JPH05195190A - Ti系母材への硬質皮膜形成方法 - Google Patents
Ti系母材への硬質皮膜形成方法Info
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- JPH05195190A JPH05195190A JP4034091A JP3409192A JPH05195190A JP H05195190 A JPH05195190 A JP H05195190A JP 4034091 A JP4034091 A JP 4034091A JP 3409192 A JP3409192 A JP 3409192A JP H05195190 A JPH05195190 A JP H05195190A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】Ni系合金やCo系合金からなり耐磨耗性に優
れた硬質の溶射皮膜を、Ti系母材表面に大気雰囲気下
で形成する場合において、溶射皮膜とTi系母材との密
着性を向上させる。 【構成】Mo,W,Ta及びNbから選ばれる金属を4
0重量%以上含む第一溶射粉末をTi系母材表面に溶射
して下地層を形成し、下地層表面にCo系金属及びNi
系金属より選ばれる金属を含む第二溶射粉末を溶射して
表面層を形成することを特徴とする。Moなどは比熱が
小さいので母材に到達した時の溶着粒子温度が充分高
く、母材を溶融させて拡散層が形成され密着性が向上す
る。
れた硬質の溶射皮膜を、Ti系母材表面に大気雰囲気下
で形成する場合において、溶射皮膜とTi系母材との密
着性を向上させる。 【構成】Mo,W,Ta及びNbから選ばれる金属を4
0重量%以上含む第一溶射粉末をTi系母材表面に溶射
して下地層を形成し、下地層表面にCo系金属及びNi
系金属より選ばれる金属を含む第二溶射粉末を溶射して
表面層を形成することを特徴とする。Moなどは比熱が
小さいので母材に到達した時の溶着粒子温度が充分高
く、母材を溶融させて拡散層が形成され密着性が向上す
る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ti(チタン)系合金
またはTi系金属間化合物からなる構造部材の表面に、
溶射法により硬質皮膜を形成する方法に関する。
またはTi系金属間化合物からなる構造部材の表面に、
溶射法により硬質皮膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車においては燃費向上の観点
から部品の軽量化が課題とされ、従来のFe系材料に代
えてTi系材料の使用が検討されている。このTi系材
料としては、Ti−6Al−4VなどのTi系合金や、
TiAlなどのTi系金属間化合物などが知られ、二輪
車用エンジンコネクティングロッドなどへの利用が始ま
っている。
から部品の軽量化が課題とされ、従来のFe系材料に代
えてTi系材料の使用が検討されている。このTi系材
料としては、Ti−6Al−4VなどのTi系合金や、
TiAlなどのTi系金属間化合物などが知られ、二輪
車用エンジンコネクティングロッドなどへの利用が始ま
っている。
【0003】ところがTi系材料は表面の耐磨耗性に劣
るという欠点を有しているため、そのまま摺動部材に使
用することは困難であり、何らかの方法で表面を改質す
る必要がある。表面処理技術においては、厚膜被覆が可
能なこと、被覆プロセスが単純で制御し易いこと、密着
強度が確保できること、などの理由から、表面改質の代
表的な手段として溶射法が広く用いられている。したが
ってTi系材料の表面改質にも溶射法を利用することが
考えられ、例えば「HONDA R&D Tecnical Review,Vol 2,
1990」には二輪車用軽量チタンコンロッド表面にMoを
溶射する技術が開示されている。
るという欠点を有しているため、そのまま摺動部材に使
用することは困難であり、何らかの方法で表面を改質す
る必要がある。表面処理技術においては、厚膜被覆が可
能なこと、被覆プロセスが単純で制御し易いこと、密着
強度が確保できること、などの理由から、表面改質の代
表的な手段として溶射法が広く用いられている。したが
ってTi系材料の表面改質にも溶射法を利用することが
考えられ、例えば「HONDA R&D Tecnical Review,Vol 2,
1990」には二輪車用軽量チタンコンロッド表面にMoを
溶射する技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】自動車用構造部材のな
かには、例えばエンジンバルブフェース部などのように
特に高い硬度が要求されるものがある。このような部材
をTi系材料から形成した場合には、表面に上記Moな
どより更に硬質で耐磨耗性に優れた皮膜を形成する必要
がある。このような皮膜形成材料としては、Ni系合金
やCo系合金が知られている。
かには、例えばエンジンバルブフェース部などのように
特に高い硬度が要求されるものがある。このような部材
をTi系材料から形成した場合には、表面に上記Moな
どより更に硬質で耐磨耗性に優れた皮膜を形成する必要
がある。このような皮膜形成材料としては、Ni系合金
やCo系合金が知られている。
【0005】ところがNi系合金やCo系合金の粉末を
用いて形成された溶射皮膜は、Ti系母材に対する密着
強度が低いという不具合があった。この原因は、Ti系
母材表面に生じる酸化物に起因するものと考えられてい
る。すなわち溶射前の予熱時の熱や、溶射時の溶着粒子
から供給される熱によってTi系母材表面が酸化され、
その酸化物が溶射皮膜の密着性を阻害しているのであ
る。
用いて形成された溶射皮膜は、Ti系母材に対する密着
強度が低いという不具合があった。この原因は、Ti系
母材表面に生じる酸化物に起因するものと考えられてい
る。すなわち溶射前の予熱時の熱や、溶射時の溶着粒子
から供給される熱によってTi系母材表面が酸化され、
その酸化物が溶射皮膜の密着性を阻害しているのであ
る。
【0006】なお、アルミ系母材や鉄系母材の場合に
は、同じようにNi系合金やCo系合金の粉末を溶射し
てもさほど密着性が低下しない。これは後述するよう
に、Ti系母材は非常に活性な材料であるために、アル
ミ系母材や鉄系母材に比べて形成される酸化物皮膜の厚
さが厚く、かつ緻密であるため密着性が著しく阻害され
るからであると考えられている。
は、同じようにNi系合金やCo系合金の粉末を溶射し
てもさほど密着性が低下しない。これは後述するよう
に、Ti系母材は非常に活性な材料であるために、アル
ミ系母材や鉄系母材に比べて形成される酸化物皮膜の厚
さが厚く、かつ緻密であるため密着性が著しく阻害され
るからであると考えられている。
【0007】酸化物皮膜の生成を防止するには、溶射工
程を減圧下などの非酸化性雰囲気下で行えばよい。しか
しながらそのような条件下では、溶射母材を密閉された
溶射室内に配置して溶射する必要があり、生産効率が低
下してコストの上昇を招くため好ましくない。本発明は
このような事情に鑑みてなされたものであり、Ni系合
金やCo系合金からなり耐磨耗性に優れた硬質の溶射皮
膜をTi系母材表面に大気雰囲気下で形成する場合にお
いても、溶射皮膜とTi系母材との密着性を向上させる
ことを目的とする。
程を減圧下などの非酸化性雰囲気下で行えばよい。しか
しながらそのような条件下では、溶射母材を密閉された
溶射室内に配置して溶射する必要があり、生産効率が低
下してコストの上昇を招くため好ましくない。本発明は
このような事情に鑑みてなされたものであり、Ni系合
金やCo系合金からなり耐磨耗性に優れた硬質の溶射皮
膜をTi系母材表面に大気雰囲気下で形成する場合にお
いても、溶射皮膜とTi系母材との密着性を向上させる
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のTi系母材への硬質皮膜形成方法は、Mo,W,T
a及びNbから選ばれる金属を40重量%以上含む第一
溶射粉末をTi系母材表面に溶射して下地層を形成する
第一溶射工程と、下地層表面にCo系金属及びNi系金
属より選ばれる金属を含む第二溶射粉末を溶射して表面
層を形成する第二溶射工程と、からなることを特徴とす
る。
明のTi系母材への硬質皮膜形成方法は、Mo,W,T
a及びNbから選ばれる金属を40重量%以上含む第一
溶射粉末をTi系母材表面に溶射して下地層を形成する
第一溶射工程と、下地層表面にCo系金属及びNi系金
属より選ばれる金属を含む第二溶射粉末を溶射して表面
層を形成する第二溶射工程と、からなることを特徴とす
る。
【0009】Ti系母材には、Ti系合金及びTi系金
属間化合物のどちらも利用できる。また第一溶射粉末
は、Mo,W,Ta及びNbから選ばれる金属を単独で
あるいは複数種類混合して用いることができる。また他
の粉末と混合して用いることもできるが、上記元素から
選ばれた金属の粉末が40重量%以上含有されている必
要がある。上記金属の含有量が40重量%に満たない
と、溶射層と母材との密着強度が低下するようになる。
なお第一溶射粉末中には、第二溶射粉末と同種のNiま
たはCo系金属粉末を混合して用いることが望ましい。
これにより溶射皮膜と母材との密着性を一層向上させる
ことができる。
属間化合物のどちらも利用できる。また第一溶射粉末
は、Mo,W,Ta及びNbから選ばれる金属を単独で
あるいは複数種類混合して用いることができる。また他
の粉末と混合して用いることもできるが、上記元素から
選ばれた金属の粉末が40重量%以上含有されている必
要がある。上記金属の含有量が40重量%に満たない
と、溶射層と母材との密着強度が低下するようになる。
なお第一溶射粉末中には、第二溶射粉末と同種のNiま
たはCo系金属粉末を混合して用いることが望ましい。
これにより溶射皮膜と母材との密着性を一層向上させる
ことができる。
【0010】第二溶射粉末としては、Ni系合金やCo
系合金が用いられる。どちらか一方でもよいし、両方を
混合して用いることもできる。
系合金が用いられる。どちらか一方でもよいし、両方を
混合して用いることもできる。
【0011】
【作用】Ti系母材表面に溶射するに先立ち、通常はT
i系母材の予熱が行われる。ところが、Ti系合金及び
Ti系金属間化合物は、非常に活性な材料である。その
ため予熱中にも表面の酸化が生じる。図3に予熱温度と
酸化膜厚さとの関係を示すように、Ti系母材はAl−
Si合金やFe−C合金のような他の合金に比べて活性
が高く、予熱温度が上昇するにつれて急激に酸化膜の膜
厚が厚くなっている。
i系母材の予熱が行われる。ところが、Ti系合金及び
Ti系金属間化合物は、非常に活性な材料である。その
ため予熱中にも表面の酸化が生じる。図3に予熱温度と
酸化膜厚さとの関係を示すように、Ti系母材はAl−
Si合金やFe−C合金のような他の合金に比べて活性
が高く、予熱温度が上昇するにつれて急激に酸化膜の膜
厚が厚くなっている。
【0012】ところで溶射における溶射粒子と母材との
接合機構は、溶着時の母材溶融による拡散接合と考えら
れる。しかしTi系母材の場合には上記したように酸化
膜が厚く、溶射粒子と母材との間に拡散層を形成するた
めには酸化膜をも溶融させる必要がある。Ti系母材の
場合は、その酸化膜の成分はTiO2 ,Al2 O3 など
であり、これらの融点は1840℃、2050℃である。つま
り、溶射粒子の温度がほぼ2000℃を超えないと拡散層の
生成が困難である。ただFe系母材などでは酸化膜が微
小であるために、通常の溶射法であっても母材は溶射粒
子から熱を受けて微量ながらも溶融し、その部分に拡散
層が生じることにより密着性が良い。
接合機構は、溶着時の母材溶融による拡散接合と考えら
れる。しかしTi系母材の場合には上記したように酸化
膜が厚く、溶射粒子と母材との間に拡散層を形成するた
めには酸化膜をも溶融させる必要がある。Ti系母材の
場合は、その酸化膜の成分はTiO2 ,Al2 O3 など
であり、これらの融点は1840℃、2050℃である。つま
り、溶射粒子の温度がほぼ2000℃を超えないと拡散層の
生成が困難である。ただFe系母材などでは酸化膜が微
小であるために、通常の溶射法であっても母材は溶射粒
子から熱を受けて微量ながらも溶融し、その部分に拡散
層が生じることにより密着性が良い。
【0013】そこで本発明のTi系母材への硬質皮膜形
成方法では、先ずMo,W,Ta及びNbから選ばれる
金属粉末を含む第一溶射粉末が溶射される。これらの金
属は比熱が0.1cal/g℃以下と低いために、第一
溶射粉末は溶射炎に噴出された後温度が急激に上昇し、
高温火炎域での滞留時間内に2000℃以上となって母材に
到達する。図4に示すように、W,Moなどの比熱が
0.1cal/g℃以下の金属粉末は、溶射距離100
mmでは母材に到達時の粒子温度が2000℃以上であり、
Fe,Alなどに比べて極めて高いことがわかる。した
がって溶射粒子の熱により母材が溶融し、第一溶射粉末
から形成された下地層とTi系母材との間には拡散層が
形成される。この拡散層により、下地層と母材との密着
性は極めて良好である。
成方法では、先ずMo,W,Ta及びNbから選ばれる
金属粉末を含む第一溶射粉末が溶射される。これらの金
属は比熱が0.1cal/g℃以下と低いために、第一
溶射粉末は溶射炎に噴出された後温度が急激に上昇し、
高温火炎域での滞留時間内に2000℃以上となって母材に
到達する。図4に示すように、W,Moなどの比熱が
0.1cal/g℃以下の金属粉末は、溶射距離100
mmでは母材に到達時の粒子温度が2000℃以上であり、
Fe,Alなどに比べて極めて高いことがわかる。した
がって溶射粒子の熱により母材が溶融し、第一溶射粉末
から形成された下地層とTi系母材との間には拡散層が
形成される。この拡散層により、下地層と母材との密着
性は極めて良好である。
【0014】図5に、各種金属粉末をTi合金母材に溶
射距離100mmで溶射したときの溶着粒子温度と粉末
の比熱との関係を示す。また図6に得られた溶射層の密
着強度と金属粉末の比熱との関係を示す。これらの図よ
り、比熱が0.1cal/g℃を超えると溶着粒子温度
が2000℃以下となり、密着強度もそれに対応して極端に
低下していることがわかる。
射距離100mmで溶射したときの溶着粒子温度と粉末
の比熱との関係を示す。また図6に得られた溶射層の密
着強度と金属粉末の比熱との関係を示す。これらの図よ
り、比熱が0.1cal/g℃を超えると溶着粒子温度
が2000℃以下となり、密着強度もそれに対応して極端に
低下していることがわかる。
【0015】なお、溶射距離を短くすることにより母材
へ到達時の溶射粒子の温度を上昇させることもできる
が、溶射距離が100mmより小さくなると溶射火炎に
よる母材の溶損が生じるようになる。そして次に、下地
層表面に第二溶射粉末が溶射される。下地層表面にはT
iは含まれていないので、形成される酸化膜は微小であ
る。したがって母材は溶射粒子から熱を受けて微量なが
らも溶融し、その部分に拡散層が生じることにより下地
層と表面層との間には拡散層が形成され、良好な密着性
が得られる。
へ到達時の溶射粒子の温度を上昇させることもできる
が、溶射距離が100mmより小さくなると溶射火炎に
よる母材の溶損が生じるようになる。そして次に、下地
層表面に第二溶射粉末が溶射される。下地層表面にはT
iは含まれていないので、形成される酸化膜は微小であ
る。したがって母材は溶射粒子から熱を受けて微量なが
らも溶融し、その部分に拡散層が生じることにより下地
層と表面層との間には拡散層が形成され、良好な密着性
が得られる。
【0016】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 (実施例1)予めショットブラスト処理されたTiAl
金属間化合物製母材を250℃に予熱した。 <第一溶射工程>次に、粒度10〜70μmのMo粉末
75重量%と、粒度10〜70μmのNi−20Cr−
5Al(重量比)合金粉末25重量%とがV型混粉機で
混合された第一溶射粉末を用意し、大気雰囲気下でプラ
ズマ溶射法にて上記母材表面に溶射距離100mmで溶
射して厚さ0.1mmの下地層を形成した。 <第二溶射工程>次に粒度10〜50μmのNi−20
Cr(重量比)合金粉末を用意し、大気雰囲気下にて高
速ガス溶射装置(HVOF溶射)を用いて、上記下地層
表面に溶射距離100mmで溶射し厚さ0.3mmの表
面層を形成した。
金属間化合物製母材を250℃に予熱した。 <第一溶射工程>次に、粒度10〜70μmのMo粉末
75重量%と、粒度10〜70μmのNi−20Cr−
5Al(重量比)合金粉末25重量%とがV型混粉機で
混合された第一溶射粉末を用意し、大気雰囲気下でプラ
ズマ溶射法にて上記母材表面に溶射距離100mmで溶
射して厚さ0.1mmの下地層を形成した。 <第二溶射工程>次に粒度10〜50μmのNi−20
Cr(重量比)合金粉末を用意し、大気雰囲気下にて高
速ガス溶射装置(HVOF溶射)を用いて、上記下地層
表面に溶射距離100mmで溶射し厚さ0.3mmの表
面層を形成した。
【0017】上記により形成された溶射層を切断し、断
面組織を光学顕微鏡で観察した。その模式図を図1に、
その写真図を図2に示す。この溶射層は、母材1表面に
形成された下地層2と、下地層2表面に形成された表面
層3とからなる二層構造となっている。図2より、下地
層2と母材1との界面には亀裂などの不具合は認められ
ず、良好な密着状態であることがわかる。また下地層2
と表面層3との界面にも亀裂などの不具合は認められな
い。
面組織を光学顕微鏡で観察した。その模式図を図1に、
その写真図を図2に示す。この溶射層は、母材1表面に
形成された下地層2と、下地層2表面に形成された表面
層3とからなる二層構造となっている。図2より、下地
層2と母材1との界面には亀裂などの不具合は認められ
ず、良好な密着状態であることがわかる。また下地層2
と表面層3との界面にも亀裂などの不具合は認められな
い。
【0018】上記溶射層をもつ母材について、溶射層の
密着強度を剪断密着強度測定方法にて測定した。その結
果密着強度は約50MPaであり、自動車用部品として
充分使用に耐え得る値を示した。また上記溶射層の組成
をEPMA分析にて調査した。その結果、下地層2の1
成分であるMo粒子と母材1との間にMo−Ti合金か
らなる拡散層が約10μmの厚さで生成していた。ま
た、下地層2のもう一つの成分であるNi−20Cr−
5Al合金粒子と母材との間にも、NiTiからなる拡
散層が厚さ約10μmで生成していた。本実施例では、
これらの拡散層により密着強度が増強されたものと考え
られる。 (実施例2)予めショットブラスト処理されたTi合金
(Ti−6Al−4V)製エンジンバルブを母材とし、
そのバルブフェース部に実施例1と同様に溶射層を形成
した。それぞれの溶射粉末の種類、溶射条件等は実施例
1と同様である。
密着強度を剪断密着強度測定方法にて測定した。その結
果密着強度は約50MPaであり、自動車用部品として
充分使用に耐え得る値を示した。また上記溶射層の組成
をEPMA分析にて調査した。その結果、下地層2の1
成分であるMo粒子と母材1との間にMo−Ti合金か
らなる拡散層が約10μmの厚さで生成していた。ま
た、下地層2のもう一つの成分であるNi−20Cr−
5Al合金粒子と母材との間にも、NiTiからなる拡
散層が厚さ約10μmで生成していた。本実施例では、
これらの拡散層により密着強度が増強されたものと考え
られる。 (実施例2)予めショットブラスト処理されたTi合金
(Ti−6Al−4V)製エンジンバルブを母材とし、
そのバルブフェース部に実施例1と同様に溶射層を形成
した。それぞれの溶射粉末の種類、溶射条件等は実施例
1と同様である。
【0019】得られたエンジンバルブを3000cc、
8気筒のエンジンに組み込み、〔過吸気圧650mmH
gでの400rpm全負荷運転6分〕→〔アイドリング
1分〕→〔停止6分〕→〔アイドリング1分〕を1サイ
クルとし、このサイクルを繰り返す耐久試験を行い、時
間を追って溶射層の状態を観察した。結果を表1に示
す。 (比較例1)実施例2と同一の母材を用い、第一溶射粉
末として粒径10〜70μmのNi−20Cr−5Al
合金粉末のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして
溶射層を形成した。得られたエンジンバルブについて実
施例2と同様にして耐久試験を行い、結果を表1に示
す。
8気筒のエンジンに組み込み、〔過吸気圧650mmH
gでの400rpm全負荷運転6分〕→〔アイドリング
1分〕→〔停止6分〕→〔アイドリング1分〕を1サイ
クルとし、このサイクルを繰り返す耐久試験を行い、時
間を追って溶射層の状態を観察した。結果を表1に示
す。 (比較例1)実施例2と同一の母材を用い、第一溶射粉
末として粒径10〜70μmのNi−20Cr−5Al
合金粉末のみを用いたこと以外は実施例1と同様にして
溶射層を形成した。得られたエンジンバルブについて実
施例2と同様にして耐久試験を行い、結果を表1に示
す。
【0020】
【表1】 表1より、比較例1で形成された溶射層は50時間の耐
久試験で溶射層に亀裂や剥離が生じたのに対し、実施例
2で形成された溶射層は500時間経過後にも異常がみ
られない。この違いは第一溶射粉末の種類の差に基づく
ものであり、実施例2では比熱の小さいMo粉末を用い
ることにより密着性が向上していることが明らかであ
る。
久試験で溶射層に亀裂や剥離が生じたのに対し、実施例
2で形成された溶射層は500時間経過後にも異常がみ
られない。この違いは第一溶射粉末の種類の差に基づく
ものであり、実施例2では比熱の小さいMo粉末を用い
ることにより密着性が向上していることが明らかであ
る。
【0021】次に第一溶射粉末中のMo含有率を変化さ
せ、実施例2と同様に溶射層を形成し、Mo含有率と密
着強度との関係を調査した。結果を図7に示す。図7よ
りMo含有率が大きくなるほど密着強度が上昇し、40
重量%以上で特に効果が著しいことがわかる。なお、M
oが約80重量%以上になると密着強度が若干低下して
いるが、これはMo自体の皮膜強度が小さいことによる
ものである。 (実施例3)予めショットブラスト処理されたTi系合
金(Ti−6Al−4V)製テストピースに対し、粒度
10〜70μmのMo粉末が75重量%と粒度10〜7
0μmのNi−20Cr合金粉末25重量%とからなる
第一溶射粉末を用いたこと、及び第二溶射粉末として粒
度10〜70μmのNi系合金(Ni−20Cr−0.
3Al−0.5Ti)粉末を用いたこと以外は実施例1
と同様にして溶射層を形成した。下地層及び表面層の厚
さは、それぞれ0.3mmである。
せ、実施例2と同様に溶射層を形成し、Mo含有率と密
着強度との関係を調査した。結果を図7に示す。図7よ
りMo含有率が大きくなるほど密着強度が上昇し、40
重量%以上で特に効果が著しいことがわかる。なお、M
oが約80重量%以上になると密着強度が若干低下して
いるが、これはMo自体の皮膜強度が小さいことによる
ものである。 (実施例3)予めショットブラスト処理されたTi系合
金(Ti−6Al−4V)製テストピースに対し、粒度
10〜70μmのMo粉末が75重量%と粒度10〜7
0μmのNi−20Cr合金粉末25重量%とからなる
第一溶射粉末を用いたこと、及び第二溶射粉末として粒
度10〜70μmのNi系合金(Ni−20Cr−0.
3Al−0.5Ti)粉末を用いたこと以外は実施例1
と同様にして溶射層を形成した。下地層及び表面層の厚
さは、それぞれ0.3mmである。
【0022】得られたテストピースについて図8に示す
条件で耐磨耗試験を行い、その磨耗量を測定した。また
実施例1と同様に密着強度を測定した。それぞれの結果
を図9に示す。なお、下地層を設けず上記の第二溶射粉
末から表面層だけを形成したものも作製し、その密着強
度を合わせて図9に示す。 (実施例4)第二溶射粉末として、粒度10〜70μm
のCo系合金(Co−30Cr−5W)粉末を用いたこ
と以外は実施例3と同様である。そして同様に試験を行
い結果を図9に示す。 (比較例2)第二溶射粉末として、粒度10〜70μm
の炭素鋼(Fe−0.8C)粉末を用いたこと以外は実
施例3と同様である。そして同様に試験を行い結果を図
9に示す。 (比較例3)第二溶射粉末として、粒度10〜70μm
のWC−17Co合金粉末を用いたこと以外は実施例3
と同様である。そして同様に試験を行い結果を図9に示
す。 (比較例4)第二溶射工程を行わなかったこと以外は実
施例3と同様である。そして同様に試験を行い結果を図
9に示す。 (評価)図9より、下地層のみの比較例4は、無処理品
(母材のみ)に比べて耐磨耗性は向上しているが、実施
例3,4には及ばない。また比較例2,3では表面層を
形成しているにもかかわらず、比較例4より耐磨耗性が
低下している。一方、実施例3,4は優れた耐磨耗性を
示している。
条件で耐磨耗試験を行い、その磨耗量を測定した。また
実施例1と同様に密着強度を測定した。それぞれの結果
を図9に示す。なお、下地層を設けず上記の第二溶射粉
末から表面層だけを形成したものも作製し、その密着強
度を合わせて図9に示す。 (実施例4)第二溶射粉末として、粒度10〜70μm
のCo系合金(Co−30Cr−5W)粉末を用いたこ
と以外は実施例3と同様である。そして同様に試験を行
い結果を図9に示す。 (比較例2)第二溶射粉末として、粒度10〜70μm
の炭素鋼(Fe−0.8C)粉末を用いたこと以外は実
施例3と同様である。そして同様に試験を行い結果を図
9に示す。 (比較例3)第二溶射粉末として、粒度10〜70μm
のWC−17Co合金粉末を用いたこと以外は実施例3
と同様である。そして同様に試験を行い結果を図9に示
す。 (比較例4)第二溶射工程を行わなかったこと以外は実
施例3と同様である。そして同様に試験を行い結果を図
9に示す。 (評価)図9より、下地層のみの比較例4は、無処理品
(母材のみ)に比べて耐磨耗性は向上しているが、実施
例3,4には及ばない。また比較例2,3では表面層を
形成しているにもかかわらず、比較例4より耐磨耗性が
低下している。一方、実施例3,4は優れた耐磨耗性を
示している。
【0023】また密着強度についてみると、下地層を設
けることにより密着強度が向上していることが明らかで
あり、中でも実施例3,4の下地層と表面層の組合せが
最適であって、50MPa以上の密着強度を示してい
る。
けることにより密着強度が向上していることが明らかで
あり、中でも実施例3,4の下地層と表面層の組合せが
最適であって、50MPa以上の密着強度を示してい
る。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の皮膜形成方
法によれば、大気中で溶射しても溶射層と母材との高い
密着強度が得られる。したがって減圧下など特殊な雰囲
気で溶射する必要がないので、生産性が向上し製造コス
トを低減できる。
法によれば、大気中で溶射しても溶射層と母材との高い
密着強度が得られる。したがって減圧下など特殊な雰囲
気で溶射する必要がないので、生産性が向上し製造コス
トを低減できる。
【図1】本発明の一実施例により得られた溶射層をもつ
母材の模式的断面図である。
母材の模式的断面図である。
【図2】本発明の一実施例により得られた溶射層をもつ
母材の断面の結晶構造を示す顕微鏡写真である。
母材の断面の結晶構造を示す顕微鏡写真である。
【図3】各種金属の予熱温度と酸化膜膜厚との関係を示
すグラフである。
すグラフである。
【図4】各種金属粉末の溶射距離と粒子温度との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図5】各種金属粉末の比熱と溶着粒子温度との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図6】各種金属粉末の比熱と密着強度との関係を示す
グラフである。
グラフである。
【図7】金属粉末中のMo含有率と密着強度との関係を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図8】耐磨耗試験条件の説明図である。
【図9】実施例及び比較例の試験結果を示す棒グラフで
ある。
ある。
1:母材 2:下地層 3:表
面層
面層
Claims (1)
- 【請求項1】 Mo,W,Ta及びNbから選ばれる金
属を40重量%以上含む第一溶射粉末をTi系母材表面
に溶射して下地層を形成する第一溶射工程と、 該下地層表面にCo系金属及びNi系金属より選ばれる
金属を含む第二溶射粉末を溶射して表面層を形成する第
二溶射工程と、からなることを特徴とするTi系母材へ
の硬質皮膜形成方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4034091A JPH05195190A (ja) | 1992-01-23 | 1992-01-23 | Ti系母材への硬質皮膜形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4034091A JPH05195190A (ja) | 1992-01-23 | 1992-01-23 | Ti系母材への硬質皮膜形成方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05195190A true JPH05195190A (ja) | 1993-08-03 |
Family
ID=12404606
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4034091A Pending JPH05195190A (ja) | 1992-01-23 | 1992-01-23 | Ti系母材への硬質皮膜形成方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05195190A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019524997A (ja) * | 2016-07-13 | 2019-09-05 | エリコン メテコ アクチェンゲゼルシャフト、ヴォーレン | 表面を予め活性化しないシリンダボアのコーティング |
-
1992
- 1992-01-23 JP JP4034091A patent/JPH05195190A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2019524997A (ja) * | 2016-07-13 | 2019-09-05 | エリコン メテコ アクチェンゲゼルシャフト、ヴォーレン | 表面を予め活性化しないシリンダボアのコーティング |
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