JPH0578729A - 希土類元素含有低窒素鋼の造塊方法 - Google Patents

希土類元素含有低窒素鋼の造塊方法

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JPH0578729A
JPH0578729A JP3268478A JP26847891A JPH0578729A JP H0578729 A JPH0578729 A JP H0578729A JP 3268478 A JP3268478 A JP 3268478A JP 26847891 A JP26847891 A JP 26847891A JP H0578729 A JPH0578729 A JP H0578729A
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Shigeru Kihara
茂 木原
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純一 西田
Yasushi Yamane
康史 山根
Norimasa Uchida
憲正 内田
Hideki Nakamura
秀樹 中村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高V高速度工具鋼等の被研削性向上に有効
な、REMを含有し、かつ低窒素含有鋼の製造方法の提
供。 【構成】 真空誘導炉により、REMを含有しまたは含
有しない低窒素含有量の消耗電極を溶製する第1の工程
と、該消耗電極をREMを含有するフラックスを用いて
エレクトロスラグ再溶解する第2の工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、希土類元素を含有し、
低い窒素量である工具鋼の造塊方法に関し、特に高硬度
の材料を切削する刃物、例えばタップ、エンドミル等に
使用され、刃物自体の研削による成形性が良好な高V高
速度工具鋼に最適な造塊方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種機械の高性能化に伴って、使
用する部材の高硬度化が図られている。そのような部材
を切削する工具である高速度工具鋼についても高性能化
が望まれている。一方、高速度工具鋼の強度耐摩耗性を
向上するためにV含有量を高めることが行なわれている
が、この場合VC炭化物の粗大化に伴う切削工具自体の
被研削性低下が伴いやすい。そこで、VC炭化物を微細
化して良好な被研削性を得るために、N,Ti,Nb, T
a含有量の規制(特開昭62−211354号)、希土類
元素(以後REMと略記)やZr,Hfの添加(特開昭62
−211354号、特開昭57−3742号、特開昭6
1−213350号)、Alの単独またはREMとの共
同添加(特開昭63−213641号)、Caの単独ま
たはAl,REMとの共同添加(特開平1−252号)、
REM添加効果を有効に活用するための含有Ti、N量
の規制(特開昭62−211354号、特開平1−14
2055号)、Alの単独またはREMとの共同添加効
果を有効に活用するための含有Ti、N量の規制(特開
平1−142056号)など、化学成分上の提案が数多
くなされている。これらを要約すると、V添加によって
強度、耐摩耗性を付与する高速度工具鋼のVC炭化物を
微細化して被研削性を改善し、工具への成形を容易にす
るためには、N,Ti,Nb,Ta等を規制して、REM,A
l,Ca,Zr,Hf等を添加することが効果的である。しか
し、本発明者らの経験によれば、規制すべき元素として
は、Nが、また添加すべき元素としてはREM,Alが特
に有効であり、この規制と添加の組合せによって飛躍的
な性能改善を図ることができる。
【0003】一方、高速度工具鋼の溶解設備としては、
一般にアーク炉、高周波誘導炉が用いられているが、こ
れらはいずれも大気中で溶解するものであるために、N
のピックアップが避けられられない。特にV含有量を高
めた高速度工具鋼の場合、VとNの親和力が大きいため
にNのピックアップ量が大きい。さらに大気中での溶解
の弊害は、REMおよびAl含有量のコントロールにも
及び、特にREMは酸素との親和力が大きいために大気
中での溶解、鋳造では、他に何らかの方策を講じない限
り、REMの添加歩留が極端に低く、著しい場合は鋼塊
中のREM歩留残留量が疵跡程度になる。そこで、Nの
低減方法およびREMの添加方法については多くの提案
がなされている。V含有量を高めた工具鋼の溶解方法に
限って言えば、例えば、真空誘導・脱ガス溶解炉を使用
することが、特開昭61−213350号、特開昭62
−211354号等で提案されている。
【0004】しかしながら、本発明者らの知見によれ
ば、真空誘導炉は脱ガス作用が大きいので、この炉を使
用することにより確かにNは容易に100ppm以下に低減で
きるが、REMを添加した場合、次の点で問題がある。
すなわち、REMは極めて反応性に富むために、真空誘
導炉であっても溶解雰囲気中のわずかな酸素と反応する
だけでなく、溶解炉の内張耐火物や鋳造系に使用する設
備の耐火物(通常活性元素の酸化物)を還元し、自身は
酸化物となって溶湯中に混入する。しかも、混入したR
EMの酸化物は比重が大きく(6以上)、溶湯からの浮上
分離が極めて緩慢である。したがって、REM添加から
鋳型への鋳造が完了するまでに、REM酸化物の凝集は
進むが、それが溶湯に懸濁した状態であるために、真空
誘導溶解で製造したREMを添加した、例えば高V系高
速度工具鋼は、大気溶解品に比較すれば清浄ではある
が、REMを添加しない場合に比べて清浄度が著しく劣
る。特に、鋼塊の外周部にREM酸化物が凝集した大型
の介在物が存在する場合には、該高V系高速度工具鋼の
主要な用途であるタップやエンドミルなどの切削工具が
外周部を使用することから、工具寿命を劣化させ、さら
に鋼塊の熱間加工時における表面疵発生の起点となり、
製造歩留をも著しく悪化させる。そこで、REM添加高
V系高速度工具鋼等の製造に際しては清浄度の改善が不
可欠の課題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の高V
系高速度工具鋼等の被研削性が高く、また、高い清浄性
を有する希土類元素含有低窒素鋼の造塊方法を提供する
ことを目的とする。なお、本発明が主要目標とする高V
系高速度工具鋼とは、例えば次の化学成分を有するもの
である。すなわち、重量比でC:0.9〜1.5%、Si:2%以
下、Cr:3〜6%、MoとWの1種または2種を2Mo+Wで
14〜25%、V 2〜5%、N:100ppm以下、希土類元素:0.005
〜0.2%、Al 0.002〜0.3%、またはさらにCo:15%以下を
含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなるもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、真空誘導炉に
より、窒素含有量が100ppm未満である消耗電極を溶製す
る第1の工程と、該消耗電極を、希土類元素の化合物を
含有するフラックスを用いてエレクトロスラグ再溶解す
る第2の工程からなることを特徴とする希土類元素含有
低窒素鋼の造塊方法である。ここで、望ましくはエレク
トロスラグ再溶解のフラックス中に含有される希土類元
素化合物が少なくとも酸化物および弗化物のいずれかと
するものである。
【0007】
【作用】本発明では、真空誘導炉による窒素、酸素など
の脱ガス効果と、エレクトロスラグ再溶解法(以下、E
SR法という)における清浄化およびそれに用いるフラ
ックスをREMの化合物とすることによるREM添加作
用、または添加歩留向上効果を組み合わせることによ
り、容易にN 100ppm以下で、REMを0.005〜0.2%含有
し、かつ清浄で熱間加工性にも優れた高V系高速度工具
鋼等のREM含有低窒素鋼を造塊することが可能とな
る。真空誘導炉により、低窒素鋼が容易に得られること
は既に述べた。本発明によれば、REMの添加は真空誘
導炉による溶解過程で行なわなくても、ESR中のフラ
ックスから添加できるが、正確なREMの添加量とする
ためには、電極の製造時にREMを添加しておく方が望
ましい。
【0008】鋼塊の清浄度を改善する方法の一つとして
ESR法が知られている。ESR法は、他の炉で溶製
し、作製した消耗電極の下部を水冷金属ルツボ中の溶融
スラグに浸漬して、消耗電極−溶融スラグ−鋼塊で構成
される回路に直流または交流電流を通電することによっ
て、溶融スラグのジュール熱で該消耗電極をその下部側
から溶解して融滴化させ、ルツボ内のスラグ中を滴下さ
せることによって鋼塊を製造するものである。ESR鋼
塊の一つの特徴は、積層凝固によって均一緻密な凝固組
織が得られることである。他の特徴は、溶融スラグによ
る精錬効果である。消耗電極下部が溶解してできた融滴
は消耗電極先端を離れて溶融スラグ中を沈降して、成長
しつつある鋼塊頭部の溶湯部分(プール)に滴下する。
この間溶湯は、溶融スラグによって大気から保護される
とともに、溶融スラグとの接触によって脱酸、脱硫など
の精錬効果を受け、また、介在物もスラグに吸収され
る。ESR溶解では消耗電極先端で溶湯のフィルムが形
成される段階で、表面張力により介在物の溶湯表面への
排出が促進されると考えられ、極めて容易に介在物の除
去が行なわれる。また、仮に介在物が融滴内部に包含さ
れたまま溶融スラグ中を沈降し、溶湯プールに至った場
合であっても、溶湯プール下部まで到達しないので浮上
による分離が容易である。したがって、ESR法を採用
することにより、REM添加高V系高速度工具鋼等の清
浄度改善が期待される。
【0009】しかしながら、ESR法をREM添加高V
系高速度工具鋼等に適用するに際し、大きな問題は、通
常のESRで使用するCaF2,Al23,CaO等を配合
したスラグを用いたのでは、ESR鋼塊に均一にREM
を添加することが容易ではないことである。これは例え
ば消耗電極中にREMを含有していたとしても、上記の
通常のスラグを使用した時には、溶融スラグ中の酸素ポ
テンシャルが高く、REMの酸化消耗によりREMの添
加歩留が著しく低下するためである。これに対して、ス
ラグ中にREMの化合物(酸化物、弗化物等)を添加
し、直流電気によるESR溶解を実施して上記化合物の
電解還元により金属溶湯にREMを添加する方法(特公
昭46−36082号)や、スラグ中または消耗電極中
に1種または2種以上のREMを添加してESRを行な
う方法(特開昭59−23811号)が提案されてい
る。これらはいずれも、スラグ中にREMの化合物を配
合し、その電解還元により、またはさらにスラグ中の酸
素ポテンシャルを下げることにより、スラグや消耗電極
中のREMを有効に鋼塊中に合金化するものであり、前
者の公知例では直流溶解を推奨しているが、明細書中の
実施例にも見られる通り、交流溶解でもREM添加の効
果が得られる程度には鋼塊中にREMは添加され、さら
に鋼塊中のREMを高めたい場合には、後者の公知例の
如く、消耗電極中に予めREMを添加しておけばよく、
直流であると交流であるとに関わらず、効果の得られる
方法である。
【0010】しかしながら、上記提案の眼目は、あくま
でもESR法において、REMを鋼塊中に有効に添加す
ることであり、前述のようにREM添加高V系高速度工
具鋼等が高性能を発揮するもう一つの条件であるNの規
制については何ら解決するものではない。これはESR
法が大気中で溶解を行なうものであるため、何ら措置を
講じない場合には、鋼塊中のNは増加こそすれ減少する
ことはなく、特開昭59−23811号が示唆するよう
に、REM添加効率を向上するためにアルゴン等の不活
性ガスを用いてスラグ面をシールしたとしても、たかだ
かNの増加を抑制する効果しかないことから明らかであ
る。しかも、消耗電極を高速度工具鋼の溶製に通常使用
されるアーク炉や高周波誘導炉で溶製した場合には、前
述の如く使用原料をどんなに厳選したとしても200ppm以
下のN含有量を得ることは至難の技である。
【0011】以上述べたことからわかるように、本発明
は、真空誘導炉による脱ガス効果とESR法による清浄
化およびこれに用いるフラックスをREMの化合物を含
有するものとすることによるREM添加作用、または添
加歩留向上効果を併せて有し、これにより、容易にN 1
00ppm以下で、REMを0.005〜0.2%含有して被削性を向
上し、かつ清浄で工具寿命や熱間加工性にも優れたRE
M含有低N鋼を造塊することが可能となる。本発明の造
塊方法の手段を用いれば、それぞれ従来から知られてい
る真空誘導炉適用、およびESR法適用の作用の組合せ
では得られない作用効果が得られる。なぜなら、第一に
REMを含有し、窒素が100ppm以下という低Nである新
しい鋼の造塊法は今まで知られておらず、このニーズに
対応するためには従来の技術は、前述しているように、
せいぜい化学成分上の対策か、または単独の造塊法の中
での工夫に留まっていたのである。第二に、本発明が対
象とする新しい鋼の造塊法を達成するために、真空誘導
溶解は、ESR法では達成できない低N化と共にREM
の添加をも行なうことができ、ESR法でのN増加の危
険性やREMの歩留不安定性を補っている。一方、ES
R法は真空誘導溶解のみでは達成できない鋼中のREM
の均一分布と、狙い通りのREM添加量とするために、
通常は使用されないREM化合物を含有するフラックス
を用いて再溶解を行なうという特殊な手段を採用してい
る。このように本発明の造塊方法の手段は、各要素が相
互に相補うものであり、これにより初めてNが100ppm以
下でREMが0.005〜0.2%含有して被削性を向上し、か
つ清浄で熱間加工性にも優れたREM含有低N鋼を造塊
することが可能となり、これに圧延等の既存の工程を施
して製造された工具は、その寿命が飛躍的に向上するも
のである。
【0012】
【作用】次に本発明の造塊法に適するREM含有低N鋼
の推奨合金成分範囲について述べる。Cは、Cr、W、
Mo、Vなどの炭化物生成元素と結合して炭化物を形成
し、焼入−焼もどし硬さを与え、耐摩耗性、耐熱性、耐
焼付性に寄与する。多すぎると靭性が低下し、また巨大
な炭化物を生じさせるので、Cr、W、Mo、V量とバラ
ンスさせて含有させ、0.9〜1.5%に限定するのが望まし
い。Siは主に脱酸を目的として2%以下添加するとよ
い。Crは、焼入性、耐摩耗性、耐酸化性、また適切な
含有量の設定により高温強度、焼もどし軟化抵抗を向上
させる。上記の目的により3%以上とするが、多すぎると
却って高温強度、焼もどし軟化抵抗を低下させ、また靭
性も下げるので6%以下とするのが望ましい。WおよびM
oは、Cと結合して特殊炭化物を形成し、耐摩耗性、耐
焼付性向上に寄与する。また焼もどしによる二次硬化作
用が大きく、高温強度に寄与する。以上の効果を得るた
めに、2Mo+W量が14〜25%を満たすように添加する。
W+2Mo量が14%未満では上記の効果が十分に得られ
ず、多すぎると靭性、熱間加工性を損うので、2Mo+W
25%以下とするのが望ましい。
【0013】VはCと結合して硬質の炭化物を形成し、
耐摩耗性向上に寄与する。ただし、この炭化物は、砥粒
よりも硬いため、研削砥石を早期に摩滅させる。特に、
粗大な炭化物が多数生じ、分布が一様でないと、被研削
性は著しく低下する。このため、従来被研削性を重視す
る場合、1.2%以下程度にとどめていた。しかし、本発明
は、REMを添加し、また低N化すると、多量にVを含
有しても粗大なVを主体としたMC型炭化物の発生を防
ぐことができることにより、用途に応じて、2.0〜5%の
範囲で適当な量を含有させるものである。5%を越えると
本発明の効果が小さくなるため5%以下とし、少なすぎる
と耐摩耗性に十分寄与しないため2.0%以上とするとよ
い。Nは本発明鋼の不純物である。N量が100ppmを越え
ると、REMの添加によるVC微細化効果を損なうため
に100ppm以下とした。REMはMC型炭化物の絶対量を
増やす効果、さらにVC炭化物を微細に晶出させる効果
がある。0.005%より少ないと、これらの効果が少なく、
0.2%を越えるとSやOと結合して介在物を作り、また鋳
造欠陥の原因となるため、0.02〜0.2%に限定するのがよ
い。Alは溶鋼中の酸素の活量を下げる作用があり、R
EMの酸化物の生成を抑制し、REMのVC微細化効果
を助長する。0.002%未満ではこの効果が少なく、0.3%を
越えるとAlの酸化物が増え清浄度を悪くする。Coは基
地に固溶して、本発明鋼の強度、耐熱性を向上させるも
ので本発明による炭化物形態制御、鋳造組織改善には直
接関与しないが、必要に応じて15%以下添加する。
【0014】
【実施例】公称6tonの真空誘導炉に原料を装入し、真空
中で溶解した(但し、No.4は大気誘導炉)。真空誘導炉
においてタンク内の圧力は、平衡論的に溶湯のN溶解度
が100ppm以下となるように維持した。REM以外の成分
調整が全て終了し、溶湯のN含有量が100ppm以下である
ことを確認した後、炉内にREM所要量を添加して取鍋
に出鋼した。さらに真空中(No.5は除く)で所定形状の
鋳型に鋳造して消耗電極を作製した(但し、No.5はイン
ゴットに鋳造)。それぞれ溶製した消耗電極の化学成分
を表1のNo.1,2,3,4,6,7の上段「電極」に示す。ここ
で真空誘導炉はVIFで表わしている。VIFによる消
耗電極中のREMは該表のREM(電極)欄に示すよう
に、0.04〜0.06%であり、Mの添加歩留は、REM歩留
(電極)欄に示すように59〜73%、Nは29〜39ppmの範囲
であった。上記消耗電極を交流式ESRを実施して鋼塊
とした。ESRにおけるフラックスの使用量は消耗電極
装入ton当り約50kgである。また、ESR時の大気から
の〔N〕混入を防止するため鋳型内をArガスで置換し
て溶解を行なった。なお、No.1,2は電極としてほぼ同
様の化学成分を有するものであり、No.6はNo.1,2に対
してCoを増量した例、No.7はNo.1,2に対してCoを除
くとともにW,V量を増量し、Moを減量した例であ
る。これら本発明の実施例においてはESR鋼塊中のR
EMは0.03〜0.05%であり、消耗電極中のREMに対す
る歩留は67〜83%であり、また、ESR鋼塊中のNは42
〜53ppmと十分低い範囲であった。
【0015】一方、表1のNo.3〜5は比較例であり、N
o.3はNo.1,2と同じ基本化学成分で真空誘導炉で消耗電
極を溶製し、フラックスにREM化合物を配合しないで
ESRを実施した場合、No.4は通常の大気中高周波誘
導炉で消耗電極を溶製し、ESRのフラックスにREM
化合物を配合した場合、No.5はESRを行なわずに真
空誘導炉で直接鋼塊とした場合である。化学成分を比較
すると、No.3では本発明例に比較して消耗電極のRE
Mは0.06%とほぼ同値であるにも関わらず、ESR後は
0.01%と非常に低く、ESRでのREM歩留は本発明例
が前記のように67〜83%であるのに対し、約17%であっ
た。No.4ではREMについては0.02%と本発明例に比較
的近い値になっているが、消耗電極、ESR鋼塊ともに
Nの値が200ppmに近い値であった。No.5は化学成分上
は本発明例と同等である。
【0016】上記7例の鋼塊を熱間分塊鍛造により、10
0mm角のビレットに成形した。この時、鋼塊重量をWIk
g、押湯等鋼塊不要部分重量をWRkg、表面キズをグライ
ンダーで除去した後のビレット重量をWBkgとすると、
熱間加工歩留A(%)は次式で示される。 A={WB/(WI−WR)}×100 この熱間加工歩留を後述の表2に併せて示すが、ESR
鋼塊(No.5以外)が全て90%またはこれをやや下回る程
度であるのに対し、真空誘導炉(VIF)で直接鋼塊と
した場合(No.5)は、71%であった。なお、No.5のキズ
発生部分を詳細に調査したところ、REMのオキサイ
ド、オキシサルファイド等を主体とする非金属介在物が
多量に認められた。
【0017】上記各ビレットを焼鈍した後、熱間線材圧
延と続いて焼鈍を行ない線材とした。さらに、これらの
素材を冷間引抜き、研削加工して、直径 6.23mmの棒鋼
とし各種材質特性を評価した。評価項目としては、介在
物品位、VC炭化物量、熱処理硬さ、微小部抗折強度お
よび工具自体の成形性に関する被研削性とを評価した。
また、実際に日本工業規格並目ねじ用等径ハンドタップ
に製作し、切削寿命の評価を行なった。なお、熱処理条
件は1220℃塩浴焼入れ後、560℃×1hrで3回焼もどしし
た。これらの評価結果を前述の熱間加工歩留とともに表
2にまとめて示す。各試料の介在物品位は、上記熱処理
を施した棒鋼をその軸線に平行な表層から素材径の8分
の1深さ付近までダイヤモンド砥石研磨した平面の中央
部について、日本工業規格に基づいてB+Cの介在物を
測定した。このうち、No.1,3〜5の試料の介在物検鏡
例を図1に示す。また、同様にして創成した平面中央部
を酸化クロム研磨し、VC炭化物を観察した。この組織
例を図2に同様にして示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】各試料のVC面積率の定量は、前記介在物
測定と同様にダイヤモンド砥石研磨後、10%硝酸アルコ
ールで腐食し、かつ村上試薬でさらに腐食を行なった表
面について、測定総視野面積94,000μm2中のVC炭化物
を測定した。各試料の熱処理硬さは、前記介在物測定と
同様にして得た平面で、ビッカース硬度計で30kgの荷重
で測定した。また、微小部抗折強度は、棒鋼の中心軸を
含むごとく、0.8mm厚さの薄板を研削削り出しにより採
取し、該薄板のうち素材での表層部から素材径の8分の
1付近の部分が破断面となるごとく荷重負荷して行なっ
た。被削性の評価は、熱処理した棒鋼から軸心を含むご
とく、厚さ 2mmの薄板を採取し、この薄板のうち素材で
の表層部から素材径の8分の1付近の部分について、P
A砥石を用いて平面研削盤により、湿式プランジ研削を
行ない、研削試験後の砥石摩耗量と試料の研削除去量と
の比として求めた。研削条件は表3に示す。
【0021】↓
【表3】
【0022】No.1,2,6,7の本発明例の介在物試験結果
は、VIFによるNo.5に比し、いずれも十分低い。ま
た、VC炭化物は、図2に示すように、5μm(×400 写
真上で2mm)以上のVC炭化物は非常に少なく、微細に分
布していた。図示は省略するが、No.7は本発明例中で
は、最もVC炭化物が多数で微細に分布していた。一
方、No.3はREMが0.01%とほとんど残っておらず、こ
のためVC炭化物の微細化が不十分である。No.4はN
量が高いため、VC炭化物が粗大に晶出している。No.
5はVC炭化物について微細な組織が得られた。しか
し、これは上記のように介在物品位が悪くやや大きめの
REMのオキシサルファイド等が多数認められた。熱処
理硬さは、いずれもHV880以上の硬さが得られ、Coをや
や多く添加したNo.6は、約HV910の高硬度が得られた。
微小抗折強度では、VC炭化物、介在物ともに微細な組
織が得られた本発明例のNo.1,2,6,7は、VC面積率が
高いNo.7がやや低い以外、いずれも250kgf/mm2程度ま
たはそれ以上の高強度が得られた。No.3〜5は、VC炭
化物あるいは介在物が、やや粗大であったためか、本発
明例と比べるとやや強度は低めである。被研削性につい
ては、5μm以上のVC炭化物量の多いNo.3,4は、砥石
摩耗量が大きく、研削比も小さいのに対し、その他の試
料は、10前後の研削比が得られ、この値はSKH55と
ほぼ同等の被研削性を有することを表わしている。各試
料のタップ切削試験は、被削材として、厚さ 12mmのS
45Cの板を用い、内径 5.0mmの下穴を開けて、切削試
験を行なった。表4にタップ切削試験条件を示す。切削
寿命は、タップが折損するか、あるいはめねじ精度が日
本工業規格で定められた許容差を越えるまでの切削穴数
で評価した。
【0023】↓
【表4】
【0024】一般市販のタップ切削寿命を凌篤するため
には、VC量が面積率で4%以上で、HV880以上の硬さが
得られ、耐刃欠け性改善のため、220kgf/mm2以上の微小
部抗折強度を有することが必要と思われる。本発明例
は、いずれもこの条件を十分に満足しており、比較例の
No.3〜5と比べると高寿命が得られた。
【0025】
【発明の効果】以上に述べた如く、本発明によれば、従
来の造塊方法では困難であったREMを含有し、かつ低
Nである鋼を清浄度良く製造することが可能になり、そ
の結果、被研削性や工具寿命が大幅に向上した。また、
真空誘導溶解法に比し、熱間加工歩留が大幅に向上し、
生産コストは二重溶解によるコストアップを補って余り
あるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】代表的な試料の介在物ミクロ組織を示す金属顕
微鏡組織写真である。
【図2】代表的な試料のVC炭化物を示す金属顕微鏡組
織写真である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】しかしながら、ESR法をREM添加高V
系高速度工具鋼等に適用するに際し、大きな問題は、通
常のESRで使用するCaF2,Al23,CaO等を配合
したスラグを用いたのでは、ESR鋼塊に均一にREM
を添加することが容易ではないことである。これは例え
ば消耗電極中にREMを含有していたとしても、上記の
通常のスラグを使用した時には、溶融スラグ中の酸素ポ
テンシャルが高く、REMの酸化消耗によりREMの添
加歩留が著しく低下するためである。これに対して、ス
ラグ中にREMの化合物(酸化物、弗化物等)を添加
し、直流電流によるESR溶解を実施して上記化合物の
電解還元により金属溶湯にREMを添加する方法(特公
昭46−36082号)や、スラグ中または消耗電極中
に1種または2種以上のREMを添加してESRを行な
う方法(特開昭59−23811号)が提案されてい
る。これらはいずれも、スラグ中にREMの化合物を配
合し、その電解還元により、またはさらにスラグ中の酸
素ポテンシャルを下げることにより、スラグや消耗電極
中のREMを有効に鋼塊中に合金化するものであり、前
者の公知例では直流溶解を推奨しているが、明細書中の
実施例にも見られる通り、交流溶解でもREM添加の効
果が得られる程度には鋼塊中にREMは添加され、さら
に鋼塊中のREMを高めたい場合には、後者の公知例の
如く、消耗電極中に予めREMを添加しておけばよく、
直流であると交流であるとに関わらず、効果の得られる
方法である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】次に本発明の造塊法に適するREM含有低
N鋼の推奨合金成分範囲について述べる。Cは、Cr、
W、Mo、Vなどの炭化物生成元素と結合して炭化物を
形成し、焼入−焼もどし硬さを与え、耐摩耗性、耐熱
性、耐焼付性に寄与する。多すぎると靭性が低下し、ま
た巨大な炭化物を生じさせるので、Cr、W、Mo、V量
とバランスさせて含有させ、0.9〜1.5%に限定するのが
望ましい。Siは主に脱酸を目的として2%以下添加する
とよい。Crは、焼入性、耐摩耗性、耐酸化性、また適
切な含有量の設定により高温強度、焼もどし軟化抵抗を
向上させる。上記の目的により3%以上とするが、多すぎ
ると却って高温強度、焼もどし軟化抵抗を低下させ、ま
た靭性も下げるので6%以下とするのが望ましい。Wおよ
びMoは、Cと結合して特殊炭化物を形成し、耐摩耗
性、耐焼付性向上に寄与する。また焼もどしによる二次
硬化作用が大きく、高温強度に寄与する。以上の効果を
得るために、2Mo+W量が14〜25%を満たすように添加
する。2Mo+W量が14%未満では上記の効果が十分に得
られず、多すぎると靭性、熱間加工性を損うので、2Mo
+W 25%以下とするのが望ましい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】VはCと結合して硬質の炭化物を形成し、
耐摩耗性向上に寄与する。ただし、この炭化物は、砥粒
よりも硬いため、研削砥石を早期に摩滅させる。特に、
粗大な炭化物が多数生じ、分布が一様でないと、被研削
性は著しく低下する。このため、従来被研削性を重視す
る場合、1.2%以下程度にとどめていた。しかし、本発明
は、REMを添加し、また低N化すると、多量にVを含
有しても粗大なVを主体としたMC型炭化物の発生を防
ぐことができることにより、用途に応じて、2.0〜5%の
範囲で適当な量を含有させるものである。5%を越えると
本発明の効果が小さくなるため5%以下とし、少なすぎる
と耐摩耗性に十分寄与しないため2.0%以上とするとよ
い。Nは本発明方法の眼目となる不純物である。N量が
100ppmを越えると、REMの添加によるVC微細化効果
を損なうために100ppm以下とした。REMはMC型炭化
物の絶対量を増やす効果、さらにVC炭化物を微細に晶
出させる効果がある。0.005%より少ないと、これらの効
果が少なく、0.2%を越えるとSやOと結合して介在物を
作り、また鋳造欠陥の原因となるため、0.005〜0.2%に
限定するのがよい。Alは溶鋼中の酸素の活量を下げる
作用があり、REMの酸化物の生成を抑制し、REMの
VC微細化効果を助長する。0.002%未満ではこの効果が
少なく、0.3%を越えるとAlの酸化物が増え清浄度を悪
くする。Coは基地に固溶して、上記の強度、耐熱性を
向上させるもので本発明による炭化物形態制御、鋳造組
織改善には直接関与しないが、必要に応じて15%以下添
加する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【実施例】公称6tonの真空誘導炉に原料を装入し、真空
中で溶解した(但し、表1、No.4は大気誘導炉)。真空
誘導炉においてタンク内の圧力は、平衡論的に溶湯のN
溶解度が100ppm以下となるように維持した。REM以外
の成分調整が全て終了し、溶湯のN含有量が100ppm以下
であることを確認した後、炉内にREM所要量を添加し
て取鍋に出鋼した。さらに真空中(No.4は除く)で所定
形状の鋳型に鋳造して消耗電極を作製した(但し、No.5
はインゴットに鋳造)。それぞれ溶製した消耗電極の化
学成分を表1のNo.1,2,3,4,6,7の上段「電極」に示
す。ここで真空誘導炉はVIFで表わしている。VIF
による消耗電極中のREMは該表のREM(電極)欄に
示すように、0.04〜0.06%であり、REMの添加歩留
は、REM歩留(電極)欄に示すように59〜73%、Nは2
9〜39ppmの範囲であった。上記消耗電極を交流式ESR
を実施して鋼塊とした。ESRにおけるフラックスの使
用量は消耗電極装入ton当り約50kgである。また、ES
R時の大気からの〔N〕混入を防止するため鋳型内をA
rガスで置換して溶解を行なった。なお、No.1,2は電極
としてほぼ同様の化学成分を有するものであり、No.6
はNo.1,2に対してCoを増量した例、No.7はNo.1,2に
対してCoを除くとともにW,V量を増量し、Moを減量
した例である。これら本発明の実施例においてはESR
鋼塊中のREMは0.03〜0.05%であり、消耗電極中のR
EMに対する歩留は67〜83%であり、また、ESR鋼塊
中のNは42〜53ppmと十分低い範囲であった。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【表2】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】一般市販のタップ切削寿命を凌駕するため
には、VC量が面積率で4%以上で、HV880以上の硬さが
得られ、耐刃欠け性改善のため、220kgf/mm2以上の微小
部抗折強度を有することが必要と思われる。本発明例
は、いずれもこの条件を十分に満足しており、比較例の
No.3〜5と比べると高寿命が得られた。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】
【発明の効果】以上に述べた如く、本発明によれば、従
来の造塊方法では困難であったREMを含有し、かつ低
Nである鋼を清浄度良く製造することが可能になり、そ
の結果、被研削性や工具寿命が大幅に向上した。また、
真空誘導溶解法に比し、熱間加工歩留が大幅に向上し、
生産コストの低減は二重溶解によるコストアップを補っ
て余りあるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C21C 7/00 B 7412−4K E 7412−4K C22B 9/18 9/187 // C22C 38/00 302 E 7217−4K 38/22 38/30 38/34 (72)発明者 山根 康史 島根県安来市安来町2107番地の2 日立金 属株式会社安来工場内 (72)発明者 内田 憲正 島根県安来市安来町2107番地の2 日立金 属株式会社安来工場内 (72)発明者 中村 秀樹 島根県安来市安来町2107番地の2 日立金 属株式会社安来工場内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空誘導炉により、窒素含有量が100ppm
    未満である消耗電極を溶製する第1の工程と、該消耗電
    極を、希土類元素の化合物を含有するフラックスを用い
    てエレクトロスラグ再溶解する第2の工程からなること
    を特徴とする希土類元素含有低窒素鋼の造塊方法。
  2. 【請求項2】 エレクトロスラグ再溶解のフラックス中
    に含有される希土類元素化合物が少なくとも希土類元素
    の酸化物および弗化物のいずれかであることを特徴とす
    る請求項1の希土類元素含有低窒素鋼の造塊方法。
  3. 【請求項3】 希土類元素含有低窒素鋼が重量比で、
    C:0.9〜1.5%、Si:2%以下、Cr:3〜6%、MoとWの1種
    または2種を2Mo+Wで14〜25%、V 2〜5%、N:100ppm
    以下、希土類元素:0.005〜0.2%、Al 0.002〜0.3%、ま
    たはさらにCo:15%以下を含み、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなる被研削性の優れた高速度工具鋼である
    ことを特徴とする請求項1または2の希土類元素含有低
    窒素鋼の造塊方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7127980B2 (en) 2003-05-21 2006-10-31 Aisin Seiki Kabushiki Kaisha Vane, valve timing control device, and sliding member
CN1295370C (zh) * 2005-03-22 2007-01-17 江苏天工工具股份有限公司 高速工具钢及其稀土处理工艺
CN105603203A (zh) * 2016-01-22 2016-05-25 东北大学 一种提高Mn18Cr18N钢热加工性能的方法
CN112442625A (zh) * 2019-09-02 2021-03-05 江苏天工工具有限公司 一种高速钢加工冶炼方法
CN114317994A (zh) * 2021-12-27 2022-04-12 内蒙古北方重工业集团有限公司 一种均匀tp316h奥氏体不锈钢电渣锭成分及组织工艺方法

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