JPH05203608A - バイオセンサ - Google Patents

バイオセンサ

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JPH05203608A
JPH05203608A JP4011346A JP1134692A JPH05203608A JP H05203608 A JPH05203608 A JP H05203608A JP 4011346 A JP4011346 A JP 4011346A JP 1134692 A JP1134692 A JP 1134692A JP H05203608 A JPH05203608 A JP H05203608A
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Yoshihisa Kishimoto
芳久 岸本
Tetsuo Takano
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 少なくとも測定極と対極からなる電極系を有
し、測定極が有機電荷移動錯体結晶を含有する酵素固定
化電極である、バイオセンサ。さらに補償極を設けるこ
ともできる。 【効果】 酵素反応に伴う電子移動を直接検知すること
により、溶存酸素の多少に影響を受けず、電気化学的妨
害物質に影響されることもない。しかも、応答性および
応答寿命に優れ、かつ微量の試料を希釈、攪拌すること
なく迅速、簡便に定量できる。また、補償極を設けると
より高精度の定量が行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバイオセンサ、特に、血
液、尿等の体液成分中に含まれる微量の生体基質の濃度
を測定する酵素センサ、およびその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酵素の優れた基質特異性を利用した分析
法が、臨床分析化学、食品製造、環境化学等の分野で注
目されている。とりわけ、臨床分析化学の分野では、従
来からグルコース、尿素、尿酸等を選択的に検出しうる
酵素電極が知られている。これら酵素電極は、一般に
は、電極と酵素固定膜とから構成され、酵素反応による
物質変化を電極により電気信号の変化量として読み取る
ことにより、その酵素が特異的に作用する基質の濃度を
測定するものである。例えば、グルコースセンサでは、
下記式のように酵素反応により生成または消費される過
酸化水素、酸素等の電極活性な物質を電極でモニターす
ることにより、生体基質濃度を測定する。
【0003】
【化1】
【0004】ところが、このような原理に基づく酵素電
極は、次のような問題点がある。
【0005】上記式で明らかなように、基質が反応す
るためには、化学量論的な酸素を必要とするが、実際の
測定において、例えばグルコースセンサで糖尿病患者の
血中グルコース濃度を測定する場合、体液中の溶存酸素
量では不足である。そのため、試料血液を希釈したり、
何らかの方法で酸素を補給するといった手段が講じられ
ている。
【0006】過酸化水素を電気的にモニターする場
合、試料溶液中に過酸化水素と同様の電位で酸化される
物質、例えばアスコルビン酸のような還元性物質が存在
すると、測定電流にこれら妨害物質の酸化電流が上乗せ
され、測定誤差を生じる。そこで、これら誤差を取り除
くため、酵素を固定していない電極を補償極として補正
したり、酸素、過酸化水素分子と、測定基質は透過させ
るが、アスコルビン酸の如く電極活性な緩衝物質を透過
させないといった選択透過膜を装着する必要があった。
【0007】このように、酵素反応に伴い生成あるいは
消費される物質の濃度を測定する原理に基づくセンサー
は、溶存酸素の影響および妨害物質の影響といった問題
を有している。また、酵素固定膜を酸素、過酸化水素電
極に装着するという形態を必要とするため、微小化にも
限界がある。
【0008】一方、これらの問題点を解決するため、導
電性高分子を利用した酵素電極、電子メディエーターを
利用した酵素電極が提案されている。前者は、ポリピロ
ール、ポリアニリン等の導電性高分子の電解重合時に、
酵素をモノマー溶液中に共存させ、重合時に重合膜中に
酵素を捕捉するか、あるいはあらかじめ重合した導電性
高分子膜上に公知方法により酵素固定膜を設けることに
より、導電性の酵素固定膜を得るものである。また、電
子メディエーターを利用した酵素電極は、カーボンペー
スト等の中にフェロセン類、ベンゾキノン、フェリシア
ン化イオン、N−メチルフェナジニウム等の電子メディ
エーターを封じ込め、カーボンペースト電極表面に酵素
を固定化し、適当な高分子膜で被覆したものである。し
かし、導電性高分子を利用して、酵素反応に伴う電子移
動を直接検知する酵素電極は、溶存酸素の影響を受けな
いという利点はあるが、応答性が低く、応答時間が長い
等の問題がある。さらに、電解重合時に重合膜中に酵素
を捕捉するという手法を取る場合は、固定化される酵素
量を制御することは難しく、また酵素電極として利用す
る際、酵素の脱離による経時的な基質応答性の低下は避
けることができない。また、従来の電子メディエーター
を利用した酵素電極でも電導度が低く応答性、応答時間
の点で不十分である他、電子メディエーターをカーボン
ペースト中に分散させた形態をとるため、電子メディエ
ーターの溶出、脱離に伴う経時的な応答性の低下という
問題を有する。
【0009】ところで、このような酵素電極を用いて実
際に生体試料中の特定成分を定量する場合、高精度に測
定することはもちろん、試料液の希釈、攪拌等の操作を
必要とせず、簡易にかつ迅速に測定できることが望まし
い。また、血液等の試料の場合、使用できる試料の量に
制約があることが多く、微量試料での測定が望まれる。
従来の酵素電極においては、簡易かつ迅速に、また微量
の試料でも正確な測定を長期にわたり行えるものはなか
った。
【0010】そこで、本発明者は、これら従来の酵素電
極の欠点を解決するものとして、先に、導電性基体表面
に、有機電荷移動錯体結晶を含有する導電層を設けた酵
素電極を提案した(特願平2−24484 号) 。この酵素電
極は、酵素反応に伴う電子移動を直接検知する方式をと
ることにより、溶存酸素の影響を受けず、また妨害物質
の影響も少ないという利点に加え、経時安定性に優れ、
長期にわたり高精度な応答を与えることができるという
利点を有する。また、本発明者はこの酵素電極において
さらに改善を重ね、酵素反応に伴う電子移動を効率的に
行うことができ、より応答性が向上した酵素電極も提案
した (特願平3−7908号、特願平3−86884 号) 。しか
し、試料液の希釈、攪拌等の操作を必要とせず、微量試
料での測定に適した酵素電極についてはさらに改善が望
まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、有機電荷移
動錯体を用いた酵素電極を含む測定系において、微量の
試料でも希釈、攪拌せずそのまま測定することが可能な
バイオセンサを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機電荷
移動錯体を電極材料として利用して作製した酵素固定化
電極を微小化し、その近傍に対極を配置することによ
り、試料をそのまま測定しうるので試料が微量でもよい
ことを見出し、本発明を完成させた。さらに本発明者ら
は、導電性基体上に有機電荷移動錯体からなる導電層を
形成し、この導電層に接して酵素および電子メディエー
ターを水不溶性高分子を用いてあるいは用いずに固定化
あるいは被覆した電極を測定極とすれば、さらに好まし
いことも見出した。
【0013】本発明は、有機電荷移動錯体結晶を含む導
電層を有する酵素が固定化された測定極と、その近傍に
設けた対極からなる電極系を有するバイオセンサ、を要
旨とする。また、本発明はこのバイオセンサにおいて、
酵素が固定化されていない補償極を設けたバイオセンサ
にも関する。本発明バイオセンサの好適態様としては、
測定極として、導電性基体と、この基体表面に設けた有
機電荷移動錯体結晶からなる導電層を有し、水不溶性高
分子を用いてあるいは用いずに酵素および電子メディエ
ーターが固定化された電極を用いるのが好ましく、この
場合の、補償極としては、導電性基体と、この基体表面
に設けた有機電荷移動錯体結晶からなる導電層を有し、
水不溶性高分子を用いてあるいは用いずに電子メディエ
ーターが固定化された電極を用いるのが好ましい。本発
明酵素電極は酸化還元酵素を用いる場合に特に適してい
る。さらに、本発明は、上記のバイオセンサにパルス電
位を印加して酵素反応による応答電流を測定することに
より特定物質を分析する方法にも関する。
【0014】
【作用】本発明のバイオセンサは、少なくとも測定極と
その近傍に設けた対極からなり、測定極は有機電荷移動
錯体、あるいは有機電荷移動錯体と電子メディエーター
を含有し、酵素を固定化した電極である。さらに、本発
明のバイオセンサでは酵素が固定化されていない補償極
を設けて、試料中のタンパク質等の吸着、副反応の影響
を受けずにより高精度での測定を可能とすることもでき
る。
【0015】この酵素固定化電極は、導電性基体上に有
機電荷移動錯体結晶を含有する導電層を形成させ、酵
素、あるいは酵素と電子メディエーターの両者を固定化
したものである。有機電荷移動錯体結晶は導電性基体上
の絶縁性高分子フィルム内に成長させたものであっても
よいが、導電性基体上に直接形成させたものが好まし
い。
【0016】有機電荷移動錯体結晶を絶縁性高分子フィ
ルム内に成長させて導電層を形成するには、例えば、導
電性基体上に、電子供与体層を設け、その上にポリエチ
レンビニルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポ
リエステルアミド等の絶縁性高分子の被膜を設け、これ
を有機電子受容体を含有する溶液と接触させる方法があ
る。この導電層に酵素、あるいは酵素と電子メディエー
ターを固定化して酵素電極を得る。
【0017】導電性基体の表面に直接形成させた有機電
荷移動錯体結晶からなる導電層は以下に示す方法等によ
り、厚さ方向に結晶を成長させて容易に得ることがで
き、厚さ方向に良好な導電性を有するものである。導電
性基体としては、銅、銀、白金、金等の金属やカーボン
電極の他、これらの導電性材料からなる導電層を蒸着等
の手段により表面に設けた基体、あるいはこれらの導電
性材料の粉末を含有するペーストから作成した基体等が
使用できる。
【0018】ここで、有機電荷移動錯体 (以下、有機CT
錯体と称する) とは、有機電子受容体と電子供与体とか
ら、両者の間の電荷移動反応に伴い形成される化合物で
ある。
【0019】この有機CT錯体の形成に用いる有機電子受
容体としては、特に制限されないが、シアノメチレン官
能基を有する化合物が好ましく、中でもジシアノメチレ
ン官能基と、キノンあるいはナフトキノン骨格とを有す
る化合物が好適である。このうちでも特に、7,7',8,8'-
テトラシアノキノジメタン(TCNQ)はCT錯体形成能が強
く、得られる有機CT錯体の電気伝導度が高いため応答時
間、応答性で有利である。また工業的にも比較的入手が
容易であることから好適である。
【0020】有機CT錯体の形成に用いる電子供与体とし
ては、使用する有機電子受容体と、導電性を有するCT錯
体を形成しうるものであれば、特に制限されるものでは
なく、有機、無機のいずれでもさしつかえない。具体的
には、無機材料としては銅、銀、コバルト、ニッケル、
鉄、マンガンなど、また有機材料としては、テトラチア
フルバレン、テトラセレノフルバレン等のテトラセン
類、及びその誘導体、あるいは 2,2'-ビスピリジニウ
ム、N-メチルフェナジニウム等、公知の電子供与体を使
用することができる。
【0021】有機CT錯体結晶を成長させるには、液相お
よび気相中での公知の方法を使用できる。液相中で有機
CT錯体結晶を成長させる方法には例えば以下の方法があ
る。まず、基体表面に電子供与体層を設けたものか、あ
るいは電子供与体としても機能する銅板等の基体の一部
ないしは全部を、有機電子受容体を含有する溶液と接触
させる。これにより、溶液中の有機電子受容体は、基体
の表面を構成する電子供与体との間でCT錯体化反応を起
こし、錯体が成長する。
【0022】有機電子受容体含有溶液の調製に使用する
溶媒としては、極性のある非プロトン溶剤、例えばアセ
トニトリル、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、
メチルエチルケトン等が好適である。この溶液における
有機電子受容体の濃度は、溶剤100 重量部に対して通常
0.01重量部〜飽和濃度、好ましくは0.1 重量部〜飽和濃
度が適当である。
【0023】有機CT錯体の形成は、通常、10〜30℃の温
度で行うが、用いる有機電子受容体と基体表面の電子供
与体の組み合わせによっては、CT錯体化反応が急激に進
み、緻密で均一な目的層が得にくい場合がある。そのよ
うな場合は、必要に応じて溶液、基体、雰囲気温度を下
げたり、溶液の濃度を低くすればよい。また逆に、錯体
化反応が遅く、有機CT錯体結晶が必要な厚みに成長する
のに長時間を要する場合は、必要に応じて、加熱するこ
とができる。
【0024】有機電子受容体含有溶液の接触時間は、用
いる有機電子受容体と電子供与体との組み合わせや目的
とする導電層の厚みに大きく依存するが、一般に10秒か
ら1時間程度である。気相成長法としては一般に真空蒸
着法を用いることができる。まず、基体表面に電子供与
体層を設けたものか、あるいは電子供与体としても機能
する銅板等を、減圧下(1×10-3〜1×10-7torr) に設
置し、錯体結晶を成長させたい部分を適当な温度 (100
〜300 ℃) に加熱保持する。次に、電子受容体を徐々に
加熱し、気化させる。これにより、基体表面に到達した
電子受容体分子と、基体表面の電子供与体との錯体化反
応により錯体が成長する。この際、導電層の厚みは基体
温度、電子受容体の気化速度等により容易に制御するこ
とができる。
【0025】このような液相法あるいは気相法により作
成した有機CT錯体は、一般に微細な針状結晶となり、基
板面に対して垂直方向に成長する。この有機CT錯体から
なる導電層の厚みは特に制限されるものではないが、通
常0.01〜50μmの範囲であり、好ましくは0.1 〜10μm
である。
【0026】上述の如く、導電層はその厚み方向に成長
した微細な針状結晶からなり、そのため導電層の表面は
微細な凹凸を有する構造となる。従って、後述の酵素や
電子メディエーターの固定化の際には、酵素や電子メデ
ィエーターをこの微細な凹部に捕捉することができ、そ
れらの固定化が容易となる。また、微細な針状結晶であ
るため電極部の実際の表面積を広くとることができ、そ
の結果、酵素および電子メディエーターの固定化量を増
大させ、酵素電極の出力として得られる電流密度を大き
くすることが可能となる。
【0027】この導電層の厚みが上記範囲以下で薄すぎ
る場合、充分な表面積を得ることができず、その結果出
力電流値が小さくなる。また、逆に上記範囲を超えて厚
すぎる場合は、導電層自体の抵抗値が大きくなる。従っ
て、酵素電極として使用する場合、電圧印加の際、電極
表面での電圧降下を起こすことになる。また、この有機
CT錯体自体、力学的な強度は大きくないため、厚すぎる
と構造的な欠陥を生じやすくなる。
【0028】上述のようにして導電性基体上に直接有機
CT錯体結晶を成長させて導電層を形成する。この導電層
は必要に応じ、洗浄、乾燥する。この導電性基体と導電
層からなる電極に、水不溶性高分子を用いて、酵素およ
び電子メディエーターを導電層に接するように固定化も
しくは被覆する。あるいは、使い捨て等、再利用性が要
求されない場合には、この水不溶性高分子を使用するこ
となく酵素および電子メディエーターを固定化してもよ
い。
【0029】酵素は、対象とする物質や目的とする化学
反応に応じ、酵素の基質特異性及び反応特異性を考慮し
て適宜選択することができる。使用しうる酵素は、特に
制限されないが、例えばグルコースオキシダーゼ、アル
コールデヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラー
ゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、ガラクトースオキシダー
ゼ、ペニシリナーゼ等が挙げられる。また、酸化還元酵
素と補酵素との組み合わせも可能である。
【0030】使用する電子メディエーターは、酵素反応
に伴う電子移動を効率よく行うことができる、すなわ
ち、酵素から有機CT錯体への電子移動をスムーズに行わ
せるものであればよい。例えば、酸化酵素により基質を
酸化する反応の場合は、還元型となった酵素から容易に
電子を受取り、電子メディエーター自身は還元型とな
り、かつ導電層表面での電極反応により電子を電極へ供
与し、酸化型に戻る性質を有するものである。このよう
な電子メディエーターとしては、フェロセン、1,1'- ジ
メチルフェロセン、フェロセンカルボン酸、フェロセン
カルボキシアルデヒド等のフェロセン誘導体、ハイドロ
キノン、クロラニル、ブロマニル等のキノン類、フェリ
シアンイオン、オクタシアノタングステン酸イオン、オ
クタシアノモリブデン酸イオン等の金属錯体イオン等が
好適である。有機CT錯体からなる導電層に、水不溶性高
分子を用いて、酵素、電子メディエーターを固定化ある
いは被覆する方法としては次のような方法が可能であ
る。
【0031】(1) 前記導電層上に酵素および電子メディ
エーターを含む溶液を滴下、乾燥させ、ついで水不溶性
高分子溶液を塗布、乾燥させることにより、導電性基体
上に導電層、酵素および電子メディエーターからなる中
間層および水不溶性高分子被覆層からなる3層を設け
る。 (2) 前記導電層上に酵素および電子メディエーターを含
む水不溶性高分子溶液を塗布、乾燥させることにより、
導電性基体上に導電層、酵素および電子メディエーター
を含む水不溶性高分子被覆層からなる2層を設ける。 (3) 前記導電層上に酵素を含む溶液を滴下、乾燥させ、
ついで電子メディエーター、あるいは電子メディエータ
ーと酵素を含有する水不溶性高分子溶液を塗布、乾燥さ
せることにより、導電性基体上に導電層、酵素からなる
中間層、および電子メディエーターあるいは電子メディ
エーターと酵素を含む水不溶性高分子被覆層からなる3
層を設ける。 (4) 前記導電層上に電子メディエーターを含む溶液を滴
下、乾燥させ、ついで酵素あるいは酵素と電子メディエ
ーターとを含有する水不溶性高分子溶液を塗布、乾燥さ
せることにより、導電性基体上に導電層、電子メディエ
ーターからなる中間層、および酵素あるいは酵素と電子
メディエーターとを含む水不溶性高分子被覆層からなる
3層を設ける。
【0032】このように酵素および電子メディエーター
の固定化あるいは被覆は、水不溶性高分子溶液中に予め
これらを溶解もしくは均一に分散させておいたものを導
電層に直接塗布、乾燥させてこの高分子中に包含させる
か、酵素や電子メディエーター含有溶液を導電層上に滴
下、乾燥させて得た層を水不溶性高分子被膜で被覆する
方法が簡便で好適であるが、これらに限定されることな
く、公知の共有結合法、イオン結合法、吸着法、包括
法、架橋法等を用いることも可能である。
【0033】水不溶性高分子としては、容易に均一に成
膜することができ、酵素、電子メディエーターを均一に
分散固定し、かつ酵素電極として使用する際、試料溶液
中で溶解、膨潤して酵素、電子メディエーターの溶出に
よる出力の低下を招くことのないものであれば限定され
ることなく使用できる。さらに、導電層中にピンホール
が生じていると酵素電極として使用する際、基体あるい
は電子供与体の試料溶液中への溶出の可能性があるが、
水不溶性高分子層はピンホール部を覆うことにより溶出
を防止する。
【0034】このような水不溶性高分子には、ポリビニ
ルブチラール、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステ
ルアミド等の熱可塑性ポリマーが例示でき、これらの1
種または2種以上を使用することができる。酵素、電子
メディエーターの固定方法に応じ、また基質の拡散性等
を考慮して適宜ポリマーを選択することができるが、例
えばポリマービニルブチラールは水不溶性でありながら
親水性、吸水性を有し、しかも非常にミクロなポアを有
するため好適である。
【0035】酵素および/または電子メディエーターを
含有する水不溶性高分子で導電層を被覆するには、水不
溶性高分子を適当な有機溶剤で溶解させた溶液中に、酵
素および/または電子メディエーターを溶解もしくは均
一に分散させ、これを導電層に直接塗布、乾燥させるこ
とにより行うことができる。酵素、電子メディエーター
を分散させて使用する場合は、水不溶性高分子が析出し
ない範囲で、酵素、電子メディエーターの良溶媒である
水等を適宜添加すると酵素、電子メディエーターの分
散、溶解性を向上させて固定化を効率的に行える。得ら
れた酵素電極は、純水あるいは緩衝液等で洗浄して、完
全に固定化されていない酵素、電子メディエーターを取
り除いた後、使用に供することができる。また、この酵
素電極をさらに電子受容体溶液に浸漬する等の手段で有
機CT錯体を成長させておけば、膜全体の導電性を高め、
大きい応答電流が得られる点で有利である。
【0036】酵素および/または電子メディエーターを
水不溶性高分子を用いて固定する場合、酵素から有機CT
錯体、酵素から電子メディエーター、あるいは電子メデ
ィエーターから有機CT錯体のへのスムーズな電子移動性
を確保して応答性をよくするには、固定膜は薄い方がよ
い。例えば10Å〜10μm好ましくは100 Å〜1μmであ
る。また必ずしも均一な膜である必要はなく、酵素と有
機CT錯体、酵素と電子メディエーター、あるいは電子メ
ディエーターと有機CT錯体が直接接触するようにすれば
よい。
【0037】また、水不溶性高分子で、酵素および/ま
たは電子メディエーター含有導電層あるいは酵素および
/または電子メディエーターからなる中間層を被覆する
場合は、酵素と基質との接触、および残存しているピン
ホールの被覆を考慮して0.01〜10μm好ましくは0.1 〜
5μm程度の厚さとすることが望ましい。こうして得た
酵素電極は、導電性基体上に設けた導電層上に酵素と電
子メディエーターが接触するように固定させた構造であ
り、従来の過酸化水素電極、酸素電極等に比べ構造的に
簡単であり、小型化が可能である。また、有機CT錯体結
晶からなる導電層は、酵素との間で電子移動が容易であ
るのみならず、従来電子メディエーターとして使用され
ていたフェロセン類等と比較して、その結晶層の電気伝
導度は著しく大きい。これは、これら有機CT錯体が発達
した針状結晶を構するため、同じ含有量でも膜中の導電
パス数が多くなり、電子移動に有効に寄与するためと考
えられる。また、導電層表面に電子メディエーターが固
定化されているため、有機CT錯体と酵素が接触している
にもかかわらず構造的に電子移動が起こりにくい部分に
おいても、スムーズな電子移動性を確保し、応答性を向
上させることが可能となる。また、有機CT錯体結晶をポ
リマーを用いずに導電性基体上に直接成長させると、針
状結晶の微細な凹凸表面が得られるため、導電層に直接
接触する酵素や電子メディエーターの量を多くすること
ができ、酵素電極の応答性をより一層高めることができ
る。
【0038】本発明のバイオセンサは測定極と対極、あ
るいはさらに補償極をまとめて1個のセンサとしたもの
であり微小化することができ、また、測定極と対極、あ
るいらさらに補償極を試料で覆えば測定できるので、微
量の試料でもセンサに直接滴下する等の方法で測定が容
易である。
【0039】対極は、測定極あるいは補償極に一定電位
を印加した時、それらの電極での電流が支障なく流れる
ようにするため、電極自身の抵抗が小さく、なるべくそ
れ自身が測定試料中で分極せず、また対極での反応生成
物が測定極での反応を妨害したり、それ自身が反応する
ことのない特性を有するものを使用する。このような観
点から、白金、金、銀、銅等の金属や、カーボン電極の
他、これらの導電性材料からなる導電層を蒸着、スパッ
タ等の手段により基体表面に設けたり、あるいはこれら
の導電性材料の粉末を含有するペーストから作成するこ
とにより得たものが対極として使用できる。
【0040】対極と測定極は図1〜図5に示すような種
々の方法で設けることができる。例えば、図1に示すよ
うに同一支持体上に設ける同一平面型、図2および図3
に示すような多層円筒型、図4および図5に示すような
立体型等の変形例が考えられる。同一支持体上に設ける
場合は、例えばガラス板、樹脂板、樹脂フィルム等の非
導電性支持体上に、銅、銀、金、水銀等の金属層を蒸
着、スパッタ等により形成し、測定極における導電性基
体および対極とする。また、測定極において導電性基体
上に直接形成させる有機CT錯体を、同様にして対極上に
も成長させ、これを対極として使用してもよい。この場
合、測定極と対極とを同一支持体に配置した構造におい
ては、測定極の有機CT錯体を成長させる工程において同
時に対極を作製することができ、工程が簡便であるとい
う利点がある。
【0041】補償極は、電極自身の抵抗が測定極の抵抗
と同程度であり、試料液中のタンパク質、電解質、生体
成分等と特異的に反応せず、測定極における酵素反応以
外の電気化学的副反応や吸着による影響を同程度に受け
るものであれば、特に制限されるものではないが、その
形状は電流値の補償を行うという目的から、同一形状か
少なくとも同一面積であることが好ましい。補償極を設
けた場合の一例を図6に示す。電極系を同一支持体に設
ける場合、酵素を固定化する以外は測定極の作製と同時
にかつ同様に補償極を作製することができる。例えば、
測定極において導電性基体上に直接有機CT錯体を形成さ
せる工程、および水不溶性高分子を塗布する工程におい
て同時に補償極を作製することができ、工程が簡便にな
る。
【0042】なお、本発明のバイオサンセを用いた測定
では、参照電極を使用せずに行うことが可能である。こ
のような場合、対極の面積は測定極の面積の2倍以上、
好ましくは10倍以上であることが望ましい。これは、測
定時に印加する電位差が主に測定極にかかるようにする
ことにより、高精度に定量するためである。
【0043】本発明のバイオセンサに電位を印加して酵
素反応による応答電流を測定する際は、パルス電位を印
加するのが好ましい。定常状態電流の印加では、電極の
表面状態が目的以外の電気化学反応等により変化するの
で、測定誤差を生じやすくなる。パルス電位を印加すれ
ば、このような電極の劣化を極力低減でき、安定化時間
が短いことからも好適である。定常状態法とシングルパ
ルス法との比較を図8に示す。また、補償極を設けたバ
イオセンサを用いた測定では、測定極と対極、および補
償極と対極との間に連続して、あるいは同時に所定の電
位を印加し、それにより両電極間を流れる電流値を測定
し、両者の間の電流値の差を酵素反応による応答電流と
して定量することができる。
【0044】本発明のバイオセンサで測定しうる物質と
しては、グルコース等の糖分、乳酸、アルコール等の血
液や尿中の微量生体物質や、食品加工プロセスにおける
糖分、アルコール分等がある。従来のバイオセンサで
は、測定時、希釈、攪拌する必要があったが、本発明の
バイオセンサを用いれば、試料を希釈、攪拌することな
くそのまま測定でき、上記のような物質を選択的に高精
度で、しかも長期にわたって繰り返し分析することが可
能である。
【0045】
【実施例】
【0046】
【実施例1】ガラス板に銅を真空蒸着して、測定極部
(1mm×1mm)およびそれを取り囲む対極部(10mm2)を
得た。これらの電極部以外をエポキシ樹脂でモールドし
た。
【0047】7,7',8,8'-テトラシアノキノジメタン (試
薬、キシダ化学製、以下TCNQと略す) 1.0gをアセトニト
リル (試薬、スペクトル用)30ml 中に加えてTCNQの飽和
溶液を調製した。このTCNQ飽和溶液中に、上記電極系を
浸漬し、1分間放置した。浸漬から直ちに電極部の表面
上に濃紫色の微細な針状結晶が成長をはじめ、1分後に
は、測定極部および対極部に約2μmの有機CT錯体から
なる導電層が得られた。
【0048】ポリビニルブチラール樹脂〔商品名: エス
レックB、BX−L 、積水化学工業(株)製〕を2.0 重量
%および1,1'- ジメチルフェロセン (試薬、東京化成
製) を2.0重量%含むアセトン溶液を調製し、この溶液
1mlにグルコースオキシダーゼ (Aspergillus niger
由来、Sigma 社製、Type VII) 4.0 mgを添加し、超音
波分散器により均一に分散させた溶液5μlを、上記測
定極部に滴下し、乾燥させた後、純水で洗浄し、測定極
上に酵素を固定化した。
【0049】上記電極系上に、表1に示す各グルコース
の濃度の100mM リン酸緩衝液(pH 7.0)を20μl 滴下し、
測定極および対極の全面を試料液で覆った。対極に対し
て、0.35Vのパルス電位を測定極に印加して、電位印加
5秒後の電流値を測定することにより、表1に示す各グ
ルコース濃度に対する応答電流を測定した。その結果を
表1に示す。このように、測定濃度範囲で良い直線関係
が得られた。次に、上記で使用した各グルコース濃度の
緩衝液を窒素バブルを30分行った後、同様に測定した。
その結果を第1表に示す。この結果から、本酵素電極の
応答電流は、溶存酸素濃度の影響をほとんど受けていな
いことがわかる。
【0050】さらに、上記で使用した緩衝液の代わりに
5mMアスコルビン酸を含む100mM リン酸緩衝液(pH 7.0)
を用い、同様に測定を行った。表1に示す結果から明ら
かなように、応答電流値変化はアスコルビン酸の影響を
ほとんど受けない。また、このセンサーをリン酸緩衝液
中30日放置後においても、初期の約80%の応答性を維持
しており、保存性に優れたものであった。
【0051】
【実施例2】実施例1で用いた銅蒸着基板の代わりに同
形状の銀蒸着板を用い、実施例1と同様にTCNQ飽和溶液
に浸漬することにより厚み約1μmの有機CT錯体からな
る導電層を得た。フェロセンカルボン酸(試薬、Aldric
h 社製) の5mM水溶液1mlに、グルコースオキシダ
ーゼ5mgを溶解した水溶液20μlを上記銀電極の測定
極部のみに滴下し乾燥した。その後、水不溶性高分子と
して共重合ポリエステル樹脂PES-110L [東亜合成化学工
業 (株) 製、商品名] の塩化メチレン1重量%溶液を塗
布し、乾燥した後、純水で洗浄することにより酵素固定
化電極を得た。この電極を用い、実施例1と同様にして
測定した結果を表1に示す。
【0052】
【実施例3】実施例1で使用した、測定極部および対極
部を有する銅蒸着ガラス基板を真空蒸着装置内に設置し
た。約1×10-5mmHgの減圧下で銅板を約250 ℃に加熱し
たまま、TCNQを徐々に加熱し、30分で厚み約5μmの有
機CT錯体からなる導電層を得た。この有機CT錯体導電層
を有するガラス基板を、測定極部および対極部を除いて
エポキシ樹脂でモールドした。グルコースオキシダーゼ
10mg/ ml水溶液20μl を上記電極の測定極部に滴下、乾
燥した。その後、1,1'- ジメチルフェロセン2.0 重量
%、ポリビニルブチラール樹脂1.0 重量%のアセトン溶
液20μlを塗布、乾燥した後、純水で洗浄することによ
り、測定極部に酵素を固定化した。さらにTCNQアセトニ
トリル飽和溶液を20μl塗布し、自然乾燥させた。この
電極を用い、実施例1と同様にして測定した結果を表1
に示す。
【0053】
【実施例4】実施例1で得られた有機CT錯体からなる電
極系を有するガラス基板を用い、オクタシアノモリブデ
ン酸カリウム水溶液を塗布、乾燥した。ポリビニルブチ
ラール樹脂2.0 重量%のアセトン溶液を調製し、この溶
液1mlにグルコースオキシダーゼ4.0 mgを添加し、超
音波分散器により均一に分散させた溶液5μlを、上記
基板の測定極部に滴下し乾燥した後、純水で洗浄し、測
定極上に酵素を固定化した。この電極を用い、実施例1
と同様にして測定した結果を表1に示す。
【0054】
【参考例】実施例2で得られた電極系を用い、グルコー
ス濃度2.0 mMおよび5.0 mMの0.1M KCl 水溶液を用いて
同様に検量線を作製した後、未知試料としてヒト血清20
μlを電極系上に滴下し、応答電流を測定した。前もっ
て作製した検量線の結果から血清中のグルコース濃度を
求めた結果、4.8 mMであった。また、公知の酵素比色法
でグルコース濃度を測定した結果、4.8 mMであり良い一
致を示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【実施例5】ガラス板に銅を真空蒸着して、図6に示す
ように測定極部 (1mm×1mm)、補償極部(1mm×1m
m)およびそれを取り囲む対極部(10mm2)を得た。これ
らの電極部以外をエポキシ樹脂でモールドした。
【0057】7,7',8,8'-テトラシアノキノジメタン (試
薬、キシダ化学製、以下TCNQと略す) 1.0gをアセトニト
リル (試薬、スペクトル用)30ml 中に加えてTCNQの飽和
溶液を調製した。このTCNQ飽和溶液中に、上記電極系を
浸漬し、1分間放置した。浸漬から直ちに電極部の表面
上に濃紫色の微細な針状結晶が成長をはじめ、1分後に
は、測定極部、補償極部および対極部に約2μmの有機
CT錯体からなる導電層が得られた。
【0058】ポリビニルブチラール樹脂〔商品名: エス
レックB、BX−L 、積水化学工業(株)製〕を2.0 重量
%および1,1'- ジメチルフェロセン (試薬、東京化成
製) を2.0重量%含むアセトン溶液を調製し、この溶液
1mlにグルコースオキシダーゼ (Aspergillus niger
由来、Sigma 社製、Type VII) 4.0 mgを添加し、超音
波分散器により均一に分散させた溶液5μlを、上記測
定極部に滴下し、乾燥させた後、純水で洗浄し、測定極
上に酵素を固定化した。次に、上記溶液において酵素を
含有しない溶液を同様にして調製し、同様にして上記補
償極部に滴下し乾燥させた。
【0059】上記電極系上に、表2に示す各グルコース
の濃度の100mM リン酸緩衝液(pH 7.0)を20μl 滴下し、
測定極、補償極および対極の全面を試料液で覆った。対
極に対して、0.35Vのパルス電位を測定極に印加して、
電位印加5秒後の電流値を測定した。続いて、対極に対
して同電位のパルス電位を補償極に印加して、同様に電
位印加5秒後の電流値を測定し、両者の測定電流値の差
を応答電流値とした。その結果を表2に示す。このよう
に、測定濃度範囲で良い直線関係が得られた。
【0060】次に、上記で使用した各グルコース濃度の
緩衝液を窒素バブルを30分行った後、同様に測定した。
その結果を第2表に示す。この結果から、本酵素電極の
応答電流は、溶存酸素濃度の影響をほとんど受けていな
いことがわかる。
【0061】さらに、上記で使用した緩衝液の代わりに
5mMアスコルビン酸を含む100mM リン酸緩衝液(pH 7.0)
を用い、同様に測定を行った。表2に示す結果から明ら
かなように、応答電流値変化はアスコルビン酸の影響を
ほとんど受けない。また、このセンサーを室温でデシケ
ーター中30日放置後においても、初期の約80%の応答性
を維持しており、保存性に優れたものであった。
【0062】
【実施例6】実施例5で用いた銅蒸着基板の代わりに同
形状の銀蒸着板を用い、実施例5と同様にTCNQ飽和溶液
に浸漬することにより厚み約1μmの有機CT錯体からな
る導電層を得た。フェロセンカルボン酸(試薬、Aldric
h 社製) の5mM水溶液1mlに、グルコースオキシダ
ーゼ5mgを溶解した水溶液20μlを上記銀電極の測定
極部のみに滴下し乾燥した。次に、上記溶液において酵
素を含有しない溶液を同様に調製し、上記補償極部のみ
に滴下し、乾燥した。
【0063】その後、水不溶性高分子として共重合ポリ
エステル樹脂PES-110L [東亜合成化学工業 (株) 製、商
品名] の塩化メチレン1重量%溶液を測定極部および補
償極部に塗布し、乾燥した後、純水で洗浄することによ
り酵素固定化電極および補償極を得た。この電極を用
い、実施例5と同様にして測定した結果を表2に示す。
【0064】
【実施例7】実施例5で使用した、測定極部、補償極部
および対極部を有する銅蒸着ガラス基板を真空蒸着装置
内に設置した。約1×10-5mmHgの減圧下で上記基板を約
200℃に加熱したまま、TCNQを徐々に加熱し、30分で厚
み約5μmの有機CT錯体からなる導電層を得た。この有
機CT錯体導電層を有するガラス基板を、測定極部および
対極部を除いてエポキシ樹脂でモールドした。グルコー
スオキシダーゼ10mg/ ml水溶液20μl を上記電極の測定
極部のみに滴下、乾燥した。その後、1,1'- ジメチルフ
ェロセン2.0 重量%、ポリビニルブチラール樹脂1.0 重
量%のアセトン溶液20μlを測定極部、補償極部に塗
布、乾燥した後、純水で洗浄した。さらにTCNQアセトニ
トリル飽和溶液を20μl塗布し、自然乾燥させた。この
電極を用い、実施例5と同様にして測定した結果を表2
に示す。
【0065】
【実施例8】実施例5で得られた有機CT錯体からなる電
極系を有するガラス基板を用い、オクタシアノモリブデ
ン酸カリウム水溶液を全面に塗布、乾燥した。ポリビニ
ルブチラール樹脂2.0 重量%のアセトン溶液を調製し、
この溶液1mlにグルコースオキシダーゼ4.0 mgを添加
し、超音波分散器により均一に分散させた溶液5μl
を、上記基板の測定極部のみに滴下し乾燥した後、この
溶液において酵素を含有しない溶液を補償極部のみに滴
下し、乾燥し、全面を純水で洗浄した。この電極を用
い、実施例5と同様にして測定した結果を表2に示す。
【0066】
【実施例9】実施例6で得られた電極系を用い、ヒト血
清にグルコースを添加することにより調製したグルコー
ス濃度4.0 mM、6.4 mM、8.2 mM、9.6 mMの各溶液を用い
て、実施例5に示す方法で順次測定した。その結果を図
7に示す。このように血清を用いた測定においても良好
な直線関係が得られた。
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】本発明のバイオセンサは、酵素反応に伴
う電子移動を直接検知する方式をとるので、溶存酸素の
多少に影響を受けず、また電気化学的妨害物質に影響さ
れることなく、かつ応答性および応答寿命に優れたバイ
オセンサである。しかも、測定極と対極とを近傍に配置
してあるので、微量の試料を希釈、攪拌する必要なく、
そのまま使用でき、簡単な操作で迅速かつ高精度に定量
することができる。また、さらに補償極を設けると、他
物質の副反応や吸着に影響されず、より高精度で定量し
うる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図2】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図3】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図4】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図5】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図6】本発明バイオセンサの一例を示す図である。
【図7】実施例9で測定したグルコース濃度と応答電流
の関係を示す図である。
【図8】定常状態法とシングルパルス法により測定した
比較図である。
【符号の説明】
1: 基板 2: 対極 3: 測定極 4: 補償極 5: 絶縁膜 6: リード部 7: 対極端子 8: 測定極端子 9: 補償極端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7235−2J G01N 27/46 336 B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機電荷移動錯体結晶を含む導電層を有
    する酵素が固定化された測定極と、その近傍に設けた対
    極とからなる電極系を有するバイオセンサ。
  2. 【請求項2】 測定極が、導電性基体と、この基体表面
    に設けた有機電荷移動錯体結晶からなる導電層を有し、
    水不溶性高分子を用いてあるいは用いずに酵素および電
    子メディエーターが固定化された電極である請求項1記
    載のバイオセンサ。
  3. 【請求項3】 酵素が固定化されていない補償極を設け
    た請求項1記載のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 導電性基体と、この基体表面に設けた有
    機電荷移動錯体結晶からなる導電層を有し、水不溶性高
    分子を用いてあるいは用いずに電子メディエーターが固
    定化された電極である補償極を設けた、請求項2記載の
    バイオセンサ。
  5. 【請求項5】 酵素が酸化還元酵素である請求項1ない
    し4のいずれかの項記載のバイオセンサ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの項記載の
    バイオセンサにパルス電位を印加して酵素反応による応
    答電流を測定することにより特定物質を分析する方法。
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