JPH0522959A - 静電アクチユエータ - Google Patents

静電アクチユエータ

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JPH0522959A
JPH0522959A JP15965391A JP15965391A JPH0522959A JP H0522959 A JPH0522959 A JP H0522959A JP 15965391 A JP15965391 A JP 15965391A JP 15965391 A JP15965391 A JP 15965391A JP H0522959 A JPH0522959 A JP H0522959A
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mover
stator
electrostatic actuator
thin leaf
insulating
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JP15965391A
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Shinji Konno
信次 今野
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Corp
Mitsubishi Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低い駆動電圧で高い力密度を発生し得るように
改良された静電アクチュエータを提供する。 【構成】絶縁性支持体(1)に帯状電極(2)を所定間
隔で並べた固定子(3)と絶縁性薄葉体(4)に正負の
電荷を付与した移動子(6)とが接するように配置して
成る静電アクチュエータにおいて、固定子の少なくとも
帯状電極の上部に位置する絶縁性支持体(1)および/
または移動子の絶縁性薄葉体(4)を比誘電率が4以上
の誘電体材料で構成したことを特徴とする。また、好ま
しい態様においては、固定子(3)の移動子と接触する
側の表面および/または移動子(6)の固定子と接触す
る側の表面を粗面化し、または、当該表面に潤滑剤層を
設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電アクチュエータに
関するものであり、詳しくは、低い駆動電圧で高い力密
度を発生し得るように改良された静電アクチュエータに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】静電アクチュエータは、絶縁性支持体に
帯状電極を所定間隔で並べた固定子と絶縁性フィルムの
ような絶縁性薄葉体に抵抗体層を設けた移動子とから成
り、当該固定子と当該移動子とが接するように配置され
て構成される。そして、静電気の作用により、移動子を
瞬間的に浮上させて摩擦を防止しながら移動させるもの
である(平成元年度電気学会全国大会講演予稿集6−1
91,日経メカニカル1989.5.29,112〜1
13ページ等)。
【0003】静電アクチュエータは、電極やギャップの
寸法を小さくすることにより、力密度を大きくでき、ま
た、小型化し易いという特徴を有する。そのため、静電
アクチュエータは、ワードプロセッサーやファクシミリ
等における用紙搬送機構のような小型駆動装置、その他
の微小な機械システムの駆動装置として応用されること
が期待されている。
【0004】図1(a)〜(d)は、移動子を絶縁性フ
ィルムにて構成した静電アクチュエータ(静電フィルム
アクチュエータ)の駆動原理の説明図であり、図中、
(1)は絶縁性支持体、(2)は帯状電極、(3)は固
定子、(4)は絶縁性フィルム、(5)は抵抗体層、
(6)は移動子、(7)〜(9)は電線を示す。
【0005】先ず、図1(a)に示すように、電線
(7)に正、電線(8)に負の電圧を印加する。これに
より、電線(7)に接続した電極に存する電荷と電線
(8)に接続した電極に存する電荷の電位差により、
抵抗体層(5)に電流が流れ、移動子(6)の絶縁性フ
ィルム(4)と抵抗体層(5)の境界に電荷が誘導され
て平衡状態となる。この電荷は、説明の便宜上、図1
(b)の点線で示した鏡像電荷で置き換えることができ
る。そして、この電荷、の極性は、それぞれ電荷
、の極性と異なるので、図1(b)の状態では移動
子(6)は固定子(3)に吸引されている。
【0006】次に、図1(c)に示すように、電線
(7)に負、電線(8)に正、電線(9)に負の電圧を
印加する。これにより、電極内の電荷は、瞬時に移動で
きるが、移動子(6)の誘導電荷は、抵抗体層(5)の
抵抗値が高いために直ぐには移動できない。その結果、
移動子(6)と固定子(3)の間には反発力が発生す
る。反発力が発生することにより、固定子(3)と移動
子(6)の間の摩擦が減少し、電線(9)に電圧を印加
した結果生じる負の電荷と正の誘導電荷(鏡像電荷で
言えば)によって、右方向の駆動力が発生する。
【0007】図1(d)は、上記の駆動力により、移動
子(6)が電極1ピッチ分右方向に移動した結果を示し
ている。移動子(6)を左方向に移動させる場合には、
電線(9)に正の電圧を印加すればよい。そして、上記
の電極1ピッチ毎の移動操作における印加電圧パターン
(図1(c)に示すパターン)は、図1(a)に示す状
態とは逆符号の電圧を電線(7)、(8)に印加するも
のであるから、図1(c)における誘導電荷(鏡像電荷
で言えば、及び)は減衰することになる。
【0008】従って、移動子(6)を右方向に電極1ピ
ッチ毎に連続移動させるには、電荷充電操作と移動操作
とを繰り返す次のようなパターンの電圧を繰り返し印加
することが必要である。なお、以下の[表1]に例示し
た電圧パターンは、1サイクルの電圧パターンであり、
(G)は電圧を印加してない状態を示し、(C)及び
(A)は、それぞれ、電荷充電操作、移動操作を示し、
最初の(C)は図1(a)に示す状態、最初の(A)は
図1(c)に示す状態である。
【0009】
【表1】
【0010】そして、静電アクチュエータを電極1ピッ
チ毎に安定に連続移動させるには、移動子(6)(抵抗
体層(5))の表面固有抵抗率は、1012〜1015Ω/
□の範囲でなければならないとされている。その理由
は、次の通りである。すなわち、移動子(6)の表面固
有抵抗が大きい場合には電荷充電に比較的長い時間を要
し、小さい場合には誘導された電荷が瞬時に減衰する。
ところが、図1に示した静電アクチュエータの場合に
は、移動子を構成する絶縁性フィルムの抵抗値が大き過
ぎるために、上記のような抵抗体層を当該絶縁性フィル
ムに設けて僅かな導電性を付与する必要がある。なお、
当然ではあるが、図1に示した公知の静電アクチュエー
タにおいて、絶縁性フィルム(4)の代わりに、これと
同程度の抵抗値を有する他の絶縁性薄葉体を使用しても
よい。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、静電ア
クチュエータは、未だ研究段階にあり、実用化のために
は、各要素の詳細を検討しなければならない状況にあ
る。特に、駆動電圧については、500〜1000vの
高電圧を必要とし、従って、駆動電圧の低電圧化は、静
電アクチュエータの実用化上望まれるところである。本
発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的
は、低い駆動電圧で高い力密度を発生し得るように改良
された静電アクチュエータを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために、静電アクチュエータのコンデンサー
に類似する構造に着目して種々検討を重ねた結果、静電
アクチュエータを特定の材料で構成するならば、上記の
目的を容易に達成し得るとの知見を得て本発明の完成に
到った。すなわち、本発明の要旨は、絶縁性支持体に帯
状電極を所定間隔で並べた固定子と絶縁性薄葉体に正負
の電荷を付与した移動子とが接するように配置して成る
静電アクチュエータにおいて、固定子の少なくとも帯状
電極の上部に位置する絶縁性支持体および/または移動
子の絶縁性薄葉体を比誘電率が4以上の誘電体材料で構
成したことを特徴とする静電アクチュエータに存する。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
静電アクチュエータの基本的構成は、図1において、移
動子(6)の構成材料が絶縁性フィルムに限定されず、
また、移動子の構成がこれに抵抗体層を設けたものに限
定されない点を除き、同図に示した公知の静電アクチュ
エータと同じである。従って、以下の説明においては、
便宜上、図1中の(4)を絶縁性薄葉体として図1を参
照する。そして、本発明の特徴は、固定子および移動子
の少なくとも一方に比誘電率が4以上の誘電体材料を使
用することにより、低い駆動電圧で高い力密度を発生し
得るようにした点にある。因に、比誘電率は、真空中の
誘電率に対する材料の誘電率の比と定義される。そし
て、誘電体は、静電場を加えると誘電分極を生じるが直
流電流を生じない物質を言い、電気絶縁体と同義であ
る。つまり、誘電体は、絶縁体を誘電分極の観点から観
た命名である。
【0014】先ず、本発明において、比誘電率が4以上
の誘電体材料を使用する意義について説明する。図2
は、図1に示した静電アクチュエータの電線(7)、
(8)に対応した1ユニットの模式的説明図である。そ
して、斯かるユニットは、コンデンサーと同様に考える
ことができ、その静電容量は次の数式[数4]で表すこ
とができる。
【0015】
【数4】C=ε×w×l/d ε:コンデンサー間の誘電率 ε=ε0 ×εr (ε0 :真空中の誘電率、εr :比誘電
率) w:帯状電極の幅 l:帯状電極の長さ d:ギャップ長さ
【0016】そして、上記のコンデンサーに蓄えられる
静電エネルギー(U)は、次の数式[数5]で与えられ
る。
【0017】
【数5】 U=−1/2C×V2 =−ε×w×l×V2 /2d V:ギャップ間の電位
【0018】また、電界の強さ(E)はV/dであるか
ら、上記の数式[数5]は、次の数式[数6]で表すこ
ともできる。
【0019】
【数6】U=−ε×w×l×d×E2 /2
【0020】従って、静電アクチュエータにおいて、駆
動電圧を低減させた上で静電エネルギー(U)を大きく
するためには、比誘電率(εr )の大きな誘電体材料を
使用してコンデンサー間の誘電率(ε)を大きくする
か、または、電界強度(E)を大きくすればよい。とこ
ろで、駆動電圧を低減させた上で電界強度(E)を大き
くするためには、電極ピッチを微細化する必要がある
が、前述の通り、静電アクチュエータの帯状電極は3相
構造であるためにスルーホール加工を必要とし、従っ
て、電極ピッチの微細化には、電極加工上、数多くの問
題がある。そこで、本発明は、比誘電率(εr )の大き
な誘電体材料を使用することにより、上記のような電極
加工上の問題を惹起することなく、低い駆動電圧で高い
力密度を発生し得るようにしたのである。
【0021】次に、本発明の静電アクチュエータにおけ
る固定子(3)及び移動子(6)について説明する。固
定子(3)は、絶縁性支持体(1)に帯状電極(2)を
所定間隔で並べて構成される。固定子(3)に配列して
設けられる帯状電極(2)は、絶縁性支持体(1)の表
面に設けても、または、絶縁性支持体(1)中に埋設し
て設けてもよい。そして、帯状電極(2)の間隔は、特
に限定されるものではないが、通常0.1〜2mmであ
り、静電アクチュエータの発生力、駆動電圧等の駆動性
能を向上させる為には帯状電極間隔の微細化が望まし
い。移動子(6)は、絶縁性薄葉体(4)に正負の電荷
を付与して構成される。絶縁性薄葉体(4)に正負の電
荷を付与する方法は、後述の方法に従って行われる。本
発明の最大の特徴は、固定子(1)および移動子(6)
の少なくと一方に比誘電率が4以上の誘電体材料(以
下、誘電体材料と略称する)を使用する点にある。
【0022】誘電体材料としては、例えば、ガラス繊維
入りポリエチレンテレフタート(εr =〜4.5、測定
周波数は1kHz、以下同じ)、ポリ塩化ビニリデン
(〜5)、セルロースアセテート(〜7)、ガラス繊維
入りフェノール樹脂(7)、αセルローズ入りユリア樹
脂(〜7.5)、軟質ポリ塩化ビニル(4〜8)、メラ
ミン樹脂(〜8)、ポリアクリロニトリル(8)、ポリ
ビニルフロライド(8.5)、ポリビニリデンフロライ
ド(8〜11)、ポリビニルアルコール(9)、各種の
ガラス(〜10)、セルロース(10)、ポリエチレン
オキサイド(15)等が挙げられる。そして、これらの
誘電体材料の中でも、比誘電率が5以上のもの、特に、
比誘電率が7以上のものが好ましい。そして、実用上使
用される誘電体材料は、比誘電率100以下の材料から
選択される。また、静電アクチュエータは、駆動周波数
に合わせて正負の直流電圧を交互に印加するので、アク
チュエータの誘電損失を小さくするのが好ましく、従っ
て、比誘電率と合わせて誘電正接の小さい材料を選択す
るのが好ましい。
【0023】次に、固定子(1)に誘電体材料を使用す
る場合について説明する。この場合は、少なくとも、帯
状電極(2)の上部に位置する絶縁性支持体(1)を誘
電体材料で構成する必要がある。そして、帯状電極
(2)は絶縁性支持体(1)中に埋設される。具体的に
は、通常の絶縁性材料より成る絶縁性支持体(1)の表
面に帯状電極(2)を形成し、その上に、誘電体材料の
フィルム又はシートを積層する。通常の絶縁性材料とし
ては、公知の静電アクチュエータと同様に、例えば、ポ
リエチレンテレフタレート(εr =2〜3)のフィルム
又はシートが好適に使用される。
【0024】次に、移動子(6)に誘電体材料を使用す
る場合について説明する。この場合は、移動子の絶縁性
薄葉体(4)を誘電体材料で構成ればよい。絶縁性薄葉
体(4)に正負の電荷を付与する方法は、図1に示した
公知の静電フィルムアクチュエータと同様に、絶縁性薄
葉体(4)に抵抗体層(5)を設ける方法が挙げられ
る。具体的には、例えば、絶縁性薄葉体(4)の表面に
帯電防止効果の弱い帯電防止剤を塗布する方法等を使用
し得る。この場合、抵抗体層(5)の表面固有抵抗率は
1012〜1015Ω/□の範囲、好ましくは1014Ω/□
前後にすることが必要である。そして、抵抗体層(5)
設ける方向は、移動子(6)の固定子(3)と接する面
または他方の面の何れであってもよいが、後者の面上が
好ましい。
【0025】また、絶縁性薄葉体(4)に正負の電荷を
付与する方法は、上記の方法に限られず、当業者にとっ
て自明の各種の他の方法を採用し得る。例えば、絶縁性
薄葉体(4)を絶縁性フィルムで構成する場合には、カ
ーボンブラック等の導電性物質を練り込んで絶縁性薄葉
体(4)自体を上記と同様の抵抗率を有する抵抗体とす
る方法、絶縁性薄葉体(4)に帯状電極を設ける方法、
イオン発生装置を利用する方法、絶縁性薄葉体(4)に
エレクトレット材料を利用する方法等が挙げられる。
【0026】絶縁性薄葉体(4)に帯状電極を設ける方
法は、特に図示しないが、図1において、電線(7)及
び(8)に対応する2相構造の帯状電極を固定子の帯状
電極(2)と対応させて設け、これらの電線に常時正負
の電圧を印加する方法であって、各帯状電極に存する正
負の電荷を鏡像電荷及びの代わりに利用する方法で
ある。また、イオン発生装置を利用する方法は、固定子
(3)に接して絶縁性薄葉体(4)を配置し、電線
(7)、電線(8)に正負の電圧を印加して電荷を誘導
した後、除電器として知られているイオン発生装置(針
電極に交流電圧を印加してコロナ放電を起こさせ生じた
正負のイオン風を送風機にて帯電物体に当てるようにな
された装置)からのイオン風を絶縁性薄葉体(4)の表
面に当てる方法であって、絶縁性薄葉体(4)の表面に
形成されたイオン化空気層を鏡像電荷及びの代わり
に利用する方法である。そして、イオン発生装置として
は、「静電気ハンドブック」(静電気学会偏、オーム社
出版、第1版819頁以降)に記載の各種の除電器を使
用することができる。
【0027】絶縁性薄葉体(4)の厚さは、当該絶縁性
薄葉体に電荷を付与する方法によって静電アクチュエー
タの発生力が異なるために一概には決定できないが、通
常は10μm以上とされる。そして、電荷を付与する方
法として絶縁性薄葉体(4)に抵抗体層(5)を設ける
方法を採用した場合には、10〜200μmの範囲とす
るのが好ましい。また、電荷の付与が何れの方法で行わ
れる場合においても、絶縁性薄葉体(4)の厚さは、絶
縁性支持体(1)に並べた帯状電極(2)の間隔をPと
し、帯状電極(2)の表面と絶縁性薄葉体(4)と抵抗
体層(5)(絶縁性薄葉体(4)に帯状電極を設けた場
合は当該帯状電極、イオン化空気層を形成した場合はそ
れ自体)との境界面との距離をGとした場合、0.15
<G/P<0.4の関係を満足する範囲とするのが好ま
しい。
【0028】本発明の静電アクチュエータにおいては、
固定子(1)及び移動子(6)の双方に誘電体材料を使
用することもできるが、一方のみに誘電体材料を使用し
てもよい。固定子(1)のみに誘電体材料を使用する場
合は、移動子(6)の絶縁性薄葉体(4)には、公知の
静電アクチュエータと同様に、例えば、ポリエチレンテ
レフタレートのフィルムが好適に使用されるが、これと
同程度の抵抗値を有し、比誘電率が4未満のガラス又は
セラミックス等を使用することもできる。移動子(6)
のみに誘電体材料を使用する場合は、例えば、ポリエチ
レンテレフタレートのフィルム又はシートより成る絶縁
性支持体(1)の表面に帯状電極(2)を形成して固定
子(1)を構成すればよく、この場合は、絶縁性支持体
(1)中に帯状電極(2)を埋設する必要はない。
【0029】ところで、静電アクチュエータにおいて、
特に、移動子の絶縁性薄葉体が平滑である場合は、固定
子と移動子の間に空気が十分に進入せず、両者間の摩擦
が大きくなり、移動子が円滑に移動しなくなるとの問題
がある。特に、上記の電荷充電操作においては、移動子
が固定子に吸引密着されているために両者間の摩擦は大
きい。また、特に、移動子と固定子の間の接触表面に
は、常温、常湿状態で少なくともnmオーダーの厚さで
水分が吸着されており、そして、固定子と移動子の間に
橋かけ構造を形成した上記の吸着水の表面張力により、
移動子が円滑に移動しなくなるという問題がある。
【0030】本発明においては、上記の各問題を解決し
て静電アクチュエータの円滑駆動を達成するために、以
下に説明する好ましい態様に従って、固定子(3)と移
動子(6)の接触面を粗面化するか、または、当該接触
面に潤滑剤層を設けるのがよい。勿論、粗面化を行い且
つ潤滑剤層を設けてもよい。
【0031】先ず、粗面化について説明する。上記の粗
面化は、固定子(3)の移動子(6)と接触する側の表
面および/または移動子(6)の固定子(3)と接触す
る側の表面に、次の数式[数7]([数1]と同じ)及
び[数8]([数2]と同じ)を満足する凹凸パターン
を設けるか、または、次の数式[数9]([数3]と同
じ)を満足する孔を0.1個/cm2 以上設けることに
より達成される。
【0032】
【数7】0.01<h/t
【数8】10(μm)<t
【数9】20<D
【0033】上記の各数式中、hは凹凸パターンの凸部
の高さ(Rmax.,μm)、tは移動子の絶縁性薄葉体
(4)または固定子(3)の厚さ(μm)、Dは孔直径
(μm)を表す。そして、移動子の絶縁性薄葉体(4)
の厚さは、導電性物質を練り込んで絶縁性薄葉体(4)
自体を抵抗体とした場合は移動子(6)自体の厚さを意
味し、また、絶縁性薄葉体(4)に抵抗層(5)を設け
た場合において当該抵抗体層の厚さが無視し得るように
薄い場合も移動子(6)自体の厚さを意味する。
【0034】上記の粗面化によれば、固定子(3)と移
動子(6)の接触面積を減少させて摩擦を小さくでき、
移動子(6)の滑り性を向上させることができる。上記
の粗面化は、固定子(3)と移動子(6)との両者の接
触間に対して行うことができるが、一方は平坦面とし、
他方のみを粗面化することが好ましい。
【0035】上記の凹凸パターンの形成方法は、特に限
定されず、凹凸パターンを施す面の材料の種類に応じ、
以下に例示する方法を適宜採用し得る。 (a)平滑面に無機粒子等を含む塗布液をコーティング
する方法 (b)結晶化促進処理および結晶化促進剤などを添加す
る方法 (c)二酸化珪素、二酸化チタン、炭酸カルシウム等の
無機粒子および相溶性のないポリマー等を添加する方法 (d)機械的エンボス加工、サンドブラスト加工による
方法 (e)溶剤処理、コロナ放電、プラズマ放電、電子線照
射、X線照射等の表面処理による方法 (f)グラビアコーティングにより独立セル又は溝を転
写させる方法 上記の(b)及び(c)の方法は、主として合成樹脂を
使用した場合に適用される。そして、上記の各方法のう
ち、特に、無機粒子として略均一粒径(5〜20μmの
範囲)の球状粒子(例えばガラスヒーズ)を使用した
(a)の方法は好適である。
【0036】また、孔の形成は、例えば、機械的パンチ
法あるいはその他の適当な方法により容易に行い得る。
【0037】そして、上記の凹凸パターンが固定子
(3)の表面に設けられる場合においては、凹凸パター
ンの凸部の高さ(Rmax.)を5μm以上とするのが好ま
しい。また、上記の孔は移動子に設けるのが好ましい。
【0038】次に、前記の潤滑剤層の形成について説明
する。本発明に用いる潤滑剤としては、常温で固体状態
または液体状態のいずれれの潤滑剤であってもよい。
【0039】固体潤滑剤としては、例えば、ステアリン
酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン
酸マグネシウムのような脂肪酸金属塩;ステアリン酸エ
チル、パルミチン酸メチル等の脂肪酸エステル;ステア
リン酸トリグリセライド、パルミチン酸トリグリセライ
ド等の油脂;ステアリルアルコール、ヘキサデカノール
等の高級アルコール;コレステロール、シトステロール
等のステロイド化合物等が用いられ、その他、テフロ
ン、二硫化モリブデン、グラファイト等も使用可能であ
る。
【0040】また、液体潤滑剤としては、通常のマシン
油やエンジンオイル等の炭化水素鉱油系潤滑油の他に、
ジメチルポリシロキサンなどのシリコンオイル、パーフ
ルオロポリエーテル等のフッ化オイル、リン酸エステル
等を使用することができる。
【0041】上記の潤滑剤は、溶媒に溶解または分散さ
せて使用されるが、溶媒としては、例えば、アルコール
類、ケトン類、芳香族化合物、塩素系溶媒等が適宜使用
される。
【0042】潤滑剤は、溶媒に溶解または分散させた
後、ディップ法、スピンコート法、スプレー法、グラビ
ア法、ナイフコート法、ロールコート法等の方法によ
り、固定子(3)の移動子(6)と接触する側の表面お
よび/または移動子(6)の固定子(3)と接触する側
の表面に塗布されて潤滑剤層を形成する。
【0043】潤滑剤層の膜厚は、1〜40nmの範囲が
好ましいが、更に好ましくは2〜10nmの範囲が望ま
しい。
【0044】本発明の静電アクチュエータは、上記のよ
うにして構成された固定子と移動子から成り、公知の静
電アクチュエータと同様の駆動原理に従って駆動され
る。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の例におい
ては、次の材料および測定方法を採用した。
【0046】(1)固定子 厚さ125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
の表面に、幅0.2mm、ピッチ0.4mmの帯状電極
を形成し、その表面に各実施例に記載のフィルムを積層
したものを使用した。
【0047】(2)力密度の測定 固定子と接するように配置した移動子の大きさを10×
10cmとし、移動子に種々の錘を取り付け、垂直方向
(重力方向と反対方向)に何gの錘を引き上げ得るかを
測定した。測定は、以下の[表2]に示す駆動条件を採
用し、駆動電圧を変更して実施した。
【0048】
【表2】<駆動条件> 初期充電時間:10s 充電時間 :450ms 移動時間 :50ms 駆動周波数 :2Hz 駆動電圧 :±800v
【0049】実施例1 移動子は、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート
フィルム(ダイアホイル(株)製、Sタイプ、εr
3)の片面に帯電防止効果の弱い帯電防止剤をスプレー
塗布して構成した(表面固有抵抗率1×1014Ω/
□)。固定子は、積層用フィルムとして、厚さ37μm
のポリビニリデンフロライドフィルム(呉羽化学工業
(株)製、KFフィルム、εr =10.7、厚さ12μ
mと25μmのものとを2枚積層)を使用して構成し
た。上記の静電アクチュエータについて、固定子と移動
子との間に、ガラスビーズ(粒径18μm、東芝バロテ
ィーニ社製、GB731M)を散布し、駆動電圧と力密
度との関係を測定した。結果は、次の[表3]に示す通
りである。なお、力密度(N/m2 )30は、30gの
錘を引き上げ得る力に相当する。
【0050】
【表3】
【0051】実施例2 移動子は、厚さ25μmの上記のKFフィルムの片面に
帯電防止効果の弱い帯電防止剤をスプレー塗布して構成
した(表面固有抵抗率1×1014Ω/□)。固定子は、
積層用フィルムとして、厚さ50μmの上記のKFフィ
ルムを使用して構成した。上記の静電アクチュエータに
ついて、固定子と移動子との互いの摺動面に固体潤滑剤
のステアリン酸マグネシウムを3nmの厚さに塗布し、
駆動電圧と力密度との関係を測定した。結果は、次の
[表4]に示す通りである。
【0052】
【表4】
【0053】実施例3 移動子は、実施例1で使用したと同一のポリエチレンテ
レフタレートフィルムの表面に電極幅が0.2mm、電
極ピッチが0.4mmの2相構造の帯状電極を形成して
構成した。上記り静電アクチュエータについて、固定子
と移動子との間に実施例1と同様のガラスビーズを散布
し、2相構造の帯状電極に±600vの電圧を印加した
状態で駆動電圧と力密度との関係を測定した。結果は、
次の[表5]に示す通りである。
【0054】
【表5】
【0055】実施例4 実施例1において、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムのスプレー塗布を省略した他は、実施例1と同様にポ
リエチレンテレフタレートフィルムと固定子とを接する
ように配置した。そして、固定子の帯状電極(図1の電
線(7)と(8))に正負の電圧を印加した状態でポリ
エチレンテレフタレートフィルムの表面にイオン風を当
て駆動電圧と力密度との関係を測定した。結果は、次の
[表6]に示す通りである。なお、上記のイオン化装置
としては、日本スタテック社製の除電装置SH−2型を
使用した。また、連続駆動試験においては、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムの表面にイオン風を連続的に
当てた方が円滑に駆動することが確認された。
【0056】
【表6】
【0057】実施例5 固定子は、実施例1と同一のものを使用した。移動子
は、次の要領に従って実施例1で使用したと同一のポリ
エチレンテレフタレートフィルムの片面を粗面化し、反
対の平滑面に帯電防止効果の弱い帯電防止剤をスプレー
塗布して構成した(表面固有抵抗率1×1014Ω/
□)。
【0058】<粗面化>平均粒径10μmの中空ガラス
ビーズ(東芝バロティーニ社製)を含むポリウレタン樹
脂塗布液(溶剤:テトラドロフラン、固形分濃度:15
重量%、ガラスビース濃度:約1重量%)をバーコータ
ーにて塗布して乾燥した。乾燥後の塗膜の厚さは、1〜
2μmであった。また、上記の粗面化フィルムの表面粗
度Rmax.を測定し、凸部の高さ(hμm)を求めてh/
tを計算したところ、それぞれ、Rmax.=8μm、h/
t=0.32であった。
【0059】上記の移動子と固定子とを接するように配
置し、図3の概念図に示す本発明の静電アクチュエータ
を作製した。上記の静電アクチュエータについて、固定
子と移動子との互いの摺動面に固体潤滑剤のステアリン
酸マグネシウムを3nmの厚さに塗布し、駆動電圧と力
密度との関係を測定した。結果は、次の[表7]に示す
通りである。なお、ステアリン酸マグネシウムの塗布
は、ジオキサンを溶媒として使用し、スピンコーターを
用いて行った。
【0060】
【表7】
【0061】実施例6 固定子は、積層用フィルムとして、厚さ30μmの硼珪
酸ガラス(日本電気硝子(株)製、εr =6)を使用し
て構成した。移動子は、次の要領に従って実施例1で使
用したと同一のポリエチレンテレフタレートフィルムの
片面を粗面化し、反対の平滑面に帯電防止効果の弱い帯
電防止剤をスプレー塗布して構成した(表面固有抵抗率
1×1014Ω/□)。
【0062】<粗面化>平均粒径6μmのポリスチレン
ビーズ(積水ファインケミカル社製、ミクロパール)を
含むポリウレタン樹脂塗布液(溶剤:テトラドロフラ
ン、固形分濃度:15重量%、ポリスチレンビーズ濃
度:約1重量%)をバーコーターにて塗布して乾燥し
た。乾燥後の塗膜の厚さは、1〜2μmであった。ま
た、上記の粗面化フィルムの表面粗度Rmax.を測定し、
凸部の高さ(hμm)を求めてh/tを計算したとこ
ろ、それぞれ、Rmax.=4μm、h/t=0.16であ
った。
【0063】上記の移動子と固定子とを接するように配
置し、図3の概念図に示す本発明の静電アクチュエータ
を作製した。上記の静電アクチュエータについて、固定
子と移動子との互いの摺動面に固体潤滑剤のステアリン
酸マグネシウムを3nmの厚さに塗布し、駆動電圧と力
密度との関係を測定した。結果は、次の[表8]に示す
通りである。
【0064】
【表8】
【0065】比較例1 実施例1において、固定子の積層用フィルムとして、厚
さ37μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ダ
イアホイル(株)製、Sタイプ、εr =3、厚さ12μ
mと25μmのものとを2枚積層)を使用して固定子を
構成した他は、実施例1と同様にして静電アクチュエー
タを構成した。上記の静電アクチュエータについて、固
定子と移動子との間に、実施例1と同様のガラスビーズ
を散布し、駆動電圧と力密度との関係を測定した。次の
[表9]に示す通りである。
【0066】
【表9】
【0067】
【発明の効果】以上説明した本発明の静電アクチュエー
タは、固定子の少なくとも帯状電極の上部に位置する絶
縁性支持体および/または移動子の絶縁性フィルムを比
誘電率が4以上の誘電体材料で構成したことにより、低
い駆動電圧で高い力密度を発生し得る。また、本発明の
静電アクチュエータは、著しく円滑に駆動し得る。よっ
て、本発明は、静電アクチュエータの実用化に寄与する
ところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】静電アクチュエータの駆動原理の説明図であ
る。
【図2】図1に示した静電アクチュエータの電線
(7)、(8)に対応した1つのユニットの模式的説明
図である。
【図3】本発明の好ましい態様の静電アクチュエータの
一例を示す概念図である。
【符号の説明】
(1):絶縁性支持体 (2):帯状電極 (3):固定子 (4):絶縁性フィルム又は絶縁性薄葉体 (5):抵抗体層 (6):移動子 (7)〜(9):電線

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性支持体に帯状電極を所定間隔で並
    べた固定子と絶縁性薄葉体に正負の電荷を付与した移動
    子とが接するように配置して成る静電アクチュエータに
    おいて、固定子の少なくとも帯状電極の上部に位置する
    絶縁性支持体および/または移動子の絶縁性薄葉体を比
    誘電率が4以上の誘電体材料で構成したことを特徴とす
    る静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 固定子の移動子と接触する側の表面およ
    び/または移動子の固定子と接触する側の表面に、次の
    数式[数1]及び[数2]を満足する凹凸パターンを設
    けるか、または、次の数式[数3]を満足する孔を0.
    1個/cm2 以上設けた請求項1記載の静電アクチュエ
    ータ。 【数1】0.01<h/t 【数2】10(μm)<t 【数3】20<D (上記の各数式中、hは凹凸パターンの凸部の高さ(R
    max.,μm)、tは移動子の絶縁性薄葉体または固定子
    の厚さ(μm)、Dは孔直径(μm)を表す)
  3. 【請求項3】 固定子の移動子と接触する側の表面およ
    び/または移動子の固定子と接触する側の表面に潤滑剤
    層を設けた請求項1又は請求項2記載の静電アクチュエ
    ータ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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