JPH05255896A - 耐摩耗性に優れた摺接部材及びその製造装置 - Google Patents

耐摩耗性に優れた摺接部材及びその製造装置

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JPH05255896A
JPH05255896A JP4089738A JP8973892A JPH05255896A JP H05255896 A JPH05255896 A JP H05255896A JP 4089738 A JP4089738 A JP 4089738A JP 8973892 A JP8973892 A JP 8973892A JP H05255896 A JPH05255896 A JP H05255896A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐摩耗性及び耐スカッフィング性に優れ、且
つ初期なじみ性も良好な摺接部材、たとえばエンジン用
シリンダを得ること。 【構成】 アルミニウム合金製シリンダライナ1の内周
面に、硬質粒子23を分散含有した第1ニッケルメッキ
層21と、その上に固体潤滑材24を分散含有する第2
ニッケルメッキ層22を形成する。上死点付近1aで
は、硬質粒子及び固体潤滑材粒子の分散量を多くする。 【効果】 第1ニッケルメッキ層21の研削面Hから露
出する硬質粒子23a等が、第2ニッケルメッキ層22
により強固に保持されるため脱落しにくい。したがっ
て、摺接面に必要とされる硬質粒子の面積率を維持する
ことができるとともに、アブレッシブ摩耗も防止でき
る。また、第2ニッケルメッキ層22に含有される固体
潤滑材は初期なじみ性を向上させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンジンのシリンダ等
の摺接部材及びその製造装置に関し、より具体的には、
硬質粒子を含有する複合メッキ層を備え耐摩耗性に優れ
た摺接部材及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、内燃機関においては、性能向上の
ため高圧縮比、高回転化が図られ、ピストンリングやシ
リンダ等の摺接部品には、従来に増して耐摩耗性や耐ス
カッフィング性が要求され、しかも、運転初期の異常摩
耗やかじりの発生を防止するため、初期なじみ性のよい
材料が要求されている。一方、部品軽量化及びエンジン
の冷却性向上の観点から、シリンダライナ等においても
アルミニウム合金等の軽合金が注目されるようになり、
耐摩耗性等の不足を補うため硬質材料をメッキするな
ど、なんらかの表面処理を行ったうえで使用に供されて
いる。
【0003】ところで、シリンダ内周面に対し表面処理
を行うものとしては、たとえば、初期なじみ性を改善
するものとして、基材上に硬質層をプラズマ溶射しその
上に軟質層を積層したもの(特開昭51−151414
号公報)、基材上に鉄メッキ層を形成しその上に複合燐
酸塩皮膜を形成したもの(特開昭63−61756号公
報)、耐スカッフフィング性を改善するものとして、
基材上に溶射皮膜を形成し、しかもその気孔率を上死点
近傍で大きくし気孔の油だまり効果を利用したもの(特
開昭57−151043号公報)、耐摩耗性を改善す
るものとして、上死点近傍を電子ビームにより再溶融ー
急冷凝固し硬化させたもの(特開昭57−163139
号公報)、上死点近傍に気相法により耐摩耗性皮膜を形
成したもの(特開平1−155061号公報)等が知ら
れている。
【0004】しかし、上記では、異なる材質の皮膜を
積層化するため皮膜の密着性が不足したり、厚膜化が困
難であり、においては、気孔率を高めるために特に上
死点近傍での強度が不足し、皮膜の摩耗を加速し易いと
いう問題があり、においては、二相(上死点近傍とそ
の他の部分)が露出した表面を研削加工する必要があ
り、要求加工精度を満足することが難しいという問題が
ある。
【0005】一方、シリンダの耐摩耗性及び耐スカッフ
ィング性を改善する皮膜として、最近、炭化珪素粒子な
どの硬質粒子を金属メッキ皮膜中に分散させた複合金属
メッキ皮膜が注目され、一部に採用されるようになって
きている。硬質粒子を分散させた皮膜は硬度が高く、そ
れ自身の摩耗が少ないというだけでなく、相手摺接部品
の摩耗も少ないという優れた耐摩耗性を備え、さらに耐
スカッフィング性にも優れている。しかし、ライナ面を
研削する際にメッキ皮膜から硬質粒子が一部欠落するこ
とに加え、研削の際破砕した硬質粒子が摺動中に皮膜か
ら脱落することにより、摺接面に必要とされる硬質粒子
の面積率が確保されず焼き付きが発生したり、また、摺
動中に皮膜から脱落した硬質粒子が、シリンダとピスト
ンリング間においてアブレッシブ摩耗を引き起こすとい
う問題を抱えていた。さらに、この複合金属メッキ皮膜
は運転初期のなじみ性が悪いという問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、硬質粒子を
分散させた複合金属メッキ皮膜が耐摩耗性及び耐スカッ
フィング性にきわめて優れている点に鑑み、該複合金属
メッキ皮膜の有する上記問題点を一気に解決することを
目的とし、あわせて上記従来例に挙げたような問
題点のない摺接部材を得ることを目的としてなされたも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に関わる摺接部材は、金属基材の表面に、硬
質粒子を分散含有した第1複合金属メッキ層と、この上
に第1複合金属メッキ層と同系金属で固体潤滑材を分散
含有する第2複合金属メッキ層を備えることを特徴とす
るものである。硬質粒子としては炭化珪素等のセラミッ
ク粒子、固体潤滑材としては四弗化エチレン(PTF
E)等、適宜選択することができる。特に、この摺接部
材は、エンジン用の軽合金製シリンダとして好適であ
り、この場合、上死点付近に硬質粒子を多く分散含有さ
せるのがよく、複合金属メッキ層はいずれもニッケルを
ベースとすることが好ましい。
【0008】さらに本発明に関わる複合金属メッキ装置
は、筒状金属基材内周面に該複合金属メッキ層を形成す
るためのものである。すなわち、筒状金属基材内部に粒
子を分散したメッキ液を流通させながら、該基材内周面
に粒子を分散含有する複合金属メッキ層を形成する装置
において、該基材の中央部に棒状の陽電極を配設し、該
陽電極にスパイラル状のフィンを設け、しかもフィンの
ピッチに疎密を設けたことを特徴とし、筒状摺接部材の
製造装置として適するものである。特に、この複合金属
メッキ装置をエンジンのシリンダ内周面のメッキに適用
した場合には、フィンのピッチを上死点付近で密とす
る。そして、この装置においては、フィンに回転手段を
設けるのが好適である。
【0009】
【作用】本発明に関わる摺接部材は、たとえば基材をア
ルミニウム合金とし、硬質粒子を分散含有する複合金属
メッキ層(第1複合金属メッキ層)により耐摩耗性及び
耐スカッフィング性を確保し、その上層の固体潤滑材粒
子を分散含有する複合金属メッキ層(第2複合金属メッ
キ層)により初期なじみ性を確保するものである。第1
及び第2複合金属メッキ層のベース金属は同系金属とす
るので、両層の密着性は優れている。
【0010】さらに、第2複合金属メッキ層のもう一つ
の作用として、硬質粒子の脱落を防止する作用が挙げら
れる。すなわち、第1複合金属メッキ層中の硬質粒子の
中には、その一部分のみ基地のメッキ層に保持されてい
るにすぎず脱落しやすい状態のものがあり、特に、第1
複合金属メッキ層を形成したあといったんこの層を研削
加工するような場合、さきに説明した通り、研削加工の
応力を受けて第1複合金属メッキ層中の硬質粒子の一部
は欠落したり、脱落しやすい状態になるか又は破砕され
たりすることは避けられない。しかし、本発明において
はその上から第2複合金属メッキ層を形成するので、脱
落しやすい状態となった粒子や破砕された硬質粒子を、
同系の金属により再び強固に保持することになり、摺動
中の硬質粒子の脱落を防止することができるのである。
【0011】本発明に関わる摺接部材をエンジン用のシ
リンダに適用するときは、その上死点付近に硬質粒子を
多く分散含有させるのがよい。すなわち、シリンダの上
死点付近は、高圧力にさらされるほかピストンの速度が
ゼロに近く、しかも潤滑油が回りにくい箇所であるの
で、油膜切れが生じやすく、より一層の耐摩耗性、耐ス
カッフィング性が要求されるものであるが、硬質粒子の
分散量を多くすることにより、上死点付近の耐摩耗性及
び耐スカッフィング性を容易に高めることができるから
である。また、上死点付近の固体潤滑材の分散量を多く
すれば、そのなじみ性を高めることができ、上死点付近
の潤滑不足に対応することできる。
【0012】しかも、第2複合金属メッキ層は、シリン
ダ内周面の第1複合金属メッキ層を仕上げ研削した上に
形成されるので、シリンダ内周面とピストンリングのク
リアランスを一層小さくし、シール性を高めることがで
きる。さらに、シリンダをアルミニウム合金等の軽合金
とすることにより、部品の軽量化とエンジンの冷却性能
の向上を図ることができる。
【0013】本発明の複合金属メッキ装置は、筒状金属
基材の中央部に配設した棒状の陽電極にスパイラル状の
フィンを設けるので、筒状部材内部を流通するメッキ液
はフィンの間を通り筒状部材内周面に沿って流れ、か
つ、フィンのピッチに疎密を設けたことにより、ピッチ
が密の部分では流速が早く、その部分ではメッキ層中に
分散含有される粒子の量が相対的に多くなるという作用
がある。したがって、この複合金属メッキ装置をエンジ
ンのシリンダに適用するときは、上死点付近に対応する
位置のフィンのピッチを密とすることにより、上死点付
近の粒子の分散量を多くすることができる。また、フィ
ンに回転手段を設けるときは、より均一なメッキが可能
であり、メッキ面に付着する気泡をたえず排除する作用
もある。
【0014】
【実施例】以下、アルミニウム合金製シリンダライナに
対し本発明を適用する場合を例に引き、本発明をより具
体的に説明する。なお、第1複合金属メッキ層は、炭化
珪素粒子を分散含有するニッケルメッキ層とし、第2複
合金属メッキ層は、PTFEを分散含有するニッケルメ
ッキ層とする。
【0015】その製造工程及び製造条件は以下の通り。 (1)シリンダライナ(JISAC8Aアルミニウム合
金、内径80mm、高さ120mm)の内周面を加工し
たのちトリクレン脱脂。 (2)アルカリ脱脂(カセイソーダ100g/l、60
℃、180sec)。 (3)酸処理(40%硝酸、45sec)。 (4)亜鉛置換処理(市販の置換液により、二重亜鉛置
換)。 (5)ストライクニッケルメッキ(塩化ニッケル240
g/l、塩酸120g/l、水850ml/l、浴温2
0℃、電流密度10A/dm2)。 (6)炭化珪素粒子分散ニッケルメッキ(スルファミン
酸ニッケル350g/l、塩化ニッケル15g/l、ホ
ウ酸45g/l、サッカリンナトリウム3g/l、炭化
珪素粒子の平均粒径1〜5μm、浴中懸濁量150g/
l、浴温60℃、PH4、電流密度20A/dm2)。 (7)ホーニング加工。 (8)アルカリ脱脂。 (9)酸処理。 (10)PTFE分散ニッケルメッキ(スルファミン酸
ニッケル500g/l、塩化ニッケル45g/l、ホウ
酸35g/l、分散材メタフロンFS−20(商品名)
25g/l、同メタフロン1003(商品名)15g/
l、浴温45℃、PH4.2、電流密度2A/d
2)。 なお、工程(6)及び(10)においてスルファミン酸
ニッケル浴を用いた理由は、メッキ内部応力が少なくメ
ッキ速度が大で浴管理が容易という点である。
【0016】次に、上記工程(6)に使用した複合金属
メッキ装置の概略を図2に示す。ただし、この装置は上
記工程(10)にも使用できる。アルミニウム合金から
なるシリンダライナ1の中心に棒状の陽電極2を配置
し、陽電極2のまわりにはアノードバッグ3とスパイラ
ル状の非導電性フィン4が一体に取り付けられ、これら
でメッキ室Aを構成する。スパイラル状のフィン4のピ
ッチは、上部(シリンダライナ1の上死点に対応する辺
り)を密、下部を疎とした構造とし、アノードバッグ3
内には陽極を構成するニッケルキャラメル5が収容され
る。また、整流器6のカソード側がシリンダライナ1
に、アノード側が陽電極2に接続される。
【0017】シリンダライナ1の上下面は、それぞれ循
環パイプ7、8の一端で密閉され、該循環パイプ7、8
の他端はメッキ液槽9中に開口する。下方の循環パイプ
8の中途には送液ポンプ10がある。メッキ液槽9は、
かくはんプロペラ11とヒータ12を備え、炭化珪素粒
子を分散含有する複合メッキ液を収容する。陽電極棒2
は、その上下が循環パイプ7、8の側壁に回転自在に支
持され、モータ13により回転駆動される。
【0018】次に、この複合金属メッキ装置の作用を説
明すると、メッキ液槽9内でかくはんされ炭化珪素粒子
が均一分散された複合メッキ液は、送液ポンプ10の圧
力により、循環パイプ8を通ってメッキ室Aに下方から
流入し、スパイラル状のフィン4の間を回転しながら上
昇し、メッキ室Aの上から流出し、循環パイプ7を通っ
て再びメッキ液槽9に返される。メッキ室Aでは、フィ
ン4のピッチが密なほど、メッキ液の流通断面積が減少
し、メッキ液の流速が早くなる。流速が早いということ
は、メッキ液中の分散粒子の見かけの体積率が高いとい
うことであり、したがって分散粒子が陰極表面へ衝突す
る回数が多くなり、メッキ層中に析出する分散粒子の量
を多くすることができる。この実施例ではシリンダライ
ナ1の上死点付近の流速が速くなるので、そこではメッ
キ層中の炭化珪素粒子の含有量が高められる。
【0019】陽電極2を回転しフィン4を回転すること
は、シリンダライナ1内周面に均一な複合メッキ層が得
られるという作用を有する。すなわち、フィン4を回転
することにより、シリンダライナ1内周面にメッキが形
成されない陰ができるのを防ぐことができ、加えてシリ
ンダライナ1内周面に付着する気泡を除去し、ピットと
称するクレーター状の凹部が形成されるのを防止するこ
とができる。しかもメッキ室A内ではメッキ液は下方か
ら上方へ向かうようにしたので、気泡の除去は円滑に行
われる。むろん、フィン4は気泡が上昇しやすい方向に
回転させるものとする。なお、この装置は単純にメッキ
液を循環させる構造としたので、メッキ液の供給を低容
量のポンプ10によりまかなうことができる。
【0020】さて、以上の製造工程及び製造装置により
得られるシリンダライナ1の断面模式図を図1に示す。
図1(a)に示すように、シリンダライナ1の内周面に
は、炭化珪素粒子を分散含有するニッケルメッキ層21
(以下、第1複合メッキ層21とする。)と、PTFE
粒子を分散含有するニッケルメッキ層22(以下、第2
複合メッキ層22とする。)が形成され、しかもシリン
ダライナ上死点1a付近において、粒子が密に分散して
いる。
【0021】図1(b)には摺接面の拡大図を示す。ア
ルミニウム合金からなるシリンダライナ基材30上に、
順に亜鉛置換層31、ストライクニッケルメッキ層3
2、第1複合メッキ層21、及び第2複合メッキ層22
が被覆されている。なお、亜鉛置換層31及びストライ
クニッケルメッキ層32は、基材30と第1複合メッキ
層21との密着性を向上させるために施したものであ
る。
【0022】第1複合メッキ層21はホーニング加工を
受け、相対的に軟質のニッケル基地が優先的に研削され
るので、硬質の炭化珪素粒子23は研削面Hのニッケル
メッキ基地から一部露出し、その中には加工時の応力に
より破砕された粒子23aや、脱落しそうな粒子(図示
せず)も一部に存在する。第2複合メッキ層22は、第
1複合メッキ層21の上記研削面H上に形成される。し
たがって、第1複合メッキ層21中の破砕された粒子2
3aや脱落しそうな粒子は、第2複合メッキ層22のニ
ッケルメッキ基地により再び被覆され、強固に保持され
ることになる。なお、24はニッケルメッキ基地中に分
散したPTFE粒子である。
【0023】第1複合メッキ層21のメッキ厚さは、ホ
ーニング加工前は100μm以上、そして耐久性の観点
からホーニング加工後でも70μm以上が好ましい。炭
化珪素粒子23の分散量は、上死点付近で18〜20v
ol%、下死点付近で10〜12vol%程度とする。
第2複合メッキ層22は、5〜10μmの厚さとする。
すなわち、5μm以下では第1複合メッキ層21から突
出した炭化珪素粒子23を完全に覆うのが難しく、10
μm以上ではメッキが欠落し易くなるからである。析出
したPTFE粒子の粒径は2μm程度で、その分散量
は、上死点付近の潤滑能を高めるのであれば上死点付近
で30〜35%、下死点付近で10〜15%程度とする
のがよいが、全体的に均一に分散してもよい。
【0024】こうして製造されたシリンダライナ1を使
用するときは、まず第2複合メッキ層22は、潤滑性を
有することから初期なじみに寄与し、また第1複合メッ
キ層21に比較し柔らかいことから初期摩耗が進行し易
くピストンリングの形状に容易に沿い、シール性が確保
される。初期摩耗が進行すると(たとえば図1(b)の
仮想線S位置)、硬質で相手材と凝着しにくい炭化珪素
粒子23が露出し荷重を支えることになり、摩耗を抑制
するとともに焼き付きを防止する。この状態でも、炭化
珪素粒子23は残りの第2複合メッキ層22のニッケル
基地により保持されているので脱落せず、炭化珪素の面
積率を維持することができるとともに、ピストンリング
との摺動面のアブレッシブ摩耗を防ぐことができる。
【0025】(摩耗試験ー1)図3(a)に示すピン/
ディスク摩耗試験法を用い、炭化珪素粒子の含有量と耐
摩耗性の関係を試験した。試験片としてAC8Aアルミ
ニウム合金からなるディスク40に対し、前記製造工程
に従い、亜鉛置換層、ストライクニッケルメッキ層、及
び炭化珪素粒子を含有する複合ニッケルメッキ層を順次
形成し、次いで表面研削により該複合ニッケルメッキ層
を70μm厚とした。なお、本試験では、固体潤滑剤を
含有する複合ニッケルメッキ層は形成していない。ディ
スク40に対向するピン41は、ピストンリング相当の
材質としてSUS440Cを窒化処理したものを用い、
その断面形状w×lは3mm×5mm、先端Rは2mm
である(図3(b))。このピン41を、一定速度(周
速0.3m/sec)で回転するディスク40の表面
に、荷重Pを5Kgfとして押し付けた。潤滑条件は、
潤滑油として10W−30を100℃、300cc/m
inであった。
【0026】図4は、すべり距離5Kmにおけるディス
ク40の摩耗高さと炭化珪素含有量の関係を示す図であ
る。含有量が多くなるほど摩耗高さが減少し、炭化珪素
粒子が耐摩耗性の向上にきわめて有効であることが分か
る。図5は、表面粗さRaと試験時間の関係を示す図で
ある。炭化珪素含有量が20vol%のものでは荷重を
支える炭化珪素の面積率が高いため、10vol%もの
と比較し表面粗さが減少するまでに時間が必要である。
これは、複合メッキ層の耐久力が大きいことを示すとと
もに、初期なじみ性を向上させるためにその表面に潤滑
材を含有する複合金属メッキ層を形成する必要性が高い
ことを示している。
【0027】(摩耗試験ー2)摩耗試験ー1と同じく、
ピン/ディスク摩耗試験法を用い、本発明にかかわる摺
接部材の耐スカッフィング性を試験した。試験片として
は、摩耗試験ー1で用いたディスク(従来例)と、さら
に固体潤滑材(PTFE)を含有する複合ニッケルメッ
キ層を形成したディスク(実施例)を用意した。炭化珪
素粒子の含有量はいずれも20vol%、実施例におけ
るメッキ層中のPTFE粒子含有量は30vol%であ
る。対向するピンは、摩耗試験ー1と同じものとした。
【0028】この試験では、ピン41を一定速度で回転
するディスク40表面に押し付け、試験荷重Pを段階的
に大きくし、その一方でピン41にかかる水平方向のト
ルクを常時測定し、トルクがP×0.2を超えたとき、
すなわち摩擦係数が0.2を超えたときスカッフィング
発生と判定した。試験荷重Pは、図3(c)に示すよう
に、当初10Kgfでスタートし、30秒毎に10Kg
fづつ増加させた。なお、ディスク41の周速、潤滑条
件は摩耗試験ー1と同じとした。
【0029】図6にその試験結果を示す。従来例のもの
が50Kgfでスカッフィングが発生したのに対し、本
発明の実施例のものは、100Kgfまでスカッフィン
グが発生せず、耐スカッフィング性が大きく向上した。
【0030】
【発明の効果】上記の通り、本発明の摺接部材において
は、第1複合金属メッキ層中の硬質粒子が第2複合金属
メッキ層により強固に保持されるため脱落しにくく、摺
接面に必要とされる硬質粒子の面積率を維持することが
できる。したがって、スカッフィングが発生しにくく、
しかもアブレッシブ摩耗を防止することができる。ま
た、固体潤滑材を含有する第2複合金属メッキ層は摺接
部材の初期なじみ性を向上させる。このように、本発明
によれば、硬質粒子を含有した複合金属メッキ層が本来
的に有する耐摩耗性及び耐スカッフィング性を有効に利
用した摺接部材を得ることができるのである。
【0031】また、本発明の摺接部材を軽合金性シリン
ダに適用し、その上死点付近の硬質粒子の分散量を多く
したときは、容易に上死点付近の耐摩耗性及び耐スカッ
フィング性を向上させることができる。そして、本発明
に関わる複合金属メッキ装置によれば、そのようなシリ
ンダを容易に得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わるシリンダライナの断面模式図で
あり、(b)はその要部拡大図である。
【図2】本発明に関わる複合金属メッキ装置の概略図で
ある。
【図3】ピン/ディスク摩耗試験法の説明図である。
【図4】摩耗高さと炭化珪素粒子含有量の関係を示す図
である。
【図5】表面粗さRaと摩耗試験時間の関係を示す図で
ある。
【図6】スカッフィング発生荷重を示す図である。
【符号の説明】
1 シリンダライナ 2 電極棒 4 フィン 9 メッキ液槽 21 第1複合金属メッキ層 22 第2複合金属メッキ層 23 硬質粒子 24 固体潤滑材粒子 H 研削面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属基材の表面に、硬質粒子を分散含有
    した第1複合金属メッキ層と、その上に第1複合金属メ
    ッキ層と同系金属で固体潤滑材を分散含有する第2複合
    金属メッキ層を備えることを特徴とする摺接部材。
  2. 【請求項2】 第2複合金属メッキ層は、第1複合メッ
    キ層の研削面上に積層されていることを特徴とする請求
    項1に記載の摺接部材。
  3. 【請求項3】 上死点付近に硬質粒子を多く分散含有す
    るエンジン用軽合金製シリンダであることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の摺接部材。
  4. 【請求項4】 第1複合金属メッキ層と第2複合金属メ
    ッキ層が、いずれもニッケルをベースとすることを特徴
    とする請求項1、2、又は3のいずれかに記載の摺接部
    材。
  5. 【請求項5】 筒状金属基材内部に粒子を分散したメッ
    キ液を流通させながら、該基材内周面に粒子を分散含有
    する複合金属メッキ層を形成する装置において、該基材
    の中央部に棒状の陽電極を配設し、該陽電極にスパイラ
    ル状のフィンを設け、しかもフィンのピッチに疎密を設
    けたことを特徴とする複合金属メッキ装置。
  6. 【請求項6】 フィンに回転手段が設けられていること
    を特徴とする請求項5に記載の複合金属メッキ装置。
  7. 【請求項7】 筒状金属基材がエンジンのシリンダであ
    り、フィンのピッチが上死点付近で密となっていること
    を特徴とする請求項5又は6に記載の複合金属メッキ装
    置。
JP08973892A 1992-03-12 1992-03-12 耐摩耗性に優れたエンジン用軽合金製シリンダ及び複合金属メッキ装置 Expired - Fee Related JP3339874B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104373245A (zh) * 2013-07-26 2015-02-25 苏舍美特科公司 具有用于接收活塞的开孔的工件
JP2015055186A (ja) * 2013-09-11 2015-03-23 株式会社東芝 シール装置及びシール装置の製造方法、流体機械
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