JPH057588A - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents

超音波ドプラ診断装置

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JPH057588A
JPH057588A JP3161913A JP16191391A JPH057588A JP H057588 A JPH057588 A JP H057588A JP 3161913 A JP3161913 A JP 3161913A JP 16191391 A JP16191391 A JP 16191391A JP H057588 A JPH057588 A JP H057588A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、超音波のドプラ効果を利用して被検
体内の血流情報を得る超音波ドプラ診断装置に関し、非
常に遅い速度をもつ血流であってもそのドプラ偏移周波
数がクラッタ成分のドプラ偏移周波数と異なっている限
り、クラッタ成分の情報のみを選択的に除去する。 【構成】受信信号に基づいてクラッタ成分の移動速度及
び/又はその分散を求めるクラッタ情報検出手段と、こ
の求められた移動速度及び/又は分散に基づいて、受信
信号から、該受信信号が担持するクラッタ成分の情報が
選択的に除去されたクラッタ除去信号を求めるクラッタ
情報除去手段と、このクラッタ除去信号に基づいて血流
情報を求める血流情報検出手段とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波のドプラ効果を
利用して被検体内の血流情報を得る超音波ドプラ診断装
置に関し、詳細には低速の血流成分の情報をクラッタ成
分の情報から分離して検出するようにした超音波ドプラ
診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】人体内に超音波ビームを送信し、人体内
の組織で反射されて戻ってくる超音波を受信して人体の
内蔵等の疾患の診断を行う超音波診断装置が従来より用
いられており、この超音波診断装置の一態様として、も
しくはBモード(断層像)表示を行う超音波診断装置の
オプションとして、体内を流れる血球で反射された超音
波を受信して血流の速度、分散、パワー等の血流情報を
得る超音波ドプラ診断装置が用いられている。
【0003】図10は従来の超音波診断装置の一例の概
略構成図である。送信制御部11から超音波プローブ1
2を構成する多数の振動子(図示せず)にそれぞれ所定
のタイミングでパルス信号Tpが送信され、これにより
被検体(図示せず)内に超音波パルスビームが送信され
る。ここでは例えばセクタ走査がなされ、各方向に例え
ば8回のパルス状の超音波ビームが送信される。この超
音波パルスビームは、被検体内を流れる血球やその他の
組織で反射され、この超音波プローブ12内の多数の振
動子で受信される。この各振動子で受信された受信信号
Apは、遅延加算部13に入力され、この遅延加算部1
3内で受信ダイナミックフォーカスを満足するように遅
延加算される。この遅延加算後の受信信号Sは、Bモー
ド検出部14と血流情報検出部15に入力される。
【0004】Bモード検出部14では、入力された受信
信号Sに基づいてBモード表示(断層像)を担う信号S
A が生成され、この信号SA がCRTディスプレイ装置
等からなる表示部16に入力され、この表示部16にお
いて断層像が表示され診断に供される。また血流情報検
出部15では、入力された受信信号Sに基づいて、以下
に示すドプラ効果が利用されて血流情報が検出される。
【0005】即ち、血流内の血球によって反射された反
射超音波は、血球の移動により周波数偏移を受け、この
偏移量(ドプラ偏移周波数)fdは、体内を流れる血流
の速度をV、この血流の方向と送信された超音波ビーム
の方向とのなす角をθ、送信超音波の中心周波数をf
c、体内を伝播する超音波の速度をCとしたとき、 fd = (2Vcosθ/C)・fc …(1) で表わされ、反射超音波を受信した受信信号の中心周波
数fは f = fc+fd …(2) となる。したがって、このドプラ偏移周波数fdを検出
し、また上記断層像を担う信号SA に基づいて血管の延
びる方向を検出することにより、血流速度Vを検出する
ことができる。このドプラ偏移周波数fdは、例えば広
く用いられている自己相関法、FFT法や、そのほか微
小変位計測法(相互相関法(例えば、日本超音波医学会
第54回研究発表会講演論文集第359頁〜第360頁
「解析信号の空間相関を用いた不均一組織の微小変位計
測」八木他参照)、位相追跡法(例えば、日本超音波医
学会第57回研究発表会講演論文集第445頁〜第44
6頁「位相追跡処理による生体内組織変位測定」新木
他、平成2年10月12日特許出願「超音波診断装置」
特願平2−273910号参照)、観測データにオリエ
ンテッドな方法(日本超音波医学会第56回研究発表会
講演論文集第233頁〜第234頁「散乱体のランダム
な構造に依存しない反射型での微小変動の推定法」山越
他、平成2年4月3日特許出願「超音波診断装置」特願
平2−088553号参照))等の各種の方法により求
めることができる。
【0006】上記のようにして求められた血流情報を表
わす信号SB は表示部16に入力され、例えば上記断層
像に重畳されて、超音波プローブに近づく方向の血流は
例えば赤色、遠ざかる血流は例えば青色で表示される。
以下、ここでの主題である血流情報の検出に限って説明
する。図11は、従来の超音波ドプラ診断装置の、図1
0に示す血流情報検出部15に相当する部分の一例を表
わしたブロック図である。
【0007】遅延加算された受信信号Sは直交検波回路
17に入力されて直交検波される。図12は、この直交
検波回路17の内部構成を表わすブロック図である。こ
の直交検波回路17に入力された受信信号Sは2系統に
分割され、それぞれが乗算器17a,17bに入力され
る。またこれらの乗算器17a,17bには、互いに9
0°位相の異なる2つの正弦波信号(キャリア信号)S
IN,COSがそれぞれ入力され、これらの乗算器17
a,17bでは入力された各2つの信号(受信信号Sと
キャリア信号SIN、又は受信信号Sとキャリア信号C
OS)がそれぞれ乗算され、これにより乗算前の各2つ
の信号の和と差の周波数の双方をもつ2つの信号SM
I ,SMQ が生成される。これらの各信号SMI ,SM
Qはそれぞれ各低域通過フィルタ17c,17dを経由
することにより上記各2つの信号の差の周波数の信号の
みを担持する、直交検波後の受信信号SのI成分S I
Q成分SQ が生成されこの直交検波回路17から出力さ
れる。この直交検波された受信信号SのI成分SI ,Q
成分SQ は、この直交検波回路17から出力された後、
図11に示す各A/D変換器18a,18bに入力され
てA/D変換され、その後各MTI(Moving T
arget Indicator)フィルタ19a,1
9bに入力される。このMTIフィルタ19a,19b
は、レーダーにおけるMTIフィルタと同様のものであ
り、通常はパルス信号の繰返し周期に相当する遅延時間
をもつ遅延回路と積和器とで構成される、低周波信号を
遮断するディジタルフィルタであって、この超音波ドプ
ラ診断装置の分野において広く用いられているものであ
る。このMTIフィルタ19a,19bは、受信信号S
には血流成分の情報とともに血流以外の被検体の動き等
に起因する比較的ゆるやかな動きの情報を担う、血流成
分と比較し例えば100倍程度のパワーをもつクラッタ
成分の情報が強大な雑音成分として混入しているため、
これを取り除く目的で用いられるものである。このMT
Iフィルタ19a,19bから出力されたクラッタ除去
信号SCのI成分SCI ,Q成分SCQ は相関器20に
入力され、この相関器20における自己相関演算により
血流の速度、速度分散、パワー等の血流情報を担持する
信号SB が生成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】図13は、MTIフィ
ルタの特性の例を表わした図である。横軸はドプラ偏移
周波数fd(式(1)参照)を表わしている。また折れ
線31はMTIフィルタの特性を示しており、このMT
Iフィルタはfd=0を中心とした|fd|≦Thの周
波数帯域の信号をカットし、|fd|>Thの周波数帯
域の信号を通過させる特性を有している。また山32,
33は受信信号Sが担持するそれぞれクラッタ成分、血
流成分のドプラ偏移周波数分布を表わしている。
【0009】図13(a)に示すように、血流の流れが
早く山33が山32と大きく離れている場合には、山3
2に対応するクラッタ成分の情報をカットするとともに
山33に対応する血流成分の情報を通過させるようにM
TIフィルタの信号遮断帯域を定めることにより、クラ
ッタ成分の情報が選択的に除去されたクラッタ除去信号
SC(SCI ,SCQ )が出力されるが、血流の速度が
非常に遅い場合は、例えば図13(b)に示すように山
33が山32に近づき、これらの山32,33が互いに
分離している場合であっても、クラッタ成分の情報を除
去するようにMTIフィルタの特性を定めると血流成分
の情報まで除去されてしまい、クラッタ成分の情報のみ
を選択的に除去することができないという問題がある。
特に近年では例えば肝臓等腹部の血流情報を検出する要
請が高まり、このためクラッタ成分と同程度のドプラ偏
移周波数をもつ非常に速度の遅い血流まで検出すること
が重要となってきている。
【0010】本発明は、上記事情に鑑み、非常に遅い速
度をもつ血流であってもそのドプラ偏移周波数がクラッ
タ成分のドプラ変移周波数と異なっている限り、クラッ
タ成分の情報のみを選択的に除去することのできる超音
波ドプラ診断装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】図1は、本発明の超音波
ドプラ診断装置の特徴部分の原理ブロック図である。以
後、簡単のため、特徴部分のみを指標する場合も超音波
ドプラ診断装置と称する。前述のようにして遅延加算さ
れた受信信号Sは、クラッタ情報検出手段1とクラッタ
情報除去手段2との双方に入力される。
【0012】このクラッタ情報検出手段1では入力され
た受信信号Sに基づいてクラッタ成分の移動速度Vcと
その移動速度の分散σc 2との双方又はこれら移動速度V
cと分散σc 2のいずれか一方が求められる。ここでクラ
ッタの移動速度Vc、分散σc 2はクラッタ成分のそれぞ
れ平均的な移動速度、移動速度の変動の大きさを総称す
るものであり、数学的な意味における平均速度、分散で
ある必要はない。例えば移動速度Vcとして多数回測定
した際の中央値、(最大値+最小値)/2等を採用して
もよく、分散σc 2として、標準偏差、(最大値−最少
値)等を採用してもよい。
【0013】この移動速度Vc及び/又は分散σc 2の求
め方は、特定の求め方に限定されるものではなく、例え
ば前述した相互相関法、位相追跡法、観測データにオリ
エンテッドな方法等の各種の微小変位計測法や、自己相
関法、FFT法のいずれかあるいはこれらの組合わせ等
を用いることができ、例えば被検体内の一点の血流情報
を求めるいわゆるポイントドプラ法や2次元的な断層面
内の血流情報を求めるいわゆるカラードプラ法等に応
じ、それぞれ適切な求め方が選択される。
【0014】クラッタ情報検出手段1で求められた移動
速度Vc及び/又は分散σc 2は、クラッタ情報除去手段
2に入力される。このクラッタ情報除去手段2は、上記
クラッタ情報検出手段1で求められた移動速度Vc及び
/又は分散σc 2に基づいて、このクラッタ情報除去手段
2に入力された受信信号Sからこの受信信号Sに含まれ
るクラッタ成分の情報を選択的に除去するものであり、
これにより血流成分の情報のみを含むクラッタ除去信号
SCが生成される。
【0015】このクラッタ情報除去手段2も特定の構成
に限定されるものではない。例えば後述する実施例に示
すように、クラッタ情報検出手段1でクラッタ成分の移
動速度Vcのみ、もしくは移動速度Vcと分散σc 2との
双方を求め、求められた移動速度Vc、もしくは移動速
度Vcと分散σc 2とに基づいて複素MTIフィルタの特
性を定めるようにしてもよく、又はクラッタ情報検出手
段1でクラッタ成分の移動速度Vcのみ、もしくは移動
速度Vcと分散σc 2との双方を求め、この移動速度Vc
に基づいて直交検波回路から出力される受信信号の直流
成分がクラッタ成分の移動速度の情報を担持するように
直交検波のキャリア信号の位相を制御し、この直交検波
回路から出力された受信信号を、信号遮断帯域の固定さ
れたMTIフィルタもしくは分散σc 2に基づいてその帯
域幅が調整されたMTIフィルタに入力するように構成
してもよい。また、クラッタ成分の移動速度VcがVc
≒0であることはあらかじめわかっているが、その分散
σc 2が大きくなったり小さくなったり変動する場合に
は、この分散σc 2が小さくなったときに血流成分の情報
を取出すために、クラッタ情報検出手段1でクラッタ成
分の移動速度の分散σ c 2を求め、この分散σc 2に基づい
てMTIフィルタの信号遮断帯域の帯域幅を定めるよう
に構成してもよい。またMTIフィルタや複素MTIフ
ィルタを用いる各種構成のほか、例えばポイントドップ
ラ法の場合等に、クラッタ成分と血流成分との双方の情
報を含む受信信号Sに基づいてクラッタ成分の移動速度
Vcとその分散σc 2とを求め(クラッタ情報検出手段1
の機能)、その後、この移動速度Vcと分散σc 2とに基
づいて周波数空間上でクラッタ成分の情報を除去するよ
うに構成してもよい。
【0016】このようにクラッタ情報除去手段2として
種々の構成を採用することができる。このクラッタ情報
除去手段2から出力されたクラック除去信号SCは、血
流情報検出手段3に入力される。この血流情報検出手段
3では入力されたクラッタ除去信号SCに基づいて血流
情報を表わす信号SB が求められる。この血流情報検出
手段3における血流情報の求め方も特定の手法に限定さ
れるものではなく、クラッタ除去信号SCに基づいて、
前述した各種の方法、即ち相互相関法、位相追跡法、観
測データにオリエンテッドな方法等の各種の微小変位計
測法や、自己相関法、FFT法のいずれかあるいはこれ
らの組合わせ等を用いて血流情報を求めることができ
る。
【0017】
【作用】クラッタ情報除去手段1に入力される受信信号
Sにはクラッタ成分の情報のみならず血流成分の情報も
含まれているが、前述したようにクラッタ成分は血流成
分よりも極端に大きなパワーを有している。従って受信
信号Sには血流成分の情報も含まれてはいるものの、こ
の受信信号Sに基づいてこの受信信号Sが担持する全成
分の移動速度や分散等を求めても、その結果は実質上ク
ラッタ成分の移動速度Vc、その分散σc 2と見なして差
しつかえない。
【0018】本発明はこの点に着目して完成されたもの
であり、受信信号Sに基づいて先ずクラッタ成分の移動
速度Vc及び/又はその分散σc 2を求め、この移動速度
Vc及び/又は分散σc 2を用いて受信信号Sからクラッ
タ成分の情報を選択的に除去するように構成したため、
クラッタ成分と血流成分のドプラ偏移周波数fdが互い
に異なっている限りクラッタ成分のみを選択的に除去す
ることができ、したがって例えば腹部等速度の遅い血流
の情報を得る場合に高性能の超音波ドプラ診断装置が実
現される。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
2は、本発明の超音波ドプラ診断装置の第一の実施例を
表わすブロック図、図3は図2に示す第一の実施例にお
ける複素MTIフィルタの特性と受信信号との関係を表
わした図である。これらの図において図11〜図13に
示した従来例の構成要素と対応する要素には図11〜図
13に付した番号、記号と同一の番号、記号を付し、説
明は省略する。
【0020】複素MTIフィルタ22は、通常用いられ
ているMTIフィルタ(図11、図13参照)と比べフ
ィルタを構成する素子数が多く回路規模が非常に大きい
という欠点を有するが、一方、信号遮断帯域の中心周波
数foをfo=0以外の周波数とすることができるとい
う特性を備えている。この実施例はその特性を生かした
ものである。
【0021】2つのA/D変換器18a,18bでディ
ジタル化された受信信号SのI成分SI ,Q成分SQ
相関器19に入力され、この相関器19で自己相関演算
がなされ、これによりクラッタ成分の移動速度Vcとそ
の分散σc 2が求められる。ここで、この相関器19に入
力された受信信号Sにはクラッタ成分と血流成分の双方
の情報が含まれるが、クラッタ成分は血流成分と比べ1
00倍(40dB)程度のパワーを有しているため、血
流成分の情報を含んだまま自己相関演算を行ってもほと
んど問題なくクラッタ成分の移動速度Vc、分散σc 2
求められる。この求められたクラッタ成分の移動速度V
c、分散σc 2を表わす信号はメモリ20に入力される。
このメモリ20は、本発明にいうフィルタ制御回路に相
当するものであり、メモリ20内には移動速度Vcと複
素MTIフィルタ22の信号遮断帯域の中心周波数fo
を定める係数との対応表、および分散σc 2と複素MTI
フィルタ22の信号遮断帯域の帯域幅Wを定める係数と
の対応表がルックアップテーブルの形式であらかじめ記
憶されており、相関器19で求められた移動速度Vc及
び分散σc 2がメモリ20に入力されるとこのメモリ20
から複素MTIフィルタ22の信号遮断帯域の中心周波
数foを定める係数と帯域幅Wを定める係数が出力さ
れ、これらの係数が複素MTIフィルタ22に入力され
る。
【0022】また、A/D変換器18a,18bでディ
ジタル化された受信信号SのI成分SI 、Q成分SQ
は、各遅延器21a,21bにも入力され、相関器19
で移動速度Vc、分散σc 2が求められメモリ20で上記
係数が求められてその係数が複素MTIフィルタ22に
入力されるまでの時間遅延された後、複素MTIフィル
タ22に入力される。この複素MTIフィルタ22は、
図3に示すように、クラッタ成分(山32)のみを選択
的に除去するように上記係数によりその特性が定められ
ており、したがって血流成分(山33)が有効に取り出
される。
【0023】尚、クラッタ成分の移動速度の分散σc 2
ついては、比較的実験的、経験的に求めやすいため、複
素MTIフィルタ22の信号遮断帯域の帯域幅Wはあら
かじめ実験的、経験的に定められた値に固定し、相関器
19ではクラッタ成分の移動速度Vcのみを求め、これ
に基づいて複素MTIフィルタ22の信号遮断帯域の中
心周波数foを定めてもよい。ただしこの固定された帯
域幅Wは被検体の測定部位に応じて変更することが好ま
しい。
【0024】また複素MTIフィルタ22の信号遮断帯
域の中心周波数fo、帯域幅Wの定め方によっては、直
流成分(fd=0)がこの信号遮断帯域から外れてしま
うこともあり得るが、例えば直交検波回路17を構成す
る乗算器17a,17b(図12参照)のオフセットや
図示しない増幅器のオフセット等に起因する不要な直流
成分をもつ信号が複数MTIフィルタ22に入力される
ことも有り得るため、この複素MTIフィルタ22で入
力される信号の直流成分を遮断するようにその信号遮断
帯域にfd=0を含ませることが好ましい。
【0025】図4は本発明の超音波ドプラ診断装置の第
二の実施例を表わすブロック図、図5は、図4に示す第
二の実施例におけるMTIフィルタの特性と受信信号と
の関係を表わした図である。これらの図において、図1
1〜図13および図2、図3に示した従来例、実施例の
構成要素と対応する要素には、それらの図に付した番
号、記号と同一の番号、記号を付し、説明は省略する。
【0026】この実施例では直交検波回路17に入力さ
れるキャリア信号SIN、COS(図12参照)の位相
制御を行う位相制御回路24を備えることにより、複素
MTIフィルタは用いずに通常のMTIフィルタ25
a,25bを用いるように構成したものである。2次元
的な断層像に重畳して、血流を青、赤等で表示するいわ
ゆるカラードプラ法の場合は、前述したように被検体内
の各方向に超音波パルスが例えば8回送信されるが、こ
こではそのうちの前半4回と後半4回とに分け、前半4
回の測定の間は相関器19でクラッタ成分の移動速度V
cとその分散σc 2が求められ、後半4回の測定の間はそ
の受信信号SがMTIフィルタ25a,25bを通過し
て相関器23に入力され、この相関器23により血流情
報が求められる。
【0027】図6は、前半4回、即ち位相調整前のキャ
リア信号SINと受信信号Sとの位相関係を表わした模
式図である。図に示す(1),(2),(3),(4)
はこの順で行われた4回の測定を表わしている。例えば
被検体内のある反射点で反射されて戻った超音波を受信
して受信信号を得た場合にこの反射点が所定の方向に移
動していたと仮定し、この受信信号Sを超音波パルスの
各送信のタイミングを起点として表示すると、(1)〜
(4)の各受信信号Sの波形に示すように、反射点の移
動に伴ってその位相が順次変化する。一方、キャリア信
号SINはその位相が固定されており、したがってキャ
リア信号SINと受信信号Sとの位相関係は各測定毎に
異なることとなり、この場合、上記反射点によるドプラ
偏移周波数fdはfd≠0として検出されることとな
る。
【0028】図7は、後半4回、即ち位相調整後のキャ
リア信号SINと受信信号Sとの位相関係を表わした模
式図である。この図に示す(5),(6),(7),
(8)は、図6に示す(1)〜(4)の4回の測定の後
の、この順で行われた4回の測定を表わしている。図6
の場合と同様に、受信信号Sは反射点の移動に伴ってそ
の位相が順次変化しているが、キャリア信号SINと受
信信号Sとの相対的な位相関係は常に一定となるように
キャリア信号SINの位相も変化される。この場合上記
反射点によるドプラ偏移周波数fdはfd=0として検
出されることとなる。
【0029】図4に示す本発明の第二の実施例は上記原
理を応用したものであり、先ず前半の4回の測定に基づ
いて相関器19でクラッタ成分の移動速度Vcとその分
散σ c 2とが求められ、移動速度Vcは位相制御回路24
に入力され、分散σc 2はメモリ20に入力される。位相
制御回路24は、前半4回の測定の間は、図6に示すよ
うに位相の固定されたキャリア信号SIN,COSを生
成して直交検波回路17に入力するが、後半の4回につ
いては、入力された移動速度Vcに基づいて、この移動
速度Vcがドプラ偏移周波数fd=0にあらわれるよう
に位相の調整されたキャリア信号SIN,COSが生成
されて直交検波回路17に入力される。またメモリ20
には、分散σc 2とMTIフィルタ25a,26bの信号
遮断帯域の帯域幅Wを定める係数との対応表がルックア
ップテーブルの形式であらかじめ記憶されており、分散
σc 2が入力されると、MTIフィルタ25a,25bの
信号遮断帯域の帯域幅Wを定める係数が求められ、この
係数がMTIフィルタ25a,25bに入力される。こ
のMTIフィルタ25a,25bは複素MTIフィルタ
とは異なり、その信号遮断帯域の中心周波数foはfo
=0に固定されこれを変更することはできないが、後半
4回の測定においては、直交検波回路17から出力され
る受信信号S(SI ,SQ )は、クラッタ成分の情報を
ドプラ偏移周波数fd=0を中心として分布する情報と
して担持する信号であるため、クラッタ成分の本来の移
動速度VcがVc≠0であっても通常のMTIフィルタ
25a,25bによりクラッタ成分を選択的に除去する
ことが可能となる。この後半4回の測定において、MT
Iフィルタ25a,25bから出力されたクラッタ除去
信号SC(SCI ,SCQ )が相関器23に入力され、
この相関器23における自己相関演算により血流情報を
表わす信号SB が生成される。
【0030】この第二の実施例は、前述した第一の実施
例と比較し、回路規模の大きな複素MTIフィルタを用
いる必要がないという長所はあるが、その一方で前半の
測定におけるクラッタ成分の移動速度Vcに基づいて後
半の測定におけるキャリア信号SIN,COSの位相を
調整するため、前半の測定におけるクラッタ成分の移動
速度と後半の測定の際のクラッタ成分の移動速度が異な
ることも考えられ、この場合クラッタ成分を選択的に除
去する精度が低下するおそれがあること、血流情報は後
半の測定の際に求めるため、血流情報を前述した第一の
実施例と同一の精度で求めるには超音波の送信回数を増
やす必要があること等の短所を併せもっている。
【0031】尚、この第二の実施例においても、前述し
た第一の実施例と同様に、相関器19でクラッタ成分の
移動速度Vcのみを求め、MTIフィルタ25a,25
bの信号遮断帯域の帯域幅Wはあらかじめ実験的、経験
的に求められた値に固定してもよく、この場合、この第
二の実施例では、分散σc 2と帯域幅Wを定める係数との
対応表を記憶しておくメモリ20は不要となる。
【0032】図8は、本発明の超音波ドプラ診断装置の
第三の実施例を表わすブロック図、図9は図8に示す第
三の実施例におけるMTIフィルタの特性と受信信号と
の関係を表わした図である。これらの図において、前述
した図11〜図13に示した従来例、図2〜図7に示し
た各実施例の構成要素と対応する要素にはそれらの各図
に付した番号、記号と同一の番号、記号を付し、説明は
省略する。
【0033】この第三の実施例においては、図8に示す
ように、信号遮断帯域の中心周波数foがfo=0に固
定された通常のMTIフィルタ25a,25bが備えら
れており、相関器19ではクラッタの移動速度の分散σ
c 2が求められてこれに基づいてMTIフィルタ25a,
25bの信号遮断帯域の帯域幅Wが制御される。この第
三の実施例は、例えば被検体内のある臓器が震えたり停
止したりしている場合等、クラッタ成分(臓器)は全体
としては移動しない(移動速度Vc≒0)が、図9
(a),(b)に示すようにその分散σc 2(山32の
幅)が大きくなったり小さくなったりしている場合等に
有用であり、MTIフィルタ25a,25bの信号遮断
帯域の帯域幅Wを臓器の震え(分散σc 2の大小)に追随
して変化させることにより、図9(a)に示すようにそ
の震え(分散σc 2)が小さくなった瞬間に血流情報(山
33に対応する情報)を取出すことができる。
【0034】以上の実施例に示すように、クラッタ成分
と血流成分の双方の情報を含む受信信号Sに基づいてク
ラッタ成分の移動速度Vc及び/又はその分散σc 2を求
め、この求められた移動速度Vc及び/又は分散σc 2
基づいてクラッタ成分の情報を選択的に除去するように
したため、非常に遅い速度の血流であっても、この血流
によるドプラ偏移周波数とクラッタ成分によるドプラ偏
移周波数が互いに異なっている限り、血流成分の情報を
クラッタ成分の情報と分離して取り出すことができる。
【0035】尚、上記各実施例にみるように、クラッタ
成分の移動速度Vcとその分散σc 2の双方を求めること
は必ずしも必要ではなく、クラッタ成分を除去する精度
やその測定の情況等に応じ、移動速度Vc又は分散σc 2
のいずれか一方のみを求めた場合でもクラッタ成分を選
択的に除去することができる。また、本発明は上記各実
施例に限定されるものではない。例えば上記各実施例で
はアナログ的に直交検波を行った後ディジタル化してい
るが、直交検波を行う前にディジタル化し、その後の演
算で直交検波と等価な処理を行ってもよく、また例えば
被検体内の一点の血流情報を得るいわゆるポイントドプ
ラ法の場合等において、受信信号をディジタル化した後
フーリエ変換し、周波数領域でクラッタ成分の移動速度
Vcやその分散σc 2の検出、クラッタ成分の選択的な除
去、血流情報の検出を行ってもよく、その他種々に構成
されるものである。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の超
音波ドプラ診断装置は、受信信号に基づいてクラッタ成
分の移動速度及び/又は該移動速度の分散を求めるクラ
ッタ情報検出手段と、この求められた移動速度及び/又
は分散に基づいて、受信信号が担持するクラッタ成分の
情報が選択的に除去されたクラッタ除去信号を求めるク
ラッタ情報除去手段と、このクラッタ除去信号に基づい
て血流情報を求める血流情報検出手段とを備えたため、
血流成分のドプラ偏移周波数分布とクラッタ成分のドプ
ラ偏移周波数分布が互いに異なっている限りクラッタ成
分のみを選択的に除去し血流情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波ドプラ診断装置の特徴部分の原
理ブロック図である。
【図2】本発明の超音波ドプラ診断装置の第一の実施例
を表わすブロック図である。
【図3】図2に示す第一の実施例における複素MTIフ
ィルタの特性と受信信号との関係を表わした図である。
【図4】本発明の超音波ドプラ診断装置の第二の実施例
を表わすブロック図である。
【図5】図4に示す第二の実施例におけるMTIフィル
タの特性と受信信号との関係を表わした図である。
【図6】位相調整前のキャリア信号と受信信号との位相
関係を表わした模式図である。
【図7】位相調整後のキャリア信号と受信信号との位相
関係を表わした模式図である。
【図8】本発明の超音波ドプラ診断装置の第三の実施例
を表わすブロック図である。
【図9】図8に示す第三の実施例におけるMTIフィル
タの特性と受信信号との関係を表わした図である。
【図10】超音波診断装置の一例の概略構成図である。
【図11】従来の超音波ドプラ診断装置の一例を表わし
たブロック図である。
【図12】直交検波回路の内部構成を表わすブロック図
である。
【図13】MTIフィルタの特性の例を表わした図であ
る。
【符号の説明】
1 クラッタ情報検出手段 2 クラッタ情報除去手段 3 血流情報検出手段 17 直交検波回路 18a,18b A/D変換器 19 相関器 20 メモリ 22 複素MTIフィルタ 23 相関器 24 位相制御回路 25a,25b MTIフィルタ 31 MTIフィルタ(複素MTIフィルタを含む)の
特性を表わす折れ線 32 クラッタ成分のドプラ偏移周波数分布を表わす山 33 血流成分のドプラ偏移周波数分布を表わす山

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体内に送信され該被検体内で反射さ
    れた超音波を受信することにより得られた受信信号に基
    づいて前記被検体内の血流情報を得る超音波ドプラ診断
    装置において、 前記受信信号に基づいてクラッタ成分の移動速度及び/
    又は該移動速度の分散を求めるクラッタ情報検出手段
    と、 前記クラッタ情報検出手段で求められた前記移動速度及
    び/又は前記分散に基づいて、前記受信信号から、該受
    信信号が担持するクラッタ成分の情報が選択的に除去さ
    れたクラッタ除去信号を求めるクラッタ情報除去手段
    と、 前記クラッタ情報除去手段で求められた前記クラッタ除
    去信号に基づいて前記血流情報を求める血流情報検出手
    段とを備えたことを特徴とする超音波ドプラ診断装置。
  2. 【請求項2】 前記クラッタ情報検出手段が、少なくと
    も前記移動速度を求めるものであり、 前記受信信号を直交検波する直交検波回路を備え、 前記クラッタ情報除去手段が、前記直交検波回路で直交
    検波された前記受信信号を入力とし前記クラッタ除去信
    号を出力とする複素MTIフィルタと、前記クラッタ情
    報検出手段で求められた前記移動速度に基づいて前記複
    素MTIフィルタの信号遮断帯域の中心周波数を求める
    フィルタ制御回路とを備えたことを特徴とする請求項1
    記載の超音波ドプラ診断装置。
  3. 【請求項3】 前記クラッタ情報検出手段が、前記移動
    速度とともに前記分散を求めるものであり、 前記フィルタ制御回路が、前記中心周波数を求めるとと
    もに、前記クラッタ情報検出手段で求められた前記分散
    に基づいて前記複素MTIフィルタの信号遮断帯域の帯
    域幅を求めるものであることを特徴とする請求項2記載
    の超音波ドプラ診断装置。
  4. 【請求項4】 前記フィルタ制御回路が、前記複素MT
    Iフィルタに入力された前記受信信号の直流成分が遮断
    されるように前記複素MTIフィルタの特性を定めるも
    のであることを特徴とする請求項2又は3記載の超音波
    ドプラ診断装置。
  5. 【請求項5】 前記クラッタ情報検出手段が、少なくと
    も前記移動速度を求めるものであり、 前記受信信号を直交検波する直交検波回路と、 前記クラッタ情報検出手段で求められた前記移動速度に
    基づいて、前記直交検波回路から出力される前記受信信
    号の直流成分がクラッタ成分の移動速度の情報を担持す
    るように前記直交検波回路に入力されるキャリア信号の
    位相を制御する位相制御回路とを備え、 前記クラッタ情報除去手段が、前記直交検波回路で直交
    検波された前記受信信号を入力とし前記クラッタ除去信
    号を出力とするMTIフィルタを備えたことを特徴とす
    る請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
  6. 【請求項6】 前記クラッタ情報検出手段が、前記移動
    速度とともに前記分散を求めるものであり、 前記クラッタ情報除去手段が、前記クラッタ情報検出手
    段で求められた前記分散に基づいて前記MTIフィルタ
    の信号遮断帯域の帯域幅を定めるフィルタ制御回路を備
    えたことを特徴とする請求項5記載の超音波ドプラ診断
    装置。
  7. 【請求項7】 前記クラッタ情報検出手段が、少なくと
    も前記分散を求めるものであり、 前記受信信号を直交検波する直交検波回路を備え、 前記クラッタ情報除去手段が、前記直交検波回路で直交
    検波された前記受信信号を入力とし前記クラッタ除去信
    号を出力とするMTIフィルタと、前記クラッタ情報検
    出手段で求められた前記分散に基づいて前記MTIフィ
    ルタの信号遮断帯域の帯域幅を求めるフィルタ制御回路
    とを備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波ドプ
    ラ診断装置。
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