JPH05263191A - 板幅方向のヤング率の高い熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

板幅方向のヤング率の高い熱延鋼板およびその製造方法

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JPH05263191A
JPH05263191A JP30007392A JP30007392A JPH05263191A JP H05263191 A JPH05263191 A JP H05263191A JP 30007392 A JP30007392 A JP 30007392A JP 30007392 A JP30007392 A JP 30007392A JP H05263191 A JPH05263191 A JP H05263191A
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JP
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less
modulus
hot
steel sheet
young
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Application number
JP30007392A
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English (en)
Inventor
Tomoki Fukagawa
智機 深川
Yasuhiro Maehara
泰裕 前原
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 板幅方向のヤング率の高い熱延鋼板とその製
造方法の提供。 【構成】 (1) 重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%以
下、Mn: 0.1〜3.0%、sol.Al:0.01〜3%を含有し、
残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板面と平行な
{311}面反射強度がランダム比で5倍以上である板
幅方向のヤング率の高い熱延鋼板。 (2) 上記の化学組成の鋼素材を 920〜1250℃の範囲で加
熱した後、α+γ二相域での総圧下量が50%以上、熱延
仕上温度が Ar1〜(Ar1−70℃) となるように熱間圧延を
行い、Ar1 〜(Ar1−250 ℃) で巻き取るか、 Ar1点以下
で巻き取った後に Ar1〜(Ar1−250 ℃) で焼鈍すること
を特徴とする板幅方向のヤング率の高い(1)の鋼板の製
造法。この (1)の鋼および (2)の鋼素材は、Ni:2.5%以
下、および/またはNb: 0.1%以下、V: 0.2%以下、
Ti: 0.1%以下のうちの1種以上を含有していてもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、幅方向のヤング率の
高い熱延鋼板およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車や家電製品のような、鋼板
を主な構成材料とした構造物の剛性を確保する手段とし
ては構成材料である鋼板自体の剛性を高くするか、構造
物としての形状を工夫するということになるのである
が、鋼板自体の剛性を改善すること、すなわち高ヤング
率化に関しては現在までは研究の成果に見るべきものは
無かった。
【0003】鋼のヤング率は他の構造用材料に比べると
極めて高く、その値はおおむね21000kgf/mm2程度の一定
値として機器の設計がなされてきた。しかしながら、α
Fe単結晶でみると、ヤング率は異方性を持ち、<111
>軸方向のヤング率が 29000kgf/mm2 と最も高く、<1
00>軸方向は13150kgf/mm2と最小の値で、前者は後者
に比べて2倍以上にも達している。このような事情から
鉄鋼材料のヤング率は集合組織に大きく依存しており、
それを制御することによって、特定方向のヤング率を高
くすることが可能となってくるのである。例えば、鋼板
の場合にはその面内の特定一方向のヤング率を高めるに
は、その方向に<111>軸に近い方位を強く集積させ
ればよいのである。しかしながら、冷延後再結晶させた
鋼板の集合組織は、主方位が{111}<UVW>であ
って面内には<111>軸あるいはそれに近い方位は存
在しないことになる。一方、熱延鋼板の集合組織はほと
んどランダムである。
【0004】近年、鋼板の含有成分や、製造条件を変え
て集合組織を制御し、特定方向のヤング率を高くする試
みが行われてきた。例えば、特開昭56−23223 号公報に
は熱間加工する際に、圧延の一部でα+γ二相域圧延を
行い、Ar3 温度以下での加工圧下率を5%以上にとり、
圧延仕上後の冷却速度を制御し、次いで焼戻すことを特
徴とする方法が提案されているが、どの集合組織を発達
させるかは具体的に示しておらず、また板幅方向のヤン
グ率も10%程度しか向上していない。
【0005】一方、特開昭59-83721号公報に開示されて
いる発明は、フェライト域熱延安定方位である{11
2}<110>をそのまま利用するものであるが、通常
の圧延でこの方位を集積させるのには高圧下率が必要
で、実施例に記載されている圧下率では高々24000kgf/m
m2のヤング率しか得られない。
【0006】特開昭64-11926号公報の発明は、フェライ
ト域で熱間圧延した後、再結晶させて{110}<00
1>を集積させ、板幅方向のヤング率を高めようとする
試みである。しかし、実施例に示されているように、や
はり24000kgf/mm2程度のヤング率しか得られない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、面内
の特定の方向におけるヤング率が極めて高い鋼板と、こ
れを製造する実際的な方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記 (1)ない
し(4) の熱延鋼板と (5)および(6) のその製造方法を要
旨とする。
【0009】(1) 重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%
以下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板面と平
行な{311}面反射強度がランダム比で5倍以上であ
る板幅方向のヤング率の高い熱延鋼板。
【0010】(2) 重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%
以下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%、Ni:2.
5 %以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物から
なり、板面と平行な{311}面反射強度がランダム比
で5倍以上である板幅方向のヤング率の高い熱延鋼板。
【0011】(3) 重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%
以下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%、ならび
にNb: 0.1%以下、V: 0.2%以下およびTi: 0.1%以
下のうちの1種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的
不純物からなり、板面と平行な{311}面反射強度が
ランダム比で5倍以上である板幅方向のヤング率の高い
熱延鋼板。
【0012】(4) 重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%
以下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%、Ni:2.
5 %以下ならびにNb: 0.1%以下、V: 0.2%以下およ
びTi:0.1%以下のうちの1種以上を含有し、残部はFe
および不可避的不純物からなり、板面と平行な{31
1}面反射強度がランダム比で5倍以上である板幅方向
のヤング率の高い熱延鋼板。
【0013】(5) (1)ないし(4) のいずれかに記載の組
成からなる鋼素材を 920〜1250℃の範囲で加熱した後、
α+γ二相域での総圧下量が50%以上、熱延仕上げ温度
が Ar1〜(Ar1+70℃) となるように熱間圧延し、 Ar1
(Ar1−250 ℃) で巻き取ることを特徴とする (1)〜(4)
のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
【0014】(6) (1)ないし(4) のいずれかに記載の組
成からなる鋼素材を 920〜1250℃の範囲で加熱した後、
α+γ二相域での総圧下量が50%以上、熱延仕上げ温度
が Ar1〜(Ar1+70℃) となるように熱間圧延し、 Ar1
下で巻き取った後 Ar1〜(Ar1−250 ℃) で焼鈍すること
を特徴とする (1)〜(4) のいずれかに記載の熱延鋼板の
製造方法。
【0015】
【作用】鋼板の成分を限定し、その製造条件、例えば熱
延条件を選ぶことによって板幅方向のヤング率を向上さ
せることができる。
【0016】本発明者は、この製造条件を変えた場合に
鋼板の集合組織がどのように変化し、それに伴うヤング
率変化の態様が如何なるものであるかを調査した。
【0017】まず、γ相の再結晶を抑制するために微量
のNb、V、Tiを添加した低炭素綱を用いてγ相未再結晶
域で強加工を加え、種々の冷却速度で冷却した鋼板につ
いて調べた。γ相未再結晶域で強加工することによって
α核の生成サイトであるγ粒界や焼鈍双晶境界の表面積
が増大するため、変態後に微細なフェライト・パーライ
ト組織を得ることができるのであるが、この時に形成さ
れる集合組織は、γ域あるいはα+γ二相域での圧延に
よって形成され、最終的にはαの集合組織として残るも
のであり、その過程での回復、再結晶あるいは炭窒化物
の析出やγからαへの変態挙動によって影響を受ける。
この集合組織として特徴的な方位成分は{311}<0
11>および{332}<113>である。そしてこれ
らの方位成分はほとんど同じであった。
【0018】{311}<011>方位成分のTD方向
は<332>であり、これはさきに述べたごとくαFe単
結晶に於ける最大のヤング率を示す方位軸<111>に
極めて近いので、ヤング率の向上をはかるためにはこの
<011>方位成分を増加させる手段を講じればよいこ
とになる。
【0019】次いで、同じ成分の鋼板についてγ相未再
結晶域ではなく、α+γの二相領域で熱間圧延をして、
その圧延終了温度を Ar1点直上にして、その後ゆっくり
変態させた結果、変態集合組織の方位成分の{311}
<011>が{332}<113>に比べてはるかに強
く集積し、ヤング率が大きく向上することが確認され
た。
【0020】以下、本発明の熱延鋼板およびその製造方
法における諸条件を詳しく説明する。
【0021】(A) 熱延鋼板 (a)化学組成 (以下、合金成分の含有量の「%」は全て
「重量%」である。) 本発明の熱延鋼板における合金元素のうち、C、Si、M
n、sol.AlおよびNiは、α+γ→α変態後の集合組織を
制御するためにα+γ二相域が適切な広さで現れるよう
に選択する。
【0022】C(炭素): 0.8%以下 Cは、α+γ二相域での再結晶を抑制する微細炭化物を
生成し、α+γ→α変態による集合組織の制御を行うた
めに含有することが好ましい元素である。しかし、Cが
あまりに多くなるとα+γ二相域がなくなるので上限は
共析濃度である0.8%とするが、α+γ二相域が適当な
広さをもっていれば前記 (5)、(6) の本発明方法を実施
しやすいので 0.2%以下であることが好ましい。
【0023】Si(ケイ素):3%以下 Siはα安定化元素であり、α+γ→α変態による集合組
織の制御を行うためのα+γ二相域を拡大させる。ま
た、脱酸材としても作用する元素である。しかし、Si含
有量が多すぎると、固溶硬化により鋼の圧延性を低下さ
せ、また、低融点酸化物ファイヤライト(Fe2SiO4) の生
成が促進されるので、熱間圧延後の酸洗が困難となった
り、溶接性が劣化して酸洗ラインにおいて溶接接続部の
破断をまねく。これらの弊害を避けるためにSi含有量の
上限は3%とする。ただし、この元素が存在しなくとも
α+γ二相域が消えるわけではないので必ずしも含有さ
せる必要はない。
【0024】Mn(マンガン): 0.1%以上、 3.0%以下 Mnはγ安定化元素であり、α+γ→α変態による集合組
織の制御を行うためのα+γ二相域の調節を目的として
添加する元素である。また、熱間圧延の際の脆性破壊の
原因となるS(硫黄)をMnSとして固定する元素でもあ
るので、 0.1%以上、好ましくは 1.5%程度含有させる
のが望ましい。しかし、Mnの含有量が多すぎると固溶硬
化により圧延性を損なうので、その上限を 3.0%とす
る。
【0025】sol.Al(アルミニウム):0.01%以上、3
%以下 Alはα安定化元素であり、α+γ→α変態による集合組
織の制御を行うためのα+γ二相域を拡大させる目的で
添加する。また、Alは鋼の脱酸剤としても役立つ。これ
らの作用効果を得るには、sol.Alとして少なくとも0.01
%の含有量が必要である。
【0026】Alが少ない場合には析出するAlNが微細に
なり、これが結晶粒の成長を妨げる。従って、AlNが結
晶粒成長を妨げない程度に粗大になるようにsol.Al含有
量を0.2%程度以上とするのが望ましい。一方、Alをあ
まり添加しすぎると固溶硬化のために圧延性が著しく損
なわれるから、sol.Al含有量の上限は3%とする。
【0027】以上の成分の外、残部はFeと不可避的不純
物からなるが、必要に応じてNiを含有しても良い。
【0028】Ni(ニッケル): 2.5%以下 Niはγ安定化元素であり、α+γ→α変態による集合組
織の制御を行うためのα+γ二相域拡大を目的として添
加するのが好ましい。しかしながら、Niは高価な元素で
あるから、経済性を考慮してその上限を 2.5%とする。
【0029】上記各成分の外に、Nb、VおよびTiからな
る元素群から選んだ1種以上の元素を含有するのが望ま
しい。
【0030】Nb(ニオブ): 0.1%以下 Nbはα+γ二相域での再結晶を抑制する微細析出物を生
成させるために0.01%以上含有量させるのが望ましい。
さらに好ましいのは0.03%以上含有させることである。
しかし、Nbの含有量があまり多くなると、析出物が粗大
となり、再結晶抑制効果がなくなる。従って、Nb含有量
の上限は 0.1%とする。
【0031】V(バナジウム): 0.2%以下 VもNbと同じくα+γ二相域での再結晶を抑制する微細
析出物を生成する。この効果を得るために0.01%以上含
有させるのが望ましい。一層望ましい含有量は0.03%以
上である。しかし、上記Nbと同じ理由でV含有量の上限
は 0.2%とする。
【0032】Ti(チタン): 0.1%以下 Tiの作用効果も、上記のNbおよびVと同じである。望ま
しくは0.01%以上、更に望ましくは0.03%以上含有させ
る。上限はNbおよびVと同じ理由で 0.1%までとする。
【0033】(b) 集合組織 本発明の熱延鋼板は、上記の化学組成を持ち、さらに板
面と平行な{311}面反射強度がランダム比で5倍以
上であることが特徴である。
【0034】前述のように、αFe単結晶のヤング率は、
最大値の<111>方向が29000kgf/mm2、最小値の<1
00>方向が13150kgf/mm2である。従って、集合組織の
制御によるヤング率の向上に効果的な集積度は、X線回
折による{311}面反射強度がランダム比で5倍以
上、好ましくは10倍以上とする。2 〜3 倍程度ではラン
ダム配向と同程度で、ヤング率向上には効果的でない。
【0035】(B) 製造方法 上記のような集合組織をもつ本発明の鋼板は、前記 (5)
および(6) の方法で製造することができる。
【0036】本発明方法ではα+γの二相を含む領域で
熱間圧延することを必須条件とする。さらに、結晶粒の
成長をできるだけ抑えて、変態後のα粒が核発生するγ
粒界の面積をできるだけ大きいままに維持するために、
鋼素材(例えばスラブ)の加熱温度はできるだけ低くす
るのがよい。ただし、低温に過ぎた場合は圧延荷重が過
大となる。これらの理由から、熱間圧延の際の加熱温度
の適正範囲は 920℃から1250℃までである。
【0037】鋼板の集合組織で{332}<113>方
位成分の発生を抑えて、{311}<011>方位成分
の割合を増加させるためには、α+γ域における累積圧
下量を50%以上としなければならない。特に二相域での
圧下率が80%以上の場合には{311}<011>方位
成分の増加が著しい。
【0038】このα+γ域においての圧下率は、 Ar3
と Ar1点の差が大きければ必然的に大きくすることが可
能であるが、この差が小さい場合でも圧延中に再加熱や
保温を行って、α+γ域に保って圧延すれば累積圧下率
を大きくすることができる。
【0039】さらに、未再結晶のγ相の割合をできるだ
け多くするために、圧延は Ar1点〜(Ar1点+70℃) の温
度域で仕上げる。また、変態をゆっくり進行させて、変
態集合組織を十分発達させるために、圧延終了後の冷却
速度を小さくするのがよい。
【0040】圧延後にこの熱延鋼板を巻き取る際には、
その温度(巻き取り温度)は Ar1点〜(Ar1点− 250℃)
の範囲にするのが望ましい。 Ar1点を超えた温度で巻き
取るとγ相が再結晶して変態集合組織が発達しにくい。
逆にこの温度が(Ar1点− 250℃) よりも低いとα粒成長
による{311}<011>集合組織を発達させる効果
が乏しくなるので好ましくない。この{311}<01
1>方位の集合組織はAr1点以下のできるだけ高い温度
の方が発達しやすいので Ar1点〜(Ar1点− 150℃) で巻
き取るのがより好ましい。
【0041】また、この熱延鋼板に焼鈍を施す際も Ar1
点〜(Ar1点− 250℃) の温度域で行うのがよい。 Ar1
を超えた温度で行うと集合組織が発達せず、ランダム化
するし、逆にこの温度が(Ar1点− 250℃) よりも低いと
α粒成長による{311}<011>集合組織が発達し
にくくなるので好ましくない。この温度も{311}<
011>方位の集合組織をより発達させるために Ar1
〜(Ar1点− 150℃) であるのがより好ましい。巻取り温
度が(Ar1点− 250℃) 未満であった場合にもこの焼鈍処
理を施すことによって、本発明の鋼材を製造することが
できる。
【0042】
【実施例1】表1に示す化学組成の鋼塊を熱間鍛造によ
って厚さ50mmの鋼片とした。鋼種として変態温度および
α+γ二相域の温度範囲(Ar3点と Ar1点の間)が異なる
ものを種々調整した。表1に Ar3点− Ar1点の実測値を
示す。
【0043】表1に示すように鋼種によって変態温度が
異なるので、熱間圧延終了温度と巻取り温度を表2に示
すように個々に選定して熱間圧延を行い、最終板厚を3
mmとした。これら熱延鋼板の中心部から、0.5mm 厚×25
mm幅×25mm長のX線回折用試料および板幅方向に長手軸
を有する 2mm厚×10mm幅×20mm長のヤング率測定用試料
を切り出した。
【0044】表3にX線回折による{110}、{22
0}、{211}、{222}、{322}、{62
2}面の反射強度(対ランダム比)、ヤング率および引
張強度の測定結果を示す。なお、{311}面の反射強
度は直接測定できないため、これに代わるものとして
{622}面の反射強度を測定した。この測定値は実質
的に{311}面の反射強度を意味する。
【0045】鋼種A〜Kの{622}面反射強度は5倍
以上と極めて高くなり、板幅方向のヤング率はいずれも
24000kgf/mm2 以上であった。しかしながら、鋼種L〜
Tでは{622}面反射強度が弱く、ヤング率も 18500
〜21000kgf/mm2 と低い。鋼種Q、R、S、Tはα域だ
けの状態で圧延したので、圧延集合組織の主成分である
{200}、即ち{100}<011>が極めて高く、
ヤング率は21000kgf/mm2以下となっている。
【0046】鋼種LとMは、α+γ二相域での累積圧下
率が低いために、ヤング率は鋼種A〜Kに比べて低く、
21000kgf/mm2 前後にとどまっている。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【実施例2】表1の鋼種Aの鋼片を表4に示すように、
加熱温度、熱間圧延終了温度、巻取り温度の異なる条件
で熱間圧延し、実施例1と同様に試料を切り出し、X線
回折による{110}、{220}、{211}、{2
22}、{322}、{622}面反射強度および板幅
方向のヤング率を比較した。その結果を表5に示す。
【0051】先に述べたように、鋼板の集合組織でヤン
グ率の向上に有効な方位成分{311}<011>の割
合を増加させる条件の一つは、α+γ域に於ける累積圧
下量を多くすることと、未再結晶のγ相の割合をできる
だけ多くするために、圧延はAr1 点以上で(Ar1点+70
℃)以下の温度で仕上げることが好ましい。A鋼につい
てこの条件を考察すると、熱延終了温度は793 ℃(Ar
1点) と、793 ℃+70℃の間とするのが望ましく、更
に、累積圧下量をなるべく大きくとるためには下限の 7
93℃に近い温度が望ましいことになる。この熱延終了温
度が 793℃よりも下がると、α領域での圧下率が増加し
てα+γ領域での圧下率は減少することになり、好まし
くないのである。
【0052】表4にみるようにA3鋼とA4鋼とでは Ar3
熱延終了温度が 200℃に近いので、α+γ域での圧下率
を77%および88%と、他のA1,A2,A5,A6 鋼の33〜46%に
比べてかなり大きくすることができ、第5表に示すよう
に、X線回析による{622}面反射強度はA3とA4がそ
れぞれ 8.0および 6.1倍と、他のそれが 1.8から 2.9倍
であるのに比較して高い。そして板幅方向のヤング率は
A3およびA4が24500kgf/mm2および25600kgf/mm2で、他の
15800〜19500kgf/mm2に比べて著しく高い値となってい
る。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
【実施例3】表1の鋼種Iの鋼片(50mm厚) を表6に示
すように、加熱温度、熱間圧延終了温度、巻取り温度の
異なる条件で3mm厚まで熱間圧延し、実施例1と同様に
試料を切り出して、X線回折による{622}面反射強
度および板幅方向のヤング率を測定した。その結果を表
6に併記する。
【0056】圧延前のスラブ加熱温度が高すぎる3-1
や、熱延仕上げ温度がAr1 点以下である3-5 では{62
2}面反射強度および板幅方向のヤング率がどちらも低
くなっている。
【0057】
【表6】
【0058】
【実施例4】表1の鋼種Cの鋼片(50mm厚) を表7に示
すように、加熱温度、熱間圧延終了温度、巻取り温度の
異なる条件で3mm厚まで熱間圧延し、実施例1と同様に
試料を切り出して、X線回折による{622}面反射強
度および板幅方向のヤング率を測定した。その結果を表
7に併記する。
【0059】巻取り温度が(Ar1−250 ℃) より低かった
4-5 では{622}面反射強度および板幅方向のヤング
率がどちらも低いものとなった。
【0060】この試料4-5 に、 680℃で10時間の焼鈍処
理を施したものを表7に4-6 として示す。板厚中心部か
ら同寸の試験片を切り出してX線回折による{622}
面反射強度および板幅方向のヤング率を測定したとこ
ろ、{622}面反射強度は12.7、ヤング率は24802kgf
/mm2であった。
【0061】
【表7】
【0062】
【発明の効果】本発明の熱延鋼板は、板幅方向のヤング
率が極めて高く、自動車の外板パネル等に用いるのに好
適である。そして、この熱延鋼板は、前述の本発明方法
によって、比較的容易にかつ安価に製造することができ
る。
【0063】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%以
    下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%を含有し、
    残部はFeおよび不可避的不純物からなり、板面と平行な
    {311}面反射強度がランダム比で5倍以上である板
    幅方向のヤング率の高い熱延鋼板。
  2. 【請求項2】重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%以
    下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%、Ni:2.5
    %以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からな
    り、板面と平行な{311}面反射強度がランダム比で
    5倍以上である板幅方向のヤング率の高い熱延鋼板。
  3. 【請求項3】重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%以
    下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%、ならびに
    Nb: 0.1%以下、V: 0.2%以下およびTi: 0.1%以下
    のうちの1種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不
    純物からなり、板面と平行な{311}面反射強度がラ
    ンダム比で5倍以上である板幅方向のヤング率の高い熱
    延鋼板。
  4. 【請求項4】重量%で、C: 0.8%以下、Si:3%以
    下、Mn: 0.1〜3.0 %、sol.Al:0.01〜3%、Ni:2.5
    %以下ならびにNb: 0.1%以下、V: 0.2%以下および
    Ti: 0.1%以下のうちの1種以上を含有し、残部はFeお
    よび不可避的不純物からなり、板面と平行な{311}
    面反射強度がランダム比で5倍以上である板幅方向のヤ
    ング率の高い熱延鋼板。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4のいずれかに記載の組成
    からなる鋼素材を 920〜1250℃の範囲で加熱した後、α
    +γ二相域での総圧下量が50%以上、熱延仕上げ温度が
    Ar1〜(Ar1+70℃) となるように熱間圧延し、 Ar1〜(A
    r1−250 ℃) で巻き取ることを特徴とする請求項1ない
    し4のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし4のいずれかに記載の組成
    からなる鋼素材を 920〜1250℃の範囲で加熱した後、α
    +γ二相域での総圧下量が50%以上、熱延仕上げ温度が
    Ar1〜(Ar1+70℃) となるように熱間圧延し、 Ar1以下
    で巻き取った後 Ar1〜(Ar1−250 ℃) で焼鈍することを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の熱延鋼
    板の製造方法。
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