JPH05281276A - 液中静電力検出装置 - Google Patents

液中静電力検出装置

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JPH05281276A
JPH05281276A JP4201138A JP20113892A JPH05281276A JP H05281276 A JPH05281276 A JP H05281276A JP 4201138 A JP4201138 A JP 4201138A JP 20113892 A JP20113892 A JP 20113892A JP H05281276 A JPH05281276 A JP H05281276A
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JP
Japan
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cantilever
tip
sample
voltage
conductive material
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Application number
JP4201138A
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English (en)
Inventor
Nobuhiro Motoma
信弘 源間
Takashi Ishino
隆 石野
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • G—PHYSICS
    • G01—MEASURING; TESTING
    • G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00—Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/02—Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance
    • G01N27/22—Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating impedance by investigating capacitance
    • G01N27/24—Investigating the presence of flaws
    • Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10S—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S977/00—Nanotechnology
    • Y10S977/84—Manufacture, treatment, or detection of nanostructure
    • Y10S977/849—Manufacture, treatment, or detection of nanostructure with scanning probe
    • Y10S977/852—Manufacture, treatment, or detection of nanostructure with scanning probe for detection of specific nanostructure sample or nanostructure-related property

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Abstract

(57)【要約】 【目的】液中において、官能基の荷電、分極状態、およ
びこれらに起因する電位分布などを評価することがで
き、それによって官能基を識別し、官能基の3次元的な
分布を同定できる装置を提供する。 【構成】試料3とカンチレバー8とを液6中に設置し、
試料3とカンチレバー8との間に働く力を検出する装置
において、先端部の表面が導電性材料からなるカンチレ
バー8と、カンチレバー8先端部の導電性材料に電圧を
印加する手段と、カンチレバー8先端部の導電性材料に
印加される電圧を制御する手段とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水中での原子間力、特に
静電的相互作用に起因する原子間力を検出する装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、走査トンネル顕微鏡(STM)の
開発以降、様々な試料表面のミクロな表面構造を観察す
る手段が大きく進歩しつつある。STMは、金属製ティ
ップと試料表面との間に流れるトンネル電流をモニター
することにより、表面の原子1個1個の像を得る装置で
あり、基本的には導電性の高い金属や半導体の観察に用
いられる。また、導電性の低い試料に対しては、ティッ
プと試料表面との間に働く原子間力を検出する原子間力
顕微鏡(AFM)により原子レベルでの表面構造が観察
されている。実際に、AFMにより、NaClなどのイ
オン結晶、またはマイカ、グラファイトなどの層状物質
の表面の原子1個1個の像が得られている。
【0003】さらに、STMやAFMの観察対象は、半
導体、金属などの無機材料だけでなく、ベンゼンやフタ
ロシアニンなどの有機分子およびタンパク質やDNAな
どの生体分子にまで広がりつつあり、表面観察の試みが
報告され始めている。有機分子、特に生体分子について
は適切な構造評価手段がないため、分子の3次元的な構
造がわかっていないものが多い。したがって、STMや
AFMにより表面構造が検出できたとしたら、3次元的
な構造の解析に大きく寄与する。しかし、現状ではST
MやAFMによる有機分子、生体分子の観察には多くの
問題がある。
【0004】まず、STMやAFMで得られる有機分子
の像は、原子1個1個の構造まで識別できる半導体や金
属の像と比較すると、きわめてあいまいである。特に、
生体分子の場合には、数nmオーダーの構造の全体像が
ぼんやりと見えるだけで、原子1個1個のレベルの構造
は判別できない。また、分子表面をぬらしたときには像
が得られるが乾燥すると像が得られないなど、確実な観
察条件は確立されておらず、しかも像の再現性にも乏し
い。
【0005】このような問題が生じるのは以下のような
理由によると考えられる。STMは原理的に導電性の高
い試料以外に適用することが困難である。有機分子や生
体分子は導電性が低いため、本来的にトンネル電流が流
れず、分子の像は得られないはずである。現在までにS
TMにより得られているぼんやりとした分子構造は、テ
ィップ−分子間のトンネル電流ではなく、何らかの他の
要因によって流れる電流に起因していると考えるのが妥
当である。現時点では、この電流がどのような機構によ
って発生するのか不明であるが、分子表面に存在すると
考えられる薄い水の層などが関与している可能性が高
い。このような機構で流れる電流をモニターしたとして
も、分子構造を原子レベルで検出することは不可能であ
る。
【0006】また現在のところ、AFMはカンチレバー
先端のティップと試料との間に10-7〜10-8Nという
大きな斥力が働く条件で操作されている。しかし、有機
分子や生体分子は無機材料よりも構造的に弱いため、前
述した条件で操作すると、分子の構造変形および構造破
壊が生じる可能性が高い。したがって、たとえ像が得ら
れたとしても、分子本来の構造であるのか、斥力により
変形された構造であるのかを判別することができない。
【0007】以上のようにSTMやAFMにより有機分
子や生体分子の構造を観察することが試みられている
が、これらは原理的に分子構造を原子レベルで評価する
には適していない。このため、分子の物性に適応した原
理に基づいて、分子の構造を原子レベルで評価できる手
段が要望されている。
【0008】有機分子や生体分子の構造や物性に関して
極めて特徴的なことは、分子内に官能基と呼ばれる原子
団が存在し、この官能基の結合位置に応じてその分子の
物性や機能が大きく支配されるということである。官能
基として代表的なものとしては、−COOH、−N
H2 、−OH、−CONH2 、−SHなどが挙げられ
る。官能基は分子の機能を発現する最小の単位であり、
その官能基の機能を決定しているのは、電気的性質、よ
り詳しくいえば荷電状態または分極状態である。例え
ば、−COOHは酸性の官能基であり、水中で−COO
- というマイナスの荷電状態になりやすい。一方、−N
H2 は塩基性の官能基であり、水中で−NH3 +とい
うプラスの荷電状態になりやすい。また、−OH、−C
ONH2 、−SHは−COOHや−NH2 よりもイオン
状態になりにくいが、官能基自体が大きな双極子を有し
ている。
【0009】このように官能基はイオン状態になったり
大きな双極子を有しているため、周囲に強い静電相互作
用をもたらす。その顕著な例のひとつがタンパク質であ
る。タンパク質は20種類のアミノ酸から構成され、ア
ミノ酸が結合して一次元的な鎖状構造を構成し、さらに
その鎖が複雑な立体構造を形成している。タンパク質が
機能を発現する水中では、タンパク質表面にイオン状態
または大きな双極子を有するアミノ酸の官能基が露出し
ている。この官能基に起因する電荷分布がタンパク質の
立体構造や、酵素反応に代表されるタンパク質固有の分
子機能と大きな関連を持っていると考えられる。しか
し、タンパク質表面の電荷分布やそれに起因する周囲の
電場分布は重要であるにもかかわらず、現状では測定手
段が全くない。
【0010】液中において官能基に起因する分子内電荷
分布や周囲の電場分布を原子レベルで測定する手段の候
補として、STM、AFMの関連技術が注目されてい
る。例えば、電気化学的AFM(S.Manne et
al.,Science,251,183−186
(1991))、EFM(Electrostatic
Force Microscope)(B.D.Ter
ris et al.,Phys.Rev.Let
t.,63,2669−2672(1989);B.
D.Terris et al.,J.Vac.Sc
i.Tech.,A8(1),374−377(199
0))、さらにIFM(InterfacialFor
ce Microscope)(S.A.Joyce
and J.E.Houston,Rev.Sci.I
nstrum.,62,710(1991))が提案さ
れている。しかし、以下に述べるように、これらの関連
技術では前述した目的を達成できない。
【0011】電気化学的AFMは、水中で電気化学的に
制御された電極系を構成して金属試料表面のミクロな構
造を観察することを目的とする装置である。この電気化
学的AFMでは、試料セル内の水中に、作用電極として
の金属試料、対極としてのカンチレバーを保持するステ
ンレス製クリップ、および参照電極としての銅ワイヤか
らなる3電極系を構成し、これらの3電極系により金属
試料表面の電位制御がなされる。ただし、この電気化学
的AFMは、通常のAFMと同様に、カンチレバーと金
属試料表面との斥力を検出するものであり、試料表面の
電荷分布、電位分布を測定することはできない。また、
参照電極として銅ワイヤを用いているために、参照電極
−作用電極間および参照電極−対極間に電流が流れ、精
密な電位制御が困難であり、種々の電極反応が生じるな
どの問題がある。
【0012】EFMは金属製カンチレバーと金属製試料
表面との間に働く静電力を測定するものである。しか
し、EFMは大気中または真空中での測定を目的とした
ものであり、カンチレバーや試料を水中に保持するため
のセルは設けられていない。また、EFMでは、カンチ
レバーをその共鳴振動数近傍で振動させ、その振動の振
幅、位相、周波数変化から力を検出している。カンチレ
バーを振動させる方式を採用しているのは、EFMが試
料から10〜100nmと離れた領域で働く力を検出す
ることを目的としているためである。しかし、水中では
水の比誘電率が80と高いため、試料から10nm以上
も離れた領域では静電力は極めて小さい値になってしま
う。このため、水中では試料から数nm程度しか離れて
いない領域で力を検出しなければならない。この場合、
カンチレバー振動方式は試料との衝突のおそれがあるた
めに用いることはできない。
【0013】IFMは、ティップと試料間の距離が数n
m以下の近距離における微小な力、特に微小な引力の変
化を測定することを目的とした装置である。通常のAF
M(電気化学的AFM、EFMも含む)では、ティップ
と試料間に引力が働く場合、引力が増加して引力の勾配
がカンチレバーのバネ定数を上回るような条件では、カ
ンチレバーが試料側に引き込まれ、“jump−in”
とよばれる現象が生じ、カンチレバーと試料とが接触す
る。この結果、測定できる引力の範囲が限定される。I
FMでは、カンチレバーの裏面を片方の電極とするキャ
パシタンスを設け、キャパシタンスの電極間の引力を電
圧で制御し、ティップ−試料表面間の引力を相殺するよ
うに動作させ、jump inを生ずることなく近距離
での引力検出を可能にしている。これまでのIFMの研
究例では、ティップ−試料表面間の静電力を測定した例
はないが、EFMと同様に金属製チップを用いれば、大
気中、真空中での静電力を測定することは可能である。
しかし、IFMを水溶液中で用いた場合には、数10μ
m隔てられたキャパシタンスの2電極間の引力は水によ
り遮蔽されて小さな値になる。このため、キャパシタン
スの引力により、ティップ−試料表面間の引力を相殺す
ることができない。その他にも、キャパシタンスの2電
極間に電流が流れ、電極表面で種々の電極反応が生じ、
動作が不安定になる。このように、IFMによって液中
で官能基に起因する分子内電荷分布などを評価するには
原理的に問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、現在の
ところ有機分子や生体分子の原子レベルでの構造を評価
する適切な手段はない。特に、分子の機能が発揮される
液中において、分子内の官能基の分布、および官能基に
起因した電荷分布、電位分布は分子の物性や機能に関し
て重要な役割を果たしているにもかかわらず、これを測
定する手段は全くない。STM、AFMおよびその関連
技術は、官能基分布、電荷分布、電位分布を評価する手
段として期待されているものの、種々の問題を抱えてお
り、この目的を満足しない。
【0015】本発明の目的は、液中において、官能基の
荷電、分極状態、およびこれらに起因する電位分布など
を評価することができ、それによって官能基を識別し、
官能基の3次元的な分布を同定できる装置を提供するこ
とにある。特に、液中に存在する各種イオンからの相互
作用の影響を受けることなく、対象とする分子の官能基
による静電的相互作用のみを検出できる装置を提供する
ことを目的とする。さらに、ティップと試料との距離が
極めて短い場合でも、微小な引力を検出できる装置を提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の液中静電
力検出装置は、試料とカンチレバーとを液中に設置し、
試料とカンチレバー先端のティップとの間に働く力を検
出する装置において、先端部の表面が導電性材料からな
るカンチレバーと、カンチレバー先端部の導電性材料に
電圧を印加する手段と、カンチレバー先端部の導電性材
料に印加される電圧を制御する手段とを具備したことを
特徴とするものである。ここで、カンチレバーについて
は、先端部のティップ側及び背面側が導電性材料で形成
され、カンチレバー面に対して、ティップ側の導電性材
料の射影面積と背面側の導電性材料の射影面積とが等し
く、かつ互いに導通されていることが望ましい。
【0017】本発明における別の構成を有する液中静電
力検出装置は、先端部のティップ側および背面側に互い
に絶縁された導電性材料が形成されたカンチレバーと、
カンチレバー先端部の両面の導電性材料に別々に電圧を
印加する手段と、カンチレバー先端部の両面の導電性材
料に印加される電圧を別々に制御する手段とを具備した
ことを特徴とするものである。
【0018】本発明における別の構成を有する液中静電
力検出装置は、先端部の表面が極性官能基により被覆さ
れたカンチレバーを具備したことを特徴とするものであ
る。ここで、極性官能基としては、−COOM2 (M:
アルカリ金属)、−SO3 H、−SH、−NH2 、−C
ONH2 、−OH、−COOH、−COOM(M:二価
金属)、−CO、−COH、−NO2 、−PO3 H、−
CNなどである。被覆密度は1014cm-2以上であるこ
とが望ましい。また、カンチレバーの背面側に導電性材
料が形成され、かつ背面側の導電性材料に電圧を印加す
る手段と、印加される電圧を制御する手段とを具備して
いることが望ましい。以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0019】本発明の第1の目的は、水中において試料
表面に存在する官能基を識別・同定する装置を提供する
ことにある。官能基は種類により電気的性質、より詳し
くいえば荷電状態又は分極状態が大きく異なる。例えば
−COOHは水中で−COO- というマイナスの荷電状
態になり、逆に−NH2 は−NH3 + というプラスの荷
電状態になる。イオン化した官能基の周辺には、水中に
存在する逆の極性のイオンが集まり、電気2重層を形成
する。
【0020】本発明では、カンチレバー先端部、より詳
しくいえば先端にあるティップ表面を導電性材料で形成
し、かつ導電性材料の電圧を外部からコントロールする
ことにより、ティップ−官能基間の静電力を検出し、こ
の静電力のふるまいから官能基を識別する。導電性材料
のティップ部に電圧を印加すると、ティップ表面に電荷
が集まり、その結果官能基の場合と同様にティップ周辺
にも水中イオンからなる電気2重層が形成される。導電
性ティップにプラスの電圧を印加すれば、水中のマイナ
スイオンが導電性ティップの表面近傍に集まり電気2重
層を形成する。逆にマイナスの電圧を印加すれば、水中
のプラスイオンが電気2重層を形成する。このような導
電性材料からなるティップと官能基との間には静電相互
作用に基づく力が働く。
【0021】例えば、−NH3 +というプラスの電荷を
持つ官能基と、プラスの電圧を印加したティップとを考
える。いずれの周辺にも、マイナスイオンが多く分布し
た電気2重層が存在する。電気2重層の厚みは水中イオ
ンの濃度に依存し、イオン濃度が10-5mol/lで1
00nm、10-3mol/lで10nm、10-1mol
/lで1nm程度である。ティップと官能基との距離を
近づけていくと、互いの電気2重層が重なるような距離
から静電力が働く。−NH3 + とプラス電圧を印加した
ティップとの間では斥力が働く。両者の距離を近づけて
いくと斥力が増加する。さらに両者の距離が電気2重層
の厚みの1/10程度になると、ティップ表面の電荷と
官能基との間の直接的な静電力が支配的になる。−NH
3 + とプラス電圧を印加したティップとの間では、この
直接的な静電力も斥力であり、その大きさは10-9N程
度である。また、−NH3 + とマイナス電圧を印加した
ティップとの間の静電力に関しては、互いの電気2重層
が重なるような距離から引力が働き、近距離でのティッ
プ−官能基間の直接的な静電力による引力の大きさも1
0-9N程度である。
【0022】一方、−COO- というマイナスの電荷を
持つ官能基では、カンチレバー先端のティップに印加す
る電圧をプラスにすると引力が、逆にマイナスにすると
斥力が働く。
【0023】また、−CONH2 、−OH、−SHなど
の官能基がイオン状態になっていない場合には、電気2
重層の重なりに起因した静電力は働かないが、近距離で
の直接的な静電力は官能基の有する大きな双極子状態に
依存した特性をもつ。このときの静電力に関しては、官
能基のうちティップ先端に最も近い原子の原子電荷によ
り、電圧の極性と引力または斥力のいずれが働くかが決
まる。例えば、−CONH2 ではH原子またはO原子
が、おのおのプラスまたはマイナスの原子電荷を有して
いる。したがって、ティップ先端とH原子とが最も接近
している場合には、カンチレバー電圧が正の場合斥力、
負の場合引力が働く。逆に、ティップ先端とO原子とが
最も接近している場合には、カンチレバー電圧が正の場
合引力、負の場合斥力が働く。力の大きさは原子電荷の
大きさにより決まるので、同じような双極子型の官能基
でも、働く力の大きさが異なる。
【0024】また、官能基がイオン状態となるか、中性
の双極子状態となるかは、水溶液のpHに強く依存す
る。したがって、pHを変えることによっても、官能基
周辺での静電力の大きさ、電圧依存性、距離依存性が変
化する。
【0025】以上のように各官能基に応じて、静電力の
特徴が大きく異なることから、静電力を測定することに
より、ティップ先端が最も接近しているのが、どのよう
な官能基であるか同定できる。したがって、タンパク質
のように3次元的な官能基分布が未知の分子の場合に
も、カンチレバーを分子周辺で走査させることにより、
分子表面に位置する官能基の分布を評価できる。
【0026】本発明において、カンチレバー先端部を導
電性材料で形成する方法としては、カンチレバー自体を
導電性材料で構成する方法と、母材がSiO2 やSiN
などの絶縁体で構成されているカンチレバー表面に導電
性材料の膜を被覆させる方法が挙げられる。導電性材料
としては、表面が酸化されにくいものが好ましく、例え
ばAu、Pt、Rh、Pdなどの貴金属が挙げられる。
また、導電性材料をカンチレバーの表面に均一に成膜す
る場合、液中での電圧印加時に安定した動作を行わせる
ためには、導電性材料の膜厚は10nm以上であること
が好ましい。
【0027】本発明において、カンチレバー先端部の表
面に形成された導電性材料に電圧を印加する手段は、原
理的には直流電源でも交流電源でも、静電力の測定には
問題がない。ただし、官能基を効率よく同定するために
は、交流電圧を印加し、しかも交流電圧とカンチレバー
変位とを同期して検出する手段を設けることが好まし
い。例えばロックイン増幅器などを用いた位相敏感検波
方式が好ましい。このような手段を設ければ、S/N比
が向上するのでかなり小さい静電力の測定が可能になる
とともに、電圧に対する静電力の変化分から官能基の電
荷量を判断できるので官能基を速やかに同定できる。
【0028】本発明において、カンチレバー先端部の導
電性材料に印加される電圧を制御する手段としては、水
素電極、カロメル電極、銀−塩化銀電極、水銀−酸化水
銀電極、水銀−硫酸水銀電極などの参照電極を用いるこ
とが好ましい。これらの参照電極を用いることにより、
水中を流れる電流量を極めて小さくできる。この結果、
カンチレバー電位を安定させるとともに、カンチレバー
先端表面での電極反応などを防ぐことができるので、静
電力を安定に測定できる。
【0029】電極系は、カンチレバーと参照電極とから
なる2電極系でもよいが、さらに対極を設けることによ
りカンチレバー、参照電極、対極からなる3電極系を構
成してもよい。3電極系のほうが、ポテンシオスタット
を用いた精密な電位制御を行えること、および電流−電
圧曲線いわゆるサイクリックボルタモグラムを測定して
カンチレバー表面の評価を行えることから、本発明の目
的により適しているといえる。
【0030】本発明において、官能基−ティップ間の静
電力を検出する第2の方法として、カンチレバー先端
部、より詳しくいえば先端部にあるティップ表面を官能
基で被覆してもよい。例えば表面が−NH2 で被覆され
たティップを考える。試料表面に−NH2 が存在すると
きには、ティップも試料もともに表面はイオン化状態−
NH3 + になっており、互いの電気2重層が重なるよう
な距離から静電的な斥力が働く。試料表面に−COOH
が存在するときには、−COO- とNH3 + との間の静
電相互作用により、互いの電気2重層が重なるような距
離から引力が働く。試料表面に存在する官能基がイオン
化していない場合にも、導電性材料からなるティップと
同様に、官能基の中でティップ先端に最も近い原子の原
子電荷により、静電力が引力となるか斥力となるか、お
よびその大きさが決まる。
【0031】このように、カンチレバー先端にあるティ
ップの表面を官能基で被覆した場合にも、ティップ−試
料表面間の静電相互作用が試料表面の官能基に強く依存
することから、静電力を測定することにより試料表面に
ある官能基を同定できる。カンチレバー先端のティップ
部に極性官能基を被覆させる方法として、以下の3通り
の方法がある。
【0032】第1の方法はLB法を用いる方法である。
市販のSiNからなるカンチレバーを用意し、その表面
に、末端がメチル基からなるシランカップリング剤例え
ばヘキサメチルジシラザンを気相吸着させて疎水化す
る。さらにその上に、一方の末端に疎水基、他の末端に
極性官能基を有する構造のLB分子を用い、疎水基が疎
水化処理されたカンチレバー表面に接するように単分子
膜を成膜する。
【0033】LB分子の代表例としては、CH3 (CH
2 )n Xという構造のものが挙げられる。ここで、nは
16〜22、Xは−COOM2 (M:アルカリ金属)、
−SO3 H、−SH、−NH2 、−CONH2 、−O
H、−COOH、−COOM(M:二価金属)、−C
O、−COH、−NO2 、−PO3 H、−CNなどが挙
げられる。
【0034】第2の方法は、金とチオール基(−SH)
との結合を利用する被覆方法である。まず、SiN製の
カンチレバーに蒸着またはスパッタ法によりAuを被覆
する。次に、Auを被覆したカンチレバーを、一方の末
端にチオール基、他方の末端に極性官能基を有する分子
の溶液に浸漬させる。これを室温で約1日放置すること
により、金とチオール基との結合が形成され、カンチレ
バー表面が極性官能基で被覆される。この方法では、H
S(CH2 )n Xという構造の分子が用いられる。ここ
で、nは10〜20、Xは−CH2 OH、−CN、−C
OOHが代表的であるが、その他に−NH2 、−CON
H2 、−OH、−SO3 H、−PO3 Hなどを用いても
よい。
【0035】第3の方法は、Si、SiNまたはSiO
2 からなるカンチレバーの表面を酸処理して−OH基を
露出させた状態にし、シラン化合物を吸着させる方法で
ある。シラン化合物としては、YRSiX3 で表される
ものが用いられる。ここで、Xはケイ素原子に結合した
加水分解性の基であり、−OR、−Cl、−NR2 など
が挙げられる。Yは極性官能基であり、−NH2 、−N
HCH2 CH2 NH2、−SH、−Clなどである。吸
着処理は、気相中、またはシラン化合物の溶液中で行わ
れる。いずれも場合にも、Yで示される極性官能基がカ
ンチレバー表面に現れる。
【0036】以上において、本発明における官能基−テ
ィップ間の静電力を検出する方法として、カンチレバー
先端部にあるティップを導電性材料で形成し、これに電
圧を印加し、その電圧を制御する方法と、カンチレバー
先端部にあるティップを極性官能基で被覆する方法とい
う2つの方法を説明した。これら2つの方法のうち、特
に前者の場合には、注意すべき問題がある。すなわち、
導電性材料からなるカンチレバーに電圧を印加した場
合、水中に存在するイオンとカンチレバーとの間の静電
相互作用によりカンチレバーが変位し、ティップ−試料
表面間の力の検出が妨害されるという問題である。した
がって、カンチレバーが、水中イオンとの静電相互作用
によって変位しないように、工夫する必要がある。これ
が本発明の第2の目的である。
【0037】いま、母材が絶縁性材料からなり、母材の
ティップ側にのみ導電性材料が形成されている構造のカ
ンチレバーについて、水中イオンとの間の静電相互作用
について考察する。
【0038】液中でカンチレバー表面の導電性材料に電
圧を印加すると、図16(a)に示すように、カンチレ
バーの表面付近で液中のイオンが偏って分布し、イオン
との静電相互作用によりカンチレバーに大きな力が加わ
る。このときカンチレバーに働く力の大きさは、簡単な
モデルにより評価することができる。Gouy−Cha
pmannによる拡散二重層のモデル(L.Gouy:
J.Phys.,(4),9,457(1910);
L.Gouy:Ann.Phys.,(9),7,12
9(1917);D.L.Chapmann:Phi
l.Mag.,(6),25,475(1913))に
よれば、電位は図16(b)に示すように変化する。こ
のとき、カンチレバー表面から垂直方向にxだけ離れた
点における電位φ(x)は、次のように表される。
【0039】
【数1】 ただし、Ψおよびκは次のように表される。
【0040】
【数2】 なお、1/κは電気2重層の厚さを表す。この場合、カ
ンチレバーの表面に垂直な方向の電場の強さEn は次の
ように表される。
【0041】
【数3】
【0042】一定の電場のもとで、導体が受ける力の大
きさは、単位面積あたりfn =εWEn 2 /2と表され
る。いま、溶液の温度は室温に等しいものとし、10-5
(mol/l)のKCl溶液の場合を考える。Z=1、
εW =6.955×10-10 (F/m)などを代入する
と、1/κは10-7(m)となる。φ0 =0.1(V)
とすると、En =1.76×106 (V/m)である。
カンチレバー表面の面積S=3.33×10-9(m2 )
の場合、カンチレバーの面に垂直な方向に加わる力の大
きさFn は次のように表される。Fn =fn S=εW E
n 2 S/2=3.65×10-6(N)=3.65(μ
N)。この力の大きさは、溶液のモル濃度に比例し、1
0-3(mol/l)ではFn =3.65×102 (μ
N)、10-1(mol/l)ではFn =3.65×10
4 (μN)となる。
【0043】したがって、絶縁性カンチレバー母材のテ
ィップ側のみが導電性材料で被覆されたカンチレバーに
ついては、ティップ側にのみイオンとの静電相互作用に
より数μN以上の大きな力が加わり、カンチレバーが数
μm以上変位する。このため、試料表面の電荷分布を検
出することは極めて困難である。
【0044】本発明では、カンチレバーと水中イオンと
の間の静電相互作用によるカンチレバー変位を抑えるた
めに、母材の両面に導電性材料が形成され、両面の導電
性材料が導通しているカンチレバーを用いる。この場
合、液中での両面の電位は等しくなり、表面付近での液
中のイオンの種類、濃度および分布を、カンチレバーの
両面において等しくすることができる。
【0045】なお、カンチレバーの片側の面にはティッ
プが設けられているため、両面で形状が異なるが、以下
に説明するようにカンチレバーの両面に働く力は等しく
なる。ここでは、カンチレバーの面に垂直な方向に働く
力のみを扱う。図17に示すように、カンチレバーの面
と角度θをなす面の微小面積dSと、これをカンチレバ
ーの面に投影してできる微小面積dS´の2つの微小面
積を考える。表面の電荷密度が一定の場合は、表面に垂
直な方向の電場の強さは一定であるため、表面に垂直な
方向に働く単位面積あたりの力fnも一定となる。この
とき、微小面積dSに垂直な方向に働く力は、fndS
×cosθである。一方、微小面積dS´に垂直な方向
に働く力はfndS´である。ここで、dS´=dS×
cosθであるから2つの力は等しいことがわかる。す
なわち、カンチレバー表面にティップやその他の微小な
凹凸がある場合でも、両面の導電性材料のカンチレバー
面に対する射影面積が等しければ、カンチレバーの両面
に働く力は等しくなる。このように、ティップ側の面お
よびその背面のいずれも導電性材料から構成され、両面
が電気的に導通された構造を有するカンチレバーを用い
れば、液中に存在する各種イオンからの相互作用により
カンチレバーの両面に働く力は相殺される。したがっ
て、このような構造のカンチレバーを用いれば、液中イ
オンからの静電相互作用をほとんど受けず、試料表面に
存在する官能基由来の静電相互作用のみを検出できる。
【0046】なお、絶縁性カンチレバーの母材の両面が
同一の導電性材料で被覆されていても、それぞれ異なっ
た導電性材料で被覆されていても、両者の間の導通が取
れていれば、両面の表面電位は等しくなり、水中イオン
からの相互作用は両面で相殺される。
【0047】このようなカンチレバーの構成をより具体
的に説明する。例えば、絶縁性のカンチレバーのそれぞ
れの面に真空蒸着法によりCrおよびAuを順次被覆し
た構造のものが挙げられる。この際、両面の間の電気的
導通を取りやすくするために、カンチレバーのそれぞれ
の面を蒸着源方向に対して10〜30度傾けて、側面に
導電性材料を被覆することが好ましい。カンチレバーの
側面に被覆される膜の対称性を保つために、カンチレバ
ーを回転させることが好ましい。また、熱によるカンチ
レバーの変形を避けるために、真空蒸着法ではなく真空
中でのスパッタ法を用い、カンチレバーの両面にAu、
Pt、Rh、Pt−Pd、Au−Pdなどの導電性材料
を被覆してもよい。さらに、カンチレバーを支える基部
の側面に、銀ペーストなどの導電性材料を塗布し、両面
の間の電気的導通を確実にしてもよい。同様に、カンチ
レバーの両面の間を金属製のワイヤなどで接続してもよ
い。
【0048】本発明の第3の目的は、ティップと試料表
面との間に引力が働く場合に起こるjump−in現象
を抑制し、ティップ−試料間距離が極めて小さい場合に
も引力の詳細な特性を検出できる装置を提供することで
ある。液中でティップの先端を試料表面に接近させてい
くと、あるところで両者の間の引力の勾配がカンチレバ
ーのばね定数を上回り、カンチレバーが試料側に引き込
まれる。これがjump−inである。例えば、ばね定
数k=0.58N/m、ティップ先端の曲率半径約10
0nmの市販のカンチレバーを用いた測定では、ティッ
プ先端と試料表面との間の距離が数nm〜数十nmの位
置でjump−inの現象が生じるため、これ以上近距
離での引力の詳細な特性を検出できない。もちろん、ど
の程度の距離でjump−inが起きるか、jump−
inの際にどれだけカンチレバーが変位するか、あるい
は導電性カンチレバーの場合どの程度の印加電圧の範囲
でjump−inが起きるかなどを調べれば、官能基の
電荷状態についての情報が得られ、官能基を識別するこ
とはできる。しかし、より詳細な特性を解析するために
は、jump−inを抑制することが望ましい。
【0049】この目的のために、本発明では、母材が絶
縁性材料からなり、母材の両面に導電性材料が形成され
ているが、両面の導電性材料が互いに絶縁されているカ
ンチレバーを用い、しかも両面の導電性材料に独立に電
圧を印加し、その電圧を制御する。以下、この構造のカ
ンチレバーの水中での動作について説明する。
【0050】この構造で、一方の面の導電性材料にのみ
リードを接続すると、このリードを接続した面と反対側
の面とでは液中の電位が異なり、表面付近での液中のイ
オンの種類、濃度および分布が異なる。すなわち、リー
ドを接続している面の側では、印加電圧に応じて、表面
に誘起される電荷量の増減が生じ、表面付近での液中の
イオンの種類、濃度および分布が変化する。これに対し
て、反対側の面では、液中での電位は一定のままであ
り、水分子と導電性材料との間の化学ポテンシャルの差
によってわずかに電荷が移動し、自然電位が形成されて
いる。したがって、カンチレバーの両面の電位を等しく
することはできず、カンチレバーへの電圧印加時には、
リードを接続している側の面の表面付近でのみ液中のイ
オンの分布に大きな偏りが生じる。したがって、前記の
例と同じくカンチレバーに数μN以上の大きな力が加わ
る。
【0051】一方、この構造で、両面に各々リードを接
続し、両面の電位を独立に制御する場合を考える。ティ
ップの先端と試料表面が十分離れており、両者の間の相
互作用がない場合には、カンチレバーの両面に等しい電
圧を印加すれば、電圧の大きさにかかわらず液中に存在
する各種イオンからの相互作用によりカンチレバーの両
面に働く力が相殺される。
【0052】この状態でさらにティップの先端を試料に
接近させていくと、カンチレバーへの印加電圧によって
ティップの先端付近に誘起される電荷に対応して、試料
表面に存在する電荷との間で静電相互作用が生じる。テ
ィップと試料表面との間で静電相互作用による引力が働
く場合には、カンチレバーの背面側にのみさらに電圧を
印加すれば、カンチレバーの背面側において液中イオン
との静電相互作用により働く引力の大きさを制御でき
る。したがって、カンチレバーの背面側に働く引力と、
ティップと試料表面との間に働く微小な引力とをバラン
スさせて、カンチレバーの変位を一定に保つことができ
るため、jump−inの現象を生ずることはない。ま
た、カンチレバーの変位を一定に保つのに要するカンチ
レバーの両面に印加される電圧の差から換算することに
より、ティップ−試料表面間に働く微小な引力を検出す
ることができる。逆に、ティップと試料表面との間で静
電相互作用による斥力が働く場合には、カンチレバーの
ティップ側にのみさらに電圧を印加すれば、引力の場合
と同様にして斥力の大きさを評価することができる。
【0053】母材が絶縁性材料からなり、ティップ表面
に官能基が被覆されているカンチレバーに関しては、j
ump−inを防ぐために、さらに背面側を導電性材料
で被覆し、かつ背面側の導電性材料に電圧を印加し、そ
の電圧を制御する手段を設ける。この場合にも、カンチ
レバーに印加される電圧の大きさを変化させることによ
り、カンチレバーの背面側に働く引力の大きさを自由に
制御できる。したがって、カンチレバーの背面側に働く
引力の大きさを制御して、ティップと試料表面との間に
働く微小な引力とバランスさせ、カンチレバーの変位を
一定に保つことができるため、カンチレバーの変位を一
定に保つのに要するカンチレバーに印加される電圧から
換算することにより、ティップ−試料表面間に働く微小
な引力を検出することができる。このようにして、ティ
ップ−試料表面間の距離が近距離の場合においても、j
ump−inの現象を生ずることなく、ティップと試料
表面との間に働く微小な引力の大きさを評価することが
できる。
【0054】本発明において、カンチレバー先端部表面
を導電性材料で形成した場合には、前述したように導電
性材料に交流電圧を印加することが望ましい。この場
合、用いる溶液の種類、濃度、および電圧の大きさに応
じて、交流電圧の周波数に上限を設けることが好まし
い。以下、交流電圧の周波数についてさらに詳細に検討
する。
【0055】カンチレバーに電圧が印加されていない場
合は、カンチレバーの表面付近では溶液中のイオンはほ
ぼ均一に分布している。この状態において、一定の大き
さの電圧を印加すると、カンチレバー表面と溶液との電
位差に応じて溶液中の種々のイオンが移動し、時間が十
分に経過した後、溶液中でのイオンの分布は平衡状態に
達し、前述したようにカンチレバーの表面付近に電気2
重層が形成される。
【0056】溶液中である時点(t=0)から導体に一
定の電圧を印加し続けたとき、その表面付近における電
荷密度の分布は次のように表される(A.J.Bard
and L.R.Faulkner:“Electr
ochemical Method”p.144)。
【0057】
【数4】
【0058】ただし、φ0 <0とし、電圧を印加する以
前は、導体の表面付近には、負の電荷を有するイオンの
みが一様に分布しているものとする。また、ここでは簡
単のため、溶液中に電解質の正負のイオンがそれぞれ一
種類ずつ存在し、それぞれのイオンの濃度、価数および
拡散係数は等しいものとしている。
【0059】一方、平衡状態における導体表面でのイオ
ンの分布は次のように表される(L.Gouy:J.P
hys.,(4),9,457(1910);L.Go
uy:Ann.Phys.,(9),7,129(19
17);D.L.Chapmann:Phil.Ma
g.,(6),25,475(1913))。
【0060】
【数5】
【0061】ρ(d,τ)=ρeq(d)とすれば、導体
の表面からx=dだけ離れた点において、電気2重層が
形成されるのに要する時間τを評価することができる。
定性的には、nおよびDが大きくなるとτは減少し、
Z、φ0 およびdが大きくなるとτは増大する。カンチ
レバー表面のイオンが十分に応答するには、カンチレバ
ーに印加される交流電圧の周波数fが、f≦1/τとい
う条件が必要となる。ここで、x=d<<2D1/2 τ
1/2 である場合には、erf(x)〜(2/π1/2 )x
であるから、下記の関係が導かれる。
【0062】
【数6】
【0063】具体的にτの値を求めた結果を次に示す。
D=2.0×10-9(m2 /s)、n=10-5(mol
/l)、Z=1、φ0 =10mV、d=10nmのと
き、e=1.6×10-9、ε=6.9×10-10 (F/
m)、k=1.4×10-23 (J/k)、T=300
(K)などの値を代入してτを求めると、τ=4.9×
10-7(s)となる。この例ではf≦2.0×10
6 (Hz)となる。
【0064】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0065】図1は本発明の一実施例における液中静電
力測定装置の構成図である。図2はこの装置を構成する
カンチレバーの断面図である。図1に示すように、防震
台1上に微動/粗動機構2が設置され、その上に試料3
が載せられる。試料3は微動/粗動機構2により垂直方
向および水平方向に移動される。試料3上にはOリング
4を介してカンチレバーホルダ5が載せられ、試料3と
カンチレバーホルダ5との間に測定セルが形成される。
試料が垂直方向に移動する際には、Oリング4を圧縮し
ながら動くことになる。したがって、Oリング4を構成
する材質の圧縮率が高いことが好ましい。本実施例で
は、シリコーン系樹脂からなるOリング4が用いられて
いる。この測定セル内に水溶液6が収容される。カンチ
レバーホルダ5の下面には、ステンレス母材の全面にA
uを被覆した固定用クリップ7により、カンチレバー8
が固定される。このクリップ7は液中に浸漬されるた
め、電位測定などに悪影響を与えないように貴金属から
なることが好ましい。
【0066】カンチレバー8としては、例えば図2
(a)および(b)に示すように、母材21がSi3 N
4 からなり、先端が四角錐状のティップをなし、両面に
蒸着法により膜厚100nmのAu膜22を形成したも
のが用いられる。
【0067】また、測定セルの水溶液6中に参照電極9
および対極10が浸漬される。参照電極9としては、カ
ロメル電極または銀−塩化銀電極が用いられる。対極1
0としてはPtワイヤが用いられる。
【0068】クリップ7および参照電極9はポテンシオ
スタット11と任意関数発生器12とからなる電圧印加
系に接続されている。このような構成によりカンチレバ
ー8表面のAu膜22に電圧が印加され、しかも電圧を
制御することができる。カンチレバー8の変位は、半導
体レーザー、ミラー、レンズ、フォトダイオードなどか
ら構成されるカンチレバー変位検出光学系15によりフ
ォトダイオードの出力として検出される。すなわち、カ
ンチレバー8の背面にレーザー光が照射され、その反射
光がフォトダイオードで検出されるように構成されてお
り、カンチレバー8の変位がフォトダイオードの出力変
動として検出される。カンチレバー8に交流電圧を印加
する場合には、カンチレバー8に印加される電圧とカン
チレバー8の変位とは同期して位相敏感検波器13によ
り検出され、記録計14に記録される。カンチレバー8
に直流電圧を印加する場合には、ポテンシオスタット1
1に内蔵されている内部電源によりカンチレバーに直接
電圧を印加する。この場合には、印加電圧とカンチレバ
ー変位とが直接記録計14に記録される。微動/粗動機
構2はコントロールユニット16により制御される。
【0069】実験1 Si3 N4 母材のティップ側にのみ、スパッタ法により
Auを被覆したカンチレバーを作製した(比較例)。一
方、Si3 N4 母材の両面に、スパッタ法によりAuを
被覆し、図2のようなカンチレバーを作製した(実施
例)。いずれのカンチレバーもばね定数k=0.58N
/mである。
【0070】10-5(mol/l)のKCl水溶液中に
カンチレバーを浸漬し、カンチレバーのティップ先端と
試料表面との距離を約100μmとした。そして、ポテ
ンシオスタットおよび任意波形発生器により、カンチレ
バーに対して−50mV〜+100mVの電圧を印加し
たときの変位を測定した。
【0071】比較例のカンチレバーを用いた場合、変位
は最大で約200nmに達した。ばね定数の値より、こ
のときの力の大きさは約0.1μNである。一方、実施
例のカンチレバーを用いた場合、変位は最大で約0.1
nmであった。このときの力の大きさは約0.05nN
であり、比較例のカンチレバーを用いた場合と比較して
2000分の1の値である。このことから、実施例のカ
ンチレバーを用いた場合には、液中イオンによる相互作
用を低減できることがわかる。
【0072】以下の実験2〜4では、Si3 N4 母材の
両面に蒸着法により膜厚100nmのAu膜を形成し、
図2に示すような両面のAu膜の導通が取れている構造
のカンチレバー8を用いた。
【0073】実験2 Si基板上に熱酸化法により膜厚200nmのSiO2
膜を形成し、その後ヘキサメチルジシラザン気相中に2
4時間放置した後、100℃でベーキングしてヘキサメ
チルジシラザン吸着層を形成した。さらに、その上にス
テアリン酸CH3 (CH2 )16COOHのLB膜を単層
形成したものを試料として用いた。水中においては、こ
の試料の表面にはカルボキシル基−COOHが露出す
る。測定セル内の水溶液のpHを7に設定し、銀−塩化
銀参照電極に対してカンチレバーに+1.2Vから−
0.2Vの範囲の電圧を印加して静電力を検出した。
【0074】まず、カンチレバーに+1.2V及び−
0.2Vの直流電圧を加えて静電力を測定したフォース
・カーブの結果を図3に示す。図3において、横軸は垂
直方向での試料の移動距離、縦軸はカンチレバー変位に
対応するフォトダイオードの出力である。印加電圧が+
1.2Vのときのフォトダイオードの出力の変化を実線
で、−0.2Vのときの変化を破線で示す。図3に示さ
れるように、印加電圧が+1.2Vのときには引力が働
き、垂直方向の試料移動距離が10nmのところでju
mp−inが生じ、カンチレバー先端のティップと試料
とが接触する。一方、印加電圧が−0.2Vのときに
は、斥力が働く。印加電圧が+1.2Vのときに働く引
力、−0.2Vのときに働く斥力は、マイナスに荷電し
たCOO- とカンチレバーのティップ先端表面の電荷と
の間の静電力に対応している。
【0075】図4にカンチレバーに印加される電圧とカ
ンチレバー変位に対応するフォトダイオードの出力との
関係を示す。このデータは、図3のデータにおいて垂直
方向の試料移動距離が15nmのところで、カンチレバ
ーに周波数0.25Hzの三角波電圧を加えて測定した
ものである。図4では、電圧と変位との関係は若干直線
からずれている。これは、−COO- という官能基内の
電荷が電圧により分極するためであると考えられる。ま
た、力がゼロとなる点は、印加電圧が正の領域にある
が、これはカンチレバー表面を被覆しているAuと水溶
液との化学ポテンシャルが異なるためである。
【0076】なお、カンチレバーに印加される三角波電
圧の周波数を5MHzとした場合には、電圧の変化に対
してカンチレバー変位が変化しないことが確認された。
これは、印加する交流電圧の周波数が高いため、溶液中
のイオンが十分に応答せず、カンチレバー表面の電気2
重層の構造が変化しないためである。
【0077】実験3 LB膜としてステアリルアミンCH3 (CH2 )17NH
2 のLB膜を用いた以外は、実験2と同様にして試料を
作製した。水中において、この試料の表面にはアミノ基
−NH2 が露出する。
【0078】測定セル内の水溶液のpHを7に設定し、
銀−塩化銀参照電極に対してカンチレバーに+1.2V
及び−0.2Vの直流電圧を印加して静電力を検出した
結果を図5に示す。図5では図3と逆に、カンチレバー
にプラスの電圧を印加したときに斥力、マイナスの電圧
を印加したときに引力が働いていることがわかる。この
結果は、カンチレバー変位がプラスに荷電した−NH3
+ とカンチレバーのティップ先端の電荷との静電力によ
り起きていることを示している。図6に印加電圧とフォ
トダイオードの出力との関係を示す。電圧と変位との関
係も図4と逆であることがわかる。
【0079】実験4 LB膜としてステアリルアミドCH3 (CH2 )16CO
NH2 のLB膜を用いた以外は、実験2と同様にして試
料を作製した。水中において、この試料の表面にはアミ
ド基−CONH2 が露出する。
【0080】測定セル内の水溶液のpHを7に設定し、
銀−塩化銀参照電極に対してカンチレバーに+1.2V
から−0.2Vの範囲の三角波電圧を印加して静電力を
検出した結果を図7に示す。図7では、−COO- また
は−NH3 + というイオン性官能基の場合よりも静電力
が減少していることがわかる。また、カンチレバーに印
加される電圧が正のときに斥力、負のときに引力が働い
ている。電圧の極性と力との関係は、実験3の場合と同
様である。この結果は、カンチレバーのティップ先端
と、原子電荷が正であるアミド基のH原子とが最も接近
していることによるものである。
【0081】図8は本発明の他の実施例における液中静
電力測定装置の構成図である。図9(a)および(b)
はこの装置を構成するカンチレバーの断面図である。こ
のカンチレバーは、母材21がSi3 N4 からなり、先
端が四角錐状のティップをなし、両面に蒸着法により膜
厚100nmのAu膜22、23が互いに絶縁されて形
成されているものである。図8に示される装置は、図1
とほぼ同様な構成を有するが、カンチレバー8の両面に
形成されたAu膜に別々に電圧を印加するようになって
いる点で異なる。以下、図1の装置と共通の部分につい
ては説明を省略し、図1の装置と異なる部分について説
明する。
【0082】カンチレバー8の基部の裏面側が接触して
いるホルダ5の下面の溝の部分には、ステンレス母材の
表面にAuを被覆した作用電極17が固定されている。
測定セルの水溶液6中に、カンチレバー8のティップ側
のAu膜に電圧を印加するための参照電極9a、対極1
0a、カンチレバー8の背面側のAu膜に電圧を印加す
るための参照電極9b、対極10bが浸漬される。参照
電極9a、9bとしては、カロメル電極または銀−塩化
銀電極が用いられる。対極10a、10bとしてはPt
ワイヤが用いられる。
【0083】クリップ7、参照電極9aおよび対極10
aはポテンシオスタット11と任意関数発生器12とか
らなる電圧印加系に接続されている。また、作用電極1
7、参照電極9bおよび対極10bはサーボ回路18か
らなる電圧印加系に接続されている。このような構成に
よりカンチレバー8の両面のAu膜22および23にそ
れぞれ異なる電圧が印加され、しかも別々に電圧を制御
することができる。
【0084】カンチレバー8の変位は、カンチレバー変
位検出光学系15によりフォトダイオードの出力として
検出される。フォトダイオードの出力を一定に保つよう
に、カンチレバー8の背面側に電圧が印加される。カン
チレバー8の背面側への印加電圧の大きさから、ティッ
プと試料表面との間に働く微小な引力の大きさが求めら
れる。カンチレバー8の背面側に印加される電圧とカン
チレバー8の変位とは同期して位相敏感検波器13によ
り検出され、記録計14に記録される。
【0085】以下の実験5、6では、図9に示すよう
に、Si3 N4 母材の両面に蒸着法により互いに絶縁さ
れた膜厚100nmのAu膜を形成したカンチレバー8
を用いた。
【0086】実験5 実験2と同様に、試料としてステアリン酸LB膜を用
い、カンチレバーの変位が一定となるようにカンチレバ
ーの裏面側に印加する電圧の大きさを制御した。測定セ
ル内の水溶液のpHを7に設定し、銀−塩化銀参照電極
に対してカンチレバーのティップ側の面に+1.2Vの
電圧を印加して静電力を検出した結果を図10に示す。
図10において、横軸はティップ先端と試料表面との距
離に対応する垂直方向での試料の移動距離、縦軸はカン
チレバーの両面に印加される電圧の差から換算される、
ティップと試料表面との間に働く微小な引力の大きさで
ある。図10では、図3に示される実験2の結果と異な
り、ティップ先端と試料表面との距離が5nm以内の領
域でもjump−inの現象が生じることなく、ティッ
プ先端と試料表面との間に働く微小な静電引力に由来す
る力の曲線が得られることがわかる。また、このときカ
ンチレバーの変位は一定に保たれているため、横軸はテ
ィップの先端と試料表面との間の距離を正確に反映して
いる。
【0087】図11に、カンチレバーのティップ側の面
に−0.2Vの電圧を印加し、しかもカンチレバー変位
が一定となるようにカンチレバー裏面側に印加する電圧
の大きさを制御して測定した結果を示す。この場合には
斥力が観測されるが、カンチレバー変位は一定に保たれ
ており、横軸はティップ先端と試料表面との間の距離を
正確に反映しているため、図3と比較するとより正確な
力−距離曲線が得られる。
【0088】実験6 実験3と同様に、試料としてステアリルアミンLB膜を
用い、カンチレバーの変位が一定となるようにカンチレ
バーの裏面側に印加する電圧の大きさを制御した。測定
セル内の水溶液のpHを7に設定し、銀−塩化銀参照電
極に対してカンチレバーのティップ側の面に−0.2V
の電圧を印加して静電力を検出した結果を図12に示
す。図5に示される実験3の結果と異なり、ティップ先
端と試料表面との間が近距離でもjump−inが起こ
らず、ティップ先端の負電荷とステアリルアミンLB膜
表面の−NH3 + 基との間の静電力が詳細に観測されて
いる。
【0089】実験7 この実験では、図13(a)および(b)に示すよう
に、ティップ側が極性官能基で被覆され、背面側がAu
で被覆されたカンチレバーを用いた。このカンチレバー
のティップ側を極性官能基で被覆するには、SiN製の
カンチレバーを硝酸で洗浄し、3−アミノプロピルトリ
エトキシシラン(EtO)3 Si(CH2)3 NH2 の
5%トルエン溶液に24時間浸漬した後、十分水洗し
た。
【0090】この場合、図8に示される装置が用いられ
るが、ティップ側には電圧が印加されない。試料とし
て、実験2及び5と同様にステアリン酸LB膜を用い、
測定セル内の水溶液のpHを7に設定した。カンチレバ
ーを試料に接近させると、あるところから引力が働き始
める。その後、カンチレバーの変位が一定となるように
カンチレバーの背面側の電圧の大きさを制御し、さらに
カンチレバーを試料に接近させる。このような手順でテ
ィップ−試料間の力を測定した結果を図14に示す。横
軸はカンチレバー先端と試料表面との距離に対応する垂
直方向での試料の移動距離であり、カンチレバーの変位
が一定に保たれているため、ティップ先端と試料表面と
の間の距離を正確に表す。縦軸はカンチレバーに印加さ
れる電圧から換算される、ティップと試料表面との間に
働く微小な引力の大きさである。図14に示されるよう
にjump−inを起こすことなく、引力が観測され
る。この引力は、ティップ先端の−NH3 + 基と試料表
面の−COO- 基との間の静電力である。
【0091】実験8 図13(a)および(b)に示すカンチレバーを用い、
ステアリルアミンLB膜からなる試料について、実験7
と同様に、カンチレバー背面側の電圧を制御しながらテ
ィップ−試料間の力を測定した結果を図15に示す。図
15に示されるように、ティップ先端の−NH3 + 基と
試料表面の−NH3 + 基との間の静電的な斥力が観測さ
れている。
【0092】以上に実験7および8からわかるように、
図13のような構造のカンチレバーを用いても、試料表
面の官能基の荷電状態を反映した静電力を検出でき、官
能基を同定できる。
【0093】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の液中静電力
検出装置を用いれば、試料表面の官能基の荷電状態また
は分極状態を反映した静電力を検出でき、官能基の識別
が可能になる。また、ティップ先端と試料表面との間の
距離が近距離の場合でも、両者の間に働く微小な引力を
検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における液中静電力検出装置の
構成図。
【図2】(a)は図1の液中静電力検出装置に用いられ
るカンチレバーの断面図、(b)は(a)のB−B線に
沿う断面図。
【図3】図1の液中静電力検出装置を用いてステアリン
酸LB膜試料について検出された、垂直方向の試料移動
距離とフォトダイオードの出力との関係を示す特性図。
【図4】図1の液中静電力検出装置を用いてステアリン
酸LB膜試料について検出された、カンチレバーへの印
加電圧とフォトダイオードの出力との関係を示す特性
図。
【図5】図1の液中静電力検出装置を用いてステアリル
アミンLB膜試料について検出された、垂直方向の試料
移動距離とフォトダイオード出力との関係を示す特性
図。
【図6】図1の液中静電力検出装置を用いてステアリル
アミンLB膜試料について検出された、カンチレバー印
加電圧とフォトダイオード出力との関係を示す特性図。
【図7】図1の液中静電力検出装置を用いてステアリル
アミドLB膜試料について検出された、垂直方向の試料
移動距離とフォトダイオード出力との関係を示す特性
図。
【図8】本発明の他の実施例における液中静電力検出装
置の構成図。
【図9】(a)は図8の液中静電力検出装置に用いられ
るカンチレバーの断面図、(b)は(a)のB−B線に
沿う断面図。
【図10】図8の液中静電力検出装置を用いてカンチレ
バーのティップ側に+1.2Vの電圧を印加しかつ背面
側に印加する電圧を制御した場合に、ステアリン酸LB
膜試料について検出された、垂直方向の試料移動距離と
ティップ先端−試料表面間に働く引力との関係を示す特
性図。
【図11】図8の液中静電力検出装置を用いてカンチレ
バーのティップ側に−0.2Vの電圧を印加しかつ背面
側に印加する電圧を制御した場合に、ステアリン酸LB
膜試料について検出された、垂直方向の試料移動距離と
ティップ先端−試料表面間に働く引力との関係を示す特
性図。
【図12】図8の液中静電力検出装置を用いてカンチレ
バーのティップ側に−0.2Vの電圧を印加しかつ背面
側に印加する電圧を制御した場合に、ステアリルアミン
LB膜試料について検出された、垂直方向の試料移動距
離とティップ先端−試料表面間に働く引力との関係を示
す特性図。
【図13】(a)は図8の液中静電力検出装置に用いら
れる他のカンチレバーの断面図、(b)は(a)のB−
B線に沿う断面図。
【図14】図8の液中静電力検出装置および図13のカ
ンチレバーを用いて背面側に印加する電圧を制御した場
合に、ステアリン酸LB膜試料について検出された、垂
直方向の試料移動距離とティップ先端−試料表面間に働
く引力との関係を示す特性図。
【図15】図8の液中静電力検出装置および図13のカ
ンチレバーを用いて背面側に印加する電圧を制御した場
合に、ステアリルアミンLB膜試料について検出され
た、垂直方向の試料移動距離とティップ先端−試料表面
間に働く引力との関係を示す特性図。
【図16】(a)はカンチレバーへの電圧印加時におけ
る液中のイオンの分布を示す説明図、(b)はカンチレ
バー表面からの距離と電位との関係を示す図。
【図17】カンチレバーについて、形状の異なる両面に
働く液中イオンによる相互作用の影響を説明する図。
【符号の説明】
1…防震台、2…微動/粗動機構、3…試料、4…Oリ
ング、5…カンチレバーホルダ、6…水溶液、7…クリ
ップ、8…カンチレバー、9、9a、9b…参照電極、
10、10a、10b…対極、11…ポテンシオスタッ
ト、12…任意関数発生器、13…位相敏感検波器、1
4…記録計、15…カンチレバー変位検出光学系、16
…コントロールユニット、17…作用電極、18…サー
ボ回路、21…母材、22、23…Au膜、24…極性
官能基。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料とカンチレバーとを液中に設置し、
    試料とカンチレバーとの間に働く力を検出する装置にお
    いて、先端部の表面が導電性材料からなるカンチレバー
    と、カンチレバー先端部の導電性材料に電圧を印加する
    手段と、カンチレバー先端部の導電性材料に印加される
    電圧を制御する手段とを具備したことを特徴とする液中
    静電力検出装置。
  2. 【請求項2】 試料とカンチレバーとを液中に設置し、
    試料とカンチレバーとの間に働く力を検出する装置にお
    いて、先端部のティップ側および背面側に互いに絶縁さ
    れた導電性材料が形成されたカンチレバーと、カンチレ
    バー先端部の両面の導電性材料に別々に電圧を印加する
    手段と、カンチレバー先端部の両面の導電性材料に印加
    される電圧を別々に制御する手段とを具備したことを特
    徴とする液中静電力検出装置。
  3. 【請求項3】 試料とカンチレバーとを液中に設置し、
    試料とカンチレバーとの間に働く力を検出する装置にお
    いて、先端部の表面が極性官能基により被覆されたカン
    チレバーを具備したことを特徴とする液中静電力検出装
    置。
  4. 【請求項4】 前記カンチレバーにおいて、先端部のテ
    ィップ側及び背面側が導電性材料で形成され、ティップ
    側の導電性材料の射影面積と背面側の導電性材料の射影
    面積とが等しく、かつ互いに導通されていることを特徴
    とする請求項1記載の液中静電力検出装置。
  5. 【請求項5】 先端部の背面側にのみ導電性材料が形成
    されたカンチレバーと、カンチレバー先端部の導電性材
    料に電圧を印加する手段と、カンチレバー先端部の導電
    性材料に印加される電圧を制御する手段とを具備したこ
    とを特徴とする請求項3記載の液中静電力検出装置。
JP4201138A 1991-07-31 1992-07-28 液中静電力検出装置 Pending JPH05281276A (ja)

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