JPH05217746A - 強磁性膜 - Google Patents
強磁性膜Info
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- JPH05217746A JPH05217746A JP4250435A JP25043592A JPH05217746A JP H05217746 A JPH05217746 A JP H05217746A JP 4250435 A JP4250435 A JP 4250435A JP 25043592 A JP25043592 A JP 25043592A JP H05217746 A JPH05217746 A JP H05217746A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 高Bs、良好な耐熱性を有する軟磁性、広い
製造マージン、高抵抗率、及び高耐食性を同時に満足
し、磁気ヘッドに適した強磁性膜を提供する。 【構成】 CoFe基合金にAl,Ta,Nb,Zr,
Hf,Ti,Mo,Wからなる遷移金属の群より選択さ
れる少なくとも1種の原子を添加することにより構成す
る。また、Co系窒化合金にTa,Nb,Zr,Hf,
Ti,Cr,Mo,Wからなる遷移金属の群より選択さ
れる少なくとも1種の原子及びAlを添加することによ
り構成する。
製造マージン、高抵抗率、及び高耐食性を同時に満足
し、磁気ヘッドに適した強磁性膜を提供する。 【構成】 CoFe基合金にAl,Ta,Nb,Zr,
Hf,Ti,Mo,Wからなる遷移金属の群より選択さ
れる少なくとも1種の原子を添加することにより構成す
る。また、Co系窒化合金にTa,Nb,Zr,Hf,
Ti,Cr,Mo,Wからなる遷移金属の群より選択さ
れる少なくとも1種の原子及びAlを添加することによ
り構成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、磁気ヘッド等に適し
た強磁性膜に関するものである。
た強磁性膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気ヘッド用磁性膜には、高保持
力(高Hc)記録媒体に対して十分な記録能力を発揮で
きるように、高飽和磁束密度(高Bs)と低保持力(低
Hc)の軟磁気特性とが要求される。
力(高Hc)記録媒体に対して十分な記録能力を発揮で
きるように、高飽和磁束密度(高Bs)と低保持力(低
Hc)の軟磁気特性とが要求される。
【0003】Fe、Co又はFeCo基合金は、高Bs
を示すが、結晶磁気異方性が大きいため、Hcが必要以
上に大きくなり、磁気ヘッド等に適した良好な軟磁気特
性を得ることが困難である。また、これらの合金に添加
物を加えることにより、結晶磁気異方性を零に近づけた
FeAlSi合金膜やNiFe合金膜は、低Hcを示す
が、Bsは最大でも1.1[T]である。また、多くの
Fe系又はCo系合金膜は、アモルファス化すると低H
cを示すが、耐熱性等を考慮するとそのBsは最大で
1.0[T]である。
を示すが、結晶磁気異方性が大きいため、Hcが必要以
上に大きくなり、磁気ヘッド等に適した良好な軟磁気特
性を得ることが困難である。また、これらの合金に添加
物を加えることにより、結晶磁気異方性を零に近づけた
FeAlSi合金膜やNiFe合金膜は、低Hcを示す
が、Bsは最大でも1.1[T]である。また、多くの
Fe系又はCo系合金膜は、アモルファス化すると低H
cを示すが、耐熱性等を考慮するとそのBsは最大で
1.0[T]である。
【0004】しかしながら、理論的には、結晶磁気異方
性が大きい膜でも結晶配向制御により低Hcを示すこと
ができる。具体的には、立方晶(111)面配向した場
合には、結晶磁気異方性定数K1 の影響が膜面内では無
視でき、低Hcを示す。例えば、bcc相Fe固溶体の
場合、FeSi/ZnSnのように、適当な下地を選択
することにより(111)面配向を呈し、低Hcを示す
(Hosono et al., J.Appl.Phys., 67,6990(1990))。
性が大きい膜でも結晶配向制御により低Hcを示すこと
ができる。具体的には、立方晶(111)面配向した場
合には、結晶磁気異方性定数K1 の影響が膜面内では無
視でき、低Hcを示す。例えば、bcc相Fe固溶体の
場合、FeSi/ZnSnのように、適当な下地を選択
することにより(111)面配向を呈し、低Hcを示す
(Hosono et al., J.Appl.Phys., 67,6990(1990))。
【0005】ところがFe系の場合、bcc相が安定で
あるため、通常(100)又は(110)面配向を示
す。(111)配向は表面エネルギーが大きく、ZnS
eの如く限定された基板以外では安定成長しにくい。
あるため、通常(100)又は(110)面配向を示
す。(111)配向は表面エネルギーが大きく、ZnS
eの如く限定された基板以外では安定成長しにくい。
【0006】一方、Co系の場合、Co90Fe10付近の
組成を有する合金(Bs約1.9[T])では、状態図
からfcc単相の安定状態が存在することが確認でき
る。fcc相においては、(111)面が表面エネルギ
ーが低く安定成長面である。実際に、このような合金
は、fcc相(111)面配向することが知られてい
る。しかし、実際にはこのようなfcc相の合金膜で
も、良好な(111)面配向の形成が困難である。
組成を有する合金(Bs約1.9[T])では、状態図
からfcc単相の安定状態が存在することが確認でき
る。fcc相においては、(111)面が表面エネルギ
ーが低く安定成長面である。実際に、このような合金
は、fcc相(111)面配向することが知られてい
る。しかし、実際にはこのようなfcc相の合金膜で
も、良好な(111)面配向の形成が困難である。
【0007】また、FeやCoに、ZrやTa等の遷移
金属及び窒素が添加された磁性膜は、Bsが高く、熱に
よる軟磁性の劣化がなく、将来の磁気記録ヘッドとして
有望である。さらに、塩素を含む高湿度環境での実用性
を考えると、Fe系の磁性膜は耐食性に問題があるの
で、Co系の磁性膜が適すると考えられる。
金属及び窒素が添加された磁性膜は、Bsが高く、熱に
よる軟磁性の劣化がなく、将来の磁気記録ヘッドとして
有望である。さらに、塩素を含む高湿度環境での実用性
を考えると、Fe系の磁性膜は耐食性に問題があるの
で、Co系の磁性膜が適すると考えられる。
【0008】Co系の窒素添加膜としては、多層構造の
窒素濃度変調膜(IEEE Trans.Magn.,23,3707(1987))、
単層のCoNbZrN膜(J.Appl.Phy.,68,4760(1990)
)、本発明者らが鋭意研究を進めてきたCoFeAl
N膜(第14回日本応用磁気学会学術講演概要集,292(1
990))等が知られている。これらの磁性膜は、従来の磁
性膜に匹敵する80[A/m]以下の低Hc、すなわち
良好な軟磁性を示すことが知られている。
窒素濃度変調膜(IEEE Trans.Magn.,23,3707(1987))、
単層のCoNbZrN膜(J.Appl.Phy.,68,4760(1990)
)、本発明者らが鋭意研究を進めてきたCoFeAl
N膜(第14回日本応用磁気学会学術講演概要集,292(1
990))等が知られている。これらの磁性膜は、従来の磁
性膜に匹敵する80[A/m]以下の低Hc、すなわち
良好な軟磁性を示すことが知られている。
【0009】しかしながら、上記これらの磁性膜は、そ
れぞれ以下のような欠点がある。例えば、窒素濃度変調
膜は、軟磁性が約700[℃]まで維持され非常に良好
な耐熱性を示すが、多層構造であるため製造工程が煩雑
である。これに対して、CoNbZrN膜又はCoFe
AlN膜は単層であるので、製造が容易であるが、40
0[℃]以上で熱処理すると徐々に結晶成長が進行する
結果、Hcの増加、抵抗率の減少を招く。特に、600
[℃]以上での高温製造工程が採用されるラミネート型
ヘッドにこれらの磁性膜を適用しようとする場合には、
結晶成長に伴うHcの増加が非常に問題となる。また、
抵抗率が減少すると渦電流が増加するので、高周波特性
が劣化する。さらに、CoNbZrN膜では、イオンビ
ームスパッタ法では良好な特性が得られるが、通常のR
Fマグネトロンスパッタ法では垂直磁気異方性が発生し
やすいため良好な特性を得ることが困難であり、製造マ
ージンが狭いことが知られている。一方、CoFeAl
N膜に関しては、水中での耐食性が不十分である。
れぞれ以下のような欠点がある。例えば、窒素濃度変調
膜は、軟磁性が約700[℃]まで維持され非常に良好
な耐熱性を示すが、多層構造であるため製造工程が煩雑
である。これに対して、CoNbZrN膜又はCoFe
AlN膜は単層であるので、製造が容易であるが、40
0[℃]以上で熱処理すると徐々に結晶成長が進行する
結果、Hcの増加、抵抗率の減少を招く。特に、600
[℃]以上での高温製造工程が採用されるラミネート型
ヘッドにこれらの磁性膜を適用しようとする場合には、
結晶成長に伴うHcの増加が非常に問題となる。また、
抵抗率が減少すると渦電流が増加するので、高周波特性
が劣化する。さらに、CoNbZrN膜では、イオンビ
ームスパッタ法では良好な特性が得られるが、通常のR
Fマグネトロンスパッタ法では垂直磁気異方性が発生し
やすいため良好な特性を得ることが困難であり、製造マ
ージンが狭いことが知られている。一方、CoFeAl
N膜に関しては、水中での耐食性が不十分である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように結晶磁気
異方性の大きなCoFe系合金は、1.9[T]以上の
高い飽和磁束密度を有するが、良好な(111)配向が
実現できないために、ヘッド磁極の磁性膜に適するほど
十分低いHcを実現することが困難であった。
異方性の大きなCoFe系合金は、1.9[T]以上の
高い飽和磁束密度を有するが、良好な(111)配向が
実現できないために、ヘッド磁極の磁性膜に適するほど
十分低いHcを実現することが困難であった。
【0011】また、Co等の強磁性金属にZrやTa等
の遷移金属と窒素とが添加された磁性膜は、高温で熱処
理すると徐々に結晶成長が進行する結果、Hcの増加、
抵抗率の減少を招くという耐熱性の問題や、通常のRF
マグネトロンスパッタ法では垂直磁気異方性が発生し易
いため良好な特性を得ることが困難であるという問題が
あった。
の遷移金属と窒素とが添加された磁性膜は、高温で熱処
理すると徐々に結晶成長が進行する結果、Hcの増加、
抵抗率の減少を招くという耐熱性の問題や、通常のRF
マグネトロンスパッタ法では垂直磁気異方性が発生し易
いため良好な特性を得ることが困難であるという問題が
あった。
【0012】本発明の目的は、高Bs及び低Hc、良好
な耐熱性を有する軟磁性、広い製造マージン及び高耐食
性を満足する磁気ヘッドに適した強磁性膜を提供するこ
とにある。
な耐熱性を有する軟磁性、広い製造マージン及び高耐食
性を満足する磁気ヘッドに適した強磁性膜を提供するこ
とにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】一般式Cox Fey Tz
で表わされる合金において、TはAl,Ta,Ti,Z
r,Nb,Hf,Mo,Wからなる群より選択される少
なくとも1種の原子であり、x,y,zはそれぞれの組
成比をat%で示すとき、 73<x<94 5<y≦15 1<z<12 x+y+z=100 の範囲に規定する。
で表わされる合金において、TはAl,Ta,Ti,Z
r,Nb,Hf,Mo,Wからなる群より選択される少
なくとも1種の原子であり、x,y,zはそれぞれの組
成比をat%で示すとき、 73<x<94 5<y≦15 1<z<12 x+y+z=100 の範囲に規定する。
【0014】また、一般式(Ma Tb )x Ny で表わさ
れる合金において、MはCo又はCo及びFeであり、
TはTa,Nb,Zr,Hf,Ti,Cr,Mo,Wか
らなる遷移金属の群より選択される少なくとも1種の原
子及びAl、Nは窒素であり、a,b,x,yはそれぞ
れの組成比をat%で示すとき、 85<a<96 4<b<15 a+b=100 80<x<98 2<y<20 x+y=100 M中のFeの含有率は0≦Fe≦15at% T中のAlの含有率は4<Al≦50at%) の範囲に規定する。
れる合金において、MはCo又はCo及びFeであり、
TはTa,Nb,Zr,Hf,Ti,Cr,Mo,Wか
らなる遷移金属の群より選択される少なくとも1種の原
子及びAl、Nは窒素であり、a,b,x,yはそれぞ
れの組成比をat%で示すとき、 85<a<96 4<b<15 a+b=100 80<x<98 2<y<20 x+y=100 M中のFeの含有率は0≦Fe≦15at% T中のAlの含有率は4<Al≦50at%) の範囲に規定する。
【0015】また、一般式(Ma Tb )x Ny で表わさ
れる合金において、MはCoとFeであり、TはTa又
はNbから選択された少なくとも1種の原子であり、N
は窒素であり、a,b,x,yはそれぞれの組成比をa
t%で示すとき、 85<a<95 5<b<15 a+b=100 82<x<97.5 2.5<y<18 x+y=100) の範囲に規定すると共に、MにおけるFeの含有率は
2.5≦Fe≦12.5at%の範囲に規定する。
れる合金において、MはCoとFeであり、TはTa又
はNbから選択された少なくとも1種の原子であり、N
は窒素であり、a,b,x,yはそれぞれの組成比をa
t%で示すとき、 85<a<95 5<b<15 a+b=100 82<x<97.5 2.5<y<18 x+y=100) の範囲に規定すると共に、MにおけるFeの含有率は
2.5≦Fe≦12.5at%の範囲に規定する。
【0016】請求項3の磁性膜にPd又はReの中から
選択された少なくとも1種の原子の含有率が15at%
未満であることを特徴とする強磁性膜。
選択された少なくとも1種の原子の含有率が15at%
未満であることを特徴とする強磁性膜。
【0017】
【作用】第1発明の強磁性膜は、アルゴンガスを用いた
各種スパッタ法(DC、RF、イオンビームスパッタ)
や真空蒸着法により作製することができる。また、成膜
後に処理を施すことにより軟磁気特性を向上させること
ができる。なお、スパッタリングによる成膜では、当
然、膜中に微量の酸素やアルゴンが不可避的に含まれ
る。
各種スパッタ法(DC、RF、イオンビームスパッタ)
や真空蒸着法により作製することができる。また、成膜
後に処理を施すことにより軟磁気特性を向上させること
ができる。なお、スパッタリングによる成膜では、当
然、膜中に微量の酸素やアルゴンが不可避的に含まれ
る。
【0018】本発明によれば、Al,Ta,Ti,Z
r,Nb,Hf,Mo,WのT成分からなる群から選択
された少なくとも1種の元素を添加することにより、f
cc相(111)面を優先配向し、或いは、hcp相の
(100)面を優先配向することが可能となり、膜面内
に大きな結晶磁気異方性を生じさせず、低Hcを実現す
ることができる。
r,Nb,Hf,Mo,WのT成分からなる群から選択
された少なくとも1種の元素を添加することにより、f
cc相(111)面を優先配向し、或いは、hcp相の
(100)面を優先配向することが可能となり、膜面内
に大きな結晶磁気異方性を生じさせず、低Hcを実現す
ることができる。
【0019】本発明において、T成分の添加量を1以上
12at%以下としたのは、1%未満では上述した高配
向が実現できないために低Hcを達成することができ
ず、12at%以上では、特に熱処理を施した場合は、
Coとの金属間化合物の生成により低Hcを達成するこ
とができないためである。なお、低Hcが得られる適正
な組成範囲は、成膜方法、成膜条件、加熱処理条件で幾
分変化する。
12at%以下としたのは、1%未満では上述した高配
向が実現できないために低Hcを達成することができ
ず、12at%以上では、特に熱処理を施した場合は、
Coとの金属間化合物の生成により低Hcを達成するこ
とができないためである。なお、低Hcが得られる適正
な組成範囲は、成膜方法、成膜条件、加熱処理条件で幾
分変化する。
【0020】本発明の強磁性膜では、T成分の添加量を
前記の範囲に規定することにより、1.3〜1.9
[T]の高Bs、かつ150[A/m]以下の低Hcを
得ることができるようになる。従って、この強磁性膜を
用いれば、高密度記録に極めて有利な磁気ヘッドを安定
して供給することができる。
前記の範囲に規定することにより、1.3〜1.9
[T]の高Bs、かつ150[A/m]以下の低Hcを
得ることができるようになる。従って、この強磁性膜を
用いれば、高密度記録に極めて有利な磁気ヘッドを安定
して供給することができる。
【0021】第2発明の磁性膜は、アルゴン及び窒素の
混合ガス雰囲気における通常のRFマグネトロンスパッ
タリング法により製造でき、必ずしもイオンビームスパ
ッタ等の特殊な方法を用いる必要はない。また、必要に
応じて成膜後に熱処理を施すことにより軟磁気特性を向
上させることができる。なお、スパッタリングによる成
膜では、膜中に微量の酸素やアルゴンが不可避的に含ま
れる。
混合ガス雰囲気における通常のRFマグネトロンスパッ
タリング法により製造でき、必ずしもイオンビームスパ
ッタ等の特殊な方法を用いる必要はない。また、必要に
応じて成膜後に熱処理を施すことにより軟磁気特性を向
上させることができる。なお、スパッタリングによる成
膜では、膜中に微量の酸素やアルゴンが不可避的に含ま
れる。
【0022】本発明の強磁性膜は、Co系窒化膜におい
て遷移金属及びAlを添加することにより、以下のよう
な効果を達成できる。(1)600[℃]以上の高温熱
処理も、約30[A/m]以下の良好な軟磁気特性が維
持できる。(2)抵抗率が上昇するため、渦電流による
高周波特性の劣化を防止できる。(3)通常のRFマグ
ネトロンスパッタ法でも製造マージンが広い。本発明に
おいて、膜中の各成分の濃度を前記のように規定したの
は以下のような理由による。
て遷移金属及びAlを添加することにより、以下のよう
な効果を達成できる。(1)600[℃]以上の高温熱
処理も、約30[A/m]以下の良好な軟磁気特性が維
持できる。(2)抵抗率が上昇するため、渦電流による
高周波特性の劣化を防止できる。(3)通常のRFマグ
ネトロンスパッタ法でも製造マージンが広い。本発明に
おいて、膜中の各成分の濃度を前記のように規定したの
は以下のような理由による。
【0023】T成分の濃度bが4at%未満、Nの濃度
yが2at%未満では、熱処理により低Hcが得られな
くなる。一方、T成分の濃度bが15at%を超え、N
の濃度yが20at%を超えると、熱処理により余分な
窒化物が形成されるため軟磁性が劣化する。T成分の濃
度bが4at%以上、かつNの濃度yが2at%以上に
なると、耐熱性に優れた微結晶構造が得られ、軟磁気特
性の耐熱性が向上する。
yが2at%未満では、熱処理により低Hcが得られな
くなる。一方、T成分の濃度bが15at%を超え、N
の濃度yが20at%を超えると、熱処理により余分な
窒化物が形成されるため軟磁性が劣化する。T成分の濃
度bが4at%以上、かつNの濃度yが2at%以上に
なると、耐熱性に優れた微結晶構造が得られ、軟磁気特
性の耐熱性が向上する。
【0024】また、M成分のうちFeの含有率が15a
t%を超えると、熱処理後でもbcc相の混入が顕著に
なるので、磁気歪が増加する(+1×10-5以上)、M
成分中のFeの含有率が0〜15at%の範囲では、熱
処理後にfcc相が主になるので低磁気歪(+3×10
-6以下)が実現できる。M成分中のFeの含有率は10
at%以下であることがより好ましい。
t%を超えると、熱処理後でもbcc相の混入が顕著に
なるので、磁気歪が増加する(+1×10-5以上)、M
成分中のFeの含有率が0〜15at%の範囲では、熱
処理後にfcc相が主になるので低磁気歪(+3×10
-6以下)が実現できる。M成分中のFeの含有率は10
at%以下であることがより好ましい。
【0025】T成分(遷移金属及びAl)のうちAlの
含有率が4at%以下では、添加の効果がなく、高温熱
処理により結晶粒が成長するためHcを低下させること
が困難になる。一方、T成分のうちAlの含有率が50
at%を超えると、耐食性が劣化する、抵抗率が低下す
る、軟磁気特性の耐熱性が劣化する、等の悪影響が生じ
る。T成分のうちAlの含有率を4以上50at%以下
の適正な範囲に規定することにより、従来のCo系窒化
膜に比べて、耐熱性が良好で、高抵抗率を示し、作製マ
ージンも広い磁性膜が得られる。T成分のうちAlの含
有率は25以上50at%以下であることがより好まし
い。この範囲内であれば熱処理前でも低Hcを示す。
含有率が4at%以下では、添加の効果がなく、高温熱
処理により結晶粒が成長するためHcを低下させること
が困難になる。一方、T成分のうちAlの含有率が50
at%を超えると、耐食性が劣化する、抵抗率が低下す
る、軟磁気特性の耐熱性が劣化する、等の悪影響が生じ
る。T成分のうちAlの含有率を4以上50at%以下
の適正な範囲に規定することにより、従来のCo系窒化
膜に比べて、耐熱性が良好で、高抵抗率を示し、作製マ
ージンも広い磁性膜が得られる。T成分のうちAlの含
有率は25以上50at%以下であることがより好まし
い。この範囲内であれば熱処理前でも低Hcを示す。
【0026】さらに、Alを含有していなくても、Ta
及びNbについては以下のように規定することで、同様
に、耐熱性に優れたCo系窒化膜が通常のスパッタ法で
作製できる。
及びNbについては以下のように規定することで、同様
に、耐熱性に優れたCo系窒化膜が通常のスパッタ法で
作製できる。
【0027】すなわち、MにおけるCoの一部を2.5
以上12.5at%以下の割合でFeに置換すること
で、Coのみの窒化膜では膜面垂直方向に発生しやすか
った磁気異方性や粗(不均一)な膜成長を通常のスパッ
タ法による作製でも低減でき、その結果メタルインギャ
ップヘッド(以下「MIGヘッド」という)に必要な5
50[℃]以上の耐熱性を有する軟磁性(80[A/
m]以下の低Hc、+3×10-6以下の低磁気歪)が得
られる。さらに、上記Fe濃度を5at%を越えて1
2.5at%以下とすると、熱処理前あるいは400
[℃]程度の比較的低い温度でbcc相が析出して、そ
の後fcc相とT窒化物への相変態を生じる。この時、
650[℃]以上の高温でも結晶粒成長が抑制されて良
好な軟磁性を示す。その結果、MIGヘッドだけでなく
ラミネ−ト型ヘッドにも適する650〜700[℃]の
耐熱性を有する軟磁性膜が得られる。一方、5at%以
下のFe濃度膜ではbcc相が出現せずfcc相からf
cc相+Ta窒化物に相分離するので結晶粒が比較的速
く成長して、その結果650[℃]の耐熱性が得られな
い。なお、Fe濃度が12.5at%を越えると、低磁
気歪に必要なfcc相が形成困難になり、高い磁気歪
(+1×10-5以上)を示すbcc相が安定になる。
以上12.5at%以下の割合でFeに置換すること
で、Coのみの窒化膜では膜面垂直方向に発生しやすか
った磁気異方性や粗(不均一)な膜成長を通常のスパッ
タ法による作製でも低減でき、その結果メタルインギャ
ップヘッド(以下「MIGヘッド」という)に必要な5
50[℃]以上の耐熱性を有する軟磁性(80[A/
m]以下の低Hc、+3×10-6以下の低磁気歪)が得
られる。さらに、上記Fe濃度を5at%を越えて1
2.5at%以下とすると、熱処理前あるいは400
[℃]程度の比較的低い温度でbcc相が析出して、そ
の後fcc相とT窒化物への相変態を生じる。この時、
650[℃]以上の高温でも結晶粒成長が抑制されて良
好な軟磁性を示す。その結果、MIGヘッドだけでなく
ラミネ−ト型ヘッドにも適する650〜700[℃]の
耐熱性を有する軟磁性膜が得られる。一方、5at%以
下のFe濃度膜ではbcc相が出現せずfcc相からf
cc相+Ta窒化物に相分離するので結晶粒が比較的速
く成長して、その結果650[℃]の耐熱性が得られな
い。なお、Fe濃度が12.5at%を越えると、低磁
気歪に必要なfcc相が形成困難になり、高い磁気歪
(+1×10-5以上)を示すbcc相が安定になる。
【0028】さらに、前述したCoの一部をFeで置換
する効果を得るためには、T成分の濃度を5at%を越
えて15at%未満に、また望ましくは7.2at%以
上15at%未満に設定する必要がある。この理由を以
下に示すと、まず、T成分の濃度が5at%以下では成
膜直後にアモルファス状の微結晶が得られず、その結果
Hc≦80[A/m]の軟磁性が得られない。また、1
5at%以上のT成分濃度を有すると、後述するように
T成分の増加に対応して窒素濃度も増加する必要がある
ので、(1)低Hcを阻害する過剰な窒化物が形成され
る、(2)垂直磁気異方性が発生し易くなる、(3)膜
剥離が発生し易くなる、等の悪影響がある。ここで、T
成分濃度が7at%未満では窒化物の形成が少ないため
に550[℃]までの耐熱性が限界であり、ラミネ−ト
型ヘッドまでへの適用を考えると、7.2at%以上1
5at%未満のT成分濃度が望ましい。
する効果を得るためには、T成分の濃度を5at%を越
えて15at%未満に、また望ましくは7.2at%以
上15at%未満に設定する必要がある。この理由を以
下に示すと、まず、T成分の濃度が5at%以下では成
膜直後にアモルファス状の微結晶が得られず、その結果
Hc≦80[A/m]の軟磁性が得られない。また、1
5at%以上のT成分濃度を有すると、後述するように
T成分の増加に対応して窒素濃度も増加する必要がある
ので、(1)低Hcを阻害する過剰な窒化物が形成され
る、(2)垂直磁気異方性が発生し易くなる、(3)膜
剥離が発生し易くなる、等の悪影響がある。ここで、T
成分濃度が7at%未満では窒化物の形成が少ないため
に550[℃]までの耐熱性が限界であり、ラミネ−ト
型ヘッドまでへの適用を考えると、7.2at%以上1
5at%未満のT成分濃度が望ましい。
【0029】さらに、今まで述べてきた効果を得るため
には、窒素濃度を2.5at%を越えて18at%未満
に設定する必要がある。この理由を以下に示すと、ま
ず、窒素がT成分に対して2.5at%以下では熱処理
前に微結晶又はアモルファス化が得られにくいことに加
えて、たとえこのような結晶状態が得られてもMIGヘ
ッドに必要な550[℃]の熱処理を行った後に結晶粒
が成長して、その結果低Hcが得られない。なお、ラミ
ネ−ト型ヘッドまでの適用を考えると、結晶成長が起こ
りHcが増大する温度を650[℃]以上にすることが
望ましいので、窒素濃度の下限はより厳しくなり、6a
t%を越えることが望ましい。一方、窒素濃度が18a
t%以上になると過剰なT成分濃度の悪影響と同様な悪
影響が現れる。
には、窒素濃度を2.5at%を越えて18at%未満
に設定する必要がある。この理由を以下に示すと、ま
ず、窒素がT成分に対して2.5at%以下では熱処理
前に微結晶又はアモルファス化が得られにくいことに加
えて、たとえこのような結晶状態が得られてもMIGヘ
ッドに必要な550[℃]の熱処理を行った後に結晶粒
が成長して、その結果低Hcが得られない。なお、ラミ
ネ−ト型ヘッドまでの適用を考えると、結晶成長が起こ
りHcが増大する温度を650[℃]以上にすることが
望ましいので、窒素濃度の下限はより厳しくなり、6a
t%を越えることが望ましい。一方、窒素濃度が18a
t%以上になると過剰なT成分濃度の悪影響と同様な悪
影響が現れる。
【0030】ここで、上記組成範囲の磁性膜にさらに1
5at%未満のPd又はReを加えることにより、Fe
AlSi以上の高Bsと耐熱性に優れた軟磁気特性を維
持して、磁気ヘッドへの適用に望ましい磁気歪零への調
整が特にFe濃度の高い組成範囲で可能となる。また、
Pd又はReの添加により耐蝕性が改善される。
5at%未満のPd又はReを加えることにより、Fe
AlSi以上の高Bsと耐熱性に優れた軟磁気特性を維
持して、磁気ヘッドへの適用に望ましい磁気歪零への調
整が特にFe濃度の高い組成範囲で可能となる。また、
Pd又はReの添加により耐蝕性が改善される。
【0031】以上の結果、Coの一部をFeで置換して
Ta又はNbを加えたCo系窒化膜は1.3[T]以上
の高Bs、80[A/m]以下の低Hc、+3×10-6
以下の低磁気歪を示し、また、これらの磁気特性は55
0[℃]熱処理後でも、さらに組成範囲によっては65
0[℃]以上の熱処理でも劣化しないので、MIGヘッ
ドやラミネ−ト型ヘッドに適用することができるように
なる。
Ta又はNbを加えたCo系窒化膜は1.3[T]以上
の高Bs、80[A/m]以下の低Hc、+3×10-6
以下の低磁気歪を示し、また、これらの磁気特性は55
0[℃]熱処理後でも、さらに組成範囲によっては65
0[℃]以上の熱処理でも劣化しないので、MIGヘッ
ドやラミネ−ト型ヘッドに適用することができるように
なる。
【0032】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の一実施例
について説明する。 [第1発明] (実施例1)基板として有機アルカリ洗浄を施した結晶
化ガラス又はSi単結晶を用い、Co−11.5at%
Fe−4at%Al合金ターゲット又はCo−10at
%Fe合金ターゲットの上に、添加物T成分のチップを
おいた複合ターゲットを用い、Arガス雰囲気中で2極
マグネトロンスパッタにより、膜厚約1μmの磁性膜を
成膜した。T成分の濃度は約5at%となるように調整
した。スパッタリングは以下の条件で行った。
について説明する。 [第1発明] (実施例1)基板として有機アルカリ洗浄を施した結晶
化ガラス又はSi単結晶を用い、Co−11.5at%
Fe−4at%Al合金ターゲット又はCo−10at
%Fe合金ターゲットの上に、添加物T成分のチップを
おいた複合ターゲットを用い、Arガス雰囲気中で2極
マグネトロンスパッタにより、膜厚約1μmの磁性膜を
成膜した。T成分の濃度は約5at%となるように調整
した。スパッタリングは以下の条件で行った。
【0033】 高周波電力密度 :3.2[W/cm2 ] 全スパッタガス圧力:0.27〜0.1[Pa] 電極間距離 :90[mm] 予備排気 :1.3×10-4[Pa] 得られた磁性膜について各種物性を以下のようにして測
定した。飽和磁束密度Bsと保持力Hcは、磁性膜の困
難軸方向に最大400[kA/m]の磁界を加えて測定
した。膜の結晶構造は、θ−2θスキャンのX線解析法
(CuKα線使用)により調べた。膜中のCo、Fe及
びT成分の濃度は、XFR(蛍光X線)分析により調べ
た。
定した。飽和磁束密度Bsと保持力Hcは、磁性膜の困
難軸方向に最大400[kA/m]の磁界を加えて測定
した。膜の結晶構造は、θ−2θスキャンのX線解析法
(CuKα線使用)により調べた。膜中のCo、Fe及
びT成分の濃度は、XFR(蛍光X線)分析により調べ
た。
【0034】前記条件により作成された磁性膜につい
て、2θ〜44度のピークの回折強度(以下、「Imai
n」という)と保持力Hcとの関係を図1に示す。な
お、図1の値はas−made状態(熱処理されていな
い状態)で測定した。また、図1の曲線は添加元素Tの
種類によらず、Imainと保持力Hcとの関係を示してい
る。このピークはfcc相(111)又はhcp相(0
02)ピークと考えられる。
て、2θ〜44度のピークの回折強度(以下、「Imai
n」という)と保持力Hcとの関係を図1に示す。な
お、図1の値はas−made状態(熱処理されていな
い状態)で測定した。また、図1の曲線は添加元素Tの
種類によらず、Imainと保持力Hcとの関係を示してい
る。このピークはfcc相(111)又はhcp相(0
02)ピークと考えられる。
【0035】図1から、Imainが増加するほど、保持力
Hcは単調に減少しているのがわかる。ここで、Ta,
Ti,Al,Nb,Hf,W,Moを添加した場合に
は、Imainが105 cps程度まで増大し、保持力Hc
も低下している。一方、Si,Pd,Ruを添加した場
合には、Imainは104 cps未満であり、103 [A
/m]を越える高保持力を示している。
Hcは単調に減少しているのがわかる。ここで、Ta,
Ti,Al,Nb,Hf,W,Moを添加した場合に
は、Imainが105 cps程度まで増大し、保持力Hc
も低下している。一方、Si,Pd,Ruを添加した場
合には、Imainは104 cps未満であり、103 [A
/m]を越える高保持力を示している。
【0036】ここで、Hc>103 [A/m]すなわち
Imain<104 cpsのサンプルと、Hc≦200[A
/m]すなわちImain>105 cpsのサンプルの代表
的な結晶構造を図2に示す。図2(a)はCoFePd
膜(組成:CoBAL Fe9 Pd5 )、図2(b)はCo
FeTa膜(組成:CoBAL Fe9 Ta4 )のX線回折
像である。
Imain<104 cpsのサンプルと、Hc≦200[A
/m]すなわちImain>105 cpsのサンプルの代表
的な結晶構造を図2に示す。図2(a)はCoFePd
膜(組成:CoBAL Fe9 Pd5 )、図2(b)はCo
FeTa膜(組成:CoBAL Fe9 Ta4 )のX線回折
像である。
【0037】図2(a)のCoFePd膜では、2θ=
41度付近に「肩」が確認できる。これは、hcp相
(100)面反射に対応している。本サンプルのHcは
6[kA/m]と大きい。この他の多くのHcが大きい
サンプルでもX線回折曲線にこの「肩」が確認された。
一方、図2(b)のCoFeTa膜等のImain>105
の場合は、この「肩」は確認できなかった。なお、Ima
in>105 膜の主ピークのロッキングカーブを測定した
ところ、その半値幅は11度以下であった。
41度付近に「肩」が確認できる。これは、hcp相
(100)面反射に対応している。本サンプルのHcは
6[kA/m]と大きい。この他の多くのHcが大きい
サンプルでもX線回折曲線にこの「肩」が確認された。
一方、図2(b)のCoFeTa膜等のImain>105
の場合は、この「肩」は確認できなかった。なお、Ima
in>105 膜の主ピークのロッキングカーブを測定した
ところ、その半値幅は11度以下であった。
【0038】以上の結果から、著しく高強度の主ピーク
のみで他のピークが認められない場合、すなわち、fc
c(111)又はhcp(002)高配向を示す場合に
低Hcの得られることがわかる。次に、今まで述べてき
た回折面が膜面に平行な場合のX線回折曲線に対して、
一部の膜について回折面を膜面平行からずらしてX線回
折曲線を測定し、確認される主ピークがどちらの相から
の反射に起因するかを調べた。その結果を図3に示す。
図3(a)は、回折面を54.7度ずらした場合の回折
曲線である(主ピークがfcc(111)ピークであれ
ば、fcc(200)ピークのみが確認される)。ま
た、図3(b)は、回折面を61.6度ずらした場合の
回折曲線である(主ピークがhcp(002)ピークで
あれば、hcp(101)ピークが確認される)。な
お、X線の入射方向を膜面内方向に対して変化させても
回折曲線に大きな変化はみられず、膜面内には配向して
いなかった。図3(a)において、Al添加膜はfcc
(200)ピークのみが確認され、これはfcc(10
0)配向であることを意味している。また、TaやNb
添加膜はどちらのピークも認められなかった。一方、図
3(b)においては、Ta添加膜はhcp(101)ピ
ークが確認され、これはhcp(001)配向膜である
ことを意味している。なお、Ti添加膜では、どちらの
反射も認められず、hcp相であるかfcc相であるか
の判別ができなかった。
のみで他のピークが認められない場合、すなわち、fc
c(111)又はhcp(002)高配向を示す場合に
低Hcの得られることがわかる。次に、今まで述べてき
た回折面が膜面に平行な場合のX線回折曲線に対して、
一部の膜について回折面を膜面平行からずらしてX線回
折曲線を測定し、確認される主ピークがどちらの相から
の反射に起因するかを調べた。その結果を図3に示す。
図3(a)は、回折面を54.7度ずらした場合の回折
曲線である(主ピークがfcc(111)ピークであれ
ば、fcc(200)ピークのみが確認される)。ま
た、図3(b)は、回折面を61.6度ずらした場合の
回折曲線である(主ピークがhcp(002)ピークで
あれば、hcp(101)ピークが確認される)。な
お、X線の入射方向を膜面内方向に対して変化させても
回折曲線に大きな変化はみられず、膜面内には配向して
いなかった。図3(a)において、Al添加膜はfcc
(200)ピークのみが確認され、これはfcc(10
0)配向であることを意味している。また、TaやNb
添加膜はどちらのピークも認められなかった。一方、図
3(b)においては、Ta添加膜はhcp(101)ピ
ークが確認され、これはhcp(001)配向膜である
ことを意味している。なお、Ti添加膜では、どちらの
反射も認められず、hcp相であるかfcc相であるか
の判別ができなかった。
【0039】図4に添加元素濃度とas−made状態
の磁性膜の飽和磁束密度(Bs)との関係を示す。添加
元素のない磁性膜は、約1.9[T]のBsを示す。添
加元素の濃度が増加するに従い、Bs単調に減少する。
添加元素がPdの場合はこの単調減少傾向が僅かであ
り、逆にRu,Crの場合にはこの単調減少傾向が顕著
であった。一般に、添加元素の濃度が約10at%で約
1.4[T]のBsを示す。この値は、センダスト、パ
ーマロイ又はCo系アモルファス合金よりも高い。
の磁性膜の飽和磁束密度(Bs)との関係を示す。添加
元素のない磁性膜は、約1.9[T]のBsを示す。添
加元素の濃度が増加するに従い、Bs単調に減少する。
添加元素がPdの場合はこの単調減少傾向が僅かであ
り、逆にRu,Crの場合にはこの単調減少傾向が顕著
であった。一般に、添加元素の濃度が約10at%で約
1.4[T]のBsを示す。この値は、センダスト、パ
ーマロイ又はCo系アモルファス合金よりも高い。
【0040】次に、低Hcを示したTaを含有する磁性
膜について、Ta濃度とHc及びBsとの関係を図5に
示す。なお、図5では熱処理前後の値を示している。熱
処理条件を以下に示す。
膜について、Ta濃度とHc及びBsとの関係を図5に
示す。なお、図5では熱処理前後の値を示している。熱
処理条件を以下に示す。
【0041】 加熱温度 :500[℃] 加熱時間 :約1時間 加熱雰囲気 :真空中(2〜3×10-3[Pa]) 印加磁界 :20[kA/m] サンプル回転数:100[rpm] 熱処理の有無にかかわらず、Ta濃度が2at%ではH
c>500[A/m]の高Hcを示した。なお、このと
きのX線回折曲線はTaを加えていないCoFe膜の場
合に高配向膜は得ることはできなかった。Ta濃度を4
at%以上に増加すると熱処理の有無にかかわらず20
0[A/m]以下の低Hcを示した。特に、6.5〜9
at%のTa濃度では50[A/m]以下の低Hcを示
した。このときのX線回折曲線は、図2に示した曲線と
同様に、hcp(001)高配向を呈した。また、Bs
は、1.3[T]以上の高い値を示した。12at%に
Ta濃度を増やすと、熱処理前のHcは30[A/m]
以下の低Hcを示したが、熱処理後にHcが急増した。
このときのX線回折曲線は、熱処理前ではアモルファス
状の著しくブロードなピーク(2θ=40〜50度)が
確認できた。熱処理後にはアモルファスが結晶化する場
合に特有のシャープなCoTa金属間化合物のピーク等
が検出された。12at%にTa濃度を増やすと、高配
向膜は得られず、従来報告されているようなHcの耐熱
性が不十分なアモルファス状の膜構造となった。
c>500[A/m]の高Hcを示した。なお、このと
きのX線回折曲線はTaを加えていないCoFe膜の場
合に高配向膜は得ることはできなかった。Ta濃度を4
at%以上に増加すると熱処理の有無にかかわらず20
0[A/m]以下の低Hcを示した。特に、6.5〜9
at%のTa濃度では50[A/m]以下の低Hcを示
した。このときのX線回折曲線は、図2に示した曲線と
同様に、hcp(001)高配向を呈した。また、Bs
は、1.3[T]以上の高い値を示した。12at%に
Ta濃度を増やすと、熱処理前のHcは30[A/m]
以下の低Hcを示したが、熱処理後にHcが急増した。
このときのX線回折曲線は、熱処理前ではアモルファス
状の著しくブロードなピーク(2θ=40〜50度)が
確認できた。熱処理後にはアモルファスが結晶化する場
合に特有のシャープなCoTa金属間化合物のピーク等
が検出された。12at%にTa濃度を増やすと、高配
向膜は得られず、従来報告されているようなHcの耐熱
性が不十分なアモルファス状の膜構造となった。
【0042】次に、Fe濃度を変えた場合の実施例を示
す。図6は、Ta濃度が約8at%のサンプルにおける
Fe濃度を変化させた場合のCoFeTa膜のHcとF
e濃度の関係を示す図である。なお、0〜15at%ま
でのFe濃度では、X線回折曲線を調べたところ全てh
cp(001)配向を示し、配向度に明確な差は見られ
なかったが、17.5at%以上のFe濃度ではbcc
相が混入して配向度が劣化した。
す。図6は、Ta濃度が約8at%のサンプルにおける
Fe濃度を変化させた場合のCoFeTa膜のHcとF
e濃度の関係を示す図である。なお、0〜15at%ま
でのFe濃度では、X線回折曲線を調べたところ全てh
cp(001)配向を示し、配向度に明確な差は見られ
なかったが、17.5at%以上のFe濃度ではbcc
相が混入して配向度が劣化した。
【0043】Feを含まないCoTa膜ではHcは9
[kA/m]程度の高Hcを示した。このとき、図7に
示すように、磁化曲線は垂直磁気異方性特有の形状を示
した。c軸が磁化容易軸(Kuが正)であるため、垂直
磁気異方性が発生して高Hcを示したものと考えられ
る。Fe濃度が増加するとHcは急激に低下して、Fe
濃度が7.5〜15at%ではHcは100[A/m]
以下の低い値を示し、また、垂直磁気異方性も消失し
た。Fe濃度が増加すると、Kuが減少して零近傍又は
負になったため、すなわち、(001)面が磁化容易面
になったために、Hcが低下したものと考えられる。し
かし、Fe濃度が15at%を越えるとbcc相の混入
により配向が劣化するのに対応してHcは増加した。 (実施例2)添加元素としてAlを含有する磁性膜につ
いて、Al濃度とHcとの関係を図8に示す。
[kA/m]程度の高Hcを示した。このとき、図7に
示すように、磁化曲線は垂直磁気異方性特有の形状を示
した。c軸が磁化容易軸(Kuが正)であるため、垂直
磁気異方性が発生して高Hcを示したものと考えられ
る。Fe濃度が増加するとHcは急激に低下して、Fe
濃度が7.5〜15at%ではHcは100[A/m]
以下の低い値を示し、また、垂直磁気異方性も消失し
た。Fe濃度が増加すると、Kuが減少して零近傍又は
負になったため、すなわち、(001)面が磁化容易面
になったために、Hcが低下したものと考えられる。し
かし、Fe濃度が15at%を越えるとbcc相の混入
により配向が劣化するのに対応してHcは増加した。 (実施例2)添加元素としてAlを含有する磁性膜につ
いて、Al濃度とHcとの関係を図8に示す。
【0044】Alの場合は、ごく僅かの添加でもHcは
大きく減少する。すなわち、Al濃度が約1at%でH
cは100[A/m]程度まで減少する。3〜10at
%程度でHcは約10[A/m]の極めて良好な低Hc
を示す。10at%を越えると、Hcは増加し始める。
大きく減少する。すなわち、Al濃度が約1at%でH
cは100[A/m]程度まで減少する。3〜10at
%程度でHcは約10[A/m]の極めて良好な低Hc
を示す。10at%を越えると、Hcは増加し始める。
【0045】結晶構造のAl濃度依存性も、Taの場合
と同様な傾向を示す。すなわち、低Al濃度・高Hc領
域ではhcp(100)ピークが僅かにみられ、配向度
が良好でない。適正Al濃度・低Hc領域ではfcc相
(111)面配向が強く、hcp相配向を含んでいな
い。高Al・高Hc領域では、CoAlの金属間化合物
が生成し、Alの相分離も認められる。 (実施例3)添加元素として他の元素(Ti,Nb,M
o,Zr,Hf,W)を含有する磁性膜について、添加
元素濃度とHcとの関係を図9に示す。これらの添加元
素を用いた場合、3〜8at%程度の濃度で低Hcを示
すことがわかる。膜のX線回折は、適正濃度の領域で
は、2θ=20〜44度の高強度のピークを示してい
る。なお、これらの添加元素の場合でも、組成とHcと
の関係は成膜条件等により変化すると考えられる。
と同様な傾向を示す。すなわち、低Al濃度・高Hc領
域ではhcp(100)ピークが僅かにみられ、配向度
が良好でない。適正Al濃度・低Hc領域ではfcc相
(111)面配向が強く、hcp相配向を含んでいな
い。高Al・高Hc領域では、CoAlの金属間化合物
が生成し、Alの相分離も認められる。 (実施例3)添加元素として他の元素(Ti,Nb,M
o,Zr,Hf,W)を含有する磁性膜について、添加
元素濃度とHcとの関係を図9に示す。これらの添加元
素を用いた場合、3〜8at%程度の濃度で低Hcを示
すことがわかる。膜のX線回折は、適正濃度の領域で
は、2θ=20〜44度の高強度のピークを示してい
る。なお、これらの添加元素の場合でも、組成とHcと
の関係は成膜条件等により変化すると考えられる。
【0046】ところが、Pd,Ru,Cr,Siを添加
した場合は、どのような濃度でも良好な低Hc膜は得ら
れない。これらの膜の結晶構造を評価すると、hcp相
(100)ピークが認められる。以上のように、CoF
e膜においてはfcc相(111)又はhcp相(00
1)面配向を促進する添加元素と、これら配向を抑制す
る添加元素とがあることがわかる。 [第2発明] (実施例1)Co90Fe10又はCo90Fe10にAlを含
有量を変化させて添加した合金ターゲットとTaペレッ
トからなる複合型ターゲットを用い、アルゴンと窒素と
の混合ガス雰囲気中でRFマグネトロンスパッタ法によ
り、結晶化ガラス基板上に膜厚1μmの磁性膜を形成し
た。なお、磁性膜中のTaとAlとの合計の濃度は8〜
10at%になるように調整した。また、スパッタリン
グは以下の条件で行った。
した場合は、どのような濃度でも良好な低Hc膜は得ら
れない。これらの膜の結晶構造を評価すると、hcp相
(100)ピークが認められる。以上のように、CoF
e膜においてはfcc相(111)又はhcp相(00
1)面配向を促進する添加元素と、これら配向を抑制す
る添加元素とがあることがわかる。 [第2発明] (実施例1)Co90Fe10又はCo90Fe10にAlを含
有量を変化させて添加した合金ターゲットとTaペレッ
トからなる複合型ターゲットを用い、アルゴンと窒素と
の混合ガス雰囲気中でRFマグネトロンスパッタ法によ
り、結晶化ガラス基板上に膜厚1μmの磁性膜を形成し
た。なお、磁性膜中のTaとAlとの合計の濃度は8〜
10at%になるように調整した。また、スパッタリン
グは以下の条件で行った。
【0047】 高周波電力密度 :0.05[W/mm2 ] 全スパッタガス圧力:0.3[Pa] 窒素ガス濃度 :25at% 電極間距離 :60[mm] 予備排気 :2×10-4[Pa]以下 基板温度 :約100[℃] 成膜後の熱処理は、磁性膜を所定温度において、2×1
0-3[Pa]の減圧下、16[kA/m]、100[r
pm]の回転磁界中に1時間保持して行った。
0-3[Pa]の減圧下、16[kA/m]、100[r
pm]の回転磁界中に1時間保持して行った。
【0048】得られた磁性膜について各種特性を以下の
ようにして測定した。保持力は、磁性膜の困難軸方向に
最大250[Oe]の磁界を加えて測定した。Bsは、
磁性膜に10kOeの磁界を加えて振動型磁力計により
測定した。膜の結晶構造は、θ−2θスキャンのX線回
折法(CuKα線使用)により調べた。膜中の窒素濃度
は、水蒸気蒸留・ネスラー吸光光度法とオージェ光電子
分光法との併用により調べた。膜中のCo,Fe,Ta
及びAlの濃度は、蛍光X線分析により調べた。
ようにして測定した。保持力は、磁性膜の困難軸方向に
最大250[Oe]の磁界を加えて測定した。Bsは、
磁性膜に10kOeの磁界を加えて振動型磁力計により
測定した。膜の結晶構造は、θ−2θスキャンのX線回
折法(CuKα線使用)により調べた。膜中の窒素濃度
は、水蒸気蒸留・ネスラー吸光光度法とオージェ光電子
分光法との併用により調べた。膜中のCo,Fe,Ta
及びAlの濃度は、蛍光X線分析により調べた。
【0049】前記の条件により作成された各磁性膜につ
いて、Hcの熱処理温度依存性を、T成分中のAlの含
有率(以下、「Taに対するAl置換量」という)をパ
ラメータとして図10に示す。
いて、Hcの熱処理温度依存性を、T成分中のAlの含
有率(以下、「Taに対するAl置換量」という)をパ
ラメータとして図10に示す。
【0050】まず、熱処理が施されていない磁性膜につ
いて検討する。Alが添加されていない膜は、800
[A/m]以上の高Hcを示す。また、この膜は弱い垂
直磁気異方性を示唆する磁化曲線を示す。この結果は、
これまで報告されているCo系窒化膜についての結果と
一致する。Al置換量が25〜50at%では、Hcは
10[A/m]以下に低下する。ただし、Al置換量が
75at%以上に増加すると、Hcは40[A/m]以
下に微増する。これらの結果から、Alの添加により有
害な垂直磁気異方性を抑制でき、熱処理を施さなくとも
低Hcを実現できることがわかる。
いて検討する。Alが添加されていない膜は、800
[A/m]以上の高Hcを示す。また、この膜は弱い垂
直磁気異方性を示唆する磁化曲線を示す。この結果は、
これまで報告されているCo系窒化膜についての結果と
一致する。Al置換量が25〜50at%では、Hcは
10[A/m]以下に低下する。ただし、Al置換量が
75at%以上に増加すると、Hcは40[A/m]以
下に微増する。これらの結果から、Alの添加により有
害な垂直磁気異方性を抑制でき、熱処理を施さなくとも
低Hcを実現できることがわかる。
【0051】次に、350〜550[℃]での熱処理の
影響について検討する。熱処理を施さない場合には高H
cを示すAlが添加されていない膜では、この温度での
熱処理によりHcは約10[A/m]に低下する。Al
置換量が10at%以上の膜では、この温度範囲の熱処
理によるHcの変化はほとんどない。
影響について検討する。熱処理を施さない場合には高H
cを示すAlが添加されていない膜では、この温度での
熱処理によりHcは約10[A/m]に低下する。Al
置換量が10at%以上の膜では、この温度範囲の熱処
理によるHcの変化はほとんどない。
【0052】さらに、550[℃]以上での熱処理の影
響について検討する。Alが添加されていない膜とAl
置換量が75at%以上の膜ではHcが急激に増加す
る。一方、Al置換量が10at%の膜では600
[℃]での熱処理でHcが急激に減少する。そして、A
l置換量が10〜50at%膜では約650[℃]まで
の熱処理で10[A/m]以下の低Hcを示す。
響について検討する。Alが添加されていない膜とAl
置換量が75at%以上の膜ではHcが急激に増加す
る。一方、Al置換量が10at%の膜では600
[℃]での熱処理でHcが急激に減少する。そして、A
l置換量が10〜50at%膜では約650[℃]まで
の熱処理で10[A/m]以下の低Hcを示す。
【0053】これらの結果から、Alの置換量が75a
t%未満であれば、ラミネート型ヘッドの製造プロセス
に耐え得る600[℃]以上の耐熱性を実現できる。
t%未満であれば、ラミネート型ヘッドの製造プロセス
に耐え得る600[℃]以上の耐熱性を実現できる。
【0054】ここで、Taの一部をAlで置換すること
により高Bsの特徴が損なわれることが懸念される。そ
こで、600[℃]で熱処理した磁性膜について、Al
置換量とBsとの関係を図11に示す。Al置換量が変
化しても、Bsは僅かに変化するだけであり、1.4〜
1.5[T]の高Bsが得られることがわかる。
により高Bsの特徴が損なわれることが懸念される。そ
こで、600[℃]で熱処理した磁性膜について、Al
置換量とBsとの関係を図11に示す。Al置換量が変
化しても、Bsは僅かに変化するだけであり、1.4〜
1.5[T]の高Bsが得られることがわかる。
【0055】Alの添加により軟磁性の耐熱性が向上す
るのは、膜の結晶構造が変化するためであると考えられ
る。そこで、X線回折曲線のAl置換量依存性を調べた
結果を図12に示す。
るのは、膜の結晶構造が変化するためであると考えられ
る。そこで、X線回折曲線のAl置換量依存性を調べた
結果を図12に示す。
【0056】まず、熱処理が施されていない磁性膜につ
いて検討する。Alが添加されていない膜では、2θ=
約45度にCo系アモルファス合金膜特有の著しく広が
った、いわゆるブロードピークが認められる。Al置換
量が50at%の膜では、このブロードピークの広角側
が膨らむ。さらに、Al置換量が75at%の膜では、
2θ=約50度に明確なピークが出現する。これらの変
化は、Al添加によりアモルファス状の相から微結晶を
含む構造に変化することによると推測される。
いて検討する。Alが添加されていない膜では、2θ=
約45度にCo系アモルファス合金膜特有の著しく広が
った、いわゆるブロードピークが認められる。Al置換
量が50at%の膜では、このブロードピークの広角側
が膨らむ。さらに、Al置換量が75at%の膜では、
2θ=約50度に明確なピークが出現する。これらの変
化は、Al添加によりアモルファス状の相から微結晶を
含む構造に変化することによると推測される。
【0057】次に、450[℃]での熱処理の影響につ
いて検討する。Al置換量が50at%以下の膜では2
θ=約35度に著しくブロードなTaNx と思われるピ
ークが認められる。同時に2θ=約45度のピークが幅
が狭くなる。これは窒化相と非窒化相との相分離に対応
した結晶化が進行しているためであると推定される。A
l置換量が75at%以上の膜では窒化物に対応する明
確なピークは出現せず、2θ=約45度と約50度とに
ピークが明確になる。この場合も、結晶成長が進行して
いると考えられる。
いて検討する。Al置換量が50at%以下の膜では2
θ=約35度に著しくブロードなTaNx と思われるピ
ークが認められる。同時に2θ=約45度のピークが幅
が狭くなる。これは窒化相と非窒化相との相分離に対応
した結晶化が進行しているためであると推定される。A
l置換量が75at%以上の膜では窒化物に対応する明
確なピークは出現せず、2θ=約45度と約50度とに
ピークが明確になる。この場合も、結晶成長が進行して
いると考えられる。
【0058】さらに、600度での熱処理の影響につい
て検討する。Alが添加されていない膜とAl置換量が
75at%以上の膜では、メインピーク(2θ=約45
度)の半値幅が減少し、結晶粒成長が明確である。Al
置換量が50at%の膜では結晶粒成長は比較的僅かで
ある。
て検討する。Alが添加されていない膜とAl置換量が
75at%以上の膜では、メインピーク(2θ=約45
度)の半値幅が減少し、結晶粒成長が明確である。Al
置換量が50at%の膜では結晶粒成長は比較的僅かで
ある。
【0059】Alの添加により、結晶粒の成長が抑制さ
れる効果をより明確にするために、Alが添加されてい
ない膜とAl置換量が50at%の膜について、熱処理
温度と2θ=44〜45度のメインピークの半値幅(F
WHM)との関係を図13に示す。図13から、Alを
添加することにより、熱処理による半値幅の低下、すな
わち結晶粒の成長を抑制できることが明らかである。
れる効果をより明確にするために、Alが添加されてい
ない膜とAl置換量が50at%の膜について、熱処理
温度と2θ=44〜45度のメインピークの半値幅(F
WHM)との関係を図13に示す。図13から、Alを
添加することにより、熱処理による半値幅の低下、すな
わち結晶粒の成長を抑制できることが明らかである。
【0060】図12及び図13の結果から、Taの一部
をAlで50at%まで置換すると、比較的低い温度
(400[℃])で窒化物を含む結晶化が起こるが、そ
の後の結晶粒成長を抑制できることがわかる。その結
果、Hcの耐熱性が向上すると考えられる。
をAlで50at%まで置換すると、比較的低い温度
(400[℃])で窒化物を含む結晶化が起こるが、そ
の後の結晶粒成長を抑制できることがわかる。その結
果、Hcの耐熱性が向上すると考えられる。
【0061】以上では、Alの添加によりHcの耐熱性
が向上する効果について説明したが、さらに、Alの添
加により、抵抗率が増加する効果も同時に得られる。
が向上する効果について説明したが、さらに、Alの添
加により、抵抗率が増加する効果も同時に得られる。
【0062】図14に600[℃]で熱処理した膜の抵
抗率のAl置換量依存性を示す。抵抗率は、Al置換な
しの膜では0.55[μΩm]、Al置換量が50at
%の膜では0.7[μΩm]である。しかし、Al置換
量が75at%以上に増加すると抵抗率は急激に低下す
る。Al置換量が50at%の膜で抵抗率が増加するの
は、結晶粒成長の抑制によるものと考えられる。このよ
うに抵抗率の増大により渦電流を抑制できるので、良好
な高周波透磁率が期待できる。
抗率のAl置換量依存性を示す。抵抗率は、Al置換な
しの膜では0.55[μΩm]、Al置換量が50at
%の膜では0.7[μΩm]である。しかし、Al置換
量が75at%以上に増加すると抵抗率は急激に低下す
る。Al置換量が50at%の膜で抵抗率が増加するの
は、結晶粒成長の抑制によるものと考えられる。このよ
うに抵抗率の増大により渦電流を抑制できるので、良好
な高周波透磁率が期待できる。
【0063】ここで、Taに対するAlの置換量を増や
すと、耐食性に悪影響が認められる。その結果を表1に
示す。なお、耐食性は、磁性膜を室温でpH6.0の水
中に100時間放置した後、光学顕微鏡により表面状態
を観察することにより評価した。Al置換量が50at
%までの膜では、膜表面に全く変化が認められない。し
かし、Al置換量をさらに増やすと、錆による顕著な表
面変化が認められる。この結果から、Alを多量に添加
すると、磁性膜の耐食性を劣化させるという問題がある
ことがわかる。
すと、耐食性に悪影響が認められる。その結果を表1に
示す。なお、耐食性は、磁性膜を室温でpH6.0の水
中に100時間放置した後、光学顕微鏡により表面状態
を観察することにより評価した。Al置換量が50at
%までの膜では、膜表面に全く変化が認められない。し
かし、Al置換量をさらに増やすと、錆による顕著な表
面変化が認められる。この結果から、Alを多量に添加
すると、磁性膜の耐食性を劣化させるという問題がある
ことがわかる。
【0064】
【表1】 (実施例2)窒素ガス濃度を0〜50at%の範囲で変
化させた以外は、実施例1の条件で磁性膜を形成した。
Taに対するAl置換量は10at%である。
化させた以外は、実施例1の条件で磁性膜を形成した。
Taに対するAl置換量は10at%である。
【0065】図15に、窒素ガス濃度と600[℃]で
熱処理を施した磁性膜のHcとの関係を示す。窒素ガス
濃度が5at%以下(膜中の窒素濃度は2at%以
下)、又は50at%以上(膜中の窒素濃度は20at
%以上)で作製された膜は、400[A/m]以上の高
Hcを示す。一方、窒素ガス濃度5〜50at%で作製
された膜は、30[A/m]以下の低Hcを示す。この
ことから、膜中の窒素濃度を2〜20at%とすること
により、耐熱性に優れた低Hc膜が得られることがわか
る。 (実施例3)合金ターゲット中のAl含有量とTaチッ
プの数を調整し、Taに対するAlの置換量をほぼ一定
(約50at%)とし、T成分(Ta及びAl)の濃度
bを変化させて実施例1の条件で磁性膜を形成した。
熱処理を施した磁性膜のHcとの関係を示す。窒素ガス
濃度が5at%以下(膜中の窒素濃度は2at%以
下)、又は50at%以上(膜中の窒素濃度は20at
%以上)で作製された膜は、400[A/m]以上の高
Hcを示す。一方、窒素ガス濃度5〜50at%で作製
された膜は、30[A/m]以下の低Hcを示す。この
ことから、膜中の窒素濃度を2〜20at%とすること
により、耐熱性に優れた低Hc膜が得られることがわか
る。 (実施例3)合金ターゲット中のAl含有量とTaチッ
プの数を調整し、Taに対するAlの置換量をほぼ一定
(約50at%)とし、T成分(Ta及びAl)の濃度
bを変化させて実施例1の条件で磁性膜を形成した。
【0066】図16に550[℃]で熱処理した膜のH
cの濃度b依存性を示す。濃度bが4at%の膜では約
300[A/m]の比較的高いHcを示す。濃度bが5
〜13at%の膜では30[A/m]以下の低Hcを示
す。濃度bが15at%以上の膜では30[A/m]以
下の低Hcを示す。4<b<15の範囲で30[A/
m]以下の低Hcが得られることがわかる。
cの濃度b依存性を示す。濃度bが4at%の膜では約
300[A/m]の比較的高いHcを示す。濃度bが5
〜13at%の膜では30[A/m]以下の低Hcを示
す。濃度bが15at%以上の膜では30[A/m]以
下の低Hcを示す。4<b<15の範囲で30[A/
m]以下の低Hcが得られることがわかる。
【0067】図17に濃度bとBsとの関係を示す。濃
度bの増加によりBsは緩やかに低下するが、b=15
at%でも、従来のNiFe合金やFeAlSi合金を
上回るBs=1.25[T]の高Bsが得られる。 (実施例4)以上の実施例では、T成分としてTa及び
Alを含有する場合について説明したが、T成分中の遷
移金属としてTaの代わりにZr、Nb、Hf、Ti、
Cr、Mo、Wを用いた場合でも同様な結果が得られ
る。その結果を一例を表2に示す。表2には各磁性膜を
600[℃]熱処理後のHcと、Bsの値を示す。いず
れの磁性膜でも、Hcが30[A/m]以下、Bsが
1.2[T]以上の良好な磁気特性を示す。
度bの増加によりBsは緩やかに低下するが、b=15
at%でも、従来のNiFe合金やFeAlSi合金を
上回るBs=1.25[T]の高Bsが得られる。 (実施例4)以上の実施例では、T成分としてTa及び
Alを含有する場合について説明したが、T成分中の遷
移金属としてTaの代わりにZr、Nb、Hf、Ti、
Cr、Mo、Wを用いた場合でも同様な結果が得られ
る。その結果を一例を表2に示す。表2には各磁性膜を
600[℃]熱処理後のHcと、Bsの値を示す。いず
れの磁性膜でも、Hcが30[A/m]以下、Bsが
1.2[T]以上の良好な磁気特性を示す。
【0068】
【表2】 次に、本発明に係る磁性膜が適用される磁気ヘッドの例
を図18〜図21を参照して説明する。
を図18〜図21を参照して説明する。
【0069】図18は長手記録のハードディスクに対応
した薄膜磁気ヘッドの断面図である。基板1上に強磁性
膜2、及びヘッド先端側で所定のギャップ3が形成され
るように第1絶縁層4が積層され、この第1絶縁層4に
コイル5がまかれ、さらにコイル5を覆うように第2絶
縁層6が積層されている。絶縁層表面に強磁性膜7が、
その一部が強磁性膜2と接触するように形成され、ヘッ
ド先端側で強磁性膜2と強磁性膜7との間にギャップ3
が形成される。強磁性膜7上には保護膜8が形成されて
いる。
した薄膜磁気ヘッドの断面図である。基板1上に強磁性
膜2、及びヘッド先端側で所定のギャップ3が形成され
るように第1絶縁層4が積層され、この第1絶縁層4に
コイル5がまかれ、さらにコイル5を覆うように第2絶
縁層6が積層されている。絶縁層表面に強磁性膜7が、
その一部が強磁性膜2と接触するように形成され、ヘッ
ド先端側で強磁性膜2と強磁性膜7との間にギャップ3
が形成される。強磁性膜7上には保護膜8が形成されて
いる。
【0070】本発明の強磁性膜は、従来のNiFe膜や
Co系アモルファス膜等に比べてBsが高いので、高保
持力媒体に対しても十分な記録が可能となる。また、従
来のAlが添加されていないCo系窒化膜に比べて抵抗
率が高いので、高周波特性に優れた記録再生が可能にな
る。さらに、熱処理を施さなくても低Hcを示すので、
余り耐熱性がよくない有機材料でも絶縁層として利用で
き、低コストの磁界ヘッドを製造することができる。
Co系アモルファス膜等に比べてBsが高いので、高保
持力媒体に対しても十分な記録が可能となる。また、従
来のAlが添加されていないCo系窒化膜に比べて抵抗
率が高いので、高周波特性に優れた記録再生が可能にな
る。さらに、熱処理を施さなくても低Hcを示すので、
余り耐熱性がよくない有機材料でも絶縁層として利用で
き、低コストの磁界ヘッドを製造することができる。
【0071】図19は垂直記録に対応した薄膜磁気ヘッ
ドの断面図である。基板11上に本発明に係る強磁性膜
からなる主磁極12、第1絶縁層13が順次積層され、
この第1絶縁層13にコイル14が巻かれ、さらにコイ
ル14を覆うように第2絶縁層15が積層されている。
絶縁層表面にリターンパス磁性体16が、その一部が主
磁極12と接触するように形成されている。リターンパ
ス磁性体16上には保護膜17が形成されている。
ドの断面図である。基板11上に本発明に係る強磁性膜
からなる主磁極12、第1絶縁層13が順次積層され、
この第1絶縁層13にコイル14が巻かれ、さらにコイ
ル14を覆うように第2絶縁層15が積層されている。
絶縁層表面にリターンパス磁性体16が、その一部が主
磁極12と接触するように形成されている。リターンパ
ス磁性体16上には保護膜17が形成されている。
【0072】主磁極12に使用される本発明の強磁性膜
は、従来のCo系アモルファス膜等に比べて、飽和磁極
厚みをさらに薄くすることができ、その結果線記録密度
の高い高密度垂直磁気記録が可能になる。
は、従来のCo系アモルファス膜等に比べて、飽和磁極
厚みをさらに薄くすることができ、その結果線記録密度
の高い高密度垂直磁気記録が可能になる。
【0073】図20はMIGヘッドの斜視図である。1
対のフェライトコア21、22には、それぞれその対向
面側に、中間層23、23を介して本発明に係る強磁性
膜24、24が形成されている。中間層23は、付着力
を強化するため、及びフェライトコアと強磁性膜との間
の相互拡散を防止するために用いられ、Cr、Si
O2 、NiFe等が適している。これらフェライトコア
21、22は、強磁性膜24、24間にギャップ25が
形成されるように、ガラス26により溶着されている。
そして、フェライトコア21にはコイル27が巻かれて
いる。
対のフェライトコア21、22には、それぞれその対向
面側に、中間層23、23を介して本発明に係る強磁性
膜24、24が形成されている。中間層23は、付着力
を強化するため、及びフェライトコアと強磁性膜との間
の相互拡散を防止するために用いられ、Cr、Si
O2 、NiFe等が適している。これらフェライトコア
21、22は、強磁性膜24、24間にギャップ25が
形成されるように、ガラス26により溶着されている。
そして、フェライトコア21にはコイル27が巻かれて
いる。
【0074】このようなヘッドを作製する際には、約5
5[℃]の高温でガラス溶着工程が行われるが、本発明
の強磁性膜は600[℃]の耐熱性を有するので、この
ヘッドに適用することができる。また、Alが添加され
ていないCo系窒化膜に比べて、熱処理後の抵抗率が高
いので、高周波特性も良好である。メタルインギャップ
型のヘッドでは膜厚が厚いので、特に抵抗率の高い磁性
膜が要求される。
5[℃]の高温でガラス溶着工程が行われるが、本発明
の強磁性膜は600[℃]の耐熱性を有するので、この
ヘッドに適用することができる。また、Alが添加され
ていないCo系窒化膜に比べて、熱処理後の抵抗率が高
いので、高周波特性も良好である。メタルインギャップ
型のヘッドでは膜厚が厚いので、特に抵抗率の高い磁性
膜が要求される。
【0075】図21はラミネート型ヘッドの斜視図であ
る。1対の非磁性基板31、31上には、付着力強化用
の中間層32、32を介して、本発明に係る強磁性膜3
3、33と絶縁層34、34とを交互に積層したラミネ
ート層が形成されている。この上に第1の溶着用ガラス
35、35を介して基板36、36が形成されている。
以上のような構成を有する1対のブロック37、38
は、基板断面で第2の溶着用ガラス39により接合さ
れ、所定のギャップが形成される。一方の、ブロック3
7には、コイル40が巻かれている。
る。1対の非磁性基板31、31上には、付着力強化用
の中間層32、32を介して、本発明に係る強磁性膜3
3、33と絶縁層34、34とを交互に積層したラミネ
ート層が形成されている。この上に第1の溶着用ガラス
35、35を介して基板36、36が形成されている。
以上のような構成を有する1対のブロック37、38
は、基板断面で第2の溶着用ガラス39により接合さ
れ、所定のギャップが形成される。一方の、ブロック3
7には、コイル40が巻かれている。
【0076】このようなラミネート型ヘッドを作製する
際には、第2のガラス39の溶着中に、第1のガラス3
5が安定であることが要求される。このため、第1のガ
ラス35の溶着温度は、第2のガラス39の溶着温度よ
りも高い、600[℃]以上の高温が望ましい。本発明
の強磁性膜はこのような高温プロセスにも十分耐え得る
ので、ラミネート型ヘッドにも適用できる。 (実施例5)本実施例は、Co90Fe10合金とTaペレ
ットによる複合型のタ−ゲットを用いて、RFマグネト
ロンスパッタにより、結晶化ガラス基板上に作製した。
なお、基板との付着力を保つために、基板と本発明に係
る磁性膜の中間に膜厚10[nm]程度のCr膜を介し
た。スパッタリングは、以下の条件で行った。
際には、第2のガラス39の溶着中に、第1のガラス3
5が安定であることが要求される。このため、第1のガ
ラス35の溶着温度は、第2のガラス39の溶着温度よ
りも高い、600[℃]以上の高温が望ましい。本発明
の強磁性膜はこのような高温プロセスにも十分耐え得る
ので、ラミネート型ヘッドにも適用できる。 (実施例5)本実施例は、Co90Fe10合金とTaペレ
ットによる複合型のタ−ゲットを用いて、RFマグネト
ロンスパッタにより、結晶化ガラス基板上に作製した。
なお、基板との付着力を保つために、基板と本発明に係
る磁性膜の中間に膜厚10[nm]程度のCr膜を介し
た。スパッタリングは、以下の条件で行った。
【0077】 高周波電力密度 :0.05[W/mm2 ] 全スパッタガス圧力:0.3[Pa] 窒素ガス濃度 :25at% 電極間距離 :60[mm] 予備排気 :1×10-4[Pa]以下 膜厚 :3[μm] 基板温度 :100 [℃] 保磁力は最大20[kA/m]の磁界を困難軸方向に加
えて振動型磁力計により測定した。実効透磁率は8字コ
イル法により求めた。なお、このときの周波数は1[M
Hz]であった。Bsは、10[kOe]の磁界を加え
て振動型磁力計により測定した。面内一軸磁気異方性に
よる異方性磁界Hkは困難軸方向の直線状マイナ−ル−
プ磁化曲線を飽和点まで延長する方法により求めた。飽
和磁気歪λsは膜に一方向性の応力を加えた場合のHk
変化から求めた。なお、膜のヤング率とポアソン比はC
oの値を代用した。結晶構造は、CuKα線を用いたθ
−2θスキャンのX線ディフラクトメ−タ法により調べ
た。膜中の窒素濃度は、水蒸気蒸留・ネスラ−吸光光度
法とオ−ジェ光電子分光法の併用により調べたところ、
熱処理前で12at%であり、700[℃]、1時間の
熱処理後では約10at%に減少した。Co,Fe及び
Taの膜中濃度は蛍光X線分析により調べたところ、C
o83Fe9 Ta8 であった。
えて振動型磁力計により測定した。実効透磁率は8字コ
イル法により求めた。なお、このときの周波数は1[M
Hz]であった。Bsは、10[kOe]の磁界を加え
て振動型磁力計により測定した。面内一軸磁気異方性に
よる異方性磁界Hkは困難軸方向の直線状マイナ−ル−
プ磁化曲線を飽和点まで延長する方法により求めた。飽
和磁気歪λsは膜に一方向性の応力を加えた場合のHk
変化から求めた。なお、膜のヤング率とポアソン比はC
oの値を代用した。結晶構造は、CuKα線を用いたθ
−2θスキャンのX線ディフラクトメ−タ法により調べ
た。膜中の窒素濃度は、水蒸気蒸留・ネスラ−吸光光度
法とオ−ジェ光電子分光法の併用により調べたところ、
熱処理前で12at%であり、700[℃]、1時間の
熱処理後では約10at%に減少した。Co,Fe及び
Taの膜中濃度は蛍光X線分析により調べたところ、C
o83Fe9 Ta8 であった。
【0078】図22は、上記条件により作製した磁性膜
における実効透磁率μとHcの熱処理温度(Tan)依存
性を示す図である。熱処理は回転磁界中(16[kA/
m]、100[rpm])で各温度で1時間行った。膜
中には若干の異方性(異方性磁界Hk=100〜300
[A/m])が存在したので、透磁率が膜面内磁界印加
方向に応じて変化したが、図22には最大の透磁率の値
を示し、Hcの差はほとんど見られなかった。また、エ
ラ−バ−は複数の試料における変動を表す。熱処理前で
は、約200[A/m]の高Hc、約180の低透磁率
を示したが、熱処理温度が増加するとHcは低下、透磁
率は増加した。550[℃]〜700[℃]の熱処理範
囲で30[A/m]程度の低Hc、1000以上の高透
磁率が得られることがわかる。
における実効透磁率μとHcの熱処理温度(Tan)依存
性を示す図である。熱処理は回転磁界中(16[kA/
m]、100[rpm])で各温度で1時間行った。膜
中には若干の異方性(異方性磁界Hk=100〜300
[A/m])が存在したので、透磁率が膜面内磁界印加
方向に応じて変化したが、図22には最大の透磁率の値
を示し、Hcの差はほとんど見られなかった。また、エ
ラ−バ−は複数の試料における変動を表す。熱処理前で
は、約200[A/m]の高Hc、約180の低透磁率
を示したが、熱処理温度が増加するとHcは低下、透磁
率は増加した。550[℃]〜700[℃]の熱処理範
囲で30[A/m]程度の低Hc、1000以上の高透
磁率が得られることがわかる。
【0079】図23は、Bsとλsの熱処理温度依存性
を示す図である。熱処理温度が増加すると、Bsは1.
4[T]から1.7[T]まで増加した。一方、λs
は、熱処理前には軟磁性が良くないため測定不能であっ
たが、450[℃]以上に熱処理温度が増加すると+1
×10-5から+2×10-6に低下した。約700[℃]
の熱処理のより1.7[T]の高Bs、+2×10-6の
低磁気歪が得られることがわかる。以上は、回転磁界中
熱処理を施しているので一軸磁気異方性が小さい場合の
結果であるが、ヘッド構造によっては、磁区の安定化を
計るために適度の一軸磁気異方性を付与した磁性膜が好
ましい場合がある。
を示す図である。熱処理温度が増加すると、Bsは1.
4[T]から1.7[T]まで増加した。一方、λs
は、熱処理前には軟磁性が良くないため測定不能であっ
たが、450[℃]以上に熱処理温度が増加すると+1
×10-5から+2×10-6に低下した。約700[℃]
の熱処理のより1.7[T]の高Bs、+2×10-6の
低磁気歪が得られることがわかる。以上は、回転磁界中
熱処理を施しているので一軸磁気異方性が小さい場合の
結果であるが、ヘッド構造によっては、磁区の安定化を
計るために適度の一軸磁気異方性を付与した磁性膜が好
ましい場合がある。
【0080】そこで、次に一軸磁気異方性を制御する方
法の一例を示す。まず始めに、固定磁界中で所定の温度
で熱処理を行い所定のHkを膜に付与する。図24は、
このときのHk、透磁率と熱処理温度の関係を示す図で
ある。Hcは回転磁界中熱処理を施した場合と同様な低
い値を示した。Hkは、450[℃]の熱処理では28
00[A/m]の大きな値を示したが、熱処理温度が7
00[℃]まで増加すると1350[A/m]に低下し
た。このHkの低下に対応して、透磁率は350から7
50まで増加した。図24における破線は、Hkから予
想される理想的な磁化回転における透磁率を示すもので
あり、実測した透磁率と一致することがわかる。次に、
この熱処理よりも低い温度(400〜600[℃])
で、前の熱処理磁界方向と直交する方向に固定磁界を加
えて所定の時間熱処理することにより所定のHkが付与
することができる。
法の一例を示す。まず始めに、固定磁界中で所定の温度
で熱処理を行い所定のHkを膜に付与する。図24は、
このときのHk、透磁率と熱処理温度の関係を示す図で
ある。Hcは回転磁界中熱処理を施した場合と同様な低
い値を示した。Hkは、450[℃]の熱処理では28
00[A/m]の大きな値を示したが、熱処理温度が7
00[℃]まで増加すると1350[A/m]に低下し
た。このHkの低下に対応して、透磁率は350から7
50まで増加した。図24における破線は、Hkから予
想される理想的な磁化回転における透磁率を示すもので
あり、実測した透磁率と一致することがわかる。次に、
この熱処理よりも低い温度(400〜600[℃])
で、前の熱処理磁界方向と直交する方向に固定磁界を加
えて所定の時間熱処理することにより所定のHkが付与
することができる。
【0081】その一例を次に示す。図25は、700
[℃]又は550[℃]、1時間の固定磁界中予備熱処
理後、その磁界方向と直交する方向に固定磁界を加えて
525[℃]の温度で熱処理した場合における、熱処理
時間とHkの関係を示す図である。図25において、正
のHkは予備熱処理での磁界付与方向に容易軸がある場
合を意味し、負のHkはそれと直交する方法に容易軸が
ある場合を意味する。熱処理時間を制御することによ
り、700[℃]の予備熱処理膜では0〜960[A/
m]の範囲で、550[℃]の予備熱処理膜では0〜1
420[A/m]の範囲でHkが制御できることがわか
る。ここで、700[℃]の予備熱処理膜では、これ以
上の長時間熱処理を施してもHkはほとんど変化しなか
ったが、このHkは、予備熱処理直後のHkに比べて4
00[A/m]程度小さい値を示した。なお、Hkの制
御は、2回目の熱処理の時間ではなく温度を制御しても
行なうことができる。さらに、まず始めに回転磁界中で
熱処理を施した後、固定磁界中で熱処理を行い、この固
定磁界中熱処理の条件(温度や時間等)を変数としても
よい。
[℃]又は550[℃]、1時間の固定磁界中予備熱処
理後、その磁界方向と直交する方向に固定磁界を加えて
525[℃]の温度で熱処理した場合における、熱処理
時間とHkの関係を示す図である。図25において、正
のHkは予備熱処理での磁界付与方向に容易軸がある場
合を意味し、負のHkはそれと直交する方法に容易軸が
ある場合を意味する。熱処理時間を制御することによ
り、700[℃]の予備熱処理膜では0〜960[A/
m]の範囲で、550[℃]の予備熱処理膜では0〜1
420[A/m]の範囲でHkが制御できることがわか
る。ここで、700[℃]の予備熱処理膜では、これ以
上の長時間熱処理を施してもHkはほとんど変化しなか
ったが、このHkは、予備熱処理直後のHkに比べて4
00[A/m]程度小さい値を示した。なお、Hkの制
御は、2回目の熱処理の時間ではなく温度を制御しても
行なうことができる。さらに、まず始めに回転磁界中で
熱処理を施した後、固定磁界中で熱処理を行い、この固
定磁界中熱処理の条件(温度や時間等)を変数としても
よい。
【0082】ところで、上述した磁気特性の熱処理依存
性は、結晶構造との間に強い相関があることがわかった
ので、その結果を次に示す。図26は、X線回折曲線の
熱処理温度依存性を示す図であり、図27は、X線回折
曲線での2θ=44〜45度におけるメインピ−クの半
値幅FWHMと面間隔dの熱処理温度依存性を示す図で
ある。成膜直後では、Co系のアモルファス膜と同様な
ブロ−ドしたピ−ク(2θ〜44度)のみが検出され
た。400[℃]の熱処理を施すと、このピ−クはbc
c相(110)ピ−クの位置とおよそ一致するところに
シフトして、ピ−ク強度の増大および半値幅の減少が認
められた。この他に、微弱ではあるがbcc相の(20
0)と(211)ピ−クが検出された。400[℃]熱
処理膜はbcc微結晶を呈することがわかる。550
[℃]から700[℃]に熱処理温度が増加すると、b
cc相(110)ピ−クは2θ=約44度のfcc相
(111)ピ−クの位置にシフトして、さらにfcc相
の(200)ピ−ク、(220)ピ−ク、(311)ピ
−クが認められた。また、TaNのピ−クも認められ
た。従って、、700[℃]まで熱処理を進めるとbc
c相からfcc相+TaNの2相に相変態することがわ
かる。なお、この相変態で、ピ−ク半値幅が減少してお
り、結晶粒径が増加したと推察される。しかし、透過電
子顕微鏡観察により結晶状態を観察したところ、550
[℃]の熱処理膜では平均結晶粒径が約5nmであり、
700[℃]の熱処理でもなお平均結晶粒径が約10n
mの微細粒を保っていた。その結果、700[℃]の高
温でも軟磁性が良好であったともの考えられる。
性は、結晶構造との間に強い相関があることがわかった
ので、その結果を次に示す。図26は、X線回折曲線の
熱処理温度依存性を示す図であり、図27は、X線回折
曲線での2θ=44〜45度におけるメインピ−クの半
値幅FWHMと面間隔dの熱処理温度依存性を示す図で
ある。成膜直後では、Co系のアモルファス膜と同様な
ブロ−ドしたピ−ク(2θ〜44度)のみが検出され
た。400[℃]の熱処理を施すと、このピ−クはbc
c相(110)ピ−クの位置とおよそ一致するところに
シフトして、ピ−ク強度の増大および半値幅の減少が認
められた。この他に、微弱ではあるがbcc相の(20
0)と(211)ピ−クが検出された。400[℃]熱
処理膜はbcc微結晶を呈することがわかる。550
[℃]から700[℃]に熱処理温度が増加すると、b
cc相(110)ピ−クは2θ=約44度のfcc相
(111)ピ−クの位置にシフトして、さらにfcc相
の(200)ピ−ク、(220)ピ−ク、(311)ピ
−クが認められた。また、TaNのピ−クも認められ
た。従って、、700[℃]まで熱処理を進めるとbc
c相からfcc相+TaNの2相に相変態することがわ
かる。なお、この相変態で、ピ−ク半値幅が減少してお
り、結晶粒径が増加したと推察される。しかし、透過電
子顕微鏡観察により結晶状態を観察したところ、550
[℃]の熱処理膜では平均結晶粒径が約5nmであり、
700[℃]の熱処理でもなお平均結晶粒径が約10n
mの微細粒を保っていた。その結果、700[℃]の高
温でも軟磁性が良好であったともの考えられる。
【0083】ここで、この相変態と磁気特性との関係を
考えると、bcc相が高λsの相に、fcc相が低λs
の相に対応することがわかる。今まで知られているアモ
ルファスCoFeTa膜では、λsは大きな値(約+1
×10-5)であるので磁気ヘッドへの応用が困難であっ
たが、TaやNの固溶が少ないfcc相を安定化させる
ことで低λsが得られることがわかる。
考えると、bcc相が高λsの相に、fcc相が低λs
の相に対応することがわかる。今まで知られているアモ
ルファスCoFeTa膜では、λsは大きな値(約+1
×10-5)であるので磁気ヘッドへの応用が困難であっ
たが、TaやNの固溶が少ないfcc相を安定化させる
ことで低λsが得られることがわかる。
【0084】なお、以上の特性は、TaをNbに置き換
えても同様であった。 (実施例6)次に、Fe濃度をCoFe合金タ−ゲット
のFe濃度により調整することで変化させた場合の実施
例を示す。なお、Ta濃度は実施例1の膜と同様であっ
た。
えても同様であった。 (実施例6)次に、Fe濃度をCoFe合金タ−ゲット
のFe濃度により調整することで変化させた場合の実施
例を示す。なお、Ta濃度は実施例1の膜と同様であっ
た。
【0085】図28は、550[℃]で1時間の熱処理
後(回転磁界中)におけるHcのFe濃度依存性をPN
2 =15at%及び25at%の場合について示す図で
ある。Fe濃度はCoに対する置換量(Fe/(Co+
Fe))として表した。PN2 =15at%の場合は、
Feを添加しない膜では、80[A/m]以上の高Hc
を示したが、Fe濃度を2.5at%以上に設定するこ
とで80[A/m]以下の低Hcが得られた。一方、P
N2 =25at%膜では、Fe濃度が5at%以下では
80[A/m]以上の高Hcを示したが、7.5at%
以上で80[A/m]以下の低Hcを示した。Fe濃度
の減少やPN2 の増加によりHcの増加する傾向にある
ことがわかる。しかし、PN2 =15at%膜ではさら
に高温で熱処理するとすべてのFe濃度の膜でHcが増
加した。図29は、650[℃]で1時間の熱処理後
(回転磁界中)におけるHcのFe濃度依存性を示す図
である。PN2 =15at%膜では、すべてのFe濃度
で240[A/m]以上の磁気ヘッドに適用困難な高H
cを示した。一方、PN2 =25at%膜では、7.5
〜12.5at%にFe濃度を設定することで依然とし
て80[A/m]以下の低Hcを示し、さらに、この低
Hcは700[℃]の熱処理でも安定であった。従っ
て、Fe濃度を増せば耐熱性に優れた低Hcが得られる
ことがわかる。しかし、Fe濃度を増やし過ぎるとλs
が増加する悪影響がある。
後(回転磁界中)におけるHcのFe濃度依存性をPN
2 =15at%及び25at%の場合について示す図で
ある。Fe濃度はCoに対する置換量(Fe/(Co+
Fe))として表した。PN2 =15at%の場合は、
Feを添加しない膜では、80[A/m]以上の高Hc
を示したが、Fe濃度を2.5at%以上に設定するこ
とで80[A/m]以下の低Hcが得られた。一方、P
N2 =25at%膜では、Fe濃度が5at%以下では
80[A/m]以上の高Hcを示したが、7.5at%
以上で80[A/m]以下の低Hcを示した。Fe濃度
の減少やPN2 の増加によりHcの増加する傾向にある
ことがわかる。しかし、PN2 =15at%膜ではさら
に高温で熱処理するとすべてのFe濃度の膜でHcが増
加した。図29は、650[℃]で1時間の熱処理後
(回転磁界中)におけるHcのFe濃度依存性を示す図
である。PN2 =15at%膜では、すべてのFe濃度
で240[A/m]以上の磁気ヘッドに適用困難な高H
cを示した。一方、PN2 =25at%膜では、7.5
〜12.5at%にFe濃度を設定することで依然とし
て80[A/m]以下の低Hcを示し、さらに、この低
Hcは700[℃]の熱処理でも安定であった。従っ
て、Fe濃度を増せば耐熱性に優れた低Hcが得られる
ことがわかる。しかし、Fe濃度を増やし過ぎるとλs
が増加する悪影響がある。
【0086】図30は、PN2 =12.5at%で作製
した場合の、550[℃]と700[℃]とで熱処理し
た膜におけるλsのFe濃度依存性を示す図である。1
2.5at%以下のFe濃度の膜では700[℃]の熱
処理でλsの絶対値は3×10-6以下の低い値を示した
が、それに比べて、15at%Fe膜ではλsは700
[℃]の熱処理を行っても1×10-5以上の大きな値を
示した。
した場合の、550[℃]と700[℃]とで熱処理し
た膜におけるλsのFe濃度依存性を示す図である。1
2.5at%以下のFe濃度の膜では700[℃]の熱
処理でλsの絶対値は3×10-6以下の低い値を示した
が、それに比べて、15at%Fe膜ではλsは700
[℃]の熱処理を行っても1×10-5以上の大きな値を
示した。
【0087】以上の結果から、約550[℃]の熱処理
を必要とするMIGヘッドに適用する場合にはFe濃度
を2.5〜12.5at%の範囲に規定することで、8
0[A/m]以下の低Hc、3×10-6以下の低λsを
示すことがわかる。また、約650[℃]のガラス溶着
温度が望ましいラミネ−ト型ヘッドに適用する場合に
は、Fe濃度を7.5at%以上12.5at%以下に
設定することが必要である。
を必要とするMIGヘッドに適用する場合にはFe濃度
を2.5〜12.5at%の範囲に規定することで、8
0[A/m]以下の低Hc、3×10-6以下の低λsを
示すことがわかる。また、約650[℃]のガラス溶着
温度が望ましいラミネ−ト型ヘッドに適用する場合に
は、Fe濃度を7.5at%以上12.5at%以下に
設定することが必要である。
【0088】ここで、Fe濃度が低下するとHcが増加
する原因を考えてみる。Feを含まないCo系の窒化膜
では、柱状的な膜成長を生じるので垂直磁気異方性が発
生し易く、その結果低Hcを示さないことが報告されて
いる。そこで、磁化曲線の形状および膜成長挙動を調べ
た。図31は、典型的な高Hc膜(PN2 =25at
%、Fe無添加)の磁化曲線を示す図であり、垂直磁気
異方性を示唆する磁化曲線が得られる。
する原因を考えてみる。Feを含まないCo系の窒化膜
では、柱状的な膜成長を生じるので垂直磁気異方性が発
生し易く、その結果低Hcを示さないことが報告されて
いる。そこで、磁化曲線の形状および膜成長挙動を調べ
た。図31は、典型的な高Hc膜(PN2 =25at
%、Fe無添加)の磁化曲線を示す図であり、垂直磁気
異方性を示唆する磁化曲線が得られる。
【0089】そこで、概ね垂直磁気異方性の指標となる
飽和磁界HsとFe濃度の関係を図32に示す。2.5
at%以下にFe濃度が低下するとHsが増加して、垂
直磁気異方性が顕著になった。5at%Fe膜では明確
ではないが、垂直磁気異方性とHcの増加に相関のある
ことがわかる。また、FESEMにより膜断面の構造を
調べた結果を模式的に図33に示す。10at%Fe膜
では滑らかな組織であるが、5at%以下のFe濃度膜
では、球状の明確な組織が認められた。5at%以下の
Fe濃度膜では、粗な構造を呈しているため磁気的な相
互作用が遮断されてHcが増加したと予想される。これ
が5at%Fe膜での高Hcの一因と言える。従って、
Feを混入することで膜成長が均一になり、その結果、
低Hcが得られることがわかる。
飽和磁界HsとFe濃度の関係を図32に示す。2.5
at%以下にFe濃度が低下するとHsが増加して、垂
直磁気異方性が顕著になった。5at%Fe膜では明確
ではないが、垂直磁気異方性とHcの増加に相関のある
ことがわかる。また、FESEMにより膜断面の構造を
調べた結果を模式的に図33に示す。10at%Fe膜
では滑らかな組織であるが、5at%以下のFe濃度膜
では、球状の明確な組織が認められた。5at%以下の
Fe濃度膜では、粗な構造を呈しているため磁気的な相
互作用が遮断されてHcが増加したと予想される。これ
が5at%Fe膜での高Hcの一因と言える。従って、
Feを混入することで膜成長が均一になり、その結果、
低Hcが得られることがわかる。
【0090】さらに、相変態挙動とHcの耐熱性、すな
わち、結晶粒径には強い相関がある。このことを以下に
詳しく説明する。図34は、PN2 =25at%膜にお
ける各熱処理温度でのX線回析曲線とFe濃度の関係を
示す図である。また、図35はPN2 =25at%膜に
おける650[℃]熱処理での回析ピ−ク強度(fcc
相(111)又はbcc相(110))と半値幅のFe
濃度依存性を示す図である。どのFe濃度の膜でも熱処
理前には著しくブロ−ドなアモルファス状の回析曲線を
示した。550[℃]の熱処理を行うと、0〜5at%
Fe膜ではfcc相微結晶であり、Feが下がるとピ−
ク強度の増加と半値幅の減少が認められた。また、Ta
窒化物が明確であった。一方、10at%Fe膜では5
50[℃]の熱処理ではbcc相が認められ、fcc相
は認められなかった。5at%以下のFe濃度膜に比べ
てより回析ピ−クがブロ−ドしていることすなわち結晶
粒が微細であることがわかる。さらに700[℃]の熱
処理を施すと10at%Fe膜でもfcc相とTa窒化
物に相変態するが、5at%以下のFe膜に比べて結晶
成長が起こりにくいことが明白である。すなわち、熱処
理の途中でbcc相と介してfcc相とTa窒化物に相
分離する場合、結晶粒の耐熱性が良好であり、その結
果、耐熱性に優れた軟磁性が実現できることがわかる。
なお、PN2 =15at%膜の耐熱性が悪い理由につい
ては、後述する。
わち、結晶粒径には強い相関がある。このことを以下に
詳しく説明する。図34は、PN2 =25at%膜にお
ける各熱処理温度でのX線回析曲線とFe濃度の関係を
示す図である。また、図35はPN2 =25at%膜に
おける650[℃]熱処理での回析ピ−ク強度(fcc
相(111)又はbcc相(110))と半値幅のFe
濃度依存性を示す図である。どのFe濃度の膜でも熱処
理前には著しくブロ−ドなアモルファス状の回析曲線を
示した。550[℃]の熱処理を行うと、0〜5at%
Fe膜ではfcc相微結晶であり、Feが下がるとピ−
ク強度の増加と半値幅の減少が認められた。また、Ta
窒化物が明確であった。一方、10at%Fe膜では5
50[℃]の熱処理ではbcc相が認められ、fcc相
は認められなかった。5at%以下のFe濃度膜に比べ
てより回析ピ−クがブロ−ドしていることすなわち結晶
粒が微細であることがわかる。さらに700[℃]の熱
処理を施すと10at%Fe膜でもfcc相とTa窒化
物に相変態するが、5at%以下のFe膜に比べて結晶
成長が起こりにくいことが明白である。すなわち、熱処
理の途中でbcc相と介してfcc相とTa窒化物に相
分離する場合、結晶粒の耐熱性が良好であり、その結
果、耐熱性に優れた軟磁性が実現できることがわかる。
なお、PN2 =15at%膜の耐熱性が悪い理由につい
ては、後述する。
【0091】なお、λsは結晶構造と関連していること
を既に述べたが、Fe濃度が増加すると700[℃]の
熱処理を施しても、bccを主とする結晶構造のままで
ありfcc相の出現は僅かであった。すなわち、Fe濃
度が増加するとbcc相が安定化されるために低λsが
得られなくなる問題点を有する。
を既に述べたが、Fe濃度が増加すると700[℃]の
熱処理を施しても、bccを主とする結晶構造のままで
ありfcc相の出現は僅かであった。すなわち、Fe濃
度が増加するとbcc相が安定化されるために低λsが
得られなくなる問題点を有する。
【0092】なお、以上の特性はTaをNbに置き換え
ても同様であった。 (実施例7)次に、Ta濃度(Co90Fe10合金タ−ゲ
ット上のTaチップの数で制御)を変えた場合の実施例
を示す。なお、Coに占めるFeの膜中濃度はタ−ゲッ
トと同様10at%であった。PN2 は25at%とし
た。
ても同様であった。 (実施例7)次に、Ta濃度(Co90Fe10合金タ−ゲ
ット上のTaチップの数で制御)を変えた場合の実施例
を示す。なお、Coに占めるFeの膜中濃度はタ−ゲッ
トと同様10at%であった。PN2 は25at%とし
た。
【0093】図36は、熱処理温度が550[℃]と6
50[℃]におけるHcのTa濃度依存性を示す図であ
る。熱処理温度が550[℃]の場合、5at%Ta膜
では80[A/m]以上の高Hcを示したが、Ta濃度
が5.7at%になると80[A/m]以下の低Hcを
示した。しかし、15at%にまでTa濃度が増える
と、図31と同様な垂直磁気異方性を示唆する磁化曲線
を示してHcは80[A/m]以上に増加した。一方、
熱処理温度が650[℃]の場合には低Hcの得られる
Ta濃度の範囲はより狭まり、7.2at%以上および
15at%未満のTa濃度では高Hcを示し、この中間
で80[A/m]以下の低Hcを示した。550[℃]
以上の耐熱性が要求されるMIGヘッドに本発明の磁性
膜を適用する場合には、Ta濃度は5at%を越えて1
5at%未満であることが、また650[℃]以上の耐
熱性が要求されるラミネ−ト型ヘッドに本発明の磁性膜
を適用する場合には、Ta濃度は7.2at%以上15
at%未満であることが必要である。
50[℃]におけるHcのTa濃度依存性を示す図であ
る。熱処理温度が550[℃]の場合、5at%Ta膜
では80[A/m]以上の高Hcを示したが、Ta濃度
が5.7at%になると80[A/m]以下の低Hcを
示した。しかし、15at%にまでTa濃度が増える
と、図31と同様な垂直磁気異方性を示唆する磁化曲線
を示してHcは80[A/m]以上に増加した。一方、
熱処理温度が650[℃]の場合には低Hcの得られる
Ta濃度の範囲はより狭まり、7.2at%以上および
15at%未満のTa濃度では高Hcを示し、この中間
で80[A/m]以下の低Hcを示した。550[℃]
以上の耐熱性が要求されるMIGヘッドに本発明の磁性
膜を適用する場合には、Ta濃度は5at%を越えて1
5at%未満であることが、また650[℃]以上の耐
熱性が要求されるラミネ−ト型ヘッドに本発明の磁性膜
を適用する場合には、Ta濃度は7.2at%以上15
at%未満であることが必要である。
【0094】次に、Taに応じてHcおよびその耐熱性
が変化する理由について述べる。図37は、代表的なT
a濃度膜におけるX線回折曲線の熱処理温度依存性を示
す図である。4at%Ta膜では、Ta≧5.7at%
膜におけるアモルファス又はそれに近い微結晶構造とは
異なり、熱処理前にすでにfcc相の(200)ピ−ク
と(111)ピ−クが明確であった。さらに、熱処理後
にそのピ−ク強度の増加が顕著であり、また、TaNの
検出可能なピ−クは認められなかった。Ta濃度が4a
t%以下では微結晶が得られないために低Hcが得られ
ないことがわかる。一方、Ta≧5.7at%膜では、
熱処理前にアモルファス状の結晶構造を呈し、550
[℃]の熱処理を施しても4at%Ta濃度膜に比べて
回折ピ−クの顕著な増大や半値幅の顕著な低下は見られ
なかった。しかし、650[℃]以上の熱処理を施す
と、5.7at%Ta濃度膜では回分ピ−クの成長が明
確であり、また半値幅も減少した。すなわち、結晶成長
が顕著であった。この結果、650[℃]以上の熱処理
ではHcが増加したと考えられる。これに反して、Ta
>5.7at%膜では、5.7at%Ta膜に比べて回
折ピ−クの増大や半値幅の減少は僅かであった(図26
参照)。なお、Ta濃度を15at%にまで増やすと、
主にCoとFeからなる母相(bcc相)の(110)
回折ピ−ク強度は弱いものの、明確なTa窒化物やCo
Ta化合物のピ−クが認められた。すなわち、非磁性介
在物の成長が明らかであり、これがHcの増加を引き起
こした一因と考えられる。高濃度Ta膜ではPN2 =2
5at%の成膜条件では窒素濃度が低すぎるために、f
ccへ相変態することなくbcc相とTa窒化物又はC
oTa化合物の混相に相変態した可能性がある。そこ
で、PN2 を35at%にまで増やした成膜をTa濃度
が15at%の膜について行ったが、図31と同様な1
200[A/m]の高Hcを垂直磁気異方性を示す磁化
曲線が得られた。高濃度Ta膜では、Fe濃度を高めて
もPN2 を高めると垂直磁気異方性の発生することがわ
かる。さらに、この高PN2 膜では付着力も不十分であ
った。
が変化する理由について述べる。図37は、代表的なT
a濃度膜におけるX線回折曲線の熱処理温度依存性を示
す図である。4at%Ta膜では、Ta≧5.7at%
膜におけるアモルファス又はそれに近い微結晶構造とは
異なり、熱処理前にすでにfcc相の(200)ピ−ク
と(111)ピ−クが明確であった。さらに、熱処理後
にそのピ−ク強度の増加が顕著であり、また、TaNの
検出可能なピ−クは認められなかった。Ta濃度が4a
t%以下では微結晶が得られないために低Hcが得られ
ないことがわかる。一方、Ta≧5.7at%膜では、
熱処理前にアモルファス状の結晶構造を呈し、550
[℃]の熱処理を施しても4at%Ta濃度膜に比べて
回折ピ−クの顕著な増大や半値幅の顕著な低下は見られ
なかった。しかし、650[℃]以上の熱処理を施す
と、5.7at%Ta濃度膜では回分ピ−クの成長が明
確であり、また半値幅も減少した。すなわち、結晶成長
が顕著であった。この結果、650[℃]以上の熱処理
ではHcが増加したと考えられる。これに反して、Ta
>5.7at%膜では、5.7at%Ta膜に比べて回
折ピ−クの増大や半値幅の減少は僅かであった(図26
参照)。なお、Ta濃度を15at%にまで増やすと、
主にCoとFeからなる母相(bcc相)の(110)
回折ピ−ク強度は弱いものの、明確なTa窒化物やCo
Ta化合物のピ−クが認められた。すなわち、非磁性介
在物の成長が明らかであり、これがHcの増加を引き起
こした一因と考えられる。高濃度Ta膜ではPN2 =2
5at%の成膜条件では窒素濃度が低すぎるために、f
ccへ相変態することなくbcc相とTa窒化物又はC
oTa化合物の混相に相変態した可能性がある。そこ
で、PN2 を35at%にまで増やした成膜をTa濃度
が15at%の膜について行ったが、図31と同様な1
200[A/m]の高Hcを垂直磁気異方性を示す磁化
曲線が得られた。高濃度Ta膜では、Fe濃度を高めて
もPN2 を高めると垂直磁気異方性の発生することがわ
かる。さらに、この高PN2 膜では付着力も不十分であ
った。
【0095】なお、以上の特性はTaをNbに置き換え
ても同様であった。 (実施例8)次に、膜中窒素濃度を変えた磁性膜の実施
例を示す。タ−ゲットには、Co90Fe10合金タ−ゲッ
ト上にTa濃度が約8at%となるようにTaチップを
加えた複合タ−ゲットを用いた。膜中窒素濃度はPN2
により調整した。
ても同様であった。 (実施例8)次に、膜中窒素濃度を変えた磁性膜の実施
例を示す。タ−ゲットには、Co90Fe10合金タ−ゲッ
ト上にTa濃度が約8at%となるようにTaチップを
加えた複合タ−ゲットを用いた。膜中窒素濃度はPN2
により調整した。
【0096】まず、図38は、PN2 と膜中窒素濃度の
関係を示す図である。PN2 が増加すると膜中窒素濃度
がおよそ直線的に増加する様子がわかる。図39は、5
50[℃]と650[℃]熱処理後におけるHcのPN
2 依存性を示す図である。熱処理温度が550[℃]の
場合、PN2 =7.5at%(膜中窒素濃度:2at
%)では80[A/m]以上の高Hcを示すが、PN2
=12.5〜35at%(膜中窒素濃度:4.8〜14
at%)では80[A/m]以下の低Hcを示した。し
かし、PN2 が40at%にまで増加すると(膜中窒素
濃度:18at%)、膜剥離を生じてHcも80[A/
m]以上に増加した。一方、熱処理温度が650[℃]
の場合は、PN2 ≦15at%(膜中窒素濃度4.5a
t%)では80[A/m]以上の高Hcを示したが、P
N2 =17.5〜30at%(膜中窒素濃度:7〜13
at%)の範囲では80[A/m]以下の低Hcを示し
た。しかし、PN2 が35at%(膜中窒素濃度:14
at%以上)にまで増加すると80[A/m]以上の高
Hcを示し、膜剥離が発生した。以上結果から、550
[℃]以上の耐熱性が必要なMIGヘッドに本発明の磁
性膜を適用するにはPN2 を7.5at%を越えて40
at%未満(膜中窒素濃度は2at%を越えて18at
%以下)に設定することで、また、650[℃]以上の
耐熱性が必要なラミネ−ト型ヘッドに本発明の磁性膜を
適用するにはPN2 を15at%を越えて35at%未
満(膜中窒素濃度は4.5at%を越えて13at%未
満)に設定することが必要であることがわかる。
関係を示す図である。PN2 が増加すると膜中窒素濃度
がおよそ直線的に増加する様子がわかる。図39は、5
50[℃]と650[℃]熱処理後におけるHcのPN
2 依存性を示す図である。熱処理温度が550[℃]の
場合、PN2 =7.5at%(膜中窒素濃度:2at
%)では80[A/m]以上の高Hcを示すが、PN2
=12.5〜35at%(膜中窒素濃度:4.8〜14
at%)では80[A/m]以下の低Hcを示した。し
かし、PN2 が40at%にまで増加すると(膜中窒素
濃度:18at%)、膜剥離を生じてHcも80[A/
m]以上に増加した。一方、熱処理温度が650[℃]
の場合は、PN2 ≦15at%(膜中窒素濃度4.5a
t%)では80[A/m]以上の高Hcを示したが、P
N2 =17.5〜30at%(膜中窒素濃度:7〜13
at%)の範囲では80[A/m]以下の低Hcを示し
た。しかし、PN2 が35at%(膜中窒素濃度:14
at%以上)にまで増加すると80[A/m]以上の高
Hcを示し、膜剥離が発生した。以上結果から、550
[℃]以上の耐熱性が必要なMIGヘッドに本発明の磁
性膜を適用するにはPN2 を7.5at%を越えて40
at%未満(膜中窒素濃度は2at%を越えて18at
%以下)に設定することで、また、650[℃]以上の
耐熱性が必要なラミネ−ト型ヘッドに本発明の磁性膜を
適用するにはPN2 を15at%を越えて35at%未
満(膜中窒素濃度は4.5at%を越えて13at%未
満)に設定することが必要であることがわかる。
【0097】次に、低PN2 膜と高PN2 膜でHcが増
加した理由について述べる。図40は、80[A/m]
以上の高Hcを示した低PN2 膜、すなわち、膜中窒素
濃度が少ない膜と高PN2 膜におけるX線回折曲線の熱
処理温度依存性の典型例を示す図である。低PN2 膜
(PN2 =15at%)では、350[℃]の熱処理で
は低Hcを示す最適窒素濃度膜と同様なbcc相からな
る。しかし、熱処理温度が550[℃]に増加してHc
が増加すると、bcc相のCoとFeを主とする母相以
外にTa窒化物とCoTa金属間化合物の析出物が明確
になった。この析出物ピ−クの一部は半値幅が狭く結晶
の成長が明らかである。すなわち、窒素濃度が少ない膜
におけるHcの耐熱性が良くない理由は、fccに相変
態することなくbcc相から窒化物等の析出が容易に起
こることに起因することがわかる。一方、高PN2 膜
(PN2 =40at%)膜でも、熱処理温度が350
[℃]では低Hcを示す最適窒素濃度膜と同様なbcc
相からなるが、熱処理温度が550[℃]に増加する
と、fcc相への相変態が完了して、またかなりの量の
Ta窒化物のピ−クが明確に認められた。すなわち、窒
素濃度が高い膜でにおけるHcの耐熱性が良くない理由
は、bcc相からfcc相への相変態が起こり易く、そ
の結果結晶粒成長が起こり易いことに起因することがわ
かる。Ta濃度に近い膜中窒素濃度が高耐熱性の実現の
ために必要であることがわかる。
加した理由について述べる。図40は、80[A/m]
以上の高Hcを示した低PN2 膜、すなわち、膜中窒素
濃度が少ない膜と高PN2 膜におけるX線回折曲線の熱
処理温度依存性の典型例を示す図である。低PN2 膜
(PN2 =15at%)では、350[℃]の熱処理で
は低Hcを示す最適窒素濃度膜と同様なbcc相からな
る。しかし、熱処理温度が550[℃]に増加してHc
が増加すると、bcc相のCoとFeを主とする母相以
外にTa窒化物とCoTa金属間化合物の析出物が明確
になった。この析出物ピ−クの一部は半値幅が狭く結晶
の成長が明らかである。すなわち、窒素濃度が少ない膜
におけるHcの耐熱性が良くない理由は、fccに相変
態することなくbcc相から窒化物等の析出が容易に起
こることに起因することがわかる。一方、高PN2 膜
(PN2 =40at%)膜でも、熱処理温度が350
[℃]では低Hcを示す最適窒素濃度膜と同様なbcc
相からなるが、熱処理温度が550[℃]に増加する
と、fcc相への相変態が完了して、またかなりの量の
Ta窒化物のピ−クが明確に認められた。すなわち、窒
素濃度が高い膜でにおけるHcの耐熱性が良くない理由
は、bcc相からfcc相への相変態が起こり易く、そ
の結果結晶粒成長が起こり易いことに起因することがわ
かる。Ta濃度に近い膜中窒素濃度が高耐熱性の実現の
ために必要であることがわかる。
【0098】なお、以上の特性はTaをNbに置き換え
ても同様であった。 (実施例9)以上示した膜では、Fe濃度を高めるとλ
sが+1×10-6を越える場合があった。磁気ヘッドへ
の応用を考えるとλsはできる限り小さい事が望まし
い。そこで、実施例5の膜に各種添加元素を加えて実験
を進めたところ、Pd又はReを添加した場合、FeA
lSiを越える高Bs(1.1[T]以上)を維持し、
かつ、軟磁性を損うことなく、λs=0がほぼ実現でき
ることがわかった。その一例として、図41は、550
[℃]熱処理後のBs、Hc及びλsのPd濃度依存性
を示す図である。ただし、PN2 だけは、実施例5の場
合と異なり、各Pd濃度に適した値とした。この最適P
N2 はPd濃度が0から15at%まで増加すると25
at%から10at%にまで低下した。図41から、P
d濃度の増加により、Hcが増加することなくλsが負
の方向にシフトして、Pd濃度が約10at%でλs=
0がほぼ実現できることがわかる。なお、λsがほぼ零
となるPd濃度は、Fe濃度が増加すると増加して、熱
処理温度が550[℃]以上に増加すると低下した。さ
らに、Bsは、Pd濃度が15at%にまで増加すると
FeAlSi膜と同程度の値(1.1[T])にまで低
下したが、15at%未満のPd濃度ではFeAlSi
膜を越える高Bsを示した。
ても同様であった。 (実施例9)以上示した膜では、Fe濃度を高めるとλ
sが+1×10-6を越える場合があった。磁気ヘッドへ
の応用を考えるとλsはできる限り小さい事が望まし
い。そこで、実施例5の膜に各種添加元素を加えて実験
を進めたところ、Pd又はReを添加した場合、FeA
lSiを越える高Bs(1.1[T]以上)を維持し、
かつ、軟磁性を損うことなく、λs=0がほぼ実現でき
ることがわかった。その一例として、図41は、550
[℃]熱処理後のBs、Hc及びλsのPd濃度依存性
を示す図である。ただし、PN2 だけは、実施例5の場
合と異なり、各Pd濃度に適した値とした。この最適P
N2 はPd濃度が0から15at%まで増加すると25
at%から10at%にまで低下した。図41から、P
d濃度の増加により、Hcが増加することなくλsが負
の方向にシフトして、Pd濃度が約10at%でλs=
0がほぼ実現できることがわかる。なお、λsがほぼ零
となるPd濃度は、Fe濃度が増加すると増加して、熱
処理温度が550[℃]以上に増加すると低下した。さ
らに、Bsは、Pd濃度が15at%にまで増加すると
FeAlSi膜と同程度の値(1.1[T])にまで低
下したが、15at%未満のPd濃度ではFeAlSi
膜を越える高Bsを示した。
【0099】
【発明の効果】以上詳述したように第1発明の強磁性膜
は、1.3[T]を越える高Bsを保ちながら、80
[A/m]以下の低Hcを実現できる。従って、本発明
の強磁性膜を用いることにより、記録能力に優れた磁気
ヘッドを作製できる。
は、1.3[T]を越える高Bsを保ちながら、80
[A/m]以下の低Hcを実現できる。従って、本発明
の強磁性膜を用いることにより、記録能力に優れた磁気
ヘッドを作製できる。
【0100】また、第2発明の強磁性膜は、600
[℃]以上の良好な耐熱性を有する軟磁性を示し、高い
抵抗率を有するため良好な高周波特性が期待でき、良好
な耐食性を有し、さらに通常のRFマグネトロンスパッ
タにより広い製造マージンで製造できる。この結果、本
発明の強磁性膜を用いることにより、記録能力に優れた
磁気ヘッドを作製できる。特に、本発明の強磁性膜は6
00[℃]以上の耐熱性を有するので、ガラス溶着工程
を必要とするMIGヘッドやラミネート型ヘッドを含む
広範囲の磁気ヘッドに適用できる。
[℃]以上の良好な耐熱性を有する軟磁性を示し、高い
抵抗率を有するため良好な高周波特性が期待でき、良好
な耐食性を有し、さらに通常のRFマグネトロンスパッ
タにより広い製造マージンで製造できる。この結果、本
発明の強磁性膜を用いることにより、記録能力に優れた
磁気ヘッドを作製できる。特に、本発明の強磁性膜は6
00[℃]以上の耐熱性を有するので、ガラス溶着工程
を必要とするMIGヘッドやラミネート型ヘッドを含む
広範囲の磁気ヘッドに適用できる。
【図1】 本発明に係る強磁性膜について、保持力Hc
の主回折ピーク強度依存性を示す図。
の主回折ピーク強度依存性を示す図。
【図2】 (a)はCoFePd膜について、(b)は
CoFeTa膜について、2θ=45度近傍のX線回折
曲線を示す図。
CoFeTa膜について、2θ=45度近傍のX線回折
曲線を示す図。
【図3】 本発明に係る強磁性膜について、as−ma
de状態での飽和磁束密度Bsの添加元素濃度依存性を
示す図。
de状態での飽和磁束密度Bsの添加元素濃度依存性を
示す図。
【図4】 回折面を膜面に平行な状態から所定の角度だ
け傾けた場合のX線回折曲線を示す図。
け傾けた場合のX線回折曲線を示す図。
【図5】 本発明に係る強磁性膜について、Hc及びB
sのTa濃度依存性を示す図。
sのTa濃度依存性を示す図。
【図6】 本発明に係る強磁性膜について、HcのFe
濃度依存性を示す図。
濃度依存性を示す図。
【図7】 Feを含まない膜の磁化曲線の一例を示す
図。
図。
【図8】 本発明に係る強磁性膜について、HcのAl
濃度依存性を示す図。
濃度依存性を示す図。
【図9】 本発明に係る強磁性膜について、Hcの他の
添加元素の濃度依存性を示す図。
添加元素の濃度依存性を示す図。
【図10】 本発明に係る磁性膜について、Hcの熱処
理温度依存性を、Taに対するAl置換量をパラメータ
として示す図。
理温度依存性を、Taに対するAl置換量をパラメータ
として示す図。
【図11】 600℃で熱処理した本発明に係る磁性膜
について、Al置換量とBsとの関係を示す図。
について、Al置換量とBsとの関係を示す図。
【図12】 本発明に係る磁性膜について、X線回折曲
線のAl置換量依存性を、熱処理温度をパラメータとし
て示す図。
線のAl置換量依存性を、熱処理温度をパラメータとし
て示す図。
【図13】 Alが添加されていない膜とAl置換量が
50%の磁性膜について、熱処理温度とメインピークの
半値幅(FWHM)との関係を示す図。
50%の磁性膜について、熱処理温度とメインピークの
半値幅(FWHM)との関係を示す図。
【図14】 600℃で熱処理した本発明に係る磁性膜
について、抵抗率のAl置換量依存性を示す図。
について、抵抗率のAl置換量依存性を示す図。
【図15】 窒素ガス濃度と600℃で熱処理した本発
明に係る磁性膜のHcとの関係を示す図。
明に係る磁性膜のHcとの関係を示す図。
【図16】 600℃で熱処理した本発明に係る磁性膜
のHcの濃度b依存性を示す図。
のHcの濃度b依存性を示す図。
【図17】 本発明に係る磁性膜について、濃度bとB
sとの関係を示す図。
sとの関係を示す図。
【図18】 長手記録のハードディスクに対応した薄膜
磁気ヘッドの断面図。
磁気ヘッドの断面図。
【図19】 垂直記録に対応した薄膜磁気ヘッドの断面
図。
図。
【図20】 メタルインギャップヘッドの断面図。
【図21】 ラミネート型ヘッドの斜視図。
【図22】 PN2 =25at%成膜したCo83Fe9
Ta8 膜における透磁率とHcの熱処理温度依存性を示
す図。
Ta8 膜における透磁率とHcの熱処理温度依存性を示
す図。
【図23】 PN2 =25at%成膜したCo83Fe9
Ta8 膜における回転磁界中熱処理でのBsとλsの熱
処理温度依存性を示す図。
Ta8 膜における回転磁界中熱処理でのBsとλsの熱
処理温度依存性を示す図。
【図24】 PN2 =25at%成膜したCo83Fe9
Ta8 膜における固定磁界中熱処理でのHkと透磁率の
熱処理温度依存性を示す図。
Ta8 膜における固定磁界中熱処理でのHkと透磁率の
熱処理温度依存性を示す図。
【図25】 PN2 =25at%成膜したCo83Fe9
Ta8 膜におけるHkと透磁率の熱処理時間依存性を示
す図。
Ta8 膜におけるHkと透磁率の熱処理時間依存性を示
す図。
【図26】 PN2 =25at%成膜したCo83Fe9
Ta8 膜におけるX線回折曲線の熱処理温度依存性を示
す図。
Ta8 膜におけるX線回折曲線の熱処理温度依存性を示
す図。
【図27】 PN2 =25at%成膜したCo83Fe9
Ta8 膜におけるX線回折主ピークの半値幅と面間隔の
熱処理温度依存性を示す図。
Ta8 膜におけるX線回折主ピークの半値幅と面間隔の
熱処理温度依存性を示す図。
【図28】 550℃で熱処理した膜のHcの濃度依存
性を示す図。
性を示す図。
【図29】 650℃熱処理での8at%Ta膜におけ
るHcのFe濃度依存性を示す図。
るHcのFe濃度依存性を示す図。
【図30】 磁気歪のFe濃度依存性を示す図。
【図31】 CoTaN膜における高Hc膜を示す磁化
曲線の一例を示す図。
曲線の一例を示す図。
【図32】 飽和磁界のFe濃度依存性を示す図。
【図33】 FESEMにより膜破断面を測定した結果
を示す図。
を示す図。
【図34】 X線回折主ピークの半値幅と面間隔のFe
濃度依存性を示す図。
濃度依存性を示す図。
【図35】 X線回折曲線のFe濃度依存性を示す図。
【図36】 HcのTa濃度依存性を示す図。
【図37】 X線回折曲線のTa濃度依存性を示す図。
【図38】 窒素濃度のPN2 依存性を示す図。
【図39】 HcのPN2 依存性を示す図。
【図40】 X線回折曲線のPN2 依存性を示す図。
【図41】 Bs,Hc,λsのPd濃度依存性を示す
図。
図。
1 基板 2 強磁性膜 3 ギャップ 4 第1絶縁層 5 コイル 6 第2絶縁層 7 強磁性膜 8 保護膜 基板11 主磁極12 第1絶縁層13 コイル14 第2絶縁層15 リターンパス磁性体16 保護膜17 フェライトコア21、22 中間層23、23 強磁性膜24、24 ギャップ25 ガラス26 コイル27 非磁性基板31、31 中間層32、32 強磁性膜33、33 絶縁層34、34 溶着用ガラス35、35 基板36、36 ブロック37、38 溶着用ガラス39 コイル40
Claims (4)
- 【請求項1】 一般式Cox Fey Tz (ただし、TはAl,Ta,Ti,Zr,Nb,Hf,
Mo,Wからなる群より選択される少なくとも1種の原
子であり、x,y,zはそれぞれ組成比をat%で示
し、 73<x<94 5<y≦15 1<z<12 x+y+z=100) 表される合金からなることを特徴とする強磁性膜。 - 【請求項2】 一般式(Ma Tb )x Ny (ただし、MはCo又はCo及びFeであり、TはT
a,Nb,Zr,Hf,Ti,Cr,Mo,Wからなる
遷移金属の群より選択される少なくとも1種の原子及び
Al、Nは窒素であり、a,b,x,yはそれぞれ組成
比をat%で示し、 85<a<96 4<b<15 a+b=100 80<x<98 2<y<20 x+y=100 M中のFeの含有率は0≦Fe≦15at% T中のAlの含有率は4<Al≦50at%) で表される合金からなることを特徴とする強磁性膜。 - 【請求項3】 一般式(Ma Tb )x Ny (ただし、MはCoとFeであり、TはTa又はNbか
ら選択された少なくとも1種の原子であり、Nは窒素で
あり、a,b,x,yはそれぞれ組成比をat%で示
し、 85<a<95 5<b<15 a+b=100 82<x<97.5 2.5<y<18 x+y=100) で表わされる合金からなる磁性膜において、Mにおける
Feの含有率は 2.5≦Fe≦12.5at% であることを特徴とする強磁性膜。 - 【請求項4】 請求項3の磁性膜にPd又はReの中か
ら選択された少なくとも1種の原子の含有率が15at
%未満であることを特徴とする強磁性膜。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP4250435A JPH05217746A (ja) | 1991-09-30 | 1992-08-27 | 強磁性膜 |
Applications Claiming Priority (5)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP25244891 | 1991-09-30 | ||
| JP25067491 | 1991-09-30 | ||
| JP3-252448 | 1991-09-30 | ||
| JP3-250674 | 1991-09-30 | ||
| JP4250435A JPH05217746A (ja) | 1991-09-30 | 1992-08-27 | 強磁性膜 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05217746A true JPH05217746A (ja) | 1993-08-27 |
Family
ID=27333935
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP4250435A Pending JPH05217746A (ja) | 1991-09-30 | 1992-08-27 | 強磁性膜 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05217746A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5909344A (en) * | 1995-11-30 | 1999-06-01 | International Business Machines Corporation | Magnetoresistive sensor with high resistivity flux guide |
-
1992
- 1992-08-27 JP JP4250435A patent/JPH05217746A/ja active Pending
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5909344A (en) * | 1995-11-30 | 1999-06-01 | International Business Machines Corporation | Magnetoresistive sensor with high resistivity flux guide |
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