JPH0579496A - 送風機の羽根車 - Google Patents

送風機の羽根車

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JPH0579496A
JPH0579496A JP23962591A JP23962591A JPH0579496A JP H0579496 A JPH0579496 A JP H0579496A JP 23962591 A JP23962591 A JP 23962591A JP 23962591 A JP23962591 A JP 23962591A JP H0579496 A JPH0579496 A JP H0579496A
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雅弘 中山
Yoshiaki Imamura
佳昭 今村
Ken Morinushi
憲 森主
Katsuhisa Otsuta
勝久 大蔦
Taro Sekimoto
太郎 関本
Yoshimoto Wada
喜幹 和田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 換気扇やエアコン等に用いられる送風機の羽
根車に関して、その空力騒音を極限まで低くすることが
出来る羽根車を得ることを目的とする。 【構成】 羽根の3次元形状を定める吸込方向前傾角δ
zの値を12.5°〜32.5°、ボス部傾斜角αの値
を15°〜35°、羽根先端部回転方向前進角δθtの
値を25°〜40°としたことを特徴とする送風機の羽
根車。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、換気扇やエアコン等
に用いられる軸流羽根車に係わり、特にその空力騒音を
極限まで低くすることを可能にした送風機の羽根車に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】送風機は、空調機や換気扇等に幅広く使
われており、その羽根車から発生する騒音をできる限り
低くすることは、社会的にも非常に重要である。従来技
術の中で、低騒音化を図る手法としては、特公平2−2
000号公報に見られるように、羽根車の3次元形状を
決めるパラメータを明らかにし、形状を最適化すること
によるものであった。図14は、特公平2−2000号
公報に示された従来の送風機の羽根車を示す斜視図であ
る。図において1は羽根車の羽根、1aは羽根先端部、
1bは羽根前縁部、1cは羽根後縁部、1dは羽根外周
部、2は羽根を取り付けるボス部、3は回転軸、4は回
転方向である。また、図15は、回転軸3と直交する平
面に羽根車を投影したときの投影図で、1’は平面投影
図における羽根、1a’は平面投影図における羽根先端
部、1b’は平面投影図における羽根前縁部、1c’は
平面投影図における羽根後縁部、1d’は平面投影図に
おける羽根外周部である。また図16は、図15におけ
るボス部翼弦線中心点Pb’から外周部翼弦線中心点P
t’までの半径方向への軌跡Pb’−PR ’−Pt’に
ついて、任意の半径Rにおける翼弦線中心点PR を平面
OX面に半径Rで回転投影した翼弦線中心点PR の半径
方向分布、および羽根1の同一位置での断面を示してい
る。また図17は、翼弦線中心点PR を相対的な原点と
して羽根面を形成したとき、羽根1を半径Rの円筒面で
切断し、その断面を2次元平面に展開して得られる展開
図で、5はそり線、5aは羽根負圧面、5bは羽根圧力
面、6は回転軸平行線である。この羽根車において、羽
根1を構成する諸因子を明確にすることにより羽根1の
3次元的曲面形状を具体的に定義している。
【0003】図15における回転軸と直交する平面に羽
根車を投影したときの投影面において、上記羽根のボス
部を半径Rbの円筒面で切断したときの断面における翼
弦線中心点をRb’とし、上記回転軸を原点Oとして、
上記O点とRb’点とを結ぶ直線をX軸とした座標系
で、上記羽根を半径Rの円筒面で切断したときの翼弦線
中心点をPR ’として、直線Rb’−Oと上記X軸との
なす角をδθ(δθ:回転方向前進角)とした場合、δ
θの半径方向分布をδθ=δθt×(R−Rb)/(R
t−Rb)(Rt:羽根チップ半径、Rb:羽根ボス半
径、δθt:直線PR ’−OとX軸とのなす角度)で与
え、δθt=40°〜50°とし、かつ図16におい
て、回転軸を中心とする半径Rの円筒面で羽根車を切断
したときの断面における翼弦線中心点PR と、羽根のボ
ス部を半径Rbの円筒面で切断したときの断面における
翼弦線中心点Pbを通り、上記回転軸と直交する平面S
cとの距離をLsとしたとき、気流の吸込側を正方向と
した座標系において上記翼弦線中心点PR を上記Sc平
面に対して常に正方向に位置させ、δz=tan-1(L
s/(R−Rb))(δz:吸込方向前傾角)で表現で
きるδzの値をδz=12.5°〜32.5°とし、か
つ図17において、羽根を半径Rの円筒面で切断し、そ
の断面を2次元平面に展開して得られる展開図におい
て、その羽根断面におけるそり線の形状を円弧形状と
し、その円弧形状を形成するための中心角をθ(θ:そ
り角)とした場合、θの半径方向分布をθ=(θt−θ
0 )×(R−R0 )/(Rt−R0 )/θ0 (θt:羽
根チップでのそり角、θb:羽根ボス部でのそり角)で
与え、θt=20°〜30°、θb=27°〜37°、
θt<θbとし、また、羽根の取付位置はその翼弦線1
b−1cと、回転軸3と平行で羽根前縁部1bを通る直
線6とのなす角度をくいちがい角ξとした場合、ξの半
径方向分布を、ξ=(ξt−ξb)×(R−Rb)/
(Rt−R0 )+ξb(ξt:羽根チップでのくいちが
い角、ξb:羽根ボス部でのくいちがい角)で与え、ξ
t=62°〜72°、ξb=53°〜63°、ξt>ξ
bとし、さらに、この図17におけるLは翼弦長であ
り、図18に示した羽根間の円周方向距離Tを用いた節
弦比T/Lで羽根の大きさを限定しており、各半径点に
おいてT/L=1〜1.1としている。このような3次
元曲面形状の羽根車にすることにより、羽根面上の境界
層の発達が抑制されたり、放出渦の状態が変化するた
め、ある程度広い動作領域にわたって相当低騒音の送風
機の羽根車となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の送風機の羽根車
は以上のように低騒音の特徴を有しているが、風量があ
る程度減少し風圧がかかった作動点付近では、図19に
示すようにボス2付近に吹き出し側から吸い込み側への
逆流11が生じてしまっており、騒音が急増する問題点
があった。またこのように半径方向の流れが強くなった
作動点では、回転方向に大きく前進させた従来の軸流羽
根車は、流れに沿った実質的な翼弦長が相当短くなり、
また実質的なそり角も小さくなるため、静圧をある程度
以上高めることが困難であるという問題点があった。
【0005】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、ボス部付近での逆流をなくし
て騒音の急増を抑制するとともに、高静圧化も図った高
性能、低騒音の送風機の羽根車を得ることを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る請求項1
の送風機の羽根車は、回転軸を中心とする半径Rの円筒
面で羽根車を切断したときの断面における翼弦線中心点
R と、羽根チップ半径Rtの35%の半径R0 を仮想
的なボス部として設定して、この半径R0 の円筒面で切
断したときの断面における翼弦線中心点P0 を通り上記
回転軸と直交する平面Sc との距離をLs としたとき、
気流の吸込側を正方向とした座標系において上記翼弦線
中心点PR を上記Sc 平面に対して常に正方向に位置さ
せ、δz=tan-1(Ls/(R−R0 ))(δz:吸
込方向前傾角)で表現できるδzの値をδz=12.5
°〜32.5°とし、かつ、実際のボス部を吸込側ほど
小さい円の円錐台形とし、その回転軸方向傾斜角αの値
をα=15°〜35°とし、かつ、上記回転軸と直交す
る平面に羽根車を投影したときの投影面において、上記
羽根の仮想的ボス部を半径R0 の円筒面で切断したとき
の断面における翼弦線中心点をP0 ’とし、上記回転軸
を原点Oとして、上記O点とP0 ’点とを結ぶ直線をX
軸とした座標系で、上記羽根を半径Rの円筒面で切断し
たときの翼弦線中心点をPR ’として、直線PR ’−O
と上記X軸とのなす角をδθ(δθ:回転方向前進角)
とした場合、δθの半径方向分布を、δθ=δθt×
(R−R0 )/(Rt−R0 )で与え、δθt=25°
〜40°としたものである。
【0007】この発明に係る請求項2の送風機の羽根車
は、回転軸を中心とする半径Rの円筒面で羽根車を切断
したときの断面における翼弦線中心点PRと、羽根チッ
プ半径Rtの35%の半径R0 を仮想的なボス部として
設定して、この半径R0 の円筒面で切断したときの断面
における翼弦線中心点P0 を通り上記回転軸と直交する
平面Scとの距離をLsとしたとき、気流の吸込側を正
方向とした座標系において上記翼弦線中心点PR を上記
Sc 平面に対して常に正方向に位置させ、δz=tan
-1(Ls/(R−R0 ))(δz:吸込方向前傾角)で
表現できるδzの値をδz=12.5°〜32.5°と
し、かつ、実際のボス部を吸込側ほど小さい円の円錐台
形とし、その回転軸方向傾斜角αの値をα=15°〜3
5°とし、かつ、上記回転軸と直交する平面に羽根車を
投影したときの投影面において、上記羽根の仮想的ボス
部を半径R0 の円筒面で切断したときの断面における翼
弦線中心点をP0 ’とし、上記回転軸を原点Oとして、
上記O点とP0 点とを結ぶ直線をX軸とした座標系で、
上記羽根を半径Rの円筒面で切断したときの翼弦線中心
点をPR ’として、直線PR ’−Oと上記X軸とのなす
角をδθ(δθ:回転方向前進角)とした場合、δθの
半径方向分布をδθ=δθt×(R−R0 )/(Rt−
0 )で与え、δθt=25°〜40°とし、かつ、羽
根を半径Rの円筒面で切断し、その断面を2次元平面に
展開して得られる展開図において、その羽根断面におけ
るそり線の形状を円弧形状とし、その円弧を形成するた
めの中心角をθ(θ:そり角)とした場合、θの半径方
向分布を、θ=(θt−θ0 )×(R−R0 )/(Rt
−R0 )+θ0 (θt:羽根チップでのそり角、θ0
0=0.35Rtにおけるそり角)で与え、θt=2
5°〜35°、θ0=32°〜42°、θt<θ0
し、上記展開図において、羽根の翼弦線と、上記回転軸
と平行で上記羽根の前縁部を通る直線とのなす角度をξ
(ξ:くいちがい角)とするとき、ξの半径方向分布
を、ξ=(ξt−ξ0 )×(R−R0 )/(Rt−R
0 )+ξ0 (ξt:羽根チップでのくいちがい角、ξ
0 :R0 =0.35Rtにおけるくいちがい角)で与
え、ξt=58°〜68°、ξ0 =49°〜59°、ξ
t>ξ0 とし、上記展開図において、上記羽根の翼弦長
をL、羽根と羽根との同一半径点におけるピッチをTと
したとき、各半径点におけるTとLの比T/L(T/
L:節弦比)をT/L=1.3〜2.0としたものであ
る。
【0008】
【作用】この発明における送風機の羽根車は、羽根形状
を決めるための骨子である翼素中心の3次元分布を明ら
かにしたものである。特に羽根翼素中心が気体の吸い込
み側に傾斜しているとともに、回転方向へ前進してお
り、しかもボス部に傾斜をつけており、それぞれの分布
が最適化されているため、高静圧と低騒音化を同時に達
成したものとなっている。
【0009】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図に基づいて説
明する。図1はこの発明における送風機の羽根車の一実
施例を示す斜視図で、例えば3枚羽根形状のものであ
り、動作の説明については、主に1枚の羽根1について
述べるが、他の羽根についても同様である。図におい
て、1は3次元形状を持つ羽根車の羽根、2は羽根を取
り付けるボス部、3は羽根1の回転軸、4は回転方向で
ある。この羽根1の特徴として、羽根面が空間的にねじ
れながら、しかも気体の吸い込み側に大きく前傾し、3
次元的曲面形状を形成しており、かつ2のボス部が回転
軸方向に傾斜角を持ち、吸い込み側ほど小さい円の円錐
台形となっていることにある。この羽根車において、羽
根1を構成する諸因子を明確にすることにより、羽根1
の3次元的曲面形状を具体的に定義することができるよ
うにしたものである。そこで、具体的にこの発明による
羽根車を構成する因子を示す。図2は回転軸3と直交す
る平面に、羽根1を投影したときの投影図で、1’は投
影面上の羽根、2はボス部、3は回転軸であり、回転軸
3から半径Rの円筒面で羽根1’を切断したときの投影
面における円弧1bR ’−PR ’−1cR ’は、羽根断
面形状となる。ここで、PR ’は弧1bR’−1cR
の中点であり、投影面における翼弦線中心点となる。投
影面におけるPR ’の位置を明確化するために、円錐台
形の実際のボス部とは別に、羽根チップ半径Rtの35
%の半径P0 の仮想的なボス部を設定して、羽根もこの
仮想的ボス部まで便宜上存在するように想定し、この仮
想的ボス部の半径R0 の円筒面で羽根車を切断したとき
の投影面におけるボス部翼弦線中心点P0 ’とし、回転
軸3の投影面における位置Oとを結ぶ直線P0 ’−Oを
X軸とし、Oを原点とした座標を投影面上に形成する。
Pt’は外周部1dでの翼弦線中心点、Pθ’は翼弦線
中心点PR ’における翼弦線中心点軌跡P0 ’−PR
−Pt’の接線と半径Rとのなす角度を示す。また、ダ
ッシュ(’)のついている符号は、投影面における各部
を示す。上記座標系において、直線PR ’−OとX軸と
のなす角をδθ(δθ:回転方向前進角)とし、距離を
Rとすれば、PR ’の位置は、(R,δθ)という極座
標系で表現できる。この発明では、直線Pt’−OとX
軸とのなす角をδθtとすると、δθ=δθt×(R−
0 )/(Rt−R0 )で与え、δθt=25°〜40
°としている。このようにして、翼弦線中心点Pbの位
置を回転軸3と直交する平面上で定義できたので、次に
軸方向位置を定義する。
【0010】図3は、図2における仮想的ボス部翼弦線
中心点P0 ’から外周部翼弦線中心点Pt’までの半径
方向への軌跡P0 ’−PR ’−Pt’について、任意の
半径Rにおける翼弦線中心点PRを平面OX面に半径R
で回転投影した翼弦線中心点PR の半径方向分布、およ
び羽根1の同一位置での断面を示している。図におい
て、7は羽根車回転時の遠心力、7a、7bはそれぞれ
遠心力7の負圧面法線分力、接線方向分力、矢印Aは気
体の流入方向を示す。そこで、仮想的ボス部の外周部に
おける羽根1の翼弦線中心点P0 を通り、回転軸3と直
交する平面Scを考える。任意の半径Rにおける翼弦線
中心点をPR とするとき、平面Scと翼弦線中心点PR
との距離をLs、仮想的ボス部翼弦線中心点P0 とSc
平面のなす角度をδzとすると、δz=tan-1(Ls
/(R−R0 ))(δz:吸込方向前傾角)と表現で
き、このδzの値をδz=12.5°〜32.5°とし
ている。さらに、実際のボス部2が回転軸に対してαの
角度を持ち、吸込側ほど小さい円の円錐台形になってお
り、このαの値をα=15°〜35°としている。
【0011】図4は、翼弦線中心点PR を相対的な原点
として、羽根面を形成したとき、羽根1を半径Rの円筒
面で切断し、その断面を2次元平面に展開して得られる
展開図を示す。羽根のそり線5を円弧形状とし、その円
弧を形成するための中心角であるそり角をθ、円弧を形
成する半径をRRとする。この一実施例では、θの半径
方向分布を、θ=(θt−θ0 )×(R−R0 )/(R
t−R0 )+θ0 とし、この時θtは羽根チップでのそ
り角、すなわち羽根チップでのそり線の中心角、θ0
0 =0.35Rtにおけるそり角、すなわち羽根の仮
想的ボス部でのそり線の中心角で与え、θt=25°〜
35°、θ0 =32°〜42°、θt<θ0 としてい
る。また、羽根の取付位置はその翼弦線1b−1cと、
回転軸3と平行で羽根前縁部1bを通る直線6とのなす
角度をくいちがい角ξとし、ξに半径方向の分布をもた
せることにより決定する。すなわちξの半径方向分布を
ξ=(ξt−ξ0 )×(R−R0 )/(Rt−R0 )+
ξ0 とし、この時ξtは羽根チップでのくいちがい角、
ξ0 はR0 =0.35Rtの仮想的ボス部におけるくい
ちがい角で与え、ξt=58°〜68°、ξ0 =49°
〜59°、ξt>ξ0 としている。さらに、この図にお
けるLは翼弦長であり、図5において示した羽根間の円
周方向距離(ピッチ)であるTとの比で定義される節弦
比T/Lの値を、各半径点においてT/L=1.3〜
2.0としている。
【0012】このように、6つのパラメータを独自の値
にすることにより、超低騒音で高静圧の羽根車が得られ
る。これらパラメータの値をすべて最適化した例を一実
施例として以下に示しさらに個々のパラメータの値を変
化させたときの騒音特性への影響を、実験的に検討した
結果について説明する。 R0 =0.35Rt α=25° δz=22.5°(半径方向で一定) δθ=30°×(R−R0 )/(Rt−R0 ) θ=−7.5°×(R−R0 )/(Rt−R0 )+37
° ξ=9°×(R−R0 )/(Rt−R0 )+54° T/L=1.6(半径方向で一定) 従来例の問題点として図19に示したボス部付近の逆流
11は、ボス部の形状を吸い込み側ほど小さい円の円錐
台形にすることによって改善され、騒音レベルを大幅に
低減できる。しかしボス部傾斜角αをあまり大きくし過
ぎると、吹き出し面積が減少することによる吹き出し動
圧(吹き出し速度のエネルギーを圧力に換算した値)損
失が増大するため、性能が低下する。従ってボス部傾斜
角αの最適範囲が存在する。αの騒音特性への影響を実
験的に検討した結果を図6に示す。ここで比較騒音レベ
ルKs(ホン)は、次式で定義される値である。 Ks=SPL−10Log10(Q×Ps2.5) SPL:騒音レベル(ホン) Q:流量 Ps:静圧 この式からわかるように、Ksは単位流量・静圧あたり
の騒音レベルを意味しており、同一の空力仕様(流量・
静圧)条件では、Ksが小さいほど低騒音の羽根車であ
るといえる。比騒音レベルKsは、作動点によっても変
化するため、図6ではKsが最小となる作動点での値を
グラフ化している。図6からわかるように、ボス部傾斜
角αが15°〜35°の間にあれば、最小比騒音レベル
Ksの値は十分小さく、非常に低騒音である。
【0013】羽根1の吸込側への前傾による効果は、従
来例と基本的に同様であり、図3における遠心力7の負
圧面法線分力7aが境界層に対する圧縮力として働いて
境界層を薄くでき、発生騒音が低下する。図7からわか
るように、吸込方向前傾角δzの最適範囲は、従来例と
同様δz=12.5°〜32.5°であるが、この範囲
からはずれた場合の騒音悪化が、従来例より顕著である
傾向が見受けられる。回転方向前進角δθの最適範囲
は、従来例とは大きく異なった結果となった。ボス部傾
斜角αを設けて半径方向流れを強化した本発明の羽根車
では、δθを大きくとって回転方向に相当前進させた羽
根では、図8に示すように実際の流線8に沿った実質的
な翼弦長9が短くなり、高風圧化に適した形状から逆行
する傾向となって空力性能の低下が生じ、最小比騒音レ
ベルKsが上昇する結果となった。結局δθの最適範囲
は、図9から明らかなように、羽根チップでの前進角δ
θtに対してδθt=25°〜40°となった。以上の
形状変更により、従来例と比較して最小比騒音レベルK
s(ホン)が約3ホン低減できた。
【0014】実施例2.続いて上記以外の羽根形状パラ
メータであるそり角θ、くいちがい角ξ、および節弦比
T/Lの影響について述べる。一般には、そり角θを大
きくするほど、またくいちがい角ξを小さくするほど空
力性能が向上するがある程度以上変えすぎると騒音も急
激に増大する。従来例より半径方向流れを強化した本発
明の羽根車では、実際の流線から考えた実質的なそり角
は小さく、くいちがい角は大きくなるため、最適範囲が
従来例とは変化することが予想された。これらを実験的
に検討した結果、図10、11に示すように θt=25°〜35° θ0 =32°〜42°および ξt=58°〜68° ξ0 =49°〜59° の最適範囲が明らかとなった。これらの値は従来例と比
べて、そり角θが5°増加、くいちがい角ξが4°減少
した値となっている。また節弦比T/Lの最適範囲も従
来例ではT/L=1.0〜1.1であったが、半径方向
流れの遠心力効果による静圧上昇も大きくなるため、翼
弦長Lをある程度短く(T/Lを大きく)しても空力性
能の低下はそれほどでもなく、翼弦長が短くなることに
よる騒音低減効果のほうが大きいため、最小比騒音レベ
ルKsが低下する。図11の実験結果より、節弦比T/
Lの最適範囲がT/L=1.3〜2.0となることが明
きらかとなった。以上の3種類の形状パラメータの変更
により、さらに2ホンの低騒音化を図ることができた。
【0015】実施例3.なお上記実施例は羽根枚数が3
枚のものについて述べたが、必須パラメータを上記のよ
うに構成すれば、羽根枚数によらず同様の効果が期待で
きる。
【0016】実施例4.またこの発明による羽根車をプ
ラスチック等の材料を用いた金型成形により製作する場
合、一体型による量産成型上、図13に示すようなボス
2に切り欠き10を入れることが行われるが、空力・騒
音特性への影響はない。
【0017】実施例5.強度面からこの発明を見ると、
最も問題となる羽根後縁のボス部近傍の半径がボス部傾
斜により大きくなっているため、従来例と比較して強度
が増加している。また実施例では、ボス部吸い込み側半
径RbをR0 (=0.35Rt)同一にした場合を示し
たが、さらなる強度確保のためRb>R0 にした場合で
も、相対的には同様の効果が期待できる。
【0018】
【発明の効果】この発明は次に記載する効果を奏する。
請求項1の送風機の羽根車は、回転軸を中心とする半径
Rの円筒面で羽根車を切断したときの断面における翼弦
線中心点PR と、羽根チップ半径Rtの35%の半径R
0 を仮想的なボス部として設定して、この半径R0 の円
筒面で切断したときの断面における翼弦線中心点P0
通り上記回転軸と直交する平面Scとの距離をLsとし
たとき、気流の吸込側を正方向とした座標系において上
記翼弦線中心点PR を上記Sc平面に対して常に正方向
に位置させ、δz=tan-1(Ls/(R−R0 ))
(δz:吸込方向前傾角)で表現できるδzの値をδz
=12.5°〜32.5°とし、かつ、実際のボス部を
吸込側ほど小さい円の円錐台形とし、その回転軸方向傾
斜角αの値をα=15°〜35°とし、かつ、上記回転
軸と直交する平面に羽根車を投影したときの投影面にお
いて、上記羽根の仮想的ボス部を半径R0の円筒面で切
断したときの断面における翼弦線中心点をP0 ’とし、
上記回転軸を原点Oとして、上記O点とP0 ’点とを結
ぶ直線をX軸とした座標系で、上記羽根を半径Rの円筒
面で切断したときの翼弦線中心点をPR ’として、直線
R ’−Oと上記X軸とのなす角をδθ(δθ:回転方
向前進角)とした場合、δθの半径方向分布を、δθ=
δθt×(R−R0 )/(Rt−R0 )で与え、δθt
=25°〜40°とし、羽根の翼弦線中心点PR の空間
分布を規定する必須パラメータである吸込方向への前傾
角δz、ボス傾斜角α、および回転方向への前進角δθ
を最適化して送風機の羽根車を構成したので、ボス部付
近での逆流をなくして騒音の急増を抑制するとともに、
広い有効動作領域にわたり大風量、かつ低騒音である
が、特に高静圧領域において、高性能で、かつ騒音を大
幅に低減できる送風機の羽根車が得られる効果がある。
【0019】請求項2の送風機の羽根車は、回転軸を中
心とする半径Rの円筒面で羽根車を切断したときの断面
における翼弦線中心点PR と、羽根チップ半径Rtの3
5%の半径R0 を仮想的なボス部として設定して、この
半径R0 の円筒面で切断したときの断面における翼弦線
中心点P0 を通り上記回転軸と直交する平面Scとの距
離をLsとしたとき、気流の吸込側を正方向とした座標
系において上記翼弦線中心点PR を上記Sc平面に対し
て常に正方向に位置させ、δz=tan-1(Ls/(R
−R0 ))(δz:吸込方向前傾角)で表現できるδz
の値をδz=12.5°〜32.5°とし、かつ、実際
のボス部を吸込側ほど小さい円の円錐台形とし、その回
転軸方向傾斜角αの値をα=15°〜35°とし、か
つ、上記回転軸と直交する平面に羽根車を投影したとき
の投影面において、上記羽根の仮想的ボス部を半径R0
の円筒面で切断したときの断面における翼弦線中心点を
0 ’とし、上記回転軸を原点Oとして、上記O点とP
0 ’点とを結ぶ直線をX軸とした座標系で、上記羽根を
半径Rの円筒面で切断したときの翼弦線中心点をPR
として、直線PR ’−Oと上記X軸とのなす角をδθ
(δθ:回転方向前進角)とした場合、δθの半径方向
分布を、δθ=δθt×(R−R0 )/(Rt−R0
で与え、δθt=25°〜40°とし、かつ、羽根を半
径Rの円筒面で切断し、その断面を2次元平面に展開し
て得られる展開図において、その羽根断面におけるそり
線の形状を円弧形状とし、その円弧を形成するための中
心角をθ(θ:そり角)とした場合、θの半径方向分布
を、θ=(θt−θ0 )×(R−R0 )/(Rt−R
0 )+θ0 (θt:羽根チップでのそり角、θ0 :R0
=0.35Rtにおけるそり角)で与え、θt=25°
〜35°、θ0 =32°〜42°、θt<θ0 とし、上
記展開図において、羽根の翼弦線と、上記回転軸と平行
で上記羽根の前縁部を通る直線とのなす角度をξ(ξ:
くいちがい角)とするとき、ξの半径方向分布を、ξ=
(ξt−ξ0 )×(R−R0 )/(Rt−R0 )+ξ0
(ξt:羽根チップでのくいちがい角、ξ0 :R0
0.35Rtにおけるくいちがい角)で与え、ξt=5
8°〜68°、ξ0 =49°〜59°、ξt>ξ0
し、上記展開図において、上記羽根の翼弦長をL、羽根
と羽根との同一半径点におけるピッチをTとしたとき、
各半径点におけるTとLの比T/L(T/L:節弦比)
をT/L=1.3〜2.0とし、羽根の翼弦線中心点P
R の空間分布を規定する必須パラメータである吸込方向
への前傾角δz、ボス傾斜角α、回転方向への前進角δ
θ、そり角θ、くいちがい角ξ、および節弦比T/Lを
最適化して送風機の羽根車を構成したもので、ボス部付
近での逆流をなくして騒音の急増を抑制するとともに、
広い有効動作領域にわたり大風量、かつ低騒音である
が、特に高静圧領域において、高性能で、かつ騒音を大
幅に低減できる送風機の羽根車が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による送風機の羽根車を示
す斜視図である。
【図2】この発明の一実施例による送風機の羽根車の回
転軸と直行する平面に羽根を投影したときの投影図であ
る。
【図3】図2におけるボス部翼弦線中心点P0 ’から外
周部翼弦線中心点Pt’までの半径方向への軌跡P0
−PR ’−Pt’について、任意の半径Rにおける翼弦
線中心点PR を平面OX面に半径Rで回転投影した翼弦
線中心点PR の半径方向分布、及び羽根の同一位置での
断面を示す断面図である。
【図4】この発明の一実施例による送風機の羽根車にお
いて、翼弦線中心点PR を相対的な原点として、羽根面
を形成したとき、羽根を半径Rの円筒面で切断し、その
断面を2次元平面に展開して得られる展開図である。
【図5】この発明の一実施例による送風機の羽根車を示
す平面図である。
【図6】この発明の一実施例による送風機の羽根車にお
いて、ボス傾斜角αに対する最小比騒音レベルKs(ホ
ン)の変化を示すグラフである。
【図7】この発明の一実施例による送風機の羽根車にお
いて、羽根の吸込方向前傾角δzに対する最小比騒音レ
ベルKs(ホン)の変化を示すグラフである。
【図8】羽根車平面上における実際の流線を示す図であ
る。
【図9】この発明の一実施例による送風機の羽根車にお
いて、羽根チップでの前進角δθtに対する最小比騒音
レベルKs(ホン)の変化を示すグラフである。
【図10】この発明の一実施例による送風機の羽根車に
おいて、羽根チップでのそり角θtに対する最小比騒音
レベルKs(ホン)の変化を示すグラフである。
【図11】この発明の一実施例による送風機の羽根車に
おいて、羽根チップでの食い違い角ξtに対する最小比
騒音レベルKs(ホン)の変化を示すグラフである。
【図12】この発明の一実施例による送風機の羽根車に
おいて、節弦比T/Lに対する最小比騒音レベルKs
(ホン)の変化を示すグラフである。
【図13】この発明の一実施例による送風機の羽根車に
おいて、切り欠きを入れたボスを示す斜視図である。
【図14】従来の送風機の羽根車を示す斜視図である。
【図15】従来の送風機の羽根車において、図2に相当
する図である。
【図16】従来の送風機の羽根車において、図3に相当
する図である。
【図17】従来の送風機の羽根車において、図4に相当
する図である。
【図18】従来の送風機の羽根車の平面図である。
【図19】従来の送風機の羽根車において流れを示す側
断面図である。
【符号の説明】
1 羽根 1’ 平面投影図における羽根 1a 羽根先端部 1a’ 平面投影図における羽根先端部 1b 羽根前縁部 1b’ 平面投影図における羽根前縁部 1c 羽根後縁部 1c’ 平面投影図における羽根後縁部 1d 羽根外周部 2 ボス部 3 回転軸 4 回転方向 5 そり線 5a 羽根負圧面 5b 羽根圧力面 6 回転軸平行線 7 遠心力 7a 遠心力の負圧面法線方向分力 7b 遠心力の負圧面接線方向分力 8 流線 9 翼弦長 10 ボスの切り欠き 11 ボス部逆流
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大蔦 勝久 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 関本 太郎 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 株式会社中央研究所内 (72)発明者 和田 喜幹 尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機 エンジニアリング株式会社伊丹事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸を中心とする半径Rの円筒面で羽
    根車を切断したときの断面における翼弦線中心点PR
    と、羽根チップ半径Rtの35%の半径R0 を仮想的な
    ボス部として設定して、この半径R0 の円筒面で切断し
    たときの断面における翼弦線中心点P0 を通り上記回転
    軸と直交する平面Sc との距離をLsとしたとき、気流
    の吸込側を正方向とした座標系において上記翼弦線中心
    点PR を上記Sc平面に対して常に正方向に位置させ、
    δz=tan-1(Ls/(R−R0 ))(δz:吸込方
    向前傾角)で表現できるδzの値をδz=12.5°〜
    32.5°とし、 かつ、実際のボス部を吸込側ほど小さい円の円錐台形と
    し、その回転軸方向傾斜角αの値をα=15°〜35°
    とし、 かつ、上記回転軸と直交する平面に羽根車を投影したと
    きの投影面において、上記羽根の仮想的ボス部を半径R
    0 の円筒面で切断したときの断面における翼弦線中心点
    をP0 ’とし、上記回転軸を原点Oとして、上記O点と
    0 ’点とを結ぶ直線をX軸とした座標系で、上記羽根
    を半径Rの円筒面で切断したときの翼弦線中心点をP
    R ’として、直線PR ’−Oと上記X軸とのなす角をδ
    θ(δθ:回転方向前進角)とした場合、δθの半径方
    向分布を、δθ=δθt×(R−R0 )/(Rt−R
    0 )で与え、δθt=25°〜40°としたことを特徴
    とする送風機の羽根車。
  2. 【請求項2】 回転軸を中心とする半径Rの円筒面で羽
    根車を切断したときの断面における翼弦線中心点PR
    と、羽根チップ半径Rtの35%の半径R0 を仮想的な
    ボス部として設定して、この半径R0 の円筒面で切断し
    たときの断面における翼弦線中心点P0 を通り上記回転
    軸と直交する平面Sc との距離をLsとしたとき、気流
    の吸込側を正方向とした座標系において上記翼弦線中心
    点PR を上記Sc 平面に対して常に正方向に位置させ、
    δz=tan-1(Ls/(R−R0 ))(δz:吸込方
    向前傾角)で表現できるδzの値をδz=12.5°〜
    32.5°とし、 かつ、実際のボス部を吸込側ほど小さい円の円錐台形と
    し、その回転軸方向傾斜角αの値をα=15°〜35°
    とし、 かつ、上記回転軸と直交する平面に羽根車を投影したと
    きの投影面において、上記羽根の仮想的ボス部を半径R
    0 の円筒面で切断したときの断面における翼弦線中心点
    をP0 ’とし、上記回転軸を原点Oとして、上記O点と
    0 ’点とを結ぶ直線をX軸とした座標系で、上記羽根
    を半径Rの円筒面で切断したときの翼弦線中心点をP
    R ’として、直線PR ’−Oと上記X軸とのなす角をδ
    θ(δθ:回転方向前進角)とした場合、δθの半径方
    向分布を、δθ=δθt×(R−R0 )/(Rt−R
    0 )で与え、δθt=25°〜40°とし、 かつ、羽根を半径Rの円筒面で切断し、その断面を2次
    元平面に展開して得られる展開図において、その羽根断
    面におけるそり線の形状を円弧形状とし、その円弧を形
    成するための中心角をθ(θ:そり角)とした場合、θ
    の半径方向分布を、θ=(θt−θ0 )×(R−R0
    /(Rt−R0 )+θ0 (θt:羽根チップでのそり
    角、θ0 :R0 =0.35Rtにおけるそり角)で与
    え、θt=25°〜35°、θ0 =32°〜42°、θ
    t<θ0 とし、 上記展開図において、羽根の翼弦線と、上記回転軸と平
    行で上記羽根の前縁部を通る直線とのなす角度をξ
    (ξ:くいちがい角)とするとき、ξの半径方向分布
    を、ξ=(ξt−ξ0 )×(R−R0 )/(Rt−R
    0 )+ξ0 (ξt:羽根チップでのくいちがい角、
    ξ0:R0 =0.35Rtにおけるくいちがい角)で与
    え、ξt=58°〜68°、ξ0 =49°〜59°、ξ
    t>ξ0 とし、 上記展開図において、上記羽根の翼弦長をL、羽根と羽
    根との同一半径点におけるピッチをTとしたとき、各半
    径点におけるTとLの比T/L(T/L:節弦比)をT
    /L=1.3〜2.0としたことを特徴とする送風機の
    羽根車。
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