JPH0549485A - (s)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または(s)−(−)−2,3−ジハロ−1ープロパノールの製造法 - Google Patents
(s)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または(s)−(−)−2,3−ジハロ−1ープロパノールの製造法Info
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- JPH0549485A JPH0549485A JP3291012A JP29101291A JPH0549485A JP H0549485 A JPH0549485 A JP H0549485A JP 3291012 A JP3291012 A JP 3291012A JP 29101291 A JP29101291 A JP 29101291A JP H0549485 A JPH0549485 A JP H0549485A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 (±)2,3−ジハロ−1−プロパノールに
シュードモナス属細菌またはその処理物を作用させて、
光学活性の(S)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパ
ンジオールを生成させ、生成した(S)−(+)−3−
ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または残留す
る(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノール
を分別回収する。 【効果】 医薬品,農薬その他の光学活性な生理活性物
質の合成中間体として有用な(S)−(+)−3−ハロ
−1,2−プロパンジオールおよび/または(S)−
(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノールを効率的に
製造することができる。
シュードモナス属細菌またはその処理物を作用させて、
光学活性の(S)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパ
ンジオールを生成させ、生成した(S)−(+)−3−
ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または残留す
る(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノール
を分別回収する。 【効果】 医薬品,農薬その他の光学活性な生理活性物
質の合成中間体として有用な(S)−(+)−3−ハロ
−1,2−プロパンジオールおよび/または(S)−
(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノールを効率的に
製造することができる。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学活性の医薬、農薬そ
の他の生理活性物質の合成中間体として有用な(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/
または(S)−(−)−3−ハロ−1,2−プロパンジ
オールの製造法に関する。 【0002】 【従来の技術と問題点】光学活性(S)−(+)−3−
ハロ−1,2−プロパンジオールの製造法は、(R)−
1,2−O−イソプロピリデングリセロールを原料とす
る方法(Chem.−Biol.Interactio
ns,13,193(1976))、1,2,5,6−
ジアセトン−D−マンニトールよりえる方法(Che
m.−Biol.Interactions,41 ,
95(1982))、メチル−6−クロロ−6−デオキ
シ−α−D−グルコピラノシドから合成する方法(Ch
emistry and Industry 1978
年,533頁;西独特許第2743858号)が知られ
ている。しかしこれら化学的合成法は工程が複雑で工業
的製法としては効率的でない。また生化学的方法として
は、(±)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールに微
生物を作用させて選択的に(S)−(+)−3−ハロ−
1,2−プロパンジオールのみを残存させる方法(特開
昭62−122596号、特開昭63−36798
号)、ラセミ体を不斉エステル化する方法(特開平3−
53886号)が知られているが、収率が低かったり、
光学純度が低いなどの欠点があり、さらに改良された方
法が求められている。 【0003】また(S)−(−)−2,3−−ジハロ−
1−プロパノールの製造法としては、(R)−(+)−
2,3−ジハロ−1−プロパノール資化能を有するシュ
ードモナス属の菌株を(±)−2,3−ジハロ−1−プ
ロパノールに作用させて、残存する(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールを分取する方法(特
開昭61−132196号、特開昭62−40298
号、特開平1−300899号)が知られている。しか
し、これらの方法では使用できる基質濃度がラセミ体で
約0.2%以下とされており、工業的実施に効率上難点
と考えられる。 【0004】 【発明の概要】本発明者らは(S)−(+)−3−ハロ
−1,2−プロパンジオールおよび(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールの従来の製造技術の
問題点を克服するべく研究した結果、新たに土から分離
したシュードモナス属細菌が、(±)−2,3−ジハロ
−1,2−プロパノールに作用して、(R)体を(S)
−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールに変換
して反応液中に未反応の(S)−(−)−2,3−ジハ
ロ−1−プロパノールが残存することをみいだして研究
を重ねた結果、本発明を完成するに至った。シュードモ
ナス属細菌が(R)−(+)−2,3−ジハロ−1−プ
ロパノールを(S)−(+)−3−ハロ−1,2−プロ
パンジオールに変換することは、本発明者らによりはじ
めて見いだされたもので、前記特開昭61−13219
6号で開示されたシュードモナス属細菌は、(R)−
(+)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールから
(R)−(−)−3−ハロ−1,2−プロパンジオール
を生成しており(特開昭62−69993号)、本発明
使用菌とは異なるものである。すなわち、本発明は、
(±)−2,3−ジハロ−1−プロパノールから(S)
−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールを製造
する方法であるばかりでなく、同時に(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールを製造できる効率的
な方法である。さらに、0.2%より高い基質濃度で反
応を行うことができる工業的に優れた方法である。 【0005】 【発明の具体的説明】本発明に使用するデハロゲナーゼ
を生成する微生物は、シュードモナス属に属する微生物
であり、例えば本発明者らが新たに分離したMH−12
株およびMH−27株をあげることができる。これらの
微生物は、工業技術院微生物工学技術研究所特許微生物
寄託センターに寄託した。寄託番号は次のとおりであ
る。 MH−12:微工研菌寄第12323号 MH−27:微工研菌寄第12324号 両菌株の分類的性質は以下のとおりである。 【0006】1、肉汁寒天培地に生育した菌の形態 両菌株とも桿菌で0.7〜0.8×1.3〜2.0μの
大きさであり、両菌株とも多形性はなく、運動性で極べ
ん毛1本を有する。胞子をつくらず、グラム陰性で抗酸
性はない。MH−12は円形、円錐状、全縁、平滑のコ
ロニーをつくり、コロニーはバター状で光沢がある。M
H−27は円形、円錐状、周辺が波状のコロニーをつく
り、コロニーはバター状で鈍い光沢がある。両株ともコ
ロニーはクリーム色である。両株ともpH5〜10で生
育し、20〜37℃でよく生育する。MH−12は40
℃で生育しないがMH−27は40℃でも生育する。 【0007】2、生理的性質 両菌株とも可溶性色素をつくらず、リトマスミルクを弱
くペプトン化し、ゼラチンは液化しない。両株とも脱窒
反応、カタラーゼ、オキシダーゼ、ウレアーゼ何れも陽
性であり、インドール、硫化水素を生成しない。メチル
レッド反応、Voges−Proskauer反応陰性
でクエン酸、硝酸塩、アンモニウム塩を利用し、アルギ
ニンを分解せず、ポリヒドロキシ酪酸を蓄積しない。O
Fテストは酸化型であり芳香環の開裂はオルソ型であ
る。MH−12は硝酸塩を還元するがMH−27は還元
しない。両菌ともD−グルコース、D−マンノース、D
−フラクトース、マルトース、シュクロース、ラクトー
ス、トレハロースを酸化的に利用し、でん粉を利用しな
い。L−アラビノース、D−キシロース、D−ガラクト
ース、D−ソルビトール、D−マニトール、イノシトー
ル、グリセリンからの酸生成は弱い。 【0008】以上の菌学的性質を分類書(Berge
y’s Manual of Systematic
Bacteriology 第2巻(1986))に従
って検さくすると、これらの菌株は何れもシュードモナ
ス属に属する細菌と同定されるが一致する菌種はなかっ
た。 【0009】上記微生物を培養するための培地組成とし
ては通常これらの微生物が生育しうるものであれば何れ
も使用できる。例えば炭素源としてグルコース、フラク
トース、シュークロースなどの糖類、酢酸、クエン酸な
どの有機酸類、エタノール、グリセロールなどのアルコ
ール類など、窒素源としてはペプトン、肉エキス、酵母
エキス、蛋白質加水分解物、有機酸アンモニウム塩、ア
ミノ酸、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどが使
用でき、この他無機塩、微量金属塩、ビタミンなどが必
要に応じて適宜使用される。高い変換酵素活性を誘導さ
せるために、エピハロヒドリン、1,3−ジハロ−2−
プロパノール、3−ハロ−1,2−プロパンジオールな
どを培地に添加することも有用である。 【0010】上記微生物の培養は常法によればよく、例
えばpH4〜10、温度20〜40℃の範囲で好気的に
10〜96時間培養する。2,3−ジハロ−1−プロパ
ノールに対する反応法としては、上記のように培養して
えた微生物の培養液あるいは遠心分離などによりえた菌
体のけん濁液に基質を添加する方法、菌体処理物(例え
ば菌体破砕物、粗酵素、精製酵素などの菌体抽出物な
ど)あるいは常法により固定化した菌体または菌体処理
物などのけん濁液に基質を添加する方法、微生物の培養
時に基質を培養液に添加して培養と同時に反応を行う方
法などがある。 【0011】反応液中の基質濃度は特に限定するもので
はないが、0.1〜10(W/V)%が好ましく、基質
は反応液に一括して加えるかあるいは分割添加すること
ができる。反応温度は5〜50℃で、反応pHは4〜1
0の範囲で行うことが好ましい。反応時間は、基質濃
度、菌体濃度あるいはその他の反応条件などによって変
わるが、通常1〜120時間で終了するように条件を設
定するのが好ましい。 【0012】かくして反応液中に生成した(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび
(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノール
は、反応液から遠心分離などの方法により菌体を除いた
後、n−ブタノール、ジクロロメタン、酢酸エチルなど
の溶媒で抽出を行い、抽出液を無水硫酸マグネシウムな
どを用いて脱水してから、濃縮してえた油状物を水にと
かして、ジエチルエーテルまたはクロロホルムで(S)
−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノールを抽出す
る。抽出液を濃縮して、(S)−(−)−2,3−ジハ
ロ−1−プロパノールを、また水層からは(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールをえるこ
とができる。これらは、必要によりさらに公知の方法例
えばシリカゲルクロマトグラフィーなどの手段を用いて
精製することができる。 【0013】 【実施例】以下実施例により本発明をより具体的に説明
する。実施例において光学純度の決定は反応液中の3−
ハロ−1,2−プロパンジオールおよび2,3−ジハロ
−1−プロパノールを抽出分取した後、各区分について
(R)−(−)−アルファーメトキシ−アルファフルオ
ロメチルフェニルアセテートに誘導して高速液体クロマ
トグラフィーにより決定した。 【0014】 【実施例1】グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エ
キス0.3%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム
0.25%、(±)−2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ール0.1%(v/v)、CaCO3 1.0%、pH
7.0の組成の滅菌培地30mlを入れた300ml三
角フラスコに、シュードモナス属細菌MH−12を植菌
して、20℃、毎分220回転で24時間振とう培養し
た。この培養液15mlを、同じ培地300mlを入れ
た2リットル三角フラスコに植菌して前と同じ条件で2
4時間振とう培養した。この培養300mlを、前の培
地の組成中(±)−2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ル濃度を0.15%にした培地3リットルを入れた5リ
ットル ジャーファーメンターに植菌して、30℃、毎
分800回転、通気量毎分液量と同量で72時間通気か
くはん培養した。かくしてえた培養液から遠心分離によ
り菌体を分離した後、0.2%濃度に(±)−2,3−
ジクロロ−1−プロパノールをふくむpH7.0の0.
1モルリン酸−水酸化ナトリウム緩衝液、またはpH
9.0の0.1モルトリス−塩酸緩衝液に、先のジャー
ファーメンターでえた培養液中の濃度と同じ濃度にけん
濁したもの1.2リットルを2リットル三角フラスコに
入れて26℃に静置して反応させた。反応時間の経過に
伴って反応液中に生成した(S)−(+)−3−クロロ
−1,2−プロパンジオールおよび残留する(S)−
(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールの濃度
(v/v)および光学純度((S)体率%)は表1に示
した如くであった。表1には生成(S)−3−クロロ−
1,2−プロパンジオールを酢酸エチルで抽出濃縮して
メタノールにとかしたものの旋光度も示した。 【表1】【0015】 【実施例2】微生物としてシュードモナス属細菌MH−
27を用いるほかは実施例1と同様に実施した。反応4
8時間で(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオー
ルが0.04%(v/v)の濃度に生成し、その(S)
体率は96.5%であった。残留する(S)−2,3−
ジクロ−1−プロパノールの濃度は0.10%(v/
v)で、その(S)体率は100%であった。 【0016】 【実施例3】使用基質として(±)−2,3−ジブロモ
−1−プロパノールを用いるほかは実施例1と同様に実
施した。反応88時間で(S)−2,3−ジブロモ−1
ープロパノールが0.10%(v/v)の濃度に残留
し、その(S)体率は100%であった。生成した
(S)−(+)−3−ブロモ−1,2−プロパンジオー
ルの濃度は0.41%(v/v)で、その(S)体率は
97.3%であった。 【0017】 【実施例4】実施例1と同様に実施して、反応64時間
の反応液をえた。この反応液中には2,3−ジクロロ−
1−プロパノールが0.136%(v/v)、3−クロ
ロ−1,2−プロパンジオールが0.064%(v/
v)の濃度に存在していた。この反応液100mlを酢
酸エチル100mlを用いて5回抽出し、抽出液を合わ
せて硫酸マグネシウムで脱水してから濃縮し、酢酸エチ
ル5mlにとかした。この段階で回収率は、2,3−ジ
クロ−1−プロパノールが88%、3−クロロ−1,2
−プロパンジオールが23.3%であった。この酢酸エ
チル溶液を濃縮してえた油状物を水10mlにとかし
た。この水溶液に対して5mlのジエチルエーテルで3
回抽出したところ、エーテル中に2,3−ジクロ−1−
プロパノールは100%回収された。3−クロロ−1,
2−プロパンジオールは水層中に93.1%回収され
た。エーテル抽出液から溶媒を除いてえた2,3−ジク
ロロ−1−プロパノールの(S)体率は82%であっ
た。水層中の3−クロロ−1,2−プロパンジオールの
(S)体率は93.5%であった。 【0018】 【実施例5】2,3−ジクロロ−1−プロパノールと3
−クロロ−1,2−プロパンジオールのほゞ1:1の混
合水溶液をつくった。その混合水溶液中の2,3−ジク
ロ−1−プロパノールの濃度は0.570%(v/
v)、3−クロロ−1,2−プロパンジオールの濃度は
0.517%(v/v)であった。この混合水溶液1m
lに対し抽出溶媒1mlを加え、ホモゲナイズして分離
後、抽出液中の各成分の濃度をガスクロマトグラフィー
により分析した結果は表2に示す如くであった。すなわ
ち、両成分を含む混合水溶液からクロロホルム抽出また
はジエチルエーテル抽出を行うことにより、2,3−ジ
クロ−1−プロパノールと、3−クロロ−1,2−プロ
パンジオールを分取することができる。 【表2】【0019】 【実施例6】実施例1で5リットル ジャーファーメン
ターでの培養条件を、26℃、毎分400回転とする以
外は実施例1と同様に培養してえた培養液3リットルか
らの菌体を、2%(v/v)の(±)−2,3−ジクロ
ロ−1−プロパノールをふくむ1モルのトリス−塩酸緩
衝液(pH9.0)3リットルに加えた反応液3リット
ルを入れた5リットル ジャーファーメンターに毎分
1.5リットル通気しつつ毎分600回転で35℃で通
気かくはんしながら反応させた。反応216時間で反応
液中に(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパ
ノールが0.826%(残留率41.3%)で残留し、
その(S)体率は100%であった。 【0020】 【発明の効果】本発明により、医薬品、農薬その他の光
学活性な生理活性物質の合成中間体として有用な(S)
−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび
/または(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパ
ノールを効率的に製造することができる。
の他の生理活性物質の合成中間体として有用な(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/
または(S)−(−)−3−ハロ−1,2−プロパンジ
オールの製造法に関する。 【0002】 【従来の技術と問題点】光学活性(S)−(+)−3−
ハロ−1,2−プロパンジオールの製造法は、(R)−
1,2−O−イソプロピリデングリセロールを原料とす
る方法(Chem.−Biol.Interactio
ns,13,193(1976))、1,2,5,6−
ジアセトン−D−マンニトールよりえる方法(Che
m.−Biol.Interactions,41 ,
95(1982))、メチル−6−クロロ−6−デオキ
シ−α−D−グルコピラノシドから合成する方法(Ch
emistry and Industry 1978
年,533頁;西独特許第2743858号)が知られ
ている。しかしこれら化学的合成法は工程が複雑で工業
的製法としては効率的でない。また生化学的方法として
は、(±)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールに微
生物を作用させて選択的に(S)−(+)−3−ハロ−
1,2−プロパンジオールのみを残存させる方法(特開
昭62−122596号、特開昭63−36798
号)、ラセミ体を不斉エステル化する方法(特開平3−
53886号)が知られているが、収率が低かったり、
光学純度が低いなどの欠点があり、さらに改良された方
法が求められている。 【0003】また(S)−(−)−2,3−−ジハロ−
1−プロパノールの製造法としては、(R)−(+)−
2,3−ジハロ−1−プロパノール資化能を有するシュ
ードモナス属の菌株を(±)−2,3−ジハロ−1−プ
ロパノールに作用させて、残存する(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールを分取する方法(特
開昭61−132196号、特開昭62−40298
号、特開平1−300899号)が知られている。しか
し、これらの方法では使用できる基質濃度がラセミ体で
約0.2%以下とされており、工業的実施に効率上難点
と考えられる。 【0004】 【発明の概要】本発明者らは(S)−(+)−3−ハロ
−1,2−プロパンジオールおよび(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールの従来の製造技術の
問題点を克服するべく研究した結果、新たに土から分離
したシュードモナス属細菌が、(±)−2,3−ジハロ
−1,2−プロパノールに作用して、(R)体を(S)
−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールに変換
して反応液中に未反応の(S)−(−)−2,3−ジハ
ロ−1−プロパノールが残存することをみいだして研究
を重ねた結果、本発明を完成するに至った。シュードモ
ナス属細菌が(R)−(+)−2,3−ジハロ−1−プ
ロパノールを(S)−(+)−3−ハロ−1,2−プロ
パンジオールに変換することは、本発明者らによりはじ
めて見いだされたもので、前記特開昭61−13219
6号で開示されたシュードモナス属細菌は、(R)−
(+)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールから
(R)−(−)−3−ハロ−1,2−プロパンジオール
を生成しており(特開昭62−69993号)、本発明
使用菌とは異なるものである。すなわち、本発明は、
(±)−2,3−ジハロ−1−プロパノールから(S)
−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールを製造
する方法であるばかりでなく、同時に(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールを製造できる効率的
な方法である。さらに、0.2%より高い基質濃度で反
応を行うことができる工業的に優れた方法である。 【0005】 【発明の具体的説明】本発明に使用するデハロゲナーゼ
を生成する微生物は、シュードモナス属に属する微生物
であり、例えば本発明者らが新たに分離したMH−12
株およびMH−27株をあげることができる。これらの
微生物は、工業技術院微生物工学技術研究所特許微生物
寄託センターに寄託した。寄託番号は次のとおりであ
る。 MH−12:微工研菌寄第12323号 MH−27:微工研菌寄第12324号 両菌株の分類的性質は以下のとおりである。 【0006】1、肉汁寒天培地に生育した菌の形態 両菌株とも桿菌で0.7〜0.8×1.3〜2.0μの
大きさであり、両菌株とも多形性はなく、運動性で極べ
ん毛1本を有する。胞子をつくらず、グラム陰性で抗酸
性はない。MH−12は円形、円錐状、全縁、平滑のコ
ロニーをつくり、コロニーはバター状で光沢がある。M
H−27は円形、円錐状、周辺が波状のコロニーをつく
り、コロニーはバター状で鈍い光沢がある。両株ともコ
ロニーはクリーム色である。両株ともpH5〜10で生
育し、20〜37℃でよく生育する。MH−12は40
℃で生育しないがMH−27は40℃でも生育する。 【0007】2、生理的性質 両菌株とも可溶性色素をつくらず、リトマスミルクを弱
くペプトン化し、ゼラチンは液化しない。両株とも脱窒
反応、カタラーゼ、オキシダーゼ、ウレアーゼ何れも陽
性であり、インドール、硫化水素を生成しない。メチル
レッド反応、Voges−Proskauer反応陰性
でクエン酸、硝酸塩、アンモニウム塩を利用し、アルギ
ニンを分解せず、ポリヒドロキシ酪酸を蓄積しない。O
Fテストは酸化型であり芳香環の開裂はオルソ型であ
る。MH−12は硝酸塩を還元するがMH−27は還元
しない。両菌ともD−グルコース、D−マンノース、D
−フラクトース、マルトース、シュクロース、ラクトー
ス、トレハロースを酸化的に利用し、でん粉を利用しな
い。L−アラビノース、D−キシロース、D−ガラクト
ース、D−ソルビトール、D−マニトール、イノシトー
ル、グリセリンからの酸生成は弱い。 【0008】以上の菌学的性質を分類書(Berge
y’s Manual of Systematic
Bacteriology 第2巻(1986))に従
って検さくすると、これらの菌株は何れもシュードモナ
ス属に属する細菌と同定されるが一致する菌種はなかっ
た。 【0009】上記微生物を培養するための培地組成とし
ては通常これらの微生物が生育しうるものであれば何れ
も使用できる。例えば炭素源としてグルコース、フラク
トース、シュークロースなどの糖類、酢酸、クエン酸な
どの有機酸類、エタノール、グリセロールなどのアルコ
ール類など、窒素源としてはペプトン、肉エキス、酵母
エキス、蛋白質加水分解物、有機酸アンモニウム塩、ア
ミノ酸、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどが使
用でき、この他無機塩、微量金属塩、ビタミンなどが必
要に応じて適宜使用される。高い変換酵素活性を誘導さ
せるために、エピハロヒドリン、1,3−ジハロ−2−
プロパノール、3−ハロ−1,2−プロパンジオールな
どを培地に添加することも有用である。 【0010】上記微生物の培養は常法によればよく、例
えばpH4〜10、温度20〜40℃の範囲で好気的に
10〜96時間培養する。2,3−ジハロ−1−プロパ
ノールに対する反応法としては、上記のように培養して
えた微生物の培養液あるいは遠心分離などによりえた菌
体のけん濁液に基質を添加する方法、菌体処理物(例え
ば菌体破砕物、粗酵素、精製酵素などの菌体抽出物な
ど)あるいは常法により固定化した菌体または菌体処理
物などのけん濁液に基質を添加する方法、微生物の培養
時に基質を培養液に添加して培養と同時に反応を行う方
法などがある。 【0011】反応液中の基質濃度は特に限定するもので
はないが、0.1〜10(W/V)%が好ましく、基質
は反応液に一括して加えるかあるいは分割添加すること
ができる。反応温度は5〜50℃で、反応pHは4〜1
0の範囲で行うことが好ましい。反応時間は、基質濃
度、菌体濃度あるいはその他の反応条件などによって変
わるが、通常1〜120時間で終了するように条件を設
定するのが好ましい。 【0012】かくして反応液中に生成した(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび
(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノール
は、反応液から遠心分離などの方法により菌体を除いた
後、n−ブタノール、ジクロロメタン、酢酸エチルなど
の溶媒で抽出を行い、抽出液を無水硫酸マグネシウムな
どを用いて脱水してから、濃縮してえた油状物を水にと
かして、ジエチルエーテルまたはクロロホルムで(S)
−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパノールを抽出す
る。抽出液を濃縮して、(S)−(−)−2,3−ジハ
ロ−1−プロパノールを、また水層からは(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールをえるこ
とができる。これらは、必要によりさらに公知の方法例
えばシリカゲルクロマトグラフィーなどの手段を用いて
精製することができる。 【0013】 【実施例】以下実施例により本発明をより具体的に説明
する。実施例において光学純度の決定は反応液中の3−
ハロ−1,2−プロパンジオールおよび2,3−ジハロ
−1−プロパノールを抽出分取した後、各区分について
(R)−(−)−アルファーメトキシ−アルファフルオ
ロメチルフェニルアセテートに誘導して高速液体クロマ
トグラフィーにより決定した。 【0014】 【実施例1】グルコース2%、ペプトン0.5%、肉エ
キス0.3%、酵母エキス0.3%、塩化ナトリウム
0.25%、(±)−2,3−ジクロロ−1−プロパノ
ール0.1%(v/v)、CaCO3 1.0%、pH
7.0の組成の滅菌培地30mlを入れた300ml三
角フラスコに、シュードモナス属細菌MH−12を植菌
して、20℃、毎分220回転で24時間振とう培養し
た。この培養液15mlを、同じ培地300mlを入れ
た2リットル三角フラスコに植菌して前と同じ条件で2
4時間振とう培養した。この培養300mlを、前の培
地の組成中(±)−2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ル濃度を0.15%にした培地3リットルを入れた5リ
ットル ジャーファーメンターに植菌して、30℃、毎
分800回転、通気量毎分液量と同量で72時間通気か
くはん培養した。かくしてえた培養液から遠心分離によ
り菌体を分離した後、0.2%濃度に(±)−2,3−
ジクロロ−1−プロパノールをふくむpH7.0の0.
1モルリン酸−水酸化ナトリウム緩衝液、またはpH
9.0の0.1モルトリス−塩酸緩衝液に、先のジャー
ファーメンターでえた培養液中の濃度と同じ濃度にけん
濁したもの1.2リットルを2リットル三角フラスコに
入れて26℃に静置して反応させた。反応時間の経過に
伴って反応液中に生成した(S)−(+)−3−クロロ
−1,2−プロパンジオールおよび残留する(S)−
(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパノールの濃度
(v/v)および光学純度((S)体率%)は表1に示
した如くであった。表1には生成(S)−3−クロロ−
1,2−プロパンジオールを酢酸エチルで抽出濃縮して
メタノールにとかしたものの旋光度も示した。 【表1】【0015】 【実施例2】微生物としてシュードモナス属細菌MH−
27を用いるほかは実施例1と同様に実施した。反応4
8時間で(S)−3−クロロ−1,2−プロパンジオー
ルが0.04%(v/v)の濃度に生成し、その(S)
体率は96.5%であった。残留する(S)−2,3−
ジクロ−1−プロパノールの濃度は0.10%(v/
v)で、その(S)体率は100%であった。 【0016】 【実施例3】使用基質として(±)−2,3−ジブロモ
−1−プロパノールを用いるほかは実施例1と同様に実
施した。反応88時間で(S)−2,3−ジブロモ−1
ープロパノールが0.10%(v/v)の濃度に残留
し、その(S)体率は100%であった。生成した
(S)−(+)−3−ブロモ−1,2−プロパンジオー
ルの濃度は0.41%(v/v)で、その(S)体率は
97.3%であった。 【0017】 【実施例4】実施例1と同様に実施して、反応64時間
の反応液をえた。この反応液中には2,3−ジクロロ−
1−プロパノールが0.136%(v/v)、3−クロ
ロ−1,2−プロパンジオールが0.064%(v/
v)の濃度に存在していた。この反応液100mlを酢
酸エチル100mlを用いて5回抽出し、抽出液を合わ
せて硫酸マグネシウムで脱水してから濃縮し、酢酸エチ
ル5mlにとかした。この段階で回収率は、2,3−ジ
クロ−1−プロパノールが88%、3−クロロ−1,2
−プロパンジオールが23.3%であった。この酢酸エ
チル溶液を濃縮してえた油状物を水10mlにとかし
た。この水溶液に対して5mlのジエチルエーテルで3
回抽出したところ、エーテル中に2,3−ジクロ−1−
プロパノールは100%回収された。3−クロロ−1,
2−プロパンジオールは水層中に93.1%回収され
た。エーテル抽出液から溶媒を除いてえた2,3−ジク
ロロ−1−プロパノールの(S)体率は82%であっ
た。水層中の3−クロロ−1,2−プロパンジオールの
(S)体率は93.5%であった。 【0018】 【実施例5】2,3−ジクロロ−1−プロパノールと3
−クロロ−1,2−プロパンジオールのほゞ1:1の混
合水溶液をつくった。その混合水溶液中の2,3−ジク
ロ−1−プロパノールの濃度は0.570%(v/
v)、3−クロロ−1,2−プロパンジオールの濃度は
0.517%(v/v)であった。この混合水溶液1m
lに対し抽出溶媒1mlを加え、ホモゲナイズして分離
後、抽出液中の各成分の濃度をガスクロマトグラフィー
により分析した結果は表2に示す如くであった。すなわ
ち、両成分を含む混合水溶液からクロロホルム抽出また
はジエチルエーテル抽出を行うことにより、2,3−ジ
クロ−1−プロパノールと、3−クロロ−1,2−プロ
パンジオールを分取することができる。 【表2】【0019】 【実施例6】実施例1で5リットル ジャーファーメン
ターでの培養条件を、26℃、毎分400回転とする以
外は実施例1と同様に培養してえた培養液3リットルか
らの菌体を、2%(v/v)の(±)−2,3−ジクロ
ロ−1−プロパノールをふくむ1モルのトリス−塩酸緩
衝液(pH9.0)3リットルに加えた反応液3リット
ルを入れた5リットル ジャーファーメンターに毎分
1.5リットル通気しつつ毎分600回転で35℃で通
気かくはんしながら反応させた。反応216時間で反応
液中に(S)−(−)−2,3−ジクロロ−1−プロパ
ノールが0.826%(残留率41.3%)で残留し、
その(S)体率は100%であった。 【0020】 【発明の効果】本発明により、医薬品、農薬その他の光
学活性な生理活性物質の合成中間体として有用な(S)
−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび
/または(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロパ
ノールを効率的に製造することができる。
フロントページの続き
(51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所
C12R 1:38)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (R)−(+)−2,3−ジハロ−1−
プロパノールに作用して(S)−(+)−3−ハロ−
1,2−プロパンジオールを生成する能力を有する微生
物またはその処理物を(R)−(+)−2,3−ジハロ
−1,2−プロパノールに作用せしめて、(S)−
(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールを生成せ
しめることを特徴とする(S)−(+)−3−ハロ−
1,2−プロパンジオールの製造法。 【請求項2】 (R)−(+)−2,3−ジハロ−1−
プロパノールに作用して(S)−(+)−3−ハロ−
1,2−プロパノールを生成する能力を有する微生物ま
たはその処理物を(R)−(+)−2,3−ジハロプロ
パノールと(S)−(−)−2,3−ジハロ−1−プロ
パノールの両方をふくむ基質に作用させて、生成する
(S)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオール
および/または反応せずに残存する(S)−(−)−
2,3−ジハロ−1−プロパノールを分取することを特
徴とする(S)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパン
ジオールおよび/または(S)−(−)−2,3−ジハ
ロ−1−プロパノールの製造法。 【請求項3】 使用する微生物がシュードモナス属に属
する細菌である〔請求項1〕の製造法。 【請求項4】 使用する微生物がシュードモナス属に属
する細菌である〔請求項2〕の製造法。 【請求項5】 2,3−ジハロ−1−プロパノールと3
−ハロ−1,2−プロパンジオールの両方を含む水溶液
を、ジエチルエーテルまたはクロロホルムで抽出するこ
とにより、2,3−ジハロ−1−プロパノールを溶媒中
に抽出して3−ハロ−1,2−プロパンジオールを水溶
液として残存せしめることを特徴とする2,3−ジハロ
−1−プロパノールと3−ハロ−1,2−プロパンジオ
ールの分別精製法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3291012A JP3010850B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | (s)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または(s)−(−)−2,3−ジハロ−1ープロパノールの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3291012A JP3010850B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | (s)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または(s)−(−)−2,3−ジハロ−1ープロパノールの製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0549485A true JPH0549485A (ja) | 1993-03-02 |
| JP3010850B2 JP3010850B2 (ja) | 2000-02-21 |
Family
ID=17763318
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3291012A Expired - Fee Related JP3010850B2 (ja) | 1991-08-20 | 1991-08-20 | (s)−(+)−3−ハロ−1,2−プロパンジオールおよび/または(s)−(−)−2,3−ジハロ−1ープロパノールの製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3010850B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2021129530A (ja) * | 2020-02-20 | 2021-09-09 | 株式会社大阪ソーダ | (s)−3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを製造する方法 |
-
1991
- 1991-08-20 JP JP3291012A patent/JP3010850B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2021129530A (ja) * | 2020-02-20 | 2021-09-09 | 株式会社大阪ソーダ | (s)−3−ハロゲノ−2−メチル−1,2−プロパンジオールを製造する方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3010850B2 (ja) | 2000-02-21 |
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