JPH0570428B2 - - Google Patents
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- JPH0570428B2 JPH0570428B2 JP60504245A JP50424585A JPH0570428B2 JP H0570428 B2 JPH0570428 B2 JP H0570428B2 JP 60504245 A JP60504245 A JP 60504245A JP 50424585 A JP50424585 A JP 50424585A JP H0570428 B2 JPH0570428 B2 JP H0570428B2
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Description
請求の範囲
1 最適活性温度が約75℃であり、基質の不存在
下において70℃まで安定であり且つ基質の存在下
において80℃まで安定であり、最適活性PHが約
5.5〜約6.0であり、そして約3.5〜約6.5のPH範囲
において安定である熱安定性β−アミラーゼ。 2 次の物理化学的性質: (イ) 反応性:澱粉を加水分解する場合にマルトー
スと限界デキストリンのみを生成する; (ロ) 基質特異性:澱粉またはマルトテトラオース
からマルトースのみを生成し、そしてマルトト
リオースからグルコースとマルトースを生成す
る; (ハ) 最適PH値:約5.5〜約6.0 (ニ) PH安定性:約3.5〜約6.5のPHで安定 (ホ) 最適温度:75℃、80℃で最大活性の85%; (ヘ) 温度安定性:基質の不存在下で70℃まで安定
であり、且つ5%澱粉の存在下で80℃まで安定
である; (ト) 阻害剤の影響:β−アミラーゼ活性は金属イ
オン(Cu++およびHg++)およびp−クロロメ
ルクリ安息香酸によつて阻害されるが、カルシ
ウムイオン、シヤルデインガーデキストリンま
たはエタノールによつては阻害されない; を有する請求項1に記載の熱安定性β−アミラー
ゼ。 3 サツカリダーゼ酵素活性を妨害するものを実
質的に含まない、微生物クロストリジウム サー
モスルフロゲネス(Clostridium
thermosulfurogenes)から得られる請求項1に
記載の熱安定性β−アミラーゼ。 4 栄養培地でβ−アミラーゼ産生産クロストリ
ジウム サーモスルフロゲネスを実質的な酵素活
性が検出できるまで嫌気的に培養し、その後熱安
定性β−アミラーゼを単離することから成る、β
−アミラーゼの産生方法。 技術分野 本発明は酵素に関する。より詳細には、本発明
は熱安定性β−アミラーゼに関する。 背景技術 飲食品産業は澱粉をマルトース溶液へ転化する
ためにβ−アミラーゼ(EC3.2.1.41)酵素を主に
利用している。β−アミラーゼは澱粉型基質の非
還元性末端からα−1,4−グルコシド結合をエ
キソ型で加水分解し、澱粉からβ−アノマー配置
のマルトースとβ−限界デキストリンとの両物質
を生産する。多くの産業用途において使用される
β−アミラーゼは植物由来のものである。活性が
より強く且つ熱安定性である細胞外酵素を微生物
から得る試みがなされているが、微生物由来の既
知のβ−アミラーゼは植物由来のβ−アミラーゼ
の代替物として使用するには十分に活性でなくま
た熱安定性でない。それ故、植物β−アミラーゼ
は高価であり且つ比較的不安であるにもかかわら
ず、マルトース生産のために使用され続けてい
る。 最近産業界において興味のあるほんの少数の酵
素が好熱嫌気性菌から単離され、そして性状決定
がなされた。今日までに性状決定された好熱嫌気
性菌由来の熱安定性活性酵素には、クロストリジ
ウム サーモセラム(Clostridium
thermocellum)のエンドグルカナーゼ、サーモ
アナエロビウムブロツキー(Thermoanarobium
brockii)およびC.サーモヒドロスルフリカム
(C.thermohydrosulfuricum)のアルコールデヒ
ドロゲナーゼ、およびC.サーモスルフロゲネス
(C.thermo−sulfurogenes)のポリガラクツロネ
ートヒドロリアーゼが含まれる。現在使用されて
いるβ−アミラーゼよりも一層熱安定性β−アミ
ラーゼを提供することが明らかに望ましいであろ
う。 発明の開示 本発明の主な目的は、熱安定性β−アミラーゼ
ならびに前記酵素の産生方法を提供することであ
る。 本発明たちは微生物クロストリジウム サーモ
スルフロゲネス(Clostridium
thermosulfurogenes)が特異な熱安定性、熱活
性β−アミラーゼを産生することを発見した。こ
の酵素は細胞外酵素であつて、最適活性温度が75
℃である。基質の不在下では70まで安定であり、
また5%澱粉の存在下では80℃まで安定である。
この酵素の最適活性PHは約5.5〜約6.0である。本
発明のβ−アミラーゼは産業用途において使用す
るのに特に適していると思われる。 本発明のβ−アミラーゼはC.サーモスルフロゲ
ネスを必須ビタミン類、無機物質および増殖因子
を含む栄養培地中澱粉基質の存在下で嫌気的に実
質的な酵素活性が検出されるまで培養し、その後
β−アミラーゼを単離することにより産生され
る。β−アミラーゼは細胞外に産生されので細胞
からの分離が簡単であり、実質的に酵素活性を妨
げるものを含まない精製された形で単離される。 好適な本発明方法において、β−アミラーゼは
C.サーモスルフロゲネスの純粋培養物を必須ビタ
ミン類、無機物質および増殖因子を含む培地中澱
粉基質の存在下で嫌気的に増殖させることにより
産生される。β−アミラーゼは実質的に酵素活性
を妨げるものを含まない培養上清から得られる。 β−アミラーゼ酵素の調製および性状決定の詳
細な説明は次の通りである。 微生物および培養:イエローストーン国立公園
のオクトプス・スプリング(Octopus
Spring)藻類−細菌マツトからC.サーモス
ルフロゲネス株4Bを単離し、ドイチエ・
ザムルンク・フオン・マイクロオーガニズ
メン(Deutsche Sammlung von
Mikroorganismen)(DSM 2229)および
アメリカン・タイプ・カルチヤー・コレク
シヨン(American Type Culture
Collection,メリーランド州ロツクビル)
(ATCC33743)の両方に寄託した。培地の
調製および培養については緊縮(ストリン
ジエント)嫌気的培養技術を使用した。微
生物は一般に0.5%グルコースまたは可溶
性澱粉を含有するTYE培地(24)10mlお
よびN2−CO2(95:5)ヘツドスペースガ
スを収容した26mlの嫌気耐圧試験管内にお
いて60℃で増殖させた。好熱嫌気性菌の高
度に耐熱性の胞子を確実に絶滅させるため
に、培地を45分間加圧滅菌した。 ペトリ皿上で澱粉の加水分解反応を測定
するために、嫌気チエンバー内で1.0%可
溶性澱粉および3.0精製寒天を含有する
TYE培地の平板上に微生物を塗り付けた。
その平板を窒素下で無酸素塗料かんの中に
置き、60℃で4日間インキユベートした。
平板を塗料かんから取り出してヨウ素液
(1%I2および2%KI含有水溶液)を注ぎ、
そして加水分解帯域を肉眼で観察した。 酵素の調製:洗浄細胞およびアミラーゼ源とし
ての培養上清は、0.5%可溶性澱粉を含有
するTYE培地50mlを収容した血清バイア
ル内で上記菌株を培養することにより調製
した。その後定常期培養物を10分間12000
×gで遠心分離した。細胞懸濁物は20mM
酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.0)で2回洗
い、次に緩衝液中に細胞を懸濁することに
より調製した。濃縮細胞外アミラーゼを調
製するための大規模増殖は、N2−CO2
(95:5)下で1.0%マルトースおよび0.02
%酵母エキスを含有するLPBB培地10を
収容した14の発酵槽において実施した。
培養上清は後期指数期まで60℃で増殖させ
た培養物から連続フロー遠心分離機を使つ
て収集した。この上清(10)は最初に2
倍容量の冷エタノール(20)を用いてタ
ンパク質を沈殿させ、次に活性炭粉末に通
して過して沈殿物を採取することにより
濃縮し、その後この沈殿物を20mM酢酸ナ
トリウム緩衝液(PH6.0)300mlに懸濁し、
硫酸アンモニウムを70%まで加えた。沈殿
したタンパク質を15000×gで遠心分離し、
その後上記緩衝液100mlに懸濁した。この
懸濁液を再度遠心分離してリ不溶性物質を
除き、次いで2倍容量の冷アセトンを用い
て沈殿させた。この最後の沈殿物を同じ緩
衝液100mlに懸濁し、その後この酵素溶液
100mlを蒸留水(2回蒸留)4に対して
24時間透析した。 濃縮された上清アミラーゼ溶液の比活性
は60単位/mg(タンパク質)であつた。 上記方法と同じ方法を使つて細胞抽出物
を調製するために、細胞を大量培養して収
獲した。ただし、0.5%可溶性澱粉を補足
したTYE培地を使用した。湿つた細胞ペ
ースト3gを20mM酢酸ナトリウム緩衝液
(PH6.0)12.5mlに懸濁することにより好気
的に細胞抽出物を調製した。この懸濁液を
ニワトリ卵白からのリゾチーム5mgで37℃
において1時間処理し、1406Kg/cm2
(20000b/in2)でフレンチ加圧容器に
通すことにより破壊した。4℃、30000×
gで30分遠心分離することにより上清を回
収し、タンパク質濃度を測定した。 酵素検定:アミラーゼまたはβ−アミラーゼの
活性は、澱粉との反応によつて放出される
還元糖を定量することにより検定した。反
応混合物(1ml)は10%可溶性澱粉、
0.5M酢酸ナトリウム緩衝液懸(PH6.0)1
ml、および適当に水で希釈した酵素溶液3
mlを含んでいた。この反応は60℃で30分イ
ンキユベートした後氷で冷やすことにより
停止させた。 還元力はジニトロサリチル酸法を使つて
測定した。プルラナーゼ活性を検定するた
めの反応混合物は0.2M酢酸ナトリウム緩
衝液(PH6.0)中2%プルラン0.5mlおよび
酵素溶液0.5mlから成つていた。60℃で30
分インキユベートした後、氷で冷却し且つ
3,5−ジニトロサリチル酸4mlを加える
ことにより反応を停止させた。 1単位のアミラーゼ、β−アミラーゼま
たはプルラナーゼは上記条件下でグルコー
ス標準として1分あたり1μモルの還元糖
を産生する酵素の量と定義される。 グルコアミラーゼ活性は1%可溶性澱
粉、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(PH4.8)
および適当に希釈した酵素溶液を含有する
反応混合物1mlを60℃で30分インキユベー
トすることにより検定した。この反応は氷
で冷却し、次に10分間蒸気浴中で沸騰させ
ることによりすぐに停止させた。これらの
反応混合物を遠心混合物を遠心して不溶性
沈殿物を除き、その後放出されたグルコー
スをヘキソキナーゼおよびグルコース−6
−リン酸デヒドロゲナーゼ法により分析し
た。1単位のグルコアミラーゼは上記検定
条件下で1分あたり1μモルのグルコース
を産生する酵素の量と定義される。 澱粉−加水分解産物の定性/定量分析:酵素
(12単位)を1%可溶性酵素含有0.1M酢酸
ナトリウム緩衝液(PH6)20ml中に加え、
65℃でインキユベートした。試料を時々取
り出し、上記のようにして還元糖およびグ
ルコースの含有量を分析した。 澱粉加水分解物中のマルトースは高圧液体クロ
マトグラフイー(HPLC)により同定した。分離
装置はデータステーシヨン、屈折率検出器および
微小監視用予備カラム(40×4.6mm)を有するオ
リゴ糖分析カラム(300×7.8mm)を備えた液体ク
ロマトグラフから構成されていた。澱粉加水分解
物の試料は5000×gで遠心して上記カラムに装填
した(50)。 還元糖の測定および青価(blue value)曲線:
反応混合物は酵素および0.1M酢酸ナトリ
ウム緩衝液(PH6.0)中0.25%アミロース
溶液を含み、この混合物を65℃でインキユ
ベートした。試料(0.5ml)を5分おきに
取り出し、そして青価測定のために0.1M
HCl2mlを含む試験管に加えた。混合後、
0.5mlの試料を採取してヨウ素液(1あ
たりヨウ素0.05gおよびヨウ化カリウム
0.5g含有)5mlに加えた。その後、水−
ヨウ素に対する吸光度を消去した分光光度
計を使つて620nmにおいて吸光度を測定し
た。青価は消化物の吸光度を基質−ヨウ素
ブランクの吸光度で割り、100を掛けるこ
とにより計算した。反応混合物の別の0.5
ml試料を還元価の測定のために採取した。
還元力はネルソン比色定量銅法により分析
した。全炭水化物量はフエノール−硫酸法
により検定した。 旋光度の測定:0.1M酢酸ナトリウム緩衝液
(PH6.0)中1%澱粉溶液および酵素から成
る反応混合物(5ml)を10cmのセルに加え
た。旋光度はナトリウム線を用いる旋光計
により室温で測定した。旋光度がだいたい
一定値になつたとき、約20mgの固体炭酸ナ
トリウムを加えてこの混合物の変旋光を測
定した。 酵素の特性決定:酵素の阻害および反応速度論
的実験は先に述べた標題検定条件下で行つ
た。安定性の実験は前記条件下において
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.0)中の
酵素溶液(約40単位/ml)を使用した。 アミラーゼ活性の分布および型:予備実験にお
いて、ヨウ素液で染色した澱粉寒天平板上
のコロニーのまわりに青色の背景に対して
赤つぽい色の大きな帯域が検出された。こ
の結果はC.サーモスルフロゲネスが澱粉を
完全に加水分解し得ないアミラーゼを産生
することを示唆している。 C.サーモスルフロゲネスのそれぞれ異なるアミ
ラーゼ活性の細胞分布および型を示す実験結果を
表1に要約する。この微生物は増殖期間中に細胞
外アミラーゼ(この活性はβ−アミラーゼとして
以下で分類されるだろう)を産生するが、細胞外
プルラナーゼまたはグルコアミラーゼを産生しな
かつた。さらに、細胞定着グルコアミラーゼおよ
びアミラーゼが検出されたが、細胞定着プルラナ
ーゼ活性は検出されなかつた。アミラーゼおよび
グルコアミラーゼのいずれの活性も好気的検定条
件によつて阻害されなかつた。 【表】 細胞外アミラーゼによつて生成された澱粉加水
分解物のHPLC分析は、高分子量オリリゴ糖(す
なわち限界デキストリン)の他にマルトースのみ
が検出可能な生成物として産生されたことを示し
た。長期インキユベーシヨンにもかかわらず、澱
粉加水分解物の定量分析によつてグルコース以外
の還元糖のみが検出された。マルトトリオースお
よびマルトテトラオースの酵素的加水分解も研究
された。0.1M酢酸ナトリウム緩衝液中1%マル
トテトラオースを12単位の酵素と共に65℃で3時
間インキユベートした結果、マルトース(8mg/
ml)のみが生成した。これらと同じ条件下でのマ
ルトトリオース(1%)の酵素的加水分解はグル
コース(0.4mg/ml)とマルトースの両方を生成
した。 この酵素のアミロースに対する作用による還元
力の放出およびヨウ素染色能の低下が測定され
た。α−アミラーゼ対照と比較して、還元価に対
する青価の低下がゆつくりであることはこの酵素
がエキソ作用型アミラーゼであることを示してい
る。変旋光の実験(対照としてα−アミラーゼを
使用)から、C.サーモスルフロゲネス酵素によつ
て生成された澱粉加水分解物に塩基を添加した際
の旋光度の上方移行はこの加水分解産物がβ−ア
ノマー配置を有することを示している。上記デー
タはC.サーモスルフロゲネスから単離された細胞
外アミラーゼ活性がβ−アミラーゼであるという
証拠を提供した。 β−アミラーゼの物理化学的性質:β−アミラ
ーゼ活性に対する温度の影響が測定され
た。この酵素活性のための最適温度は75℃
であり、最大活性の85%が80℃において測
定された。温度の逆数に対する比活性のア
レニウスプロツト(Arrhenius plot)を測
定した場合(データは未表示)、β−アミ
ラーゼに対するQ10′値は1.7と算出された。 基質の不在下でのβ−アミラーゼの安定性に対
する温度の影響についても測定された。この酵素
は70℃まで完全に安定であり、75℃で1時間処理
した後にもとの活性の83%が依然として残つてい
た。この酵素は澱粉の不在下において80℃で20分
以内にほとんど完全に破壊されたが、酵素溶液に
澱粉を添加すると澱粉濃度に比例して熱安定性が
非常に高められた。酵素は5%の澱粉の存在下に
おいて80℃で完全に安定であつた。 β−アミラーゼの活性および安定性に対するPH
の影響が測定された。最適活性はPH5.5〜6.0で観
察され、これよりもアルカリ側または酸側のPH値
では活性が次第に低下した。最大活性の43%以上
はPH2.5〜9.0の範囲で検出された。この酵素はPH
3.5〜6.5の範囲で安定であつたが、PH3.0以下およ
びPH7.5以上で不安定であつた。 スルフヒドリル試薬、金属イオンおよびシヤル
デインガーデキストリン(αおよびβ−シクロデ
キストリン)のβ−アミラーゼ活性に対する影響
が試験された。β−アミラーゼ活性はCu++、
Hg++およびp−クロロメルクリ安息香酸
(PCMB)によつて強く阻害されたが、過酸化水
素、5,5′−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸、
N−エチルマレイミド(NEM)、ヨード酢酸お
よびZn++によつて弱く阻害された。これらの阻
害はジチオトレイトール(10mM)の添加によつ
て妨げられ且つもと通りになつた。シヤルデイン
ガーデキストリンは予期に反して酵素活性を阻害
せず、且つβ−アミラーゼによつて加水分解され
なかつた。使用した検定条件のもとで、酵素活性
は1〜30mMのカルシウムイオンの添加によつて
影響を受けなかつた。 【表】 【表】 酵素活性および安定性に対するエタノールの影
響についても試験され、β−アミラーゼ活性は3
%(容量/容量)エタノールの存在下で顕著に影
響されなかつたが、3%(容量/容量)以上では
エタノールの濃度に比例して徐々に低下した。10
%(容量/容量)エタノールの存在下において最
大活性の65%が観察された。この結果はエタノー
ルによる澱粉基質の沈殿が原因であると考えられ
る。なぜならβ−アミラーゼは酵素活性の分析以
前では10%(容量/容量)エタノールの存在下に
おいて65℃で1時間完全に安定であつたからであ
る。 β−アミラーゼの反応速度論的性質: 澱粉対
アミロースに関するβ−アミラーゼの見掛
の反応速度定数(kinetic constant)が生
成物形成速度対時間の曲線を測定すること
によつて決定された。酵素による加水分解
速度の基質濃度への依存はミカエリス−メ
ンテンの反応速度論に従うことが立証さ
れ、1/V対1/〔S〕の直線関係が得ら
れた。澱粉対アミロースに関するβ−アミ
ラーゼの見掛の〔S〕0,5VおよびVnaxは、
二重逆数から測定した場合、それぞれ1
mg/mlおよび60U/mg(タンパク質)対
1.67mg/mlおよび30U/mg(タンパク質)
であつた。 一般に、前記のデータはC.サーモスルフロゲネ
スが細胞定着グルコアミラーゼ活性と細胞外β−
アミラーゼ活性を生ずることを立証している。β
−アミラーゼは澱粉上での増殖期間中に一次代謝
産物として高収量で産生される。このβ−アミラ
ーゼは高熱安定性を有しており、それ故醸造およ
び澱粉加工において産業上利用するのに適してい
る。 この細胞外アミラーゼは確かな基準に基づいて
β−アミラーゼとして分類された。この酵素の澱
粉に対する作用は高分子量の限界デキストリンの
ほかに検出可能な産物としてマルトースのみを生
成し、グルコースやその他のマルトサツカライド
類は生成しなかつた。マルトテトラオースの加水
分解はマルトースのみを生じ、マルトトリオース
の加水分解はグルコースとマルトースを生じた。
この酵素はプルラン、庶糖、セロビオース、トレ
ハロース、シヤルデインガーデキストリンおよび
マルトースに対して不活性であつた。アミロース
の加水分解の際のヨウ素染色能の低下が比較的小
さいのに対して還元力の放出が大きいこと、なら
びにアルカリを添加した際の澱粉消化物の旋光度
が上方に移行することは、この酵素がエキソ型で
作用してβ−アノマー配置のマルトースを生成す
ることを示している。これらの点に関して、C.サ
ーモスルフロゲネスの細胞外アミラーゼは植物お
よび他の微生物由来のβ−アミラーゼの作用パタ
ーンと類似していた。 本発明のβ−アミラーゼは、その新規な性質ゆ
えに、澱粉から種々の糖溶液またはアルコール類
を生産する際の産業上の用途を有している。この
酵素は細胞外の一次代謝産物であり、高温におい
て活性かつ安定である。この酵素は酵素活性のた
めの最高温度が高く(75℃)、基質の存在下では
80℃まで安定である。β−アミラーゼはまた広い
PH範囲において活性かつ安定である。それは酸性
範囲に最適活性(PH5.5〜6.0)および安定性(PH
3.5〜6.5)を有し、このことは最適活性および安
定性が中性PH付近である他の大部分のβ−アミラ
ーゼと相違している。このβ−アミラーゼはほと
んど同じPHおよび温度範囲において活性であるプ
ルラナーゼと共に使用して、マルトースシロツプ
を生産するという新規な用途を有するかも知れな
い。 高等植物および微生物に由来するβ−アミラー
ゼはスルフヒドリル酵素であり、スルフヒドリル
試薬または酸化によつて失活する。本データはC.
サーモスルフロゲネス由来のβ−アミラーゼもま
たスルフヒドリル試薬(すなわちPCMB、
NEM)によつて失活することを示している。し
かしながら、この阻害は還元剤(ジチオトレイト
ール)の添加によつて妨げられ且つもと通りに回
復できた。また、金属イオン(例えばCu++、
Hg++およびFe++)もこのβ−アミラーゼを阻害
した。しかし、他のβ−アミラーゼ(5,6)の
拮抗阻害剤であることが知られているシヤルデイ
ンガーデキストリンはC.サーモスルフロゲネス由
来のβ−アミラーゼを阻害しなかつた。 本発明β−アミラーゼの活性および安定性は、
この菌種の増殖がエタノールに対して非常に感じ
やすかつた(すなわち、2%のエタノールの存在
下で増殖できなかつた)にもかかわらず、エタノ
ールによつてほとんど影響を受けなかつた。 当分野で習熟した者は、β−アミラーゼの生産
性が微生物の突然変異を通して、または遺伝子組
換え技術により向上しうることを認めるであろ
う。従つて、C.サーモスルフロゲネス
(ATCC33743)によつて産生されるものと類似の
熱安定性β−アミラーゼを産生しうる微生物はど
れでも使用可能であるので、本発明の範囲は上記
の微生物の特定菌株に限定されるべきでない。 前述のことを考慮して、本発明は上記の特定の
態様のいずれかによつて限定されるべきでなく、
次の請求の範囲によつてのみ限定されると理解す
べきである。
下において70℃まで安定であり且つ基質の存在下
において80℃まで安定であり、最適活性PHが約
5.5〜約6.0であり、そして約3.5〜約6.5のPH範囲
において安定である熱安定性β−アミラーゼ。 2 次の物理化学的性質: (イ) 反応性:澱粉を加水分解する場合にマルトー
スと限界デキストリンのみを生成する; (ロ) 基質特異性:澱粉またはマルトテトラオース
からマルトースのみを生成し、そしてマルトト
リオースからグルコースとマルトースを生成す
る; (ハ) 最適PH値:約5.5〜約6.0 (ニ) PH安定性:約3.5〜約6.5のPHで安定 (ホ) 最適温度:75℃、80℃で最大活性の85%; (ヘ) 温度安定性:基質の不存在下で70℃まで安定
であり、且つ5%澱粉の存在下で80℃まで安定
である; (ト) 阻害剤の影響:β−アミラーゼ活性は金属イ
オン(Cu++およびHg++)およびp−クロロメ
ルクリ安息香酸によつて阻害されるが、カルシ
ウムイオン、シヤルデインガーデキストリンま
たはエタノールによつては阻害されない; を有する請求項1に記載の熱安定性β−アミラー
ゼ。 3 サツカリダーゼ酵素活性を妨害するものを実
質的に含まない、微生物クロストリジウム サー
モスルフロゲネス(Clostridium
thermosulfurogenes)から得られる請求項1に
記載の熱安定性β−アミラーゼ。 4 栄養培地でβ−アミラーゼ産生産クロストリ
ジウム サーモスルフロゲネスを実質的な酵素活
性が検出できるまで嫌気的に培養し、その後熱安
定性β−アミラーゼを単離することから成る、β
−アミラーゼの産生方法。 技術分野 本発明は酵素に関する。より詳細には、本発明
は熱安定性β−アミラーゼに関する。 背景技術 飲食品産業は澱粉をマルトース溶液へ転化する
ためにβ−アミラーゼ(EC3.2.1.41)酵素を主に
利用している。β−アミラーゼは澱粉型基質の非
還元性末端からα−1,4−グルコシド結合をエ
キソ型で加水分解し、澱粉からβ−アノマー配置
のマルトースとβ−限界デキストリンとの両物質
を生産する。多くの産業用途において使用される
β−アミラーゼは植物由来のものである。活性が
より強く且つ熱安定性である細胞外酵素を微生物
から得る試みがなされているが、微生物由来の既
知のβ−アミラーゼは植物由来のβ−アミラーゼ
の代替物として使用するには十分に活性でなくま
た熱安定性でない。それ故、植物β−アミラーゼ
は高価であり且つ比較的不安であるにもかかわら
ず、マルトース生産のために使用され続けてい
る。 最近産業界において興味のあるほんの少数の酵
素が好熱嫌気性菌から単離され、そして性状決定
がなされた。今日までに性状決定された好熱嫌気
性菌由来の熱安定性活性酵素には、クロストリジ
ウム サーモセラム(Clostridium
thermocellum)のエンドグルカナーゼ、サーモ
アナエロビウムブロツキー(Thermoanarobium
brockii)およびC.サーモヒドロスルフリカム
(C.thermohydrosulfuricum)のアルコールデヒ
ドロゲナーゼ、およびC.サーモスルフロゲネス
(C.thermo−sulfurogenes)のポリガラクツロネ
ートヒドロリアーゼが含まれる。現在使用されて
いるβ−アミラーゼよりも一層熱安定性β−アミ
ラーゼを提供することが明らかに望ましいであろ
う。 発明の開示 本発明の主な目的は、熱安定性β−アミラーゼ
ならびに前記酵素の産生方法を提供することであ
る。 本発明たちは微生物クロストリジウム サーモ
スルフロゲネス(Clostridium
thermosulfurogenes)が特異な熱安定性、熱活
性β−アミラーゼを産生することを発見した。こ
の酵素は細胞外酵素であつて、最適活性温度が75
℃である。基質の不在下では70まで安定であり、
また5%澱粉の存在下では80℃まで安定である。
この酵素の最適活性PHは約5.5〜約6.0である。本
発明のβ−アミラーゼは産業用途において使用す
るのに特に適していると思われる。 本発明のβ−アミラーゼはC.サーモスルフロゲ
ネスを必須ビタミン類、無機物質および増殖因子
を含む栄養培地中澱粉基質の存在下で嫌気的に実
質的な酵素活性が検出されるまで培養し、その後
β−アミラーゼを単離することにより産生され
る。β−アミラーゼは細胞外に産生されので細胞
からの分離が簡単であり、実質的に酵素活性を妨
げるものを含まない精製された形で単離される。 好適な本発明方法において、β−アミラーゼは
C.サーモスルフロゲネスの純粋培養物を必須ビタ
ミン類、無機物質および増殖因子を含む培地中澱
粉基質の存在下で嫌気的に増殖させることにより
産生される。β−アミラーゼは実質的に酵素活性
を妨げるものを含まない培養上清から得られる。 β−アミラーゼ酵素の調製および性状決定の詳
細な説明は次の通りである。 微生物および培養:イエローストーン国立公園
のオクトプス・スプリング(Octopus
Spring)藻類−細菌マツトからC.サーモス
ルフロゲネス株4Bを単離し、ドイチエ・
ザムルンク・フオン・マイクロオーガニズ
メン(Deutsche Sammlung von
Mikroorganismen)(DSM 2229)および
アメリカン・タイプ・カルチヤー・コレク
シヨン(American Type Culture
Collection,メリーランド州ロツクビル)
(ATCC33743)の両方に寄託した。培地の
調製および培養については緊縮(ストリン
ジエント)嫌気的培養技術を使用した。微
生物は一般に0.5%グルコースまたは可溶
性澱粉を含有するTYE培地(24)10mlお
よびN2−CO2(95:5)ヘツドスペースガ
スを収容した26mlの嫌気耐圧試験管内にお
いて60℃で増殖させた。好熱嫌気性菌の高
度に耐熱性の胞子を確実に絶滅させるため
に、培地を45分間加圧滅菌した。 ペトリ皿上で澱粉の加水分解反応を測定
するために、嫌気チエンバー内で1.0%可
溶性澱粉および3.0精製寒天を含有する
TYE培地の平板上に微生物を塗り付けた。
その平板を窒素下で無酸素塗料かんの中に
置き、60℃で4日間インキユベートした。
平板を塗料かんから取り出してヨウ素液
(1%I2および2%KI含有水溶液)を注ぎ、
そして加水分解帯域を肉眼で観察した。 酵素の調製:洗浄細胞およびアミラーゼ源とし
ての培養上清は、0.5%可溶性澱粉を含有
するTYE培地50mlを収容した血清バイア
ル内で上記菌株を培養することにより調製
した。その後定常期培養物を10分間12000
×gで遠心分離した。細胞懸濁物は20mM
酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.0)で2回洗
い、次に緩衝液中に細胞を懸濁することに
より調製した。濃縮細胞外アミラーゼを調
製するための大規模増殖は、N2−CO2
(95:5)下で1.0%マルトースおよび0.02
%酵母エキスを含有するLPBB培地10を
収容した14の発酵槽において実施した。
培養上清は後期指数期まで60℃で増殖させ
た培養物から連続フロー遠心分離機を使つ
て収集した。この上清(10)は最初に2
倍容量の冷エタノール(20)を用いてタ
ンパク質を沈殿させ、次に活性炭粉末に通
して過して沈殿物を採取することにより
濃縮し、その後この沈殿物を20mM酢酸ナ
トリウム緩衝液(PH6.0)300mlに懸濁し、
硫酸アンモニウムを70%まで加えた。沈殿
したタンパク質を15000×gで遠心分離し、
その後上記緩衝液100mlに懸濁した。この
懸濁液を再度遠心分離してリ不溶性物質を
除き、次いで2倍容量の冷アセトンを用い
て沈殿させた。この最後の沈殿物を同じ緩
衝液100mlに懸濁し、その後この酵素溶液
100mlを蒸留水(2回蒸留)4に対して
24時間透析した。 濃縮された上清アミラーゼ溶液の比活性
は60単位/mg(タンパク質)であつた。 上記方法と同じ方法を使つて細胞抽出物
を調製するために、細胞を大量培養して収
獲した。ただし、0.5%可溶性澱粉を補足
したTYE培地を使用した。湿つた細胞ペ
ースト3gを20mM酢酸ナトリウム緩衝液
(PH6.0)12.5mlに懸濁することにより好気
的に細胞抽出物を調製した。この懸濁液を
ニワトリ卵白からのリゾチーム5mgで37℃
において1時間処理し、1406Kg/cm2
(20000b/in2)でフレンチ加圧容器に
通すことにより破壊した。4℃、30000×
gで30分遠心分離することにより上清を回
収し、タンパク質濃度を測定した。 酵素検定:アミラーゼまたはβ−アミラーゼの
活性は、澱粉との反応によつて放出される
還元糖を定量することにより検定した。反
応混合物(1ml)は10%可溶性澱粉、
0.5M酢酸ナトリウム緩衝液懸(PH6.0)1
ml、および適当に水で希釈した酵素溶液3
mlを含んでいた。この反応は60℃で30分イ
ンキユベートした後氷で冷やすことにより
停止させた。 還元力はジニトロサリチル酸法を使つて
測定した。プルラナーゼ活性を検定するた
めの反応混合物は0.2M酢酸ナトリウム緩
衝液(PH6.0)中2%プルラン0.5mlおよび
酵素溶液0.5mlから成つていた。60℃で30
分インキユベートした後、氷で冷却し且つ
3,5−ジニトロサリチル酸4mlを加える
ことにより反応を停止させた。 1単位のアミラーゼ、β−アミラーゼま
たはプルラナーゼは上記条件下でグルコー
ス標準として1分あたり1μモルの還元糖
を産生する酵素の量と定義される。 グルコアミラーゼ活性は1%可溶性澱
粉、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(PH4.8)
および適当に希釈した酵素溶液を含有する
反応混合物1mlを60℃で30分インキユベー
トすることにより検定した。この反応は氷
で冷却し、次に10分間蒸気浴中で沸騰させ
ることによりすぐに停止させた。これらの
反応混合物を遠心混合物を遠心して不溶性
沈殿物を除き、その後放出されたグルコー
スをヘキソキナーゼおよびグルコース−6
−リン酸デヒドロゲナーゼ法により分析し
た。1単位のグルコアミラーゼは上記検定
条件下で1分あたり1μモルのグルコース
を産生する酵素の量と定義される。 澱粉−加水分解産物の定性/定量分析:酵素
(12単位)を1%可溶性酵素含有0.1M酢酸
ナトリウム緩衝液(PH6)20ml中に加え、
65℃でインキユベートした。試料を時々取
り出し、上記のようにして還元糖およびグ
ルコースの含有量を分析した。 澱粉加水分解物中のマルトースは高圧液体クロ
マトグラフイー(HPLC)により同定した。分離
装置はデータステーシヨン、屈折率検出器および
微小監視用予備カラム(40×4.6mm)を有するオ
リゴ糖分析カラム(300×7.8mm)を備えた液体ク
ロマトグラフから構成されていた。澱粉加水分解
物の試料は5000×gで遠心して上記カラムに装填
した(50)。 還元糖の測定および青価(blue value)曲線:
反応混合物は酵素および0.1M酢酸ナトリ
ウム緩衝液(PH6.0)中0.25%アミロース
溶液を含み、この混合物を65℃でインキユ
ベートした。試料(0.5ml)を5分おきに
取り出し、そして青価測定のために0.1M
HCl2mlを含む試験管に加えた。混合後、
0.5mlの試料を採取してヨウ素液(1あ
たりヨウ素0.05gおよびヨウ化カリウム
0.5g含有)5mlに加えた。その後、水−
ヨウ素に対する吸光度を消去した分光光度
計を使つて620nmにおいて吸光度を測定し
た。青価は消化物の吸光度を基質−ヨウ素
ブランクの吸光度で割り、100を掛けるこ
とにより計算した。反応混合物の別の0.5
ml試料を還元価の測定のために採取した。
還元力はネルソン比色定量銅法により分析
した。全炭水化物量はフエノール−硫酸法
により検定した。 旋光度の測定:0.1M酢酸ナトリウム緩衝液
(PH6.0)中1%澱粉溶液および酵素から成
る反応混合物(5ml)を10cmのセルに加え
た。旋光度はナトリウム線を用いる旋光計
により室温で測定した。旋光度がだいたい
一定値になつたとき、約20mgの固体炭酸ナ
トリウムを加えてこの混合物の変旋光を測
定した。 酵素の特性決定:酵素の阻害および反応速度論
的実験は先に述べた標題検定条件下で行つ
た。安定性の実験は前記条件下において
0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(PH6.0)中の
酵素溶液(約40単位/ml)を使用した。 アミラーゼ活性の分布および型:予備実験にお
いて、ヨウ素液で染色した澱粉寒天平板上
のコロニーのまわりに青色の背景に対して
赤つぽい色の大きな帯域が検出された。こ
の結果はC.サーモスルフロゲネスが澱粉を
完全に加水分解し得ないアミラーゼを産生
することを示唆している。 C.サーモスルフロゲネスのそれぞれ異なるアミ
ラーゼ活性の細胞分布および型を示す実験結果を
表1に要約する。この微生物は増殖期間中に細胞
外アミラーゼ(この活性はβ−アミラーゼとして
以下で分類されるだろう)を産生するが、細胞外
プルラナーゼまたはグルコアミラーゼを産生しな
かつた。さらに、細胞定着グルコアミラーゼおよ
びアミラーゼが検出されたが、細胞定着プルラナ
ーゼ活性は検出されなかつた。アミラーゼおよび
グルコアミラーゼのいずれの活性も好気的検定条
件によつて阻害されなかつた。 【表】 細胞外アミラーゼによつて生成された澱粉加水
分解物のHPLC分析は、高分子量オリリゴ糖(す
なわち限界デキストリン)の他にマルトースのみ
が検出可能な生成物として産生されたことを示し
た。長期インキユベーシヨンにもかかわらず、澱
粉加水分解物の定量分析によつてグルコース以外
の還元糖のみが検出された。マルトトリオースお
よびマルトテトラオースの酵素的加水分解も研究
された。0.1M酢酸ナトリウム緩衝液中1%マル
トテトラオースを12単位の酵素と共に65℃で3時
間インキユベートした結果、マルトース(8mg/
ml)のみが生成した。これらと同じ条件下でのマ
ルトトリオース(1%)の酵素的加水分解はグル
コース(0.4mg/ml)とマルトースの両方を生成
した。 この酵素のアミロースに対する作用による還元
力の放出およびヨウ素染色能の低下が測定され
た。α−アミラーゼ対照と比較して、還元価に対
する青価の低下がゆつくりであることはこの酵素
がエキソ作用型アミラーゼであることを示してい
る。変旋光の実験(対照としてα−アミラーゼを
使用)から、C.サーモスルフロゲネス酵素によつ
て生成された澱粉加水分解物に塩基を添加した際
の旋光度の上方移行はこの加水分解産物がβ−ア
ノマー配置を有することを示している。上記デー
タはC.サーモスルフロゲネスから単離された細胞
外アミラーゼ活性がβ−アミラーゼであるという
証拠を提供した。 β−アミラーゼの物理化学的性質:β−アミラ
ーゼ活性に対する温度の影響が測定され
た。この酵素活性のための最適温度は75℃
であり、最大活性の85%が80℃において測
定された。温度の逆数に対する比活性のア
レニウスプロツト(Arrhenius plot)を測
定した場合(データは未表示)、β−アミ
ラーゼに対するQ10′値は1.7と算出された。 基質の不在下でのβ−アミラーゼの安定性に対
する温度の影響についても測定された。この酵素
は70℃まで完全に安定であり、75℃で1時間処理
した後にもとの活性の83%が依然として残つてい
た。この酵素は澱粉の不在下において80℃で20分
以内にほとんど完全に破壊されたが、酵素溶液に
澱粉を添加すると澱粉濃度に比例して熱安定性が
非常に高められた。酵素は5%の澱粉の存在下に
おいて80℃で完全に安定であつた。 β−アミラーゼの活性および安定性に対するPH
の影響が測定された。最適活性はPH5.5〜6.0で観
察され、これよりもアルカリ側または酸側のPH値
では活性が次第に低下した。最大活性の43%以上
はPH2.5〜9.0の範囲で検出された。この酵素はPH
3.5〜6.5の範囲で安定であつたが、PH3.0以下およ
びPH7.5以上で不安定であつた。 スルフヒドリル試薬、金属イオンおよびシヤル
デインガーデキストリン(αおよびβ−シクロデ
キストリン)のβ−アミラーゼ活性に対する影響
が試験された。β−アミラーゼ活性はCu++、
Hg++およびp−クロロメルクリ安息香酸
(PCMB)によつて強く阻害されたが、過酸化水
素、5,5′−ジチオビス−2−ニトロ安息香酸、
N−エチルマレイミド(NEM)、ヨード酢酸お
よびZn++によつて弱く阻害された。これらの阻
害はジチオトレイトール(10mM)の添加によつ
て妨げられ且つもと通りになつた。シヤルデイン
ガーデキストリンは予期に反して酵素活性を阻害
せず、且つβ−アミラーゼによつて加水分解され
なかつた。使用した検定条件のもとで、酵素活性
は1〜30mMのカルシウムイオンの添加によつて
影響を受けなかつた。 【表】 【表】 酵素活性および安定性に対するエタノールの影
響についても試験され、β−アミラーゼ活性は3
%(容量/容量)エタノールの存在下で顕著に影
響されなかつたが、3%(容量/容量)以上では
エタノールの濃度に比例して徐々に低下した。10
%(容量/容量)エタノールの存在下において最
大活性の65%が観察された。この結果はエタノー
ルによる澱粉基質の沈殿が原因であると考えられ
る。なぜならβ−アミラーゼは酵素活性の分析以
前では10%(容量/容量)エタノールの存在下に
おいて65℃で1時間完全に安定であつたからであ
る。 β−アミラーゼの反応速度論的性質: 澱粉対
アミロースに関するβ−アミラーゼの見掛
の反応速度定数(kinetic constant)が生
成物形成速度対時間の曲線を測定すること
によつて決定された。酵素による加水分解
速度の基質濃度への依存はミカエリス−メ
ンテンの反応速度論に従うことが立証さ
れ、1/V対1/〔S〕の直線関係が得ら
れた。澱粉対アミロースに関するβ−アミ
ラーゼの見掛の〔S〕0,5VおよびVnaxは、
二重逆数から測定した場合、それぞれ1
mg/mlおよび60U/mg(タンパク質)対
1.67mg/mlおよび30U/mg(タンパク質)
であつた。 一般に、前記のデータはC.サーモスルフロゲネ
スが細胞定着グルコアミラーゼ活性と細胞外β−
アミラーゼ活性を生ずることを立証している。β
−アミラーゼは澱粉上での増殖期間中に一次代謝
産物として高収量で産生される。このβ−アミラ
ーゼは高熱安定性を有しており、それ故醸造およ
び澱粉加工において産業上利用するのに適してい
る。 この細胞外アミラーゼは確かな基準に基づいて
β−アミラーゼとして分類された。この酵素の澱
粉に対する作用は高分子量の限界デキストリンの
ほかに検出可能な産物としてマルトースのみを生
成し、グルコースやその他のマルトサツカライド
類は生成しなかつた。マルトテトラオースの加水
分解はマルトースのみを生じ、マルトトリオース
の加水分解はグルコースとマルトースを生じた。
この酵素はプルラン、庶糖、セロビオース、トレ
ハロース、シヤルデインガーデキストリンおよび
マルトースに対して不活性であつた。アミロース
の加水分解の際のヨウ素染色能の低下が比較的小
さいのに対して還元力の放出が大きいこと、なら
びにアルカリを添加した際の澱粉消化物の旋光度
が上方に移行することは、この酵素がエキソ型で
作用してβ−アノマー配置のマルトースを生成す
ることを示している。これらの点に関して、C.サ
ーモスルフロゲネスの細胞外アミラーゼは植物お
よび他の微生物由来のβ−アミラーゼの作用パタ
ーンと類似していた。 本発明のβ−アミラーゼは、その新規な性質ゆ
えに、澱粉から種々の糖溶液またはアルコール類
を生産する際の産業上の用途を有している。この
酵素は細胞外の一次代謝産物であり、高温におい
て活性かつ安定である。この酵素は酵素活性のた
めの最高温度が高く(75℃)、基質の存在下では
80℃まで安定である。β−アミラーゼはまた広い
PH範囲において活性かつ安定である。それは酸性
範囲に最適活性(PH5.5〜6.0)および安定性(PH
3.5〜6.5)を有し、このことは最適活性および安
定性が中性PH付近である他の大部分のβ−アミラ
ーゼと相違している。このβ−アミラーゼはほと
んど同じPHおよび温度範囲において活性であるプ
ルラナーゼと共に使用して、マルトースシロツプ
を生産するという新規な用途を有するかも知れな
い。 高等植物および微生物に由来するβ−アミラー
ゼはスルフヒドリル酵素であり、スルフヒドリル
試薬または酸化によつて失活する。本データはC.
サーモスルフロゲネス由来のβ−アミラーゼもま
たスルフヒドリル試薬(すなわちPCMB、
NEM)によつて失活することを示している。し
かしながら、この阻害は還元剤(ジチオトレイト
ール)の添加によつて妨げられ且つもと通りに回
復できた。また、金属イオン(例えばCu++、
Hg++およびFe++)もこのβ−アミラーゼを阻害
した。しかし、他のβ−アミラーゼ(5,6)の
拮抗阻害剤であることが知られているシヤルデイ
ンガーデキストリンはC.サーモスルフロゲネス由
来のβ−アミラーゼを阻害しなかつた。 本発明β−アミラーゼの活性および安定性は、
この菌種の増殖がエタノールに対して非常に感じ
やすかつた(すなわち、2%のエタノールの存在
下で増殖できなかつた)にもかかわらず、エタノ
ールによつてほとんど影響を受けなかつた。 当分野で習熟した者は、β−アミラーゼの生産
性が微生物の突然変異を通して、または遺伝子組
換え技術により向上しうることを認めるであろ
う。従つて、C.サーモスルフロゲネス
(ATCC33743)によつて産生されるものと類似の
熱安定性β−アミラーゼを産生しうる微生物はど
れでも使用可能であるので、本発明の範囲は上記
の微生物の特定菌株に限定されるべきでない。 前述のことを考慮して、本発明は上記の特定の
態様のいずれかによつて限定されるべきでなく、
次の請求の範囲によつてのみ限定されると理解す
べきである。
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