JPH0578813A - 鉄系部材及びその製造方法 - Google Patents
鉄系部材及びその製造方法Info
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- JPH0578813A JPH0578813A JP24741791A JP24741791A JPH0578813A JP H0578813 A JPH0578813 A JP H0578813A JP 24741791 A JP24741791 A JP 24741791A JP 24741791 A JP24741791 A JP 24741791A JP H0578813 A JPH0578813 A JP H0578813A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 熱膨張率が大きく、かつアルミ合金に対して
高い耐焼付性を有する鉄系部材ないしその製造方法を提
供することを目的とする。 【構成】 C,Si,Mnを含む鋼または鋳鉄にオーステン
パ処理を施して、残留オーステナイトとベイナイトとを
含む混在組織を形成し、次に上記鋼または鋳鉄に350
〜440℃の温度で窒化処理を施して、表面部の残留オ
ーステナイトとベイナイトとを含む混在組織に、窒素を
拡散固溶させるようにしたことを特徴とする。ここで、
素材が鋼である場合は、C含有率を0.7〜1.2重量
%、Si含有率を1.5〜2.5重量%、Mn含有率を0.
5〜2.0重量%とし、素材が鋳鉄である場合は、C含
有率を2.6〜4.0重量%、Siを1.5〜2.5重量
%、Mn含有率を0.2〜1.0重量%とすることを特徴
とする。
高い耐焼付性を有する鉄系部材ないしその製造方法を提
供することを目的とする。 【構成】 C,Si,Mnを含む鋼または鋳鉄にオーステン
パ処理を施して、残留オーステナイトとベイナイトとを
含む混在組織を形成し、次に上記鋼または鋳鉄に350
〜440℃の温度で窒化処理を施して、表面部の残留オ
ーステナイトとベイナイトとを含む混在組織に、窒素を
拡散固溶させるようにしたことを特徴とする。ここで、
素材が鋼である場合は、C含有率を0.7〜1.2重量
%、Si含有率を1.5〜2.5重量%、Mn含有率を0.
5〜2.0重量%とし、素材が鋳鉄である場合は、C含
有率を2.6〜4.0重量%、Siを1.5〜2.5重量
%、Mn含有率を0.2〜1.0重量%とすることを特徴
とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄系部材及びその製造
方法に関するものである。
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等においてはその軽量化が
図られ、これらを構成する各種機器の素材としてアルミ
合金が多用されている。しかしながら、一般にアルミ合
金は剛性ないし耐摩耗性が比較的低いので、摺動部を有
する構造体、例えば自動変速機用のオイルポンプ等にお
いては、全体をアルミ合金で形成することはあまり好ま
しくない。そこで、オイルポンプにおいては、通常、一
部の部材例えばハウジングのみがアルミ合金で形成さ
れ、これに対して摺動するロータ等は剛性の高い鉄系素
材で形成される。
図られ、これらを構成する各種機器の素材としてアルミ
合金が多用されている。しかしながら、一般にアルミ合
金は剛性ないし耐摩耗性が比較的低いので、摺動部を有
する構造体、例えば自動変速機用のオイルポンプ等にお
いては、全体をアルミ合金で形成することはあまり好ま
しくない。そこで、オイルポンプにおいては、通常、一
部の部材例えばハウジングのみがアルミ合金で形成さ
れ、これに対して摺動するロータ等は剛性の高い鉄系素
材で形成される。
【0003】ところで、自動変速機用オイルポンプにお
いては、運転状態に応じてその温度が大きく変化する
が、ハウジングをアルミ合金で形成し、ロータを普通の
鉄系素材で形成すると、アルミ合金の熱膨張率(線膨張
率)が普通の鉄系素材のそれと比べて格段に大きいので
(約2倍)、かかる熱膨張率の違いによって、高温時に
は、ハウジングとロータとの間に隙間が生じ、この隙間
からのオイル漏れによってポンプ効率が低下してしまう
といった問題がある。
いては、運転状態に応じてその温度が大きく変化する
が、ハウジングをアルミ合金で形成し、ロータを普通の
鉄系素材で形成すると、アルミ合金の熱膨張率(線膨張
率)が普通の鉄系素材のそれと比べて格段に大きいので
(約2倍)、かかる熱膨張率の違いによって、高温時に
は、ハウジングとロータとの間に隙間が生じ、この隙間
からのオイル漏れによってポンプ効率が低下してしまう
といった問題がある。
【0004】かかる問題は、ロータの熱膨張率をアルミ
合金並に大きくすれば解消できることが明らかであるの
で、従来より熱膨張率の高い鉄系素材の開発が試みられ
ている。例えば、オーステナイト組織の熱膨張率が大き
いことに着目して、所定量のCとSiとMnとを含む鋼素
材ないし鋳鉄素材にオーステンパ処理を施し、残留オー
ステナイトとベイナイトとを含む混在組織を形成して熱
膨張率を大きくした鉄系部材が提案されている(特開昭
55−22444号公報、特開昭55−94461号公
報、本出願人にかかる特願平2−248034号明細書
参照)。
合金並に大きくすれば解消できることが明らかであるの
で、従来より熱膨張率の高い鉄系素材の開発が試みられ
ている。例えば、オーステナイト組織の熱膨張率が大き
いことに着目して、所定量のCとSiとMnとを含む鋼素
材ないし鋳鉄素材にオーステンパ処理を施し、残留オー
ステナイトとベイナイトとを含む混在組織を形成して熱
膨張率を大きくした鉄系部材が提案されている(特開昭
55−22444号公報、特開昭55−94461号公
報、本出願人にかかる特願平2−248034号明細書
参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、オース
テンパ処理によって得られる残留オーステナイトとベイ
ナイトとを含む混在組織は、熱膨張率は大きいものの、
粘着性(ねばっこさ)が強くなるので、これをアルミ合金
製ハウジングを備えたオイルポンプのロータの素材とし
て用いると、焼き付きが生じやすくなるといった問題が
ある。本発明は、上記従来の問題点を解決するためにな
されたものであって、熱膨張率が大きく、かつアルミ合
金に対して高い耐焼付性を有する鉄系部材ないしその製
造方法を提供することを目的とする。
テンパ処理によって得られる残留オーステナイトとベイ
ナイトとを含む混在組織は、熱膨張率は大きいものの、
粘着性(ねばっこさ)が強くなるので、これをアルミ合金
製ハウジングを備えたオイルポンプのロータの素材とし
て用いると、焼き付きが生じやすくなるといった問題が
ある。本発明は、上記従来の問題点を解決するためにな
されたものであって、熱膨張率が大きく、かつアルミ合
金に対して高い耐焼付性を有する鉄系部材ないしその製
造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、第1の発明は、C(炭素)とSi(珪素)とMn(マンガ
ン)とを含む鋼または鋳鉄にオーステンパ処理を施し
て、残留オーステナイトとベイナイトとを含む混在組織
を形成し、次に上記鋼または鋳鉄に440℃以下の温度
で窒化処理を施して、表面部の残留オーステナイトとベ
イナイトとを含む混在組織に、窒素を拡散固溶させるよ
うにしたことを特徴とする鉄系部材の製造方法を提供す
る。
め、第1の発明は、C(炭素)とSi(珪素)とMn(マンガ
ン)とを含む鋼または鋳鉄にオーステンパ処理を施し
て、残留オーステナイトとベイナイトとを含む混在組織
を形成し、次に上記鋼または鋳鉄に440℃以下の温度
で窒化処理を施して、表面部の残留オーステナイトとベ
イナイトとを含む混在組織に、窒素を拡散固溶させるよ
うにしたことを特徴とする鉄系部材の製造方法を提供す
る。
【0007】第2の発明は、Cを0.7〜1.2重量%含
み、Siを1.5〜2.5重量%含み、かつMnを0.5〜
2.0重量%含む鋼部材であって、オーステンパ処理に
よって残留オーステナイトとベイナイトとを含む混在組
織が形成されており、かつ表面部の残留オーステナイト
とベイナイトとを含む混在組織に、窒化処理によって窒
素拡散層が形成されていることを特徴とする鉄系部材を
提供する。
み、Siを1.5〜2.5重量%含み、かつMnを0.5〜
2.0重量%含む鋼部材であって、オーステンパ処理に
よって残留オーステナイトとベイナイトとを含む混在組
織が形成されており、かつ表面部の残留オーステナイト
とベイナイトとを含む混在組織に、窒化処理によって窒
素拡散層が形成されていることを特徴とする鉄系部材を
提供する。
【0008】第3の発明は、第2の発明にかかる鉄系部
材において、窒素拡散層に窒素化合物が含まれておら
ず、かつアルミ合金製部材を相手方とする摺動部材であ
ることを特徴とする鉄系部材を提供する。
材において、窒素拡散層に窒素化合物が含まれておら
ず、かつアルミ合金製部材を相手方とする摺動部材であ
ることを特徴とする鉄系部材を提供する。
【0009】第4の発明は、Cを2.6〜4.0重量%含
み、Siを1.5〜2.5重量%含み、かつMnを0.2〜
1.0重量%含む鋳鉄部材であって、オーステンパ処理
によって残留オーステナイトとベイナイトとを含む混在
組織が形成されており、かつ表面部の残留オーステナイ
トとベイナイトとを含む混在組織に、窒化処理によって
窒素拡散層が形成されていることを特徴とする鉄系部材
を提供する。
み、Siを1.5〜2.5重量%含み、かつMnを0.2〜
1.0重量%含む鋳鉄部材であって、オーステンパ処理
によって残留オーステナイトとベイナイトとを含む混在
組織が形成されており、かつ表面部の残留オーステナイ
トとベイナイトとを含む混在組織に、窒化処理によって
窒素拡散層が形成されていることを特徴とする鉄系部材
を提供する。
【0010】第5の発明は、第4の発明にかかる鉄系部
材において、窒素拡散層に窒素化合物が含まれておら
ず、かつアルミ合金製部材を相手方とする摺動部材であ
ることを特徴とする鉄系部材を提供する。
材において、窒素拡散層に窒素化合物が含まれておら
ず、かつアルミ合金製部材を相手方とする摺動部材であ
ることを特徴とする鉄系部材を提供する。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。 <第1実施例>以下、第1〜第3の発明にかかる第1実
施例を説明する。第1実施例では、基本的には、鋼素材
に対して、オーステンパ処理と窒化処理とを施して、熱
膨張率が大きく、かつアルミ合金に対して高い耐焼付性
を有する鉄系部材を製造するようになっている。以下、
かかる鉄系部材の製造方法を、図1に示すフローチャー
トにしたがって説明する。ステップ#1では、鋼素材が
調製される。かかる鋼素材の好ましいC含有率、Si含
有率及びMn含有率は、夫々、次のとおりである。
施例を説明する。第1実施例では、基本的には、鋼素材
に対して、オーステンパ処理と窒化処理とを施して、熱
膨張率が大きく、かつアルミ合金に対して高い耐焼付性
を有する鉄系部材を製造するようになっている。以下、
かかる鉄系部材の製造方法を、図1に示すフローチャー
トにしたがって説明する。ステップ#1では、鋼素材が
調製される。かかる鋼素材の好ましいC含有率、Si含
有率及びMn含有率は、夫々、次のとおりである。
【0012】(1)好ましいC含有率は、0.7〜1.2重
量%である。Cは、焼入性を向上させ、残留オーステナ
イトを安定させ、さらにはベイナイト変態を遅延させる
ために必要とされる成分であるが、C含有率が、0.7
重量%未満では残留オーステナイトが不安定となり、か
つ焼入性が不十分となるからであり、他方1.2重量%
を超えると遊離炭素が析出する恐れがあるからである。
とくに好ましいC含有率は、0.8〜1.1重量%であ
る。なお、本明細書において「A〜B」はA以上でありか
つB以下であるということを意味するものとする。した
がって、例えば「0.7〜1.2重量%」は、0.7重量%
以上でありかつ1.2重量%以下であることを意味す
る。
量%である。Cは、焼入性を向上させ、残留オーステナ
イトを安定させ、さらにはベイナイト変態を遅延させる
ために必要とされる成分であるが、C含有率が、0.7
重量%未満では残留オーステナイトが不安定となり、か
つ焼入性が不十分となるからであり、他方1.2重量%
を超えると遊離炭素が析出する恐れがあるからである。
とくに好ましいC含有率は、0.8〜1.1重量%であ
る。なお、本明細書において「A〜B」はA以上でありか
つB以下であるということを意味するものとする。した
がって、例えば「0.7〜1.2重量%」は、0.7重量%
以上でありかつ1.2重量%以下であることを意味す
る。
【0013】(2)好ましいSi含有率は、1.5〜2.5
重量%である。Siは、恒温変態処理でのベイナイト変
態時に炭化物の析出を抑える効果があり、かつ安定した
残留オーステナイトを生成させるために必要な成分であ
るが、Si含有率が1.5重量%未満では炭化物の析出を
抑制する力が不十分となるからであり、他方2.5重量
%を超えると、上記効果が飽和し、かつ熱処理時に遊離
炭素が析出する恐れがあるからである。
重量%である。Siは、恒温変態処理でのベイナイト変
態時に炭化物の析出を抑える効果があり、かつ安定した
残留オーステナイトを生成させるために必要な成分であ
るが、Si含有率が1.5重量%未満では炭化物の析出を
抑制する力が不十分となるからであり、他方2.5重量
%を超えると、上記効果が飽和し、かつ熱処理時に遊離
炭素が析出する恐れがあるからである。
【0014】(3)好ましいMn含有率は、0.5〜2.0
重量%である。Mnは、焼入性を向上させ、かつ残留オ
ーステナイトを安定させる効果があり、またCと同様ベ
イナイト変態を遅延させる効果がある成分であるが、M
n含有率が0.5重量%未満では、部材強度および焼入性
が不十分となり、かつベイナイト変態の時間が短くなり
恒温変態処理が困難となるからであり、他方2.0重量
%を超えると、上記効果が飽和し、かつ靭性が低下する
からである。なお、好ましく上記鋼素材のMo(モリブデ
ン)含有率を0.1〜0.5重量%とし、Ni(ニッケル)含
有率を0.5〜2.5重量%とすれば、さらに焼入性を向
上させることができる。
重量%である。Mnは、焼入性を向上させ、かつ残留オ
ーステナイトを安定させる効果があり、またCと同様ベ
イナイト変態を遅延させる効果がある成分であるが、M
n含有率が0.5重量%未満では、部材強度および焼入性
が不十分となり、かつベイナイト変態の時間が短くなり
恒温変態処理が困難となるからであり、他方2.0重量
%を超えると、上記効果が飽和し、かつ靭性が低下する
からである。なお、好ましく上記鋼素材のMo(モリブデ
ン)含有率を0.1〜0.5重量%とし、Ni(ニッケル)含
有率を0.5〜2.5重量%とすれば、さらに焼入性を向
上させることができる。
【0015】ステップ#2では、鋼素材に所定の加工、
例えば機械加工が施される。なお、加工する必要がない
場合は、このステップ#2をスキップする。ステップ#
3では、鋼素材にオーステンパ処理が施される。ここ
で、オーステンパ処理は、鋼素材を、所定時間(例えば
2hr)だけ比較的高温(例えば920℃)に保持するオー
ステナイト化処理と、これに続いて鋼素材を所定時間
(例えば2hr)だけ比較的低温(例えば380℃)に保持す
るベイナイト化処理(恒温変態処理)とからなる普通のオ
ーステンパ処理であって、鋼素材内に残留オーステナイ
トとベイナイトとを含む混在組織を形成させる。
例えば機械加工が施される。なお、加工する必要がない
場合は、このステップ#2をスキップする。ステップ#
3では、鋼素材にオーステンパ処理が施される。ここ
で、オーステンパ処理は、鋼素材を、所定時間(例えば
2hr)だけ比較的高温(例えば920℃)に保持するオー
ステナイト化処理と、これに続いて鋼素材を所定時間
(例えば2hr)だけ比較的低温(例えば380℃)に保持す
るベイナイト化処理(恒温変態処理)とからなる普通のオ
ーステンパ処理であって、鋼素材内に残留オーステナイ
トとベイナイトとを含む混在組織を形成させる。
【0016】ステップ#4では、再び鋼素材に所定の加
工が施される。なお、加工する必要がない場合は、この
ステップ#4をスキップする。ステップ#5では、鋼素
材に窒化処理が施される。ここで、窒化処理は、イオン
窒化、ガス軟窒化、タフトライド等、鋼素材表面部(表
面近傍の部分)に窒素を拡散固溶させられるものであれ
ばよい。しかしながら、普通の窒化処理においては、鋼
素材の表面部に窒素化合物(窒化合物)が生成されるが、
製品である鋼部材を、アルミ合金部材を相手方とする摺
動部材として用いる場合は、窒化処理時にかかる窒素化
合物を生成させないようにするか、あるいは窒化処理後
に窒素化合物を除去する必要がある。けだし、鋼素材表
面部に窒素化合物が生成されると、鋼素材が必要以上に
硬くなり、これをアルミ合金部材を相手方とする摺動部
材として用いると、凝着摩耗により焼き付きが生じてし
まうからである。これに対して、鋼素材表面部に窒素を
拡散固溶させただけの場合は、鋼素材が適度に硬くな
り、かつアルミ合金に対する摺動特性が良くなるので、
凝着摩耗による焼き付きが生じない。
工が施される。なお、加工する必要がない場合は、この
ステップ#4をスキップする。ステップ#5では、鋼素
材に窒化処理が施される。ここで、窒化処理は、イオン
窒化、ガス軟窒化、タフトライド等、鋼素材表面部(表
面近傍の部分)に窒素を拡散固溶させられるものであれ
ばよい。しかしながら、普通の窒化処理においては、鋼
素材の表面部に窒素化合物(窒化合物)が生成されるが、
製品である鋼部材を、アルミ合金部材を相手方とする摺
動部材として用いる場合は、窒化処理時にかかる窒素化
合物を生成させないようにするか、あるいは窒化処理後
に窒素化合物を除去する必要がある。けだし、鋼素材表
面部に窒素化合物が生成されると、鋼素材が必要以上に
硬くなり、これをアルミ合金部材を相手方とする摺動部
材として用いると、凝着摩耗により焼き付きが生じてし
まうからである。これに対して、鋼素材表面部に窒素を
拡散固溶させただけの場合は、鋼素材が適度に硬くな
り、かつアルミ合金に対する摺動特性が良くなるので、
凝着摩耗による焼き付きが生じない。
【0017】ここで、窒化処理時に窒素化合物を生成さ
せないようにするには、例えば、窒化処理方法としてイ
オン窒化法を用いた上で、窒化処理に用いるN2・H2混
合ガス中のN2の比率を通常の場合(例えば、N2:H2=
1:1)より小さくすればよい(例えば、N2:H2=1:4
0〜1:3)。なお、通常の窒化処理方法を用いた場合等
において、表面部に窒素化合物が生成されたときには、
これを研削加工等により除去すればよい。窒化処理温度
は、350℃〜440℃とするのが好ましい。窒化処理
温度が350℃より低いと、窒化処理に長時間を要して
生産性の低下を招き、かつ窒化性が悪くなるからであ
り、他方440℃より高いと、鋼素材の熱膨張率を大き
くするために必要とされる残留オーステナイトが分解し
てしまうからである。また、窒化処理時間は、1hr〜1
5hrとするのが好ましい。窒化温度が比較的低く(35
0℃〜440℃)、窒素の拡散速度が小さいので、少な
くとも1hrは必要であり、他方15hrを超えると生産性
が低下するからである。なお、窒化処理時間を、3hr〜
15hrとすれば、さらに好ましい。
せないようにするには、例えば、窒化処理方法としてイ
オン窒化法を用いた上で、窒化処理に用いるN2・H2混
合ガス中のN2の比率を通常の場合(例えば、N2:H2=
1:1)より小さくすればよい(例えば、N2:H2=1:4
0〜1:3)。なお、通常の窒化処理方法を用いた場合等
において、表面部に窒素化合物が生成されたときには、
これを研削加工等により除去すればよい。窒化処理温度
は、350℃〜440℃とするのが好ましい。窒化処理
温度が350℃より低いと、窒化処理に長時間を要して
生産性の低下を招き、かつ窒化性が悪くなるからであ
り、他方440℃より高いと、鋼素材の熱膨張率を大き
くするために必要とされる残留オーステナイトが分解し
てしまうからである。また、窒化処理時間は、1hr〜1
5hrとするのが好ましい。窒化温度が比較的低く(35
0℃〜440℃)、窒素の拡散速度が小さいので、少な
くとも1hrは必要であり、他方15hrを超えると生産性
が低下するからである。なお、窒化処理時間を、3hr〜
15hrとすれば、さらに好ましい。
【0018】ステップ#6では、所定の加工、例えば窒
素化合物層が形成されている場合にはその研削加工等が
施され、鋼部材(製品)が完成する。図2は、かかる製造
方法によって製造された鋼部材の内部金属組織の顕微鏡
写真(400倍)である。図2において、色の濃い針状の
部分はベイナイトであり、その周囲の色の薄い部分は残
留オーステナイトである。図2から明らかなように、十
分な量の残留オーステナイトが形成されている。このた
め、鋼部材の熱膨張率が大きくなり、本願発明者らのテ
ストによれば、後で説明するように15.3×10-6〜
18.0×10-6/℃となっている。なお、通常の鉄系
部材、例えば鋼S48Cでは熱膨張率が11×10-6/
℃程度である。また、普通のアルミ合金、例えばAC4
C材では熱膨張率が21×10-6/℃程度である。
素化合物層が形成されている場合にはその研削加工等が
施され、鋼部材(製品)が完成する。図2は、かかる製造
方法によって製造された鋼部材の内部金属組織の顕微鏡
写真(400倍)である。図2において、色の濃い針状の
部分はベイナイトであり、その周囲の色の薄い部分は残
留オーステナイトである。図2から明らかなように、十
分な量の残留オーステナイトが形成されている。このた
め、鋼部材の熱膨張率が大きくなり、本願発明者らのテ
ストによれば、後で説明するように15.3×10-6〜
18.0×10-6/℃となっている。なお、通常の鉄系
部材、例えば鋼S48Cでは熱膨張率が11×10-6/
℃程度である。また、普通のアルミ合金、例えばAC4
C材では熱膨張率が21×10-6/℃程度である。
【0019】また、上記製造方法によって製造された鋼
部材の深さ方向の硬さの分布(断面硬さ分布)を図3に示
す。図3から明らかなように、表面部(深さ0.1mm以下
の部分)では窒素拡散層が形成されているので、硬さ(H
V)が適度に高められている。このため、アルミ合金に
対する摺動特性が高められ、耐摩耗性ないし耐焼付性が
高められる。
部材の深さ方向の硬さの分布(断面硬さ分布)を図3に示
す。図3から明らかなように、表面部(深さ0.1mm以下
の部分)では窒素拡散層が形成されているので、硬さ(H
V)が適度に高められている。このため、アルミ合金に
対する摺動特性が高められ、耐摩耗性ないし耐焼付性が
高められる。
【0020】第1実施例にかかる製造方法で、製造条件
を種々変えて、鋼素材から外径60〜80mm程度の5種
のロータを製作し、これらの熱膨張率を測定するととも
に、各ロータを夫々アルミ合金ハウジング(AC4C材)
を備えたオイルポンプに装着して、該オイルポンプの耐
焼付性とポンプ効率とをテストした結果を表1に示す
(本案1〜本案5)。なお、比較のため、従来の製造方法
で4種のロータを製作し、同様のテストを行った結果も
表1示す(比較例1〜比較例4)。なお、この場合ロータ
の外径が比較的大きいので、窒素拡散層の存在は、ロー
タの熱膨張率にほとんど影響を与えていない。
を種々変えて、鋼素材から外径60〜80mm程度の5種
のロータを製作し、これらの熱膨張率を測定するととも
に、各ロータを夫々アルミ合金ハウジング(AC4C材)
を備えたオイルポンプに装着して、該オイルポンプの耐
焼付性とポンプ効率とをテストした結果を表1に示す
(本案1〜本案5)。なお、比較のため、従来の製造方法
で4種のロータを製作し、同様のテストを行った結果も
表1示す(比較例1〜比較例4)。なお、この場合ロータ
の外径が比較的大きいので、窒素拡散層の存在は、ロー
タの熱膨張率にほとんど影響を与えていない。
【0021】
【表1】
【0022】本案1〜本案5及び比較例1〜比較例4に
おける各ロータの製造条件は次のとおりである。 (1)鋼素材の組成 表1中に記載(C,Si,Mnのほかは実質的にFe) (2)オーステンパ処理 オーステナイト化処理…920℃×2hr ベイナイト化処理………380℃×2hr(本案5のみ6h
r) (3)窒化処理 窒化処理方法……………イオン窒化処理 ガス混合比………………N2:H2=1:1 窒化処理温度……………表1中に記載(400℃または
570℃) 窒化処理時間……………3.5hr 窒素化合物層……………研削加工により除去(比較例2
のみ除去せず)
おける各ロータの製造条件は次のとおりである。 (1)鋼素材の組成 表1中に記載(C,Si,Mnのほかは実質的にFe) (2)オーステンパ処理 オーステナイト化処理…920℃×2hr ベイナイト化処理………380℃×2hr(本案5のみ6h
r) (3)窒化処理 窒化処理方法……………イオン窒化処理 ガス混合比………………N2:H2=1:1 窒化処理温度……………表1中に記載(400℃または
570℃) 窒化処理時間……………3.5hr 窒素化合物層……………研削加工により除去(比較例2
のみ除去せず)
【0023】オイルポンプの性能テスト条件は次のとお
りである。 (1)耐焼付性 油温を90℃に保持した上で、ロータ回転数を2500
r.p.mとし、かつ油圧を21kg/cm2として15秒間運転
した後、ロータ回転数を4500r.p.m.とし、かつ油圧
を5kg/cm2として15秒間運転するといったサイクル
を500回繰り返し、500サイクル内に、焼き付きあ
るいはロータ外周部の損傷が生じた場合は耐焼付性不良
(×)とし、異常が生じない場合は耐焼き付き性良(○)と
した。 (2)ポンプ効率 ロータ回転数を700r.p.m.とし、油温を100℃と
し、油圧を6kg/cm2として、油流量が7リットル/min
以上の場合はポンプ効率良(○)とし、7リットル/min
未満の場合は、異常なオイル漏れが生じているものと考
えられるので、ポンプ効率不良(×)とした。
りである。 (1)耐焼付性 油温を90℃に保持した上で、ロータ回転数を2500
r.p.mとし、かつ油圧を21kg/cm2として15秒間運転
した後、ロータ回転数を4500r.p.m.とし、かつ油圧
を5kg/cm2として15秒間運転するといったサイクル
を500回繰り返し、500サイクル内に、焼き付きあ
るいはロータ外周部の損傷が生じた場合は耐焼付性不良
(×)とし、異常が生じない場合は耐焼き付き性良(○)と
した。 (2)ポンプ効率 ロータ回転数を700r.p.m.とし、油温を100℃と
し、油圧を6kg/cm2として、油流量が7リットル/min
以上の場合はポンプ効率良(○)とし、7リットル/min
未満の場合は、異常なオイル漏れが生じているものと考
えられるので、ポンプ効率不良(×)とした。
【0024】表1からわかるように、第1実施例にかか
る本案1〜本案5では、すべてポンプ効率が良好(○)で
ある。これは、前記したとおり、残留オーステナイトが
十分に生成されており(30〜60容量%)、ロータの熱
膨張率が大きくなる結果、ハウジングとロータとの間の
隙間が小さくなり、隙間からのオイル漏れが少なくなる
からであると考えられる。また、耐焼付性もすべて良好
(○)である。これは、表面部に、窒素化合物の存在しな
い窒素拡散層が形成され、ロータが適度な硬さを備える
とともに、アルミ合金に対する摺動特性が向上する結
果、焼き付きないし凝着摩耗の発生が防止されるからで
あると考えられる。
る本案1〜本案5では、すべてポンプ効率が良好(○)で
ある。これは、前記したとおり、残留オーステナイトが
十分に生成されており(30〜60容量%)、ロータの熱
膨張率が大きくなる結果、ハウジングとロータとの間の
隙間が小さくなり、隙間からのオイル漏れが少なくなる
からであると考えられる。また、耐焼付性もすべて良好
(○)である。これは、表面部に、窒素化合物の存在しな
い窒素拡散層が形成され、ロータが適度な硬さを備える
とともに、アルミ合金に対する摺動特性が向上する結
果、焼き付きないし凝着摩耗の発生が防止されるからで
あると考えられる。
【0025】これに対して、窒化処理が施されていない
比較例1では、ロータの熱膨張率が大きくしたがってポ
ンプ効率は良好となっているものの、耐焼付性が不良と
なっている。これは、残留オーステナイトとベイナイト
とを含む混在組織の粘着性によって焼き付きが生じるか
らであると考えられる。窒化処理は施されているもの
の、窒素化合物が除去されていない比較例2でも、比較
例1と同様の結果となっている。これは、窒素化合物に
よってロータが硬くなりすぎ、凝着摩耗による焼き付き
が生じているからであると考えられる。窒化処理温度が
570℃である比較例3では、耐焼付性は良好となって
いるものの、ポンプ効率が不良となっている。これは、
窒化処理温度が高いので窒化処理時に残留オーステナイ
トが分解してしまい、熱膨張率が12.0×10-6/℃
と低くなっているためであると考えられる。鋼素材の組
成が本発明の範囲から外れている比較例4では、熱膨張
率が14.4×10-6/℃と比較的低く、このためポン
プ効率が不良となっている。これは、C,Siの含有率が
低いので、残留オーステナイトの生成が不十分であるた
めであると考えられる。なお、上記テスト結果から、ポ
ンプ効率を良好に維持するには、ロータの熱膨張率を1
5×10-6/℃以上にする必要があることがわかる。
比較例1では、ロータの熱膨張率が大きくしたがってポ
ンプ効率は良好となっているものの、耐焼付性が不良と
なっている。これは、残留オーステナイトとベイナイト
とを含む混在組織の粘着性によって焼き付きが生じるか
らであると考えられる。窒化処理は施されているもの
の、窒素化合物が除去されていない比較例2でも、比較
例1と同様の結果となっている。これは、窒素化合物に
よってロータが硬くなりすぎ、凝着摩耗による焼き付き
が生じているからであると考えられる。窒化処理温度が
570℃である比較例3では、耐焼付性は良好となって
いるものの、ポンプ効率が不良となっている。これは、
窒化処理温度が高いので窒化処理時に残留オーステナイ
トが分解してしまい、熱膨張率が12.0×10-6/℃
と低くなっているためであると考えられる。鋼素材の組
成が本発明の範囲から外れている比較例4では、熱膨張
率が14.4×10-6/℃と比較的低く、このためポン
プ効率が不良となっている。これは、C,Siの含有率が
低いので、残留オーステナイトの生成が不十分であるた
めであると考えられる。なお、上記テスト結果から、ポ
ンプ効率を良好に維持するには、ロータの熱膨張率を1
5×10-6/℃以上にする必要があることがわかる。
【0026】<第2実施例>以下、第1,第4,第5の発
明にかかる第2実施例を説明する。第2実施例では、基
本的には、鋳鉄素材に対して、オーステンパ処理と窒化
処理とを施して、熱膨張率が大きく、かつアルミ合金に
対して高い耐焼付性を有する鉄系部材を製造するように
なっているが、素材として鋳鉄素材を用いる点(第1実
施例では鋼素材)と、オーステナイト化処理温度を若干
低くする点とを除けば、その製造方法は前記の第1実施
例の場合と同様である。そこで、説明の重複を避けるた
め、以下では第1実施例と異なる点についてのみ説明す
る。
明にかかる第2実施例を説明する。第2実施例では、基
本的には、鋳鉄素材に対して、オーステンパ処理と窒化
処理とを施して、熱膨張率が大きく、かつアルミ合金に
対して高い耐焼付性を有する鉄系部材を製造するように
なっているが、素材として鋳鉄素材を用いる点(第1実
施例では鋼素材)と、オーステナイト化処理温度を若干
低くする点とを除けば、その製造方法は前記の第1実施
例の場合と同様である。そこで、説明の重複を避けるた
め、以下では第1実施例と異なる点についてのみ説明す
る。
【0027】第2実施例では素材として、基本的には元
素C,Si,Mn,Mg,Mo,Cu,Niを含む鋳鉄素材が用いら
れる。具体的には、オーステンパ処理によって残留オー
ステナイトが30〜60容量%程度生成されるような球
状黒鉛鋳鉄あるいはMgを含まない片状黒鉛鋳鉄等が用
いられる。ここで、Mg,Mo,Cu,Niは必要に応じて添
加すれば足りる。鋳鉄素材が球状黒鉛鋳鉄である場合
の、その好ましい組成は次のとおりである。なお、この
好ましい組成を一括して表2に示す。
素C,Si,Mn,Mg,Mo,Cu,Niを含む鋳鉄素材が用いら
れる。具体的には、オーステンパ処理によって残留オー
ステナイトが30〜60容量%程度生成されるような球
状黒鉛鋳鉄あるいはMgを含まない片状黒鉛鋳鉄等が用
いられる。ここで、Mg,Mo,Cu,Niは必要に応じて添
加すれば足りる。鋳鉄素材が球状黒鉛鋳鉄である場合
の、その好ましい組成は次のとおりである。なお、この
好ましい組成を一括して表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】(1)好ましいC含有率は、2.6〜4.0重
量%である。C含有率が、2.6重量%未満では、鋳造
性が悪化して健全な製品の製造が困難となるからであ
り、他方4.0重量%を超えると、ドロスが発生しやす
くなり耐摩耗性が低下するからである。 (2)好ましいSi含有率は、1.5〜2.5重量%であ
る。この範囲外では鋳造性が悪化するからである。 (3)好ましいMn含有率は、0.2〜1.0重量%であ
る。Mn含有率が、0.2重量%未満では、焼入性が不十
分となり、かつパーライトの析出によって熱膨張率が小
さくなるからであり、他方1.0重量%を超えると、炭
化物が晶出しやすくなり、疲労強度特性が悪化するから
である。
量%である。C含有率が、2.6重量%未満では、鋳造
性が悪化して健全な製品の製造が困難となるからであ
り、他方4.0重量%を超えると、ドロスが発生しやす
くなり耐摩耗性が低下するからである。 (2)好ましいSi含有率は、1.5〜2.5重量%であ
る。この範囲外では鋳造性が悪化するからである。 (3)好ましいMn含有率は、0.2〜1.0重量%であ
る。Mn含有率が、0.2重量%未満では、焼入性が不十
分となり、かつパーライトの析出によって熱膨張率が小
さくなるからであり、他方1.0重量%を超えると、炭
化物が晶出しやすくなり、疲労強度特性が悪化するから
である。
【0030】(4)好ましいMg含有率は、0.005〜
0.08重量%である。この範囲が黒鉛の球状化に好都
合であるからである。 (5)好ましいMo含有率は、0.03〜0.40重量%で
ある。Moは、焼入性を高め、かつ位置の違いによる残
留オーステナイトの不均一な分布の発生を防止する効果
があり、適正な熱膨張率を得るために必要とされる成分
であるが、0.03重量%未満では上記の効果が得られ
ず、他方0.4重量%を超えると、炭化物として粒界に
偏析して強度低下を招くからである。 (6)好ましいCu含有率は、0.60〜1.50重量%で
ある。Cuは、焼入性を向上させ、さらに残留オーステ
ナイトの生成を促進させる効果がある成分であるが、
0.60重量%未満では上記効果が得られず、熱膨張率
が小さくなるからであり、他方1.50重量%を超える
と、黒鉛の球状化を妨げるからである。 (7)好ましいNi含有率は、0.30〜1.50重量%で
ある。Niは、Cuと同様の効果があり、製造される鋳鉄
部材の肉厚に応じて添加するのが好ましい成分である
が、0.30重量%未満では、焼入性向上効果あるいは
残留オーステナイト生成促進効果が得られないからであ
り、他方1.5重量%を超えるとその効果が飽和し、コ
スト高となるからである。
0.08重量%である。この範囲が黒鉛の球状化に好都
合であるからである。 (5)好ましいMo含有率は、0.03〜0.40重量%で
ある。Moは、焼入性を高め、かつ位置の違いによる残
留オーステナイトの不均一な分布の発生を防止する効果
があり、適正な熱膨張率を得るために必要とされる成分
であるが、0.03重量%未満では上記の効果が得られ
ず、他方0.4重量%を超えると、炭化物として粒界に
偏析して強度低下を招くからである。 (6)好ましいCu含有率は、0.60〜1.50重量%で
ある。Cuは、焼入性を向上させ、さらに残留オーステ
ナイトの生成を促進させる効果がある成分であるが、
0.60重量%未満では上記効果が得られず、熱膨張率
が小さくなるからであり、他方1.50重量%を超える
と、黒鉛の球状化を妨げるからである。 (7)好ましいNi含有率は、0.30〜1.50重量%で
ある。Niは、Cuと同様の効果があり、製造される鋳鉄
部材の肉厚に応じて添加するのが好ましい成分である
が、0.30重量%未満では、焼入性向上効果あるいは
残留オーステナイト生成促進効果が得られないからであ
り、他方1.5重量%を超えるとその効果が飽和し、コ
スト高となるからである。
【0031】第2実施例にかかる製造方法で、表3に示
すような組成の球状黒鉛鋳鉄からなる鋳鉄素材から、第
1実施例の場合と同様のロータを製作し、この熱膨張率
を測定するとともに、該ロータをアルミ合金ハウジング
(AC4C材)を備えたオイルポンプに装着して、該オイ
ルポンプの耐焼付性とポンプ効率とをテストした結果を
表4に示す(本案6)。
すような組成の球状黒鉛鋳鉄からなる鋳鉄素材から、第
1実施例の場合と同様のロータを製作し、この熱膨張率
を測定するとともに、該ロータをアルミ合金ハウジング
(AC4C材)を備えたオイルポンプに装着して、該オイ
ルポンプの耐焼付性とポンプ効率とをテストした結果を
表4に示す(本案6)。
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】ロータの製造条件は次のとおりである。な
お、オイルポンプの耐焼付性及びポンプ効率のテスト条
件は、第1実施例の場合と同様である。 (1)鋳鉄素材の組成 表3のとおり (2)オーステンパ処理 オーステナイト化処理…890℃×2hr ベイナイト化処理………380℃×2hr (3)窒化処理 窒化処理方法……………イオン窒化処理 ガス混合比………………N2:H2=1:1 窒化処理温度……………400℃ 窒化処理時間……………3.5hr 窒素化合物層……………研削加工により除去
お、オイルポンプの耐焼付性及びポンプ効率のテスト条
件は、第1実施例の場合と同様である。 (1)鋳鉄素材の組成 表3のとおり (2)オーステンパ処理 オーステナイト化処理…890℃×2hr ベイナイト化処理………380℃×2hr (3)窒化処理 窒化処理方法……………イオン窒化処理 ガス混合比………………N2:H2=1:1 窒化処理温度……………400℃ 窒化処理時間……………3.5hr 窒素化合物層……………研削加工により除去
【0035】表4に示すように、本案6ではポンプ効率
と耐焼付性とがともに良好(○)であり、第2実施例によ
っても第1実施例と同様の効果が得られることがわか
る。
と耐焼付性とがともに良好(○)であり、第2実施例によ
っても第1実施例と同様の効果が得られることがわか
る。
【0036】
【発明の作用・効果】第1の発明によれば、オーステン
パ処理によって残留オーステナイトが生成されるので、
製造される鉄系部材の熱膨張率が大きくなる。このた
め、上記鉄系部材が、熱膨張率の大きい部材と組み合わ
された場合でも、熱膨張差に起因する不具合が生じな
い。また、窒化処理によって表面部に窒素拡散層が形成
され、これによって表面部が硬くなり、かつ粘着性(ね
ばさ)が低くなるので、製造された鉄系部材が摺動部材
として用いられる場合には、その摺動特性が良好とな
り、焼き付きが生じない。
パ処理によって残留オーステナイトが生成されるので、
製造される鉄系部材の熱膨張率が大きくなる。このた
め、上記鉄系部材が、熱膨張率の大きい部材と組み合わ
された場合でも、熱膨張差に起因する不具合が生じな
い。また、窒化処理によって表面部に窒素拡散層が形成
され、これによって表面部が硬くなり、かつ粘着性(ね
ばさ)が低くなるので、製造された鉄系部材が摺動部材
として用いられる場合には、その摺動特性が良好とな
り、焼き付きが生じない。
【0037】第2の発明によれば、鋼部材中に、オース
テンパ処理によって残留オーステナイトが生成されてい
るので、その熱膨張率が大きくなる。このため、上記鋼
部材が、熱膨張率の大きい部材と組み合わされた場合で
も、熱膨張差に起因する不具合が生じない。また、窒化
処理によって表面部に窒素拡散層が形成され、これによ
って表面部が硬くなっており、かつ粘着性(ねばさ)が低
くなっているので、該鋼部材が摺動部材として用いられ
る場合には、その摺動特性が良好となり、焼き付きが生
じない。
テンパ処理によって残留オーステナイトが生成されてい
るので、その熱膨張率が大きくなる。このため、上記鋼
部材が、熱膨張率の大きい部材と組み合わされた場合で
も、熱膨張差に起因する不具合が生じない。また、窒化
処理によって表面部に窒素拡散層が形成され、これによ
って表面部が硬くなっており、かつ粘着性(ねばさ)が低
くなっているので、該鋼部材が摺動部材として用いられ
る場合には、その摺動特性が良好となり、焼き付きが生
じない。
【0038】第3の発明によれば、基本的には第2の発
明と同様の作用・効果が得られる。さらに鋼部材の表面
部に窒素化合物が存在しないので、表面部が硬くなりす
ぎず、とくにアルミ合金に対する摺動特性が良好とな
る。そして、該鋼部材がアルミ合金を相手方とする摺動
部材であるので、焼き付きの発生が確実に防止される。
明と同様の作用・効果が得られる。さらに鋼部材の表面
部に窒素化合物が存在しないので、表面部が硬くなりす
ぎず、とくにアルミ合金に対する摺動特性が良好とな
る。そして、該鋼部材がアルミ合金を相手方とする摺動
部材であるので、焼き付きの発生が確実に防止される。
【0039】第4の発明によれば、鋳鉄部材中に、オー
ステンパ処理によって残留オーステナイトが生成されて
いるので、その熱膨張率が大きくなる。このため、上記
鋳鉄部材が、熱膨張率の大きい部材と組み合わされた場
合でも、熱膨張差に起因する不具合が生じない。また、
窒化処理によって表面部に窒素拡散層が形成され、これ
によって表面部が硬くなっており、かつ粘着性(ねばさ)
が低くなっているので、該鋳鉄部材が摺動部材として用
いられる場合には、その摺動特性が良好となり、焼き付
きが生じない。
ステンパ処理によって残留オーステナイトが生成されて
いるので、その熱膨張率が大きくなる。このため、上記
鋳鉄部材が、熱膨張率の大きい部材と組み合わされた場
合でも、熱膨張差に起因する不具合が生じない。また、
窒化処理によって表面部に窒素拡散層が形成され、これ
によって表面部が硬くなっており、かつ粘着性(ねばさ)
が低くなっているので、該鋳鉄部材が摺動部材として用
いられる場合には、その摺動特性が良好となり、焼き付
きが生じない。
【0040】第5の発明によれば、基本的には第4の発
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、鋳鉄部材の
表面部に窒素化合物が存在しないので、表面部が硬くな
りすぎず、とくにアルミ合金に対する摺動特性が良好と
なる。そして、該鋳鉄部材がアルミ合金を相手方とする
摺動部材であるので、焼き付きの発生が確実に防止され
る。
明と同様の作用・効果が得られる。さらに、鋳鉄部材の
表面部に窒素化合物が存在しないので、表面部が硬くな
りすぎず、とくにアルミ合金に対する摺動特性が良好と
なる。そして、該鋳鉄部材がアルミ合金を相手方とする
摺動部材であるので、焼き付きの発生が確実に防止され
る。
【図1】 鉄系部材の製造方法を示すフローチャートで
ある。
ある。
【図2】 図1に示す製造方法で製造された鋼部材の、
内部の金属組織を示す顕微鏡写真(400倍)である。
内部の金属組織を示す顕微鏡写真(400倍)である。
【図3】 図1に示す製造方法で製造された鋼部材の断
面硬さ分布を示す図である。
面硬さ分布を示す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/06
Claims (5)
- 【請求項1】 C(炭素)とSi(珪素)とMn(マンガン)と
を含む鋼または鋳鉄にオーステンパ処理を施して、残留
オーステナイトとベイナイトとを含む混在組織を形成
し、次に上記鋼または鋳鉄に440℃以下の温度で窒化
処理を施して、表面部の残留オーステナイトとベイナイ
トとを含む混在組織に、窒素を拡散固溶させるようにし
たことを特徴とする鉄系部材の製造方法。 - 【請求項2】 Cを0.7〜1.2重量%含み、Siを1.
5〜2.5重量%含み、かつMnを0.5〜2.0重量%含
む鋼部材であって、オーステンパ処理によって残留オー
ステナイトとベイナイトとを含む混在組織が形成されて
おり、かつ表面部の残留オーステナイトとベイナイトと
を含む混在組織に、窒化処理によって窒素拡散層が形成
されていることを特徴とする鉄系部材。 - 【請求項3】 請求項2に記載された鉄系部材におい
て、窒素拡散層に窒素化合物が含まれておらず、かつア
ルミ合金製部材を相手方とする摺動部材であることを特
徴とする鉄系部材。 - 【請求項4】 Cを2.6〜4.0重量%含み、Siを1.
5〜2.5重量%含み、かつMnを0.2〜1.0重量%含
む鋳鉄部材であって、オーステンパ処理によって残留オ
ーステナイトとベイナイトとを含む混在組織が形成され
ており、かつ表面部の残留オーステナイトとベイナイト
とを含む混在組織に、窒化処理によって窒素拡散層が形
成されていることを特徴とする鉄系部材。 - 【請求項5】 請求項4に記載された鉄系部材におい
て、窒素拡散層に窒素化合物が含まれておらず、かつア
ルミ合金製部材を相手方とする摺動部材であることを特
徴とする鉄系部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24741791A JP3037479B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | 鉄系部材及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24741791A JP3037479B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | 鉄系部材及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0578813A true JPH0578813A (ja) | 1993-03-30 |
| JP3037479B2 JP3037479B2 (ja) | 2000-04-24 |
Family
ID=17163129
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24741791A Expired - Fee Related JP3037479B2 (ja) | 1991-09-26 | 1991-09-26 | 鉄系部材及びその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3037479B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN120536812A (zh) * | 2025-05-30 | 2025-08-26 | 韶关金宝铸造有限公司 | 一种高强度高韧性的球墨铸铁曲轴铸造工艺 |
-
1991
- 1991-09-26 JP JP24741791A patent/JP3037479B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN120536812A (zh) * | 2025-05-30 | 2025-08-26 | 韶关金宝铸造有限公司 | 一种高强度高韧性的球墨铸铁曲轴铸造工艺 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3037479B2 (ja) | 2000-04-24 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |