JPH05332958A - X線回折装置及びそれに用いる位置敏感型ガス入りx線計数器 - Google Patents

X線回折装置及びそれに用いる位置敏感型ガス入りx線計数器

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JPH05332958A
JPH05332958A JP12726691A JP12726691A JPH05332958A JP H05332958 A JPH05332958 A JP H05332958A JP 12726691 A JP12726691 A JP 12726691A JP 12726691 A JP12726691 A JP 12726691A JP H05332958 A JPH05332958 A JP H05332958A
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ray
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gas
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JP12726691A
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Kiyoshi Ogata
潔 尾形
Asao Nakano
朝雄 中野
Makiko Kono
真貴子 河野
Kazufumi Azuma
東  和文
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】固体表面の原子あるいは分子の配列を解析する
ために、高真空雰囲気の測定室内においてX線回折を測
定可能とする。また、高真空雰囲気において、任意のエ
ネルギーのX線を高精度に計数可能な位置敏感型ガス入
りX線計数器を提供する。 【構成】4は高真空雰囲気の測定室である。入射X線1
は試料2に入射し、回折X線3は位置敏感型X線計数器
5により計数する。5は2重のX線透過窓6、7を持
ち、これら両窓の間の真空容器部10はターボ分子ポン
プ14及びロータリーポンプ15によって排気される。
16は真空計であり、X線透過窓7が破損し、真空容器
部10の圧力がある値より大きくなった場合には、自動
的に17の締切バルブを閉じ測定室4への動作ガスのリ
ークを防止する。18は圧力調整器であり、一定のガス
圧を保って計数器部に動作ガスを供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高真空雰囲気でX線回折
の測定を行なうためのX線回折装置に係り、特にシンク
ロトロン放射光を用いた軟X線回折あるいは固体表面の
X線回折の測定に好適な、X線回折装置及びそれに用い
る高真空用の位置敏感型X線計数器に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来は実用に供し得る高真空用の位置敏
感型ガス入りX線計数器は存在しなかったため、この種
の計数器を備えたX線回折装置においては、計数器を大
気中に設置する方式のものが一般的であった。
【0003】ガス入り位置敏感型X線計数器は、例えば
G.F.Knoll著(木村、阪井訳)「放射線計測ハ
ンドブック」〔日刊工業新聞社刊行(1982)169
頁〜171頁〕に記述されているように、1気圧程度の
動作ガスを入れた計数器内に陽極線を張り、高電圧を印
加する。この陽極線に沿って、X線透過率の大きいベリ
リウム(Be)膜等からなるX線透過窓を設ける。X線
が上記X線透過窓を透過し、計数管内の上記陽極線付近
に入射すると動作ガスが電離し計数されると云う構成の
ものである。
【0004】また、例えばジャーナル・オブ・アプライ
ド・クリスタログラフィー第19巻420〜426頁
〔Journal of Applied Crystallography,19,4
20−426〕に記載のあるS.Shishiguchi他著の
「円筒型位置敏感型計数器を用いたパターン解析のため
の粉末X線回折データの迅速測定」〔Rapid Collecti
onof X−ray Powder Data for Pattern Analysis
by a Cylindrical Position−Sensitive Detecto
r〕に記述されているように、ストリーマモードを用い
るタイプの位置敏感型ガス入りX線計数器では、Be膜
等のX線透過窓を持つ計数器内に、3気圧程度の動作ガ
スをいれて使用していた。
【0005】以上述べたように従来の位置敏感型ガス入
りX線計数器においては、Be膜等のX線透過窓を持つ
X線計数器内部に1気圧以上の動作ガスを入れ、X線透
過窓より入射するX線を計数するようになっていた。
【0006】上述のようにこの種の計数器を備えたX線
回折装置においては、計数器を大気中に設置する方式の
ものが一般的であるが、蛍光X線分析装置においては試
料室を真空状態とする構成も知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のX線回
折装置では、試料とX線計数器の間に空気が存在するた
め、低エネルギーのX線、特にエネルギー5keV以下
のX線は吸収が大きく、高精度のX線計数ができないと
いう問題があった。
【0008】また、上記従来技術の位置敏感型ガス入り
X線計数器は、X線源としてシンクロトロン放射光を用
いたX線回折や固体表面のX線回折の計数など、高真空
雰囲気での使用を想定した場合、高圧の動作ガスがX線
透過窓から真空雰囲気中にリークする点から不適なもの
であった。特にシンクロトロン放射光を用いる場合に
は、X線透過窓の破損によるシンクロトロン内へのガス
のリークの危険性があるため使用できなかった。
【0009】また、上記従来技術では圧力が1気圧以上
の動作ガスを使用していたため、X線透過窓内外の圧力
差に耐えられる膜をX線透過窓材として使用する必要が
あった。ところが5keV以下の低エネルギーのX線領
域においては、上記X線透過窓はX線吸収が大きいた
め、十分な計数精度が得ることができないという問題が
あった。
【0010】前述したように蛍光X線分析装置において
は試料室を真空状態とする構成も提案されているが、こ
れをX線回折装置にそのまま転用することはできず、計
数器の作動ガスが試料室にリークしてX線源に重大な事
故を引き起こすと云う問題がある。それ故、計数器のX
線透過窓を堅牢な構成とするため窓材を厚くするか、試
料の周囲のみをX線透過壁で覆った構成をも提案されて
いるが、これらの場合にはいずれも低エネルギーの回折
線が窓材や壁に吸収されため高エネルギーの測定が対象
となり、低エネルギーの回折スペクトルの計測は不可能
であった。
【0011】また、上記従来技術では電極として直径1
00μm以下の金属細線を使用していたため、湾曲型X
線計数器に適用した場合には電極が正確な円弧形状を描
かず、位置分解能が低下するという問題もあった。
【0012】したがって、本発明の目的は、上記従来の
問題点を解消することにあり、固体表面の原子あるいは
分子の配列を解析するために、高真空雰囲気の測定室内
においてX線回折を測定可能とする改良されたX線回折
装置を提供することにある。また、本発明の他の目的
は、高真空雰囲気において、任意のエネルギーのX線を
高精度に計数可能な位置敏感型ガス入りX線計数器を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明によるX線回折装置は、位置敏感型ガス入りX線
計数器及び試料台を高真空雰囲気の測定室内に収納して
成るX線回折装置であって、前記位置敏感型ガス入りX
線計数器を、低X線吸収の膜よりなる第1のX線透過窓
を有すると共に、内部にX線により電離される所定圧力
の動作ガスと動作ガスの電離を測定するための電極とを
収納して成る計数器部と;少なくとも前記第1のX線透
過窓を一方の隔壁とし、この隔壁から所定の間隔を置い
て対向して設けられた低X線吸収の膜よりなる第2のX
線透過窓を他方の隔壁とする容器と、この容器内の真空
度を独自に制御し得る排気手段とを有して成る真空容器
部とで構成して成り、高真空中でX線回折を測定可能と
したものである。
【0014】また、上記目的を達成するため、本発明に
よる位置敏感型ガス入りX線計数器は、低X線吸収の膜
よりなる第1のX線透過窓を有すると共に、内部にX線
により電離される所定圧力の動作ガスと動作ガスの電離
を測定するための電極とを収納して成る計数器部と;少
なくとも前記第1のX線透過窓を一方の隔壁とし、この
隔壁から所定の間隔を置いて対向して設けられた低X線
吸収の膜よりなる第2のX線透過窓を他方の隔壁とする
容器と、この容器内の真空度を独自に制御し得る排気手
段とを有して成る真空容器部とにより構成されるもので
ある。
【0015】そして、本発明を実現するにより好ましい
構成例を例示すると、以下の通りである。上記X線透過
窓としては、低エネルギー領域のX線回折を高精度で計
数可能とするために、機械的強度が小さいため大気圧を
保持不能な薄膜、つまり機械的強度は小さいが低エネル
ギーX線の吸収が小さい薄膜をX線透過窓として使用す
る。 また、上記位置敏感型ガス入りX線計数器として
は、計数器部に、圧力調整器を介して少なくとも作動ガ
ス供給手段を配設すると共に、排気手段を配設し、前記
計数器部内のガス圧を所定値に制御設定し得るようにす
る。
【0016】また、上記計数器部内に収納する電極を、
絶縁有機フィルム表面に蒸着もしくは接着により金属薄
膜の細線を形成した電極とする。また、超高真空雰囲気
を大気圧にリークする際のX線透過窓の破損を防止する
ために、計数器部と真空容器部とを連結する弁を設け
る。さらには真空容器部と高真空雰囲気の測定室とを連
結する弁を設ける。さらにまた、上記位置敏感型ガス入
りX線計数器を構成する計数器部と真空容器部とを連結
する弁と、前記位置敏感型ガス入りX線計数器と測定室
とを連結する弁とをそれぞれ設ける。
【0017】本発明の好ましいX線回折方法を実現する
ためには、以上記載の位置敏感型ガス入りX線計数器を
備えたX線回折装置を用いて、X線を試料表面に対し全
反射臨界角以内の角度で入射させればよく、これにより
試料表面もしくは薄膜のX線回折を容易に測定すること
ができる。
【0018】
【作用】上記X線回折装置は、高真空用の位置敏感型ガ
ス入りX線計数器及び試料台を高真空雰囲気の測定室内
に収納することにより、高真空中でX線回折を測定可能
となる。これにより、試料からの回折X線が大気に吸収
されること無く計数可能となるため特にエネルギー5k
eV以下の低エネルギーX線によるX線回折も高精度で
測定可能となる。
【0019】また、上記位置敏感型ガス入りX線計数器
は、第1及び第2の2枚のX線透過窓内部に動作ガス及
び電極を収納し、上記2枚のX線透過窓をそれぞれ隔壁
とする真空容器部の真空度を独自に制御可能としたこと
により、高圧の動作ガスがX線透過窓から高真空の測定
室にリークすることを防止し、高真空中での使用を可能
とした。
【0020】また、上記位置敏感型ガス入りX線計数器
において、動作ガス組成及び圧力調整機構を用いること
により、X線計数器の計数効率及びX線透過率を、測定
するX線のエネルギーに応じて最適の値に調節すること
が出来る。また、5keV以下の低エネルギー領域を測
定する場合には、動作ガスの圧力を大気圧より小さく
し、計数器部のX線透過窓内外の圧力差を減少させる。
これにより、機械的強度は小さいが低エネルギーX線の
吸収が小さい薄膜をX線透過窓として使用可能となる。
【0021】また、真空容器部と高真空雰囲気の測定室
を連結する弁は、真空容器部または高真空雰囲気の測定
室を大気圧にリークする際に、両者が連通することによ
り両者間の圧力差を減少させることができ、X線透過窓
の破損を未然に防止する作用を有する。また、計数器部
と真空容器部とを連結する弁を設けたことにより、計数
器部を容易に高真空まで減圧することが可能となる。こ
れにより測定時の雑音の原因となる電極付近の水分や計
数器部内部の動作ガス中の不純物を除去することができ
る。
【0022】また、電極として有機フィルム表面に蒸着
あるいは接着した金属の細線を使用したことにより、電
極を正確な円弧の形状に保持することが可能となり、位
置分解能を向上することができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の代表的な実施例を図面を用い
て詳細に説明する。 〈実施例1〉 (1)装置構成:図1は、本発明の一実施例となるX線
回折装置の模式図を示したものである。同図にしたがっ
て説明すると、4は高真空雰囲気の測定室であり、その
内部に位置敏感型ガス入りX線計数器5を備えている。
2は試料であり、図を省略した試料台上に保持する。入
射X線1は、試料2に矢印の方向に入射する。回折X線
3の方向は試料によって異なるが、例えば多結晶性の試
料の場合には、図1に示したように同時に複数の方向に
回折される。これら複数の回折X線3は位置敏感型X線
計数器5により同時に計数される。
【0024】位置敏感型X線計数器5は、所定の間隔
(例えば10mm)で対向し、試料の測定位置を中心と
する円弧(例えば角度120°の広がり)形状の2重の
X線透過窓6、7を持ち、内側のX線透過窓7(第1の
窓)の内部を計数器部11、外側のX線透過窓6(第2
の窓)の内部を真空容器部10と呼ぶ。X線透過窓6に
は2.5μm厚の高分子有機膜を用い、X線透過窓7に
は7.5μm厚のベリリウム膜を用いている。計数器部
11には動作ガスを充填し、電極8、9を配置してあ
る。
【0025】位置敏感型ガス入りX線計数器のX線計数
の原理は、通常のガス入りX線計数器と同様だが、位置
検出を可能とする機構を有するところが特徴である。例
えば位置敏感型比例計数器では、1気圧程度の動作ガス
(例えば希ガスと炭化水素との混合ガス)を入れた計数
器内に陽極線を張り、高電圧を印加する。この陽極線に
沿って、X線透過率の大きいベリリウム膜等からなるX
線透過窓を設ける。X線が上記X線透過窓を透過し、計
数管内の上記陽極線付近に入射すると動作ガスが電離し
電子雪崩が生じるが、その位置は陽極線長の小部分に限
られる。上記陽極抵抗線に入射した位置は、増幅器及び
位置弁別器等の周知の電気的回路を用いた信号処理によ
りパルスの波高に変換した後、通常のX線計測に用いら
れるA/Dコンバータ及びマルチチャンネルアナライザ
等を用いて解析する。
【0026】22は複数のガスボンベ及び減圧弁であ
り、ガス混合装置21に導入してガスの組成を設定す
る。18は圧力調整器であり、図示していない圧力計、
可変リークバルブ及び制御装置よりなり、あらかじめ任
意の値に設定した圧力と計測圧力の差に応じてPID
(比例積分微分)制御により可変リークバルブを開閉し
てコンダクタンスを調整し、一定のガス圧を保って計数
器部に動作ガスを供給する。19はコンダクタンス調整
用の可変リークバルブであり、20はロータリーポンプ
である。バルブ19及び前記18の制御装置のゲインと
時定数を調整することにより、安定した圧力制御を行う
ことができる。即ち、動作ガス組成及び圧力制御(調
整)機構を用いることにより、X線計数器の計数効率及
びX線透過率を、測定するX線のエネルギーに応じて最
適の値に調節することが出来る。
【0027】真空容器部10は、ターボ分子ポンプ14
及びロータリーポンプ15によって排気する。16は真
空計であり、X線透過窓7が破損し真空容器部10の圧
力があらかじめ設定した閾値より高くなった場合には、
自動的に17の締切バルブを閉じ高真空雰囲気の測定室
4への動作ガスのリークを防止する。
【0028】計数器部11、真空容器部10、または高
真空雰囲気の測定室4に大気圧のリークを行う際には、
X線透過窓6、7の破損を防ぐために前記計数器部1
1、真空容器部10、測定室4各部の圧力を等しく保ち
ながらリークする必要がある。このためには、まず17
のバルブを閉じて作動ガスの供給を遮断し、計数器部の
圧力を下げた後23、24、25の各バルブを開いて前
記11、10、4各部の圧力を等しくし、その後26の
リークバルブを開き空気乾燥器27を経た乾燥空気を導
入する。この場合X線透過窓6、7にかかる差圧をでき
るかぎり小さくするため、リークバルブ26からX線透
過窓6、7両面へのコンダクタンスが等しくなるように
留意する必要がある。
【0029】(2)X線と試料の方位の関係について:
まず、X線回折を表面敏感に測定する方法である全反射
法について説明する。X線1が真空中から試料2に入射
する角度をαiとし、試料2のX線1に対する屈折率を
nとすると臨界角αcは次式1で与えられる。
【0030】
【数1】αc=√2(1−n) ……(1) 例えば波長0.15nmのX線に対しては通常0.2°
から0.6°の値となる。αi<αcの時には全反射が
起き、入射X線1は50%以上反射される。この時試料
2の内部にX線1が全く侵入しないわけではなく、表面
に沿った波が存在する。その強度が1/eになる深さを
侵入深さと呼び、試料の物性及びX線のエネルギーの関
数となる。
【0031】図2にはSiO2を試料とした場合の、入
射X線1のエネルギーと入射角αi、侵入深さとの関係
を示してある。なおαi《αcの時は、侵入深さはX線
のエネルギーによらず、例えばSiでは3.2nm、A
uでは1.2nmとなる。
【0032】次に図3を用いて、試料が3次元格子を持
つ結晶である場合の回折条件について説明する。入射X
線1の波数ベクトルをkiとし、回折X線3の波数ベク
トルをkd、試料2のミラー指数hklの格子面の逆格
子ベクトル30をg(hkl)とすると、次式2が成り
立つ時回折が生じる。
【0033】
【数2】g(hkl)=kd−ki ……(2) 図4は、上記の波数ベクトル及び逆格子ベクトルの関係
を表している。
【0034】式3はブラッグ条件と呼ばれるX線回折の
条件式であり、式2をスカラーで表したものである。
【0035】
【数3】2d(hkl)sinθ=λ ……(3) ただし、d(hkl)は格子面hklの面間隔(n
m)、λは入射X線1の波長(nm)、2θは入射X線
1と回折X線2とのなす角である。
【0036】式2が成り立って指数hklの格子面に対
する回折条件が満たされている時、g(hkl)を中心
として試料2を回転しても式2は成り立つ。そこで入射
X線1を試料2の表面にすれすれの角度で入射し、全反
射させるためには、例えば、αi=0.5°になるま
で、g(hkl)を中心として試料2を回転すれば良
い。
【0037】次に試料が2次元構造を持つ場合の回折条
件について説明する。固体表面の構造、例えば固体表面
原子の再配列構造、あるいは固体表面に付着させたLB
膜等は、試料表面に平行な2次元格子を持つ。図5は2
次元格子に対する回折条件を説明する原理図である。k
iは入射X線1の波数ベクトル、kdは回折X線3の波
数ベクトル、g(hk)は試料2の指数hkの逆格子ベ
クトル31である。
【0038】ki‖をkiの試料表面に平行な成分ベク
トル、kd‖をkdの試料2表面に平行な成分ベクトル
とすると、次式4が成り立つ。
【0039】
【数4】g(hk)=kd‖−ki‖ ……(4) 回折条件を変えるには、試料2表面に垂直な軸の回りに
回転させれば良い。
【0040】〈実施例2〉図6は、本発明に係るX線回
折装置の他の実施例となるシンクロトロン放射光をX線
源に用いたX線回折装置の模式図を示す。同図に示した
全ての要素は高真空のビームパス及び測定室中に収納し
てあるが、本図では省略してある。シンクロトロン32
より放射される白色X線33はモノクロメータ34によ
り単色化する。得られた単色X線35をX線集光鏡36
で集光した後、4象限スリット37で整形し、入射X線
計数器38で入射X線強度をモニターする。38を透過
したX線1は、試料2の表面すれすれに入射し全反射す
る。反射したX線39の強度は反射X線計数器40で計
数する。
【0041】回折X線3は湾曲型の位置敏感型X線計数
器5で計数する。この位置敏感型X線計数器5の構成
は、図1に示したものと基本的に同一である。この図で
は省略してあるが、試料2は試料台に取り付けられ、試
料台は図中に示したX、Y、Z軸方向の平行移動機構及
びY軸及びZ軸を中心とした回転機構を有する。試料2
をY軸方向に平行移動することにより試料2の表面の中
心がZ軸と一致するようにし、また、X−Z方向に平行
移動することにより、X線1の入射位置を任意に選択す
ることができる。Z軸の回りに回転することにより入射
角を任意の角度に設定し、Y軸の回りに回転することに
より式4に示した回折条件を満たす逆格子面を選ぶこと
ができる。
【0042】図7は本実施例を用いて測定した低エネル
ギーX線回折の一例である。位置敏感型X線計数器を用
いることにより複数の回折スポットを同時に測定するこ
とができた。なお、測定試料としてはSi基板上の単分
子膜を用いたものであり、従来の空気中下に位置敏感型
X線計数器を配設したX線回折装置では、このような高
感度の回折曲線は得られなかった。
【0043】〈実施例3〉図8は、本発明に係る位置敏
感型X線計数器に収納される電極の一構成例を示した上
面模式図である。即ち、図1に示した位置敏感型X線計
数器の電極8に、かかる電極を交換して使用するもので
ある。同図において、41は絶縁物からなる有機フィル
ムであり、42は電極パターンを示す。この種の電極
は、有機フィルム表面に蒸着等により形成した金属薄膜
を、周知のパターン形成法の一つであるリソグラフィー
技術により所定の線幅の細線パターンを形成することに
より容易に得ることができる。以下にその製造例を具体
的に示す。
【0044】まず、厚さ7.5μmの帯状のポリイミド
フィルム41を準備し、その表面にアルミニウムを厚さ
10μm蒸着した後、レジストを塗布し、フォトリソグ
ラフィー技術により、幅20μmの細線部を有するパタ
ーン42を形成した。レジストとしては、例えば東京応
化工業製の商品名OFPR800ポジ型レジスト、ある
いは同じくOMR83ネガ型レジスト等を用いた。所定
線幅のマスクパターンの形成されたマスクを用いて露
光、現像してレジストマスクパターンを形成後、ウエッ
トエッチングによりアルミニウムを選択エッチングし、
目的とする電極細線パターンを得た。
【0045】エッチング溶液としては、リン酸:硝酸:
酢酸:水=80:5:10:5の混合物を用いた。な
お、電極細線パターン幅が約50μmより大きい場合に
はフォトリソグラフィーより簡便な方法として、例え
ば、ウエットエッチングによりスリットを形成したステ
ンレス板をマスクとして用い、蒸着のみによってパター
ンを形成することもできる。
【0046】図9は、図8に示した薄膜電極を湾曲型の
位置敏感型X線計数器に使用する場合の電極ホルダー4
3の例としてその側面図を示したものである。ポリテト
ラフルオロエチレンを円弧状に切削加工し、しかも電極
細線が面する領域にはスリットを設けたものであり、2
枚のホルダーの間に前記薄膜電極41、42を挾み込ん
で固定するものである。以上、薄膜電極を用いた位置敏
感型ガス入りX線計数器について実施例を示したが、他
の電極形状、例えばブレード状電極等を用いる場合でも
本実施例と同様のガス及び真空系を用いて実現できるこ
とは云うまでもない。
【0047】
【発明の効果】本発明によればX線回折装置において、
高真空用の位置敏感型ガス入りX線計数器及び試料台
を、高真空雰囲気の測定室内に収納することにより、高
真空中でのX線回折の測定が可能となる。これにより、
試料からの回折X線が大気に吸収されること無く計数可
能となるため、これまで計測が不可能とされてきた低エ
ネルギーのX線、特にエネルギー5keV以下のX線に
よるX線回折も高精度で測定可能となる。
【0048】また、X線を試料表面すれすれの角度、つ
まり全反射臨界角以内で入射させ全反射させることによ
り、試料表面あるいは薄膜のX線回折が測定可能とな
る。
【0049】また、位置敏感型ガス入りX線計数器にお
いて、2重のX線透過窓内部に動作ガス及び電極を収納
し、上記の2枚のX線透過窓の間の真空容器部の真空度
を独自に制御可能とすることにより、高圧の動作ガスが
X線透過窓から測定室にリークするのを防止し、高真空
中で計測が可能となる。
【0050】また、上記位置敏感型ガス入りX線計数器
において、動作ガス組成及び圧力調整機構を用いること
により、X線計数器の計数効率及びX線透過率を、測定
するX線のエネルギーに応じて最適の値に調節すること
が出来る。
【0051】また、5keV以下の低エネルギー領域を
測定する場合には、動作ガスの圧力を大気圧より小さく
し、計数器部のX線透過窓内外の圧力差を減少させる。
これにより、機械的強度は小さいが低エネルギーX線の
吸収が小さい薄膜をX線透過窓として使用可能となる。
【0052】また、真空容器部と高真空雰囲気の測定室
とを連結する弁を設けたことにより、真空容器部または
高真空雰囲気の測定室を大気圧にリークする際のX線透
過窓の破損を未然に防止することができる。
【0053】また、計数器部と真空容器部とを連結する
弁を設けたことにより、計数器部を容易に高真空まで減
圧することが可能となる。これにより測定時の雑音の原
因となる電極付近の水分や計数器部内部の動作ガス中の
不純物を除去することができる。
【0054】また、電極として、絶縁(有機)フィルム
表面に蒸着あるいは接着した金属の細線を使用したこと
により、電極を正確な円弧の形状に保持することが可能
となり、位置分解能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】位置敏感型ガス入りX線計数器及び試料台を、
高真空雰囲気の測定室の内部に組み込んだX線回折装置
の一実施例を示す断面模式図である。
【図2】SiO2を試料とした場合の、X線光子エネル
ギー、X線侵入深さ及びX線入射角との関係を示す特性
曲線図である。
【図3】試料が3次元格子を持つ結晶である場合の回折
条件を示す原理図である。
【図4】逆格子ベクトルとX線波数ベクトルの関係を表
す図である。
【図5】試料が2次元格子を持つ場合の回折条件を示す
原理図である。
【図6】本発明の他の実施例となるシンクロトロン放射
光をX線源に用いたX線回折装置の模式図である。
【図7】本実施例を用いて測定したX線回折の一例を示
すスペクトル曲線図である。
【図8】本発明に係る薄膜電極の上面模式図である。
【図9】湾曲型X線計数器のための薄膜電極の側面図で
ある。
【符号の説明】
1…入射X線、 2…試料、
3…回折X線、 4…測定
室、5…位置敏感型X線検出器、 6…第
2のX線透過窓、7…第1のX線透過窓、
8、9…電極、10…真空容器部、
11…計数器部、12…ターボ分子ポンプ、
13…ロータリーポンプ、14…ロー
タリーポンプ、 15…ターボ分子ポン
プ、16…真空計、 17…
締切バルブ、18…圧力調整器、
19…可変リークバルブ、20…ロータリーポンプ、
21…ガス混合装置、22…ガスボン
ベ、 23、24、25…締切バ
ルブ、26…可変リークバルブ、 27
…空気乾燥器、30、31…逆格子ベクトル、
32…シンクロトロン、33…白色X線、
34…モノクロメータ、35…単色X
線、 36…X線集光鏡、37
…4象限スリット、 38…入射X線
計数器、39…反射X線、 4
0…反射X線計数器、41…ポリイミドフィルム、
42…アルミニウム蒸着膜、43…電極ホル
ダー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 和文 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】位置敏感型ガス入りX線計数器及び試料台
    を高真空雰囲気の測定室内に収納して成るX線回折装置
    であって、前記位置敏感型ガス入りX線計数器を、低X
    線吸収の膜よりなる第1のX線透過窓を有すると共に、
    内部にX線により電離される所定圧力の動作ガスと動作
    ガスの電離を測定するための電極とを収納して成る計数
    器部と;少なくとも前記第1のX線透過窓を一方の隔壁
    とし、この隔壁から所定の間隔を置いて対向して設けら
    れた低X線吸収の膜よりなる第2のX線透過窓を他方の
    隔壁とする容器と、この容器内の真空度を独自に制御し
    得る排気手段とを有して成る真空容器部とで構成して成
    り、高真空中でX線回折を測定可能としたX線回折装
    置。
  2. 【請求項2】低X線吸収の膜よりなる第1のX線透過窓
    を有すると共に、内部にX線により電離される所定圧力
    の動作ガスと動作ガスの電離を測定するための電極とを
    収納して成る計数器部と;少なくとも前記第1のX線透
    過窓を一方の隔壁とし、この隔壁から所定の間隔を置い
    て対向して設けられた低X線吸収の膜よりなる第2のX
    線透過窓を他方の隔壁とする容器と、この容器内の真空
    度を独自に制御し得る排気手段とを有して成る真空容器
    部とで構成して成る位置敏感型ガス入りX線計数器。
  3. 【請求項3】上記位置敏感型ガス入りX線計数器を構成
    する計数器部と真空容器部との間に、これら両者を連結
    するための弁を設けて成る請求項2記載の位置敏感型X
    線計数器。
  4. 【請求項4】上記X線透過窓を、機械的強度が小さいた
    め大気圧を保持不能な薄膜で構成して成る請求項2もし
    くは3記載の位置敏感型ガス入りX線計数器。
  5. 【請求項5】上記計数器部に、圧力調整器を介して少な
    くとも作動ガス供給手段を配設すると共に、排気手段を
    配設し、前記計数器部内のガス圧を所定値に制御設定し
    得るようになして成る請求項2乃至4何れか記載の位置
    敏感型ガス入りX線計数器。
  6. 【請求項6】上記計数器部内に収納する電極を、絶縁有
    機フィルム表面に蒸着もしくは接着により金属薄膜の細
    線を形成した電極で構成して成る請求項2乃至5何れか
    記載の位置敏感型ガス入りX線計数器。
  7. 【請求項7】請求項1記載のX線回折装置における位置
    敏感型ガス入りX線計数器として、請求項2乃至6何れ
    か記載の位置敏感型ガス入りX線計数器を具備して成る
    X線回折装置。
  8. 【請求項8】上記位置敏感型ガス入りX線計数器と測定
    室とを連結する弁を設けて成る請求項7記載のX線回折
    装置。
  9. 【請求項9】上記位置敏感型ガス入りX線計数器を構成
    する計数器部と真空容器部とを連結する弁と、前記位置
    敏感型ガス入りX線計数器と測定室とを連結する弁とを
    それぞれ設けて成る請求項7記載のX線回折装置。
  10. 【請求項10】請求項1もしくは7乃至9何れか記載の
    X線回折装置を用いて、X線を試料表面に対し全反射臨
    界角以内の角度で入射し、試料表面もしくは薄膜のX線
    回折を測定するX線回折方法。
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