JPH0578130A - 繊維構造を有するバナジウム酸化物の製造方法 - Google Patents

繊維構造を有するバナジウム酸化物の製造方法

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JPH0578130A
JPH0578130A JP3241526A JP24152691A JPH0578130A JP H0578130 A JPH0578130 A JP H0578130A JP 3241526 A JP3241526 A JP 3241526A JP 24152691 A JP24152691 A JP 24152691A JP H0578130 A JPH0578130 A JP H0578130A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液相折出法により、基材表面に表面積の増大
された安定したバナジウム酸化物膜を形成する。 【構成】 アルカリ金属を含まない基材をバナジウム酸
化物が過飽和状態にある溶液と接触させて基材表面にバ
ナジウム酸化物被膜を析出させて、ついで該被膜を200
℃以上の温度で加熱処理することにより繊維状構造を有
するバナジウム酸化物を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバナジウム(V)酸化物
の製造方法に関し、さらに詳しくは、窒素酸化物の還元
反応あるいは飽和炭化水素の酸化反応などの触媒として
求められている比表面積の大きいバナジウム酸化物に資
するための、繊維構造を有するバナジウム酸化物の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、バナジウム酸化物は多くの分野で
化学反応の触媒として用いられている。化石燃料の燃焼
時に発生する燃焼排ガス中の窒素酸化物の還元反応や、
炭素数4の炭化水素を酸化し無水マレイン酸を製造する
反応や、アンモニアを含むガスを酸化反応によってN2
とH2 Oに分解する反応などはその代表的な反応例であ
る。
【0003】窒素酸化物の還元方法としては、多くのば
あい、米国特許第4,048,112 号明細書に開示された方法
を基本とし、アンモニアおよびバナジウム系触媒の存在
下で窒素酸化物を選択的に還元する方法が試みられてき
た。このばあい、触媒としては、アナターゼ酸化チタン
上に担持させた酸化バナジウムや、酸化バナジウムにC
u、Zn、Snなどの酸化物を混合したものなどが用い
られているが、いずれも表面積を大きくするため担体に
様々な試みがなされている。たとえば、米国特許第4,17
6,089 号明細書ではチタンおよび珪素のアルコキシドを
予め混合し、同アルコキシド混合物を触媒媒体中に添加
して、シリカ−チタニアの沈澱を形成させて、表面積の
大きいカサ比重の小さい触媒の製造方法が提案されてい
る。また、米国特許第4,188,365 号明細書では平均粒径
が0.1 〜100 ミクロンのTiO2とクレイからなる成型
担体とその上に析出させた触媒金属酸化物、たとえば酸
化バナジウムからなる触媒が開示されている。このばあ
い成型担体が繊維状あるいは多孔質状であればより効果
的であるとの示唆も見られる。
【0004】一方、ブタン、ブテンなどの炭素数4のパ
ラフィン系またはオレフィン系炭化水素の気相酸化によ
り無水マレイン酸を製造するための触媒としても、バナ
ジウム−リン系酸化物が効果的であるとされ、研究例や
応用例が増えつつある。たとえば(VO)2 2 7
組成を持つ結晶状の化合物はその代表例であり、通常こ
の触媒はV2 4 をリン酸と反応させて(VO)2 4
2 9 を合成させた後、窒素などの雰囲気中で熱分解
することによりえられる。より実際的には、これらの触
媒はたとえばボールミルなどを用いて粒子径1μm以下
に微粉砕した後、水中に懸濁して水性スラリーとし、こ
れを噴霧乾燥、焼成したものを流動床として用いられ
る。しかしながら、このようにしてえられる触媒は微粒
子化することで表面積を大きくできるものの、機械的強
度の問題から流動床として使用したばあいには耐摩耗性
が悪く、工業的な実操業には耐えることができない。こ
のため、噴霧乾燥によってえられる固体粒子をペレット
やその他の形状に成形して固定床触媒として使用するこ
とも提案されているが、このばあい触媒の表面積が小さ
くなるなどの問題が発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかるバナ
ジウム系触媒に望まれる表面積の大きいバナジウム酸化
物の形成方法を提供することを目的とするものである。
すなわち、基材あるいは担体を微細化あるいはその表面
を多孔質化するなどの表面積を大きくするための特別な
処理を特に要することなく、基材あるは担体表面に繊維
状構造のバナジウム酸化物の被膜を形成することによ
り、バナジウム系触媒がかかえる課題の解決に供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のバナジウム酸化
物膜の製造方法は、バナジウムの酸化物およびフッ素を
含み、該バナジウム酸化物が過飽和状態にある処理液
と、アルカリ金属を含まない基材とを接触させて、該基
材表面にバナジウム酸化物膜を析出させた後、200 ℃以
上の温度で加熱処理することを特徴とする。
【0007】
【実施例】本発明で用いるバナジウム酸化物が過飽和状
態となった処理液は、たとえば次の(イ)または(ロ)
の方法で調製することができる。
【0008】(イ)バナジウム酸化物をフッ化水素酸
(HF)に略飽和させた液に、添加剤、たとえば水素よ
りイオン化傾向の大きい金属、またはKI、AlCl3
などのハロゲン化金属、またはH3 BO3 、NH4 OH
などのHFとの反応性に富んだ化合物などを添加する方
法。
【0009】(ロ)バナジウムのフッ化物を水に略飽和
となるまで溶解させた後、これに(イ)と同様に添加剤
を加える方法。
【0010】フッ化水素酸の濃度としては0.1 〜4.0 モ
ル/リットルが好ましい。また、(イ)〜(ロ)で調製
された略飽和の溶液に添加する添加剤は、処理液中のバ
ナジウム1モルに対し0.01〜10モルの割合で添加するの
が望ましい。該添加剤が0.01モルより少ないとバナジウ
ム酸化物の過飽和度が低いために析出が遅く、また被膜
の形成に時間がかかるため時として基材をエッチングす
ることも起こる。一方、該添加剤の割合が10モルより多
いと、バナジウム酸化物の過飽和度が高くなりすぎて、
処理液中でバナジウム酸化物の沈澱が優先的に生ずる。
【0011】バナジウム酸化物被膜を形成せしめる基材
は、流動床触媒あるいは固定床触媒として用いられる粉
粒体、繊維状物質、円筒状、板状体あるいは無定形など
いずれの形態であってもよいが、Na、Kなどアルカリ
金属を含まないことが必要である。すなわち、基材がア
ルカリ金属を含むと、処理液と接触させた際にこのアル
カリ金属が処理液中にイオンとして溶け出し、このイオ
ンとなった金属がバナジウム酸化物に含有される処とな
り、目的とする繊維状構造のバナジウム酸化物がえられ
なくなる。本発明者の研究によると、たとえば基材にア
ルカリ成分を含むソーダライムガラスを用いると、えら
れるバナジウム酸化物は層状構造となり、この構造は加
熱処理を施しても変わらなかった。これに対して、基材
としてたとえばホウ珪酸ガラスまたはアルミナプレート
を用いると、析出直後は粒状構造の膜(微小粒子によっ
て構成された膜)であるが、200 ℃以上の加熱処理を施
すことにより繊維構造となり、繊維状または針状のバナ
ジウム酸化物からなる被膜をうることができる。また同
種の実験として、処理液中にLiF、NaF、KFなど
のフッ化アルカリ化合物を添加したうえで、アルカリを
含まないガラスを基材として浸漬し、該基材上にバナジ
ウム酸化物を形成したが、えられた膜は加熱処理を施し
ても層状構造のままであり、処理液中にアルカリ金属イ
オンが存在すると目的とするバナジウム酸化物膜をうる
ことはできない。
【0012】本発明においては、処理液と基材を接触さ
せて基材表面にバナジウム酸化物膜を析出させるが、こ
の時の処理液の温度は、5〜40℃の範囲が好ましい。処
理液の温度が5℃以下ではバナジウム酸化物膜の析出速
度が遅く実用的でなく、一方、40℃以上でも析出は可能
であるが処理液からのフッ化物ガスの逸散が激しくなり
実用的でない。
【0013】処理液と基材を接触させる方法としては特
に限定されないが、基材を処理液に浸漬する方法が簡便
でありしかも均一な被膜がえられやすい。浸漬時間は特
に限定されず、所望の膜厚が形成されるまで浸漬すれば
よい。
【0014】処理液と接触せしめた基材は、通常水洗、
乾燥した後、ついで加熱処理される。析出成長したバナ
ジウム酸化物膜の加熱処理は、えられる繊維状もしくは
針状バナジウム酸化物の結晶性の度合および配向性に関
係していると考えられ、その好ましい温度範囲は200 ℃
以上である。処理温度は、基材の耐熱性を考慮に入れて
200 ℃以上の温度範囲から適宜選択され、耐熱性を有す
る基材であれば高温で処理することができ、たとえば基
材としてアルミナプレートを用いるばあいは1000℃程度
まで温度を上げてもよい。熱処理時間は、通常10分〜5
時間程度が適当である。
【0015】つぎに本発明を実施例をあげて説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0016】実施例1 縦横50mm、厚さ約1mmのホウ珪酸ガラスを充分に洗浄、
乾燥し試料基材とした。つぎに、47%フッ化水素酸の10
倍希釈溶液に、五酸化バナジウムを溶解・飽和させ、溶
け残った五酸化バナジウムを濾過した後、水で希釈し五
酸化バナジウム濃度が0.031mol/リットルまたは0.062m
ol/リットルの溶液とした。
【0017】容器の中にアルミニウム板を挿入し、つい
で前記濃度を調整した溶液を注入して処理液を調製した
後、基材を浸漬し、容器を密閉した。その後、25℃に設
定した恒温槽中にて静置、あるいは振とうさせながら約
50時間の所定の時間維持した。その後、基板を取り出
し、水洗した後室温にて乾燥させ、さらに400 ℃にて1
時間焼成し試料とした。
【0018】作製された試料は、X線回折および赤外線
吸収スペクトルにより五酸化バナジウムであることが確
認された。これらの表面を走査型電子顕微鏡にて観察し
たところ、繊維状構造となっていた。
【0019】実施例2 縦横50mm、厚さ約1mmのアルミナプレートを充分に洗
浄、乾燥し試料基材とした。つぎに、47%フッ化水素酸
の10倍希釈溶液に、五酸化バナジウムを溶解・飽和さ
せ、溶け残った五酸化バナジウムを濾過した後、水で希
釈し五酸化バナジウム濃度が0.054mol/リットルの溶液
とした。
【0020】容器の中にアルミニウム板を挿入し、つい
で前記濃度を調整した溶液を注入して処理液を調製した
後、基材を浸漬し、容器を密閉した。その後、25℃に設
定した恒温槽中にて静置、あるいは振とうさせながら約
50時間の所定の時間維持した。その後、基板を取り出
し、水洗した後室温にて乾燥させ、さらに400 ℃にて1
時間焼成し試料とした。
【0021】作製された試料は、X線回折および赤外線
吸収スペクトルにより五酸化バナジウムであることが確
認された。この表面を走査型電子顕微鏡にて観察したと
ころ、繊維状構造となっていた。
【0022】比較例1 縦横50mm、厚さ約1mmのソーダライムガラスを充分に洗
浄、乾燥し試料基材とした。つぎに、47%フッ化水素酸
の10倍希釈溶液に、五酸化バナジウムを溶解・飽和させ
た。溶け残った五酸化バナジウムを濾過した後、水で希
釈し五酸化バナジウム濃度が0.031mol/リットルまたは
0.062mol/リットルの溶液とした。
【0023】容器の中にアルミニウム板を挿入し、つい
で前記濃度を調整した溶液を注入して処理液を調製した
後、基材を浸漬し、容器を密閉した。その後、25℃に設
定した恒温槽中にて静置、あるいは振とうさせながら約
50時間の所定の時間維持した。その後、基板を取り出
し、水洗した後室温にて乾燥させ試料とした。
【0024】作製された試料は、X線回折によりNaV
6 15であることが確認された。これらの表面を走査型
電子顕微鏡にて観察したところ、粒状構造の膜であっ
た。
【0025】また、えられた膜を400 ℃にて1時間焼成
したが、粒状構造のままで変化は見られなかった。
【0026】比較例2 縦横50mm、厚さ約1mmのホウ珪酸ガラスを充分に洗浄、
乾燥し試料基材とした。つぎに、47%フッ化水素酸の10
倍希釈溶液に、五酸化バナジウムを溶解・飽和させた。
溶け残った五酸化バナジウムを濾過した後、水で希釈し
五酸化バナジウム濃度が0.031mol/リットルまたは0.06
2mol/リットルの溶液とした。
【0027】容器の中にアルミニウム板を挿入し、つい
で前記濃度を調整した溶液を注入して処理液を調製した
後、基材を浸漬し、容器を密閉した。その後、25℃に設
定した恒温槽中にて静置、あるいは振とうさせながら約
50時間の所定の時間維持した。その後、基板を取り出
し、水洗した後室温にて乾燥させ試料とした。
【0028】作製された試料は、X線回折および赤外線
吸収スペクトルにより五酸化バナジウムであることが確
認された。これらの表面を走査型電子顕微鏡にて観察し
たところ、粒状構造の膜であった。
【0029】
【発明の効果】基材あるいは担体を微細化あるいはその
表面を多孔質化するなどの特別な処理をすることなく、
任意の形状の基材あるいは担体の表面に簡単な操作で表
面積の増大されたバナジウム酸化物被膜を形成すること
ができ、たとえばバナジウム系触媒の製造に有効に利用
することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バナジウムの酸化物およびフッ素を含
    み、該バナジウム酸化物が過飽和状態にある処理液と、
    アルカリ金属を含まない基材とを接触させて、該基材表
    面にバナジウム酸化物被膜を析出させた後、200 ℃以上
    の温度に加熱処理を施すことを特徴とする繊維構造を有
    するバナジウム酸化物の製造方法。
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