JPH05320952A - 塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼板 - Google Patents
塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼板Info
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- JPH05320952A JPH05320952A JP15754992A JP15754992A JPH05320952A JP H05320952 A JPH05320952 A JP H05320952A JP 15754992 A JP15754992 A JP 15754992A JP 15754992 A JP15754992 A JP 15754992A JP H05320952 A JPH05320952 A JP H05320952A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鋼板自体の耐食性を損なうことなく、リン酸
塩処理性を向上せしめ、優れた塗装後耐食性が発揮され
る高強度冷延鋼板を提供する。 【構成】 この発明の高強度冷延鋼板は、C :0.001 〜
0.25wt.%、Si:0.1 〜1.5 wt.%、Mn: 0.2〜3.0 wt.%、
および、次の群から選んだ少なくとも1つの元素: C
u:0.5 〜1.5wt.% 、Ni:0.5 〜1.5wt.% 、Mo:0.2 〜
1.0 wt.%、Cr:0.1〜2.5 wt.%、V :0.01〜0.1 wt.%、B
:0.0005〜0.0030wt.%、Ti:0.01〜0.20wt.%、Nb:0.0
1〜0.20wt.%、からなる成分組成を有する冷延鋼板と、
前記冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、
20〜1500mg/m2 の量の鉄被覆層とからなっている。
塩処理性を向上せしめ、優れた塗装後耐食性が発揮され
る高強度冷延鋼板を提供する。 【構成】 この発明の高強度冷延鋼板は、C :0.001 〜
0.25wt.%、Si:0.1 〜1.5 wt.%、Mn: 0.2〜3.0 wt.%、
および、次の群から選んだ少なくとも1つの元素: C
u:0.5 〜1.5wt.% 、Ni:0.5 〜1.5wt.% 、Mo:0.2 〜
1.0 wt.%、Cr:0.1〜2.5 wt.%、V :0.01〜0.1 wt.%、B
:0.0005〜0.0030wt.%、Ti:0.01〜0.20wt.%、Nb:0.0
1〜0.20wt.%、からなる成分組成を有する冷延鋼板と、
前記冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、
20〜1500mg/m2 の量の鉄被覆層とからなっている。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、塗装後の耐食性に優
れた高強度冷延鋼板に関するものである。
れた高強度冷延鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車メーカーにおいては、社会
的要請から、車体の軽量化および安全性の向上のため
に、各種高強度冷延鋼板の使用が積極的に進められてい
る。このような高強度冷延鋼板においては、鋼板の肉厚
が薄くなることにより、腐食代が減少することから、孔
あき防止のための防錆力強化が大きな課題になってい
る。
的要請から、車体の軽量化および安全性の向上のため
に、各種高強度冷延鋼板の使用が積極的に進められてい
る。このような高強度冷延鋼板においては、鋼板の肉厚
が薄くなることにより、腐食代が減少することから、孔
あき防止のための防錆力強化が大きな課題になってい
る。
【0003】高強度冷延鋼板の開発および製造に際して
は、鋼板の成分組成をはじめ、その圧延条件および熱処
理条件等が重要な要素であるが、これらは、鋼板表面の
反応性、特にリン酸塩処理性および塗装後耐食性に大き
な影響を及ぼす。冷延鋼板のリン酸塩処理性に影響を及
ぼす要因に関しては、従来より広く研究されており、鋼
板表面の汚染物、酸化皮膜性状、表層濃化元素等との関
係が、下記のようであることがわかっている。
は、鋼板の成分組成をはじめ、その圧延条件および熱処
理条件等が重要な要素であるが、これらは、鋼板表面の
反応性、特にリン酸塩処理性および塗装後耐食性に大き
な影響を及ぼす。冷延鋼板のリン酸塩処理性に影響を及
ぼす要因に関しては、従来より広く研究されており、鋼
板表面の汚染物、酸化皮膜性状、表層濃化元素等との関
係が、下記のようであることがわかっている。
【0004】冷延鋼板の製造過程において、不可避的に
生ずる表面汚染物に関しては、圧延油残渣の焼鈍炭化ま
たは鋼中炭素の表層濃化によって、鋼板表面に付着する
カーボンの影響が最も大である。これは、リン酸塩皮膜
の生成を著しく阻害し、緻密でないリン酸塩皮膜が生成
することから、塗装後耐食性を大きく劣化させる。
生ずる表面汚染物に関しては、圧延油残渣の焼鈍炭化ま
たは鋼中炭素の表層濃化によって、鋼板表面に付着する
カーボンの影響が最も大である。これは、リン酸塩皮膜
の生成を著しく阻害し、緻密でないリン酸塩皮膜が生成
することから、塗装後耐食性を大きく劣化させる。
【0005】鋼板の表面が十分に清浄な場合には、鋼板
表面の酸化皮膜の性状が、リン酸塩皮膜の形成初期にお
ける核生成の速度および分布に大きな影響を及ぼす。概
して、鋼板表面の酸化皮膜が難溶な場合には、核生成が
律速で疎に発生することにより、粗大なリン酸塩皮膜が
形成される結果、塗装後耐食性の劣る場合が多い。
表面の酸化皮膜の性状が、リン酸塩皮膜の形成初期にお
ける核生成の速度および分布に大きな影響を及ぼす。概
して、鋼板表面の酸化皮膜が難溶な場合には、核生成が
律速で疎に発生することにより、粗大なリン酸塩皮膜が
形成される結果、塗装後耐食性の劣る場合が多い。
【0006】特に、鋼板の高強度化のために、鋼中に
C,Si,Mn、および、Cu,Ni,Mo,Cr,V,B,Ti,Nb
等の元素が積極的に多量に含有されている場合には、こ
れらの元素は、焼鈍時の加熱によって、鋼板の表層に多
く濃化したり、選択酸化層として表面に露出する結果、
酸化皮膜の反応性に多大の影響を与える。このような影
響を防止するために、酸洗を行っても、通常の酸洗方法
では、上述した元素を含有する酸化皮膜層を除去するこ
とは困難である。更に、最近の研究により、圧延率、焼
鈍加熱条件等が支配する表面結晶方位も、リン酸塩処理
性に少なからず影響を及ぼすことが明らかになってき
た。
C,Si,Mn、および、Cu,Ni,Mo,Cr,V,B,Ti,Nb
等の元素が積極的に多量に含有されている場合には、こ
れらの元素は、焼鈍時の加熱によって、鋼板の表層に多
く濃化したり、選択酸化層として表面に露出する結果、
酸化皮膜の反応性に多大の影響を与える。このような影
響を防止するために、酸洗を行っても、通常の酸洗方法
では、上述した元素を含有する酸化皮膜層を除去するこ
とは困難である。更に、最近の研究により、圧延率、焼
鈍加熱条件等が支配する表面結晶方位も、リン酸塩処理
性に少なからず影響を及ぼすことが明らかになってき
た。
【0007】上述したように、冷延鋼板のリン酸塩処理
性に影響を及ぼす要因はさまざまであり、しかも、実際
には、これらの各要因が絡みあって、複雑な影響を呈す
る。従って、新素材の開発に際して、製造条件の制限は
止むを得ず、また、製造方法が確立されても、実際操業
において、常に安定した品質水準を維持することは、極
めて困難であった。
性に影響を及ぼす要因はさまざまであり、しかも、実際
には、これらの各要因が絡みあって、複雑な影響を呈す
る。従って、新素材の開発に際して、製造条件の制限は
止むを得ず、また、製造方法が確立されても、実際操業
において、常に安定した品質水準を維持することは、極
めて困難であった。
【0008】特に、本発明が対象とする、炭素: 0.001
〜0.25wt.%、シリコン: 0.1〜1.5wt.%、マンガン: 0.
2〜3.0 wt.%、および、下記からなる群から選んだ少な
くとも1つの元素: 銅 :0.5 〜1.5wt.% 、 ニッケル: 0.5〜1.5w
t.% 、 モリブデン:0.2 〜1.0 wt.%、 クロム : 0.1〜2.5
wt.%、 バナジウム:0.01〜0.1 wt.%、 ボロン : 0.0005 〜
0.0030wt.%、 チタン :0.01〜0.20wt.%、 ニオブ : 0.01 〜0.
20wt.%、 からなる成分組成を有する高強度冷延鋼板の場合には、
単なる製造方法の改善だけでは、根本的な改良になら
ず、リン酸塩処理性の大幅な向上は望めないことが判明
した。
〜0.25wt.%、シリコン: 0.1〜1.5wt.%、マンガン: 0.
2〜3.0 wt.%、および、下記からなる群から選んだ少な
くとも1つの元素: 銅 :0.5 〜1.5wt.% 、 ニッケル: 0.5〜1.5w
t.% 、 モリブデン:0.2 〜1.0 wt.%、 クロム : 0.1〜2.5
wt.%、 バナジウム:0.01〜0.1 wt.%、 ボロン : 0.0005 〜
0.0030wt.%、 チタン :0.01〜0.20wt.%、 ニオブ : 0.01 〜0.
20wt.%、 からなる成分組成を有する高強度冷延鋼板の場合には、
単なる製造方法の改善だけでは、根本的な改良になら
ず、リン酸塩処理性の大幅な向上は望めないことが判明
した。
【0009】上述した問題を克服し、積極的にリン酸塩
処理性を制御する手段として、従来より、次のような工
夫がなされ、また提案されている。即ち、鋼板の表面へ
のリン酸塩皮膜の形成は、一般に、まず、鋼板を完全に
脱脂し、次いで、適当な表面調整を施した後、鋼板表面
とリン酸塩処理液とを反応させることによって行われて
いる。この場合、良好な塗装後耐食性を得るための必須
条件である、リン酸塩皮膜の緻密性は、皮膜形成初期に
おけるリン酸塩結晶の核生成速度と分布、即ち、リン酸
塩処理液と鋼板表面との界面における局部電池の生成速
度とその分布に大きく支配される。更に、具体的には、
前述したような鋼板表面の汚染物、酸化皮膜性状、表層
酸化元素および表面結晶方位等に大きく影響され、初期
核生成が速くそして密であるほど、緻密なリン酸塩皮膜
が形成される。
処理性を制御する手段として、従来より、次のような工
夫がなされ、また提案されている。即ち、鋼板の表面へ
のリン酸塩皮膜の形成は、一般に、まず、鋼板を完全に
脱脂し、次いで、適当な表面調整を施した後、鋼板表面
とリン酸塩処理液とを反応させることによって行われて
いる。この場合、良好な塗装後耐食性を得るための必須
条件である、リン酸塩皮膜の緻密性は、皮膜形成初期に
おけるリン酸塩結晶の核生成速度と分布、即ち、リン酸
塩処理液と鋼板表面との界面における局部電池の生成速
度とその分布に大きく支配される。更に、具体的には、
前述したような鋼板表面の汚染物、酸化皮膜性状、表層
酸化元素および表面結晶方位等に大きく影響され、初期
核生成が速くそして密であるほど、緻密なリン酸塩皮膜
が形成される。
【0010】従って、この初期核生成を円滑に進行させ
る観点から、上述したリン酸塩皮膜形成工程のうちの鋼
板表面の調整工程において、チタン系コロイドを鋼板の
表面に吸着させたり、リン酸塩処理液中にNi、Co等の重
金属イオンを添加し、鋼板表面において置換析出させる
等の処理方法が広く研究されそして改善されてきた。
る観点から、上述したリン酸塩皮膜形成工程のうちの鋼
板表面の調整工程において、チタン系コロイドを鋼板の
表面に吸着させたり、リン酸塩処理液中にNi、Co等の重
金属イオンを添加し、鋼板表面において置換析出させる
等の処理方法が広く研究されそして改善されてきた。
【0011】一方、鋼板側でも、これらと同じく局部電
池生成を円滑に進行させるための手段として、例えば、
特開昭56-116887 号等に開示されているように、鋼板製
造段階で予め鋼板表面にTi,Mn,Ni,Co,Cu,──等の
鉄以外の遷移金属を、電気めっき等により微量付着させ
ておく方法が提案されている。
池生成を円滑に進行させるための手段として、例えば、
特開昭56-116887 号等に開示されているように、鋼板製
造段階で予め鋼板表面にTi,Mn,Ni,Co,Cu,──等の
鉄以外の遷移金属を、電気めっき等により微量付着させ
ておく方法が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た方法には、次のような問題がある。まず第1に、付着
させた金属により鋼板表面の反応性が大になる結果、製
造された鋼板が、ユーザーに送り届けられるまでの間、
あるいは、ユーザーにおいて、鋼板を加工後、リン酸塩
処理を施すまでの間に、鋼板に錆が誘発したり、防錆油
のなじみにおいてオイルステインが発生する等の問題が
生ずる。特に、鋼板の表面に、Feとの電位差が大である
金属を付着させた場合、上述した問題の発生は極めて大
である。
た方法には、次のような問題がある。まず第1に、付着
させた金属により鋼板表面の反応性が大になる結果、製
造された鋼板が、ユーザーに送り届けられるまでの間、
あるいは、ユーザーにおいて、鋼板を加工後、リン酸塩
処理を施すまでの間に、鋼板に錆が誘発したり、防錆油
のなじみにおいてオイルステインが発生する等の問題が
生ずる。特に、鋼板の表面に、Feとの電位差が大である
金属を付着させた場合、上述した問題の発生は極めて大
である。
【0013】上述した付着金属と鋼表面との密着力は、
いうまでもなく強固でなくてはならないが、更に、付着
金属と、生成するリン酸塩皮膜との間の密着性も、極め
て重要である。即ち、鉄より電位的に大で且つ貴である
金属を、鋼板の表面に付着させた場合、前述したように
反応性が大であることから、鋼板製造後、経時的に付着
金属の表面が酸化される結果、その上に生成するリン酸
塩結晶との密着性も経時的に劣化する。
いうまでもなく強固でなくてはならないが、更に、付着
金属と、生成するリン酸塩皮膜との間の密着性も、極め
て重要である。即ち、鉄より電位的に大で且つ貴である
金属を、鋼板の表面に付着させた場合、前述したように
反応性が大であることから、鋼板製造後、経時的に付着
金属の表面が酸化される結果、その上に生成するリン酸
塩結晶との密着性も経時的に劣化する。
【0014】また、鉄より電位的に大で且つ卑である金
属を、鋼板の表面に付着させた場合には、リン酸塩処理
時に、その部分がアノードとして処理浴界面に溶出す
る。従って、例えば、鋼板の表面に亜鉛を付着させた場
合には、電着塗装用途としては好ましくないホパイト(H
opeite) Zn3(PO4)2・4H20の組成が大になる結果、生成
するリン酸塩の組成および処理液成分に少なからぬ悪影
響を与える。
属を、鋼板の表面に付着させた場合には、リン酸塩処理
時に、その部分がアノードとして処理浴界面に溶出す
る。従って、例えば、鋼板の表面に亜鉛を付着させた場
合には、電着塗装用途としては好ましくないホパイト(H
opeite) Zn3(PO4)2・4H20の組成が大になる結果、生成
するリン酸塩の組成および処理液成分に少なからぬ悪影
響を与える。
【0015】更に、塗装後耐食性を考慮した場合、かか
る方法により緻密なリン酸塩皮膜が形成されても、リン
酸塩皮膜は本来多孔質であるから、塗膜下腐食は避けら
れない。そして、リン酸塩皮膜下になお存在する付着金
属と素地鉄との間の電位差が大であるために、これらの
間の局部電池腐食がより大になって、リン酸塩皮膜の効
果が相殺され、塗装後耐食性への顕著な効果は得られな
い。
る方法により緻密なリン酸塩皮膜が形成されても、リン
酸塩皮膜は本来多孔質であるから、塗膜下腐食は避けら
れない。そして、リン酸塩皮膜下になお存在する付着金
属と素地鉄との間の電位差が大であるために、これらの
間の局部電池腐食がより大になって、リン酸塩皮膜の効
果が相殺され、塗装後耐食性への顕著な効果は得られな
い。
【0016】従って、この発明も目的は、上述した問題
を解決し、鋼板自体の耐食性を損なうことなく、リン酸
塩処理性を向上せしめ、優れた塗装後耐食性が発揮され
る高強度冷延鋼板を提供することにある。
を解決し、鋼板自体の耐食性を損なうことなく、リン酸
塩処理性を向上せしめ、優れた塗装後耐食性が発揮され
る高強度冷延鋼板を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
現状に鑑み、鋼板自体の耐食性を損なうことなく、リン
酸塩処理性を向上せしめ、優れた塗装後耐食性が発揮さ
れる高強度冷延鋼板を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、次の知見を得た。即ち、鋼板は鉄であるが故に錆び
やすいという一般的な認識があるが、その発錆性つまり
鋼板表面の反応性に大きな影響を及ぼすのは、鉄自体の
反応性以上に、鋼板表面に濃化した鋼中添加元素または
鋼板表面に存在する外来物質と素地鉄との局部的電池反
応であり、本来、鉄酸化物は化学的に安定であって、ま
た、鉄酸化物と鋼板表面に生成している酸化皮膜の電位
とはほぼ同じレベルである。そこで、十分に清浄な冷延
鋼板の表面に、20〜1500mg/m2 の量の鉄を付着させる
と、冷延鋼板自体の耐食性は、鉄を付着させない場合と
変わらず、しかも、リン酸塩処理性および塗装後耐食性
が飛躍的に向上する。
現状に鑑み、鋼板自体の耐食性を損なうことなく、リン
酸塩処理性を向上せしめ、優れた塗装後耐食性が発揮さ
れる高強度冷延鋼板を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、次の知見を得た。即ち、鋼板は鉄であるが故に錆び
やすいという一般的な認識があるが、その発錆性つまり
鋼板表面の反応性に大きな影響を及ぼすのは、鉄自体の
反応性以上に、鋼板表面に濃化した鋼中添加元素または
鋼板表面に存在する外来物質と素地鉄との局部的電池反
応であり、本来、鉄酸化物は化学的に安定であって、ま
た、鉄酸化物と鋼板表面に生成している酸化皮膜の電位
とはほぼ同じレベルである。そこで、十分に清浄な冷延
鋼板の表面に、20〜1500mg/m2 の量の鉄を付着させる
と、冷延鋼板自体の耐食性は、鉄を付着させない場合と
変わらず、しかも、リン酸塩処理性および塗装後耐食性
が飛躍的に向上する。
【0018】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明の高強度冷延鋼板は、 炭素: 0.001〜0.25wt.%、シリコン: 0.1〜1.5 wt.%、
マンガン: 0.2〜3.0wt.%、および、下記からなる群か
ら選んだ少なくとも1つの元素:銅 :0.5 〜1.
5wt.% 、 ニッケル: 0.5〜1.5wt.% 、 モリブデン:0.2 〜1.0 wt.%、 クロム : 0.1〜2.5
wt.%、 バナジウム:0.01〜0.1 wt.%、 ボロン : 0.0005 〜
0.0030wt.%、 チタン :0.01〜0.20wt.%、 ニオブ : 0.01 〜0.
20wt.%、 からなる成分組成を有する冷延鋼板と、前記冷延鋼板の
少なくとも1つの表面上に形成された、20〜1500mg/m2
の量の鉄被覆層とからなることに特徴を有するものであ
る。
ものであって、この発明の高強度冷延鋼板は、 炭素: 0.001〜0.25wt.%、シリコン: 0.1〜1.5 wt.%、
マンガン: 0.2〜3.0wt.%、および、下記からなる群か
ら選んだ少なくとも1つの元素:銅 :0.5 〜1.
5wt.% 、 ニッケル: 0.5〜1.5wt.% 、 モリブデン:0.2 〜1.0 wt.%、 クロム : 0.1〜2.5
wt.%、 バナジウム:0.01〜0.1 wt.%、 ボロン : 0.0005 〜
0.0030wt.%、 チタン :0.01〜0.20wt.%、 ニオブ : 0.01 〜0.
20wt.%、 からなる成分組成を有する冷延鋼板と、前記冷延鋼板の
少なくとも1つの表面上に形成された、20〜1500mg/m2
の量の鉄被覆層とからなることに特徴を有するものであ
る。
【0019】
【作用】この発明によって、冷延鋼板の少なくとも1つ
の表面上に、20〜1500mg/m2 の量の鉄被覆層を形成した
ことにより、鋼板のリン酸塩処理性が向上する理由につ
いては、未だ完全に解明されてはいないが、鉄被覆層に
よって、局部電池が生成しやすくなること、および、リ
ン酸塩処理前の表面調整過程においてチタン系コロイド
の吸着性が増大することなどによるものと推定される。
の表面上に、20〜1500mg/m2 の量の鉄被覆層を形成した
ことにより、鋼板のリン酸塩処理性が向上する理由につ
いては、未だ完全に解明されてはいないが、鉄被覆層に
よって、局部電池が生成しやすくなること、および、リ
ン酸塩処理前の表面調整過程においてチタン系コロイド
の吸着性が増大することなどによるものと推定される。
【0020】また、塗装後耐食性が飛躍的に向上する理
由は、リン酸塩処理反応時に、鉄被覆層から界面にFeイ
オンが多く供給されることにより、電着塗装時に難溶な
フォスフォフィライト(Phosphophyllite) Zn2Fe(PO4)2
・4H20結晶が主体の皮膜に改質され、更に、リン酸塩皮
膜下に高純度の鉄被覆層が存在することにより、局部電
池反応が律速となり、腐食反応が抑制されたことなどに
よるものと推定される。
由は、リン酸塩処理反応時に、鉄被覆層から界面にFeイ
オンが多く供給されることにより、電着塗装時に難溶な
フォスフォフィライト(Phosphophyllite) Zn2Fe(PO4)2
・4H20結晶が主体の皮膜に改質され、更に、リン酸塩皮
膜下に高純度の鉄被覆層が存在することにより、局部電
池反応が律速となり、腐食反応が抑制されたことなどに
よるものと推定される。
【0021】C:0.08wt.%、Si:0.1 wt.%、Mn:0.48wt.
%、P:0.015 wt.%、 S:0.003wt.% 、Al:0.040 wt.%お
よびTi:0.10 wt.%を含有するTi添加高強度冷延鋼板の表
面上に、この発明に従って鉄被覆層を形成し、次いで、
日本パーカライジング社製 PB3030処理液を使用してリ
ン酸塩皮膜を形成したときの、鉄被覆量と、リン酸塩皮
膜形成初期のリン酸塩結晶核数との関係を調べ、その結
果を図1に示した。なお、鉄被覆層の形成は、公知の電
気めっき法によって行った。
%、P:0.015 wt.%、 S:0.003wt.% 、Al:0.040 wt.%お
よびTi:0.10 wt.%を含有するTi添加高強度冷延鋼板の表
面上に、この発明に従って鉄被覆層を形成し、次いで、
日本パーカライジング社製 PB3030処理液を使用してリ
ン酸塩皮膜を形成したときの、鉄被覆量と、リン酸塩皮
膜形成初期のリン酸塩結晶核数との関係を調べ、その結
果を図1に示した。なお、鉄被覆層の形成は、公知の電
気めっき法によって行った。
【0022】また、上記リン酸塩処理が施された鋼板
を、日本ペイント株式会社製パワートップ U-600塗料を
使用して電着塗装した後、塩水噴霧試験を施したときの
鉄被覆量と塗装後耐食性との関係を調べ、その結果を図
2に示した。更に、上記鉄被覆層が形成された鋼板に対
し、ドロービード試験を行ったときの、鉄被覆量と鉄被
覆層の加工剥離量との関係を調べ、その結果を図3に示
した。なお、図2中、塗装後耐食性は、鋼板に生じた錆
幅とブリスター数より評価した。
を、日本ペイント株式会社製パワートップ U-600塗料を
使用して電着塗装した後、塩水噴霧試験を施したときの
鉄被覆量と塗装後耐食性との関係を調べ、その結果を図
2に示した。更に、上記鉄被覆層が形成された鋼板に対
し、ドロービード試験を行ったときの、鉄被覆量と鉄被
覆層の加工剥離量との関係を調べ、その結果を図3に示
した。なお、図2中、塗装後耐食性は、鋼板に生じた錆
幅とブリスター数より評価した。
【0023】図1〜3から明らかなように、リン酸塩皮
膜形成初期の結晶核数を増加し、緻密なリン酸塩皮膜を
形成させるためには、鋼板の表面に20mg/m2 以上の量の
鉄を被覆させることが必要であり、特に、塗装後耐食性
を大きく向上させるためには、50mg/m2 以上の量の鉄を
被覆させることが有効である。一方、鉄被覆層の量が増
大して300 mg/m2 を超えると、ドロービード試験におい
て鉄被覆層の剥離が若干認められ、更に、1500mg/m2 を
超えると、鉄被覆層の剥離が顕著になることがわかる。
膜形成初期の結晶核数を増加し、緻密なリン酸塩皮膜を
形成させるためには、鋼板の表面に20mg/m2 以上の量の
鉄を被覆させることが必要であり、特に、塗装後耐食性
を大きく向上させるためには、50mg/m2 以上の量の鉄を
被覆させることが有効である。一方、鉄被覆層の量が増
大して300 mg/m2 を超えると、ドロービード試験におい
て鉄被覆層の剥離が若干認められ、更に、1500mg/m2 を
超えると、鉄被覆層の剥離が顕著になることがわかる。
【0024】炭素: 0.001〜0.25wt.%、シリコン: 0.1
〜1.5 wt.%、マンガン: 0.2〜3.0wt.%、および、下記
からなる群から選んだ少なくとも1つの元素: 銅 :0.5 〜1.5wt.% 、 ニッケル: 0.5〜1.5w
t.% 、 モリブデン:0.2 〜1.0 wt.%、 クロム : 0.1〜2.5
wt.%、 バナジウム:0.01〜0.1 wt.%、 ボロン : 0.0005 〜
0.0030wt.%、 チタン :0.01〜0.20wt.%、 ニオブ : 0.01 〜0.
20wt.%、 からなる成分組成を有し、リン酸塩処理性および塗装後
耐食性が劣る冷延鋼板の表面上に、この発明に従って、
電気めっき法により鉄被覆層を形成し、このような鉄被
覆層が形成された鋼板に、上記と同様の試験を繰り返し
施した結果、結晶核数、塗装後耐食性および鉄被覆層の
加工剥離性に多少の変動があるものの、図1〜3とほぼ
同様の傾向が生ずることがわかった。
〜1.5 wt.%、マンガン: 0.2〜3.0wt.%、および、下記
からなる群から選んだ少なくとも1つの元素: 銅 :0.5 〜1.5wt.% 、 ニッケル: 0.5〜1.5w
t.% 、 モリブデン:0.2 〜1.0 wt.%、 クロム : 0.1〜2.5
wt.%、 バナジウム:0.01〜0.1 wt.%、 ボロン : 0.0005 〜
0.0030wt.%、 チタン :0.01〜0.20wt.%、 ニオブ : 0.01 〜0.
20wt.%、 からなる成分組成を有し、リン酸塩処理性および塗装後
耐食性が劣る冷延鋼板の表面上に、この発明に従って、
電気めっき法により鉄被覆層を形成し、このような鉄被
覆層が形成された鋼板に、上記と同様の試験を繰り返し
施した結果、結晶核数、塗装後耐食性および鉄被覆層の
加工剥離性に多少の変動があるものの、図1〜3とほぼ
同様の傾向が生ずることがわかった。
【0025】上述した試験結果から、この発明において
は、冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に形成される鉄
被覆層の量を、20〜1500mg/m2 の範囲内に限定するもの
である。なお、好ましい鉄被覆層の量は、50〜300mg/m2
の範囲内である。
は、冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に形成される鉄
被覆層の量を、20〜1500mg/m2 の範囲内に限定するもの
である。なお、好ましい鉄被覆層の量は、50〜300mg/m2
の範囲内である。
【0026】鋼板の表面に対する鉄被覆層の形成手段
は、電気めっき法に限られるものではなく、化合物塗布
法、蒸着法等によっても同様の効果が得られる。また、
鉄被覆層を形成した後に、加熱、調質圧延等を施して
も、その効果に何等支障は生じない。鉄の被覆方法によ
っては、鉄被覆層中に、不可避的に不純物が含有される
場合があるが、これら不純物の総含有量が1wt.%未満で
あれば、その効果に支障はない。
は、電気めっき法に限られるものではなく、化合物塗布
法、蒸着法等によっても同様の効果が得られる。また、
鉄被覆層を形成した後に、加熱、調質圧延等を施して
も、その効果に何等支障は生じない。鉄の被覆方法によ
っては、鉄被覆層中に、不可避的に不純物が含有される
場合があるが、これら不純物の総含有量が1wt.%未満で
あれば、その効果に支障はない。
【0027】次に、この発明の、その表面上に鉄被覆層
が形成された冷延鋼板の成分組成を前述したように限定
した理由について説明する。炭素には、鋼板の焼き入れ
性を向上させる作用がある。しかしながら、炭素含有量
が0.001 wt.%未満では、上述した作用に所望の効果が得
られず、且つ、鋼の脱ガス処理に長時間を要し、実用的
ではない。一方、炭素含有量が0.25wt.%を超えると、鋼
板の延性および靭性が劣化する。従って、炭素含有量は
0.001 〜0.25wt.%の範囲内に限定すべきである。
が形成された冷延鋼板の成分組成を前述したように限定
した理由について説明する。炭素には、鋼板の焼き入れ
性を向上させる作用がある。しかしながら、炭素含有量
が0.001 wt.%未満では、上述した作用に所望の効果が得
られず、且つ、鋼の脱ガス処理に長時間を要し、実用的
ではない。一方、炭素含有量が0.25wt.%を超えると、鋼
板の延性および靭性が劣化する。従って、炭素含有量は
0.001 〜0.25wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0028】シリコンには、鋼板の強度および延性のバ
ランスを改善する作用がある。従って、シリコンによる
固溶強化のために0.1 wt.%以上を含有させる。シリコン
含有量が0.1 wt.%未満では、上述した作用に所望の効果
が得られない。一方、シリコン含有量が1.5 wt.%を超え
ると、鋼板が脆化する。従って、シリコン含有量は、0.
1 〜1.5 wt.%の範囲内に限定すべきである。
ランスを改善する作用がある。従って、シリコンによる
固溶強化のために0.1 wt.%以上を含有させる。シリコン
含有量が0.1 wt.%未満では、上述した作用に所望の効果
が得られない。一方、シリコン含有量が1.5 wt.%を超え
ると、鋼板が脆化する。従って、シリコン含有量は、0.
1 〜1.5 wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0029】マンガンには、炭素と同様に、鋼板の焼き
入れ性を向上させる作用がある。しかしながら、マンガ
ン含有量が0.2 wt.%未満では、上述した作用に所望の効
果が得られない。一方、マンガン含有量が3.0 wt.%を超
えると、鋼板の延性が劣化する。従って、マンガン含有
量は、0.2 〜3.0 wt.%の範囲内に限定すべきである。
入れ性を向上させる作用がある。しかしながら、マンガ
ン含有量が0.2 wt.%未満では、上述した作用に所望の効
果が得られない。一方、マンガン含有量が3.0 wt.%を超
えると、鋼板の延性が劣化する。従って、マンガン含有
量は、0.2 〜3.0 wt.%の範囲内に限定すべきである。
【0030】上述したように、この発明の冷延鋼板にお
いては、0.001 〜0.25wt.%の量のC、0.1 〜1.5 wt.%の
量のSiおよび0.2 〜3.0 wt.%の量のMnが必須元素である
が、高強度冷延鋼板としての特性を満足させるために
は、析出強化、焼き入れ性改善および焼き戻し軟化抵抗
の向上等のために、Cu、Ni、Mo、Cr、V、B、Tiおよび
Nbのうちの少なくとも1つの元素を、所定量含有させる
ことが必要である。
いては、0.001 〜0.25wt.%の量のC、0.1 〜1.5 wt.%の
量のSiおよび0.2 〜3.0 wt.%の量のMnが必須元素である
が、高強度冷延鋼板としての特性を満足させるために
は、析出強化、焼き入れ性改善および焼き戻し軟化抵抗
の向上等のために、Cu、Ni、Mo、Cr、V、B、Tiおよび
Nbのうちの少なくとも1つの元素を、所定量含有させる
ことが必要である。
【0031】Cu、V、TiおよびNbには、析出強化を促進
させる作用があり、Nb、MoおよびBには、焼き入れ性を
改善する作用があり、そして、MoおよびCrには、焼き戻
し軟化抵抗を向上させる作用がある。従って、Cu、Ni、
Mo、Cr、V、B、TiおよびNbのうちの少なくとも1つの
元素を、下記の量で選択的に含有させる。 Cu:1.5 wt.%以下、 Ni:1.5 wt.%以下、 Mo:1.0 w
t.%以下、 Cr:2.5 wt.%以下、 V :0.1 wt.%以下、 B :0.0030
wt.%以下、 Ti:0.20wt.%以下、 Nb:0.20wt.%以下、 上記各元素の含有量が、上述した量を超えても、より以
上の効果は得られず、コスト高となる。
させる作用があり、Nb、MoおよびBには、焼き入れ性を
改善する作用があり、そして、MoおよびCrには、焼き戻
し軟化抵抗を向上させる作用がある。従って、Cu、Ni、
Mo、Cr、V、B、TiおよびNbのうちの少なくとも1つの
元素を、下記の量で選択的に含有させる。 Cu:1.5 wt.%以下、 Ni:1.5 wt.%以下、 Mo:1.0 w
t.%以下、 Cr:2.5 wt.%以下、 V :0.1 wt.%以下、 B :0.0030
wt.%以下、 Ti:0.20wt.%以下、 Nb:0.20wt.%以下、 上記各元素の含有量が、上述した量を超えても、より以
上の効果は得られず、コスト高となる。
【0032】上記各選択元素は、鋼板表面の活性度を大
きく阻害し、リン酸塩処理性および塗装後耐食性を劣化
させる。上記各選択元素がリン酸塩処理性および塗装後
耐食性を劣化させる含有量の下限は、必須元素即ちC、
SiおよびMnを、C: 0.001〜0.25wt.%、Si:0.1 〜1.5
wt.%、Mn:0.2 〜3.0 wt.%含有する場合において、各
々、次の通りである。 Cu:0.5 wt.%以上、 Ni:0.5 wt.%以上、 Mo:0.2 w
t.%以上、 Cr:0.1 wt.%以上、 V :0.01wt.%以上、 B :0.0005
wt.%以上、 Ti:0.01wt.%以上、 Nb:0.01wt.%以上。
きく阻害し、リン酸塩処理性および塗装後耐食性を劣化
させる。上記各選択元素がリン酸塩処理性および塗装後
耐食性を劣化させる含有量の下限は、必須元素即ちC、
SiおよびMnを、C: 0.001〜0.25wt.%、Si:0.1 〜1.5
wt.%、Mn:0.2 〜3.0 wt.%含有する場合において、各
々、次の通りである。 Cu:0.5 wt.%以上、 Ni:0.5 wt.%以上、 Mo:0.2 w
t.%以上、 Cr:0.1 wt.%以上、 V :0.01wt.%以上、 B :0.0005
wt.%以上、 Ti:0.01wt.%以上、 Nb:0.01wt.%以上。
【0033】しかしながら、この発明によれば、上述し
た、リン酸塩処理性および塗装後耐食性に悪影響を及ぼ
す量の選択元素が含有されていても、鋼板の表面上に形
成された鉄被覆層によって上述した問題は防止され、リ
ン酸塩処理性および塗装後耐食性が劣化することはな
い。従って、この発明により、鋼板の表面上に形成され
た鉄被覆層が有効に作用し、そして、析出強化、焼き入
れ性改善および焼き戻し軟化抵抗の向上等の作用がもた
らされる上記選択元素の含有範囲は、下記の通りであ
る。 Cu:0.5 〜1.5 wt.%、 Ni:0.5 〜1.5 wt.%、 Mo:0.
2 〜1.0 wt.%、 Cr:0.1 〜2.5 wt.%、 V :0.01〜0.1 wt.%、 B :0.
0005〜0.0030wt.%、 Ti:0.01〜0.20wt.%、 Nb:0.01〜0.20wt.%。
た、リン酸塩処理性および塗装後耐食性に悪影響を及ぼ
す量の選択元素が含有されていても、鋼板の表面上に形
成された鉄被覆層によって上述した問題は防止され、リ
ン酸塩処理性および塗装後耐食性が劣化することはな
い。従って、この発明により、鋼板の表面上に形成され
た鉄被覆層が有効に作用し、そして、析出強化、焼き入
れ性改善および焼き戻し軟化抵抗の向上等の作用がもた
らされる上記選択元素の含有範囲は、下記の通りであ
る。 Cu:0.5 〜1.5 wt.%、 Ni:0.5 〜1.5 wt.%、 Mo:0.
2 〜1.0 wt.%、 Cr:0.1 〜2.5 wt.%、 V :0.01〜0.1 wt.%、 B :0.
0005〜0.0030wt.%、 Ti:0.01〜0.20wt.%、 Nb:0.01〜0.20wt.%。
【0034】なお、片面亜鉛系電気めっき鋼板の非めっ
き面に、鉄または10wt.%以上の鉄を含有する鉄−亜鉛系
合金電気めっき層を1mg/m2 以上付着させてなる片面亜
鉛系電気めっき鋼板(特開昭58-81991号) が提案されて
いるが、この電気めっき鋼板における鉄または鉄−亜鉛
系合金電気めっき層は、非めっき面に付着した亜鉛系電
気めっき液による微量の亜鉛および汚染物の悪影響を阻
止し、リン酸塩処理性を向上させることが目的である。
き面に、鉄または10wt.%以上の鉄を含有する鉄−亜鉛系
合金電気めっき層を1mg/m2 以上付着させてなる片面亜
鉛系電気めっき鋼板(特開昭58-81991号) が提案されて
いるが、この電気めっき鋼板における鉄または鉄−亜鉛
系合金電気めっき層は、非めっき面に付着した亜鉛系電
気めっき液による微量の亜鉛および汚染物の悪影響を阻
止し、リン酸塩処理性を向上させることが目的である。
【0035】これに対し、本発明は、上述したように、
C: 0.001〜0.25wt.%、Si: 0.1〜1.5 wt.%およびMn:
0.2〜3.0 wt.%を必須成分とし、これに、下記からなる
群から選んだ少なくとも1つの元素: Cu:0.5 〜1.5 wt.%、 Ni:0.5 〜1.5 wt.%、 Mo:0.
2 〜1.0 wt.%、 Cr:0.1 〜2.5 wt.%、 V :0.01〜0.1 wt.%、 B :0.
0005〜0.0030wt.%、 Ti:0.01〜0.20wt.%、 Nb:0.01〜0.20wt.%。 を含有する冷延鋼板を対象とするものであって、上記成
分によって不活性化した鋼板の表面を改質し、リン酸塩
処理性および塗装後耐食性の向上を図ったものである。
特開昭58-81991号のように、その表面上に亜鉛および汚
染物等が付着している状態で鉄を被覆しても、十分にそ
の性能を発揮させることはできない。なお、本発明に従
って、鋼板の表面上に鉄被覆層を形成する際には、その
直前に、鋼板の表面を酸洗等によって清浄化することが
好ましい。
C: 0.001〜0.25wt.%、Si: 0.1〜1.5 wt.%およびMn:
0.2〜3.0 wt.%を必須成分とし、これに、下記からなる
群から選んだ少なくとも1つの元素: Cu:0.5 〜1.5 wt.%、 Ni:0.5 〜1.5 wt.%、 Mo:0.
2 〜1.0 wt.%、 Cr:0.1 〜2.5 wt.%、 V :0.01〜0.1 wt.%、 B :0.
0005〜0.0030wt.%、 Ti:0.01〜0.20wt.%、 Nb:0.01〜0.20wt.%。 を含有する冷延鋼板を対象とするものであって、上記成
分によって不活性化した鋼板の表面を改質し、リン酸塩
処理性および塗装後耐食性の向上を図ったものである。
特開昭58-81991号のように、その表面上に亜鉛および汚
染物等が付着している状態で鉄を被覆しても、十分にそ
の性能を発揮させることはできない。なお、本発明に従
って、鋼板の表面上に鉄被覆層を形成する際には、その
直前に、鋼板の表面を酸洗等によって清浄化することが
好ましい。
【0036】
【実施例】次に、この発明の高強度冷延鋼板を、実施例
により比較例と対比しながら、更に説明する。表1に示
す化学成分組成を有する鋼板A〜Iを、冷間圧延後、5
%の水素を含有する窒素ガス雰囲気中において連続焼鈍
し、次いで、本発明に従って、その表面上に鉄被覆層を
形成した。表1の冷延鋼板A〜Hは、この発明の対象と
なる鋼板である。鋼板Iは、成分的にこの発明の対象外
の鋼板であり、鉄被覆層が形成されていない状態でのリ
ン酸塩処理性および塗装後耐食性は、鋼板A〜Hよりも
優れている。
により比較例と対比しながら、更に説明する。表1に示
す化学成分組成を有する鋼板A〜Iを、冷間圧延後、5
%の水素を含有する窒素ガス雰囲気中において連続焼鈍
し、次いで、本発明に従って、その表面上に鉄被覆層を
形成した。表1の冷延鋼板A〜Hは、この発明の対象と
なる鋼板である。鋼板Iは、成分的にこの発明の対象外
の鋼板であり、鉄被覆層が形成されていない状態でのリ
ン酸塩処理性および塗装後耐食性は、鋼板A〜Hよりも
優れている。
【0037】
【表1】
【0038】鋼板A〜Hに対する鉄被覆層の形成は、電
気めっき法により、次のようにして行った。即ち、鋼板
に対し、前処理として、100 g/l のH2SO4 を含有する常
温の浴中に3秒間浸漬することにより酸洗処理を施し、
次いで、下記電解条件で3秒間通電して、鋼板の表面上
に、約200 mg/m2 の量の鉄被覆層を形成し、かくして、
表2に示す本発明の供試体(以下、本発明供試体とい
う)No. 1〜8を調製した。比較のために、表2に併せ
て示す、鋼板A〜Iに鉄被覆層を有しない供試体(以
下、比較用供試体という)No. 1〜9を調製した。 めっき浴組成: 硫酸第一鉄 : 300 g/l 、 硫酸ナトリウム: 30 g/l 、 クエン酸 : 5 g/l 、 pH値 : 2.2 浴温 : 35 ±2 ℃、 電流密度 : 3 A/dm2 。
気めっき法により、次のようにして行った。即ち、鋼板
に対し、前処理として、100 g/l のH2SO4 を含有する常
温の浴中に3秒間浸漬することにより酸洗処理を施し、
次いで、下記電解条件で3秒間通電して、鋼板の表面上
に、約200 mg/m2 の量の鉄被覆層を形成し、かくして、
表2に示す本発明の供試体(以下、本発明供試体とい
う)No. 1〜8を調製した。比較のために、表2に併せ
て示す、鋼板A〜Iに鉄被覆層を有しない供試体(以
下、比較用供試体という)No. 1〜9を調製した。 めっき浴組成: 硫酸第一鉄 : 300 g/l 、 硫酸ナトリウム: 30 g/l 、 クエン酸 : 5 g/l 、 pH値 : 2.2 浴温 : 35 ±2 ℃、 電流密度 : 3 A/dm2 。
【0039】
【表2】
【0040】上述した本発明供試体No. 1〜8および比
較用供試体No. 1〜9に対し、そのリン酸塩処理性およ
び塗装後耐食性を下記によって調べ、その結果を、表2
に示した。 リン酸塩処理性 日本パーカライジング社製のPB 3030 処理液を使用して
10秒間処理した後の、リン酸塩結晶の初期核数、およ
び、2分間処理した後の完成リン酸塩皮膜の結晶サイズ
を、各々走査型電子顕微鏡によって調べ、これによって
リン酸塩処理性を評価した。 塗装後耐食性 鋼板の表面に20μm の厚さで、日本ペイント株式会社製
パワートップ U-600塗料を塗装し、次いで、塩水噴霧試
験を500 時間施した後、クロスカット部に発生した錆幅
とブリスター数を調べ、これによって塗装後耐食性を評
価した。
較用供試体No. 1〜9に対し、そのリン酸塩処理性およ
び塗装後耐食性を下記によって調べ、その結果を、表2
に示した。 リン酸塩処理性 日本パーカライジング社製のPB 3030 処理液を使用して
10秒間処理した後の、リン酸塩結晶の初期核数、およ
び、2分間処理した後の完成リン酸塩皮膜の結晶サイズ
を、各々走査型電子顕微鏡によって調べ、これによって
リン酸塩処理性を評価した。 塗装後耐食性 鋼板の表面に20μm の厚さで、日本ペイント株式会社製
パワートップ U-600塗料を塗装し、次いで、塩水噴霧試
験を500 時間施した後、クロスカット部に発生した錆幅
とブリスター数を調べ、これによって塗装後耐食性を評
価した。
【0041】表2から明らかなように、鋼板の表面上に
鉄被覆層が形成されていない比較用供試体No. 1〜9
は、何れも、リン酸塩処理において、皮膜形成時の初期
核数が少なく且つ結晶サイズは大きく、従って、リン酸
塩処理性は悪かった。そして、これに伴って、塗装後耐
食性も悪かった。これに対し、本発明供試体No. 1〜8
は、何れも、リン酸塩処理において、皮膜形成時の初期
核数が増大し且つ結晶サイズは微小化して完成皮膜は緻
密化し、従って、リン酸塩処理性は良好であった。そし
て、これに伴って、塗装後耐食性が大幅に向上した。
鉄被覆層が形成されていない比較用供試体No. 1〜9
は、何れも、リン酸塩処理において、皮膜形成時の初期
核数が少なく且つ結晶サイズは大きく、従って、リン酸
塩処理性は悪かった。そして、これに伴って、塗装後耐
食性も悪かった。これに対し、本発明供試体No. 1〜8
は、何れも、リン酸塩処理において、皮膜形成時の初期
核数が増大し且つ結晶サイズは微小化して完成皮膜は緻
密化し、従って、リン酸塩処理性は良好であった。そし
て、これに伴って、塗装後耐食性が大幅に向上した。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の高強度冷
延鋼板によれば、鋼板自体の耐食性を損なうことなく、
リン酸塩処理性が向上し、優れた塗装後耐食性が発揮さ
れる工業上有用な効果がもたらされる。
延鋼板によれば、鋼板自体の耐食性を損なうことなく、
リン酸塩処理性が向上し、優れた塗装後耐食性が発揮さ
れる工業上有用な効果がもたらされる。
【図1】鉄被覆量とリン酸塩処理における初期結晶核数
との関係を示すグラフである。
との関係を示すグラフである。
【図2】鉄被覆量と塗装後耐食性との関係を示すグラフ
である。
である。
【図3】鉄被覆量と鉄被覆層の加工剥離量との関係を示
すグラフである。
すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C25D 5/26 A // C23C 18/32 C25D 3/20
Claims (2)
- 【請求項1】 炭素 : 0.001〜0.25wt.%、 シリコン : 0.1 〜1.5 wt.%、 マンガン : 0.2 〜3.0 wt.%、および、 下記からなる群から選んだ少なくとも1つの元素: 銅 : 0.5 〜1.5 wt.% ニッケル : 0.5 〜1.5 wt.% モリブデン: 0.2 〜1.0 wt.% クロム : 0.1 〜2.5 wt.% バナジウム: 0.01 〜0.1 wt.% ボロン : 0.0005 〜0.0030wt.% チタン : 0.01 〜0.20wt.%、および、 ニオブ : 0.01 〜0.20wt.% からなる成分組成を有する冷延鋼板と、 前記冷延鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、
20〜1500mg/m2 の範囲内の量の鉄被覆層とからなること
を特徴とする、塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼
板。 - 【請求項2】 前記鉄被覆層の量が、50〜300mg/m2の範
囲内である、請求項1記載の冷延鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15754992A JPH05320952A (ja) | 1992-05-25 | 1992-05-25 | 塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15754992A JPH05320952A (ja) | 1992-05-25 | 1992-05-25 | 塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05320952A true JPH05320952A (ja) | 1993-12-07 |
Family
ID=15652115
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15754992A Pending JPH05320952A (ja) | 1992-05-25 | 1992-05-25 | 塗装後の耐食性に優れた高強度冷延鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05320952A (ja) |
Cited By (17)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| WO2012133869A1 (ja) | 2011-03-28 | 2012-10-04 | Jfeスチール株式会社 | Si含有冷延鋼板の製造方法及び装置 |
| JP2013237912A (ja) * | 2012-05-16 | 2013-11-28 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corp | 化成処理性に優れた高張力冷延鋼帯とその製造方法 |
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| WO2014136412A1 (ja) | 2013-03-04 | 2014-09-12 | Jfeスチール株式会社 | 高強度鋼板及びその製造方法並びに高強度溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 |
| KR20150013719A (ko) | 2012-06-15 | 2015-02-05 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 고강도 용융 아연 도금 강판 그리고 그것들의 제조 방법 |
| KR20150017767A (ko) | 2012-07-23 | 2015-02-17 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 그 제조 방법 |
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| KR20150124456A (ko) | 2010-09-30 | 2015-11-05 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 그 제조 방법 |
| KR20160122813A (ko) | 2014-02-18 | 2016-10-24 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 고강도 강판의 제조 방법 |
| KR20160122834A (ko) | 2014-02-18 | 2016-10-24 | 제이에프이 스틸 가부시키가이샤 | 고강도 강판 및 그의 제조 방법 |
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