JPH05208622A - 車両用左右駆動力配分装置の油圧回路構造 - Google Patents

車両用左右駆動力配分装置の油圧回路構造

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JPH05208622A
JPH05208622A JP20929292A JP20929292A JPH05208622A JP H05208622 A JPH05208622 A JP H05208622A JP 20929292 A JP20929292 A JP 20929292A JP 20929292 A JP20929292 A JP 20929292A JP H05208622 A JPH05208622 A JP H05208622A
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clutch
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、4輪駆動式の自動車等における左
右輪への駆動力配分に用いて好適の車両用左右駆動力配
分装置の油圧回路構造に関し、油圧回路へのエアの混入
を容易に防止できるようにすることを目的とする。 【構成】 駆動力伝達制御機構を、左右の油圧式トルク
伝達機構と、その油圧回路とから構成して、上記油圧回
路を、油圧調整部74と、左右の各油圧式クラッチ機構
に付設された油圧入力部20Dと、油圧調整部74から
各油圧入力部20Dへ至る油路に介装された切替弁11
0とから構成し、上記の油圧調整部74及び切替弁76
を、作動油を貯蔵された油室内82に内蔵されて作動油
中に埋没させた構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、4輪駆動式の自動車等
における左右輪への駆動力配分に用いて好適の車両用左
右駆動力配分装置に関し、特に、その油圧回路構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、四輪駆動式自動車の開発が盛んに
行なわれているが、前後輪間のトルク配分を積極的に調
整できるようにした、フルタイム四輪駆動方式のものの
開発が種々行なわれている。
【0003】一方、自動車において、左右輪に伝達され
るトルク配分機構を広義にとらえると従来のノーマルデ
ィファレンシャル装置や電子制御式を含むLSD(リミ
テッドスリップデフ)が考えられるが、これらはトルク
配分を積極的に調整するものでなく、左右輪のトルクを
自由自在に配分できるものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、トルク配分
機構には、大きなトルクロスやエネルギロスを招来する
ことなく、自由自在なトルク配分を行なえるものが望ま
しいが、例えば次のような機構によれば、エネルギロス
を小さくしながら、左右輪へのトルク配分を自由自在に
調整することができる。
【0005】図13はこのような観点から提案された車
両用左右駆動力配分装置の原理を示す摸式図である。こ
の図13に示すように、回転駆動力(以下、駆動力又は
トルクという)を入力される入力軸1と、入力軸1から
入力された駆動力を出力する第1及び第2の出力軸2,
3とが設けられており、第1の出力軸2と第2の出力軸
3と入力軸1との間に車両用左右駆動力配分装置が介装
されている。
【0006】そして、この車両用左右駆動力配分装置
は、次のような構成により、第1の出力軸2と第2の出
力軸3との差動を許容しながら、第1の出力軸2と第2
の出力軸3とに伝達される駆動力を所要の比率に配分で
きるようになっている。
【0007】すなわち、第1の出力軸2と入力軸1との
間及び第2の出力軸3と入力軸1との間に、それぞれ変
速機構Aと多板クラッチ機構Bとが介装されており、第
1の出力軸2又は第2の出力軸3の回転速度が、変速機
構Aにより増速されて駆動力伝達補助部材としての鞘軸
(中空軸)7に伝えられる。
【0008】そして、多板クラッチ機構Bは、この鞘軸
7と入力軸1側のデファレンシャルケース(以下、デフ
ケースと略す)13との間に介装されており、この多板
クラッチ機構Bを係合させることで、高速側の鞘軸7か
ら低速側のデフケース13へ駆動力が返送されるように
なっている。これは、対向して配設されたクラッチ板に
おける一般的な特性として、トルクの伝達が、速度の速
い方から遅い方へ行なわれるためである。
【0009】したがって、例えば、第2の出力軸3と入
力軸1との間の多板クラッチ機構Bが係合されると、第
2の出力軸3へ配分される駆動力の一部は入力軸1側へ
返送されて、第2の出力軸3へ配分される駆動力が減少
して、この分だけ、第1の出力軸2へ配分される駆動力
が増加する。
【0010】上述の変速機構Aは、2つのプラネタリギ
ヤ機構を直列的に結合してなるいわゆるダブルプラネタ
リギヤ機構で構成されており、第2の出力軸3に設けら
れた変速機構Aを例に説明すると次のようになる。
【0011】すなわち、第2の出力軸3には第1のサン
ギヤ4Aが固着されており、この第1のサンギヤ4A
は、その外周において第1のプラネタリギヤ(プラネタ
リピニオン)5Aに螺合している。また、第1のプラネ
タリギヤ5Aは、第2のプラネタリギヤ5Bと一体に固
着され、共にピニオンシャフト6Aを通じて、ケーシン
グ(固定部)に固着されたキャリア6に枢支されてい
る。これにより、第1のプラネタリギヤ5Aと第2のプ
ラネタリギヤ5Bとが、ピニオンシャフト6Aを中心と
して同一の回転を行なうようになっている。
【0012】さらに、第2のプラネタリギヤ5Bは、第
2の出力軸3に枢支された第2のサンギヤ4Bに螺合し
ており、第2のサンギヤ4Bは、鞘軸7を介して多板ク
ラッチ機構Bのクラッチ板8Aに連結されている。ま
た、多板クラッチ機構Bの他方のクラッチ板8Bは、入
力軸1により駆動されるデフケース13に連結されてい
る。
【0013】そして、図13の構造では、第1のサンギ
ヤ4Aが第2のサンギヤ4Bより大きい径で形成されて
いるので、第2のサンギヤ4Bの回転速度は第1のサン
ギヤ4Aより大きくなり、この変速機構Aは増速機構と
してはたらくようになっている。したがって、クラッチ
板8Aの回転速度がクラッチ板8Bより大きく、多板ク
ラッチ機構Bを係合させた場合には、この係合状態に応
じた量のトルクが、第2の出力軸3側から入力軸1側へ
返送されるようになっている。
【0014】一方、第1の出力軸2にそなえられる変速
機構A及び多板クラッチ機構Bも、同様に構成されてお
り、入力軸1からの駆動トルクを第1の出力軸2により
多く配分したい場合には、その配分したい程度(配分
比)に応じて第2の出力軸3側の多板クラッチ機構Bを
適当に係合し、第2の出力軸3により多く配分したい場
合には、その配分比に応じて第1の出力軸2側の多板ク
ラッチ機構Bを適当に係合する。
【0015】また、多板クラッチ機構Bを油圧駆動式の
ものにすると、油圧の大きさを調整することで多板クラ
ッチ機構Bの係合状態を制御でき、第1の出力軸2又は
第2の出力軸3から入力軸1への駆動力の返送量(つま
りは駆動力の左右配分比)を調整することができる。
【0016】このような装置によれば、ブレーキ等のエ
ネルギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、
一方のトルクの所要量を他方に転送することによりトル
ク配分が調整されるため、ほとんどトルクロスやエネル
ギロスを招来することなく、所望のトルク配分を得るこ
とができる。
【0017】ところで、ここで多板クラッチ機構Bは油
圧によって結合度を制御されるが、その油圧回路の最も
単純な構造として図22に示すものが考えられる。
【0018】図22の油圧回路は、作動油を供給する油
圧源90と、右側の多板クラッチBR(以下、左右を区
別する場合、右側をBRという)への油圧を制御するた
めの比例弁91Rと、左側の多板クラッチBL(以下、
左右を区別する場合、左側をBLという)への油圧を制
御するための比例弁91Lと、これらのユニットを制御
するコントローラ92とによって構成され、各比例弁9
1R、91Lを制御することで、左右輪のトルク配分を
調整できるようになっている。
【0019】ところで、上述の油圧経路は、油漏れおよ
びエアの混入がないよう完全密封する必要があるが、完
全密封するためには、油圧経路を、ブロック状のものか
らドリリングにより加工し、さらには接続部を全てシー
ル付き構造としなければならず、コスト高、重量増を招
きかねない。
【0020】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、車両用左右駆動力配分機構の油圧回路へのエアの
混入を容易に防止できるようにしてクラッチの制御性能
を十分に確保できるようにした、車両用左右駆動力配分
装置の油圧回路構造を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の車両
用左右駆動力配分装置の油圧回路構造(請求項1)は、
左右の各車輪と一体回転する一対の車軸と、これらの車
軸の間に介設された駆動力伝達制御機構とをそなえた車
両用左右駆動力配分装置において、上記駆動力伝達制御
機構が、左輪側へ又は左輪側から駆動力を移動するため
の左輪制御用油圧式トルク伝達機構と、右輪側へ又は右
輪側から駆動力を移動するための右輪制御用油圧式トル
ク伝達機構と、これらの油圧式トルク伝達機構を駆動す
る油圧回路とをそなえ、上記油圧回路が、油圧源からの
油圧を所要の圧力で出力する油圧調整部と、上記の左右
の各油圧式クラッチ機構に付設された油圧入力部と、上
記油圧調整部から上記の各油圧入力部へ至る油路に介装
された切替弁とから構成されて、上記の油圧調整部及び
切替弁が、作動油を貯蔵された油室内に内蔵されて上記
作動油中に埋没されていることを特徴としている。
【0022】また、本発明の車両用左右駆動力配分装置
の油圧回路構造(請求項2)は、駆動力を入力される入
力部と、この入力部から入力された駆動力を左右の各車
輪へ出力する左右1対の出力軸と、上記の入力部と出力
軸との間に設けられて駆動力を各出力軸に配分するとと
もに各出力軸の差動を許容する差動機構と、上記入力部
と上記の各出力軸との間に介設された駆動力伝達制御機
構とをそなえた車両用左右駆動力配分装置において、上
記駆動力伝達制御機構が、上記の左輪側の出力軸の回転
速度を変速する左輪側変速機構と、上記の右輪側の出力
軸の回転速度を変速する右輪側変速機構と、該左輪側変
速機構と上記入力部又は上記右輪側出力軸との間に介装
され左輪側へ又は左輪側から駆動力を移動するための左
輪制御用油圧式トルク伝達機構と、該右輪側変速機構と
上記入力部又は上記左輪側出力軸との間に介装され右輪
側へ又は右輪側から駆動力を移動するための右輪制御用
油圧式トルク伝達機構と、これらの油圧式トルク伝達機
構を駆動する油圧回路とをそなえ、上記油圧回路が、油
圧源からの油圧を所要の圧力で出力する油圧調整部と、
上記の左右の各油圧式クラッチ機構に付設された油圧入
力部と、上記油圧調整部から上記の各油圧入力部へ至る
油路に介装された切替弁とから構成されて、上記の油圧
調整部及び切替弁が、作動油を貯蔵された油室内に内蔵
されて上記作動油中に埋没されていることを特徴として
いる。
【0023】なお、上記油圧式トルク伝達機構として、
油圧式多板クラッチを用いることができる。
【0024】
【作用】上述の本発明の車両用左右駆動力配分装置の油
圧回路構造(請求項1)では、車両用左右駆動力配分装
置において、駆動力伝達制御機構の左輪制御用油圧式ト
ルク伝達機構又は右輪制御用油圧式トルク伝達機構を通
じて、左輪側へ又は左輪側から駆動力を移動するか右輪
側へ又は右輪側から駆動力を移動するかすることで、左
右輪の駆動力状態が所要の状態に調整される。
【0025】この調整のときに、駆動力伝達制御機構に
おいて行なわれ、変速機構によって各出力軸側の部材と
入力部側の部材との間で回転差を与えられて、これらの
各出力軸側の部材と入力部側の部材との間に配設された
油圧式クラッチ機構を係合させることで、この両部材間
で駆動力の伝達が行なわれて、左右の駆動力配分が調整
される。このときの油圧式クラッチ機構では、油圧調整
部から出力された作動油が、切替弁へ導かれる。そし
て、上述の油圧回路の油圧調整部及び切替弁は作動油に
満ちた油室に浸されており、これにより、上述の油圧経
路上の各接続部から漏れた作動油は油室内に貯蔵され、
油圧回路中にエアが混入しない。
【0026】また、上述の本発明の車両用左右駆動力配
分装置の油圧回路構造(請求項2)では、車両用左右駆
動力配分装置において、入力軸の駆動力が左右1対の出
力軸のそれぞれに差動機構を介して伝達され、差動機構
から上記の各出力軸のそれぞれに出力される駆動力が駆
動力伝達制御機構により所要の配分比に調整される。こ
の調整は、駆動力伝達制御機構において行なわれ、変速
機構によって各出力軸側の部材と入力部側の部材との間
で回転差を与えられて、これらの各出力軸側の部材と入
力部側の部材との間に配設された油圧式トルク伝達機構
を係合させることで、この両部材間で駆動力の伝達が行
なわれて、左右の駆動力配分が調整される。
【0027】この調整のときに、駆動力伝達制御機構に
おいて行なわれ、変速機構によって各出力軸側の部材と
入力部側の部材との間で回転差を与えられて、これらの
各出力軸側の部材と入力部側の部材との間に配設された
油圧式クラッチ機構を係合させることで、この両部材間
で駆動力の伝達が行なわれて、左右の駆動力配分が調整
される。このときの油圧式クラッチ機構では、油圧調整
部から出力された作動油が、切替弁へ導かれる。そし
て、上述の油圧回路の油圧調整部及び切替弁は作動油に
満ちた油室に浸されており、これにより、上述の油圧経
路上の各接続部から漏れた作動油は油室内に貯蔵され、
油圧回路中にエアが混入しない。
【0028】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の車両用左右駆動力配分装置の油圧回路構造について説
明すると、図1はその油圧回路構造の構成を示す摸式的
回路図、図2はその左右駆動力配分装置の要部構成を示
す図(図11のA−A矢視断面図)、図3はその要部構
成を示す図(図11のB−B矢視断面図)、図4はその
要部構成を示す図(図11のC−C矢視断面図)、図5
はその左右駆動力配分装置の軸連結機構の要部正面図、
図6はその軸連結機構について要部構造を示す分解斜視
図、図7〜10はいずれもその軸連結機構の組み立て工
程を示す摸式的正面図、図11はその左右駆動力配分装
置の要部構成について下半部を回転断面で示す横断面
図、図12はその油圧回路構造の変形例の構成を示す摸
式的回路図、図13はその左右駆動力配分装置の要部構
成を模式的に示す構成図、図14〜21はいずれもその
左右駆動力配分装置の他の構成例を模式的に示す構成図
である。
【0029】この実施例の車両用左右駆動力配分装置
は、自動車における後輪の左右駆動力を行なうもので、
ここでは特に四輪駆動車の後輪側にそなえられ、センタ
ーディファレンシャル(図示省略)を通じて後輪側へ出
力された駆動力をプロペラシャフト(図示省略)を介し
て入力軸1に受けて、この駆動力を左右に配分できるよ
うになっている。
【0030】つまり、この装置は、図2〜4,11,1
3に示すように、自動車のエンジン出力のうち後輪側へ
配分された回転駆動力を入力される入力軸1と、入力軸
1から入力された駆動力を出力する第1及び第2の出力
軸2,3とを連結するように設けられおり、第1の出力
軸2はその左端を左輪の駆動系に連結され、第2の出力
軸3はその右端を右輪の駆動系に連結されている。
【0031】第1の出力軸2の基端と第2の出力軸3の
基端と入力軸1の後端との間には、差動機構S1と駆動
力伝達制御機構Sとが介装されており、これらの機構に
より、第1の出力軸2と第2の出力軸3との差動を許容
しながら第1の出力軸2と第2の出力軸3とに伝達され
る駆動力を所要の比率に配分できるようになっている。
【0032】特に、駆動力伝達制御機構Sは、変速機構
Aと伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての油圧式
多板クラッチ機構(以下、多板クラッチ機構という)B
とをそなえて構成されている。これらの変速機構A及び
多板クラッチ機構Bは、第1の出力軸2と入力軸1との
間及び第2の出力軸3と入力軸1との間に介装されてお
り、第1の出力軸2又は第2の出力軸3の回転速度が、
変速機構Aにより増速されて駆動力伝達補助部材として
の鞘軸7に伝えられるようになっている。
【0033】そして、多板クラッチ機構Bは、この鞘軸
7と入力軸1側のデファレンシャルケース(以下、デフ
ケースと略す)13との間に介装されており、この多板
クラッチ機構Bを係合させることで、高速側の鞘軸7か
ら低速側のデフケース13へ駆動力が返送されるように
なっている。これは、対向して配設されたクラッチ板に
おける一般的な特性として、トルクの伝達が、速度の速
い方から遅い方へ行なわれるためである。
【0034】したがって、例えば、第2の出力軸3と入
力軸1との間の多板クラッチ機構Bが係合されると、第
2の出力軸3へ配分される駆動力の一部は入力軸1側へ
返送されて、第2の出力軸3へ配分される駆動力が減少
して、この分だけ、第1の出力軸2へ配分される駆動力
が増加するようになっている。逆に、第1の出力軸2と
入力軸1との間の多板クラッチ機構Bが係合されると、
第1の出力軸2へ配分される駆動力の一部は入力軸1側
へ返送されて、第1の出力軸2へ配分される駆動力が減
少して、この分だけ、第2の出力軸3へ配分される駆動
力が増加するようになっている。
【0035】上述の変速機構Aは、2つのプラネタリギ
ヤ機構を直列的に結合してなるいわゆるダブルプラネタ
リギヤ機構で構成されており、第2の出力軸3に設けら
れた変速機構Aを例に説明すると次のようになる。
【0036】すなわち、第2の出力軸3に第1のサンギ
ヤ4Aが、スプライン及びサークリップ10により固着
されており、第1のサンギヤ4Aは、その外周において
第1のプラネタリギヤ5Aに螺合している。また、第1
のプラネタリギヤ5Aは、第2のプラネタリギヤ5Bと
一体に形成されており、本実施例では、同一の歯数で一
体の部品(つまり、1つのプラネタリギヤ)5として形
成されている。
【0037】これらの、第1のプラネタリギヤ5Aと第
2のプラネタリギヤ5Bとは、変速機構Aのケーシング
11に固着されたキャリア6にピニオンシャフト6Aを
介し枢支されており、第1のプラネタリギヤ5Aと第2
のプラネタリギヤ5Bとが、ピニオンシャフト6Aを中
心として同一の回転を行なうようになっている。
【0038】さらに、第2のプラネタリギヤ5Bは、第
2のサンギヤ4Bに螺合しており、第2のサンギヤ4B
は、第2の出力軸3に枢支された円筒状の鞘軸7に取り
付けられており、この鞘軸7を介して多板クラッチ機構
Bのクラッチ板8Aに連結されている。
【0039】ここで、多板クラッチ機構Bは、対向する
クラッチ板8Aとクラッチ板8Bとをデフキャリア12
内のデフケース13に格納するようにして装備されてお
り、クラッチ板8Bは、デフケース13内周の突起13
aに回転方向を係止されるようになっている。デフケー
ス13はディファレンシャル9を構成するベベルギヤ
(リングギヤ)9Aを固着されているため、多板クラッ
チ機構Bにおける他方のクラッチ板8Bは、デフケース
13及びベベルギヤ9Aを介して、入力軸1の後端を構
成するベベルギヤ(ドライブピニオン)9Bに連結され
ている。
【0040】すなわち、入力軸1は、ベベルギヤ9A,
ベベルギヤ9B及びデフケース13を介しクラッチ板8
Bに連結されており、入力軸1からベベルギヤ9A,ベ
ベルギヤ9B,デフケース13,差動機構15を介して
第1の出力軸2及び第2の出力軸3に伝達される通常の
駆動力伝達ルートの他に、第1の出力軸2又は第2の出
力軸3から変速機構A,鞘軸7,多板クラッチ機構B,
デフケース13,ベベルギヤ9A,ベベルギヤ9Bを介
して入力軸1側に通じる駆動力伝達ルートが設けられる
ことになる。
【0041】なお、図1の構造では、第1のサンギヤ4
Aと第2のサンギヤ4Bとは同一の径で形成されている
が、歯数は転移歯車により第1のサンギヤ4Aの方が第
2のサンギヤ4Bよりも多くなっている。したがって、
第2のサンギヤ4Bの回転速度は第1のサンギヤ4Aよ
りも大きく、変速機構Aは増速機構として構成されてい
る。このため、クラッチ板8Aの回転速度はクラッチ板
8Bよりも大きくなり、多板クラッチ機構Bを所要の結
合状態にした場合には、所要量のトルクが、第2の出力
軸3側から入力軸1側へ返送されるようになっている。
【0042】第1の出力軸2における変速機構A及び多
板クラッチ機構Bも、上記同様に装備されており、第1
の出力軸2から入力軸1側へのトルク伝達が制御される
ようになっている。
【0043】ところで、第1の出力軸2と第2の出力軸
3との差回転を許容する差動機構S1は、遊星歯車機構
で構成されており、これにより一対の多板クラッチ装置
Bと差動機構S1とが同一のデフキャリア12内に設け
られている。
【0044】つまり、差動機構S1としての遊星歯車機
構は、リングギヤ14とプラネタリギヤ15とサンンギ
ヤ16とをそなえ、リングギヤ14がデフケース13の
内周に形成され、サンギヤ16が第2の出力軸3に取り
付けられ、プラネタリギヤ15を軸支するキャリア17
が第1の出力軸2に取り付けられている。
【0045】これにより、デフケース13に入力された
駆動力は、リングギヤ14からプラネタリギヤ15に入
力されてキャリア17から第1の出力軸2に伝達される
一方で、リングギヤ14からプラネタリギヤ15を介し
てサンギヤ16に入力されて第1の出力軸2に伝達され
るようになっている。
【0046】なお、この遊星歯車機構において、プラネ
タリギヤ15はインナピニオンとアウタピニオンとの2
つのピニオンが噛合して一体化されたダブル形式で構成
されている。これらのインナピニオン及びアウタピニオ
ンは何れもキャリア17に枢支され、アウタピニオンが
リングギヤ14に螺合し、インナピニオンがサンンギヤ
16に螺合しており、サンンギヤ16側とリングギヤ1
4側との相対的な回転方向が一致するように設定されて
いる。
【0047】また、この差動機構S1は、デフケース1
3内において、一対の多板クラッチ機構Bの間に装備さ
れているが、差動機構S1を遊星歯車機構で構成してい
るため軸方向にコンパクトであり、差動機構S1及び多
板クラッチ機構Bを従来用いられているデフケース13
内に共に格納している。これにより、デフケース13を
格納するデフキャリア12も従来の部品で構成されてい
る。
【0048】なお、中空円筒状のデフケース13は、そ
の両端の小径部を、ベアリング18を介しデフキャリア
12の両端における開口部に枢支されている。
【0049】そして、多板クラッチ機構Bは、前述のよ
うに、クラッチ板8Aとクラッチ板8Bとをそなえて構
成されるそのクラッチ部B1をデフケース13内に配設
されるとともに、クラッチ部B1を駆動するピストン部
B2をデフケース13外に配設されている。
【0050】すなわち、デフキャリア12の両端開口部
には、中空円筒状に形成された変速機構Aのケーシング
11が、外方から嵌挿され、その基端小径部11Aがボ
ルト19により締めつけ固定されており、この基端小径
部11A内にはその内壁に沿い延在する摺動部20Aを
そなえたピストン20が設けられている。
【0051】ピストン20は、ケーシング11の基端小
径部11Aから大径部11Bに至る内壁に沿うように延
在して、小径の摺動部20Aと大径の摺動部20Bとを
そなえた段付きの中空円筒状に形成されている。
【0052】そして、小径の摺動部20Aと大径の摺動
部20Bとの間における環状鉛直面20Cが加圧面とし
て構成され、この加圧面20Cと、ケーシング11の基
端小径部11Aから大径部11Bに至る内壁面11Cと
の間に、油圧入力部としての加圧作動室(加圧室)20
Dが形成されている。
【0053】加圧作動室20Dには、図示しない作動油
供給用の油圧回路が接続されており、コントローラ等の
制御信号に基づき油圧源から所要の作動油圧が加圧作動
室20Dに供給され、ピストン20が所要量変位するよ
うになっている。
【0054】このようにして、多板クラッチ機構Bのピ
ストン部B2がデフケース13外のケーシング11内に
形成されているのである。
【0055】ここで、上述の油圧回路について説明する
と、この油圧回路は、油圧源である電動ポンプ70と、
この電動ポンプ70で加圧されチェック弁71を介して
送出された作動油を一定限度圧以下に制限するリリーフ
弁79と、この加圧された作動油を貯蔵するアキュムレ
ータ73と、アキュムレータ73からの作動油を調圧し
て出力する比例弁としての比例ソレノイド74と、この
比例ソレノイド74で調圧された作動油を左右の加圧作
動室20D、20Dのうちどちらか一方へのみ供給する
切替弁としてのオン・オフソレノイド76と、各部から
の排出油を一時貯蔵するオイルリザーバタンク77とを
備えている。
【0056】そして、前述のリリーフ弁79の設置部分
とアキュムレータ73の設置部分との油圧経路上には圧
力スイッチ72が設置され、比例弁74と切替弁76と
の間の油圧経路上に油圧センサ75が設置され、前述の
切替弁76と右輪の加圧作動室20Dとの間の油圧経路
上には圧力スイッチ78Rが配置され、前述の切替弁7
6と左輪の加圧作動室20Dとの間の油圧経路上には圧
力スイッチ78Lが配置されている。さらに、これらの
油圧ユニットを制御するコントローラ81が設けられて
いる。
【0057】したがって、電動ポンプ70で加圧された
作動油は、チェック弁71,圧力スイッチ72およびア
キュムレータ73を経て比例弁74へ導かれ、さらに切
替弁76を経て、左右いずれかのクラッチピストンの加
圧作動室20Dに供給されるようになっている。
【0058】ところで、比例弁74は供給電流に応じて
作動油圧を調整するソレノイドバルブであり、コントロ
ーラ81により油圧センサ75の検出信号に基づきフィ
ードバックしながら所要の油圧の作動油を出力できるよ
うに制御される。例えば、供給電流が0ならば出力油圧
も0となり、供給電流が最大のとき出力油圧も最大とな
るように、電流に比例して圧力調整をする。
【0059】また、油圧センサ75は、比例弁74のフ
ェイルも判定でき、比例弁74のフェイル時には、電動
ポンプ70の出力制御等で対処できる。
【0060】切替弁76は、左右いずれか一方の加圧作
動室20Dへ常に開通する2モード切替弁である。つま
り、切替弁76は、スプール76Aの態位により、左側
クラッチの油室(加圧作動室)20Dまたは右側クラッ
チの油室(加圧作動室)20Dのいずれか一方と、比例
弁74の出力側と連通させるようになっているスプール
弁であり、ソレノイド76Bにより駆動される。
【0061】このため、スプール76Aに、二つの弁体
部分76a、76bが形成され、これらの部分76a、
76bの間の空間76cが常時比例弁74の出力側と連
通していて、この空間76cに左右の油室20D、20
Dへ通じる油路のいずれか一方が連通するようになって
いる。そして、ソレノイド76Bが作動しないと、スプ
リング76Cによる付勢力でスプール76Aが後退して
(図中、右側を後方とする)右側の油室20Dに通じる
態位となり、ソレノイド76Bが作動するとスプリング
76Cに抗してスプール76Aが前進して左側の油室2
0Dに通じる態位となる。
【0062】したがって、このような切替弁76では、
コントローラ81の制御を通じて、常に左右の加圧作動
室20Dのうちどちらか一方へのみ油圧経路が開通する
ような機構になっている。
【0063】そして、このような油圧経路は、油漏れお
よびエアの混入がないよう完全密封する必要がある。し
かし、完全密封するためには、油圧経路を、ブロック状
のものからドリリングにより加工し、さらには接続部を
全てシール付き構造としなければならず、コスト高、重
量増を招きかねない。
【0064】そこで、ここでは、油圧回路の一部を作動
油で満たされたオイルタンク82に浸した構造として、
油圧回路途中からのエアの混入を避けるようになってお
り、オイルタンク82内においては接続部をシール付き
構造にする必要性をなくしている。
【0065】つまり、図1においては、スプール76A
の軸端側に油室76Dが形成され、この油室76Dに作
動油の一部が導かれるようにてっている。そして、この
油室76Dへ通じる油路76Eにソレノイド76Bで駆
動される弁76Fが設けられ、この弁76Fを開放する
ことで油室76Dに作動油が供給され、スプール76A
が図中右方に駆動されるようになっている。
【0066】また、油室76Dに作動油が供給されなけ
れば、リターンスプリング76Cにより、スプール76
Aは図中左方に位置する。
【0067】そして、切替弁76のスプール76Aとソ
レノイド76Bとを別体化することにより、ソレノイド
76Bと油圧回路の小型化を目指している。また、スプ
ール76Aはソレノイド76Bによって供給される作動
油により駆動される。
【0068】ところで、図12に示すように、上記の切
替弁に駆動力を加えない時には左右どちらの加圧作動室
20Dへも作動油を供給しない、中立のモードを持つ3
モード切替弁で構成することも考えられる。
【0069】ここで、3モード切替弁110は、スプー
ル110Aの態位により左側クラッチの油室(加圧作動
室)20Dまたは右側クラッチの油室(加圧作動室)2
0Dのいずれか一方と、比例弁74の出力側と連通させ
るか、あるいは左右の加圧作動室20Dのうちどちらの
油圧経路にも連通しないようになっているスプール弁で
あり、ソレノイド110B,110Cにより駆動され
る。つまり、スプール110Aに、二つの弁体部分11
0a,100bが形成され、これらの部分110a,1
10bの間の空間110cが常時比例弁74の出力側と
連通していて、この空間110cに左右の油室20D,
20Dへ通じる油路のいずれか一方が連通するか、ある
いは、どちらの油路にも連通しないようになっている。
【0070】そして、ソレノイド110B,110Cが
作動しないと、スプリング110D,110Eによる付
勢力が釣合い、スプール110Aが中央に移動し左右の
油室20D,20Dのどちらの油路にも連通しない態位
となる。また、ソレノイド110B,110Cが作動す
ると、スプリング110D,110Eのどちらか一方の
付勢力に抗してスプール110Aが移動し、左右の油室
20D,20Dのどちらかの油路に連通する態位とな
る。例えば、ソレノイド110Bを作動させると、シャ
フト110Fを通じてスプール110Aが図中左方へ駆
動され、左の油室20Dの油路に連通し、ソレノイド1
10Cを作動させると、シャフト110Gを通じてスプ
ール110Aが図中右方へ駆動され、右の油室20Dの
油路に連通する。
【0071】このような3モード切替弁110はコント
ローラ81により制御され、常に左右の加圧作動室20
Dのうちどちらか一方へのみ油圧経路が開通するか、あ
るいは、左右の加圧作動室20Dのうちどちらの油圧経
路にも連通しないような機構になっている。
【0072】この図12の油圧回路もその油圧回路の一
部を作動油で満たされたオイルタンク82に浸した構造
とされ、油圧回路途中からのエアの混入を避けるように
なっており、オイルタンク82内においては接続部をシ
ール付き構造にする必要性をなくしている。このため、
切替弁110のスプール110Aとソレノイド110
B,110Cとを別体化することにより、レノイド11
0B,110Cと油圧回路を小型化することができ、ま
た、スプール110Aはソレノイド110B,110C
によって供給される作動油により駆動される。
【0073】なお、オイルタンク82内部の油圧経路
は、油漏れの若干あるA/Tタイプ(オートマチックト
ランスミッション用制御油圧系の形式)のバルブボディ
とし、小型軽量化を図ることができる。
【0074】ところで、ピストン部B2における大径の
摺動部20Bの内周には、ベアリング21が嵌挿されて
おり、さらにベアリング21の内周には、鞘軸7が嵌挿
され、鞘軸7はベアリング21の内輪に固着されてい
る。
【0075】すなわち、ピストン部B2がデフケース1
3外において回転部(鞘軸7)に対しベアリング21を
介し装備されており、ピストン20が変位すると、ベア
リング21を介して鞘軸7が軸方向へ所要量駆動される
ようになっている。
【0076】そして、鞘軸7は多板クラッチ機構Bにお
けるクラッチ板8Aに接続されており、上記のように鞘
軸7が駆動されると、クラッチ板8Aが変位し、多板ク
ラッチ機構Bをクラッチ板8A,8Bが互いに離隔した
結合解除状態から、クラッチ板8A,8Bが滑りを伴い
ながら適当に係合した半結合状態、更には、クラッチ板
8A,8Bが完全に結合した完全結合状態まで適宜制御
できるようになっている。
【0077】ところで、鞘軸7は、その先端がスプライ
ン機構を介し、第2のサンギヤ4Bに連結されており、
常時、変速機構Aで変速された速度の回転を行なうが、
ピストン20は、鞘軸7との間にベアリング21が介装
されているため、回転を行なわない非回転式で構成され
ている。
【0078】これは、ピストン20とケーシング11内
壁との間に設けられたシール機構22を良好に保つため
であって、ピストン20は全く回転しないことが望まし
い。しかしながら、ベアリング21のみでは、ピストン
20は摩擦により連れ回りしてしまうため、ピストン部
B2においてピストン20とピストンリテーナとしての
ケーシング11との相対回転を規制する規制機構Cが設
けられている。
【0079】規制機構Cは、ケーシング11における鉛
直な内壁面11Cに、ピストン20側へ向け軸方向に延
在するように立設されたピン23と、このピン23を遊
挿されたピストン20の案内孔20Eとで構成されてお
り、ピストン20の変位に際し、ピストン20はピン2
3が案内孔20Eに案内されることにより、その回転を
規制されるようになっている。
【0080】そして、ピストン20とケーシング11と
の間に設けられたシール機構22は、次のように構成さ
れている。
【0081】すなわち、潤滑油(第2の液体)を内蔵さ
れた潤滑作動室(作動室)24がデフキャリア12とケ
ーシング11と包囲されて形成されており、ケーシング
11側の潤滑作動室24内に、ピストン20が摺動部2
0A,20Bをそなえて設けられている。特に、摺動部
20Aはケーシング11の基端小径部11A内に、摺動
部20Bはケーシング11の大径部11B内に位置して
いる。そして、摺動部20Aと摺動部20Bとの間のピ
ストン20の外壁面の段部と、基端小径部11Aと大径
部11Bとの間のケーシング11の内壁面11Cの段部
との間に、潤滑作動室24から仕切られ加圧作動油を供
給された加圧室20Dを形成されている。
【0082】潤滑作動室24に内蔵される潤滑油と加圧
室20Dに内蔵される作動油とは油の性質が異なるの
で、加圧室20D内の作動油に潤滑油が混入することや
潤滑作動室24内の潤滑油に作動油が混入することを防
止する必要がある。そこで、潤滑作動室24と加圧室2
0Dとの間の液密性を確保すべく、作動室24(つま
り、ケーシング11)の内壁とピストンの摺動部20
A,20Bとの間にそれぞれシール機構22が介装され
ている。
【0083】このシール機構22は、潤滑作動室側(デ
フケース13側,変速機構A側)に設けられた潤滑作動
室用シール(第2の液体用シール)22A,22Dと、
加圧室20D側に設けられた加圧室用シール(加圧作動
油用シール)22B,22Cとをそなえて構成され、潤
滑作動室用シール22A,22Dと加圧室用シール22
B,22Cとがその摺動範囲を相互に干渉しないように
離隔して配設されている。
【0084】すなわち、潤滑作動室用シール22A,2
2Dと加圧室用シール22B,22Cとの距離は、ピス
トン20のストロークの2倍以上に設定されており、そ
れぞれのシール22A,22B,22C,22Dがケー
シング11内壁上を摺動しても、内壁から掻き採った油
が異なる側の作動室内に浸入することのないように構成
されている。
【0085】なお、ここでは、各シール22A,22
B,22C,22Dは、ピストン20側に形成された環
状溝に摺動時に変形しにくいDリングを嵌合させて、D
リングの曲面側をケーシング11の内壁面11Cに摺接
させたものであり、ピストン20のストロークに伴うシ
ールの自転等を防止できるようになっている。
【0086】そして、潤滑作動室用シール22A,22
Dと加圧室用シール22B,22Cとの間に位置に対応
する潤滑作動室(ケーシング11)の内壁において、全
周に亘る溝25が形成されるとともに、潤滑作動室(ケ
ーシング11)の内壁下部において溝25からケーシン
グ11の外部に至るように外気連通路26が設けられて
いる。なお、溝25は、潤滑作動室用シール22Aの摺
動範囲と加圧室用シール22Bの摺動範囲との間、及
び、潤滑作動室用シール22Dの摺動範囲と加圧室用シ
ール22Cの摺動範囲との間で、各摺動範囲に干渉しな
い位置に配設されている。
【0087】これは、各シール22A,22B,22
C,22Dが掻き採ったオイルを溝25に滞留させて、
潤滑作動室24と加圧室20Dとのオイル干渉を防止す
るとともに、いずれかのシールが破損したとき、溝25
に滞留させた後、外気連通路26を通じて漏出したオイ
ルを外部に排出させ、シールの破損を検知できるように
するとともに、混合した油が潤滑作動室24や加圧室2
0D側へ逆流しないようにすることを期待して装備され
ている。
【0088】ところで、多板クラッチ機構Bのクラッチ
部B1は、デフケース13内に設けられているが、デフ
ケース13における左右の端部13A,13Bは、クラ
ッチ部B1の加圧に際しての支持部材として構成されて
いる。
【0089】すなわち、鞘軸7に連結された多板クラッ
チ機構Bのクラッチハブ8Cは、クラッチ部B1がデフ
ケース13内に設けられているため、クラッチ部B1よ
り中央側に配設され、クラッチハブ8Cとデフケース1
3の端部13A,13Bとの間にクラッチ部B1が挟ま
れるようにして装備されている。
【0090】クラッチ部B1の加圧に際しては、ピスト
ン20により加圧されるクラッチハブ8Cと、この加圧
力を支持する支持部材が必要であるが、加圧力を鞘軸7
のピストン20による引っ張り力とすることにより、デ
フケース13の端部13A,13Bが支持部材としての
機能を持つようになっている。
【0091】これにより、支持部材を装備するためのス
ペースが不要になり、装置の小型化がもたらされるよう
になっている。
【0092】上述のように、多板クラッチ機構Bは鞘軸
7の引っ張り作動により、その結合が行なわれるが、鞘
軸7は、組み立て上の要請から、デフケース13外にお
いて、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bと
に分割可能に構成されている。そして、ピストン部側部
材7Aとクラッチ部側部材7Bとは、連結機構Dにより
組み立て時に連結されるようになっている。
【0093】連結機構Dは、図1及び図5〜10に示す
ように構成されており、クラッチ部側部材7Bの連結す
べき端部に、軸方向へ延在するように形成されて先端に
周方向への膨大部27Aをそなえた鍵状突起27が設け
られている。
【0094】一方、クラッチ部側部材7Bの連結すべき
端部には、クラッチ部側部材7Bの鍵状突起27の軸方
向への進入を許容するように、軸方向へ延在するように
形成された進入溝28が設けられている。
【0095】そして、進入溝28の先端には、鍵状突起
27における膨大部27Aの周方向への回転により嵌合
する嵌合部28Aが形成されている。
【0096】さらに、内径をピストン部側部材7Aの外
径にほぼ等しく形成されたリング29が設けられ、リン
グ29の内周には、所要の大きさのストッパ29Aが内
方へ向け突設されており、ストッパ29Aは、鍵状突起
27の膨大部27Aと進入溝28の嵌合部28Aとの嵌
合時において発生する進入溝28と鍵状突起27との間
の遊びに埋設され、鍵状突起27の膨大部27Aと進入
溝28の嵌合部28Aとの嵌合状態を保持する保持部材
として構成されている。
【0097】ストッパ29Aは、ピストン部側部材7A
において鍵状突起27の立設された基部における膨大部
27Aの形成されない側に設けられた退避溝27Bに嵌
挿されうるように形成されており、退避溝27Bの軸方
向深さは、ストッパ29Aの軸方向長さと一致するよう
になっている。
【0098】また、ピストン部側部材7Aにおける進入
溝28の幅は、リング29におけるストッパ29Aの幅
と、ピストン部側部材7Aにおける鍵状突起27の幅と
を加算した値に一致するようになっている。
【0099】さらに、ピストン部側部材7Aの連結端か
ら所要の間隔をおいて、スナップリング取り付け溝27
Cが全周にわたり形成されており、リング29をクラッ
チ部側部材7B側へ駆動し、ストッパ29Aが進入溝2
8と鍵状突起27との間の遊びに埋設された状態になっ
たとき、スナップリング取り付け溝27Cにスナップリ
ング30を取り付けることにより、ストッパ29Aのピ
ストン部側部材7A側への退避が係止されるようになっ
ている。
【0100】このような構成により、鞘軸7におけるピ
ストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとの連結は
つぎのようにして行なわれる。
【0101】まず、図7に示すように、リング29をピ
ストン部側部材7Aに冠装し、ストッパ29Aを退避溝
27Bに進入させて完全に退避させる。これにより、ス
トッパ29Aの先端は、ピストン部側部材7Aにおける
連結端の先端縁に一致するようになる。
【0102】ついで、図8に示すように、ピストン部側
部材7Aの鍵状突起27を、クラッチ部側部材7Bの進
入溝28に進入させ、完全に進入したところで、ピスト
ン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとを相対的に回
転させて、図9に示すように、鍵状突起27の膨大部2
7Aを進入溝28の嵌合部28Aに嵌合させる。
【0103】これにより、膨大部27Aの背側には、進
入溝28との間に遊びが発生する。この遊びにストッパ
29Aを進入させるべく、図10に示すように、リング
29をクラッチ部側部材7B側へ移動させ、ストッパ2
9Aが遊びに埋設された状態にする。
【0104】さらに、スナップリング30をスナップリ
ング取り付け溝27Cに嵌め込むが、このとき、ストッ
パ29Aの後端は、スナップリング取り付け溝27Cの
直前にあるため、スナップリング30の嵌め込み作業は
容易に行なわれる。
【0105】そして、ストッパ29Aは、スナップリン
グ30によりピストン部側部材7A側への退避を係止さ
れるため、ストッパ29Aは、鍵状突起27の膨大部2
7Aと進入溝28の嵌合部28Aとの嵌合状態を保持す
る保持部材となる。
【0106】すなわち、進入溝28が鍵状突起27とス
トッパ29Aとにより充たされ、この状態がスナップリ
ング30により保持されるようになるため、ピストン部
側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとの間における回転
力の伝達は鍵状突起27及びストッパ29Aにより行な
われ、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bと
の間の軸方向への駆動力伝達は、鍵状突起27の膨大部
27Aと進入溝28の嵌合部28Aとの係合により行な
われる。
【0107】このように、本連結機構Dは、回転力と軸
力とを共に伝達できるようになっている。
【0108】なお、鍵状突起27、膨大部27A、進入
溝28、嵌合部28Aは、図6〜10に示すように平面
の集合から形成する他、図5に示すようになめらかな曲
線形状に形成してもよく、この場合は、膨大部27Aと
嵌合部28Aとの嵌合が、曲線形状に案内されて、スム
ーズに行なわれる。
【0109】そして、このようにして組み立てられた連
結機構Dが、デフケース13の軸受け部分に内設される
が、ここでは、図1に示すように、駆動力伝達補助部材
及びピストン駆動力伝達部材としての鞘軸7の連結機構
Dの部分は、ブッシュ35を介して、デフケース13の
軸受け部分に摺接されており、連結機構Dの外周面が軸
受け部分に直接摺接しないようになっている。
【0110】ところで、変速機構Aについては、その概
略を前述したが、以下に、その遊星歯車機構について詳
述する。
【0111】すなわち、本機構では、一体に形成された
第1のプラネタリギヤ5A及び第2のプラネタリギヤ5
Bに、第1のサンギヤ4A及び第2のサンギヤ4Bが螺
合しており、第2のサンギヤ4Bには鞘軸7を介しピス
トン20による変位力が軸方向に作用する。
【0112】したがって、第1のプラネタリギヤ5A、
第2のプラネタリギヤ5B、第1のサンギヤ4A及び第
2のサンギヤ4Bは、その軸方向両側から支承してやる
必要があり、このため、これらは、2分割式のプラネタ
リキャリア6(61,62)によりベアリング30を介
し挟持され、軸力をキャリア6が支承するようになって
いる。
【0113】2分割式のプラネタリキャリア6(61,
62)は、ボルト31により相互に固着されている。ま
た、プラネタリキャリア6(61,62)には、ピニオ
ンシャフト6Aの両端部を嵌挿すべく、ピニオンシャフ
ト取り付け穴61A,62Aが形成されている。
【0114】さらに、ピニオンシャフト6Aとプラネタ
リキャリア6(61,62)とを固定すべく、プラネタ
リキャリア62の外側面に接する所要の厚みのストッパ
リング32が設けられている。このストッパリング32
は、図3に示すような平面形状をそなえている。
【0115】そして、ピニオンシャフト6Aの先端部に
おいて所要の位置に嵌合溝33が設けられており、ピニ
オンシャフト取り付け穴61A,62Aを介しプラネタ
リキャリア61から外側へピニオンシャフト6Aの先端
部が突出した状態において、ストッパリング32の所要
部を嵌挿させうるようになっている。
【0116】ストッパリング32には、ピニオンシャフ
ト6Aの軸方向移動を許容するピニオンシャフト進入可
能部32Aと、ピニオンシャフト32の軸方向移動を嵌
合溝33との嵌合により係止するピニオンシャフト係止
部32Bとが設けられている。すなわち、ストッパリン
グ32におけるピニオンシャフト進入可能部32Aは、
ストッパリング32の内周を切り欠いた凹みで構成さ
れ、ピニオンシャフト進入可能部32A以外の部分は、
ピニオンシャフト6Aの挿通を許容しないようになって
いる。
【0117】一方、ピニオンシャフト6Aにおける嵌合
溝33は、ピニオンシャフト6Aの先端部の半径方向外
側へ開口し、ピニオンシャフト6Aにおける直径の1/
3程度の深さで形成されている。
【0118】そして、ストッパリング32におけるピニ
オンシャフト係止部32Bは、ストッパリング32の内
周の径をピニオンシャフト6Aにおける嵌合溝33の底
より少し大きい状態にすることにより、ストッパリング
32の内周部が嵌合溝33と嵌合してピニオンシャフト
6Aを軸方向に係止するように構成されている。
【0119】さらに、ストッパリング32と嵌合溝33
との嵌合状態においてボルト31のプラネタリキャリア
6Aへの装着を許容するボルト取り付け部としてボルト
取り付け穴32Cが設けられている。
【0120】これは、ストッパリング32を嵌合溝33
と嵌合させる状態で回転させていくと、ボルト取り付け
穴32Cを通じてプラネタリキャリア6(61,62)
に形成されたボルト取り付け穴62Bが覗けるようにな
り、この状態で、ボルト31の取り付けが行なわれるよ
うになっている。
【0121】このような構成により、ピニオンシャフト
6Aの固定作業は次のように行なわれる。
【0122】まず、ピニオンシャフト取り付け穴61
A,62Aを通じ、ピニオンシャフト6Aを出力軸2,
3の軸端側から嵌挿する。このとき、プラネタリキャリ
ア62の外側面にストッパリング32を当接させ、ピニ
オンシャフト進入可能部32Aをピニオンシャフト取り
付け穴61A,62Aに整合させる。
【0123】ピニオンシャフト6Aは、ピニオンシャフ
ト取り付け穴61A,62A及びピニオンシャフト進入
可能部32Aを通じて挿通され、その先端がプラネタリ
キャリア62外側面から突出する状態となり、この状態
で、ピニオンシャフト6Aの嵌合溝33を半径方向にお
ける外方へ向かわせるようにピニオンシャフト6Aを回
転調整する。
【0124】この後、ストッパリング32を回転させ、
ボルト取り付け穴32Cからプラネタリキャリア62の
ボルト取り付け穴62Bが覗けるように調整する。
【0125】これにより、ストッパリング32の内周部
で構成されるピニオンシャフト係止部32Bが自動的に
ピニオンシャフト6Aの嵌合溝33に嵌合し、ピニオン
シャフト6Aはその軸方向移動を係止されるようにな
る。
【0126】そして、ボルト取り付け穴62Bを通じボ
ルト31を締めつけることにより、プラネタリキャリア
6(61,62)が締めつけ固定され、ピニオンシャフ
ト6Aの固定が完了する。
【0127】なお、ボルト31はその取り付け時におい
て、頭部上端がストッパリング32の外表面から突出す
るように形成されており、ストッパリング32が回転し
ようとしても、ボルト31の頭部がストッパリング32
のボルト取り付け穴32C周縁を係止することにより、
その回転が禁止される。
【0128】このようにして、2分割式のプラネタリキ
ャリア6(61,62)結合に際しての整合と、ピニオ
ンシャフト6A取り付けのための整合とが同時に容易に
行なわれ、ピニオンシャフト6Aごとに固定作業を行な
うことなく、ストッパリング32取り付けのみの少ない
工数で作業が完了する。
【0129】ところで、ピニオンシャフト6Aと第1の
プラネタリギヤ5A及び第2のプラネタリギヤ5Bとの
潤滑機構は次のように構成されている。
【0130】すなわち、図3に示すように、プラネタリ
キャリア62において、車載した場合の上端部にあたる
部分に、オイル溜まり41が設けられるとともに、この
オイル溜まり41から各ピニオンシャフト取り付け穴6
2Aへ連通するオイル供給孔42が設けられている。
【0131】そして、ピニオンシャフト6Aには、その
軸心部において軸方向に延在するピニオンシャフト側オ
イル供給孔6Bが形成されるとともに、ピニオンシャフ
ト側オイル供給孔6Bからピニオンシャフト6Aの外周
へ連通するオイル導出路6Cが設けられている。
【0132】ピニオンシャフト側オイル供給孔6Bは、
ピニオンシャフト6Aの端部において外周へ連通してお
り、この連通口及びプラネタリキャリア62における取
り付け穴62A内周のオイル供給孔42の開口が整合さ
れて、ピニオンシャフト側オイル供給孔6Bとオイル供
給孔42とが、ピニオンシャフト6Aの端部及び取り付
け穴62Aを介し連通している。
【0133】このような構造により、装置の運転が行な
われると、第1のプラネタリギヤ5A及び第2のプラネ
タリギヤ5Bが出力軸2,3を中心とする回転を行な
い、ケーシング11内の潤滑油が掻き上げられる。
【0134】これにより、掻き上げられた潤滑油は、プ
ラネタリキャリア62上端のオイル溜まり41に滴下
し、滞留する。こうして、オイル溜まり41内に滞留し
た潤滑油は、重力の作用によりオイル供給孔42を通じ
て各ピニオンシャフト6Aの取り付け穴62Aに供給さ
れる。
【0135】供給された潤滑油は、ピニオンシャフト6
A軸心部のピニオンシャフト側オイル供給孔6Bに進入
し、オイル導出路6Cを通じてピニオンシャフト6A外
周におけるプラネタリギヤ5A,5Bの枢支部に導出さ
れる。
【0136】これにより、新たな加圧機構を装備するこ
となく、効率のよい潤滑が行なわれ、プラネタリキャリ
ア6(61,62)を固定式に装備するという特徴を利
用して重力による潤滑油供給が実現する。
【0137】ところで、変速機構Aにおける第1のプラ
ネタリギヤ5A及び第2のプラネタリギヤ5Bは、前述
のように同一歯数で一体のピニオン5として形成されて
いるが、これらの第1及び第2のプラネタリギヤ5A,
5Bは、一般的には、11図を参照して既に説明したよ
うな、異なる歯数で形成する。
【0138】しかしながら、このように異なる歯数で形
成する場合は、第1のプラネタリギヤ5Aと第2のプラ
ネタリギヤ5Bとの間に歯切りのための製作用遊びを必
要とする。
【0139】したがって、変速機構Aがその幅方向に大
型化し、限られた小さなスペース内に装備すべき本装置
に対する条件を満足できなくなり、本装置の実車への装
備を行なえなくなる。
【0140】そこで、本実施例では、第1のプラネタリ
ギヤ5Aと第2のプラネタリギヤ5Bとを同一の歯数で
一体に形成し、これに螺合する第1のサンギヤ4Aと第
2のサンギヤ4Bとの歯数を転位により異なるもので構
成している。
【0141】これにより、第1のプラネタリギヤ5Aと
第2のプラネタリギヤ5Bとの間の製作用遊びを必要と
しなくなり、幅を小さくできるようになって、変速機構
Aを幅方向に小型化し、実車への装備を可能にしてい
る。
【0142】なお、図2,4において、符号11aはレ
ベルプラグ、11bはマグネットプラグ、11cはエア
ブリーダ、11dは油圧供給口である。
【0143】本発明の一実施例としての車両用左右駆動
力配分装置は、上述のように構成されるため、以下のよ
うに作動する。
【0144】まず、入力軸1の駆動トルクを、第1の出
力軸2により多く伝達したい場合には、その配分の割合
に応じて、第2の出力軸3側の多板クラッチ機構Bに所
要の流体圧を供給する。
【0145】これにより、第2の出力軸3側の多板クラ
ッチ機構Bが所要の結合状態となり、変速機構Aにより
増速されたクラッチ板8Aから通常の回転速度であるク
ラッチ板8Bへトルク伝達が行なわれて、第2の出力軸
3へ入力された駆動トルクのうちの所要量が入力軸1へ
返送され、これに応じて、第1の出力軸2へ転送され
る。
【0146】したがって、第1の出力軸2へ伝達される
駆動トルクが第2の出力軸3へ伝達される駆動トルクよ
り所要量多くなり、目標とするトルク配分が実現され
る。
【0147】一方、第2の出力軸3へのトルク配分を第
1の出力軸2へ伝達される駆動トルクより大きくする場
合は、上述とは逆に、第1の出力軸2側の多板クラッチ
機構Bへ所要の流体圧を供給する。
【0148】これにより、上記同様にして、第2の出力
軸3への配分比が多い状態でのトルク配分が実現され
る。
【0149】また、配分比の大小は、多板クラッチ機構
Bへ供給される流体圧の大小で調整され、ピストン20
の変位量の制御により多板クラッチ機構Bの結合度を調
整することにより、返送されるトルク量を調整して行な
われる。
【0150】このような機構によれば、ブレーキ等のエ
ネルギーロスを用いてトルク配分を調整するのでなく、
一方のトルクの所要量を他方に転送することによりトル
ク配分が調整されるため、ほとんどトルクロスやエネル
ギロスを招来することなく、所望のトルク配分を得るこ
とができる。
【0151】また、ピストン20の駆動に際して、3モ
ード切替弁110により、作動油は左右の加圧作動室2
0D,20Dへ接続される2本の油圧経路のうちどちら
か一方へのみ供給されるか、あるいは作動油はどちらへ
も供給されないようになっているので左右の多板クラッ
チ機構Bへ同時に流体圧が供給されるおそれが解消され
る。
【0152】すなわち、電動ポンプ70で加圧された作
動油はチェック弁71、圧力スイッチ72およびアキュ
ムレータ73を経て比例弁74へ導かれ、この比例弁7
4ではコントローラ81を通じて、作動油が所要の油圧
に調整されて3モード切替弁110に送られる。そし
て、作動油はこの3モード切替弁110から左右の加圧
作動室20D,20Dへ接続される2本の油圧経路のう
ち、どちらか一方を通りピストン20を変位させてクラ
ッチを連結させるか、あるいは、どちらの油圧経路にも
連通しないで、いずれのピストン20にも作動油を供給
しない。
【0153】また、比例弁74がフェイルした場合は、
油圧センサ75によってこれが感知され、これによって
電動ポンプ70の出力を制御するか、あるいは、3モー
ド切替弁110のスプール110Aを中立な状態にし
て、作動油を左右の加圧作動室20D,20Dへ供給し
ないようにする。これによって、多板クラッチ機構Bの
ロックを防ぐことができる。
【0154】同様に、切替弁76がフェイルした場合
は、圧力スイッチ78Rまたは圧力スイッチ78Lによ
ってこれを感知し、コントローラ81によって比例弁7
4の出力が制御される。したがって、切替弁76から多
板クラッチ機構Bまでの油路には、作動油が供給されな
くなる。このため、切替弁76がフェイルしても、左右
どちらかの多板クラッチ機構Bのうち一方だけがロック
することがない。
【0155】同様に、3モード切替弁110がソレノイ
ド110B,110Cの原因によりフェイルした場合
は、圧力スイッチ78Rまたは圧力スイッチ78Lによ
ってこれを感知し、コントローラ81によってソレノイ
ド110B,110Cへの電流の供給を制御する。この
ため、リターンスプリング110D,110Eの付勢力
により、スプール110Aは中立な状態となって、ピス
トン20には作動油が供給されなくなる。
【0156】また、3モード切替弁110のスプール1
10aがフェイルした場合は、圧力スイッチ78Rまた
は圧力スイッチ78Lによってこれを感知し、コントロ
ーラ81によって比例弁74の出力を制御することで、
3モード切替弁110から多板クラッチ機構Bまでの油
路には、作動油が供給されなくなって、ピストン20に
は作動油が供給されなくなる。
【0157】このようにして、3モード切替弁110が
フェイルしても、左右いずれの多板クラッチ機構Bも係
合あるいは結合せずに、左右のトルク配分が望まない状
態に制御されることを回避できる。
【0158】また、電動ポンプ70がフェイルした場合
は、圧力スイッチ72によってこれを感知しコントロー
ラ81によって比例弁74を制御し余分な作動油をオイ
ルリザーバタンク77へもどす。したがって、電動ポン
プ70によって供給された作動油は、3モード切替弁1
10へは供給されないので、多板クラッチ機構Bのロッ
クを防ぐことができる。
【0159】そして、油圧回路の一部をオイルタンク8
2に浸した構造とすることで、油漏れの若干あるA/T
タイプのバルブボディをこの油圧回路に適用でき、低コ
ストで油圧調整精度を確保でき、微調整の可能な油圧式
クラッチの油圧回路を構成できるようになって、駆動力
制御の性能を十分に確保できるようになる。また、油圧
系の小型軽量化を図ることが可能となる。
【0160】ところで、多板クラッチ機構Bにおけるク
ラッチ部B1の作動は、デフケース13外に配設された
ピストン部B2を駆動することにより、デフケース13
内に配設されたクラッチ部B1を加圧することで行なわ
れるが、このように、クラッチ部B1がデフケース13
内に設けられることで、車両用左右駆動力配分装置が幅
方向に小型化される。
【0161】また、ピストン部B2をデフケース13外
に設けることにより、ピストン20の外径をデフケース
13の外径に制限されることなく設定できるようにな
り、ピストン20の有効加圧面積を大きく確保できるよ
うになる。
【0162】これにより、クラッチ部B1において必要
な結合力を、ピストン20の小さなストロークにより得
られるようになり、車両用左右駆動力配分装置の幅方向
の小型化が実現する。
【0163】また、クラッチ部B1の加圧に際しては、
クラッチハブ8Cが鞘軸7を介しピストン20により引
っ張られ、クラッチ板8Aとクラッチ板8Bとが押圧さ
れることにより行なわれる。このとき、押圧はクラッチ
板8Bがデフケース13の端部13A,13Bにより支
持されることにより行なわれ、デフケース13が支持部
材となって、多板クラッチ機構Bの結合が行なわれる。
【0164】すなわち、通常多板クラッチ機構Bでは、
押圧力を支持する反力部材(支持部材)を必要とする
が、鞘軸7が多板クラッチ機構Bの結合時に引張部材と
して構成されていることにより、デフケース13を支持
部材とすることができるようになる。
【0165】したがって、デフケース13を支持部材と
して利用できるため、あらためて支持部材を設ける必要
がなくなり、車両用左右駆動力配分装置が幅方向に小型
化される。
【0166】ところで、上述の多板クラッチ機構B結合
を行なうため、ピストン20の駆動が行なわれるが、ピ
ストン20は、規制機構Cを付設されており、そのスト
ロークに際しピン23を案内孔20Eにより案内される
とともに、ピストン20の回転を規制される。
【0167】すなわち、ピストン20は、鞘軸7にベア
リング21を介し装備されているため、鞘軸7の回転駆
動に際し、ベアリング21における摩擦により、ピスト
ン20は回転力を受け、ピン23及び案内孔20Eによ
る回転規制がない場合には、ピストン20が回転を行な
って、ピストン20のシール機構22等が短期間のうち
に消耗し易くなり、本実施例の機構を実現し難い。しか
し、規制機構Cによりピストン20の回転を規制される
ので、シール機構22の性能が長期にわたり安定して確
保される。
【0168】また、多板クラッチ機構Bのクラッチ部B
1とピストン部B2とは、鞘軸7により連結され、これ
により、クラッチ部B1をデフケース13内に装備し、
ピストン部B2をデフケース13外に装備することが可
能になっている。
【0169】そして、クラッチ部B1の装備は、予めデ
フケース13内に組み込んだ状態でデフキャリア12に
取り付けることにより行なわれ、ピストン部B2の装備
も、予め変速機構Aのケーシング11内に組み込んだ状
態で行なわれる。
【0170】したがって、クラッチ部B1とピストン部
B2とを連結する鞘軸7は、デフケース13側と変速機
構A側とで分割可能に構成される必要があり、本実施例
では、ピストン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bと
に分割され、連結機構Dにより連結される。
【0171】これにより、クラッチ部B1をデフケース
13内に装備しながら、ピストン部B2を変速機構A側
に装備することができ、本実施例の機構が組み立て可能
になる。
【0172】そして、連結機構Dによる鞘軸7のピスト
ン部側部材7Aとクラッチ部側部材7Bとの連結は、連
結機構Dの構成の説明とともに前述したとおり、容易に
行なわれ、変速機構Aからの回転力の伝達と、多板クラ
ッチ機構Bにおけるピストン部B2の軸方向への駆動力
伝達とが、連結機構Dの特性により確実に行なわれる。
【0173】また、変速機構Aにおけるプラネタリキャ
リア6(61,62)は、第2のサンギヤ4Bに軸方向
の駆動力が作用するため、2分割式に構成する必要があ
り、本実施例では、プラネタリキャリア61とプラネタ
リキャリア62とは、前述した通りの手順で、ストッパ
リング32を用いて容易に行なわれ、作業性良く、変速
機構Aの組み立てが行なわれる。
【0174】さらに、変速機構Aにおける第1のプラネ
タリギヤ5A及び第2のプラネタリギヤ5Bとピニオン
シャフト6Aとの潤滑は、前述したとおり、オイル溜ま
り41、オイル供給孔42、ピニオンシャフト側オイル
供給孔6B及びオイル導出路6Cを通じて支障なく行な
われる。
【0175】また、これらの潤滑機構により、新たな加
圧機構の装備を必要としなくなり、本実施例の機構の小
型化が実現する。
【0176】ところで、ピストン部B2におけるシール
機構22は、次のような作動を行なう。
【0177】すなわち、潤滑作動室用シール22A,2
2Dと加圧室用シール22B,22Cとがその摺動範囲
を相互に干渉しないように離隔して配設されているた
め、潤滑油を所要量内蔵された潤滑作動室24としての
デフキャリア12内及びケーシング11内と、ピストン
20により仕切られ加圧作動油を供給された加圧室20
Dとが確実に液密性を確保される。
【0178】したがって、ピストン20はその摺動によ
り、内壁に油膜を生成し、この油膜を掻きとることによ
り、潤滑油と加圧作動油とが相互に混入してしまう可能
性があるが、シール間の距離により、加圧室用シール2
2B,22Cが潤滑作動室24内壁の油膜を掻き入れる
ことはなく、また、潤滑作動室用シールが22A,22
Dが加圧室20D内の加圧作動油を掻き入れることはな
いため、各作動室内の動作が良好に行なわれる。
【0179】すなわち、潤滑作動室24内には、厚い油
膜を生成すべく、比較的粘度の高い油(ハイポイドギヤ
オイル等)が潤滑油として内蔵され、加圧室20Dには
ピストン20の作動応答性を良くするため、比較的粘度
の低いATF(オートマチックトランスミッションフル
ード)やパワステ油等が用いられる。したがって、これ
らの油相互の混入が発生した場合には、潤滑作動室24
で焼きつきが発生する可能性があるとともに、加圧室2
0Dでピストン20の作動応答性が悪化する可能性があ
るが、上述の作動により、これらの不具合が回避され、
本実施例の機構が長期にわたり安定して運転される。
【0180】そして、シール機構22において、潤滑作
動室用シール22A,22Dと加圧室用シール22B,
22Cとの間に位置に対応する潤滑作動室24の内壁に
は、全周に亘る溝25が形成されるとともに、潤滑作動
室24の内壁下部に形成された溝25に至る外気連通路
26が設けらているため、潤滑作動室24と加圧室20
Dから漏洩した潤滑油もしくは加圧作動油は、内壁にお
いて全周に亘る溝25に滞留し、潤滑作動室24及び加
圧室20Dには浸入しないため、各作動室内の動作が良
好に行なわれる。
【0181】また、シール機構22が破損した場合に
は、破損した側のオイルが外気連通路26を通じて漏出
し、その状況がすぐに発見される。
【0182】また、この油圧回路構造は、上述の図1
1,13に示すような構成の車両用左右駆動力配分装置
に限らず、以下の図14〜21に示すような種々の車両
用左右駆動力配分装置にも適用できる。ここで、これら
の種々の車両用左右駆動力配分装置について説明する。
例えば図14に示す車両用左右駆動力配分装置は、駆動
力伝達制御機構109Aの変速機構120が実施例のも
のと異なっており、第1のサンギヤ120Aが第2のサ
ンギヤ120Eよりも小さい径に形成されているので、
第2のサンギヤ120Eの回転速度は第1のサンギヤ1
20Aよりも小さくなり、この変速機構120は減速機
構としてはたらくようになっている。
【0183】したがって、通常走行時には、クラッチ板
112Aの回転速度がクラッチ板112Bよりも小さく
なって、右輪側の多板クラッチ機構112を係合させた
場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、入力軸
1側から右輪回転軸3側へ送給されるようになってい
る。一方、左輪回転軸2にそなえられる変速機構120
及び伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての多板ク
ラッチ機構112も、同様に構成されており、入力軸1
からの駆動トルクを左輪回転軸2により多く配分したい
場合には、その配分したい程度(配分比)に応じて左輪
回転軸1側の多板クラッチ機構112を適当に係合し、
右輪回転軸3により多く配分したい場合には、その配分
比に応じて右輪回転軸3側の多板クラッチ機構112を
適当に係合する。
【0184】このとき、図13に示す実施例の装置と同
様に、多板クラッチ機構112が油圧駆動式であるか
ら、油圧の大きさを調整することで多板クラッチ機構1
12の係合状態を制御でき、入力軸1から左輪回転軸2
又は右輪回転軸3への駆動力の送給量(つまりは駆動力
の左右配分比)を適当な精度で調整することができるよ
うになっている。
【0185】また、実施例の装置と同様に、左右の多板
クラッチ機構112が共に完全係合することのないよう
に設定されており、左右の多板クラッチ機構112のう
ち一方が完全係合したら他方の多板クラッチ機構112
は滑りを生じるようになっている。そして、多板クラッ
チ機構112を駆動するために、前述の油圧回路構造
(図1又は図12参照)を設けられている。
【0186】なお、符号111は、実施例中の符号7に
相当し、中空軸(鞘軸)を示している。また、図15に
示す車両用左右駆動力配分装置は、駆動力伝達制御機構
109Cの変速機構131及び多板クラッチ機構142
が前述のものと異なっている。ここでも、右側の装置に
ついて説明する。なお、符号108は差動機構(リヤデ
フ)である。
【0187】変速機構131は、入力軸1側のデフケー
ス108Aの左右側部にそれぞれ設けられ、2組の直列
な遊星歯車機構からなり、第1のサンギヤ131Aと第
2のサンギヤ131Eと第1のプラネタリギヤ131B
と第2のプラネタリギヤ131Dとピニオンシャフト1
31Cとプラネタリキャリア131Fとからなり、第1
のサンギヤ131Aのプレート部分は駆動力伝達補助部
材141になっている。
【0188】そして、この駆動力伝達補助部材141と
右輪回転軸3との間に、伝達容量可変制御式トルク伝達
機構としての多板クラッチ機構142が介設される。こ
の多板クラッチ機構142は、回転軸3側のクラッチ板
142Bと駆動力伝達補助部材141側のクラッチ板1
42Bとが交互に重合してなり、図示しない油圧系から
供給される油圧に応じて、その係合状態を調整される。
【0189】このため、多板クラッチ機構142が係合
すると、回転軸3側から、多板クラッチ機構142,第
1のサンギヤ131A,第1のプラネタリギヤ131
B,第2のプラネタリギヤ131D,第2のサンギヤ1
31Eを経て、入力軸1側のデフケース108Aへ至る
駆動力の伝達路が形成される。ここでは、第1のサンギ
ヤ131Aが第2のサンギヤ131Eよりも大きい径に
形成されているので、第2のサンギヤ131Eの回転速
度は第1のサンギヤ131Aより大きくなり、この変速
機構131は駆動力伝達補助部材141を入力軸1側よ
りも減速する減速機構としてはたらくようになってい
る。
【0190】したがって、クラッチ板142Aの回転速
度がクラッチ板142Bよりも大きく、多板クラッチ機
構142を係合させた場合には、この係合状態に応じた
量のトルクが、右輪回転軸3側から入力軸1側へ送給
(返送)されるようになっている。一方、左輪回転軸2
にそなえられる変速機構131及び多板クラッチ機構1
42も、同様に構成されており、入力軸1からの駆動ト
ルクを左輪回転軸2により多く配分したい場合には、そ
の配分したい程度(配分比)に応じて右輪回転軸3側の
多板クラッチ機構142を適当に係合し、右輪回転軸3
により多く配分したい場合には、その配分比に応じて左
輪回転軸2側の多板クラッチ機構142を適当に係合す
る。
【0191】このとき、多板クラッチ機構142が油圧
駆動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板
クラッチ機構142の係合状態を制御でき、入力軸1か
ら左輪回転軸2又は右輪回転軸3への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。また、左右の多板ク
ラッチ機構142が共に完全係合することのないように
設定されており、左右の多板クラッチ機構142のうち
一方が完全係合したら他方の多板クラッチ機構142は
滑りを生じるようになっている。
【0192】そして、多板クラッチ機構142を駆動す
るために、前述の油圧回路構造(図1又は図12参照)
を設けられている。また、図16に示す車両用左右駆動
力配分装置は、前述の装置(図15参照)とほぼ同様
に、駆動力伝達制御機構109Dに変速機構132及び
多板クラッチ機構142を配置しているが、ここでは、
第1のサンギヤ132Aが第2のサンギヤ132Eより
も小さい径に形成されている。このため、第2のサンギ
ヤ132Eの回転速度は第1のサンギヤ132Aよりも
小さくなり、この変速機構132は駆動力伝達補助部材
141を入力軸1側よりも増速する増速機構としてはた
らくようになっている。
【0193】したがって、クラッチ板142Aの回転速
度がクラッチ板142Bよりも小さく、多板クラッチ機
構142を係合させた場合には、この係合状態に応じた
量のトルクが、入力軸1側から右輪回転軸3側へ送給さ
れるようになっている。一方、左輪回転軸2にそなえら
れる変速機構132及び多板クラッチ機構142も、同
様に構成されており、入力軸1からの駆動トルクを左輪
回転軸2により多く配分したい場合には、その配分した
い程度(配分比)に応じて左輪回転軸2側の多板クラッ
チ機構142を適当に係合し、右輪回転軸3により多く
配分したい場合には、その配分比に応じて右輪回転軸3
側の多板クラッチ機構142を適当に係合する。
【0194】なお、多板クラッチ機構142が油圧駆動
式であるから、油圧の大きさを調整することで多板クラ
ッチ機構142の係合状態を制御でき、入力軸1から左
輪回転軸2又は右輪回転軸3への駆動力の送給量(つま
りは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整すること
ができるようになっている。また、左右の多板クラッチ
機構142が共に完全係合することのないように設定さ
れており、左右の多板クラッチ機構142のうち一方が
完全係合したら他方の多板クラッチ機構142は滑りを
生じるようになっている。
【0195】そして、多板クラッチ機構142を駆動す
るために、前述の油圧回路構造(図1又は図12参照)
を設けられている。また、図17に示す車両用左右駆動
力配分装置は、駆動力伝達制御機構109Eにおいて、
回転軸2,3と並行に軸(カウンタシャフト)151が
設けられ、この軸151には、中径の歯車152と大径
の歯車153と小径の歯車154とがそなえられ、一方
の回転軸2には、中径の歯車152と噛合する中径の歯
車159がそなえられ、他方の回転軸3には、大径の歯
車153と噛合する小径の歯車155と小径の歯車15
4と噛合する大径の歯車156とが設けられる。これら
の歯車159,152,153,155の組み合わせ
で、変速機構としての増速機構が構成され、歯車15
9,152,154,156の組み合わせで、変速機構
としての減速機構が構成される。
【0196】そして、回転軸3と小径の歯車155との
間及び回転軸3と大径の歯車156との間には、それぞ
れ、伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての油圧式
の多板クラッチ157,158が介装されている。な
お、多板クラッチ157,158を軸151上に設けて
もよい。これにより、軸151は回転軸2と等速で回転
するが、回転軸3の小径の歯車155は、これらの軸1
51や回転軸2よりも高速で回転し、左右輪で差動があ
まり生じない通常走行時には回転軸3よりも高速で回転
する。また、回転軸3の大径の歯車156は、これらの
軸151や回転軸2よりも低速で回転し、左右輪で差動
があまり生じない通常走行時には回転軸3よりも低速で
回転する。
【0197】したがって、多板クラッチ157を係合す
ると、回転軸3よりも高速の小径の歯車155側から回
転軸3側へトルクが伝達され、この分だけ回転軸2側へ
のトルクが減少する。また、多板クラッチ158を係合
すると、回転軸3側から回転軸3よりも低速の大径の歯
車156側へトルクが返送され、この分だけ回転軸2側
へのトルクが増加する。
【0198】そして、多板クラッチ機構157,158
が油圧駆動式であるから、油圧の大きさを調整すること
で多板クラッチ機構157,158の係合状態を制御で
き、入力軸1から左輪回転軸2又は右輪回転軸3への駆
動力の送給量(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な
精度で調整することができるようになっている。また、
2つの多板クラッチ機構157,158が共に完全係合
することのないように設定されており、2つの多板クラ
ッチ機構157,158のうち一方が完全係合したら他
方は滑りを生じるようになっている。
【0199】そして、多板クラッチ機構157,158
を駆動するために、前述の油圧回路構造(図1又は図1
2参照)を設けられている。また、図18に示す例で
は、実施例の装置(図13参照)と同様に、回転駆動力
を入力される入力軸1と、入力軸1から入力された駆動
力を出力する左輪回転軸2及び右輪回転軸3とが設けら
れており、これらの回転軸2,3と入力軸1との間に車
両用左右駆動力配分装置が介装されている。
【0200】そして、この車両用左右駆動力配分装置の
駆動力伝達制御機構109Fは、次のような構成によ
り、左輪回転軸2と右輪回転軸3との差動を許容しなが
ら、左輪回転軸2と右輪回転軸3とに伝達される駆動力
を所要の比率に配分できるようになっている。すなわ
ち、左輪回転軸2と入力軸1との間及び右輪回転軸3と
入力軸1との間に、それぞれ変速機構160と多板クラ
ッチ機構112とが介装されており、左輪回転軸2又は
右輪回転軸3の回転速度が、変速機構160により減速
されて変速機構の出力部(駆動力伝達補助部材)として
の中空軸111に出力されるようになっている。
【0201】多板クラッチ機構112は、この中空軸1
11と入力軸1側のデファレンシャルケース(以下、デ
フケースと略す)108Aとの間に介装されており、こ
の多板クラッチ機構112を係合させることで、高速側
のデフケース108Aから低速側の中空軸111へ駆動
力が送給されるようになっている。これは、対向して配
設されたクラッチ板における一般的な特性として、トル
クの伝達が、速度の速い方から遅い方へ行なわれるため
である。
【0202】したがって、例えば、右輪回転軸3と入力
軸1との間の多板クラッチ機構112が係合されると、
右輪回転軸3へ配分される駆動力は、多板クラッチ機構
112を介して入力軸1側からの直接ルートで増加され
て、この分だけ、左輪回転軸2へ配分される駆動力が増
加する。上述の変速機構160は、1つのプラネタリギ
ヤ機構で構成されており、右輪回転軸3に設けられた変
速機構160を例に説明すると次のようになる。
【0203】すなわち、右輪回転軸3にはサンギヤ16
0Aが固着されており、このサンギヤ160Aは、その
外周においてプラネタリギヤ(プラネタリピニオン)1
60Bに噛合している。プラネタリギヤ160Bを枢支
するピニオンシャフト160Cは中空軸111に軸支さ
れ、中空軸111がプラネタリギヤ機構のキャリヤとし
て機能するようになっている。また、プラネタリギヤ1
60Bは、駆動力伝達制御機構109Fのケース等に回
転しないように固定されたリングギヤ160Dに噛合し
ている。
【0204】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ160Bの公転速度は、サンギヤ160Aの
回転速度よりも小さいので、中空軸(つまり、変速機構
160の出力部)111は、右輪回転軸3よりも低速で
回転する。したがって、変速機構160は、減速機構と
して機能するようになっている。このため、クラッチ板
112Aの回転速度がクラッチ板112Bよりも小さ
く、多板クラッチ機構112を係合させた場合には、こ
の係合状態に応じた量のトルクが、入力軸1側から右輪
回転軸3側へ送給されるようになっている。
【0205】一方、左輪回転軸2にそなえられる変速機
構160及び多板クラッチ機構112も、同様に構成さ
れており、入力軸1からの駆動トルクを左輪回転軸2に
より多く配分したい場合には、その配分したい程度(配
分比)に応じて左輪回転軸2側の多板クラッチ機構11
2を適当に係合し、右輪回転軸3により多く配分したい
場合には、その配分比に応じて右輪回転軸3側の多板ク
ラッチ機構112を適当に係合する。
【0206】このとき、多板クラッチ機構112が油圧
駆動式であるから、油圧の大きさを調整することで多板
クラッチ機構112の係合状態を制御でき、入力軸1か
ら左輪回転軸2又は右輪回転軸3への駆動力の送給量
(つまりは駆動力の左右配分比)を適当な精度で調整す
ることができるようになっている。なお、左右の多板ク
ラッチ機構112が同時に完全係合することのないよう
に設定されており、左右の多板クラッチ機構112のう
ち一方が完全係合したら他方の多板クラッチ機構112
は滑りを生じるようになっている。
【0207】そして、多板クラッチ機構112を駆動す
るために、前述の油圧回路構造(図1又は図12参照)
を設けられている。また、図19に示す車両用左右駆動
力配分装置は、実施例の装置(図13参照)と同様に、
入力軸1と第1及び右輪回転軸2,3とが設けられてお
り、左輪回転軸2と右輪回転軸3と入力軸1との間に車
両用左右駆動力配分装置が介装されている。
【0208】そして、この車両用左右駆動力配分装置の
駆動力伝達制御機構109Gは、前述の装置(図18参
照)と同様の変速機構160をそなえているが、この変
速機構160は入力軸1側に連結されており、入力軸1
側の回転を増速して回転軸2,3の側に出力するように
なっている。そして、多板クラッチ機構112に代え
て、例えば摩擦クラッチ等のカップリング161が、変
速機構160の出力部160Aと回転軸2,3との間に
介装されている。摩擦クラッチの場合には、トルク伝達
方向が一方向のものを所要の方向(それぞれのトルク伝
達方向)向けて設置する。
【0209】変速機構160は、1つのプラネタリギヤ
機構で構成されており、右輪回転軸3に設けられた変速
機構160を例に説明すると、カップリング161の一
方(入力側)にサンギヤ160Aが固着され、サンギヤ
160Aは、その外周においてプラネタリギヤ(プラネ
タリピニオン)160Bに噛合している。そして、プラ
ネタリギヤ160Bを枢支するピニオンシャフト160
Cはデフケース108Aから延設されたキャリヤ160
Eに軸支されている。また、プラネタリギヤ160B
は、駆動力伝達制御機構109Gのケース等に回転しな
いように固定されたリングギヤ160Dに噛合してい
る。
【0210】このようなプラネタリギヤ機構では、プラ
ネタリギヤ160Bの公転速度は、サンギヤ160Aの
回転速度よりも小さいので、サンギヤ160A側(つま
り、変速機構160の出力部)は、中空軸111よりも
高速で回転する。したがって、変速機構160は、増速
機構として機能するようになっている。このため、右輪
回転軸3にそなえられるカップリング161を係合させ
た場合には、この係合状態に応じた量のトルクが、入力
軸1側から右輪回転軸3側へ送給されるようになってい
る。
【0211】一方、左輪回転軸2にそなえられる変速機
構160及びカップリング161も同様に構成されてい
る。したがって、入力軸1からの駆動トルクを左輪回転
軸2により多く配分したい場合には、その配分したい程
度(配分比)に応じて左輪回転軸2側のカップリング1
61を適当に係合し、右輪回転軸3により多く配分した
い場合には、その配分比に応じて右輪回転軸3側のカッ
プリング161を適当に係合する。
【0212】このとき、カップリング161の係合状態
を制御することで、入力軸1から左輪回転軸2又は右輪
回転軸3への駆動力の送給量(つまりは駆動力の左右配
分比)を適当な精度で調整することができるようになっ
ている。なお、ここでも、左右のカップリング161が
同時に完全係合することのないように設定されており、
左右のカップリング161のうち一方が完全係合したら
他方は滑りを生じるようになっている。
【0213】そして、多板クラッチ機構112を駆動す
るために、前述の油圧回路構造(図1又は図12参照)
を設けられている。また、図20に示す車両用左右駆動
力配分装置は、前輪駆動車において、否駆動輪(エンジ
ン出力を与えられない車輪)である後輪の側に設けら
れ、その駆動力伝達制御機構190Aは、後輪の回転軸
2,3の間に設けら、図14の駆動力伝達制御機構10
9Aを否駆動輪に適用したものである。
【0214】つまり、後輪の回転軸2,3は、互いに独
立しているが、右輪回転軸3側には変速機構191が設
けられ、左輪回転軸2側には変速機構192が設けられ
ている。変速機構191の出力部と左輪回転軸2との間
には、伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての油圧
式多板クラッチ機構193が介装されている。また、変
速機構192の出力部と左輪回転軸3に連動して等速回
転する中空軸195との間には、実施例の装置と同様に
コントローラ18で制御される伝達容量可変制御式トル
ク伝達機構としての油圧式多板クラッチ機構194が介
装されている。なお、193A,193B,194A,
194Bはクラッチプレートである。
【0215】このうち、変速機構191は、右輪回転軸
3に一体回転するように取り付けられたサンギヤ191
Aと、サンギヤ191Aと噛合するプラネタリギヤ19
1Bと、このプラネタリギヤ191Bを枢支するプラネ
タリシャフト191Cに設置されプラネタリギヤ191
Bと一体回転するプラネタリギヤ191Dと、プラネタ
リギヤ191Dと噛合するサンギヤ193Cとから構成
される。
【0216】そして、サンギヤ193Cはサンギヤ19
1Aよりも大径に設定され、プラネタリギヤ191Dは
プラネタリギヤ191Bよりも大径に設定され小径に設
定されているので、サンギヤ193Cはサンギヤ191
Aよりも低速で回転する。したがって、変速機構191
は、右輪回転軸3の回転を減速してサンギヤ193Cの
回転として出力するようになっている。
【0217】このため、油圧式多板クラッチ機構193
が係合すると、減速されたサンギヤ193C側のクラッ
チプレート193Aよりも左輪回転軸2側のクラッチプ
レート193Bの方が回転が速いので、左輪回転軸2側
からサンギヤ193C側つまり右輪回転軸3側へ駆動力
が伝達される。この場合、左輪回転軸2及び右輪回転軸
3は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆動力
は供給されないが、左輪回転軸2は路面から受ける回転
反力を右輪回転軸3へ与えることになる。つまり、左輪
回転軸2に連結された左輪は路面に制動力を与えこの一
方で路面から回転反力を受け、右輪回転軸3に連結され
た右輪は左輪回転軸2側から受けた駆動力を路面に与え
るようになる。制動力は負の駆動力と考えられるので、
否駆動輪でありながら、左輪回転軸2と右輪回転軸3と
の駆動力配分が調整されることになる。
【0218】また、変速機構192は、左輪回転軸3に
一体回転するように取り付けられたサンギヤ192A
と、サンギヤ192Aと噛合するプラネタリギヤ192
Bと、このプラネタリギヤ192Bを枢支するプラネタ
リシャフト192Cに設置されプラネタリギヤ192B
と一体回転するプラネタリギヤ192Dと、プラネタリ
ギヤ192Dと噛合するサンギヤ194Cとから構成さ
れる。
【0219】そして、サンギヤ194Cはサンギヤ19
2Aよりも大径に設定され、プラネタリギヤ192Dは
プラネタリギヤ192Bよりも大径に設定され小径に設
定されているので、サンギヤ194Cはサンギヤ192
Aよりも低速で回転する。したがって、変速機構192
は、左輪回転軸2の回転を減速してサンギヤ194Cの
回転として出力するようになっている。
【0220】また、油圧式多板クラッチ機構194の一
方のクラッチプレート194Bの取り付けられる中空軸
195は、これと一体回転するサンギヤ195A,この
サンギヤ195Aと噛合してプラネタリシャフト191
Cに取り付けられたプラネタリギヤ191E,プラネタ
リシャフト191C,プラネタリギヤ191B及びサン
ギヤ191Aを介して、右輪回転軸3と連係されてい
る。
【0221】そして、サンギヤ195Aがサンギヤ19
1Aと同径に設定され、プラネタリギヤ191Eがプラ
ネタリギヤ191Bと同径に設定されているので、中空
軸195は、常に右輪回転軸3と等しい速度で連動する
ようになっている。このため、油圧式多板クラッチ機構
194が係合すると、減速されたサンギヤ194C側の
クラッチプレート194Aよりも中空軸195側(つま
り、右輪回転軸3側)のクラッチプレート194Bの方
が回転が速いので、右輪回転軸3側から左輪回転軸2側
へ駆動力が伝達される。
【0222】この場合にも、左輪回転軸2及び右輪回転
軸3は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆動
力は供給されないが、右輪回転軸3は路面から受ける回
転反力を左輪回転軸2へ与えることになる。つまり、右
輪回転軸3に連結された右輪は路面に制動力を与えこの
一方で路面から回転反力を受け、左輪回転軸2に連結さ
れた左輪は右輪回転軸3側から受けた駆動力を路面に与
えるようになり、否駆動輪でありながら、左輪回転軸2
と右輪回転軸3との駆動力配分が調整されることにな
る。
【0223】そして、多板クラッチ機構193,194
を駆動するために、前述の油圧回路構造(図1又は図1
2参照)を設けられている。また、図21に示す車両用
左右駆動力配分装置も、前輪駆動車において、否駆動輪
である後輪の側に設けられ、その駆動力伝達制御機構1
90Bは、後輪の回転軸2,3の間に設けられており、
図17に示す機構109Eを否駆動輪に適用したもので
ある。
【0224】つまり、図21に示すように、後輪の回転
軸2,3は、互いに独立しているが、これらの回転軸
2,3間には変速機構196が設けられ、左輪回転軸2
側には、変速機構196の増速出力部との間に伝達容量
可変制御式トルク伝達機構としての油圧式多板クラッチ
機構197が設けられ、変速機構196の減速出力部と
の間に伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての油圧
式多板クラッチ機構198が設けられている。
【0225】変速機構196は、右輪回転軸3に設けら
れたギヤ114Aと、回転軸2,3と平行に設置された
軸(カウンタシャフト)196Bと、このカウンタシャ
フト196Bに設けられてギヤ114Aと噛合するギヤ
196Aと、油圧式多板クラッチ機構197を介して左
輪回転軸2側に設けられたギヤ197Cと、油圧式多板
クラッチ機構198を介して左輪回転軸2側に設けられ
たギヤ198Cと、カウンタシャフト196Bに設けら
れてギヤ197Cと噛合するギヤ196Cと、カウンタ
シャフト196Bに設けられてギヤ198Cと噛合する
ギヤ196Dとから構成される。
【0226】そして、ギヤ197Cはギヤ114Aより
も小径に、ギヤ198Cはギヤ14Aよりも大径に設定
され、ギヤ196Cはギヤ196Aよりも大径に、ギヤ
196Dはギヤ196Aよりも小径に設定されている。
したがって、ギヤ197Cは、ギヤ114A,ギヤ19
6A,ギヤ196C,ギヤ197Cのルートで回転力を
伝達されて、ギヤ114Aよりも高速で回転し、このギ
ヤ197Cが変速機構196の増速出力部となってい
る。また、ギヤ198Cは、ギヤ114A,ギヤ196
A,ギヤ196D,ギヤ198Cのルートで回転力を伝
達されて、ギヤ114Aよりも低速で回転し、このギヤ
198Cが変速機構196の減速出力部となっている。
【0227】このため、油圧式多板クラッチ機構197
が係合すると、増速されたギヤ197C側のクラッチプ
レート197Bよりも左輪回転軸2側のクラッチプレー
ト197Aの方が回転が遅いので、右輪回転軸3側から
左輪回転軸2側へ駆動力が伝達される。逆に、油圧式多
板クラッチ機構198が係合すると、減速されたギヤ1
98C側のクラッチプレート198Bよりも左輪回転軸
2側のクラッチプレート198Aの方が回転が速いの
で、左輪回転軸2側から右輪回転軸3側へ駆動力が伝達
される。
【0228】この場合も、左輪回転軸2及び右輪回転軸
3は共に否駆動輪の回転軸なのでエンジンからの駆動力
は供給されないが、駆動力を与える側の回転軸2又は3
は路面から受ける回転反力を一方の回転軸3又は2へ与
えることになる。つまり、駆動力を与える側の回転軸2
又は3に連結された左輪又は右輪は路面に制動力を与え
この一方で路面から回転反力を受け、駆動力を受ける側
の回転軸3又は2に連結された右輪又は左輪はこの回転
反力を受けて駆動力として路面に伝えるようになる。
【0229】そして、多板クラッチ機構197,198
を駆動するために、前述の油圧回路構造(図1又は図1
2参照)を設けられている。なお、上述の各装置では、
伝達容量可変制御式トルク伝達機構として、主として油
圧式の多板クラッチ機構が用いられているが、伝達容量
可変制御式トルク伝達機構としては、伝達トルク容量が
可変制御できるトルク伝達機構であって油圧式のもので
あればよく、この例の機構のほかに、種々のトルク伝達
機構が考えられる。
【0230】例えば、油圧式の摩擦クラッチや、油圧式
の制御可能なVCU(ビスカスカップリングユニット)
や、油圧式の制御可能なHCU(ハイドーリックカップ
リングユニット=差動ポンプ式油圧カップリング)等の
他のカップリングを伝達容量可変制御式トルク伝達機構
として用いることもできる。これらのトルク伝達機構の
場合にも、本油圧回路構造(図1又は図12参照)を用
いることで、制御系の誤動作時やバルブのスティック時
や比例弁74や切替弁76や電動ポンプ70等の油圧系
のフェイル時等に、左右両方の油圧式クラッチ機構が同
時に係合あるいは結合するような不具合を確実に回避で
きるようになり、多板クラッチ機構Bのロックが防止さ
れて、車両の走行性を確保することができ、さらに機構
の損傷を防ぐことができる。
【0231】なお、上述の各構成例では、車両用左右駆
動力配分装置を後輪に装備しているが、かかる左右駆動
力配分装置は勿論前輪にも適用できる。特に、上述の実
施例の装置や図14〜19の装置では、車両用左右駆動
力配分装置を四輪駆動車の後輪の駆動系に装備している
が、かかる左右駆動力配分装置を四輪駆動車の前輪の駆
動系や、後輪駆動車の後輪の駆動系や、前輪駆動車の前
輪の駆動系等に適用できる。また、上述の図20,21
の装置では、車両用左右駆動力配分装置を前輪駆動車の
否駆動輪である後輪に装備しているが、かかる左右駆動
力配分装置を後輪駆動車の否駆動輪である前輪にも適用
できる。
【0232】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の車両用左
右駆動力配分装置の油圧回路構造(請求項1,2)によ
れば、油圧回路が、油圧源からの油圧を所要の圧力で出
力する油圧調整部と、上記の左右の各油圧式クラッチ機
構に付設された油圧入力部と、上記油圧調整部から上記
の各油圧入力部へ至る油路に介装された切替弁とから構
成されて、上記の油圧調整部及び切替弁が、作動油を貯
蔵された油室内に内蔵されて上記作動油中に埋没される
という簡素な構成によって、油圧回路へのエアの混入を
容易に防止できるようになり、低コストで微調整の可能
な油圧式クラッチの油圧回路を構成でき、駆動力制御の
性能を十分に確保できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
における油圧回路構造の構成を示す摸式的回路図であ
る。
【図2】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
についてその要部構成を示す図(図11のA−A矢視断
面図)である。
【図3】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
についてその要部構成を示す図(図11のB−B矢視断
面図)である。
【図4】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
についてその要部構成を示す図(図11のC−C矢視断
面図)である。
【図5】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
における軸連結機構についてその構造の要部正面図であ
る。
【図6】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
における軸連結機構についてその要部構造を示す分解斜
視図である。
【図7】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
における軸連結機構についてその組み立て動作を示す摸
式的正面図である。
【図8】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
における軸連結機構についてその組み立て動作を示す摸
式的正面図である。
【図9】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装置
における軸連結機構についてその組み立て動作を示す摸
式的正面図である。
【図10】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装
置における軸連結機構についてその組み立て動作を示す
摸式的正面図である。
【図11】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装
置の要部構成について下半部を回転断面で示す横断面図
である。
【図12】本発明の一実施例の車両用左右駆動力配分装
置における油圧回路構造の構成の変形例を示す摸式的回
路図である。
【図13】本発明の一実施例の油圧回路構造をそなえる
車両用左右駆動力配分装置の原理を示す模式図である。
【図14】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図15】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図16】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図17】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図18】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図19】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図20】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図21】本発明の油圧回路構造を適用しうる車両用左
右駆動力配分装置を示す模式的な要部構成図である。
【図22】本発明の案出過程で考えられた車両用左右駆
動力配分装置の油圧回路構造の構成を示す模式的回路図
である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 第1の出力軸又は左輪回転軸 3 第2の出力軸又は右輪回転軸 4A 第1のサンギヤ 4B 第2のサンギヤ 5 一体のピニオン 5A 第1のプラネタリギヤ 5B 第2のプラネタリギヤ 6 プラネタリキャリア 6A ピニオンシャフト 7 鞘軸(中空軸) 7A ピストン部側部材 7B クラッチ部側部材 8A,8B クラッチ板 8C クラッチハブ 9 ディファレンシャル 9A ベベルギヤ(リングギヤ) 9B ベベルギヤ(ドライブピニオン) 10 サークリップ 11 ケーシング 11A 基端小径部 11B 大径部 11C 内壁面 12 デフキャリア 12A クラッチプレート側部材 12B 軸側部材 13 デフケース 13a 突起 13A,13B 端部 14 リングギヤ 15 プラネタリギヤ 16 サンンギヤ 17 キャリア 18 ベアリング 19 ボルト 20 ピストン 20A,20B 摺動部 20C 環状鉛直面 20D 油圧入力部としての加圧作動室(加圧室) 20E 案内孔 21 ベアリング 22 シール機構 22A,22D 潤滑作動室用シール(第2の液体用シ
ール) 22B,22C 加圧室用シール(加圧作動油用シー
ル) 23 ピン 24 潤滑作動室(作動室) 25 溝 26 外気連通路 27 鍵状突起 27A 膨大部 27B 退避溝 27C スナップリング取り付け溝 28 進入溝 28A 嵌合部 29 リング 29A ストッパ 30 スナップリング 31 ボルト 32 ストッパリング 32A ピニオンシャフト進入可能部 32B ピニオンシャフト係止部 32C ボルト取り付け穴 33 嵌合溝 35 ブッシュ 41 オイル溜まり 42 オイル供給孔 61,62 プラネタリキャリア 61A,62A ピニオンシャフト取り付け穴 62B ボルト取り付け穴 70 電動ポンプ 71 チェック弁 72 圧力スイッチ 73 アキュムレータ 74 油圧調整部としての比例ソレノイド(比例弁) 75 油圧センサ 76 切替弁 76A スプール 76B ソレノイド 76C リターンスプリング 76D 油室 76E 油路 76F 弁 76a,76b スプール弁体部 76c スプール弁体部空間 77 オイルリザーバタンク 78R,78L 圧力スイッチ 79 リリーフ弁 81 コントローラ 82 オイルタンク 108 リヤデフ 108A デファレンシャルケース(デフケース) 109A〜109I 駆動力伝達制御機構 111 中空軸(鞘軸) 112 伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての多
板クラッチ機構 112A,112B クラッチ板 114A ギヤ 120,131,132 変速機構 120A,131A,132A 第1のサンギヤ 120B,131B,132B 第1のプラネタリギヤ
(プラネタリピニオン) 120D,131D,132D 第2のプラネタリギヤ 120C,131C,132C ピニオンシャフト 120F,131F,132F プラネタリキャリア 120E,131E,132E 第2のサンギヤ 141 駆動力伝達補助部材 142 伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての多
板クラッチ機構 142A,142B クラッチ板 151 軸(カウンタシャフト) 152〜156,159 歯車 157,158 伝達容量可変制御式トルク伝達機構と
しての多板クラッチ機構 160 変速機構 160A サンギヤ 160B プラネタリギヤ(プラネタリピニオン) 160C ピニオンシャフト 160D リングギヤ 161 摩擦クラッチ等のカップリング 190A,190B 駆動力伝達制御機構 191,192 変速機構 191A,192A ササンギヤ 191B,192B プラネタリギヤ 191C,192C プラネタリシャフト 191D,192D プラネタリギヤ 193,194 伝達容量可変制御式トルク伝達機構と
しての多板クラッチ機構 193A,193B,194A,194B クラッチプ
レート 193C,194C サンギヤ 195 中空軸 196 変速機構 196A,196C,196D,197C,198C
ギヤ 196B 軸(カウンタシャフト) 197,198 伝達容量可変制御式トルク伝達機構と
しての多板クラッチ機構 197A,197B,198A,198B クラッチプ
レート 199 変速機構 199C 軸(カウンタシャフト) 199A,199B,199D ギヤ A 変速機構 B 伝達容量可変制御式トルク伝達機構としての油圧式
多板クラッチ機構 B1 クラッチ部 B2 ピストン部 C 規制機構 D 連結機構 S 駆動力伝達制御機構 S1 差動機構

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右の各車輪と一体回転する一対の車軸
    と、これらの車軸の間に介設された駆動力伝達制御機構
    とをそなえた車両用左右駆動力配分装置において、上記
    駆動力伝達制御機構が、左輪側へ又は左輪側から駆動力
    を移動するための左輪制御用油圧式トルク伝達機構と、
    右輪側へ又は右輪側から駆動力を移動するための右輪制
    御用油圧式トルク伝達機構と、これらの油圧式トルク伝
    達機構を駆動する油圧回路とをそなえ、上記油圧回路
    が、油圧源からの油圧を所要の圧力で出力する油圧調整
    部と、上記の左右の各油圧式クラッチ機構に付設された
    油圧入力部と、上記油圧調整部から上記の各油圧入力部
    へ至る油路に介装された切替弁とから構成されて、上記
    の油圧調整部及び切替弁が、作動油を貯蔵された油室内
    に内蔵されて上記作動油中に埋没されていることを特徴
    とする、車両用左右駆動力配分装置の油圧回路構造。
  2. 【請求項2】 駆動力を入力される入力部と、この入力
    部から入力された駆動力を左右の各車輪へ出力する左右
    1対の出力軸と、上記の入力部と出力軸との間に設けら
    れて駆動力を各出力軸に配分するとともに各出力軸の差
    動を許容する差動機構と、上記入力部と上記の各出力軸
    との間に介設された駆動力伝達制御機構とをそなえた車
    両用左右駆動力配分装置において、上記駆動力伝達制御
    機構が、上記の左輪側の出力軸の回転速度を変速する左
    輪側変速機構と、上記の右輪側の出力軸の回転速度を変
    速する右輪側変速機構と、該左輪側変速機構と上記入力
    部又は上記右輪側出力軸との間に介装され左輪側へ又は
    左輪側から駆動力を移動するための左輪制御用油圧式ト
    ルク伝達機構と、該右輪側変速機構と上記入力部又は上
    記左輪側出力軸との間に介装され右輪側へ又は右輪側か
    ら駆動力を移動するための右輪制御用油圧式トルク伝達
    機構と、これらの油圧式トルク伝達機構を駆動する油圧
    回路とをそなえ、上記油圧回路が、油圧源からの油圧を
    所要の圧力で出力する油圧調整部と、上記の左右の各油
    圧式クラッチ機構に付設された油圧入力部と、上記油圧
    調整部から上記の各油圧入力部へ至る油路に介装された
    切替弁とから構成されて、上記の油圧調整部及び切替弁
    が、作動油を貯蔵された油室内に内蔵されて上記作動油
    中に埋没されていることを特徴とする、車両用左右駆動
    力配分装置の油圧回路構造。
  3. 【請求項3】 上記油圧式トルク伝達機構として、油圧
    式多板クラッチが用いられていることを特徴とする、請
    求項1又は請求項2記載の車両用左右駆動力配分装置の
    油圧回路構造。
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