JPH0578815A - 表面硬化部材およびその製造方法 - Google Patents

表面硬化部材およびその製造方法

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JPH0578815A
JPH0578815A JP16596591A JP16596591A JPH0578815A JP H0578815 A JPH0578815 A JP H0578815A JP 16596591 A JP16596591 A JP 16596591A JP 16596591 A JP16596591 A JP 16596591A JP H0578815 A JPH0578815 A JP H0578815A
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titanium
layer
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melt diffusion
alloy
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JP16596591A
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English (en)
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Takumi Shibuya
巧 渋谷
Satoshi Kano
智 狩野
Hiroo Ozeki
宏夫 大関
Shinichiro Kakehashi
伸一郎 梯
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、十分な厚さの耐摩耗性の良好な硬
化層を備えたチタン又はチタン合金からなる硬化部材お
よびその製法を提供することを目的とする。 【構成】 本発明はチタンまたはチタン合金からなる基
材と、この基材表面に形成された溶融拡散層とを具備
し、前記溶融拡散層が、基材の表面部に多数食い込まさ
れて形成されたアンカー部と、これらのアンカー部に連
続されて基材上に形成された接合層と、この接合層上に
形成された硬化層とを具備してなり、前記硬化層が、チ
タンに固溶しチタンとの間に化合物を形成する1つ以上
の金属元素とチタンとを主体としてなるものである。 【効果】 本発明によれば、全体として軽量でかつ強
度及び靱性の高い、耐蝕性の高い硬化部材を提供するこ
とができる。また、チタン又はチタン合金から基材を用
いるので、軽量で耐蝕性に優れた硬化部材を提供するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、チタンまたはチタン
合金からなる基材の表面を硬化させた部材およびその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジンにおいては、高速回転化
に伴なってエンジンの構成部材の軽量化が要求されてい
る。例えばロッカアームを例にとると、従来のロッカア
ームは、必要箇所に浸炭処理を施した鉄系の合金から形
成されるのが一般的であったが、近年、前記軽量化の要
求に答えるべく、チタンあるいはチタン合金を用いてロ
ッカアームを製造することが考えられている。これは、
チタンが、鉄と同程度の強度を持ちながらその比重が鉄
とアルミニウムの中間程度であるので、すみやかにロッ
カアームの軽量化が図れるからである。しかしながら、
ロッカアームをチタンあるいはチタン合金で製造する場
合であっても、バルブトップやカムとの接触部は優れた
耐摩耗性を有する必要があり、この部分は硬化させる必
要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで現行で考えられ
るチタン表面の硬化法の1つとして、窒化があるが、窒
化ではチタン表面のごく一部分(例えば表面の数μm程
度)しか硬化することができず、ロッカアーム用には供
しえないものである。また、耐摩耗性の高い合金の盛金
による硬化法も知られているが、チタンの材料的な特性
上、溶接は難しく、この方法も採用しがたい問題があ
る。
【0004】なお、特開昭50−28443号公報で開
示されているように、チタン又はチタン合金に金属また
は合金を被覆した後に硬化処理する方法が知られてい
る。ところが、この方法で得られる硬化層の厚さは、数
十μm程度であって、金型などの耐摩耗性部品用の硬化
法としては、十分な厚さの硬化層が形成できない問題が
ある。
【0005】そこで本願発明は、十分な厚さの耐摩耗性
の良好な硬化層を備えたチタン又はチタン合金からなる
硬化部材およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は前
記課題を解決するために、チタンまたはチタン合金から
なる基材と、この基材表面に形成された溶融拡散層とを
具備してなり、前記溶融拡散層が、基材の表面部に多数
食い込まされて形成されたアンカー部と、これらのアン
カー部に連続されて基材上に形成された接合層と、この
接合層上に形成された硬化層とを具備してなり、前記硬
化層が、チタンに固溶しチタンとの間に化合物を形成す
る1つ以上の金属元素とチタンとを主体としてなるもの
である。
【0007】請求項2記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の溶融拡散層に、その深さ方向に
沿って溶融拡散層の主要構成元素の濃度勾配を形成して
なるものである。
【0008】請求項3記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の硬化層をNi-Cr合金にチタ
ンを拡散させたものとしたものである。
【0009】請求項4記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項3記載の表面硬化部材において、表面層
と混合層と接合層の順にニッケル含有量を少なくしてな
るものである。
【0010】請求項5記載の発明は前記課題を解決する
ために、請求項1記載の溶融拡散層にセラミック粒子を
分散させてなるものである。
【0011】請求項6記載の発明は前記課題を解決する
ために、チタンまたはチタン合金からなる基材上に、チ
タンとの間に化合物を形成する金属元素を主体とする被
覆層を形成し、その後に加熱して被覆層と基材との間で
溶融拡散反応を生じさせ、被覆層と基材の境界部分に多
数の柱状のアンカー部を形成するとともに、被覆層側に
基材のチタンを拡散させて溶融拡散層を形成するもので
ある。
【作用】
【0012】本発明によれば、チタンまたはチタン合金
からなる基材の表面に形成された溶融拡散層の多数のア
ンカー部が基材表面部に食い込まされ、接合層上に硬化
層が形成されているので、基材に対する硬化層の密着性
に優れる。また、チタンに固溶しチタンとの間に化合物
を形成する元素に、チタンを拡散させた溶融拡散層であ
るので、チタンと前記金属元素との溶融拡散反応による
共晶合金化並びに化合物による析出硬化がなされ、これ
により溶融拡散層が硬いものとなる。溶融拡散層を形成
する合金としてNi-Cr合金が好ましい。また、この
溶融拡散層にその深さ方向に濃度勾配をつけるならば、
表面部分から基材側にかけて硬度が連続的に減少する溶
融拡散層を得ることができる。
【0013】溶融拡散層の具体的な形成方法としては、
チタン表面にチタンと固溶する金属あるいは合金の層を
種々の方法で形成し、真空中などで加熱することによ
り、双方の拡散によって溶融拡散反応(合金化・金属間
化合物生成・金属と非金属との化合物生成)を生じさ
せ、硬く密着性の良好な溶融拡散層を形成する。
【0014】接触させる方法としては、合金化材を箔と
してこれを圧着・接着(スポット溶接等)により付着させ
る方法、被合金化材を粉体としてバインダに混入させ、
これを塗布する方法、無電解めっきを行って付着させる
方法等がある。また、溶融拡散硬化層にセラミックス粉
などを混入させて分散させ、さらに強化を図るようにし
てもよい。
【0015】
【実施例】図1は、本発明を適用して得られたロッカア
ームを示している。この例のロッカアーム1は、軸受部
2とその両側に延設されたアーム部3,4とを具備して
なり、アーム部3の先端にはカムに摺接する第1接触部
5が、また、アーム部4の先端にはバルブ軸に摺接する
第2接触部6が各々形成されている。前記ロッカアーム
1は、チタン又はチタン合金からなり、その接触部5,
6には本発明に係る硬化処理が施されている。ロッカア
ームを構成するチタン合金として、Ti-6Al-4V合
金、Ti-13V-11Cr-3Al合金、Ti-5Al-2Cr-
Fe合金、Ti-5Al-3Mn合金などを例示することがで
きるが、これ以外のチタン合金を用いても良い。
【0016】前記接触部5,6の断面構造は、図2に示
すようにチタン又はチタン合金からなる基材7と、この
基材7の表面に被覆された溶融拡散層8とからなってい
る。この溶融拡散層8は、厚さ0.7〜1.0mm、あるい
は、それ以上にも達する厚いものであるが、後述する被
覆層の厚さと溶融拡散の処理時間を調節すれば、これよ
り薄く形成することもできる。
【0017】溶融拡散層8を形成するには、図3に示す
基材7の表面に、図4に示すように被覆層9を形成す
る。この被覆層9を構成する金属として用いるのは、チ
タンとの間に、金属間化合物、炭化物、チッ化物、ホウ
化物などの化合物を生成する金属が好ましい。
【0018】具体的には、純ニッケル、Ni-7Cr-3B
-4Si-3Fe合金、Ni-15Cr-3B合金、Ni-25Cr
合金、Ni-0.5C-3Si-10Cr-2.5Fe-2B-0.1
Co合金(商品名:コルモノイNo4)、Ni-0.65C-1
2Cr-4.25Fe-4.0Si-2.5B合金(コルモノイN
o5)、Ni-1.5C-27Cr-8W-1.6Fe-1.55B-
0.5Co合金(コルモノイNo84)、50Ni-32Mo-
15Cr-3Si合金、商品名:トリバロイ700)、あ
るいは、JIS規定のNiろうである、BNi-2など、
あるいは、Ti-48Zr-4Be、Ti-30V-4Be、Ti
-33Cr、Ti-13V-11Cr-3Alなどのチタンろう
を例示することができるが、これらに限るものではな
い。また、前記組成の金属にセラミック粒子を分散させ
ても良い。ここで用いるセラミック粒子として、Ti
C、WC、B4C、C-BN、TiN、Si34、サイアロ
ン、SiCなどを例示することができるがこれらに限る
ものではない。なお、セラミック粒子として例えばウイ
スカを混合しても良い。
【0019】被覆層9を基材7上に形成する手段として
は、前記各組成の金属の箔を基材7上に、圧着、接着、
スポット溶接などの方法により接合して形成しても良い
し、前記組成の金属の粉体をバインダーに混合した塗布
物を塗布しても良い。また、前記組成の金属を基材7上
に電解メッキ、無電解メッキにより被覆しても良いし、
基材7上に前記金属の粉末をまぶした後に、液圧プレス
などの手法により圧密して被覆しても良い。要は、ある
程度の厚さをもった被覆層9を形成できる手段であれば
公知のいかなる手段を用いても良い。前記の手段によ
り、厚さ数mm程度の被覆層9を容易に形成することがで
きる。
【0020】被覆層9を形成したならば、真空炉などに
収納して、例えば1×10-4Torr以下の真空中で90
0〜1100℃に加熱する。真空中で処理するのは、チ
タンが化学的に活性であり、酸化反応あるいは還元反応
を防止するためである。また、加熱温度は被覆層9の構
成主要元素とチタンとの共晶点近傍の温度あるいはそれ
以上の温度が好ましい。従って前記のように900〜1
100℃の範囲が好ましいが、加熱温度は被覆層9の種
類によって前記の範囲内で適宜設定するものとする。
【0021】前記真空加熱処理によって被覆層9の一部
又は全部で溶融拡散が進行する。このような溶融拡散状
態で所定時間(数十分〜数十時間)保持することで被覆層
9を構成する元素と基材7を構成する元素が相互拡散
し、冷却後に図2に示す溶融拡散層8が生成する。
【0022】この溶融拡散層8の硬度は、例えばTi-6
Al-4V合金の基材7を用い、被覆層9としてNi-25
Cr合金からなるものを用い、1100℃で1時間加熱
した場合に、後述するようにビッカース硬さで650前
後の硬度が得られる。
【0023】ここで前記溶融拡散処理を行うことで、ニ
ッケルとチタンとの共晶合金化、更には、炭素とケイ素
とホウ素と窒素とジルコニウムとクロムのいずれかから
選択される元素と、基材のチタンとの2元系あるいは3
元系の共晶合金化、並びに金属間化合物の生成が起こ
り、被覆層9よりも硬化が高められた溶融拡散層8が形
成される。溶融拡散反応で生成される金属間化合物とし
てTi2Niなどを例示することができる。また、被覆
層9としてニッケル系の種々の組成の合金を用いる場合
は、炭素がカーバイド、ケイ素がシリサイド、ホウ素が
ボライド、窒素がチッ化物、ジルコニウムとニオブとク
ロムとが金属間化合物を生成して硬化に寄与する。な
お、前記被覆層9の溶融拡散を行なう場合、高周波加熱
などの手段を用い、基材7側の被覆層9の一部のみを溶
融拡散させても良いし、被覆層9の全体を溶融拡散させ
ても良い。
【0024】図5は溶融拡散層8の拡大構造を示すもの
である。溶融拡散層8は、侵食層11とこの侵食層11
上の硬化層12とから構成される。この侵食層11と硬
化層12を更に拡大した構造を図6に示す。図6は、チ
タンからなる基材に、Ni-25Cr合金の被覆層を形
成した後に、溶融拡散処理を施して得られた試料におけ
る侵食層11と硬化層12の断面を光学顕微鏡で150
倍に拡大して得られた金属組織写真を模式化したもので
ある。図6に示すように硬化層12は、表面層15と混
合層16とからなり、侵食層11は、接合層17と多数
のアンカー部18とからなっている。
【0025】前記溶融拡散層8は、被覆層9を構成する
Ni-25Cr合金と基材のTiが相互拡散して形成さ
れた層である。前記表面層15は、Ti2Niなる組成
の金属間化合物が析出されて硬化された層である。混合
層16と接合層17は、それぞれがTiとNiとCrを
含有し、混合層16の方が、接合層17よりもNiとC
rの含有量が多く含む析出物を有している。アンカー部
18は、基材7の表面部に柱状に多数食い込んで形成さ
れたものであり、Tiを主成分とし、これに少量のNi
と微量のCrが含有されたものである。
【0026】ここで以下に柱状のアンカー部18が生成
する理由について推定する。前記被覆層9の構成元素の
Niと基材7の構成元素のTiが2元系合金を構成する
場合には溶融温度が降下する。この結果、基材7と被覆
層の界面に溶融帯が形成され、溶融帯と基材7の境界に
おいて部分的に融点が降下した部分(例えば、島状に融
点降下する部分が生じる。)が核となってこの部分から
基材7の深さ方向に選択的に溶解し始めて柱状に溶融を
開始し、この溶融部分が冷却時に柱状のアンカー部18
として残留する。また、アンカー部18の上部側は接合
層17と連続一体化し、接合層17は混合層16に連続
一体化し、混合層16は表面層15に連続一体化したも
のと思われる。
【0027】前記構造によれば、溶融拡散層8の全体に
Ti2Niで示される組成を有する硬い金属間化合物が
生成するので、全体の硬度が高くなるが、その中で特に
表面層15にTi2Ni金属間化合物が多く生成して溶
融拡散層8の表面側の高度が特に高くなる。これは後述
するように、溶融拡散層8の表面部分でのTi含有量と
Ni含有量が約2:1の割合になるためであると思われ
る。更に、アンカー部18が基材7の表面部に食い込ん
でいるので、接合層17と混合層16と表面層15に連
続一体化されたアンカー部18のアンカー効果により、
基材7とこれらの層との接合力は特に高く、硬化部分に
多少の塑性加工を加えてもこれらの層が基材7から剥離
することはない。
【0028】また、表面層15、混合層16、接合層1
7にかけてNi含有量が徐々に減少するので、表面層1
5、混合層16、接合層17の順に順次硬度が滑らかに
減少する。このように溶融拡散層8の硬度がなめらかに
低下する構造をもつ表面硬化部材は、使用に際し、その
表面の最も硬い部分が摩耗した場合でも徐々に耐摩耗性
が低下するだけで、摩耗が急激に進んで周囲の部品との
バランスが崩れる不具合が生じない。即ち、ロッカアー
ム1の場合を例にとると、バルブトップとの接触面積が
急激に拡大することがなく、バルブクリアランスが大き
くなりすぎることがなく、打音が発生するといった不具
合は生じない。
【0029】これに対して通常の盛金による硬化法で
は、硬度が低下しないように基材と盛金との合金化を極
力抑えて行うのが通常であるが、本発明では逆に、積極
的に溶融拡散による合金化を促進し、盛金よりも硬度を
上げることができるとともに、溶融拡散層8の硬度変化
を滑らかに低下させて基材7に連続させることができる
ようにすると同時に、アンカー部18での密着効果を発
揮させたものである。
【0030】一方、図7は本発明の硬化部材をリングギ
ヤ30に適用した実施例を示すものである。このリング
ギヤ30では外周のギヤ部が本発明方法で硬化されてい
る。リングギヤ30の全体の概略部分はチタン又はチタ
ン合金で鍛造などの通常の手段で作製し、この後に外周
のギヤ部全体に被覆層を形成して硬化させた後に、切削
加工あるいは研摩加工を行って溶融拡散層8の一部を除
去してギヤ部を仕上げることでリングギヤ30を得るこ
とができる。
【0031】本発明に係る溶融拡散層8は数分の一〜数
mmと十分な厚さを有するので、切削加工や塑性加工が可
能になる。よって製造時に切削加工や塑性加工が必要な
表面硬化させた機械部品をチタン又はチタン合金で製造
することが可能になる。
【0032】なお、前記の例ではロッカアーム1とリン
グギヤ30に本発明方法を適用した例について説明した
が、その他の耐摩耗性の要求される部材(バルブリテー
ナ、トランスミッションギア、デファレンシャルギア、
ディスクブレーキ、軸受、各種ポンプの摺動部分、ター
ビンブレード、アイススケートの刃先、ゴルフクラブヘ
ッドなど)に本発明を適用しても良いのは勿論である。
【0033】(第1製造例)JIS規格でBNi−2で
表される金属素材を溶製し、急冷凝固法により数十分の
一〜数分の一mm程度の箔(被覆材)を製造し、これをTi-
6Al-4V合金からなる板状の基材の表面にスポット
溶接した後、液圧プレスなどの手法により圧着する。
【0034】次に、箔で被覆した基材を約900〜11
00℃の温度に設定した加熱炉にて、真空雰囲気でそれ
ぞれ1時間保持し、合金化させる。この温度は、それぞ
れ箔と基材に含まれる合金成分との共晶点の近傍の温度
に設定することが好ましい。このような箔と基材との間
の反応は、温度が高い程進行が速く、また反応時間が長
い程生成される溶融拡散硬化層の厚さが大きくなる。こ
のようにして得られる硬化層は厚さ数mmに及ぶもので
ある。
【0035】なお、前記の工程で得られた板体を冷間圧
延した時の割れ発生率を測定した。減面率が40%まで
は、硬化された部分にクラックは発生しなかったが、減
面率が50%を越えると、硬化部分およびその界面より
ヘアークラックが発生した。即ち、前記溶融拡散層は減
面率40%までは耐えることが判明した。また、前記硬
化部分とTi合金母材との界面の付着強度も強硬である
ことが判る。
【0036】(第2製造例)上記第1製造例の箔と同じ
成分の合金を溶製する際に、セラミックス(TiC・W
C)の粒(粒径数μm)を容積比で50%混入し、分散させ
た。これを基材の表面に付着させ、熱処理を行うことに
より、第1製造例と同一成分を持ち、かつセラミックス
粒を分散させた溶融拡散層を形成した。
【0037】以上の製造例では、チタンを主成分とする
合金の基材に溶融拡散硬化層を形成したことにより、全
体として軽量でかつ強度及び靱性の高い硬化部材を提供
することができた。
【0038】また、チタンを主成分とする合金の基材
に、ニッケルの合金元素または炭素、窒素、ホウ素、ジ
ルコニウム、銅、タングステン、モリブデン、ニオブ等
を含む合金からなる箔(被覆材)を付着させ、熱処理を
施したことにより、チタンの金属間化合物、炭化物、窒
化物、ほう化物等のうち複数種を含有する溶融拡散層を
形成し、前述した優れた特性を持つ金型を能率良く、安
価に提供することができる。また、基材および溶融拡散
層は耐蝕性に優れているので、腐蝕性の高い雰囲気で使
用しても良い。
【0039】なお、本発明の溶融拡散硬化層の形成方法
は、上記の箔を用いた方法に限られるものではなく、例
えば、無電解めっきにより基材に付着させる方法、粉体
をバインダに混入させてスラリー化してこれを基材に塗
布する等の適宜の方法を採用してもよい。
【0040】(第3製造例)チタンあるいはチタン合金
製の板状の基材を用い、その基材の表面に金属箔圧着法
により厚さ0.2mmの種々の組成の被覆層を形成し、こ
の被覆層付きの基材を真空加熱炉に収納して真空加熱炉
の内部を1×10-4Torrに真空引きした後に、900
〜1100℃に1時間加熱し、被覆層を溶融拡散させて
溶融拡散層を形成した。
【0041】得られた溶融拡散硬層を有する基材の表面
に硬度HRC−57のJIS規定のSUJの円盤あるい
はステライトの円盤を摺接させて摩耗速度(m/秒)と比
摩耗量の関係を測定した。この測定には、大越式摩耗試
験機を用いた。この大越式摩耗試験機は、株式会社:東
京試験機製作所製の迅速摩耗試験機であって、回転円盤
を平面試験片に押し付けて摩耗し、その時の摩耗痕の大
きさで摩耗量を測定する装置である。いま、回転円盤の
外径を2r、厚さをBとし、摩耗距離loだけ摩耗した
時の最終荷重をPo、摩耗痕の深さをboとすると、摩耗
量(体積)は、 Bbo3/12r mm3で示され、接
触圧力は、 Po/Bbo kg/mm2で示され
るとともに、試験材料の摩耗特性を示す比摩耗量Ws
は、 Bb3/8rPolo mm2/kgで示され
る。
【0042】また、回転円盤の寸法は、外径28mmの
円筒部材の外周部に厚さ3mmの外径30mmのフラン
ジ部を形成した回転円盤を用いるとともに、板状試験片
は、長さ40mm、幅60mm、厚さ5〜10mmのも
のを用い、回転軸の先端に前記回転円盤を装着し、回転
円盤のフランジ部を前記試験片に所要の圧力で押し当て
て回転軸を回転駆動し、フランジ部が試験片の表面に対
して所定距離擦り合った後に試験を停止して摩耗痕を測
定し、計算により比摩耗量を算出した。
【0043】図8と図9と図10と図11に、チタン又
はチタン合金の基材にそれぞれの組成の被覆層を形成
し、それを溶融拡散させて得られた溶融拡散層の耐摩耗
性について耐摩耗試験を行った結果を示す。これらの図
において相手材とは回転円盤の材料を示す。本実施例で
は相手材としてステライトあるいはJIS規定のSUJ
を使用した。
【0044】図10に示す#6はCo-3Ni-28Cr-4
W-1Cなる組成のステライト#6を示し、Ti合はTi-
6Al-4Vなる組成のチタン合金を示す。各図から、T
i合金の基材に種々の被覆層を形成して溶融拡散させた
試料は、他の試料に比較して摩耗速度が高い場合に特に
耐摩耗性に優れていることが判明した。
【0045】図8と図9に示す試料においては、チタン
基材にNi-50Co合金の被覆層を用いた試料と、チタ
ン合金基材にNi-50Co合金の溶融拡散硬化層を用い
た試料のいずれもが優秀な耐摩耗性を発揮した。図8と
図9に示す試料にあっては、摩耗速度が向上しても比摩
耗量がほとんど増加しないので、優秀な高速耐摩耗性を
有していることが明らかである。更に、チタン製の基材
を用いた試料においてビッカース硬度で350〜38
4、チタン合金製の基材を用いた試料においてビッカー
ス硬度で595〜605の優秀な値が得られた。
【0046】図10に示すMBF20はNi-7Cr-4
Si-3Feなる組成の合金を示す。また、Ti-6Al-4
V合金の基材自体の比摩耗量は、図11に示すように摩
耗速度が0.054m/秒においては9×10-7(mm3/kg
・mm)であり、摩耗速度が0.083m/秒においては8.
7×10-7であり、摩耗速度が0.119m/秒において
は10.6×10-7であった。
【0047】よって図10と図11において、比摩耗量
が10×10-7以下の試料が特性優秀な試料であること
が明らかである。この特性優秀な試料とは、チタン又は
チタン合金の基材にニッケルの被覆層を形成して得られ
る試料と、チタン又はチタン合金の基材にNi-25Cr
合金の被覆層を形成して得られる試料と、これらにセラ
ミック粒子を分散させた試料である。また、チタン合金
の基材を用い、被覆層としてNi-25Cr合金を用いた
試料にあっては、ビッカース硬度で643という優秀な
値が得られた。
【0048】以上のことから、本発明の溶融拡散層を備
えた硬化部材は硬度が高く、耐摩耗性に優れていること
が明らかになった。
【0049】(第4製造例)次に以下の表1に、溶融拡
散層析出物の成分分析結果を示す。この溶融拡散層は、
Tiからなる基材の表面にNi-25Cr合金の箔を圧
着し、これを1100℃で1時間加熱して得られた溶融
拡散層の厚さ方向の組成分析結果を示すものである。組
成の分析にはX線マイクロアナライザーを用い、電子線
照射により、特定した微小領域から発生する特性X線の
強度を比較する方法を用いた。また、表1の数値は、溶
融拡散層の深さ方向における各層の析出物ごとにTiと
NiとCrの含有量(重量%)の測定結果を示してい
る。 (以下、余白)
【0050】
【表1】
【0051】表1に示す結果から明らかなよう
に、表面層の析出物はTiとNiがほぼ2:1の割合で
含有されており、Ti2Ni金属間化合物が生成するた
めに好ましい組成割合となっている。また、表面層と混
合層と接合層の順で析出物のNi含有量が減少し、析出
物組成に勾配が形成されていることも明らかになった。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明は、チタン
またはチタン合金からなる基材と、この基材表面部に多
数食い込まされたアンカー部と、これらのアンカー部に
連続されて基材表面部に形成された接合層と、この接合
層上に形成された硬化層とからなり、前記硬化層が、チ
タンとチタンに固溶しチタンとの間に化合物を形成する
1つ以上の金属元素を主体とするものであるので、チタ
ンの化合物の析出と共晶合金化などによる強化により硬
い溶融拡散層が得られる。従って全体として軽量でかつ
強度及び靱性の高い、耐蝕性の高い硬化部材を提供する
ことができる。また、チタン又はチタン合金から基材を
用いるので、軽量で耐蝕性に優れた硬化部材を提供する
ことができる。
【0053】更に本願発明の構造で析出物組成に勾配を
つけたものにあっては、表面側から底部側にかけて硬度
が徐々に低下するので、使用に際し、その表面の最も硬
い部分が摩耗した場合であっても徐々に耐摩耗性が低下
するだけて硬度が急激に低下することがないので、周囲
の部材との摺動バランスが急激に崩れることがない。よ
って本願発明をロッカアームに適用した場合、バルブト
ップとの接触面積が急激に変化することがなく、適正な
バルブクリアランスを保持できるので、摩耗後の打音の
発生を抑えることができる。
【0054】なお、チタンを拡散させたNi-Cr合金
の溶融拡散層を備えた硬化部材にあっては、高い硬度を
備え、硬度が深さ方向に順次減少するとともに、アンカ
ー部を多数備えた硬化部材を得ることができる。なおま
た、セラミック粒子を分散させた溶融拡散層を備えた表
面硬化部材にあっては更に硬度の高い溶融拡散層を得る
ことができる。
【0055】また、本発明方法は、溶融拡散層に、チタ
の間に化合物を形成する元素を含む被覆層を付着させ、
熱処理を施すことにより、チタンの金属間化合物、炭化
物、窒化物、ほう化物等のうち一種または複数種を含有
する溶融拡散層を形成することにより、前述した優れた
特性を持つ硬化部材を能率良く、安価に提供することが
できるものである。また、溶融拡散層底部の多数のアン
カー部を基材の表面部分に食い込ませることができるの
で、剥離に強い溶融拡散層を提供することができる。従
って本願発明の硬化部材は、多少の切削加工と塑性加工
に耐えることができ、従来のチタン系の硬化部材では考
えられなかった種々の用途、例えば切削加工や塑性加工
を経て製造される製品に広く応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示す実施例の要部の拡大断面図である。
【図3】前記実施例に使用する基材の拡大断面図であ
る。
【図4】本発明の図3に示す基材に被覆層を形成した状
態を示す拡大断面図である。
【図5】図2に示す溶融拡散層の拡大断面図である。
【図6】図2に示す溶融拡散層の要部を拡大した顕微鏡
写真の模式図である。
【図7】本発明の他の実施例の斜視図である。
【図8】本発明の第3製造例の比摩耗量の第1の測定結
果を示すグラフである。
【図9】本発明の第3製造例の比摩耗量の第2の測定結
果を示すグラフである。
【図10】本発明の第3製造例の比摩耗量の第3の測定
結果を示すグラフである。
【図11】本発明の第3製造例の比摩耗量の第4の測定
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ロッカアーム 7 基材 8 溶融拡散層 9 被覆層 11 侵食層 12 硬化層 15 表面層 16 混合層 17 接合層 18 アンカー部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梯 伸一郎 神奈川県足柄上郡開成町牛島27

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタンまたはチタン合金からなる基材
    と、この基材表面に形成された溶融拡散層とを具備して
    なり、前記溶融拡散層が、基材の表面部に多数食い込ま
    されて形成されたアンカー部と、これらのアンカー部に
    連続されて基材上に形成された接合層と、この接合層上
    に形成された硬化層とを具備してなり、前記硬化層が、
    チタンに固溶しチタンとの間に化合物を形成する1つ以
    上の金属元素とチタンとを主体としてなることを特徴と
    する表面硬化部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の溶融拡散層に、その深さ
    方向に沿って溶融拡散層の構成元素の濃度勾配が形成さ
    れてなることを特徴とする表面硬化部材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の硬化層が、Ni-Cr合
    金にチタンを拡散させたものであることを特徴とする表
    面硬化部材。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の表面硬化部材において、
    表面層と混合層と接合層の順にニッケル含有量が少なく
    されてなることを特徴とする表面硬化部材。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の溶融拡散層にセラミック
    粒子が分散されてなることを特徴とする表面硬化部材。
  6. 【請求項6】チタンまたはチタン合金からなる基材上
    に、チタンとの間に化合物を形成する金属元素を主体と
    する被覆層を形成し、その後に加熱して被覆層と基材と
    の間で溶融拡散反応を生じさせ、被覆層と基材の境界部
    分に多数の柱状のアンカー部を形成するとともに、被覆
    層側に基材のチタンを拡散させて溶融拡散層を形成する
    ことを特徴とする表面硬化部材の製造方法。
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