JPH05194263A - 寒冷沈降物を用いて製造した改良組織グルー - Google Patents

寒冷沈降物を用いて製造した改良組織グルー

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JPH05194263A
JPH05194263A JP4281125A JP28112592A JPH05194263A JP H05194263 A JPH05194263 A JP H05194263A JP 4281125 A JP4281125 A JP 4281125A JP 28112592 A JP28112592 A JP 28112592A JP H05194263 A JPH05194263 A JP H05194263A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 重い血液凝固疾患を患っている患者にも好適
な組織グルーを提供する。 【構成】 全血の寒冷沈降物と、3000〜5000K
IU/ml単位のアプロチニンに相当する多量のプロテ
アーゼ阻害因子とからなるA成分、およびA成分中に存
在するフィブリノーゲンを特異的に切断してフィブリン
ポリマーの形成を起こしうるタンパク分解酵素からなる
B成分、から構成される組織グルーについて記載する。
別の態様では、全血の寒冷沈降物からなるA成分、およ
びA成分中に存在するフィブリノーゲンを特異的に切断
してフィブリンポリマーの形成を起こしうる酵素であ
る、ヘビ毒から得られるタンパク分解酵素からなるB成
分、から構成される改良組織グルーについて記載する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二つの成分AおよびB
から構成される組織グルー、組織グルーの製造法、組織
グルーを製造するための多量のアプロチニンの使用およ
びヘビ毒のタンパク分解酵素の使用に関する。
【0002】
【従来の技術】血漿タンパクの適用による外科手術の創
傷部位における局所止血の改良は、よく知られた概念で
ある。よって、大脳手術では止血にヘブリンパッチが使
用されている。血漿およびトロンビンは手術創上にヘブ
リンフィルムを作るために使用されていた。過去20年
間には、殆どの外科手術の訓練のための、『フィブリン
グルー』または『フィブリン接着剤』または『フィブリ
ン密封剤』の適用を論じる刊行物が多数ある。過去10
年間、『グルー』の市販製品はヨーロッパで広く使用さ
れている。『グルー』は二つの成分からなるが、これら
成分の混合物は凝塊を生じる。第一の成分はフィブリノ
ーゲン濃縮物である。この濃縮物もまた、凝塊の安定性
および強度に重要なフィブロネクチンと第XIII因子を含
有する。第二の成分は、通常の凝固システムの最後の成
分、フィブリノーゲンをフィブリン凝塊に変える活性酵
素、トロンビンである。この方法は、通常の凝固工程の
殆どを飛び越してその最終段階に似せるものである。何
人かの製造者は、しばらくして凝塊溶解を誘発する酵素
であるプラスミノゲンを加えるが、他の者は凝塊溶解を
防ぐためにプロテアーゼの阻害因子であるアプロチニン
を加える。
【0003】しかしながら、これらの製品は軽い出血障
害を伴なうものの患者に満足できる結果をもたらすが、
血友病AまたはBのような重い出血疾患を患っている患
者はまだなお、術後の出血の極めて高い危険を有してい
る。時折、手術から平均的な日数の経過後に遅い出血合
併症が生じる。抗凝固因子を処置された患者もまた、先
行技術の組織グルーで処置することができない。市販の
濃縮物の別の重大な欠点は高い製造コストにある。
【0004】WO86/01814は、フィブリングル
ー生成の前駆体として有用なフィブリノーゲンと第VIII
因子を含む、寒冷沈降反応した懸濁液の調製法を開示し
ており、それには(a)血液伝染性疾患のために選別さ
れたヒトまたは他の動物などの単一提供者からの新鮮凍
結血漿を、約−80℃で少なくとも約6時間凍結する;
(b)凍結血漿の温度を例えば約0℃と室温の間にまで
上げて、それにより上澄みおよびフィブリノーゲンと第
VIII因子を含む寒冷沈降懸濁液を形成する;そして
(c)寒冷沈降懸濁液を回収する、ことが含まれる。手
術操作上有益なフィブリングルーを生成する方法も開示
されており、それは(a)上述したように寒冷沈降懸濁
液を調製する;(b)所望の部位に規定量の懸濁液をつ
ける;そして(c)その部位に十分な量のトロンビンを
含む組成物をつけて、懸濁液中のフィブリノーゲンをフ
ィブリングルーに変化させ、次いでフィブリングルーが
凝固する、ことからなる。
【0005】EP−A−0341007には、水性組成
物中で患者の自原性血漿、コラーゲン、トロンビン、お
よび任意の抗フィブリン溶解薬からなる手術接着剤が開
示されている。この接着剤は、フィブリノーゲンの濃縮
または単離のために何ら添加試薬を使用することなく、
患者の血漿から作られる。便宜上、接着剤は二液型組成
物として処方され、そしてそれは使用直前に一緒に混合
される。
【0006】EP−A−0253198には、フィブリ
ノーゲン、第VIII因子、トロンビン阻害因子、プロトロ
ンビン因子、カルシウムイオンおよび任意のプラスミン
阻害因子の水溶液を有する一成分組織グルーが開示され
ている。組織グルーは、水を加えることにより凍結乾燥
した試料から再構成することができる。組織グルーは、
肝炎やHTLVIII転移を避けるために、全ての活性物質
を低温殺菌した形で含有していてもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血友
病AやBのような重い血液凝固疾患を伴なう患者にも好
適な組織グルーを提供することである。本発明の別の目
的は、B成分の活性因子であるウシのトロンビンに対す
る抗体が、既に発生している患者にも使用できる組織グ
ルーを提供することである。本発明の他の目的は、ヘパ
リンのような抗凝固因子を処置された患者のための組織
グルーを提供することである。組織グルーの成分に伴な
う伝染性のウイルス性疾患の危険のために、組織グルー
の分画はウイルス不活性化されていることが保証されな
ければならない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る組織グルー
は、全血の寒冷沈降物と、3000〜5000KIU/
ml単位のアプロチニンに相当する多量のプロテアーゼ
阻害因子、好ましくはアプロチニン、とからなるA成
分、およびA成分中に存在するフィブリノーゲンを特異
的に切断して、フィブリンポリマーの形成を起こしうる
タンパク分解酵素からなるB成分、から構成されるもの
である。
【0009】市販の寒冷沈降物は、本発明の組織グルー
の製造に用いることができる。しかしながら、この寒冷
沈降物は2〜5の間の倍率、好ましくは3の倍率で濃縮
することが有利であるといえる。3000〜5000K
IU/ml単位のアプロチニン量に相当する十分な濃度
のプロテアーゼ阻害因子を寒冷沈降物に加えることは、
本発明の組織グルーを重い出血疾患を患っている患者に
使用するのに好適にする。好ましいプロテアーゼ阻害因
子はアプロチニンであり、トラジロール(TrasylolR) ま
たはアンタゴザン(AntagosanR)の商標で市販されてい
る。
【0010】寒冷沈降物は、手術の前に自原性血液単位
を供与することにより患者自身から得ることができる。
この試みは血液派生物によるウイルス感染の伝染の危険
を防ぐ。しかしながら、適切な市販品を得るためには、
寒冷沈降物はウイルス不活性でなければならない。ウイ
ルス不活性化の手順は、PCT/EP91/00503
に記載されている。基本原理は、寒冷沈降物の特別な洗
浄剤での処理および後ほど寒冷沈降物からの洗浄剤の除
去である。
【0011】本発明の組織グルーの第二成分であるB成
分は、フィブリノーゲンを特異的に切断しうるタンパク
分解酵素の溶液により調製する。通常、ヒトまたはウシ
などのほ乳動物の血漿から単離されたトロンビンを使用
している。このトロンビンは低温殺菌した形で供給する
ことができる。トロンビンの再構成は塩化カルシウムの
40mmol 溶液で生じる。トロンビンの好ましい濃度は
50〜200u/mlである。
【0012】速い組織グルーを製造するためには、塩化
カルシウムのおおよそ100u/mlのトロンビン溶液
を調製する。例えば空隙、すなわち抜歯の充填あるいは
経蝶形骨の下垂体切除の腔の密封により遅いグルーを製
造するためには、トロンビンを適当な塩化カルシウム溶
液で25u/mlの濃度まで更に溶解する。
【0013】本発明の改良された組織グルーの別の態様
は、B成分としてヘビ毒から単離されたタンパク分解酵
素からなる。この態様は、トロンビンに対する抗体が発
生している患者にも処置できるので有利である。さら
に、ヘパリンはヘビ毒酵素の反応に影響を与えないか
ら、ヘパリンで予備処置された患者を本発明に係る組織
グルーで処置することができる。本発明の非常に好まし
い態様では、南アメリカの毒蛇、ボスルポス・モウジェ
ニ(Bothrpos Moujeni)から単離できるヘビ毒酵素バトロ
キソビン(batroxobin)を使用する。好ましくは、B成分
は0.5〜10u/mlのヘビ毒の各タンパク分解酵素
を含有する。
【0014】化学的にはバトロキソビンは、分子量約3
6,000の単鎖グリコペプチドである。デフィブラー
ゼ(DefibraseR)は、フィブリノーゲン中で結合している
α16Arg/17Glyの切断を生じさせて、フィブ
リノペプチドAの遊離および単量体のフィブリンIの形
成を起こさせる。
【0015】アプロチニンを本発明の量で使用するなら
ば、精製したフィブリノーゲン、フィブロネクチンおよ
び第XIII因子からなる組織グルーもA成分として用いる
ことができる。後出血の危険がそれにより著しく減少す
る。ヘビ毒からのタンパク分解プロテアーゼをB成分の
調製に使用するならば、フィブリノーゲン、フィブロネ
クチンおよび第XIII因子を有する『従来の』A成分も用
いることができる。本発明に係る多量のアプロチニンの
使用は好ましいものである。非常に好ましい態様は、多
量のアプロチニンを伴なうまたは伴なわない、寒冷沈降
物から得られる本発明のA成分と、ヘビ毒から単離され
たタンパク分解酵素を有する本発明のB成分との組合せ
である。
【0016】本発明のフィブリングルーの製造法は、寒
冷沈降物から寒冷溶液を調製する工程からなるA成分の
製造、 −ウイルスの不活性化、 −殺ウイルス薬の除去、 −プロテアーゼ阻害因子の添加、および −好適なプロテアーゼ溶液の調製、 の工程から構成される。
【0017】好ましくは、寒冷パスタを4〜10℃で一
晩予備解凍する。その寒冷パスタを塩化ナトリウム、ク
エン酸三ナトリウムおよびグリシンを含みかつpH7.
0〜7.2である緩衝液に溶解した後、30〜35℃に
加熱する。寒冷パスタは手早く溶解すべきである。さも
ないと調製に適さなくなる。解凍後寒冷パスタを小片に
分けることにより溶解を早めることができる。溶液をほ
ぼ室温まで冷却してpHを7.0〜7.2の値に調節し
た後、水酸化アルミニウムを撹拌しながら加える。沈殿
物を遠心分離して捨てる。任意に濾過工程を行なう。次
いで、塩化カルシウムを加えて塩化カルシウムを所望の
最終濃度にする。
【0018】ウイルスの不活性化のためには、溶液を3
0℃まで加熱する。次に、洗浄剤を加える。しばらく撹
拌した後、溶液をウイルスの存在しない容器に移し、若
干高い温度で数時間撹拌しないで放置する。
【0019】ある量のリシン油を加えて数分間緩やかに
撹拌することにより、殺ウイルス薬を取り除く。油/水
相が分離したならば溶液を室温まで冷却する。水層をウ
イルス無害な容器に取り出して油層を捨てる。水層を濾
過により透明にする。pHが7.0〜7.2になるよう
にチェックしなければならない。次に、タンパク溶液を
室温でポンプにより逆相カラムに通す。タンパク含量
(10〜60mg/mlの範囲)を測定した後、溶離液
をダイアフィルトレーションにより60〜100mg/
mlのタンパク含量まで濃縮し、上記緩衝液と同じであ
るが更に相当高濃度の塩化カルシウムを含む緩衝液で透
析する。次いで、プロテアーゼ阻害因子を加える。減菌
濾過を行ない、そして試料を適当な容器に入れて深冷凍
結する。
【0020】B成分は、好ましくは凍結乾燥したプロテ
アーゼである。特に好ましいのは凍結乾燥したトロンビ
ン、または南アメリカの毒蛇、ボスルポス・モウジェニ
の凍結乾燥した分画である。そのタンパク分解酵素はレ
プチラーゼ(Reptilase) の商品名で知られており、酵素
バトロキソビンである。タンパク分解酵素を塩化カルシ
ウム緩衝液に溶解する。
【0021】二つの成分AおよびBの適用は、二重注射
器法を用いて例えばプラスチック連結子を介して行な
う。二つの成分を混ぜ合わせると、凝塊が形成される。
適用はカニューレにより生じることもできるし、あるい
は三管腔カテーテルに噴霧してもよい。二成分の各々を
別個の管腔に注入し、そして混合物を噴霧するために数
気圧の範囲の圧縮空気源を三つ目の管腔に接続する。
【0022】本発明の組織グルーは、重い血液凝固疾患
にかかっている患者に使用することができ、また公知の
組織グルーよりももっと安価であるので、都合がよい。
重い血友病の患者はこれ以後、例えば第VIII因子濃縮物
の予防的輸液なしに80%以上の成功率で抜歯をするこ
とができる。このことは、患者の約五分の一しか抜歯後
の出血のために輸液を必要としないことを意味する。さ
らに、ヘパリンで予備処置されたそのような患者は、本
発明の組織グルーで処置することができる。別の利点
は、組織グルーの第二成分のトロンビンに対する抗体が
生じた人々が本発明に係る組織グルーで処置できること
であり、その際トロンビンの代りにヘビ毒からのプロテ
アーゼ、特に南アメリカの毒蛇、ボスルポス・モウジェ
ニの毒から単離されたセリンプロテアーゼのバトロキソ
ビンであるデフィブラーゼが用いられる。
【0023】本発明をさらに、限定しない以下の実施例
で明らかにする。ヒトフィブリノーゲン(グレードL)
はカビ(Kabi)(ストックホルム)のもので、ウシトロン
ビンはメルツ−ダーデ(Merz-Dade) のものであった。色
素原基質N−a−ベンゾイル−DL−アルギニン−p−
ニトロアニリド(BAPNA)および分析用試薬は、シ
グマ(Sigma) (セントルイス、MO)のものであった。
試薬および塩を0.015Mのトリス、0.15MのN
aClで希釈してpH7.4とした。フィブリノーゲン
をトリス緩衝液で、E1%280=15の変換係数を用い
てAbs280 から決定した濃度で透析した。
【0024】ウシトロンビンは市販筋(メルツ−ダーデ
またはパルケ・デービス(Parke Davis))のもので、製造
者による評価活性度を有していた。FPAのみを遊離す
るヘビ毒であるレプチラーゼ(ReptilaseR)は、ペンタフ
ァーム(Pentapharm)(バーゼル)のものであった。レプ
チラーゼのタンパク分解活性度を、37℃、トリス/サ
リン中、pH8.0で、405nmで15分間モニター
した非特異性色素原基質BAPNA(0.25mM)の
各タンパク分解速度を比較することにより、トロンビン
のそれに規格化した。エステル化分解活性度に基づい
て、レプチラーゼの単位活性度をトロンビンのそれに規
格化した。
【0025】フィブリングルーは基本的に、二重注射器
法により一つの注射器に純粋のまたは寒冷沈降物のフィ
ブリノーゲン基質を、もう一つにレプチラーゼ(20U
/ml)またはトロンビンをCaCl2 (20mM)と
一緒に入れて発生させた。
【0026】凝塊時間(CT)は、リサーチモデル30
0−RACL凝固分析器(IL、ミラノ)を用いて決定
した。粘弾性(TEG)は、37℃で3チャンネルのヘ
イリガー・トロンボエラストグラフで決定した。グルー
(数グラム)の破壊強度(BS)は、二片の荒織の合成
繊維(0.5×1cm)の間でグルー成分を混合して、
この二片の荒いメッシュの間にすっかり織り込まれたゲ
ルを形成させ、そして2時間後24℃でメッシュ−グル
ー−メッシュのアンサンブルを、アキュフォース・カデ
ット張力計(AMATEK、マンスフィールド・アンド
・グリーン、米国)を用いて引き剥すことにより決定し
た。
【0027】無菌寒冷沈降物(cryo)は、ヒトの凍
結血漿(−30℃)から、4℃で溶かして上澄み血漿を
取り除いて調製した。5個のそのような単位体をタンパ
クを決定するために貯留し、フィブリノーゲンの濃度を
ビレット法により2U/mLのトロンビンを用いて、寒
冷沈降物(1:5に希釈)を凝塊させる前後で決定し
た。第XIII因子は、試料を4U/mlのウシトロンビン
で10分間、22℃で活性化した後、ジメチル化カゼイ
ンへの[ 3H]−プトレシンの取り込みを測定すること
により決定した。
【0028】CT−フィブリノーゲン曲線の注目すべき
特徴は、固定レベルのトロンビンまたはレプチラーゼ
(すなわち1U/ml)について、曲線が二段階的であ
り、1〜8mMのフィブリノーゲン範囲で最小に達する
ことである。このことは、20〜40mMのフィブリノ
ーゲン範囲でピークとなる最大混濁度(10分後)と幾
分異なっている。反対実験は、CTがトロンビンレベル
にもレプチラーゼレベルにも依存することを示してい
る。この曲線は、低い酵素レベル(2U/mL未満)で
ゲル化速度のほぼ直線的逆依存性を示し、より高いレベ
ルでは上部でプラトーになる。
【0029】純粋なフィブリンの粘弾性の発達は、その
混濁度より若干遅い。Ca(II)は、第XIIIa因子に誘
発されたタンパク鎖の共有結合による連結によるゲル強
化において主要な補因子である。そのようなゲル架橋
は、ゲルの機械的強度の主原因であり、20分後にプラ
トーになる。第XIIIa因子の活性を誘発するレプチラー
ゼの能力に関する覚え書は、適切であるようにみえる。
【0030】貯留した寒冷沈降物のタンパクレベル:5
個の単位体から調製した貯留寒冷沈降物は、次のような
平均値を示した: タンパク: 75mg/mL フィブリノーゲン: 36mg/mL 第XIIIa因子: 4.10U/mL
【0031】凝固速度:寒冷沈降物の凝塊時間(CT)
は、トロンビンまたはレプチラーゼのレベルに直線的に
依存する。しかしながら、3U/mLより上では酵素レ
ベルの増加はCTに少ししか影響を与えない。固定レベ
ルの酵素では、寒冷沈降物の連続的希釈は、純粋なフィ
ブリン系で注目されるフィブリノーゲン依存性と同等の
二段階的CT曲線を示す。
【0032】寒冷沈降物グルーの粘弾性(TEG)およ
び破壊強度(BS)。 寒冷沈降物グルーの粘弾性の発達は、トロンビンとレプ
チラーゼのどちらでも研究した。このパラメータは発達
するのに混濁度よりずっと長くかかる。しかしながら、
過剰のCaCl2 とトロンビンかレプチラーゼのどちら
かを用いて生成した寒冷沈降物グルーは、おおよそ同時
間枠で同等のTEG値を達成する。ゲル化の初期の始ま
り後、第XIIIa因子に誘発された架橋がゲル繊維構造を
元気づけるために、両方のグルーのTEG値は1時間以
内に収束するようにみえる。過剰のCaCl2 を用いて
形成した両寒冷沈降物グルーの最終BSでも同様であ
る。両寒冷沈降物グルーは50〜60gで壊れる。これ
らの実験は、グルー内のゲル繊維が第XIIIa因子に誘発
された共有結合による架橋により、強化されるようにな
ることを示している。
【0033】寒冷溶液の調製。市販の寒冷パスタを4〜
10℃で一晩予備解凍する。1キロの寒冷沈降物を、2
リットルの緩衝液A(120mM/lのNaCl、10
mM/lのクエン酸三ナトリウム、120mM/lのグ
リシン、そしてpH7.0〜7.2)に溶解し、30〜
35℃に予備加熱する。寒冷パスタは速やかに溶解すべ
きである。さもないと調製に適さなくなる。溶解を早め
るために、解凍後寒冷パスタを小片に切り分ける。次
に、溶液を20℃〜22℃に冷却してpHをチェックす
る。任意に、希水酸化ナトリウムまたは酸を加えてpH
7.0〜7.2に調節しなければならない。100ml
の水酸化アルミニウムを加えてもう30分間撹拌する。
沈殿物を遠心分離して捨てる。上澄みを1μmのフィル
ターを用いて濾過する。0.1M/lのCaCl2 を加
えてCa2+の最終濃度を1mM/lにする。再度pHを
チェックしなければならない。
【0034】ウイルスの不活性化。 この溶液を30℃まで加熱する。1%w/vのTNBP
と1%w/vのトリトンX100を加える。混合物を
0.5時間緩やかに撹拌する。溶液を次いでウイルスの
存在しない容器に移して、30℃で3.5時間撹拌しな
いで放置する。
【0035】殺ウイルス薬の除去。 上記のように調製した混合物に150mlのリシン油を
加えて30分間緩やかに撹拌する。油/水分離を待つ間
(30〜45分)、溶液を20℃に冷却する。水層をウ
イルス無害の容器に取り出し、一方では油層を捨てる。
水層を1μm/0.45μmのフィルターカスケードで
濾過して透明にする。次に、タンパク溶液をポンプによ
り逆相カラム(C−18−カラム)に、3リットル/時
の速度で室温で通す。通過物をUVでモニターして、吸
光度が50%に回復するまで集める。分画はタンパク分
析で測定しておおよそ40mg/ml含有する。
【0036】溶離液を、ダイアフィルトレーションによ
り70〜80mg/mlのタンパク含量まで濃縮し、十
分な量の緩衝液B(緩衝液Aと同じ成分であるが、追加
の1mM/lの塩化カルシウム)で透析する。次に、溶
液リットル当たり4×106KIUのアプロチニンを加
える。その後、0.45μm+0.2μmのカスケード
を用いて減菌濾過を行なう。溶液を次いでプラスチック
の袋に入れて深冷凍結し、任意に凍結乾燥する。
【0037】トロンビン溶液の調製。 凍結乾燥したトロンビンを40mM/lの塩化カルシウ
ム溶液に溶解する。トロンビンの量をグルー中100U
/mlにする。例えば創傷部分へのグルーの噴霧のため
の作用の速いグルーでは、塩化カルシウムの100U/
mlのトロンビン溶液で十分であろう。たとえば抜歯に
よる空隙の充填あるいは経蝶形骨の下垂体切除の腔の密
封のための遅いグルーでは、多量のCaCl2 を加える
ことにより、トロンビンを更に25U/mlの最終濃度
まで溶解することになる。レプチラーゼの調製もトロン
ビンのそれと同様である。ただし、レプチラーゼの量は
おおよそ2U/mlである。
【0038】臨床例の報告 21歳の患者、MY(21歳の男性)は、トロンビンに
対する後天性の阻害因子のために重い出血素質で悩んで
いた。背景となる疾患(すなわち、腫瘍または自己免疫
疾患)は、何もこの問題を説明できなかった。二つの外
部研究所により確認された実験室試験は、MYが高レベ
ルの抗トロンビンIgG抗体を有することを示した。昨
年、彼は左の腎臓骨盤にある大きな結石のために、腎せ
ん痛の繰り返しの発作に苦しんだ。超音波による選択的
砕石術が計画された。IgGがタンパクAのアフィニテ
ィカラムに結合するとの方法に基づいて、患者を体外の
免疫吸着と組み合わせた免疫抑制療法にかけた。8回の
治療後、それにより60Lの患者の血漿がタンパクAカ
ラムを通過して処理されたのであるが、阻害因子価は9
8%に減少した。これは、正常な貯留された血漿のトロ
ンビン時間(TT)を、アフィニティの前後に精製した
MJ血漿とともに測定することにより決定した。それに
もかかわらず、PTやAPTTと同様にTTも延びた。
この時点で、腎結石は尿道に移動して、水腎症によって
なされた腎臓の完全な遮断を引き起こした。患者は、も
う10回の免疫吸着療法(おおよそ80リットルの血
漿)を受けた後、徹底的な血漿しゃ血(おおよそ50リ
ットル)および多量の免疫グロブリン注入(2g/k
g)を受けた。この時点で、トロンビン阻害因子のレベ
ルは0.5%まで減少した。PTTは47”(治療前8
5〜90”に対して)に、TTは35”(治療前90”
および正常な対照27”に対して)に減少した。寒冷沈
降物と高レベル(200U/mL)のトロンビンから作
った生物学的接着剤(寒冷沈降物グルー)を用いて、外
科手術により結石を取り除くことを決断した。この混合
物では、寒冷沈降物は噴霧すると直ちにゲル化した。し
かしながら、この患者ではゲル化は起こらず、局所止血
は縫合により達成された。手術の終わりに、創傷は『乾
燥している』ように見えた。それにもかかわらず、6時
間後、患者は手術のドレーンから出血していた。10リ
ットルの血漿の免疫吸着を行なったが、現に増加してい
る出血には効果がなかった。
【0039】患者に再手術をして出血の原因を見つけ
た。けれども手術的出血は見つからなかった。広汎性の
出血が創傷表面域全体から観察された。この時、寒冷沈
降物とレプチラーゼ(2U/mL;デフィブラーゼ)の
混合物を創傷上に噴霧した。噴霧は直ちに凝塊して、創
傷表面は混濁したようにみえ、そして出血が止まった。
患者はもう5日間、毎日免疫吸着療法を受け続けた。出
血はなかった。このことは、本発明の組織グルーのB成
分としてヘビプロテアーゼを使用することの利点を証明
するものである。
【0040】
【発明の効果】本発明の組織グルーは、重い血液凝固疾
患にかかっている患者に使用することができ、また公知
の組織グルーよりももっと安価であるので、都合がよ
い。重い血友病の患者はこれ以後、たとえば第VIII因子
濃縮物の予防的輸液なしに80%以上の成功率で抜歯を
することができる。このことは、患者の約五分の一しか
抜歯後の出血のために輸液を必要としないことを意味す
る。さらに、ヘパリンで予備処置されたそのような患者
は、本発明の組織グルーで処置することができる。別の
利点は、組織グルーの第二成分のトロンビンに対する抗
体が生じた人々が本発明に係る組織グルーで処置できる
ことであり、その際、トロンビンの代りにヘビ毒からの
プロテアーゼ、特に南アメリカの毒蛇、ボスルポス・モ
ウジェニの毒から単離されたセリンプロテアーゼのバト
ロキソビンであるデフィブラーゼを用いる。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全血の寒冷沈降物と、3000〜500
    0KIU/ml単位のアプロチニンに相当する多量のプ
    ロテアーゼ阻害因子とからなるA成分、及びA成分中に
    存在するフィブリノーゲンを特異的に切断してフィブリ
    ンポリマーの形成を起こしうるタンパク分解酵素からな
    るB成分、 から構成される組織グルー。
  2. 【請求項2】 A成分の寒冷沈降物が濃縮されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の組織グルー。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼ阻害因子が3000〜50
    00KIU/ml単位の量のアプロチニンであることを
    特徴とする請求項1記載の組織グルー。
  4. 【請求項4】 タンパク分解酵素が、ほ乳動物もしくは
    ヒトから得られたトロンビンであることを特徴とする請
    求項1乃至3のいずれかの項記載の組織グルー。
  5. 【請求項5】 全血の寒冷沈降物からなるA成分、およ
    びA成分中に存在するフィブリノーゲンを特異的に切断
    してフィブリンポリマーの形成を起こしうる酵素であ
    る、ヘビ毒から得られるタンパク分解酵素からなるB成
    分、 から構成される組織グルー。
  6. 【請求項6】 ヘビ毒酵素が、南アメリカの毒蛇、ボス
    ルポス・モウジェニの毒から単離されたバトロキソビン
    であることを特徴とする請求項5記載の組織グルー。
  7. 【請求項7】 3000〜5000KIU/ml単位の
    アプロチニンに相当する多量のプロテアーゼ阻害因子、
    好ましくはアプロチニンを有する請求項5もしくは6記
    載の組織グルー。
  8. 【請求項8】 寒冷沈降物がウイルス不活性化されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項記載
    の組織グルー。
  9. 【請求項9】 −寒冷沈降物から寒冷溶液を調製する工
    程からなるA成分の製造、 −ウイルスの不活性化、 −殺ウイルス薬の除去、 −プロテアーゼ阻害因子の添加、およびB成分として適
    当なプロテアーゼの好適な溶液の調製、 の工程を有する請求項1乃至8のいずれかの項に従うフ
    ィブリングルーの製造法。
  10. 【請求項10】 A成分として、フィブリノーゲン、フ
    ィブロネクチンおよび第XIII因子、および3000〜5
    000KIU/mlのアプロチニン量に相当するプロテ
    アーゼ阻害因子から構成される組織グルー。
  11. 【請求項11】 B成分が請求項5および/または6に
    従うタンパク分解酵素もしくはトロンビンであることを
    特徴とする請求項10記載の組織グルー。
  12. 【請求項12】 A成分としてフィブリノーゲン、フィ
    ブロネクチンおよび第XIII因子からなり、かつB成分が
    請求項5および/または6に従うタンパク分解酵素であ
    る組織グルー。
  13. 【請求項13】 組織グルーを製造するための、寒冷沈
    降物との組合せでもしくはフィブリノーゲン、フィブロ
    ネクチンおよび第XIII因子との組合せでの、3000〜
    5000KIU/mlの多量のアプロチニンの使用方
    法。
  14. 【請求項14】 組織グルー製造のためのヘビ毒プロテ
    アーゼの使用方法。
  15. 【請求項15】 組織グルー製造のためのボスルポス・
    モウジェニから単離されたバトロキソビンの使用方法。
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