体に、脂質及び脂質類似物質の
双方または一方と電位感受性イオンチャンネルと下記一
般式(1)で示される長鎖カルボキシメチレンアゾベン
ゼンとの混合物を吸着させて成ることを特徴とする。た
だし、下記一般式(1)中のm,n,lは正の整数であ
り互いは同じでも異なっても良い。
【化2】
【0012】
【0013】また、この出願の第二発明によれば、第一
発明の光応答興奮性人工膜を製造するに当たり、微小孔
を有する支持体への前述の混合物の吸着を、ラングミュ
アブロジェット法(LB法)によって行なうことを特徴
とする。
発明の光応答興奮性人工膜を製造するに当たり、微小孔
を有する支持体への前述の混合物の吸着を、ラングミュ
アブロジェット法(LB法)によって行なうことを特徴
とする。
【0014】また、この出願の第三発明によれば、第一
発明の光応答興奮性人工膜を製造するに当たり、微小孔
を有する支持体への前述の混合物の吸着を、前述の支持
体に脂質及び脂質類似物質の双方または一方を吸着さ
せ、該支持体に脂質及び脂質類似物質の双方または一方
と電位感受性イオンチャンネルと長鎖カルボキシメチレ
ンアゾベンゼンとの混合物を含むリポソームを膜融合さ
せることにより行うことを特徴とする。なお、この第三
発明において、支持体に吸着させる脂質と、リポソーム
の構成成分である脂質とは同じでも異なっても良い。
発明の光応答興奮性人工膜を製造するに当たり、微小孔
を有する支持体への前述の混合物の吸着を、前述の支持
体に脂質及び脂質類似物質の双方または一方を吸着さ
せ、該支持体に脂質及び脂質類似物質の双方または一方
と電位感受性イオンチャンネルと長鎖カルボキシメチレ
ンアゾベンゼンとの混合物を含むリポソームを膜融合さ
せることにより行うことを特徴とする。なお、この第三
発明において、支持体に吸着させる脂質と、リポソーム
の構成成分である脂質とは同じでも異なっても良い。
【0015】
【作用】この出願の第一発明によれば、脂質中に長鎖カ
ルボキシメチレンアゾベンゼン及びイオンチャンネルが
埋め込まれた構成の人工膜が得られる。
ルボキシメチレンアゾベンゼン及びイオンチャンネルが
埋め込まれた構成の人工膜が得られる。
【0016】ここで、長鎖カルボキシメチレンアゾベン
ゼンは、可視光、紫外光による光刺激によりcis−t
rans異性化を起こす。従って、この発明の人工膜に
紫外光を照射すると、長鎖カルボキシメチレンアゾベン
ゼンがcis型となり人工膜のイオン透過性が大きくな
るので、この人工膜では膜電位は生じないが、可視光を
照射すると、長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンがt
rans型となり膜の乱れがなくなるので、この人工膜
では正イオンのみを透過するようになり膜電位が生じ
る。
ゼンは、可視光、紫外光による光刺激によりcis−t
rans異性化を起こす。従って、この発明の人工膜に
紫外光を照射すると、長鎖カルボキシメチレンアゾベン
ゼンがcis型となり人工膜のイオン透過性が大きくな
るので、この人工膜では膜電位は生じないが、可視光を
照射すると、長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンがt
rans型となり膜の乱れがなくなるので、この人工膜
では正イオンのみを透過するようになり膜電位が生じ
る。
【0017】そして、イオンチャンネルが埋め込まれた
脂質膜ではこの膜の両側にイオン勾配を導入したり、こ
の膜に電流を印加することによりこの膜の両側に電位勾
配を与えると、イオンチャンネルの開閉が生じ膜電位の
自励発振を生じることが知られている(例えば、文献c
(ネイチャー、vol 217(1968)p713〜
719)ので、この発明の人工膜に可視光を照射した際
に長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンの光異性化反応
に起因して生じる上述の膜電位は、この人工膜のイオン
チャンネルの開閉の引き金となる。すなわち、可視光及
び長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンに起因し上昇し
た膜電位によりこの人工膜ではイオンチャンネルが例え
ば開きこれにより膜両側のイオン勾配が小さくなり膜電
位が再び低くなる。この膜電位の上昇及び減少は可視光
が照射されている間繰り返し起こる。この結果、この光
応答興奮性人工膜においては、紫外光、可視光の光刺激
により自励発振の停止、進行、変調等を制御することが
可能になる。従って、支持体に吸着させる脂質をDOP
Hのような集合体構造変化を起こし得る特殊なものとし
なくても、可視光、紫外光の光刺激により自励発振の停
止、進行、変調を制御することが可能となる。さらに、
この出願の第二及び第三発明の構成によれば、電位感受
性イオンチャンネルの方向性を制御出来るので、第一発
明の光応答興奮性人工膜の製造が容易になる。
脂質膜ではこの膜の両側にイオン勾配を導入したり、こ
の膜に電流を印加することによりこの膜の両側に電位勾
配を与えると、イオンチャンネルの開閉が生じ膜電位の
自励発振を生じることが知られている(例えば、文献c
(ネイチャー、vol 217(1968)p713〜
719)ので、この発明の人工膜に可視光を照射した際
に長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンの光異性化反応
に起因して生じる上述の膜電位は、この人工膜のイオン
チャンネルの開閉の引き金となる。すなわち、可視光及
び長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンに起因し上昇し
た膜電位によりこの人工膜ではイオンチャンネルが例え
ば開きこれにより膜両側のイオン勾配が小さくなり膜電
位が再び低くなる。この膜電位の上昇及び減少は可視光
が照射されている間繰り返し起こる。この結果、この光
応答興奮性人工膜においては、紫外光、可視光の光刺激
により自励発振の停止、進行、変調等を制御することが
可能になる。従って、支持体に吸着させる脂質をDOP
Hのような集合体構造変化を起こし得る特殊なものとし
なくても、可視光、紫外光の光刺激により自励発振の停
止、進行、変調を制御することが可能となる。さらに、
この出願の第二及び第三発明の構成によれば、電位感受
性イオンチャンネルの方向性を制御出来るので、第一発
明の光応答興奮性人工膜の製造が容易になる。
【実施例】以下、図面を参照して、この出願の各発明の
実施例について併せて説明する。
実施例について併せて説明する。
【0018】なお、以下の説明では、この出願の各発明
を理解し得る程度の特定の条件を例示して説明するが、
これらの発明は、これらの条件のみに限定されるもので
はないことを理解されたい。また、以下の実施例で用い
た薬品類の出所を一部省略する場合もあるが、いずれの
薬品も容易に入手できるものでありかつ化学的に十分に
純粋なものを用いた。また、説明に用いる各図は、この
出願の各発明を理解できる程度に各構成成分の寸法、形
状および位置を概略的に示してあるに過ぎないことは理
解されたい。
を理解し得る程度の特定の条件を例示して説明するが、
これらの発明は、これらの条件のみに限定されるもので
はないことを理解されたい。また、以下の実施例で用い
た薬品類の出所を一部省略する場合もあるが、いずれの
薬品も容易に入手できるものでありかつ化学的に十分に
純粋なものを用いた。また、説明に用いる各図は、この
出願の各発明を理解できる程度に各構成成分の寸法、形
状および位置を概略的に示してあるに過ぎないことは理
解されたい。
【0019】<実施例1> 1ー1.光応答興奮性人工膜の作製 先ず、リン脂質ジオレオイルホスファチジルコリン(以
下、DOPCと称することもある。)と、電位感受性イ
オンチャンネルとしてのアラメシチンと、長鎖カルボキ
シメチレンアゾベンゼン(ただし、一般式(1)中のm
=8,n=17,l=3のもの。下記(2)式。)との
混合物(重量比10:1:1)をクロロホルムに分散さ
せた後、この溶液を純水が入った水槽に展開した。クロ
ロホルムが蒸発すると水面上に上記混合物の単分子膜が
形成される。なお、長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼ
ンは同仁化学社製のものを用いた。
下、DOPCと称することもある。)と、電位感受性イ
オンチャンネルとしてのアラメシチンと、長鎖カルボキ
シメチレンアゾベンゼン(ただし、一般式(1)中のm
=8,n=17,l=3のもの。下記(2)式。)との
混合物(重量比10:1:1)をクロロホルムに分散さ
せた後、この溶液を純水が入った水槽に展開した。クロ
ロホルムが蒸発すると水面上に上記混合物の単分子膜が
形成される。なお、長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼ
ンは同仁化学社製のものを用いた。
【化3】
【0020】
【0021】次に、ガラス基板に、孔径0.1μmの孔
を有するミリポアフィルタを固定し、その後、このガラ
ス基板を上述混合物の単分子膜が形成されている水槽中
に、基板面と水面とのなす角度がほぼ垂直になるように
浸漬しその後引き上げた。即ち、LB法の垂直浸漬法を
実施する。この浸漬及び引き上げ操作を繰り返し行っ
て、ミリポアフィルタの、ガラス基板とは反対側の面の
みに上記混合物の単分子膜を5層累積した。このとき単
分子膜を5層累積させたのは、この累積数程度であると
長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンの効果とイオンチ
ャンネル構成物質アラメシチンの効果とが好適に得られ
るからである。なお、単分子膜を累積させる際の当該膜
の表面圧は25dyne/cmとしている。
を有するミリポアフィルタを固定し、その後、このガラ
ス基板を上述混合物の単分子膜が形成されている水槽中
に、基板面と水面とのなす角度がほぼ垂直になるように
浸漬しその後引き上げた。即ち、LB法の垂直浸漬法を
実施する。この浸漬及び引き上げ操作を繰り返し行っ
て、ミリポアフィルタの、ガラス基板とは反対側の面の
みに上記混合物の単分子膜を5層累積した。このとき単
分子膜を5層累積させたのは、この累積数程度であると
長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンの効果とイオンチ
ャンネル構成物質アラメシチンの効果とが好適に得られ
るからである。なお、単分子膜を累積させる際の当該膜
の表面圧は25dyne/cmとしている。
【0022】このようにして形成したLB膜は、ガラス
基板引き上げ時の累積比がほぼ1で、浸漬時の累積比も
ほぼ1のY型であった。累積が終了した人工膜をガラス
基板から外しこの工程は終了する。図1はこのようにし
て作製された人工膜を模式的に示したものである。図1
において、31は実施例の人工膜、21はミリポアフィ
ルタ、21aは微小孔、22はDOPC、23はアラメ
シチン、24は長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンを
それぞれ示す。
基板引き上げ時の累積比がほぼ1で、浸漬時の累積比も
ほぼ1のY型であった。累積が終了した人工膜をガラス
基板から外しこの工程は終了する。図1はこのようにし
て作製された人工膜を模式的に示したものである。図1
において、31は実施例の人工膜、21はミリポアフィ
ルタ、21aは微小孔、22はDOPC、23はアラメ
シチン、24は長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンを
それぞれ示す。
【0023】1ー2 自励発振の確認 次に、上述のように作製した人工膜31での自励発振の
有無を以下に説明するような手順で確認した。図3は、
その際に用いた自励発振用装置を示した図である。
有無を以下に説明するような手順で確認した。図3は、
その際に用いた自励発振用装置を示した図である。
【0024】先ず、100mMKCl水溶液35aを満
たした電解槽33aと、5mMKCl水溶液35bを満
たした電解槽33bとの間に人工膜31を、DOPCと
電位感受性イオンチャンネルと長鎖カルボキシメチレン
アゾベンゼンとから成る単分子膜の累積されている面が
KCl水溶液35bに接するように、挟む。これら電解
槽の周囲には図示しないが恒温水を循環させる設備が設
けてあり、槽内温度を任意の値に制御できる。この実施
例の場合KCl水溶液35a、35bの温度が20゜C
になるようにしてある。また、この自励発振用装置は、
電解槽33a、33bを収納する暗箱47と光透過窓3
7cを通して人工膜31に可視光または紫外光を照射す
るための光源49を設けてある。この実施例の光源49
は、可視光用光源として390nm以下の光を除去する
色ガラスフィルタ及び波長700nm以上の光を除去す
る多層膜フィルタを装備したハロゲンランプと紫外光用
光源としての水銀ランプとを備えている。次に、上述人
工膜に可視光あるいは紫外光を照射した場合の膜電位
(電解槽33a側を基準にした電解槽33b側の電位)
を銀ー塩化銀(Ag−AgCl)電極43a、43bに
よって測定した。図4は、実施例の光応答興奮性人工膜
での、可視光・紫外光照射時における膜電位の自励発振
の様子を示した図である。図4の横軸に沿って交互に示
した,「VIS」及び「UV」の表示のうち「VIS」
とは可視光の照射を開始した時刻を示し、[UV]とは
紫外光の照射を開始した時刻を示す。なお、この測定前
に人工膜31に紫外光を十分に照射した後、この測定を
開始した。この図4から明らかなように、可視光を照射
している間は、本実施例の光応答興奮性人工膜は約60
mVの膜電位が生じ約0.4Hzの周波数で発振する
が、紫外光を照射している間は、膜電位が消失し自励発
振も見られなかった。
たした電解槽33aと、5mMKCl水溶液35bを満
たした電解槽33bとの間に人工膜31を、DOPCと
電位感受性イオンチャンネルと長鎖カルボキシメチレン
アゾベンゼンとから成る単分子膜の累積されている面が
KCl水溶液35bに接するように、挟む。これら電解
槽の周囲には図示しないが恒温水を循環させる設備が設
けてあり、槽内温度を任意の値に制御できる。この実施
例の場合KCl水溶液35a、35bの温度が20゜C
になるようにしてある。また、この自励発振用装置は、
電解槽33a、33bを収納する暗箱47と光透過窓3
7cを通して人工膜31に可視光または紫外光を照射す
るための光源49を設けてある。この実施例の光源49
は、可視光用光源として390nm以下の光を除去する
色ガラスフィルタ及び波長700nm以上の光を除去す
る多層膜フィルタを装備したハロゲンランプと紫外光用
光源としての水銀ランプとを備えている。次に、上述人
工膜に可視光あるいは紫外光を照射した場合の膜電位
(電解槽33a側を基準にした電解槽33b側の電位)
を銀ー塩化銀(Ag−AgCl)電極43a、43bに
よって測定した。図4は、実施例の光応答興奮性人工膜
での、可視光・紫外光照射時における膜電位の自励発振
の様子を示した図である。図4の横軸に沿って交互に示
した,「VIS」及び「UV」の表示のうち「VIS」
とは可視光の照射を開始した時刻を示し、[UV]とは
紫外光の照射を開始した時刻を示す。なお、この測定前
に人工膜31に紫外光を十分に照射した後、この測定を
開始した。この図4から明らかなように、可視光を照射
している間は、本実施例の光応答興奮性人工膜は約60
mVの膜電位が生じ約0.4Hzの周波数で発振する
が、紫外光を照射している間は、膜電位が消失し自励発
振も見られなかった。
【0025】<実施例2>上述においては、DOPC、
アラメシチン及び長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼの
混合物をLB法によりミリポアフィルタに吸着させて人
工膜を得ていた。しかし、リポソームによる膜融合法を
用いて光興奮性人工膜を構成することも出来る。具体的
には、まず、ミリポアフィルタにDOPCのみを上述と
同様なLB法により5層累積する。次に、DOPC累積
済みのこのミリポアフィルタを、DOPC、長鎖カルボ
キシメチレンアゾベンゼン及びアラメシチンの混合物か
ら成るリポソームが分散している液体中に、浸漬する。
そして、この液体中に適当量のCaCl2 (塩化カルシ
ウム)を添加する。この液体中ではDOPCとリポソー
ムとが膜融合するので、上述混合物を吸着させた人工膜
が得られる。このように作成された本発明の実施例2の
人工膜においても、上述した実施例1と同様な効果がみ
られた。
アラメシチン及び長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼの
混合物をLB法によりミリポアフィルタに吸着させて人
工膜を得ていた。しかし、リポソームによる膜融合法を
用いて光興奮性人工膜を構成することも出来る。具体的
には、まず、ミリポアフィルタにDOPCのみを上述と
同様なLB法により5層累積する。次に、DOPC累積
済みのこのミリポアフィルタを、DOPC、長鎖カルボ
キシメチレンアゾベンゼン及びアラメシチンの混合物か
ら成るリポソームが分散している液体中に、浸漬する。
そして、この液体中に適当量のCaCl2 (塩化カルシ
ウム)を添加する。この液体中ではDOPCとリポソー
ムとが膜融合するので、上述混合物を吸着させた人工膜
が得られる。このように作成された本発明の実施例2の
人工膜においても、上述した実施例1と同様な効果がみ
られた。
【0026】上述においてはこの出願の各実施例につい
て説明したが、これら発明は上述の実施例に限定される
ものではなく種々の変更を加えることができる。例え
ば、実施例では微小孔を有する支持体をミリポアフィル
タとしたが、支持体はこれに限られるものではなく、目
的に応じたものに変更できる。例えば支持体は、原理的
には、微小孔を1個有するものでもよい。また、例えば
シリコン基板に微小孔を設けたような無機材料の支持体
でもよい。
て説明したが、これら発明は上述の実施例に限定される
ものではなく種々の変更を加えることができる。例え
ば、実施例では微小孔を有する支持体をミリポアフィル
タとしたが、支持体はこれに限られるものではなく、目
的に応じたものに変更できる。例えば支持体は、原理的
には、微小孔を1個有するものでもよい。また、例えば
シリコン基板に微小孔を設けたような無機材料の支持体
でもよい。
【0027】また、一般式(1)中のm,n,lがm=
8,n=17及びl=5のもの、m=12,n=25及
びl=3の長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼン(何れ
も同仁化学社製)を用いた場合も実施例の場合と同様な
効果が得られた。なお、長鎖カルボキシメチレンアゾベ
ンゼンとして上述の3種類のものを用いたのはこれらが
いずれも入手が容易であったからである。しかし、これ
ら以外の長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンを用いた
場合も実施例と同様な効果が期待できる。
8,n=17及びl=5のもの、m=12,n=25及
びl=3の長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼン(何れ
も同仁化学社製)を用いた場合も実施例の場合と同様な
効果が得られた。なお、長鎖カルボキシメチレンアゾベ
ンゼンとして上述の3種類のものを用いたのはこれらが
いずれも入手が容易であったからである。しかし、これ
ら以外の長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼンを用いた
場合も実施例と同様な効果が期待できる。
【0028】また。実施例では、電位感受性イオンチャ
ンネルをアラメシチンとしたが他のイオンチャンネル構
成物質を用いても同様な効果が得られる。他の電位感受
性イオンチャンネル構成物質としては、例えばEIM、
モナゾマイシン、DJ400B等を挙げることが出来
る。
ンネルをアラメシチンとしたが他のイオンチャンネル構
成物質を用いても同様な効果が得られる。他の電位感受
性イオンチャンネル構成物質としては、例えばEIM、
モナゾマイシン、DJ400B等を挙げることが出来
る。
【0029】
【発明の効果】上述した説明からも明らかなように、こ
の出願の第一発明の光応答興奮性人工膜は、光刺激によ
り自励発振の停止、進行、変調を制御できるので、生物
の視覚情報処理機能を模倣したバイオ素子構築への寄与
が期待できる。
の出願の第一発明の光応答興奮性人工膜は、光刺激によ
り自励発振の停止、進行、変調を制御できるので、生物
の視覚情報処理機能を模倣したバイオ素子構築への寄与
が期待できる。
【0030】また、この出願の第二及び第三の各発明に
よれば、光刺激により自励発振の停止、進行、変調を制
御できる光応答興奮性人工膜を容易に製造できる。
よれば、光刺激により自励発振の停止、進行、変調を制
御できる光応答興奮性人工膜を容易に製造できる。
【図1】実施例の光応答興奮性人工膜の様子を模式的に
示した図である。
示した図である。
【図2】従来技術の説明に供する図であり、桿状体細胞
を概略的に示した図である。
を概略的に示した図である。
【図3】実施例の光応答興奮性人工膜の自励発振を確認
するために用いた自励発振用装置の説明に供する図であ
る。
するために用いた自励発振用装置の説明に供する図であ
る。
【図4】実施例の光応答興奮性人工膜の可視光及び紫外
光に対する応答(膜電位変化)を示した図である。
光に対する応答(膜電位変化)を示した図である。
21:微小孔を有する支持体(ミリポアフィルタ) 21a:微小孔 22:DOPC 23:アラメシチン 24:長鎖カルボキシメチレンアゾベンゼン 31:実施例の人工膜 33a:第一の電解槽 33b:第二の電解槽 35a:100mMのKCl水溶液 35b:5mMKCl水溶液 37c:光透過窓 41:測定器 43a,43b:銀ー塩化銀電極 47:暗箱 49:光源
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // G01N 27/327 27/416 6923−2J G01N 27/46 U (72)発明者 海部 勝晶 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 加藤 雅一 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内
Claims (3)
- 【請求項1】 微小孔を有する支持体に、脂質及び脂質
類似物質の双方または一方と電位感受性イオンチャンネ
ルと下記の一般式(1)で示される長鎖カルボキシメチ
レンアゾベンゼンとの混合物を吸着させて成ることを特
徴とする光応答興奮性人工膜(ただし、下記一般式
(1)中のm,n,lは正の整数である。)。 【化1】 - 【請求項2】 請求項1に記載の光応答興奮性人工膜を
製造するに当たり、支持体への前記混合物の吸着を、ラ
ングミュアーブロジェット法により行うことを特徴とす
る光応答興奮性人工膜の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の光応答興奮性人工膜を
製造するに当たり、 支持体への前記混合物の吸着を、 前記支持体に脂質及び脂質類似物質の双方または一方を
吸着させ、 該支持体に、脂質及び脂質類似物質の双方または一方と
電位感受性イオンチャンネルと長鎖カルボキシメチレン
アゾベンゼンとの混合物を含むリポソームを膜融合させ
ることにより行うことを特徴とする光応答興奮性人工膜
の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3302116A JPH05142035A (ja) | 1991-11-18 | 1991-11-18 | 光応答興奮性人工膜及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3302116A JPH05142035A (ja) | 1991-11-18 | 1991-11-18 | 光応答興奮性人工膜及びその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05142035A true JPH05142035A (ja) | 1993-06-08 |
Family
ID=17905126
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3302116A Withdrawn JPH05142035A (ja) | 1991-11-18 | 1991-11-18 | 光応答興奮性人工膜及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05142035A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR102005667B1 (ko) * | 2018-01-31 | 2019-07-30 | 고려대학교 산학협력단 | 광 활성 이온채널장치 및 이의 제조방법 |
| JP2020147725A (ja) * | 2019-03-15 | 2020-09-17 | コニカミノルタ株式会社 | インクジェット用の紫外線硬化型インクおよび画像形成方法 |
-
1991
- 1991-11-18 JP JP3302116A patent/JPH05142035A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR102005667B1 (ko) * | 2018-01-31 | 2019-07-30 | 고려대학교 산학협력단 | 광 활성 이온채널장치 및 이의 제조방법 |
| JP2020147725A (ja) * | 2019-03-15 | 2020-09-17 | コニカミノルタ株式会社 | インクジェット用の紫外線硬化型インクおよび画像形成方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990204 |