JPH05192155A - 酵母の硫化水素生成を抑制する遺伝子とこの遺伝子を導入した醸造用酵母 - Google Patents
酵母の硫化水素生成を抑制する遺伝子とこの遺伝子を導入した醸造用酵母Info
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- JPH05192155A JPH05192155A JP6371091A JP6371091A JPH05192155A JP H05192155 A JPH05192155 A JP H05192155A JP 6371091 A JP6371091 A JP 6371091A JP 6371091 A JP6371091 A JP 6371091A JP H05192155 A JPH05192155 A JP H05192155A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 酵母の硫化水素生成を抑制し、特定の塩基配
列を有する遺伝子(NHS5)。その遺伝子の特定のア
ミノ酸配列を持つタンパク質。その遺伝子を導入したサ
ッカロマイセス属の醸造用酵母。および、前記タンパク
質を酵母内で発現させる塩基配列をもつDNAを導入
し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマイセス属の
醸造用酵母。 【効果】 酵母の硫化水素生成を抑制し実用的にビール
を製造できる遺伝子が得られるので、この遺伝子を導入
した酵母を使用することによって、酵母の醸造特性を変
えることなく硫化生成能を抑制したビールを短期間に製
造することができる。
列を有する遺伝子(NHS5)。その遺伝子の特定のア
ミノ酸配列を持つタンパク質。その遺伝子を導入したサ
ッカロマイセス属の醸造用酵母。および、前記タンパク
質を酵母内で発現させる塩基配列をもつDNAを導入
し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマイセス属の
醸造用酵母。 【効果】 酵母の硫化水素生成を抑制し実用的にビール
を製造できる遺伝子が得られるので、この遺伝子を導入
した酵母を使用することによって、酵母の醸造特性を変
えることなく硫化生成能を抑制したビールを短期間に製
造することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵母の硫化水素生成を
抑制する遺伝子、この遺伝子の特定の塩基配列を持つタ
ンパク質、および前記遺伝子を導入した醸造用酵母に関
する。
抑制する遺伝子、この遺伝子の特定の塩基配列を持つタ
ンパク質、および前記遺伝子を導入した醸造用酵母に関
する。
【0002】
【従来の技術】我が国で主に市販されているピルスナー
タイプの淡色ビールに硫化水素(H2 S)臭が感じられ
ることは品質上好ましくない。しかし、同種のビール製
造に用いられるビール酵母(下面酵母)は、この硫化水
素を主発酵工程で生成する特性を持つ。そのため、後発
酵以降の工程でビール中の硫化水素量を閾値以下にコン
トロールすることがビール製造において重要な課題の1
つとなっており、その解決策は貯酒期間を延長すること
であった。
タイプの淡色ビールに硫化水素(H2 S)臭が感じられ
ることは品質上好ましくない。しかし、同種のビール製
造に用いられるビール酵母(下面酵母)は、この硫化水
素を主発酵工程で生成する特性を持つ。そのため、後発
酵以降の工程でビール中の硫化水素量を閾値以下にコン
トロールすることがビール製造において重要な課題の1
つとなっており、その解決策は貯酒期間を延長すること
であった。
【0003】そのため従来から硫化水素生成に影響する
因子に関する研究や、硫化水素低生成酵母の突然変異法
や細胞融合法による育種研究が報告されているが、これ
らいずれの方法によっても、単に酵母の硫化水素生成量
を減少させるだけでなく、酵母の他の醸造特性(発酵速
度、ビール香味)にまで影響するため、醸造用酵母とし
て好適な酵母は現在まで得られていない。
因子に関する研究や、硫化水素低生成酵母の突然変異法
や細胞融合法による育種研究が報告されているが、これ
らいずれの方法によっても、単に酵母の硫化水素生成量
を減少させるだけでなく、酵母の他の醸造特性(発酵速
度、ビール香味)にまで影響するため、醸造用酵母とし
て好適な酵母は現在まで得られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、最近になっ
て、近年発達した遺伝子操作技術を利用した新しい試み
が手塚らによって報告された(日本発酵工学会大会 講
演要旨集 第5頁(昭和63年)、醸造におけるバイオテ
クノロジー 産調出版(1990年) 第82頁)。それは通常
硫化水素を菌体外に生成しない酵母(x−2180)の染色
体から、硫化水素抑制作用をもつ3種のDNA断片を単
離し、各DNA断片を下面ビール酵母に導入して硫化水
素低生成酵母を育種しようとする試みである。
て、近年発達した遺伝子操作技術を利用した新しい試み
が手塚らによって報告された(日本発酵工学会大会 講
演要旨集 第5頁(昭和63年)、醸造におけるバイオテ
クノロジー 産調出版(1990年) 第82頁)。それは通常
硫化水素を菌体外に生成しない酵母(x−2180)の染色
体から、硫化水素抑制作用をもつ3種のDNA断片を単
離し、各DNA断片を下面ビール酵母に導入して硫化水
素低生成酵母を育種しようとする試みである。
【0005】この報告は遺伝子操作技術を用いることに
より、硫化水素を生成しない酵母の性質のみを、下面酵
母に移すことを試みたもので、特に、下面酵母の醸造特
性を変えることなく硫化水素生成能だけを低下させ得る
点が、従来の突然変異や細胞融合による育種法に比べ優
れていると考えられる。しかし、この報告では単離され
たDNA断片上のどこに硫化水素抑制遺伝子が存在する
か、その部分にコードされているタンパク質のアミノ酸
配列などが不明であり、また硫化水素量の低下がビール
の香味にどう影響するかも検証されておらず、報告され
ている知見だけでは実用的にビールを製造することはで
きない。
より、硫化水素を生成しない酵母の性質のみを、下面酵
母に移すことを試みたもので、特に、下面酵母の醸造特
性を変えることなく硫化水素生成能だけを低下させ得る
点が、従来の突然変異や細胞融合による育種法に比べ優
れていると考えられる。しかし、この報告では単離され
たDNA断片上のどこに硫化水素抑制遺伝子が存在する
か、その部分にコードされているタンパク質のアミノ酸
配列などが不明であり、また硫化水素量の低下がビール
の香味にどう影響するかも検証されておらず、報告され
ている知見だけでは実用的にビールを製造することはで
きない。
【0006】本発明は、酵母の醸造特性を変えることな
く硫化水素生成のみを抑制し、実用的にビールを製造で
きる遺伝子を見出し、この遺伝子を酵母に導入すること
を目的とする。
く硫化水素生成のみを抑制し、実用的にビールを製造で
きる遺伝子を見出し、この遺伝子を酵母に導入すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、酵母の硫化水
素生成を抑制し、その塩基配列が化5〜8で示される遺
伝子(NHS5)である。また、本発明は下記化5〜8
で示される遺伝子(NHS5)の塩基配列中、AからB
まででコードされるアミノ酸配列を持つタンパク質であ
る。さらに本発明は、前記遺伝子(NHS5)を導入
し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマイセス属の
醸造用酵母である。また本発明は、前記アミノ酸配列を
持つタンパク質を酵母内で発現させる塩基配列をもつD
NAを導入し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマ
イセス属の醸造用酵母である。 (塩基配列)
素生成を抑制し、その塩基配列が化5〜8で示される遺
伝子(NHS5)である。また、本発明は下記化5〜8
で示される遺伝子(NHS5)の塩基配列中、AからB
まででコードされるアミノ酸配列を持つタンパク質であ
る。さらに本発明は、前記遺伝子(NHS5)を導入
し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマイセス属の
醸造用酵母である。また本発明は、前記アミノ酸配列を
持つタンパク質を酵母内で発現させる塩基配列をもつD
NAを導入し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマ
イセス属の醸造用酵母である。 (塩基配列)
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
【化7】
【0011】
【化8】
【0012】具体的には、まず、先に報告されている硫
化水素抑制遺伝子を含むプラスミドをもとに、このプラ
スミド上のどこに硫化水素抑制遺伝子が存在するかをサ
ブクローニング実験によって見出した。すなわちプラス
ミド(以下pHS5と呼称する)上の約12Kbのx−2180
株由来のDNA断片を各種制限酵素で切断し、生じた複
数の断片のどれに硫化水素抑制遺伝子があるか検討し
た。その結果、前記化5〜8に示す位置に硫化水素抑制
遺伝子が存在することを突き止め、この遺伝子をNHS
5と命名した。そこで次にこの部分のDNA塩基配列を
調べることにより更に詳細にNHS5の構造を調べた。
その結果得られた塩基配列とそれから推測されるアミノ
酸配列が化5〜8に示したものである。
化水素抑制遺伝子を含むプラスミドをもとに、このプラ
スミド上のどこに硫化水素抑制遺伝子が存在するかをサ
ブクローニング実験によって見出した。すなわちプラス
ミド(以下pHS5と呼称する)上の約12Kbのx−2180
株由来のDNA断片を各種制限酵素で切断し、生じた複
数の断片のどれに硫化水素抑制遺伝子があるか検討し
た。その結果、前記化5〜8に示す位置に硫化水素抑制
遺伝子が存在することを突き止め、この遺伝子をNHS
5と命名した。そこで次にこの部分のDNA塩基配列を
調べることにより更に詳細にNHS5の構造を調べた。
その結果得られた塩基配列とそれから推測されるアミノ
酸配列が化5〜8に示したものである。
【0013】以上の結果からNHS5の存在場所が分か
ったので、次に実施例でも示すが3種のベクター、すな
わち2μDNA由来の複製起点を持つYEpタイプのベ
クターと、酵母染色体のセントロメアー部分を持つYC
pタイプ、および酵母由来のDNAをNHS5以外持た
ず酵母染色体に組み込むためのYIpタイプにNHS5
を挿入したプラスミドを作製し、これらのプラスミドを
導入した醸造用酵母を用いて発酵試験を行った。
ったので、次に実施例でも示すが3種のベクター、すな
わち2μDNA由来の複製起点を持つYEpタイプのベ
クターと、酵母染色体のセントロメアー部分を持つYC
pタイプ、および酵母由来のDNAをNHS5以外持た
ず酵母染色体に組み込むためのYIpタイプにNHS5
を挿入したプラスミドを作製し、これらのプラスミドを
導入した醸造用酵母を用いて発酵試験を行った。
【0014】発酵試験の結果、これら3種のプラスミド
を持つ株の発酵ガス中の硫化水素量は親株に比べ20〜40
%抑制されており、NHS5はいずれのタイプのベクタ
ーを用いても親株の硫化水素生成を抑制することが判っ
た。また発酵終了時の発酵液(若ビール)の香気につい
て官能検査を行った結果、親株に比べNHS5を導入さ
れた株では硫化水素臭が減少していることが確認され、
また硫化水素以外の異臭は感じられなかった。以上の結
果は、従来熟成期間を延長するだけしか対策のなかった
硫化水素臭のコントロールが本発明技術を用いることで
可能になり、その結果、従来の技術に比べ、より短期間
に未熟臭のないビールを製造し得ることを示している。
を持つ株の発酵ガス中の硫化水素量は親株に比べ20〜40
%抑制されており、NHS5はいずれのタイプのベクタ
ーを用いても親株の硫化水素生成を抑制することが判っ
た。また発酵終了時の発酵液(若ビール)の香気につい
て官能検査を行った結果、親株に比べNHS5を導入さ
れた株では硫化水素臭が減少していることが確認され、
また硫化水素以外の異臭は感じられなかった。以上の結
果は、従来熟成期間を延長するだけしか対策のなかった
硫化水素臭のコントロールが本発明技術を用いることで
可能になり、その結果、従来の技術に比べ、より短期間
に未熟臭のないビールを製造し得ることを示している。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、酵母の硫化水素生成を
抑制し実用的にビールを製造できる遺伝子が得られるの
で、この遺伝子を導入した酵母を使用することによっ
て、酵母の醸造特性を変えることなく硫化生成能を抑制
したビールを短期間に製造することができる。
抑制し実用的にビールを製造できる遺伝子が得られるの
で、この遺伝子を導入した酵母を使用することによっ
て、酵母の醸造特性を変えることなく硫化生成能を抑制
したビールを短期間に製造することができる。
【0016】
【実施例】以下に本発明について、NHS5のDNA塩
基配列およびアミノ酸配列の決定を実施例1で、NHS
5を酵母に導入するために用いたプラスミドの作製法に
ついて実施例2で、作製したプラスミドの酵母への導入
について実施例3で、当該遺伝子によって硫化水素生成
量が減少した酵母による発酵試験について実施例4で、
それぞれさらに詳細に説明する。
基配列およびアミノ酸配列の決定を実施例1で、NHS
5を酵母に導入するために用いたプラスミドの作製法に
ついて実施例2で、作製したプラスミドの酵母への導入
について実施例3で、当該遺伝子によって硫化水素生成
量が減少した酵母による発酵試験について実施例4で、
それぞれさらに詳細に説明する。
【0017】なお、実施例1に示す塩基配列は、前記化
5〜8に示されたアミノ酸配列をコードし、且つそのア
ミノ酸配列を持つタンパク質が酵母内で発現する限りど
のような塩基配列であっても良い。特に遺伝子の転写翻
訳を制御する塩基配列部分は既知のものを適宜組み合わ
せて使っても良い。また前記化5〜8に示されたアミノ
酸配列も酵母内で当該遺伝子が硫化水素抑制作用を示す
限り、アミノ酸のいくつかについて、欠失、置換、付加
等があってもよい。
5〜8に示されたアミノ酸配列をコードし、且つそのア
ミノ酸配列を持つタンパク質が酵母内で発現する限りど
のような塩基配列であっても良い。特に遺伝子の転写翻
訳を制御する塩基配列部分は既知のものを適宜組み合わ
せて使っても良い。また前記化5〜8に示されたアミノ
酸配列も酵母内で当該遺伝子が硫化水素抑制作用を示す
限り、アミノ酸のいくつかについて、欠失、置換、付加
等があってもよい。
【0018】次に、実施例2で当該遺伝子を酵母に導入
するために用いたプラスミドは、例示の3種以外にも当
該遺伝子が酵母に導入され安定に保持される限りどのよ
うなプラスミドであっても良く、また当該遺伝子を酵母
の染色体に組み込む場合にもどのような組み込み方であ
っても良い。例えば当該遺伝子の両端に既知の酵母遺伝
子を付加しても良いし、当該遺伝子そのものだけを組み
込んでも良い。形質転換のための選択マーカーは実施例
2で示したG418 を用い、その薬剤に対する耐性遺伝子
としては、大腸菌由来のG418 耐性遺伝子中の構造遺伝
子部分の前後に酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(AD
H)遺伝子の転写プロモーター、終結シグナルを連結し
た遺伝子を用いることが、形質転換頻度やプラスミドの
安定性の観点から望ましいが、他の選択マーカーとその
耐性遺伝子の組合せで行っても良い。また栄養要求マー
カーを用いても良いことは言うまでもない。
するために用いたプラスミドは、例示の3種以外にも当
該遺伝子が酵母に導入され安定に保持される限りどのよ
うなプラスミドであっても良く、また当該遺伝子を酵母
の染色体に組み込む場合にもどのような組み込み方であ
っても良い。例えば当該遺伝子の両端に既知の酵母遺伝
子を付加しても良いし、当該遺伝子そのものだけを組み
込んでも良い。形質転換のための選択マーカーは実施例
2で示したG418 を用い、その薬剤に対する耐性遺伝子
としては、大腸菌由来のG418 耐性遺伝子中の構造遺伝
子部分の前後に酵母アルコールデヒドロゲナーゼ(AD
H)遺伝子の転写プロモーター、終結シグナルを連結し
た遺伝子を用いることが、形質転換頻度やプラスミドの
安定性の観点から望ましいが、他の選択マーカーとその
耐性遺伝子の組合せで行っても良い。また栄養要求マー
カーを用いても良いことは言うまでもない。
【0019】なお、酵母の硫化水素生成量を硫化水素抑
制遺伝子を用いることにより低下させることは、本発明
者によって初めて確認されたことであるが、使用したプ
ラスミドの作製法、形質転換法、その他の遺伝子操作法
は分子生物学、生物学において用いられる慣用法、例え
ば、モレキュラークローニング(Molecular Cloning,Col
d Spring Harbor Laboratory, 1982)記載の方法を用い
て差し支えない。
制遺伝子を用いることにより低下させることは、本発明
者によって初めて確認されたことであるが、使用したプ
ラスミドの作製法、形質転換法、その他の遺伝子操作法
は分子生物学、生物学において用いられる慣用法、例え
ば、モレキュラークローニング(Molecular Cloning,Col
d Spring Harbor Laboratory, 1982)記載の方法を用い
て差し支えない。
【0020】実施例1 既に報告されている、プラスミドpHSG5(文献名:
日本発酵工学会大会講演要旨集 第5頁(昭和63年)、
醸造におけるバイオテクノロジー 産調出版(1990年)
第82頁)に含まれている酵母由来のDNA断片上のどこ
に硫化水素抑制遺伝子があるかを調べるために、より詳
細な制限酵素地図の作製とサブクローニング実験を行っ
た。図1にその結果を示す。
日本発酵工学会大会講演要旨集 第5頁(昭和63年)、
醸造におけるバイオテクノロジー 産調出版(1990年)
第82頁)に含まれている酵母由来のDNA断片上のどこ
に硫化水素抑制遺伝子があるかを調べるために、より詳
細な制限酵素地図の作製とサブクローニング実験を行っ
た。図1にその結果を示す。
【0021】図1の制限酵素地図に示すようにNHS5
は約1.5Kb のXbaI−HpaI断片上に存在することが判
った。そこでx−2180株由来のDNA断片中のBglII切
断部位周辺の塩基配列をダイデオキシ法(プロシーディ
ングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サ
イエンセス オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ
アメリカ Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74, 5463
(1977)) によって決定したところ、この部分には 1344b
p からなるオープンリーディングフレームが見出され
た。このオープンリーディングフレームによりアミノ酸
448 残基からなる分子量49,588のタンパク質がコードさ
れていることが判った。
は約1.5Kb のXbaI−HpaI断片上に存在することが判
った。そこでx−2180株由来のDNA断片中のBglII切
断部位周辺の塩基配列をダイデオキシ法(プロシーディ
ングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サ
イエンセス オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ
アメリカ Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 74, 5463
(1977)) によって決定したところ、この部分には 1344b
p からなるオープンリーディングフレームが見出され
た。このオープンリーディングフレームによりアミノ酸
448 残基からなる分子量49,588のタンパク質がコードさ
れていることが判った。
【0022】実施例2 NHS5を3種のベクターを用いて酵母に導入して発酵
試験を行い、NHS5の硫化水素抑制作用を確認した。
用いた3種のベクターはそれぞれ公知のプラスミドベク
ターであるYEp24、YCp11、pBR322 をBam HI
とSalIで切断し、ベクター由来の約290bp のBam HI
−SalI断片を除去し、代わりに尾形らによって報告
(日本発酵工学会大会 講演要旨集 109 頁(昭和63
年))されているG418 耐性遺伝子(大腸菌のトランスポ
ゾン由来のG418 耐性遺伝子の前後に酵母アルコールデ
ヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター部分と酵母チトク
ロームC遺伝子のターミネーターを連結した約2.5Kb の
両端にBam HI 、SalI切断部位を持つDNA断片)を
ベクターのBam HI −SalI切断部位に挿入した。
試験を行い、NHS5の硫化水素抑制作用を確認した。
用いた3種のベクターはそれぞれ公知のプラスミドベク
ターであるYEp24、YCp11、pBR322 をBam HI
とSalIで切断し、ベクター由来の約290bp のBam HI
−SalI断片を除去し、代わりに尾形らによって報告
(日本発酵工学会大会 講演要旨集 109 頁(昭和63
年))されているG418 耐性遺伝子(大腸菌のトランスポ
ゾン由来のG418 耐性遺伝子の前後に酵母アルコールデ
ヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター部分と酵母チトク
ロームC遺伝子のターミネーターを連結した約2.5Kb の
両端にBam HI 、SalI切断部位を持つDNA断片)を
ベクターのBam HI −SalI切断部位に挿入した。
【0023】NHS5を含むDNA断片としては、図1
に示したpHS5を制限酵素Bam HI で切断し、続いて
切断末端からエキソヌクレアーゼBal31で約2Kb分解し
て生じた末端にBam HI リンカーを付加し、その後、H
paIで再度切断して得られるNHS5を含む2.5Kb のD
NA断片を、YEp24のBam HI −Eco RV 切断部位
に、pBR322 の場合もBam HI −Eco RV 切断部位に
それぞれ挿入してYEpAG−5SSとpHSI5の2
種のプラスミドを作製した。
に示したpHS5を制限酵素Bam HI で切断し、続いて
切断末端からエキソヌクレアーゼBal31で約2Kb分解し
て生じた末端にBam HI リンカーを付加し、その後、H
paIで再度切断して得られるNHS5を含む2.5Kb のD
NA断片を、YEp24のBam HI −Eco RV 切断部位
に、pBR322 の場合もBam HI −Eco RV 切断部位に
それぞれ挿入してYEpAG−5SSとpHSI5の2
種のプラスミドを作製した。
【0024】またセントロメアを持つYCpタイプの場
合は、その2.5Kb の断片のHpaI切断部位にもBam H
I リンカーを付与して、ベクターのBam HI 切断部位に
挿入し、YCpAG−5SSを作製した。こうして得ら
れた3種のプラスミドを図2と図3に示す。 実施例3 これら3種のプラスミドの酵母への導入は親株を100ml
の坂口フラスコで2〜4×107cells/ml まで培養後、冷
水で洗浄し、0.2ml の1mol ソルビトール溶液に懸濁
し、この懸濁液50μl にプラスミド1μg (5μl)を加え
0.2cm のキュベットに移し、ジーンパルサー(バイオラ
ッド社製)を用いエレクトロポレーション法(ヌクレイ
ック アシッド リサーチ Nucl. Acids. Res., 16, 6
127(1988))で3.5KV/cm、25μF の導入条件で形質転換を
行った。形質転換株の選択にはG418 (50μg/ml) を含
むYPD(イーストエキストラクト1%、ペプトン1
%、グルコース2%)寒天培地を用いた。
合は、その2.5Kb の断片のHpaI切断部位にもBam H
I リンカーを付与して、ベクターのBam HI 切断部位に
挿入し、YCpAG−5SSを作製した。こうして得ら
れた3種のプラスミドを図2と図3に示す。 実施例3 これら3種のプラスミドの酵母への導入は親株を100ml
の坂口フラスコで2〜4×107cells/ml まで培養後、冷
水で洗浄し、0.2ml の1mol ソルビトール溶液に懸濁
し、この懸濁液50μl にプラスミド1μg (5μl)を加え
0.2cm のキュベットに移し、ジーンパルサー(バイオラ
ッド社製)を用いエレクトロポレーション法(ヌクレイ
ック アシッド リサーチ Nucl. Acids. Res., 16, 6
127(1988))で3.5KV/cm、25μF の導入条件で形質転換を
行った。形質転換株の選択にはG418 (50μg/ml) を含
むYPD(イーストエキストラクト1%、ペプトン1
%、グルコース2%)寒天培地を用いた。
【0025】実施例4 得られた3種の形質転換株と親株の計4株を用いて糖度
11の加ホップ麦汁を用いて発酵試験を行った。前培養は
プレートで培養した形質転換株を、まず10mlのスケール
で、25℃で2日間静置培養し、次に15℃で4日間静置培
養した。発酵試験500ml の3角フラスコを用い、15℃で
8日間行った。なお、発酵試験に用いた加ホップ麦汁に
は前培養も含めて選択薬剤であるG418 は添加せずに行
った。硫化水素の定量は発酵ガス中の硫化水素を酢酸亜
鉛溶液で一旦トラップした後、メチレンブルー法により
比色定量した。また発酵経過は、炭酸ガスの生成にとも
なう発酵液の重量減少で追跡した。
11の加ホップ麦汁を用いて発酵試験を行った。前培養は
プレートで培養した形質転換株を、まず10mlのスケール
で、25℃で2日間静置培養し、次に15℃で4日間静置培
養した。発酵試験500ml の3角フラスコを用い、15℃で
8日間行った。なお、発酵試験に用いた加ホップ麦汁に
は前培養も含めて選択薬剤であるG418 は添加せずに行
った。硫化水素の定量は発酵ガス中の硫化水素を酢酸亜
鉛溶液で一旦トラップした後、メチレンブルー法により
比色定量した。また発酵経過は、炭酸ガスの生成にとも
なう発酵液の重量減少で追跡した。
【0026】その結果、図4に示すようにNHS5を導
入した形質転換株の8日間の硫化水素生成量は親株に比
べ20〜40%低下していた。一方、その際の発酵経過は図
5に示すようにほとんど差は認められなかった。最後
に、こうして得られた発酵液(若ビール)の香気を調べ
るために官能検査を行った。官能検査は10人の選抜パネ
ルにより硫化水素臭の強弱と異臭の有無の2項目につい
て5段階評価で行った。その結果、表1に示すようにN
HS5を導入された株は全て親株より官能的にも硫化水
素臭が減少しており、またNHS5の導入による異臭も
認められなかった。 5人のパネリストの得点の平均値で表した。(5強−1
弱) 以上の結果から、本発明は発酵工程で生ずる硫化水素を
減少させ、その結果ビール品質の向上や製造期間の短縮
に有効であることが確認された。
入した形質転換株の8日間の硫化水素生成量は親株に比
べ20〜40%低下していた。一方、その際の発酵経過は図
5に示すようにほとんど差は認められなかった。最後
に、こうして得られた発酵液(若ビール)の香気を調べ
るために官能検査を行った。官能検査は10人の選抜パネ
ルにより硫化水素臭の強弱と異臭の有無の2項目につい
て5段階評価で行った。その結果、表1に示すようにN
HS5を導入された株は全て親株より官能的にも硫化水
素臭が減少しており、またNHS5の導入による異臭も
認められなかった。 5人のパネリストの得点の平均値で表した。(5強−1
弱) 以上の結果から、本発明は発酵工程で生ずる硫化水素を
減少させ、その結果ビール品質の向上や製造期間の短縮
に有効であることが確認された。
【図1】 実施例1で作成した制限酵素地図を示す図、
【図2】 実施例2で作成した3種のプラスミドのう
ち、YEpAG−5SSとpHSI5の制限酵素地図を
示す図、
ち、YEpAG−5SSとpHSI5の制限酵素地図を
示す図、
【図3】 実施例2で作成した3種のプラスミドのう
ち、YCpAG−5SSの制限酵素地図を示す図、
ち、YCpAG−5SSの制限酵素地図を示す図、
【図4】 実施例4において、NHS5を導入した形質
転換株の8日間の硫化水素生成量の変化を示すグラフで
あり、○はコントロール、●はYEpAG−5SS、黒
い△はYCpAG−5SS、黒い□はpHSI5の場合
である。
転換株の8日間の硫化水素生成量の変化を示すグラフで
あり、○はコントロール、●はYEpAG−5SS、黒
い△はYCpAG−5SS、黒い□はpHSI5の場合
である。
【図5】 実施例4において、NHS5を導入した形質
転換株の8日間の発酵経過を24時間毎に追跡したエキ
ス減少を示すグラフであり、○はコントロール、●はY
EpAG−5SS、黒い△はYCpAG−5SS、黒い
□はpHSI5の場合である。
転換株の8日間の発酵経過を24時間毎に追跡したエキ
ス減少を示すグラフであり、○はコントロール、●はY
EpAG−5SS、黒い△はYCpAG−5SS、黒い
□はpHSI5の場合である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/31 C12R 1:645) (C12N 1/19 C12R 1:865) (C12P 21/02 C12R 1:865)
Claims (4)
- 【請求項1】 酵母の硫化水素生成を抑制し、下記塩基
配列で示される遺伝子(NHS5)。 (塩基配列) 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】 - 【請求項2】 請求項1記載の遺伝子(NHS5)の塩
基配列中、AからBまででコードされるアミノ酸配列を
持つタンパク質。 - 【請求項3】 請求項1記載の遺伝子(NHS5)を導
入し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマイセス属
の醸造用酵母。 - 【請求項4】 請求項2記載のアミノ酸配列を持つタン
パク質を酵母内で発現させる塩基配列をもつDNAを導
入し、硫化水素生成量を減少させたサッカロマイセス属
の醸造用酵母。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6371091A JPH05192155A (ja) | 1991-03-06 | 1991-03-06 | 酵母の硫化水素生成を抑制する遺伝子とこの遺伝子を導入した醸造用酵母 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6371091A JPH05192155A (ja) | 1991-03-06 | 1991-03-06 | 酵母の硫化水素生成を抑制する遺伝子とこの遺伝子を導入した醸造用酵母 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05192155A true JPH05192155A (ja) | 1993-08-03 |
Family
ID=13237208
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6371091A Pending JPH05192155A (ja) | 1991-03-06 | 1991-03-06 | 酵母の硫化水素生成を抑制する遺伝子とこの遺伝子を導入した醸造用酵母 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05192155A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007086592A1 (ja) * | 2006-01-24 | 2007-08-02 | Kirin Holdings Kabushiki Kaisha | 亜硫酸高生産酵母の育種方法及び該酵母を用いた酒類の製造方法 |
-
1991
- 1991-03-06 JP JP6371091A patent/JPH05192155A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2007086592A1 (ja) * | 2006-01-24 | 2007-08-02 | Kirin Holdings Kabushiki Kaisha | 亜硫酸高生産酵母の育種方法及び該酵母を用いた酒類の製造方法 |
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